JP6900099B1 - 超硬合金及び金型 - Google Patents

超硬合金及び金型 Download PDF

Info

Publication number
JP6900099B1
JP6900099B1 JP2021518023A JP2021518023A JP6900099B1 JP 6900099 B1 JP6900099 B1 JP 6900099B1 JP 2021518023 A JP2021518023 A JP 2021518023A JP 2021518023 A JP2021518023 A JP 2021518023A JP 6900099 B1 JP6900099 B1 JP 6900099B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cemented carbide
particle size
particles
less
phase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021518023A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2022208766A1 (ja
Inventor
翔太 青柳
翔太 青柳
勉 小椋
勉 小椋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Die Co Ltd
Original Assignee
Fuji Die Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Die Co Ltd filed Critical Fuji Die Co Ltd
Application granted granted Critical
Publication of JP6900099B1 publication Critical patent/JP6900099B1/ja
Publication of JPWO2022208766A1 publication Critical patent/JPWO2022208766A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C29/00Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides
    • C22C29/02Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides based on carbides or carbonitrides

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)

Abstract

WCを主成分とする硬質相と、Coを主成分とする結合相とを含む超硬合金において、硬質相は、粒径が1.6μm以上6.0μm未満のWC粗粒子と、粒径が1.6μm未満のWC微粒子とを有し、WC粗粒子が占める面積比率は、WC全体に対して20〜35面積%であり、WC微粒子が占める面積比率は、WC全体に対して65〜80面積%であり、結合相の含有量Xは超硬合金全体の10〜15質量%であり、WC粗粒子の平均粒径は2μm以上4μm未満の範囲に含まれ、WC微粒子の平均粒径Yは下記式(1)-0.065X + 1.20 ≦ Y≦-0.065X + 1.70 ・・・(1)を満たす超硬合金。

Description

本発明は、超硬合金及びそれを用いた金型に関する。
金属被加工材の加工、特にモーターコアやリードフレームの製造加工に用いる金型には、耐摩耗性を重視する場合、超硬合金が用いられることが多い。金型材料として、耐摩耗性はもちろんのこと、耐チッピング性も向上させるため抗折力、耐衝撃性も求められる。耐衝撃性すなわち靭性を向上させるためには、結合相の増加にくわえ、WCを粗粒化させるという手段がある。しかし、WCを粗粒化することにより金属成分である結合相の平均厚みが大きくなるため、被加工材との凝着が促進される。これにより凝着摩耗や加工負荷の上昇が起きる。この凝着の対策として、金属成分との耐凝着性に優れる硬質被膜を形成する方法がある。しかし、使用により摩耗が進行した際、再研削による再利用を想定すると、その都度被膜処理が必要となり経済性が見合わなくなる。
現状は、耐摩耗性、耐チッピング性及び耐凝着性のバランスをみて、WCの平均粒径が1.0〜1.5μm、結合相量が12〜15質量%、ビッカース硬さが1300〜1450 HV程度の被膜なしの超硬合金が主として用いられているが、チッピングや凝着摩耗の問題は残っている。さらに、電動車の普及に伴い、モーターコアの性能向上の要求が顕著になり、被加工材のより一層の薄肉化や硬質化が求められている。これにより、モーターコアを製造する際には、より多くの同一形状被加工材の打ち抜き、カシメ加工が行われ、さらに加工時の衝撃も大きくなってきている。したがって、上述のような微粒WC超硬合金では材料自体の靭性が十分でない。以上のような背景から耐摩耗性、耐凝着性を保持しつつ耐チッピング性を改善した超硬合金が不断の要求となっている。
特許文献1は、超硬合金のWC粒子の平均粒径が2.5〜4.5μmであり、かつ1.0μm未満の粒径を有するWC微粒子の含有率が、炭化タングステン全体に対し、5%以下とすることで、耐衝撃性、耐摩耗性に優れることを開示している。しかし、WC微粒子の含有率が5%以下と少量であるため、被加工材が金属の場合は凝着による摩耗、チッピングが問題になると考えられる。
特許文献2は、WC粒子の平均粒径が3.9μmの超硬合金において、金属に対する耐凝着性に優れるTiC、TiCN等の硬質膜を施すことにより、凝着が生じやすい高珪素鋼板の打ち抜き加工においても凝着を抑制し、チッピングを低減させることを開示している。しかし、使用により摩耗が進行した際、研削して硬質膜を再加工するためコスト増加が生じる。
特許文献3は、長径2μm以上のWC概略多角形状粗粒子が占める面積比率を炭化タングステン全体に対して5〜30%とし、長径0.5μm以下のWC微粒子が占める面積比率を炭化タングステン全体に対して5〜20%とすることにより、WC微粒子でWC粗粒子の隙間を埋め、硬さを向上した超硬合金を開示している。しかし、特許文献3の超硬合金では、WC粗粒子及びWC微粒子の全体の粒径比率については言及がなく、また結合相とのバランスについても開示がないため、WC微粒子の粒径が大きい場合は凝着しやすく、粒径が小さい場合はチッピングしやすいなどの不具合があると考えられる。
特許文献4は、WC-Cr-Co-Ni系超硬合金において、WCが粒径2μm未満の微粒子群と2μm以上の粗粒子群とからなり、WC全体量に対する粗粒子群のWC量が面積比率で5〜20%である超硬合金を開示している。しかし、WC全体量に対するWC粗粒子の割合が少ないため、チッピングしやすいと考えられる。
特開平11-124649号公報 特開平11-319981号公報 特開2003-191109号公報 特開2003-155538号公報
従って、本発明の目的は、耐摩耗性及び靭性に優れ、耐チッピング性が良好であるとともに、耐凝着性に優れた超硬合金を提供することにある。
本発明の別の目的は、かかる超硬合金からなる金型を提供することにある。
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、WC微粒子とWC粗粒子の比率及び結合相量を細かに制御することにより、被加工材との凝着を起こす結合相の厚い部分を抑制することができ、耐摩耗性及び破壊靭性に優れ、耐チッピング性が良好であるとともに、耐凝着性に優れ、金型に好適な超硬合金が得られることを発見し、本発明に想到した。
本発明の最も重要な点は、超硬合金の結合相の平均厚みではなく、結合相の厚い部分を制御することにより、被加工材との凝着を抑制していることである。一般的に、超硬合金の凝着は、結合相の平均厚みで議論されてきた。すなわち、超硬合金の破壊靭性を向上させるためにWC粒子の粗粒化や結合相量の増加が行われるが、結合相の平均厚みも大きくなり、凝着の増加は妥協せざるを得ないことになる。それに対し本発明は、結合相が特に厚い部分が被加工材と凝着を起こしやすいことに注目した。
即ち、本発明の一実施態様による超硬合金は、WCを主成分とする硬質相と、Coを主成分とする結合相とを含み、前記硬質相は、粒径が1.6μm以上6.0μm未満のWC粗粒子と、粒径が1.6μm未満のWC微粒子とを有し、前記WC粗粒子が占める面積比率は、WC全体に対して20〜35面積%であり、前記WC微粒子が占める面積比率は、WC全体に対して65〜80面積%であり、前記結合相の含有量Xは超硬合金全体の10〜15質量%であり、前記WC粗粒子の平均粒径は2μm以上4μm未満の範囲に含まれ、前記WC微粒子の平均粒径Yは下記式(1)
-0.065X + 1.20 ≦ Y≦-0.065X +1.70 ・・・(1)
を満たすことを特徴とする。
粒径が6.0μm以上のWC巨大粒子が占める面積比率は、WC全体に対して5面積%未満であるのが好ましい。
前記WC微粒子の平均粒径Yは下記式(2)
-0.065X + 1.34 ≦ Y≦-0.065X + 1.58 ・・・(2)
を満たすのが好ましい。
前記結合相の総量に対して、Crを2.6〜9.5質量%含むのが好ましい。
任意の断面における前記結合相を構成する粒子を同一面積の円に換算したとき、直径2.5μm以上のものが700個/mm2以下であり、直径4μm以上のものが20個/mm2以下であることを特徴とする。
前記結合相を構成する粒子は、直径2.5μm以上のものが350個/mm2以下であり、直径4μm以上のものが10個/mm2以下であるのが好ましい。
本発明の別の実施態様による金型は、上記の超硬合金からなることを特徴とする。
本発明によれば、WC微粒子とWC粗粒子の平均粒径、比率及び結合相量を細かに制御することにより、被加工材との凝着を起こす結合相の厚い部分を抑制することができ、耐摩耗性及び破壊靭性に優れ、耐チッピング性が良好であるとともに、耐凝着性に優れる超硬合金が得られる。本発明の超硬合金は、特に金型に好適に用いられる。
結合相の添加量とWC微粒子の平均粒径との関係を示す図である。 実施例8の超硬合金の研磨断面を示すSEM写真である。 比較例9の超硬合金の研磨断面を示すSEM写真である。
本発明の超硬合金は、WCを主成分とする硬質相とCoを主成分とする結合相とを含む超硬合金において、硬質相は、粒径が1.6μm以上6.0μm未満のWC粗粒子と粒径が1.6μm未満のWC微粒子とを有し、WC粗粒子が占める面積比率はWC全体に対して20〜35面積%であり、WC微粒子が占める面積比率はWC全体に対して65〜80面積%であり、結合相の含有量Xは超硬合金全体の10〜15質量%であり、WC粗粒子の平均粒径は2μm以上4μm未満の範囲に含まれ、WC微粒子の平均粒径Yは下記式(1)
-0.065X + 1.20 ≦ Y≦-0.065X + 1.70 ・・・(1)
を満たすことを特徴とする。
WC粗粒子及びWC微粒子の平均粒径、比率、結合相量との関係を細かに制御することにより、靭性を向上させながらも、結合相の厚い部分の増加を抑制し、耐チッピング性及び耐凝着性を向上させることができる。
WC粗粒子の粒径は1.6μm以上6.0μm未満の範囲内に含まれる。WC粒子の粒径は、超硬合金の任意の断面における硬質相の、同一面積の円に換算した時の直径とする。粒径が6.0μm以上であるWC巨大粒子が含まれると、抗折力が低下し、さらに結合相の厚い部分が増大するため望ましくない。WC巨大粒子はWC全体に対して5面積%未満であるのが好ましく、2面積%以下であるのがより好ましく、1面積%以下であるのがさらに好ましい。WC粗粒子の粒径は1.6μm以上4.5μm未満の範囲内であるのが好ましい。
WC粗粒子の平均粒径は2μm以上4μm未満の範囲に含まれる。WC粒子の平均粒径は、超硬合金の任意の断面におけるすべてのWC粗粒子の面積の和をWC粗粒子の数で除した、WC粗粒子1個当たりの平均の面積を、同一面積の円の直径に換算して求められる。WC粗粒子の平均粒径が2μm未満であると、十分な靭性が得られず、耐チッピング性が低下する。またWC粗粒子の平均粒径が4μm以上であると、抗折力が低下するとともに、結合相の厚い部分の数が増加する。
WC粗粒子が占める面積比率はWC全体に対して20〜35面積%である。WC粗粒子が占める面積比率が20面積%未満であると、破壊靭性向上の効果が十分に得られなくなる。またWC粗粒子が占める面積比率が35面積%超であると、抗折力が低くなりすぎる上に、結合相の厚い部分の数が増加する。
WC微粒子の粒径は1.6μm未満の範囲内に含まれる。WC粗粒子とWC微粒子とを混合することにより、WC粗粒子同士の隙間をWC微粒子が埋めるようにして焼結される。それにより、結合相の厚い部分の生成を抑制できる。
結合相の含有量Xは超硬合金全体の10〜15質量%である。ここで、結合相の含有量Xは、結合相における結合相成分として添加した成分の総和を意味し、それ以外の成分として添加した後に固溶している成分は結合相の含有量Xには含めない。結合相の含有量Xが10質量%未満であると、超硬合金の硬さが高くなりすぎ、靭性が低下する。また結合相の含有量Xが15質量%超であると、結合相の厚い部分の数が増加する。
WC微粒子の平均粒径Yは下記式(1)
-0.065X +1.20 ≦ Y≦-0.065X + 1.70 ・・・(1)
を満たす。結合相の含有量Xが増加するほど、WC微粒子の平均粒径Yを小さくすることにより、結合相の厚い部分の数の増加を抑制することができる。この知見に基づき発明者らは、結合相の含有量Xが超硬合金全体の10〜15質量%の範囲において、結合相の含有量Xの増加に対して、WC微粒子の平均粒径YをY = -0.065Xの割合で小さくすることにより、硬度及び靭性を維持しつつ、結合相の厚い部分の数の増加を抑制できることを発見した。WC微粒子の平均粒径Yが-0.065X +1.20未満であると、結合相の厚さが小さくなりすぎて、靭性が劣る。WC微粒子の平均粒径Yが-0.065X +1.70超であると、合金硬さが低く、材料の疲労特性も低下し、さらに結合相の厚い部分の数が増加する。WC微粒子の平均粒径Yの下限は-0.065X + 1.34であるのが好ましく、WC微粒子の平均粒径Yの上限は-0.065X + 1.58であるのが好ましい。WC微粒子の平均粒径Yは下記式(2)
-0.065X + 1.34 ≦ Y≦-0.065X + 1.58 ・・・(2)
を満たすのが好ましい。
WC微粒子が占める面積比率はWC全体に対して65〜80面積%である。WC微粒子が占める面積比率が65面積%未満であると、抗折力が低くなりすぎる上に、結合相の厚い部分の数が増加する。またWC微粒子が占める面積比率が80面積%超であると、破壊靭性向上の効果が十分に得られなくなる。
結合相の厚さが小さいほうが超硬合金の本質的な強度は高まるが、結合相の厚さが薄すぎると破壊靭性は低下するため、欠陥に敏感になり強度が低下する。また、結合相の厚さが小さいほうが繰り返し応力による結合相の疲労が起きにくく疲労強度は高い。一方、結合相の厚さが大きいと靭性は高まるが変形しやすく、疲労強度も低下傾向にある。これらを考慮して、WC微粒子の粒径を従来よりも微粒とし、平均粒径と面積比率を細かに制御することにより、繰り返し応力が加わる用途に最適な合金が得られる。
任意の断面における結合相を構成する粒子を同一面積の円に換算したとき、直径2.5μm以上のものが700個/mm2以下であり、直径4μm以上のものが20個/mm2以下であるのが好ましい。結合相の直径2.5μm以上のものが700個/mm2又は4μm以上のものが20個mm2を超えると、被加工材との凝着が著しくなり、凝着摩耗や加工時の負荷上昇を起因とするチッピングが増加する。直径2.5μm以上のものが350個/mm2以下であり、直径4μm以上のものが10個/mm2以下であるのが好ましい。
焼結時におけるWCの粒成長の抑制と耐食性の向上のために、結合相の総量に対してCrを2.6〜9.5質量%含むのが好ましい。Crの含有量が2.6質量%未満であると、耐食性が低下するとともに、WCの異常粒成長による抗折力の低下が生じる恐れがある。Crの含有量が9.5質量%超であると、第3相の複合炭化物が析出して抗折力が低下する。また、添加時の形態はCr粉末を超硬合金の原料粉末に直接添加するのでも良いが、Cr3C2粉末として添加しても良く、WC粉末に微量のCrがドープされた粉末を用いても良い。いずれも場合も大部分のCrはCoに固溶し、残部は他の炭化物との固溶体として残留したりする。結合相の総量に対して5質量%以下のVCをさらに添加しても良い。
硬質相には主成分であるWC相に加え、周期律表第4〜6族の金属の炭化物、窒化物及び炭窒化物の少なくとも一種が固溶する相があっても良く、例えば(W,Cr)C,(W,Ti)C,(W,Cr,Ti)C,(W,Ti)CN,(W,Ti,Nb)C等が挙げられる。
結合相は主成分であるCoに加え、Niが30質量%含まれても良く、20質量%であればさらに特性を低下させずに長所を引き出すことができる。またFe,Al,Cu等の結合相として用いうる成分を含んでも良い。これらの成分が上述の結合相成分として添加した成分に該当する。また超硬合金の結合相には硬質相を構成する金属元素が固溶している。
超硬合金のビッカース硬さは1300〜1450 HVであるのが好ましい。ビッカース硬さが1300 HV未満であると硬さが不十分であり、ビッカース硬さが1450 HV超であると、チッピングしやすくなる。超硬合金のビッカース硬さは1300〜1400 HVであるのがより好ましい。
超硬合金の抗折力は3200 MPa以上であるのが好ましい。抗折力はJIS R 1601に基づいて3点曲げ試験により求める。抗折力が3200 MPa未満であると折損及びチッピングが生じやすくなる。超硬合金の抗折力は3500 MPa以上であるのがより好ましい。
超硬合金の靭性を示す破壊靭性値KICは20 MPa・m1/2以上であるのが好ましい。破壊靭性値KICはJIS R 1607に基づいてビッカース圧痕隅に生じる亀裂長から算出する。破壊靭性値KICが20 MPa・m1/2未満であるとチッピングしやすくなる。
超硬合金の製造方法の一例を以下説明する。原料粉末をボールミル等で湿式混合した後、乾燥し、超硬合金の素材となる成形用粉末を調製する。原料粉末の一部にWC微粒子の粉末が含まれることで、混合粉砕時の結合相成分の粉末の粉砕効率を高めて、合金組織中の結合相の厚い部分の数を減少させることができる。WC微粒子粉末と結合相成分の粉末とを予め混合粉砕した後、残りの原料粉末を混同して再度粉砕を行っても良い。また結合相成分の粉末として平均粒径が1μm未満の微粒子の粉末を用いても良いし、酸化物の粉末を用いても良い。
成形用粉末を、金型成形、冷間静水圧成形(CIP)等の方法で成形する。得られた成形体を液相出現温度以上の温度で真空中又は不活性雰囲気中で焼結する。成形体の液相化開始温度は、焼結の昇温過程で液相化が開始する温度であり、示差熱分析装置を用いて測定する。焼結温度の上限は液相出現温度+100℃であるのが好ましい。得られた焼結体に対して、さらにHIP処理を行っても良い。
本発明の超硬合金は、モーターコア材の抜きパンチ、カシメパンチ及びダイ、リードフレーム材の抜きパンチ及びダイ、スリッター、粉末成型金型、絞りパンチ及びダイ、引き抜きダイス、ノズル、回転刃などに用いることができる。本発明の超硬合金は、耐摩耗性及び破壊靭性に優れ、耐チッピング性が良好であるとともに、耐凝着性に優れるので、特に鋼材等の金属材に対して加工時に大きな衝撃を伴うもの、例えば、金属製のモーターコア材やリードフレーム材などの抜きパンチ、カシメパンチ、絞りパンチ及びそれらのダイとして好適に用いることができる。
以下、本発明の超硬合金について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
(実施例)
原料粉末として、粗粒WC粉末、粒径の異なる微粒WC粉末、Co粉末(1.4μm)、Ni粉末(2.4μm)及びCr3C2粉末(2.4μm)を用いた。粗粒WCと微粒WCの平均粒径を表1に示す。平均粒径はFSSS法にて測定した。これらの粉末を用い、表1に示す組成に粉末を配合して湿式混合粉砕し、乾燥して混合粉末を得た。この混合粉末を加圧成形した後、1400℃の真空焼結を行って超硬合金を作製した。
Figure 0006900099
実施例1〜9及び比較例1〜11の超硬合金の研磨断面を示すSEM写真(観察倍率:2000倍)を用いて、WC粗粒子及びWC微粒子の平均粒径、及び全WCに対するWC粗粒子の面積比率を求めた。この時、各WC粒子の粒径は、同一面積の円の直径とした。得られた結果を表2に示す。Coの添加量とWC微粒子の平均粒径との関係を図1に示す。
Figure 0006900099
実施例8及び比較例9の研磨断面を示すSEM写真(観察倍率:2000倍)を図2(a) 及び2(b) に示す。実施例8の試料組織では、明色のWC粒子に囲まれた暗色の結合相粒子がそれぞれ小さく、面積を円換算したときの直径2.5μm以上4.0μm未満の結合相の厚い部分は1個のみ観察された。一方、比較例9の試料組織では結合相の厚い部分がいくつか観察され、直径2.5μm以上4.0μm未満の結合相の厚い部分は4個、4.0μm以上のそれは1個が確認された。
実施例1〜9及び比較例1〜11の超硬合金のビッカース硬さ、抗折力、破壊靭性値KIC、粒径2.5μm以上の結合相の数及び粒径4.0μm以上の結合相の数を求めた。ビッカース硬さはビッカース硬度計HV30を用いて計測し、抗折力はJISR 1601に基づいて3点曲げ試験により測定し、破壊靭性値KICはJIS R 1607に基づいてビッカース圧痕隅に生じる亀裂長から算出し、結合相の数は超硬合金の研磨断面を示すSEM写真(観察倍率:600倍)から、画像解析により同一面積の円の直径に換算して算出した。得られた結果を表3に示す。
Figure 0006900099
実施例1〜9及び比較例1〜11の超硬合金に対して、打ち抜き試験を行った。打ち抜き試験は、鋼板の打ち抜き試験(丸パンチ先端直径3.0 mm、被加工材SPCC薄板0.5 mm厚、クリアランス0.03 mm、打ち抜き速度300 shot/min、120万ショット)により行い、摩耗量とチッピングの有無、および被加工材の凝着量を調べた。比較例7は既存の金型材料に近い材料であるが、摩耗量、チッピング、被加工材の凝着量がそれぞれ比較例7と比べて改善されていれば〇、特に優れていれば◎、同等であれば△、劣っていれば×とした。以上の打ち抜き試験結果を総合的に評価して工具として優れていれば〇、特に優れていれば◎、十分でなければ×とした。得られた結果を表4に示す。
Figure 0006900099
表3及び4に示すように、実施例1、4及び8の超硬合金は、硬度、抗折力及び結合相の厚い部分の数いずれも良好で、さらに破壊靭性に優れており、打ち抜き試験のチッピングが改善された。実施例2、5及び9の超硬合金は、結合相の厚い部分の数がやや多いが、実際の打ち抜き試験における悪影響を及ぼすほどではなく、破壊靭性も高いため、打ち抜き試験では良好な結果が得られた。実施例3及び7の超硬合金は、破壊靭性は比較例7と同等であったが、結合相の厚い部分の数が非常に少なく、打ち抜き試験ではチッピングは比較例7と同等のうえで、摩耗量及び凝着量は非常に優れていた。実施例6の超硬合金は、実施例5の配合組成のCoの一部をNiにしたものであり、実施例5と比べると、抗折力及び破壊靭性がわずかに低下したものの、打ち抜き試験へ悪影響を及ぼすほどではなく、腐食しやすい環境で使用した場合、優れた性能を示すことが予想された。
比較例1及び2の超硬合金は、全WCに対するWC粗粒子の面積比率が73及び83面積%と高く、Coの添加量が6質量%と非常に少なかったので、抗折力及び破壊靭性が劣っており、チッピングが増加した。比較例3及び4の超硬合金は、全WCに対するWC粗粒子の面積比率が71及び86面積%と高く、さらに結合相の厚い部分の数が非常に多くなり、凝着摩耗や加工時の負荷上昇を起因とするチッピングが増加した。比較例5及び8の超硬合金は、Coの添加量に対してWC微粒子の平均粒径が小さいため、硬度が高くまた靭性が不足し、チッピングが増加した。一方、比較例6及び9の超硬合金は、Coの添加量に対してWC微粒子の平均粒径が大きいため、靭性は高いが、結合相の厚い部分が多く、凝着や摩耗が生じた。比較例7の超硬合金は、WC粗粒子の平均粒径が小さく、かつ全WCに対するWC粗粒子の面積比率が低いため、破壊靭性が劣っており、耐チッピング性が不十分である。比較例10及び11の超硬合金は、Coの添加量が16質量%と多かったので、硬さに劣り、結合相の厚い部分の数が増大し、凝着や摩耗が生じた。
実施例1〜9及び比較例1〜11のいずれも抗折試験後の破面に、破壊の起点として7〜23μmのWC巨大粒子が発見されたが、研磨断面の組織観察では実施例1ではその面積比率がWC全体に対して1%程度観察された以外は実施例2〜9ではほとんど観察されなかった。また比較例では比較例4で6%程度のWC巨大粒子が観察されたが比較例1〜3,5〜11の超硬合金ではWC巨大粒子はいずれも1面積%未満であった。比較例4の超硬合金はWC巨大粒子が6%程度と多かったため、結合相の厚い部分の数が非常に多く、硬度及び抗折力が特に劣っていた。
以上の通り、結合相の含有量Xが超硬合金全体の10〜15質量%であり、WC粗粒子が占める面積比率がWC全体に対して20〜35面積%であり、WC粗粒子の平均粒径が2μm以上4μm未満の範囲に含まれ、WC微粒子の平均粒径Yは下記式(1)
-0.065X + 1.20 ≦ Y≦-0.065X + 1.70 ・・・(1)
を満たすと、被加工材との凝着を起こす結合相の厚い部分を抑制することができ、耐摩耗性及び破壊靭性に優れ、耐チッピング性が良好であるとともに、耐凝着性に優れ、金型に好適な超硬合金が得られることが分かった。

Claims (7)

  1. WCを主成分とする硬質相と、Coを主成分とする結合相とを含む超硬合金において、
    前記硬質相は、粒径が1.6μm以上6.0μm未満のWC粗粒子と、粒径が1.6μm未満のWC微粒子とを有し、
    前記WC粗粒子が占める面積比率は、WC全体に対して20〜35面積%であり、前記WC微粒子が占める面積比率は、WC全体に対して65〜80面積%であり、
    前記結合相の含有量Xは超硬合金全体の10〜15質量%であり、
    前記WC粗粒子の平均粒径は2μm以上4μm未満の範囲に含まれ、前記WC微粒子の平均粒径Yは下記式(1)
    -0.065X + 1.20 ≦ Y≦-0.065X + 1.70 ・・・(1)
    を満たすことを特徴とする超硬合金。
  2. 粒径が6.0μm以上のWC巨大粒子が占める面積比率は、WC全体に対して5面積%未満であることを特徴とする請求項1に記載の超硬合金。
  3. 前記WC微粒子の平均粒径Yは下記式(2)
    -0.065X + 1.34 ≦ Y≦-0.065X + 1.58 ・・・(2)
    を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の超硬合金。
  4. Crを前記結合相の総量に対して2.6〜9.5質量%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超硬合金。
  5. 前記結合相に占める割合30質量%未満のNiを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の超硬合金。
  6. 任意の断面における前記結合相を構成する粒子を同一面積の円に換算したとき、直径2.5μm以上のものが700個/mm2以下であり、直径4μm以上のものが20個/mm2以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の超硬合金。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の超硬合金からなることを特徴とする金型。
JP2021518023A 2021-03-31 2021-03-31 超硬合金及び金型 Active JP6900099B1 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2021/013918 WO2022208766A1 (ja) 2021-03-31 2021-03-31 超硬合金及び金型

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6900099B1 true JP6900099B1 (ja) 2021-07-07
JPWO2022208766A1 JPWO2022208766A1 (ja) 2022-10-06

Family

ID=76649970

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021518023A Active JP6900099B1 (ja) 2021-03-31 2021-03-31 超硬合金及び金型

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6900099B1 (ja)
WO (1) WO2022208766A1 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07252579A (ja) * 1994-03-11 1995-10-03 Sumitomo Electric Ind Ltd 切削工具用の被覆超硬合金
JP2004330314A (ja) * 2003-04-30 2004-11-25 Sumitomo Electric Ind Ltd 被覆超硬合金工具
WO2018180911A1 (ja) * 2017-03-30 2018-10-04 京セラ株式会社 切削インサート及び切削工具

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07252579A (ja) * 1994-03-11 1995-10-03 Sumitomo Electric Ind Ltd 切削工具用の被覆超硬合金
JP2004330314A (ja) * 2003-04-30 2004-11-25 Sumitomo Electric Ind Ltd 被覆超硬合金工具
WO2018180911A1 (ja) * 2017-03-30 2018-10-04 京セラ株式会社 切削インサート及び切削工具

Also Published As

Publication number Publication date
WO2022208766A1 (ja) 2022-10-06
JPWO2022208766A1 (ja) 2022-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5427380B2 (ja) 超硬複合材料およびその製造方法
JP6330387B2 (ja) 焼結体およびその製造方法
KR102441723B1 (ko) 서멧, 절삭 공구, 및 서멧의 제조 방법
JP5152770B1 (ja) 強靭超硬合金の製造方法
Dias et al. Effect of high energy milling time of the aluminum bronze alloy obtained by powder metallurgy with niobium carbide addition
JP2004076049A (ja) 超微粒超硬合金
JP6259978B2 (ja) Ni基金属間化合物焼結体およびその製造方法
JP6900099B1 (ja) 超硬合金及び金型
JP5856752B2 (ja) 炭化タングステン基焼結体およびそれを用いた耐摩耗部材
JP6459058B2 (ja) Mo合金ターゲット
CN110392743B (zh) 硬质烧结体
JP2007191741A (ja) Wc基超硬合金及びその製造方法
JP6922110B1 (ja) 粉砕・撹拌・混合・混練機部材
JP6695566B2 (ja) 非金属系材料を加工するための工具に用いる超硬合金
JP4776395B2 (ja) 切削工具
JPH10324943A (ja) 微粒超硬合金及びその製造方法
JP2021134364A (ja) 耐塑性変形性、耐欠損性にすぐれたwc基超硬合金製切削工具および表面被覆wc基超硬合金製切削工具
JP2017148895A (ja) 耐折損性にすぐれたwc基超硬合金製ドリル
JP6819018B2 (ja) TiCN基サーメット製切削工具
JPH05230589A (ja) Wc基超硬合金
JP5826138B2 (ja) 強靱超硬合金及び被覆超硬合金
WO2023248318A1 (ja) 耐摩耗部材
WO2024096134A1 (ja) 軽量硬質合金及び軽量硬質合金部材
JP6819017B2 (ja) TiCN基サーメット製切削工具
JP2002361503A (ja) 切削工具

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210331

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20210331

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20210428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210525

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210609

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6900099

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250