JP2018168703A - エンジンの制御装置 - Google Patents

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【課題】エンジンの再始動を行う際に分割噴射を行うエンジンの制御装置おいて、エンジン再始動時の始動性の向上を図りつつ、プレイグニッションの発生を抑制する。【解決手段】気筒内に燃料を直接噴射可能なマルチホールインジェクタを備えるエンジンに適用され、所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させる自動停止制御と、所定の再始動条件が成立したときに自動停止したエンジンを再始動させる自動再始動制御とを行うとともに、自動再始動制御の際に、マルチホールインジェクタの噴射回数を複数回に設定する分割噴射を圧縮行程中に行うエンジンの制御装置である。再始動条件が成立したときに、気筒の状態が、筒内温度および筒内圧が相対的に高い状態にあると判定した場合には、マルチホールインジェクタの噴射回数を1回に設定する通常噴射を行うとともに、吸気弁閉弁時期を圧縮行程中まで遅らせる。【選択図】図5

Description

本発明は、エンジンの制御装置に関し、特に、自動停止再始動制御を行うエンジンの制御装置に関するものである。
燃費の向上を図るべく、所定の自動停止条件が成立するとエンジンを自動停止させるとともに、エンジン自動停止中に所定の自動再始動条件が成立するとエンジンを自動再始動させる所謂ストップ・アンド・スタート制御(S&S制御)が従来から行われている。
かかるS&S制御が行われる車両では、1トリップ中におけるエンジン始動回数が必然的に増えることから、エンジンの始動性を向上させる必要がある。このため、従来からエンジン再始動時における燃料噴射の態様に関して様々な提案がなされている。
例えば特許文献1には、内燃機関の自動停止中に燃圧が所定圧以下になると、内燃機関を停止させたまま圧縮行程に位置する気筒および/または次に圧縮行程となる気筒に燃料を噴射し、再始動条件が成立すると吸気行程に位置する気筒に燃料を噴射する筒内噴射型内燃機関の自動停止始動装置が開示されている。
この特許文献1のものによれば、圧縮行程に位置する気筒および/または次に圧縮行程となる気筒に予め燃料を供給しておくことで、最初に点火される1乃至2気筒において実質的に圧縮行程噴射を実行できるので、迅速な始動が可能になるとされている。
特開2004−36561号公報
ところで、S&S制御では、エンジン自動停止まではエンジンが駆動状態であったことから、エンジン自動停止後のエンジン再始動時には、筒内温度が相対的に高い場合が多い。このため、例えば外気温が高い等の高温環境下でのエンジン再始動において、気筒内に燃料を直接噴射する場合には、点火開始前に燃焼を開始してしまうプレイグニッション等の異常燃焼が生じ、異音が発生する可能性がある。にもかかわらず、上記特許文献1のものでは、迅速な始動を図るのみで、プレイグニッションなどの異常燃焼に関し、何ら配慮がなされていない。
特に、S&S制御でのエンジン再始動時に分割噴射を行うシステムでは、分割噴射におけるプレ噴射(1回目の噴射)が点火開始前の燃焼の火種となり、プレイグニッションなどの異常燃焼が助長されるという問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動停止したエンジンを再始動させる際に分割噴射を行うエンジンの制御装置おいて、エンジン再始動時の始動性の向上を図りつつ、プレイグニッションの発生を抑制する技術を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係るエンジンの制御装置では、エンジン再始動時に圧縮行程噴射を行うとともに、プレイグニッションの発生し易い状況では、分割噴射を禁止するとともに、吸気弁閉弁時期を圧縮行程中まで遅らせるようにしている。
具体的には、本発明は、気筒内に燃料を直接噴射可能な燃料噴射弁を備えるエンジンに適用され、所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させる自動停止制御と、所定の再始動条件が成立したときに自動停止したエンジンを再始動させる自動再始動制御とを行うとともに、当該自動再始動制御の際に、機関1サイクルにおける1気筒に対する当該燃料噴射弁の噴射回数を複数回に設定する分割噴射を圧縮行程中に行うエンジンの制御装置を対象としている。
そして、上記エンジンの制御装置は、上記再始動条件が成立したときに、気筒の状態が、筒内温度が相対的に高い状態を含む所定状態にあると判定した場合には、機関1サイクルにおける1気筒に対する上記燃料噴射弁の噴射回数を1回に設定する通常噴射を行うとともに、吸気弁閉弁時期を圧縮行程中まで遅らせることを特徴とするものである。
本発明において、「所定状態」とは、点火開始前に燃焼を開始してしまうような状態(プレイグニッションが発生し易い状態)を意味しており、例えば、筒内温度が相対的に高い状態や、筒内温度が相対的に高い状態に加えて例えば筒内圧が相対的に高い状態等が含まれる。
この構成によれば、エンジン再始動の際に、圧縮行程噴射を行うことから、換言すると、点火順の早い気筒において燃焼を開始させることから、エンジン再始動時のエンジンの始動性を向上させることができる。
また、自動再始動制御では筒内温度が高い場合が多いため、分割噴射におけるプレ噴射が点火開始前の燃焼の火種となってプレイグニッションが生じ易いが、本発明では、気筒の状態が所定状態(プレイグニッションが発生し易い状態)にあると判定した場合には、噴射回数を1回に設定する通常噴射を行うことから、プレイグニッションの発生を抑制することが可能となる。
しかも、吸気弁閉弁時期を圧縮行程中まで遅らせることから、換言すると、ピストンが下死点から上昇しているときも吸気弁が開いている期間があることから、気筒の吸気充填率を低下させることができる。これにより、燃料噴射が行われる際の筒内圧を相対的に低くすることができるので、プレイグニッションの発生を確実に抑制することができる。
以上説明したように、本発明に係るエンジンの制御装置によれば、エンジン再始動時の始動性の向上を図りつつ、プレイグニッションの発生を抑制することができる。
本発明の実施形態に係るエンジンおよびECUを模式的に示す図である。 大気圧および筒内圧とプレイグニッションの発生との関係を模式的に説明する図である。 噴射回数と筒内圧ピークとの関係を模式的に説明する図である。 吸気弁閉弁時期と筒内圧との関係を模式的に説明する図である。 プレイグニッション抑制制御の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
−エンジン−
図1は、本実施形態に係るエンジン1およびECU10を模式的に示す図である。エンジン1は、多気筒(例えば4気筒)ガソリンエンジンとして構成されていて、図1に示すように、吸気バルブ(吸気弁)2Aの開弁動作によって燃焼室に連通可能な吸気通路2を備えている。吸気通路2に配置されたスロットルバルブ3の回動軸の一端にはスロットルモータ4が設けられている一方、回動軸の他端にはスロットルバルブ3の開度を検出するためのスロットル開度センサ5が設けられている。スロットルバルブ3は、アクセル開度信号等に基づいてECU(制御装置)10により演算されたスロットル開度に基づき、スロットルモータ4によって開度調整される電子制御スロットルとして構成されている。
吸気通路2におけるスロットルバルブ3の上流側には大気圧センサ18と吸気温センサ26とが設けられている。一方、吸気通路2におけるスロットルバルブ3の下流側にはサージタンク6と、吸気ポートに燃料を噴射するインジェクタ7とが設けられている。また、各気筒1Aには、複数の噴口から気筒1A内に直接燃料を噴射するマルチホールインジェクタ8と、燃焼室内の混合気に対して着火を行う点火プラグ30とが設けられている。このように、2つのインジェクタ7,8を設けることで、本実施形態に係るエンジン1では、運転状態に応じてポート噴射と直接噴射とを使い分けることが可能となっている。
また、エンジン1のシリンダブロックのウォータジャケット9には、冷却水の温度(エンジン水温)を検出するための水温センサ11が設けられている。水温センサ11はエンジン水温に応じたアナログ電圧の電気信号を発生するように構成されている。
さらに、エンジン1は、排気バルブ12Aの開弁動作によって燃焼室に連通可能な排気通路12を備えている。排気通路12には、排気ガス中の有害成分であるHC,CO,NOxを浄化する三元触媒コンバータ(図示せず)が設けられている。また、排気通路12における触媒コンバータの上流側には、空燃比センサの一種であるO2センサ13が設けられている。O2センサ13は排気ガス中の酸素成分濃度に応じた電気信号を発信するように構成されている。
また、本実施形態に係るエンジン1では、吸排気の各バルブ2A,12Aを開閉作動させるカムシャフト(図示せず)の端部に可変バルブタイミング機構40がそれぞれ備えられており、バルブ開閉タイミングが可変となっている。可変バルブタイミング機構40は、エンジン1のクランクシャフト(図示せず)の駆動トルクをカムシャフトに伝達する伝達系に設けられている。この可変バルブタイミング機構40は、ECU10により制御される電動モータ(図示せず)の回転トルクを利用してエンジン1の吸排気バルブ2A,12Aのバルブタイミングを調整するようになっている。つまり、本実施形態の可変バルブタイミング機構40は、エンジン1の駆動によって発生する油圧を用いることなく作動可能な、モータ利用型バルブタイミング調整装置(MD−VVT:Motor Drive Variable Valve Timing)として構成されている。
−ECU−
ECU10は、入出力インターフェース101、CPU102、ROM103、RAM104、これらを相互に接続するバス106等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPU102はRAM104の一時記憶機能を利用しつつ予めROM103に記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより各種制御を実行する。
ECU10には、例えば、スロットル開度センサ5によって検出されるスロットルバルブ3の開度信号や、水温センサ11によって検出されるエンジン水温に応じた電気信号や、O2センサ13によって検出される排気ガス中の酸素成分濃度に応じた電気信号や、アクセル開度センサ15によって検出されるアクセルペダル14の開度信号や、バッテリセンサ17によって検出されるバッテリ16の状態(電流、温度など)を表す信号や、大気圧センサ18によって検出される大気圧を表す信号や、車速センサ20によって検出される車速に対応する信号や、クランク位置センサ21によって検出されるクランク角信号や、油温センサ22によって検出される潤滑油の温度信号や、ブレーキペダル23の踏力に応じて発生するブレーキマスターシリンダ24のマスターシリンダ圧を検出するM/C圧センサ25の検出結果に基づくブレーキのオン/オフを表す信号や、吸気温センサ26によって検出される吸気温度を表す信号などが入力される。なお、エンジン回転数は、クランク角信号の間隔(時間)を計測することにより取得可能となっている。
一方、ECU10からは、これら各種センサからの入力信号に基づいて、エンジン1の出力制御のためのエンジン出力制御指令信号や、自動変速機(図示せず)の変速に関する油圧制御のための油圧制御指令信号などが出力される。なお、エンジン出力制御指令信号としては、スロットルバルブ3の開閉を制御するためのスロットル信号や、インジェクタ7およびマルチホールインジェクタ8から噴射される燃料噴射量および噴射時期を制御するための信号や、点火プラグ30の点火時期を制御するための信号などを挙げることができる。また、ECU10は、機関1サイクルにおける1気筒に対するマルチホールインジェクタ8の噴射回数を複数回に設定する分割噴射と、同噴射回数を1回に設定する通常噴射と、を切替えるための噴射回数を表す信号をエンジン出力制御指令信号として出力する。これらを通じて、ECU10は、エンジン1の出力制御や、自動変速機の変速制御などを実行する。
例えば、ECU10は、マルチホールインジェクタ8による圧縮行程中の3回噴射(プレ噴射、メイン噴射、アフター噴射)を基本としつつ、運転状況に応じて最適な燃焼状態となるように、噴射回数を1回に設定する通常噴射や、インジェクタ7によるポート噴射や、吸気行程噴射等を使い分けるように構成されている。
さらに、ECU10は、これら各種センサの入力信号に基づいて所定の自動停止条件が成立したと判定すると、エンジン1の燃焼室への燃料の供給を停止するフューエルカット制御を実行して、エンジン1を自動停止させる自動停止制御と、エンジン自動停止中に所定の自動再始動条件が成立したと判定すると、エンジン1の燃焼室への燃料の供給を開始させるとともに、スタータモータ19を用いてエンジン1を再始動させる自動再始動制御と、を行うように構成されている。なお、自動停止制御と自動再始動制御とを併せて自動停止再始動制御(以下、S&S制御ともいう)と称する。
ここで、自動停止条件としては、例えば、アクセルペダル14が踏まれていないこと(アクセル開度センサ15によって検出)、バッテリ16の蓄電量SOC(state of charge)が必要なレベルであること(バッテリセンサ17によって検出)、ブレーキペダル23が踏み込まれていること(M/C圧センサ25の検出結果に基づく)、車両が停止していること(車速センサ20によって検出)等を挙げることができる。ECU10は、これらの条件がすべて満足された場合に、自動停止条件が成立したと判定する。
一方、自動再始動条件としては、例えば、アクセルペダル14が踏まれ且つブレーキペダル23が踏まれていないこと等を挙げることができる。ECU10は、エンジン自動停止中にこの条件が満足された場合に、自動再始動条件が成立したと判定する。なお、ECU10は、エンジン再始動時における始動性の向上を図るべく、基本的には、自動再始動制御の際にマルチホールインジェクタ8の噴射回数を3回に設定する分割噴射を圧縮行程中に行うように構成されている。
−プレイグニッション抑制制御−
ところで、S&S制御では、エンジン自動停止まではエンジンが駆動状態にあることから、エンジン自動停止後のエンジン再始動時には、筒内温度が相対的に高い場合が多い。このため、例えば外気温が高い等の高温環境下でのエンジン再始動において、気筒内に燃料を直接噴射する場合には、点火開始前に燃焼を開始してしまうプレイグニッション等の異常燃焼が生じ、異音が発生する可能性がある。特に、本実施形態のエンジン1のように、S&S制御でのエンジン再始動時に分割噴射を行うシステムでは、気化潜熱が相対的に小さいプレ噴射が点火開始前の燃焼の火種となり、プレイグニッションなどの異常燃焼が助長される場合がある。
そこで、本実施形態では、エンジン再始動時に圧縮行程噴射を実行する際、プレイグニッションの発生し易い状況では、分割噴射を禁止するとともに、吸気弁閉弁時期を圧縮行程中まで遅らせるようにしている。具体的には、ECU10は、再始動条件が成立したときに、気筒1Aの状態が、筒内温度が相対的に高い状態を含む所定状態(プレイグニッションが発生し易い状態)にあると判定した場合には、機関1サイクルにおける1気筒に対するマルチホールインジェクタ8の噴射回数を1回に設定する通常噴射を行うとともに、吸気弁閉弁時期(IVC:Intake Valve Closing Timing)を圧縮行程中まで遅らせるプレイグニッション抑制制御を行うように構成されている。以下、ECU10が行うプレイグニッション抑制制御について説明する。
先ず、ECU10は、筒内温度が相対的に高い状態にあり、且つ、筒内圧が相対的に高い状態にあると判定した場合に、気筒1Aの状態が、点火開始前に燃焼を開始してしまうような所定状態にあると判定するように構成されている。
具体的には、ECU10は、水温センサ11によって検出されるエンジン水温が所定の水温閾値以上で、且つ、吸気温センサ26によって検出される、エンジン1が吸入する直前の吸気温度が所定の吸気温閾値以上である場合に、筒内温度が相対的に高い状態にあると判定するように構成されている。なお、水温閾値および吸気温閾値は、エンジン水温および吸気温度がこれら水温閾値および吸気温閾値以上の場合にプレ噴射を行えば、点火プラグ30による点火開始前に燃焼を開始してしまうような値であり、実験やシミュレーションに基づいて設定されるものである。
図2は、大気圧および筒内圧とプレイグニッションの発生との関係を模式的に説明する図である。なお、図2では、プレイグニッションの発生を×印で、プレイグニッションの不発生を〇印でそれぞれ表している。図2に示すように、筒内圧がプレイグNG基準値以下の場合にはプレイグニッションが発生せず、且つ、かかるプレイグNG基準値は大気圧の気圧判定値と相関性を有している。そうして、S&S制御では、筒内圧はエンジン自動停止後数秒で大気圧に低下するため、エンジン自動停止中の気筒1A内は大気圧で維持されている。よって、大気圧を見れば、筒内圧がプレイグNG基準値以下か否かを判定することが可能となる。そこで、ECU10は、大気圧センサ18によって検出される大気圧が気圧判定値を超えている場合に、筒内圧が相対的に高い状態にあると判定するように構成されている。
したがって、ECU10は、エンジン水温が水温閾値以上で、且つ、吸気温度が吸気温閾値以上で、且つ、大気圧が気圧判定値を超えている場合に、気筒1Aの状態が、点火プラグ30による点火開始前に燃焼を開始してしまうような所定状態にあると判定する。
図3は、噴射回数と筒内圧ピークとの関係を模式的に説明する図である。筒内圧ピークが高いとプレイグニッションが発生し易くなるところ、図3に示すように、噴射回数が1回(1回噴射)の場合には、噴射回数が3回(3回噴射)の場合に比して、筒内圧ピークが低下していることが分かる。それ故、ECU10は、気筒1Aの状態が所定状態にあると判定した場合には、マルチホールインジェクタ8の噴射回数を1回に設定するように構成されている。これにより、本実施形態では、例えば3回噴射におけるプレ噴射が火種となってプレイグニッションが生じるのを確実に抑制することが可能となっている。
ここで、ECU10は、気筒1Aの状態が所定状態にないと判定した場合、換言すると、プレイグニッションが発生する可能性が低い場合には、圧縮行程中におけるマルチホールインジェクタ8の噴射回数を原則通り3回に設定するとともに、エンジン再始動時の始動性を向上させるように、噴射量(I)、噴射時期(I)、点火時期(I)および吸気弁閉弁時期(I)を設定する。例えば、噴射量(I)は増量側に設定され、噴射時期(I)は、燃料の気化霧化を促進するように進角側に設定され、点火時期(I)は噴射時期(I)に応じて最適な燃焼状態となるように設定され、吸気弁閉弁時期(I)は気筒1Aの吸気充填率を高めるような時期に設定される。
一方、ECU10は、気筒1Aの状態が所定状態にあると判定した場合には、上述の如く圧縮行程中におけるマルチホールインジェクタ8の噴射回数を1回に設定するのに加えて、プレイグニッションを抑えつつエンジン再始動時の始動性を向上させるように、噴射量(II)、噴射時期(II)、点火時期(II)および吸気弁閉弁時期(II)を設定する。
具体的には、噴射量(II)については、プレイグニッションを抑えるという観点からは少なくする方が好ましいが、始動性を向上させるという観点からは増量側が好ましいため、両者のバランスを考慮して適正な値に設定される。また、噴射時期(II)についても、プレイグニッションを抑えるという観点からは遅くする方が好ましいが、始動性を向上させるという観点からは、燃料の気化霧化を促進するように進角側が好ましいため、例えば3回噴射におけるプレ噴射同等の進角に設定する。なお、点火時期(II)については、プレイグニッションを抑えるという観点からは特に制限はなく、噴射時期(II)に応じて最適な燃焼状態となるように設定すればよい。
図4は、吸気弁閉弁時期と筒内圧との関係を模式的に説明する図である。図4中のIVC15は、吸気弁閉弁時期をベース(ハード的な最遅角)よりも15°進角させたことを、また、図4中のIVC25は、吸気弁閉弁時期をベースよりも25°進角させたことを意味しており、それ故、IVC15はIVC25よりも閉弁時期が遅いことを意味している。なお、図4は、エンジン再始動時に吸気行程で停止している気筒での、実験やシミュレーションに基づいて得られたものである。
図4に示すように、噴射量が相対的に少ない場合であれ、噴射量が相対的に多い場合であれ、吸気弁閉弁時期が相対的に早いIVC25よりも、吸気弁閉弁時期が相対的に遅いIVC15の方が、筒内圧が低いことが分かる。これは、ピストンが下死点から上昇しているときも吸気バルブ2Aが開いている期間があることから、気筒1Aの吸気充填率が低下するためである。それ故、ECU10は、吸気弁閉弁時期(II)を圧縮行程中まで遅らせるように設定する。したがって、燃料噴射が行われる際の筒内圧を相対的に低くすることができるので、プレイグニッションの発生を確実に抑制することができる。
そうして、ECU10は、これら1回の噴射回数、噴射量(II)、噴射時期(II)、点火時期(II)および吸気弁閉弁時期(II)を、自動再始動条件が成立したときにそれぞれ吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程で停止している4つの気筒1Aすべてに適用して、圧縮行程噴射を実行するように構成されている。
これにより、エンジン再始動の際に点火順の早い気筒1A(圧縮行程および吸気行程で停止している気筒1A)において燃焼を開始させることから、エンジン再始動時のエンジン1の始動性を向上させることができる。また、気筒1Aの状態が所定状態にあると判定した場合には、噴射回数を1回に設定することから、4つの気筒1Aすべてにおいてプレイグニッションの発生を抑制することができる。さらに、吸気弁閉弁時期を圧縮行程中まで遅らせることから、気筒1Aの吸気充填率を低下させることができ、これにより、燃料噴射が行われる際の筒内圧を相対的に低くすることができるので、4つの気筒1Aすべてにおいてプレイグニッションの発生を確実に抑制することができる。
なお、ECU10は、4つの気筒1Aすべてについて、自動再始動条件が成立してから数えて2回目の点火が行われると、エンジン再始動が完了したものとして、マルチホールインジェクタ8の噴射回数、噴射量(II)、噴射時期(II)、点火時期(II)および吸気弁閉弁時期(II)をリセットし、運転状況に応じて最適な燃焼状態となるように、マルチホールインジェクタ8の噴射回数、噴射量、噴射時期、点火時期および吸気弁閉弁時期を新たに設定する。
−フローチャート−
次に、ECU10によって実行されるプレイグニッション抑制制御の大きな流れを、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、このフローチャートは、S&S制御におけるエンジン自動停止中にSTARTする。
先ず、ステップS1では、ECU10が、自動再始動条件が成立したか否かを判定する。このステップS1での判定がNOの場合には、自動再始動条件が成立するまで、ECU10がステップS1での判定を繰り返す。一方、ステップS1での判定がYESの場合には、ステップS2に進む。
次のステップS2では、ECU10が、水温センサ11によって検出されたエンジン水温が所定の水温閾値以上か否かを判定する。このステップS2での判定がYESの場合には、ステップS3に進む。
次のステップS3では、ECU10が、吸気温センサ26によって検出された吸気温度が所定の吸気温閾値以上か否かを判定する。このステップS3での判定がYESの場合、換言すると、エンジン水温および吸気温度が共に所定値よりも高く筒内温度が相対的に高い状態にある場合には、ステップS4に進む。
次のステップS4では、ECU10が、大気圧センサ18によって検出された大気圧が気圧判定値を超えているか否かを判定する。このステップS4での判定がYESの場合、換言すると、エンジン自動停止中は大気圧で維持されている筒内圧が相対的に高い状態である場合には、ステップS5に進む。
次のステップS5では、ECU10が、マルチホールインジェクタ8の噴射回数を1回に設定し、ステップS6に進む。次のステップS6では、プレイグニッションを抑えつつ始動性を低下させないような噴射量(II)を、次のステップS7では、例えば3回噴射におけるプレ噴射よりも進角させた噴射時期(II)を、次のステップS8では、噴射時期(II)に応じた点火時期(II)を、ECU10がそれぞれ設定する。
次のステップS9では、ECU10が、気筒1Aの吸気充填率を低下させるべく、吸気弁閉弁時期(II)を圧縮行程中まで遅らせるように設定した後、ステップS10に進む。
次のステップS10では、ECU10が、エンジン再始動が完了したこと(4つの気筒1Aすべてについて2回目の点火が行われたこと)を確認した後ENDする。
これらに対し、ステップS2〜ステップS4のいずれかでの判定がNOの場合、換言すると、気筒1Aの状態が所定状態にないと判定された場合には、ステップS11に進む。
次のステップS11では、ECU10が、マルチホールインジェクタ8の噴射回数を3回に設定し、ステップS12に進む。次のステップS12では噴射量(I)を、次のステップS13では噴射時期(I)を、次のステップS14では点火時期(I)を、次のステップS15では吸気弁閉弁時期(I)をECU10がそれぞれ設定し、ステップS10に進む。次のステップS10では、ECU10が、エンジン再始動が完了したことを確認した後ENDする。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記実施形態では、筒内圧がプレイグNG基準値以下か否かを判定するために、大気圧センサ18を用いたが、これに限らず、例えば筒内圧センサを用いるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、分割噴射の回数を3回にしたが、これに限らず、例えば2回または4回以上にしてもよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明によると、エンジン再始動時の始動性の向上を図りつつ、プレイグニッションの発生を抑制することができるので、自動停止再始動制御を行うとともに、自動停止したエンジンを再始動させる際に分割噴射を行うエンジンの制御装置に適用して極めて有益である。
1 エンジン
1A 気筒
2A 吸気バルブ(吸気弁)
8 マルチホールインジェクタ(燃料噴射弁)
10 ECU(制御装置)

Claims (1)

  1. 気筒内に燃料を直接噴射可能な燃料噴射弁を備えるエンジンに適用され、所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させる自動停止制御と、所定の再始動条件が成立したときに自動停止したエンジンを再始動させる自動再始動制御とを行うとともに、当該自動再始動制御の際に、機関1サイクルにおける1気筒に対する当該燃料噴射弁の噴射回数を複数回に設定する分割噴射を圧縮行程中に行うエンジンの制御装置であって、
    上記再始動条件が成立したときに、気筒の状態が、筒内温度が相対的に高い状態を含む所定状態にあると判定した場合には、機関1サイクルにおける1気筒に対する上記燃料噴射弁の噴射回数を1回に設定する通常噴射を行うとともに、吸気弁閉弁時期を圧縮行程中まで遅らせることを特徴とするエンジンの制御装置。
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