以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
(実施の形態)
<半導体チップの全体構造について>
図1は、本実施の形態の半導体チップCPの全体平面図であり、半導体チップCPにおけるピラー電極PLのレイアウト例が示されている。図2は、半導体チップCPの概念的な断面図であり、図1のA1−A1線における半導体チップCPの断面図が、図2にほぼ対応している。
本実施の形態の半導体チップCPは、一方の主面である上面と、上面とは反対側の主面である裏面(下面)とを有しており、図1には、半導体チップCPの上面が示されている。なお、半導体チップCPにおいて、パッドPDあるいはパッドPD上のピラー電極PLが形成された側の主面を、半導体チップCPの上面と呼び、上面とは反対側の主面を、半導体チップCPの裏面と呼ぶものとする。
図1および図2に示されるように、半導体チップCPは、上面側に、複数のパッド(パッド電極、電極パッド、ボンディングパッド)PDと、複数のパッドPD上にそれぞれ形成された複数のピラー電極(Cuピラー、柱状電極)PLを有している。各ピラー電極PLは、半導体チップCPの上面から突出している。このため、ピラー電極PLを突起電極とみなすこともできる。
複数のピラー電極PLは、半導体チップCPの複数のパッドPD上にそれぞれ形成されているため、平面視において、半導体チップCPにおけるパッドPDの配列とピラー電極PLの配列とは、同じである。すなわち、パッドPDとその上に形成されたピラー電極PLとは、対をなしている。パッドPDおよびその上に形成されたピラー電極PLは、半導体チップCPの外部接続用の端子として機能する。各ピラー電極PLの先端面(上面)上には、後述の半田層SD1が形成されているが、図2では半田層SD1の図示は省略している。なお、ピラー電極PLにおいて、パッドPDに接続する側とは反対側の面(主面)が、ピラー電極PLの先端面(上面)である。
他の形態として、半導体チップCPの複数のパッドPDが、その上にピラー電極PLが形成されるパッド(PD)だけでなく、その上にピラー電極PLが形成されないパッド(PD)を含む場合もあり得る。この場合、その上にピラー電極PLが形成されないパッド(PD)は、全体が後述の絶縁膜PAで覆われる。すなわち、電気的特性(グランド特性など)に応じて、半導体チップCPが有する複数のパッドPDのうちの一部のパッドについては、全体を後述の絶縁膜PAで覆うことで、後述の配線基板CBの端子TEとは電気的に接続しないパッドとすることも可能である。
半導体チップCPの平面形状は、四角形状であり、より特定的には、矩形状であるが、矩形の角に丸みを持たせることもできる。図1の場合は、半導体チップCPの上面(上面のほぼ全体)において、複数のピラー電極PLがアレイ状(行列状)に配列している。すなわち、図1の場合は、複数のピラー電極PLは、半導体チップCPの上面において、エリアアレイ配置で設けられている。
また、ピラー電極PLの配列(アレイ状の配列)において、列毎に1/2ピッチずつ配列をずらすことにより、複数のピラー電極PLを、いわゆる千鳥配列で配列させることもでき、その場合(千鳥配列の場合)が図3に示されている。図3も、図1と同様に、半導体チップCPの全体平面図であり、半導体チップCPにおけるピラー電極PLの他のレイアウト例が示されている。
<半導体装置の構造について>
図4および図5は、本実施の形態の半導体装置PKGを示す平面図であり、図4は、半導体装置PKGの上面図が示され、図5は、半導体装置PKGの下面図が示されている。図6は、本実施の形態の半導体装置PKGを示す断面図であり、図4および図5のA2−A2線における半導体装置PKGの断面図が、図6にほぼ対応している。図7は、本実施の形態の半導体装置PKGの要部断面図であり、図6における点線で囲まれた領域RG1の拡大図が示されている。すなわち、図7は、半導体チップCPのピラー電極PLと配線基板CBの端子TEとの接合部近傍の領域の拡大図に対応している。図8は、半導体装置PKGに用いられている配線基板CBの上面図であり、図9は、配線基板CBの下面図であり、図10は、配線基板CBの断面図であり、図11は、配線基板CBの要部断面図である。図8および図9のA3−A3線における配線基板CBの断面図が、図10にほぼ対応している。図8において、点線で示される領域CYが、半導体チップCPが搭載される領域(チップ搭載領域)に対応している。また、図11は、図10における点線で囲まれた領域RG2の拡大図に対応している。なお、図6と図10とは、同じ断面であり、図7と図11とは、同じ断面である。
図4〜図7に示される本実施の形態の半導体装置PKGは、半導体チップCPを備えた半導体パッケージ形態の半導体装置である。
図4〜図7に示されるように、本実施の形態の半導体装置(半導体パッケージ)PKGは、配線基板CBと、配線基板CBの上面CBa上に搭載(配置)された半導体チップCPと、半導体チップCPと配線基板CBとの間を満たす樹脂部(アンダーフィル樹脂)UFRと、配線基板CBの下面CBbに設けられた複数の半田ボール(外部端子、バンプ電極、半田バンプ)BLと、を有している。
半導体装置PKGにおいて、半導体チップCPは、配線基板CBの上面CBaにフリップチップ実装されている。すなわち、半導体チップCPは、半導体チップCPの裏面側が上方を向き、半導体チップCPの上面が配線基板CBの上面CBaに対向する向きで、複数のピラー電極PLを介して、配線基板CBの上面CBa上に搭載(実装)されている。従って、半導体チップCPは、配線基板CBの上面CBaにフェイスダウンボンディングされている。
半導体チップCPの上面の複数のピラー電極PLは、配線基板CBの上面CBaの複数の端子(ランド、導電性ランド、ボンディングリード、ボンディングフィンガ、基板側端子、電極)TEに、それぞれ半田層(半田材、半田部)SDを介して接合されている。すなわち、ピラー電極PLと端子TEとの間には、半田(半田材)からなる半田層SDが介在しており、その半田層SDによってピラー電極PLと端子TEとが接合されて電気的に接続されている。このため、半導体チップCPの上面の複数のピラー電極PLは、配線基板CBの上面CBaの複数の端子TEに、それぞれ半田層SDを介して電気的かつ機械的に接続されている。従って、半導体チップCPの複数のパッドPDは、配線基板CBの上面CBaの複数の端子TEに、ピラー電極PLおよび半田層SDを介してそれぞれ電気的に接続されている。これにより、半導体チップCPに形成された半導体集積回路は、パッドPDおよびピラー電極PLを介して配線基板CBの上面CBaの端子TEに電気的に接続される。
なお、本願において、半田または半田材というときは、錫と鉛を含む合金に限定されるものではなく、鉛フリー半田(無鉛はんだ)も含むものとする。フリップチップ接続に使用される鉛フリー半田(無鉛はんだ)は、錫に対して、銀、亜鉛、銅、ニッケル、ビスマス、アンチモンのいずれか1種類以上の元素を含む合金が好適に使用される。
半導体装置PKGにおいて、半導体チップCPと配線基板CBの上面CBaとの間に、アンダーフィル樹脂としての樹脂部UFRが充填されている。樹脂部UFRにより、半導体チップCPのピラー電極PLと配線基板CBの端子TEとの接続部を封止して保護することができる。また、半導体チップCPと配線基板CBとの熱膨張率の差による負担がピラー電極PLと端子TEとの接続部に加わるのを、樹脂部UFRにより緩衝することができる。これにより、半導体装置PKGの信頼性を向上させることができる。樹脂部UFRは、例えばエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの樹脂材料(例えば熱硬化性樹脂材料)からなり、フィラー(シリカなど)を含有することもできる。
配線基板(パッケージ基板)CBは、その厚さと交差する平面形状が矩形(四角形)であり、一方の主面である上面CBaと、上面CBaとは反対側の主面である下面CBbとを有している。配線基板CBの上面CBaのうち、チップ搭載領域(半導体チップCPを搭載する領域)には、半導体チップCPの上面におけるピラー電極PLの配列に対応した配列で、複数の端子TEが配列している。すなわち、配線基板CBの上面CBaのチップ搭載領域(CY)に半導体チップCPを搭載したときに、半導体チップCPの複数のピラー電極PLと配線基板CBの複数の端子TEとがそれぞれ対向するように、配線基板CBの上面CBaのチップ搭載領域に複数の端子TEが配列している。
このため、配線基板CBの上面CBaのチップ搭載領域(CY)における端子TEの配列の仕方は、半導体チップCPの上面におけるピラー電極PLの配列と同じである。このため、上記図1のように、半導体チップCPの上面において複数のピラー電極PLがアレイ状に配列している場合には、図8のように、配線基板CBの上面CBaのチップ搭載領域(CY)において、複数の端子TEはアレイ状に配列している。また、上記図3のように、半導体チップCPの上面において複数のピラー電極PLが千鳥配列で配列している場合には、図12のように、配線基板CBの上面CBaのチップ搭載領域(CY)において、複数の端子TEも千鳥配列で配列している。図12も、図8と同様に、配線基板の上面図であり、上記図3の半導体チップを搭載する場合の配線基板CBにおける端子TEのレイアウト例が示されている。
なお、配線基板CBの上面CBaのチップ搭載領域とは、配線基板CBの上面CBa上に半導体チップCPを搭載した後の段階では、配線基板CBの上面CBaのうち半導体チップCPを搭載した領域、すなわち、配線基板CBの上面CBaのうち半導体チップCPと平面視で重なる領域に対応する。また、配線基板CBの上面CBaのチップ搭載領域とは、配線基板CBの上面CBa上に半導体チップCPを搭載する前の段階では、配線基板CBの上面CBaのうち、後で半導体チップCPを搭載する予定の領域(チップ搭載予定領域)に対応する。従って、配線基板CBの上面CBaにおけるチップ搭載領域とは、半導体チップCPの搭載前と搭載後とで、同じ領域を指す。すなわち、配線基板CBの上面CBaのうち、半導体チップCPを搭載したときに半導体チップCPと平面視で重なる領域が、半導体チップCPの搭載前か搭載後かにかかわらず、チップ搭載領域である。ここで、平面視とは、配線基板CBの上面CBaに平行な平面で見た場合を言う。
また、後述の図14には、半導体装置PKGの製造に用いられる配線基板CBが示されている。後述の図14の配線基板CBにおいては、配線基板CBの上面CBaの端子TE上に半田層SD2が形成されているが、図4〜図7に示される製造後の半導体装置PKGでは、この配線基板CBの端子TE上の半田層SD2と、実装前の半導体チップCPのピラー電極PL上に形成されていた半田層SD1とが、溶融・再固化により一体化して、半田層SDとなっている。半導体装置PKGにおいては、半導体チップCPのピラー電極PLは、配線基板CBの端子TEに、半田層SDを介して接合されて固定されている。
また、半導体装置PKGにおいて、配線基板CBの下面CBbには、半田ボールBLを接続するための導電性のランド(電極、パッド、端子)LAが複数形成されている。
配線基板CBは、例えば、複数の絶縁体層(誘電体層)と、複数の導体層(配線層、導体パターン層)とを積層して一体化した多層配線基板(多層基板)である。配線基板CBの上面CBaの端子TEは、配線基板CBの配線や配線基板CBのビアの内部に形成されたビア配線などを介して、配線基板CBの下面CBbのランドLAに電気的に接続されている。
なお、図6、図7および図10では、図面の簡略化のために、配線基板CBの上面CBaの端子TEと配線基板CBの下面CBbのランドLAと、配線基板CBの上面CBa側のレジスト層SR1と、配線基板CBの下面CBb側のレジスト層SR2とを除き、配線基板CBを構成する複数の絶縁体層および配線層を個別の層に分けずに一体化して基材層(ベース層)BSとして示してある。このため、図6、図7および図10では、配線基板CBを構成する基材層BSの上面上に端子TEが形成され、基材層BSの下面上にランドLAが形成されているが、この基材層BSは、実際には、複数の絶縁体層とその複数の絶縁体層の相互間に介在する配線層とを含む積層構造を有している。すなわち、配線基板CBは、複数の導体層(配線層、導体パターン層)を有しているが、その複数の導体層のうちの最上層の導体層に、複数の端子TEが形成され、その複数の導体層のうちの最下層の導体層に、複数のランドLAが形成されている。
配線基板CBの最上層には、絶縁膜(絶縁層)であるレジスト層(ソルダレジスト層、半田レジスト層)SR1が形成されており、端子TEは、レジスト層SR1の開口部OP1から露出されている。すなわち、レジスト層SR1は、配線基板CBの最上層の膜(絶縁膜)である。また、配線基板CBの最下層には、絶縁膜(絶縁層)であるレジスト層(ソルダレジスト層、半田レジスト層)SR2が形成されており、ランドLAは、レジスト層SR2の開口部OP2から露出されている。レジスト層SR1,SR2は、いずれも半田レジスト層として機能する絶縁膜である。
すなわち、配線基板CBを構成する基材層BSの上面上には、複数の端子TEを含む導体層が形成され、その導体層を覆うように、基材層BSの上面上にレジスト層SR1が形成されており、そのレジスト層SR1が、配線基板CBの最上層を構成しているが、各端子TEは、レジスト層SR1の開口部OP1から露出されている。なお、平面視において、開口部OP1は端子TEに内包されており、開口部OP1の平面寸法(平面積)は、端子TEの平面寸法(平面積)よりも小さい。このため、各端子TEの外周部はレジスト層SR1で覆われており、各端子TEの中央付近は、レジスト層SR1で覆われずにレジスト層SR1の開口部OP1から露出されている。
配線基板CBの上面CBaは、主として配線基板CBのレジスト層SR1の上面SR1aにより構成されている。なお、レジスト層SR1の上面SR1aは、基材層BSとは反対側の面(主面)である。このため、レジスト層SR1の上面SR1aは、配線基板CB上に半導体チップCPが搭載された状態で、半導体チップCPに対向する側の主面である。
端子TEは、銅(Cu)層TE1と銅層TE1上のニッケル(Ni)層TE2との積層膜からなる。ニッケル層TE2は、めっき法により形成されためっき層(ニッケルめっき層)であり、レジスト層SR1の開口部OP1から露出される部分の銅層TE1上に形成されている。これは、配線基板CBを製造する際に、開口部OP1を有するレジスト層SR1を形成した後に、開口部OP1から露出される部分の銅層TE1上に、ニッケル層TE2となるニッケルめっき層を形成したからである。このため、各端子TEにおいて、ニッケル層TE2は銅層TE1の上面全体に形成されているのではなく、開口部OP1から露出されている部分の銅層TE1上に形成されており、レジスト層SR1で覆われた部分の銅層TE1上には、ニッケル層TE2は形成されていない。このため、各端子TEは、レジスト層SR1で覆われずに開口部OP1から露出されている部分は、銅層TE1とその上のニッケル層TE2との積層構造を有しているが、レジスト層SR1で覆われた部分は、銅層TE1からなる。
また、配線基板CBを構成する基材層BSの下面上には、複数のランドLAを含む導体層が形成され、その導体層を覆うように、基材層BSの下面上にレジスト層SR2が形成されており、そのレジスト層SR2が、配線基板CBの最下層を構成しているが、各ランドLAは、レジスト層SR2の開口部OP2から露出されている。なお、平面視において、開口部OP2はランドLAに内包されており、開口部OP2の平面寸法(平面積)は、ランドLAの平面寸法(平面積)よりも小さい。このため、各ランドLAの外周部はレジスト層SR2で覆われており、各ランドLAの中央付近は、レジスト層SR2で覆われずにレジスト層SR2の開口部OP2から露出されている。
配線基板CBにおいて、レジスト層SR1の開口部OP1は、チップ搭載領域に、端子TEの配列と同じ配列で、従って半導体チップCPの端子TEの配列と同じ配列で、設けられている。このため、配線基板CBのチップ搭載領域に、レジスト層SR1の開口部OP1は複数形成されており、1つの開口部OP1から1つの端子TEが露出されている。
配線基板CBの下面CBbにおいて、ランドLAは、アレイ状(エリアアレイ状)に配列している。各ランドLAには、突起電極として半田ボールBLが接続(形成)されている。このため、半導体装置PKGにおいては、配線基板CBの下面CBbに複数の半田ボールBLがアレイ状に配置された状態となっており、それら複数の半田ボールBLは、半導体装置PKGの外部端子(外部接続用端子)として機能することができる。
半導体チップCPの各ピラー電極PLは、半田層SDを介して配線基板CBの上面CBaの各端子TEに電気的に接続され、更に、配線基板CBの配線やビア配線を介して、配線基板CBの下面CBbのランドLAおよびランドLAに接続された半田ボールBLに電気的に接続されている。また、配線基板CBの下面CBbに配置された複数の半田ボールBLが、半導体チップCPのピラー電極PLに電気的に接続していない半田ボールを含むこともでき、それを放熱用に用いることもできる。
<半導体装置の製造工程について>
次に、本実施の形態の半導体装置PKGの製造工程について説明する。図13は、本実施の形態の半導体装置PKGの製造工程を示すプロセスフロー図である。図14〜図19は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。図14〜図16、図18および図19には、上記図3に対応する断面が示されている。また、図17は、図16の一部を拡大して示す部分拡大断面図であり、における点線で囲まれた領域RG3の拡大図が示されている。
半導体装置PKGを製造するには、まず、半導体チップCPと配線基板CBとを準備(用意)する(図13のステップS1,S2)。
半導体チップCPは、上記図1〜図3に示されており、上述のように、半導体チップCPは、複数のパッドPDと、複数のパッドPD上にそれぞれ形成された複数のピラー電極PLとを有している。
また、配線基板CBは、上記図8〜図11に示されており、上述のように、配線基板CBは、上面CBaのチップ搭載領域に形成された複数の端子TEと、下面CBbに形成された複数のランドLAとを有している。
配線基板CBは、種々の製法により作製することができる。例えば、ビルドアップ法、サブトラクティブ法、印刷法、シート積層法、セミアディティブ法、またはアディティブ法などを用いて配線基板CBを作製することができる。
先にステップS1で半導体チップCPを準備してからステップS2で配線基板CBを準備しても、先にステップS2で配線基板CBを準備してからステップS1で半導体チップCPを準備しても、あるいは、ステップS1とステップS2とを同時に行って配線基板CBと半導体チップCPとを同時に準備してもよい。
半導体装置PKGの製造に用いる配線基板CBにおいては、図14に示されるように、配線基板CBの上面CBaの端子TE上に、半田(半田材)からなる半田層(半田材、半田部)SD2が形成されている。すなわち、端子TE上に半田層SD2が形成された配線基板CBをステップS2で準備(製造)する。
他の形態として、ステップS2で、端子TE上に半田層SD2が形成されていない配線基板CBを準備してから、後述のステップS3のフリップチップ実装工程を行う前に、配線基板CBの端子TE上に半田層SD2を形成することもできる。
半田層SD2は、レジスト層SR1の開口部OP1から露出される部分の端子TEに形成されており、従って、端子TEを構成するニッケル層TE2上に形成されている。半田層SD2は、例えば、めっき法を用いて形成することができる。
また、半導体装置PKGの製造に用いる半導体チップCPにおいては、後述の図15、図20、図22、図35および図36にも示されるように、半導体チップCPの複数のピラー電極PLのそれぞれの先端面上に、半田層SD1が形成されている。すなわち、ピラー電極PL上に半田層SD1が形成された半導体チップCPをステップS1で準備(製造)する。
次に、フリップチップ接続工程を行う(図13のステップS3)。ステップS3は、具体的には、次のようにして行うことができる。
すなわち、図15に示されるように、半導体チップCPの上面が配線基板CBの上面CBaに対向する向きで、配線基板CBの上面CBaのチップ搭載予定領域の上方に、ツール(図示せず)で保持した半導体チップCPを配置する。それから、ツールで保持した半導体チップCPを配線基板CBの上面CBaに近づけ、半導体チップCPのピラー電極PLの先端面の半田層SD1を、配線基板CBの端子TE上の半田層SD2に接触させる。この際、半導体チップCPの複数のピラー電極PLが配線基板CBの複数の端子TEにそれぞれ対向するように、半導体チップCPが配線基板CBに対して位置合わせされている。また、この際、半田層SD1または半田層SD2の少なくとも一方が、接触後に変形する程度の硬さになるまで、予め加熱されていてもよい。
次に、半田層SD1および半田層SD2が融点以上になるまで加熱する。半田材層D1と半田層SD2とを接触させた状態で加熱する場合は、半導体チップCPを加熱すれば、半田層SD1からの熱伝達により半田層SD2も加熱することができる。半田層SD1および半田層SD2がそれぞれ溶融すると、半田層SD1を構成していた半田材と半田層SD2を構成していた半田材とが、溶融して一体化する。その後、溶融半田を冷却して固化することにより、ピラー電極PLと端子TEとを接続する半田層SDが形成される。半田層SDは、溶融して再固化した半田層SD1,SD2からなる。半田層SDは、半導体チップCPのピラー電極PLと配線基板CBの端子TEの間に介在して、半導体チップCPのピラー電極PLと配線基板CBの端子TEとを、電気的かつ機械的に接続する。図16には、この段階が示されている。
また、半田層SD1と半田層SD2とが溶融して一体化すると、一体化した溶融半田は、表面張力により、物理的に安定な形状となるように変形し、すなわち、球形に類似した形状になる。このため、その溶融半田が固化して形成された半田層SDは、配線基板CBのレジスト層SR1とピラー電極PLの先端面との間の高さ位置においては、球形に類似した形状になる(図17参照)。
このようにしてフリップチップ接続工程が行われ、半導体チップCPが配線基板CBの上面CBa上に搭載されるとともに、半導体チップCPの複数のピラー電極PLが、配線基板CBの複数の端子TEに、それぞれ半田層SDを介して接合される。これにより、半導体チップCPは配線基板CBに固定される。
また、フリップチップ接続の際、接続部の金属酸化膜の除去のために、フラックスを好適に用いることができる。例えば、配線基板CB上に半導体チップCPを搭載する前に、配線基板CBの上面CBa上(特に端子TE上)にフラックスを供給しておく。その後、配線基板CB上に半導体チップCPを配置してから、半田リフロー工程(半田層SD1,SD2を溶融させて半田層SDを形成する加熱工程)を行った後に、洗浄処理を行えばよい。
次に、図18に示されるように、半導体チップCPと配線基板CBとの間を満たすアンダーフィル樹脂としての樹脂部UFRを形成する(図13のステップS4)。ステップS4は、例えば次のようにして行うことができる。
すなわち、半導体チップCPと配線基板CBの上面CBaとの間に液状またはペースト状の樹脂材料を供給(充填、注入)する。この樹脂材料は、熱硬化性樹脂材料を含有し、更にフィラー(シリカ粒子など)を含有することもできる。半導体チップCPと配線基板CBの上面CBaとの間に供給された樹脂材料は、毛細管現象により、半導体チップCPと配線基板CBの上面CBaとの間の空間に広がる。それから、加熱などにより、この樹脂材料を硬化させることで、硬化した樹脂材料からなる樹脂部UFRを形成することができる。
他の形態として、配線基板CB上に半導体チップCPを配置する前に(すなわち上記ステップS3を行う前に)、配線基板CBの上面CBaのチップ搭載予定領域に予め液状またはペースト状の上記樹脂材料を塗布しておき、その後、フリップチップ接続で半導体チップCPのピラー電極PLを配線基板CBの端子TEに接続してから、この樹脂材料を硬化して樹脂部UFRを形成することもできる。その場合は、ステップS4では、半導体チップCPと配線基板CBの上面CBaとの間に樹脂材料を供給する工程は行う必要は無く、既に半導体チップCPと配線基板CBの上面CBaとの間に存在している樹脂材料を、加熱により硬化させる工程を行うことになる。
次に、図19に示されるように、配線基板CBの下面CBbのランドLAに半田ボールBLを接続(接合、形成)する(図13のステップS5)。
ステップS5の半田ボールBL接続工程では、例えば、配線基板CBの下面CBbを上方に向け、配線基板CBの下面CBbの複数のランドLA上にそれぞれ半田ボールBLを配置(搭載)してフラックスなどで仮固定し、リフロー処理(半田リフロー処理、熱処理)を行って半田を溶融し、半田ボールBLと配線基板CBの下面CBbのランドLAとを接合することができる。その後、必要に応じて洗浄工程を行い、半田ボールBLの表面に付着したフラックスなどを取り除くこともできる。このようにして、半導体装置PKGの外部端子(外部接続用端子)としての半田ボールBLが接合(形成)される。
なお、本実施の形態では、半導体装置PKGの外部端子として半田ボールBLを接合する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば半田ボールBLの代わりに印刷法などによりランドLA上に半田を供給して半導体装置PKGの半田からなる外部端子(バンプ電極、半田バンプ)を形成することもできる。この場合、配線基板CBの下面CBbの複数のランドLA上にそれぞれ半田を供給してから、半田リフロー処理を行って、複数のランドLA上にそれぞれ半田からなる外部端子(バンプ電極、半田バンプ)を形成することができる。また、メッキ処理を施すなどして、各ランドLA上に外部端子(バンプ電極)を形成することもできる。
このように、ステップS5では、配線基板CBの下面CBbの複数のランドLAに、それぞれ外部接続用端子(ここでは半田ボールBL)を形成する。
このようにして、半導体装置PKGが製造される。
また、他の形態として、半導体装置PKGの製造に用いる配線基板として、多数個取りの配線基板を用いることもできる。この場合、上記ステップS2では、上記配線基板CBが複数、アレイ状に一体的に繋がった配線基板母体を、多数個取りの配線基板として準備する。この配線基板母体は、複数の半導体装置領域を有しており、個々の半導体装置領域は、そこから1つの半導体装置PKGが取得される領域に対応している。そして、上記ステップS3では、配線基板母体の複数の半導体装置領域に対してフリップチップ接続工程を行い、上記ステップS4では、配線基板母体の複数の半導体装置領域に対して樹脂部UFR形成工程を行い、上記ステップS5では、配線基板母体の複数の半導体装置領域に対して半田ボールの接続工程を行う。その後、配線基板母体を切断して、各半導体装置領域に分割することで、個々の半導体装置領域から半導体装置PKGを製造することができる。
<半導体チップの構造について>
図20は、本実施の形態の半導体チップCPの要部断面図であり、パッドPDとその上に形成されたピラー電極PLとを横切る断面が示されている。また、図21は、本実施の形態の半導体チップCPの要部平面図であり、パッドPD形成領域近傍平面図が示されている。図21には、パッドPDとピラー電極PLと開口部OP3aと開口部OP3bと開口部SHの平面位置が示されている。なお、図20は、図21のA4−A4線の位置での断面図にほぼ対応している。また、後述の図22は、図21のA5−A5線の位置での断面図にほぼ対応している。また、図20では、層間絶縁膜IL6よりも下の構造は、図示を省略しているが、後述の図22では、層間絶縁膜IL6よりも下の構造も図示してある。
図20に示されるように、パッドPDは、層間絶縁膜IL6上に形成されており、層間絶縁膜IL6上に、パッドPDの一部を覆うように、絶縁膜PAが形成されており、パッドPDの一部は、絶縁膜PAに設けられた開口部OP3から露出されている。すなわち、開口部OP3からパッドPDが露出されているが、平面視で開口部OP3と重ならない部分のパッドPDは、絶縁膜PAで覆われている。具体的には、パッドPDの中央部は絶縁膜PAで覆われておらず、パッドPDの外周部は絶縁膜PAで覆われている。
絶縁膜PAは、半導体チップCPの最上層の膜(絶縁膜)であり、特に、絶縁膜PAを構成する樹脂膜PA2が、半導体チップのCP最上層の膜(絶縁膜)である。絶縁膜PAは、半導体チップCPの表面保護膜として機能することができる。また、絶縁膜PA(特に絶縁膜PA1)は、パッシベーション膜とみなすこともできる。
絶縁膜PAは、絶縁膜PA1と絶縁膜PA1上の樹脂膜(有機系絶縁膜)PA2との積層膜からなる。絶縁膜PA1は、パッシベーション膜として機能する絶縁膜であり、無機絶縁膜からなる。絶縁膜PAとしては、窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜を好適に用いることができる。窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜は、吸湿性が低い絶縁膜であるため、絶縁膜PA1として窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜を用いることにより、半導体チップCPの耐湿性向上を図ることができる。樹脂膜PA2は、好ましくはポリイミド膜(ポリイミド樹脂膜)である。ポリイミド(polyimide)膜は、繰り返し単位にイミド結合を含む高分子であり、有機絶縁膜の一種である。半導体チップCPの最上層(最表面)の膜を樹脂膜PA2としたことで、半導体チップCPを扱いやすくなる(ハンドリングが行いやすくなる)などの利点を得られる。
絶縁膜PA1と樹脂膜PA2とは、それぞれ絶縁膜であるため、絶縁膜PAは、複数の絶縁膜(具体的には絶縁膜PA1と樹脂膜PA2との2つの絶縁膜)を積層した積層絶縁膜とみなすこともできる。なお、本願において、積層絶縁膜とは、複数の絶縁膜が積層された積層膜を意味する。
絶縁膜PAは、パッドPDの少なくとも一部を露出する開口部OP3を有しているが、絶縁膜PAは、絶縁膜PA1と樹脂膜PA2との積層膜であるため、絶縁膜PAの開口部OP3は、樹脂膜PA2の開口部OP3bと、絶縁膜PA1の開口部OP3aとにより形成される。
開口部OP3aは、絶縁膜PA1を貫通しており、平面視において、パッドPDに内包されている。このため、開口部OP3aの平面寸法(平面積)は、パッドPDの平面寸法(平面積)よりも小さく、パッドPDは、開口部OP3aに重なる領域と、開口部OP3aに重ならない領域とを有しており、具体的には、パッドPDの中央部は、絶縁膜PA1で覆われておらず、絶縁膜PA1の開口部OP3aから露出されているが、パッドPDの外周部は絶縁膜PA1で覆われている。
開口部OP3bは、樹脂膜PA2を貫通しており、平面視において、パッドPDに内包されている。このため、開口部OP3bの平面寸法(平面積)は、パッドPDの平面寸法(平面積)よりも小さく、パッドPDは、開口部OP3bに重なる領域と、開口部OP3bに重ならない領域とを有しており、具体的には、パッドPDの中央部は、樹脂膜PA2で覆われておらず、樹脂膜PA2の開口部OP3bから露出されているが、パッドPDの外周部は樹脂膜PA2で覆われている。
平面視において、開口部OP3aと開口部OP3bとは、少なくとも一部が重なっており、開口部OP3aと開口部OP3bとの重なり領域は、パッドPD上に位置しており、開口部OP3aと開口部OP3bとの重なり領域から、パッドPDが露出される。
樹脂膜PA2の開口部OP3bは、平面視において、絶縁膜PA1の開口部OP3aに内包されていることが好ましい。この場合、開口部OP3bの平面寸法(平面積)は、開口部OP3aの平面寸法(平面積)よりも小さく、平面視において、開口部OP3b全体が開口部OP3aに重なっているが、開口部OP3aは、開口部OP3bに重なる領域と、開口部OP3bに重ならない領域とを有することになる。
開口部OP3bが、平面視において開口部OP3aに内包されていれば、絶縁膜PAの開口部OP3は、樹脂膜PA2の開口部OP3bと実質的に一致し、絶縁膜PAの開口部OP3の内壁(側壁)は、樹脂膜PA2の開口部OP3bの内壁(側壁)により形成されることになる。開口部OP3bが、平面視において開口部OP3aに内包されていれば、平面視において、開口部OP3bの内側の領域では、パッドPD上には絶縁膜PA1も樹脂膜PA2も形成されておらず、パッドPDの上面が露出される。また、開口部OP3bが、平面視において開口部OP3aに内包されていれば、開口部OP3aの内側でかつ開口部OP3bの外側の領域では、パッドPD上には絶縁膜PA1は形成されていないが樹脂膜PA2が形成された状態になっており、開口部OP3aの外側の領域では、パッドPD上には、絶縁膜PA1と絶縁膜PA1上の樹脂膜PA2との積層膜が形成された状態になっている。
開口部OP3bが、平面視において開口部OP3aに内包されていることが好ましい理由は、次のようなものである。
すなわち、開口部OP3bが、平面視において開口部OP3aに内包されていれば、絶縁膜PAの開口部OP3の内壁は、樹脂膜PA2の開口部OP3bの内壁により構成されるため、ピラー電極PLは、樹脂膜PA2に接するが、絶縁膜PA1には接しなくなる。絶縁膜PA1は、硬さが比較的硬いが、絶縁膜PA1に比べると樹脂膜PA2は柔らかい。ピラー電極PLは、パッドPD上に形成されているが、そのピラー電極PLが柔らかい樹脂膜PA2が接するようにし、かつ、硬い絶縁膜PA1には接しないようにすることで、ピラー電極PLに印加された(作用した)応力を柔らかい樹脂膜PA2で緩和しやすくなる。樹脂膜PA2によって応力を緩和できる分、ピラー電極PLに印加された(作用した)応力が、ピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わるのを、抑制することができる。このため、開口部OP3bが平面視において開口部OP3aに内包されていれば、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を、低減することができる。
なお、製造された半導体装置PKGにおいては、半導体チップCPは、半導体チップCPの上面が配線基板CBの上面CBaに対向する向きで、すなわちフェイスダウンで、配線基板CBの上面CBa上に搭載されている。しかしながら、半導体チップCP内の構成要素(例えば層間絶縁膜など)について言及する場合は、半導体チップCPを配線基板CB上に搭載する前か後かにかかわらず、半導体チップCPの上面側を上方とし、半導体チップCPの裏面側を下方として説明することとする。このため、配線基板CB上に半導体チップCPを搭載する前も、配線基板CB上に半導体チップCPを搭載した後も、半導体チップCPにおいて、層間絶縁膜(IL〜IL6)は、ピラー電極PLの上方ではなく、ピラー電極PLの下方に位置すると言える。
開口部OP3a,OP3bのそれぞれの平面形状は、好ましくは、円形状である。また、パッドPDの平面形状は、例えば四角形状(より特定的には矩形状)であるが、他の形態として、パッドPDの平面形状を円形状とすることもできる。パッドPDは、好ましくは、アルミニウムを主体とするアルミニウムパッドである。
なお、アルミニウムパッドに用いているアルミニウム膜としては、純アルミニウム膜だけでなく、Al(アルミニウム)とSi(シリコン)との化合物膜または合金膜、あるいは、Al(アルミニウム)とCu(銅)との化合物膜または合金膜、あるいは、Al(アルミニウム)とSi(シリコン)とCu(銅)との化合物膜または合金膜などを好適に用いることができる。アルミニウムパッドに用いるアルミニウム膜におけるAl(アルミニウム)の組成比(含有率)は、50原子%より大きい(すなわちAlリッチである)が、98原子%以上であれば、より好ましい。
絶縁膜PAの開口部OP3(すなわち樹脂膜PA2の開口部OP3b)から露出するパッドPD上には、ピラー電極PLが形成されている。
図35に示されるように、ピラー電極PLは、シード層SEと、シード層SE上の銅(Cu)層CLとからなる。銅(Cu)層CLの厚さに比べて、シード層SEの厚さは薄く、ピラー電極PLは、主として銅(Cu)層CLにより形成されている。また、後述の図36のように、ピラー電極PLが、シード層SEと、シード層SE上の銅(Cu)層CLと、銅(Cu)層CL上のニッケル(Ni)層NLとからなる場合もあり得る。シード層SEは、単層または複数層の金属層からなり、例えば、クロム(Cr)層と該クロム(Cr)層上の銅(Cu)層との積層膜からなる。
ピラー電極PLの先端面(上面)上には、半田層SD1が形成されている。なお、ピラー電極PLの先端面(上面)とは、パッドPD側とは反対側の面に対応している。
平面視において、ピラー電極PLの平面寸法(平面積)は、絶縁膜PAの開口部OP3(すなわち樹脂膜PA2の開口部OP3b)の平面寸法(平面積)よりも大きく、ピラー電極PLは、絶縁膜PAの開口部OP3(すなわち樹脂膜PA2の開口部OP3b)を、平面視において内包している(図21参照)。このため、平面視において、ピラー電極PLの一部(外周部分)は絶縁膜PA(樹脂膜PA2)と重なっている。すなわち、ピラー電極PLは、絶縁膜PAの開口部OP3(すなわち樹脂膜PA2の開口部OP3b)から露出するパッドPD上に形成されているが、ピラー電極PLの一部(外周部分)は、絶縁膜PA(樹脂膜PA2)上に位置している(乗り上げている)。
ピラー電極PLは、柱型の立体形状を備えた柱状電極である。本実施の形態では、ピラー電極PLの平面形状は円形状であり、ピラー電極PLは、円柱形状を有している。
ピラー電極PLの先端面(上面)は、ほぼ平坦である。ピラー電極PLの先端面(上面)は、パッドPDの上面と略平行であり、また、ピラー電極PLの先端面(上面)とパッドPDの上面とは、半導体チップCPを構成する半導体基板SBの主面に略平行である。なお、パッドPDの上面とは、層間絶縁膜IL6とは反対側の面に対応している。
ピラー電極PLの先端面上に形成された半田層SD1は、ドーム形状を有している。これは、後述のように、半田層SD1は、最初は半田めっき層として形成されるが、その後に、その半田めっき層を溶融、再固化したためである。
ピラー電極PLの先端面は、絶縁膜PAの上面(主面)PA2aよりも突出している。なお、絶縁膜PAの上面PA2aは、樹脂膜PA2の上面と同じであり、絶縁膜PAの上面PA2aと樹脂膜PA2の上面とは、同じ面を意味している。このため、絶縁膜PAの上面PA2aは、配線基板CB上に半導体チップCPが搭載された状態で、配線基板CBに対向する側の主面である。
このため、ピラー電極PLは、絶縁膜PAの開口部OP3(すなわち樹脂膜PA2の開口部OP3b)内に埋め込まれた部分と、絶縁膜PAの上面PA2aから突出する部分とを、一体的に有している。そして、ピラー電極PLのうち、絶縁膜PAの上面PA2aから突出する部分の平面寸法(平面積)は、絶縁膜PAの開口部OP3(すなわち樹脂膜PA2の開口部OP3b)の平面寸法(平面積)よりも大きい。すなわち、ピラー電極PLのうち、絶縁膜PAの開口部OP3内に埋め込まれた部分は、絶縁膜PAの開口部OP3に一致した形状を有しているが、ピラー電極PLのうち、絶縁膜PAの上面PA2aから突出する部分は、平面視において、絶縁膜PAの開口部OP3(すなわち樹脂膜PA2の開口部OP3b)を内包している。このため、ピラー電極PLのうち、絶縁膜PAの上面PA2aから突出する部分の外周部は、絶縁膜PAの上面PA2a上に位置している(乗り上げている)。ピラー電極PLと平面視で重なる部分の絶縁膜PAの上面PA2aは、ピラー電極PL(より特定的にはピラー電極PLを構成するシード層SE)と接している。また、絶縁膜PAの開口部OP3の側壁(すなわち樹脂膜PA2の開口部OP3b)も、ピラー電極PL(より特定的にはピラー電極PLを構成するシード層SE)と接している。
絶縁膜PAの開口部OP3(すなわち樹脂膜PA2の開口部OP3b)の平面形状が円形状であることを反映して、ピラー電極PLのうち、絶縁膜PAの開口部OP3(すなわち樹脂膜PA2の開口部OP3b)内に埋め込まれた部分の平面形状は、円形状である。従って、ピラー電極PLのうち、絶縁膜PAの開口部OP3(すなわち樹脂膜PA2の開口部OP3b)内に埋め込まれた部分の立体形状は、円柱状である。また、ピラー電極PLを形成するのに使用した後述のフォトレジスト層RP1の開口部OP4の平面形状が円形状であったことを反映して、ピラー電極PLのうち、絶縁膜PAの上面PA2aから突出する部分の平面形状は、円形状である。従って、ピラー電極PLのうち、絶縁膜PAの上面PA2aから突出する部分の立体形状は、円柱状である。
このように、半導体チップCPの複数のパッドPD上に複数のピラー電極PLがそれぞれ形成(接合)され、かつ、複数のピラー電極PLのそれぞれの先端面上に半田層SD1が形成されている。
次に、層間絶縁膜IL6よりも下の構造を含む半導体チップCPの断面構造について、図22を参照して説明する。図22は、本実施の形態の半導体チップCPの要部断面図であり、上記図20に示される層間絶縁膜IL6よりも下の構造を含む半導体チップCPの断面が示されている。
本実施の形態の半導体チップCPは、半導体基板SBの主面にMISFETなどの半導体素子が形成され、その半導体基板SB上に、複数の配線層を含む配線構造(多層配線構造)が形成されている。以下に、本実施の形態の半導体チップCPの構成例について具体的に説明する。
図22に示されるように、本実施の形態の半導体チップCPを構成する単結晶シリコンなどからなる半導体基板SBには、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子が形成されている。半導体基板SBには、複数のMISFETが形成されているが、図22には、そのうちの2つのMISFET(ここではnチャネル型MISFETQnとpチャネル型MISFETQp)が代表して示されている。
半導体基板SBの主面には、STI(Shallow Trench Isolation)法などにより素子分離領域STが形成されており、半導体基板SBにおいて、この素子分離領域STにより規定された活性領域に、MISFET(Qn,Qp)が形成されている。
例えば、半導体基板SBにp型ウエルPWおよびn型ウエルNWが形成され、p型ウエルPW上にゲート絶縁膜GFを介してゲート電極G1が形成され、n型ウエルNW上にゲート絶縁膜GFを介してゲート電極G2が形成されている。また、p型ウエルPW内には、ソース・ドレイン用のn型半導体領域NSが形成され、n型ウエルNW内には、ソース・ドレイン用のp型半導体領域PSが形成されている。ゲート電極G1と、そのゲート電極G1の下のゲート絶縁膜GFと、ゲート電極G1の両側のn型半導体領域NS(ソース・ドレイン領域)とにより、nチャネル型MISFETQnが形成される。また、ゲート電極G2と、そのゲート電極G2の下のゲート絶縁膜GFと、ゲート電極G2の両側のp型半導体領域PS(ソース・ドレイン領域)とにより、pチャネル型MISFETQpが形成される。
なお、ここでは、半導体基板SBに形成する半導体素子として、MISFETを例に挙げて説明しているが、この他、容量素子、抵抗素子、メモリ素子、または他の構成のトランジスタなどを形成してもよい。また、ここでは、半導体基板SBとして単結晶シリコン基板を例に挙げて説明しているが、他の形態として、半導体基板SBとして、SOI(Silicon On Insulator)基板などを用いることもできる。
半導体基板SB上には、複数の層間絶縁膜と複数の配線層とを含む配線構造(多層配線構造)が形成されている。
すなわち、半導体基板SB上に、複数の層間絶縁膜IL1,IL2,IL3,IL4,IL5が形成され、この複数の層間絶縁膜IL1,IL2,IL3,IL4,IL5に、プラグV1、ビア部V2,V3,V4および配線M1,M2,M3,M4が形成されている。そして、層間絶縁膜IL5上に層間絶縁膜IL6が形成され、この層間絶縁膜IL6上にパッドPDが形成されている。なお、層間絶縁膜IL6上に、パッドPDと同層の配線(図示せず)を形成することもできる。
具体的には、半導体基板SB上に、上記MISFET(Qn,Qp)を覆うように、層間絶縁膜IL1が形成されており、この層間絶縁膜IL1にプラグV1が埋め込まれ、プラグV1が埋め込まれた層間絶縁膜IL1上に層間絶縁膜IL2が形成され、この層間絶縁膜IL2に配線M1が埋め込まれている。そして、配線M1が埋め込まれた層間絶縁膜IL2上に、層間絶縁膜IL3が形成され、この層間絶縁膜IL3に配線M2が埋め込まれ、配線M2が埋め込まれた層間絶縁膜IL3上に、層間絶縁膜IL4が形成され、この層間絶縁膜IL4に配線M3が埋め込まれている。そして、配線M3が埋め込まれた層間絶縁膜IL4上に、層間絶縁膜IL5が形成され、この層間絶縁膜IL5に配線M4が埋め込まれ、配線M4が埋め込まれた層間絶縁膜IL5上に、層間絶縁膜IL6が形成され、この層間絶縁膜IL6上にパッドPDが形成されている。層間絶縁膜IL1〜IL6のそれぞれは、単層の絶縁膜、または複数の絶縁膜の積層膜とすることができる。そして、層間絶縁膜IL6上に、パッドPDを覆うように絶縁膜PAが形成され、この絶縁膜PAには、パッドPDの一部を露出する開口部OP3が形成されている。そして、絶縁膜PAの開口部OP3(すなわち樹脂膜PA2の開口部OP3b)から露出するパッドPD上に、ピラー電極PLが形成されている。
プラグV1は、導電体からなり、配線M1の下に配置されている。プラグV1は、配線M1と、半導体基板SBに形成された種々の半導体領域やゲート電極G1,G2などとを、電気的に接続している。
ビア部V2は、導電体からなり、配線M2と一体的に形成されており、配線M2と配線M1との間に配置されて、配線M2と配線M1とを電気的に接続している。すなわち、層間絶縁膜IL3には、デュアルダマシン法を用いることにより、配線M2と、配線M2と一体的に形成されたビア部V2とが埋め込まれている。他の形態として、シングルダマシン法を用いることにより、ビア部V2と配線M2とを別々に形成することも可能であり、これは、ビア部V3,V4,V5についても同様である。
ビア部V3は、導電体からなり、配線M3と一体的に形成されており、配線M3と配線M2との間に配置されて、配線M3と配線M2とを電気的に接続している。すなわち、層間絶縁膜IL4には、デュアルダマシン法を用いることにより、配線M3と、配線M3と一体的に形成されたビア部V3とが埋め込まれている。
ビア部V4は、導電体からなり、配線M4と一体的に形成されており、配線M4と配線M3との間に配置されて、配線M4と配線M3とを電気的に接続している。すなわち、層間絶縁膜IL5には、デュアルダマシン法を用いることにより、配線M4と、配線M4と一体的に形成されたビア部V4とが埋め込まれている。
また、ここでは、配線M1,M2,M3,M4は、ダマシン法で形成したダマシン配線(埋込配線)として図示および説明したが、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもでき、例えばアルミニウム配線とすることもできる。
層間絶縁膜IL6において、パッドPDと平面視で重なる位置に開口部(スルーホール、貫通孔)SHが形成されており、開口部SH内には、ビア部V5が形成されている(埋め込まれている)。ビア部V5は、導電体からなり、パッドPDと配線M4との間に配置されて、パッドPDと配線M4とを電気的に接続している。すなわち、層間絶縁膜IL6には、シングルダマシン法を用いることにより、ビア部V5が埋め込まれている。
なお、本実施の形態では、ビア部V5とパッドPDとを別々に形成しているが、他の形態として、ビア部V5をパッドPDと一体的に形成することも可能である。ビア部V5をパッドPDと一体的に形成する場合は、パッドPDの一部が層間絶縁膜IL6の開口部SH内を埋め込むことにより、ビア部V5が形成される。
パッドPDと絶縁膜PA(開口部OP3a,OP3bを含む)とピラー電極PLの構成については、上記図20および図21を参照して説明した通りであるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。また、上記図7において、符号CPBを付した領域は、図22における層間絶縁膜IL6よりも下の領域(配線構造形成領域)に対応している。
また、半導体チップCPの配線構造(多層配線構造)は、複数の配線層と、複数の層間絶縁膜(IL1〜IL6)とを含んでいるが、その配線構造に含まれる複数の層間絶縁膜(IL1〜IL6)のうちの1層以上に低誘電率絶縁膜を用いることが好ましい。低誘電率絶縁膜を用いることで、配線間の寄生容量を低減することができる。特に、層間絶縁膜IL2,IL3,IL4,IL5に低誘電率絶縁膜を用いれば、配線M1,M2,M3,M4において、同層の配線間や上下の配線間における寄生容量を的確に低減することができる。なお、低誘電率絶縁膜とは、酸化シリコンの誘電率(比誘電率)よりも低い誘電率(比誘電率)を有する絶縁膜のことであり、低誘電率膜またはLow−k膜と称することもできる。
<半導体チップの製造工程について>
本実施の形態の半導体チップCPの製造工程について、図23〜図36を参照して説明する。図23〜図36は、本実施の形態の半導体チップCPの製造工程中の要部断面図である。
まず、図23に示されるように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)SBを準備(用意)する。この段階では、半導体基板SBは、半導体ウエハの状態である。
次に、半導体基板SBにSTI法を用いて素子分離領域STを形成し、イオン注入法を用いてp型ウエルPWおよびn型ウエルNWを形成し、p型ウエルPWおよびn型ウエルNW上にゲート絶縁膜GFを介してゲート電極G1,G2を形成し、イオン注入法を用いてn型半導体領域NSおよびp型半導体領域PSを形成する。これにより、半導体基板SBにnチャネル型MISFETQnとpチャネル型MISFETQpとが形成される。
次に、半導体基板SB上に、MISFETQn,Qpを覆うように、層間絶縁膜IL1を形成し、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて層間絶縁膜IL1にコンタクトホールを形成し、そのコンタクトホール内に導電膜を埋め込むことでプラグV1を形成する。
次に、プラグV1が埋め込まれた層間絶縁膜IL1上に層間絶縁膜IL2を形成してから、層間絶縁膜IL2にシングルダマシン技術を用いて配線M1を埋め込む。それから、配線M1が埋め込まれた層間絶縁膜IL2上に層間絶縁膜IL3を形成してから、層間絶縁膜IL3にデュアルダマシン技術を用いて配線M2およびビア部V2を埋め込む。それから、配線M2が埋め込まれた層間絶縁膜IL3上に層間絶縁膜IL4を形成してから、層間絶縁膜IL4にデュアルダマシン技術を用いて配線M3およびビア部V3を埋め込む。それから、配線M3が埋め込まれた層間絶縁膜IL4上に層間絶縁膜IL5を形成してから、層間絶縁膜IL5にデュアルダマシン技術を用いて配線M4およびビア部V4を埋め込む。
次に、配線M4が埋め込まれた層間絶縁膜IL5上に、層間絶縁膜IL6を形成する。それから、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、層間絶縁膜IL6に開口部SHを形成する。層間絶縁膜IL6に開口部SHを形成すると、開口部SHの底部では、配線M4の上面が露出される。
次に、層間絶縁膜IL6上に、開口部SH内を埋めるようにビア部V5用の導電膜を形成してから、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法またはエッチバック法などを用いて開口部SHの外部の導電膜(ビア部V5用の導電膜)を除去し、開口部SH内に導電膜(ビア部V5用の導電膜)を残す。これにより、開口部SH内に埋め込まれた導電膜(ビア部V5用の導電膜)からなるビア部V5を形成することができる。
図23では、半導体基板SBから層間絶縁膜IL6までの積層構造が示されているが、図面の簡略化のために、以降の図24〜図36は、層間絶縁膜IL6よりも下の構造の図示は省略している。なお、図23は、上記図22に対応する断面領域が示されているが、図24〜図36は、上記図20に対応する断面領域が示されているため、図24〜図36では、開口部SHおよびビア部V5は図示されない。
次に、図24に示されるように、ビア部V5が埋め込まれた層間絶縁膜IL6上に、パッドPDを形成する。例えば、ビア部V5が埋め込まれた層間絶縁膜IL6上に、パッドPD用の導電膜を形成してから、この導電膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、パッドPDを形成することができる。また、パッドPD用の導電膜をパターニングする際に、パッドPDだけでなく、パッドPDと同層の配線を形成することもできる。パッドPD用の導電膜としては、上述したようなアルミニウム膜を用いることができる。パッドPDの厚さは、例えば2〜3μm程度とすることができる。
また、ここでは、ビア部V5とパッドPDとを別々に形成する場合について図示および説明したが、他の形態として、ビア部V5をパッドPDと一体的に形成することも可能である。その場合は、ビア部V5を形成していない状態で、開口部SH内を含む層間絶縁膜IL6上にパッドPD用の導電膜を形成してから、この導電膜をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、パッドPDを形成する。これにより、パッドPDとビア部V5とが一体的に形成されることになる。
次に、図25に示されるように、層間絶縁膜IL6上に、パッドPDを覆うように、絶縁膜PA1を形成する。絶縁膜PA1は、好ましくは窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなり、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法などを用いて形成することができる。絶縁膜PA1の成膜法として、HDP(High Density Plasma:高密度プラズマ)−CVD法は、特に好適である。絶縁膜PA1の厚さ(形成膜厚)は、例えば0.1〜2μm程度とすることができる。絶縁膜PA1を成膜すると、パッドPDは絶縁膜PA1で覆われるため、露出していない状態になる。
次に、図26に示されるように、絶縁膜PA1に開口部OP3aを形成する。開口部OP3aは、パッドPD上の絶縁膜PA1を選択的に除去することにより形成され、開口部OP3aが平面視でパッドPDに内包されるように形成される。例えば、絶縁膜PA1を成膜した後、絶縁膜PA1上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン(図示せず)を形成し、このフォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて、絶縁膜PA1をエッチング(ドライエッチング)することにより、絶縁膜PA1に開口部OP3aを形成することができる。開口部OP3aは、絶縁膜PA1を貫通するように形成され、開口部OP3aからパッドPDの少なくとも一部が露出される。
また、パッドPD用の導電膜として、下から順にバリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)とアルミニウム膜とバリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)との積層膜を用い、この積層膜をパターニングしてパッドPDを形成する場合もあり得る。その場合は、絶縁膜PA1に開口部OP3aを形成する際に、開口部OP3aの底部で露出するバリア導体膜(上層側のバリア導体膜)もエッチングによって除去し、パッドPDを構成するアルミニウム膜を開口部OP3aから露出させることが好ましい。
次に、図27に示されるように、開口部OP3aから露出するパッドPD上を含む絶縁膜PA1上に、樹脂膜PA2を形成する。樹脂膜PA2は、半導体基板SBの主面全面に形成するため、絶縁膜PA1上と、絶縁膜PA1の開口部OP3aから露出するパッドPD上とに形成される。樹脂膜PA2を成膜する前の段階では、絶縁膜PA1の開口部OP3aからパッドPDが露出されていたが、樹脂膜PA2を成膜すると、絶縁膜PA1の開口部OP3aから露出されていたパッドPDは、樹脂膜PA2で覆われるため、露出していない状態になる。樹脂膜PA2としては、ポリイミド膜などを好適に用いることができる。樹脂膜PA2は、例えば塗布法により形成することができる。樹脂膜PA2の厚み(形成膜厚)は、絶縁膜PA1の厚み(形成膜厚)よりも厚く、例えば5μm程度とすることができる。
次に、図28に示されるように、樹脂膜PA2に開口部OP3bを形成する。開口部OP3bは、例えば次のようにして形成することができる。すなわち、樹脂膜PA2を感光性樹脂膜として形成しておき、この感光性樹脂からなる樹脂膜PA2を露光、現像することにより、開口部OP3bとなる部分の樹脂膜PA2を選択的に除去することで、樹脂膜PA2に開口部OP3bを形成する。その後、熱処理を施して、樹脂膜PA2を硬化させる。開口部OP3bは、樹脂膜PA2を貫通するように形成され、開口部OP3bからパッドPDの少なくとも一部が露出される。
また、他の形態として、樹脂膜PA2上にフォトリソグラフィ技術を用いて形成したフォトレジスト層をエッチングマスクとして用いて、樹脂膜PA2をドライエッチングすることにより、樹脂膜PA2に開口部OP3bを形成することもでき、その場合は、樹脂膜PA2は感光性樹脂膜でなくともよい。
樹脂膜PA2の開口部OP3bは、絶縁膜PA1の開口部OP3aに平面視で内包されるように形成される。このため、樹脂膜PA2に開口部OP3bを形成すると、絶縁膜PA1の開口部OP3aの内壁は、樹脂膜PA2で覆われた状態になる。
このようにして、パッドPDの少なくとも一部を露出する開口部OP3を有する絶縁膜PAが形成される。絶縁膜PAは、絶縁膜PA1と樹脂膜PA2とからなる。樹脂膜PA2の開口部OP3bが絶縁膜PA1の開口部OP3aに平面視で内包されているため、絶縁膜PAの開口部OP3は、樹脂膜PA2の開口部OP3bと実質的に一致し、絶縁膜PAの開口部OP3の内壁(側壁)は、樹脂膜PA2の開口部OP3bの内壁(側壁)により構成される。
次に、図29に示されるように、開口部OP3(OP3b)の側壁上と開口部OP3(OP3b)から露出されるパッドPD上とを含む絶縁膜PA(樹脂膜PA2)上に、シード層(シード膜)SEを形成する。シード層SEを形成すると、開口部OP3(OP3b)から露出されるパッドPDの上面は、シード層SEに覆われて、そのシード層SEに接した状態になる。
シード層SEは、単層または複数層の金属層からなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。例えば、クロム(Cr)層と該クロム(Cr)層上の銅(Cu)層との積層膜を、シード層SEとして用いることができ、その場合、クロム(Cr)層の厚さは例えば0.1μm程度、銅(Cu)層の厚さは例えば0.2μm程度とすることができる。また、シード層SEのうちの下層側のクロム(Cr)層は、バリア導体層として機能することができ、例えば、銅の拡散防止機能や、ピラー電極PLと絶縁膜PA(樹脂膜PA2)との接着性(密着性)を向上させる機能を有しているが、クロム(Cr)層に限定されるものではない。クロム(Cr)層の代わりに、例えばチタン(Ti)層、チタンタングステン(TiW)層、窒化チタン(TiN)層またはタングステン(W)層などを用いることもできる。
次に、図30に示されるように、シード層SE上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト層(フォトレジストパターン)RP1を形成する。フォトレジスト層RP1は、ピラー電極PL形成予定領域に開口部OP4を有している。
平面視において、フォトレジスト層RP1の開口部OP4はパッドPDに内包されている。また、フォトレジスト層RP1の開口部OP4の平面寸法(平面積)は、樹脂膜PA2の開口部OP3bの平面寸法(平面積)よりも大きく、平面視において、フォトレジスト層RP1の開口部OP4は、樹脂膜PA2の開口部OP3bを内包している。このため、樹脂膜PA2の開口部OP3bの側壁(内壁)は、平面視において、フォトレジスト層RP1の開口部OP4の内側に位置している。このため、フォトレジスト層RP1の開口部OP4からは、パッドPD上に位置する部分のシード層SEだけでなく、樹脂膜PA2上に位置する部分のシード層SEも露出されている。
次に、図31に示されるように、めっき法を用いて、フォトレジスト層RP1の開口部OP4から露出されるシード層SE上に、銅(Cu)層CLを形成する。銅(Cu)層CLは、銅(Cu)めっき層である。銅(Cu)層CLを形成するためのめっき法としては、電解めっき法を用いることが好ましい。銅層CLは、めっき法で形成されるため、フォトレジスト層RP1の開口部OP4から露出される部分のシード層SE上に、選択的に形成される。このため、銅(Cu)層CLは、フォトレジスト層RP1の開口部OP4内に選択的に形成される。ピラー電極PLは、主としてこの銅(Cu)層CLにより形成される。このため、ピラー電極PLは、銅を主体とするCuピラー(Cuピラー電極)である。電解めっき法を用いて銅(Cu)層CLを形成する場合は、シード層SEは、給電用の導体層として機能することができる。銅層CLは、銅(Cu)を主成分とし、銅(Cu)の含有率は、好ましくは99原子%以上である。
次に、図32に示されるように、めっき法を用いて、銅(Cu)層CL上に、半田層(半田材、半田部)SD1を形成する。半田層SD1は、半田(半田材)からなる。半田層SD1は、めっき法で形成された半田めっき層である。半田層SD1を形成するためのめっき法としては、電解めっき法を用いることが好ましい。銅(Cu)層CLとその上の半田層SD1とは、フォトレジスト層RP1の開口部OP4内に選択的に形成される。
次に、図33に示されるように、フォトレジスト層RP1を除去する。それから、図34に示されるように、銅(Cu)層CLで覆われずに露出する部分のシード層SEを、エッチングなどにより除去する。これにより、銅(Cu)層CLで覆われずに露出する部分のシード層SEは除去されるが、銅(Cu)層CLで覆われた部分のシード層SE、すなわち銅(Cu)層CLの下に位置する部分のシード層SEは、除去されずに残存する。
このようにして、図34に示されるように、ピラー電極PLを形成することができる。ピラー電極PLは、銅(Cu)層CLと、銅(Cu)層CLの下のシード層SEとにより、形成されている。言い換えれば、ピラー電極PLは、シード層SEと、シード層SE上の銅(Cu)層CLとからなる。銅(Cu)層CLの厚さに比べて、シード層SEの厚さは薄いため、ピラー電極PLは、主として銅(Cu)層CLにより形成されている。ピラー電極PLの先端面(上面)上には、半田層SD1が形成されている。
銅(Cu)層CLは、フォトレジスト層RP1の開口部OP4から露出されるシード層SE上に選択的に成長するため、銅(Cu)層CLの側面はフォトレジスト層RP1の開口部OP4の側壁(内壁)によって規定され、銅(Cu)層CLの外形形状は、フォトレジスト層RP1の開口部OP4の形状に一致したものとなる。すなわち、銅(Cu)層CLの平面形状は、フォトレジスト層RP1の開口部OP4の平面形状に対応したものとなる。このため、フォトレジスト層RP1の開口部OP4の形状(平面形状)を所望の形状に設定することにより、銅(Cu)層CLを所望の形状に形成することができ、従って、ピラー電極PLを所望の形状に形成することができる。フォトレジスト層RP1の開口部OP4内に選択的に形成した金属層(ここでは銅層CL)によりピラー電極PLを形成することで、ピラー電極PLは、柱型の立体形状を備えた柱状電極となる。本実施の形態では、フォトレジスト層RP1の開口部OP4の平面形状を円形状とすることで、ピラー電極PLの平面形状を円形状とすることができ、ピラー電極PLを、円柱形状とすることができる。
この段階では、半田層SD1の形状は、ピラー電極PLの形状とほぼ一致しており、ピラー電極PLが円柱形状である場合は、半田層SD1も円柱形状となっている。その後、熱処理(加熱処理)を施すことにより、半田層SD1を一旦溶融させてから再固化する。これにより、半田層SD1の形状が溶融半田の表面張力の影響により変形し、図35に示されるように、半田層SD1は、ドーム形状となる。このように熱処理を施すと、ピラー電極PLの先端面と半田層SD1とをしっかりと接合することができる。また、図35に示のように半田層SD1をドーム形状とした方が、半田層SD1が安定するため、ピラー電極PLからの半田層SD1の脱落や損傷を抑制することができる。
このようにして(図29〜図35の工程により)、複数のパッドPD上に複数のピラー電極PLがそれぞれ形成(接合)され、かつ、複数のピラー電極PLのそれぞれの先端面上に半田層SD1が形成された構造が得られる。
また、ここでは、銅(Cu)層CLを形成した後、銅(Cu)層CL上に半田層SD1を形成する場合について説明した。他の形態として、銅(Cu)層CLを形成した後、半田層SD1を形成する前に、銅(Cu)層CL上にニッケル(Ni)層をめっき法(電解めっき法)で形成し、そのニッケル(Ni)層上に半田層SD1を形成することもできる。この場合は、銅(Cu)層CLと半田層SD1との間に、ニッケル層(ニッケルめっき層)が介在することになる(図36参照)。図36には、この場合が示されており、ピラー電極PLは、シード層SEと、シード層SE上の銅(Cu)層CLと、銅(Cu)層CL上のニッケル(Ni)層NLとにより、形成されることになる。なお、図36は、図35と同じ工程段階が示されているが、銅(Cu)層CLを形成した後、半田層SD1を形成する前に、銅(Cu)層CL上にニッケル(Ni)層NLを形成した場合に対応している。なお、ニッケル層(ニッケルめっき層)NLを形成する場合、ニッケル層NLの厚さは、銅(Cu)層CLよりも薄く、例えば3μm程度であり、ピラー電極PLの厚さの主体は、銅(Cu)層CLにより構成される。
その後、必要に応じて半導体基板SBの裏面側を研削または研磨して半導体基板SBの厚みを薄くしてから、半導体基板SBを半導体基板SB上の積層構造体とともに、切断(ダイシング)する。この際、半導体基板SBと半導体基板SB上の積層構造体は、ダイシングブレード(図示せず)によって、スクライブ領域に沿って切断(ダイシング)される。これにより、半導体基板SB(半導体ウエハ)の各チップ領域から半導体チップが取得される。
このようにして、半導体チップCPを製造することができる。
<検討の経緯について>
配線基板上に半導体チップをフリップチップ接続した半導体装置においては、半導体チップの複数の半田バンプを配線基板の複数の端子に接続することで、フリップチップ接続を行うことができる。しかしながら、近年、半導体チップの端子数の増加や半導体チップの小型化に伴い、半導体チップにおける半田バンプの間隔が狭くなってきている。
そこで、本発明者は、半導体チップの複数のパッド上に複数のピラー電極をそれぞれ形成しておき、半導体チップの複数のピラー電極を、配線基板の複数の端子に半田を介して接続することで、フリップチップ接続を行うことを検討している。
半導体チップのピラー電極と配線基板の端子とを半田で接続した構造を採用することで、ピラー電極を用いた分、半導体チップと配線基板との間の間隔を大きくしやすくなるため、半導体チップの端子数の増加や半導体チップの小型化に伴いピラー電極の隣接間隔が小さくなっても、半導体チップと配線基板との間にアンダーフィル樹脂を充填しやすくなる。また、ピラー電極を用いた分、各半田接続部の半田量を抑制できるため、半導体チップの端子数の増加や半導体チップの小型化に伴いピラー電極の隣接間隔が小さくなっても、半田接続部同士が接触して短絡するのを防止しやすくなる。このため、半導体チップの端子数の増加や半導体チップの小型化の要求に答えるためには、半導体チップのピラー電極と配線基板の端子とを半田で接続した構造を採用することが望ましい。
また、半導体チップは、複数の配線層を有する配線構造(多層配線構造)を有しており、その配線構造に形成された配線により、半導体チップ内に形成された素子を結線することで、半導体集積回路が形成されている。半導体チップの小型化の要求に伴い、半導体チップ内の配線の微細化も進んでいるが、それに伴い配線間の距離(間隔)も小さくなってきている。配線間の距離が小さくなると、近接する配線間の容量(寄生容量)が大きくなり、配線を伝送される信号の伝送速度が低下し、信号遅延や消費電力の増加を招く虞がある。このため、配線構造を構成する層間絶縁膜に低誘電率絶縁膜を用いることで、近接する配線間の容量(寄生容量)を低減することが望ましい。しかしながら、低誘電率絶縁膜は、酸化シリコン膜よりも誘電率が低いが、低誘電率絶縁膜は、酸化シリコン膜に比べて強度が弱くなりやすい。
本発明者は、半導体チップのピラー電極と配線基板の端子とを半田で接続した構造を採用した場合の半導体装置の信頼性について、実験やシミュレーションにより検討した。その結果、半導体チップのピラー電極と配線基板の端子とを半田で接続した構造を採用する場合には、各部材の寸法などを最適化することが、製造された半導体装置の信頼性を向上させる上で、極めて重要であることを見出した。
例えば、フリップチップ接続により半導体チップのピラー電極と配線基板の端子とを半田で接続する際、半田を溶融、再固化した後の冷却時に、ピラー電極PLから半導体チップの配線構造の層間絶縁膜に応力が加わりやすい。ピラー電極PLから半導体チップの配線構造の層間絶縁膜に応力が加わることは、その層間絶縁膜にダメージが生じて層間絶縁膜の劣化につながる虞がある。特に、層間絶縁膜として低誘電率絶縁膜を採用した場合には、ピラー電極PLから、強度が弱い低誘電率絶縁膜に応力が加わると、その低誘電率絶縁膜にダメージが生じやすい。半導体チップの配線構造の層間絶縁膜にダメージが発生することは、その半導体チップを有する半導体装置の信頼性を低下させてしまう。このため、半導体装置の信頼性を向上させるためには、ピラー電極PLから半導体チップの配線構造の層間絶縁膜に応力が加わりにくくすることが望まれる。
本発明者は、実験やシミュレーションにより、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方に位置する層間絶縁膜に加わる応力の大きさに寄与する主因子として、ピラー電極PLの厚さh1と、ピラー電極PLの直径D1と、半導体チップCPを構成する半導体基板SBの厚さと、があることを新たに見出した。そして、これらの因子を後述のように最適化することで、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方に位置する層間絶縁膜に加わる応力の大きさを、約半分に低減できることを見出した。
本実施の形態では、半導体チップのピラー電極と配線基板の端子とを半田で接続した構造を採用するにあたって、以下に説明するように各部材の寸法などを最適化することで、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の半導体装置PKGは、配線基板CBと配線基板CB上に搭載された半導体チップCPとを有する半導体装置である。半導体チップCPは、層間絶縁膜IL6(第1絶縁膜)と、層間絶縁膜IL6上に形成されたパッドPDと、層間絶縁膜IL6上に形成され、パッドPDの一部を露出する開口部OP3(第1開口部)を有する絶縁膜PA(第2絶縁膜)と、開口部OP3から露出するパッドPD上に形成されたピラー電極PLと、を有している。配線基板CBは、端子TEと、端子TEの一部を露出する開口部OP1(第2開口部)を有するレジスト層SR1(第3絶縁膜)と、を有している。半導体チップCPの絶縁膜PAは、配線基板CBに対向する側の主面(第1主面)である上面PA2aを有し、また、配線基板CBのレジスト層SR1は、半導体チップCPに対向する側の主面(第2主面)である上面SR1aを有している。平面視において、ピラー電極PLは、絶縁膜PAの開口部OP3(第1開口部)を内包し、ピラー電極PLの一部は絶縁膜PAと重なっている。そして、半導体チップCPのピラー電極PLと、配線基板CBの端子TEとは、ピラー電極PLと端子TEとの間に介在する半田層SDを介して接続されている。
本実施の形態の第1の特徴は、絶縁膜PAの上面PA2aからのピラー電極PLの厚さ(第1厚さ、高さ)h1が、レジスト層SR1の上面SR1aからの半田層SDの厚さ(第2厚さ、高さ)h2の半分以上で、かつ厚さh2以下であることである。すなわち、第1の特徴は、h2/2≦h1≦h2の関係を満たしていることである。なお、厚さh1,h2は、図7および図17に示されている。
h2/2≦h1≦h2の関係を満たすことは、h1≦h2≦h1×2の関係を満たすことと等価である。このため、第1の特徴は、レジスト層SR1の上面SR1aからの半田層SDの厚さh2は、絶縁膜PAの上面PA2aからのピラー電極PLの厚さh1の1倍以上で、かつ2倍以下であることと、等価である。
厚さh1は、絶縁膜PAの上面PA2aから突出する部分のピラー電極PLの厚さ(高さ)とみなすこともできる。また、厚さh1は、絶縁膜PAの上面PA2aから、ピラー電極PLの先端面までの距離(半導体チップCPの厚さ方向で見たときの距離)とみなすこともできる。また、厚さh1は、絶縁膜PAの上面PA2a上に位置する部分(すなわち絶縁膜PAの上面PA2a上に乗り上げている部分)のピラー電極PLの厚さとみなすこともできる。いずれにしても、h1は、半導体チップCPの厚さ方向で見たときの寸法である。
また、厚さh2は、レジスト層SR1の上面SR1aから突出する部分の半田層SDの厚さ(高さ)とみなすこともできる。また、厚さh2は、レジスト層SR1の上面SR1aから、半田層SDの上面(すなわち半田層SDとピラー電極PLとの界面から)までの距離(配線基板CBの厚さ方向で見たときの距離)とみなすこともできる。いずれにしても、h2は、配線基板CBの厚さ方向で見たときの寸法である。配線基板CBの厚さ方向で見たときに、半導体チップCPの絶縁膜PAの上面PA2aと配線基板CBのレジスト層SR1の上面SR1aとの間の距離(間隔)は、ピラー電極PLの厚さh1と半田層SDの厚さh2との合計(すなわちh1+h2)に対応している。
第1の特徴(h2/2≦h1≦h2)を満たすことが望ましい理由について、以下に説明する。
パッドPD上にピラー電極PLを設けて、半導体チップCPのピラー電極PLと配線基板CBの端子TEとを半田層SDで接続した構造を採用する利点は、ピラー電極PLを用いた分、半導体チップCPと配線基板CBとの間の間隔を大きくするためと、ピラー電極PLを用いた分、半田接続部の半田量を抑制するためである。この観点では、ピラー電極PLの厚さh1はある程度大きいことが望ましく、ピラー電極PLの厚さh1が小さいと、ピラー電極PLを用いる意義が小さくなってしまう。この観点で、ピラー電極PLの厚さh1は、半田層SDの厚さh2の半分以上(すなわちh2/2≦h1)であることが好ましい。h2/2≦h1が成り立つようにすることで、ピラー電極PLを用いることによる上記利点を的確に享受することができるようになる。これにより、半導体チップCPの端子数の増加や半導体チップCPの小型化に伴いピラー電極PLの隣接間隔が小さくなっても、半導体チップCPと配線基板CBとの間にアンダーフィル樹脂(樹脂部UFR)を充填しやすくなる。また、ピラー電極PLの厚さh1を確保した分、各半田接続部(ここでは半田層SD)の半田量を抑制できるため、ピラー電極PLの隣接間隔が小さくなっても、半田接続部同士が接触して短絡するのを防止しやすくなる。このため、半導体チップCPの小型化や多端子化を図ることができる。
一方、ピラー電極PLの厚さh1が大きすぎると、次のような課題が生じてしまう。ピラー電極PLに印加される応力は、ピラー電極PLの下に存在する絶縁膜PA(特に樹脂膜PA2)によって緩和される。しかしながら、ピラー電極PLの厚さh1を大きくすると、ピラー電極PLに印加される応力が大きくなり、その応力を絶縁膜PA(特に樹脂膜PA2)によって十分には緩和できなくなり、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方に位置する層間絶縁膜(IL1〜IL6)に応力が伝達され、その層間絶縁膜(IL1〜IL6)に応力が加わることになる。ピラー電極PLからピラー電極PLの下方に位置する層間絶縁膜に応力が加わることは、その層間絶縁膜にダメージが発生することにつながる虞があり、半導体装置PKGの信頼性を低下させてしまう。本発明者の実験とシミュレーションによれば、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力の大きさは、ピラー電極PLの厚さh1に依存しており、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を小さくするためには、ピラー電極PLの厚さh1を小さくすることが有効である。
この観点で、ピラー電極PLの厚さh1は、半田層SDの厚さh2以下(すなわちh1≦h2)であることが好ましい。h1≦h2が成り立つようにすることで、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を小さくすることができるため、ピラー電極PLからの応力に起因して、ピラー電極PLの下方に位置する層間絶縁膜にダメージが発生するのを抑制または防止することができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
従って、第1の特徴として、h2/2≦h1≦h2の関係を満たすことが望ましい。これにより、ピラー電極PLを用いることによる上記利点を的確に享受することができるとともに、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方に位置する層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を的確に低減することができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、ピラー電極PLの隣接間隔を小さくすることが可能になるため、半導体チップCPの小型化や多端子化を図ることができる。
図37は、ピラー電極の厚さ(図37の横軸)と、ピラー電極からピラー電極の下方の層間絶縁膜に加わる応力(図37の縦軸)との相関を、シミュレーションによって調べた結果を示すグラフである。図37の横軸は、ピラー電極の厚さであるが、上記厚さh1に相当している。図37のグラフからも、ピラー電極の厚さ(h1)を小さくすることによって、ピラー電極からピラー電極の下方の層間絶縁膜に加わる応力を小さくできることが分かる。ピラー電極PLの厚さh1は、15〜25μm程度が好適である。このため、例えば、ピラー電極PLの厚さh1を20μmとし、半田層SDの厚さh2を30μmとする組み合わせは、好適である。
本実施の形態の第2の特徴は、ピラー電極PLの厚さh1と半田層SDの厚さh2との合計(すなわちh1+h2)が、ピラー電極PLの直径D1の0.5倍以上で、かつ0.8倍以下であることである。すなわち、第2の特徴は、D1×0.5≦h1+h2≦D1×0.8の関係を満たしていることである。直径D1は、図20および図21に示されている。ピラー電極PLの直径D1は、上記フォトレジスト層RP1の開口部OP4の直径と実質的に同じである。
なお、D1×0.5≦h1+h2≦D1×0.8の関係を満たすことは、0.5≦(h1+h2)/D1≦0.8の関係を満たすことと等価である。
第2の特徴を満たすことが望ましい理由について、以下に説明する。
ピラー電極PLの直径D1を小さくして(h1+h2)/D1を大きくすると、ピラー電極PLが倒れる方向に作用する応力が大きくなってしまう。ピラー電極PLが倒れる方向に作用する応力が大きくなると、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方に位置する層間絶縁膜(IL1〜IL6)に応力が加わりやすくなるため、好ましくない。ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜に加わる応力を小さくするためには、ピラー電極PLの直径D1を大きくすることが有効である。この観点で、(h1+h2)/D1は0.8以下であることが好ましい。
一方、ピラー電極PLの直径D1を大きくして(h1+h2)/D1を小さくすることは、半導体チップCPと配線基板CBとの間に充填するアンダーフィル樹脂(樹脂部UFR)の体積の減少を招き、アンダーフィル樹脂による保護効果の低減につながってしまう。また、ピラー電極PLの直径D1を大きくして(h1+h2)/D1を小さくすることは、ピラー電極PLの配列ピッチの増大につながり、半導体チップの小型化や多端子化に不利となる。このため、ピラー電極PLの直径D1を大きくして(h1+h2)/D1を小さくし過ぎることも、好ましくない。この観点で、(h1+h2)/D1は0.5以上であることが好ましい。
従って、第2の特徴として、ピラー電極PLの厚さh1と半田層SDの厚さh2との合計は、ピラー電極PLの直径D1の0.5倍以上で、かつ0.8倍以下であることが望ましい(すなわちD1×0.5≦h1+h2≦D1×0.8)。これにより、ピラー電極PLが倒れる方向に作用する応力を抑制して、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方に位置する層間絶縁膜(IL1〜IL6)に応力が加わりにくくすることができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、半導体チップCPと配線基板CBとの間に充填するアンダーフィル樹脂(樹脂部UFR)の体積を確保しやすくなるため、アンダーフィル樹脂による保護効果を的確に得ることができるようになる。また、ピラー電極PLの配列ピッチを小さくしやすくなる、半導体チップの小型化や多端子化に有利となる。
図38は、ピラー電極の直径(図38の横軸)と、ピラー電極からピラー電極の下方の層間絶縁膜に加わる応力(図38の縦軸)との相関を、シミュレーションによって調べた結果を示すグラフである。図38の横軸は、ピラー電極の直径であるが、上記直径D1に相当している。図38のグラフからも、ピラー電極の直径(D1)を大きくすることによって、ピラー電極からピラー電極の下方の層間絶縁膜に加わる応力を小さくできることが分かる。ピラー電極PLの直径D1は、85〜105μm程度が好適である。
本実施の形態の第3の特徴は、絶縁膜PAの開口部OP3の直径D2が、ピラー電極PLの直径D1の0.4倍以上で、かつ0.75倍以下であることである。すなわち、第3の特徴は、D1×0.4≦D2≦D1×0.75の関係を満たしていることである。直径D1,D2は、図20および図21に示されている。なお、絶縁膜PAの開口部OP3は、樹脂膜PA2の開口部OP3bにより構成されているため、絶縁膜PAの開口部OP3の直径D2は、樹脂膜PA2の開口部OP3bの直径と同じである。
第3の特徴を満たすことが望ましい理由について、以下に説明する。
絶縁膜PAの開口部OP3の直径D2が小さくなると、絶縁膜PAの開口部OP3に埋め込まれた部分のピラー電極PLの直径も小さくなり、絶縁膜PAの開口部OP3に埋め込まれた部分のピラー電極PLにおける電流密度が高くなる。絶縁膜PAの開口部OP3に埋め込まれた部分のピラー電極PLにおける電流密度が高くなると、ピラー電極PLの劣化(例えばエレクトロマイグレーションによる劣化)が生じやすくなり、EM(ElectroMigration)寿命などが低下する虞があるため、好ましくない。ピラー電極PLの劣化を抑制するためには、絶縁膜PAの開口部OP3の直径D2を大きくすることが有効である。この観点で、絶縁膜PAの開口部OP3の直径D2は、ピラー電極PLの直径D1の0.4倍以上(すなわちD1×0.4≦D2)であることが好ましい。
また、絶縁膜PA(特に樹脂膜PA2)は、緩衝層(応力緩衝層、応力緩和層)としての機能を有しており、ピラー電極PLに印加される応力は、緩衝層としての絶縁膜PA(特に樹脂膜PA2)によって緩和される。しかしながら、絶縁膜PAの開口部OP3の直径D2を大きくすると、絶縁膜PA(特に樹脂膜PA2)の緩衝層としての機能が小さくなり、ピラー電極PLに印加される応力を絶縁膜PA(特に樹脂膜PA2)によって緩和する作用が低下してしまうため、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に応力が加わりやすくなってしまう。
このため、エレクトロマイグレーション対策として、ピラー電極PLに流れる電流密度を下げるために、ピラー電極PLをパッドPDに接続する絶縁膜PAの開口部OP3の直径D2を大きくし過ぎると、絶縁膜PA(特に樹脂膜PA2)の緩衝層としての機能が小さくなり、ピラー電極PLから層間絶縁膜に加わる応力が大きくなって、層間絶縁膜にダメージが発生する虞がある。このため、絶縁膜PAの開口部OP3の直径D2を大きくし過ぎることは、好ましくない。ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を小さくするためには、絶縁膜PAの開口部OP3の直径D2を小さくすることが有効である。この観点で、絶縁膜PAの開口部OP3の直径D2は、ピラー電極PLの直径D1の0.75倍以下(すなわちD2≦D1×0.75)であることが好ましい。
従って、第3の特徴として、絶縁膜PAの開口部OP3の直径D2は、ピラー電極PLの直径D1の0.4倍以上で、かつ0.75倍以下であることが望ましい(すなわち、D1×0.4≦D2≦D1×0.75)。これにより、絶縁膜PAの開口部OP3に埋め込まれた部分のピラー電極PLにおける電流密度を抑制できるため、ピラー電極PLの劣化(例えばエレクトロマイグレーションによる劣化)を抑制でき、EM寿命などを向上させることができる。また、絶縁膜PA(特に樹脂膜PA2)の緩衝層としての機能を確保しやすくなり、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を小さくすることができる。このため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
本実施の形態の第4の特徴は、絶縁膜PAが、無機絶縁膜からなる絶縁膜PA1と、絶縁膜PA1上の樹脂膜PA2との積層構造を有し、平面視において、絶縁膜PA1の開口部OP3a(第3開口部)は、樹脂膜PA2の開口部OP3b(第4開口部)を内包しており、絶縁膜PAの開口部OP3が、樹脂膜PA2の開口部OP3bにより形成されていることである。
第4の特徴を満たすことが望ましい理由について、以下に説明する。
絶縁膜PAが、絶縁膜PA1と絶縁膜PA1上の樹脂膜PA2との積層構造を有し、平面視において、絶縁膜PA1の開口部OP3aが、樹脂膜PA2の開口部OP3bを内包していれば、絶縁膜PAの開口部OP3の内壁は、樹脂膜PA2の開口部OP3bの内壁により構成されるため、ピラー電極PLは、樹脂膜PA2に接するが、絶縁膜PA1には接しなくなる。樹脂膜PA2は、樹脂材料からなるため、比較的柔らかく、ピラー電極PLに印加される応力を緩和する緩衝層(応力緩衝層、応力緩和層)としての機能に優れている。このため、ピラー電極PLが、樹脂膜PA2に接するが、絶縁膜PA1には接しないようにすることで、ピラー電極PLに印加された応力を樹脂膜PA2で緩和しやすくなり、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を小さくすることができる。これにより、ピラー電極PLからの応力に起因して、ピラー電極PLの下方に位置する層間絶縁膜にダメージが発生するのを抑制または防止することができる。このため、第4の特徴を満たすことが望ましく、それによって、半導体装置の信頼性を向上させることができる。例えば、開口部OP3aの直径を55μm程度とし、開口部OP3bの直径を40μm程度とする組み合わせは、好適である。
また、絶縁膜PA1上の樹脂膜PA2とのうち、ピラー電極PLに印加される応力を緩和する緩衝層としての機能するのは、主として樹脂膜PA2であり、その緩衝層としての機能を向上させるために、半導体チップCPの最上層の膜として、樹脂材料からなる絶縁膜(すなわち樹脂膜PA2)を用いている。樹脂膜PA2のこの機能(緩衝層としての機能)を考慮すると、樹脂膜PA2は、ポリイミド樹脂膜であれば、特に好ましい。そうすることで、ピラー電極PLに印加された応力を樹脂膜PA2で、より的確に緩和することができるようになり、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を、より的確に低減できるようになる。
また、絶縁膜PA1は、無機絶縁膜からなることで、パッシベーション膜として的確に機能することができる。また、絶縁膜PA1は、窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなることが、より好ましく、そうすることで、半導体チップCPの耐湿性を向上させることができ、ひいては、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
本実施の形態の第5の特徴は、パッドPDとピラー電極PLとの間における樹脂膜PA2の厚さ(第3厚さ)T1が、パッドPDの厚さ(第4厚さ)T2よりも大きく、かつ、ピラー電極PLの厚さh1よりも小さいことである。すなわち、第5の特徴は、T2<T1<h1の関係を満たしていることである。厚さT1,T2は、図7および図20に示されている。
ここで、厚さT1は、パッドPDの上面(絶縁膜PA1で覆われない部分のパッドPDの上面)とピラー電極PL(樹脂膜PA2上に乗り上げた部分のピラー電極PL)との間に介在する部分の樹脂膜PA2の厚さである。言い換えると、厚さT1は、平面視において、開口部OP3aの内側で、かつ、開口部OP3bの外側の領域における、樹脂膜PA2の厚さに対応している。なお、厚さT1,T2は、半導体チップCPの厚さ方向でみたときの寸法である。
第5の特徴を満たすことが望ましい理由について、以下に説明する。
樹脂膜PA2の厚さ(T1)が薄くなると、樹脂膜PA2の緩衝層としての機能が低くなり、ピラー電極PLに印加される応力を樹脂膜PA2によって緩和する作用が低下してしまうため、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に応力が加わりやすくなる。このため、樹脂膜PA2の厚さ(T1)を薄くし過ぎることは、好ましくない。ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を小さくするためには、樹脂膜PA2の厚さ(T1)を厚くすることが有効である。この観点で、樹脂膜PA2の厚さT1は、パッドPDの厚さT2よりも大きい(厚い)ことが好ましい(すなわちT2<T1)。
一方、樹脂膜PA2の厚さ(T1)が厚すぎると、樹脂膜PA2の熱収縮率と、配線構造を構成する層間絶縁膜(IL1〜IL6)の熱収縮率との差に起因して、半導体チップCPが反りやすくなってしまう。このため、樹脂膜PA2の厚さ(T1)を厚くし過ぎることは、好ましくない。この観点で、樹脂膜PA2の厚さT1は、ピラー電極PLの厚さh1よりも小さいことが好ましい(すなわちT1<h1)。
従って、第5の特徴として、樹脂膜PA2の厚さT1は、パッドPDの厚さT2よりも大きく、かつ、ピラー電極PLの厚さh1よりも小さいことが望ましい(すなわちT2<T1<h1)。これにより、樹脂膜PA2の緩衝層としての機能を確保しやすくなり、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を小さくすることができる。これにより、ピラー電極PLからの応力に起因して、ピラー電極PLの下方に位置する層間絶縁膜にダメージが発生するのを抑制または防止することができる。また、樹脂膜PA2と層間絶縁膜(IL1〜IL6)との熱収縮率との差に起因して半導体チップCPが不必要に反ってしまうのを、抑制または防止しやすくなる。このため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
本実施の形態の第6の特徴は、平面視において、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3が、ピラー電極PLの直径D1よりも小さいことである(図39参照)。すなわち、第6の特徴は、D3<D1の関係を満たしていることである。直径D3は、上記図11および図39に示されている。また、別の見方をすると、第6の特徴は、平面視において、レジスト層SR1の開口部OP1がピラー電極PLに内包されていることである。ここで、図39は、半導体装置PKGの要部平面図であり、図39には、半導体装置PKGにおける、配線基板CBの端子と、レジスト層SR1の開口部OP1と、ピラー電極PLとの平面レイアウトが示されている。
第6の特徴を満たすことが望ましい理由について、以下に説明する。
平面視において、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3を、ピラー電極PLの直径D1よりも大きくしてしまうと、半田層SD1の一部がピラー電極PLの側面に濡れ上がりやすくなってしまう。半田層SD1の一部がピラー電極PLの側面に濡れ上がると、半導体チップCPと配線基板CBとの間にアンダーフィル樹脂(樹脂部UFR)を充填しにくくなってしまうため、好ましくない。また、半田層SD1の一部がピラー電極PLの側面に濡れ上がると、隣り合うピラー電極PL間の短絡のリスクが増加するため、好ましくない。また、半田層SD1の一部がピラー電極PLの側面に濡れ上がると、その分、半田層SDの厚さh2が小さくなり、半導体チップCPと配線基板CBとの間の間隔が狭くなるため、好ましくない。
従って、第6の特徴として、平面視において、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3は、ピラー電極PLの直径D1よりも小さいことが望ましい。別の見方をすると、平面視において、レジスト層SR1の開口部OP1は、ピラー電極PLに内包されていることが望ましい。これによりピラー電極PLと端子TEとを接続する半田層SDの形状は、上記図7に示されるような形状となり、半田層SD1を構成する半田がピラー電極PLの側面に濡れ上がりにくくなる。このため、半導体チップCPと配線基板CBとの間にアンダーフィル樹脂(樹脂部UFR)を充填しやすくなり、半導体装置PKGを製造しやすくなる。また、隣り合うピラー電極PL間の短絡のリスクを低減することができるため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。例えば、ピラー電極PLの直径D1を85〜105μm程度とし、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3を65〜75μm程度とする組み合わせは、好適である。
また、半導体チップCPにおけるピラー電極PLの配列ピッチは、ピラー電極PLの直径D1に15μmを加えた値(D1+15μm)よりも大きいことが好ましい。すなわち、平面視において、隣り合うピラー電極PLの最近接距離(最も近接している箇所の間隔)は、15μm以上確保することが好ましい。これにより、半導体チップCPと配線基板CBとの間にアンダーフィル樹脂(樹脂部UFR)を充填しやすくなる。一例を挙げると、ピラー電極PLの直径D1を85〜105μm程度とし、ピラー電極PLの配列ピッチを130μm程度とすることができる。
第6の特徴について更に補足する。上述のように、第6の特徴として、平面視において、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3は、ピラー電極PLの直径D1よりも小さい(D3<D1)が、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3が、ピラー電極PLの直径D1の0.7倍以上でかつ0.8倍以下(D1×0.7≦D3≦D1×0.8)であれば、特に好ましい。その理由について、以下に説明する。
上述のように、第6の特徴として、平面視において、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3は、ピラー電極PLの直径D1よりも小さく(D3<D1)、別の見方をすると、平面視において、レジスト層SR1の開口部OP1は、ピラー電極PLに内包されている。これにより、半田層SD1を構成する半田がピラー電極PLの側面に濡れ上がりにくくなる。しかしながら、半田層SD1を構成する半田がピラー電極PLの側面に濡れ上がることを確実に防止するためには、平面視において、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3をピラー電極PLの直径D1よりも小さくするだけではなく、更に、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3を、ピラー電極PLの直径D1の0.8倍以下(すなわちD3≦D1×0.8)とすることが好ましい。レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3をピラー電極PLの直径D1の0.8倍以下(D3≦D1×0.8)とすれば、半田層SD1を構成する半田がピラー電極PLの側面に濡れ上がるのをより的確に防止することができる。
一方、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3が小さくなると、レジスト層SR1の開口部OP1に埋め込まれた部分の半田層SDの直径も小さくなり、レジスト層SR1の開口部OP1に埋め込まれた部分の半田層SDにおける電流密度が高くなる。レジスト層SR1の開口部OP1に埋め込まれた部分の半田層SDにおける電流密度が高くなると、半田層SDの劣化(例えばエレクトロマイグレーションによる劣化)が生じやすくなり、EM寿命などが低下する虞があるため、好ましくない。電流密度の増加に起因した半田層SDの劣化を抑制または防止するためには、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3を小さくし過ぎないことが有効である。また、ピラー電極PLの直径D1に対するレジスト層SR1の開口部OP1の直径D3の比(すなわちD3/D1)が小さくなると、レジスト層SR1の上面SR1aとレジスト層SR1の開口部OP1の内壁(側壁)とで形成される角部に接する位置に、半田層SDのくびれ部分が形成され、そのくびれ部分を起点として半田層SDにクラックが発生するリスクが増加してしまう。半田層SDのクラックを抑制または防止するためには、ピラー電極PLの直径D1に対するレジスト層SR1の開口部OP1の直径D3の比(すなわちD3/D1)を小さくし過ぎないことが有効である。つまり、半田層SDの劣化やクラックを抑制または防止するためには、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3を小さくし過ぎないことが有効である。
このため、第6の特徴として、平面視においてレジスト層SR1の開口部OP1はピラー電極PLに内包されている(開口部OP1の直径D3はピラー電極PLの直径D1よりも小さい)が、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3を、ピラー電極PLの直径D1の0.7倍以上でかつ0.8倍以下(すなわちD1×0.7≦D3≦D1×0.8)とすることが、特に好ましい。すなわち、ピラー電極PLの直径D1に対するレジスト層SR1の開口部OP1の直径D3の比(D3/D1)は、0.7以上でかつ0.8以下(すなわち0.7≦D3/D1≦0.8)とすることが、特に好ましい。そうすることにより、半田層SD1を構成する半田がピラー電極PLの側面に濡れ上がるのを的確に防止することができるとともに、半田層SDの劣化やクラックを抑制または防止することができ、半導体装置の信頼性を、より的確に向上させることができる。
なお、図39では、一例として端子TEの平面形状が四角形(矩形)の場合が示されているが、これに限定されず、端子TEの平面形状は円形などでもよい。
本実施の形態の第7の特徴は、半導体チップCPを構成する半導体基板SBの厚さが、25〜300μmであることである。第7の特徴を満たすことが望ましい理由について、以下に説明する。
半導体チップCPを構成する半導体基板SBの厚さが厚いと、半導体チップCPは変形しにくくなる。それに対して、半導体チップCPを構成する半導体基板SBの厚さを薄くすると、半導体チップCPは変形しやすくなり、半導体チップCPの配線構造を構成する層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を、半導体チップCPの変形によって緩和させることができるようになる。このため、半導体基板SBの厚さを薄くすることは、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を小さくするように作用する。この観点で、半導体チップCPを構成する半導体基板SBの厚さは、ある程度薄くし、300μm以下とすることが好ましい。一方、半導体基板SBの厚さが薄すぎると、半導体基板SBの割れのリスクが増加するため、半導体基板SBの厚さは、25μm以上であることが好ましい。
従って、第7の特徴として、半導体チップCPを構成する半導体基板SBの厚さは、25〜300μmの範囲内であることが望ましい。これにより、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を、半導体チップCPの変形によって緩和させることができるとともに、半導体基板SBが割れてしまうのを、的確に防止することができる。このため、半導体装置の信頼性を向上させることができ、また、半導体装置を製造しやすくなる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
図40は、半導体チップを構成する半導体基板の厚さ(図40の横軸)と、ピラー電極からピラー電極の下方の層間絶縁膜に加わる応力(図40の縦軸)との相関を、シミュレーションによって調べた結果を示すグラフである。図40のグラフからも、半導体チップを構成する半導体基板の厚さを薄くすることによって、ピラー電極からピラー電極の下方の層間絶縁膜に加わる応力を小さくできることが分かる。このため、半導体チップCPを構成する半導体基板SBの厚さは、300μm以下とすることが好ましい。
本実施の形態の第8の特徴は、絶縁膜PAの開口部OP3(樹脂膜PA2の開口部OP3b)の平面形状が、円形状であることである(図21参照)。また、ピラー電極PLの平面形状が円形状であれば、更に好ましい。第8の特徴を満たすことが望ましい理由について、以下に説明する。
絶縁膜PAの開口部OP3(樹脂膜PA2の開口部OP3b)の平面形状は、四角形状(矩形状)、四角形以外の多角形状、あるいは円形状など、種々の平面形状を適用することができるが、その中でも、円形状が特に好ましい。絶縁膜PAの開口部OP3(樹脂膜PA2の開口部OP3b)の平面形状を円形状とすることで、絶縁膜PAの開口部OP3(樹脂膜PA2の開口部OP3b)に埋め込まれた部分のピラー電極PLが円柱状となる。これにより、ピラー電極PLに異方的な応力が発生しにくくなり、また、ピラー電極PLの角部に応力が集中する現象が生じるのを防止することができる。この効果は、ピラー電極PLの平面形状を円形状にすることで、更に大きくなる。これにより、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を小さくすることができる。このため、ピラー電極PLからの応力に起因して、ピラー電極PLの下方に位置する層間絶縁膜にダメージが発生するのを抑制または防止することができる。従って、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
また、半導体チップCPは、複数の配線層を含む配線構造を有している。本実施の形態は、半導体チップCPの配線構造が、低誘電率絶縁膜を含んでいる場合に適用すれば、効果が大きい。その理由は、以下の通りである。
上述したように、近年、半導体チップ内の配線の間隔は小さくなってきているため、近接する配線間の寄生容量が大きくなり、信号遅延や消費電力の増加を招く虞がある。このため、半導体チップの配線構造を構成する層間絶縁膜に低誘電率絶縁膜を用いることで、近接する配線間の寄生容量を低減することが望ましく、それによって、半導体装置の性能を向上させることができる。しかしながら、低誘電率絶縁膜は、酸化シリコン膜よりも誘電率が低いが、低誘電率絶縁膜は、酸化シリコン膜に比べて強度が弱くなりやすい。このため、配線構造に含まれる層間絶縁膜として低誘電率絶縁膜を採用した場合には、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜に応力が加わった際に、その層間絶縁膜にダメージが発生するリスクが高くなってしまう。つまり、低誘電率絶縁膜は、ピラー電極PLからの応力に対する耐性が低い膜と言える。
それに対して、本実施の形態では、上記の特徴(第1〜第8の特徴)により、ピラー電極PLからピラー電極PLの下方の層間絶縁膜(IL1〜IL6)に加わる応力を低減している。このため、配線構造に含まれる層間絶縁膜として、応力に対する耐性が低い膜である低誘電率絶縁膜を採用した場合でも、ピラー電極PLからの応力によって低誘電率絶縁膜からなる層間絶縁膜にダメージが発生するのを抑制または防止することができる。このため、本実施の形態を、半導体チップCPの配線構造が低誘電率絶縁膜を含んでいる場合に適用すれば、半導体チップCP内の近接する配線間の寄生容量を低減する効果を得られるとともに、その低誘電率絶縁膜に、ピラー電極PLからの応力によってダメージが発生するのを抑制または防止することができる。従って、半導体装置の性能を向上させるとともに、半導体装置の信頼性を向上させることができる。これは、後述の第9の特徴および第10の特徴についても適用できる。
次に、本実施の形態の第1変形例について説明する。図41および図42は、本実施の形態の第1変形例の半導体装置PKGの要部断面図(図41)および要部平面図(図42)である。図41は、上記図7に対応する領域の断面図(部分拡大断面図)が示されており、図42は、上記図21に対応する平面図が示されている。なお、図41は、図42のA6−A6線の位置での断面図にほぼ対応している。また、図43は、第1変形例の半導体装置の効果を説明するための説明図であり、上記図7に対応する領域の断面図が示されている。
なお、図41および図42に示される第1変形例の半導体装置が上記図7の半導体装置と主として相違しているのは、第9の特徴を有していることである。
すなわち、第9の特徴は、パッドPDとそのパッドPD上に形成されたピラー電極PLとにおいて、平面視において、パッドPDはピラー電極PLを内包していることである。つまり、平面視において、ピラー電極PLは、パッドPDに内包されており、パッドPDからはみ出してはいない。別の見方をすると、第9の特徴は、平面視において、半導体チップCPのパッドPDの側面(外周)PDSの位置が、ピラー電極PLの側面PLSと同じか、ピラー電極PLの側面PLSよりも外側に位置していることである。ここで、平面視において、絶縁膜PAの開口部OP3から遠ざかる側を外側とし、絶縁膜PAの開口部OP3に近づく側を内側としている。
なお、ピラー電極PLの側面PLSは、絶縁膜PAの上面PA2a上に位置する部分(すなわち絶縁膜PAの上面PA2a上に乗り上げている部分)のピラー電極PLの側面である。ピラー電極PLの側面PLSは、平面視において絶縁膜PA2と重なっており、かつ、樹脂部UFRに接している。すなわち、ピラー電極PLの側面PLSは、樹脂部UFRに接する側面である。
第9の特徴の効果について、図41と図43とを対比しながら、以下に説明する。
絶縁膜を形成する際に、その絶縁膜の下地に段差が存在すると、下地の段差を反映した段差が、その絶縁膜にも生じる場合がある。絶縁膜PAは、パッドPDの上面の一部(中央部)を開口部OP3から露出し、パッドPDの上面の外周部と側面とを覆うように、形成されている。このため、絶縁膜PAの上面PA2aには、パッドPDの側面PDSに起因した段差DSが形成される場合がある。図41および図43のそれぞれには、絶縁膜PAの上面PA2aに、パッドPDの側面PDSに起因した段差DSが形成された場合が示されている。なお、図41の場合と図43の場合とを比べると、図43の場合よりも図41の場合の方がパッドPDの平面寸法(平面積)が大きく、図41の場合は、平面視においてパッドPDの側面PDSはピラー電極PLと重なっていないが、図43の場合は、平面視においてパッドPDの側面PDSがピラー電極PLと重なっている。
図43の場合は、絶縁膜PAの上面PA2aに、パッドPDの側面PDSに起因した段差DSが形成され、かつその段差DS上にもピラー電極PLが存在している。すなわち、図43の場合は、絶縁膜PAの上面PA2aにおいて、段差DSよりも外側の領域にまでピラー電極PLが存在している。この場合(図43)は、絶縁膜PAに接するピラー電極PLの下面PLKは、平坦とはならずに、段差DSを反映した形状となる。具体的には、ピラー電極PLの下面PLKは、下面PLKの端部近傍領域が半導体チップCPに近づく側に突出した(尖った)形状になる。なお、ピラー電極PLにおける絶縁膜PAの上面PA2aに接する面を、符号PLKを付してピラー電極PLの下面PLKとする。
ピラー電極PLの下面PLKが、図43のような形状を有している場合には、温度サイクル時(高温状態と低温状態とが交互に繰り返された際)に、ピラー電極PLの下面PLKの端部近傍領域が絶縁膜PAを押すことで、半導体チップCPのパッドPDまたは層間絶縁膜に応力が加わり、パッドPDの変形あるいは層間絶縁膜のダメージが生じやすくなる。
ピラー電極PLからの応力に起因したパッドPDの変形や層間絶縁膜のダメージを抑制するためには、絶縁膜PAに接するピラー電極PLの下面PLKを、下面PLKの端部側まで平坦にすることが有効である。そのためには、絶縁膜PAの段差DSが生じても、その段差DSがピラー電極PLの下面PLKの形状に影響しないようにすることが必要である。これは、絶縁膜PAの段差DS上にはピラー電極PLは存在せず、平面視において段差DSよりも内側にピラー電極PLの側面PLSが位置するように、パッドPDとピラー電極PLとを設計することで実現できる。
絶縁膜PAの段差DSは、パッドPDの側面PDSに起因して発生したものであり、絶縁膜PAの段差DSとパッドPDの側面PDSとの平面的な位置関係を見ると、絶縁膜PAの段差DSは、必ずパッドPDの側面PDSよりも外側に位置している。なお、上述のように、平面視において、絶縁膜PAの開口部OP3から遠ざかる側を外側とし、絶縁膜PAの開口部OP3に近づく側を内側としている。このため、平面視において、ピラー電極PLがパッドPDに内包され、パッドPDからピラー電極PLがはみ出さないようにすれば、必然的に、平面視においてピラー電極PLの側面PLSは、絶縁膜PAの段差DSよりも内側に位置することになり、それゆえ、絶縁膜PAの段差DS上にはピラー電極PLは存在しなくなる。これにより、図41に示されるように、絶縁膜PAの段差DSが生じていても、絶縁膜PAに接するピラー電極PLの下面PLKを、下面PLKの端部側まで平坦にすることができる。
つまり、上記第9の特徴を満たす場合は、パッドPDの側面PDSに起因する段差DSが絶縁膜PAに生じたとしても、その段差DSがピラー電極PLの下面PLKの形状に影響することはなく、絶縁膜PAに接するピラー電極PLの下面PLKを、下面PLKの端部側まで平坦にすることができる(図41参照)。図43の場合に比べて、図41の場合は、ピラー電極PLの下面PLKが平坦であることを反映して、温度サイクル時に、ピラー電極PLの下面PLKから半導体チップCPのパッドPDあるいは層間絶縁膜に加わる応力を緩和することができるため、パッドPDの変形や、あるいは層間絶縁膜のダメージを抑制することができる。このため、第9の特徴を満たすことで、温度サイクル時に、ピラー電極PLからの応力に起因してパッドPDの変形や層間絶縁膜のダメージが発生するのを抑制または防止することができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
第9の特徴は、上記第1〜第8の特徴の1つ以上と組み合わせることもできる。
次に、本実施の形態の第2変形例について説明する。図44は、本実施の形態の第2変形例の半導体装置PKGの要部平面図であり、上記図39に対応するものである。図44には、第2変形例の半導体装置PKGにおける、配線基板CBの端子と、レジスト層SR1の開口部OP1と、ピラー電極PLとの平面レイアウトが示されている。第2変形例の半導体装置PKGの断面図は、上記図6および図7と基本的には同じである。
図44に示される第2変形例の半導体装置は、第10の特徴を有している。第10の特徴は、1.5≦D4/D3≦2が成り立つことである。
ここで、上述のように、D3は、レジスト層SR1の開口部OP1の直径である。また、D4は、端子TEの直径である。なお、端子TEは、銅層TE1と銅層TE1上のニッケル層TE2とからなり、平面視においてニッケル層TE2は銅層TE1に内包されているため、端子TEの直径D4は、端子TEを構成する銅層TE1の直径に対応している。第2変形例では、図44に示されるように、端子TEの平面形状は、すなわち端子TEを構成する銅層TE1の平面形状は、円形状である。また、上記図39の場合と同様に、図44の場合も、レジスト層SR1の開口部OP1の平面形状は、円形状である。なお、端子TEを構成するニッケル層TE2は、レジスト層SR1の開口部OP1から露出する部分の銅層TE1上に形成されているため、レジスト層SR1の開口部OP1の平面形状および平面寸法と、端子TEを構成するニッケル層TE2の平面形状および平面寸法とは、実質的に同じである。
第10の特徴を採用する理由と効果について、以下に説明する。
レジスト層SR1と端子TE(銅層TE1)との接着力は、それほど強くはないため、レジスト層SR1と端子TE(銅層TE1)との接触面積が小さいと、レジスト層SR1と端子TE(銅層TE1)との密着性(接着性)が低くなってしまい、レジスト層SR1と端子TEとの界面での剥離が懸念される。レジスト層SR1と端子TEとの界面での剥離は、半導体装置の信頼性の低下につながるので、好ましくない。
このため、レジスト層SR1と端子TE(銅層TE1)との接触面積をある程度大きくして、レジスト層SR1と端子TEとの界面での剥離を生じにくくすることが望ましい。端子TE(銅層TE1)とレジスト層SR1との接触面積を大きくするには、端子TEの直径D4を大きくするか、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3を小さくするが、これは、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3に対する端子TEの直径D4の比(D4/D3)を大きくすることに対応している。
すなわち、D4/D3を小さくするとレジスト層SR1と端子TE(銅層TE1)との接触面積が小さくなって、レジスト層SR1と端子TEとの界面での剥離が懸念されるため、その剥離を抑制または防止するためには、D4/D3を小さくし過ぎないことが有効である。
一方、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3が小さくなると、レジスト層SR1の開口部OP1に埋め込まれた部分の半田層SDの直径も小さくなり、レジスト層SR1の開口部OP1に埋め込まれた部分の半田層SDにおける電流密度が高くなる。レジスト層SR1の開口部OP1に埋め込まれた部分の半田層SDにおける電流密度が高くなると、半田層SDの劣化(例えばエレクトロマイグレーションによる劣化)が生じやすくなり、EM寿命などが低下する虞があるため、好ましくない。電流密度の増加に起因した半田層SDの劣化を抑制または防止するためには、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3を小さくし過ぎないことが有効である。
また、端子TEの直径D4を大きくすることは、端子TEの配列ピッチが大きくなるか、あるいは、隣り合う端子TEの間隔が狭くなることにつながる。端子TEの配列ピッチが大きくなると、それに応じて半導体チップCPのパッドPDの配列ピッチが大きくなるが、これは、半導体チップCPの小型化や多端子化の要求に逆行するので、好ましくない。また、隣り合う端子TEの間隔が狭くなると、配線基板CBにおいて隣り合う端子TEの間に配線を通しにくくなるため、配線基板CBの配線レイアウトの制約につながり、好ましくない。このため、端子TEの配列ピッチを抑制し、配線基板CBの配線レイアウトの制約を減らすためには、端子TEの直径D4を大きくし過ぎないことが有効である。
端子TEの直径D4を大きくすることと、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3を小さくすることとは、いずれも、レジスト層SR1の開口部OP1の直径D3に対する端子TEの直径D4の比(D4/D3)を大きくするように作用する。
このため、電流密度の増加に起因した半田層SDの劣化を抑制または防止し、また、端子TEの配列ピッチを抑制し、配線基板CBの配線レイアウトの制約を減らすためには、D4/D3を大きくし過ぎないことが有効である。
そこで、第2変形例では、上記第10の特徴を採用し、1.5≦D4/D3≦2の関係を満たすようにしている。1.5≦D4/D3の関係を満たすことにより、レジスト層SR1と端子TEとの接触面積をある程度確保して、レジスト層SR1と端子TEとの密着性を高め、それによって、レジスト層1と端子TEとの界面での剥離を生じにくくすることができる。また、D4/D3≦2の関係を満たすことにより、電流密度の増加に起因した半田層SDの劣化を抑制または防止でき、また、端子TEの配列ピッチを抑制し、配線基板CBの配線レイアウトの制約を減らすことができる。従って、1.5≦D4/D3≦2の関係を満たすことで、半導体装置の信頼性を向上させることができるとともに、半導体チップCPの小型化(小面積化)や多端子化に有利となり、また、配線基板CBの配線レイアウトの自由度を向上させることができる。
また、上記第6の特徴に関連して、D1×0.7≦D3≦D1×0.8の関係を満たすことが好ましいことを述べたが、この関係と、第10の特徴である1.5≦D4/D3≦2の関係とを組み合わせた場合、端子TEの直径D4とピラー電極PLの直径D1とについては、1.05≦D4/D1≦1.6の関係を満たすことが好ましいことになる。
第10の特徴は、上記第1〜第9の特徴の1つ以上と組み合わせることもできる。
また、図44では、端子TEの平面形状を円形状としている。端子TEの平面形状を円形状とした場合には、次のような効果を得ることができる。
すなわち、端子TEの平面形状を円形状にすると、隣り合う端子TEの間隔を効率的に大きくすることができる。例えば、端子TEの平面形状が円形の場合と四角形の場合とを比べると、端子TEの配列ピッチが同じであれば、隣り合う端子TEの間隔は、端子TEの平面形状が四角形の場合よりも、端子TEの平面形状が円形の場合の方が広くなる。このため、端子TEの平面形状を円形状にすることで、隣り合う端子TEの間隔を効率的に大きくすることができ、配線基板CBにおいて隣り合う端子TE間に配線を通しやすくなるため、配線基板CBにおける配線レイアウトの自由度を、より向上させることができる。
また、レジスト層SR1の開口部OP1を円形状とすれば、半田層SDに異方的な応力が発生しにくくなり、また、半田層SDの角部に応力が集中する現象が生じるのを防止することができる。これにより、半田層SDの劣化やクラックを抑制または防止しやすくなる。
次に、ピラー電極PLにおけるニッケル層NLの有無について補足する。上記図7および図35には、銅層CLと半田層SDとの間にニッケル層(ニッケルめっき層)が介在しない場合が示されており、ピラー電極PLは、シード層SEとシード層SE上の銅層CLとにより形成されている。他の形態として、上記図36を参照して説明したように、ピラー電極PLを、シード層SEとシード層SE上の銅層CLと銅層CL上のニッケル層NLとにより形成することもでき、その場合は、銅層CLと半田層SDとの間に、ニッケル層NLが介在することになる。
しかしながら、ピラー電極PLがニッケル層NLを有する場合(図36)よりも、図7および図35のように、ピラー電極PLがニッケル層NLを有しておらず、銅層CLと半田層SDとの間にニッケル層(NL)が介在しない場合の方が、EM寿命を向上させることができる。その理由は、次のように考えられる。
まず、ピラー電極PLを構成する銅層CLと半田層SDとの間にニッケル層NLが介在する半導体装置(図36のピラー電極PLを適用した半導体装置に対応)について、EM試験を行った場合について説明する。この場合は、端子TEを構成するニッケル層TE2から半田層SD側へのニッケル(Ni)の拡散が発生し、ニッケル層TE2と半田層SDとの間にEM開放故障(open failures)が発生して、これがEM寿命を決める主因となる。
次に、ピラー電極PLを構成する銅層CLと半田層SDとの間にニッケル層(NL)が介在しない半導体装置(図35のピラー電極PLを適用した半導体装置に対応)について、EM試験を行った場合について説明する。この場合は、銅層CLからの銅(Cu)の熱拡散に起因して、CuSn層が端子TEを構成するニッケル層TE2上に形成され、このCuSn層が、ニッケル層TE2から半田層SDへのニッケル(Ni)の拡散に対するバリア層として機能する。このため、端子TEを構成するニッケル層TE2と半田層SDとの間にEM開放故障は生じにくくなる。この場合は、端子TEを構成するニッケル層TE2と半田層SDとの間ではなく、ピラー電極PLを構成する銅層CLと半田層SDとの間に生じるEM開放故障が、EM寿命を決める主因となるが、そのEM寿命は、図36のピラー電極PLを適用した半導体装置に比べて、向上する(例えば25%程度向上する)。
このため、ピラー電極PLがニッケル層NLを有さずに、ピラー電極PLを構成する銅層CLと半田層SDとの間にニッケル層(NL)が介在しないようにすることで、EM寿命を向上させることができる。従って、半導体装置の信頼性を、より向上させることができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
その他、上記実施の形態(変形例を含む)に記載された内容の一部を以下に記載する。
[付記1]
配線基板と、前記配線基板上に搭載された半導体チップと、を有する半導体装置であって、
前記半導体チップは、
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成されたパッドと、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記パッドの一部を露出する第1開口部を有する第2絶縁膜と、
前記第1開口部から露出する前記パッド上に形成されたピラー電極と、
を有し、
前記配線基板は、
端子と、
前記端子の一部を露出する第2開口部を有する第3絶縁膜と、
を有し、
前記半導体チップの前記第2絶縁膜は、前記配線基板に対向する側の第1主面を有し、
前記配線基板の前記第3絶縁膜は、前記半導体チップに対向する側の第2主面を有し、
平面視において、前記ピラー電極は、前記第1開口部を内包し、前記ピラー電極の一部は前記第2絶縁膜と重なっており、
前記半導体チップの前記ピラー電極と、前記配線基板の前記端子とは、前記ピラー電極と前記端子との間に介在する半田層を介して接続されており、
平面視において、前記第2開口部は、前記ピラー電極に内包されており、
前記第2開口部の第3直径は、前記ピラー電極の第1直径の0.7倍以上でかつ0.8倍以下である、半導体装置。
[付記2]
配線基板と、前記配線基板上に搭載された半導体チップと、を有する半導体装置であって、
前記半導体チップは、
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成されたパッドと、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記パッドの一部を露出する第1開口部を有する第2絶縁膜と、
前記第1開口部から露出する前記パッド上に形成されたピラー電極と、
を有し、
前記配線基板は、
端子と、
前記端子の一部を露出する第2開口部を有する第3絶縁膜と、
を有し、
前記半導体チップの前記第2絶縁膜は、前記配線基板に対向する側の第1主面を有し、
前記配線基板の前記第3絶縁膜は、前記半導体チップに対向する側の第2主面を有し、
平面視において、前記ピラー電極は、前記第1開口部を内包し、前記ピラー電極の一部は前記第2絶縁膜と重なっており、
前記半導体チップの前記ピラー電極と、前記配線基板の前記端子とは、前記ピラー電極と前記端子との間に介在する半田層を介して接続されており、
平面視において、前記パッドは前記ピラー電極を内包している、半導体装置。
[付記3]
配線基板と、前記配線基板上に搭載された半導体チップと、を有する半導体装置であって、
前記半導体チップは、
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成されたパッドと、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記パッドの一部を露出する第1開口部を有する第2絶縁膜と、
前記第1開口部から露出する前記パッド上に形成されたピラー電極と、
を有し、
前記配線基板は、
端子と、
前記端子の一部を露出する第2開口部を有する第3絶縁膜と、
を有し、
前記半導体チップの前記第2絶縁膜は、前記配線基板に対向する側の第1主面を有し、
前記配線基板の前記第3絶縁膜は、前記半導体チップに対向する側の第2主面を有し、
平面視において、前記ピラー電極は、前記第1開口部を内包し、前記ピラー電極の一部は前記第2絶縁膜と重なっており、
前記半導体チップの前記ピラー電極と、前記配線基板の前記端子とは、前記ピラー電極と前記端子との間に介在する半田層を介して接続されており、
前記第3絶縁膜の前記第2開口部の直径をD3とし、前記端子の直径をD4としたときに、1.5≦D4/D3≦2が成り立つ、半導体装置。