JP6905388B2 - アルミニウム合金 - Google Patents

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Description

本発明は、高温強度と耐摩耗性に優れるアルミニウム合金に関する。
古くから、2000系合金および4000系合金は、高力系の構造用材料や耐熱、耐摩耗用材料として、航空機部材、二輪&四輪、産業機械のコンプレッサー部品、ギア、ねじ、シリンダー、金型等に使用されてきた。しかし、一般的に2000系合金は、高温強度が高いものの、耐摩耗性が低く、一方、4000系合金については、耐摩耗性は十分であるが、高温強度が低いため、使用温度と耐久性に応じて品種を選定せざるを得なかった。現在の高度・複雑化した製品に対し、部品点数を少なくするという面から高温強度と耐摩耗性を両立した汎用的な材料が望まれている。
特許文献1には、2000系合金であって、200℃までの高温強度に優れたアルミニウム合金が開示されているが、250℃では強度が十分でないおそれがあり、また耐摩耗性については考慮されていない。特許文献1は、Mn,Zr,Vを添加しているため、焼入れ感受性が高く、厚肉製品のように、溶体化処理後の焼入れ時において冷却速度が不可避的に低下する場合、母相の硬さが低下し、耐摩耗性が低下する。特許文献2は、2000系合金であって、250℃の高温において高い耐力を発揮するアルミニウム合金を開示するが、この合金も耐摩耗性については考慮されていない。特許文献3には、4000系合金にセラミックス粒子(SiC粒子)を含有し、耐摩耗性、耐熱性並びに熱伝導性に優れたアルミニウム合金が開示されているが、そのようにセラミック粒子を含有するものは、鍛造加工等の加工性が悪い。
特開平7−179977号公報 特開平7−242976号公報 特開2003−119531号公報
本発明は以上に述べた実情に鑑み、250℃の高温強度と耐摩耗性を両立するアルミニウム合金の提供を目的とする。
上記の課題を達成するために請求項記載の発明によるアルミニウム合金は、Si:0.1〜2.0wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:2.0〜6.0wt%、Mg:1.0〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.1wt%であり、残部がAl及び不可避不純物であり、導電率が25.0%IACS以上40.0%IACS以下であることを特徴とする。
請求項記載の発明によるアルミニウム合金は、Si:0.1〜2.0wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:2.5〜6.0wt%、Mg:1.4〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.5wt%であり、残部がAl及び不可避不純物であり、導電率が25.0%IACS以上36.0%IACS以下であることを特徴とする。
請求項記載の発明によるアルミニウム合金は、Si:0.1〜0.7wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:3.0〜6.0wt%、Mg:1.7〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.8wt%であり、残部がAl及び不可避不純物であり、導電率が25.0%IACS以上32.0%IACS以下であることを特徴とする。
請求項記載の発明によるアルミニウム合金は、250℃の高温において120MPa以上の引張強度を有し、摩擦摩耗試験における摩耗深さがJIS2618合金との比で0.8以下となり、高温強度と耐摩耗性を両立できる。
請求項記載の発明によるアルミニウム合金は、250℃の高温において150MPa以上の引張強度を有し、摩擦摩耗試験における摩耗深さがJIS2618合金との比で0.6以下となり、高温強度と耐摩耗性がより優れたものになる。
請求項記載の発明によるアルミニウム合金は、250℃の高温において170MPa以上の引張強度を有し、摩擦摩耗試験における摩耗深さがJIS2618合金との比で0.45以下となり、高温強度と耐摩耗性がさらに優れたものになる。
実施例1〜16及び比較例1,6の250℃での引張強度と摩耗深さを示すグラフである。 摩擦摩耗試験の方法を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明(請求項記載の発明)のアルミニウム合金は、Si:0.1〜2.0wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:2.0〜6.0wt%、Mg:1.0〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.1wt%であり、残部がAl及び不可避不純物であり、導電率が25.0%IACS以上40.0%IACS以下であることを特徴とする。Si、Fe、Cu、Mg、Ni元素は相互に作用し、様々な金属間化合物(晶出物、析出物)を形成する。これらの化合物が高温強度、耐摩耗性の向上に寄与すると考えられる。
Siは、主にAl−Fe(−Ni)−Si、MgSiの化合物を形成する。Al−Fe(−Ni)−Si、MgSiは高温強度及び耐摩耗性の向上に寄与する。Siが0.1wt%未満では効果がなく、2.0wt%より多いとSi系の巨大晶出物が発生し、高温強度と耐摩耗性が低下する。よってSiは、0.1〜2.0wt%としている。
Feは、主にAl−Fe−Ni、Al−Fe−Ni−Cu相が晶出する。Al−Fe−NiとAl−Fe−Ni−Cuは、高温強度及び耐摩耗性の向上に寄与する。Feが1.0wt%未満では効果が小さく、2.0wt%を超えるとFe系の巨大晶出物が発生し、特に高温強度が低下する。よってFeは、1.0〜2.0wt%としている。
Cuは、主にAl−Cu、Al−Cu−Mg相を形成する。Al−Cu及びAl−Cu−Mgは、高温強度と耐摩耗性の向上に寄与する。Cuが2.0wt%未満では効果が小さく、6.0wt%を超えると耐食性が低下する。よってCuは、2.0〜6.0wt%としている。
Mgは、主にAl−Cu−Mg、MgSi相を形成する。Al−Cu−MgとMgSiは、高温強度と耐摩耗性の向上に寄与する。Mgが1.0wt%未満では効果が小さく、3.0wt%を超えると伸びが著しく低下するため、加工が困難になる。よってMgは、1.0〜3.0wt%としている。
Niは、主にAl−Fe−Ni、Al−Fe−Ni−Cu、Al−Fe(−Ni)−Si相が晶出する。Al−Fe−NiとAl−Fe−Ni−Cu、Al−Fe(−Ni)−Siは、高温強度と耐摩耗性の向上に寄与する。Niが3.0wt%を超えるとNi系の巨大晶出物が発生し、高温強度が低下する。よってNiは、3.0wt%以下(0wt%を除く)としている。なおNiは、0.8wt%以下とすることもできる。Niは高価なため少ない方が好ましく、Niを0.8wt%以下とすることでコストを抑えられる。
Tiは、結晶粒を微細化および鋳造時の鋳塊割れを防ぐ働きがある。Tiが0.01%未満では効果が小さく、0.20wt%を超えると巨大晶出物が発生し、強度低下を招く。よってTiは、0.01〜0.2wt%としている。
Si、Fe、Mgは、上述のとおり相互に金属間化合物を形成し、高温強度及び耐摩耗性を向上させる。Si+Fe+Mgが3.1wt%未満では、効果が小さい。よって、Si+Fe+Mg≧3.1wt%とした。
粒界晶出物(Al−Fe−Si、Al−Fe−Ni、Al−Fe−Ni−Cu他)は一般的に母相よりも硬く、これら粒界晶出物の量と、母相の硬さ(つまり、Al−Cu−Mg、MgSiの析出量)との合算により、優れた耐摩耗性がもたらされる。
導電率は、組織内部の析出状態を表す指標として用いることができ、導電率と高温強度及び耐摩耗性との間には、導電率が高いほど高温強度が小さくなり、耐摩耗性が低くなる関係がある。また、導電率と熱伝導率との関係は、導電率が高いほど熱伝導率が高くなる関係にある。導電率が25.0%IACSより小さいと、高温強度と耐摩耗性は満足するが、熱伝導率が小さくなり放熱性が悪くなるので、高温での使用に適さない。導電率が40.0%IACSより大きいと、熱伝導性は良いが、所望の高温強度と耐摩耗性が得られない。よって、導電率は25.0%IACS以上40.0%IACS以下とした。なお、本発明のアルミニウム合金は、鋳造したままで導電率が上記範囲内のものであってもよいし、後述するように均質化処理、T6処理等の熱処理を行った後に導電率が上記範囲内のものであってもよい。
また導電率は、Cu及びMgの含有量と密接な関係があり、Cu及びMgの含有量が多くなると導電率は小さくなる。よって、Cu及びMgの含有量と導電率との組合せを、以下の(1)〜(3)に示すように変化させることで、用途に応じて250℃の高温強度と耐摩耗性を段階的に異ならせた複数の種類のアルミニウム合金を得ることができる。
(1)Cuの含有量を2.0〜6.0wt%で且つMgの含有量を1.0〜3.0wt%とすることで導電率を25.0〜40.0%IACSとする。
(2)Cuの含有量を2.5〜6.0wt%で且つMgの含有量を1.4〜3.0wt%とすることで導電率を25.0〜36.0%IACSとする。
(3)Cuの含有量を3.0〜6.0wt%で且つMgの含有量を1.7〜3.0wt%とすることで導電率を25.0〜32.0%IACSとする。
また、本発明(請求項記載の発明)によるアルミニウム合金は、Si:0.1〜2.0wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:2.5〜6.0wt%、Mg:1.4〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.5wt%であり、残部がAl及び不可避不純物であり、導電率が25.0%IACS以上36.0%IACS以下であることを特徴とする。上述の請求項記載の発明のものとは、Cuの下限値を2.0wt%から2.5wt%に上げたこと、Mgの下限値を1.0wt%から1.4wt%に上げたこと、Si+Fe+Mgの下限値を3.1wt%から3.5wt%に上げたこと、導電率の上限値を40.0%IACSから36.0%IACSに下げた点が異なり、CuやMgの含有量が増えることや導電率が小さくなることで、高温強度と耐摩耗性が向上する。
また、本発明(請求項記載の発明)によるアルミニウム合金は、Si:0.1〜0.7wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:3.0〜6.0wt%、Mg:1.7〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.8wt%であり、残部がAl及び不可避不純物であり、導電率が25.0%IACS以上32.0%IACS以下であることを特徴とする。上述の請求項記載の発明のものとは、Siの上限値を2.0wt%から0.7wt%に下げたこと、Cuの下限値を2.0wt%から3.0wt%に上げたこと、Mgの下限値を1.0wt%から1.7wt%に上げたこと、Si+Fe+Mgの下限値を3.1wt%から3.8wt%に上げたこと、導電率の上限値を40.0%IACSから32.0%IACSに下げたことであり、Siの含有量が減ってCu,Mgの含有量が増えることや導電率が小さくなることで、高温強度と耐摩耗性がさらに向上する。
次に、本発明のアルミニウム合金製品について製作する手順を説明する。まず、上述のような成分組成に調整されたアルミニウム合金溶湯を鋳型に通して連続鋳造し、円柱状のビレットを作成する。連続鋳造は、断熱鋳型方式(例えば、特開2014−37622号公報参照)にて行うのが好ましい。この方式によれば、粒界の晶出物が微細且つ均一に分散するため、耐摩耗性の向上に効果がある。鋳造したビレットは、均質化処理した後、鍛造加工、押出加工等の塑性加工を行って、製品の形に成形する。その後、T6処理等の熱処理が施されて製品となる。あるいは上述の塑性加工を行わず、鋳塊のままT6処理し、切削加工等により製品形状に仕上げてもよい。
アルミニウム合金溶湯の成分組成の調整をするにあたり、CuとMgの含有量を先に記載した(1)〜(3)の範囲のうちから選択し、それに伴い導電率を変化させることで、用途に応じた250℃の高温強度と耐摩耗性を備えたアルミニウム合金を得ることができる。
T6処理は、溶体化処理、焼入れ、時効処理からなるが、溶体化処理は520〜550℃で2〜3時間、時効処理を170〜215℃で6〜20時間行うことが好ましい。このような熱処理を行うことで、先に述べたAl−Cu−Mg等の金属間化合物が析出し、高温強度と耐摩耗性が高められる。なお、一般的な2000系合金の時効処理は、200℃で20時間であるが、上記のように時効処理を低温短時間とすることで、金属間化合物が粗大に析出するのを防ぎ、高温強度及び耐摩耗性の向上に効果がある。また、熱処理時の燃料費を抑えられる効果もある。時効処理は、170〜180℃で9〜15時間行うのがより好ましい。
本発明のアルミニウム合金は、熱処理後の導電率が28.0%IACS以上40.0%IACS以下とすることができる。一般に、均質化処理は連続鋳造時の成分偏析を解消するとともに、晶出物の再固溶を促し、母相中の固溶と析出を調質する。以降の熱処理(ex.T6処理)では母相中の固溶と析出を再度調質し、材料の最終物性を決定する。これらの熱処理の過程で過剰に固溶し、析出が滞ると導電率が低くなる一方、固溶量が減り、過剰に析出すると導電率が高くなるため、導電率は材料物性に寄与する固溶・析出の進行状態を表す指標として用いることができる。
従って、これらの熱処理を施すことで、母相中の固溶と析出を制御することができ、所望の高温強度と耐摩耗性が得られるが請求項1に記載の合金組成の範囲であっても、導電率が外れると両物性は満足しない。具体的には、当該組成範囲において熱処理後の導電率が28.0%IACS以下では析出が十分でなく、導電率が40.0%IACS以上では必要以上に析出が進行している。
なお、ここでいう熱処理にはあらゆる熱処理が含まれ、鋳造後に均質化処理を行った時点で導電率が上記範囲内のものであってもよいし、以降のT6処理等の熱処理を行った時点で導電率が上記範囲内のものであってもよい。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明する。下記表1に示すアルミニウム合金を断熱鋳型方式にて直径108mmに造塊し、500℃で8時間の均質化処理を施した。実施例4,6,7は、請求項の合金成分の範囲内のものである。実施例1,3,5は、請求項の合金成分の範囲内のものである。実施例2,8〜16は、請求項の合金成分の範囲内のものである。これらの実施例は、CuとMgの含有量を先に示した(1)〜(3)の範囲で変化させ、それに伴って導電率を変化させている。
比較例1は、JIS2618合金である。比較例2は、Si+Fe+Mgが3.1wt%未満のものである。比較例3は、Si+Fe+Mgが3.1wt%未満で、且つCuが6.0wt%を超えるものである。比較例4及び5は、Siが2.0wt%を超えるものである。比較例6は、JIS4032合金である。比較例7は、FeとNiとTiが請求項の範囲を超え、Mgが請求項の範囲未満のものである。比較例8は、Feと、Si+Fe+Mgが請求項の範囲未満のものである。比較例9は、Cuが2.0wt%未満のものである。比較例10は、Siが0.1wt%未満のものである。比較例11は、Feが2.0wt%を超えるものである。比較例12は、Mgが3.0wt%を超えるものである。
その後、直径90mmにピーリングし、鍛錬比22.5%で据込み鍛造した(実施例9を除く)。さらに、T6処理をした後、250℃×100時間の熱暴露を行った。実施例9については、鋳塊のままT6処理し、切削加工を行って製品形状に仕上げた。試験は高温引張試験と摩擦摩耗試験を実施し、摩擦摩耗試験はT6処理のものを試験した。
摩擦摩耗試験はピンオンディスク方式で実施した。ピンはSUS420J2焼き戻し材を使用し、ディスクに試験用材料を用いた。試験方法は、湿式環境下(媒液:油、液温120℃)において、図2に示すように、ピンとディスクを接触させ、ピンに一定荷重9N/mmを与えつつ、ディスクを10分間回転させ、試験前と試験後の重量の差を測定し、接触面積で割ることで摩耗深さを算出した。なお、表1中の摩擦摩耗試験の値は、JIS2618合金(比較例1)の摩耗深さを1とした際の摩耗深さである。
また、各試料の導電率を測定した。導電率はT6処理材を用い、据込み材のT断面を切削し、測定した。導電率の測定は、GEインスペクション・テクノロジーズ社のオートシグマ3000を使用して行った。試験結果を表1に示す。図1は、実施例1〜16及び比較例1,6の250℃での引張強度と摩耗深さを示すグラフである。
Figure 0006905388
表1と図1より明らかなように、実施例1〜16は何れも250℃での引張強度がJIS4032合金(比較例6)よりも大きく、且つ耐摩耗性がJIS2618合金(比較例1)よりも優れている。
高温強度と耐摩耗性の評価にあたり、評価点1〜3の段階的な評価点を設定した。評価点1は、250℃での引張強度が120MPa以上で摩擦摩耗試験における摩耗深さがJIS2618合金との比で0.8以下とし、高力系の強度材料として使用できるとともに、使用温度が0〜100℃で、0〜100℃の範囲内の繰返しの熱を受けたり、低圧、低速下の機械的な摺動を伴う機械部品、金型全般に適用できる。具体的な用途の例としては、VTRシリンダーが挙げられる。Si:0.1〜2.0wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:2.0〜6.0wt%、Mg:1.0〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.1wt%であり、導電率が25.0%IACS以上40.0%IACS以下(請求項の範囲)であれば、評価点1の高温強度と耐摩耗性を達成できる。
評価点2は、250℃での引張強度が150MPa以上で摩擦摩耗試験における摩耗深さがJIS2618合金との比で0.6以下とし、同じく高力系の強度材料として使用できるとともに、例えば、100〜200℃の中温度域で中圧且つ高速で摺動を伴う機能部品に適用できる。具体的な用途の例としては、コンプレッサーの部品(ローター、スクロール)、過給機用インペラが挙げられる。Si:0.1〜2.0wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:2.5〜6.0wt%、Mg:1.4〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.5wt%であり、導電率が25.0%IACS以上36.0%IACS以下(請求項の範囲)であれば、評価点2の高温強度と耐摩耗性を達成できる。請求項の範囲と異なるのは、Cuの下限値を2.0wt%から2.5wt%に上げたこと、Mgの下限値を1.0wt%から1.4wt%に上げたこと、Si+Fe+Mgの下限値を3.1wt%から3.5wt%に上げたこと、導電率の上限値を40.0%IACSから36.0%IACSに下げたことであり、CuやMgの含有量が増えることや導電率で小さくなることで、高温強度と耐摩耗性が向上する。
評価点3は、250℃での引張強度が170MPa以上で摩擦摩耗試験における摩耗深さがJIS2618合金との比で0.45以下とし、同じく高力系の強度部材として使用できるとともに、例えば、200〜300℃の高温の温度域で高圧且つ高速の摺動を伴う高機能部品に適用でき、且つ、2000系、4000系合金の用途全般で代替材料として使用できる。具体的な用途の例としては、エンジンのピストンヘッドが挙げられる。Si:0.1〜0.7wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:3.0〜6.0wt%、Mg:1.7〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.8wt%であり、導電率が25.0%IACS以上32.0%IACS以下(請求項の範囲)であれば、評価点3の高温強度と耐摩耗性を達成できる。請求項の範囲と異なるのは、Siの上限値を2.0wt%から0.7wt%に下げたこと、Cuの下限値を2.0wt%から3.0wt%に上げたこと、Mgの下限値を1.0wt%から1.7wt%に上げたこと、Si+Fe+Mgの下限値を3.1wt%から3.8wt%に上げたこと、導電率の上限値を40.0%IACSから32.0%IACSに下げたことであり、Siの含有量が減ってCu,Mgの含有量が増えることや導電率が小さくなることで、高温強度と耐摩耗性がさらに向上する。
実施例2,8〜16は、請求項よりも狭い範囲であるSi:0.1〜0.7wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:3.0〜6.0wt%、Mg:1.7〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%、Si+Fe+Mg≧3.8wt%、導電率25.0%IACS以上32.0%IACS以下(請求項の範囲)を満足するものであり、これによれば評価点3をクリアする。
実施例1,3,5は、請求項よりやや狭い範囲であるSi:0.1〜2.0wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:2.5〜6.0wt%、Mg:1.4〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%、Si+Fe+Mg≧3.5wt%、導電率25.0%IACS以上36.0%IACS以下(請求項の範囲)を満足するものであり、これによれば評価点2をクリアする。
実施例4,6,7は、請求項の範囲、すなわちSi:0.1〜2.0wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:2.0〜6.0wt%、Mg:1.0〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.1wt%、導電率25.0%IACS以上40.0%IACS以下を満足するものであり、これによれば評価点1をクリアする。
導電率が40.0wt%IACSより大きい比較例2,3は、摩擦摩耗試験における摩耗深さがJIS2618合金(比較例1)より大きく、耐摩耗性が低い。Siの含有量が請求項1の範囲を超える比較例4,5,6は、耐摩耗性は優れているが、高温強度が低い。FeとNiとTiが請求項1の範囲を超え、Mgが請求項1の範囲未満である比較例7は、耐摩耗性は優れているが、高温強度が低い。Feと、Si+Fe+Mgが請求項1の範囲未満である比較例8は、耐摩耗性が低い。Cuが2.0wt%未満の比較例9は、高温強度と耐摩耗性が共に低い。Siが0.1wt%未満の比較例10も、高温強度と耐摩耗性が共に低い。Feが2.0wt%を超える比較例11は、鋳造不可であった。Mgが3.0wt%を超える比較例12は、加工不可であった。
以上に述べたように、本発明のアルミニウム合金は、250℃の高温強度と耐摩耗性を両立することができ、しかもCu及びMgの含有量と導電率との組合せを変えることで、用途に応じて250℃の高温強度と耐摩耗性を段階的に異ならせた複数の種類のアルミニウム合金を得ることができる。
また、Si:0.1〜2.0wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:2.0〜6.0wt%、Mg:1.0〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.1wt%であり、導電率が25.0%IACS以上40.0%IACS以下の請求項記載の発明によるアルミニウム合金は、250℃の高温において120MPa以上の引張強度を有し、摩擦摩耗試験における摩耗深さがJIS2618合金との比で0.8以下となり、高温強度と耐摩耗性を両立できる。
さらに、Si:0.1〜2.0wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:2.5〜6.0wt%、Mg:1.4〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%、Si+Fe+Mg≧3.5wt%であり、導電率が25.0%IACS以上36.0%IACS以下の請求項記載の発明によるアルミニウム合金は、250℃での引張強度が150MPa以上で摩擦摩耗試験における摩耗深さがJIS2618合金との比で0.6以下となり、高温強度と耐摩耗性がより優れたものになる。
さらに、Si:0.1〜0.7wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:3.0〜6.0wt%、Mg:1.7〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%、Si+Fe+Mg≧3.8wt%であり、導電率が25.0%IACS以上32.0%IACS以下の請求項記載の発明によるアルミニウム合金は、250℃での引張強度が170MPa以上で摩擦摩耗試験における摩耗深さがJIS2618合金との比で0.45以下となり、高温強度と耐摩耗性がさらに優れたものになる。
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。本発明のアルミニウム合金は、鍛造以外にも押出、圧延等の種々の加工、あるいは鋳塊のまま切削加工を行って(実施例9)、様々な製品とすることができる。

Claims (3)

  1. Si:0.1〜2.0wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:2.0〜6.0wt%、Mg:1.0〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.1wt%であり、残部がAl及び不可避不純物であり、導電率が25.0%IACS以上40.0%IACS以下であることを特徴とするアルミニウム合金。
  2. Si:0.1〜2.0wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:2.5〜6.0wt%、Mg:1.4〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.5wt%であり、残部がAl及び不可避不純物であり、導電率が25.0%IACS以上36.0%IACS以下であることを特徴とするアルミニウム合金。
  3. Si:0.1〜0.7wt%、Fe:1.0〜2.0wt%、Cu:3.0〜6.0wt%、Mg:1.7〜3.0wt%、Ni:3.0wt%以下、Ti:0.01〜0.2wt%を含有し、Si+Fe+Mg≧3.8wt%であり、残部がAl及び不可避不純物であり、導電率が25.0%IACS以上32.0%IACS以下であることを特徴とするアルミニウム合金。
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