JP6900700B2 - 鋼の連続鋳造用鋳型、及び、鋼鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造用鋳型、及び、鋼鋳片の連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、長辺長さと短辺長さの比が1.25以上2.0以下の範囲内とされた鋼鋳片を連続鋳造する際に用いられる鋼の連続鋳造用鋳型、及び、鋼鋳片の連続鋳造方法に関するものである。
断面矩形の鋼鋳片を製造する連続鋳造装置においては、一対の長辺壁と一対の短辺壁とを備えた連続鋳造用鋳型内に、浸漬ノズルを用いて溶鋼を供給し、鋳型内で溶鋼を冷却して凝固シェルを成長させ、鋳片を連続的に鋳造する構成とされている。
ここで、鋼鋳片を鋳造する際には、凝固・冷却過程において鋼の体積変化が生じることになるため、これに追従して凝固・冷却を均一に行う必要がある。
このため、上述の連続鋳造用鋳型においては、例えば特許文献1,2に示すように、鋳型の内面に、鋳造方向下流側に向かって対面間隔が狭くなるように傾斜面が形成されている。すなわち、凝固・冷却が進行して鋳片が収縮する鋳造方向下流側において、鋳型内面の対面間隔が小さくなるように構成されているのである。これにより、凝固・冷却過程において鋼の体積変化が生じても、凝固・冷却を均一に行うことが可能となる。
ここで、特許文献1においては、縦横比が1.0以上2.0以下である断面矩形状の鋳片を製造する際に用いる連続鋳造用鋳型において、鋳型の内面に上方から下方に向かって順に、傾斜率の異なる第1傾斜面及び第2傾斜面を設け、第1傾斜面及び第2傾斜面の傾斜率を所定の範囲内としている。なお、この特許文献1においては、縦横比が1.0のものを含んでいることから、長辺壁及び短辺壁の区別はなく、それぞれに同様の傾斜率の傾斜面が形成されている。
また、特許文献2においては、長辺長さと短辺長さの比が1〜2である鋼鋳片を連続鋳造する鋳型であって、鋳型の短辺内面は上部側の第1傾斜面と下部側の第2傾斜面との2つの傾斜面で形成され、鋳型の長辺内面は1つの傾斜面で形成されており、第1傾斜面のテーパ値が第2傾斜面のテーパ値よりも大きく、長辺内面のテーパ値が第1傾斜面のテーパ値よりも小さくされている。
特許第4749997号公報 特許第5673149号公報
ところで、例えば、亜包晶鋼のような凝固収縮量が大きい鋼種においては、上述の特許文献1,2に記載された連続鋳造用鋳型を用いた場合であっても、初期凝固状態が十分に安定せず、凝固均一性が悪化してしまうおそれがあった。凝固均一性が悪化すると、鋼鋳片の当該部位の凝固シェルが薄くなり、内部割れやそれに起因する縦割れが発生するおそれがあった。また、薄い凝固シェルが破断して溶鋼が噴出するブレークアウトと呼ばれる操業トラブルが発生してしまうおそれがあった。
また、鋳型内面の傾斜率が適していないと、鋳片が鋳型内面と摺接し、鋳型内面が摩耗してしまうおそれがあった。また、鋼鋳片の表面疵が発生するおそれがあった。特に、凝固収縮量がそれほど大きくない鋼種を鋳造する場合には、鋳型内面の摩耗や鋼鋳片の表面疵が発生しやすくなるおそれがあった。
なお、垂直曲げ型または湾曲型連続鋳造機を用いた場合には、曲げの影響が鋳型内に作用することから、さらに凝固が安定しなくなるおそれがあった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、凝固均一性を向上させることができるとともに、鋳型内面の摩耗を抑制することができ、安定して鋳造を行うことが可能な鋼の連続鋳造用鋳型、及び、この鋼の連続鋳造用鋳型を用いた鋼鋳片の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る鋼の連続鋳造用鋳型は、断面矩形状をなし、長辺長さと短辺長さの比が1.25以上2.0以下の範囲内とされた鋼鋳片を連続鋳造する際に用いられる鋼の連続鋳造用鋳型であって、互いに対向する一対の長辺壁と、互いに対向する一対の短辺壁とを有し、互いに対向する一対の前記長辺壁及び前記短辺壁には、鋳造方向下流側に向かって対面間隔が狭くなる傾斜面が形成されており、前記長辺壁及び前記短辺壁の傾斜面は、テーパ値が異なる複数の傾斜面が鋳造方向に連なるように形成されており、鋳造方向上流側に位置する傾斜面のテーパ値が鋳造方向下流側に位置する傾斜面のテーパ値よりも大きくされており、前記長辺壁の鋳造方向のメニスカス位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面のテーパ値α1と前記短辺壁の鋳造方向のメニスカス位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面のテーパ値β1との比β1/α1が1.62以上2.0未満の範囲内とされていることを特徴としている。
この構成の鋼の連続鋳造用鋳型においては、互いに対向する一対の前記長辺壁及び前記短辺壁に鋳造方向下流側に向かって対面間隔が狭くなるようにテーパ値が異なる複数の傾斜面が鋳造方向に連なるように形成され、鋳造方向上流側に位置する傾斜面のテーパ値が鋳造方向下流側に位置する傾斜面のテーパ値よりも大きくされているので、収縮量の大きな凝固初期においてテーパ値を大きく設定することができ、凝固均一性を向上させることができる。また、鋳造方向下流側に位置する傾斜面のテーパ値が比較的小さくされているので、鋼鋳片と鋳型内面とが摺接することを抑制でき、鋳型の摩耗を抑制することができる。また、鋼鋳片の表面疵の発生を抑制することよって、安定して鋳造を行うことができる。
また、前記長辺壁の鋳造方向のメニスカス位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面のテーパ値α1と前記短辺壁の鋳造方向のメニスカス位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面のテーパ値β1との比β1/α1が1.62以上2.0未満の範囲内とされているので、長辺方向での凝固収縮量と短辺方向での凝固収縮量に応じてテーパ値を設定することができ、長辺側及び短辺側の両方で凝固均一性を向上させることができる。
なお、傾斜面のテーパ値は、図8に示すように、傾斜面の上流側の面間距離L1(m)と、傾斜面の下流側の面間距離L2(m)と、傾斜面の鋳造方向の距離h(m)から、以下の式で求められる。
(テーパ値)=(L1−L2)/L1×100/h
ここで、本発明に係る鋼の連続鋳造用鋳型においては、前記長辺壁の鋳造方向のメニスカス位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面のテーパ値α1、及び前記短辺壁の鋳造方向のメニスカス位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面のテーパ値β1が、1.0%/m以上4.0%/m以下の範囲内とされており、前記長辺壁の鋳造方向の最下流側に位置する最終傾斜面のテーパ値αe、及び、前記短辺壁の鋳造方向の最下流側に位置する最終傾斜面のテーパ値βeが、0.3%/m以上1.0%/m以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記長辺壁の鋳造方向のメニスカス位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面のテーパ値α1及び前記短辺壁の鋳造方向のメニスカス位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面のテーパ値β1が1.0%/m以上4.0%/m以下の範囲内とされているので、初期凝固の収縮量に応じたテーパが形成されており、凝固均一性を的確に向上させることができるとともに、鋼鋳片と鋳型内面とが摺接することを抑制できる。
さらに、前記長辺壁の鋳造方向の最下流側に位置する最終傾斜面のテーパ値αe及び前記短辺壁の鋳造方向の最下流側に位置する最終傾斜面のテーパ値βeが0.3%/m以上1.0%/m以下の範囲内とされているので、凝固均一性を的確に向上させることができるとともに、テーパ値が過剰になって鋼鋳片と鋳型内面とが摺接することを抑制できる。
また、二次冷却帯からの冷却水の侵入を抑制することができ、鋳型内面の腐食を抑制することができる。
本発明に係る鋼の連続鋳造方法は、長辺長さと短辺長さの比が1.25以上2.0以下の範囲内とされた鋼鋳片の連続鋳造方法であって、上述の連続鋳造用鋳型を用いて鋳造することを特徴としている。
この構成の鋼の連続鋳造方法においては、上述の連続鋳造用鋳型を用いて鋳造しているので、凝固均一性が向上し、安定して鋳造を行うことができる。また、表面疵のない高品質な鋼鋳片を製造することができる。
上述のように、本発明によれば、凝固均一性を向上させることができるとともに、鋳型内面の摩耗を抑制することができ、安定して鋳造を行うことが可能な鋼の連続鋳造用鋳型、及び、この鋼の連続鋳造用鋳型を用いた鋼鋳片の連続鋳造方法を提供することが可能となる。
本発明の実施形態である鋼の連続鋳造用鋳型を備えた連続鋳造装置の一例を示す概略説明図である。 本発明の一実施形態である鋼の連続鋳造用鋳型の斜視図である。 本発明の一実施形態である鋼の連続鋳造用鋳型の上面図である。 図2及び図3に示す鋼の連続鋳造用鋳型の長辺壁の傾斜面の説明図である。 図2及び図3に示す鋼の連続鋳造用鋳型の短辺壁の傾斜面の説明図である。 本発明の他の実施形態である鋼の連続鋳造用鋳型の長辺壁の傾斜面の説明図である。 本発明の他の実施形態である鋼の連続鋳造用鋳型の短辺壁の傾斜面の説明図である。 鋼の連続鋳造用鋳型の傾斜面のテーパ値の算出方法を示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態である鋼の連続鋳造用鋳型、及び、鋼鋳片の連続鋳造方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
図1に、本実施形態である鋼の連続鋳造用鋳型50を備えた連続鋳造装置10の一例を示す。本実施形態においては、断面矩形状をなし、長辺長さと短辺長さの比が1.25以上2.0以下の範囲内とされた鋼鋳片30を製造する。
連続鋳造設備10は、連続鋳造用鋳型50と、この連続鋳造用鋳型50の下方に位置する複数のサポートロール26からなるサポートロール群20と、を備えており、連続鋳造用鋳型50から製出された鋼鋳片30を下方へと引き抜く垂直帯14と、鋼鋳片30を湾曲させる曲げ帯15と、湾曲させた鋼鋳片30を曲げ戻す矯正帯16と、鋼鋳片30を水平方向へ搬送する水平帯17と、を有する垂直曲げ型連続鋳造機とされている。
ここで、サポートロール群20は、鋼鋳片30を下方へと引き抜く垂直帯14に位置するピンチロールユニット21と、鋼鋳片30を湾曲させる曲げ帯15に位置するベンディングロールユニット22と、湾曲させた鋼鋳片30を曲げ戻す矯正帯16に位置する矯正ロールユニット23と、鋼鋳片30を水平方向へ搬送する水平帯17に位置する水平ロールユニット24と、を備えている。
なお、これらのサポートロール26は、鋼鋳片30の幅方向に延在しており、鋼鋳片30の長辺面を支持する構成とされている。
そして、本実施形態である連続鋳造用鋳型50においては、図2及び図3に示すように、互いに対向する一対の長辺壁51(51a、51b)と、互いに対向する一対の短辺壁52(52a、52b)を有しており、これらの長辺壁51(51a、51b)と短辺壁52(52a、52b)によって、製造される鋼鋳片30の断面形状に応じた断面矩形状をなす鋳造空間Sが画成されている。すなわち、この鋳造空間Sにおける長辺長さと短辺長さとの比が1.25以上2.0以下の範囲内とされている。ここで、連続鋳造用鋳型50の長辺長さと短辺長さとの比を1.25以上2.0以下とした理由は、本発明が効果を発揮する最適範囲であるからである。
また、長辺壁51の外側には、それぞれ電磁攪拌コイル40(40a、40b)が配設されている。この電磁攪拌コイル40は、連続鋳造用鋳型50内の溶鋼に移動磁界を発生させ、溶鋼を強制的に流動させるものである。本実施形態では、図3に示すような旋回流Fが発生するように、電磁攪拌コイル40により溶鋼に移動磁界を発生させている。
そして、本実施形態においては、図4及び図5に示すように、互いに対向する一対の長辺壁51(51a、51b)及び一対の短辺壁52(52a、52b)には、鋳造方向下流側に向かって対面間隔が狭くなる傾斜面53、54が形成されている。これらの傾斜面53,54は、テーパ値が異なる複数の傾斜面53A、53B、54A、54Bが鋳造方向に連なって形成されている。
ここで、傾斜面をテーパ値の異なる複数の傾斜面で構成する理由は、本来、温度と熱膨張収縮量との関係はほぼ二次曲線に従うので、理論上は、これに従うようにモールドの斜面を二次曲線に従った断面形状とするのが理想的だが、製作が困難となるので近似して複数の直線の組み合わせとしているためである。
本実施形態では、図4及び図5に示すように、長辺壁51及び短辺壁52には、鋳造方向の上流側に位置する第1傾斜面53A、54Aと、この第1傾斜面53A、54Aの鋳造方向の下流側に連なる第2傾斜面53B、54Bと、が形成されている。
ここで、長辺壁51の第1傾斜面53Aのテーパ値α1は、長辺壁51の第2傾斜面53Bのテーパ値α2よりも大きくなるように設定されている。また、短辺壁52の第1傾斜面54Aのテーパ値β1は、短辺壁52の第2傾斜面54Bのテーパ値β2よりも大きくなるように設定されている。
これは、上記のように傾斜面を熱膨張収縮量に合わせているので、鋳型の下流側の方が上流側よりも温度が低くなり、熱収縮量も小さくなるので、下流側ほどテーパ値が小さくて良くなるからである。
そして、長辺壁51の鋳造方向のメニスカスM位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面53Aのテーパ値α1と短辺壁52の鋳造方向のメニスカスM位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面54Aのテーパ値β1との比β1/α1が1.62以上2.0未満の範囲内とされている。
これは、長辺壁51側は鋼鋳片30のバルジングの影響を受けやすく、理論上の熱収縮量よりも見かけ上小さい量となっていると推定されるためである。
さらに、本実施形態においては、長辺壁51の第2傾斜面53Bのテーパ値α2と短辺壁52の第2傾斜面54Bのテーパ値β2との比β2/α2についても1.25以上2.0未満の範囲内とするのが理想的と考えられるが、前述のように下流側では収縮量が小さくなるので短辺側と長辺側との差が小さくなり、実質的にβ2/α2が1.0でも大きな影響はない。
また、本実施形態においては、長辺壁51のメニスカスM位置以下で鋳造方向の最上流側に位置する第1傾斜面53Aのテーパ値α1及び短辺壁52のメニスカスM位置以下で鋳造方向の最上流側に位置する第1傾斜面54Aのテーパ値β1が、それぞれ1.0%/m以上4.0%/m以下の範囲内に設定されている。
ここで、長辺壁51の第1傾斜面53Aのテーパ値α1及び短辺壁52の第1傾斜面54Aのテーパ値β1が1.0%/mより小さいと、凝固収縮に見合ったテーパが付与できず、凝固シェルから鋳型への伝熱が不安定となり、凝固が不均一となるおそれがある。一方、長辺壁51の第1傾斜面53Aのテーパ値α1及び短辺壁52の第1傾斜面54Aのテーパ値β1が4.0%/mより大きいと、例えば亜包晶鋼以外の凝固収縮量の小さい鋼種でテーパが過剰となり、表面疵が発生するおそれがある。このような理由から、本実施形態においては、長辺壁51の第1傾斜面53Aのテーパ値α1及び短辺壁52の第1傾斜面54Aのテーパ値β1を上述の範囲内に設定している。
さらに、長辺壁51の鋳造方向の最下流側に位置する第2傾斜面53Bのテーパ値α2及び短辺壁52の鋳造方向の最下流側に位置する第2傾斜面54Bのテーパ値β2が、それぞれ0.3%/m以上1.0%/m以下の範囲内に設定されている。
ここで、長辺壁51の第2傾斜面53Bのテーパ値α2及び短辺壁52の第2傾斜面54Bのテーパ値β2が0.3%/mより小さいと、凝固収縮に見合ったテーパが付与できず、凝固シェルから鋳型への伝熱が不安定となり、凝固が不均一となるおそれがある。また、連続鋳造用鋳型50の下方に設置された二次冷却帯から冷却水が侵入し、鋳型内面が腐食しやすくなるおそれがある。一方、長辺壁51の第2傾斜面53Bのテーパ値α2及び短辺壁52の第2傾斜面54Bのテーパ値β2が1.0%/mより大きいと、例えば亜包晶鋼以外の凝固収縮量の小さい鋼種でテーパが過剰となり、表面疵が発生するおそれがある。このような理由から、本実施形態においては、長辺壁51の第2傾斜面53Bのテーパ値α2及び短辺壁52の第2傾斜面54Bのテーパ値β2を上述の範囲内に設定している。
上述のような構成とされた連続鋳造用鋳型50を備えた連続鋳造設備10においては、連続鋳造用鋳型50内に挿入された浸漬ノズル12を介して連続鋳造用鋳型50内に溶鋼が注入され、この溶鋼が連続鋳造用鋳型50の一次冷却手段によって冷却されることにより、凝固シェル31が成長し、連続鋳造用鋳型50の下方から鋼鋳片30が引き抜かれる。このとき図1に示すように、鋼鋳片30の内部には、未凝固部32が存在している。
この鋼鋳片30は、図1に示すように、ピンチロールユニット21によって下方に向けて引き抜かれるとともにベンディングロールユニット22によって湾曲させられる。そして、矯正ロールユニット23によって曲げ戻され、水平ロールユニット24によって水平方向に搬送されることになる。このとき、ピンチロールユニット21、ベンディングロールユニット22、矯正ロールユニット23等のサポートロール26間に設けられたスプレーノズル(図示なし)から冷却水が鋼鋳片30に向けて噴出され、鋼鋳片30が冷却されて凝固シェル31がさらに成長していく。そして、鋼鋳片30が水平方向に引き出される水平帯17の後段側において、鋼鋳片30が完全に凝固することになる。
以上のようにして、断面矩形状をなし、長辺長さと短辺長さの比が1.25以上2.0以下の範囲内とされた鋼鋳片30が製造される。
以上のような構成とされた本実施形態である鋼の連続鋳造用鋳型50、及び、鋼鋳片30の連続鋳造方法によれば、互いに対向する一対の長辺壁51(51a、51b)及び一対の短辺壁52(52a、52b)に、鋳造方向下流側に向かって対面間隔が狭くなるようにテーパ値が異なる複数の傾斜面53,54が鋳造方向に連なって形成されており、長辺壁51の第1傾斜面53Aのテーパ値α1が長辺壁51の第2傾斜面53Bのテーパ値α2よりも大きくなるように設定されており、短辺壁52の第1傾斜面54Aのテーパ値β1が短辺壁52の第2傾斜面54Bのテーパ値β2よりも大きくなるように設定されているので、収縮量の大きな凝固初期においてテーパ値が大きく設定することができ、凝固均一性を向上させることができる。また、鋳造方向下流側に位置する第2傾斜面53B、54Bのテーパ値が比較的小さくされているので、鋼鋳片30と鋳型内面とが過剰に摺接することを抑制でき、鋳型内面の摩耗を抑制することができる。よって、安定して鋳造を行うことができる。
そして、長辺壁51のメニスカスM位置以下で鋳造方向の最上流側に位置する第1傾斜面53Aのテーパ値α1と短辺壁52のメニスカスM位置以下で鋳造方向の最上流側に位置する第1傾斜面54Aのテーパ値β1との比β1/α1が1.62以上2.0未満の範囲内とされているので、長辺方向での凝固収縮量と短辺方向での凝固収縮量に応じてテーパ値を設定することができ、長辺側及び短辺側の両方で凝固均一性を向上させることができる。
また、本実施形態においては、長辺壁51の鋳造方向の最上流側に位置する第1傾斜面53Aのテーパ値α1及び短辺壁52の鋳造方向の最上流側に位置する第1傾斜面54Aのテーパ値β1が、それぞれ1.0%/m以上4.0%/m以下の範囲内に設定されているので、凝固均一性を的確に向上させることができるとともに、テーパ値が過剰になって鋼鋳片30と鋳型内面とが摺接して摩耗することを抑制できる。
さらに、本実施形態においては、長辺壁51の鋳造方向の最下流側に位置する第2傾斜面53Bのテーパ値α2及び短辺壁52の鋳造方向の最下流側に位置する第2傾斜面54Bのテーパ値β2が、それぞれ0.3%/m以上1.0%/m以下の範囲内に設定されているので、凝固均一性を的確に向上させることができるとともに、テーパ値が過剰になって鋼鋳片30と鋳型内面とが摺接して摩耗することを抑制できる。また、二次冷却帯からの冷却水の侵入を抑制することができ、鋳型内面の腐食を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態である鋼の連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、図1に示す連続鋳造装置を用いたものとして説明したが、これに限定されることはなく、その他の構成の連続鋳造装置等を用いてもよい。
また、本実施形態においては、長辺壁及び短辺壁が第1傾斜面と第2傾斜面を有するものとして説明したが、これに限定されることはなく、図6及び図7に示すように、長辺壁51が3つ以上の傾斜面(53A、53B、53C)を備え、短辺壁52が3つ以上の傾斜面(54A、54B、54C)を備えたものであってもよい。この場合であっても、長辺壁51の鋳造方向の最上流側に位置する第1傾斜面53Aのテーパ値α1と短辺壁52の鋳造方向の最上流側に位置する位置する第1傾斜面54Aのテーパ値β1との比β1/α1が1.62以上2.0未満の範囲内とされていればよい。
さらに、図6及び図7に示す連続鋳造用鋳型においては、長辺壁51の鋳造方向の最上流側に位置する第1傾斜面53Aのテーパ値α1及び短辺壁52の鋳造方向の最上流側に位置する位置する第1傾斜面54Aのテーパ値β1が1.0%/m以上4.0%/m以下の範囲内であることが好ましく、長辺壁51の鋳造方向の最下流側に位置する第3傾斜面53Cのテーパ値α3及び短辺壁52の鋳造方向の最下流側に位置する最終傾斜面54Cのテーパ値β3が0.3%/m以上1.0%/m以下の範囲内とされていることが好ましい。そして、第1傾斜面53A、54Aと第3傾斜面53C、54Cの間に位置する第2傾斜面53B、54Bのテーパ値α2、β2は、α1>α2>α3、及び、β1>β2>β3の関係を有するように設定することが好ましい。
図1に示す垂直曲げ型連続鋳造機を用いて、表1に示す成分組成の鋼鋳片を連続鋳造した。連続鋳造用鋳型として、表2に示すように長辺壁及び短辺壁に傾斜面を設けたものを使用した。鋼鋳片は、断面矩形状をなし、表2に示すサイズのものとした。
表3に示すように、表1に示す成分組成の鋼鋳片を表2に示す連続鋳造用鋳型を用いて連続鋳造した。このときの鋳造速度は表3に示す条件とした。
そして、上述のようにして得られた鋼鋳片について、鋳造方向に直交する断面の組織観察を行い、コーナ部における凝固均一度を評価した。
各コーナ部の50mm×50mmの領域において、端部からホワイトバンドまでの距離を測定し、これを凝固シェル厚さとした。なお、ホワイトバンドとは、電磁撹拌装置によって凝固シェルの界面に沿って溶鋼が流れることにより生じた炭素偏析層であり、電磁撹拌装置の位置における凝固シェル厚さを推定することが可能となる。
ここで、凝固シェル厚さを各コーナ部において長辺側で5点、短辺側で5点、測定し、4つのコーナ部全体で測定された最大凝固シェル厚さtmaxと最小凝固シェル厚さtminから、凝固均一度δ=tmin/tmaxを算出した。評価結果を表3に示す。
評価としては、長辺、短辺それぞれが0.70以上で、且つ、平均が0.80以上がブリードの発生もなく凝固均一度を良好とした。
Figure 0006900700
Figure 0006900700
Figure 0006900700
長辺壁及び短辺壁が1段の傾斜面で形成され、傾斜面のテーパ値比が2.37とされた比較例1の連続鋳造用鋳型を用いた試験No.11においては、鋳片の長辺面側及び短辺壁面においていずれも凝固均一性が不十分であった。
長辺壁及び短辺壁が1段の傾斜面で形成され、傾斜面のテーパ値比が1.22とされた比較例2の連続鋳造用鋳型を用いた試験No.12においては、鋳片の長辺面側の凝固均一性が不十分であった。
長辺壁が1段の傾斜面で形成されるとともに短辺壁が2段の傾斜面で形成された比較例3の連続鋳造用鋳型を用いた試験No.13においては、鋳片の長辺面側の凝固均一性が不十分であった。
長辺壁及び短辺壁が2段の傾斜面で形成されているが、長辺壁の最上段に位置する第1傾斜面のテーパ値α1と短辺壁の最上段に位置する位置する第1傾斜面のテーパ値β1との比β1/α1が2.0以上とされた比較例4の連続鋳造用鋳型を用いた試験No.14においては、鋳片の長辺面側及び短辺面側においていずれも凝固均一性が不十分であった。
長辺壁及び短辺壁が2段の傾斜面で形成され、長辺壁の最上段に位置する第1傾斜面のテーパ値α1と短辺壁の最上段に位置する位置する第1傾斜面のテーパ値β1との比β1/α1が1.62以上2.0未満の範囲内とされた本発明例1、2の連続鋳造用鋳型を用いた試験No.1〜4においては、鋳片の長辺面側及び短辺面側においていずれも凝固均一性が十分であり、凝固が安定していたことが確認された。
また、本発明例1の連続鋳造用鋳型を用いた試験No.1、2においては、凝固収縮量の大きな亜包晶鋼である鋼1、及び、凝固収縮量が比較的小さな鋼種である鋼2、のどちらであっても、凝固均一性を向上させることができた。また、鋼鋳片と鋳型内面との摺接が抑制され、表面疵の発生を抑制することができた。
30 鋼鋳片
50 連続鋳造装置
51 長辺壁
52 短辺壁
53、54 傾斜面
53A、54A 第1傾斜面

Claims (3)

  1. 断面矩形状をなし、長辺長さと短辺長さの比が1.25以上2.0以下の範囲内とされた鋼鋳片を連続鋳造する際に用いられる鋼の連続鋳造用鋳型であって、
    互いに対向する一対の長辺壁と、互いに対向する一対の短辺壁とを有し、互いに対向する一対の前記長辺壁及び前記短辺壁には、鋳造方向下流側に向かって対面間隔が狭くなる傾斜面が形成されており、
    前記長辺壁及び前記短辺壁の傾斜面は、テーパ値が異なる複数の傾斜面が鋳造方向に連なるように形成されており、鋳造方向上流側に位置する傾斜面のテーパ値が鋳造方向下流側に位置する傾斜面のテーパ値よりも大きくされており、
    前記長辺壁の鋳造方向のメニスカス位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面のテーパ値α1と前記短辺壁の鋳造方向のメニスカス位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面のテーパ値β1との比β1/α1が1.62以上2.0未満の範囲内とされていることを特徴とする鋼の連続鋳造用鋳型。
  2. 前記長辺壁の鋳造方向のメニスカス位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面のテーパ値α1、及び前記短辺壁の鋳造方向のメニスカス位置以下で最上流側に位置する第1傾斜面のテーパ値β1が、1.0%/m以上4.0%/m以下の範囲内とされており、
    前記長辺壁の鋳造方向の最下流側に位置する最終傾斜面のテーパ値αe、及び、前記短辺壁の鋳造方向の最下流側に位置する最終傾斜面のテーパ値βeが、0.3%/m以上1.0%/m以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造用鋳型。
  3. 長辺長さと短辺長さの比が1.25以上2.0以下の範囲内とされた鋼鋳片の連続鋳造方法であって、
    請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造用鋳型を用いて鋳造することを特徴とする鋼鋳片の連続鋳造方法。
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