以下に説明される本開示に係る実施形態は、本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。
≪実施形態の概要≫
[1]本実施形態の一つの例に係る樹脂注入装置は、溶融樹脂の注入により樹脂が形成される対象の領域である樹脂形成領域を有する鉄心本体を鉄心本体の厚さ方向において挟持するように構成されたモールド金型及び受け型と、所定方向に並ぶ複数のポットで構成されると共に、モールド金型に取り付けられたポット群と、複数のプランジャとを備える。複数のポットのうち各ポットには、複数のプランジャのうち対応するプランジャが挿通可能な貫通孔が設けられている。ポットの熱膨張率はモールド金型の熱膨張率よりも低い。所定方向において隣り合うポット同士は直接対向した状態で互いに近接している。
本実施形態の一つの例に係る樹脂注入装置において、モールド金型には、所定方向に並ぶ複数のポットで構成されたポット群が取り付けられている。当該所定方向において隣り合うポット同士は直接対向した状態で互いに近接している。ポットの熱膨張率はモールド金型の熱膨張率よりも低いので、樹脂注入時の加熱によりポット及びモールド金型が熱膨張することで、ポットとモールド金型との間には隙間が生ずる。一方、ポット及びモールド金型が熱膨張しても、当該所定方向において隣り合うポット同士の近接は維持される。そのため、一のポットは、所定方向において隣り合う他のポットの存在によって姿勢の変化が規制されるので、樹脂注入時の加熱によっても傾き難くなる。従って、モールド金型に対するポットの傾きを抑制することができる。加えて、モールド金型に対するポットの傾きが抑制される結果、ポットとモールド金型との間の隙間に浸入した溶融樹脂によってポットが押されても、モールド金型に対するポットの姿勢が維持されやすい。従って、樹脂流路が隣り合うポット同士を跨ぐように延びる形態又は樹脂流路がポットとモールド金型とを跨ぐように延びる形態を採用しうるので、樹脂流路又はゲート孔の設計の自由度を高めることが可能となる。
[2]上記第1項に記載の樹脂注入装置において、ポット群は複数のポットが環状に並んで構成されていてもよい。
[3]上記第2項に記載の樹脂注入装置において、ポット群のうち鉄心本体との対向面における最大外径は、鉄心本体の最大外径よりも大きく設定されていてもよい。この場合、ポット群の最大外径が鉄心本体の最大外径よりも小さい場合と比較して、鉄心本体とポット群とが対面する領域が広くなる。そのため、ゲート孔を当該領域内に配置しやすくなる。
[4]上記第1項〜第3項のいずれか一項に記載の樹脂注入装置において、所定方向において隣り合うポット同士の対向面は平面状であってもよい。この場合、対向面が平面状であるので、対向面同士を直接対向させた状態で近接させやすい。そのため、隣り合うポット同士を容易に位置決めすることが可能となる。
[5]上記第1項〜第4項のいずれか一項に記載の樹脂注入装置において、所定方向において隣り合うポット同士は、ポットのうち鉄心本体との対向面側の部分である先端部において直接対向した状態で互いに近接しており、モールド金型には、ポット群を収容可能な収容凹部が設けられており、収容凹部に取り付けられた状態のポットの先端部の外周面と収容凹部の内周面とは離間していてもよい。この場合、仮に、ポットとモールド金型とを跨ぐように延びる樹脂流路から溶融樹脂が漏れ出た場合であっても、ポットの先端部の外周面と収容凹部の内周面との間に積極的に形成されたスペースに溶融樹脂が入り込む。そのため、漏れ出た溶融樹脂がこのスペース内に留まる。従って、溶融樹脂の樹脂注入装置の外部への漏出を抑制することができる。
[6]上記第5項に記載の樹脂注入装置は、ポットのうち先端部と基端部との間に位置する固定部が収容凹部に対して嵌合されることで、ポットが収容凹部に取り付けられていてもよい。この場合、ポットの先端部の外周面と収容凹部の内周面との間のスペースに溶融樹脂が浸入したときに、収容凹部に対して嵌合された固定部によって、溶融樹脂の収容凹部へのさらなる浸入が妨げられる。そのため、収容凹部の深くまで浸入した溶融樹脂によってポットが押されて傾くことが抑制される。従って、ポットに対するプランジャの挿抜の際に、ポット又はプランジャの摩耗等を抑制できる。
[7]上記第6項に記載の樹脂注入装置において、収容凹部に取り付けられた状態のポットの基端部の外周面と収容凹部の内周面とは離間していてもよい。この場合、収容凹部にポットを取り付ける際に、ポットの基端部を収容凹部に挿入しやすくなる。そのため、モールド金型に対するポットの取付け作業が容易となるので、メンテナンス性を向上させることができる。
[8]上記第1項〜第7項のいずれか一項に記載の樹脂注入装置は、鉄心本体とモールド金型との間に配置可能なカルプレートをさらに備え、カルプレートには、ポット群とカルプレートとが接触する接触面内に配置されたゲート孔と、ポットから溶融樹脂が吐出される吐出口とゲート孔とを連通する樹脂流路であるランナとが設けられていてもよい。この場合、ゲート孔がポット群とカルプレートとの接触面内に配置されているので、当該接触面内でポットとゲート孔とが連通する。そのため、溶融樹脂がポットからゲート孔まで流通する際に、溶融樹脂がポットとモールド金型との間の隙間を跨ぐことを抑制できる。
[9]上記第1項〜第8項のいずれか一項に記載の樹脂注入装置において、ポットは超硬材により構成されていてもよい。この場合、ポットに対するプランジャの挿抜の際にポットとプランジャとが接触しても、ポットの摩耗等を低減することができる。
[10]上記第1項〜第9項のいずれか一項に記載の樹脂注入装置は、モールド金型に取り付けられたときにモールド金型との間に凹空間を形成する少なくとも一つの挟持部材をさらに備え、挟持部材は、凹空間内にポットの一部が位置した状態で、一部をモールド金型とで挟持可能に構成されており、挟持部材の熱膨張率はポットの熱膨張率よりも高くてもよい。この場合、ポットよりもモールド金型及び挟持部材が熱膨張により膨張しやすい。そのため、仮に、ポットに形成された凹部にモールド金型又は挟持部材の凸部が挿入されている場合には、凸部が凹部内で膨張してポットに応力が作用されたり、モールド金型の膨張により凸部が凹部から抜け出たりする懸念がある。ところが、第10項に記載の樹脂注入装置では、凹空間内にポットの一部が位置した状態であるので、この凹空間において、ポットとモールド金型との間には、隙間が生じやすい。そのため、モールド金型からポットに応力が作用しがたくなり、ポットへの負荷を低減することができる。
[11]上記第10項に記載の樹脂注入装置において、ポットの一部は、ポットの延在方向と交差する方向にポットの外周面から突出するフランジ部であり、凹空間の内部形状はフランジ部の外形に対応していてもよい。この場合、挟持部材とモールド金型とで形成された凹空間にポットの一部が位置した状態で、挟持部材とモールド金型とでポットの一部を挟持する構成を簡易に実現することができる。
[12]上記第10項又は第11項に記載の樹脂注入装置において、少なくとも一つの挟持部材は複数の挟持部材を含んでいてもよい。ポットは一対の挟持部材とモールド金型とで挟持されていてもよい。この場合、一対の挟持部材とモールド金型とでポットの一部が安定して挟持されるので、ポットへの負荷を低減しつつ、モールド金型に対するポットの位置ずれを十分に抑制することが可能となる。
[13]上記第10項〜第12項のいずれか一項に記載の樹脂注入装置において、モールド金型は、モールド金型に対するポットの回転を抑制するように構成された位置決め部を有していてもよい。この場合、位置決め部に沿ってポットが配置される。そのため、各ポットの向きは、位置決め部に応じて一意に定まった状態となる。従って、ポットの配置の際に、隣り合うポット同士が干渉することが抑制される。その結果、ポットの取付け作業を容易に行うことができる。
[14]上記第10項〜第13項のいずれか一項に記載の樹脂注入装置において、ポットから溶融樹脂を吐出させるためにモールド金型が加熱された状態において、ポットのうち鉄心本体との対向面は、モールド金型のうち鉄心本体との対向面と面一であるか、モールド金型よりも受け型側に位置していてもよい。この場合、加熱によってポット及びモールド金型が膨張した状態であっても、溶融樹脂がポットからゲート孔まで流通する際に、溶融樹脂が隙間を跨ぐことが抑制される構成を維持することができる。
[15]本実施形態の他の例に係る鉄心製品の製造方法は、溶融樹脂の注入により樹脂が形成される対象の領域である樹脂形成領域を有する鉄心本体を、モールド金型及び受け型によって鉄心本体の厚さ方向に挟持することと、鉄心本体がモールド金型及び受け型によって鉄心本体の厚さ方向に挟持された状態で、モールド金型に取り付けられた複数のポットのうち各ポット内の溶融樹脂を鉄心本体に向けてプランジャによって押し出すことと、プランジャによって押し出されることにより樹脂形成領域内に注入された溶融樹脂を硬化させることとを含む。モールド金型に取り付けられた複数のポットは、所定方向に並んでポット群を構成している。ポットの熱膨張率はモールド金型の熱膨張率よりも低い。所定方向において隣り合うポット同士は直接対向した状態で互いに近接している。本実施形態の他の例に係る鉄心製品の製造方法によれば、上記第1項に係る樹脂注入装置と同様の作用効果が得られる。
[16]上記第15項に記載の方法において、ポット群は複数のポットが環状に並んで構成されていてもよい。この場合、上記第2項に係る樹脂注入装置と同様の作用効果が得られる。
[17]上記第16項に記載の方法において、ポット群のうち鉄心本体との対向面における最大外径は、鉄心本体の最大外径よりも大きく設定されていてもよい。この場合、上記第3項に係る樹脂注入装置と同様の作用効果が得られる。
[18]上記第15項〜第17項のいずれか一項に記載の方法において、所定方向において隣り合うポット同士は、ポットのうち鉄心本体との対向面側の部分である先端部において直接対向した状態で互いに近接していてもよい。モールド金型には、ポット群を収容可能な収容凹部が設けられていてもよい。収容凹部に取り付けられた状態のポットの先端部の外周面と収容凹部の内周面とは離間していてもよい。この場合、上記第5項に係る樹脂注入装置と同様の作用効果が得られる。
[19]上記第15項〜第18項のいずれか一項に記載の方法は、鉄心本体をモールド金型及び受け型によって鉄心本体の厚さ方向に挟持することの前に、鉄心本体とモールド金型との間にカルプレートを配置することをさらに含んでいてもよい。カルプレートには、ポット群とカルプレートとが接触する接触面内に配置されたゲート孔と、ポットから溶融樹脂が吐出される吐出口とゲート孔とを連通する樹脂流路であるランナとが設けられていてもよい。この場合、上記第8項に係る樹脂注入装置と同様の作用効果が得られる。
[20]上記第15〜第19項のいずれか一項に記載の方法は、鉄心本体をモールド金型及び受け型によって鉄心本体の厚さ方向に挟持することの前に、モールド金型と挟持部材との間に形成される凹空間内にポットの一部が位置するように、一部をモールド金型と挟持部材とで挟持して、モールド金型に複数のポットを取り付けることを含み、挟持部材の熱膨張率はポットの熱膨張率よりも高くてよい。この場合、上記第10項に係る樹脂注入装置と同様の作用効果が得られる。
[21]上記第20項に記載の方法において、ポットの一部は、ポットの延在方向と交差する方向にポットの外周面から突出するフランジ部であってもよい。凹空間の内部形状はフランジ部の外形に対応していてもよい。この場合、上記第11項に係る樹脂注入装置と同様の作用効果が得られる。
[22]上記第20項又は第21項に記載の方法において、挟持部材は複数の挟持部材を含み、モールド金型に複数のポットを取り付けることにおいて、一対の挟持部材とモールド金型とでポットの一部が挟持されてもよい。この場合、上記第12項に係る樹脂注入装置と同様の作用効果が得られる。
[23]上記第20項〜第22項のいずれか一項に記載の方法は、モールド金型に複数のポットを取り付けることの前に、モールド金型に対するポットの回転を抑制するように構成された位置決め部をモールド金型に取り付けることを含んでもよい。この場合、上記第13項に係る樹脂注入装置と同様の作用効果が得られる。
[24]上記第20項〜第23項のいずれか一項に記載の方法は、モールド金型に取り付けられた複数のポットのうち各ポット内の溶融樹脂を鉄心本体に向けてプランジャによって押し出すことにおいて、モールド金型が加熱されており、モールド金型が加熱された状態において、ポットのうち鉄心本体との対向面は、モールド金型のうち鉄心本体との対向面と面一であるか、モールド金型よりも受け型側に位置していてもよい。この場合、上記第14項に係る樹脂注入装置と同様の作用効果が得られる。
≪実施形態の例示≫
以下、本開示に係る実施形態の一例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一の要素又は同一の機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
<第1実施形態>
〔鉄心製品の構成〕
まず、図1を参照して、鉄心製品の一例である回転子積層鉄心1の構成について説明する。回転子積層鉄心1は、モータ(電動機)の回転子の一部である。回転子は、回転子積層鉄心1に端面板及びシャフト(共に図示せず)が取り付けられて構成される。回転子積層鉄心1は、鉄心本体12と、永久磁石3と、樹脂材料4(樹脂)とを備えている(永久磁石3及び樹脂材料4については、図5参照)。
鉄心本体12は、円筒状を呈している。鉄心本体12の中央部には、当該鉄心本体12の中心軸に沿って延びるように鉄心本体12を貫通する軸孔13が形成されている。鉄心本体12は、当該鉄心本体12の中心軸に沿った方向からみて(すなわち平面視して)、環状を呈している。軸孔13内には、シャフトが挿通される。
鉄心本体12は、当該鉄心本体12の中心軸に沿って複数の打抜部材10が積層された積層体である。打抜部材10は、帯状の金属板(例えば、電磁鋼板、アモルファス金属板等)が所定形状に打ち抜かれた板状体である。打抜部材10は、1枚の条材を打ち抜いて形成されていてもよいし、複数枚(例えば、2枚又は3枚以上)の条材を重ねた状態で打ち抜いて形成されていてもよい。打抜部材10の厚みは、例えば、0.10mm〜0.5mm程度であってもよい。
打抜部材10は、鉄心本体12に対応する形状を呈している。本実施形態では、打抜部材10は環状を呈している。打抜部材10は、例えば、円弧状を呈する複数の鉄心片部に分割可能な分割構造であってもよいし、分割されていない一体構造であってもよい。
なお、鉄心本体12は、複数のブロック体が積層された積層体であってもよい。ブロック体は、複数の打抜部材10が積層されてなる。鉄心本体12は、複数のブロック鉄心が転積されて形成されていてもよい。複数のブロック鉄心のうちの全てのブロック鉄心が同一形状を呈していてもよいし、複数のブロック鉄心のうちの一部のブロック鉄心の形状が他のブロック鉄心の形状と異なっていてもよい。
鉄心本体12の積層方向(以下、単に「積層方向」という。)において隣り合う打抜部材10同士は、例えば、カシメ14(図5参照)によって互いに接合(締結)されていてもよい。打抜部材10同士の接合手法は、カシメ14による接合に限定されない。例えば、打抜部材10同士は、接着剤を用いて互いに接合されていてもよいし、互いに溶接されていてもよいし、樹脂材料を用いて互いに接合されていてもよい。
打抜部材10同士が樹脂材料を用いて互いに接合される場合には、例えば、鉄心本体12の積層方向に貫通するように鉄心本体12に設けられた結合孔(樹脂形成領域)内に樹脂材料を充填することによって、積層方向に隣り合う打抜部材10同士を互いに接合してもよい。当該樹脂材料としては、後述の樹脂材料4と同様であってもよい。また、打抜部材10同士の接合手法は、カシメ14による接合、接着剤による接合、溶接、樹脂による接合のうちのいずれか2以上を併用したものであってもよい。
鉄心本体12には、複数の磁石挿入孔11が形成されている。図1に示されるように、複数の磁石挿入孔11は、鉄心本体12の外周縁に沿って所定間隔で並んでいる。複数の磁石挿入孔11のそれぞれは、例えば、長孔形状を呈している。複数の磁石挿入孔11のうち一部の磁石挿入孔11は、鉄心本体12の外周縁に沿って延びている。複数の磁石挿入孔11のうち残部の磁石挿入孔11は、鉄心本体12の径方向に沿って延びている。磁石挿入孔11は、積層方向に沿って延びると共に、鉄心本体12を貫通している。磁石挿入孔11の数、位置、及び形状は、モータの用途、要求される性能などに応じて変更してもよい。
永久磁石3は、各磁石挿入孔11に挿入されている。磁石挿入孔11には、一つの永久磁石3が挿入されていてもよいし、複数の永久磁石3が挿入されていてもよい。永久磁石3は、磁石挿入孔11内において、積層方向に複数並んでいてもよいし、鉄心本体12の周方向に複数並んでいてもよいし、径方向に複数並んでいてもよい。永久磁石3の種類は、モータの用途、要求される性能などに応じて決定すればよく、例えば、焼結磁石であってもよいし、ボンド磁石であってもよい。
樹脂材料4は、永久磁石3が挿入された磁石挿入孔11内に充填されている。樹脂材料4は、溶融樹脂が硬化してなる。樹脂材料4は、永久磁石3を磁石挿入孔11内に固定する機能と、積層方向(上下方向)で隣り合う打抜部材10同士を接合する機能とを有している。従って、磁石挿入孔11は、溶融樹脂の注入により樹脂材料4が形成される対象の領域(樹脂形成領域)でもある。
樹脂材料4としては、溶融状態において磁石挿入孔11内に注入可能であれば特に限定されず、熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可撓性樹脂であってもよい。
〔樹脂注入装置の構成〕
続いて、図1〜図4を参照し、樹脂注入装置5について説明する。樹脂注入装置5は、鉄心本体12の磁石挿入孔11への溶融樹脂の注入を実施する装置である。樹脂注入装置5は、受け型20と、カルプレート21と、モールド金型23と、ポット群29と、複数のプランジャ46とを備えている(受け型20及びプランジャ46については、図5参照)。
受け型20は押圧型を構成する。受け型20は、台座45と、挿通ポスト47とを含む。台座45は、略矩形状を呈する板状体であり、鉄心本体12が載置される。挿通ポスト47は、台座45の略中央部に位置しており、台座45の上面から上方に向けて突出している。挿通ポスト47は、円柱形状を呈しており、軸孔13に対応する外形を有する。本実施形態において、受け型20は、下方に位置しており、下型として機能する。受け型20には、例えばヒータ(加熱手段)が内蔵されている。
カルプレート21は、鉄心本体12とモールド金型23との間に配置可能である。本実施形態において、カルプレート21は、モールド金型23における鉄心本体12との対向面49(溶融樹脂の吐出側の面)上に配置されている。カルプレート21は、金属製の板状部材であって、例えば、ステンレス板又は鋼板である。カルプレート21には、複数のゲート孔30と、複数のランナ50(図5参照)とが設けられている。
複数のゲート孔30は、図1に示されるように、鉄心本体12の複数の磁石挿入孔11に対応して、鉄心本体12の外周縁に沿って所定間隔で並んでいる。ゲート孔30は、カルプレート21のうちポット群29とカルプレート21とが接触する接触面51内に配置されている(図5参照)。ランナ50は、後述するポット22から溶融樹脂が吐出される吐出口とゲート孔30とを連通する樹脂流路である。ランナ50は、接触面51内において延びている。ランナ50は、1つの吐出口と1つのゲート孔30とを接続していてもよいし、1つの吐出口と複数のゲート孔30とを接続していてもよい。
モールド金型23は、樹脂注入型を構成しており、受け型20と共にモールド手段として機能する。すなわち、モールド金型23は、受け型20と共に鉄心本体12を積層方向(鉄心本体12の厚さ方向)において挟持する。本実施形態において、モールド金型23は、上方に位置しており、ポット群29と共に上型として機能する。モールド金型23には、例えばヒータ(加熱手段)が内蔵されている。
モールド金型23は、鋼(例えば、普通鋼、炭素鋼等)製である。図3及び図4に示されるように、モールド金型23は、キャビティプレート34と、取り付け台35とを有している。キャビティプレート34は、例えばボルト(図示せず)によって取り付け台35に取り付けられている。キャビティプレート34は、取り付け台35よりも鉄心本体12側に位置している。キャビティプレート34は、積層方向(上下方向)において取り付け台35から分離可能である。
図1、図3及び図4に示されるように、モールド金型23には、モールド金型23を積層方向に貫通する収容凹部48が設けられている。収容凹部48は、ポット群29を収容可能に構成されている。収容凹部48の詳細については後述する。
ポット群29は、モールド金型23に取り付けられている。図1及び図4に示されるように、ポット群29は、環状に並ぶ複数(例えば、8個)のポット22で構成されている。複数のポット22は、樹脂注入装置5に鉄心本体12が設置された状態において、上方から見て鉄心本体12の周方向(所定方向)に沿って並んでいる。隣り合うポット22同士は直接対向した状態で互いに近接している。なお、隣り合うポット22同士が互いに近接した状態とは、隣り合うポット22同士が互いに当接した状態と、製造上の交差等の存在により、隣り合うポット22同士が当接せずに僅かな間隔をおいて配置された状態との双方を含む。
ポット群29の先端は、カルプレート21を介して鉄心本体12と対面している(図5参照)。図1に示されるように、ポット群29のうち鉄心本体12との対向面49における最大外径Wは、鉄心本体12の最大外径(直径)Dよりも大きく設定されている。最大外径Wは、例えば、鉄心本体12の最大外径Dの1.01倍〜1.3倍程度であってもよい。最大外径Wは、カルプレート21の外径よりも大きく設定されていてもよい。対向面49のうち鉄心本体12と対面する領域の面積は、例えば、鉄心本体12の端面の面積に対して50%以上であってもよいし、70%以上であってもよい。
ポット22の熱膨張率は、モールド金型23の熱膨張率よりも低い。ポット22は、超硬材により構成されている。ポット22を構成する超硬材の硬さとしては、例えば、ロックウェル硬さが80HRA以上であってもよいし、80HRA〜100HRA程度であってもよい。ポット22を構成する超硬材の材質は、例えば、炭化タングステンであってもよいし、これに類似する合金であってもよい。
複数のポット22は、同一形状を呈している。各ポット22は、例えば、積層方向に沿って延在する筒状(略円筒状)を呈している。各ポット22には、複数のプランジャ46のうち対応する一つのプランジャ46が挿通可能な貫通孔24が設けられている。貫通孔24は、各ポット22の軸心方向に貫通して形成されている。貫通孔24は、粒状(固形)の樹脂ペレットが装入される空間である。樹脂ペレットは、加熱されて溶融樹脂となり、プランジャ46によって貫通孔24内から鉄心本体12側へ押し出され、鉄心本体12の磁石挿入孔11に注入される。
ポット22は、図2及び図3に示されるように、先端部25(樹脂供給部)、固定部26及び基端部27(挿通部)を有している。先端部25、固定部26及び基端部27は、この順に一列に並ぶと共に、この順にこれらの幅が段階的に小さくなるように構成されている。
先端部25は、ポット群29が収容凹部48に収容された状態において、鉄心本体12側に位置している。そのため、先端部25の端面は、ポット群29の対向面49の一部を構成している。図1に示されるように、一のポット22の先端部25は、隣り合う他のポット22の先端部25と直接対向した状態で近接している。具体的には、先端部25は一対の対向面28を有している。一対の対向面28は、先端部25の両側においてそれぞれ隣り合う他のポット22の対向面28と直接対向した状態で近接している。なお、図1では、隣り合うポット22同士の対向面28が互いに当接した状態を示しているが、隣り合うポット22同士の対向面28のうちの少なくとも一部が互いに当接していてもよいし、隣り合うポット22同士の対向面28が僅かな間隔をおいて配置されていてもよい。本実施形態において、対向面28は平面状である。すなわち、先端部25は、積層方向からみて、略円弧状を呈する部分と、各対向面28を構成する一対の直線部分とを有している。積層方向からみて一対の直線部分(一対の平面)のなす角θは、環状に配置されるポット22の個数がN個の場合、360/N(°)である。
固定部26は、先端部25と基端部27との間に位置している。固定部26は、先端部25よりも縮幅(縮径)した円筒状を呈している。ポット22の先端部25と固定部26との境界には、段差(面)43が形成されている。基端部27は、固定部26よりもさらに縮幅(縮径)した円筒状を呈している。
複数のプランジャ46のそれぞれは、複数のポット22の貫通孔24のそれぞれに対応して配置されている。すなわち、プランジャ46は貫通孔24と同数である。本実施形態では、プランジャ46及び貫通孔24は共に8個である。各プランジャ46は、対応するポット22の貫通孔24内の溶融樹脂を鉄心本体12側に押し出す。各プランジャ46は、対応するポット22の貫通孔24内を駆動源(例えば、シリンダ、ジャッキ等)によって上下動可能に設けられている。
続いて、上述した収容凹部48について詳細に説明する。図1、図2及び図4に示されるように、収容凹部48は、一つのポスト収容部52と、複数の先端収容部31(収納部)と、複数の固定孔32(位置決め孔)と、複数の基端収容部33(挿通孔)とを有している。
ポスト収容部52は、キャビティプレート34の略中央部において、キャビティプレート34を貫通するように形成されている。ポスト収容部52は、挿通ポスト47を収容可能に構成されている。そのため、ポスト収容部52は、積層方向からみて円形状を呈している。
先端収容部31、固定孔32、及び基端収容部33は、対向面49側から裏面側へかけて、この順で連接されている。複数のポット22は、収容凹部48に収容された状態で、収容凹部48に取り付けらえている。
先端収容部31は、キャビティプレート34に形成されている。そのため、先端収容部31は、モールド金型23の対向面49側(溶融樹脂の吐出側)に位置している。複数の先端収容部31は、ポスト収容部52を取り囲むように環状に連なっている。隣り合う先端収容部31同士は互いに連通している。そのため、複数の先端収容部31は全体としてひとまとまりの凹部を構成している。各先端収容部31はそれぞれ、対応する一つのポット22の先端部25を収容可能に構成されている。各先端収容部31は、各ポット22の先端部25に対応する形状(円形状)を呈している。
収容凹部48にポット22が取り付けられた状態において、先端部25の外周面36,39と先端収容部31の内周面37,40とは離間している。具体的には、先端収容部31は、ポット22の先端部25との間にスペース38,41をあけてポット22の先端部25を収容している。スペース38は、先端収容部31のうち内側(ポスト収容部52側)に位置する内周面37(内側内周面)と、各先端部25のうち内周面37に対面する外周面36(内側外周面)との間に設けられた空間である。スペース41は、先端収容部31のうち外側(ポスト収容部52とは反対側)に位置する内周面40(外側内周面)と、各先端部25のうち内周面40に対面する外周面39(外側外周面)との間に設けられた空間である。スペース38,41の各幅S1,S2は、例えば、0.5mm以上3.0mm以下であってもよい。各幅S1,S2の下限は1.0mmであってもよい。各幅S1,S2の上限は2.0mmであってもよい。スペース38,41の深さdは、例えば、5mm以上20mm以下であってもよい。
固定孔32は、キャビティプレート34に形成されている。固定孔32は、先端収容部31と基端収容部33との間に位置している。複数(ポット22と同数であって、ここでは、8個)の固定孔32のそれぞれは、複数のポット22のそれぞれの固定部26と嵌合可能に構成されている。固定孔32はポット22の固定部26と同数である。本実施形態では、固定孔32は8個である。各固定孔32は断面円形状を呈している。図4に示されるように、平面視において、一つの固定孔32は一つの先端収容部31よりも小さい。これにより、先端収容部31と固定孔32との境界には段差(面)42が形成されている。この段差42には、ポット22の段差43が当接する。
この固定孔32において、ポット22のうち固定部26が収容凹部48に対して固定(嵌合)されることで、ポット22が収容凹部48に取り付けられている。固定部26は、固定孔32に対して、例えば焼き嵌めによって固定されている。なお、固定孔32に対する固定部26の固定手法は、例えば、焼き嵌めであってもよいし、接着剤による接着であってもよいし、リテーナを用いた固定方式であってもよいし、これらのいずれか2以上を併用したものであってもよい。
基端収容部33は、取り付け台35に形成されている。基端収容部33は、モールド金型23において、対向面49の逆側の裏面側(粒状の樹脂の供給側)に位置している。複数の基端収容部33のそれぞれは、複数のポット22のそれぞれの基端部27を収容可能に構成されている。すなわち、基端収容部33は基端部27(ポット22)と同数である。本実施形態では、基端収容部33は8個である。各基端収容部33は断面円形を呈している。基端収容部33の内径は、基端部27の外径よりも大きい。例えば、図3に示されるように、基端収容部33の内径と固定孔32の内径とが同じであり、ポット22の基端部27の外径が固定部26の外径よりも小さい構成であってもよいし、基端収容部33の内径が固定孔32の内径よりも大きく、ポット22の基端部27の外径と固定部26の外径とが同じ構成であってもよい。このような構成により、基端収容部33にポット22の基端部27が挿入された場合、基端部27は基端収容部33に対し、間隔44をあけて配置される。すなわち、収容凹部48に取り付けられた状態のポット22の基端部27の外周面と収容凹部48の内周面とは離間している。
〔回転子積層鉄心の製造方法〕
続いて、第1実施形態に係る回転子積層鉄心1の製造方法について、図1及び図3を参照しながら説明する。まず、金型(図示せず)を用いて帯状の金属板から打ち抜いた複数の打抜部材10を順次積層し、鉄心本体12を得る(第1の工程)。このとき、複数の打抜部材10同士は、カシメ14によって接合されていてもよいし、接着剤により接着されていてもよいし、溶接されていてもよいし、樹脂材料により接合されていてもよいし、これらの少なくとも二つ以上の組合せにより接合されていてもよい。複数の打抜部材10同士は、この時点で互いに接合されていなくてもよい。この場合、例えば、載置台上に、複数の打抜部材10を位置決めしつつ積層することによって、ひとまとまりの鉄心本体12が得られる。次に、鉄心本体12の各磁石挿入孔11に、永久磁石3(図5参照)を挿入する。永久磁石3は、着磁されていなくてもよいし、着磁済みであってもよい。
次に、製造された鉄心本体12上にカルプレート21を載置する(第2の工程)。その状態で、鉄心本体12とカルプレート21とを、樹脂材料4の種類等に応じて、所定の温度(例えば、160℃〜185℃程度)に加熱する(第3の工程)。これにより、カルプレート21と鉄心本体12とを流れる溶融樹脂の流動性を維持でき、安定した樹脂の注入ができる。加熱方法は、特に限定されるものではなく、例えば、気体(熱風)やヒータ等を使用してよい。なお、鉄心本体12は、カルプレート21より低い温度(例えば、60℃〜100℃程度)に加熱されてもよい。この場合、鉄心本体12の加熱時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
次に、樹脂注入装置5を準備する(第4の工程)。すなわち、モールド金型23に複数のポット22を取り付ける。具体的には、まず、キャビティプレート34の固定孔32にポット22の固定部26を焼き嵌めする。続いて、取り付け台35にキャビティプレート34を取り付ける。取り付け台35とキャビティプレート34とは、例えば、ボルトを介して接続されてもよい。
樹脂注入装置5の準備(第4の工程)は、鉄心本体12を樹脂注入装置5にセットする前までに完了していればよい。すなわち、第4の工程は、第1の工程の前に行われてもよいし、第2の工程の前に行われてもよいし、第3の工程の前に行われてもよいし、第3の工程の後に行われてもよいし、第1〜第3の工程の少なくとも一つの工程と並行して行われてもよいし、第1〜第3の工程のうち連続する二以上の工程と並行して行われてもよい。
次に、鉄心本体12を樹脂注入装置5にセットする(第5の工程)。具体的には、まず、軸孔13内に挿通ポスト47を挿通した状態で、鉄心本体12を台座45上に載置する。続いて、鉄心本体12を、モールド金型23及び受け型20によって積層方向に挟持(圧締め)する。このとき、モールド金型23Aは、ヒータによって加熱された状態となっている。
次に、鉄心本体12を挟持した状態で、複数のポット22のうち各ポット22内の溶融樹脂を鉄心本体12に向けてプランジャ46によって押し出す(第6の工程)。具体的には、ポット22内に配置された樹脂ペレットを加熱して溶融状態とし、この溶融状態の樹脂(溶融樹脂)をプランジャ46により押下してポット22の吐出口から押し出す。これにより、溶融樹脂は、カルプレート21のランナ50及びゲート孔30を順次流通して、磁石挿入孔11内に注入される。その後、磁石挿入孔11内に注入された溶融樹脂が硬化すると、磁石挿入孔11内に樹脂材料4が充填された状態となる。こうして、回転子積層鉄心1が製造される。
次に、プランジャ46及び上型(モールド金型23及びポット群29)を上昇させ、回転子積層鉄心1を樹脂注入装置5から取り外す。モールド金型23からポット22を取り外す場合は、取り付け台35からキャビティプレート34を分離した後、キャビティプレート34からポット22を取り外す。
次に、回転子積層鉄心1からカルプレート21を取り外し、棒材等を用いてゲート孔30内に残った不要な硬化物(カル)を除去する。カルが除去されたカルプレート21は、他の鉄心本体12に対する樹脂注入に繰り返し使用される。除去されたカルは、例えば、廃棄されてもよいし、破砕後にリサイクルされてもよい。
〔作用〕
以上、本実施形態では、モールド金型23には、所定方向に並ぶ複数のポット22で構成されたポット群29が取り付けられている。複数のポット22が並ぶ方向において隣り合うポット22同士は直接対向した状態で互いに近接している。ポット22の熱膨張率はモールド金型23の熱膨張率よりも低いので、樹脂注入時の加熱によりポット22及びモールド金型23が熱膨張することで、ポット22とモールド金型23との間には隙間が生ずる。一方、ポット22及びモールド金型23が熱膨張しても、複数のポット22が並ぶ方向において隣り合うポット22同士の近接は維持される。そのため、一のポット22は、複数のポット22が並ぶ方向において隣り合う他のポット22の存在によって姿勢の変化が規制される。従って、モールド金型23に対するポット22の傾きを抑制することができる。その結果、ポット22にプランジャ46が挿抜されることによりプランジャ46とポット22との間に生ずる摩耗等が抑制され、プランジャ46及びポット22の交換頻度が低減される。以上より、ポット22又はプランジャ46の交換のために樹脂注入装置5を停止させる回数が減り、生産性を向上させることが可能となる。
ところで近年、鉄心本体12における磁石挿入孔11の位置が多様化している。これに伴い、特許文献1に記載の樹脂充填装置において、ポットから溶融樹脂が吐出される吐出口とゲート孔とを連通するランナが、ポットとモールド金型とを跨ぐように延びる場合も考えられる。しかしながら、ポットとモールド金型との間に生ずる隙間に溶融樹脂が浸入すると、溶融樹脂によってポットが押されることでポットが傾いてしまう懸念がある。そのため、特許文献1に記載の樹脂充填装置においては、溶融樹脂が当該隙間に浸入しないような位置にゲート孔を配置するという設計上の制約があった。
しかしながら、本実施形態の樹脂注入装置5によれば、モールド金型23に対するポット22の傾きが抑制される。そのため、ポット22とモールド金型23との間の隙間に浸入した溶融樹脂によってポット22が押されても、モールド金型23に対するポット22の姿勢が維持されやすい。従って、ランナ50が隣り合うポット22同士を跨ぐように延びる形態又はランナ50がポット22とモールド金型23とを跨ぐように延びる形態を採用しうるので、ランナ50又はゲート孔30の設計の自由度を高めることが可能となる。
本実施形態では、ポット群29のうち鉄心本体12との対向面49における最大外径Wは、鉄心本体12の最大外径Dよりも大きく設定されている。そのため、ポット群29の最大外径Wが鉄心本体12の最大外径Dよりも小さい場合と比較して、鉄心本体12とポット群29とが対面する領域が広くなる。そのため、ゲート孔30を当該領域内に配置しやすくなる。
本実施形態では、鉄心本体12の周方向において隣り合うポット22同士の対向面28は平面状である。このように、対向面28が平面状であるので、対向面28同士を直接対向させた状態で近接させやすい。そのため、隣り合うポット22同士を容易に位置決めすることが可能となる。
本実施形態では、複数のポット22が並ぶ方向において隣り合うポット22同士は、ポット22のうち鉄心本体12との対向面49側の部分である先端部25において直接対向した状態で互いに近接しており、モールド金型23には、ポット群29を収容可能な収容凹部48が設けられており、収容凹部48に取り付けられた状態のポット22の先端部25の外周面36,39と収容凹部48の内周面37,40とは離間している。そのため、仮に、ポット22とモールド金型23とを跨ぐように延びるランナ50から溶融樹脂が漏れ出た場合であっても、ポット22の先端部25の外周面36,39と収容凹部48の内周面37,40との間に積極的に形成されたスペース38,41に溶融樹脂が入り込む。従って、漏れ出た溶融樹脂がこのスペース38,41内に留まる。従って、溶融樹脂の樹脂注入装置5の外部への漏出を抑制することができる。
本実施形態では、ポット22のうち先端部25と基端部27との間に位置する固定部26が収容凹部48に対して嵌合されることで、ポット22が収容凹部48に取り付けられている。これにより、ポット22の先端部25の外周面36,39と収容凹部48の内周面37,40との間のスペース38,41に溶融樹脂が浸入したときに、収容凹部48に対して嵌合された固定部26によって、溶融樹脂の収容凹部48へのさらなる浸入が妨げられる。そのため、収容凹部48の深くまで浸入した溶融樹脂によってポット22が押されて傾くことが抑制される。従って、ポット22に対するプランジャ46の挿抜の際に、ポット22又はプランジャ46の摩耗等が抑制できる。また、固定部26によって、収容凹部48の深くまで溶融樹脂が浸入することが妨げられるため、浸入した溶融樹脂を除去しやすい。従って、メンテナンス性を向上させることができる。
本実施形態では、収容凹部48に取り付けられた状態のポット22の基端部27の外周面と収容凹部48の内周面とは離間している。そのため、収容凹部48にポット22を取り付ける際に、ポット22の基端部27を収容凹部48に挿入しやすくなる。従って、モールド金型23に対するポット22の取付け作業が容易となるので、メンテナンス性を一層向上させることができる。
本実施形態では、鉄心本体12とモールド金型23との間にカルプレート21が配置されている。カルプレート21には、ポット群29とカルプレート21とが接触する接触面51内に配置されたゲート孔30と、ポット22から溶融樹脂が吐出される吐出口とゲート孔30とを連通する樹脂流路であるランナ50とが設けられている。ゲート孔30がポット群29とカルプレート21との接触面51内に配置されているので、当該接触面51内でポット22とゲート孔30とが連通する。そのため、溶融樹脂がポット22からゲート孔30まで流通する際に、溶融樹脂がポット22とモールド金型23との間の隙間を跨ぐことを抑制できる。
本実施形態では、ポット22は超硬材により構成されている。そのため、ポット22に対するプランジャ46の挿抜の際に、ポット22とプランジャ46とが接触しても、ポット22の摩耗等を低減することができる。
<第2実施形態>
〔樹脂注入装置〕
次に、図5〜図8を参照し、第2実施形態に係る樹脂注入装置5Aについて説明する。樹脂注入装置5Aは、モールド金型23に代えてモールド金型23Aを備えている点、ポット群29に代えてポット群29Aを備えている点、及び、挟持部材60と位置決め部70とをさらに備えている点において、樹脂注入装置5と相違しており、その他の構成において樹脂注入装置5と同様である。モールド金型23Aには、モールド金型23の収容凹部48に代えてポット群29Aを収容可能な収容凹部48Aが設けられている。以下では、主に相違点について説明する。
まず、ポット群29Aについて詳細に説明する。図5及び図6に示されるように、ポット群29Aは、ポット群29の場合と同様に、鉄心本体12の周方向(所定方向)に沿って環状に並ぶ複数(例えば、8個)のポット22Aで構成されている。複数のポット22Aは、樹脂注入装置5Aに鉄心本体12が設置された状態において、上方から見て鉄心本体12の周方向(所定方向)に沿って並んでいる。隣り合うポット22A同士は直接対向した状態で互いに近接している。
ポット22Aは、ポット22の先端部25に代えて先端部25Aを有している。先端部25Aは、ポット群29Aが収容凹部48Aに収容された状態において、鉄心本体12側に位置している。そのため、先端部25Aの端面は、ポット群29Aの対向面49Aの一部を構成している。
図6に示されるように、一のポット22Aの先端部25Aは、隣り合う他のポット22Aの先端部25Aと直接対向した状態で近接している。具体的には、先端部25Aは一対の対向面28Aを有している。一対の対向面28Aは、先端部25Aの両側においてそれぞれ隣り合う他のポット22の対向面28Aと直接対向した状態で近接している。なお、図6では、隣り合うポット22A同士の対向面28Aが互いに当接した状態を示しているが、隣り合うポット22A同士の対向面28Aのうちの少なくとも一部が互いに当接していてもよいし、隣り合うポット22A同士の対向面28Aが僅かな間隔をおいて配置されていてもよい。本実施形態において、対向面28Aは平面状である。
図7に示されるように、先端部25Aは、鉄心本体12の径方向における両側に、内壁面36A及び外壁面39Aを有している。本実施形態において、内壁面36A及び外壁面39Aは、平面状である。内壁面36A及び外壁面39Aは、例えば、互いに平行である。
先端部25Aは、本体部54と、ポット22Aの延在方向と交差する方向にポット22Aの外周面(内壁面36A及び外壁面39A)から突出するフランジ部55,56(一部)とを含む。フランジ部55は、本体部54の内壁面36Aの一部から矩形状に張り出している。フランジ部56は、本体部54の外壁面39Aの一部から矩形状に張り出している。フランジ部55は、内壁面36Aのうち固定部26寄りに形成されている。フランジ部56は、外壁面39Aのうち固定部26寄りに形成されている。本体部54は、内壁面36A及び外壁面39Aとで階段状を呈している。
続けて、収容凹部48Aについて詳細に説明する。収容凹部48Aは、図5及び図6に示されるように、収容凹部48の複数の先端収容部31に代えて複数の先端収容部31Aを有しており、収容凹部48の複数の固定孔32に代えて複数の固定孔32Aを有している。
先端収容部31Aは、キャビティプレート34に形成されている。複数の先端収容部31Aのそれぞれは、複数のポット22Aのそれぞれの先端部25Aを収容可能に構成されている。すなわち、先端収容部31Aはポット22Aの先端部25Aと同数である。本実施形態では、先端収容部31Aは8個である。各先端収容部31Aのそれぞれは、先端部25Aの外壁面39A側に挟持部材60を配置させる配置部61を有している。複数の先端収容部31Aは、複数の先端収容部31と同様に、環状に連接されている。複数の先端収容部31Aに各先端部25Aが収容された状態で、複数の先端部25Aのフランジ部55及び取り付け台35とで囲まれた領域は、位置決め部70を配置させる配置領域53を構成する。
固定孔32Aは、キャビティプレート34ではなく、取り付け台35に形成されている点において固定孔32と相違している。固定孔32Aのその他の構成は固定孔32と同様である。
挟持部材60は、モールド金型23Aに取り付けられたときにモールド金型23Aとの間に凹空間62を形成する。凹空間62の内部形状は、フランジ部55,56の外形に対応している。挟持部材60は、凹空間62内にポット22Aのフランジ部55,56が位置した状態で、フランジ部55,56をモールド金型23とで挟持可能に構成されている。
挟持部材60は、一つの内側挟持部材63と、複数(ポット22Aと同数であって、ここでは、8個)の外側挟持部材64とを含む。内側挟持部材63は、環状を呈しており、先端部25Aの内壁面36A側においてフランジ部55をモールド金型23との間で挟持する。複数の外側挟持部材64のそれぞれは、平板状を呈しており、先端部25Aの外壁面39A側においてフランジ部56をモールド金型23との間で挟持する。これにより、ポット22Aは一対の挟持部材60(内側挟持部材63及び外側挟持部材64)とモールド金型23Aとで挟持される。
位置決め部70は、モールド金型23Aの収容凹部48Aのうち配置領域53に配置されている。位置決め部70は、モールド金型23Aに対するポット22Aの回転を抑制するように構成されている。位置決め部70は、複数のポット22Aのフランジ部55に当接する複数の平面状の当接面71を有している。当接面71は、ポット22Aのフランジ部55と同数である。本実施形態では、当接面71は8個である。上述した先端収容部31Aは、当接面71と、内側挟持部材63の側面と、モールド金型23(具体的には、キャビティプレート34)におけるフランジ部56との対向面と、外側挟持部材64の側面とによって囲まれた空間で構成されている。収容凹部48Aにポット22Aが取り付けられた状態において、内壁面36Aと内側挟持部材63の側面とは離間しており、外壁面39Aと外側挟持部材64の側面とは離間している。換言すると、先端部25Aの外面と先端収容部31Aの内面とは離間している。
位置決め部70は、積層方向からみて当接面71の数に対応する多角形状(ここでは八角形状)を呈している。位置決め部70の中央には、挿通ポスト47が挿通可能な挿通孔72が設けられている。挿通孔72は、位置決め部70の厚さ方向において貫通している。収容凹部48Aに位置決め部70が収容され、挟持部材60(内側挟持部材63及び外側挟持部材64)によって各ポット22Aが取り付けられた状態で、複数の当接面71、外側挟持部材64及び取り付け台35とで囲まれた領域は、挿通ポスト47を収容するポスト収容部52Aを構成する。
本実施形態において、モールド金型23A、挟持部材60(内側挟持部材63及び外側挟持部材64)、及び位置決め部70の熱膨張率はポット22Aの熱膨張率よりも高い。モールド金型23A、挟持部材60(内側挟持部材63及び外側挟持部材64)、及び位置決め部70は、同一材料(例えば、鋼)によって構成されていてもよい。これに対し、ポット22Aは、ポット22と同様に、超硬材によって構成されている。
〔回転子積層鉄心の製造方法〕
続いて、第2実施形態に係る回転子積層鉄心1の製造方法について説明する。第2実施形態に係る回転子積層鉄心1の製造方法は、樹脂注入装置5を準備することに代えて樹脂注入装置5Aを準備することを含む点(第4の工程の点)において、第1実施形態に係る回転子積層鉄心1の製造方法と相違している。以下では、主に相違点について説明する。
第4の工程では、モールド金型23Aに複数のポット22Aを取り付ける。具体的には、まず、モールド金型23の取り付け台35に、位置決め部70を例えばボルトによって取り付ける。続けて、ポット22Aのうちフランジ部55を位置決め部70の各当接面71に当接させて位置決めしつつ、取り付け台35の固定孔32Aにポット22Aの固定部26Aを焼き嵌めする。続いて、取り付け台35に、キャビティプレート34を例えばボルトによって取り付ける。その後、モールド金型23Aのキャビティプレート34、及び位置決め部70に、挟持部材60を例えばボルトによって取り付ける。挟持部材60を取り付けるボルトは、キャビティプレート34及び位置決め部70をそれぞれ貫通して取り付け台35まで挿入されてもよい。
なお、モールド金型23Aに複数のポット22Aを取り付けた状態において、ポット22Aのうち鉄心本体12との対向面57は、モールド金型23Aのうち鉄心本体12との対向面49A、及び挟持部材60(内側挟持部材63及び外側挟持部材64)のうち鉄心本体12との対向面65よりも受け型20側に位置している。
図8(a)は、モールド金型23A、ポット22A及び挟持部材60が熱膨張していない状態を示している。図8(a)に示されるように、モールド金型23A、ポット22A及び挟持部材60が熱膨張していない状態において、ポット22Aのうち鉄心本体12との対向面57は、モールド金型23Aのうち鉄心本体12との対向面49A、及び挟持部材60(内側挟持部材63及び外側挟持部材64)のうち鉄心本体12との対向面65よりも受け型20側に位置している。対向面57と対向面49A,65との差T1は、例えば、0.01mm以上0.1mm以下であってもよいし、0.02mm以上0.04mm以下であってもよい。
次に、第1実施形態と同様に、鉄心本体12を樹脂注入装置5Aにセットする(第5の工程)。このとき、モールド金型23Aは、ヒータによって加熱された状態となっている。
図8(b)は、モールド金型23A、ポット22A及び挟持部材60が熱膨張した状態を示している。図8(b)に示されるように、モールド金型23A、ポット22A及び挟持部材60が熱膨張した状態においても、対向面57は、対向面49A,65よりも受け型20側に位置している。対向面57と対向面49A,65との差T2は、差T1よりも小さい。なお、モールド金型23A、ポット22A及び挟持部材60が熱膨張した状態においては、対向面57は、対向面49A,65と面一であってもよい。すなわち、差T2は0であってもよい。
その後、第1実施形態と同様に各工程を行うことにより、回転子積層鉄心1の製造方法が完了する。
〔作用〕
本実施形態でも、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
本実施形態では、モールド金型23Aと挟持部材60との間に形成される凹空間内にポット22Aの一部が位置した状態で、ポット22Aの一部をモールド金型23Aと挟持部材60とで挟持している。挟持部材60の熱膨張率はポット22Aの熱膨張率よりも高い。本実施形態においては、ポット22Aよりもモールド金型23A及び挟持部材60が熱膨張により膨張しやすい。そのため、仮に、ポット22Aに形成された凹部にモールド金型23又は挟持部材60の凸部が挿入されている場合には、凸部が凹部内で膨張してポット22Aに応力が作用されたり、モールド金型23Aの膨張により凸部が凹部から抜け出たりする懸念がある。ところが、樹脂注入装置5Aでは、この凹空間62において、ポット22Aとモールド金型23Aとの間には、隙間が生じやすい。そのため、モールド金型23Aからポット22Aに応力が作用しがたくなり、ポット22Aへの負荷を低減することができる。
本実施形態では、ポット22Aの一部は、ポット22Aの延在方向と交差する方向にポット22Aの外周面から突出するフランジ部55,56であり、凹空間62の内部形状はフランジ部55,56の外形に対応している。そのため、挟持部材60とモールド金型23Aとで形成された凹空間62内にポット22Aの一部が位置した状態で、挟持部材60とモールド金型23Aとでポット22Aの一部を挟持する構成を簡易に実現することができる。
本実施形態では、ポット22Aは一対の挟持部材60(内側挟持部材63及び外側挟持部材64)とモールド金型23Aとで挟持されている。そのため、一対の挟持部材60とモールド金型23Aとでポット22Aのフランジ部55,56が安定して挟持されるので、ポット22Aへの負荷を低減しつつ、モールド金型23Aに対するポット22Aの位置ずれを十分に抑制することが可能となる。
本実施形態では、モールド金型23Aは、モールド金型23Aに対するポット22Aの回転を抑制するように構成された位置決め部70に沿ってポット22Aが配置される。そのため、各ポット22Aの向きは、位置決め部70に応じて一意に定まった状態となる。従って、ポット22Aの配置の際に、隣り合うポット22A同士が干渉することが抑制される。その結果、ポット22Aの取付け作業を容易に行うことができる。
本実施形態では、ポット22Aから溶融樹脂を吐出させるためにモールド金型23Aが加熱された状態において、ポット22Aのうち鉄心本体12との対向面57は、モールド金型23Aのうち鉄心本体12との対向面49Aと面一であるか、モールド金型23Aよりも受け型20側に位置している。そのため、加熱によってポット22A及びモールド金型23Aが膨張した状態であっても、溶融樹脂がポット22Aからゲート孔30まで流通する際に、溶融樹脂が隙間を跨ぐことが抑制される構成を維持することができる。
<他の実施形態>
以上、各実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、回転子積層鉄心1のみならず、固定子積層鉄心に本発明を適用してもよい。
固定子積層鉄心は、周方向に複数のスロット(磁極部)が形成された鉄心本体を有している。鉄心本体は、複数の打抜部材が積層された積層体である。打抜部材は、鉄心本体に対応して、例えば環状を呈している。打抜部材は、例えば、円弧状を呈する複数の鉄心片部に分割可能な分割構造であってもよいし、分割されていない一体構造であってもよいし、鉄心片部同士が、少なくとも一部において互いに連結部により直列に繋がっており、当該連結部が折り曲げられることによって環状となる構造であってもよい。
鉄心本体12には積層方向に貫通する少なくとも一つの結合孔(樹脂形成領域)が設けられており、樹脂注入装置5,5Aが当該結合孔に溶融樹脂を注入することで、積層方向に隣り合う打抜部材10同士が結合されてもよい。少なくとも一つの結合孔は、例えば、鉄心本体12の周方向に並ぶ複数の結合孔を含んでいてもよい。
樹脂形成領域は孔(磁石挿入孔11、結合孔等)に限定されない。例えば、樹脂形成領域は固定子積層鉄心のスロットの表面であってもよい。この場合、例えば、スロット内に中子が挿入されてスロットの表面と中子の外周面との間に生ずる空間内に、樹脂注入装置5,5Aが溶融樹脂を注入することで、樹脂材料4がスロットの表面に形成されてもよい。
上記の実施形態では、鉄心本体12は、複数の打抜部材10が積層されて構成されていたが、鉄心本体12は、積層以外で構成されていてもよい。例えば、鉄心本体12は、強磁性体粉末が圧縮成形されたものであってもよいし、強磁性体粉末を含有する樹脂材料が射出成形されたものであってもよい。
上記の実施形態では、樹脂形成領域に対して、上型として機能するモールド金型23,23A及びポット22,22Aから溶融樹脂を注入した場合(鉄心本体12の上方から溶融樹脂を注入した場合)について説明したが、モールド金型23,23A及びポット22,22Aを下型として用いて、鉄心本体12の下方から溶融樹脂を注入してもよい。このとき、少なくとも一つの挟持部材60とモールド金型23,23Aとでポット22,22Aの一部を挟持する構成であってもよい。この場合、挟持部材60によってポット22,22Aの落下を抑制することができる。
上記の実施形態では、ポット群29,29Aは複数のポット22,22Aが環状に並んで構成されていたが、複数のポット22,22Aは環状に並んでいなくてもよい。ポット群29,29Aは、例えば、直線状に一列に並ぶ複数のポット22,22Aによって構成されていてもよい。
ポット群29,29Aのうち鉄心本体12との対向面49,49Aにおける最大外径Wは、鉄心本体12の最大外径Dよりも小さくてもよい。
例えば図9に示されるように、隣り合うポット22同士の対向面28は平面状に限定されない。図9(a)に示される例では、隣り合うポット22同士の対向面28は曲面状である。図9(b)に示される例では、隣り合うポット22同士の対向面28は凹凸面状である。具体的には、隣り合うポット22同士において一方の対向面28には外方に向けて突出する凸部が形成されており、他方の対向面28には内方に向けて窪む凹部が形成されている。そのため、曲面又は凹凸面である対向面28によってポット22同士が位置決めされる。従って、位置決め精度を向上させることができる。
隣り合うポット22同士又は隣り合うポット22A同士は、先端部25,25A以外の他の部分において、直接対向した状態で近接していてもよい。ポット22,22Aのうち収容凹部48,48Aに嵌合される固定部26,26Aは、先端部25,25Aと基端部27との間に位置していなくてもよい。基端部27は、固定部26,26Aと同一径であってもよい。先端部25の外周面36,39と先端収容部31の内周面37,40、又は、先端部25Aの外面(内壁面36A及び外壁面39A)と先端収容部31Aの内面(内側挟持部材63の側面及び外側挟持部材64の側面)とは離間していなくてもよい。基端部27は基端収容部33に対し、間隔44をあけずに配置されていてもよい。収容凹部48,48Aの内周面とポット22,22Aの外周面又は収容凹部48の内周面とポット22,22Aの外周面とは離間していなくてもよい。収容凹部48,48Aには、ポット群29,29Aの少なくとも一部が収容されていればよく、例えば先端部25,25Aが収容されていなくてもよいし、基端部27が収容されていなくてもよい。各ポット22,22Aの形状及び収容凹部48,48Aの形状は、種々変更することができる。
磁石挿入孔11に溶融樹脂を注入する場合は、カルプレート21を用いることなく、溶融樹脂をモールド金型23,23Aから磁石挿入孔11へ直接注入してもよい。この場合、ポット22,22Aにランナ50及びゲート孔30を形成してもよい。
ポット22,22Aは超硬材以外から構成されているものであってもよい。