JP6900734B2 - 外装用化粧シート - Google Patents
外装用化粧シート Download PDFInfo
- Publication number
- JP6900734B2 JP6900734B2 JP2017067383A JP2017067383A JP6900734B2 JP 6900734 B2 JP6900734 B2 JP 6900734B2 JP 2017067383 A JP2017067383 A JP 2017067383A JP 2017067383 A JP2017067383 A JP 2017067383A JP 6900734 B2 JP6900734 B2 JP 6900734B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- decorative
- transparent resin
- blocking layer
- resin layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
Description
耐候性の向上を目的として、透明樹脂層には通常、ラジカル捕捉剤や紫外線吸収剤等の耐候剤が使用される。しかし、時間経過や、高温環境下における長時間の使用等により、透明樹脂層中の耐候剤が透明樹脂層の外部や他の部材へ移行(ブリードアウト)し減る結果、透明樹脂層において、黄変や茶変等の変色が生じたり、樹脂劣化に伴うクラック形成、割れ、剥がれ等が起こることが知られている。このように、耐候剤の移行は、化粧シートの耐久性を損ね、製品寿命を縮める要因となる。
特許文献1には、基材の一方の面に表面保護層を有する化粧シートにおいて、表面保護層が、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)と電離放射線硬化性樹脂等との共重合体である技術が開示されている。当該文献には、HALSによりブリードアウトが抑制される結果、化粧シートに耐候性を付与できるとの記載がある。
本発明は、耐候剤の移行に関する上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、透明樹脂層、装飾部及び遮断層を備え、外装に使用した際に透明樹脂層からラジカル捕捉剤や紫外線吸収剤が移行しにくい化粧シートを提供することを目的とする。
前記透明樹脂層の少なくともいずれか一方の面の側に、さらに遮断層を備え、前記遮断層全体が、鱗片状無機粒子が自己組織化してなる膜であり、当該遮断層中で、当該鱗片状無機粒子の底面は、前記透明樹脂層における前記遮断層を備える側の面に対して平行又は略平行の向きに整列し、かつ隣接し合う鱗片状無機粒子が直接互いに結合しており、前記遮断層の平均厚さが、1.0〜100μmの範囲内であることを特徴とする。
本発明は、前記透明樹脂層を挟んで、前記装飾部とは反対側に前記遮断層を備えていてもよい。
本発明は、前記装飾部として少なくとも前記装飾層を備え、前記透明樹脂層と前記装飾層との間に前記遮断層を備えていてもよい。
本発明は、前記透明樹脂層の両面の側に遮断層を備えていてもよい。
この際、前記基材はポリ塩化ビニル系樹脂基材であってもよい。
本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表す。
本発明において樹脂の硬化物とは、化学反応を経て又は経ないで固化したもののことをいう。
前記透明樹脂層の少なくともいずれか一方の面の側に、さらに遮断層を備え、前記遮断層は、必須成分として扁平状無機粒子を含み、さらにバインダー樹脂を含んでいてもよい皮膜であり、当該遮断層中で、当該扁平状無機粒子の底面は、前記透明樹脂層における前記遮断層を備える側の面に対して平行又は略平行の向きに整列し、かつ隣接し合う扁平状無機粒子が直接又はバインダー樹脂を介して互いに結合していることを特徴とする。
透明樹脂層は、装飾部を含む外装用化粧シート全体を保護する役割を担う。
特に装飾層を備える場合には、装飾層が大気に露出すると、紫外線や熱により装飾層が劣化し、剥げ、落ちる場合がある。また、例えば着色剤を含有する基材を用いる場合、当該基材が大気に露出する場合についても、同様の問題が生じるおそれがある。したがって、装飾層の劣化や基材等の色あせを防ぎ、外装用化粧シート全体を保護するために、透明樹脂層により外装用化粧シート全体が覆われることが好ましい。
透明樹脂層には、外装用化粧シートの物理的損傷や化学的劣化を防止する目的で、オレフィン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂が使用される。
アクリル系樹脂としては、ポリアクリル酸エステル(ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸プロピル、ポリアクリル酸ブチル、等)、ポリメタクリル酸エステル(ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル、等)、及びこれらの共重合体等が例示できる。また、オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体等が例示できる。
これらの樹脂は、1種類のみ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記耐候剤は、樹脂により良好な耐候性(耐光性)を付与するためのものであり、その添加量はラジカル捕捉剤、紫外線吸収剤とも通常0.1〜5質量%程度である。一般的には、ラジカル捕捉剤と紫外線吸収剤とを併用するのが好ましいが、これらをそれぞれ単独で用いてもよい。
ラジカル捕捉剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−トリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラギス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を用いることができる。その他のラジカル捕捉剤としては、例えば、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等のヒンダードアミン系;1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸等の含窒素ヒンダードフェノール系;3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルモノエチルホスホネートのカルシウム塩、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルモノエチルホスホネートのニッケル塩、これらのマグネシウム塩等の金属塩ヒンダードフェノール系;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系;ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート等の硫黄系;ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等の燐系等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系、ベンゾエート系等の有機系の紫外線吸収剤の他、粒径0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機系の紫外線吸収剤も用いることができる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジビフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(4−イソオクチルオキシカルボニルエトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類が挙げられる。
これら耐候剤の総含有量は、例えば、透明樹脂層の質量を100質量%としたとき、0.01〜20質量%であってもよく、0.1〜10質量%であることが好ましい。
ただし、透明樹脂層が装飾面を有する場合には、装飾面が凹形状である部分の厚さと、装飾面が凸形状である部分の厚さは異なる。したがって、装飾面を備える透明樹脂層については、装飾面が凸形状である部分について上記方法により厚さを測定し、平均厚さを算出する。
装飾部とは、後述する装飾層及び装飾面の総称であり、化粧シートを設置する対象(被着体)を見た目よく飾るための色彩や模様等が施された部分である。装飾部により外装用化粧シートに付与される色彩や模様等は、外装用化粧シートの用途により適宜デザインや材料、形成方法が選択されるものであり、特に限定されるものではない。
装飾層は、透明樹脂層の少なくともいずれか一方の面の側に配置される。
装飾層により透明樹脂層表面に形成される模様としては、例えば立体的模様や平面的模様等が挙げられる。
立体的模様としては、単純な凹凸模様、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等が例示できる。立体的模様の凹部に着色剤を充填しても良い。充填は従来公知のワイピング法等によれば良い。着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾ化合物、ペリレン系化合物等の有機顔料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の金属の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等の従来公知の着色顔料が用いられる。着色は透明着色、不透明(隠蔽)着色いずれでも良いが、一般的には、被着体を隠蔽するために不透明着色が良い。
平面的模様としては、木目、石目、布目等の天然物の表面外観を模した絵柄模様、水玉模様、縞模様、幾何学模様等の抽象柄模様、文字又は数字を含む模様等が例示できる。
装飾層により透明樹脂層表面に付与される色彩としては、例えば単色全面ベタ、複数の色彩の組み合わせ等が挙げられる。装飾層は、複数の色彩の組み合わせによって写真や絵画を再現するものであったり、それ自体が絵画であったりしてもよい。
金属薄膜としては、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属の薄膜が例示できる。これらの金属薄膜は、真空蒸着やスパッタリング等の方法で成膜される。
インクに用いられるバインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂等が挙げられる。これらバインダーは、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。このようなバインダーに、上述した着色剤を添加した材料が、装飾層用インクとして用いられる。
透明樹脂層に装飾層用インクを直接印刷する場合は、バインダーとして塩素化ポリオレフィンやウレタン樹脂を採用することが、接着性の点で好ましい。
装飾層は、透明樹脂層の一方の面の側のみに設けられていてもよく、両面側に設けられていてもよい。
装飾面とは、透明樹脂層の表面の全部又は一部が直接装飾処理されてなる面を意味する。ここで「装飾処理」とは、透明樹脂層の全部又は一部を加工することにより、当該透明樹脂層の表面の全部又は一部を装飾することを意味する。装飾処理の具体例としては、透明樹脂層の表面の全部又は一部を切削することや、透明樹脂層にエンボス加工を施すこと等が挙げられる。ここでいうエンボス加工とは、透明樹脂層の全部又は一部を加熱軟化させ、エンボス版で加圧、賦形し、冷却固定して形成することを意味する。
装飾処理により透明樹脂層に付与される模様は、上述した装飾層の場合と同様である。
遮断層は、必須成分として扁平状無機粒子を含む皮膜である。後述する通り、遮断層は、さらにバインダー樹脂を含んでいてもよい。
後述する耐候剤は、長期間の紫外線の曝露によりその量が減る。外装用化粧シートが屋外で雨等に曝される場合にも、耐候剤と水との親和性にもよるが、耐候剤は少しずつ外部へ流れ出す。遮断層は、このような耐候剤の移行を防ぐ役割を果たす。
さらに本発明においては、透明樹脂層の少なくとも一方の面側に遮断層を設ける構成、すなわち、いわば透明樹脂層に蓋をして内部に耐候剤を封じ込める構成を採用するため、ブリードアウトを回避するために耐候剤の種類を制限する必要がなく、純粋に耐候性が最適な耐候剤を自由に選択できるという利点がある。また、ブリードアウトを見越して耐候剤を過剰に添加する必要もないため、耐候剤の過剰添加に伴う、生産コストの増加や、透明樹脂層の透明度低下及びヘイズ増加等の弊害もない。
(1)底面の外接円が描ける場合は、かかる外接円の直径をもって底面の径とする。
(2)底面の外接円が描けない場合は、最長の対角線長をもって底面の径とする。
(3)底面が円又は楕円の場合は、長径(又は直径)をもって底面の径とする。
と定義したとき、底面の径を、底面に略垂直な方向の長さ(厚さ)により除して得られる値が、5〜50であることが好ましく、10〜40であることがより好ましい。このように扁平な形状の場合、粒子が透明樹脂層の一方の面に平行又は略平行に配列しやすい。
扁平状無機粒子の底面の形状は特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形等が挙げられる。
ここで、平均径(円の場合は直径となる)は、レーザー散乱法・回折式粒度分布計等の測定により、粒子の平均厚さは、走査電子顕微鏡を用いた測定による100個の粒子の平均値より、それぞれ算出される。
図3Aは、遮断層2中の扁平状無機粒子12の底面12aが、透明樹脂層1における遮断層2を備える側の面1aに対して平行の向きに整列している様子を示す。且つ、該扁平状無機粒子12は同図面の上方から見下ろした平面視において、図1及び図2(これらは、斜視図では有るが)から容易に理解できるように、透明樹脂層1の面1aを隙間無く、即ち、下地の面1aが露出しないように全面を被覆して成る。
このように、扁平状無機粒子12が透明樹脂層1に対し平行に積み上がることによって、透明樹脂層1内部からの耐候剤の移行を防止することができる。
一方、図3Bは、遮断層2中の扁平状無機粒子12の底面12aが、透明樹脂層1の前記面1aに対し角度αの傾きで整列している様子を示す。且つ、図3Aの形態と同様、該扁平状無機粒子12は平面視において、透明樹脂層1の面1aを隙間無く全面を被覆して成る。この角度αが大きすぎる場合には、透明樹脂層1内部の耐候剤が扁平状無機粒子12の間をすり抜けて外部へ移行してしまい、好ましくない。角度αが十分に小さく、底面12aが面1aに対し略平行である場合、具体的には、角度αが0〜30°の範囲内であり、好ましくは0〜10°の範囲内である場合には、扁平状無機粒子12の間をすり抜けて外部へ移行する耐候剤の量が抑えられるため、本発明の効果が十分発揮される。
なお、角度αは、全ての扁平状無機粒子について等しくなくてもよく、角度の分布に幅があってもよい。また、扁平状無機粒子の整列構造が維持できる限りにおいて、図3Aに示す状態と図3Bに示す状態とが混在していてもよい。
図4Aは、遮断層2中の扁平状無機粒子12の底面12aが、透明樹脂層1の前記面1aに平行の向きに整列している様子を示す。図4Aに示すように、透明樹脂層1表面の凹部においても、扁平状無機粒子12の向きは変わらず、面1aに平行に整列している。このように扁平状無機粒子12が整列することにより、上記図3Aの場合と同様に、耐候剤の移行を防止することができる。
一方、図4Bは、遮断層2中の扁平状無機粒子12の底面12aが、透明樹脂層1の前記面1aに対し角度αの傾きで整列している様子を示す。この角度αについては、上述した図3Bと同様である。さらに、図4Bに示すように透明樹脂層1表面の凹部が平坦な場合は、当該凹部において、扁平状無機粒子12の底面12aが、当該凹部の底1bに対し、角度βの傾きで整列していてもよい。角度βの数値範囲は、角度αと同じである。また、角度βと角度αとは、等しくてもよく、異なっていてもよい。
図4Cは、透明樹脂層の凹部の内部に位置する扁平状無機粒子の配列が不規則となっている他は、図4Bと同様である。このように、当該凹部の内部において扁平状無機粒子の配列が不規則となっていたとしても、当該凹部を覆う遮断層の厚さ部分(図4Cの2A部分)において扁平状無機粒子が一定方向に配列していれば、上記図4A及び図4Bの場合と同様に、耐候剤の移行を防止することができる。
なお、扁平状無機粒子の整列構造が維持できる限りにおいて、図4Aに示す状態、図4Bに示す状態、及び図4Cに示す状態が混在していてもよい。
ここで、「自己組織化」とは、独立した個々の鱗片状無機粒子が、それ自体の物性により、外部からの物理的作用及び化学的影響を特段必要とすることなく、遮断層としての機能を有する集合体としてまとまることを意味する。このように、鱗片状無機粒子からなる膜は、一般の樹脂膜のように耐候剤が染み込み透過するおそれが無いため、バリア性が高い。また、鱗片状無機粒子からなる膜は、樹脂膜よりも機械的に硬いため、外装用化粧シート自体の強度を増すことができる。
バリア性向上の観点から、遮断層全体が上記自己組織化膜であってもよい。
鱗片状シリカ粒子は、通常、その表面にシラノール基(Si−OH)を有する。隣接し合う鱗片状シリカ粒子間において、シラノール基同士が脱水縮合反応を起こすことにより、Si−O結合を形成する。Si−O結合は共有結合であり、他の化学結合(例えば、配位結合やイオン結合等)よりも一般的に強い結合であるといえるため、強固な自己組織化膜が形成される。
鱗片状シリカ粒子を用いることにより、湿潤条件下において、連続した自己組織化膜が形成できる。例えば、透明樹脂層及び/又は後述する装飾層の表面に、鱗片状シリカを含む水スラリーを塗布し、乾燥して水を除くことにより、当該表面に自己組織化膜が形成される。この塗布法は、複雑な装置を必要とせず、短時間で簡便に自己組織化膜が得られる点で、CVD等の蒸着法による膜形成法よりも優れる。
板状アルミナ粒子及び/又は箔状マイカ粒子を用いる場合、遮断層中の板状アルミナ粒子及び箔状マイカ粒子の総質量は、遮断層の質量を100%としたとき、50〜99質量%であることが好ましい。板状アルミナ粒子及び箔状マイカ粒子の総質量が50質量%未満の場合には、バインダーの量が多すぎるため、耐候剤が浸透し透過しやすくなるおそれがある。一方、板状アルミナ粒子及び箔状マイカ粒子の総質量が99質量%を超える場合には、バインダーの量が少なすぎるため、膜の成形性が悪化するおそれがある。
板状アルミナ粒子としては、例えば、セラフ 00610(製品名)や、セラフ 02050(製品名、以上キンセイマテック株式会社製)、セラシュール BMF−B(製品名、河合石灰工業株式会社製)等が挙げられる。
箔状マイカ粒子としては、例えば、マイカ粉 湿式粉砕グレード A−11(商品名)、マイカ粉 ハイブリッド粉砕微粒子グレード(商品名、以上松雄産業株式会社製)、非膨潤性マイカ PDM−5B(商品名、トビー工業株式会社製)等が挙げられる。
バインダー樹脂は、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、(メタ)アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、(メタ)アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂等が挙げられる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
これらの中でも、外装用途を想定した場合、熱に強いバインダー樹脂がより好ましいという点から、電離放射線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。
塩化ビニル系樹脂基材と遮断層との間の密着性向上の観点から、バインダー樹脂は、塩化ビニル系樹脂基材と密着性が高い樹脂であることが好ましい。さらに、遮断層が耐候剤の移行を防ぐ役割を果たすという観点から、遮断層中のバインダー樹脂は、耐候剤と相溶性の悪い樹脂であることが好ましい。
遮断層の平均厚さが200μmを超える場合、外装用化粧シートの製造中や、完成品の外装用化粧シートを取り扱う中において、当該外装用化粧シート又はその中間体が曲げられたり折られたりすることにより、遮断層中の扁平状無機粒子の整列構造が損なわれやすく、バリア効果が不十分となるおそれがある。一方、遮断層の平均厚さが0.1μm未満の場合、遮断層中に十分な量の扁平状無機粒子が含まれないため、十分なバリア効果が得られないおそれがある。
遮断層の平均厚さが0.1〜200μmの範囲内にある場合、遮断層と、隣接する他の層とは、互いに接着し合っているといえる。ここで「接着」とは、当該他の層の表面上に存在する遮断層を手でこすったり、手で払ったりしても落ちない程度に、遮断層と当該他の層とが接合し合っていることを意味する。
剥離試験の試験方法の例は以下の通りである。まず、外装用化粧シート又はその中間体(以下、これらを「外装用化粧シート等」と称する場合がある。)において、遮断層の全部又は一部が表面に現れている場合には、遮断層に粘着テープを貼りつけて引きはがす。その後、粘着テープを貼りつけた部分の遮断層が割れたり浮いたり剥がれたりしていないかを、目視により確認する。外装用化粧シート等の表面に遮断層が現れていない場合には、以下の曲げ試験や巻付け試験を行ってもよい。
曲げ試験の試験方法の例は以下の通りである。まず、外装用化粧シート等を二つ折りにする。その後、外装用化粧シート等を元の状態に戻し、遮断層が割れたり浮いたり剥がれたりしていないかを、目視により確認する。
巻付け試験の試験方法の例は以下の通りである。まず、外装用化粧シート等を直径2mmの丸棒に巻きつけ、数回しごく。その後、外装用化粧シート等において、遮断層が割れたり浮いたり剥がれたりしていないかを、目視により確認する。
曲げ試験及び巻付け試験において、遮断層が外装用化粧シート等の内部にある場合には、外装用化粧シート等の断面から遮断層の割れ等を判断する。
本発明の外装用化粧シートは、上述した透明樹脂層、装飾部、及び遮断層を備える積層体の一面側に、さらに基材を備えることが好ましい。基材を備えることにより、外装用化粧シートの機械的強度を増すことができる。
ここで「ポリ塩化ビニル系樹脂」とは、塩化ビニルモノマー単位を50mol%以上有する樹脂を意味する。ポリ塩化ビニル系樹脂として、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−ビニルブチラール共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
使用される可塑剤としては、ジオクチルフタレート等のフタル酸エステル系、トリメリット酸トリオクチル等のトリメリット酸エステル系、アジピン酸エステル系、アジピン酸ポリエステル系、フタル酸ポリエステル系、リン酸エステル系、クエン酸エステル系、安息香酸エステル系、テレフタル酸エステル系、エポキシ化植物油系、塩素化パラフィン系などが挙げられる。
可塑剤の含有量には特に制限はなく、例えば、基材の質量を100質量部としたとき、5〜60質量部であってもよく、8〜30質量部であることが好ましい。
着色剤の含有量には特に制限はなく、例えば、基材の質量を100質量部としたとき、1〜30質量部であってもよく、5〜15質量部であることが好ましい。
これら添加剤の含有量は、例えば、樹脂基材の質量を100質量部としたとき、1〜35質量部であってもよく、10〜20質量部であることが好ましい。
基材の形成方法は特に限定されない。例えば、透明樹脂層及び遮断層を備える積層体の一面側に、接着剤等を用いて基材を貼る方法が挙げられる。
透明樹脂層の上から、さらにトップコート層を設けてもよい。なお、上記基材とトップコート層とを併用する場合には、トップコート層は、透明樹脂層を挟んで基材と反対側に設けることが好ましい。
トップコート層は、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等により形成される層である。これらの樹脂を透明樹脂層の上から塗布した後、熱付与または電離放射線照射により樹脂を硬化させて、トップコート層を形成する。熱硬化性樹脂及電離放射線硬化性樹脂の例は上述した通りである。
本発明の外装用化粧シートは、透明樹脂層と、装飾部と、遮断層とを備えていれば、その層構成は特に限定されない。
以下、透明樹脂層、装飾部及び遮断層を含む積層体の実施形態を、図5〜図8により説明する。なお、当該積層体の層構成は、図5〜図8に示す実施形態のみに限定されない。
遮断層2は、透明樹脂層1と装飾層3との間に設けられていてもよい(図5(A))。これとは反対に、遮断層2は、透明樹脂層1を挟んで装飾層3とは反対側に設けられていてもよい(図5(B))。
透明樹脂層1の両面に遮断層2が設けられる場合、さらにその遮断層2のうちの1つの層の外側に装飾層3が設けられていてもよいし(図5(C))、その両方の遮断層2の外側に装飾層3が設けられていてもよい(図5(D))。また、透明樹脂層1の一方の面に遮断層2が設けられ、さらにその積層体の両面に装飾層3が設けられていてもよい。
透明樹脂層1の一方の面の側の一部に装飾層3が設けられている場合には、その面に遮断層2が設けられていてもよい(図5(E))。遮断層2は、装飾層3が設けられた面の側に対向する透明樹脂層1の面に設けられていてもよい。
透明樹脂層1の一方の面の側の一部に装飾層3が設けられ、他方の面の全面に装飾層3が設けられている場合、これらの両面に遮断層2が設けられていてもよい(図5(F))。また、これらの2つの面のいずれか一方に遮断層2が設けられていてもよい。
透明樹脂層1の両方の面の側のそれぞれ一部に装飾層3が設けられている場合、これらの両面に遮断層2が設けられていてもよい(図5(G))。また、これらの2つの面のいずれか一方に遮断層2が設けられていてもよい。
遮断層2は、装飾層3を挟んで透明樹脂層1とは反対側に設けられていてもよい(図6(A))。
透明樹脂層1の一方の面に装飾層3及び遮断層2がこの順に設けられる場合、他方の面に遮断層2が設けられていてもよいし(図6(B))、他方の面に遮断層2及び装飾層3がこの順に設けられていてもよいし(図6(C))、他方の面に装飾層3及び遮断層2がこの順に設けられていてもよい(図6(D))。
透明樹脂層1の一方の面の一部に装飾層3が設けられる場合、当該面にさらに遮断層2が設けられていてもよい(図6(E))。透明樹脂層1の一方の面の一部に装飾層3が設けられ、他方の面の全面に装飾層3が設けられる場合、これらの両面に遮断層2が設けられていてもよい(図6(F))。
透明樹脂層1の両方の面のそれぞれ一部に装飾層3が設けられている場合、これらの両面に遮断層2が設けられていてもよい(図6(G))。また、これらの2つの面のいずれか一方に遮断層2が設けられていてもよい。
透明樹脂層1の両面の全部が装飾面である場合には、そのうち一方の面に遮断層2が設けられていてもよいし(図7(C))、両面に遮断層2が設けられていてもよい(図7(D))。
透明樹脂層1の一方の面の一部が装飾面である場合には、その面に遮断層2が設けられていてもよい(図7(E))。遮断層2は当該装飾面に対向する面に設けられていてもよい。
透明樹脂層1の一方の面の一部と他方の面の全部が装飾面である場合、透明樹脂層1の両面に遮断層2が設けられていてもよい(図7(F))。また、透明樹脂層1のいずれか一方に遮断層2が設けられていてもよい。
透明樹脂層1の両方の面のそれぞれ一部が装飾面である場合、透明樹脂層1の両面に遮断層2が設けられていてもよい(図7(G))。また、透明樹脂層1のいずれか一方に遮断層2が設けられていてもよい。
図8(A)には、透明樹脂層1の一方の面が装飾面であり、他方の面上に装飾層3が設けられており、遮断層2がさらに両面に備えられている積層体を示す。
図8(B)には、透明樹脂層1の一方の面の一部が装飾面であり、遮断層2が当該樹脂基材1の両面に設けられ、さらにその上から装飾層3が設けられている積層体を示す。なお、透明樹脂層1の当該一方の面においては、装飾面以外の部分について装飾層3が設けられている。
図8(C)〜(E)に示す積層体においては、透明樹脂層1の両面の全部又は一部が装飾面であり、さらにその両面の外側に遮断層2が設けられている。このうち図8(C)に示す積層体においては、透明樹脂層1の一方の面の装飾面以外の部分について、装飾層3が設けられている。また、図8(D)に示す積層体においては、透明樹脂層1の両方の面の装飾面以外の部分について、それぞれ装飾層3が設けられている。さらに、図8(E)に示す積層体においては、透明樹脂層1の両方の面の装飾面以外の部分の、さらにその一部について装飾層3が設けられている。
図9は、本発明の外装用化粧シートの実施形態の断面模式図である。図9中の積層体10は、図5(C)の積層体10に相当する。この積層体10において、装飾層3が面する側に基材4を設け、かつ積層体10を挟んで基材4とは反対側にトップコート層5をさらに設け、外装用化粧シート100が得られる。
なお、本発明は、図9に示す構造に限定されるものではない。
一方、被着体が有機物である場合には、耐候剤は被着体に対し移行しやすくなるため、遮断層は透明樹脂層と被着体との間に設けるのが好ましい。これは、外装用化粧シートに樹脂基材を用いる場合も同様であり、この場合には、遮断層は透明樹脂層と樹脂基材との間に設けるのが好ましい。
しかし、被着体が無機物であったとしても、外装用化粧シートと被着体とが接着剤により接合された場合には、耐候剤は接着剤に向かって移行し、外装用化粧シートの被着体に対する接着性に悪影響を及ぼすおそれがあるため、当該接合面の側にも遮断層は必要となる。これは、外装用化粧シートに基材を用いる場合に、基材と透明樹脂層との接合に接着剤を用いるときも同様である。
このように、外装用化粧シートに接する材料及び/又は透明樹脂層と隣り合う材料が、耐候剤の浸透しやすい材料であるか否かによって、遮断層の要否が決まる。したがって、透明樹脂層の両面の側に遮断層を設けるのが、本来的には好ましい。ただし、遮断層を2面分設けるとなると、コストの問題や、外装用化粧シートの積層構造内部における密着性の問題が生じる場合がある。したがって、耐候剤が移行しやすい被着体に対しては遮断層を両面備える外装用化粧シートを用い、耐候剤が移行しにくい被着体に対しては遮断層を片面備える外装用化粧シートを用いる等、異なる層構成を備える外装用化粧シートを使い分けてもよい。
本発明の化粧シートは、外装用であれば特に制限されず、各種被着体の表面化粧に用いる。被着体としては、外装用の各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等の各種形状の物品が対象となる。例えば、板材や立体形状物品等として用いられる素材としては、木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の木質板素材、或いは、ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の窯業系素材があり、板材や立体形状物品或いはシート等として用いられる素材としては、鉄、アルミニウム等の金属素材、或いは、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂素材があり、専らシートとして用いられる素材としては、上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布または織布がある。
[実施例1]
耐候剤の移行(ブリードアウト)の程度を評価するため、透明樹脂層の一方の表面に遮断層が積層した積層体を製造した。
一方、扁平状無機粒子を含む水性スラリーとして、シリカ水分散体(サンラブリー LFS HN−050(商品名)、AGCエスアイテック社製、固形分15%)を用意した。このシリカ水分散体をエタノールで1.5倍に希釈したものを、遮断層用インクとした。
得られた積層体の断面を電子顕微鏡により観察し、遮断層の厚さを10か所程度測定し、その平均を算出したところ、遮断層の平均厚さは1.0μmであった。
遮断層用インクの塗布量を変えたこと以外は、実施例1と同様に、透明樹脂層の一方の表面に遮断層が積層した積層体を製造した(実施例2−実施例10)。実施例2−実施例10における遮断層の平均厚さを、下記表1に示す。
比較のため、遮断層が形成されていない透明樹脂層(透明樹脂フィルム)そのものを、以下の分析及び試験に供した。
実施例1−実施例10の積層体を、2枚のオレフィンシートで挟んで十分に密着させた。さらに、得られた積層体を2枚のガラス板で挟むことにより、6層構成(ガラス板/オレフィンシートA/遮断層/透明樹脂層/オレフィンシートB/ガラス板)を有する評価用積層体を作製した。
また、比較例1の透明樹脂層についても、同様に2枚のオレフィンシート及び2枚のガラス板で挟み、5層構成(ガラス板/オレフィンシート/透明樹脂層/オレフィンシート/ガラス板)を有する評価用積層体を作製した。
(a)評価用積層体に使用しなかったオレフィンシートの表面、(b)オレフィンシートAにおける遮断層との接触面、(c)オレフィンシートBにおける透明樹脂層との接触面について、FT−IR分析を行った。
評価用積層体に使用しなかった透明樹脂層の両面についても、FT−IR分析を行った。
一方、実施例1−実施例10の評価用積層体に用いたオレフィンシートAのFT−IRスペクトルにおいて、耐候剤に由来する赤外吸収ピーク(1600cm−1付近に現れるブロードな吸収ピーク)のピーク面積Ax(x=1〜10)、上記基準ピークのピーク面積Bx(x=1〜10)をそれぞれ算出した。ここで、xの数字は実施例番号に対応する。
下記式1により、耐候剤移行量P(%)を算出した。なお、比較例1の評価用積層体に関する耐候剤移行量は100%とした。
式1:P=[(Ax/Bx)/(A0/B0)]×100
(上記式1中、Pは耐候剤移行量(%)を、Ax、Bx、A0、B0はそれぞれ上記各ピーク面積を、それぞれ示す。)
実施例1−実施例10の積層体について、遮断層の透明樹脂層に対する密着性を以下の試験により評価した。
遮断層が外側に位置するように、各積層体を直径2mmの丸棒に巻きつけ、数回しごいた後、遮断層が割れたり浮いたり剥がれたりしていないかを、目視により確認した(巻付け試験)。引き続き、遮断層が外側に位置するように二つ折りにした後、同様に遮断層が損傷していないか目視により確認した(曲げ試験)。
以下の基準に基づき密着性評価を行った。
A:巻付け試験及び曲げ試験のいずれによっても遮断層の割れ、浮き、剥離は見られなかった。
B:巻付け試験又は曲げ試験のいずれかにより、遮断層の一部に割れ、浮き、又は剥離の症状が見られた。
C:巻付け試験及び曲げ試験のいずれによっても遮断層の大部分がぼろぼろと崩れ落ちた。
F:巻付け試験及び曲げ試験のいずれによっても遮断層全体が完全に割れて砕けた。
上記表1より、実施例1と比較例1の各耐候剤移行量Pを比較すると、平均厚さ1.0μmの遮断層を設けることによって、オレフィンシートへの耐候剤の移行量を18%も遮断できることが分かる。また、実施例1〜実施例10の遮断層の平均厚さと各耐候剤移行量Pとを比較すると、遮断層の平均厚さが増えるにつれて、耐候剤移行量Pが減ることが分かる。したがって、透明樹脂層の表面の遮断層の厚さが増すほど、耐候剤がより移行しにくくなる効果が実証された。
相関性は必ずしも明確ではないものの、上記表1の結果より、例えば、遮断層のない従来の化粧シートと比較して、耐久性を2倍に向上するために耐候剤の移行量を2分の1にする必要があるとする場合、遮断層の平均厚さを10μm以上とする必要があると推測される。
1a 透明樹脂層における遮断層を備える側の面
1b 装飾処理された透明樹脂層の凹部の底
2 遮断層
2A 遮断層の厚さ
3 装飾層
4 基材
5 トップコート層
10 少なくとも透明樹脂層及び遮断層を備える積層体
12 扁平状無機粒子
12a 扁平状無機粒子の底面
100 外装用化粧シート
α,β 扁平状無機粒子の底面と、透明樹脂層の一方の面とのなす角
Claims (8)
- オレフィン系樹脂及びアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つの樹脂、及び、ラジカル捕捉剤及び紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの耐候剤を含む透明樹脂層、並びに
前記透明樹脂層の少なくともいずれか一方の面の側に配置される装飾層、及び当該透明樹脂層の表面の全部又は一部が直接装飾処理されてなる装飾面からなる群より選ばれる少なくとも1つの装飾部を備える外装用化粧シートであって、
前記透明樹脂層の少なくともいずれか一方の面の側に、さらに遮断層を備え、
前記遮断層全体が、鱗片状無機粒子が自己組織化してなる膜であり、当該遮断層中で、当該鱗片状無機粒子の底面は、前記透明樹脂層における前記遮断層を備える側の面に対して平行又は略平行の向きに整列し、かつ隣接し合う鱗片状無機粒子が直接互いに結合しており、前記遮断層の平均厚さが、1.0〜100μmの範囲内であることを特徴とする外装用化粧シート。 - 前記鱗片状無機粒子は鱗片状シリカ粒子であり、
前記自己組織化してなる膜は、隣接し合う鱗片状シリカ粒子がSi−O結合により互いに結合してなる膜である、請求項1に記載の外装用化粧シート。 - 前記装飾部と接して前記遮断層を備える、請求項1又は2に記載の外装用化粧シート。
- 前記透明樹脂層を挟んで、前記装飾部とは反対側に前記遮断層を備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の外装用化粧シート。
- 前記装飾部として少なくとも前記装飾層を備え、
前記透明樹脂層と前記装飾層との間に前記遮断層を備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の外装用化粧シート。 - 前記透明樹脂層の両面の側に遮断層を備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の外装用化粧シート。
- 前記透明樹脂層、前記装飾部及び前記遮断層を備える積層体の一面側に、さらに基材を備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の外装用化粧シート。
- 前記基材はポリ塩化ビニル系樹脂基材である、請求項7に記載の外装用化粧シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017067383A JP6900734B2 (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 外装用化粧シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017067383A JP6900734B2 (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 外装用化粧シート |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018167501A JP2018167501A (ja) | 2018-11-01 |
JP6900734B2 true JP6900734B2 (ja) | 2021-07-07 |
Family
ID=64019060
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017067383A Active JP6900734B2 (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 外装用化粧シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6900734B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6561193B1 (ja) | 2018-12-21 | 2019-08-14 | 東京インキ株式会社 | すりガラス調の装飾シートを製造するための装飾シート製造方法 |
-
2017
- 2017-03-30 JP JP2017067383A patent/JP6900734B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018167501A (ja) | 2018-11-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102584821B1 (ko) | 화장 시트 및 이것을 이용한 화장재 | |
JP7548266B2 (ja) | 化粧シート及びこれを用いた化粧材 | |
JP6969704B2 (ja) | 化粧シート及びこれを用いた化粧材、並びに表面保護層用樹脂組成物 | |
JP7414092B2 (ja) | 化粧シート及びこれを用いた化粧材 | |
JP6900733B2 (ja) | 外装用化粧シート | |
JP6900734B2 (ja) | 外装用化粧シート | |
JP7351309B2 (ja) | 化粧シート | |
WO2020067469A1 (ja) | 化粧シート及びこれを用いた化粧材 | |
JP6992930B2 (ja) | 粘着シート | |
JP7509136B2 (ja) | 化粧シート、化粧材及び樹脂組成物 | |
JP7004112B2 (ja) | 化粧シート及びこれを用いた化粧材 | |
WO2020075565A1 (ja) | 透明性樹脂フィルム、化粧板及び化粧板の製造方法 | |
JP7001196B2 (ja) | 化粧材及び化粧部材 | |
WO2024058244A1 (ja) | 化粧シートおよび化粧部材 | |
WO2024058245A1 (ja) | 化粧シートおよび化粧部材 | |
JP7275757B2 (ja) | 化粧材 | |
WO2020203954A1 (ja) | 化粧材及び該表面保護層形成用樹脂組成物 | |
JP2006007687A (ja) | 鋼板化粧材の製造方法と鋼板化粧材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200130 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20201118 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20201124 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20210119 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210317 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210518 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210531 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6900734 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |