JP6909252B2 - 紫外線照射装置 - Google Patents
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Description
このような装置においては、従来、紫外線光源として、水銀ランプやキセノンランプ等の管球が用いられている。また、殺菌を行うことの可能な波長の光を照射することのできるLED(light emitting diode)を紫外線光源とした流体殺菌装置も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、このように流体を流路内で移動させるようにした装置においては、バイオフィルムの発生を抑制するため、乱流循環を維持することが知られている。また、例えば、水中構造物においては、微生物等が壁面に付着することから、流体の流速を調整することで、微生物等の付着を防止するようにした装置等も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
そこで、この発明は従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、整流室を備えた紫外線照射装置において、整流室を設けることによる殺菌効果の低下を、より小さくすることの可能な紫外線照射装置を提供することを目的としている。
流体殺菌モジュール1は、図1に示すように、殺菌処理部2と、発光部3と、流入部4と、流出部5と、を備える。
殺菌処理部2は、図2(a)に示すように、内筒(筒状部)21と、内筒21を収容するケース部22と、内筒21の一端側の開口部に固定され、内筒21内に流入される流体を整流するための円盤状の板23と、内筒21とケース部22との間に配置され、内筒21とケース部22との間の隙間を区画する部材24とを備える。
さらに、拡散透過率と紫外線領域における全反射率との和が90%/1mm以下、すなわち、内部で吸収されるエネルギーが10%以上である素材は、有効な紫外光線の多重反射効果を得ることが出来ないため、処理流路21dの構成部材としてふさわしくない。
すなわち、PTFEは、拡散性を有する材料であるため、通常の直線光を用いた透過率測定では適切に測定することが困難である。そのため、積分球を用いた拡散透過率の測定を行う。この積分球を用いた拡散透過率の測定は、例えば図3に示すように、懸濁性物質の拡散透過率を測定する際に一般的に用いられる分光光度計等を用いて行えばよい。
なお、図3において、101は板状サンプル、102は検出器、103は測定光、104は対照光、105は標準白板である。
なお、バイオフィルムにおるリスクをより低減するため、内筒21の外周面の静止摩擦係数はケース部22の内周面の静止摩擦係数の1/2以下であることが好ましい。また、内筒21の外周面の静止摩擦係数は、ケース部22の内周面の静止摩擦係数の1/10以下であることがより好ましい。
連通口21aの形状は、機械加工の観点から、断面が円形であることが望ましい。連通口21aの形状は断面が円形である場合に限るものではなく、任意の形状とすることができる。また、連通口21aの直径は処理流路21dの直径の1/100以上1/4以下であることが望ましく、1/20以上1/5以下であることがさらに望ましい。
内筒21の、内筒21が延びる方向の中央部分の外周面には、部材24と嵌合する溝21bが形成されている。溝21bの断面は例えば矩形状である。
なお、処理流路21dは、処理流路21d内で対象物の流速のむらを抑制するという観点から、処理流路21dの最上流部、つまり、内筒21の内周面の板23側の端部から内筒21の内周面の発光部3側の端部までの間の、主たる断面積の変化量は5%以下であることが好ましい。また、処理流路21dは円筒でなくともよい。
ケース部22は、例えば、ポリオレフィン、具体的にはポリプロピレン又はポリエチレンで形成され、一端が閉じ、他端が開放された、断面が円形の筒状を有する。ケース部22の開放端の外周面にはフランジ部22aが形成される。また、ケース部22の開放端の内周面には段差部22bが形成されている。
ケース部22の閉端寄りの外周面には、円筒状の中空部を内部に有する流入部4がケース部22と一体に形成され、ケース部22の開放端寄りの外周面には、円筒状の中空部を内部に有する流出部5がケース部22と一体に形成されている。流入部4の中空部の開口部が流入口4aとなり、流出部5の中空部の開口部が流出口5aとなる。
流入部4は、内筒21の、段差部21c側の外周面の端部との間の距離が、流入口4aの流入口相当半径以上、処理流路21dの処理流路長の2/3以下の距離だけ、内筒21の連通口21a側の端部寄りとなる位置に形成される。
流出部5は、連通口21aからの距離が、流出口5aの流出口相当半径以上、処理流路長の2/3以下の距離だけ、内筒21の、段差部21c側の端部寄りとなる位置に形成される。
なお、流入部4の配置位置は、内筒21の、段差部21c側の外周面の端部との間の距離が、処理流路21dの相当内径(以下、処理流路相当内径ともいう。)の1/2以上、処理流路長の2/3以下の距離だけ、内筒21の、連通口21a側の端部寄りとなる位置がより好ましく、処理流路相当内径の3/4以上、処理流路長の2/3以下の距離だけ、内筒21の、連通口21a側の端部寄りとなる位置がさらにより好ましい。
なお、流入部4及び流出部5の配置位置が、処理流路長の2/3を上回る位置となると、流入部4及び流出部5を配置する設計自由度が低くなるため、処理流路長の2/3以下の範囲が好ましい。
開口率を5%以上80%以下とすることによって、第一室26及び後述の第二室27を設けない場合に比較して、より整流効果を得ることができる。つまり処理流路21dにおける対象物の流速のばらつきを抑制することができる。開口率は、5%以上60%以下であることが好ましく、5%以上35%以下であることがより好ましい。なお、開口率が5%を下回ると、処理流路21dの大きさに対して最大処理流量が少なくなるため、開口率は5%以上であることが好ましい。
図2に戻って、部材24は、例えば、バイトン(登録商標)等のフッ素ゴムで形成される。部材24は、円環状に形成され、内周面側には、内筒21に形成された溝21bと嵌合する凸部24aが形成されている。部材24の外周面側には断面が半円の環状の凸部24bが幅方向に複数(例えば3つ)形成されている。
そして、内筒21とケース部22との間の隙間において、部材24で区分けされた区画のうちの、ケース部22の閉端側の領域が、流入部4と処理流路21dとの間に設けられ、内筒21の、段差部21c側の開口部と連通する、流入側の整流室となる第一室26を形成している。また、部材24で区分けされた区画のうちの、ケース部22の開放端側の領域が、流出部5と処理流路21dとの間に設けられ、連通口21aを介して処理流路21dと連通する、流出側の整流室となる第二室27を形成している。
また、部材24に設けられた凸部24bは3つでなくともよく複数備えていればよい。凸部24bを複数備えることによって、内筒21とケース部22とを安定して固定することができる。凸部24bは、幅方向に例えば等間隔で配置されていればよく、要は、凸部24bの配置位置が偏ること等により、内筒21とケース部22との間隔が不均一となることがなく、均等となる位置に配置すればよい。
のことをいう。
また、相当半径とは、「流路断面積の二倍/流路断面周長」のことをいう。
また、整流室とは、処理流路と外部装置との間に配置され、流体殺菌モジュール1と外部装置との間で対象物の授受を行うための流入口及び流出口を有し、処理流路相当内径に対して、1.1倍以上、好ましくは1.5倍以上の相当内径を有する空間のことをいう。
図2(a)に戻って、発光部3は、窓部31と、素子部32とを備える。
素子部32は、例えばステンレス等で形成され、窓部31の外径と同一の外径を有する円環状に形成される。素子部32の窓部31と対向する面には、平面視で円形の凹部32aが形成されている。UVC−LED(深紫外LED)等の発光素子34aとこの発光素子34aが実装された基板34bとを含む光源34は、発光面が窓33と対向するように凹部32aに固定される。光源34は、光源34からの照射光の光軸と、処理流路21dの長手方向の中心軸とが一致するように配置される。
殺菌処理部2と発光部3とは、ケース部22のフランジ部22aの部分で、貫通ボルト25により一体に固定されている。
このとき、段差部22bには、ゴム等の弾性部材からなるOリング22cが設けられると共に、内筒21の連通口21a側の端部と窓部31との間に弾性部材からなる円環状の弾性シート22dが設けられ、対象物が窓部31とケース部22との接触部分から外部に漏れだすことを防止している。弾性シート22dとなる弾性部材としては、シリコン樹脂エラストマー、フッ素樹脂エラストマー等のエラストマーを適用することが好ましい。
また、窓部31の第一段差部31aと窓33との間にゴム等の弾性部材からなるOリング31cが設けられ、対象物が窓部31と窓33との接触部分から外部に漏れだすことを防止している。
内筒21の端部と、窓部31の、弾性シート22dを介して内筒21の端部と対向する領域との間の隙間は、機械加工の精度等の観点から、25μm以下に設定できる。さらに10μm以下であれば、対象物としての水等の表面張力によって、実質的に漏洩することがなくなる。
(1)本発明の一実施形態に係る流体殺菌モジュール1は、第一室26の断面積A26が処理流路21dの断面積A21の1/10以上1以下、より好ましくは1/10以上1/2以下となるようにしている。そのため、処理流路21dにおける殺菌効果を得ることができると共に、第一室26におけるバイオフィルムの発生を防止することができる。
また、内筒21は、その外周面の静止摩擦係数が、ケース部22の内周面の静止摩擦係数よりも小さい材料で形成している。そのため、バイオフィルムの発生を容易に検出することができ、且つ、第一室26内全体にバイオフィルムが発生するよりも前の、ケース部22の内周面側にバイオフィルムが生じた段階でバイオフィルムの発生を検出することができる。そのため、バイオフィルムによるリスク発生の低減に寄与することができる。
ここで、ケース部22側に付着したバイオフィルムは、流体殺菌モジュール1に対する定期的なメンテナンス時に、懐中電灯等の光源をケース部22の外周面に近接させ、ケース部22の内側の反射から汚れ状態を視認することで、発生状況を確認することができる。
このように本発明の一実施形態に係る流体殺菌モジュール1は、第一室26におけるバイオフィルムの発生を抑制することができる。したがって、第一室26を設けることによる殺菌効果の低下を、より小さくすることができる。
そのため、発光部3から処理流路21dに向けて照射された紫外光を処理流路21d内に高密度に紫外光を閉じ込めることができ、強い殺菌力を発揮させることができる。また、内筒21は紫外光の一部は透過させるため、処理流路21d内に照射された紫外光は、図6中に符号Zで示すように、内筒21を透過して第一室26及び第二室27内に向けて照射される。つまり、第一室26及び第二室27内の流体に対しても紫外光照射が行われることになるため、これら第一室26や第二室27に溜まっている対象物に雑菌が増殖することを防止することができる。このため、第一室26や第二室27内に対象物が溜まっていたとしても、雑菌の生成を抑えることができ、流動開始時に菌の増殖した対象物が流出されることを抑制することができ、流体殺菌モジュール1の信頼性をより向上させることができる。なお、図6は、図2(a)に示す流体殺菌モジュール1を簡易的に示している。
上記実施形態においては、流体の殺菌を行う流体殺菌モジュールに適用した場合について説明したが、殺菌対象は、水、水溶液、コロイド分散液等の流体であってもよく、また、空気等の気体や、氷や固体の微粉末等であってもよい。
また、上記実施形態においては、部材24の内周面側には凸部24aを設け、外周面側には複数の凸部24bを設けた場合について説明したが、これに限るものではない。要は、内筒21の外周面に設けた溝21bと嵌合することで、内筒21の延びる方向への部材24の移動を制限することができ、且つ、部材24と内筒21との接触面及び部材24とケース部22との接触面を通して、部材24で区画される一方の側から他方の側へ対象物が移動することを阻止することが可能であって、十分な耐久性を有していれば部材24はどのような形状であってもよい。
また、上記実施形態においては、図2(a)に示すように、第一室26と第二室27とを備える場合について説明したが、第一室26のみを備えている場合であっても適用することができる。
また、上記実施形態においては、発光素子34aを、処理流路21dの板23とは逆側の端部に設けた場合について説明したが、板23側に設けることも可能であり、板23側及び板23とは逆側の両方に設けることも可能である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図8(a)〜(c)に示すように、内筒21の外径φD1の異なる3つの流体殺菌モジュール1−1〜1−3を用いて、流入部4と第一室26との連通部分における流速を測定した。
断面積の比A26/A21が「1」より小さい流体殺菌モジュール1−1及び1−2の場合、流入部4と第一室26との連通部分Kにおける流速の最小値は1m/secより大きく、バイオフィルムの発生を良好に抑制できることが確認された。
一方、断面積の比A26/A21が「1」より大きい流体殺菌モジュール1−3の場合、流入部4と第一室26との連通部分における流速の最小値は1m/secより小さく、バイオフィルムの発生を抑制することができない可能性があることが確認された。
2 殺菌処理部
3 発光部
4 流入部
5 流出部
21 内筒
21d 処理流路
22 ケース部
23 板(整流用の板)
24 部材(環状の部材)
26 第一室
27 第二室
34 光源
34a 発光素子
Claims (10)
- 長手方向に延びる筒状の処理流路を形成する筒状部と、
前記筒状部を収容するケース部と、
前記筒状部の一端側の外周面と前記ケース部の内周面との隙間に設けられ前記筒状部の前記一端側の開口部を介して前記処理流路と連通する第一室と、
前記ケース部の外周面に設けられ、前記第一室に対象物を流入する流入部と、
前記処理流路を通過した前記対象物を前記筒状部の他端側から流出させる流出部と、
前記処理流路を通過する前記対象物に向けて紫外光を照射する発光素子と、を備え、
前記筒状部の前記第一室を含む位置における、前記長手方向と直交する断面において、前記第一室の断面積が前記処理流路の断面積の1/10以上1以下である紫外線照射装置。 - 前記筒状部の外周面の静止摩擦係数は、前記ケース部の内周面の静止摩擦係数よりも小さい請求項1に記載の紫外線照射装置。
- 前記筒状部の外周面の静止摩擦係数は、前記ケース部の内周面の静止摩擦係数の1/2以下である請求項2に記載の紫外線照射装置。
- 前記筒状部は、紫外線反射性材料で形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
- 前記紫外線反射性材料として、ポリテトラフルオロエチレン、シリコン樹脂、内部に0.05μm以上10μm以下の気泡を含む石英ガラス、内部に0.05μm以上10μm以下の結晶粒を含む部分結晶化石英ガラス、0.05μm以上10μm以下の結晶粒状のアルミナ焼結体、0.05μm以上10μm以下の結晶粒状のムライト焼結体のうちの少なくともいずれか一つを含む請求項4に記載の紫外線照射装置。
- 前記流入部は、ポリオレフィンで形成されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
- 前記ポリオレフィンは、ポリエチレン又はポリプロピレンの少なくともいずれか一方を含む請求項6に記載の紫外線照射装置。
- 前記発光素子は、前記筒状部の一方の端部の開口部に面して設けられ、前記処理流路を通過する前記対象物に向けて前記長手方向に沿って紫外光を照射する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
- 前記発光素子は、前記筒状部の前記他端側に設けられている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
- 前記筒状部と前記流出部との間に第二室をさらに備える請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の紫外線照射装置。
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