JP6904052B2 - 電子制御装置 - Google Patents
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Description
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示す燃料噴射制御システム1は、車両に搭載されるシステムであって、内燃機関(以下、エンジン)20において燃料を噴射するための制御を行う。燃料噴射制御システム1は、ECU30を備える。燃料噴射制御システム1は、クランク角センサ10、インジェクタ21を備えていてもよい。
駆動部40は、インジェクタ21へ駆動信号を出力し、インジェクタ21を駆動させる。インジェクタ21を駆動させるとは、エンジン20においてインジェクタ21に燃料を噴射させることをいう。駆動部40は、制御部50から出力される実行指示に従って、駆動信号を出力する。実行指示には、指示時間が含まれる。指示時間は、駆動部40が実行指示を受けた時点からインジェクタ21に駆動信号を出力するまでの時間を表す。
時間同期部51は、一又は複数の、時間に同期した処理(以下、時間同期処理)を実行する。時間に同期した処理とは、所定の時間毎に繰り返し実行される処理をいう。
次に、制御部50が実行する、角度同期処理のうちの一つである定期処理について、図2のフローチャートを用いて説明する。定期処理は、周期角度毎に起動される。ここでは、制御部50は、クランク角センサ10から出力される回転角度が周期角度増加する毎に、定期処理を起動する。周期角度とは、所定の1周期分の大きさの角度であり、単位回転角度の所定の倍数に設定されている。所定の倍数とは、2以上の任意の整数をいう。具体的には、周期角度は30°CAに設定されており、該周期角度は予めROM等のメモリに記憶されている。なお、周期角度が30°CAに限定されないこと、は言うまでもない。
制御部50は、S125では、判定範囲をメモリから取得する。判定範囲とは、所定の回転角度の角度範囲(以下、角度範囲)を表す。判定範囲は、後述するS175、S185にて設定され、例えばEEPROM等の書き換え可能なメモリに記憶され得る。
制御部50は、S140では、S135にて取得された、現時点における回転角度が要求噴射角度未満であるか否かを判断する。制御部50は、現時点における回転角度が要求噴射角度未満である場合に、処理をS150へ移行させ、現時点における回転角度が要求噴射角度以上である場合に、処理をS145へ移行させる。現時点における回転角度が要求噴射角度以上である場合とは、例えば、割込処理が生じたことによって本定期処理が中断され、本ステップの時点で、回転角度が既に要求噴射角度以上となっている場合に相当する。
制御部50は、S150では、待機時間を算出する。待機時間とは、S135にて取得された現時点における回転角度が、要求噴射角度に一致する迄に要する時間、を表す。具体的には、制御部50は、現時点における回転角度と要求噴射角度との角度差を算出する。そして、制御部50は、上述の単位時間あたりの回転角度に基づいて、算出した角度差を時間に変換することによって、待機時間を算出する。
制御部50は、S165では、差分角度を算出する。差分角度とは、指示角度と開始角度との差を表す。つまり、差分角度は、開始角度であって判定範囲内に要求噴射角度が含まれていると判断された場合の該開始角度から、どれだけ遅れて実行指示が出力されたか、を回転角度で表した値である。
制御部50は、S175では、周期角度を判定範囲として設定し、本定期処理を終了する。これにより、差分角度が角度閾値以下である場合には、つまり割込処理が実行されなかった場合には、周期角度が判定範囲として設定される。
制御部50は、S185では、加算値を判定範囲として設定し、本定期処理を終了する。これにより、差分角度が所定の角度閾値よりも大きい場合には、つまり割込処理が生じた場合には、加算値が判定範囲として設定される。その結果、判定範囲が周期角度よりも大きく設定される。
このように構成されたECU30による作動を図3に基づいて説明する。図3におけるタイミングパルスとは、制御部50がクランク角センサ10から回転角度を取得するタイミングを表すパルス信号である。ここでは、タイミングパルスは、単位回転角度毎に出力されるものとする。制御部50は、タイミングパルスの立ち上がりにおいて、クランク角センサ10から回転角度を取得する。
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1a)制御部50は、上述のように、回転角度に同期して、周期角度毎に種々の制御を行う。制御部50は、優先順位の高い制御については、割込処理によって優先順位の低い制御よりも優先して実行するように構成されている。制御部50は、周期角度毎に、このときの開始角度から判定範囲内に要求噴射角度が含まれるかを判断し、要求噴射角度が含まれる場合には、駆動部40に対して待機時間後にインジェクタ21が駆動されるように実行指示を出力する。ここで、判定範囲は、周期角度よりも大きく設定されている。つまり、周期角度を1周期として、要求噴射角度が含まれる周期の少なくとも1周期以上前に、駆動部40に対して実行指示が出力される。
(変形例1)エンジン20は複数の気筒を備えていてもよい。そして、制御部50は、複数の気筒のそれぞれに対して、判定範囲を設定してもよい。この場合、制御部50は、図2のフローチャートに示す定期処理に代えて、図4のフローチャートに示す定期処理を実行してもよい。図4のフローチャートでは、図2のフローチャートに対して、S117が追加されている。
(変形例2)差分角度は、現燃焼サイクル以前の複数の燃焼サイクルにおける複数の差分角度のうちの最大値に設定されてもよい。この場合、制御部50は、図2のフローチャートに示す定期処理に代えて、図5のフローチャートに示す定期処理を実行してもよい。図5のフローチャートでは、図2のフローチャートに対して、S177−S179が追加されている。
[2−1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
[2−2.処理]
次に、第2実施形態の制御部50が、第1実施形態の図2に示す定期処理に代えて実行する定期処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図6におけるS110−S115、S120、S130−S155の処理は、図2における同一ステップの処理と同様であるため、説明を一部簡略化している。
制御部50は、S119では、マイコンが備えるフリーランニングタイマを用いて、差分時間の計測を開始する。差分時間とは、開始角度から判定範囲内に要求噴射角度が含まれていると判断された場合の該開始角度となった時点から、どれだけ遅れて実行指示が出力されたか、を時間で表した値である。
制御部50は、S126では、判定範囲を取得する。ここでは、判定範囲は時間によって表されており、例えばEEPROM等の書き換え可能なメモリに記憶されている。
制御部50は、S129では、単位時間あたりの回転角度に基づいて、時間によって表された判定範囲を角度によって表された判定範囲に変換する。
制御部50は、S161では、上述の差分時間の計測を終了する。
制御部50は、S181では、時間によって表された加算値(以下、時間加算値)を算出する。時間加算値とは、差分時間と、周期角度時間とを加算した値である。時間加算値は、第1実施形態における加算値を時間で表した値である。
[2−3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)−(1d)を奏し、さらに、以下の効果を奏する。
(1)第2実施形態においても、時間によって表された判定範囲が、複数の気筒のそれぞれに対して、設定されてもよい。
[3.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
ECU30が電子制御装置に相当し、インジェクタ21が燃料噴射弁に相当する。
また、S130が判断部としての処理に相当し、S155が指示部としての処理に相当し、S165が算出部としての処理に相当し、S175が条件付設定部としての処理に相当し、S185が範囲設定部としての処理に相当する。
Claims (4)
- クランク軸の回転角度に基づいて内燃機関の制御を行う電子制御装置(30)であって、
所定の1周期分の大きさの角度である周期角度毎に前記回転角度を取得し、前記周期角度毎に取得した前記回転角度である開始角度から所定の角度範囲を表す判定範囲内に、前記回転角度がとり得る値のうちの特定の値であって前記内燃機関において燃料噴射弁に燃料の噴射を開始させる要求噴射角度が含まれているか否か、を判断する判断部(S130)と、
前記開始角度から前記判定範囲内に前記要求噴射角度が含まれていると判断された場合に、現時点における前記回転角度を取得し、前記回転角度が前記要求噴射角度に一致する迄に要する時間である待機時間を算出し、実行指示に従って前記燃料噴射弁を駆動する駆動部であって前記実行指示を受けた時点から前記実行指示に指示された指示時間が経過した後に前記燃料噴射弁を駆動する前記駆動部に対して、前記実行指示であって前記待機時間を前記指示時間とする前記実行指示を出力する指示部(S155)と、
前記判定範囲を前記周期角度よりも大きく設定する範囲設定部(S185)と、
前記開始角度から前記判定範囲内に前記要求噴射角度が含まれていると判断された場合に、前記回転角度であって前記指示部によって前記実行指示が出力されたときの指示角度を取得し、前記指示角度と前記開始角度との差を表す差分角度を算出する、算出部(S165)と、
前記差分角度が所定の角度閾値以下であるか否かを判断し、前記差分角度が前記角度閾値以下である場合に、前記周期角度を前記判定範囲として設定し、前記差分角度が前記角度閾値よりも大きい場合に、前記範囲設定部に、前記差分角度と前記周期角度との加算値を前記判定範囲として設定させる、条件付設定部(S175)と、
を備え、
前記回転角度は、前記周期角度を複数含む大きさの角度範囲である燃焼サイクル毎に初期化され、
前記判断部は、前記判定範囲であって、現燃焼サイクルよりも1燃焼サイクル前の燃焼サイクルにおいて設定された過去の前記判定範囲を取得し、前記開始角度から前記過去の判定範囲内に前記要求噴射角度が含まれているか否かを判断する
電子制御装置。 - クランク軸の回転角度に基づいて内燃機関の制御を行う電子制御装置(30)であって、
所定の1周期分の大きさの角度である周期角度毎に前記回転角度を取得し、前記周期角度毎に取得した前記回転角度である開始角度から所定の角度範囲を表す判定範囲内に、前記回転角度がとり得る値のうちの特定の値であって前記内燃機関において燃料噴射弁に燃料の噴射を開始させる要求噴射角度が含まれているか否か、を判断する判断部(S130)と、
前記開始角度から前記判定範囲内に前記要求噴射角度が含まれていると判断された場合に、現時点における前記回転角度を取得し、前記回転角度が前記要求噴射角度に一致する迄に要する時間である待機時間を算出し、実行指示に従って前記燃料噴射弁を駆動する駆動部であって前記実行指示を受けた時点から前記実行指示に指示された指示時間が経過した後に前記燃料噴射弁を駆動する前記駆動部に対して、前記実行指示であって前記待機時間を前記指示時間とする前記実行指示を出力する指示部(S155)と、
前記判定範囲を前記周期角度よりも大きく設定する範囲設定部(S185)と、
前記開始角度から前記判定範囲内に前記要求噴射角度が含まれていると判断された場合に、前記回転角度であって前記指示部によって前記実行指示が出力されたときの指示角度を取得し、前記指示角度と前記開始角度との差を表す差分角度を算出する、算出部(S165)と、
を備え、
前記回転角度は、前記周期角度を複数含む大きさの角度範囲である燃焼サイクル毎に初期化され、
前記差分角度が所定の角度閾値以下であるか否かを判断し、前記差分角度が前記角度閾値以下である場合に、前記周期角度を前記判定範囲として設定し、前記差分角度が前記角度閾値よりも大きい場合に、前記範囲設定部に、現燃焼サイクル以前の複数の前記燃焼サイクルにおける複数の前記差分角度のうちの最大値と前記周期角度との加算値、を前記判定範囲として設定させる、条件付設定部(S175)
を更に備え、
前記判断部は、前記判定範囲であって、現燃焼サイクルよりも1燃焼サイクル前の燃焼サイクルにおいて設定された過去の前記判定範囲を取得し、前記開始角度から前記過去の判定範囲内に前記要求噴射角度が含まれているか否かを判断する
電子制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の電子制御装置であって、
前記判断部は、前記周期角度毎に、前記要求噴射角度を取得し、前記開始角度から前記判定範囲内に、取得した前記要求噴射角度が含まれているか否か、を判断する
電子制御装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子制御装置であって、
前記内燃機関は複数の気筒を備えており、
前記条件付設定部は、前記複数の気筒のそれぞれに対して、前記判定範囲を設定する
電子制御装置。
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