JP6898610B2 - 重合体及び光学レンズ - Google Patents

重合体及び光学レンズ Download PDF

Info

Publication number
JP6898610B2
JP6898610B2 JP2017031554A JP2017031554A JP6898610B2 JP 6898610 B2 JP6898610 B2 JP 6898610B2 JP 2017031554 A JP2017031554 A JP 2017031554A JP 2017031554 A JP2017031554 A JP 2017031554A JP 6898610 B2 JP6898610 B2 JP 6898610B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
polymer
carbon atoms
same
different
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017031554A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018135470A (ja
Inventor
遼祐 一二三
遼祐 一二三
宮木 伸行
伸行 宮木
育義 冨田
育義 冨田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Tokyo Institute of Technology NUC
Original Assignee
JSR Corp
Tokyo Institute of Technology NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp, Tokyo Institute of Technology NUC filed Critical JSR Corp
Priority to JP2017031554A priority Critical patent/JP6898610B2/ja
Publication of JP2018135470A publication Critical patent/JP2018135470A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6898610B2 publication Critical patent/JP6898610B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

本発明は、重合体及び光学レンズに関する。
光学レンズ、光学フィルム等の光学部品は、液晶表示装置等の表示装置、デジタルカメラや携帯電話用カメラ等のカメラモジュールレンズ、イメージセンサ等の光センサなどに用いられている。近年、光学部品は、薄膜化、高付加価値化等の観点から、樹脂成分として屈折率の高い重合体を用いて形成されるようになっている。
かかる光学部品は、例えば上記重合体のガラス転移温度以上で、この重合体を含有する樹脂材料を用いた射出成形や押出成形等により形成される。そのため、重合体には、成形の容易化、成形時の重合体の劣化防止、製造コスト低減等の観点から、ガラス転移温度が適度に低いことが求められる。また、光学レンズ等の光学部品がカメラモジュール等の撮像系デバイスに使用される場合、画像の高精細化等のために低複屈折性も求められる。
低複屈折性の重合体の代表例として、ビスフェノールフルオレン誘導体等のビスフェノール化合物に由来する構造を有するポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル等が知られている(特開2012−224763号公報及び特開2010−132782号公報参照)。これらの重合体は、フルオレン骨格のカルド構造により、主鎖方向と主鎖に直交する方向の屈折率が互いに打ち消し合うため、低複屈折性を示す。その一方で、フルオレン骨格のような剛直で嵩高い骨格を有する重合体は、ガラス転移温度を十分に下げることが困難である。この場合、ガラス転移温度を低下させるためには、柔軟な構造を有するアルキレン基を導入することも考えられる。しかし、アルキレン基の導入は、屈折率が低下するという不都合がある。
一方、リン系官能基を有する重合体は種々知られており、ホスホン酸エステルを主鎖に含む重合体は、難燃性材料等として検討されている(J.Appl.Polym.Sci.,28,1119,1983、特開昭61−238826号公報及び特開昭61−261321号公報参照)。このようなホスホン酸エステル系重合体を光学材料として利用するものとして、ビスフェノールA、4,4’−ビフェノールを骨格として有するホスホネート系重合体が検討されている(J.Polym.Sci.Part A: Polym. Chem.,2001,39(17),2901−2910参照)。しかし、これらの重合体の複屈折性は低くないものと考えられる。また、ポリホスホネート系重合体、(チオ)ホスホネート/カーボネート系重合体等についても検討されているものの、低複屈折性、低アッベ数及び適度な範囲のガラス転移温度を全て満たすと考えられるものは知られていない(特許文献5〜17並びに非特許文献2及び3参照)。
このように、高屈折率及び低アッベ数であり、低複屈折性に優れ、かつ溶融成形容易なガラス転移温度を有するリン系官能基を有する重合体は未だ知られていない。
特開2012−224763号公報 特開2010−132782号公報 特開昭61−238826号公報 特開昭61−261321号公報 米国特許第3719727号明細書 特許第4746237号公報 特開2008−222778号公報 特許第3932937号公報 特開2007−122031号公報 特許第3975793号公報 特許第4155068号公報 特許第5066777号公報 特開2008−56717号公報 特開2008−56718号公報 特許第4161760号公報 特許第4214705号公報 特開2004−269844号公報
J.Appl.Polym.Sci.,28,1119,1983 J.Polym.Sci.Part A: Polym. Chem.,2001,39(17),2901−2910 Makromol.Chem.Rapid Commun.,1,419,1980
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、高屈折率及び低アッベ数であり、低複屈折性に優れ、かつ溶融成形容易なガラス転移温度を有する重合体を提供することにある。
上記課題を解決するためになされた発明は、下記式(1)で表される第1構造単位と、下記式(2−1)又は(2−2)で表される第2構造単位とを有し、ゴム状態での応力光学係数の絶対値が1.0×10−9Pa−1以下である重合体である。
Figure 0006898610
(式(1)中、Xは、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子である。Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。)
Figure 0006898610
(式(2−1)中、Zは、それぞれ独立して、−O−又は−S−である。R及びRは、それぞれ独立して、メチレン基又は炭素数2〜4のアルキレン基である。a及びbは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。aが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。bが2の場合、2つのRは、同一でも異なっていてもよい。cは、0〜2の整数である。Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、ニトロ基又はシアノ基である。dは、0〜8の整数である。dが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合してこれらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。)
Figure 0006898610
(式(2−2)中、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、ニトロ基又はシアノ基である。e及びfは、それぞれ独立して、0〜8の整数である。eが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合してこれらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。fが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合してこれらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。g及びhは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。Lは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−又は炭素数1〜20の2価の有機基である。yは、0〜2の整数である。yが2の場合、2つのgは同一でも異なっていてもよく、2つのLは同一でも異なっていてもよい。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Zは、それぞれ独立して、−O−又は−S−である。R及びRは、それぞれ独立して、メチレン基又は炭素数2〜10のアルキレン基である。i及びjは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。iが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。jが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。)
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該重合体の成形体からなる光学レンズである。
本発明の重合体は、高屈折率及び低アッベ数であり、低複屈折性に優れ、かつ溶融成形容易なガラス転移温度を有する。従って、本発明の重合体によれば、高屈折率及び低アッベ数であり、低複屈折性に優れる成形体を簡便かつコスト的に有利に得ることができる。また、本発明の光学レンズは高屈折率、低アッベ数及び優れた低複屈折性の特性を有している。
本発明の実施例1で得られた重合体1のH−NMRスペクトルを示すチャートである。
以下、本発明の重合体、この重合体の成形体及び光学レンズについて詳細に説明する。
<重合体>
本発明の重合体(以下、「(A)重合体」ともいう)は、式(1)で表される第1構造単位(以下、「構造単位(I)」ともいう)と、式(2−1)又は(2−2)で表される第2構造単位(以下、「構造単位(II)」ともいう)とを有し、ゴム状態での応力光学係数の絶対値が1.0×10−9Pa−1以下である。(A)重合体は、構造単位(I)及び(II)以外の他の構造単位を有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、下記式(1)で表される。
Figure 0006898610
上記式(1)中、Xは、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子である。Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。
Xとしては、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、硫黄原子がより好ましい。
で表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜20の1価の鎖状炭化水素基としては、例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば
シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の1価の単環の脂環式飽和炭化水素基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の2価の単環の脂環式不飽和炭化水素基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等の1価の多環の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基、テトラシクロドデセニル基等の1価の多環の脂環式不飽和炭化水素基などが挙げられる。
炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、アントリルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
としては、芳香族炭化水素基が好ましく、アリール基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
構造単位(I)としては、例えば下記式(1−1)〜(1−8)で表される構造単位(以下、「構造単位(I−1)〜(I−8)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 0006898610
これらの中で、構造単位(I−1)及び(I−4)が好ましい。
構造単位(I)を与える単量体としては、例えば
二塩化フェニルホスホン酸、二臭化フェニルホスホン酸、二ヨウ化フェニルホスホン酸、二塩化ナフチルホスホン酸、二塩化アントリルホスホン酸、二塩化シクロヘキシルホスホン酸、二塩化メチルホスホン酸、二塩化フェニルチオホスホン酸、二塩化ナフチルチオホスホン酸、二塩化フェニルセレノホスホン酸等のホスホン酸、チオホスホン酸、セレノホスホン酸のジハロゲン化物;
フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ナフチルホスホン酸ジメチル、アントリルホスホン酸ジメチル、シクロヘキシルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジメチル、フェニルチオホスホン酸ジメチル、ナフチルチオホスホン酸ジメチル、フェニルセレノホスホン酸ジメチル等のホスホン酸、チオホスホン酸、セレノホスホン酸のジエステルなどが挙げられる。これらの中で、ホスホン酸、チオホスホン酸又はセレノホスホン酸のジハロゲン化物が好ましく、ホスホン酸又はチオホスホン酸の二塩化物がより好ましい。
構造単位(I)の含有割合の下限としては、10モル%が好ましく、30モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましく、45モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましく、55モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記範囲とすることで、高屈折率、低アッベ数及び低複屈折性の特性により優れ、かつより溶融成形容易なガラス転移温度を有する重合体とすることができる。(A)重合体は、構造単位(I)を1種又は2種以上有していてもよい。
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、下記式(2−1)又は(2−2)で表される。
Figure 0006898610
上記式(2−1)中、Zは、それぞれ独立して、−O−又は−S−である。R及びRは、それぞれ独立して、メチレン基又は炭素数2〜4のアルキレン基である。a及びbは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。aが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。bが2の場合、2つのRは、同一でも異なっていてもよい。cは、0〜2の整数である。Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、ニトロ基又はシアノ基である。dは、0〜8の整数である。dが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合してこれらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。
Figure 0006898610
上記式(2−2)中、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、ニトロ基又はシアノ基である。e及びfは、それぞれ独立して、0〜8の整数である。eが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合してこれらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。fが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合してこれらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。g及びhは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。Lは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−又は炭素数1〜20の2価の有機基である。yは、0〜2の整数である。yが2の場合、2つのgは同一でも異なっていてもよく、2つのLは同一でも異なっていてもよい。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Zは、それぞれ独立して、−O−又は−S−である。R及びRは、それぞれ独立して、メチレン基又は炭素数2〜10のアルキレン基である。i及びjは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。iが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。jが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。
、R、R及びRで表される炭素数2〜10のアルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。
、R、R及びRとしては、メチレン基が好ましい。
、R及びRで表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。これらの中で、フッ素原子が好ましい。
、R及びRで表される炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、例えば上記式(1)のRの炭素数1〜20の1価の炭化水素基として例示したものと同様の基等が挙げられる。これらの中で、鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
、R及びRで表される炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基としては、例えば上記炭素数1〜20の1価の炭化水素基の少なくとも1個の水素原子をフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等で置換した基等が挙げられる。
、R及びRとしては、フッ素原子、鎖状炭化水素基、フッ素化鎖状炭化水素基、ニトロ基及びシアノ基が好ましく、フッ素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、ニトロ基及びシアノ基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
複数のR、複数のR又は複数のRの基のうちの2つ以上が互いに結合してこれらが結合する炭素鎖と共に形成する環員数4〜20の環構造としては、例えば
シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、ノルボルネン構造、ビシクロ[2.2.2]オクテン構造、ジベンゾビシクロ[2.2.2]オクテン構造等の脂環構造;
ベンゼン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造等の芳香環構造などの炭素環構造、
オキサシクロヘキセン構造、アザシクロヘキセン構造、チアシクロヘキセン構造等の脂肪族複素環構造;
フラン構造、ピロール構造、ピリジン構造、チオフェン構造等の芳香族複素環構造などが挙げられる。
a、b、i及びjとしては、0及び1が好ましく、0がより好ましい。
cとしては、0及び1が好ましく、0がより好ましい。
dとしては、0〜2が好ましく、0及び1がより好ましく、0が特に好ましい。
e及びfとしては、0〜2が好ましく、0及び1がより好ましく、0が特に好ましい。
g及びhとしては、0及び1が好ましく、0がより好ましい。
Lで表される炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば炭素数1〜20の2価の炭化水素基、この2価の炭化水素基の炭素−炭素間に2価のヘテロ原子含有基を含む基(α)、上記2価の炭化水素基及び基(α)が有する水素原子の一部又は全部を1価のヘテロ原子含有基で置換した基等が挙げられる。
1価及び2価のヘテロ原子含有基を構成するヘテロ原子としては、例えば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
2価のヘテロ原子含有基としては、例えば−O−、−CO−、−S−、−CS−、−NR’−、これらのうちの2つ以上を組み合わせた基等が挙げられる。R’は、水素原子又は1価の炭化水素基である。これらの中で、−O−が好ましい。
1価のヘテロ原子含有基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、アミノ基、スルファニル基等が挙げられる。
Lの炭素数1〜20の2価の有機基としては、例えば下記式(L−1)〜(L−3)で表される基(以下、「基(L−1)〜(L−3)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 0006898610
上記式(L−1)〜(L−3)中、*は、上記式(2−2)における芳香環に結合する部位を示す。
Lの2価の有機基の炭素数の下限としては、2が好ましく、3がより好ましい。上記炭素数の上限としては、15が好ましく、12がより好ましく、9がさらに好ましく、6が特に好ましい。
Lとしては、単結合、−O−、−S−、−CO−、−SO−及び2価の有機基が好ましく、単結合及び2価の有機基がより好ましく、単結合及び基(L−1)〜(L−3)がさらに好ましく、単結合、基(L−1)及び基(L−3)が特に好ましい。
yとしては、0及び1が好ましく、1がより好ましい。
Zとしては、−O−が好ましい。
構造単位(II)としては、例えば下記式(2−A)〜(2−G)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−A)〜(II−G)」ともいう)等が挙げられる。
Figure 0006898610
これらの中で、構造単位(II−A)〜(II−E)及び(II−G)が好ましい。
構造単位(II)を与える単量体としては、例えば
ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、フェニルヒドロキノン等のジヒドロキシフェニル化合物;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン等のビスフェノール化合物などが挙げられる。
構造単位(II)の含有割合の下限としては、10モル%が好ましく、30モル%がより好ましく、40モル%がさらに好ましく、45モル%が特に好ましい。上記含有割合の上限としては、90モル%が好ましく、70モル%がより好ましく、60モル%がさらに好ましく、55モル%が特に好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記範囲とすることで、高屈折率、低アッベ数及び低複屈折性の特性により優れ、かつより溶融成形容易なガラス転移温度を有する重合体とすることができる。(A)重合体は、構造単位(II)を1種又は2種以上有していてもよい。
[他の構造単位]
他の構造単位としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されない。
他の構造単位を与える単量体としては、例えば
ジフェニルカーボネート、ジフェニルチオカーボネート、ジフェニルセレノカーボネート、ホスゲン、チオホスゲン、セレノホスゲン等のカーボネート残基、チオカーボネート残基又はセレノカーボネート残基を含む構造単位を与える化合物;
ベンゼンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール等のジヒドロキシ化合物;
フタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジクロリド等のジカルボン酸のジハロゲン化物などが挙げられる。
(A)重合体が他の構造単位を有する場合、他の構造単位の含有割合の上限としては、50モル%が好ましく、30モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、10モル%が特に好ましい。上記含有割合の下限としては、例えば1モル%である。(A)重合体は、他の構造単位を1種又は2種以上有していてもよい。
(A)重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)の下限としては、2,000が好ましく、10,000がより好ましく、30,000がさらに好ましく、40,000が特に好ましい。上記Mwの上限としては、300,000が好ましく、200,000がより好ましく、160,000がさらに好ましく、100,000が特に好ましい。
本明細書における重合体のMwは、例えば以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される値である。
GPC装置:東ソー社の「HLC−8320型」
カラム:東ソー社の「TSKgel α―M」と、東ソー社の「TSKgel gua
rdcоlumn α」とを連結したもの
展開溶媒:N−メチル−2−ピロリドンにLiBrを10mMの濃度になるよう添加したもの
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:0.33質量%
試料注入量:50μL
検出器:紫外可視吸光光度計
標準物質:単分散ポリスチレン
[ゴム状態での応力光学係数]
(A)重合体は、ゴム状態での応力光学係数(以下、「CR」ともいう)の絶対値が、1.0×10−9Pa−1以下である。CRの正負について、重合体の主鎖に平行な方向の屈折率と主鎖に直交する方向の屈折率とを比較したとき、主鎖に平行な方向の屈折率の方が大きい場合、CRは正であり、主鎖に直交する方向の屈折率の方が大きい場合、CRは負である。「ゴム状態」とは、重合体分子が動き易く、力をかけることにより分子が流れて伸び縮みできる軟らかい固体状態をいう。これに対し、「ガラス状態」とは、分子がランダムな構造を有し、結晶化していない非晶質の状態で、力をかけても分子があまり流れない硬い固体状態をいう。ゴム状態とガラス状態との境界点の温度がガラス転移温度(Tg)である。(A)重合体は、CRの絶対値を上記範囲とすることで、低複屈折性に優れるものとなる。
(A)重合体のCRの下限としては、−1.0×10−9Pa−1であり、−0.9×10−9Pa−1が好ましく、−0.8×10−9Pa−1がさらに好ましく、−0.7×10−9Pa−1が特に好ましい。上記CRの上限としては、1.0×10−9Pa−1であり、0.9×10−9Pa−1が好ましく、0.8×10−9Pa−1がさらに好ましく、0.7×10−9Pa−1が特に好ましい。(A)重合体のCRを上記範囲とすることで低複屈折性により優れる重合体とすることができる。
(A)重合体のCRの値は、例えば(A)重合体の構造から予測することも可能である。すなわち、(A)重合体が有する各部分構造についての(A)重合体のCRへ寄与する値(以下、「CRi値」ともいう)に、各部分構造の体積分率を乗じて総和をとることにより、(A)重合体のCRの概略値を算出することができると考えられる。
(A)重合体の各部分構造のうち、構造単位(I)以外の構造単位(II)等についてのCRi値は、例えば対応するビスフェノール化合物から得られるポリカーボネート重合体のCRから類推することができる。この場合、ポリカーボネート重合体のカーボネート残基(−(C=O)−)は、ポリカーボネート重合体のCRに寄与する割合は小さいため、ポリカーボネート重合体のCRをビスフェノール残基のCRi値とみなすことができる。ポリカーボネート重合体のCRは、例えばJ.Soc.Mat.Sci.,Jpn.Vol.52,No.3,314−318.Mar.2003等の文献を参照することができる。部分構造の体積分率は、各部分構造のファンデルワールス体積を、例えば高分子論文集,Vol.51,No.4,251−257.Apr.1994等の文献に記載の方法を用いて求め、これらの値から算出することができる。
(A)重合体の構造単位(I)の部分構造のCRi値について、本発明における検討により、ビスフェノールA残基(部分構造のファンデルワールス体積:210×10−30)のCRi値が5.6×10−9Pa−1の場合、フェニルホスホン酸残基(−(PhP=O)−)(部分構造のファンデルワールス体積:102×10−30)のCRi値は−6.8×10−9Pa−1、フェニルチオホスホン酸残基(−(PhP=S)−)(部分構造のファンデルワールス体積:112×10−30)のCRiは−6.9×10−9Pa−1となることがわかった。これらの各部分構造のCRi値を用いることにより、(A)重合体のCRの概略値を算出することが可能になった。
<重合体の合成方法>
(A)重合体は、公知の方法、例えば二ハロゲン化ホスホン酸化合物等の構造単位(I)を与える単量体、ビスフェノール化合物等の構造単位(II)を与える単量体及び他の構造単位を与える単量体を、アルカリ金属化合物等の存在下、有機溶媒中で縮合重合等を行うことにより合成することができる。縮合重合の際、例えば2−フェニルフェノール等のモノフェノール化合物などの末端封止剤を存在させて反応を行ってもよい。
(アルカリ金属化合物)
アルカリ金属化合物は、(A)重合体の合成の過程で、芳香族ジオール化合物等と反応してアルカリ金属塩を形成する。このようなアルカリ金属化合物としては、例えば
リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;
水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属;
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属;
炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;
炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩などが挙げられる。これらの中で、水素化アルカリ金属が好ましく、水素化ナトリウムがより好ましい。
アルカリ金属化合物の使用量として、(A)重合体の合成に用いる全化合物中のヒドロキシ基のモル数に対するアルカリ金属化合物中の金属原子のモル数の比の下限としては、1が好ましく、1.1がより好ましく、1.2がさらに好ましい。上記比の上限としては、3が好ましく、2がより好ましく、1.5がさらに好ましい。
(有機溶媒)
重合に用いる有機溶媒としては、例えば
テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジアルコキシベンゼン、トリアルコキシベンゼン等のエーテル系溶媒;
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素系溶媒;
γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶媒などのエステル系溶媒;
スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン等の含硫黄系溶媒;
ベンゾフェノン等のケトン系溶媒;
塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒は、1種又は2種以上を用いることができる。これらの有機溶媒の中で、THF、塩化メチレン及びトルエンが好ましく、THFがより好ましい。
(反応条件)
(A)重合体の合成時の反応温度の下限としては、−30℃が好ましく、−10℃がより好ましい。上記反応温度の上限としては、200℃が好ましく、100℃がより好ましい。上記合成時の反応時間の下限としては、5分が好ましく、1時間がより好ましく、2時間がさらに好ましい。上記反応時間の上限としては、100時間が好ましく、24時間がより好ましく、12時間がさらに好ましい。
[重合体の物性]
(ガラス転移温度(Tg))
(A)重合体のTgの下限としては、80℃が好ましく、100℃がより好ましく、110℃がさらに好ましく、120℃が特に好ましい。上記Tgの上限としては、200℃が好ましく、180℃がより好ましく、175℃がさらに好ましく、170℃が特に好ましい。(A)重合体のTgを上記範囲とすることで、溶融成形をより容易に行うことができ、成形体をより簡便にコスト的により有利に得ることができる。
本明細書における重合体のTgは、例えばDSC測定装置(Rigaku社の「Thermo Plus DSC8230」を用いて得られたサーモグラムから算出した値である。
(屈折率(nD))
(A)重合体の屈折率の下限としては、1.60が好ましく、1.62がより好ましく、1.63がさらに好ましく、1.64が特に好ましい。上記屈折率の上限としては、例えば1.70である。
[アッベ数(νD)]
(A)重合体のアッベ数の上限としては、28が好ましく、27がより好ましく、25がさらに好ましく、24が特に好ましい。上記アッベ数の下限としては、例えば15であり、20が好ましい。
(A)重合体の屈折率が1.60以上、かつアッベ数が28以下であることで、レンズ、フィルム等の薄膜化及び高付加価値化を実現することが可能となる。
<成形体>
当該重合体は、溶融成形法、溶剤キャスト法等の成形方法により、成形して成形体とすることができる。当該重合体から光学部品の成形体を形成する場合、低複屈折性、機械強度及び寸法精度等の特性に優れた成形体を得るためには、成形方法としては溶融成形法が好ましい。溶融成形法としては、プレス成形法、押出成形法、射出成形法等が挙げられる。これらの中で、成形性及び生産性の観点から射出成形法が好ましい。
成形工程における成形条件は、使用目的又は成形方法により適宜選択されるが、射出成形法における重合体組成物の温度の下限としては、150℃が好ましく、180℃がより好ましく、200℃がさらに好ましい。上記温度の上限としては、400℃が好ましく、350℃がより好ましく、330℃がさらに好ましい。成形における重合体組成物の温度を上記範囲とすることで、成形体の熱分解及び黄変を効果的に抑制することができる。
当該重合体の成形体の用途としては、高屈折率、低アッベ数及び優れた低複屈折性の特性を利用した光学部品が好ましい。光学部品としては、例えば光ディスク、光学レンズ、プリズム、光拡散板、光カード、光ファイバー、光学ミラー、液晶表示素子基板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルム等が挙げられる。
<光学レンズ>
本発明の光学レンズは、当該重合体の成形体からなる。当該重合体は、特に光学レンズとして好適に用いることができる。当該光学レンズは、当該重合体を射出成形機又は射出圧縮成形機によってレンズ形状に射出成形することで得ることができる。光学レンズを得る際には異物の混入を極力避けるため、成形環境が低ダスト環境であることが好ましい。
当該光学レンズは、ピックアップレンズ、f−θレンズ、メガネレンズ等の各種レンズに使用することができる。当該光学レンズは、高屈折率及び低アッベ数であることから、色収差補正用レンズとして特に好適に使用することができる。具体的には、一眼レフカメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、カメラ付携帯電話、レンズ付フィルム、望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡、プロジェクター等のレンズとして好適に使用することができる。
当該光学レンズは、凸レンズ及び凹レンズのいずれであってもよい。当該光学レンズが凹レンズである場合には、他の高アッベ数の凸レンズと組み合わせて色収差の少ない光学レンズ系として好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。各物性値は、以下の方法により測定した。
[重量平均分子量(Mw)]
重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC装置(東ソー社の「HLC−8320型」)を使用し、下記条件で測定した。
カラム:東ソー社の「TSKgel α−M」と、東ソー社の「TSKgel gua
rdcоlumn α」とを連結したもの
展開溶媒:N−メチル−2−ピロリドンにLiBrを10mMの濃度になるよう添加したもの
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/分
試料濃度:0.33質量%
試料注入量:50μL
検出器:紫外可視吸光光度計
標準物質:単分散ポリスチレン
H−NMR分析]
重合体における各構造単位の含有割合を求めるためのH−NMR分析は、核磁気共鳴装置(日本電子社の「ECX400P」)を使用し、測定溶媒として重クロロホルムを用いて行った。
<重合体の合成>
[実施例1](重合体1の合成)
撹拌子を入れた300mLの2つ口フラスコに、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisOPPA)5.88g(15.5mmоl)及び塩基性化合物としての水素化ナトリウム(純度53.2%オイル分散体)1.53g(33.9mmоl)を仕込み、三方コック及び滴下ロートを取り付けた。フラスコ内を窒素置換したのち、滴下ロートに二塩化フェニルホスホン酸3.01g(15.4mmоl)を仕込んだ。2つ口フラスコ及び滴下ロートに蒸留精製したTHFをそれぞれ25mL及び5mL投入した。2つ口フラスコ内の混合物を還流下で30分間攪拌した。この混合物を0℃に冷却したのち、二塩化フェニルホスホン酸のTHF溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、滴下ロートをTHF5mLで洗浄し、洗浄液も反応混合物に滴下した。反応混合物を室温まで昇温し、2時間半反応させた。反応終了後、酢酸3.78g及びイオン交換水50gを投入して反応をクエンチした。クロロホルムでポリマーを抽出したのち、有機層を同体積のイオン交換水で3回洗浄した。得られた有機層を濃縮したのち、アセトン300mLに強攪拌下で投入した。得られた膨潤状態のポリマーをアセトン300mLで3回洗浄した。続いて、ポリマーをクロロホルムに再溶解させ、ヘキサン1Lに強攪拌下で投入し、白色繊維状の固体を得た。得られた固体をろ過で回収した後、100℃で真空乾燥し、下記式(P−1)で表される構造を有する重合体1を得た(収量3.19g、収率41.1%)。図1は、重合体1のH−NMRスペクトルを示すチャートである。
Figure 0006898610
[実施例2](重合体2の合成)
実施例1において、BisOPPAの代わりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisA)1.79g(7.8mmol)及び9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BisFL)2.74g(7.8mmol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、下記式(P−2)で表される構造を有する重合体2を得た(収量3.98g、収率62.0%)。
Figure 0006898610
[実施例3](重合体3の合成)
実施例1において、BisOPPAの代わりに、BisA1.66g(7.3mmol)及び1,1−ビ−2−ナフトール(BINOL)2.08g(7.3mmol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、下記式(P−3)で表される構造を有する重合体3を得た(収量0.99g、収率17.9%)。
Figure 0006898610
[実施例4](重合体4の合成)
実施例1において、BisOPPAの代わりに、BisA1.84g(8.1mmol)及び1,4−ジヒドロキシトリプチセン(TPHQ)2.33g(8.1mmol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、下記式(P−4)で表される構造を有する重合体4を得た(収量2.66g、収率43.3%)。
Figure 0006898610
[実施例5](重合体5の合成)
実施例1において、二塩化フェニルホスホン酸の代わりに、二塩化フェニルチオホスホン酸3.05g(14.4mmol)を用い、BisOPPAの代わりに、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BisC)3.74g(14.6mmol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、下記式(P−5)で表される構造を有する重合体5を得た(収量3.00g、収率52.4%)。
Figure 0006898610
[実施例6](重合体6の合成)
実施例5において、BisCの代わりに、BisA1.72g(7.5mmol)及びBisFL2.65g(7.6mmol)を用いた以外は、実施例5と同様にして、下記式(P−6)で表される構造を有する重合体6を得た(収量3.12g、収率48.4%)。
Figure 0006898610
[比較例1](重合体7の合成)
実施例1において、BisOPPAの代わりに、BisA3.49g(15.3mmol)及び末端封止剤としての2−フェニルフェノール(2−PhPhOH)0.0417g(0.24mmol)を用いた以外は、実施例1と同様にして、下記式(P−7)で表される構造を有する重合体7を得た(収量2.65g、収率49.4%)。
Figure 0006898610
[比較例2](重合体8の合成)
比較例1において、BisAの代わりに、BisFL5.08g(14.5mmol)を用いた以外は、比較例1と同様にして、下記式(P−8)で表される構造を有する重合体8を得た(収量4.58g、収率66.8%)。
Figure 0006898610
[比較例3](重合体9の合成)
4,4’−ビフェノール(4,4’−BP)2.85g(15.3mmol)、2−PhPhOH0.0231g(0.14mmol)、フェニルホスホン酸ジクロリド2.98g(15.3mmol)、1−メチルイミダゾール0.089g(1.1mmol)、トリエチルアミン6.5g(64.6mmol)及び塩化メチレン40mLを用い、J.Polym.Sci.Part A: Polym. Chem.,2001,39(17),2901−2910に記載の方法に従って重合し、下記式(P−9)で表される構造を有する重合体9を得た(収量3.75g、収率79.6%)。
Figure 0006898610
[比較例4](重合体10の合成)
比較例1において、二塩化フェニルホスホン酸の代わりに、二塩化フェニルチオホスホン酸3.23g(15.3mmol)を用いた以外は、比較例1と同様にして、下記式(P−10)で表される構造を有する重合体10を得た(収量3.54g、収率63.1%)。
Figure 0006898610
<評価>
実施例1〜6及び比較例1〜4の重合体1〜10について、下記方法に従いガラス転移温度(Tg)、屈折率(nD)、アッベ数(νD)及びゴム状態での応力光学係数(CR)を評価した。評価結果を表1に示す。
[ガラス転移温度(Tg)[℃]]
重合体のガラス転移温度は、DSC装置(Rigaku社の「Thermo Plus DSC8230」)を用いて得られたサーモグラムから算出した。DSC測定は、窒素下、昇温速度を20℃/分として行った。ガラス転移温度は、サーモグラムでのDSCの昇温曲線において、ベースラインと変曲点での接線との交点に対応する温度として算出した。変曲点は、サーモグラムのDDSC(DSCの微分値)曲線におけるピークに対応する温度とした。また、DSCのベースラインの確認には、適宜DDSC曲線を参照した。
ガラス転移温度(Tg)は、80℃以上180℃以下である場合は「良好」と、80℃未満又は180℃を超える場合は「不良」と評価できる。
[屈折率(nD)[−]及びアッベ数(νD)[−]]
重合体を適量の塩化メチレンに溶解させたものをガラス板上にキャスト成膜し、常温常圧下にて一晩乾燥させた。次いで真空乾燥機にて残存塩化メチレンを除去し、重合体のフィルムを得た。これらのフィルムの屈折率を、プリズムカプラ(Metricon社の「モデル2010」)にて測定した。屈折率は、408nm、633nm、828nmの3波長にて測定し、Cauchyの式を用いてD線(589nm)での屈折率(nD)を求めた。F線(486nm)及びC線(656nm)の屈折率についても同様にして求め、アッベ数(νD)を算出した。
屈折率(nD)は、1.60以上である場合は「良好」と、1.60未満の場合は「不良」と評価できる。
アッベ数(νD)は、28.0以下である場合は「良好」と、28.0を超える場合は「不良」と評価できる。
[応力光学係数(CR)[10−9Pa−1]]
ゴム状態での応力光学係数(CR)は、公知の方法(Polymer Journal、Vol.27,No.9,943−950,1995)により求めた。上記屈折率評価用に成膜したフィルムを短冊状に切り出し、数種類の荷重をかけ、Tg+20℃の温度条件下にて加熱延伸し、荷重をかけたままゆっくりと冷却した。フィルムに加えた応力と、生じた複屈折(測定波長598nm)との関係を求め、その比例係数をCRとした。複屈折の測定には大塚電子社の「RETS100」を用いた。また、CRの正負は、上記得られた延伸フィルムと、ポリカーボネートの延伸フィルム(CRが正)とを延伸方向同士が平行又は垂直になるように重ねてリターデーション値を測定することにより評価した。測定したリターデーション値が平行に重ねた方が垂直に重ねた場合より大きいとき、CRは正であり、垂直に重ねた方が平行に重ねた場合より大きいとき、CRは負である。
CRは、絶対値(|CR|)が10−9Pa−1以下である場合は「良好」と、10−9Pa−1を超える場合は「不良」と評価できる。
Figure 0006898610
表1から明らかなように、実施例1〜6の重合体は、ガラス転移温度(Tg)、屈折率(nD)、アッベ数(νD)及び複屈折(CR)の評価において良好な結果が得られた。
本発明の重合体は、高屈折率及び低アッベ数であり、低複屈折性に優れ、かつ溶融成形容易なガラス転移温度を有する。従って、本発明の重合体によれば、高屈折率及び低アッベ数であり、低複屈折性に優れる成形体を簡便かつコスト的に有利に得ることができる。また、本発明の光学レンズは、高屈折率、低アッベ数及び優れた低複屈折性の特性を有している。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される第1構造単位と、下記式(2−1)又は(2−2)で表される第2構造単位とを有し、
    ゴム状態での応力光学係数の絶対値が1.0×10−9Pa−1以下である重合体。
    Figure 0006898610
    (式(1)中、Xは、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子である。Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。)
    Figure 0006898610
    (式(2−1)中、Zは、それぞれ独立して、−O−又は−S−である。R及びRは、それぞれ独立して、メチレン基又は炭素数2〜4のアルキレン基である。a及びbは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。aが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。bが2の場合、2つのRは、同一でも異なっていてもよい。cは、0〜2の整数である。Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、ニトロ基又はシアノ基である。dは、0〜8の整数である。dが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合してこれらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。)
    Figure 0006898610
    (式(2−2)中、R及びRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1〜20の1価の炭化水素基、炭素数1〜20の1価のハロゲン化炭化水素基、ニトロ基又はシアノ基である。e及びfは、それぞれ独立して、0〜8の整数である。eが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合してこれらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。fが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよく、これらの基のうちの2つ以上が互いに結合してこれらが結合する炭素鎖と共に環員数4〜20の環構造を形成していてもよい。g及びhは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。Lは、単結合、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−又は炭素数1〜20の2価の有機基である。yは、0〜2の整数である。yが2の場合、2つのgは同一でも異なっていてもよく、2つのLは同一でも異なっていてもよい。Rが複数の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。Zは、それぞれ独立して、−O−又は−S−である。R及びRは、それぞれ独立して、メチレン基又は炭素数2〜10のアルキレン基である。i及びjは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。iが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。jが2の場合、2つのRは同一でも異なっていてもよい。)
  2. 上記式(1)におけるRが炭素数6〜20の芳香族炭化水素基である請求項1に記載の重合体。
  3. ポリスチレン換算重量平均分子量が2,000以上300,000以下である請求項1又は請求項2に記載の重合体。
  4. ガラス転移温度が80℃以上180℃以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の重合体。
  5. アッベ数が28以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の重合体。
  6. 屈折率が1.60以上である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の重合体。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の重合体の成形体からなる光学レンズ。
JP2017031554A 2017-02-22 2017-02-22 重合体及び光学レンズ Active JP6898610B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017031554A JP6898610B2 (ja) 2017-02-22 2017-02-22 重合体及び光学レンズ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017031554A JP6898610B2 (ja) 2017-02-22 2017-02-22 重合体及び光学レンズ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018135470A JP2018135470A (ja) 2018-08-30
JP6898610B2 true JP6898610B2 (ja) 2021-07-07

Family

ID=63366640

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017031554A Active JP6898610B2 (ja) 2017-02-22 2017-02-22 重合体及び光学レンズ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6898610B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115725063B (zh) * 2022-11-18 2024-02-23 拓烯科技(衢州)有限公司 一种聚碳酸酯及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018135470A (ja) 2018-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5358115B2 (ja) 脂環式構造及びペルフルオロシクロブチルエーテル構造を有するポリマー
TW201920352A (zh) 熱塑性樹脂及光學構件
JP7082872B2 (ja) 高耐熱性ポリカーボネート樹脂及び成形体
JP6432156B2 (ja) 重合体組成物、重合体ペレット、成形体及びフィルム
JP2015209510A (ja) 重合体
JP7465956B2 (ja) 熱可塑性樹脂および光学部材
WO2021014962A1 (ja) 熱可塑性樹脂及びそれを含む光学部材
Nakabayashi et al. Synthesis and characterization of poly (phenylene thioether) s containing pyrimidine units exhibiting high transparency, high refractive indices, and low birefringence
TW202334069A (zh) 熱可塑性樹脂及光學構件
JP6898610B2 (ja) 重合体及び光学レンズ
JP6202004B2 (ja) ポリホルマール樹脂共重合体及び製造方法
JP2003252945A (ja) フッ素化ポリマー
JP2014101425A (ja) 籠型シルセスキオキサン、架橋籠型シルセスキオキサン、およびそれを有する光学素子
WO2023074471A1 (ja) 熱可塑性樹脂および光学部材
JPWO2019208441A1 (ja) 重合体、成形体及び物品
JPWO2016152295A1 (ja) 重合体、樹脂組成物及び樹脂成形体
WO2002072670A1 (fr) Elements optiques et (co)polymere poly(thio)ester contenant du soufre
JP2015054946A (ja) 樹脂成形体、フィルム・レンズ、透明導電フィルム、樹脂組成物、重合体
JP6102637B2 (ja) 芳香族ジハライド化合物、重合体、重合体組成物及び成形体
WO2022190800A1 (ja) 熱可塑性樹脂および光学部材
JP2002201262A (ja) ポリカーボネート樹脂、及びそれを含んで構成される光学部品
WO2022244451A1 (ja) ポリエーテル系樹脂ならびにその製造方法および用途
JP5759302B2 (ja) 脂環式構造及びトリアジン構造を含む重合体、並びに当該重合体を含んでなる透明材料
JP3960841B2 (ja) ポリ(チオ)エステル重合体およびその用途
KR20150102699A (ko) 광학 재료용 비결정성 중합체, 수지 조성물, 수지 펠릿 및 수지 성형체

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210511

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210603

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6898610

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533