JP6895577B2 - エッチング液、エッチング液の製造方法、被処理体の処理方法、及びルテニウム含有配線の製造方法 - Google Patents
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Description
そのため、工業的に実用的なエッチングレートを有し、且つ四酸化ルテニウムの生成が抑制されたルテニウム用エッチング液が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ルテニウムエッチング工程に実用的で、四酸化ルテニウムの発生リスクが低減されたエッチング液、前記エッチング液の製造方法、並びに前記エッチング液を用いた被処理体の処理方法、及びルテニウム含有配線の製造方法を提供することを課題とする。
本発明の第1の態様にかかるエッチング液は、オルト過ヨウ素酸と、アンモニアと、を含み、pHが8以上10以下であることを特徴とする。本態様にかかるエッチング液は、ルテニウムをエッチング処理するために用いられる。
本実施形態にかかるエッチング液は、オルト過ヨウ素酸(H5IO6)を含む。
本実施形態にかかるエッチング液は、アンモニア(NH3)を含む。
本実施形態のエッチング液におけるアンモニアの含有量は、特に限定されず、前記オルト過ヨウ素酸の含有量や、必要に応じて添加される他のpH調整剤の量に応じて、本実施形態のエッチング液のpHが8以上となる含有量とすればよい。好ましくは、アンモニアは、後述する本実施形態のエッチング液の好ましいpHの範囲となるような含有量で用いられる。かかるアンモニアの含有量としては、例えば、オルト過ヨウ素酸の配合量を100質量部に対して、5〜150質量部が挙げられ、10〜100質量部が好ましく、15〜75質量部がより好ましい。アンモニアの含有量が前記範囲内であると、ルテニウムに対するエッチングレートが低くなりすぎず、四酸化ルテニウムの生成が低減される。
本実施形態のエッチング液は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分に加えて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、水、水溶性有機溶剤、pH調整剤、界面活性剤、及び酸化剤等が挙げられる。
ただし、たとえば基板上に配されたルテニウム薄膜に対して、本実施形態のエッチング液をマスクを介して適用し、ルテニウムの配線を形成するといった用途に用いる場合、プロセス安定性の観点からこのようなスラリー(金属酸化物粒子)を含まないことが好ましい。
本実施形態のエッチング液は、研磨剤を含まないことが好ましい。研磨剤は、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア等の金属酸化物粒子である。本実施形態のエッチング液は、これらの金属酸化物粒子を含まないことが好ましい。
本実施形態のエッチング液は、上記成分の溶媒として水を含むことが好ましい。水は、不可避的に混入する微量成分を含んでいてもよい。本実施形態のエッチング液に用いられる水は、蒸留水、イオン交換水、及び超純水などの浄化処理を施された水が好ましく、半導体製造に一般的に使用される超純水を用いることがより好ましい。
本実施形態のエッチング液中の水の含有量は、特に限定されないが、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、94質量%以上がさらに好ましい。また、上限値は、特に限定はないが、99.95質量%未満が好ましく、99.9質量%以下がより好ましく、99.5質量%以下がさらに好ましい。本実施形態のエッチング液は、上記オルト過ヨウ素酸を水に溶解し、アンモニアでpH8以上10以下に調整された、水溶液であることが好ましい。
本実施形態のエッチング液は、本発明の効果を損なわない範囲で、水溶性有機溶剤を含有ししてもよい。水溶性有機溶剤としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、フルフリルアルコール、及び2−メチルー2,4−ペンタンジオール等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル)等が挙げられる。
本実施形態のエッチング液は、本発明の目的を逸しない範囲でpH調整剤を含んでいてもよい。なお、本明細書における「pH調整剤」とは、前述したアンモニア以外の成分であって、液のpHを調整できる成分を指す。
また、その添加量は任意であり、後述するpHとなるように設定して添加量を選べばよい。
本実施形態のエッチング液は、被処理体に対するエッチング液の濡れ性の調整の目的等のために、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、又は両性界面活性剤を用いることができ、これらを併用してもよい。
本実施形態のエッチング液は、上記のオルト過ヨウ素酸に加えて、他の酸化剤を含んでいてもよい。酸化剤としては、例えば、遷移金属酸化物、過酸化物、セリウム硝酸アンモニウム、硝酸塩、亜硝酸塩、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、過塩素酸塩、過硫酸、過硫酸塩、過酢酸、過酢酸塩、過マンガン酸化合物、重クロム酸化合物等が挙げられる。
本実施形態のエッチング液は、pHが8以上10以下であることを特徴とする。pH調整剤としてアンモニアを用いて、pHが8以上10以下に調整されることにより、ルテニウムに対して実用的なエッチングレートを維持し、且つ四酸化ルテニウムの発生リスクを低減することができる。本実施形態のエッチング液は、エッチングレートの観点からは、pH9.5以下であることが好ましく、pH9.0以下であることがより好ましく、pH8.5以下であることがさらに好ましい。本実施形態のエッチング液は、四酸化ルテニウムの発生リスクがより低減される観点から、pH8超であることが好ましい。本実施形態のエッチング液のpHの範囲としては、pHが8以上9.5以下であることが好ましく、pHが8以上9.0以下であることがより好ましく、pHが8以上8.5以下であることがさらに好ましい。また、本実施形態のエッチング液のpHの範囲は、pHが8超9.5以下であることが好ましく、pHが8超9.0以下であることがより好ましく、pHが8超8.5以下であることがさらに好ましい。
前記pHの値は、常温(23℃)、常圧(1気圧)の条件下において、pHメーターにより測定される値である。
本実施形態のエッチング液は、100nmより大きい粒子の個数が、20個/mL以下であることが好ましい。100nmより大きい粒子の個数は、15個/mL以下が好ましく、10個/mL以下がより好ましく、5個/mL以下がさらに好ましい。100nmより大きい粒子の個数を上記上限値以下とすることにより、例えば、後述するような表層に絶縁膜により構成される領域とルテニウムにより構成される領域とを含む基板に対し、ルテニウムにより構成される領域を選択的にエッチングするプロセスに適用した場合、凹部となるルテニウム上に粒子が入り込むリスクを低減させることができる。エッチング液1mL中の100nmより大きい粒子の個数は、光散乱式液中粒子検出器により測定することができる。前記光散乱式液中粒子検出器としては、例えば、リオン株式会社製のKS−19F等が挙げられる。
本実施形態のエッチング液は、ルテニウムのエッチングのために用いられるものであり、ルテニウムを含む被処理体をエッチング処理の対象とする。被処理体は、ルテニウムを含むものであれば特に限定さないが、ルテニウム含有層(ルテニウム含有膜)を有する基板等が挙げられる。前記基板は、特に限定されず、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板等の各種基板が挙げられる。前記基板としては、半導体デバイス作製のために使用される基板が好ましい。前記基板は、ルテニウム含有層及び基板の基材以外に、適宜、種々の層や構造、例えば、金属配線、ゲート構造、ソース構造、ドレイン構造、絶縁層、強磁性層、及び非磁性層等を有していてもよい。また、基板のデバイス面の最上層がルテニウム含有層である必要はなく、例えば、多層構造の中間層がルテニウム含有層であってもよい。
基板の大きさ、厚さ、形状、層構造等は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本実施形態のエッチング液の用途としては、表層に絶縁膜により構成される領域とルテニウムにより構成される領域とを含む基板において、ルテニウムにより構成される領域を選択的にエッチングする処理が好ましい。当該処理の具体例としては、基板上に配置されたルテニウム含有配線のリセスエッチング処理が挙げられる。「リセスエッチング処理」とは、基板上に配置されたルテニウム含有配線のエッチング処理により、基板上のルテニウム含有配線配置部分に凹部(リセス)を形成する処理(凹部を有するルテニウム含有配線を製造すること)を意味する。特に、本実施形態のエッチング液に含まれる100nmより大きい粒子が20個/mL以下である場合、本実施形態のエッチング液は、基板上に配置されたルテニウム含有配線のリセスエッチング処理に適している。ルテニウム含有配線のリセスエッチング処理では、エッチング液に含まれる不純物粒子が凹部に入り込むことが懸念され、また、この不純物粒子を取り除くことも困難である。100nmより大きい粒子の数が20個/mL以下のエッチング液を用いてリセスエッチング処理を行うことにより、このようなリスクを低減することができる。
基板3は、上記の構成に加えて、適宜、任意の構造を有することができる。例えば、基板3は、金属配線、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、絶縁層、強磁性層、非磁性層等を有していてもよい。基板3は、曝露された集積回路構造、例えば金属配線及び誘電材料などの相互接続機構を有していてもよい。相互接続機構に使用する金属及び合金としては、例えば、アルミニウム、銅アルミニウム合金、銅、チタン、タンタル、コバルト、ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、及び、タングステンが挙げられる。基板3は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、及び/又は、炭素ドープ酸化ケイ素の層を有していてもよい。
リセスエッチング処理の際のエッチング液の温度は、特に限定されないが、例えば、15〜75℃、15〜65℃、15〜65℃、又は15〜50℃等が挙げられる。
これらの好ましい組成比の記載は、アンモニア水は28質量%アンモニア水、塩酸は37質量%塩酸、過酸化水素水は31質量%過酸化水素水である場合における組成比を意図する。
バリアメタル層の溶解能又はパーティクル除去性能の点から、APMが好ましい。
本実施形態のエッチング液は、ルテニウム含有膜が配置された基板の外縁部のルテニウム含有膜を除去するために用いられてもよい。本実施形態のエッチング液は、例えば、基板と、基板の片側の主面上に配置されたルテニウム含有膜と、を有する積層体において、外縁部に位置するルテニウム含有膜を除去するために用いてもよい。
本実施形態のエッチング液は、ルテニウム含有膜が配置された基板の裏面に付着するルテニウム含有物を除去するために用いられてもよい。基板と、基板の片側の主面上にルテニウム含有膜が配置された積層体を形成する際には、スパッタリング及びCVD等でルテニウム含有膜を形成される。その際、基板のルテニウム含有膜側とは反対側の表面上(裏面上)に、ルテニウム含有物が付着する場合がある。このような積層体の裏面に付着するルテニウム含有物を除去するために、本実施形態のエッチング液を用いてもよい。
本発明の第2の態様にかかるエッチング液の製造方法は、オルト過ヨウ素酸を含む溶液とアンモニア水とを混合して混合液を調製し、前記混合液のpHを8以上10以下に調整する工程(以下、「工程(i)」ともいう)と、前記混合液をフィルターでろ過する工程(以下、「工程(ii)」ともいう)と、をこの順で含むことを特徴とする。本実施形態の製造方法により、前記第1の態様にかかるエッチング液が製造される。
工程(i)は、オルト過ヨウ素酸を含む溶液とアンモニア水とを混合して混合液を調製し、前記混合液のpHを8以上10以下に調整する工程である。
工程(ii)は、前記混合液をフィルターでろ過する工程である。
2種類以上のフィルターを組み合わせてろ過を行う場合、ろ過回数は、混合液が、組み合わせの2種類以上のフィルター(以下、「フィルターセット」ともいう)における最後のフィルターを通過した時点で1回とカウントすることができる。
本発明の第3の態様にかかる被処理体の処理方法は、上記第1の態様にかかるエッチング液を用いて、ルテニウムを含む被処理体をエッチング処理する工程を含むことを特徴とする。
本工程は、上記第1の態様にかかるエッチング液を用いてルテニウムを含む被処理体をエッチング処理する工程であり、前記エッチング液を前記被処理体に接触させる操作を含む。エッチング処理の方法は、特に限定されず、公知のエッチング方法を用いることができる。かかる方法としては、例えば、スプレー法、浸漬法、液盛り法等が例示されるが、これらに限定されない。
スプレー法では、例えば、被処理体を所定の方向に搬送もしくは回転させ、その空間に上記第1の態様にかかるエッチング液を噴射して、被処理体に前記エッチング液を接触させる。必要に応じて、スピンコーターを用いて基板を回転させながら前記エッチング液を噴霧してもよい。
浸漬法では、上記第1の態様にかかるエッチング液に被処理体を浸漬して、被処理体に前記エッチング液を接触させる。
液盛り法では、被処理体に上記第1の態様にかかるエッチング液を盛って、被処理体と前記エッチング液とを接触させる。
これらのエッチング処理の方法は、被処理体の構造や材料等に応じて適宜選択することができる。スプレー法、又は液盛り法の場合、被処理体への前記エッチング液の供給量は、被処理体における被処理面が、前記エッチング液で十分に濡れる量であればよい。
エッチング処理の目的が、被処理体のルテニウムを含む被処理面の微細加工である場合、通常、エッチングされるべきでない箇所をエッチングマスクにより被覆したうえで、被処理体とエッチング液とを接触させる。
エッチング処理の目的が、被処理体に付着するルテニウム含有付着物の除去である場合、上記第1の態様にかかるエッチング液を被処理体に接触させることで、ルテニウム含有付着物が溶解し、被処理体からルテニウム付着物を除去することができる。
エッチング処理の目的が、処理体のルテニウムを含む被処理面の洗浄である場合、上記第1の態様にかかるエッチング液を被処理体に接触させることで前記被処理面が速やかに溶解し、被処理体の表面に付着するパーティクル等の不純物が短時間で被処理体の表面から除去される。
また、エッチング処理の目的としては、前述の≪リセスエッチング処理≫と同様のものが挙げられる。
本実施形態の処理方法は、上記工程に加えて、任意の工程を含んでいてもよい。任意工程としては、例えば、被処理体のリンス処理を行う工程が挙げられる。
前記工程において被処理をエッチング処理した後に、第1の態様にかかるエッチング液に由来するヨウ素化合物が被処理体の表面上に残存ヨウ素として付着している場合がある。このような残存ヨウ素がその後のプロセスに悪影響を与える恐れがある。そのため、被処理体の表面から残存ヨウ素を除去するために、リンス処理を行うことが好ましい。また、リンス処理により、エッチング処理により被処理体の表面に生じる、ルテニウム含有物の残渣等も除去することができる。
上記のようなリンス液を用いたリンス処理により、エッチング処理によって被処理体の表面に生じるルテニウム含有物の残渣を効率的に除去することができる。
FPM、SPM、APM、及び、HPMとして好ましい条件は、上記と同様である。
なお、フッ酸、硝酸、及び、塩酸は、それぞれ、HF、HNO3、及び、HCl、が、水に溶解した水溶液を意図する。オゾン水、二酸化炭素水、アンモニア水、TMAH水溶液、コリン水溶液、及び、水素水は、それぞれ、O3、CO2、NH3、水酸化メチルアンモニウム([(CH3)4N]+[OH]−)、コリン(トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド;[(CH3)3N(CH2)2OH]+[OH]−)、及び、H2を水に溶解させた水溶液を意図する。
リンス処理の目的を損なわない範囲で、これらのリンス液は混合して使用してもよい。また、リンス液には有機溶剤が含まれていてもよい。
本発明の第4の態様にかかるルテニウム含有配線の製造方法は、表層に絶縁膜により構成される領域とルテニウムにより構成される領域とを含む基板に対し、前記第1の態様にかかるエッチング液を適用することにより、前記ルテニウムにより構成される領域を選択的にエッチングする工程を含むことを特徴とする。
本実施形態の半導体素子の製造方法は、上記第1の態様にかかるエッチング液を用いて、ルテニウムを含む被処理体をエッチング処理する工程を含むことを特徴とする。
本実施形態の半導体素子の製造方法は、上記エッチング処理工程に加えて、他の工程を含んでいてもよい。他の工程は、特に限定されず、半導体素子を製造する際に行われる公知の工程が挙げられる。かかる工程としては、例えば、金属配線、ゲート構造、ソース構造、ドレイン構造、絶縁層、強磁性層、及び非磁性層等の各構造の形成工程(層形成、上記エッチング処理以外のエッチング、化学機械研磨、変成等)、レジスト膜形成工程、露光工程、現像工程、熱処理工程、洗浄工程、検査工程等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの他の工程は、必要に応じ、上記エッチング処理工程の前又は後に、適宜行うことができる。
(実施例1〜5、比較例1〜3)
オルト過ヨウ素酸2gを水に溶解した。pHメーターを用いて23℃におけるpHを測定しながら、前記オルト過ヨウ素酸溶液にアンモニアを添加し、表1に示す各pHとなるように調整した。その後、溶液全体の体積が100mLとなるように水を添加して、各例のエッチング液を調製した。
被処理体には、12インチシリコン基板上にALD法によりルテニウム膜(厚さ30nm)を成膜したルテニウム基板を用いた。各例のエッチング液をビーカーに入れ、室温(23℃)で、前記ルテニウム基板を各例のエッチング液に浸漬することによりエッチング処理を行った。
上記「<被処理体のエッチング処理>」に示す方法でエッチング処理を行った後、被処理体をエッチング液から取り出し、基板表面のシート抵抗値を測定した。前記シート抵抗値から各例のエッチングレートを算出した。その結果を「エッチングレート」として表2に示した。
各例のエッチング液20mLをボトルに入れ、ルテニウム粉末0.01gを添加した。ルテニウム粉末を添加後直ぐに、パラフィルムでボトルの入口を密封し、室温で、3日間静置した。その後、パラフィルムの変色を目視で確認し、以下の評価基準で評価した。その結果を「パラフィルムの変色」として表2に示した。パラフィルムの変色は、四酸化ルテニウムが生成したことを示す。
評価基準
〇:パラフィルムの変色なし
×:パラフィルム変色
一方、比較例1及び2では、エッチングレートは大きかったが、パラフィルムが変色し、四酸化ルテニウムの生成が確認された。比較例3では、四酸化ルテニウムの生成は確認されなかったが、エッチングレートが低く、実用的ではなかった。
以上より、本発明を適用した実施例のエッチング液によれば、四酸化ルテニウムの発生リスクを低減しつつ、ルテニウムのエッチング処理ができること、が確認できる。
(実施例6〜10、比較例4〜6)
オルト過ヨウ素酸2gを水に溶解した。pHメーターを用いて23℃におけるpHを測定しながら、前記オルト過ヨウ素酸溶液にアンモニアを添加し、表3に示す各pHとなるように調整した。その後、溶液全体の体積が2000mLとなるように水を添加し、孔径15nmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製フィルターを30回通過させて、各例のエッチング液を調製した。各例のエッチング液について、光散乱式液中粒子検出器(KS−19F、リオン社製)により、エッチング液1mLあたりの100nmより大きい粒子の個数を測定した。その結果を「粒子数(個/mL)」として、表3に併記した。
なお、実施例6に記載のエッチング液について、フィルターを通過させずに粒子の数を測定したところ、エッチング液1mLあたりの100nmより大きい粒子の個数として10,000を超える測定値となった。
エッチング液として、実施例6〜10、及び比較例4〜6の各例のエッチング液を用いたこと以外は、<被処理体のエッチング処理(1)>と同様に、被処理体のエッチング処理を行った。
上記と同様の方法でエッチングレート及び四酸化ルテニウム生成を評価した。その結果、実施例6〜10及び比較例4〜6は、それぞれ、実施例1〜5及び比較例1〜3とほぼ同様の結果が得られた。すなわち、実施例6〜10では、エッチングレートは1〜10nm/minであり、実用的な範囲に維持された。また、パラフィルムの変色は認められず、四酸化ルテニウムの生成は確認されなかった。一方、比較例4及び5では、エッチングレートは実施例よりも大きかったが、パラフィルムが変色し、四酸化ルテニウムの生成が確認された。また、比較例6では、四酸化ルテニウムの生成は確認されなかったが、エッチングレートが低く、実用的ではなかった。
2 リセス
3 基板
4 下地層
5 絶縁膜
6 バリアメタル層
7 ルテニウム含有配線
Claims (10)
- オルト過ヨウ素酸と、アンモニアと、を含み、pHが9以上10以下である、
ルテニウムをエッチング処理するためのエッチング液であって、
前記エッチング処理がCMPプロセスに該当せず、
以下の条件でパラフィルムの変色を起こさない、エッチング液。
[条件]
前記エッチング液20mLをボトルに入れ、ルテニウム粉末0.01gを添加し、前記ルテニウム粉末を添加後直ぐに、パラフィルムでボトルの入口を密封し、室温で、3日間
静置 - オルト過ヨウ素酸と、アンモニアと、を含み、pHが9以上10以下である、
ルテニウムをエッチング処理するためのエッチング液であって、
前記エッチング処理がCMPプロセスに該当せず、
前記エッチング処理の際に四酸化ルテニウムの発生リスクが低減された、
エッチング液。 - オルト過ヨウ素酸と、アンモニアと、を含み、pHが8以上10以下であり、
100nmより大きい粒子の個数が20個/mL以下であり、
スラリー及び研磨剤を含まない、
ルテニウムをエッチング処理するためのエッチング液。 - 前記エッチング液中に含まれる100nmより大きい粒子の個数が20個/mL以下である、請求項1又は2に記載のエッチング液。
- スラリー及び研磨剤を含まない、請求項1、2又は4に記載のエッチング液。
- 前記エッチング処理がCMPプロセスに該当しない、請求項3に記載のエッチング液。
- 前記エッチング処理が、表層に絶縁膜により構成される領域とルテニウムにより構成される領域とを含む基板に対し、前記エッチング液を適用することにより、前記ルテニウムにより構成される領域を選択的にエッチングする処理である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエッチング液。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のエッチング液の製造方法であって、
オルト過ヨウ素酸を含む溶液とアンモニア水とを混合して混合液を調製し、前記混合液のpHを8以上10以下に調整する工程と、
前記混合液をフィルターでろ過する工程と、
をこの順で含む、製造方法。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のエッチング液を用いて、ルテニウムを含む被処理体をエッチング処理する工程を含む、被処理体の処理方法。
- 前記エッチング処理が、表層に絶縁膜により構成される領域とルテニウムにより構成される領域とを含む基板に対し、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエッチング液を適用することにより、前記ルテニウムにより構成される領域を選択的にエッチングする処理である、ルテニウム含有配線の製造方法。
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