JP6899870B2 - 光ファイバ用母材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光ファイバ用母材の製造方法、及び光ファイバ用母材の製造装置に関する。
光ファイバの製造に用いる光ファイバ用母材を製造する方法として、OVD法(Outside Vapor Deposition method)やVAD法(Vapor Phase Axial Deposition method)等を用いてガラス微粒子を堆積させて多孔質ガラス体を形成し、当該多孔質ガラス体を焼結させる方法が知られている。
例えば、下記特許文献1には、可燃性ガスと原料ガスとを含むガスをバーナーから噴出させて生成されるガラス微粒子を出発母材の外面に堆積させて多孔質ガラス体を形成した後、バーナーに供給する可燃性ガスの流量を徐々に減らす多孔質ガラス体の製造方法が記載されている。このような方法によれば、形成した多孔質ガラス体を自然空冷時と比べて徐冷することができ、多孔質ガラス体に割れが生じ難くなるとされている。
特許第5163416号公報
ところで、このようにガラス微粒子を堆積させて多孔質ガラス体を形成する装置には、バーナーに供給する可燃性ガスの流量の調節が困難な装置もある。このため、他の方法によって形成した多孔質ガラス体を徐冷して当該多孔質ガラス体に割れが生じることを抑制し、光ファイバ用母材の生産性の低下を抑制することが求められている。
そこで、本発明は、新たな方法によって多孔質ガラス体を徐冷でき、光ファイバ用母材の生産性の低下を抑制し得る光ファイバ用母材の製造方法、及び光ファイバ用母材の製造装置を提供することを目的とする。
上記目的の達成のため、本発明の光ファイバ用母材の製造方法は、可燃性ガスと原料ガスとを含むガスをバーナーの噴出口から噴出してガラス微粒子を堆積させて多孔質ガラス体を形成する堆積工程と、前記堆積工程後に前記ガスを前記噴出口から噴出しながら前記噴出口と前記多孔質ガラス体との距離を長くする離隔工程を含む徐冷工程と、を備えることを特徴とする。
また、上記目的の達成のため、本発明の光ファイバ用母材の製造装置は、可燃性ガスと原料ガスとを含むガスを噴出口から噴出してガラス微粒子を堆積させて多孔質ガラス体を形成するバーナーと、前記ガスを前記バーナーに供給するガス供給源と、前記多孔質ガラス体を支持する旋盤と、前記バーナーを支持するバーナー支持部と、制御部と、を備え、前記旋盤と前記バーナー支持部とは相対的に移動可能とされ、前記制御部は、前記多孔質ガラス体が形成された後、前記ガス供給源に前記バーナーへの前記ガスの供給を維持させつつ、前記旋盤と前記バーナー支持部とを相対的に移動させて前記噴出口と前記多孔質ガラス体との距離を長くすることを特徴とする。
この光ファイバ用母材の製造方法、及び光ファイバ用母材の製造装置では、多孔質ガラス体を形成した後、可燃性ガスと原料ガスとを含むガスを噴出口から噴出しながら噴出口と多孔質ガラス体との距離を長くする。このため、多孔質ガラス体を形成するときと比べて、バーナーによって形成される火炎から多孔質ガラス体に伝達する単位時間当たりの熱量を低減することができる。つまり、この光ファイバ用母材の製造方法、及び光ファイバ用母材の製造装置では、バーナーに供給する可燃性ガスの流量を調節しなくても、多孔質ガラス体を徐冷することができ、多孔質ガラス体に割れが生じることを抑制し得る。従って、この光ファイバ用母材の製造方法、及び光ファイバ用母材の製造装置によれば、多孔質ガラス体の割れが生じることによる光ファイバ用母材の生産性の低下を抑制し得る。
前記離隔工程において、前記バーナーの前記ガスの噴出方向を維持することとしてもよい。或いは、前記離隔工程において、前記バーナーの前記ガスの噴出方向を変化することとしてもよい。
前記徐冷工程は、前記バーナーに供給する前記可燃性ガスの流量を減少させるガス流量調節工程を更に含むこととしてもよい。
このようなガス流量調節工程により、バーナーによって形成される火炎の長さが短くなる。このため、徐冷工程がガス流量調節工程を含まない場合と比べて、バーナーによって形成される火炎から多孔質ガラス体に伝達する単位時間当たりの熱量を低減することができる。従って、徐冷工程後におけるバーナーの噴出口と多孔質ガラス体との距離を短くし得、上記の方法を用いる装置の大型化を抑制し得る。
徐冷工程がガス流量調節工程を含む場合、前記バーナーの前記噴出口から噴出する前記ガスは、助燃性ガスを更に含み、前記ガス流量調節工程において、前記バーナーに供給する前記可燃性ガスの流量または前記可燃性ガス及び前記助燃性ガスの流量を減少することとしてもよい。
徐冷工程がガス流量調節工程を含む場合、前記離隔工程の後に前記ガス流量調節工程を行うこととしてもよく、前記離隔工程の前に前記ガス流量調節工程を行うこととしてもよく、前記離隔工程中に前記ガス流量調節工程を行うこととしてもよい。
離隔工程の後にガス流量調節工程を行う場合、離隔工程の前にガス流量調節工程を行う場合と比べて、徐冷工程における火炎の長さが短くされた状態の時間を短くし得る。このため、ガス流量調節工程の開始前と開始後における堆積されるガラス微粒子の直径や当該ガラス微粒子の嵩密度に変化が起きたとしても、離隔工程の前にガス流量調節工程を行う場合と比べて、これらの変化による影響を小さくし得る。このため、例えば、得られた多孔質ガラス体を焼結してガラス体を得る際に当該ガラス体に気泡が生じることをより抑制し得る。また、離隔工程中にガス流量調節工程を行う場合、徐冷工程にかかる時間を短縮し得、光ファイバ用母材の生産性の低下を抑制し得る。
上記の光ファイバ用母材の製造方法は、前記徐冷工程の後に前記原料ガス、前記可燃性ガスの順で前記バーナーへの供給を停止するガス供給停止工程を更に備えることとしてもよい。
ここで、原料ガスは腐食性や可燃性を有する場合がある。このため、一般的に、バーナーと出発母材とが反応室内に収容された状態でガラス微粒子を堆積させて多孔質ガラス体を形成する。そして、この方法では、原料ガスの供給を停止した後に可燃性ガスの供給を停止する。このため、未反応の原料ガスが反応室内に残ることを抑制し得、反応室内のガスの処理を容易にし得る。ここで、多孔質ガラス体の体積は当該多孔質ガラス体が冷却すると減少する。そして、多孔質ガラス体における外方側のガラス微粒子の嵩密度が内方側の嵩密度よりも高い場合、冷却時の多孔質ガラス体における外側の体積の減少量が内側の体積の減少量よりも多くなり、多孔質ガラス体に割れが生じ易くなる傾向にある。この方法では、上記のように、ガス供給停止工程の前に、バーナーの噴出口と多孔質ガラス体との距離を長くする。このため、原料ガスを含まないガスによる火炎によって多孔質ガラス体の表面が加熱されることを抑制し得、多孔質ガラス体における外方側のガラス微粒子が溶融することを抑制し得る。従って、この方法では、多孔質ガラス体における外方側のガラス微粒子の嵩密度が内方側の嵩密度よりも高くなることを抑制し得、多孔質ガラス体に割れが生じることをより抑制し得る。
光ファイバ用母材の製造方法がガス供給停止工程を更に備える場合、前記バーナーの前記噴出口から噴出する前記ガスは、助燃性ガスを更に含み、前記ガス供給停止工程において、前記原料ガス、前記助燃性ガス、前記可燃性ガスの順で前記バーナーへの供給を停止することとしてもよい。
この方法では、助燃性ガス及び可燃性ガスよりも前に原料ガスの供給が停止する。このため、原料ガスが不完全燃焼して黒いガラス微粒子が生成されることを抑制でき、光ファイバ用母材の品質が低下することを抑制し得る。また、助燃性ガスの供給を停止した後に可燃性ガスの供給を停止する。このため、可燃性ガスの供給を停止した後に助燃性ガスの供給を停止する場合と比べて、反応室内に残留する未燃焼の助燃性ガスの量を低減することができる。
以上のように、本発明によれば、新たな方法によって多孔質ガラス体を徐冷でき、光ファイバ用母材の生産性の低下を抑制し得る光ファイバ用母材の製造方法が提供される。
本発明の第1実施形態に係る光ファイバの長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。 図1に示す光ファイバを製造するための光ファイバ用母材の長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。 図2に示す光ファイバ用母材の製造に用いる堆積装置を概略的に示す図である。 図1に示す光ファイバの製造方法の工程を示すフローチャートである。 線引工程の様子を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る堆積装置を概略的に示す図である。 バーナー支持部が所定の角度だけ揺動した堆積装置の状態を概略的に示す図である。
以下、本発明に係る光ファイバ用母材の製造方法、及び光ファイバ用母材の製造装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示す場合がある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る光ファイバの長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。図1に示すように、本実施形態の光ファイバ1は、コア10と、コア10の外周面を囲むクラッド11と、クラッド11の外周面を被覆する被覆層12とを主な構成として備える。光ファイバ1の長手方向と垂直な断面におけるコア10の外形は円形とされ、当該コア10はクラッド11の中心に配置されている。なお、光ファイバ1の長手方向と垂直な断面におけるクラッド11の外形は楕円形や多角形等の非円形とされもよい。図1では、クラッド11の外形が円形とされる光ファイバ1が示されている。
コア10の屈折率はクラッド11の屈折率よりも高くされる。本実施形態では、コア10はゲルマニウム(Ge)等の屈折率が高くなるドーパントが添加されたシリカガラスからなり、クラッド11は何ら添加物の無いシリカガラスからなる。なお、コア10は屈折率が高くなるドーパントが添加されたシリカガラスからなり、クラッド11はフッ素(F)等の屈折率が低くなるドーパントが添加されたシリカガラスからなっていてもよい。また、コア10は何ら添加物の無いシリカガラスからなり、クラッド11は屈折率が低くなるドーパントが添加されたシリカガラスからなっていてもよい。
被覆層12は、樹脂からなる。被覆層12を構成する樹脂として、例えば熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂が挙げられる。被覆層12は、クラッド11を囲う1つの樹脂の層からなる単層構造とされてもよく、複数の樹脂の層からなる多層構造とされてもよい。
図2は、図1に示す光ファイバ1を製造するための光ファイバ用母材の長手方向に垂直な断面の様子を示す図である。図2に示すように、光ファイバ用母材1Pは、円柱状の形状に形成され、コア10となるロッド状のコアガラス体10Pと、コアガラス体10Pの外周面を囲みクラッド11となるクラッドガラス体11Pとから構成される。光ファイバ用母材1Pの長手方向と垂直な断面において、クラッドガラス体11Pの外形は円形であり、コアガラス体10Pはクラッドガラス体11Pの中心に配置されている。また、光ファイバ用母材1Pの長手方向と垂直な断面において、コアガラス体10Pの外形は円形である。
次に、本実施形態に係る光ファイバ用母材1Pの製造に用いる堆積装置、光ファイバ用母材1Pの製造方法、及びこれを用いた光ファイバ1の製造方法について説明する。
図3は、図2に示す光ファイバ用母材1Pの製造に用いる堆積装置を概略的に示す図である。図3に示すように、本実施形態の堆積装置30は、OVD法により出発母材20にガラス微粒子22を堆積させるように構成され、ケース31と、旋盤32と、複数のバーナー33と、バーナー支持部34と、ガス供給源35と、制御部COと、を主な構成として備える。光ファイバ用母材1Pの製造装置は、この堆積装置30を含む。
本実施形態の出発母材20は、図1の光ファイバ1の一部となる部材とされる。具体的には、出発母材20は、コア10となるコアガラス体10Pからなる円柱状のコアロッドとされる。なお、出発母材20は、コアガラス体10Pからなるコアロッドの外周面がクラッドガラス体11Pと同じガラス体から成る被覆層で被覆された円柱状のガラスロッドとされてもよい。
制御部COは、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路やNC(Numerical Control)装置を用いることができる。また、制御部COは、NC装置を用いた場合、機械学習器を用いたものであってもよく、機械学習器を用いないものであってもよい。以下に説明するように、堆積装置30の幾つかの構成が制御部COによって制御される。
ケース31は、2つの開口31Hが形成された箱状に形成され、ケース31の内部空間が反応室31Rとされる。このため、一方の開口31Hから反応室31R内の気体を排気し、他方の開口31Hから反応室31R内に気体を供給できる。この反応室31R内に、旋盤32と、複数のバーナー33と、バーナー支持部34とが収容される。なお、ケース31の構成は特に限定されるものではなく、例えば、ケース31に3つ以上の開口が形成されていてもよい。
旋盤32は、出発母材20の両端部を把持して出発母材20を当該出発母材20の軸中心に回転させるように構成される。旋盤32は、制御部COからの制御信号により、出発母材20の回転速度を調節する。
複数のバーナー33のそれぞれは、ガスの流路となるガス管を複数有する多重管バーナーである。それぞれのバーナー33には、ガス供給源35からガスが供給され、それぞれのバーナー33は、当該ガスを噴出口33Hから噴出する。具体的には、それぞれのバーナー33には、ガス供給源35から原料ガス、可燃性ガス、及び助燃性ガスが供給され、これらガスを噴出口33Hから噴出する。
原料ガスは、ガラス微粒子22の原料を含むガスであり、原料は気体状態であってもよく、液体状態であってもよい。この原料として、例えば、アルキルシロキサン、アルキルシクロシロキサン等のシリコンや、四塩化ケイ素(SiCl)等が挙げられる。例えば、原料としてアルキルシロキサンを用いる場合、原料ガスはアルキルシロキサンと酸素とを含むガスとしてもよく、アルキルシロキサンと酸素とアルゴン等の不活性ガスとを含むガスとされてもよい。また、原料として四塩化ケイ素を用いる場合、原料ガスは四塩化ケイ素と酸素とを含むガスとされてもよく、四塩化ケイ素とアルゴン等の不活性ガスとを含むガスとされてもよく、四塩化ケイ素と酸素とアルゴン等の不活性ガスとを含むガスとされてもよい。また、可燃性ガスとして、例えば、酸水素ガス、水素、メタン等が挙げられ、助燃性ガスとして、例えば、酸素が挙げられる。
それぞれのバーナー33では、可燃性ガス及び助燃性ガスの燃焼によって火炎を形成するとともに、当該火炎内に原料が放出され、原料が加水分解反応または燃焼反応してシリカガラス(SiO)となり、ガラス微粒子22が生成される。複数のバーナー33は、出発母材20の長手方向と概ね平行な方向に所定の間隔をあけて並列される。そして、これらバーナー33は、噴出口33Hから出発母材20に向かってガスを噴出するようにバーナー支持部34に支持される。それぞれのバーナー33の噴出口33Hと出発母材20との距離は概ね同じとされる。また、それぞれのバーナー33の噴出口33Hは、当該バーナー33のガスの噴出方向に沿って見る場合に、出発母材20と重なっている。このため、それぞれのバーナー33によって生成されるガラス微粒子22は出発母材20に吹き付けられる。なお、バーナー33の数は特に限定されるものではなく、バーナー33は1つとされてもよい。
バーナー支持部34は、出発母材20の長手方向と概ね平行な方向に延在し、上記のように複数のバーナー33を支持する。また、バーナー支持部34は、出発母材20の長手方向に沿って往復移動可能であるとともに、バーナー33のガスの噴出方向と概ね平行で旋盤32に把持される出発母材20から離隔する方向に移動可能に構成される。このため、バーナー支持部34は旋盤32に対して相対的に移動可能である。そして、このバーナー支持部34に支持される複数のバーナー33は、出発母材20の長手方向に沿って往復移動可能であるとともに、ガスの噴出方向と概ね平行で出発母材20から離隔する方向に移動可能である。従って、複数のバーナー33は、ガスの噴出方向を維持しつつ出発母材20から離隔する方向に移動可能であると理解できる。バーナー支持部34は、制御部COからの制御信号により、出発母材20の長手方向に沿って往復移動したり、バーナー33のガスの噴出方向と概ね平行で出発母材20から離隔する方向に移動したりする。なお、バーナー支持部34は、上記の構成に限定されるものではく、複数のバーナー33を個別に移動可能な構成とされてもよい。
ガス供給源35は、それぞれのバーナー33に、原料ガス、可燃性ガス、及び助燃性ガスを供給するように構成される。本実施形態では、ガス供給源35は、それぞれのバーナー33に接続される配管35aを介してそれぞれのバーナー33に原料ガスを供給する。また、ガス供給源35は、それぞれのバーナー33に接続される配管35bを介してそれぞれのバーナー33に可燃性ガスを供給し、それぞれのバーナー33に接続される配管35cを介してそれぞれのバーナー33に助燃性ガスを供給する。ガス供給源35は、制御部COからの制御信号により、それぞれのバーナー33に供給するこれらガスのそれぞれの供給量を調節する。なお、ガス供給源35は、それぞれのバーナー33に助燃性ガスを供給しなくてもよい。この場合、それぞれのバーナー33は、噴出口33Hから原料ガス及び可燃性ガスを噴出し、可燃性ガスの燃焼によって火炎を形成する。
図4は、本実施形態に係る光ファイバ用母材1Pの製造方法、及び光ファイバ1の製造方法の工程を示すフローチャートである。図4に示すように、本実施形態の光ファイバ用母材1Pの製造方法は、堆積工程P1と、徐冷工程P2と、ガス供給停止工程P3と、焼結工程P4とを備える。また、光ファイバ1の製造方法は、これら工程により製造された光ファイバ用母材1Pを線引きする線引工程P5を備える。
<堆積工程P1>
本工程は、図3に示す堆積装置30を用いて出発母材20の外面にガラス微粒子を堆積させて多孔質ガラス体21を形成する工程である。本工程では、まず、上記の出発母材20を準備して旋盤32に当該出発母材20を把持させる。旋盤32は、制御部COからの制御信号により、把持する出発母材20を当該出発母材20の軸中心に所定の速度で回転させる。バーナー支持部34は、制御部COからの制御信号により、出発母材20の長手方向に沿って繰り返し往復移動し、支持する複数のバーナー33を出発母材20の長手方向に沿って繰り返し往復移動させる。また、ガス供給源35は、制御部COからの制御信号により、それぞれのバーナー33に、原料ガス、可燃性ガス、及び助燃性ガスをそれぞれ所定の流量で供給する。つまり、制御部COは、旋盤32、バーナー支持部34、ガス供給源35を制御して、複数のバーナー33を出発母材20の長手方向に沿って繰り返し往復移動させながら、旋盤32によって軸中心に回転する出発母材20の外周面にバーナー33によってガラス微粒子22を吹き付ける。そして、出発母材20の外周面を被覆するようにガラス微粒子22を堆積させる。このガラス微粒子22の堆積により、クラッド11となる多孔質ガラス体21が形成され、当該多孔質ガラス体21は出発母材20の外周面を被覆している。出発母材20は旋盤32に把持されているため、旋盤32は、出発母材20を介して多孔質ガラス体21を支持していると理解できる。
このようにガラス微粒子22を堆積させるとき、制御部COは、バーナー支持部34を制御して、それぞれのバーナー33を当該バーナー33のガスの噴出方向と概ね平行で出発母材20から離隔する方向に徐々に移動させる。そして、バーナー支持部34は、それぞれのバーナー33の噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を概ね一定に維持する。ガラス微粒子22の大きさは、バーナー33の噴出口33Hからの距離によって変化する傾向にある。このため、上記のようにそれぞれのバーナー33を移動させることで、大きさが概ね同じガラス微粒子22が堆積され、多孔質ガラス体21の嵩密度を概ね一定にできる。なお、本実施形態では、それぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21にあたっている。また、複数のバーナー33の往復移動における移動幅は、隣接するバーナー33間の距離と概ね同じとされる。なお、多孔質ガラス体21の表面に凹凸が生じることを抑制する観点では、制御部COは、バーナー33の往復移動における折り返し位置が所定の周期で変化するように、バーナー支持部34を制御して、バーナー33を往復移動させることが好ましい。
なお、光ファイバ1のクラッド11がドーパントが添加されたシリカガラスからなる場合、例えば、ガス供給源35は、当該ドーパントが添加された原料ガスをそれぞれのバーナー33に供給して、火炎内に原料とともにドーパントを放出する。
こうして、制御部COは、旋盤32、バーナー支持部34、及びガス供給源35を制御して、必要な回数だけ複数のバーナー33を往復移動させて、所定の重量の多孔質ガラス体21を形成する。
<徐冷工程P2>
本工程は、堆積工程P1によって形成される多孔質ガラス体21を徐冷する工程であり、図4に示すように、離隔工程P2aとガス流量調節工程P2bとを含む。
<離隔工程P2a>
本工程は、堆積工程P1後にバーナー33の噴出口33Hから原料ガス、可燃性ガス、及び助燃性ガスを噴出しながら噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を長くする工程である。具体的には、制御部COは、ガス供給源35にそれぞれのバーナー33への各ガスの供給を堆積工程P1における状態に維持させる。そして、制御部COは、バーナー支持部34を移動させ、それぞれのバーナー33を当該バーナー33のガスの噴出方向と概ね平行で旋盤32に把持される出発母材20から離隔する方向に移動させる。つまり、それぞれのバーナー33を当該バーナー33のガスの噴出方向を維持しつつ出発母材20から離隔する方向に移動する。このとき、制御部COは、堆積工程P1における速度よりも速い速度でバーナー支持部34を移動させ、それぞれのバーナー33を出発母材20から離隔する方向に所定の距離だけ移動させる。このため、それぞれのバーナー33が所定の距離だけ移動した際の噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離は、堆積工程P1終了時における当該距離よりも長くなる。このように、制御部COは、ガス供給源35にそれぞれのバーナー33への各ガスの供給を維持させつつ、バーナー支持部34を旋盤32に対して相対的に移動させて噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を長くする。従って、堆積工程P1のときと比べて、それぞれのバーナー33によって形成される火炎から多孔質ガラス体21に伝達する単位時間当たりの熱量を低減することができ、多孔質ガラス体21を徐冷することができる。なお、本工程において、制御部COは、旋盤32を制御して出発母材20の回転も堆積工程P1における状態に維持する。また、制御部COは、バーナー支持部34に複数のバーナー33の往復移動も堆積工程P1における状態に維持させる。このように、本工程は、堆積工程P1に連続して行われ、堆積工程P1における速度よりも速い速度で、それぞれのバーナー33を当該バーナー33のガスの噴出方向と概ね平行で出発母材20から離隔する方向に所定の距離だけ移動する。そして、それぞれのバーナー33のガスの出射方向を維持しつつこれらバーナー33を移動してそれぞれのバーナー33の噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を長くしていると理解できる。
なお、それぞれのバーナー33を出発母材20から離隔する方向に所定の距離だけ移動した際のそれぞれのバーナー33の噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離は、多孔質ガラス体21が徐冷される距離であればよい。例えば、それぞれのバーナー33を出発母材20から離隔する方向に所定の距離だけ移動した際に、それぞれのバーナー33によって形成される火炎は、多孔質ガラス体21に当たっていてもよく、多孔質ガラス体21に当たっていなくてもよい。
<ガス流量調節工程P2b>
本工程は、それぞれのバーナー33に供給する可燃性ガスの流量を減少する工程である。離隔工程P2a後に、制御部COは、ガス供給源35にそれぞれのバーナー33に供給する可燃性ガスの流量を堆積工程P1における流量よりも減少させる。このため、堆積工程P1及び離隔工程P2aのときと比べて、それぞれのバーナー33によって形成される火炎が短くなる。従って、可燃性ガスの流量を減少しない場合と比べて、それぞれのバーナー33によって形成される火炎から多孔質ガラス体21に伝達する単位時間当たりの熱量を低減することができる。
なお、本実施形態では、制御部COは、それぞれのバーナー33に供給する可燃性ガスの流量と助燃性ガスの流量との比率が堆積工程P1及び離隔工程P2aのときの比率となるように、ガス供給源35に助燃性ガスの流量を堆積工程P1及び離隔工程P2aにおける流量よりも減少させる。しかし、制御部COは、ガス供給源35にそれぞれのバーナー33に供給する助燃性ガスの流量を減少させなくてもよい。また、上記のように、ガス供給源35がそれぞれのバーナー33に助燃性ガスを供給しない場合、制御部COは、ガス供給源35にそれぞれのバーナー33に供給する可燃性ガスの流量を減少させる。つまり、制御部COは、ガスの流量が上記となるようにガス供給源35を制御する。
<ガス供給停止工程P3>
次に、ガス供給源35からそれぞれのバーナー33への各ガスの供給を停止する。本実施形態では、制御部COは、ガス供給源35に原料ガス、助燃性ガス、可燃性ガスの順で、これらガスのそれぞれのバーナー33への供給を停止させる。なお、上記のように、ガス供給源35がそれぞれのバーナー33に助燃性ガスを供給しない場合、制御部COは、ガス供給源35に原料ガス、可燃性ガスの順で、それぞれのバーナー33へのこれらガスの供給を停止させる。つまり、本実施形態では、それぞれのバーナー33への原料ガスの供給を停止した後にそれぞれのバーナー33への可燃性ガスの供給を停止する。そして、制御部COは、旋盤32に出発母材20の回転を停止させ、バーナー支持部34に複数のバーナー33の往復移動を停止させる。
<焼結工程P4>
まず、必要に応じて多孔質ガラス体21が形成された出発母材20に脱水を行う。当該脱水は、ヒータが設けられ、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)等のガスが充填された炉内で所定時間エージングされることにより行われる。
次に焼結工程P4を行う。焼結工程P4は、炉内を減圧し、炉内の温度を更に上げて多孔質ガラス体21が透明なガラス体となるまで行う。このとき用いる炉は上記の脱水に用いる炉であってもよく、上記脱水に用いる炉と異なる炉であってもよい。
本工程においては、出発母材20は殆ど変化することなく図2に示す光ファイバ用母材1Pのコアガラス体10Pとなる。また、多孔質ガラス体21が光ファイバ用母材1Pのクラッドガラス体11Pとなる。こうして、図2に示す光ファイバ用母材1Pを得る。なお、本実施形態では、光ファイバ用母材1Pの製造装置は、上記のように堆積装置30を含むとともに、多孔質ガラス体21を焼結させる炉を含む。
<線引工程P5>
図5は、本工程の様子を示す図である。
まず、本工程を行う準備段階として、堆積工程P1から焼結工程P4により製造された光ファイバ用母材1Pを紡糸炉110に設置する。そして、紡糸炉110の加熱部111を発熱させて、光ファイバ用母材1Pを加熱する。このとき光ファイバ用母材1Pの下端部は、例えば2000℃に加熱され溶融状態となる。そして、光ファイバ用母材1Pの下端部からガラス線が引き出される。この線引きされたガラス線は、紡糸炉110から出ると、すぐに固化して、コアガラス体10Pがコア10となり、クラッドガラス体11Pがクラッド11となり、コア10とクラッド11とから構成される光ファイバ裸線1Nとなる。このようにして、光ファイバ用母材1Pから光ファイバ裸線1Nを線引きする。その後、この光ファイバ裸線1Nは、冷却装置120を通過して、適切な温度まで冷却される。
次に、この光ファイバ裸線1Nは、被覆層12となる未硬化状態の樹脂が貯留された塗布部131を通過して、この樹脂によって被覆される。この樹脂が被覆された光ファイバ裸線1Nは、硬化部132を通過して、樹脂が硬化して被覆層12が形成され、図1に示す光ファイバ1となる。例えば、被覆層12が熱硬化性樹脂から成る場合、硬化部132は光ファイバ裸線1Nを被覆する樹脂に熱を加える構成とされ、被覆層12が紫外線硬化性樹脂から成る場合、硬化部132は光ファイバ裸線1Nを被覆する樹脂に紫外線を照射する構成とされる。
そして、光ファイバ1は、ターンプーリー141により方向が変換され、巻き取り部142により巻き取られる。こうして、図1に示す光ファイバ1が製造される。
以上説明したように、本実施形態の光ファイバ用母材1Pの製造方法は、堆積工程P1と、離隔工程P2aを含む徐冷工程P2とを備える。堆積工程P1では、可燃性ガスと原料ガスとを含むガスをバーナー33の噴出口33Hから噴出してガラス微粒子22を堆積させて多孔質ガラス体21を形成する。離隔工程P2aでは、堆積工程P1後に可燃性ガスと原料ガスとを含むガスをバーナー33の噴出口33Hから噴出しながら噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を長くする。また、本実施形態の光ファイバ用母材1Pの製造装置の一部である堆積装置30は、バーナー33と、ガス供給源35と、旋盤32と、バーナー支持部34と、を備える。バーナー33は、可燃性ガスと原料ガスとを含むガスを噴出口33Hから噴出してガラス微粒子22を堆積させて多孔質ガラス体を形成する。ガス供給源35は、可燃性ガスと原料ガスとを含むガスをバーナー33に供給する。旋盤32は、多孔質ガラス体21を支持する。バーナー支持部34は、バーナー33を支持し、旋盤32に対して相対的に移動可能である。そして、制御部COは、多孔質ガラス体21が形成された後、ガス供給源35にバーナー33への可燃性ガスと原料ガスとを含むガスの供給を維持させつつ、バーナー支持部34を旋盤32に対して相対的に移動させて噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を長くする。
このように、本実施形態の光ファイバ用母材1Pの製造方法、及び本実施形態の堆積装置30では、多孔質ガラス体21を形成した後、可燃性ガスと原料ガスとを含むガスを噴出口33Hから噴出しながら噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を長くする。このため、多孔質ガラス体21を形成するときと比べて、バーナー33によって形成される火炎から多孔質ガラス体21に伝達する単位時間当たりの熱量を低減することができる。つまり、本実施形態の光ファイバ用母材1Pの製造方法、及び本実施形態の堆積装置30では、バーナー33に供給する可燃性ガスの流量を調節しなくても、多孔質ガラス体21を徐冷することができ、多孔質ガラス体21に割れが生じることを抑制し得る。従って、本実施形態の光ファイバ用母材1Pの製造方法、及び本実施形態の堆積装置30によれば、多孔質ガラス体21の割れが生じることによる光ファイバ用母材1Pの生産性の低下を抑制し得る。
また、本実施形態では、徐冷工程P2は、バーナー33に供給する可燃性ガスの流量を減少させるガス流量調節工程P2bを更に含む。このようなガス流量調節工程P2bにより、バーナー33によって形成される火炎の長さが短くなる。このため、徐冷工程P2がガス流量調節工程P2bを含まない場合と比べて、バーナー33によって形成される火炎から多孔質ガラス体21に伝達する単位時間当たりの熱量を低減することができる。従って、徐冷工程P2後におけるバーナー33の噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を短くし得、堆積装置30の大型化を抑制し得る。なお、バーナー33に可燃性ガスと助燃性ガスと原料ガスとを供給する場合、ガス流量調節工程P2bにおいて助燃性ガスの流量を減少させずに可燃性ガスの流量を減少することが好ましい。可燃性ガスの流量のみを減少する場合、可燃性ガス及び助燃性ガスの両方の流量を減少させる場合と比べて、火炎自体の温度の低下を小さくし得る。このため、ガス流量調節工程P2bの開始前と開始後における堆積されるガラス微粒子22の直径や当該ガラス微粒子22の嵩密度の変化を生じにくくし得る。
また、本実施形態の光ファイバ用母材1Pの製造方法は、徐冷工程P2の後に原料ガス、助燃性ガス、可燃性ガスの順でバーナー33への供給を停止するガス供給停止工程P3を更に備える。
ここで、原料ガスは腐食性や可燃性を有する場合がある。本実施形態では、バーナー33と出発母材20とが反応室31R内に収容された状態でガラス微粒子22を堆積させて多孔質ガラス体21を形成する。そして、バーナー33への原料ガスの供給を停止した後にバーナー33への可燃性ガスの供給を停止する。このため、未反応の原料ガスが反応室31R内に残ることを抑制し得、反応室31R内のガスの処理を容易にし得る。ここで、多孔質ガラス体21の体積は当該多孔質ガラス体21が冷却すると減少する。そして、多孔質ガラス体21における外方側のガラス微粒子22の嵩密度が内方側の嵩密度よりも高い場合、冷却時の多孔質ガラス体21における外側の体積の減少量が内側の体積の減少量よりも多くなり、多孔質ガラス体21に割れが生じ易くなる傾向にある。本実施形態では、上記のように、ガス供給停止工程P3の前に、バーナー33の噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を長くする。このため、原料ガスを含まないガスによる火炎によって多孔質ガラス体21の表面が加熱されることを抑制し得、多孔質ガラス体21における外方側のガラス微粒子22が溶融することを抑制し得る。従って、本実施形態の光ファイバ用母材1Pの製造方法によれば、多孔質ガラス体21における外方側のガラス微粒子22の嵩密度が内方側の嵩密度よりも高くなることを抑制し得、多孔質ガラス体21に割れが生じることをより抑制し得る。
また、助燃性ガス及び可燃性ガスよりも前に原料ガスの供給が停止する。このため、原料ガスが不完全燃焼して黒いガラス微粒子22が生成されることを抑制でき、光ファイバ用母材1Pの品質が低下することを抑制し得る。また、助燃性ガスの供給を停止した後に可燃性ガスの供給を停止する。このため、可燃性ガスの供給を停止した後に助燃性ガスの供給を停止する場合と比べて、反応室31R内に残留する未燃焼の助燃性ガスの量を低減することができる。
なお、堆積工程P1の終了のときにおける多孔質ガラス体21の表面の最高温度をT℃、徐冷工程P2の終了のときにおける多孔質ガラス体21の表面の最高温度をT℃、堆積工程P1が終了してから徐冷工程P2が終了するまでにかかる時間をdt秒とするとき、(T−T2)/dtによって定義される温度勾配は、5以下であることが好ましい。この温度勾配が5以下である場合、多孔質ガラス体21に割れが生じることを抑制し得る。また、この温度勾配は、0.95以上であることが好ましい。温度勾配が0.95以上である場合、徐冷工程P2にかかる時間が長くなって光ファイバ用母材1Pの生産性が低下することを抑制し得る。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
なお、本実施形態で製造される光ファイバは、第1実施形態で製造される光ファイバ1と同様であり、また、本実施形態で製造される光ファイバ用母材は、第1実施形態で製造される光ファイバ用母材1Pと同様である。また、本実施形態における光ファイバ1の製造方法は、第1実施形態と同様に、堆積工程P1、徐冷工程P2、ガス供給停止工程P3、焼結工程P4、線引工程P5を備え、徐冷工程P2は、離隔工程P2aとガス流量調節工程P2bとを含む。しかし、本実施形態では、離隔工程P2aが第1実施形態の離隔工程P2aと異なる。
図6は、本発明の第2実施形態に係る堆積装置を概略的に示す図であり、堆積装置を出発母材の延在方向から見る図である。本実施形態の堆積装置30は、第1実施形態の堆積装置30と同様に、ケース31と、旋盤32と、複数のバーナー33と、バーナー支持部34と、ガス供給源35と、制御部COと、を主な構成として備える。しかし、本実施形態では、バーナー支持部34の構成が、第1実施形態のバーナー支持部34の構成と異なる。なお、図6では、ケース31、旋盤32、ガス供給源35、制御部CO等の記載は省略されている。
本実施形態のバーナー支持部34は、第1実施形態のバーナー支持部34と同様に、出発母材20の長手方向に沿って往復移動可能であるとともに、バーナー33のガスの噴出方向と概ね平行で出発母材20から離隔する方向に移動可能に構成される。このため、それぞれのバーナー33は、出発母材20の長手方向に沿って往復移動可能であり、当該バーナー33のガスの噴出方向を維持しつつ出発母材20から離隔する方向に移動可能である。また、本実施形態のバーナー支持部34は、出発母材20の長手方向と概ね平行な方向に延在するシャフト34Sを有し、当該シャフト34Sを軸として揺動可能に構成される。このため、バーナー支持部34がシャフト34Sを軸として揺動することで、複数のバーナー33もシャフト34Sを軸として揺動する。そして、このようにバーナー支持部34が旋盤32に対して相対的に移動することで、バーナー33の噴出口33Hが旋盤32に把持される出発母材20から離れるようにバーナー33の向きが変更され、バーナー33のガスの噴出方向が変更される。なお、バーナー支持部34は上記の構成に限定されるものではない。例えば、バーナー支持部34は、複数のバーナー33の向きを個別に変更可能な構成とされてもよい。
本実施形態の離隔工程P2aでは、制御部COは、ガス供給源35にそれぞれのバーナー33への各ガスの供給を堆積工程P1における状態に維持させる。また、制御部COは、旋盤32に出発母材20の回転を堆積工程P1における状態に維持させ、バーナー支持部34に複数のバーナー33の往復移動を堆積工程P1における状態に維持させる。また、制御部COは、図7に示すように、バーナー支持部34をシャフト34Sを軸として所定の角度だけ揺動させる。このため、バーナー支持部34は旋盤32に対して相対的に移動し、バーナー支持部34に支持されるバーナー33の噴出口33Hが旋盤32に把持される出発母材20の外周面を被覆する多孔質ガラス体21から離れるようにバーナー33の向きが変更される。このようにバーナー33のガスの噴出方向が変更されて、バーナー33の噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離が長くなる。このため、堆積工程P1のときと比べて、それぞれのバーナー33によって形成される火炎から多孔質ガラス体21に伝達する単位時間当たりの熱量を低減することができる。従って、第1実施形態と同様に、本実施形態の光ファイバ用母材1Pの製造方法、及び本実施形態の堆積装置30では、バーナー33に供給する可燃性ガスの流量を調節しなくても、多孔質ガラス体21を徐冷することができ、多孔質ガラス体21に割れが生じることを抑制し得る。
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、離隔工程P2aの後にガス流量調節工程P2bを行っていた。しかし、離隔工程P2aの前にガス流量調節工程P2bを行ってもよく、離隔工程P2a中にガス流量調節工程P2bをおこなってもよい。なお、離隔工程P2aの後にガス流量調節工程P2bを行う場合、離隔工程P2aの前にガス流量調節工程P2bを行う場合と比べて、徐冷工程P2における火炎の長さが短くされた状態の時間を短くし得る。このため、ガス流量調節工程P2bの開始前と開始後における堆積されるガラス微粒子22の直径や当該ガラス微粒子22の嵩密度に変化が起きたとしても、離隔工程P2aの前にガス流量調節工程P2bを行う場合と比べて、これらの変化による影響を小さくし得る。このため、例えば、得られた多孔質ガラス体21を焼結してガラス体を得る際に当該ガラス体に気泡が生じることをより抑制し得る。また、離隔工程P2a中にガス流量調節工程P2bを行う場合、徐冷工程P2にかかる時間を短縮し得、光ファイバ用母材1Pの生産性の低下を抑制し得る。
また、上記実施形態では、徐冷工程P2は離隔工程P2aとガス流量調節工程P2bとを含んでいた。しかし、徐冷工程P2はガス流量調節工程P2bを含んでいなくてもよい。
また、上記実施形態では、ガス供給停止工程P3において、原料ガス、助燃性ガス、可燃性ガスの順でこれらガスのバーナー33への供給を停止していた。しかし、これらガスの供給を停止する順番は上記の順番と異なっていてもよい。
また、上記実施形態では、堆積工程P1において、バーナー33を出発母材20の長手方向に沿って往復移動させていた。しかし、出発母材20を当該出発母材20の長手方向に沿って往復移動させてもよい。
また、上記実施形態では、堆積工程P1において、バーナー33を当該バーナー33のガスの噴出方向と概ね平行で出発母材20から離間する方向に移動させていた。しかし、バーナー33を出発母材20から離間する方向に移動させなくてもよい。また、出発母材20をバーナー33のガスの噴出方向と概ね平行でバーナー33から離隔する方向に移動してもよい。
また、上記実施形態では、離隔工程P2aにおいて、バーナー支持部34を旋盤32に対して相対的に移動させて、バーナー33の噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を長くしていた。しかし、バーナー支持部34と旋盤32とを相対的に移動させて、バーナー33の噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を長くすればよい。例えば、第1実施形態において、出発母材20を把持する旋盤32をバーナー33のガスの噴出方向と概ね平行でバーナー33から離隔する方向に移動させしてもよい。また、バーナー支持部34をバーナー33のガスの噴出方向と非平行で旋盤32に把持される出発母材20から離間する方向に移動させてもよい。また、出発母材20を把持する旋盤32をバーナー33のガスの噴出方向と非平行でバーナー33から離隔する方向に移動してもよい。
また、上記実施形態では、徐冷工程P2及びガス供給停止工程P3において、旋盤32による出発母材20の回転を堆積工程P1における状態に維持し、バーナー支持部34による複数のバーナー33の往復移動を堆積工程P1における状態に維持していた。しかし、徐冷工程P2及びガス供給停止工程P3において、旋盤32による出発母材20の回転を維持しなくてもよく、バーナー支持部34による複数のバーナー33の往復移動を維持しなくてもよい。
また、上記実施形態では、出発母材20が光ファイバ用母材1Pの一部になっていた。しかし、出発母材20は光ファイバ用母材1Pの一部とならない部材とされてもよく、ガス供給停止工程P3後に、多孔質ガラス体21から出発母材20を引き抜いてもよい。この場合、この多孔質ガラス体21を焼結することで管状の光ファイバ用母材が得られる。また、出発母材20は、コアガラス体10Pからなるコアロッドの外周面がクラッドガラス体11Pと同じガラス体から成る被覆層で被覆された円柱状のガラスロッドが複数束ねられた部材とされてもよい。この場合、複数のコアを有するマルチコアファイバの製造に用いる光ファイバ用母材が得られる。
また、上記実施形態では、堆積装置30は、OVD法により出発母材20の外周面にガラス微粒子22を堆積させるように構成されていた。しかし、堆積装置30は、VAD法により出発母材20の外面にガラス微粒子22を堆積させるように構成されていてもよい。この場合、旋盤32は、例えば、長手方向が鉛直に沿った出発母材20の上側の端部を把持して出発母材20を当該出発母材20の軸中心に回転させるように構成され、バーナー33は出発母材20の下側の端部における外面にガラス微粒子22を堆積させるように構成される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
(実施例1)
図3に示す堆積装置30と同様の堆積装置を用いて図4に示す製造方法の一部によって、出発母材20の外周面に多孔質ガラス体21を形成した。具体的には、堆積工程P1として、まず、コア10となるコアガラス体10Pからなる円柱状の出発母材20を準備した。この出発母材20を軸中心に所定の速度で回転させ、それぞれのバーナー33に原料ガス、可燃性ガス、及び助燃性ガスを供給した。そして、それぞれのバーナー33を出発母材20の長手方向に沿って繰り返し往復移動させながら、出発母材20の外周面にガラス微粒子22を堆積して、所定の重量の多孔質ガラス体21を形成した。このとき、それぞれのバーナー33を当該バーナー33のガスの噴出方向を維持しつつ出発母材20から離隔する方向に徐々に移動して、それぞれのバーナー33の噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を概ね一定に維持した。本実施例では、原料ガスはオクタメチルシクロテトラシロキサンとし、可燃性ガスは水素とし、助燃性ガスは酸素とした。また、それぞれのバーナー33に供給する原料ガスの流量は1.5SLMとし、可燃性ガスの流量は44SLMとし、助燃性ガスの流量は20SLMとした。また、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの当該多孔質ガラス体21の表面の最高温度は850℃であった。次に、徐冷工程P2における離隔工程P2aとして、それぞれのバーナー33への原料ガス、可燃性ガス、及び助燃性ガスの供給を維持するとともに、それぞれのバーナー33を当該バーナー33のガスの出射方向を維持しつつ出発母材20から離隔する方向に所定の距離だけ移動した。そして、噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの距離よりも長くし、ガス流量調節工程P2bは行わなかった。なお、それぞれのバーナー33を所定の距離だけ移動したとき、それぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21に当たっていた。次に、ガス供給停止工程P3として、原料ガス、可燃性ガス、助燃性ガスの順でこれらガスのバーナー33への供給を停止した。これらガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度は780℃であった。その後、多孔質ガラス体21を大気中に放置して自然空冷した。冷却された多孔質ガラス体21を目視で観察した。多孔質ガラス体21に割れは生じていなかった。
(実施例2)
離隔工程P2aとしてそれぞれのバーナー33を移動するときに、ガス流量調節工程P2bとしてそれぞれのバーナー33に供給する可燃性ガスの流量を36SLMに減少した以外は、実施例1と同様にして、多孔質ガラス体21を形成した。本実施例では、第1実施例と同様に、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの当該多孔質ガラス体21の表面の最高温度は850℃であった。また、離隔工程P2aとしてそれぞれのバーナー33を所定の距離だけ移動したとき、それぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21に当たっていた。次に、実施例1と同様に、それぞれのバーナー33への各ガスの供給を停止し、多孔質ガラス体21を自然空冷した。ガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度は760℃であった。
(実施例3)
ガス流量調節工程P2bとしてそれぞれのバーナー33に供給する可燃性ガスの流量を34SLMに減少した以外は、実施例2と同様にして、多孔質ガラス体21を形成した。本実施例では、第1実施例と同様に、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの当該多孔質ガラス体21の表面の最高温度は850℃であった。また、離隔工程P2aとしてそれぞれのバーナー33を所定の距離だけ移動したとき、それぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21に当たっていた。次に、実施例2と同様に、それぞれのバーナー33への各ガスの供給を停止し、多孔質ガラス体21を自然空冷した。ガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度は740℃であった。
(実施例4)
離隔工程P2aとしてそれぞれのバーナー33を移動するときに、ガス流量調節工程P2bとしてそれぞれのバーナー33に供給する可燃性ガスの流量を26SLMに減少するとともに助燃性ガスの流量を12SLMに減少した以外は、実施例1と同様にして、多孔質ガラス体21を形成した。本実施例では、第1実施例と同様に、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの当該多孔質ガラス体21の表面の最高温度は850℃であった。また、離隔工程P2aとしてそれぞれのバーナー33を所定の距離だけ移動したとき、それぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21に当たっていなかった。次に、実施例1と同様に、それぞれのバーナー33への各ガスの供給を停止し、多孔質ガラス体21を自然空冷した。ガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度は680℃であった。
(実施例5)
ガス流量調節工程P2bとしてそれぞれのバーナー33に供給する可燃性ガスの流量を19SLMに減少するとともに助燃性ガスの流量を12SLMに減少した以外は、実施例4と同様にして、多孔質ガラス体21を形成した。本実施例では、第1実施例と同様に、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの当該多孔質ガラス体21の表面の最高温度は850℃であった。また、離隔工程P2aとしてそれぞれのバーナー33を所定の距離だけ移動したとき、それぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21に当たっていなかった。次に、実施例4と同様に、それぞれのバーナー33への各ガスの供給を停止し、多孔質ガラス体21を自然空冷した。ガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度は630℃であった。
(実施例6)
図6に示す堆積装置30と同様の堆積装置を用いて図4に示す製造方法の一部によって、出発母材20の外周面に多孔質ガラス体21を形成した。具体的には、堆積工程P1として、実施例1の出発母材20と同様の出発母材20を準備し、この出発母材20を軸中心に所定の速度で回転させ、それぞれのバーナー33に原料ガス、可燃性ガス、及び助燃性ガスを供給した。そして、実施例1と同様に、それぞれのバーナー33を出発母材20の長手方向に沿って繰り返し往復移動させながら、出発母材20の外周面にガラス微粒子22を堆積して、所定の重量の多孔質ガラス体21を形成した。このとき、実施例1と同様に、それぞれのバーナー33を当該バーナー33のガスの噴出方向を維持しつつ出発母材20から離隔する方向に徐々に移動して、それぞれのバーナー33の噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を概ね一定に維持した。また、実施例1と同様に、原料ガスはオクタメチルシクロテトラシロキサンとし、可燃性ガスは水素とし、助燃性ガスは酸素とし、それぞれのバーナー33に供給する原料ガスの流量は1.5SLMとし、可燃性ガスの流量は44SLMとし、助燃性ガスの流量は20SLMとした。また、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの当該多孔質ガラス体21の表面の最高温度は850℃であった。次に、徐冷工程P2における離隔工程P2aとして、それぞれのバーナー33への原料ガス、可燃性ガス、及び助燃性ガスの供給を維持するとともに、図7に示すようにそれぞれのバーナー33の噴出口33Hが出発母材20から離れるようにそれぞれのバーナー33のガスの噴出方向を変更した。そして、噴出口33Hと多孔質ガラス体21との距離を、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの距離よりも長くし、ガス流量調節工程P2bは行わなかった。なお、それぞれのバーナー33のガスの噴出方向を変更したとき、それぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21に当たっていなかった。次に、ガス供給停止工程P3として、原料ガス、可燃性ガス、助燃性ガスの順でこれらガスのバーナー33への供給を停止した。これらガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度は670℃であった。その後、多孔質ガラス体21を大気中に放置して自然空冷した。
(実施例7)
離隔工程P2aとしてそれぞれのバーナー33のガスの噴出方向を変更するときに、ガス流量調節工程P2bとしてそれぞれのバーナー33に供給する可燃性ガスの流量を36SLMに減少した以外は、実施例6と同様にして、多孔質ガラス体21を形成した。本実施例では、第6実施例と同様に、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの当該多孔質ガラス体21の表面の最高温度は850℃であった。また、離隔工程P2aとしてそれぞれのバーナー33のガスの噴出方向を変更したとき、それぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21に当たっていなかった。次に、実施例6と同様に、それぞれのバーナー33への各ガスの供給を停止し、多孔質ガラス体21を自然空冷した。ガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度は660℃であった。
(実施例8)
ガス流量調節工程P2bとしてそれぞれのバーナー33に供給する可燃性ガスの流量を34SLMに減少した以外は、実施例7と同様にして、多孔質ガラス体21を形成した。本実施例では、第6実施例と同様に、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの当該多孔質ガラス体21の表面の最高温度は850℃であった。また、離隔工程P2aとしてそれぞれのバーナー33のガスの噴出方向を変更したとき、それぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21に当たっていなかった。次に、実施例7と同様に、それぞれのバーナー33への各ガスの供給を停止し、多孔質ガラス体21を自然空冷した。ガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度は660℃であった。
(実施例9)
離隔工程P2aとしてそれぞれのバーナー33のガスの噴出方向を変更するときに、ガス流量調節工程P2bとしてそれぞれのバーナー33に供給する可燃性ガスの流量を26SLMに減少するとともに助燃性ガスの流量を12SLMに減少した以外は、実施例6と同様にして、多孔質ガラス体21を形成した。本実施例では、第6実施例と同様に、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの当該多孔質ガラス体21の表面の最高温度は850℃であった。また、離隔工程P2aとしてそれぞれのバーナー33のガスの噴出方向を変更したとき、それぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21に当たっていなかった。次に、実施例6と同様に、それぞれのバーナー33への各ガスの供給を停止し、多孔質ガラス体21を自然空冷した。ガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度は610℃であった。
(実施例10)
ガス流量調節工程P2bとしてそれぞれのバーナー33に供給する可燃性ガスの流量を19SLMに減少するとともに助燃性ガスの流量を12SLMに減少した以外は、実施例9と同様にして、多孔質ガラス体21を形成した。本実施例では、第6実施例と同様に、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの当該多孔質ガラス体21の表面の最高温度は850℃であった。また、離隔工程P2aとしてそれぞれのバーナー33のガスの噴出方向を変更したとき、それぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21に当たっていなかった。次に、実施例9と同様に、それぞれのバーナー33への各ガスの供給を停止し、多孔質ガラス体21を自然空冷した。ガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度は605℃であった。
(比較例1)
離隔工程P2aを行わなかった以外は、第1実施形態と同様にして、出発母材20の外周面にガラス微粒子22を堆積して、所定の重量の多孔質ガラス体21を形成した。次に、実施例1と同様に、それぞれのバーナー33への各ガスの供給を停止し、多孔質ガラス体21を自然空冷した。本比較例では、第1実施例と同様に、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの当該多孔質ガラス体21の表面の最高温度は850℃であった。また、ガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度は880℃であった。また、本比較例では、ガスの供給を停止するまでそれぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21に当たっていた。
(比較例2)
離隔工程P2aを行わなかった以外は、第2実施形態と同様にして、出発母材20の外周面にガラス微粒子22を堆積して、所定の重量の多孔質ガラス体21を形成した。次に、実施例2と同様に、それぞれのバーナー33への各ガスの供給を停止し、多孔質ガラス体21を自然空冷した。本比較例では、第6実施例と同様に、多孔質ガラス体21が所定の重量となったときの当該多孔質ガラス体21の表面の最高温度は850℃であった。また、ガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度は860℃であった。また、本比較例では、ガスの供給を停止するまでそれぞれのバーナー33によって形成される火炎は多孔質ガラス体21に当たっていた。
上記のように形成した各多孔質ガラス体21について、割れの有無を目視によって観察した。表1に実施例1〜10及び比較例における可燃性ガス及び助燃性ガスの流量、多孔質ガラス体の表面の最高温度、及びこの観察結果を示す。表1に示すように、実施例1〜10における多孔質ガラス体21には、割れが生じていなかった。これは、離隔工程P2aによって多孔質ガラス体21の徐冷ができたためだと考えられる。そして、実施例1,6では、バーナー33に供給する可燃性ガスの流量を減少させるガス流量調節工程P2bを行わなくても、多孔質ガラス体21の徐冷ができていたと考えられる。
Figure 0006899870
一方、比較例1,2における多孔質ガラス体21には、割れが生じていた。比較例1,2では、ガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度がガスの供給を停止する前の多孔質ガラス体21の表面の最高温度よりも高い。従って、比較例1,2では、多孔質ガラス体21が徐冷されず、多孔質ガラス体21に割れが生じたと考えられる。ここで、原料ガス、可燃性ガス、助燃性ガスの順でこれらガスのバーナー33への供給を停止した。このため、原料ガスを含まないガスによる火炎によって多孔質ガラス体21の表面が加熱されて、ガスの供給を停止したときの多孔質ガラス体21の表面の最高温度がガスの供給を停止する前の多孔質ガラス体21の表面の最高温度よりも高くなったと考えられる。
このように、本発明における製造方法によれば、バーナー33に供給する可燃性ガスの流量を調節しなくても、多孔質ガラス体21を徐冷することができ、多孔質ガラス体21に割れが生じることを抑制し得ることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、新たな方法によって多孔質ガラス体を徐冷でき、光ファイバ用母材の生産性の低下を抑制し得る光ファイバ用母材の製造方法、及び光ファイバ用母材の製造装置が提供され、光ファイバ通信等の分野で利用することが期待される。
1・・・光ファイバ
1P・・・光ファイバ用母材
10・・・コア
10P・・・コアガラス体
11・・・クラッド
11P・・・クラッドガラス体
12・・・被覆層
20・・・出発母材
21・・・多孔質ガラス体
22・・・ガラス微粒子
30・・・堆積装置(光ファイバ用母材の製造装置)
31・・・ケース
32・・・旋盤
33・・・バーナー
34・・・バーナー支持部
35・・・ガス供給源
P1・・・堆積工程
P2・・・徐冷工程
P2a・・・離隔工程
P2b・・・ガス流量調節工程
P3・・・ガス供給停止工程
P4・・・焼結工程
P5・・・線引工程

Claims (10)

  1. 可燃性ガスと原料ガスとを含むガスをバーナーの噴出口から噴出してガラス微粒子を堆積させて多孔質ガラス体を形成する堆積工程と、
    前記堆積工程後に前記ガスを前記噴出口から噴出しながら前記噴出口と前記多孔質ガラス体との距離を長くする離隔工程を含む徐冷工程と、
    を備える
    ことを特徴とする光ファイバ用母材の製造方法。
  2. 前記離隔工程において、前記バーナーの前記ガスの噴出方向を維持する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  3. 前記離隔工程において、前記バーナーの前記ガスの噴出方向を変化する
    ことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  4. 前記徐冷工程は、前記バーナーに供給する前記可燃性ガスの流量を減少させるガス流量調節工程を更に含む
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  5. 前記バーナーの前記噴出口から噴出する前記ガスは、助燃性ガスを更に含み、
    前記ガス流量調節工程において、前記バーナーに供給する前記可燃性ガスの流量または前記可燃性ガス及び前記助燃性ガスの流量を減少する
    ことを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  6. 前記離隔工程の後に前記ガス流量調節工程を行う
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  7. 前記離隔工程の前に前記ガス流量調節工程を行う
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  8. 前記離隔工程中に前記ガス流量調節工程を行う
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  9. 前記徐冷工程の後に前記原料ガス、前記可燃性ガスの順で前記バーナーへの供給を停止するガス供給停止工程を更に備える
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
  10. 前記バーナーの前記噴出口から噴出する前記ガスは、助燃性ガスを更に含み、
    前記ガス供給停止工程において、前記原料ガス、前記助燃性ガス、前記可燃性ガスの順で前記バーナーへの供給を停止する
    ことを特徴とする請求項9に記載の光ファイバ用母材の製造方法。
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