以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
本発明に係る画像処理装置は、例えば、シート(原稿等)から画像データを読み取るスキャン機能、外部から取得した画像データに基づいて画像を形成するプリント機能、ファクシミリ機能、コピー機能等の複数の機能を有する複合機である。尚、本発明に係る画像処理装置は、スキャナー装置、プリンター装置、ファクシミリ装置、及び、コピー機等に適用可能である。以下では、本発明に係る画像処理装置の一例として、例えばシートに画像を形成する印刷処理を実行する画像形成装置を例に挙げる。
また本発明に係る画像処理装置は、作業時などに画像処理装置の扉が開けられた場合に、伝達ベルトの回転を停止させる構成(構成1)と、画像処理装置の使用により伝達ベルト(特には金属ベルト)にたわみが生じた場合に、前記伝達ベルトのたわみを補正して跳梁を一定に維持する構成(構成2)と、画像処理装置の使用により伝達ベルト(特にはステンレスベルト)が磁化した場合に、前記伝達ベルトの交換を促し伝達ベルトの破損を防止する構成(構成3)とを有する。以下、前記構成1を実施形態1とし、前記構成2を実施形態2とし、前記構成3を実施形態3として説明する。
[実施形態1]
実施形態1に係る画像形成装置は、画像形成装置の扉を開けて作業を行う場合における作業者の安全性を確保することが可能な構成を有する。
図1に示すように、画像形成装置10は、シート供給部2、シート搬送部3、画像形成部40、及び制御部8等を備える。
画像形成部40は、電子写真方式の前記印刷処理を実行する。そのため、画像形成部40は、作像部4、光走査部46(露光部)、転写部44、及び定着部47等を備える。作像部4は、感光体41(像担持体)、帯電部42、現像部43、及び感光体クリーニング部45等を備える。
図1に示す画像形成装置10は、タンデム式の画像形成部40を有するカラー画像形成装置である。そのため、画像形成装置10は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの4色のトナー9に対応した4つの作像部4を備える。
転写部44は、中間転写ベルト44aと、4個の作像部4に対応する4個の一次転写部44bと、二次転写部44c(中間転写部ともいう。)と、ベルトクリーニング部44dとを備える。
シート供給部2は、前記シートを搬送路30へ送り出す。シート搬送部3は、前記シートを搬送路30に沿って搬送する。
中間転写ベルト44a及び作像部4のそれぞれにおけるドラム状の感光体41が、後述するベルト駆動装置100(図3参照)によって回転駆動される。帯電部42は、感光体41の表面を一様に帯電させる。光走査部46は、感光体41の表面に静電潜像を書き込む。
現像部43は、感光体41の表面の前記静電潜像をトナー9によって現像する。これにより、トナー9の像が感光体41の表面に形成される。
一次転写部44b(以下、「一次転写ローラー」ともいう。)は、感光体41の表面のトナー9の像(トナー像)を中間転写ベルト44aに転写する。具体的には、各一次転写ローラー44bは、中間転写ベルト44aを挟んで各感光体41と対向して中間転写ベルト44aに接触するよう配置される。各一次転写ローラー44bは、図1の紙面上下方向に移動可能であって、必要に応じて中間転写ベルト44aを介して各感光体41に圧接して一次転写ニップ部を形成し、また離間する。前記一次転写ニップ部において、各感光体41で形成されたトナー像が中間転写ベルト44aの表面に転写される。そして、中間転写ベルト44aの回転とともに所定のタイミングで各感光体41のトナー像が中間転写ベルト44aに順次転写されることにより、中間転写ベルト44aの表面にはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたフルカラートナー像が形成される。感光体クリーニング部45は、感光体41の表面に残存するトナー9を除去する。
二次転写部44c(以下、「二次転写ローラー」ともいう。)は、中間転写ベルト44a上のトナー9の像を、搬送路30に沿って搬送される前記シートに転写する。具体的には、二次転写ローラー44cは、中間転写ベルト44aを挟んで駆動ローラー51と対向し、中間転写ベルト44aに圧接して二次転写ニップ部を形成する。そして、二次転写ローラー44cは、前記二次転写ニップ部において、中間転写ベルト44aの表面のトナー像を前記シートに転写する。
定着部47は、前記シートに転写されたトナー9の像を加熱することにより、前記シートにトナー9の像を定着させる。ベルトクリーニング部44dは、中間転写ベルト44aに残存するトナー9を除去する。
制御部8は、CPU、ROM、及びRAMなどを有する。また、制御部8は、EEPROM(登録商標)のような不揮発性の記憶部(図示せず)を含む。そして、制御部8は、前記ROM又は記憶部などに記憶されているプログラムに従った処理を前記CPUで実行することにより画像形成装置10を制御する。
また、制御部8は、本発明に係る回転体(例えば、感光体41)に駆動力を伝達する伝達ベルト109に掛かる張力を制御する。具体的には、制御部8は、図2に示すように、検知データ取得部81、駆動制御部82、及び通知処理部83を備える。制御部8は、前記ROMに記憶されているプログラムに従った処理を前記CPUで実行することにより、検知データ取得部81、駆動制御部82、及び通知処理部83として機能する。なお、検知データ取得部81、駆動制御部82、及び通知処理部83のいずれか一又は複数がASICなどの電子回路であってもよい。また、前記プログラムは、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカードなどのコンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶され、前記記憶媒体から画像形成装置10にインストールされてもよいし、インターネット等の通信ネットワークからダウンロードされてもよい。
記憶部17は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶部である。例えば、記憶部17には、制御部8に後述の伝達ベルト張力制御処理(図7参照)を実行させるためのプログラムなどの制御プログラムが記憶されている。
図3は、感光体41を回転駆動させるベルト駆動装置100の構成を示す図である。
図3に示すように、ベルト駆動装置100は、駆動モーター108と、駆動モーター108に接続される駆動軸107と、不図示の板金に両端を回転可能に支持された感光体41のドラム軸102に接続される駆動プーリー101と、駆動軸107と駆動プーリー101との間に掛け渡(張架)される無端状の伝達ベルト109と、伝達ベルト109に所定の張力を付与するテンションローラー103(テンションプーリー)とを備える。尚、本発明におけるプーリーは、動力を伝達する回転体であり、プーリーとプーリーの軸とが固定されて一体回転するものも含む。
伝達ベルト109は、駆動軸107と駆動プーリー101との間に掛け渡され、駆動モーター108の駆動力を感光体41にドラム軸102を介して伝達する無端ベルトである。伝達ベルト109は、例えば、ステンレス、スチールなどの金属ベルトである。
テンションローラー103は、ローラー軸104に接続され、ローラー軸104は、ギヤ105を介してテンション駆動モーター106に接続される。テンションローラー103は、テンション駆動モーター106の駆動信号に応じて、伝達ベルト109の張力を弱める方向、又は、前記張力を強める方向に移動する。
ベルト駆動装置100は、画像形成装置10の筐体を構成する扉20(カバー)で覆われている。扉20には、開閉検知部16が設けられている。開閉検知部16は、扉20の開閉状態を検知する。開閉検知部16は、アナログスイッチ、センサーなどで構成される。扉20は、画像形成装置10の通常の使用時は閉じた状態であり、画像形成装置10の修理、点検時などに開けられる。
図4には、画像形成装置10の通常の使用時の状態を示している。通常時では、テンションローラー103は、所定の位置(第1位置P1)に固定され、伝達ベルト109に所定の張力を付与する。これにより、駆動軸107と伝達ベルト109との間、及び、駆動プーリー101と伝達ベルト109との間に摩擦力が生じ、駆動モーター108の駆動力が感光体41に伝達される。
ここで、画像形成装置10の修理、点検などを行う場合、作業者は、扉20を開けて作業を行う。作業者により扉20を開けられた場合、画像形成装置10は以下の処理を実行する。
開閉検知部16は、扉20が開いたことを検知する。制御部8の検知データ取得部81(図2参照)は、開閉検知部16から、扉20が開いた状態を示す情報(開扉信号S1)を取得する。
検知データ取得部81が前記開扉信号S1を取得すると、制御部8の駆動制御部82(図2参照)は、テンション駆動モーター106に、伝達ベルト109の張力を弱めるための制御信号C1を出力する。例えば、駆動制御部82は、テンションローラー103を、伝達ベルト109の張力を弱める方向に移動させる制御信号C1を、テンション駆動モーター106に出力する。テンション駆動モーター106は、前記制御信号C1を受信すると、ギヤ105を回転させて、テンションローラー103を第1位置P1(図4参照)から第2位置P2(図5参照)に移動させる。
すると、図5に示すように、テンションローラー103が伝達ベルト109に付与する張力が弱く(小さく)なり、駆動軸107と伝達ベルト109との間の摩擦力、及び、駆動プーリー101と伝達ベルト109との間の摩擦力が弱く(小さく)なる。これにより、駆動軸107が空回りし、伝達ベルト109の回転が止まる。よって、作業者は、安全に前記作業を行うことが可能となる。なお、この場合、駆動モーター108及び駆動軸107の駆動状態は維持される。
なお、駆動制御部82は、検知データ取得部81が前記開扉信号S1を取得すると、テンションローラー103を伝達ベルト109から離間(非接触)する位置(図5の第2位置P2)まで移動させてもよい。
作業者が前記作業を終了して扉20を閉じた場合、開閉検知部16は、扉20が閉じたことを検知する。検知データ取得部81は、開閉検知部16から、扉20が閉じた状態を示す情報(閉扉信号S1)を取得する。
検知データ取得部81が前記閉扉信号S1を取得すると、駆動制御部82は、テンション駆動モーター106に、伝達ベルト109の張力を強めるための制御信号C1を出力する。例えば、テンション駆動モーター106は、前記制御信号C1を受信すると、ギヤ105を回転させて、テンションローラー103を第2位置P2(図5参照)から第1位置P1(図6参照)に移動させる。
すると、図6に示すように、テンションローラー103が伝達ベルト109に付与する張力が大きく(強く)なり、駆動軸107と伝達ベルト109との間の摩擦力、及び、駆動プーリー101と伝達ベルト109との間の摩擦力が大きく(強く)なる。これにより、再び、伝達ベルト109が回転し、駆動モーター108の駆動力が感光体41に伝達される。
なお、制御部8の通知処理部83(図2参照)は、検知データ取得部81が前記開扉信号S1を取得した場合に、扉20が開けられたことを示す情報を外部に通知してもよい。例えば、通知処理部83は、警報音を外部に報知してもよい。
[伝達ベルト張力制御処理]
以下、図7を参照しつつ、画像形成装置10において実行される伝達ベルト張力制御処理について説明する。例えば、前記伝達ベルト張力制御処理は、画像形成装置10の電源が投入されることによって開始される。なお、前記伝達ベルト張力制御処理は、ユーザーが画像形成装置10における所定の操作に応じて途中で終了されることがある。
画像形成装置10の電源が投入されると、ステップS101において、レディ状態になり、ユーザーの操作(例えば、プリント指示操作)を受け付けることが可能となる。制御部8は、レディ状態の間、扉20が開けられたか否かの判定処理を行う(ステップS102)。
開閉検知部16が、扉20が開いたことを検知した場合は(S102:YES)、ステップS103において、駆動制御部82は、テンションローラー103を第1位置P1(図4参照)から第2位置P2(図5参照)に移動させる。その後、ステップS104において、駆動制御部82は、テンション駆動モーター106を停止させる。これにより、伝達ベルト109の張力が弱まるため、伝達ベルト109の回転が停止する。この状態で、例えば、作業者は修理などの作業を行う。この間、制御部8は、扉20が開けられたか否かの判定処理を続行する(ステップS105)。扉20が開けられている間は(S105:YES)、テンション駆動モーター106は駆動を停止し、伝達ベルト109の回転も停止する。
次に、扉20が閉じられた場合は(S105:NO)、ステップS106において、駆動制御部82は、テンション駆動モーター106を駆動させる。そして、ステップS107において、駆動制御部82は、テンションローラー103を第2位置P2(図5参照)から第1位置P1(図6参照)に移動させる。これにより、伝達ベルト109の張力が強くなるため、伝達ベルト109の回転が再開する。そして、レディ状態になり、ユーザーの操作を受け付けることが可能となる(S108)。
従来の画像形成装置では、例えば修理、点検などの作業において、作業者が前記画像形成装置の扉を開けたときに伝達ベルトが駆動(回転)している場合、作業者が前記伝達ベルトに接触する恐れがある。
これに対して、実施形態1に係る画像形成装置10によれば、画像形成装置10の扉20が開けられた場合に、伝達ベルト109の回転を停止させることができる。このため、例えば、作業者による修理などの作業の安全性を確保することが可能となる。
なお、制御部8は、扉20が開けられたことを検知した場合に、駆動モーター108の駆動を停止させることにより、伝達ベルト109の回転を停止させる構成であってもよい。ただし、この構成では、扉20の開閉動作に従って駆動モーター108を停止及び駆動を相互に切り替える必要があり、駆動モーター108の負荷が増大する恐れがある。この点、上述の構成によれば、扉20の開閉動作に従ってテンションローラー103の位置を移動させることにより、伝達ベルト109の回転を停止させることができる。すなわち、駆動モーター108は、扉20の開閉動作に関わらず、駆動状態を維持する。このため、駆動モーター108の停止及び駆動の切り替えに伴う負荷の増大を抑えることができ、駆動モーター108の長寿命化を図ることができる。また、扉20の開閉動作に従ってテンションローラー103の位置を移動させるだけで良いため、画像形成装置10の低消費電力化を図ることもできる。
[実施形態2]
以下、実施形態2に係る画像形成装置10について説明する。なお、実施形態1に係る画像形成装置10と同一の機能を有する構成要素については、同一の名称を付し、説明を適宜省略する。
画像形成装置10を長期間使用していると、伝達ベルト109が伸びてたわみが生じ、伝達ベルト109の張力が弱まる。これにより、駆動モーター108の駆動力が感光体41に適切に伝達されなくなる。この現象は、特に金属製の伝達ベルト(金属ベルト)で顕著になる。
実施形態2に係る画像形成装置10は、金属製の伝達ベルト109(以下、金属ベルトという。)の張力を所定(一定)に維持することが可能な構成を有する。
図2に示すように、画像形成装置10の制御部8は、さらに、モーター監視部84及び判定処理部85を含む。
図8は、実施形態2に係るベルト駆動装置200の構成を示す図である。制御部8のモーター監視部84は、テンション駆動モーター106の駆動状態を監視する。具体的には、モーター監視部84は、テンション駆動モーター106の電流値Io又は負荷To(トルク)を検出する。
制御部8の判定処理部85は、モーター監視部84により検出される検出値(電流値Io又は負荷To)が、予め設定された閾値を超えるか否かを判定する。
制御部8の駆動制御部82(図2参照)は、判定処理部85の判定結果に基づいて、テンション駆動モーター106を駆動させてテンションローラー103を移動させることにより、金属ベルト109の張力を所定の張力に維持する。
実施形態2に係る制御部8は、金属ベルト109のたわみを補正する伝達ベルト補正処理を実行する。前記伝達ベルト補正処理は、例えば、以下に示す3つの構成例を適用することができる。
[構成例1]
図9は、構成例1に係る伝達ベルト補正処理の手順の一例を示すフローチャートである。構成例1では、テンション駆動モーター106は、直流(DC)モーターで構成される。
画像形成装置10の電源が投入されると、ステップS201において、レディ状態になり、ユーザーの操作(例えば、プリント指示操作)を受け付けることが可能となる。モーター監視部84は、レディ状態の間、テンション駆動モーター106の電流値Ioを検出する。
ここで、テンションローラー103は、テンション駆動モーター106の駆動力により、金属ベルト109に所定の張力を付与する(図4参照)。金属ベルト109は、一定の張力が掛けられた状態で長時間経過すると、伸びてきて前記張力が弱くなる。この場合、テンション駆動モーター106の負荷Toが小さくなり電流値Ioが小さくなる。
金属ベルト109の張力が弱くなってテンション駆動モーター106の電流値Ioが、予め設定された閾値It以下になった場合は(S202:YES)、駆動制御部82は、テンション駆動モーター106に、金属ベルト109の張力を弱めるための制御信号C1(第1制御信号)を出力する。
ステップS203において、テンション駆動モーター106は、前記制御信号C1を受信すると、ギヤ105を回転させて、テンションローラー103を、金属ベルト109から離れる方向(図10の第1方向)に移動させる。
ここで、金属ベルト109の張力が弱くなった場合に、テンションローラー103を金属ベルト109から離れる方向(第1方向)(前記張力が弱くなる方向)に移動させる理由について説明する。一般的に、テンション駆動モーター106の電流値Ioを検出する場合、テンション駆動モーター106が駆動されてから、それに対応する電流値Ioを検出するまでにある程度の時間を要する。このため、例えば、金属ベルト109の張力が弱くなった直後に、テンションローラー103を金属ベルト109の張力が強くなる方向(図10の第2方向)に移動させると、必要以上に張力が強くなってしまう可能性がある。このため、金属ベルト109の張力が弱くなった直後の所定時間(設定時間)は、金属ベルト109を、金属ベルト109の張力を弱める方向(第1方向)に移動させ、その後に、前記電流値Ioを監視しながら前記張力を強める方向(第2方向)に移動させる。
駆動制御部82は、前記所定時間だけテンションローラー103を前記第1方向に移動させると(S203)、ステップS204において、テンション駆動モーター106の駆動を一旦停止させる。その後、駆動制御部82は、テンション駆動モーター106に、金属ベルト109の張力を強めるための制御信号C1(第2制御信号)を出力する。
ステップS205において、テンション駆動モーター106は、前記制御信号C1を受信すると、ギヤ105を回転させて、テンションローラー103を、金属ベルト109を押す方向(図10の第2方向)に移動させる。これにより、金属ベルト109の張力が強くなっていく。金属ベルト109の張力が強くなると、テンション駆動モーター106の負荷が大きくなり電流値Ioが大きくなる。
ステップS206では、判定処理部85が、モーター監視部84により検出される電流値Ioが、前記閾値Itを超えるか否かを判定する。駆動制御部82は、前記電流値Ioが前記閾値Itを超えるまでテンションローラー103を前記第2方向に移動させる(S206:NO)。
前記電流値Ioが前記閾値Itを超えると、駆動制御部82は、テンション駆動モーター106の駆動を停止させる(S207)。これにより、レディ状態になり、ユーザーの操作を受け付けることが可能となる(S208)。
なお、ステップS202の判定に用いる閾値Itを、ステップS206の判定に用いる閾値Itより小さい値に設定してもよい。
[構成例2]
図11は、構成例2に係る伝達ベルト補正処理の手順の一例を示すフローチャートである。構成例2では、テンション駆動モーター106は、ステッピングモーターで構成される。ここでは、モーター監視部84は、テンション駆動モーター106に生じる逆起電流に基づいてテンション駆動モーター106の負荷Toを検出する。
画像形成装置10の電源が投入されると、ステップS301において、レディ状態になり、ユーザーの操作(例えば、プリント指示操作)を受け付けることが可能となる。モーター監視部84は、レディ状態の間、テンション駆動モーター106の逆起電流に基づいて負荷Toを検出する。
ここで、テンションローラー103は、テンション駆動モーター106の駆動力により、金属ベルト109に所定の張力を付与する(図4参照)。金属ベルト109は、一定の張力が掛けられた状態で長時間経過すると、伸びてきて前記張力が弱くなる。この場合、テンション駆動モーター106の負荷Toが小さくなる。
金属ベルト109の張力が弱くなってテンション駆動モーター106の負荷Toが、予め設定された閾値Tt以下になった場合は(S302:YES)、駆動制御部82は、テンション駆動モーター106に、金属ベルト109の張力を弱めるための制御信号C1(第1制御信号)を出力する。
ステップS303において、テンション駆動モーター106は、前記制御信号C1を受信すると、ギヤ105を回転させて、テンションローラー103を、金属ベルト109から離れる方向(図10の第1方向)に移動させる。
なお、上述の構成例1と同様の理由により、金属ベルト109の張力が弱くなった直後のテンション駆動モーター106の所定ステップ数分は、金属ベルト109を、金属ベルト109の張力を弱める方向(第1方向)に移動させ、その後に、前記負荷Toを監視しながら前記張力を強める方向(第2方向)に移動させる。
駆動制御部82は、テンション駆動モーター106の所定ステップ数分だけテンションローラー103を前記第1方向に移動させると(S303)、ステップS304において、テンション駆動モーター106の駆動を一旦停止させる。その後、駆動制御部82は、テンション駆動モーター106に、金属ベルト109の張力を強めるための制御信号C1(第2制御信号)を出力する。
ステップS305において、テンション駆動モーター106は、前記制御信号C1を受信すると、ギヤ105を回転させて、テンションローラー103を、金属ベルト109を押す方向(図10の第2方向)に移動させる。これにより、金属ベルト109の張力が強くなっていく。金属ベルト109の張力が強くなると、テンション駆動モーター106の負荷Toが大きくなる。
ステップS306では、判定処理部85が、モーター監視部84により検出される負荷Toが、前記閾値Ttを超えるか否かを判定する。駆動制御部82は、前記負荷Toが前記閾値Ttを超えるまでテンションローラー103を前記第2方向に移動させる(S306:NO)。
前記負荷Toが前記閾値Ttを超えると、駆動制御部82は、テンション駆動モーター106の駆動を停止させる(S307)。これにより、レディ状態になり、ユーザーの操作を受け付けることが可能となる(S308)。
なお、ステップS302の判定に用いる閾値Ttを、ステップS306の判定に用いる閾値Ttより小さい値に設定してもよい。
[構成例3]
図12は、構成例3に係る伝達ベルト補正処理の手順の一例を示すフローチャートである。構成例3では、テンション駆動モーター106は、直流(DC)モーターで構成され、PWM(Pulse Width Modulation)制御により駆動される。
画像形成装置10の電源が投入されると、ステップS401において、レディ状態になり、ユーザーの操作(例えば、プリント指示操作)を受け付けることが可能となる。
PWM信号(パルス幅変調信号)のOFF期間(LOW期間)が終了し(S402:YES)、ON期間(HIGH期間)に切り替わると、駆動制御部82は、テンション駆動モーター106に、金属ベルト109の張力を強めるための制御信号C1を出力する。
ステップS403において、テンション駆動モーター106は、前記制御信号C1を受信すると、ギヤ105を回転させて、テンションローラー103を、金属ベルト109を押す方向(前記張力を強める方向)(図10の第2方向)に移動させる。
駆動制御部82は、前記ON期間の間は継続して、テンションローラー103を前記第2方向に移動させ続ける(S404:NO)。なお、前記ON期間は、少なくとも、テンションローラー103を移動させることにより金属ベルト109の張力を所定の張力(最適な張力)に到達させるために要する時間より長い時間に設定される。前記所定の張力及び前記ON期間(デューティ比)は、画像形成装置10の管理者などにより予め設定される。
前記ON期間が終了し(S404:YES)、前記OFF期間に切り替わると、駆動制御部82は、テンション駆動モーター106の駆動を停止させる(S405)。これにより、レディ状態になり、ユーザーの操作を受け付けることが可能となる(S406)。
上記構成例1〜3によれば、それぞれ、金属ベルト109にたわみが生じた場合であっても、当該たわみを補正(解消)して金属ベルト109の張力を所定(一定)に維持することが可能となる。
以上説明したように、実施形態2に係る画像形成装置10によれば、画像形成装置10の長期間の使用により金属ベルト109にたわみが生じた場合に、金属ベルト109のたわみを補正して、金属ベルト109に掛かる張力を所定(一定)に維持することが可能となる。
なお、図10では、テンションローラー103は、金属ベルト109の内周側に設けられているが、テンションローラー103は、金属ベルト109の外周側に設けられてもよい。
[実施形態3]
以下、実施形態3に係る画像形成装置10について説明する。なお、実施形態1又は2に係る画像形成装置10と同一の機能を有する構成要素については、同一の名称を付し、説明を適宜省略する。
画像形成装置10を長期間使用していると、駆動モーター108から発生する磁界の影響により、金属ベルト109(ステンレスベルト)に微小電流が流れ続け、前記金属ベルト109が磁化してく。特に、マルテンサイト系ステンレス鋼材から成るステンレスベルトは、磁性を有するため、磁化し易くなる。前記ステンレスベルトが磁化すると、前記ステンレスベルトにトナー及び鉄粉などの異物が付着し易くなる。これにより、前記ステンレスベルトが損傷して破断する恐れがある。
実施形態3に係る画像形成装置10は、マルテンサイト系ステンレス鋼材から成るステンレス製の伝達ベルト109(以下、ステンレスベルトという。)の磁化による異常を検知してステンレスベルト109の破損を防ぐことが可能な構成を有する。
図2に示すように、画像形成装置10は、さらに、磁気検知部18を備える。
図13は、実施形態3に係るベルト駆動装置300の構成を示す図である。ベルト駆動装置300は、実施形態2に係るベルト駆動装置200において、さらに、磁気検知部18を備える。磁気検知部18は、例えば磁気センサーで構成され、ステンレスベルト109の磁気を検出する。
制御部8の判定処理部85(図2参照)は、磁気検知部18により検出される検出値S2(センサ出力電圧)が、予め設定された閾値を超えるか否かを判定する。
制御部8の通知処理部83(図2参照)は、前記検出値S2が前記閾値を超える場合に、ステンレスベルト109の交換を促す情報(メッセージ、警告音など)を外部に通知する。通知処理部83は、前記メッセージを画像形成装置10の表示部(図示せず)に表示させてもよい。また、通知処理部83は、ネットワークを介して、前記メッセージをサービス事業者に送信してもよい。
図14は、伝達ベルト磁化検知処理の手順の一例を示すフローチャートである。
画像形成装置10の電源が投入されると、ステップS501において、制御部8の駆動制御部82は、駆動モーター108を駆動させることにより、ステンレスベルト109を回転させて駆動モーター108の駆動力を感光体41に伝達する。
S502において、磁気検知部18は、ステンレスベルト109の磁気検出を開始する。続いてS503において、判定処理部85は、磁気検知部18の検出値S2のピーク値を検出する。
例えば、所定期間における複数の検出値S2のうちの最高値を前記ピーク値とする。また、所定期間における前記最高値を複数回検出し、複数の最高値の平均値を前記ピーク値としてもよい。また、所定期間における前記最高値を複数回検出し、複数の最高値の分布における中心値を前記ピーク値としてもよい。このようにピーク値を検出することにより、ステンレスベルト109の使用に悪影響を与えることのない磁気変化(ノイズなど)を無視することができる。
前記ピーク値が予め設定された閾値を超えると(S504:YES)、通知処理部83は、ステンレスベルト109の交換を促す情報を外部に通知する(S505)。
以上説明したように、実施形態3に係る画像形成装置10によれば、ステンレスベルト109の磁化に起因する故障が生じる前に、ステンレスベルト109の交換を行うことが可能となる。
なお、前記センサー出力電圧の閾値は、ステンレスベルト109の通常の使用において悪影響を与えない範囲の値に設定される。
ここで、磁気検知部18は、ステンレスベルト109の磁気を正確に検出する必要がある。このため、磁気検知部18は、ステンレスベルト109のたわみが少ない位置、例えば、駆動プーリー101又は駆動軸107の近傍に設けられることが好ましい。
また、ステンレスベルト109の張力が弱まりたわみが生じると、ステンレスベルト109と磁気検知部18の検出面との間の距離が変化する。そこで、例えば実施形態2に示すモーター監視部84による検出値(電流値Io又は負荷To)に基づいて、前記センサー出力電圧の閾値を変更してもよい。これにより、ステンレスベルト109の磁気を正確に検出することが可能となる。
以上に示した実施形態1〜3はそれぞれ、相互に組み合わせることが可能である。すなわち、本発明に係る画像処理装置は、前記実施形態1〜3のうち少なくとも1つの実施形態により構成することが可能である。例えば、図15に示すように、本発明に係る画像処理装置において、ベルト駆動装置400は、作業時などに画像処理装置の扉が開けられた場合に、伝達ベルトの回転を停止させる構成(構成1)と、画像処理装置の使用により伝達ベルト(特には金属ベルト)にたわみが生じた場合に、前記伝達ベルトのたわみを補正して跳梁を一定に維持する構成(構成2)と、画像処理装置の使用により伝達ベルト(特にはステンレスベルト)が磁化した場合に、前記伝達ベルトの交換を促し伝達ベルトの破損を防止する構成(構成3)とを有してもよい。
なお、上述の各ベルト駆動装置100、200、300、400は、感光体41を駆動する部分だけでなく、例えば、光走査部(LSU)で用いられるポリゴンミラーの回転軸、中間転写ベルトの駆動ローラー等、他の回転体を駆動する部分にも適用することができる。