2.2 関連技術の説明
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2011。
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。これは睡眠時の異常に小さな上気道および舌領域における筋緊張の正常欠損、軟口蓋および後口咽頭壁の組み合わせに起因する。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30〜120秒にわたり、ときには一晩に200〜300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。米国特許第4、944、310号(Sullivan)を参照されたい。
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CCRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。米国特許第6,532,959号(Berthon−Jones)を参照されたい。
呼吸不全とは、呼吸器障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
2.2.2 治療法
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を回避する。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
2.2.3 治療システム
これらの治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、症状を治療することなく診断するためにも、用いられ得る。
治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
別の形態の治療システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
2.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域との密閉部を形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、雰囲気圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、適応性の低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者の承諾が低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者の承諾に影響が出る場合がある。
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
2.2.3.1.1 シール形成部分
患者インターフェースは、シール形成部分を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成部分の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
患者インターフェースは、使用時にシール形成部分を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、各左鼻孔および右鼻孔と係合する2つのサブ部分を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻梁領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、使用時に例えば顔の下唇領域上に密閉を形成することにより口腔領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成部分は、使用時に双方の鼻孔および口腔領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成部分は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の額上に載置される水泳用ゴーグルの密閉部は、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
特定のシール形成部分は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。密閉部を形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成部分との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
1つの種類のシール形成部分は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成部分が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成部分は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のある密閉要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成部分により、フィット感が不適切である場合、シール形成部分と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
別の種類のシール形成部分は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成部分の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
別の種類のシール形成部分は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらのシール形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
別の形態のシール形成部分は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
一定範囲の患者インターフェースシール形成部分の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:WO1998/004、310;WO2006/074、513;WO2010/135、785)に開示がある。
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan−Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4、782、832号(Trimbleら)の主題になっている。
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(登録商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの実施例についての記載がある:国際特許出願WO2004/073、778号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);国際特許出願WO2005/063、328号およびWO2006/130、903号(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイスマスクの様相を記載);国際特許出願WO2009/052、560号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
2.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成部分は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成部分を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、米国特許出願公開US2010/0000534号を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模通気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の実施例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(登録商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的呼吸のための補助を提供し得る。
ResMed Elisee(登録商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(登録商標)人工呼吸器は、複数の状態の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的呼吸の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積通気モードおよび気圧通気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
2.2.3.3 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。一定範囲の人工的加湿機器およびシステムが公知であるが、医療加湿器の特殊な要件を満たせていない。
医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。枕元に置かれる医療加湿器は、小型である場合がある。医療加湿器は、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者体内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムの場合、部屋全体も加湿および/または加熱するため、占有者にとって不快になり得る。さらに、医療加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
多数の医療加湿器が公知であるものの、このような医療加湿器の場合、1つ以上の欠陥を被り得る。すなわち、このような医療加湿器の場合、加湿が不適切なものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
2.2.3.4 データ管理
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを特定の「コンプライアンスルール」に則っている)かを決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
2.2.3.5 下顎の再位置決め
下顎再位置決めデバイス(MRD)または下顎前方固定デバイス(MAD)は、睡眠時無呼吸およびいびきの治療選択肢の1つである。これは、歯科医または他の供給業者から利用可能である調節可能な口腔用器具であり、下顎部(下顎)を睡眠時に前方位置に保持する。MRDは、取り外し可能なデバイスであり、患者の睡眠前に口腔内に挿入され、睡眠後に取り外される。そのため、MRDは、常時装着用途を想定した設計はされていない。MRDは、カスタム仕様にしてもよいし、あるいは、標準形態で製造してもよく、患者の歯に適合するように設計された咬合印象部位を含む。この下顎からの機械的突出部は、舌の後ろ側の空間を拡張させ、咽頭壁上へ張力を付加して、気道崩壊を低減させ、口蓋振動を低減させる。
特定の実施例において、下顎前方固定デバイスは、上顎または上顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された上側スプリントと、上顎または下顎上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された下側スプリントとを含み得る。上側スプリントおよび下側スプリントは、一対の接続ロッドを介して相互に横方向に接続される。この1組の接続ロッドは、上側スプリントおよび下側スプリント上において対称に固定される。
このような設計において、接続ロッドの長さは、MRDが患者の口腔中に配置されたときに下顎が前方位置に保持されるように、選択される。接続ロッドの長さは、下顎の突出レベルを変化させるように、調節され得る。歯科医は、突出レベルを下顎に合わせて決定することができ、その結果、接続ロッドの長さが決定される。
下顎を上顎骨に対して前方に押し出すように構成されているMRDもあれば、ResMed Narval CC(登録商標)MRDなどの他のMADのように、下顎を前方位置に保持するように設計されているものもある。このデバイスにより、歯科的副作用および側頭/下顎間の関節(TMJ)の副作用も低下または最小化される。そのため、このデバイスは、歯のうち1つ以上の任意の移動を最小化または回避するように構成される。
2.2.3.6 通気技術
いくつかの形態の治療システムは、吐き出された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)への流れが可能になり得る。この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:国際特許出願公開第WO1998/034、665;国際特許出願公開第WO2000/078、381;米国特許第6、581、594号;米国特許出願公開第US2009/0050156;米国特許出願公開第2009/0044808。
2.2.4 診断システムおよび監視システム
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺疾患の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図描画法(EMG))を記録するために、典型的には15〜20個の接触覚センサーを人体上に配置する。睡眠時呼吸障害のPSGのめには、患者を専門病院において二晩にわたって観察する必要があった。すなわち、第一夜は純然たる診断のためであり、第二夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションのために必要であった。そのため、PSGは高コストであり、利便性も低い。PSGは、家庭における睡眠テストには特に不向きである。
臨床専門家は、患者の診断または監視をPSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家が居ないまたは臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の状態について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。さらに、或る臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
5 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
5.1 治療
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
5.2 治療システム
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る(例えば、図1A〜1Cを参照されたい)。
5.3 患者インターフェース
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能様態を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気孔3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
図4〜図28は、本技術の一態様による非侵襲的な患者インターフェース6000を示す。非侵襲的な患者インターフェース6000は、フレームアセンブリ6100、シール形成構造6200を含むクッションアセンブリ6175と、空気送達コネクタ(例えば、エルボーアセンブリ6600)と、位置決めおよび安定化構造(例えば、ヘッドギア6800)とを含む。図4および図5は、(フレームアセンブリ6100の上側アーム6134のためのアームカバー6750が取り付けらた状態の)患者の頭部上の患者インターフェース6000の例示的図であり、図6〜図10は、ヘッドギア6800およびアームカバー6750が除去された状態の患者インターフェース6000の例示的図である。使用時において、シール形成構造6200の一形態は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者1000の気道の入口を包囲するように配置される。(例えばシリコーン製の)シール形成構造6200は、クッションとも一般的に呼ばれ得る。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。
本技術の一形態において、フレームアセンブリ6100は、中間コンポーネントとしてクッションアセンブリ6175およびエルボーアセンブリ6600へ接続する。すなわち、クッションアセンブリ6175は、エルボーアセンブリ6600(図11を参照)から独立して(フレームアセンブリ上の第1の保持特徴部を介して)フレームアセンブリ6100へ接続し、エルボーアセンブリ6600は、クッションアセンブリから独立して6175(図12を参照)(フレームアセンブリ上の第2の保持特徴部を介して)フレームアセンブリ6100へ接続する。しかし、空気流路のシールが、エルボーアセンブリ6600とクッションアセンブリ6175との間に形成される(すなわち、フレームアセンブリ6100は、空気流路内に無い(例えば、図13および図14を参照))。あるいは、空気流路のための第1のシールは、エルボーアセンブリ6600とフレームアセンブリ6100との間に形成され得、別個の第2のシールは、フレームアセンブリ6100とクッションアセンブリ6175との間に形成され得る。この場合、フレームアセンブリ6100は、空気流路内に残り得る。クッションアセンブリ6175およびエルボーアセンブリ6600のフレームアセンブリ6100への保持接続は別個であり、相互に区別されるため、独立した係合/係合解除を可能にする。すなわち、例えば、コンポーネント間の接続解除時において、これらのコンポーネントのうち、フレームアセンブリ6100は、クッションアセンブリ6175またはエルボーアセンブリ6600のうちいずれかへ接続されたままであり得る。例えば、このような配置構成により、フレームアセンブリ6100とエルボーアセンブリ6600との間の接続を維持しかつ、エルボーアセンブリ6600をフレームアセンブリ6100から接続解除する能力も維持しつつ、クッションアセンブリ6175を(例えば、クッションサイズを変更するために)フレームアセンブリ6100から接続解除することが可能になる。
図示の実施例において、本技術の患者インターフェース6000のシール形成構造6200は、使用時においてヘッドギア6800によって密閉位置において保持され得る。図4および図5に示すように、ヘッドギア6800は患者の頭部の頭頂部を封入する円形の頭頂部ストラップ6806へ接続された上側ストラップ6802および一対の下側ストラップ6804を含む。上側ストラップ6802は、フレームアセンブリ6100の上側ヘッドギアコネクタ6130へ、下側ストラップ6804は、フレームアセンブリ6100の下側ヘッドギアコネクタ6150へ、例えばヘッドギアクリップ6160を介して接続する。サイドストラップ6802および6804は、接続および/または調節を促進するために、調節可能なフックアンドループ(ベルクロ(登録商標)接続機構(例えば、ベルクロ(登録商標)のようなフックタブ)を含み得る。
図59〜図100は、本技術の別の実施例による患者インターフェース16000を示す。患者インターフェースは、フレームアセンブリ16100と、シール形成構造16200を含むクッションアセンブリ16175と、空気送達コネクタ(例えば、エルボーアセンブリ16600)と、位置決めおよび安定化構造(例えば、上側ストラップ16802、下側ストラップ16804および頭頂部ストラップ16806を含むヘッドギア16800)とを含む。図59〜図61は、フレームアセンブリ16100の上側アーム16134のためのアームカバー16750が取り付けられた患者インターフェース16000の例示的図である。図62〜図68は、ヘッドギア16800およびアームカバー16750が除去された状態の患者インターフェース16000の例示的図である。
上記した実施例と同様に、クッションアセンブリ16175は、エルボーアセンブリ16600(図67を参照)から独立して(フレームアセンブリ上の第1の保持特徴部を介して)フレームアセンブリ16100へ接続する。エルボーアセンブリ16600は、クッションアセンブリ(図68を参照)16175から独立して(フレームアセンブリ上の第2の保持特徴部を介して)フレームアセンブリ16100へ接続する。すなわち、クッションアセンブリ16175およびエルボーアセンブリ16600のフレームアセンブリ16100への保持接続は、別個でありかつ区別することができるため、独立的な係合/係合解除が可能である。
患者インターフェース16000の実施例において、空気流路のための第1のシールがエルボーアセンブリ16600とフレームアセンブリ16100との間に形成され、別個の第2のシールがフレームアセンブリ16100とクッションアセンブリ16175との間に形成される。本実施例において、フレームアセンブリ16100は、空気流路内に設けられる。すなわち、エルボーアセンブリ16600は、フレームアセンブリ16100との硬質間接続および動的シールを確立するような構造にされ、クッションアセンブリ16175は、フレームアセンブリ16100と別個の硬質間接続および静的シールを確立するような構造にされる。
また、患者インターフェース16000の実施例において、フレームアセンブリ16100は、開口部16105に沿って、空気回路4170(例えば、空気送達管)の直接的接続または挿入を回避するような構造および配置にされたロックアウト機能を含む。この配置構成の場合、フレームアセンブリ16100および空気回路4170を相互接続させるためのエルボーアセンブリ16600の使用が必要になるため、これにより、エルボーアセンブリ16600(およびその通気および窒息防止弁(AAV))が確実にシステム中に存在する。
図4〜図28および図59〜図100に示す実施例において、患者インターフェースは、フルフェイス/口腔鼻インターフェース型であり、患者の鼻および口腔周囲にシールを形成するような構造にされる。シール形成構造6200を含む。しかし、本技術の態様は、他の適切なインターフェース型(例えば、鼻インターフェース、鼻カニューレ)との使用に適合され得る。
例えば、図29〜図54Cは、本技術の別の態様による非侵襲的な患者インターフェース7000を示す。本実施例において、患者インターフェースは、鼻インターフェース型であり、患者の鼻周囲にシールを形成するような構造にされたシール形成構造7200を含む。患者インターフェース7000は、フレームアセンブリ7100と、シール形成構造7200を含むクッションアセンブリ7175と、エルボーアセンブリ7600と、位置決めおよび安定化構造(例えば、ヘッドギア7800)とを含む。上記と同様に、クッションアセンブリ7175は、エルボーアセンブリ7600(例えば、図35を参照)から独立してフレームアセンブリ7100へ接続し、エルボーアセンブリ7600は、クッションアセンブリから独立して7175(例えば、図36を参照)フレームアセンブリ7100へ接続する。本実施例において、空気流路に対するシールは、エルボーアセンブリ7600とクッションアセンブリ7175(例えば、図37および図38を参照)との間に形成される。
フレームアセンブリ
図18〜図26中に最良に示すように、フレームアセンブリ6100は、シュラウドまたは壁部材6110と、シュラウド6110の上部へ設けられた上側ヘッドギアコネクタ6130と、シュラウド6110の下部へ設けられた下側ヘッドギアコネクタ6150とを含む。フレームアセンブリ6100は、クッションアセンブリ6175とエルボーアセンブリ6600との間に接続を提供し、クッションアセンブリ6175とヘッドギア6800との間に接続も(例えば、取り外し可能な様態またはより恒久的な様態で)提供して、密閉力をヘッドギア6800からクッションアセンブリ6175へ移動させる。図示の実施例において、上側ヘッドギアコネクタ6130および下側ヘッドギアコネクタ6150は、4点接続をヘッドギア6800へ提供する。
シュラウド6110(例えば、比較的硬質のプラスチック(例えば、ポリカーボネート)で構成されたもの)は、開口部6105を含む。開口部6105を通じて、エルボーアセンブリ6600がクッションアセンブリ6175と密閉的に係合する(例えば、図13および図14を参照)。
図示の実施例において、開口部6105は、シュラウド6110の前方または前側から前方に突出する環状フランジ6115と境界を接する。フランジ6115は、自身の自由端に沿ってリム6117を含む。リム6117は、エルボーアセンブリ6600とインターフェースをとるような構造にされた円形の導管6120を規定する。
シュラウド6110の後部または後側は、開口部6105の周囲に間隔を空けて配置された複数のバネアーム6125(例えば、3個、4個、5個、またはそれ以上のバネアーム)を含む。バネアーム6125はそれぞれ、反矢じり端を含む。反矢じり端は、クッションアセンブリ6175との機械的インターロック(例えば、スナップ嵌め接続)を提供するような構造にされる。
別の実施例において、図75〜図100に最良に示すように、フレームアセンブリ16100は、シュラウドまたは壁部材16110と、シュラウド16110の上部の各側部から延びる一対の(すなわち、右および左の)上側ヘッドギアコネクタアーム16134(それぞれ、2つの可撓性部16140および16145を含む)と、シュラウド16110の下部の各側部から延びる一対の(すなわち、右および左の)下側ヘッドギアコネクタアーム16154とを含む。
図示の実施例において、(例えば、ポリカーボネートなどの比較的硬質のプラスチック材料によって構成された)シュラウド16110の開口部16105は、外側環状フランジ16115および内側環状フランジ16125と境界を接する。
外側環状フランジ16115は、シュラウド16110の前方または前側から前方に突出する。フランジ16115は、エルボーアセンブリ16600とインターフェースをとるような構造にされた円形の導管16120を規定するリム16117を自身の自由端に沿って含む。
内側環状フランジ16125は、シュラウド16110の後部または後側から後方に突出する。フランジ16125は、複数のタブまたはキャッチ16127を自身の周辺(例えば、図70、図76、図84、図86および図88を参照)に沿って含む。すなわち、例えば2個、3個、個4以上のタブが、フレームアセンブリ16100をクッションアセンブリ16175へ解放可能に接続させるように、クッションアセンブリ16175との機械的インターロック(例えば、スナップ嵌め接続)を提供するような構造にされる。図示の実施例において、タブ16127は、フランジの上側および下側(すなわち、北側および南側)に設けられるが、別の配置構成も可能である(例えば、タブがフランジ前方および後方(すなわち、東側および西側)へ設けられる)。
加えて、ラジアル方向に内方に延びる隆起16400が、フランジ16125から開口部16105中へ延びる。以下により詳細に述べるように、隆起16400は、エルボーアセンブリ16600がフレームアセンブリ16100内へ過度に挿入される事態を回避するための停止部として機能する。また、隆起16400は、エルボーアセンブリ16600との動的面シールも提供する。
また、隆起16400は、複数の突起16405を自身の周辺に沿って含む(例えば、2個、3個、4個以上の突起)。これらの突起16405は、ロックアウト機能を開口部16105に沿って提供して、空気回路4170(例えば、空気送達管)がフレームアセンブリ16100へ直接接続または挿入される事態を回避するような構造にされる。この配置構成により、フレームアセンブリ16100および空気回路4170の相互接続の際にエルボーアセンブリ16600(およびその通気および窒息防止弁(AAV))が用いられることが確実になる。
図示の実施例において、複数の突起16405は、(開口部16105を通じて流れる流れからの)ノイズと、空気送達(患者への)入口流れ)に対するインピーダンスと、CO2吐出(エルボーアセンブリ16100の通気に対する出口流れ)とに対する影響がほとんど無くなるような構造および配置にされる。
鼻インターフェースの実施例(例えば、図42〜図49を参照)において、フレームアセンブリ7100は、シュラウド7110と、ヘッドギア7800に対して4点接続を提供するようにシュラウド7110へ設けられたヘッドギアコネクタ7130とを含む。シュラウド7110(例えば、比較的硬質のプラスチック材料(例えば、ポリカーボネート)製のもの)は、エルボーアセンブリ7600と係合するような構造にされた環状縁を提供する開口部7105を含む。シュラウド7110の後部または後側は、複数のロッキングタブロッキングタブまたはバネアーム7125(例えば、2個、3個、4個、5個以上のタブまたはバネアーム)を含む。これらのロッキングタブロッキングタブまたはバネアーム7125は、開口部7105の周囲に間隔を空けて配置され、機械的インターロック(例えば、スナップ嵌め接続)をクッションアセンブリ7175へ提供するような構造にされる。
上側および下側ヘッドギアコネクタ
上側ヘッドギアコネクタ6130は、シュラウド6110の上部へ設けられたシュラウド接続部6132と、一対の(すなわち、右および左の)硬化された上側ヘッドギアコネクタアーム6134(それぞれ、2つの可撓性部6140および6145を含む)とを含む。これらの上側ヘッドギアコネクタアーム6134は、シュラウド接続部6132の各側部から延び、ヘッドギアの各上側ヘッドギアストラップへ接続するような構造にされる。下側ヘッドギアコネクタ6150は、シュラウド6110の下部へ設けられたシュラウド接続部6152と、一対の(すなわち、右および左の)下側ヘッドギアコネクタアーム6154とを含む。これらの下側ヘッドギアコネクタアーム6154は、シュラウド接続部6152の各側部から延び、ヘッドギアの各下側ヘッドギアストラップへ接続するような構造にされる。
図示の実施例において、各上側ヘッドギアコネクタアーム6134は、ヘッドギアの各上側ヘッドギアストラップ6802を受容するような構造にされたスロット6135の形態の上側ヘッドギア接続点を含む。図示の実施例において、各下側ヘッドギアコネクタアーム6154は、下側ヘッドギア接続点を含む。下側ヘッドギア接続点は、磁気コネクタ6155の形態をとり、ヘッドギアの各下側ヘッドギアストラップ6804へ設けられたヘッドギアクリップ6160と関連付けられた磁石6162を配置および接続するような構造にされる。しかし、上側ヘッドギアコネクタアーム6134および下側ヘッドギアコネクタアーム6154は、ヘッドギアのヘッドギアストラップへ他の適切な手段で接続され得ることが理解されるべきである。
上側ヘッドギアコネクタアーム6134はそれぞれ、トーション(ねじれ)に耐えるように構造的にリジッドであり、多様な顔プロファイルに順応するように中央可撓性部6140および周辺可撓性部6145をそれぞれ含む。各アーム6134の中央可撓性部6140は、シュラウド6110およびシュラウド接続部6132の近位置へ配置される。各アーム6134の周辺可撓性部6145は、上側ヘッドギア接続点6135と、中央可撓性部6140との間に配置される。中央可撓性部6140は、第1のリジッド部6143によって周辺可撓性部6145から分離される。周辺可撓性部6145は、第2のリジッド部6147によって上側ヘッドギア接続点6135から分離される。
各上側アーム6134は、患者の視界を妨げないように眼と耳との間に上方方向に延びて曲線状になり、ヘッドギア取付点(例えば、スロット6135)を配置して、上側ヘッドギアストラップが上方に延び、患者の耳を避けるようにし、フランクフルト水平線に対して概して平行に延びる力ベクトルを提供する(例えば、図4および図5を参照)。
上側アーム6134は、顔プロファイルに順応するように、(顔面に対して直角に)曲線状にもされる。例えば、アームは、頬骨の曲率に概して整合しかつこめかみ上への負荷を回避する。
上側アーム6134は、自身の所定の形状を維持するように変形に耐えるように硬化され、これにより、フレームアセンブリ6100がヘッドギア取付点を同じ位置に配置して、これにより、ヘッドギア張力力が圧縮力に変換されて上側アームと顔が接触して不快感を生じさせる事態が回避される。
また、上側アーム6134は硬化されているため、ヘッドギアストラップから発生し得る張力に耐えて、アームのねじれを回避する。
一実施例において、上側アームは硬化または補強されているため、事前形成された(ぺらぺらではない)3D形状を維持する。この3D形状は、顔プロファイルに順応することかつヘッドギア取付点を適切な位置に配置するような構造にされる。各上側アームは、特定の方位における剛性または剛直性を持つため、自身の事前形成された形状を維持する。これらの上側アームは、顔に対して近位および遠位方向において抵抗が弱まる(すなわち、剛直性または剛性が弱まる)構造になっているため、多様な顔幅に適合する。これらの上側アームは、ヘッドギアストラップから付加される張力下において実質的に変形しないように硬化されているため、ヘッドギアストラップとクッションアセンブリとの間の仲介物として機能して、ヘッドギアストラップからの張力をシール形成構造上へ付加される圧縮力へ変換して、顔上のシールおよび安定性を可能にする。これらの上側アームは、適切な力ベクトルをシェルを介してシール形成構造上へ付加するような形状にもされて、安定しかつ快適なシールを提供する。一実施例において、シール形成構造は、(顔内へ再度直接牽引される)フランクフォート水平面とも並んだ適切な圧縮力下において顔内に牽引される。
一実施例において、上側アームは硬化されているため、ねじれ下における変形に耐えるようにねじれ剛性を提供する。これらの上側アームは、顔に沿って垂直方向に上下方向の屈曲変形にも耐える(すなわち、耳の上方において正しい高さに留まる。しかし、上側アームは、所定の変形レベルを提供するような構造にもされるため、屈曲が可能になり(顔に対して近位方向および遠位方向における屈曲が可能になり)、多様な顔幅に対して調節が可能になる。加えて、上側アームは、この方位において伸縮性/弾性があるため、上側アームが元の位置に戻ることが可能になる。このような特徴部により、ヘッドギアストラップを締める際に発生する張力の一部が可撓性によって吸収されることにより、フレームアセンブリから顔へかかる負荷/力が最小になるため、不快感が回避され得る。いくつかの位置において、上側アームは、顔との接触を回避するために実質的に剛性/剛直性も提供し得、これらのアームは、ヘッドギア張力から顔への屈曲変形または圧縮に耐える支柱として機能し得る。逆に、他の位置において、アームの可撓性により、(例えば、患者が横向きに寝ているときの)側方負荷からの張力または圧縮下においてアームが圧壊することが可能になるため、患者インターフェース上へ側方負荷がかかる。これらのアームは、側方負荷から付加される圧縮力を吸収し得、シール形成構造が押し退けられる事態を回避する。このような可撓性により、顔に対する順応性も増すため、快適性が増し、側方負荷からのシール不安定性も回避される。
中央可撓性部6140は、各アーム6134が撓んで(患者間の)多様な顔幅に適合することが可能なように、構成される。例えば、幅広の顔については、中央可撓性部6140により、アーム6134が顔から離隔方向において外方に相互に離隔するように撓むことが可能になり、幅狭の顔については、中央可撓性部6140により、アーム6134は顔に対して近接方向において相互に近接方向に撓むことができる。図示の実施例において、各アームの中央可撓性部6140は、ヒンジを形成する(前方側の)単一のスロット6141を含む。
スロット6141は、アームの位置および可撓性特性を改変するための他の適切な配置構成および構成を含み得る(例えば、1つよりも多くのスロット、アームの片側または両側のスロット(前側および/または後側)、スロット間の間隔、アーム上のスロットの幅、深さ、方位または角度)ことが理解されるべきである。一実施例において、スロット6141には、可撓性材料が充填され得る。別の実施例において、ヒンジは、複数の異なる方法によって提供され得る(例えば、より肉薄の断面または可撓性材料ジョイントの使用)。
第1のリジッド部6143および第2のリジッド部6147は、アーム6134が所定の形状を支持するための構造的剛性を提供する。
周辺可撓性部6145は、各アーム6134が多様な曲率またはユーザの顔のプロファイルに順応する(例えば、患者間の頬の違いに順応する)ように構成される。例えば、周辺可撓性部6145は、ユーザの頬骨上方の頬の幅およびプロファイルに順応するように連節化される。図示の実施例において、各アーム6134の周辺可撓性部6145は、複数のスロット6146を(アームの各側上に(アームの前側および後側上のすなわち、スロット))含み、これにより、頬領域上に複数のヒンジを形成する。これらのヒンジにより、例えば全く撓みの無いリジダイザアームと比較して、アーム6134が連節化し、頬領域の微細な差違に順応し、顔上への負荷をより均等にヘッドギア張力上へ分配することができる。
図示の実施例において、スロット6146は、概して相互に平行に設けられ、相互に概して均等に間隔を空けて配置され、アームの厚さ中へ同様の幅および深さを含む。しかし、スロット6146は、アーム6134の位置および可撓性特性を変更するための他の適切な配置構成および構成を含み得る(例えば、スロット数、アームの片側または両側上のスロット(前側および/または後側)、スロット間の間隔、幅、深さ、アーム上のスロット方位または角度(例えば、異なる方位において屈曲を可能にするように相互に角度を付けられたスロット))ことが理解されるべきである。一実施例において、スロット6146のうち1つ以上に、可撓性材料が充填され得る。別の実施例において、ヒンジは、剛性セグメントによって間隔を空けて配置された(材料による)複数の可撓性部分により提供され得る。
別の実施例において、上側ヘッドギアコネクタアーム6134は、自身の可撓性特性を変化させる(例えば、1個、2個または3個以上の可撓性部)ために、任意の適切な数の可撓性部を自身の長さに沿って含み得ることが理解されるべきである。
図示の実施例において、不快感を最小限にするために、上側アーム6134は、平滑かつ曲線状の表面プロファイルを持ち得、これにより、負荷が分散され、これらのアームを(負荷集中または顔への突き刺さり無く)顔上において揺動させることができる。例えば、図26に示すように、各上側アーム6134は、接触時の感触向上のため、概して菱形状の断面(例えば、いずれかの側において概して平坦かつ若干半球状の形状)を含み得る。
一実施例において、下側ヘッドギアコネクタアーム6154は、上側ヘッドギアコネクタアーム6134よりも比較的可撓性が高い(例えば、下側ヘッドギアコネクタアーム6154は、トーションに対する抵抗が小さいため、ヘッドギアの下側ヘッドギアストラップと共にねじれ得る)。このような可撓性により、下側アーム6154がねじれて下側ヘッドギアストラップと共に回転し、これにより、これらの力の下において保持特徴部が強制的に接続解除される事態を回避する(すなわち、下側アームの下側ヘッドギアストラップとの接続が維持される)。
各下側アーム6154は、磁気コネクタ6155(例えば、容器入り磁石)を含む。この磁気コネクタ6155は、ヘッドギアの各下側ヘッドギアストラップへ設けられたヘッドギアクリップ6160を配置および接続するような構造にされる。磁気コネクタ6155は、レセプタクル6156も提供する。レセプタクル6156により、ヘッドギアストラップの張力からの接続解除に耐えるだけの対応する突出部(例えば、ヘッドギアクリップ6160の磁石6162によって提供されるもの)の挿入および保持が可能になる。この保持により、ヘッドギアクリップ6160を各下側アーム6154に相対して回転させつつ、接続を維持することが可能になる。すなわち、ヘッドギアクリップ6160の突出部/磁石6162および磁気コネクタ6155のレセプタクル6156は、相対的回転を可能にする対応する円筒形状を含む。これらの磁石は、突出部/磁石6162部材のレセプタクル6156中への係合を介して係合を維持するためにヘッドギアクリップを正しい位置に配置するために用いられる。
上側アーム6134および下側アーム6154は、各シュラウド接続部6132および6152を介してシュラウド6110へ接続される。図示の実施例において、上側アーム6134および下側アーム6154は、シュラウド6110へ恒久的に接続される(例えば、コモールド、オーバーモールド)。図示のように、各シュラウド接続部6134および6154は、複数のピン6133および6153を含む。これらは、シュラウド6110へ設けられた各開口部6113および6114中に受容される。これらは、成形プロセス(例えば、図21、図24および図25を参照)後に上側アーム6134および下側アーム6154をシュラウド6110へ機械的に固定するためのリベットを形成する。図示の実施例において、シュラウド6110は、上側ヘッドギアコネクタおよび下側ヘッドギアコネクタの各シュラウド接続部6132および6152を受容するような構造にされた上側溝6111および下側溝6112を含む。上側ヘッドギアコネクタおよび下側ヘッドギアコネクタを固定するための開口部6113および6114が、溝6111および6112内に設けられる(例えば、図24および図25を参照)。しかし、上側ヘッドギアコネクタアーム6134および下側ヘッドギアコネクタアーム6154をシュラウド6110へ接続する方法は、他の適切な方法(例えば、取り外し可能な接続)であってもよいことが理解されるべきである。
一実施例において、上側アーム6134および/または下側アーム6154は、(例えば、美観、柔らかさ/快適性の知覚の向上のために)織物によって被覆され得る。例えば、図4および図5は、上側アーム6134へ設けられた織物アームカバーまたはソックス6750を示す。図6〜図10は、例えば、アームカバー6750が除去された状態の上側アーム6134を示す。
上側アームおよび下側アームは、目標可撓性を別の様態で提供し得る。例えば、これらのアームは、単一の材料を用いて目標可撓性のために異なる断面厚さと共に形成され得る。例えば、可撓性エリアをより肉薄にして一体丁番を提供する一方、肉厚エリアはより低い可撓性を持つ。別の実施例において、これらのアームは、2つ以上の材料によって形成され得、各材料は、異なる弾性特性/ヤング率を有する。例えば、剛性部分は、剛性材料(例えば、ポリカーボネート)中に形成され得、各剛性部分は、目標の可撓性が得られるよう、仲介物である可撓性/軟性材料(例えば、液体シリコーンゴム)によって接合され得る。別の実施例において、アームは、異なる材料の層内に形成され得る。例えば、これらのアームは、少なくとも屈曲可能なまたは可撓性の第1の層によって形成され得る。可撓性の第1の層は、第2の剛性層を形成するように間隔を空けて配置された複数のリジッド部のために基板表面を提供し得る。これらのリジッド部は、第1の層によって支持されつつ、相互に撓み得る。一実施例において、本実施例における基板層は、患者インターフェースへ必要な張力を提供するための必要なストレッチ性を有する。本実施例において、張力が基板層によって吸収される事態を回避するために、基板層にはストレッチ性はほとんど無い。
これらのアームは、患者インターフェースを所望の位置に維持するために、必要な剛直性(例えば、トーション力への抵抗、事前形成された形状の維持)を提供する。しかし、これらのアームは、いくつかの場合において、コンポーネントの硬度および剛性(すなわち、顔への順応に対する抵抗)に起因して、快適性低下を引き起こす場合があり得る。このような不快感は、顔プロファイルの変動への順応における触感および抵抗の組み合わせに起因し、顔の感じやすい部位に対して望ましくない負荷を発生させ得る。この側面を解消するために、アームは、軟化剤および場合によってはより低剛性の材料によってコーティングまたは被覆され得る。この材料は、アームからユーザの顔上に付加される圧縮力のうち一部または全てを吸収する機能を果たし得る。さらに、軟性および/またはより低剛性の材料は、顔プロファイルの変動に順応する機能も果たし得、これにより、適合層として機能する。加えて、アームは、ユーザの顔と直接接触する際に所望の触感を持ち得る触覚層によってコーティングまたは被覆され得る。触覚層は、向上した触感および所望の所定のストレッチ特性を持つ所望の布を含み得る。アームは、より低剛性かつ/または軟性の材料(例えば、アームからユーザの顔へ付加される圧縮力を吸収しかつ/または顔プロファイルへ順応することにより顔変動に適合する発泡体)を含む順応層をさらに含み得る。
一実施例において、触覚層および順応層はどちらとも、アームの機能を実質的に変化させない構造にされ得るかまたはそのような材料を含み得る。すなわち、層は、アームの事前形成された形状を変化させてはならない。さらに、これらの層は、規定された特定の方位においてアームが撓む/曲がることを許してはならない。そのため、これらの層は、アームの機能を維持するような構造にされるかまたはアームの機能を維持するように選択された材料を含むべきである。さらに、層は、恒久的にまたは半恒久的にアームへ固定してもよい。あるいは、アームは、アームを被覆するために取り外し可能な層を含み得る。例えば、取り外し可能な層は、織物カバーまたはソックスであり得る。アームは、ユーザの顔と接触する上面を含み得る。上面は、剛性材料の上方に発泡体層を含み得、これはその後触覚層によって被覆される。アームは、触覚層によって被覆される下面も含み得る。
層をアームへ固定する方法は複数ある。一実施例において、順応層は、メモリフォームなどの発泡体であり、例えば、アームの上面へ接着、積層、成形、機械的に取付される。その後、触覚層を発泡体へ例えば積層、ステッチング、接着することにより、触覚層を発泡体順応層へ取り付ける。一実施例において、どちらの場合においても、取付手段は、アームの形状および剛性を実質的に変化させるべきではない。すなわち、これらの層のための取付手段は、実質的にアームの撓み/屈曲を実質的に変化させてはならず、また、アームが自身の事前形成された形状を維持する能力を変化させてはならない。
図75〜図100に示す別の実施例において、各上側ヘッドギアコネクタアーム16134は、シュラウド16110の各上部へ設けられたシュラウド接続部16132を含み、および各下側ヘッドギアコネクタアーム16154は、シュラウド16110の各下部へ設けられたシュラウド接続部16152を含む。
図示の実施例において、各上側ヘッドギアコネクタアーム16134は、スロット16135の形態をした上側ヘッドギア接続点を含む。スロット16135は、ヘッドギアの各上側ヘッドギアストラップ16802を受容するような構造にされる。図104に最良に示すように、スロット16135を規定するブリッジまたはクロスバー16136は、(例えば、ナイフの縁のような)テーパー状の前縁16136Aを含み、これにより、ヘッドギアの上側ヘッドギアストラップ16802の組立/分解が促進される。例えば、テーパー状の前縁16136Aは、ベルクロ(登録商標)状のフックタブ16803と、上側ヘッドギアストラップ16802の残り部分との間において容易にスライドすることができるため、ベルクロ(登録商標)状フックタブ16803を上側ヘッドギアストラップ16802の残り部分から完全解放させる必要無く、組立/分解を容易に行うことができる。図示の実施例において、各下側ヘッドギアコネクタアーム16154は、ヘッドギアの各下側ヘッドギアストラップ16804へ設けられたヘッドギアクリップ16160と関連付けられた磁石を配置およびこの磁石へ接続するような構造にされた磁気コネクタ16155の形態をとる下側ヘッドギア接続点を含む。しかし、上側ヘッドギアコネクタアーム16134および下側ヘッドギアコネクタアーム16154は、ヘッドギアヘッドギアストラップと他の適切な方法で接続してもよいことが理解されるべきである。
上記した上側ヘッドギアコネクタアームと同様に、上側ヘッドギアコネクタアーム16134はそれぞれ、トーション(ねじれ)に耐えるように構造的にリジッドであり、それぞれ、多様な顔プロファイルへ適合する中央可撓性部16140および周辺可撓性部16145を含む。各アーム16134の中央可撓性部16140(すなわち、第1の可撓性部)は、iシュラウド接続部16132の近位に配置される。各アーム16134の周辺可撓性部16145(すなわち、第2の可撓性部)は、上側ヘッドギア接続点16135と、中央可撓性部16140との間に配置される。
図示の実施例において、各アーム16134の中央可撓性部16140は、ヒンジを形成する単一のスロット16141を(後側)上に含む。図示の実施例において、各アーム16134の周辺可撓性部16145は、複数のスロット16146を(アームの各側上(すなわち、アームの前側および/または後側上のスロット))を含んで、頬領域上に複数のヒンジを形成する。
諸実施例において、各アームの周辺可撓性部16145は、前側または後側上にスロットを含まなくてよい。代替的にまたは追加的に、可撓性部は、比較的より硬質のプラスチック部分間の噛み合いまたは平滑な移行を形成し得かつ撓み、屈曲および/または旋回を可能にする1つ以上の相互接続エラストマー(例えば、シリコーン)部分を含み得る。これらは、挿入またはオーバーモールドを介して行われ得、ここで、より硬質のプラスチック部分がモールド内に配置され、相互接続部分がより硬質のプラスチック部分上にモールドされる。
各下側ヘッドギアコネクタアーム16154は、ヘッドギアの各下側ヘッドギアストラップへ設けられた(容器入り磁石16162を含む)ヘッドギアクリップ16160を配置およびこのヘッドギアクリップ16160へ接続するような構造にされた(容器入り磁石16155Bを含む)磁気コネクタ16155を含む(例えば、図103を参照)。図示の実施例において、各下側アーム16154の端部は、磁石16155Bを磁石受容部16155Aへ封入および保持するための磁石16155Bおよびキャップ16155Cを受容および整合するための磁石受容部16155Aを含む。図示のように、磁気コネクタ16155によって提供される突出部により、ヘッドギアクリップ16160によって設けられた対応するレセプタクル内への挿入および保持が可能になる(例えば、図103を参照)。ヘッドギアクリップ16160は、各下側アーム16154に相対してヘッドギアクリップ16160の回転(例えば、360oの回転)を可能にしつつ、ヘッドギアストラップの張力からの接続解除に耐えるキャッチまたは保持壁16164を含む。図示の実施例において、図101、図102および図103に示すように、キャッチまたは保持壁16164(例えば、半円形の断面またはU字型形状)により、コネクタ16155の半円形の周辺領域と機械的に係合する機械的保持部材が得られる。一実施例において、磁気コネクタ16155および/またはキャッチまたは保持壁16164は、ヘッドギアクリップ16160の磁気コネクタ16155上における保持を促進するためのアンダーカットを提供するように、角度付けまたは傾斜が設けられ得る。
一実施例において、図96に示すように、各下側ヘッドギアコネクタアーム16154およびその磁気コネクタ16155の製造は、キャップ16155Cを成形し、磁石16155Bをキャップ16155C内に組み立て、組み立てられたキャップ/磁石を下側アーム成形ツール内に挿入した後、下側アーム16154をキャップ/磁石へ成形することにより、行われる。一実施例において、キャップ16155Cは、キャップ16155Cの下側アーム16154に対する正しい方位および整合を促進するための方位特徴部(例えば、スロット16159)を含み得る。
別の実施例において、図97に示すように、各下側ヘッドギアコネクタアーム16154およびその磁気コネクタ16155の製造は、下側アーム16154を成形し、磁石16155Bを下側アーム16154の磁石受容部16155A内に組み立て、組み立てられた下側アーム/磁石をキャップ成形ツールに挿入した後、キャップ16155Cを下側アーム/磁石へオーバーモールドすることにより、行われる。
図示の実施例において、各下側ヘッドギアコネクタアーム16154は、ヒンジ部を形成する単一のスロット16156を(後側上に)含む。例えば、図75および図76を参照されたい。このヒンジ部は、下側アーム16154を使用中に患者顔から離隔方向に撓ませることにより、顔幅の変動に対応できるような構造および配置にされる(例えば、患者インターフェースの初期フィッティング時に容易な調節が可能になり、また、患者インターフェースのシールへ影響すること無く、多様な顔ジオメトリへの適合を可能にする)。また、ヒンジ部により、(例えば、ヘッドギアクリップ16160が意図せず各磁気コネクタ16155から外れる事態を回避するために)下側アーム16154が使用中に対応するヘッドギアクリップ16160と共に移動または撓むことが可能になる。
上側アーム16134および下側アーム16154は、各シュラウド接続部16132および16152を介してシュラウド16110へ接続される。図示の実施例において、上側アーム16134および下側アーム16154は、シュラウド16110へ恒久的に接続(例えば、超音波接合)される。
図83〜図86に示すように、シュラウド16110は、一対の(すなわち、右および左の)上側アンカーまたは上側アームコネクタ16450をシュラウド16110の上部の各側に含み、一対の(すなわち、右および左の)下側アンカーまたは下側アームコネクタ16460をシュラウド16110の下部の各側上に含む。各上側アンカー16450は開口部16452を提供し、各下側アンカー16460は開口部16462を提供する。
図90および図91に示すように、各下側アーム16154のシュラウド接続部16152は、各下側アンカー16460の開口部16462内に受容される突出部16153を含む。突出部16153は、キャップ16157へ設けられた突出部16158を受容する開口部16153Aを含む。突出部16158は、シュラウド接続部16152をキャップ16157と係合およびインターロックさせる。シュラウド接続部16152およびキャップ16157を超音波接合すると、シュラウド接続部16152がキャップ16157へ機械的に固定され、これにより、下側アーム16154が下側アンカー16460へ固定される。
図示の実施例において、キャップ16157は対称であるため、製造および組み立てが容易になる。しかし、下側アームを固定するためのキャップは非対称であってもよいことが理解されるべきである。例えば、図92〜図95に示す別の配置構成において、下側アーム17154は、各非対称キャップ17157によりシュラウド17110へ固定される。
同様に、図99および図100に示すように、各上側アーム16134のシュラウド接続部16132は、各上側アンカー16450の開口部16452内に受容される突出部16133を含む。突出部16133は、突出部16138を受容する開口部16133Aを含む。この突出部16138は、シュラウド接続部16132をキャップ16137と係合およびインターロックするためにキャップ16137に設けられる。シュラウド接続部16132およびキャップ16137を超音波接合すると、シュラウド接続部16132がキャップ16137へ機械的に固定され、これにより、上側アーム16134が上側アンカー16450へ固定される。
しかし、上側ヘッドギアコネクタアーム16134および下側ヘッドギアコネクタアーム16154は、他の適切な方法(例えば、取り外し可能な接続)でシュラウド16110へ接続してもよい。例えば、図98は、スナップジョイントを介してアンカー17450へ接続されたコネクタアーム17134を示す(例えば、各開口部内においてスナップ嵌めと係合するような構造にされたペグを含むスナップジョイント配置構成を通じた押圧)。
一実施例において、シュラウド16110の上側アンカー16450および/または下側アンカー16460は、堅牢性を向上させるような構造にされ得る。例えば、アンカーに沿った稜角を無くすことにより、応力集中を低減することができる。例えば、アンカーの開口部に沿った縁を丸めることができる(例えば、図87を参照)。また、アンカーのブリッジ部材の厚さを増大させると、部分強度を高めることができる。例えば、図87中の上側アンカー16450のブリッジ部材16454を参照。加えて、リブをアンカーのアームへ設けることにより、強度を高めることができる。例えば、図87中の上側アンカー16450のアームへ設けられたリブ16456を参照されたい。
一実施例において、上側アーム16134および/または下側アーム16154は、例えば美観、柔らかさ/快適性の知覚向上、顔への快適性、および跡の低減のために、織物によって被覆され得る。例えば、図59〜図61は、上側アーム16134へ設けられた織物アームカバーまたはソックス16750を示す。図62〜図65は、例えば、アームカバー16750が除去された上側アーム16134を示す。カバー16750は、上側アーム16134を被覆するため、外面が平滑になり、顔上の快適性が増す(例えば、跡が無くなり、顔表面上でのスライドが容易になる)。カバー16750は、任意選択的に取り外し可能なにしてもよい。
一実施例において、上側アーム16134および/または下側アーム16154のうち少なくとも一部は、例えば美観のために窪みまたはゴールドボールパターンを含み得る。
鼻インターフェースの実施例(例えば、図42〜図49を参照)において、ヘッドギアコネクタ7130は、シュラウド7110へ接続されたシュラウド接続部7132と、ヘッドギア7800の各上側ヘッドギアストラップ7802へ接続されるような構造にされた一対(すなわち、右および左)の上側ヘッドギアコネクタアーム7134と、ヘッドギア7800の各下側ヘッドギアストラップ7804へ接続されるような構造にされた一対(すなわち、右および左)の下側ヘッドギアコネクタアーム7154構造と、上側および下側アーム7134および7154をシュラウド接続部7132と相互接続させる中間部7133とを含む。
図示の実施例において、各上側ヘッドギアコネクタアーム7134は、ヘッドギア7800の各上側ヘッドギアストラップ7802を受容するような構造にされたスロット7135の形態の上側ヘッドギア接続点を含む(図29を参照)。図示の実施例において、各下側ヘッドギアコネクタアーム7154は、ヘッドギア7800の各下側ヘッドギアストラップ7804へ設けられたヘッドギアクリップ7160と関連付けられた磁石を配置およびこの磁石へ接続するような構造にされた磁気コネクタ7155の形態の下側ヘッドギア接続点を含む(図29を参照)。しかし、上側ヘッドギアコネクタアーム7134および下側ヘッドギアコネクタアーム7154は、ヘッドギアのヘッドギアストラップへ他の適切な方法で接続してもよいことが理解されるべきである。
上記実施例と同様に、ヘッドギアコネクタ7130のアセンブリの各中間部7133は、多様な顔プロファイルに適合する(例えば、顔幅の変動に対応する)ための可撓性部7140を含む。図示の実施例において、可撓性部7140は、クッションアセンブリに隣接するヒンジ部分を形成する単一のスロットを(前側および/または後側)を含む。
図48および図49に示すように、ヘッドギアコネクタ7130は、所望の可撓性を提供するよう、多層構成(例えば、異なる材料の層)を含み得る。
クッションアセンブリ
本技術の一形態において、クッションアセンブリまたはクッションモジュール6175は、シール形成構造またはクッション6200へ接続されるかまたは別の方法で設けられた本体、シャーシまたはシェル6180を含む(図15および図16を参照)。シェル6180は、クッション6200へ恒久的に(例えば、コモールド、オーバーモールド)接続してもよいし、あるいは取り外し可能に接続してもよい(例えば、機械的インターロック)。一実施例において、クッション6200は、比較的可撓性であるかまたは柔軟な材料(例えば、シリコーン)によって構築され、シェル6180は、比較的剛性の材料(例えば、ポリカーボネート)によって構築される。シェル6180およびクッション6200は協働して、プレナムチャンバ6500を形成する。
シェル6180は、開口部6305を含む。この開口部6305により、呼吸可能なガスがプレナムチャンバ6500へ送達される。開口部6305は、環状フランジ6310と境界を接する。環状フランジ6310は、フレームアセンブリ6100へ接続されるように適合され、ガス送達管4180へ接続されたエルボーアセンブリ6600とインターフェースをとる(例えば、エルボーアセンブリ6600を密閉する)ように適合される。
シェル6180は、複数の機能を有する。例えば、シェル6180は、患者気道の入口への加圧ガス送達のためのプレナムチャンバを形成する。シェル6180は剛性構造であり、患者の顔を密閉するためのシール形成構造上に力を方向付ける。この力は、ヘッドギアストラップを締めつけたときに発生する張力により得られる。これらの力は、一対の上側ヘッドギアストラップおよび下側ヘッドギアストラップから対応する上側アームおよび下側アームへ変換される。一実施例において、上側アームおよび下側アームはフレームアセンブリへ設けられ、その結果、ヘッドギア張力がシェル6180へ提供される。
シェル6180は、フレームアセンブリのシュラウドの内側(または後側)表面と係合してシールを提供する外側(または前側)表面も提供する。シェルは、別個の保持特徴部も含み、あるいは、フレームアセンブリの内面と取り外し可能に係合するような構造にされる。患者インターフェースはモジュール型であり、単一のフレームアセンブリサイズを複数のクッションアセンブリサイズ(例えば、小型から大型のもの)へ接続することが可能である。そのため、シェルもフレームアセンブリと取り外し可能に係合するため、フレームアセンブリは、その各クッションアセンブリサイズに対応する所定の構成中へ接続される。例えば、より小型のクッションアセンブリの場合、中型または大型のクッションアセンブリと比較して、全般的に高さが低い。そのため、フレームアセンブリは、クッションアセンブリへ相対する位置において接続して、上側ヘッドギア取付点を(眼と耳との間の)その正しい位置に(上側ヘッドギアストラップが耳を避けている取付点を提供しつつ)配置する。すなわち、フレームアセンブリは、中型または大型のクッションアセンブリサイズと比較して、シェル上のより高い位置において接続する。一実施例において、中型および/または大型サイズの場合、このような要求は無く、フレームアセンブリが実質的に同じ位置に配置されるように接続する。
図75〜図100に示す別の実施例において、クッションアセンブリ16175は、シェル16180を含む。シェル16180は、シール形成構造またはクッション16200へ接続されるかまたは別の様態でシール形成構造またはクッション16200へ設けられる(図73および図74を参照)。シェル16180およびクッション16200は協働して、プレナムチャンバ16500を形成する(例えば、図69および図71を参照)。シェル16180は、開口部16305を含む。開口部16305により、呼吸可能なガスがプレナムチャンバ16500へ送達される。開口部16305は、環状フランジ16310と境界を接する。環状フランジ16310は、フレームアセンブリ16100へ接続するように適合される。
鼻インターフェースの実施例(例えば、図39〜図41を参照)において、クッションアセンブリ7175は、シェル7180を含む。シェル7180は、シール形成構造またはクッション7200へ恒久的に接続される(例えば、コモールド、オーバーモールド)。一実施例において、クッション7200は、比較的可撓性または柔軟な材料(例えば、シリコーン)によって構築され、シェル7180は、比較的剛性の材料(例えば、ポリカーボネート)によって構築される。シェル7180およびクッション7200は協働して、プレナムチャンバ7500を形成する。図示の実施例において、可撓性フランジまたはリップシール7250(すなわち、エルボーアセンブリ7600とのシールを提供するシール7250)は、クッション7200と共にワンピースとして設けられる。例えば、接続部7149は、図38および図39に示すようにシール7250およびクッション7200を相互接続させる。
クッションアセンブリと、フレームアセンブリとの間の接続
本技術の一形態において、クッションアセンブリ6175のシェル6180は、機械的インターロック(例えば、スナップ嵌め接続)を介してフレームアセンブリ6100のシュラウド6110と繰り返し係合可能でありかつ取り外し可能に係合解除可能である。
クッションアセンブリ6175およびフレームアセンブリ6100は、クッションアセンブリ6175をフレームアセンブリ6100へ接続させる協働保持構造を含む。一実施例において、フレームアセンブリ6100は、クッションアセンブリ6175に対して解放可能に接続可能であるため、交換および/または洗浄が容易になり、また、別のフレームアセンブリおよびクッションアセンブリを相互に接続することが可能になる。このような配置構成により、複数のシール(例えば、複数の種類およびサイズ)を患者インターフェースと共に用いることが可能になるため、複数の患者の複数の使用(Multiple Patient Multiple Use:MPMU)使用状況に適した患者インターフェースが得られる。別の実施例において、フレームアセンブリ6100は、クッションアセンブリ6175へ恒久的に接続するかまたはクッションアセンブリ6175とワンピース形成され得る(例えば、コモールド)。
図示の実施例において、シェル6180は、開口部6305を含む。開口部6305は、シェル6180から前方に突出する環状フランジ6310と境界を接する。フランジ6310は、その周辺(例えば、図15および図17)に沿って複数のタブまたはキャッチ6315を含む(例えば、3個、4個、または5個以上のタブ)。これらのタブまたはキャッチ6315は、シュラウド6110の後側上の対応するバネアーム6125と(例えばスナップ嵌めにより)係合またはインターロックするような構造にされ、これにより、クッションアセンブリ6175をフレームアセンブリ6100へ解放可能に接続させる。
クッションアセンブリ6175は、フランジ6310(例えば、上側凹部および下側凹部)の周辺に沿って1つ以上の凹部6320(例えば、図15および図17を参照)も含む。フランジ6310は、例えば整合の促進、相互回転の回避のために、シュラウド6110の後側上の対応する突出部6127と係合またはインターロックするような構造にされる。
図示の実施例において、クッションアセンブリ6175のシェル6180およびフレームアセンブリ6100のシュラウド6110は、比較的剛性(例えば、双方とも比較的硬質の材料(例えば、ポリカーボネート)によって形成され)、これにより、シェル6180とシュラウド6110との間の係合により硬質間接続が得られる。また、シェル6180およびシュラウド6110によって提供される噛み合い表面の周辺、形状およびジオメトリは、整合および機械的/構造係合(例えば、清潔であり、平滑でありかつ曲線状の噛み合い表面)を促進するように事前決定される。すなわち、シュラウドおよびシェルの相対的剛性または剛直性は、コンポーネントの事前形成された構造を維持するためのものである。このような剛直性により、コンポーネントの形状維持が可能になり、接続時の整合も容易になり得る。
クッションアセンブリは、フレームアセンブリと他の適切な様態で接続またはインターロックされ得ることが理解されるべきである。例えば、これらのコンポーネントは、クリップを介して接続され得る。
別の実施例において、図70および図72に最良に示すように、シュラウド16110の内側環状フランジ16125は、シェル16180の開口部16305を通じて延び、フランジ16125のタブまたはキャッチ16127は、フレームアセンブリ16100をクッションアセンブリ16175へ解放可能に接続させるように、シェル16180の環状フランジ16310の後側において係合またはインターロックする。このような接続にとり、簡単な使用が維持され、密閉された硬質間接続が得られ、コンポーネント間のガタガタおよび揺動の動きが最小限になり、安定性への影響も低下する。また、このような接続により、適切な力ベクトルを密閉のためにクッションアセンブリ16175上へ付与しつつ、クッションアセンブリ16175が所定位置に安定的に保持される。
また、フレームアセンブリ16100は、クッションアセンブリ16175との静的直径シールおよび静的面シールを漏れを最小化および制御するように形成するような構造にされる。図70および図72に示すように、フレームアセンブリ16100のシュラウド16110は、クッションアセンブリ16175のフランジ16310を受容するように適合された導管を含む。フランジ16310の前縁16310Aおよび導管の端壁16112Aは、静的面シールを提供するように構成および配置され、フランジ16310の外側16310Bおよび導管の側壁16112Bは、静的直径シールを提供するように構成および配置される。
鼻インターフェースの実施例(例えば、図30〜図49を参照)において、シェル7180は、複数のタブまたはキャッチ7315をフランジ7310の周辺に沿って含む。これらのタブまたはキャッチ7315は、シュラウド7110の後側上において対応するタブまたはアーム7125と例えばスナップ嵌めによって係合またはインターロックするような構造にされ、これにより、クッションアセンブリ7175をフレームアセンブリ7100へ解放可能に接続させる。
クッションアセンブリ7175は、1つ以上の凹部7320(例えば、図41を参照)も、フランジ7310(例えば、下側凹部)の周辺に沿って含む。フランジ7310は、例えば整合促進、相対的回転の回避のために、シュラウド7110の後側上の対応する突出部7127(例えば、図43を参照)と係合またはインターロックするような構造にされる。
別の実施例において、図55〜図58に示すように、クッションアセンブリ8175のシェルは、フレームアセンブリ8100の環状中央フランジを受容するような構造にされた内面を備えた中央アパチャを含み得る。シェルは、フレームアセンブリ上の保持特徴部へインターロックまたは接続する保持特徴部を含む。加えて、通気アダプタ8900のベローズ構造8250(図55および5図6)またはエルボーアセンブリ8600(図57および図58)のためにシェルのアパチャ内においてクリアランスが維持されることにより、シェルの表面8275と係合して、面シールが可能になる。
クッションアセンブリ6175およびフレームアセンブリ6100は、使用時の係合を維持することと、使用時の意図しない分解または部分的分解を回避することとが可能なような構造にされる。
本技術の一形態において、フレームアセンブリ6100は、フランクフルト水平面に対して実質的に平行な方向にフレームアセンブリ6100を後方にクッションアセンブリ6175へ移動させることにより、クッションアセンブリ6175と係合可能である。フレームアセンブリ6100は、フランクフルト水平面に対して実質的に平行な方向にフレームアセンブリ6100をクッションアセンブリ6175から前方に移動させることにより、クッションアセンブリ6175から係合解除可能である。
エルボーアセンブリ
図27および図28に示すように、エルボーアセンブリ6600は、フレームアセンブリ6100のシュラウド6110から繰り返し係合可能かつ取り外し可能に係合解除可能である第1の端部6610と、例えば旋回コネクタ6625を介して空気回路4170へ接続するように適合された第2の端部6620とを含む。
第1の端部6610は、一対の伸縮性の急速解放ピンチアーム6650(すなわち、カンチレバーバネアーム)を含む。スプリングまたはピンチアーム6650はそれぞれ、シュラウド6110のフランジ6115との機械的インターロック(例えば、スナップ嵌め接続)を提供するような構造にされた反矢じり端またはタブ6652を含む。
第1の端部6610は、環状側壁6630を含む。環状側壁6630は、フレームアセンブリ6100を通じて延びかつクッションアセンブリ6175とシールを形成するような構造にされる。
図示の実施例において、通気6700を第1の端部6610と一体化させることにより、呼気された空気(例えば、第1の端部6610の周辺に設けられた通気から出て行く通気)の吐出が可能になる。
別の実施例において、図59、図65、図70および図72に最良に示すように、エルボーアセンブリ16600は、第1の端部16610と、フレームアセンブリ16100と解放可能に係合するピンチアーム16650と、例えば旋回コネクタ16625を介して空気回路4170へ接続するように適合された第2の端部16620とを含む。
本実施例において、第1の端部16610は、内側ラジアル壁16630および外側ラジアル壁16640を含む。内側ラジアル壁16630および外側ラジアル壁16640は、患者インターフェースからの呼気ガスの退出を可能にする複数の通気穴16700へ続くラジアル導管16645を規定する。
加えて、エルボーアセンブリ16600は、加圧ガスが不十分な大きさであるかまたは送達されない場合にポートを通じた患者の呼吸を可能にするような構造にされたAAVを含むAAVアセンブリを収容するような構造にされる。
図50および図51に示すエルボーアセンブリ7600は、鼻型患者インターフェース7000との接続のために構造される。図52および53は、鼻型患者インターフェース7000への接続のために構造された別のエルボーアセンブリ9600を示す。
図示の実施例において、エルボーアセンブリ7600および9600の各側は、カンチレバー型押しボタンと、押しボタンの側部に沿った押しボタンの撓みを可能にする溝とを含む。各押しボタンは、タブまたはキャッチを含む。このタブまたはキャッチは、フレームアセンブリ7100の開口部7105の縁とスナップ嵌めにより係合するように適合され、これにより、エルボーアセンブリ7600および9600がフレームアセンブリ7100へ解放可能に固定される。
図51および図53に最良に示すように、ボタンの隆起部およびボタン側部に沿った溝内の帯ひもは、軟性の触覚材料(例えば、TPE)によって構築される。隆起部は、使いやすさおよびグリップのために軟性触感を提供し、帯ひもは、シール、軟性触感およびバネ(クリップ戻し)力を提供する。一実施例において、隆起部および帯ひもは、押しボタンを含む主要エルボーボディへオーバーモールドされる。
図50および図51に示すように、エルボーアセンブリ7600は、呼気された空気を吐出するための通気アセンブリ7700を含む。
エルボーアセンブリと、フレームアセンブリとの間の接続
エルボーアセンブリ6600は、ピンチアーム6650(例えば、急速解放スナップ嵌め)を介して、フレームアセンブリ6100上に解放可能に接続しかつフレームアセンブリ6100を保持する。シュラウド6110のフランジ6115によって規定される円形の導管6120は、ピンチアーム6650の反矢じり端6652を受容して、エルボーアセンブリ6600をフレームアセンブリ6100へ解放可能に保持するような構造にされ、例えばエルボーアセンブリ6600のフレームアセンブリ6100に相対する360°の自由回転を可能にする旋回接続(例えば、図6を参照)を形成する。
エルボーアセンブリ6600はクッションアセンブリ6175から独立してフレームアセンブリ6100へ接続するため、患者は、エルボーアセンブリ6600、フレームアセンブリ6100およびヘッドギアを接続解除する必要無く、異なるサイズクッションアセンブリを取り外しおよび交換することができる。
同様に、図72に最良に示すような別の実施例において、フレームアセンブリ16100の円形の導管16120は、エルボーアセンブリ16600をフレームアセンブリ16100へ解放可能に保持するように、ピンチアーム16650の反矢じり端16652を受容するような構造にされる。
エルボーアセンブリとクッションアセンブリとの間のシール
一実施例において、クッションアセンブリ6175は、エルボーアセンブリ6600とのシールを提供する可撓性フランジまたはリップシール6250を含む。リップシール6250は、シェル6180のフランジ6310へ設けられ、ラジアル方向に内方に開口部6305中へ延びる自由端を含む。図13および14に示すように、エルボーアセンブリ6600は、フレームアセンブリ6100と機械的にインターロックするような構造にされるが、クッションアセンブリ6175の密閉膜6250と密閉的に係合して、空気流路に対するシールを形成するような構造および配置にされる(すなわち、密閉機構は、保持特徴部と別個である)。
図示のように、エルボーアセンブリ6600の側壁6630の前縁は、リップシール6250と面シールを形成する。このような形態の係合にすることにより、接触表面積が最小限になるため摩擦が低下し、これにより、エルボーアセンブリ6600がフレームおよびクッションアセンブリ6100および6175に相対して自由に回転することを可能にしつつ、コンポーネント間のシールが可能になる。
鼻インターフェースの実施例(例えば、図37および図38を参照)において、エルボーアセンブリ7600は、フレームアセンブリ7100と機械的にインターロックするような構造にされ、エルボーアセンブリ7600の側壁7630の前縁は、クッションアセンブリ7175のリップシール7250と密閉的に係合して、空気流路に対するシールを形成するような構造および配置にされる。
エルボーアセンブリとフレームアセンブリとの間のシール
別の実施例において、エルボーアセンブリ16600は、フレームアセンブリ16100との硬質間接続およびシールを確立するような構造にされる。図72に最良に示すように、動的直径シールが、エルボーアセンブリ16600の外壁16640の円筒外面と、フレームアセンブリ16100の環状フランジ16115および16125によって設けられた内面との間に形成される。また、フレームアセンブリ16100の環状フランジ16125は、ラジアル方向に内方に延びる隆起16400を含む。この隆起16400は、エルボーアセンブリ16600がフレームアセンブリ16100内へ過度に挿入される事態を回避する停止部として機能する。隆起16400の表面により、エルボーアセンブリ16600の外壁16640の前縁または表面との動的面シールも得られる。外壁16640の表面と、環状フランジ16115および16125/隆起16400の表面との間に設けられた直径シールおよび面シールにより、エルボーアセンブリ16600とフレームアセンブリ16100との間に2つの接触噛み合い表面が得られ、その結果、エルボーアセンブリ16600とフレームアセンブリ16100との間の接触表面積が増加する。これら2つの噛み合い表面は、蛇行した漏洩路(すなわち、2つの噛み合い表面間の漏洩路が患者インターフェース内部からラジアル方向に周囲へと軸方向に延びること)を設けることにより、漏洩を最小限にするような構成および配置にされる。
ロックアウト機能
上記したように、フレームアセンブリ16100の隆起16400は、空気回路4170がフレームアセンブリ16100へ直接接続または挿入される事態を回避するためのロックアウト機能を提供するような構造にされた複数の突起16405を含む。
図72に最良に示すように、各突起16405は、突起16405が患者への入口流路内に有意に延びないような様態で、エルボーアセンブリの内壁16630へ延びる。加えて、各突起16405は、突起16405がエルボーアセンブリ16100の通気穴16700へ続く導管16645への出口流れを有意に遮断しないように、開口部16407(例えば、図72、図83および図88を参照)を含む。そのため、複数の突起16405は、(開口部16105を通じた流れからの)ノイズ、空気送達(患者への入口流れ)に対するインピーダンスおよびCO2吐出(エルボーアセンブリ16100の通気への出口流れ)への影響がほとんど無いような構造および配置にされる。
別の実施例において、図89Aに示すように、突起16405はそれぞれ、開口部無しに設けられ得る。
別の実施例において、図89Bに示すように、ロックアウト機能は、隆起16400の周辺全体に沿って延びる単一の環状突起16405によって設けられ得る。図示のように、開口部16407は、例えば突起16405が通気穴16700へ続く導管16645への出口流れを有意に遮断しないように、突起16405に沿って設けられる。
通気アダプタコネクタ
別の実施例において、通気アダプタコネクタは、例えばエルボーアセンブリ6600の代替例として、患者インターフェースへ設けられ得る。上記した配置構成と同様に、通気アダプタコネクタは、クッションアセンブリ6175から独立してフレームアセンブリ6100へ解放可能に接続され得、クッションアセンブリ6175の密閉膜6250と密閉的に係合して、空気流路に対するシールを形成し得る。
エルボーアセンブリ/通気アダプタコネクタの代替的接続/シール
上記したように、患者インターフェースは、エルボーアセンブリおよび通気アダプタコネクタ双方(例えば、フレームアセンブリへ解放可能に接続されかつクッションアセンブリと密閉的に係合するエルボーアセンブリ/通気アダプタコネクタ)と接続可能である。
別の実施例において、図55〜図58に示すように、エルボーアセンブリ8600/通気アダプタコネクタ8900は、シールまたはベローズ構造8250(例えば、シリコーンによって形成されたもの)を含む。シールまたはベローズ構造8250は、クッションアセンブリ8175のシェルへ設けられた内面8275と係合するような構造にされる。ベローズ構造は、コンポーネント内において圧力が増加した場合(すなわち、圧力支持シール)にシェルの内面へ移動するような構造にされる。ベローズ構造は、ベローズ面シールを提供するように、入口開口部に沿ってシェル上の内面と係合する。
通気アダプタコネクタ/エルボーアセンブリおよびシェルのシール形成構造は、保持形成特徴部に対して別個である。一実施例において、フレームは、通気アダプタコネクタ/エルボーアセンブリ内の対応する溝内へ挿入されるように適合された伸縮性の一対のアームを含む保持特徴部を含む。この接続は回転接続でもあるため、通気アダプタコネクタ/エルボーアセンブリがクッションアセンブリおよびフレームアセンブリに対して回転することが可能になる。そのため、ベローズ面シールは、コンポーネント間のシールが最小の摩擦と共に可能になるため、シール破壊を引き起こすこと無く実質的な相対的動きが可能になる点において別の利点を有する。一実施例において、フレームアセンブリは、患者への空気送達路の一部を形成しないような構造にされかつクッションアセンブリおよび通気アダプタコネクタ/エルボーアセンブリ双方を所定位置において取り外し可能に保持するような構造にされる。通気アダプタコネクタ/エルボーアセンブリは、フレームアセンブリ内に設けられたアパチャを通じて、クッションアセンブリのシェルとのシールを直接形成する。
このような構成により、ユーザは、フレームアセンブリをクッションアセンブリから接続解除する必要無く、通気アダプタコネクタ/エルボーアセンブリを患者インターフェースから取り外すことが可能になる(すなわち、患者は、顔上の患者インターフェースがそのままの状態で治療を停止することが可能になる)。このような構成により、ユーザは、フレームアセンブリを通気アダプタコネクタ/エルボーアセンブリから接続解除する必要無く、クッションアセンブリをフレームアセンブリおよび通気アダプタコネクタ/エルボーアセンブリから取り外すことが可能になる。一実施例において、フレームアセンブリはヘッドギアへ接続されるため、ユーザは、ユーザが複数のコンポーネントを再度組み立てる必要無く多様なクッションアセンブリサイズ(例えば、小型、中型、大型)を試しつつ、ヘッドギアをフレームアセンブリおよび通気アダプタコネクタ/エルボーアセンブリへ接続されたままにすることができる。
モジュラリティ
図示の実施例において、フレームアセンブリ6100は、複数のサイズのクッションアセンブリ6175(例えば、患者の顔の体積/占有面積によって区別される小型、中型および大型のサイズクッションアセンブリ)と選択的に係合可能であり得る1つのサイズ(すなわち、共通フレームアセンブリ)で設けられ得る。よって、患者は、フレームアセンブリ6100を交換する必要無くクッションサイズを自由に変更することができる。一実施例において、サイズと無関係に、患者インターフェースは、(例えば、患者の眼とのヘッドギアベクトルおよびクリアランスに基づいた)ヘッドギアコネクタに対して類似の位置および(例えば、ガス吐出を最適化するための)エルボーアセンブリへの接続を提供する。
このような実施例において、異なるサイズクッションアセンブリそれぞれのシェルは、全てのサイズ(例えば、共通保持特徴部)について共通するかまたは類似するコネクタ(環状フランジ型コネクタ)を含み、これにより、1つのサイズまたは共通フレームアセンブリを異なるサイズクッションアセンブリそれぞれ接続させることが可能になる。すなわち、各クッションアセンブリは、全クッションサイズについてのシェル上に共通フレーム保持特徴部を含む。
上記と同様に、鼻インターフェース種類のフレームアセンブリ7100は、複数のサイズのクッションアセンブリ7175(例えば、小型、中型および大型のサイズクッション)と選択的に係合可能であり得る1つのサイズ(すなわち、共通フレームアセンブリ)で設けられ得る。例えば、図54A、図54B図および54Cは、本技術の一実施例による小型、中型および大型のクッションアセンブリ7175の背面図である。図示のように、各サイズにより、患者の顔上において体積または占有面積を得ることができる。
5.3.1 シール形成構造
本技術の一形態において、シール形成構造は、シール形成表面を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。
本技術によるシール形成構造は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。別の実施例において、シール形成構造は、発泡体シール形成部を含む発泡体クッションを含み得る。このような実施例において、このような発泡体クッションは、フレームアセンブリ6100への接続を可能にするようにシェルへ設けられ得る。
一形態において、シール形成構造は、密閉フランジおよび支持フランジを含む。密閉フランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm〜約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバの周辺長さの周囲に延びる。支持フランジは、密閉フランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、密閉フランジと、プレナムチャンバの周縁部との間に配置され、周辺長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、密閉フランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。使用時において、密閉フランジは、プレナムチャンバ中のシステム圧力に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。
一形態において、非侵襲的患者インターフェースのシール形成部分は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔とのシールを形成するように構成および配置される。
本技術の一態様による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
一形態において、非侵襲的患者インターフェースは、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上にシールを形成するシール形成部分を含む。
1つの形態において、非侵襲的患者インターフェースは、患者の顔の顎領域上にシールを形成するシール形成部分を含む。
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、特定のサイズの顔の頭部および/または形状に対応するように構成される。例えば、1つの形態のシール形成構造は、小さなサイズの頭部ではなく、大きなサイズの頭部に適している。別の実施例において、1つの形態のシール形成構造は、大きなサイズの頭部ではなく、小さなサイズの頭部に適している。
5.3.2 プレナムチャンバ
プレナムチャンバは、使用時にシールが形成される領域において平均的な人の顔の表面輪郭に対して相補的である形状の縁部を有する。使用時において、プレナムチャンバの周辺縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造によって提供される。シール形成構造は、使用時においてプレナムチャンバの周囲全体の周りに延び得る。
5.3.3 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェースのシール形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造によって密閉位置において保持され得る。
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、ロープロファイルまたは断面厚さを有する。一実施例おいて、位置決めおよび安定化構造は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、織物患者接触層、発泡材料内側層および織物外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、織物外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、伸張可能である(例えば、弾力性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、クッションを患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造は、特定のサイズの頭部および/または形状の顔に対応するように構成された保持力を提供する。例えば、位置決めおよび安定化構造の1つの形態により、小さなサイズの頭部ではなく、大きなサイズの頭部に適した保持力が提供される。別の実施例において、位置決めおよび安定化構造の1つの形態により、大きなサイズの頭部ではなく、小さなサイズの頭部に適した保持力が提供される。
5.3.4 通気
一形態において、患者インターフェースは、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部を含む。
本技術による一形態の通気部は、複数の穴(例えば、約20個〜約80個の穴または約40個〜約60個の穴または約45個〜約55個の穴)を含む。
通気部は、プレナムチャンバ内に配置され得る。あるいは、通気部は、結合解除構造(例えば、回り継ぎ手)内に配置される。
5.3.5 結合解除構造(複数)
患者インターフェースの一形態は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、回り継ぎ手または球窩およびソケット)を含む。
5.3.6 接続ポート
接続ポートは、空気回路への接続を可能にする。
5.3.7 前額支持部
図示の実施例において、フレームアセンブリ6100は、前頭部サポート無しに設けられる。
別の形態において、患者インターフェースは、前頭部サポートを含み得る。例えば、フレームアセンブリは、前頭部サポートを含み得る。
5.3.8 窒息防止弁
一形態において、患者インターフェースは、窒息防止弁を含む。
5.3.9 ポート
本技術の一形態において、患者インターフェースは、プレナムチャンバ内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
5.4 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
5.4.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中のバックグラウンドノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。合計流量Qtは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。通気流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気孔から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対する回りエルボーにおいて発生し得る。
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧式経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
ノイズ放射(音響)):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気穴)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現測定され得る(例えば、cmH2O、g−f/cm2、及びヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g−f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてマスク圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
5.4.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35〜約45である。
ポリカーボネート:典型的には、ビスフェノールAカーボネートの透明な熱可塑性ポリマーである。
5.4.1.2 機械的特性
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
・ 「弾性」:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
・ 「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
・ 「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。
・ 「フロッピー」構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
・ 「剛性」の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20〜30cmH2Oの圧力の負荷において患者気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
5.4.2 呼吸サイクル
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
流量制限:流量制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は吸気流量制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は呼気流量制限と称することができる。
流れ制限吸気の波形の種類:
(i)平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii)M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(iii)椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部位が続く。
(iv)逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流量制限の状態と関連し得る。
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
5.4.3 換気
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
呼気の気道陽圧(EPAP):、人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のマスク圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加される基本圧力。
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のマスク圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
吸息の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のマスク圧力。
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、基本圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
スイング:圧力補助に相当する用語。
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
典型的な最近の換気:典型的な最近の換気Vtypは、一定の所定の時間スケールにわたって最近の換気測定が密集する傾向となる一定範囲の値である。例えば、最近の履歴にわたる換気測定の中心的傾向の測定は、典型的な最近の換気の適切な値であり得る。
5.4.4 解剖学的構造
5.4.4.1 顔の解剖学的構造
翼(Ala):外部の外壁または各鼻孔の「翼」(複数形:alar)
Alare:鼻翼上の最外側の点。
翼曲率(または鼻翼頂上)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
耳介:耳の視認できる部分全体。
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、鼻中隔軟骨、側鼻軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
鼻柱角度:鼻孔の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフルト水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状において最も顕著な点。
側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
唇、下側(labrale inferius):
唇、上側(labrale superius):
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
鼻孔(鼻穴):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔の単数形は鼻孔(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口腔の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
耳基底下点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
耳基底上点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面であり、本体を右半分および左半分に分割する。
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状における上唇と合体する点。
スプラメンターレ:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
5.4.4.2 頭蓋骨の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
5.4.4.3 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸ゾーンは、呼吸細気管支、肺胞管および肺胞を含む。
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、中咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
5.4.5 患者インターフェース
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
エルボーエルボーは、内部を移動する空気の流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の実施例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。肘は、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、肘は、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
機能的死空間(Functional deadspace):
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡材料および織物の層状複合材)によって形成される。
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
回り継ぎ手(名詞)構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、回り継ぎ手は、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、回り継ぎ手は、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、回り継ぎ手からの空気漏れはほとんど無い。
つなぎ材(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
通気:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、吐き出されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分〜約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
5.4.6 構造の形状
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって制限され得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の実施例において、クッション構造は、顔を含む(例えば、外側の)表面と、別個の顔を含まない(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の実施例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。図3B〜図3Fを参照されたい。図3B〜図3Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。図3B〜図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの実施例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
5.4.6.1 一次元における曲率
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。図3B(図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および図3C(図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。図3Dを参照されたい。
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。図3E(図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および図3F(図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
5.4.6.2 二次元表面の曲率
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。図3B〜図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。図3B〜図3Fの実施例において、最大曲率は図3Bにおいて発生し、最小は図3Fにおいて発生するため、図3Bおよび図3Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
表面の領域:表面上の連結された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
サドル領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
円筒型領域:1つの主要な曲率がゼロ(または、例えば製造公差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的-トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
5.4.6.3 空間曲線
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(図3Pを参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(図3Qを参照)。図3Rは、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜または羽根車の縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則(例えば図3Oを参照)または表すあるいは左手の法則(図3N)によって決定され得る。
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。図3Nおよび図3Oを参照されたい。
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。図3Rを参照して、T2>T1であるため、図3Rの螺旋の最上部コイルの近隣のねじれの大きさは、図3Rの螺旋の最下部コイルのねじれの大きさよりも大きい。
図3Oの右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、図3Rに示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
同様に、左手の法則(図3Nを参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。図3Sを参照されたい。
5.4.6.4 穴
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、図3Iに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線301Dによって境界付けられる様子を参照されたい。
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤの内側の面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の実施例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば、図3Lのクッションおよび図3M中の内部を貫通する例示的断面を参照されたい。さらに別の実施例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。図3Kに示す構造を通じておりかつ図示のように表面302Dによって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
5.5 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその様態を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
例えば、任意の1つの患者インターフェース例のうち1つ以上の特徴(例えば、患者インターフェース6000、7000、16000)は、別の患者インターフェース実施例のうち1つ以上の特徴(例えば、患者インターフェース6000、7000、16000)または関連する他の実施例と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。例えば、フレームアセンブリ16100の1つ以上の態様(例えば、ロックアウト機能、ヘッドギアコネクタアーム、コンポーネント間の接続および密閉配置構成)は、患者インターフェース6000および7000に採用され得る。
また、本技術の1つ以上の態様は、以下の態様のうち1つ以上と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである:以下の出願の利益を主張するPCT出願第PCT/AU2016/050892(出願日:2016年9月23日、タイトル:「Elbow Assembly」):米国仮出願第62/222,435(出願日:2015年9月23日および米国仮出願第62/376,718号(出願日:2016年8月18日;米国仮出願第62/377,217号(出願日:2016年8月19日、タイトル:「Patient Interface with a Seal−Forming Structure having Varying Thickness」);米国仮出願第62/377,158号(出願日:2016年8月19日、タイトル:「Patient Interface with a Seal−Forming Structure having Varying Thickness」);以下の出願の恩恵を主張するPCT出願第PCT/AU2016/050893(出願日:2016年9月23日、タイトル:「Vent Adaptor for a Respiratory Therapy System」):米国仮出願第62/222,604号(出願日:2015年9月23日);および/または以下の出願の恩恵を主張するPCT出願第PCT/AU2016/050228号(出願日:2016年3月24日、タイトル:「Patient Interface with Blowout Prevention for Seal−Forming Portion」):米国仮出願第62/138,009号(出願日:2015年3月25日、および米国仮出願第62/222,503号(出願日:2015年9月23日)。上記した出願それぞれ全体を、本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。