以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は、本発明の実施形態による筆記具セット1の正面図であり、図2は、筆記具2の縦断面図である。
本実施形態では、筆記具セット1は、4つの筆記具2を有している。これら4つの筆記具2の各々の外形は同一である。筆記具2の各々は、筒状に形成された軸筒3と、軸筒3の側面に設けられたクリップ4と、軸筒3の後端部に設けられた操作部5と、軸筒3内に配置され且つ一端に筆記部6aを備えた筆記体であるリフィル6と、リフィル6を後方に付勢する弾性部材であるスプリング7とを有している。
本明細書中では、筆記具2の軸線方向において、筆記部6a側を「前」側と規定し、筆記部6aとは反対側を「後」側と規定する。特に言及のない限り、中心軸線とは、筆記具2の中心軸線をいう。
筆記具2では、スプリング7の付勢力に抗して操作部5を前方に押圧するノック操作によって、リフィル6が軸筒3内を前後方向に移動する。このとき、筆記部6aが軸筒3から突出した状態を筆記状態と称し、筆記部6aが軸筒3内に没入した状態を非筆記状態と称する。したがって、筆記具2は、いわゆるノック式筆記具である。
図3は、筆記具2の軸筒3に転写されるフィルム10の展開図である。4つの筆記具2の各々の軸筒3の表面には、デザイン20が施された矩形のフィルム10が転写される。デザイン20は、フィルム10の転写前の平面状態で、図3において左下から右上に向かって延びる太い直線である。これを筆記具2の軸筒3の表面に転写すると、デザイン20は、中心軸線回りの螺旋状の線となる(図示略)。なお、筆記具2にデザインを付す手段として、フィルム10を転写する方式ではなく、塗装や刻印等であってもよいが、白色ベタ層を有しないインクジェット方式で像形成される転写フィルムとすることで、優れた装飾性を備えたノベルティー効果の高い筆記具2とすることができる。
ここでデザインとは、文字、記号、絵、形状(立体形状含む。)、模様若しくは色彩又はこれらの結合等をいう。
本実施形態では、4つの筆記具2の各々について、同一のデザイン20を備えた同一のフィルム10の配置を、中心軸線回りに所定間隔、すなわち筆記具2が4つあることから360度を4で除算した90度だけずらして転写する。こうしてフィルム10が転写された4つの筆記具2を同一配向で、例えば、図1に示されるようにクリップ4を同一方向に向けて隣接配置すると、筆記具2に転写されたデザイン20の一部の各々が集合し、筆記具セット1全体で一連一体として元のデザイン20、すなわちフィルム10を転写前の展開した状態(図3)のデザイン20のように視認可能となる。また、筆記具2単体でも、軸筒3を回転させることによって、デザイン20全体を視認することができる。
図4は、筆記具ケース30に収容された筆記具セット1の斜視図である。筆記具ケース30は、一連一体となったデザイン20が視認可能なように、少なくとも前面31が透明な箱形状のケースである。前面の縁部32、すなわち支持部材に対して、筆記具2の各々のクリップ4を挟持することによって、筆記具ケース30からの筆記具2の脱落を防止すると共に、筆記具2の各々を同一配向で隣接配置させることができる。その結果、筆記具セット1において、デザイン20の全体を一連一体として視認可能となる。なお、筆記具ケースは、その一部を透明にしてデザイン20を視認可能とする限りにおいて、箱形状ではなく、封筒のような矩形の袋状であってもよく、その他形状であってもよい。
筆記具ケース30に用いる材料は、PP、PE、PET、PEN、ナイロン(6ナイロン、12ナイロン等の一般的なナイロン以外に非晶質ナイロン等を含む)、アクリル、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ABS等の樹脂材料やガラス材料から構成されるものであり、可視光線透過率が50%以上、より好ましくは80%以上となる材料から構成されることが望ましい。可視光線透過率は、多光源測色計を用いて反射率を測定することで求めることができる。さらに、紫外線吸収剤として、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物などを含ませることによって、印刷されたデザイン20への変色、退色を防ぐことができる。
図5は、筆記具ケース30に収容された筆記具セット1の写真画像である。図5において、筆記具セット1は、5つの筆記具2を有している。筆記具セット1全体で一連一体として、魚のデザイン20が視認可能である。筆記具2の各々には、デザイン20の魚の一部がそれぞれ描かれているため、筆記具2の単体では、デザインは完成しない構成である。
筆記具セット1によれば、複数の筆記具2を隣接配置した時にデザインに一体感があり、ユーザーに筆記具2を複数本セットにして購入したいという意欲、特にペアで購入したいという意欲を生じさせる効果を奏する。さらに、筆記具セット1によれば、特許文献1に記載の筆記具セットのように、付加的な装飾具を筆記具の一部に装着させる必要がないことから、よりコンパクトな筆記具セットを実現することができる。したがって、筆記具ケースへの収納も容易となる。
上述した実施形態では、筆記具セット1を構成する複数の筆記具2は、同一の外形を有していたが、隣接配置が可能である限りにおいて、一連一体となるデザインを構成する部分の外形が少なくとも同一であればよい。また、筆記具セット1は、一連一体でデザイン20を構成するため、そのデザイン20が4等分されるよう4つの筆記具2から成ることが好ましいが、2つ若しくは3つの筆記具2、又は、5つ以上の筆記具2から構成するようにしてもよい。その場合、筆記具セット1を構成する筆記具2の数に応じて、筆記具2の各々に付すデザイン20を中心軸線回りにずらして配置する。
上述した実施形態では、複数の筆記具2の各々に、配置をずらしながら同一のデザイン20を設け、筆記具セット全体でデザイン20全体を視認可能となるようにしたが、複数の筆記具2の各々に、それ単体で完成するような異なるデザインを設けてもよい。例えば、2つの筆記具を備えた筆記具セットにおいて、一方の筆記具の軸筒に男の子の絵を配置し、他方の筆記具の軸筒に女の子の絵を配置し、これらを並べると、男の子と女の子とが仲良く並んでいるようなデザインにしてもよい。また、複数の筆記具2の各々にアルファベット1文字を配置し、これらを隣接配置することによって自分の名前となるようにしてもよい。
複数の筆記具2は、異なる色や変色温度の同一種類の筆記具であってもよく、互いに又は一部のみ異なる種類の筆記具であってもよい。筆記具の種類としては、例えば、単色ボールペン、ノック式ボールペン、多機能(多色)ボールペン、多数のリフィルを取付可能なリフィルホルダ、シャープペンシル等であってもよい。また、筆記具2の一部、例えばクリップ4や軸筒3の後端部に筆記具2の筆跡を消去可能な消去部材を設けてもよい。消去部材を筆記具2とは別体とし、筆記具ケース30の中に収容されるようにしてもよい。
上述した実施形態におけるリフィル6は、熱変色性色材を含有する熱変色性インクを収容してもよい。この場合、筆記具2は熱変色性筆記具であり、消去部材としての摩擦体によって擦過した際に生じる摩擦熱によって、筆記具2の筆跡を熱変色可能である。
ここで、熱変色性インクとは、常温(例えば25℃)で所定の色彩(第1色)を維持し、所定温度(例えば40〜80℃)まで昇温させると別の色彩(第2色)へと変化し、その後、所定温度(例えば−40〜0℃)まで冷却させると、再び元の色彩(第1色)へと復帰する性質を有するインクを言う。熱変色性インクを用いた筆記具2では上記第2色を無色とし、第1色(例えば赤)で筆記した描線を昇温させて無色とすることを、ここでは「消去する」ということとする。したがって、描線が筆記された筆記面等に対して摩擦体によって擦過して摩擦熱を生じさせ、それによって描線を無色に変化、すなわち消去させる。なお、当然のことながら上記第2色は、無色以外の有色でもよい。
熱変色性色材となる熱変色性マイクロカプセル顔料としては、摩擦熱等の熱により変色するもの、例えば、有色から無色、有色から有色、無色から有色などとなる機能を有するものであれば、特に限定されず、種々のものを用いることができ、少なくともロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を含む熱変色性組成物を、マイクロカプセル化したものが挙げられる。
用いることができるロイコ色素としては、電子供与性染料で、発色剤としての機能するものであれば、特に限定されものではない。具体的には、発色特性に優れるインクを得る点から、トリフェニルメタン系、スピロピラン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系、ローダミンラクタム系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系等従来公知のものが、単独(1種)で又は2種以上を混合して(以下、単に「少なくとも1種」という。)用いることができる。
具体的には、6−(ジメチルアミノ)−3,3−ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1(3H)−イソベンゾフラノン、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−エチルイソアミルアミノフルオラン、2−メチル−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(N−フェニル−N-−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(3’−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メトキシ−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、メチル−3’,6’−ビスジフェニルアミノフルオラン、クロロ−3’,6’−ビスジフェニルアミノフルオラン、3−メトキシ−4−ドデコキシスチリノキノリン、などが挙げられる。
これらのロイコ染料は、ラクトン骨格、ピリジン骨格、キナゾリン骨格、ビスキナゾリン骨格等を有するものであり、これらの骨格(環)が開環することで発色を発現するものである。
用いることができる顕色剤は、上記ロイコ色素を発色させる能力を有する成分となるものであり、例えば、フェノール樹脂系化合物、サリチル酸系金属塩化物、サリチル酸樹脂系金属塩化合物、固体酸系化合物等が挙げられる。
具体的には、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、ヘキサフルオロビスフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス( 4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナンなどの少なくとも1種が挙げられる。
用いる顕色剤の使用量は、所望される色彩濃度に応じて任意に選択すればよく、特に限定されるものではないが、通常、上述したロイコ色素1質量部に対して、0.1〜100質量部程度の範囲内で選択するのが好適である。
用いることができる変色温度調整剤は、上記ロイコ色素と顕色剤の呈色において変色温度をコントロールする物質である。用いることができる変色温度調整剤は、従来公知のものが使用可能である。具体的には、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類、アゾメチン類、脂肪酸類、炭化水素類などが挙げられる。
より具体的には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジカプリレート(C7H15)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジラウレート(C11H23)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジミリステート(C13H27)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタンジミリステート(C13H27)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジパルミテート(C15H30)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタンジベヘネート(C21H43)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルエチルヘキシリデンジミリステート(C13H27)等の少なくとも1種が挙げられる。
この変色温度調整剤の使用量は、所望されるヒステリシス幅及び発色時の色彩濃度等に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ色素1質量部に対して、1〜100質量部程度の範囲内で使用するのが好ましい。
熱変色性マイクロカプセル顔料は、少なくとも上記ロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を含む熱変色性組成物を、平均粒子径が0.2〜3μmとなるように、マイクロカプセル化することにより製造することができる。マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができ、用途に応じて適宜選択することができる。
例えば、水溶液からの相分離法では、ロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤を加熱溶融後、乳化剤溶液に投入し、加熱攪拌して油滴状に分散させ、次いで、カプセル膜剤として、樹脂原料などを使用、例えば、アミノ樹脂溶液、イソシアネート系樹脂溶液などを徐々に投入し、引き続き反応させて調製後、この分散液を濾過することにより目的の熱変色性のマイクロカプセル顔料を製造することができる。
これらのロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤の含有量は、用いるロイコ色素、顕色剤、変色温度調整剤の種類、マイクロカプセル化法などにより変動するが、当該色素1に対して、質量比で顕色剤0.1〜100、変色温度調整剤1〜100である。また、カプセル膜剤は、カプセル内容物に対して、質量比で0.1〜1である。
熱変色性マイクロカプセル顔料は、上記ロイコ色素、顕色剤及び変色温度調整剤の種類、量などを好適に組み合わせることにより、各色の発色温度(例えば、0℃以上で発色)、消色温度(例えば、50℃以上で消色)を好適な温度に設定することができ、摩擦熱等の熱により有色から無色となることが好ましい。
熱変色性マイクロカプセル顔料では、描線濃度、保存安定性、筆記性の更なる向上の点から、壁膜がウレタン樹脂、ウレア/ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、あるいはアミノ樹脂で形成されることが好ましい。ウレタン樹脂としては、例えば、イソシアネートとポリオールとの化合物が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂とアミンの化合物が挙げられる。アミノ樹脂としては、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などが挙げられる。マイクロカプセル色材の壁膜の厚さは、必要とする壁膜の強度や描線濃度に応じて適宜決められる。
熱変色性マイクロカプセル顔料の平均粒子径は、着色性、発色性、易消色性、安定性、インク中での流動性の点、並びに、筆記性への悪影響を抑制、後述する光変色性マイクロカプセル顔料との相用性などの点から、好ましくは、0.2〜5μm、さらに好ましくは、0.3〜3μmである。なお、ここで規定する「平均粒子径」は、粒度分析計〔マイクロトラックHRA9320−X100(日機装社製)〕にて、平均粒子径(50%径)を測定(屈折率1.8)した値である。
この平均粒子径が0.2μm未満であると、十分な描線濃度が得られず、一方、5μmを越えると、筆記性の劣化、熱変色性マイクロカプセル顔料の分散安定性の低下、振動によるインクバックが発生しやすくなり好ましくない。さらには90%径が8μm以下、好ましくは6μm以下である。径が大きい粒子が一定割合以上存在すると、上述した影響がより顕著になる傾向がみられる。なお、上述した平均粒子径の範囲(0.2〜5μm)となるマイクロカプセル顔料は、マイクロカプセル化法により変動するが、水溶液からの相分離法などでは、マイクロカプセル顔料を製造する際の攪拌条件を好適に組み合わせることにより調製することができる。
熱変色性マイクロカプセル顔料の比重は、0.9〜1.3、好ましくは1.0〜1.2の範囲である。比重がこの範囲外であると、マイクロカプセル顔料の分散安定性が低下しやすい。また、比重が1.3を超えるマイクロカプセル顔料は、振動によってインクバックが発生しやすい。
筆記具用水性インク組成物において、上記熱変色性マイクロカプセル顔料の他、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)の他、各筆記具用(ボールペン用、マーキングペン用等)の用途に応じて、その効果を損なわない範囲で、水溶性有機溶剤、増粘剤、潤滑剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤などを適宜含有することができる。
用いることができる水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、単独或いは混合して使用することができる。
これらのうち、インクバックによる筆記部でのインク固化を抑制する目的として、グリセリンを用いることが好ましく、その添加量はインク全量に対して1〜10質量%であることが好ましい。グリセリンによる作用のメカニズムは不明だが、乾燥状態における顔料及びインク成分との凝集力を低下させる効果があるものと推察される。
用いることができる増粘剤としては、例えば、合成高分子、セルロースおよび多糖類からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。具体的には、アラビアガム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、ダイユータンガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸及びその塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸及びその塩、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレシオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、架橋型アクリル酸重合体及びその塩、非架橋型アクリル酸重合体及びその塩、スチレンアクリル酸共重合体及びその塩などが挙げられる。
これらのうち、多糖類を使用することが好ましい。多糖類はそのレオロジー特性から、振動による流動性への影響を受けにくい傾向があり、インクバックに起因する筆記不良等の不具合が生じにくい。特にキサンタンガムは、筆記具インクに要求されるその他の特性とのバランスに優れており好ましい。
潤滑剤としては、顔料の表面処理剤にも用いられる多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステル、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、ポリアルキレングリコールの誘導体やフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類などが挙げられる。防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
この筆記具用水性インク組成物を製造するには、従来から知られている方法が採用可能であり、例えば、上記熱変色性、光変色性マイクロカプセル顔料の他、上記水性における各成分を所定量配合し、ホモミキサー、もしくはディスパー等の攪拌機により攪拌混合することによって得られる。さらに必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去してもよい。
筆記具用水性インク組成物の粘度値は、25℃、剪断速度3.83/sにおいて、500〜2000mPa・s、剪断速度383/sにおいて20〜100mPa・sであることが好ましい。上記粘度範囲に設定することによって、筆記性と経時安定性に優れたインクとすることができる。さらに、S=αDn(但し、1>n>0)(Sは剪断応力(dyn/cm2)、Dは剪断速度(s-1)、αは非ニュートン粘性係数)で示される粘性式で求められる非ニュートン粘性指数nが、0.2〜0.6であることが好ましい。上記粘度範囲に加えて非ニュートン粘性指数nを上記範囲とすることで、振動に対するインクの流動性を適切に設定することが可能となり、インクバックの発生を防止することが可能となる。
筆記具用水性インク組成物の表面張力は、25〜45mN/m、さらには30〜40mN/mであることが好ましい。この範囲内であれば、ペン先内部とインクの濡れ性のバランスが適切となり、インクバックの発生を防止することが可能となる。
リフィル内においては、インクのすぐ後方にインク追従体を配置してもよい。追従体を構成する材料としては、少なくとも、不揮発性若しくは難揮発性有機溶剤と、増粘剤とにより構成することができる。インク追従体に使用する不揮発性若しくは難揮発性有機溶剤は、インク追従体の基油として用いるものであり、例えば、流動パラフィンが用いられる。流動パラフィンには、鉱物油、化学合成油が用いられ、化学合成油としては、ポリブテン、ポリα−オレフィン、エチレンα−オレフィンオリゴマーなどを用いることができる。
用いることができる具体的な鉱物油としては、例えば、市販品のダイアナプロセスオイルNS−100、PW−32、PW−90、NR−68、AH−58(出光興産社製)などが挙げられる。
用いることができる具体的なポリブテンとしては、例えば、市販品のニッサンポリブテン200N、ポリブテン30N、ポリブテン10N、ポリブテン5N、ポリブテン3N、ポリブテン015N、ポリブテン06N、ポリブテン0N(以上、日本油脂社製)、ポリブテンHV−15(日本石油化学社製)、35R(出光興産社製)などが挙げられる。
用いることができる具体的なポリα−オレフィンとしては、例えば、市販品のバーレルプロセス油P−26、P−46,P−56、P−150,P−350,P−1500、P−2200、(P−10000、P−37500)(松村石油社製)などが挙げられる。
用いることができる具体的なエチレンα−オレフィンオリゴマーとしては、例えば、市販品のルーカント HC−10、HC−20、HC−100、HC−150、(HC−600、HC−2000) (以上、三井化学社製)などが挙げられる。
これらの不揮発性若しくは難揮発性有機溶剤は、1種または2種以上を合わせて使用することができる。
インク追従体に使用する増粘剤としては、例えば、リン酸エステルのカルシウム塩、微粒子シリカ、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレンゴム−ポリスチレンのブロックコポリマー、ポリスチレン−ポリエチレン/プロピレンゴム−ポリスチレンのブロックコポリマー、水添スチレン−ブタジエンラバー、スチレン−エチレンブチレン−オレフィン結晶のブロックコポリマー、オレフィン結晶−エチレンブチレン−オレフィン結晶のブロックコポリマー及びアセトアルコキシアルミニウムジアルキレートなどが挙げられ、これらは1種もしくは2種以上用いることができる。
用いることができるリン酸エステルのカルシウム塩の好ましい市販品としては、CrodaxDP−301LA(クローダジャパン社製)等が挙げられる。用いることができる微粒子シリカは、親水性微粒子シリカと疎水性微粒子シリカがあり、親水性シリカの好ましい市販品としては、AEROSIL−300、AEROSIL−380(日本アエロジル社製)等が挙げられ、また、疎水性シリカの好ましい市販品としては、AEROSIL−974D、AEROSIL−972(日本アエロジル社製)等が挙げられる。
また、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレンゴム−ポリスチレンのブロックコポリマーの好ましい市販品としては、クレイトンGFG−1901X、クレイトンGG−1650(以上、シェルジャパン社製)、セプトン8007、セプトン8004(以上、クラレ社製)などが挙げられる。さらに、ポリスチレン−ポリエチレン/プロピレンゴム−ポリスチレンのブロックコポリマーの好ましい市販品としては、クレイトンGG−1730(シェルジャパン社製)、セプトン2006、セプトン2063(以上、クラレ社製)などが挙げられる。
水添スチレン−ブタジエンラバーの好ましい市販品としては、DYNARON1320P、DYNARON1321P(以上、JSR社製)、タフテックHl041、タフテックHl141(以上、旭化成工業社製)などが挙げられる。
スチレン−エチレンブチレン−オレフィン結晶のブロックコポリマーの好ましい市販品としては、DYNARON4600P(JSR社製)等が挙げられ、オレフィン結晶−エチレンブチレン−オレフィン結晶のブロックコポリマーの好ましい市販品としては、DYNARON6200P、DYNARON6201B(JSR社製)等が挙げられる。
アセトアルコキシアルミニウムジアルキレートの好ましい市販品としては、プレンアクトAL−M(味の素ファインテクノ社製)などが挙げられる。
これらの増粘剤の中で、スチレン−エチレンブチレン−オレフィン結晶のブロックコポリマー、オレフィン結晶−エチレンブチレン−オレフィン結晶のブロックコポリマーなどの熱可塑性オレフィン系エラストマーの使用が好ましい。
さらに、インクバックの発生を防止するインク追従体を得る点から、周波数領域1〜63rad/sで指数関数的に増加させながら周波数毎に測定したtanδ値の平均値が1.0以上とすることが好ましく、1.7〜3.4とすることがさらに好ましい。
ここで、tanδは、損失弾性率/貯蔵弾性率を意味する値であり、従来では、周波数領域「1〜63rad/s」で指数関数的に増加させながら周波数毎に測定したtanδ値の平均値が1.0以下のものが好ましいことが知られていた。本発明では、上記1〜63rad/sで各周波数毎に測定したtanδ値の平均値が1.0以上とすることにより、振動を吸収してインクバックの発生を防止することが可能となる。
消去部材としての摩擦体を筆記具セット内に収容する場合、摩擦体を形成する材料として、シリコーンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等の熱硬化性ゴムやスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーといったゴム弾性材料、2種以上のゴム弾性材料の混合物、及び、ゴム弾性材料と合成樹脂との混合物を用いることができ、これを、JIS K7204に規定された摩耗試験(ASTM D1044)で荷重9.8N、1000rpm環境下において、テーバー摩耗試験機の摩耗輪H−22でのテーバー摩耗量が15mg未満となるように構成し、摩擦体を形成する。なお、摩擦体は筆記具2とは別の部品とされ又は操作部5の外面に形成される。また、摩擦体を筆記具2と同一又は相似形状に形成することが好適である。
さらに、摩擦体は、JIS K6203に規定されたデュロメータA硬度が70以上であることが好ましい。それによって、所定の硬さが確保でき、より安定した擦過動作が可能となる。なお、摩擦体は、タッチペン、スタイラスペンとしても適用可能であり、導電性を付与してもよい。
また、摩擦体の輝度値を70未満とすることによって、摩擦体の使用に伴う表面の汚れも目立たなくすることができる。
輝度値は、範囲を0〜100としたHLS色空間系を使用し、汎用型色差計(TC−8600A、東京電色株式会社製)等の測定装置を用いて、摩擦体の表面を測定することによって求められる。
また、上述した筆記具2の軸筒3は、基材はポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックを用い、輝度値を70以上かつ抗菌剤を含ませる又は抗菌塗料を軸筒表面に塗布し、JIS Z 2801に基づく抗菌加工製品−抗菌性試験を行い、抗菌活性値2.0以上にすることで病院等で用いやすい衛生的な筆記具セットを提供することができる。輝度値は、摩擦体と同様に汎用型色差計(TC−8600A、東京電色株式会社製)等の測定装置を用いて、軸筒3の表面を測定することによって求められる。また、その際の軸筒3へのデザイン20の付与は、軸筒の一部分への印刷とすることが好ましい。また、抗菌剤等の抗菌成分を摩擦体や筆記具ケース30等の他の部品にも含ませることができる。
抗菌について詳細に述べると、抗菌剤の例として、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、2−ベンツイミダゾール酸カルバミンメチル、1−(ブチルカルバモイル)2−ベンツイミダゾールカルバミン酸メチル、2−(メトキシカルボニルアミノ)ベンツイミダゾール、2−(ベンツイミダゾール)カルバミン酸メチルなどのイミダゾール系、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンツチアゾール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどのチアゾール系、3−ヨード−2−プロパギルブチルカルバミン酸、4−クロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、3−エトキシカルボニルオキシ−1−ブロム−1,2−ジヨード−1−プロペンなどのヨード系、2,3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリルなどのニトリル系、p−クロロ−m−クレゾール、2,4,4′−トリクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルエーテルなどのフェノール系、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N−ジメチル−N′−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N′−フェニルスルファミド、N,N−ジメチル−N′−(ジクロロフルオロメチルチオ)−N′−トリルスルファミド、N−(トリクロルメチルチオ)フタルイミド、テトラクロルエチルチオテトラヒドロフタルイミド、N−トリクロルメチルチオ−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミドなどのハロアルキルチオ系、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンなどのピリジン系、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)S−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチル−S−トリアジンなどのトリアジン系、2−プロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタンなどのブロム系、銀−ゼオライト、亜鉛ゼオライト、銀−アパタイト、リン酸ジルコニウム−銀、チタニア−銀、水溶性ガラス−銀、リン酸カルシウム−銀、ゼオライト−銅、ゼオライト−亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アモルファス銅、過炭酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、メタホウ酸バリウムなどの無機系、トリクロルカルバンなどのハロジアリル尿素系、グルコン酸クロロヘキサジン、グルコン酸クロロヘキサジン+シクロピロクスオラミン、ポリヘキサメチレンピグアニジン塩酸塩などのグアニジン系、プロピルグリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステル系、セルロース銅、銅架橋アクリロニトリル・アクリル酸コポリマー、金属酸化物配位アミノケイ素系ポリマー、亜鉛配位アクリル酸ポリマーなどのポリマー配位金属系、その他10,10'−オキシビスフェノキシアルシン、8−オキシキノリン銅、メチレンヒスチオシアネート、ビス(ジメチルジチオカルバモイル)ジスルフィド、1−(3−クロルアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダマンタンクロリド、3,5−ジメチルテトラヒドロ−1,3,5−チアジアジン−2−チオン、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、4,4’−(2−エチルー2−ニトロトリメチレン)ジモルホリン、レバン分解酵素剤、N−(2−ヒドロキシプロピル)アミノメタノール、2−(メトキシカルボニルアミノ)ベンツイミダゾール+8−オキシキノリン銅、5−(クロル−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン+1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オンなどをあげられるが、特に基剤100重量部に対して、抗菌性金属イオンを担持させた抗菌性リン酸カルシウム類0.1〜5重量部及び燐系安定剤0.01〜1.0重量部を配合してなることが好ましい。
ここで挙げる抗菌性リン酸カルシウム類はリン酸3カルシウム、Ca10(PO4)6(OH)2で示されるハイドロキシアパタイト又はそのOH基の一部をフッ素若しくはヨウ素で置換したアパタイトのカルシウムイオンの一部を、抗菌性金属イオンで置換して安定化し、且つこれらリン酸カルシウム類の持つ分子構造の細孔内に抗菌性金属イオンが取り込まれている抗菌性リン酸カルシウム類である。ここでいう抗菌性金属イオンは銀、銅及び亜鉛のイオンである。抗菌性リン酸カルシウム類に担持させる抗菌性金属イオン量は、リン酸カルシウム類に対して30重量%以下であり、0.0001〜5重量%が好ましい。抗菌性リン酸カルシウム類の使用量は、樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。使用量が0.1重量部より少ないと充分な抗菌性が得られず、5重量部より多くしても抗菌性はそれ以上向上せず、機械的物性が低下するようになる。
また、燐系安定剤はリン酸、亜リン酸又はホスホン酸のエステル又は部分エステル、アルカリ土類金属塩、亜鉛族金属塩等である。例えばトリメチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、フェニルホスホン酸ジメチルエステル、3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジメチルエステル、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、トリフェニルホスファイト、トリメチルホスファイト、トリクレジルホスファイト、ジフェニルノニルフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ジイソデシルホスファイト、ジラウリルホスファイト、ジオレイルホスファイト、トリス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペナテリスリトールジホスファイト等があげられる。なかでもトリメチルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。燐系安定剤の使用量は、樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.2重量部である。使用量が0.01重量部より少ないと充分な熱安定性が得られず、1.0重量部より多いと樹脂劣化を起こすようになる。