以下、本発明の実施の形態における保護回路を含む負荷駆動回路を用いたモータ駆動制御装置について説明する。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態の1つに係る保護回路110を用いたモータ駆動制御装置1の構成を示すブロック図である。
モータ駆動制御装置(負荷駆動回路の一例)1は、モータ(負荷の一例)20の巻線に電流を流し、モータ20を駆動させる。図1に示されるように、モータ駆動制御装置1は、保護回路110と、保護回路110の出力端子22,24から供給される電力に基づいてモータ20に電流を流す駆動回路部2と、駆動回路部2の動作を制御する制御回路部9とを備える。
以下に詳述するが、本実施の形態の保護回路110は、直流電源端子12,14と出力端子22,24とを有し、それぞれNチャネル型MOSFETである2つのスイッチング素子(第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2)と、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのゲート端子Gに接続されており、入力されたPWM信号Sqに基づいてゲート端子Gに電圧を印加して第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング動作を制御するゲート制御部8とを備え、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2は、直流電源端子12と出力端子22との間に、互いのソース端子S同士が接続されるようにして直列に配置されている(図2を参照)。
駆動回路部2は、インバータ回路2aと、プリドライブ回路2bとを有している。インバータ回路2aは、モータ20の各相についてハイ側、ロー側の2つのスイッチング素子を有している(図示せず)。
駆動回路部2は、三角波信号Stを生成する回路(図示せず)を内蔵している。三角波信号Stは、例えばモータ20を駆動するためのPWM信号(パルス幅変調信号)を生成するために用いることができるものであるが、これに限られるものではない。駆動回路部2は、生成した三角波信号Stを出力する端子を有している。三角波信号Stを出力する端子は、制御回路部9に接続されている。駆動回路部2は、三角波信号Stを制御回路部9に出力する。
制御回路部9は、プリドライブ回路2bに駆動制御信号(制御信号の一例)Sdを出力する。駆動制御信号Sdは、駆動回路部2の制御に関するパルス状の信号であり、例えば、PWM信号である。駆動制御信号Sdは、モータ20の各相について出力される。プリドライブ回路2bは、駆動制御信号Sdに基づいて、インバータ回路2aの各スイッチング素子を駆動する(オン、オフする)信号を各スイッチング素子の制御端子に出力する。インバータ回路2aは、各スイッチング素子のオン、オフに応じて、保護回路110の出力端子22,24から供給される電力をモータ20に出力する。これにより、モータ20が駆動される。
制御回路部9には、パルス信号Spが入力される。パルス信号Spは、例えば、モータ駆動制御装置1の外部から入力される。パルス信号Spは、例えば、モータ20の回転速度を指示するための信号であり、指示する回転速度に応じたデューティ比のPWM信号である。なお、パルス信号Spは、例えば、指示する回転速度に応じた周波数の信号であってもよい。制御回路部9は、入力されたパルス信号Spに応じて、駆動制御信号Sdを出力する。例えば、制御回路部9は、入力されたパルス信号Spに応じたデューティ比の駆動制御信号Sdを出力する。
本実施の形態において、制御回路部9は、PWM信号Sqを保護回路110に出力するPWM信号出力部9aを有する。PWM信号出力部9aは、PWM信号Sqを生成して出力する。後述するように、PWM信号出力部9aは、制御回路部9に入力された三角波信号Stに基づいて、PWM信号Sqを生成する。
保護回路110は、直流電源端子12,14と出力端子22,24とを有している。直流電源端子12及び出力端子22は、ハイ側(高電圧側)の端子である。他方、直流電源端子14及び出力端子24は、ロー側(低電圧側)の端子である。ロー側の直流電源端子14及び出力端子24は、グランド(GND)に接続されている(接地電位となっている)。直流電源端子12には、電源電圧Vddが接続される。
保護回路110は、保護動作部5と、ゲート制御部8とを備えている。保護動作部5は、直流電源端子12と出力端子22との間に配置されている。ゲート制御部8は、保護動作部5と、制御回路部9とに接続されている。ゲート制御部8には、PWM信号出力部9aから出力されたPWM信号Sqが入力される。
図2は、保護回路110の構成を示す回路図である。
保護回路110は、それぞれNチャネル型MOSFETである2つのスイッチング素子(第1のスイッチング素子Q1、第2のスイッチング素子Q2)を含む保護動作部5と、ゲート制御部8とを備えている。また、保護回路110は、出力端子22,24側の正極と陰極との間に接続された平滑用コンデンサC1を備えている。
第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2は、直流電源端子12,14と出力端子22,24との間に、互いのソース端子S同士が接続されるようにして直列に配置されている。すなわち、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2は、直流電源端子12,14と平滑用コンデンサC1の正極との間に、互いのソース端子S同士が接続されるようにして直列に配置されている。第1のスイッチング素子Q1のドレイン端子Dは、直流電源端子12に接続されている。第1のスイッチング素子Q1のソース端子Sは、第2のスイッチング素子Q2のソース端子Sに接続されている。第2のスイッチング素子Q2のドレイン端子Dは、出力端子22に接続されている。すなわち、第2のスイッチング素子Q2のドレイン端子Dは、平滑用コンデンサC1の一端に接続されている。平滑用コンデンサC1の他端は、グランドに接続されている。
このように配置されている第1のスイッチング素子Q1は、突入電流低減回路5aとして機能する。すなわち、第1のスイッチング素子Q1の寄生ダイオードは、出力端子22から直流電源端子12に向けて順方向となる向きとなる。そのため、第1のスイッチング素子Q1がオフのとき、直流電源端子12から出力端子22に向けて電流が流れない。第1のスイッチング素子Q1が後述のようにしてオンになることにより、第1のスイッチング素子Q1のドレイン、ソース間の電流が徐々に流れるので、突入電流が流れるのを防止することができる。
また、上記のように配置されている第2のスイッチング素子Q2は、逆接続保護回路5bとして機能する。すなわち、第2のスイッチング素子Q2の寄生ダイオードは、直流電源端子12から出力端子22に向けて順方向となる向きとなる。そのため、第2のスイッチング素子Q2がオフのとき、出力端子22から直流電源端子12に向けて電流が流れない。したがって、直流電源端子12,14に逆の向きに電源が接続された場合(逆接続の場合)において、保護回路110に電流が流れず、逆接続時にモータ駆動制御装置1を保護することができる。
ゲート制御部8は、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのゲート端子Gに接続されており、入力されたPWM信号Sqに基づいてゲート端子Gに電圧を印加して第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング動作(オン、オフ動作)を制御する。
すなわち、第1のスイッチング素子Q1のゲート端子Gと第2のスイッチング素子Q2のゲート端子Gとは、ゲート制御部8に接続されている。また、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのソース端子Sも、ゲート制御部8に接続されている。このソース端子Sとゲート制御部8とを接続するラインには、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのゲート端子Gが、抵抗を介して接続されている。
ゲート制御部8は、PWM信号Sqが入力されるゲートドライバ8aを有している。本実施の形態において、ゲートドライバ8aは、ハーフブリッジドライバ(ハイサイドローサイドドライバ)の一例である。ゲートドライバ8aは、例えば、ローサイドの入力端子LIN,ハイサイドの入力端子HIN,ローサイドのプラス電源端子Vcc(ゲートドライバ8aのプラス電源端子も兼ねる),ローサイドのマイナス電源端子COM(ゲートドライバ8aのマイナス電源端子も兼ねる)、ハイサイドのプラス電源端子VB,ハイサイドのマイナス電源端子VS、ローサイドの出力端子LO,及びハイサイドの出力端子HOを有している。ハイサイドのプラス電源端子VB,ハイサイドのマイナス電源端子VS間には、ブートストラップコンデンサCbが接続されており、ゲートドライバ8aは、ブートストラップ方式で出力を行う。以下に詳述するが、ゲートドライバ8aのハイサイドの入力端子HINにPWM信号Sqが入力され、ゲートドライバ8aのローサイドの入力端子LINにPWM信号Sqに基づくパルス信号が入力される。
PWM信号出力部9aは、ゲートドライバ8aのハイサイドの入力端子HINに接続されている。ゲートドライバ8aのハイサイドの入力端子HINに、PWM信号出力部9aから出力されたPWM信号Sqが入力される。第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のゲート端子Gは、ゲートドライバ8aのハイサイドの出力端子HOに接続されている。ゲートドライバ8aは、PWM信号Sqの振幅を増幅させて出力することで、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング動作を制御する。ゲートドライバ8aは、入力されたPWM信号Sqのオン期間に対応する期間に、ブートストラップコンデンサCbの電荷を利用して、ハイサイドの出力端子HOから、ハイサイドのマイナス電源端子VSの電圧にローサイドのプラス電源端子Vccの電圧を加えた電圧すなわち電源電圧Vddよりも高い電圧を出力する。出力端子HOは、抵抗を介して第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のゲート端子Gに接続されている。これにより、入力されたPWM信号Sqのオン期間に対応して、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2がオンになる。電源電圧Vddよりも高い電圧が出力端子HOからゲート端子Gに印加されるため、Nチャネル型MOSFETであるスイッチング素子Q1,Q2がオンとなる。
また、ゲート制御部8は、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのソース端子Sをグランドに接続する第3のスイッチング素子Q3と、PWM信号Sq及び直流電源端子12,14の電圧に基づいてパルス信号を生成するパルス信号生成回路8bと、レギュレータ8cとを有している。
本実施の形態において、第3のスイッチング素子Q3は、Nチャネル型MOSFETである。第3のスイッチング素子Q3のソース端子Sは、グランドに接続されている。第3のスイッチング素子Q3のドレイン端子Dは、ダイオードを介して、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のソース端子Sに接続されている。また、第3のスイッチング素子Q3のドレイン端子Dは、ダイオードと抵抗とを介して、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのゲート端子Gに接続されている。第3のスイッチング素子Q3がオンになると、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのソース端子S、ゲート端子Gに蓄積されている電荷がグランドに逃げる。
第3のスイッチング素子Q3の制御端子(ゲート端子G)は、抵抗を介して、ゲートドライバ8aのローサイドの出力端子LOに接続されている。
レギュレータ8cは、直流電源端子12と直流電源端子14との間に接続されている。レギュレータ8cは、ダイオードやトランジスタ等を有している。レギュレータ8cは、直流電源端子12に印加された電源電圧Vddに基づいて所定の電圧を出力する。レギュレータ8cから出力された電圧は、ゲートドライバ8aとブートストラップコンデンサCbとに入力される。すなわち、ローサイドのプラス電源端子Vcc、ハイサイドのプラス電源端子VBに入力される。また、レギュレータ8cから出力された電圧は、パルス信号生成回路8bに入力される。
ゲートドライバ8aのローサイドの入力端子LINに、PWM信号Sqに基づくパルス信号が入力される。パルス信号生成回路8bは、PWM信号Sq及び直流電源端子12,14の電圧に基づいてパルス信号を生成する。
パルス信号生成回路8bは、PWM信号Sqが制御端子に入力される第4のスイッチング素子Q4を有している。本実施の形態において、第4のスイッチング素子Q4は、Nチャネル型MOSFETである。パルス信号生成回路8bは、第4のスイッチング素子Q4のほか、抵抗等で構成されている。
第4のスイッチング素子Q4のソース端子Sは、グランドに接続されている。レギュレータ8cの出力端は、抵抗を挟んで、第4のスイッチング素子Q4のドレイン端子Dと、ゲートドライバ8aのローサイドの入力端子LINとに接続されている。第4のスイッチング素子Q4がオンのとき、ローサイドの入力端子LINはグランドに接続され、第4のスイッチング素子Q4がオフのとき、ローサイドの入力端子LINには抵抗を介してレギュレータ8cの出力電圧が入力される。すなわち、パルス信号生成回路8bは、第4のスイッチング素子Q4のオン、オフに応じたパルス信号を、レギュレータ8cの出力電圧すなわち直流電源端子12,14の電圧に基づいて出力する。
第4のスイッチング素子Q4の制御端子(ゲート端子G)は、抵抗を介して、PWM信号出力部9aに接続されている。PWM信号出力部9aから出力され、ハイサイドの入力端子HINに入力されるPWM信号Sqは、第4のスイッチング素子Q4のゲート端子Gにも入力される。第4のスイッチング素子Q4は、PWM信号Sqに対応してスイッチング動作(オン、オフ動作)を行う。すなわち、ゲートドライバ8aのローサイドの入力端子LINに入力されるパルス信号は、PWM信号Sqに対応してオフ、オンを繰り返す、PWM信号Sqに基づく信号である。
図3は、保護回路110の各点の電圧の推移を示すグラフである。
図3においては、図2にH,J,Kで示す各点の電圧の推移が同一の軸に重ねて示されている。すなわち、H点は、ハイサイドの入力端子HINの電圧である。J点は、出力端子HOの電圧である。K点は、保護回路110の出力端子22の電圧である。
なお、図3においては、各部位の電圧が簡易的に表現されて示されており、各部のスイッチング素子等の動作遅れ等は考慮されていない。
図3においては、保護回路110が定常の駆動状態であるときが示されている。図3において示されている例では、ゲートドライバ8aのハイサイドの入力端子HINに、入力信号としてデューティ比(オンデューティ)が50パーセントのPWM信号Sq(具体例として、例えば、周期1kHz、電圧10V)が入力されている。このとき、PWM信号Sqの入力に伴い、出力端子HOから、電源電圧Vdd以上の電圧が、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2に出力される。そのため、ハイサイドの出力端子HOの出力がハイである間、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2は開放状態となる。ハイサイドの出力端子HOの出力がローである間、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2は閉じる。そうすると、平滑用コンデンサC1が放電されることにより、出力端子22の電圧がある程度維持される。これにより、このように、オフ期間からオン期間に移る前後において出力端子22の電圧に多少リップルは発生するものの、継続的にハイサイドの入力端子HINにPWM信号Sqを入力することにより、安定した電源の供給を行える。
図4は、保護回路110の動作を説明する図である。図5は、保護回路110の各部の電圧の推移を示すタイミングチャートである。
図4においては、保護回路110の動作タイミングを大きくA,B,Cの3段階に分け、各動作タイミングにおける、ゲートドライバ8aの挙動と、ゲートドライバ8aの動作を補佐する部分の挙動とが示されている。ここで、ゲートドライバ8aの動作を補佐する部分とは、第3のスイッチング素子Q3及びパルス信号生成回路8bが設けられている部分をいう。なお、図4において、ステップS1からステップS24までの各動作手順の段階のうち、ゲートドライバ8aの挙動と、ゲートドライバ8aの動作を補佐する部分の挙動とが併記されている段階があるが、これは、両挙動が同時に発生することを必ずしも意味しない。なお、図4においては、各部のスイッチング素子等の動作遅れ等は考慮されていない。
図5においては、上段から、ゲートドライバ8aのハイサイドの入力端子HINに入力されるPWM信号Sqの電圧、ゲートドライバ8aのハイサイドの出力端子HOの出力電圧、ゲートドライバ8aのハイサイドのマイナス電源端子VSの電圧、第2のスイッチング素子Q2のドレイン端子Dの電圧、ゲートドライバ8aのローサイドの入力端子LINに入力されるパルス信号の電圧、ゲートドライバ8aのローサイドの出力端子LOの電圧が、それぞれ示されている。縦軸はそれぞれの電圧値を示し、横軸は時間を示す。横軸に示されたA,B,Cの各タイミングは、図4に示される動作タイミングを示している。なお、図5においては、各部位の電圧が簡易的に表現されて示されており、各部のスイッチング素子等の動作遅れ等は考慮されていない。
まず、モータ駆動制御装置1の起動が開始されるとき、直流電源端子12,14に電源電圧Vddが印加される(ステップS1)。そうすると、モータ駆動制御装置1の各部が起動する。すなわち、保護回路110のゲートドライバ8aに電力が供給され、ゲートドライバ8aが起動する。また、PWM信号出力部9aを有する制御回路部9も起動する(ステップS2)。
モータ駆動制御装置1の各部が起動すると、動作タイミングAの動作が行われる。動作タイミングAでは、ステップS3からステップS8の挙動が順次発生する。
すなわち、制御回路部9のPWM信号出力部9aから出力されるPWM信号Sqがハイ(H)期間となる(ステップS3)。PWM信号Sqのハイ(H)信号(電圧は、例えばa[V]である。)は、ゲートドライバ8aのハイサイドの入力端子HINに入力される(ステップS4)。そうすると、ゲートドライバ8aの出力端子HOから、ハイ(H)信号(電圧は、例えばX[V]である。ただし、Xはaよりも大きい値である。)が出力される(ステップS5)。
ゲートドライバ8aのハイサイドの出力端子HOからハイ信号が出力されると、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのゲート端子Gに、ハイ信号が入力される(ステップS6)。これにより、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2がゲートを開放する(ステップS8)。
一方、このときパルス信号生成回路8bでは、第4のスイッチング素子Q4にも、PWM信号Sqのハイ信号(電圧は、例えばa[V]である。)が入力される(ステップS4)。そうすると、第4のスイッチング素子Q4がゲートを開放する(ステップS5)。
第4のスイッチング素子Q4がゲートを開放することで、ゲートドライバ8aのローサイドの入力端子LINがグランドに接続され、ローサイドの入力端子LINにロー(L)信号が入力される(ステップS6)。すなわち、ローサイドの入力端子LINの電圧が0Vになる。そのため、ゲートドライバ8aは、ローサイドの出力端子LOから、ロー信号を出力する(ステップS7)。ローサイドの出力端子LOから出力されるロー信号は、例えば、0Vである。これにより、第3のスイッチング素子Q3は、ゲートを閉じる(ステップS8)。
次に、動作タイミングBの動作が行われる。動作タイミングBでは、ステップS9からステップS11の挙動が順次発生する。
すなわち、第1のスイッチング素子Q1がオンになると、保護動作部5に電源電圧Vdd(電圧は、例えばY[V]である。)が印加される(ステップS9)。そうすると、ゲートドライバ8aのハイサイドのマイナス電源端子VSに、電源電圧Vddが入力される(ステップS10)。これにより、ゲートドライバ8aのハイサイドの出力端子HOから、より電圧が高いハイ(H)信号(電圧は、例えば(X+Y)[V]である。)が出力される(ステップS11)。
このように動作タイミングBの動作が行われることで、次の動作タイミングCまでの間、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2はゲートを開放した状態を持続し(ステップS12)、ゲート制御部8の内部のブートストラップコンデンサCbは放電する(ステップS13)。第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のゲート端子Gの電圧が十分に高いので、ゲートを開放した状態が安定して持続する。
次に、動作タイミングCの動作が行われる。動作タイミングCでは、ステップS14からステップS22の挙動が順次発生する。
動作タイミングCの動作は、PWM信号Sqがオフ期間となるときのものである。動作タイミングCでは、制御回路部9のPWM信号出力部9aから出力されるPWM信号Sqがロー(L)信号となる(ステップS14)。PWM信号Sqのロー(L)信号(電圧は、例えば0[V]である。)は、ゲートドライバ8aのハイサイドの入力端子HINに入力される(ステップS15)。そうすると、ゲートドライバ8aのハイサイドの出力端子HOから、ロー(L)信号(電圧は、例えば0[V]である。)が出力される(ステップS16)。出力端子HOからロー信号が出力されると、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのゲート端子Gに、ロー信号が入力される(ステップS17)。
一方、このときパルス信号生成回路8bでは、第4のスイッチング素子Q4にも、PWM信号Sqのロー(L)信号が入力される(ステップS15)。そうすると、第4のスイッチング素子Q4がゲートを閉じる(ステップS16)。
第4のスイッチング素子Q4がゲートを閉じると、ゲートドライバ8aのローサイドの入力端子LINに、レギュレータ8cから出力された電圧に基づくハイ(H)信号(電圧は、例えばa[V]である。)が入力される(ステップS17)。そうすると、ゲートドライバ8aは、ローサイドの出力端子LOから、ハイ(H)信号(電圧は、例えばX[V]である。)を出力する(ステップS18)。これにより、第3のスイッチング素子Q3は、ゲートを開放する(ステップS19)。
第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2は、ゲート端子Gにロー信号が入力されることにより、ゲートを閉じる(ステップS20)。また、第3のスイッチング素子Q3がゲートを開放していることにより、保護動作部5がグランドに接続される。そうすると、ゲートドライバ8aのハイサイドのマイナス電源端子VSの電圧が、0[V]に降圧し(ステップS21)。保護動作部5の電圧が降下する(ステップS22)。
そうすると、PWM信号Sqがオフ期間である間、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2がゲートを閉じた状態を持続する(ステップS23)。また、ブートストラップコンデンサCbが充電され、次のオン期間の動作に備えられる(ステップS24)。
なお、このとき、第2のスイッチング素子Q2がオフであるため、平滑用コンデンサC1が放電する。そのため、図5に示されるように、動作タイミングCになった後に、当初は、第2のスイッチング素子Q2のドレイン端子Dの電圧すなわち保護回路110の出力電圧は、Y[V]に維持される。出力電圧は、時間の経過と共に徐々に降下するが、その後、再びPWM信号Sqがオン期間となると、Y[V]に戻る。
その後、再びPWM信号Sqがオン期間、オフ期間となる度に、動作タイミングAからCの動作が繰り返される。図5に示されるように、各動作タイミングにおいて、電圧は、時間の経過と共に徐々に上昇又は降下する。なお、ゲートドライバの仕様によっては、例えば、動作タイミングがCから開始される場合もあるので、上記の挙動に限定されない。
図6は、制御回路部9の構成を説明する図である。
図6において、示されるF点は、図1及び図2に示されているF点に対応する。
以下に詳述するが、制御回路部9は、駆動回路部2の制御に関するパルス状の駆動制御信号Sdと、駆動回路部2から出力される三角波信号Stに対応するデューティ補償信号Scとに基づいて、PWM信号出力部9aからPWM信号Sqを保護回路110に出力する。
図6に示されるように、本実施の形態において、駆動回路部2のうち、プリドライブ回路2bは、集積回路(IC)で構成されている。プリドライブ回路2bは、例えば、駆動制御信号Sdが入力される端子(ここでは、CONT端子)や、三角波信号Stが出力される端子(ここでは、SOSC端子)を有している。制御回路部9から出力される駆動制御信号Sdは、CONT端子からプリドライブ回路2bに入力される。また、SOSC端子から出力された三角波信号Stは、制御回路部9に入力される。
制御回路部9は、三角波信号Stに基づいてデューティ補償信号Scを生成する信号波形生成部9cと、合成用信号(制御信号に対応する信号の一例)Ssとデューティ補償信号Scとを合成して生成したPWM信号Sqをゲート制御部8に出力するPWM信号出力部9aと、スロースタート回路9dと、反転用スイッチング素子Q7とを有している。制御回路部9は、電源端子に接続されている。電源端子には、モータ駆動制御装置1が使用されるときに例えば5ボルトの電源電圧が印加される。
PWM信号出力部9aは、2つの入力端子(図6に示されるE1点及びE2点)に入力される2つの信号がそれぞれ通過する2つのダイオードを有している。それぞれのダイオードのカソード同士は接続されており、この接続点がゲート制御部8に接続されている(図6に示されるF点)。PWM信号出力部9aは、2つのダイオードに入力された2つの信号を合成して出力する。
PWM信号出力部9aの第1の入力端子(図6に示されるE1点;以下、第1の入力端子E1ということがある)は、抵抗を介して電源端子に接続されており、PWM信号出力部9aの第2の入力端子(図6に示されるE2点;以下、第2の入力端子E2ということがある)は、信号波形生成部9cに接続されている。
本実施の形態において、信号波形生成部9cは、例えば、集積回路である。信号波形生成部9cは、例えば、Sp入力端子と、マイナス側のCOMP入力端子(COMP入力端子(マイナス))と、プラス側のCOMP入力端子(COMP入力端子(プラス))と、COMP出力端子と、PWM出力端子とを有している。
Sp入力端子には、外部からパルス信号Spが入力される。マイナス側のCOMP入力端子は、プリドライブ回路2bのSOSC端子に接続されている。マイナス側のCOMP入力端子には、三角波信号Stが入力される。プラス側のCOMP入力端子には、スロースタート回路9dが接続されている。COMP出力端子は、PWM信号出力部9aの第2の入力端子E2に接続されている。また、PWM出力端子は、プリドライブ回路2bのCONT端子に接続されている。信号波形生成部9cは、PWM出力端子からPWM信号である駆動制御信号Sdを出力する。
スロースタート回路9dは、電源端子とグランドとの間の電圧を2つの抵抗で分圧し、分圧した電圧をプラス側のCOMP入力端子に出力する。スロースタート回路9dは、2つの抵抗同士の接続点とプラス側のCOMP入力端子とを接続する経路とグランドとの間に配置されたコンデンサを備えている。スロースタート回路9dは、電源端子が5ボルトとなって時間が経過した定常時において、略定電圧を出力する。
反転用スイッチング素子Q7は、例えば、Nチャネル型MOSFETである。反転用スイッチング素子Q7のゲート端子Gは、信号波形生成部9cのPWM出力端子及びプリドライブ回路2bのCONT端子と共に、電源端子とグランドとの間の電圧を分圧するように配置された2つの抵抗同士の接続点に接続されている。これらの2つの抵抗のうち電圧端子側の抵抗は、PWM信号出力部9aの第1の入力端子E1に接続されている抵抗の電圧端子側の端子に接続されている。反転用スイッチング素子Q7のドレイン端子Dは、PWM信号出力部9aの第1の入力端子E1に接続されている抵抗のPWM信号出力部9a側の端子に接続されている。反転用スイッチング素子Q7のソース端子Sは、グランドに接続されている。
信号波形生成部9cは、外部から入力されるパルス信号Spに基づいて、駆動制御信号(制御信号の一例)Sdを生成する。すなわち、信号波形生成部9cのPWM出力端子から、パルス信号Spのデューティ比に対応するデューティ比のPWM信号が駆動制御信号Sdとして出力される。
駆動制御信号Sdがオン期間であるとき、反転用スイッチング素子Q7がオンになり、PWM信号出力部9aの第1の入力端子E1がグランドに接続される。すなわち、第1の入力端子E1の電圧がローとなる。駆動制御信号Sdがオフ期間になると、反転用スイッチング素子Q7がオフになり、PWM信号出力部9aの第1の入力端子E1に電源端子の電圧に基づく電圧が入力される。すなわち、第1の入力端子E1の電圧がハイとなる。このように、第1の入力端子E1には、駆動制御信号Sdに対応する合成用信号Ssが入力される。合成用信号Ssは、駆動制御信号Sdの波形を反転した波形を有するパルス状の信号である。合成用信号Ssは、駆動制御信号Sdを反転させたタイミングでハイとローとを繰り返す、パルス状の信号である。換言すると、合成用信号Ssは、駆動制御信号SdのPWM周期に占めるオフ期間の割合をデューティ比(オンデューティ)とするPWM信号である。
本実施の形態において、信号波形生成部9cは、2つのCOMP入力端子(COMP入力端子(マイナス)、COMP入力端子(プラス))に入力された電圧を比較して、比較結果をデューティ補償信号ScとしてPWM信号出力部9aの第2の入力端子E2に出力する。本実施の形態において、信号波形生成部9cは、2つのCOMP入力端子に入力された電圧の比較結果となるパルス状の信号を、デューティ補償信号Scとして出力する。デューティ補償信号Scは、三角波信号Stの電圧(マイナス側のCOMP入力端子に入力された電圧)よりもスロースタート回路9dから出力された電圧(プラス側のCOMP入力端子に入力された電圧)が高いときにハイとなり、三角波信号Stの電圧がスロースタート回路9dから出力された電圧が低いときにローとなるパルス状の信号である。デューティ補償信号Scの周波数は三角波信号Stの周波数と同じであり、デューティ補償信号Scのデューティ比は、スロースタート回路9dから出力される電圧が高くなるほど大きくなる。本実施の形態において、デューティ補償信号Scのデューティ比が例えば50パーセントとなるように、スロースタート回路9dから出力される電圧が設定されている。
図7は、PWM信号Sqの合成について説明する図である。
図7の下段には、第1の入力端子E1の電圧の推移すなわち合成用信号Ssの波形が示されている。図7の中段には、第2の入力端子E2の電圧の推移すなわちデューティ補償信号Scの波形が示されている。図7の上段には、PWM信号出力部9aの出力電圧(図7におけるF点の電圧)の推移すなわちPWM信号Sqの波形が示されている。
図7に示されるように、PWM信号Sqの波形は、合成用信号Ssとデューティ補償信号Scとを合成した波形となる。そのため、PWM信号Sqは、合成用信号Ssやデューティ補償信号Scのそれぞれと比較して、一定時間当たりのオン期間が長い信号となる。換言すると、PWM信号Sqは、合成用信号Ssやデューティ補償信号Scのそれぞれと比較して、デューティ比が比較的大きい信号となる。
なお、確実にPWM信号Sqのデューティ比を大きくするために、合成用信号Ssの周波数とデューティ補償信号Scの周波数とは、一方が他方の倍数となるような関係ではないことが望ましい。すなわち、合成用信号Ssの周波数とデューティ補償信号Scの周波数とは、互いにずれていることが望ましい。
このようなPWM信号Sqがゲート制御部8に入力されることにより、ゲート制御部8が、上述のように駆動される。
ここで、本実施の形態において、制御回路部9は、保護回路110の動作開始時において、PWM信号出力部9aから出力するPWM信号Sqのデューティ比(オンデューティ、すなわち、PWM周期に占めるオン期間の割合)を徐々に増加させるスロースタート動作を行う。すなわち、スロースタート回路9dは、保護回路110の動作が開始する場合において、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのゲート端子Gの電圧のオン時間を徐々に増加させる。
具体的には、保護回路110及び制御回路部9が電源に接続され(以下、電源がオンとなるということがある)、保護回路110の動作が開始する場合において、スロースタート回路9dから出力され、プラス側のCOMP入力端子に入力される電圧はゼロから徐々に上昇する。すなわち、制御回路部9の電源端子に5ボルトの電圧が印加された直後は、スロースタート回路9d内のコンデンサが充電されていないため、スロースタート回路9dから出力される電圧は低い。時間の経過に伴いスロースタート回路9d内のコンデンサが充電されると、スロースタート回路9dから出力される電圧も上昇する。そうすると、電源がオンされた直後は、三角波信号Stのほうがスロースタート回路9dから出力される電圧よりも高いため、デューティ補償信号Scのデューティ比は低く、時間が経過してスロースタート回路9dから出力される電圧が上昇するのに伴って、デューティ補償信号Scのデューティ比が高くなる。したがって、デューティ補償信号Scが合成用信号Ssと合成されて生成されるPWM信号Sqのデューティ比は、電源がオンされてから徐々に増加する。そのため、保護回路110の動作が開始する場合において、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのゲート端子Gの電圧のオン時間が徐々に増加することとなる。
なお、本実施の形態において、制御回路部9は、保護回路110の動作が開始する場合において、PWM信号Sqのデューティ比を低い値(例えば、0パーセント)から徐々に増加させる。すなわち、信号波形生成部9cは、電源がオンされた直後において、駆動制御信号Sdのデューティ比を100パーセントとすることで、合成用信号Ssのデューティ比を0パーセントとするように構成されている。上述のように、電源がオンされた直後において、スロースタート回路9dから出力される電圧はゼロから徐々に上昇するため、デューティ補償信号Scのデューティ比が例えば0パーセントから徐々に上昇する。そのため、デューティ補償信号Scと合成用信号Ssとを合成してなるPWM信号Sqのデューティ比が、0パーセントから徐々に増加する。なお、信号波形生成部9cは、電源がオンされた場合に、合成用信号Ssのデューティ比を低い値から徐々に上昇させるように構成されていてもよいし、合成用信号Ssのデューティ比を所定時間だけ低い値に保つように構成されていてもよい。
ゲートドライバ8aには、起動時には、例えば0パーセントから徐々にデューティ比が上昇するPWM信号Sqが入力される。そのため、保護回路110の出力電圧は、PWM信号Sqのデューティ比に応じて、徐々に上昇する。なお、デューティ比の増加態様(時間の経過と増加量との関係等)は、例えば、電源電圧Vddの大きさや、平滑用コンデンサC1の大きさ等を鑑みて適宜設定されればよい。
このように保護回路110の動作開始時にスロースタート動作が行われた後の定常駆動時には、PWM信号出力部9aは、上述のように、デューティ比が一定値以上のPWM信号Sqを出力する。
動作開始時におけるPWM信号Sqのデューティ比の終点となる所定のデューティ比や、定常駆動時におけるPWM信号Sqのデューティ比の下限の値は、要求される保護回路110からの出力電圧の大きさや、電源電圧Vdd等に応じて適宜設定されればよい。
なお、信号波形生成部9cを、三角波信号Stの電圧とスロースタート回路9dから出力される電圧とを比較するコンパレータを用いた回路として構成することも可能である。この場合、例えばパルス信号Spを駆動制御信号Sdとして出力することができるが、この場合には電源がオンされた直後のPWM信号Sqのデューティ比は0パーセントではなく、パルス信号Sqのデューティ比に対応する値となる。
以上説明したように、本実施の形態において、保護回路110および制御回路部9が上記のような構成を有しているので、以下のように、安価な構成で設計自由度の高いモータ駆動制御装置1を提供することができる。
モータ駆動制御装置1に、電源が正極性で接続された場合には、第1のスイッチング素子Q1のドレイン端子Dに電源電圧Vddが印加される。このとき、第1のスイッチング素子Q1及び第2のスイッチング素子Q2がオフであると、電流は流れない。PWM信号出力部9aから出力されるPWM信号に応じて第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2がスイッチング動作(オン、オフ動作)を繰り返すことにより、電流が流れる。PWM信号は小さいデューティ比から徐々に増加するため、保護回路110を流れる電流は当初は小さく、その後、徐々に大きくなる。
一般に、大容量の平滑コンデンサ等を持つ電子機器は、電源を投入する際などにおいて、平滑コンデンサが充電されるため、定常電流値を超える大きな突入電流が流れることがある。突入電流が流れると、回路に使用されている素子が過剰に発熱するなどし、誤作動や故障が発生する可能性がある。
しかしながら、本実施の形態においては、平滑用コンデンサC1の充電が開始される起動時において、上記のように保護回路110を流れる電流が当初は小さく、徐々に大きくなる。したがって、突入電流が流れることがなくなる。
また、モータ駆動制御装置1に、電源が誤って逆に接続された場合には、第2のスイッチング素子Q2に印加される電圧は、寄生ダイオードとは逆方向になる。そのため、第2のスイッチング素子Q2に電流は流れず、保護回路110が逆接続から保護される。
本実施の形態においては、保護動作部5の第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2として、低コストでかつ安定して入手可能なNチャネル型MOSFETを利用することができる。したがって、保護回路110の製造コストを低くすることができる。また、ダイオードを用いた逆接続保護回路よりも発熱を抑制できる。
また、ゲートドライバ8aにより、保護動作部5の動作が制御される。ゲートドライバ8aとして、一般的なゲートドライバを用いることができるため、保護回路110の設計の自由度及び汎用性が高くなる。保護回路110の入力電圧に関する制限が少なくなる。また、保護回路110の製造コストを低くすることができる。保護回路110を小型化することができる。
第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2は、Nチャネル型MOSFETであるが、チャージポンプ方式ではなく、スイッチング動作(オン、オフ動作)を繰り返すブートストラップ方式で駆動される。そのため、スイッチング素子Q1,Q2は、ソース端子S同士が接続されており、スイッチングオフ時には、ソース端子Sに電荷が入らないように構成されている。ゲートドライバ8aに入力するPWM信号のデューティ比によって、保護回路110の出力電圧が変化する。したがって、例えばCRの時定数を設定するハードウェアによる回路構成を設けることなく、PWM信号Sqのデューティ比を当初は低くすることによって、スロースタート動作を行い、適切に突入電流を低減させることができる。保護回路110が用いられる様々な構成において、保護回路110の起動時の電流調整を容易に行うことができ、突入電流を低減させることができる。また、定常時の出力電圧を容易に設定することができる。
保護回路110を駆動するためのPWM信号Sqは、制御回路部9から出力される。制御回路部9は、いわゆるフルマイコンのような高価なICを用いることなく、安価な構成とすることができる。すなわち、補助的に用いられるマイコンやコンパレータ等を用いて信号波形生成部9cを構成し、モータ駆動用途に広く用いられているプリドライブ回路2bのような汎用的なICなどから出力される三角波信号St等を利用することで、PWM信号Sqを簡素な回路構成の制御回路部9から出力させることができる。
デューティ補償信号Scを生成することにより、PWM信号Sqの最低のデューティ比を補償することができる。そのため、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のオフ時間を小さくすることができ、保護回路110の出力電圧を一定に保つことができる。
モータ駆動制御装置1の駆動を開始するとき、上述のようにスロースタート動作を行い、適切に突入電流を低減させることができる。スロースタート動作は、制御回路部9から出力されるPWM信号Sqのデューティ比を変化させることで行うことができる。したがって、必ずしも保護回路110側にスロースタート動作を行うための回路構成を設けることなく、スロースタート動作を実現することができる。
[変形例の説明]
上記の実施の形態に係る保護回路110や、制御回路部9などについて、一部の構成を変更してもよい。
上述のようにスロースタート動作を制御回路部9で行うことができるので、保護回路110は、スロースタート動作を行うための回路を用いなくてもよい。
保護回路110のゲート制御部8で用いられるゲートドライバとして、上述のようなローサイドドライバに代えて、ハイサイドドライバを用いてもよい。この場合、例えば、パルス信号生成回路8bの第4のスイッチング素子Q4がオフになるときに第3のスイッチング素子Q3がオンとなるように、パルス信号生成回路8bに第3のスイッチング素子Q3を抵抗等を介して接続することができる。ゲートドライバとしてハイサイドドライバを用いることができるので、モータ駆動制御装置1の製造コストを低減させることができる。
保護回路110は、第3のスイッチング素子Q3及びパルス信号生成回路8bを有しておらず、第3のスイッチング素子Q3に代えて、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのソース端子Sとグランドとの間に配置された抵抗を有していてもよい。この場合。第3のスイッチング素子Q3及び第4のスイッチング素子Q4を省くことができ、モータ駆動制御装置1の製造コストをさらに低減させることができる。
保護回路は、保護回路の動作開始時において、第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのゲート端子Gの電圧を徐々に増加させるスロースタート回路をさらに備えていてもよい。スロースタート回路は、例えば、保護動作部5の後段に配置することができる。例えば、スロースタート回路は、ゲートドライバ8aのハイサイドの出力端子と第1,第2のスイッチング素子Q1,Q2のそれぞれのゲート端子Gとを接続する経路と、第2のスイッチング素子Q2のドレイン端子Dとの間に配置されたコンデンサと、コンデンサを放電させる抵抗と、逆流防止用のダイオード等を有する構成とすることができる。スロースタート回路は、そのコンデンサが充電されていない状態で保護回路110が起動されたとき、ゲートドライバ8aのハイサイドの出力端子から出力される電圧によってコンデンサを充電させる。このように保護回路110側でスロースタート回路を設けることで、制御回路部9において、必ずしもスロースタート回路9dを設けることなく、スロースタート動作を実現させることができる。
[その他]
モータ駆動制御装置の構成は、上述のものに限定されない。例えば、駆動回路部の全部又は一部(例えば、プリドライブ回路の一部又は全部など)が、制御回路部に含まれるようにしてもよい。この場合、制御回路部内で三角波信号が生成されるということもできる。平滑用コンデンサは、保護回路内に設けられていなくてもよい。平滑用コンデンサは、例えば、保護回路の外部に接続されていてもよい。
上述の実施の形態や変形例が組み合わされてモータ駆動制御装置が構成されるようにしてもよい。
モータの種類や相数などは、限定されない。
上述の実施の形態において、起動時に徐々にデューティ比が増加するPWM信号の起動直後のデューティ比は、必ずしも0パーセントでなくてもよい。
負荷は、モータに限られない。電子機器や電気を使用する部品、機器などであってもよい。例えば、照明の光源など、様々な負荷に電力を供給する用途に、保護回路や負荷駆動回路を用いることができる。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。