JP6896042B2 - 電力変換回路 - Google Patents

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本願は、電力変換回路に関するものである。
地球温暖化に代表される地球環境の急変に関わる問題、エネルギ資源利用に関わる問題などが議論されている昨今、環境に優しい自動車として、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PHEV(Plug−in Hybrid Electric Vehicle)等のハイブリッド自動車が開発されている。
このような自動車は、従来の自動車にも搭載されていた、制御回路を動作させる補機用電池に加えて、充電された電力により走行用の電動モータを駆動させる駆動用電池を搭載している。この場合、パワーエレクトロニクス技術の進歩を背景に、電動パワートレインコンポーネントの小型化、低コスト化が望まれている。例えば、電動パワートレインの要部を構成する昇圧コンバータなどの電力変換回路では、使用する半導体スイッチング素子に、炭化珪素半導体電界効果トランジスタ(Silicon Carbide半導体Field Effect Transistor、以降Sic半導体FETと称す)を使用することで磁性部品等を小型化し、製品の小型軽量化に貢献している。
しかしながら、電力変換回路にSiC半導体FETを用いた場合において、FETに内蔵するボディーダイオードによるバイポーラ動作により、SiC半導体FETの結晶劣化が進行する。SiC半導体FETの結晶劣化が進行した場合、ボディーダイオードのオン電圧が上昇し、さらにはFETそのものが破壊する可能性がある。その結果、安定した状態で動作する電力変換装置を得ることが困難になる。これを解決する手段として、以下のような構成の電力変換回路、あるいは、SiC−MOSFETのバイポーラ劣化抑制のためのバッファ層技術が開示されている。
即ち、従来の電力変換回路は、SiC半導体FETと逆並列に接続された還流ダイオードを備える。還流ダイオードの最大電流通電時におけるオン電圧を、ボディーダイオードが通電開始する電圧未満に設定される。これによりボディーダイオードが電流導通状態になることを阻止できる。また、最大電流は、電力変換回路中に流れる最大電流であり、例えば、インバータの基本波電流成分にリップル電流が重畳した波形におけるピーク値が電流最大瞬時値となる(例えば、特許文献1参照)。
また即ち、従来のSiC−MOSFETのバイポーラ劣化抑制のためのバッファ層技術では、キャリア寿命の短いバッファ層をSiCエピタキシャル層、基板界面に挿入し、通電時に注入される過剰キャリア密度を減少させることで、SiC−MOSFETの劣化を抑制できる(例えば、非特許文献2参照)。
特開2007−305836号公報
俵 武志、呂 民雅、宮里 真樹 共編:SiC−MOSFETのバイポーラ劣化抑制のためのバッファ層技術
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来の電力変換回路では、電力変換回路の定格電流の最大値以下の電流が流れた場合において、SiC半導体FETの劣化を抑制することができるものの、定格電流を超える過大な電流が流れた場合においては、ボディーダイオードに過大な電流が流れる恐れがあり、この場合、SiC半導体FETの結晶劣化が大幅に進行するという課題がある。
また、上記特許文献1に記載のバッファ層技術では、通電時に注入される過剰キャリア密度を減少させることでSiC−MOSFETの結晶劣化の進行を抑制できる。しかしながら、バッファ層を挿入することで、ある程度の電流値までは結晶劣化の進行を抑制できるが、結晶劣化の進行を抑制できる電流値には限度がある。上記非特許文献1では、DC600A/cm2までの確認結果しか開示されていないため、例えば、電力変換回路の外部の機器、あるいは、回路経路上で短絡などが発生した場合、定格動作領域以上、つまり限度値以上の短絡電流が流れて、SiC半導体FETのボディーダイオードに過大な電流が流れた場合においては、SiC−MOSFETの結晶劣化が大幅に進行するという課題がある。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、電力変換回路の定格動作領域を超える過大な電流が流れた際においても、SiC−MOSFETの大幅な結晶劣化の進行を抑制できる電力変換回路を提供することを目的とする。
本願に開示される電力変換回路は、
ボディーダイオードが内在された炭化珪素半導体電界効果トランジスタである半導体素子を備えた電力変換回路であって、
前記半導体素子と逆並列に接続された還流ダイオードを備え、
前記還流ダイオードの、該電力変換回路の前記半導体素子の最大定格電流以上の第1電流通電時のオン電圧V1aが、前記ボディーダイオードの前記第1電流通電時のオン電圧V2a未満に設定される、
ものである。
本願に開示される電力変換回路によれば、電力変換回路の定格動作領域を超える過大な電流が流れた際においても、SiC−MOSFETの大幅な結晶劣化の進行を抑制できる。
実施の形態1による昇圧コンバータを備えた電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態1による昇圧コンバータにおけるSiダイオードおよびボディーダイオードの電流電圧特性を示す図である。 実施の形態1による電力変換装置において昇圧コンバータに流れる短絡電流の電流経路を示す図である。 比較例の電力変換装置において昇圧コンバータに流れる短絡電流の電流経路を示す図である。 実施の形態1による昇圧コンバータにおけるSiダイオードおよびボディーダイオードの電流電圧特性を示す図である。 実施の形態1による昇圧コンバータの概略構成を示すブロック図である。 実施の形態1による昇圧コンバータの概略構成を示すブロック図である。 実施の形態1による昇圧コンバータにおけるSiC−MOSFETの切替モードを説明するための図である。 実施の形態1による昇圧コンバータにおけるSiC−MOSFETの切替モードを説明するための図である。 実施の形態1による昇圧コンバータにおけるSiC−MOSFETの切替モードを説明するための図である。 実施の形態1による昇圧コンバータにおけるSiC−MOSFETの切替モードを説明するための図である。 実施の形態1による昇圧コンバータにおけるSiC−MOSFETの切替モードを説明するための図である。 実施の形態1による昇圧コンバータにおける効果を説明するための図である。 実施の形態1による昇圧コンバータにおける効果を説明するための図である。 実施の形態2による昇圧コンバータにおけるSiダイオードおよびボディーダイオードの電流電圧特性を示す図である。 実施の形態3による昇圧コンバータを備えた電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。 実施の形態3による昇圧コンバータを備えた電力変換装置の概略構成を示すブロック図である。
実施の形態1.
図1は実施の形態1による昇圧コンバータ20を備えた電力変換装置100の概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態1による電力変換装置100は、電源部としての蓄電部1と、図示しないインバータなどの負荷との間に設けられて、蓄電部1と負荷との間で電力授受を行うものである。図1に示すように、電力変換装置100は、蓄電部1からの電圧を変換する電力変換回路としての昇圧コンバータ20と、この昇圧コンバータ20を制御する制御部30と、を備える。
昇圧コンバータ20の入力側端子20a1、20a2には、蓄電部1の正極と負極がそれぞれ接続され、出力側端子20b1、20b2には負荷が接続される。
ここで、電力変換装置100が電気自動車、ハイブリッド自動車等に適用された場合には、蓄電部1は代表的には、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池からなる。
昇圧コンバータ20は、蓄電部1と並列に接続されて蓄電部1からのリプル電流を除去する入力用コンデンサ2と、この入力用コンデンサ2および蓄電部1の正極側に第1端が接続されるリアクトル3と、このリアクトル3の後段に設けられるレグ部10と、このレグ部10の後段において正負の母線12a、12b間に接続されて、レグ部10の出力電圧を平滑する平滑用コンデンサ11と、を備える。
レグ部10は、半導体素子としての炭化珪素半導体電界効果トランジスタであるSiC−MOSFET4(第1半導体素子)と、SiC−MOSFET5(第2半導体素子)とが直列接続されて構成される。SiC−MOSFET4、5には、それぞれ還流ダイオードとしてのSi(Silicon)ダイオード8、9が逆並列に接続される。
なお、SiC−MOSFET4、5に内蔵されるボディーダイオード6、7は、通常、MOSFETのPウエルとドリフトn層とで形成される。
レグ部10において、SiC−MOSFET5のドレイン端子は、正側の母線12aを介して平滑用コンデンサ11の正極側に接続され、SiC−MOSFET4のソース端子は負側母線12bを介して平滑用コンデンサ11の負極側と、入力用コンデンサ2の負極側に接続される。また、SiC−MOSFET5のソース端子とSiC−MOSFET4のドレイン端子とは互いに接続点13において接続されており、この接続点13はリアクトル3の第2端に接続される。
なお、本実施の形態1では、リアクトル3は蓄電部1の正極側に接続されているが、これに限るものではなくリアクトル3は蓄電部1の負極側に接続されても良い。
また、昇圧コンバータ20の入力側端子20a1、20a2間には、蓄電部1からの入力電圧V1を検出する入力電圧検出回路35aが設けられる。また、昇圧コンバータ20の出力側端子20b1、20b2間には、当該昇圧コンバータ20の出力電圧V2を検出する出力電圧検出回路35bが設けられる。
制御部30は、入力電圧検出回路35a、出力電圧検出回路35bからの入力電圧V1と出力電圧V2の電圧検出値をそれぞれ信号線30a、30bにより取得する。そして制御部30は、検出された入力電圧V1と出力電圧V2に基づいて、制御線31a、31bにより、SiC−MOSFET4、5を設定されたデッドタイムを挟んでオン・オフ制御することで電圧変換を行う。
なお、本実施の形態の電力変換装置100では、電流検出回路を設けない構成を示したが、電流検出回路を設ける構成としてもよい。
図2は、実施の形態1による昇圧コンバータ20におけるSiダイオード8、9およびボディーダイオード6、7の電流電圧特性を示す図である。
図において、昇圧コンバータ20の最大定格電流IRaと、この最大定格電流IRa以上の電流である第1電流Ifと、この最大定格電流未満の電流である第2電流Inとを示す。
この第1電流Ifは、例えば、レグ部10を中心として電力変換装置100前段側部分となる蓄電部1において、この蓄電部1の正負極間が短絡状態である場合に、レグ部10を流れる短絡電流である。あるいは、例えば、レグ部10を中心として電力変換装置100の後段側部分である負荷側において、母線12a、12b間が短絡状態である場合に、レグ部10を流れる短絡電流である。以降、この第1電流Ifを短絡電流Ifと称して用いる。また、第2電流Inは、昇圧コンバータ20の定常動作領域においてリアクトル3に流れる定格電流である。
図2に示すように、本実施の形態のレグ部10を構成するSiC−MOSFET4、5は、短絡電流If通電時のSiダイオード8、9の順方向電圧(オン電圧V1a)が、短絡電流If通電時のボディーダイオード6、7の順方向電圧(オン電圧V2a)未満となるように設定されている。
このようなSiダイオード8、9と、ボディーダイオード6、7との電流電圧特性の相対的関係の調整は、例えば、Siダイオード8、9の電流導通部の有効面積を変更すること等により実現できる。
次に、上記のように構成される本実施の形態の電力変換装置100の基本的な概念およびその効果について、比較例を用いて説明する。
図3は、電力変換装置100において、昇圧コンバータ20に流れる短絡電流Ifの電流経路を示す図である。
図4は、比較例の昇圧コンバータ20Pにおいて、昇圧コンバータ20に流れる短絡電流Ifの電流経路を示す図である。
ここで、比較例の昇圧コンバータ20PのSiC−MOSFET5Pにおいては、短絡電流If通電時のSiダイオード9Pのオン電圧が、短絡電流If通電時のボディーダイオード7Pのオン電圧未満に設定されていない構成であるとする。
図3に示すように、昇圧コンバータ20の後段側の負荷が短絡すると、入力側の蓄電部1からリアクトル3を介して負荷側に流れる過大な短絡電流Ifが発生する。制御部30は、過大な短絡電流Ifが発生しているため、SiC−MOSFET4、5をオフする。しかし、SiC−MOSFET4、5をオフする直前までリアクトル3には過大な短絡電流Ifが流れているため、SiC−MOSFET4、5をオフした後も、リアクトル3は電流を流し続ける。
このとき、本実施の形態の昇圧コンバータ20では、図2の電流電圧特性に示したように、短絡電流If通電時のSiダイオード9のオン電圧1Aが、短絡電流If通電時のボディーダイオード7のオン電圧2A未満に設定されている。そのため、リアクトル3に流れる過大な短絡電流Ifの殆どはSiダイオード9を通る。
一方、比較例の昇圧コンバータ20では、短絡電流If通電時のSiダイオード9Pのオン電圧が、短絡電流If通電時のボディーダイオード7Pのオン電圧未満に設定される構成ではない。そのため、リアクトル3に流れる過大な短絡電流IfはSiC−MOSFET5Pのボディーダイオード7Pを通る。そのため、比較例の昇圧コンバータ20Pでは、SiC−MOSFET5Pの結晶劣化が大幅に進行する。
ここで、図2に示すように、本実施の形態の昇圧コンバータ20では、短絡電流If通電時のSiダイオード8、9のオン電圧V1aは、ボディーダイオードの通電開始電圧Vbd以上に設定されている。即ち、流れる短絡電流Ifの殆どはSiダイオード8、9に流れるが、残りはボディーダイオード6、7に流れる。本実施の形態の電力変換装置100では、この短絡電流Ifが流れた際にボディーダイオード6、7に流れる電流が、ボディーダイオード6、7の定格電流範囲内となるように調整されている。
この調整としては、例えば、図2において電圧範囲Wとして示す、ボディーダイオード6、7の通電開始電圧Vbdと、短絡電流If通電時のボディーダイオード6、7のオン電圧V2aとの間の電圧範囲W内で、短絡電流If通電時のSiダイオード9のオン電圧V1aの値を調整することで行われる。これにより、過大な短絡電流Ifが流れる場合でも、ボディーダイオード7に流れる電流を定格電流値以内に留められるため、SiC−MOSFET5の大幅な結晶劣化の進行を抑制できる。
以上、短絡電流Ifが流れた際に、その電流の一部を定格電流範囲内でボディーダイオード7にも流す構成を示したが、短絡電流Ifの電流の一部をボディーダイオード7に流さない構成としてもよい。
図5は、実施の形態1による昇圧コンバータ20におけるSiダイオード8、9およびボディーダイオード6、7の電流電圧特性の他の例を示す図である。
図5に示すように、短絡電流If通電時のSiダイオード9のオン電圧V1aを、短絡電流If通電時のボディーダイオード7の通電開始電圧Vbd未満に設定する。これにより、短絡電流Ifをボディーダイオード7には流さない構成とできるため、ボディーダイオード7の結晶劣化の進行を確実に抑制できる。
上記電力変換装置100では、SiC−MOSFET5、6それぞれにSiダイオード8、9を逆並列に接続した構成を示した。しかしながらこれに限るものではなく、短絡故障する箇所が、レグ部10を中心として電力変換装置100の前段側あるいは後段側のどちらか一方のみと判っている場合は、以下の図6、7に示すように、短絡故障する場所に合わせて、SiC−MOSFET4、5のどちらか一方にのみ逆並列にSiダイオードを接続させればよい。
図6は、実施の形態1による昇圧コンバータ20の変形例である昇圧コンバータ20E1の概略構成を示すブロック図である。
図6は、昇圧コンバータ20E1の後段側部分のみ短絡故障を担保する構成を示す場合であり、レグ部10の上側アーム側のSiC−MOSFET5にのみ、Siダイオード9が逆並列に接続される。
図7は、実施の形態1による昇圧コンバータ20の変形例である昇圧コンバータ20E2の概略構成を示すブロック図である。
図7は、昇圧コンバータ20E2の前段側部分のみ短絡故障を担保する構成を示す場合であり、レグ部10の下側アームのSiC−MOSFET4にのみ、Siダイオード8が逆並列に接続される。
まず、図7に示す昇圧コンバータ20E2の構成では、電力変換装置100の前段側が短絡故障(V1≒0V)となった場合、過大な短絡電流Ifが、負荷側から入力側の方向にリアクトル3を流れる。SiC−MOSFET4、7をオフした後も、リアクトル3の作用により、SiC−MOSFET4のソース側からドレイン側に短絡電流Ifが流れるが、この短絡電流Ifは主にSiダイオード8に流れる。
このように、電力変換装置100において短絡故障が生じる場所に応じて、Siダイオードを接続するレグ部10のアームを選択することにより、過大な電流によるSiC−MOSFETの結晶劣化の進行を抑制すると共に、Siダイオードの部品点数を削減して低コスト化を実現できる。
なお、図6に示す昇圧コンバータ20E1の構成において、短絡電流Ifが流れる電流経路は図3と同様であるため、説明を省略する。
また、以下に図8〜図12を用いて説明するように、Siダイオード8、9は、ソフトリカバリタイプのダイオードを用いてもよい。
図8〜図12は、実施の形態1による電力変換装置100におけるレグ部10を構成するSiC−MOSFET4、5の切替モードを説明するための図である。
本実施の形態1の電力変換装置100では、力行動作における昇圧コンバータ20のSiC−MOSFET4、5のオン、オフ状態に応じて、これら図8〜11に示す4つの動作モード(MODE1、MODE2、MODE3、MODE4)が存在する。
図8に示すように、MODE1は、SiC−MOSFET4がオン、SiC−MOSFET5がオフの状態である。
図9に示すように、MODE2は、SiC−MOSFET4とSiC−MOSFET5とが共にオフの状態である(デッドタイム期間)。
ここで、図2を参照すると、本実施の形態の昇圧コンバータ20では、Siダイオード9の、定格電流In通電時のオン電圧V1bは、定格電流In通電時のボディーダイオード7のオン電圧V2b未満に設定されている。よって、MODE2において、リアクトル3に流れる定格電流はSiダイオード9に流れる。
図10に示すように、MODE3は、SiC−MOSFET4がオフ、SiC−MOSFET5がオンの状態である。このとき、リアクトル3に流れる電流は、SiC−MOSFETを通る。これは、Siダイオード9の電流電圧特性よりもSiC−MOSFET5のオン抵抗値の方が小さいためである。
図11に示すように、MODE4は、SiC−MOSFET4とSiC−MOSFET5とが共にオフの状態である(デッドタイム期間)。このとき、リアクトル3に流れる電流はSiダイオード9に流れる。
次に、MODE4からMODE1に切り替わるとき、SiC−MOSFET4をオンすると、図12の点線に示すように、Siダイオード9に起因したリカバリ電流IReが流れる。このとき、リカバリ電流IReが大きい場合、リカバリ電流IReが速い場合(di/dtが大きい)等では、SiC−MOSFET4のスイッチング損失が大きくなるだけでなく、SiC−MOSFET4のドレインーソース間に発生するサージ電圧も大きくなる。
図13は、Siダイオードにソフトリカバリタイプを用いた場合の、SiC−MOSFET4のドレイン、ソース間に流れる電流Ids1と、ソフトリカバリタイプを用いない場合の、SiC−MOSFET4のドレイン、ソース間に流れる電流Ids2とを示す図である。
本実施の形態では、Siダイオードに対してソフトリカバリタイプのダイオードを用いる構成としているため、図13に示すように、このリカバリ電流を抑制して、SiC−MOSFET4のスイッチング損失およびサージ電圧を抑制できる。
また、このように、Siダイオードに対してソフトリカバリタイプのダイオードを用いる構成においても、短絡故障する箇所が電力変換装置100の前段側あるいは後段側であるか、どちらか一方のみと判っている場合は、レグ部10の上側アームのSiC−MOSFET5、下側アームのSiC−MOSFET4のいずれか一方にのみ、ソフトリカバリタイプのSiダイオードを接続する構成としてもよい。
以下、レグ部10の上下アームの一方にのみ、ソフトリカバリタイプのSiダイオードを接続した際に得られるスイッチング損失およびサージ電圧の抑制効果について図を用いて説明する。
図14は、実施の形態1による昇圧コンバータ20において、レグ部10の上側アームのSiC−MOSFET5にのみソフトリカバリタイプのSiダイオード9を逆並列に接続した構成を示す概略構成図である。
図において、昇圧コンバータ20の力行動作時における最大定格電流IRe未満の定格電流Inの電流経路と、回生動作時の回生電流Izの電流経路とを示す。
図14に示すように、昇圧コンバータ20の力行動作時のデッドタイムにおいて、定格電流InはSiC−MOSFET5に逆並列に接続されたSiダイオード9を流れる。Siダイオード9はソフトリカバリタイプであるため、スイッチングの過渡期におけるSiダイオード9に起因するリカバリ電流によるSiC−MOSFET4のスイッチング損失およびサージ電圧を抑制できる。
更に、昇圧コンバータ20の回生動作時においては、レグ部10の下側アームのSiC−MOSFET4にはSiダイオードが接続されていないため、回生電流IzはSiC−MOSFET4のボディーダイオード6を流れる。こうして、スイッチングの過渡期におけるリカバリ電流は、レグ部10の下側アームのSiC−MOSFET4のボディーダイオード6に起因するリカバリ電流となる。ボディーダイオードの逆回復特性は、Siダイオードに比較して、リカバリ電流が小さくなる。そのため、レグ部10の上側アームのSiC−MOSFET5のスイッチング損失およびサージ電圧を抑制できる。
こうして、高効率で信頼性の高い電力変換装置の提供が可能となる。
上記のように構成された本実施の形態の電力変換回路は、
ボディーダイオードが内在された炭化珪素半導体電界効果トランジスタである半導体素子を備えた電力変換回路であって、
前記半導体素子と逆並列に接続された還流ダイオードを備え、
前記還流ダイオードの、該電力変換回路の最大定格電流以上の第1電流通電時のオン電圧V1aが、前記ボディーダイオードの前記第1電流通電時のオン電圧V2a未満に設定される、
ものである。
このように、還流ダイオードの、電力変換回路の最大定格電流IRa以上の第1電流通電時のオン電圧V1aが、ボディーダイオードの第1電流通電時のオン電圧V2a未満に設定される。このように、還流ダイオードとボディーダイオードの電流電圧特性の相対的な関係を調整することで、例えば、短絡時などに流れる過大な電流の殆どを還流ダイオード側に流し、ボディーダイオードに過大な電流が流れることを抑制できる。
こうして、SiC−MOSFETのボディーダイオードの大幅な結晶劣化を抑制できるため、電力変換回路の動作を安定化させて信頼性を向上できる。また、過大な電流に対しても対応するようSiC−MOSFETのバッファ層を大幅に厚くする構成ではないため、コスト削減効果を得られる。
また、上記のように構成された本実施の形態の電力変換回路は、
電源部からの電圧を昇圧して正負の母線に出力する昇圧コンバータを備えた電力変換回路であって、
前記昇圧コンバータは、
前記電源部に第1端が接続されるリアクトルと、
前記半導体素子としての第1半導体素子および第2半導体素子を有して、該第1半導体素子と該第2半導体素子との接続点に前記リアクトルの第2端が接続されるレグ部と、
正負の前記母線間に接続され、前記レグ部の出力電圧を平滑する平滑コンデンサと、備え、
前記還流ダイオードは、
前記第1半導体素子、前記第2半導体素子の少なくとも一方に逆並列に接続される、
ものである。
このように、直列接続された第1半導体素子(SiC−MOSFET)と第2半導体素子(SiC−MOSFET)との接続点にリアクトルが接続され、SiC−MOSFETをスイッチングさせることで電圧の昇圧を行う構成では、一般的には、定格を超える過大な電流が流れた場合にはSiC−MOSFETをオフする機構を設ける。しかしながら、実際には、過大な電流を検知するまでの遅延時間、SiC−MOSFETをオフするまでの遅延時間を考慮すると、SiC−MOSFETがオフする頃には、リアクトルには過大な電流が流れているため、SiC−MOSFETをオフしたあとも、リアクトル3は直前まで流れていた過大な電流を流し続けようと働く。
本実施の形態の電力変換回路は、第1半導体素子、前記第2半導体素子の少なくとも一方に、還流ダイオードを逆並列に接続して、過大な電流の殆どを還流ダイオード側に流す構成としている。そのため、このようにリアクトルの作用により連続的に過大な電流が流れる場合でも、電流検知の遅延時間、SiC−MOSFETの制御応答、等の影響を受けることなく、確実にボディーダイオードに過大な電流が流れることを抑制できる。
また、上記のように構成された本実施の形態の電力変換回路は、
前記還流ダイオードの前記第1電流通電時の前記オン電圧V1aが、前記ボディーダイオードの前記第1電流通電時のオン電圧V2a未満であって、且つ、前記ボディーダイオードの通電開始電圧以上の電圧範囲内で設定される構成において、
前記第1電流は、前記母線が短絡状態、あるいは、前記電源部の正負極間が短絡状態である場合に、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子との前記接続点に流れる電流であって、
前記第1電流が前記接続点に流れた際の、前記ボディーダイオードの通流電流値が、該ボディーダイオードの定格電流範囲内となるように、前記電圧範囲内における前記還流ダイオードの前記オン電圧V1aの値が調整される、
ものである。
ここで、昇圧コンバータにおいて流れる定格を超える過大な電流として、昇圧回路において短絡が発生した際に流れる短絡電流がある。このように、昇圧コンバータにおいて流れる最大の電流である短絡電流が、直列接続されたSiC−MOSFETの接続点に流れた際のボディーダイオードの通流電流値を、このボディーダイオードの定格電流範囲内となるように、還流ダイオードのオン電圧V1aの値を調整する。このように還流ダイオードとボディーダイオードの電流電圧特性の相対的な関係を調整することで、想定される最大の電流が昇圧コンバータに流れた際においても、ボディーダイオードに流れる電流を定格範囲内とできる。こうして、SiC−MOSFETのボディーダイオードの大幅な結晶劣化を抑制でき、電力変換回路の信頼性を更に向上できる。
また、上記のように構成された本実施の形態の電力変換回路は、
前記還流ダイオードは、Siダイオードである、
ものである。
このように、還流ダイオードに対して安価なSiダイオードを用いている。ここで、電力変換回路の外部の機器等の短絡故障等が生じた場合においては、場合によっては連鎖的に電力変換回路を用いた電力変換装置が故障する可能性がある。このとき、故障した外部機器の製品交換だけでなく、電力変換装置も製品交換するため、費用がかさんでしまう。
本実施の形態1に係る電力変換回路では、還流ダイオードに対して安価なSiダイオードを用いるため、このような外部機器の故障が発生して電力変換回路の交換が必要となる場合においても、余分に費用がかさむことはない。
また、上記のように構成された本実施の形態の電力変換回路は、
前記還流ダイオードは、ソフトリカバリダイオードである、
ものである。
このように、還流ダイオードに対してソフトリカバリダイオードを用いる。
これにより、SiC−MOSFETのスイッチングの過渡期におけるSiダイオードに起因するリカバリ電流を抑制でき、SiC−MOSFETのスイッチング損失およびサージ電圧を抑制できる。これにより電力変換回路の効率と信頼性とを更に向上できる。
また、上記のように構成された本実施の形態の電力変換回路は、
前記第1電流は、前記母線が短絡状態である場合に該電力変換回路に流れる電流であって、
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子の内、ドレイン側が正側の前記母線に接続され、ソース側が前記リアクトルの前記第2端に接続される方にのみ、前記還流ダイオードが逆並列に接続され、該還流ダイオードはソフトリカバリダイオードである、
ものである。
電力変換回路の後段側においてのみ短絡が生じる構成の場合では、このようにレグ部の上側アームのSiC−MOSFETにのみ還流ダイオードを接続すれば、定格を超える過大な電流に対してもレグ部を構成するSiC−MOSFETの結晶劣化を抑制できる。これにより使用する還流ダイオードの点数を削減しつつ、過大な電流が流れた際におけるSiC−MOSFETのボディーダイオードの大幅な結晶劣化を抑制できる。
さらに、還流ダイオードをソフトリカバリダイオードとしているため、レグ部の下側アームのSiC−MOSFETのスイッチング損失およびサージ電圧を抑制できる。
さらに、レグ部の下側アームのSiC−MOSFETには、還流ダイオードを接続しない構成としている。そのため、上側アームのSiC−MOSFETが定常動作においてスイッチングした際、生じるリカバリ電流は、下側アームのSiC−MOSFETのボディーダイオードに起因するリカバリ電流となる。このように、電力変換回路の定常動作(低電流領域)においては、下側アームのボディーダイオードを通電させることにより、さらに損失を低減できる。
こうして、還流ダイオードの使用点数を減らしつつも、過大な電流が流れた際におけるSiC−MOSFETのボディーダイオードの大幅な結晶劣化を抑制できると共に、上下アーム共に、SiC−MOSFETに流れるリカバリ電流を抑制することで、スイッチング損失の更なる大幅な低減が可能となる。
また、上記のように構成された本実施の形態の電力変換回路は、
前記第1電流は、前記電源部の正負極間が短絡状態である場合に該電力変換回路に流れる電流であって、
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子の内、ドレイン側が前記リアクトルの前記第2端に接続され、ソース側が負側の前記母線に接続される方にのみ、前記還流ダイオードが逆並列に接続され、該還流ダイオードはソフトリカバリダイオードである、
ものである。
このような構成とすることで、還流ダイオードの使用点数を減らしつつも、過大な電流が流れた際におけるSiC−MOSFETのボディーダイオードの大幅な結晶劣化を抑制できると共に、上下アーム共に、SiC−MOSFETに流れるリカバリ電流を抑制することで、スイッチング損失の更なる大幅な低減が可能となる。
また、上記のように構成された本実施の形態の電力変換回路は、
前記還流ダイオードの、前記第1電流通電時のオン電圧V1aが、前記ボディーダイオードの通電開始電圧値未満に設定される、
ものである。
このように、還流ダイオードとボディーダイオードの電流電圧特性の相対的な関係を調整することで、短絡時などに流れる過大な電流がボディーダイオードに流れることを確実に抑制できる。
実施の形態2.
以下、本願の実施の形態2を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図15は、実施の形態2による昇圧コンバータ20におけるSiダイオード8、9およびボディーダイオード6、7の電流電圧特性を示す図である。
図において、昇圧コンバータ20の最大定格電流IRaと、この最大定格電流IRa以上の短絡電流Ifと、最大定格電流IRa未満の第2電流としての定格電流Inと、を示す。
本実施の形態では、Siダイオード8、9の、定格電流In通電時の順方向電圧(オン電圧V1b)が、ボディーダイオード6、7の定格電流In通電時の順方向電圧(オン電圧V2b)以上に設定される、
これにより、昇圧コンバータ20の定格動作におけるデッドタイム期間中は、本実施の形態では、SiC−MOSFET4、5のボディーダイオード6、7に主に電流が流れる。そのため、スイッチング過渡期におけるリカバリ電流が低減されて、SiC−MOSFET4、5のスイッチング損失が低減される。
なお、上記では、Siダイオード8、9の、定格電流In通電時のオン電圧V1bが、ボディーダイオード6、7オン電圧V2b以上に設定される構成を示したが、Siダイオード8、9の、定格電流In通電時の通電開始電圧Vkが、ボディーダイオード8、9の定格電流In通電時のオン電圧V2bより高い値に設定される構成としてもよい。
この場合、定格動作中はSiダイオードには電流が流れず、デッドタイム期間中においてはSiC−MOSFETのボディーダイオードにのみ電流が流れることで、更にリカバリ電流が手減されて、スイッチング損失の低減効果が高くなる。
上記のように構成された本実施の形態の電力変換回路は、
前記還流ダイオードの、該電力変換回路の最大定格電流未満の第2電流通電時のオン電圧V1bが、前記ボディーダイオードの前記第2電流通電時のオン電圧V2b以上に設定される、
ものである。
このような構成の電力変換回路は、実施の形態1と同様の効果を奏し、還流ダイオードの、電力変換回路の最大定格電流IRa以上の第1電流通電時のオン電圧V1aが、ボディーダイオードの第1電流通電時のオン電圧V2a未満に設定されるため、定格を超える過大な電流に起因するSiC−MOSFETの大幅な結晶劣化の進行を抑制でき、電力変換回路の信頼性を向上できる。
更に、還流ダイオードの、電力変換回路の最大定格電流未満の第2電流通電時のオン電圧V1bが、ボディーダイオードの第2電流通電時のオン電圧V2b以上に設定されるため、電力変換回路の定常動作では、ボディーダイオード側に主に電流が流れる。そのため、定常動作におけるスイッチング損失およびサージ電圧を大幅に低減でき、更に高効率で信頼性の高い電力変換回路を提供できる。
また、上記のように構成された本実施の形態の電力変換回路は、
前記還流ダイオードの、該電力変換回路の前記第2電流通電時の通電開始電圧は、前記ボディーダイオードの前記第2電流通電時のオン電圧V2bより高い値に設定される、
ものである。
このように、還流ダイオードの、電力変換回路の第2電流通電時の通電開始電圧が、ボディーダイオードの第2電流通電時のオン電圧V2bより高い値に設定されるため、電力変換回路の定常動作では、ボディーダイオードにのみ電流を流す構成とできる。これにより、Siダイオードに起因するリカバリ損失が低減され、更に高効率で信頼性の高い電力変換回路を提供できる。
実施の形態3.
以下、本願の実施の形態3を、上記実施の形態1、2と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1、2と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図16は、実施の形態3による電力変換装置300の概略構成を示すブロック図である。
図17は、実施の形態3による電力変換装置300E1の概略構成を示すブロック図である。
本実施の形態3による電力変換装置300は、実施の形態1と同様の構成の昇圧コンバータ20と、制御部30と、インバータ40と、を備える。
また、負荷として、発電機、電動機等からなる電動回転機60がインバータ40の出力に接続される。
実施の形態1と同様に、昇圧コンバータ20部の入力側に蓄電部1が接続される。
以下、インバータ40の構成の詳細について説明する。
半導体スイッチング素子41〜48は、それぞれSi(シリコン)半導体からなるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)と、それに逆並列に接続されたSi(シリコン)半導体からなるダイオードとで構成される。
インバータ40は、平滑用コンデンサ11の出力電圧V2を、3相交流電圧に変換し、3相出力端子Vu、Vv、Vwに出力する。インバータの3相出力端子Vu、Vv、Vwは、電動回転機60に接続されて三相交流電圧を供給する。
U相上アーム側の半導体スイッチング素子41のIGBTのエミッタ端子は、3相出力端子Vuに接続され、そのコレクタ端子は、平滑用コンデンサ11の正極側に接続されている。
U相下アーム側の半導体スイッチング素子42のIGBTのエミッタ端子は、平滑用コンデンサ11の負極側に接続され、そのコレクタ端子は、3相出力端子Vuに接続されている。
V相上アーム側の半導体スイッチング素子43のIGBTのエミッタ端子は、3相出力端子Vvに接続され、そのコレクタ端子は、平滑用コンデンサ11の正極側に接続されている。
V相下アーム側の半導体スイッチング素子44のIGBTのエミッタ端子は、平滑用コンデンサ11の負極側に接続され、そのコレクタ端子は、3相出力端子Vvに接続されている。
W相上アーム側の半導体スイッチング素子45のIGBTのエミッタ端子は、3相出力端子Vwに接続され、そのコレクタ端子は、平滑用コンデンサ11の正極側に接続されている。
W相下アーム側の半導体スイッチング素子46のIGBTのエミッタ端子は、平滑用コンデンサ11の負極側に接続され、そのコレクタ端子は、3相出力端子Vwに接続されている。
半導体スイッチング素子41のIGBTは制御部30から出力されるゲート信号Gateuhにより、スイッチング動作を行う。
半導体スイッチング素子42のIGBTは制御部30から出力されるゲート信号Gateulにより、スイッチング動作を行う。
半導体スイッチング素子43のIGBTは制御部30から出力されるゲート信号Gatevhにより、スイッチング動作を行う。
半導体スイッチング素子44のIGBTは制御部30から出力されるゲート信号Gatevlにより、スイッチング動作を行う。
半導体スイッチング素子45のIGBTは制御部30から出力されるゲート信号Gatewhにより、スイッチング動作を行う。
半導体スイッチング素子46のIGBTは制御部30から出力されるゲート信号Gatewlにより、スイッチング動作を行う。
3相電流センサ36a、36b、36cは、インバータ40の3相出力端子Vu、Vv、Vwと電動回転機60との間の3相交流の3相電流Iu、Iv、Iwを検出する。
回転角センサSnsθmは、電動回転機60の回転角θmを検出する。
検出された3相電流Iu、Iv、Iwと、回転角θmは、信号線30c、30d、30e、30fにより、それぞれ制御部30に入力される。
また制御部30の外部から、信号線42a、42bにより、電動回転機60のトルク指令値Trq*と、直流電圧指令値V2*と、が制御部30に入力される。
制御部30は、電動回転機60のトルクが、トルク指令値Trq*と等しくなるように、インバータのゲート信号Gateul、Gateuh、Gatevl、Gatevh、Gatewl、Gatewhを制御する。また、制御部30は、昇圧コンバータ20の出力電圧V2が、直流電圧指令値V2*と等しくなるように、昇圧コンバータ20を制御する。このように、制御部30は、インバータ40の3相電流の制御と、昇圧コンバータ20の出力電圧V2の制御とを行う。
ここで、本実施の形態に係る電力変換装置300では、昇圧コンバータ20のレグ部10の下側アームのSiC−MOSFET4と逆並列にSiダイオード8が接続されているが、上側アームのSiC−MOSFET5にはSiダイオードは接続されていない構成である。このような構成の場合、昇圧コンバータ20の後段のインバータ40が短絡故障した場合は、上側アームのSiC−MOSFET5のボディーダイオード7に過大な電流が流れてボディーダイオード7が故障に至る恐れがあるが、以下に説明する理由により上側アームのSiC−MOSFET5に対してはSiダイオードを不要としている。
その理由として、本実施の形態に係る電力変換装置300では、昇圧コンバータ20とインバータ40とがセットで構成されている。そのため、電力変換装置300の後段において短絡が生じて、SiC−MOSFET5のボディーダイオード7が故障したとしても、あるいは、故障しなかったとしても、昇圧コンバータ20とインバータ40とはセットで交換されることになる。
よって、本実施の形態3に係る電力変換装置300では、昇圧コンバータ20後段の短絡故障についてはケアする必要性がなく、昇圧コンバータ20より前段側の短絡故障についてのみケアすればよい。そのため、Siダイオードをレグ部10の下側アームのSiC−MOSFET4に対してのみ接続する構成としている。
なお、Siダイオードをレグ部10の上アーム側のSiC−MOSFET5に接続してもよいが、上記各実施の形態にて説明した通り、定常動作においては、リカバリ電流によるSiC−MOSFETのスイッチング損失を抑制するために、Siダイオードより、SiC−MOSFETのボディーダイオードを使用した方がよい。そのため、コスト低減化を図るために、本実施の形態では、レグ部10の下側アームのみSiダイオードを接続する構成としている。
なお、図16に示した電力変換装置300では、昇圧コンバータ20とインバータ40とを組み合わせた構成としているが、これに限るものではなく、例えば図17に示すように、昇圧コンバータ20と2つのインバータ40a、40bを組み合わせた構成でも良い。この場合、片方(例えば電動回転機60a)は駆動用のモータであり、もう片方(例えば電動回転機60b)は発電用のモータとなる。
なお、上記各実施の形態で説明している昇圧コンバータは一石型のコンバータとしているがこれに限るものではなく、例えば、インターリーブ方式、3相インターリーブ方式等の複数の相からなる回路方式等でもよく、同等の効果を奏する。
上記のように構成された本実施の形態の電力変換回路は、
前記昇圧コンバータの出力側の正負の前記母線間に、昇圧された直流電圧を交流電圧に変換するインバータを備え、
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子の内、ドレイン側が正側の前記母線に接続され、ソース側が前記リアクトルの前記第2端に接続される方にのみ、前記還流ダイオードが逆並列に接続される、
ものである。
このように、昇圧コンバータの出力側にインバータを備える構成の電力変換回路において、上側アームのSiC−MOSFETには還流ダイオードを備えない構成とすることで、還流ダイオードの部品点数を削減しつつ、リカバリ損失を低減できる。これにより、電力変換回路の引コスト化、高効率化が可能となる。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 蓄電部(電源部)、3 リアクトル、
4,5 SiC−MOSFET(半導体素子、第1半導体素子、第2半導体素子)、
6,7 ボディーダイオード、8,9 Siダイオード(還流ダイオード)、
20,20E1,20E2 昇圧コンバータ(電力変換回路)、10 レグ部、
11 平滑用コンデンサ、40,40a,40b インバータ。

Claims (11)

  1. ボディーダイオードが内在された炭化珪素半導体電界効果トランジスタである半導体素子を備えた電力変換回路であって、
    前記半導体素子と逆並列に接続された還流ダイオードを備え、
    前記還流ダイオードの、該電力変換回路の前記半導体素子の最大定格電流以上の第1電流通電時のオン電圧V1aが、前記ボディーダイオードの前記第1電流通電時のオン電圧V2a未満に設定される、
    電力変換回路。
  2. 前記還流ダイオードの、該電力変換回路の最大定格電流未満の第2電流通電時のオン電圧V1bが、前記ボディーダイオードの前記第2電流通電時のオン電圧V2b以上に設定される、
    請求項1に記載の電力変換回路。
  3. 前記還流ダイオードの、該電力変換回路の前記第2電流通電時の通電開始電圧は、前記ボディーダイオードの前記第2電流通電時のオン電圧V2bより高い値に設定される、
    請求項2に記載の電力変換回路。
  4. 電源部からの電圧を昇圧して正負の母線に出力する昇圧コンバータを備えた電力変換回路であって、
    前記昇圧コンバータは、
    前記電源部に第1端が接続されるリアクトルと、
    前記半導体素子としての第1半導体素子および第2半導体素子を有して、該第1半導体素子と該第2半導体素子との接続点に前記リアクトルの第2端が接続されるレグ部と、
    正負の前記母線間に接続され、前記レグ部の出力電圧を平滑する平滑コンデンサと、備え、
    前記還流ダイオードは、
    前記第1半導体素子、前記第2半導体素子の少なくとも一方に逆並列に接続される、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力変換回路。
  5. 前記還流ダイオードの前記第1電流通電時の前記オン電圧V1aが、前記ボディーダイオードの前記第1電流通電時のオン電圧V2a未満であって、且つ、前記ボディーダイオードの通電開始電圧以上の電圧範囲内で設定される構成において、
    前記第1電流は、前記母線が短絡状態、あるいは、前記電源部の正負極間が短絡状態である場合に、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子との前記接続点に流れる電流であって、
    前記第1電流が前記接続点に流れた際の、前記ボディーダイオードの通流電流値が、該ボディーダイオードの定格電流範囲内となるように、前記電圧範囲内における前記還流ダイオードの前記オン電圧V1aの値が調整される、
    請求項4に記載の電力変換回路。
  6. 前記第1電流は、前記母線が短絡状態である場合に該電力変換回路に流れる電流であって、
    前記第1半導体素子および前記第2半導体素子の内、ドレイン側が正側の前記母線に接続され、ソース側が前記リアクトルの前記第2端に接続される方にのみ、前記還流ダイオードが逆並列に接続され、該還流ダイオードはソフトリカバリダイオードである、
    請求項4または請求項5に記載の電力変換回路。
  7. 前記第1電流は、前記電源部の正負極間が短絡状態である場合に該電力変換回路に流れる電流であって、
    前記第1半導体素子および前記第2半導体素子の内、ドレイン側が前記リアクトルの前記第2端に接続され、ソース側が負側の前記母線に接続される方にのみ、前記還流ダイオードが逆並列に接続され、該還流ダイオードはソフトリカバリダイオードである、
    請求項4または請求項5に記載の電力変換回路。
  8. 前記昇圧コンバータの出力側の正負の前記母線間に、昇圧された直流電圧を交流電圧に変換するインバータを備え、
    前記第1半導体素子および前記第2半導体素子の内、ドレイン側が正側の前記母線に接続され、ソース側が前記リアクトルの前記第2端に接続される方にのみ、前記還流ダイオードが逆並列に接続される、
    請求項4または請求項5に記載の電力変換回路。
  9. 前記還流ダイオードの、前記第1電流通電時のオン電圧V1aが、前記ボディーダイオードの通電開始電圧値未満に設定される、
    請求項1に記載の電力変換回路。
  10. 前記還流ダイオードは、Siダイオードである、
    請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の電力変換回路。
  11. 前記還流ダイオードは、ソフトリカバリダイオードである、
    請求項1から請求項5、請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の電力変換回路。
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