JP6896680B2 - 病的組織内への高分子輸送を評価するためのダイナミック造影mri法および薬剤 - Google Patents
病的組織内への高分子輸送を評価するためのダイナミック造影mri法および薬剤 Download PDFInfo
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Description
本発明は、MRI技術を用いることにより目的とする高分子化合物の病的組織への透過性の非侵襲性in vivo評価を可能にする常磁性造影剤および診断法に関する。より具体的には、本発明は、目的とする高分子溶質の浸出および拡散の基本的条件を非侵襲性評価し、ならびに領域、部位、組織、腫瘍、または病的身体領域、または癌状塊、より一般的には炎症領域への送達を該薬剤が該領域内で示す薬物動態に基づいて定量的に評価するためのあるクラスの常磁性造影剤およびMRI法に関する。
・Ktrans(min-1):血漿と血管外細胞外腔(EES)の間の容量移動定数(volume transfer constant)である。血管から血管外-細胞外(EES)腔への該物質の浸出に関するものである。
・fPV(部分血漿量):血液の容量および局所(腫瘍)血管新生の指標をもたらす。
・Kep (min-1):EESと血漿(より正確にはEESから血液への、したがって溶質の除去)の速度定数であり、関心組織または領域における血管外−細胞外空間の部分(fraction)に関連する。
・AUCt1,t2 (曲線下面積、min x mol/L):造影剤濃度時間プロフィールの積分値である。例えば、AUC 20.30 およびAUC 10.20 は、造影剤注射後20〜30分間および10〜20分間のAUC計算値である。
・AUCEt1,t2 (シグナル増強曲線下面積、min):MRIシグナル増強時間プロフィールの積分値である。例えば、AUCE 20.30 およびAUCE 10.20 は、造影剤注射後20〜30分間および10〜20分間のAUCE計算値である。
・IAUCT (時間-濃度曲線下初期面積、min x mol/L):造影剤注射後に得られる最初の時点および最終時点Tにわたり計算した造影剤濃度曲線の分析値である。
・IAUCET (時間-シグナル増強曲線下初期面積(min)):造影剤注射後に得られる最初の時点および最終時点Tにわたり計算したシグナル増強曲線の積分値である。
・AVGENH (平均シグナル増強またはAve. Enh.(本明細書では互換性に用いる):注射後に得られるすべての時点で計算した平均シグナル増強値である。
・EARLYAUCRATIO(または初期AUC比(本明細書では互換性に用いる):目的とするROI(例えば腫瘍または筋肉)のIAUC 1 を(造影剤後最初の1分間に計算した)血液のIAUC 1 で割って計算する。本発明の造影剤のように、注射後最初の1分間の浸出(血管からの)がわずかである造影剤では、EARLYAUCRATIOの値は、腫瘍の部分血漿量に関連する。
・LATEAUCRATIO (後期AUC比、本明細書では互換性に用いる):注射後20〜30分間(AUC 20,30 )の関心領域の増強曲線下面積を血液において測定したIAUC 1 で割って計算する。この量は、浸出した造影剤の量、すなわち、直接k trans およびk ep の値に関連する。
・後期および初期ENHANCEMENTは、後期および初期AUCRATIOと操作上異なるが実質的に等価(すなわち同じ量を表す)である。
a)病的身体領域または関心領域内の適切な造影剤の移行中に得られるMRI画像を得、得られたMRI画像から造影剤濃度-時間プロフィール(または濃度-時間曲線(本明細書では互換性に用いる)を計算し;
b)計算した濃度-時間プロフィールから病的組織内の造影剤で示された薬物動態に関連する数値ディスクリプタを抽出し;
c)計算したパラメーター値から該組織内の高分子輸送の評価を得る。
i)観察下で病的領域、組織、または塊内への適切な常磁性造影剤の通過中に得られるDCE-MRI画像からシグナル強度曲線、および場合により参照領域 および/または血管部位からの同等の曲線を得、MRIシグナル強度を造影剤濃度に変換して濃度曲線を得、
ii)薬物動態モデルによる濃度曲線を適合させて、該組織、領域、または塊への造影剤の輸送に関連する薬物動態パラメーターpiの推定値を得、
iii)得られた薬物動態パラメーター値から観察下で該組織または領域内の目的とする高分子溶質の送達を評価する。
例えば、典型的には先に記載のごとく得られる30分間以下、好ましくは1〜20分間の全取得時間ウィンドウ、あるいは、例えば注射後20〜30分間のt1〜t2時間ウィンドウ、または造影剤投与およびMRI取得終了を含むあらゆる連続または非連続時間ウィンドウに及ぶ、目的とする領域または組織内への造影剤の移行により得られるMRI画像のセットから造影剤注射後の最初のT分間に及ぶ造影剤濃度(および/またはシグナル増強)曲線、ならびに/または取得時間ウィンドウのすべての注射後時点で計算される平均シグナル増強を計算する。
[式中、IAUCTは、注射後最初のT時間で計算したIAUCである。F(i)は、ダイナミック時点iにおける造影剤の組織濃度(またはAUCEについてはシグナル増強)である。tiは、時点iの時間である。Nはti=T前の最終時点である。]、または
[式中、AUCは、t1〜t2時間ウィンドウで計算される(すなわち、より正確には、t1〜t2の時間間隔で得られたすべてのDCE-MRI画像を用いることによる)。F(i)は、時点iで測定した造影剤の組織濃度(またはAUCEについてはシグナル増強)である。]。
a)目的の病的身体領域、組織、部位、または塊内への造影剤の移行によるDCE-MRI画像、および場合により、良好な解剖学的解像度のさらなるMRI画像のコレクションを得、関心領域、典型的には腫瘍部位、参照領域、および場合により収集したDCE-MRI画像内の血管部位を同定し、同定した部位内のシグナル強度曲線を得、
b)所望により、造影剤投与からMRI取得終了を含む任意の連続的または非連続的な時間ウィンドウにおけるAVGENHおよび/またはAUCE値を決定し、
c)工程a)で得られたMRIシグナル強度値を造影剤濃度値に変換して濃度-時間曲線を作成し、
d)所望により、造影剤投与からMRI取得終了を含む任意の連続的または非連続的な時間ウィンドウにおけるAUG値を決定し、
e)薬物動態モデルによる該得られた濃度曲線を適合させてKtransの推定値を得、
f)評価したパラメーターの得られた推定値から目的とする高分子溶質の送達を評価する。
1. 好ましくは、Ktrans、AVGENH、fPV、AUCE、AUC、EARLYAUCRATIO、およびLATEAUCRATIO、工程a)で収集した各DCE-MRI画像の参照領域においてピクセルベースで決定した値の平均(μ)および標準偏差(σ)から選ばれるパラメーターを含む、目的のDCE-MRIパラメーター pそれぞれを計算し、
2. 該DCE-MRIパラメーターそれぞれについてμ+3σ閾値を計算し、
3. 回収したDCE-MRI画像それぞれにおいて、目的のパラメーター値 pi>μ+3σを示す病的または腫瘍ROI中のピクセルを同定し、
4. 全病的領域または腫瘍容量をサンプリングするすべてのDCE-MRI画像の腫瘍ROIから閾値(μ+3σ)を超えるパラメーター値を示すピクセルの分画Dを計算し、
5. カットオフ値、例えば0.5を決め、D>0.5の「浸透性」または「好ましい」病的身体部位または腫瘍を定義する。
X-L-Y (I)
[式中、Xは、ジエチレントリアミノペンタ酢酸 (DTPA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸 (DOTA)、4-カルボキシ-5,8,11-トリ(カルボキシメチル)-1-フェニル-2-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-酸(BOPTA)、または多座AAZTAキレートリガンド(WO03/008390またはEP 1904460に記載されている)からなる群から選ばれるキレートリガンドの常磁性キレート錯体である。Yは、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、リトコール酸から選ばれる胆汁酸の残基であるか、または1、2、または3個の芳香族および/または脂環式環を含む環式残基または多環式残基である。Lは連結基である。]。
この点で、本発明の範囲内にある適切な常磁性金属イオンは以下から選ばれる:Fe(2+)、Fe(3+)、Cu(2+)、Ni(2+)、Rh(2+)、Co(2+)、Cr(3+)、Gd(3+)、Eu(3+)、Dy(3+)、Tb(3+)、Pm(3+)、Nd(3+)、Tm(3+)、Ce(3+)、Y(3+)、Ho(3+)、Er(3+)、La(3+)、Yb(3+)、Mn(3+)、Mn(2+)。より好ましくは、該常磁性金属イオンはGd(3+)である。
で示されるAAZTA-デオキシコール酸のガドリニウム錯体ジナトリウム塩(以後、Gd AAZTA-デオキシコール酸(deoxycholic)であり、これは、ヒト血清アルブミンと90%を超える結合親和性を示すことがわかっている。
本発明のDCE-MRI法で非侵襲性に測定したKtrans、IAUCET、およびIAUCTの測定値(実験の項の表AおよびBに要約している)は、腫瘍縁および腫瘍コアの両方で、本明細書で提唱した蛍光顕微鏡法により得られた減衰曲線下面積により組織学的に定量した血管(FITC-BSA)から浸出したアルブミンと統計的に有意な線形相関を示した。この点で、各測定パラメータに対応する各データカラムについて得られたピアソン係数および統計的有意差を該表に示し、試験した動物の腫瘍コアおよび腫瘍縁両方の回帰線を用いてプロットしたKtransの対応値に対するFITC-BSAの得られた組織学的推定値間の相関を図5および6に示す。
の顕著な違い)にも関わらず、本発明により選ばれた非共有結合造影剤は、モノクローナル抗体由来抗癌剤の輸送と実質的に一致した数値DCE-MRIパラメーター、したがって、浸透抵抗腫瘍の非侵襲評価のための好都合な使用の実行可能性を提供することができることを示唆する。この後者の仮説をさらに裏付けるために、本発明によるDCE-MRI推定値を用いて、CTX標識薬剤に対する不十分または低下した浸透性を示す「好ましくない」すなわち「非浸透性」腫瘍(およびマウス)を、「好ましい」すなわち「浸透性」腫瘍と区別し、得られた結果を組織学的推定値と比較した。
Gd AAZTA-デオキシコール酸塩の製造を、下記スキーム1に記載の合成方法を用いて行った。
a) 6-[ビス[2-[(1,1ジメチル)エトキシ]-2-オキソエチル]アミノ]-6-[5-[[(3β,5β,12α))-23-(メトキシカルボニル)-7-ヒドロキシ-24-コラン-3-イル]アミノ]5-オキソペンタ-1-イル]-テトラヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン-1,4-(5H)-ジ酢酸ビス[(1,1-ジメチル)エチル]エステル (3)
(3β,5β,12α))-3-アミノ-12-ヒドロキシコラン-24-酸メチルエステル 1 (7.3 g、18.0 mmol;WO95/32741に記載のごとく製造した)、2 (11.0 g、16.4 mmol、WO2008/071679に記載のごとく製造した)、およびN-ヒドロキシベンゾトリアゾール (HOBt) (2.21 g、16.4 mmol、Product Aldrich、art. 157260)を、CH2Cl2 (105 ml)に溶解し、0〜5℃に冷却し、次いで、CH2Cl2 (60 ml)中のN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の溶液 (3.71 g、18.0 mmol;Product Merck、art. 802954)を40分間かけて加えた。0〜5℃で2時間および室温で22時間後、サスペンジョンを濾過し、容量を半分に濃縮し、次いでsat.NaHCO3 (3 x 30 ml)およびH2O (2 x 30 ml)で洗浄した。有機相を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、次いで蒸発させた。粗物質(17.1 g)をフラッシュクロマトグラフィ (Silica gel 60 (0.040-0.063 mm) (Merck KGaA art. 109385)カラム h = 20 cm、φ = 10 cm;溶離剤 97 :3 CHCl3/MeOH ) で精製して目的とする化合物3 (13.36 g;12.6 mmol)を固体として得た。収率77%
分析データ
Mr:1059.49 (C59H102N4O12)
HPLC:90.8 % (面積%)
1H-NMRおよび13C-NMR(CDCl3)は予期した構造と一致する。
b) 6-[[ビス(カルボキシメチル)]アミノ]-6-[5-[[(3β,5β,12α))-23-カルボキシ-7-ヒドロキシ-24-コラン-3-イル]アミノ]5-オキソペンタ-1-イル]-テトラヒドロ-1H-1,4-ジアゼピン-1,4-(5H)-ジ酢酸 (AAZTA-デオキシコール酸)の製造
分析データ
Mr:821.02 (C42H68N4O12)
HPLC:89.1 % (面積%)
1H-NMRおよび13C-NMR:(D2O/KOD)は予期した構造と一致する。
錯滴定価:(0.01 M CuSO4):93,4 %
KF:5.17 %.
分析データ
Mr:1019.21 (C42H63GdN4Na2O12)
HPLC-ELSD:99.7 % (領域 %) (下記参照)
MS:提唱した構造と一致。
C42H63GdN4Na2O12に対する元素分析(%)
クロマトグラフィ法 リン脂質RXSIL
固定相:Zorbax RX-SIL、4.6 mm ID x 250 mm (5μm)
温度:40 ℃
移動相:勾配溶出
A: CH2Cl2/CH3CN/CH3OH/25% NH4OH 237:237:25:1 (v/v)
B: CH2Cl2/CH3CN/CH3OH/H2O/25% NH4OH 150:150:125:70:5 (v/v)
流速:1.2 mL/min
結合(%)をWhitlam JB、Brown KF Ultrafiltration in serum protein binding determination. J. Pharm Sci. 1981;70:146-150; Bowers WF、Fulton S、thompson J. Ultrafiltration vs equilibrium dialysis for determination of free fraction. Clin Pharmacokinet. 1984;9:49-60に記載の遠心限外ろ過法により測定した。
B22956/1 (Bracco Imaging S.p.A.,例えばWO00/37738に記載のごとく製造)
Gd AAZTA-デオキシコール酸2ナトリウム塩 (Bracco Imaging S .p.A.)
Seronorm(登録商標)Human (Nycomed Phama)
アルブミン血清タンパク質結合を、ヒト血清溶液中で分析した(Seronorm Human、Nycomed Phama)。各錯体を0.5 mMのGd(III)イオン濃度で加えた。該溶液を、Innova 4230インキュベーターシェーカー(New Brunswick Scientific、Edison NJ USA)中で37℃に維持した限外ろ過再生セルロース膜(30KDa MWCO)を装着したAmicon超遠心分離器中でインキュベーションした。37℃で10分間、試料をインキュベーションし、次いで、限外ろ過を行った。Gd(III)-錯体結合のパーセント(%B)を下記式により決定した:
%B=[(Ct-Cf)/Ct]*100
[式中、Ctは、インキュベーションした溶液中の総Gd(III)量である。Cfは、浸透溶液中に見られる遊離Gd(III)錯体である。平均結合分画をトリプリケートで行った限外ろ過実験から評価した。各Gd(III)-錯体と限外ろ過膜の非特異的相互作用を各錯体の水性溶液を用いて行った回収実験から排除した。
B22956/1の溶液を、31.8 mgの錯体をmilliQ水(1 mL)に溶解して調製し、次いで、電子レンジ (25.07±0.41 mM)中で硝酸中で試料を消化した後、Gd(III)の量をICP-MS分光計(Elan 6000、Perkin Elmer)で定量した。
上記溶液(0.300 mL)を15 mLの再構成ヒト血清に加えた。限外ろ過前に、Gd(III)量 (Ct)を誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)で測定するために該溶液(0.5 mL)を回収した(0.460 mM±0.015)。調製した溶液(4.5 mL)を混合し、インキュベーター振盪器中で37℃に加熱し、37℃で10分間インキュベーションした後、再生セルロース膜(30KDa MWCO)を用いて限界ろ過した。タンパク質不含浸透溶液(0.4 mL)を回収し、CfをICP-MS分析により測定した。限外ろ過手順をトリプリケートで反復した。
Gd-AAZTAデオキシコール酸ナトリウム塩の溶液を20.8 mgの錯体をmilliQ水(0.63 mL)に溶解して調製した。ICP-MSにより測定したGd(III)の量は、26.06mM (S.D.:1.13 mM)であった。該溶液(0.290 mL)を15 mLの再構成ヒト血清に加え、0.5 mLを限外ろ過前に回収し、総Gd(III)を評価した(Ct=0.464 mM、SD:0.014 mM)。
AAZTAベースのGd錯体の血清タンパク質との結合相互作用を先の実施例に記載のごとく測定した。
動物
Harlan Laboratories S.r.l.、S. Pietro al Natisone (UD)、Italyから購入した20 NCR無胸腺ヌードマウスを用いて実験を行った。
動物を用いるすべての手順は、実験動物の管理と使用に関する指針、および国内法および国際法 (L.D. 116/92;承認n.19/2008-A(Italian Ministry of Healthにより2008年3月6日に発行);EEC Council Directive 86/609CEE、およびEEC Council Directive 2010/63/EU)に従って行った。
ヒト前立腺アデノカルチノーマ細胞(PC-3)をATCC (American Type Culture Collection)から得、10%ウシ胎児血清、2 mMグルタミン、100 IU/mLペニシリン、および100μg/mLストレプトマイシン添加Hams F-12培地(すべてLonza、Verviers、Belgiumから購入)で増殖させた。次に、PC-3細胞を回収し、PBSで2回洗浄し、5x106個の細胞を0.1 mLリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再浮遊させ、5週齢の雄マウスの右脇腹に皮下注射した。腫瘍の発達を、実験終了まで2〜3日毎に触診し、キャリパーで測定した。腫瘍体積を、式:(π/6) x (L x W)3/2[式中、LおよびWは腫瘍の最大長および最大幅である。]で測定した。平均腫瘍体積が400〜600mm3に達し、最初の薬剤処置をする比にマウスを2群(処置およびコントロール)に無作為に割り振った。
Axitinib(登録商標)(LC Laboratoires、Woburn、MA、USA)をポリエチレングリコール400に5mg/mLで懸濁し、室温で10〜20分間超音波処理して微細なサスペンジョンを得た。該サスペンジョンのpHを0.1 N HClで2〜3に調整し、次いで2回目の超音波処理を行った。酸性水(pH 2〜3)を加えて、ポリエチレングリコール400:H2Oの最終比を3:7 (v/v)とした。注射できる状態の溶液を4〜5日間毎に新たに調製し、暗所に4℃で保存した。Axitinibを25mg/kgの用量(5 mL/kgの投与容量に対応する)で腫瘍保持マウスに腹腔内注射により毎日投与した。コントロールマウスには、被験物と同じ投与容量のビークル溶液 (30% ポリエチレングリコール 400:70%酸性水、pH 2〜3)を毎日腹腔内注射した。
動物を連続7日間処置した。
造影剤および薬剤処置を下記表1に示す用量および容量で行った。
Axitinibによる6日間の処置期間の開始時および終了時に、コントロール群および処置群の各動物を、MultiHance(登録商標)(非アルブミン結合化合物、基準として使用)で最初に、24時間後にB22956/1でMRI画像化した。
実験タイミングのスキームを図1に示す。すなわち、第0日は、Axitinibによる処置開始日であり、第6日は処置最終日であり、Axitinib(登録商標)処置開始前日、すなわち、第-1日は、MultiHance(登録商標)による画像化日であり、第7日は、組織学的検査用に腫瘍を摘出した日である。
MR画像化実験中は、動物を33%O2および66%N2Oを混合したイソフルオランガス(約1%)で麻酔した。該実験中は、呼吸数に応じてガスレベルを調整し、麻酔を維持した。
造影剤を、動物の尾静脈に取り付けたカテーテルから約1 mL/minの注射速度で静脈内注射した。
MR実験は、BGA12S2勾配コイル(内径12cm)を装着した小動物実験専用の3Tで操作するBioSpec-Bruker分光計を用いて行った。
冠状および軸方向Rare T2強調画像を、腫瘍塊を検出するための良好なコントラストの高い解像度を得るために最適化したパラメーターを用いて得た。
プレコントラスト局所縦緩和時間(T1)を、以下のパラメーター:マトリクス256x128x8、スライス厚1.875 mm、FOV 3x3 cmを用い、造影剤注射前に、種々のフリップ角θ (FA=5〜90°)で3D FLASH MR画像 (Fast Low Angle Shot、TR約6〜7ミリ秒)を得ることにより測定した。2つの飽和バンドをフローアーティファクトを避けるために測定したスライスの直上および直下においた。
[式中、TRは、繰り返し時間、T1は縦緩和時間である。S(θ)はフリップ角θで得られるシグナルである。kは、プロトン密度およびレシーバーゲインを考慮した比例コントラストである。
5初期プレコントラストおよび約315ダイナミックポストコントラスト画像からなるダイナミック3D FLASH (FA=20°、TR約6〜7ミリ秒、取得時間約7.5s)を造影剤 B22956/1注射時に得た(スキャン時間45 min)。5初期プレコントラストおよび約235ダイナミックポストコントラスト画像を造影剤MultiHance(登録商標)注射時に得た(スキャン時間30min)。
2つの飽和バンドをフローアーティファクトを避けるために測定したスライスの直上および直下においた。
最後のMRI取得時に、蛍光色素溶液(FITC-アルブミン、10 mg/mL、Sigma-Aldrich)を、100 mg/kgの用量 (投与容量:10 mL/kg)で尾静脈に注射した。注射して20分後にマウスを頸椎脱臼により屠殺した。切除した腫瘍を頭/尾方向に3片にカットした。
試料を4%ホルマリンで一夜固定し、次いで、30%蔗糖生理食塩水溶液で一夜インキュベーションした。最後に、試料をOCT (最適切断温度)化合物中に包埋した。全部の組織ブロックを液体窒素で冷却したイソペンタン中で凍結した。
約1600の5μm厚凍結切片(選択した組織学的切片)をOCTブロックから得た。5隣接切片(25μm)を、MR画像に用いたものとほぼ並行な面で腫瘍塊の中心片から100μm毎にカットした。
アルブミン-FITC可視化のために、切片を2%中性緩衝ホルマリンで10分間固定し、0.1 Mグリシンを加えたリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で20分間洗浄し、次いでマウント用媒質にマウントした。
各動物から、10倍の倍率で約70画像を、例えば図2に示すように腫瘍の縁およびコア部位の選択した組織切片からサンプリングした。縁を、腫瘍切片の1mm周辺端部と定義した。コアは、腫瘍切片の中心部分に対応する。
組織学的画像を、Leica蛍光顕微鏡DM2500およびBiology LaboratoriesのLASソフトウエアを用いて捕捉した。
目的部位(ROI)を取り出し、シグナル強度を、血液(下大静脈または腹大動脈の)、および腫瘍縁(腫瘍の1mm周辺端部)、腫瘍コア(腫瘍の中心部分)、および全腫瘍部位について記録した。次に、2種類の分析を、本発明のDCE-MRI法が提供する2つの異なる実施手順に従って実施した。
1. 腫瘍中の時間に応じたシグナル増強および造影剤濃度のモデルフリー分析。
2. 2コンパートメント薬物動態モデルに基づく時間に応じた(3切片)縦緩和時間分散(変動)の薬物動態(モデル化)分析。
最終分析結果は、例えば表AおよびBに示す腫瘍から得た各MRIスライスについてモデルフリーおよび薬物動態パラメーターの両方を含むデータセットであった。
画像を、WindowsコンピューターでパブリックドメインNIH画像Jプログラム(U.S. National Institutes of Healthが開発し、例えばインターネットのhttp://rsb.info.nih.gov/nih-image/から利用可能)を用いて分析した。収集した画像データをPhyton scriptにより加工した。統計分析は、SPSS (SPSS、Inc.、Chicago IL)を用いて行った。
腫瘍部位および血液のプレコントラストR1値を、変動フリップ角FLASH画像から測定した。該方法は、θに応じたS(θ,i,j)の測定値の線形型のピクセル毎の最小二乗フィッティングからなった(ここで、S(θ,i,j)は、θに等しいフリップ角でピクセル (i,j)で測定したシグナルである。)。
腫瘍ROIおよび血液のポストコントラストR1値は、下記式を用いて造影剤投与の前および後に得られたダイナミック3D画像の平均プレコントラストR1値および平均シグナル強度からROIについて計算した。
[式中、R1(ROI,t)は、ROI ROIについて時間tで計算した平均R1である。S(ROI,t)は、ROI ROIについて時間tで計算した平均シグナル強度である。Spre(ROI)は、プレコントラスト注射画像からROI ROIにおいて測定した平均シグナルである。R1プレおよびポストコントラストを評価したら、時間に応じた平均CA組織濃度を周知の関係により計算する。
[式中、r1,CAはCA緩和能である。CCA(ROI,t)は、時間tでROI ROIについて測定した造影剤濃度である。]
時間濃度曲線下初期面積(IAUCT)を用いて、腫瘍微小血管系を特徴づけた。IAUCTを、造影剤注射後最初の1、5、10、15、20、および30分間の造影剤濃度とシグナル増強の台形積分を用いて種々の時点で計算した。
[式中、IAUCTは、注射後最初のT分間で計算したIAUCである。F(i)は、ダイナミック時点iにおける造影剤の組織濃度またはシグナル増強である。tiは、時点iの時間である。Nは、ti=T前の最終時点である。t0は最初の注射後時点と定義した。]
以下において、IAUCTは、注射後最初のT分間で計算した造影剤濃度曲線下初期面積を表し、IAUCETは、シグナル増強曲線に基づくが同じ計算値を表す。
2つのコンパートメント薬物動態モデル(Daldrup H、et al.、1998 Correlation of Dynamic Contrast Enhanced MR Imaging with Histologic Tumor Grade:Comparison of Macromeleuclar and Small-Molecular Contrast Media. AJR;171:941-949;Tofts P.S. et al、1999、Estimating Kinetic Parameters From Dynamic Contrast-Enhanced T1-Weighted MRI of diffusible Tracer:Standardized Quantities and Symbols. JMRI;10:223-232(これらの内容は本明細書の一部を構成する))を用い、腫瘍組織中の造影剤媒質の動力学的挙動を説明し、腫瘍中の血管外細胞外腔(EES)と血漿の間の交換の動力学を正確に説明した。
(1)
3つのパラメーターを解析する微分方程式を以下に示す。
[式中、C tis (t)およびC P (t)は、それぞれ腫瘍組織および血漿中の時間に応じたガドリニウム濃度である。Ktransは移動定数である。Kepは速度定数である。fPVは部分血漿量である。]
Ktrans、Kep、およびfPV値は、常套的線形最小二乗包を用いてDCE-MRIデータから推定することができる(例えば、Kenya Murase、2004、MRM;51:858-862、および上記文献参照)。
この点で、特記しない限り、Ktransは本明細書ではkTranまたはkTrans mL\(min x g) x 100ともいう(後者は単位測定を表す場合である)。また、fPVは本明細書ではfPVまたはfPV(%)ともいう。
血管密度は、下記の閾値に基づく分割法を用いる目的とする組織中のアルブミンで染色された面積のパーセンテージとして定量し、さらに、FITC-アルブミンの溶出分画による蛍光を局所微小血管の透過性を特徴付けるために定量した。
RGSヒストグラムを、画像コントラストを増加させるために伸張し、次いでRGBピクセル強度を下記輝度式を用いて8ビットグレースケールに変換した。
輝度値=0.3赤色+0.59緑色+0.11青色
血管に対応するピクセル(血管ピクセル)をOtsu閾値アルゴリズムにより分割した。外分割結果は、我々組織学者により内部的に実証された。
血管領域を、血管ピクセルが占める視野のパーセンテージとして計算した(FITC−アルブミン陽性領域%)。
腫瘍組織中のFITC-アルブミン分布を分析するために、FITC-アルブミン蛍光を、各画像について直近の血管に対して一定の距離にあるすべてのピクセルについて平均化し、該直近の血管からの距離に応じて保存した(蛍光減衰曲線)(Daldrup H、et al.、1998 Correlation of Dynamic Contrast Enhanced MR Imaging with Histologic Tumor Grade:Comparison of Macromolecular and Small-Molecular Contrast Media. AJR;171:941-949)。浸出FITC-アルブミンの総量を1〜200μm蛍光減衰曲線下面積により定量した(FITC−Alb. 減衰AUC(1-200μm))。
統計分析
DCE-MRI推定値と組織学的パラメーターの間に存在する相関を評価するために、ピアソン相関を、MRIパラメーター:kTrans、fPV、IAUCE1、IAUCE5、IAUCE10、および組織学的:FITC−アルブミン陽性領域%、FITC-Alb.減衰AUC(1-200μm)のそれぞれについて計算した。p-値<0.05を統計的に有意とみなした。
結果
腫瘍縁およびコアにおいてガドコレチン酸3ナトリウム塩を用いて得られた蛍光顕微鏡画像およびMRI画像化に基づく結果から得られたアルブミン分布の組織学的推定値、およびピアソン相関をそれぞれ下記表AおよびBにまとめる。表Eは、表AおよびBのラベル定義を示し、組織学的およびMRI誘導推定値からコアおよび縁の両方に存在する統計的線形相関を確認する。表CおよびDは、造影剤MultiHance(登録商標)を用いて得られたデータを示し、この造影剤を用いてDCE-MRIと組織学的データの間に相関はみられなかった。
それぞれ測定したパラメーターに対応するDCE-MRIデータ欄のそれぞれについて得られたピアソン係数は示した表に含まれ、B22956/1を用いて得られたDCE-MRIに基づく値と組織学的データの間に存在する統計的線形相関を確認する(これは、さらにp値が常に0.05未満であることにより確認された)。造影剤 MultiHance(登録商標)を用いて統計的に有意な相関はみられなかった。
細胞株
患者のメラノーマ由来ATCC WM15 (Silini A、et al. Regulator of G-protein signalling 5 (RGS5) protein:a novel marker of cancer vasculature elicited and sustained by the tumor's proangiogenic microenvironment. Cell Mol Life Sci. 2011 DOI 10.1007/s00018-011-0862-8)メラノーマ細胞株を、10%加熱不活化ウシ胎児血清(Sigma、St. Louis、MO、USA)および1% L-グルタミン(Gibco)添加RPMI 1640 (Roswell Park Memorial Institute 1640)(Gibco、Paisley、UK)中で培養し、37℃で5%CO2の加湿雰囲気下で維持した。対数増殖期の細胞を回収し、繰り返し洗浄し、注射前に無血清培地に再浮遊させた。
Harlan (Correzzana、Italy)から得た6〜8週齢の雌NCr-nu/nuマウスを、特定病原体未感染条件下で維持し、全試験を通して無菌操作した。動物を含む手順およびその管理は、実験動物の管理と使用に関する基準に関する上記国内法および国際法および指針に従って行った。WM1552/5細胞(2x106個)を腫瘍が約100〜150mgに達した時に処置のために無作為化したヌードマウスの右脇腹に皮下注射した(N=10〜12/群)。
PTX (Indena S.p.A.、Milan、Italy)を50% Cremophor EL (Sigma)および50%エタノールに溶解し、使用直前にさらに生理食塩水で希釈した。PTXを20mg/kgの用量で静脈内(i.v.)注射した。
試薬
B22956/1 (Bracco Imaging S.p.A、WO 00/38738に記載のごとく得た)をMRI造影剤として使用した。
PTXおよびビークル処置したWM1552/5メラノーマ異種移植保持ヌードマウス(N=4、マウス/群)をPTX投与後24時間にDCE-MRIで分析した。環流および透過性が病変のサイズの影響を受けるのを避けるため、PTXおよびビークル処置腫瘍の体重を一致させた(それぞれ、平均=603 mgおよび503 mg)。磁気共鳴画像化スキャンを、7 Tesla/30cm磁石および35mmバードケージRFコイルを装着した、小齧歯類専用のBioSpec AVIIIシステム(Bruker BioSpin)を用いて行った。スキャンの継続時間を通して、動物を麻酔制御下においた(約30% O2、70% N2、および0.8〜1%イソフルラン)。腫瘍の血管新生を、本発明の造影剤の非限定的例としてB22956/1 (Bracco Imaging SpA) 0.1 mmol/kgを注射した後に得られた、以下のパラメーターを用いる74トランスバーサルFLASH (Fast Low Angle SHot) 2次元(2D) T1強調スキャンを含むダイナミックコントラスト増強(DCE)系により観察した:TR/ TE 100/3.5 ms、フリップ角(FA) 90°、マトリックスサイズ128 x 256、視野2.5 x 2.5 cm2 (面内解像度約200 x 100 mm2に相当する)、6スライス、2 mm厚、取得時間59秒/画像。同じパラメーターを用いる1スキャンをCA注射前に行った。腫瘍中のプレコントラストT1値を、多スライス可変フリップ角FLASHを用いて測定した。すべてのMRI実験の画像2D再構築を、スキャナーソフトウエアParaVisionを用いて行った。画像後処理およびデータ分析は、画像J下で操作する社内開発手順により行った(Abramoff、M.D.、Magalhaes、P.J.、Ram、S.J. 「Image Processing with ImageJ」. Bio光子ics International、volume 11、issue 7、pp. 36-42、2004)。得られた推定値を図7にボックスプロットで示す。図7は、PTX処置腫瘍のコアおよび縁の両方におけるDCE-MRI-推定B22956/1部分血漿量fPVおよび移動係数の増加を示す。
造影剤(DCE-MRI)の分布の動力学的差をMann Whitney U検定で分析した。
動物
8匹の雌NCR無胸腺ヌードマウス(Harlan Laboratories S.r.l.、S. Pietro al Natisone (UD)、Italyから購入)を用いて実験を行った。動物を含むすべての手順とその管理は、実験動物の管理と使用に関する上記国内法および国際法および指針に適合する企業指針に基づいて実施した。
ヒト扁平上皮癌細胞株(A431)(ATCCより供給)を、10%加熱不活化ウシ胎児血清(Lonza、Verviers、Belgium)、2mM グルタミン(Lonza、Verviers、Belgium)、100 IU/mLペニシリン、および100μg/mLストレプトマイシン(Lonza、Verviers、Belgium)を添加したDMEM (Dulbecco改良Eagle培地)高グルコース培地(4.5g/Lグルコース)中で培養し、37℃、5%CO2の加湿雰囲気下で維持した。対数増殖期の細胞を回収し、PBSで2回洗浄した。2×106個のA431細胞を0.1 mL PBSに再浮遊させ、6週齢の各雌マウスの右および左脇腹に皮下注射した。腫瘍の発達を、接種後毎日、最初は触診で、腫瘍塊が確認されたらキャリパーで屠殺の日まで追跡した。マウスを、キャリパーで測定した腫瘍直径が7〜8mmに達した最初の薬剤処置日に無作為に2群(処置およびコントロール)に振り分けた。
Paclitaxel(登録商標)(PTX)(Indena S.p.A.、Milan、Italy):PTX溶液を、実施例4に記載のごとく50%Cremophor ELおよび50%エタノールを用いて調製し、さらに使用直前に生理食塩水で最終濃度2mg/mLに希釈した。PTXを、20 mg/kgの用量で静脈内投与した(i.v.、単回投与)。
コントロールマウスを、試験薬に用いたのと同様の投与容量のビークル溶液(50%Cremophor ELおよび50%エタノール(生理食塩水で希釈))で腹腔内処置した。
ヒト扁平上皮癌(A431)の腫瘍モデルにおける抗体Cetuximab(登録商標)(CTX)の蓄積および分布に対するPTXによりもたらされる効果を測定し、得られた結果をB22956/1を用いて得られたDCE-MRIデータと比較するために実験を設計した。
MR実験を、BGA12S2勾配コイル(内径12cm)を装着した小動物試験専用の3Tで操作するBioSpec-Bruker分光計を用いて行った。
試薬
B22956/1(Bracco Imaging S.p.A、上記のごとく得た)をMRI造影剤(CA)として用いた。B22956/1は、100μmol/kgの用量(投与容量4mL/kg)で静脈内注射した。
PTXまたはCTRL処置後24時間で、各動物にCA(B22956/1)を注射し、DCE-MRIで画像化した。造影剤を、動物の尾静脈に取り付けたカテーテルから約1 mL/minの注射速度で静脈内注射した。MR画像化実験用に、動物を、33% O2および66% N2Oの混合物中のイソフルランガス(約1%)で前麻酔し、次いで、呼吸速度に応じてガスレベルを調整して麻酔を維持した。MRI画像化を、造影剤投与後の種々の時点で行った。特に、プレコントラスト冠状および軸方向Rare T2強調解剖学的画像を、良好なコントラストの高解像度を得るために最適化したパラメーターで得、腫瘍塊を検出した。可変フリップ角θ (FA=5〜90°)の3D FLASH画像(Fast Low Angle Shot;TR約6〜7ミリ秒)を造影剤注射前に得、マトリックス128x128x8、スライス厚〜1.5 mm、FOV〜3.0x3.0cmを用いて腫瘍および筋肉縦緩和時間を推定した。次に、同じ結果(FA=20°、TR約6〜7ミリ秒)を得、CA i.v.注射後の腫瘍および血管のCAダイナミックを追跡した。測定したスライスの直上および直下に2つの厚い飽和バンドを置くことによりフローアーティファクトを避けた。
光学的画像化(OI)実験をPearl Impulse、LiCor、USAを用いて行った。組織学的検査をCRB/Z laboratoriesのScanScope FL Aperio (USA)を用いて行う。
試薬
ERBITUX (Cetuximab(登録商標)溶液;MW〜152 kDa):(100 mM塩化ナトリウム、100 mMグリシン、0.01%ポリソルベート80、および10 mMクエン酸からなる緩衝溶液(pH 5.5)中のImClone LCC、5 mg/mL (0.033mM))。
シアニンCy5:(Cy5、NHSエステル、GE Healthcare、MW 792、10mg/mL)。
Cy5-CTX:蛍光標識モノクローナル抗体 (mAb)は、モノクローナル抗体 (3.51mg/mL、シトレート?TEA緩衝液中。該mAbの市販のグリシン溶液から緩衝液交換により得た)と市販の蛍光シアニンCy5-NHSエステルを、当該分野で知られた典型的な充分に経験のある手順を用いて結合させることにより社内で製造した。結合産物中の色素/mAbモル比=2。
アルブミン-フルオレセインイソチオシアネート:(アルブミン-FITC(Sigma-Aldrich)、10 mg/mL溶液)。
該標識抗体を、用量1mgモノクローナル抗体 (mAb)/マウス(約7nmolの蛍光色素/マウスに相当する)で、PTXまたはビークル投与後24時間に腹腔内注射した。
光学的画像化実験を行う前に、動物を98% O2中のイソフルランガス(2%)で前麻酔し、取得中、麻酔を、呼吸数に応じてガスレベルを調整して維持した。OI期間中、動物を37℃に維持した。
切除した腫瘍をOCT(Optimum Cutting Temperature)コンパウンドに包埋し、液体窒素で冷却したイソペンタン中で急速凍結した。次に、10μm厚凍結切片をOCTブロックから得た。特に、6切片を、MR画像に用いたものとほぼ平行面で各腫瘍から500μm毎に切り出した(3切片/ガラススライド、ガラススライド2枚)。アルブミン-FITCおよびその他の蛍光シグナルの可視化のために、切片を10%中性緩衝ホルマリンで10分間固定し、PBS+0.1Mグリシンで20min分間洗浄し、次いで、DAPIを含む封入剤で封入した。
組織学的画像分析
顕微鏡スケールでのDCE-MRIデータ、腫瘍微小環境に対するPTXの効果、および腫瘍中のCTXの分布の関係を分析するため、蛍光顕微鏡検査を、高感度および高空間的解像度により基準方法として選択した。実際に、CTXとして膜抗原に対する高い特異性を示すmAbに基づく薬剤は、薬剤の治療活性を阻害しうる著しく不均一な空間的分布を生じうる。蛍光顕微鏡検査により、CTXの分布を空間的に解像する、すなわち、顕微鏡スケールでmAbの量を定量し、組織中に送達されるCTXの全体量およびそれが分布する時は均一性に対するPTXの効果を検討することができた。
約3切片/腫瘍に対応する45の組織学的画像を得た。各画像は、色素シアニン5(Cy5)およびフルオレセインイソチオシアネート(FITC)から得られた蛍光シグナルに対応する多量の2チャンネルからなった。Cy5をmAb Cetuximab(登録商標)を結合させ、これを用いてCy5-CTX画像を得(図9パネルD)、アルブミンと結合させた色素FITCを用いてFITC-Alb画像を得た(図9パネルA)。
各切片内部の環流血管を、各FITC-Alb画像において、特定した閾値以上のシグナル強度を有するすべてのピクセルを選択することにより同定した(図9パネルB)。該閾値を選択し、熟練組織学者による目視検査により立証した。
Cy5-CTX染色の空間分布を、各ピクセルについて、FITC-Alb画像を用いて直近の血管壁からの距離を計算して分析した(距離マップ。図9パネルc)。次に、対応するCy5-CTX画像において、Cy5-CTXシグナルを、血管壁からのピクセル距離に応じて表現した(CTX 減衰曲線)(採用したプロトコールに関する限り、例えば、F.Tannock et al.、2005. Clin Cancer Res、11、8782-8788、およびTong、R. T. et al.、2004 Cancer Res、64、3731?3736参照)。この方法により得られた空間分布データは、直近の血管壁から0〜約700μmに及ぶ。
全画像分析を画像Jソフトウエアを用いて実施し、収集したデータはR統計分析環境内で構成された(R Development Core Team (2011). R:A language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing、Vienna、Austria. ISBN 3-900051-07-0、URL. http:/www.R-projact.org/. (本明細書の一部を構成する))。
腫瘍、筋肉、および血液に対するプレコントラストR1値を可変フリップ角FLASH画像から決定した。該方法は、θに応じてS(θ)の値を最小二乗適合することである(ここで、S(θ)は、θに等しいフリップ角で得られた画像から測定したシグナルである)。ポストコントラストR1値を、下記式を用い、プレコントラストR1値、および造影剤投与前および後に得られたダイナミック3D画像のシグナル強度を用いて計算した。
[式中、R1(t)は時間tに計算したR1である。S(t)は、時間tで計算したシグナル強度である。Spreは、造影剤注射前画像から測定した平均シグナルである。]造影剤投与前および後のR1を評価したら、時間に応じた平均CA組織濃度を下記式により計算した。
[式中、r1,CAはCA緩和能である。CCA(t)は時間tで測定した造影剤濃度である。]
1基準R1pre値を、各動物の腫瘍、筋肉、および血液についてroiに基づいて計算し、平均1/T1値を、RF場不均一性による誤差を最小化するために、RFコイルの中心付近のスライスの可変フリップ角 FLASH画像から計算した。
例えば上記実施例3および引用文献に記載の2コンパートメント薬物動態モデルを、腫瘍組織の造影剤の動力学的挙動を説明するため、より正確には腫瘍中の血漿と血管外細胞外腔(EES)の間の交換の動力学を説明するために同様に用いた。同じ微分方程式を、血管終末が含まれる場合に目的とする組織中のCAの動力学的挙動を説明するために用いた。
同様にして下記式:
を示す[式中、Ctis(t)およびCP(t)は、それぞれ腫瘍組織および血漿における時間に応じたガドリニウム濃度である。Ktransは移動定数である。Kepは速度定数である。fPVは、部分血漿量である。]。次に、Ktrans、Kep、およびfPVの値を、例えば常套的線形最小二乗法を用いてDCE-MRIデータから推定した(これについては上記引用文献参照)。
ピクセル毎の分析を、右および左脇腹に接種した腫瘍に対応する目的とする部位ならびに筋肉について行った。
このアプローチは、簡単、計算が速やか(特に、数千ピクセルにわたりピクセル毎に分析する場合に有益である)、およびロバスト性(最小二乗適合手順に依存しないため)により好都合である。
実際に、時間濃度曲線下面積(AUC)を、造影剤濃度またはシグナル増強曲線を数値的に統合した種々の時間ウィンドウについて計算した。AUC値を下記式により定義する。
[式中、AUCはt1〜t2の時間ウィンドウで計算する。F(i)は、時点iで測定した造影剤の組織濃度またはシグナル増強である。]
AUCを注射後の最初の時点から出発して計算する場合は、該パラメーターを、濃度曲線下初期面積(IAUCT)(ここで、Tは時間ウィンドウの上限を示す。)という。この実験において、AUC10,20、AUC20,30、およびIAUC1を計算した。すなわち、該曲線下面積を、それぞれ注射後10〜20分、20〜30分、および最初の時点〜第1分の時間ウィンドウで計算した。次に、2つのさらなるパラメーターを、腫瘍と血液で計算したAUC値を組み合わせて計算して得た。特に、EARLYAUCRATIOを、目的とするROIおよび参照領域(腫瘍および筋肉)におけるIAUC1を血液について測定したIAUC1で割って得た。この点で、B22956/1(試験に用いた)の場合のように、注射後最初の1分間以内の造影剤の浸出がごくわずかであるときは、EARLYAUCRATIO値は腫瘍の部分血漿量(fPV)に対応することに注目すべきである。
[式中、Enh(i)は、ダイナミック時点iでのシグナル増強である。Nは、得られた最終時点である。]。このパラメーターは、きわめて計算しやすくロバスト性のため試験した。
上記DCE-MRIパラメーター値を、DCE-MRI画像から病的な関心領域(本実施例では腫瘍部位)においてピクセル毎に計算した。対応する解剖画像と重ね合わせた評価したパラメーターのそれぞれに対するピクセル毎のDCE-MRI分析の結果を示すパラメトリック画像を、例えば図10に示す。
次に、閾値を、未処置マウスの健康筋肉において該パラメーターについてピクセル毎に測定した値の平均(μ)および標準偏差(σ)を考慮することにより、目的とするパラメーター(p)についてピクセル毎に計算した(典型的には閾値μ+3σとみなす)。
全胸部部位の蛍光画像を、PTX処置およびコントロールマウスにおいて1mm解像度で約10min得た。
処置およびコントロール動物の両方でより高い強度のシグナル領域が記録された。
DCE-MRI パラメーターに対するPTX効果の分析
統計分析は、DCE-MRIデータを用いて行い、PTX処置後24時間の処置および非処置腫瘍を比較した。各腫瘍について、ピクセル毎に計算したDCE-MRI パラメーターの平均値、次いで2処置群の平均の分布を比較した。統計的有意差は、Mann Whitney U検定を用いて試験した。p値<0.05(5%)を統計的有意差とみなした。
得られた結果を表Gに示す(DCE-MRI パラメーターを得るために用いたCTRLおよびPTX腫瘍の平均、標準偏差、および数を示す)。Mann-Whitney U検定の結果も示す。
行った実験において、PTX処置およびコントロールマウスの両方において記録されたかなりのシグナル強度(おそらく、検出可能な領域の飽和による)により、投与したmAbに対するPTXの効果を推定することができなかった。実際に、高用量(例えば1 mg/マウス)のmAb Cetuximab(登録商標)は、A431腫瘍異種移植の血管壁から最初の100μmの腫瘍組織を飽和しうるが、腫瘍の中心部分に位置する低酸素部分における薬剤の浸透は最小限のままであったことが知られている(Lee and Tannock BMC Cancer 2010、10:255)。OIは、mAbがPTX処置および非処置腫瘍の両方に蓄積したことを確認した。腫瘍の良く環流した表面部分より下部から得られる蛍光シグナルを観察する技術の限界により、腫瘍の中心下環流領域におけるPTXの顕著な効果はみられなかった。
蛍光CTX減衰曲線を、直近の血管壁から0〜約700μmの範囲の距離にわたり蛍光顕微鏡により得られた各腫瘍切片について測定した。処置腫瘍と非処置腫瘍にほぼ等しく分けた45の蛍光減衰曲線を分析した。0〜700μmの距離範囲を、約20μm幅のビンに分け、各区間について蛍光シグナルの曲線下面積(fAUC)の値を計算した。fAUCの値の分布をMann-Whitney U検定で比較し、処置腫瘍と非処置腫瘍の差が有意か否かを評価した。得られた結果を図12に示す。各距離ビンについて計算したPTXおよびCTRL群におけるfAUCの中央値をMann-Whitney U検定から得られた対応するp値と共に報告する。図から明らかなように、非処置腫瘍は、直近の血管壁から0〜約200μmでより大きなCTXの蓄積を示した。処置腫瘍は、直近の血管壁から400〜約700μmでより高い蛍光を示した。0〜700μmの全試験範囲にわたり計算したfAUC値の分布を分析したところ、処置腫瘍と非処置腫瘍の間に差はみられなかった。しかしながら、得られた結果(例えば図12に示す)から、PTX処置マウスにおいて投与した蛍光標識抗体の分布がコントロールマウスに比べてより均一で改善されていることが明確にわかる。
本発明の方法により得られたDCE-MRIパラメーターと組織学的データの間の関連の存在を分析した。基準となる観察結果は、PTX処置および非処置腫瘍についての蛍光が測定される血管からの距離に応じた特異的CTX蓄積を示す組織学的結果であった。本発明の方法の特定の例を、抗体CTXの好都合な浸出により特徴付けられる腫瘍を限られたmAbの浸出を示す腫瘍から区別するための本発明のDCE-MRI法の実現可能性を証明するために利用可能なデータに適用した。この点で、CTXの浸出を350〜550μmで計算したfAUC(fAUC350.550)として定量した。
1.ROI (下記実施例では皮下移植腫瘍)における造影剤濃度時間プロフィールおよび/またはシグナル増強時間プロフィールを計算するためにMRIシグナル強度時間プロフィールをピクセル毎に分析する。
2.目的とするDCE-MRIパラメーター値をピクセル毎に計算する。下記実施例において、パラメーターAVGENHを、上記理由により本発明の典型的な、非限定的な、DCE-MRIパラメーターとして用いた。
3.参照領域 (下記実施例では背部筋肉)におけるAVGENH値の平均(μAVGENH)および標準偏差(σAVGENH)を計算する。
4.AVGENH>(μAVGENH+3σAVGENH)を示すROI (腫瘍)のピクセル (DAVGENH)の分画を同定する。
5.DAVGENH>0.5を示す各腫瘍を「好ましい」群に割り当て、その他を「好ましくない」群に割り当てる。
この関連する知見は、提唱した方法の信頼性の目安をもたらし、癌患者を区別するために用いるときの有効性を示唆する。
Claims (15)
- 高分子薬物またはプロドラッグによる処置に適した癌患者を、そのような処置に抵抗性と思われる患者から区別するための予測方法において使用するための、少なくとも1の常磁性複合体単位と、胆汁酸の残基または環式残基若しくは多環式残基から選択される少なくとも1の脂溶性部分を含んでなり、分子量が800〜3,000Daの、85%またはそれ以上のヒト血清アルブミンHSAとの非共有結合性タンパク質結合を示すB22956/1を含んでなる常磁性造影剤であって、
該予測方法において、病的な身体領域、部位、組織、または塊への該高分子薬物またはプロドラッグの予測される送達のin vivo非侵襲性の定量的な予測が、DCE-MRI技術を使用するHSAの局所送達のin vivo定量により得られ、該定量的な予測が、
a)病的な身体領域、部位、組織、または塊内を該造影剤が通過中に得られるDCE-MRI画像を収集し、収集されたDCE-MRI画像内で少なくとも1つの関心領域と参照領域を同定し、同定された領域内のシグナル強度曲線を得、得られたシグナル強度値を造影剤濃度値に変換して濃度−時間曲線を描き、
b)該濃度−時間曲線から、収集されたDCE-MRI画像の少なくとも1つの関心領域と参照領域における、該造影剤により示される薬物動態に関連するパラメーターの数値をピクセル毎に求め、
c)該パラメーターの各々について、関心領域および参照領域における各ピクセルで測定された数値を比較することにより、得られたパラメーターの数値から、目的とする高分子薬物またはプロドラッグの期待される輸送を予測する、
ことを含んでなり、
該パラメーターが、fPV、Ktrans、AVGENH、AUC、AUCE、IAUCT、IAUCET、EARLYAUCRATIO、およびLATEAUCRATIOからなる群から選ばれる、常磁性造影剤。 - ヒト血液循環中の終末相半減期が少なくとも4時間である、請求項1記載の常磁性造影剤。
- パラメーターが、Ktrans、AVGENH、AUC、AUCE、またはそれらの組合せから選ばれる、請求項1または2に記載の常磁性造影剤。
- 定量的な予測が、
a)病的な身体領域、組織、部位、または塊内を前記造影剤が通過中のDCE-MRI画像を収集し、および所望により、良好な解剖学的解像度のさらなるMRI画像を得、次いで、収集したDCE-MRI画像において関心領域、参照領域、および所望により血管領域を同定し、および同定した領域内のシグナル強度曲線を得;
b)所望により、造影剤投与からMRI取得終了までの連続的または不連続的な時間ウインドウでのAVGENHおよび/またはAUCEの値を測定し、
c)工程a)で得られたMRIシグナル強度値を造影剤濃度値に変換して濃度−時間曲線を描き、
d)所望により、造影剤投与からMRI取得終了までの連続的または不連続的な時間ウインドウでのAUCの値を測定し、
e)該得られた濃度曲線を薬物動態モデルに適合させてKtransの推定値を得、
f)得られたパラメーターの推定値から目的とする高分子薬物またはプロドラッグの期待される送達を、参照領域において測定したパラメーターの各々について閾値を計算し、次いで、収集した各DCE-MRI画像において、決定した閾値を超えるパラメーター値を示す病的領域におけるピクセルを区別することにより予測する、
ことを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の常磁性造影剤。 - 工程f)において、目的とする高分子薬物またはプロドラッグの送達の予測が、前記閾値を超えるパラメーター値を示すピクセルの分画Dから計算される、請求項4記載の常磁性造影剤。
- 病的な身体領域、部位、または組織が、腫瘍、または癌状塊、または慢性炎症領域である、請求項1〜5のいずれかに記載の常磁性造影剤。
- 高分子薬物またはプロドラッグの分子量が50kDaまたはそれ以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の常磁性造影剤。
- 高分子薬またはプロドラッグが高分子抗癌剤またはプロドラッグである、請求項7記載の常磁性造影剤。
- 高分子抗癌剤またはプロドラッグが抗体または抗体断片ベースの抗癌剤である、請求項8記載の常磁性造影剤。
- 高分子抗癌剤が、アレムツズマブ、ベバシズマブ、ブレントキシマブ、ベンドチン、セツキシマブ、ゲムツズマブ、イピリムマブ、パニツムマブ、トラスツズマブ、トシツモマブおよびリツキシマブからなる群から選ばれる請求項9記載の常磁性造影剤。
- 測定されたD値に基づき、高分子薬物またはプロドラッグの浸出および拡散をもたらす送達条件を適切に満している病的組織もしくは領域または腫瘍塊を、高分子薬もしくはプロドラッグを用いる薬理学的処置に浸透抵抗性を示す悪性新生物から区別することをさらに含んでなり、0.5を超えるD値をもたらす病的領域または腫瘍部位が高分子薬に対する適切な浸透を示すとみなされる、請求項5〜10のいずれかに記載の常磁性造影剤。
- 治療する病的領域または腫瘍塊への不十分もしくは減少した浸透により高分子薬またはプロドラッグを用いる抗癌療法に対して抵抗性を示す癌患者を層別化するためのプロトコールまたは予測方法に用いるための請求項1〜11のいずれかに記載の常磁性造影剤。
- 90%より高いヒト血清アルブミンとの非共有結合性タンパク質結合を示す請求項1記載の常磁性造影剤。
- 高分子薬物またはプロドラッグによる処置に適した癌患者を、該高分子薬物またはプロドラッグによる抗癌療法に対して抵抗性を示す患者と区別するための、該高分子薬物またはプロドラッグの送達を予測する方法であって、
a)請求項1に記載の造影剤が病的身体部位、領域、組織、または固体塊内を通過中に得られるDCE-MRI画像を収集し、収集したDCE-MRI画像において少なくとも1つの関心領域と参照領域を同定し、同定された領域内のシグナル強度曲線を得、
b)工程a)で得られたシグナル強度値を造影剤濃度値に変換して濃度−時間曲線を描き、
c)薬物動態モデルにより該濃度−時間曲線を適合させ、
d)収集したDCE-MRI画像の関心領域と参照領域について、ピクセル単位で、該造影剤により示される薬物動態に関連するパラメーターの数値を求め、
e)該パラメーターの各々について、関心領域および参照領域における各ピクセルで測定された数値を比較することにより、得られたパラメーターの数値から目的とする高分子薬物またはプロドラッグの送達を予測することを含んでなり、
該パラメーターが、fPV、Ktrans、AVGENH、AUC、AUCE、IAUCT、IAUCET、EARLYAUCRATIO、およびLATEAUCRATIOからなる群から選ばれる、方法。 - 病的領域における測定された高分子薬物またはプロドラッグの送達の程度、および適切な比較により、病的組織内の高分子輸送を改善する薬物による該病状の処置により生じる後者の増加または減少の程度を示す像が、決定した閾値を超える目的のパラメーター値を示す病的領域内のピクセルを、対応する形態学的MRI画像と重ね合わせることにより得られる、請求項4〜11のいずれかに記載の常磁性造影剤。
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