JP6900613B2 - 振動測定装置 - Google Patents
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Description
前記水平面上で回転軸に対して前記一対の加速度センサに対して90°回転した位置に回転軸に対称に装着された一対の加速度センサと、をさらに備えることが好ましい。
例えば切削加工時の異常振動をリアルタイムで検出することができ、従来、目視に頼らざるを得なかった工具破損前兆の所謂「びびり」や、タッピング加工時のスティックスリップ現象等の発生を検知することができる。さらに、本振動測定装置で回転速度・送り量・切込量の最適加工条件の探索をすることもでき、背反する事象である加工工程の迅速化、安全化(工具破損防止)を同時に達成・両立させることができる。
次に、本振動測定装置における回転工具の加工の具体的な配設位置例としては次の通りである。それぞれ工具の振動の発生部位に近い状況で振動を捕捉することと、配設し易い位置での振動増幅との両者の相関を加味して例示している。
また、第2例は、前記ツールホルダの下方又はツールホルダと回転工具との間の部材に径を細くして上又は下方向に延びる片持ち梁を形成し、前記加速度センサを装着する水平面は、前記片持ち梁の上端に設定される。
第3例は、前記加速度センサを装着する水平面は、回転工具に設けた中空孔の下方に設定される。
第4例は、前記加速度センサを装着する水平面は、回転工具の上端に設定される。
第5例は、前記回転工具の上端に径を細くして上方に延びる片持ち梁を形成し、前記加速度センサを装着する水平面は、前記片持ち梁の上端に設定される。
前記送信手段から外部に送信された加速度情報を受信する外部装置を備え、
前記外部装置は、予め加速度の閾値又は加速度変化の閾値を設定し、前記送信手段からの加速度情報が設定された閾値の範囲内か否かを検出することもできる。
第2の例では、前記外部装置は、前記送信手段からの加速度情報が設定された閾値の範囲外であることを検出した場合に、前記主軸の軸回転を停止する。
第3の例では,前記外部装置は、前記送信手段からの加速度情報が設定された閾値の範囲外であることを検出した場合に、前記主軸の作動条件を変更する。
図1(a)は、マシニングセンタの回転主軸2に本振動測定装置を備えたツールホルダユニット1が把持された状態の写真図を示している。このツールホルダユニット1は、通常のツールホルダと同様にその上部を回転主軸2に把持され、下部で工具を把持するものであり、通常のツールホルダと異なり、加工中の工具近傍の状態をリアルタイムに検出できる機能を有するユニットとして形成されている。
図1(b)は、図1(a)のツールホルダユニット1からのデータを受信し、分析する外部端末の例示写真である。レシーバ31はツールホルダユニット1からのデジタルデータを受信し、パソコン32に送信する。レシーバ31から送信されたデータを受信したパソコン32は内部の専用ソフトウェアで処理(又は演算)してディスプレイ上に表示している。
図2はツールホルダユニット1の縦断面図を示している。図2では紙面上方を回転主軸2側とし、下方が切削工具側とする。ツールホルダユニット1は、ツバ部3aより上方で回転主軸1に入れ子状に挿入・把持されて回転主軸1と協働回転する。また、内部は中空であり下部で工具を把持するチャック5が固定されている。チャック5の上方には部品配置用の空隙3cが設けられ、この空隙3cに電池4が配設されている。この電池4は充電式でもよい。各種センサからのデータは空隙3cに配設された制御基板9でA/D変換されて、貫通孔を介して接続しているツールホルダ本体3の外周部側の無線送信デバイス7から送信される。
なお、各種センサからのデータはツールホルダ本体3の外周部の制御基板でA/D変換されても良い。
図4は(a)にツールホルダユニット1の斜視図が示されており、(b)に(a)の加速度センサ6の配設位置における軸垂直に沿った断面図上(参照番号6の位置)での加速度センサ6の配置関係を示している。図4においてX方向とはそれぞれ矢印xxに示すようにツールホルダユニット本体3に対して軸方向に垂直な任意の横方向の一つであり、Y方向とはそれぞれ矢印yyに示すように矢印xxから軸周りに90°回転した方向である。ここに示す加速度センサ6は圧電式加速度センサであり、回転軸Оを中心に対向する位置に2個で一対となって、それぞれX方向用、Y方向用に直交に二対配設される。
Ay = (Ay1-Ay2) / 2
Am' = (Ax1+Ax2) / 2
Am [rev./s2] = Am' [m/s2] / (直径[mm] × 1 0 -3×π) [m]
Am [rad/s2] =Am' [m/s2]/ (直径[mm] × 1 0-3/2) [m]
従って、加速度センサ6を回転軸Оに対称に配置すると、水平方向(x、y)と回転方向の両方の加速度を検出できることがわかる。
また、図5には(a)に被加工物(ワーク)12を切削していく際に発生する負荷と加速度との関係を示しており、(b)はカッター(工具)11から見た加速度を示す図を示している。図5 (a)に示すようにカッター11の回転方向Wに回転させながら紙面左方に進行させることでチップ13が被加工物12を切削研削している。このときチップ13aと被加工物12との接触点(切削点)では、図5 (a)に示すようにカッター11の後方(つまり接線の前方)に荷重が作用し、その接線方向の分力がFm、法線方向の分力がFrで示されている。さらに、分力Frに応じて動摩擦力が分力Fmと反対方向にMFmとして作用している。
図6に、本振動測定装置において振動測定する様子を表すブロック図が示されている。
まずツールホルダ本体3では上述した加速度センサ6a(y1)、6a (y2)、6b (x1)、6a(x2)からアナログ信号の振動情報が送信され、オペアンプ等の増幅回路15により、インピーダンスを整合し、電圧増幅し、後段の回路に応じたゲイン調整が行われる。また、増幅回路15からの出力信号は加速度センサ6の共振周波数の影響を避けるためにローパスフィルタ(ハイカットフィルタ)16により高周波数(ここでは10kHzで検証)をカットして信号出力することもできる。ローパスフィルタ16からの送信信号はオペアンプ等で構成される、減算回路(差動増幅回路)17、減算回路18、加算回路19で受信される。減算回路17では、加速度センサ6b(x1),6b(x2)からの電圧差の所定倍数の電圧を出力、すなわちX方向の並行振動信号を出力する。減算回路18では、加速度センサ6a(y1)、6a(y2)からの電圧差の所定倍数の電圧を出力、すなわちY方向の並行振動信号を出力する。また、加算回路19では、加速度センサ6b(x2)、6b(x2)からの電圧それぞれの所定倍数の和の電圧を出力、すなわち回転方向の振動信号を出力する。
本振動測定装置により加工中の工具11の異常振動を検出することができ、工具破断の深刻な予兆である切削加工時の不安定切削(所謂「びびり」)の発生についても検出することができる。従来は、この「びびり」の発生を目視や異音、装置の異常信号等で認識したときに、被加工物12への切込量や回転速度を小さくすることで対応していた。これに対して本振動測定装置を活用すれば、単に切込量や回転速度を小さくするのではなく、切込量や回転数が大きくなっても「びびり」が生じない領域を検知することも可能である。
図8には本振動測定装置を活用し、一般的な加工における異常振動の検出による加工停止等フロー示されている。まず、加工が開始され、加速度センサ6による加速度測定が開始される(STEP1)。次に、工具11の位置決めを行い(STEP2)、研削加工等を行う(STEP3)。なお、加速度測定はSTEP2のとき、あるいはSTEP3のときから開始しても良い。加工中に異常振動の信号が検出されると(STEP4)、(1)機械(装置)の停止による加工中止、(2)回転速度や進行速度を減速する等の加工条件を変更、(3)警告音の発信や警告表示等、アラーム表示、のいずれかの措置を行う(STEP6)。STEP4の異常信号の検出・判定は、予め設定された加速度や加速度変化量の限界値を閾値として検出・判定することが例示される。異常振動の信号検出がされない限り、次の加工(STEP5)へ進み、次加工の有無の判定により、STEP2へ継続、あるいは、加工が終了(STEP7)する。
図9には本振動測定装置を活用し、複数穴連統タッピング加工におけるスティックスリップ検出による加工停止等フローが示されている。まず、タップ加工が開始され、加速度センサ6による加速度測定が開始される(STEP11)。次に、タップ(工具)11の位置決めを行い(STEP12)、タップ加工を行う(STEP13)。なお、図8 (実施例2)と同様に加速度測定は、このSTEP12のとき、あるいはSTEP13のときから開始しても良い。加工中にスティックスリップ現象の信号が検出されると(STEP14)、(1)機械(装置)の停止による加工中止、(2)回転速度や進行速度を減速する等の加工条件を変更、(3)警告音の発信や警告表示等、アラーム表示、のいずれかの措置を行う(STEP16)。STEP14のスティックスリップ現象の信号(異常信号)の検出・判定は、予めスティックスリップ現象を生じるとして設定された加速度や加速度変化量の限界値を閾値として検出・判定することが例示される。スティックスリップ現象の信号検出がされない限り、次の加工(STEP15)へ進み、次加工の有無の判定により、STEP12へ継続、あるいは、加工が終了(STEP17)する。
2 回転主軸
3 ツールホルダ本体
3 a ツバ部
3 c 空隙
4 電池
5 チャック
6 加速度センサ
7 無線送信デバイス(アンテナ)
9 制御基板
11 工具(カッター)
11a 片持ち梁
12 被加工物(ワーク)
13 チップ(切れ刃)
15 増幅回路
16 ローパスフィルタ
17 減算回路
18 減算回路
19 加算回路
20 平均化処理回路
21 A/D変換器
22 無線送受信機
31 レシーバ
32 パソコン
Claims (12)
- 主軸と連結され協働して軸回転するツールホルダに把持された回転工具の振動測定装置であって、
回転工具の回転軸に対する水平面上に回転軸に対称に装着された一対の加速度センサと該加速度センサからの加速度情報を外部に無線送信する送信手段と、を備える、振動測定装置。 - 前記水平面上で回転軸に対して前記一対の加速度センサに対して90°回転した位置に回転軸に対称に装着された一対の加速度センサと、をさらに備える、請求項1に記載の振動測定装置。
- 前記加速度センサを装着する水平面は、ツールホルダの下方又はツールホルダと回転工具との間の部材である、諸求項1又は2に記載の振動測定装置。
- 前記ツールホルダの下方又はツールホルダと回転工具との間の部材に径を細くして上又は下方向に延びる片持ち梁を形成し、前記加速度センサを装着する水平面は、前記片持ち梁の上端である、請求項3に記載の振動測定装置。
- 前記加速度センサを装着する水平面は、回転工具に設けた中空孔の下方である、請求項1又は2に記載の振動測定装置。
- 前記加速度センサを装着する水平面は、回転工具の上端である、請求項1又は2に記載の振動測定装置。
- 前記回転工具の上端に径を細くして上方に延びる片持ち梁を形成し、前記加速度センサを装着する水平面は、前記片持ち梁の上端である、請求項6に記載の振動測定装置。
- 前記送信手段から外部に送信された加速度情報を受信する外部装置を備え、
前記外部装置は、予め加速度の閾値又は加速度変化の閾値を設定し、前記送信手段からの加速度情報が設定された閾値の範囲内か否かを検出する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の振動測定装置。 - 前記外部装置は、前記送信手段からの加速度情報が設定された閾値の範囲外であることを検出した場合に、警告する、請求項8に記載の振動測定装置。
- 前記外部装置は、前記送信手段からの加速度情報が設定された閾値の範囲外であることを検出した場合に、前記主軸の軸回転を停止する、請求項8に記載の振動測定装置。
- 前記外部装置は、前記送信手段からの加速度情報が設定された閾値の範囲外であることを検出した場合に、前記主軸の作動条件を変更する、請求項8に記載の振動測定装置。
- 請求項8に記載の振動測定装置は、切削装置の主軸と連結され協働して軸回転するツールホルダに把持された切削工具の振動測定装置であり、
前記外部装置は、
前記切削工具の被加工物への切込量を固定値に設定した状態で順次、回転数を上昇させながら前記加速度センサで加速度情報を検出し、回転数を上昇させる過程で、前記送信手段からの加速度情報が設定された閾値の範囲外であることを検出し、その後にさらに高い回転数で前記閾値の範囲内であることを検出した場合に、その時点での前記切削工具の回転数と切込量とを設定する第一工程と、
前記切削工具の回転数を前記第一工程で設定された回転数を固定値に設定した状態で順次、前記切削工具の被加工物への切込量を増加させながら前記加速度センサで加速度情報を検出し、切込量を増加させる過程で、前記送信手段からの加速度情報が設定された閾値の範囲外であることを検出した場合に、その前の時点での前記切削工具の回転数と切込量とを設定する第二工程と、により前記切削工具の最適な作動条件を設定する、振動測定装置。
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