JP6894445B2 - アミノチオールエステル化合物およびその塩の製造方法 - Google Patents
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Description
(式中、X1およびX2は、同一であっても異なっていてもよく、C1〜C7アルキル、フェニル、ベンジルの中から選択され、またはX1およびX2は、それらを結合している窒素原子と共に、ヘテロ環、特に、ピペリジンまたはモルホリンを形成する)の製造方法であって、
a)式(II)の化合物を無機酸または有機酸と反応させる工程と、
b)工程a)で得られた化合物を塩基と反応させる工程と、
c)工程b)で得られた化合物をCO2と反応させる工程と、
d)工程c)で得られた化合物をアルキルクロロホルメート、すなわち、工程c)で得られた化合物と共に酸ハロゲン化物を形成する可能性のある試薬、または工程c)で得られた化合物と共に混合酸無水物(anhydride mixte)を形成する可能性のある試薬、と反応させる工程と、
e)工程d)で得られた化合物をSMe−陰イオン前駆体化合物と反応させる工程と、
を含む、方法を提案する本発明によって達成される。
・S−メチル4−メチル−4−(ピペリジン−1−イル)ペンタ−2−インチオエート、
・S−メチル4−[ベンジル(メチル)アミノ]−4−メチルペント−2−インチオエート、
・S−メチル4−メチル−4−[メチル(フェニル)アミノ]ペンタ−2−インチオエート、
・S−メチル4−メチル−4−(モルホリン−4−イル)ペンタ−2−インチオエート、
・S−メチル4−(ジメチルアミノ)−4−メチルペント−2−インチオエート、
・S−メチル4−(ジヘプチルアミノ)−4−メチル−ペンタ−2−インチオエート、および/または、
・S−メチル4−[ヘプチル(メチル)アミノ]−4−メチル−ペンタ−2−インチオエート、
から選択される。
a0)任意に、銅触媒の存在下で、2−メチルブト−3−イン−2−オールを無機酸、特に塩酸と反応させる工程、
a1)任意に、工程a0)が実施されている場合に、必要に応じて工程a0)において得られた3−クロロ−3−メチルブト−1−インをX1X2NHと水性媒体中で反応させる工程、
a)必要に応じて工程a1)で得られた、または市販の式(II)の化合物を無機酸、好ましくはHClと反応させる工程、
b)工程a)で得られた化合物を塩基、好ましくはアルキルリチウム、好ましくはブチルリチウム、より特にn−ブチルリチウムと反応させる工程、
c)工程b)で得られた化合物をCO2と反応させる工程、
d)工程c)で得られた化合物をアルキルクロロホルメート、好ましくはイソブチルクロロホルメートと反応させる工程、
e)工程d)で得られた化合物をSMeNaと反応させる工程、
を含む。
方法は、
i)本発明の方法による式(I)の化合物を製造する工程、
ii)工程i)で得られた化合物を所望の塩に対応する酸と反応させる工程、
を含む。
好ましくは、式(I)の化合物の塩はDIMATEのフマル酸塩であり、工程ii)で使用される酸はフマル酸である。
1.工程a0)
226.4gのCaCl2(2.040mol)、219.70gのCuCl2(1.634mol)および2.440gのCu(0.0384mol)をフラスコに添加する。混合物を−20℃に置く。1770mlのHCl(57.8mol)を30分後に添加する。反応混合物を−20℃で1時間撹拌する。300gの2−メチル−3−ブチン−2−オール(4mol)を−20℃で45分間かけて添加する。−20℃で2時間30分経過後、室温(20〜25℃)に戻し、混合物を静置し、相を分離し、有機相を140mlの37%HClで6回、次に水で洗浄する。次いで、有機相を混合し、K2CO3で乾燥させ、次いで40〜45℃、350mbarで、K2CO3で蒸留する。268gの3−クロロ−3−メチルブト−1−インが得られる(収率60%)。
工程a0)で得られた268gの化合物(2.61mol)を、476mlのジメチルアミン(水溶液中40wt%)(9.41mol)を含むフラスコに添加する。室温で16時間反応させた後、反応媒体を濾過し、得られた濾液を混合し、次いで濾過し、この工程をさらに2回繰り返す。156.5gのアミンが得られた(収率53.8%)。
工程a1)で得られた156.5gのアミンを7倍量のジオキサンおよび3倍量のジオキサンHCl 6.5Mに溶解する。反応の終わりに周囲温度で塩を濾過し、ジオキサンで洗浄し、次いでEtOH/AcOEt混合物(70/30 8容量)から再結晶する。146gのアミン塩が得られた(収率37.8%)。
工程a)で得られた500mgの塩(0.003386mol)を、窒素雰囲気下、5mlのテトラヒドロフラン(0.06mol)を含むフラスコに添加する。反応混合物を−78℃に冷却する。ヘキサン中のn−BuLiの2.5M溶液3mlを添加する。反応混合物を0℃にする。1gのCO2(0.03mol)を0℃で(バブリングによって)加える。反応混合物を室温(20〜25℃)に到達させる。次いで、反応混合物を0℃に冷却し、0.486mlのイソブチルクロロホルメート(0.00372mol)を加える。反応混合物を室温(20〜25℃)に到達させる。0.285gのNaSMe(0.00406mol)を加える。室温(20〜25℃)で20分後、水および酢酸エチルを添加する。水相を酢酸エチルで抽出し、有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濃縮して、黄色油状物(600mg)を得る。得られた生成物を9/1〜7/3シクロヘキサン/AcOEt溶離液を用いてシリカゲルで精製し、DIMATEを無色油状物として得た(157mg)(収率25.02%)。
11.4gのフマル酸(0.09821mol)を450mlのエタノール(7.7mol)中に室温で溶解し、超音波処理により全て可溶化する。この溶液を、250mlのエーテル(2.4mol)中の19.2gのDIMATE(0.1036mol)の溶液に滴下する。30分後、得られた混合物を濾過し、エーテル(50ml)で洗浄し、真空下で乾燥させ、DIMATEのフマル酸塩を白色固体として得る(19.1g、収率64.5%)。
・1H NMR(300MHz,CDCl3):δ=1.42(s,6H,(CH3)2),2.31(s,6H,N(CH3)2),2.39ppm(s,3H,CH3S).
・1H NMR(300MHz,DMSO−d6):δ=1.35(s,6H,(CH3)2),2.20(s,6H,N(CH3)2),2.39ppm(s,3H,CH3S).
・13C NMR(75MHz,CDCl3):δ=12.1(CH3S)−27.5((CH3)2),40.0(N(CH3)2),54.7(C),81.5(C),94.7(C),175.8(COS)ppm
・1H NMR(300MHz,DMSO−d6):δ=1.36(s,6H,(CH3)2),2.21(s,6H,N(CH3)2),2.39(s,3H,CH3S),6.63(s,2H,=CH),13.12ppm(s,2H,CO2H).
・1H NMR(300MHz,D2O):δ=1.79(s,6H,(CH3)2),2.46(s,3H,CH3S),2.98(s,6H,N(CH3)2),6.68ppm(s,2H,=CH).
・13C NMR(75MHz,DMSO−d6):δ=12.3(CH3S),27.2((CH3)2),39.8(N(CH3)2),54.7(C),81.2(C),95.4(C),134.1(=CH),166.1(CO2H),175.8(COS)ppm
以下のアミン(式IIの化合物):N−(1,1−ジメチルプロプ−2−インイル)−N−メチル−ヘプタン−1−アミンを用いて、工程a0)〜e)で詳述した手順を繰り返す。THF(50mL)に溶解したN−メチルヘプタン−1−アミン(3.84g、29.7mmol)に、室温(20〜25℃)で、ジイソプロピルアミン(4.3mL、24.7mmol)、Cu(0.150g、2.4mmol)、CuCl(0.150g、1.5mmol)および3−クロロ−3−メチルブト−1−イン(2.54g、24.8mmol)(実施例1で述べたようにして得た)を連続的に添加した。反応媒体を16時間撹拌する。25mLの水を添加し、デカンテーションした後、水相を酢酸エチル(3×30mL)で抽出する。混合した有機相を10%NH4OH水溶液(25mL)およびNaClの飽和水溶液(25mL)で連続的に洗浄する。Na2SO4で乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮した後、残留物をKugelrohr装置(18Torr、オーブン温度:100〜150℃)での減圧蒸留により精製する。2.10gのN−(1,1−ジメチルプロプ−2−イニル)−N−メチル−ヘプタン−1−アミンを、収率43%、無色油状物として得た。
・化学式=C13H25N
・1H NMR(300MHz,DMSO)δ3.08(s,1H),2.37−2.28(m,2H),2.13(s,3H),1.39−1.18(m,10H),1.27(s,6H),0.91−0.80(m,3H).
・13C NMR(75MHz,CDCl3)δ86.29(C),70.72(CH),54.59(C),52.36(CH2),36.27(CH3),31.95(CH2),29.36(CH2),29.05(CH2),28.49(CH3),27.61(CH2),22.69(CH2),14.14(CH3).
・ESI−LRMS 196.0[M+H]+.
・1H NMR(300MHz,DMSO)δ2.38(s,3H),2.37(t,J=7.0Hz,2H),2.18(s,3H),1.35(s,6H),1.42−1.20(m,10H),0.86(t,J=6.7Hz,3H).
・13C NMR(75MHz,CDCl3)δ176.38(C),96.50(C),81.03(C),54.98(C),52.39(CH2),36.39,31.85(CH2),29.25(CH2),28.79(CH2),27.81(2CH3),27.41(CH2),22.62(CH2),14.09(CH3),12.41(CH3).
・ESI−LRMS 270.2[M+H]+.
以下のアミン(式IIの化合物):N−(1,1−ジメチルプロプ−2−インイル)−N−ヘプチル−ヘプタン−1−アミンを用いて、工程a0)〜e)に詳述した方法を繰り返す。
THF(41mL)に溶解したN−ヘプチルヘプタン−1−アミン(5.2g、24.4mmol)に、室温(20〜25℃)で、ジイソプロピルアミン(3.54mL、20.3mmol)、Cu(0.120g、1.9mmol)、CuCl(0.120g、1.2mmol)、3−クロロ−3−メチルブト−1−イン(2.08g、20.3mmol)(実施例1で述べたようにして得た)を連続的に添加した。反応媒体を16時間撹拌する。25mLの水を添加し、デカンテーションした後、水相を酢酸エチル(3×30mL)で抽出する。混合した有機相を10%NH4OH水溶液(25mL)およびNaClの飽和水溶液(25mL)で連続的に洗浄する。Na2SO4で乾燥し、ロータリーエバポレーターで濃縮した後、残留物をKugelrohr装置(18Torr、オーブン温度:100〜150℃)で減圧蒸留により精製する。1.50gのN−(1,1−ジメチルプロプ−2−インイル)−N−ヘプチル−ヘプタン−1−アミンを、収率27%、無色油状物として得た。
・13C NMR(75MHz,CDCl3)δ176.50(C),98.81(C),80.18(C),54.80(C),51.21(CH2),31.94(CH2),30.05(CH2),29.29(CH2),28.61(CH3),27.45(CH2),22.67(CH2),14.13(CH3),12.41(CH3).
・ESI−LRMS 354.1[M+H]+.
(付記1)
式(I)の化合物
(式中、X1およびX2は、同一であっても異なっていてもよく、C1〜C7アルキル、フェニル、ベンジルの中から選択され、またはX1およびX2は、それらを結合している窒素原子と共に、ヘテロ環、特に、ピペリジンまたはモルホリンを形成する)の製造方法であって、
a)式(II)の化合物を無機酸または有機酸と反応させる工程と、
b)工程a)で得られた化合物を塩基と反応させる工程と、
c)工程b)で得られた化合物をCO2と反応させる工程と、
d)工程c)で得られた化合物を、アルキルクロロホルメート、工程c)で得られた化合物と共に酸ハロゲン化物を形成することができる試薬、または工程c)で得られた化合物と共に混合酸無水物(anhydride mixte)を形成することができる試薬と反応させる工程と、
e)工程d)で得られた化合物をSMe−陰イオン前駆体化合物と反応させる工程と、
を含む、方法。
式(II)の化合物が、3−クロロ−3−メチルブト−1−インをX1X2NHと水性媒体中で反応させる工程a1)によって得られる、付記1に記載の方法。
工程a1)で得られた化合物を、1回以上の濾過、例えば、1回または2〜10回の連続した濾過、好ましくは2〜5回の連続した濾過、例えば4回の濾過により精製する、付記2に記載の方法。
3−クロロ−3−メチルブト−1−インが、銅触媒の存在下で、2−メチルブト−3−イン−2−オールを塩酸と反応させる工程a0)によって得られる、付記2または3に記載の方法。
前記酸が、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸から選択される無機酸であり、好ましくは塩酸である、付記1〜4のいずれか1つに記載の方法。
工程b)の前記塩基が25よりも大きいpKaを有し、好ましくは工程b)において実施される前記塩基がリチウムまたはマグネシウムに基づく塩基から選択され、好ましくは塩基がブチルリチウムまたはヘキシルリチウムから選択される、付記1〜5のいずれか1つに記載の方法。
工程d)は、
−少なくとも1つの二重結合を含み得る炭素数1〜6のアルキルを有するアルキルクロロホルメート、好ましくはメチルクロロホルメート、エチルクロロホルメート、イソプレニルクロロホルメート、イソブチルクロロホルメートまたはイソブチルクロロホルメート、好ましくはイソブチルクロロホルメート、または、
−工程c)で得られた化合物と共に酸塩化物から選択される混合酸無水物、例えば塩化ピバロイルを形成することができる試薬、または、
−工程c)で得られた化合物と共にSOCl2、COCl2、PCl3、PCl5、PBr3またはPPh3Br2から選択される酸ハロゲン化物を形成することができる試薬、
を用いて実施される、付記1〜6のいずれか1つに記載の方法。
前記SMe−陰イオン前駆体化合物が、式XSMeの塩(式中、Xはアルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばNa)、メチルメルカプタン、または(SMe)2から選択され、好ましくはNaSMeである、付記1〜7のいずれか1つに記載の方法。
付記1に記載の式(I)の化合物の塩の製造方法であって、
i)付記1〜8のいずれか1つに記載の式(I)の化合物を製造する工程と、
ii)工程i)で得られた化合物を所望の前記塩に対応する前記酸と反応させる工程と、
を含む、方法。
X1またはX2が同一であり、メチルを表す、付記1〜8のいずれか1つに記載の方法。
前記塩がフマル酸塩であり、式(I)の化合物のX1およびX2が同一であり、メチルを表し、工程ii)で使用される前記酸がフマル酸である、付記9に記載の方法。
Claims (11)
- 式(I)の化合物
(式中、X1およびX2は、同一であっても異なっていてもよく、C1〜C7アルキル、フェニル、ベンジルの中から選択され、またはX1およびX2は、それらを結合している窒素原子と共に、ヘテロ環、特に、ピペリジンまたはモルホリンを形成する)の製造方法であって、
a)式(II)の化合物を無機酸または有機酸と反応させる工程と、
b)工程a)で得られた化合物を塩基と反応させる工程と、
c)工程b)で得られた化合物をCO2と反応させる工程と、
d)工程c)で得られた化合物を、アルキルクロロホルメート、工程c)で得られた化合物と共に酸ハロゲン化物を形成することができる試薬、または工程c)で得られた化合物と共に混合酸無水物(anhydride mixte)を形成することができる試薬と反応させる工程と、
e)工程d)で得られた化合物をSMe−陰イオン前駆体化合物と反応させる工程と、
を含む、方法。 - 式(II)の化合物が、3−クロロ−3−メチルブト−1−インをX1X2NH(X 1 およびX 2 は請求項1に記載されたとおりである)と水性媒体中で反応させる工程a1)によって得られる、請求項1に記載の方法。
- 工程a1)で得られた化合物を、1回以上の濾過により精製する、請求項2に記載の方法。
- 3−クロロ−3−メチルブト−1−インが、銅触媒の存在下で、2−メチルブト−3−イン−2−オールを塩酸と反応させる工程a0)によって得られる、請求項2または3に記載の方法。
- 前記酸が、塩酸、リン酸、硝酸、硫酸から選択される無機酸である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 工程b)の前記塩基が25よりも大きいpKaを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 工程d)は、
−少なくとも1つの二重結合を含み得る炭素数1〜6のアルキルを有するアルキルクロロホルメート、または、
−工程c)で得られた化合物と共に酸塩化物から選択される混合酸無水物を形成することができる試薬、または、
−工程c)で得られた化合物と共にSOCl2、COCl2、PCl3、PCl5、PBr3またはPPh3Br2から選択される酸ハロゲン化物を形成することができる試薬、
を用いて実施される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 - 前記SMe−陰イオン前駆体化合物が、式XSMeの塩(式中、Xはアルカリ金属またはアルカリ土類金属)、メチルメルカプタン、または(SMe)2から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1に記載の式(I)の化合物の塩の製造方法であって、
i)請求項1〜8のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を製造する工程と、
ii)工程i)で得られた化合物を所望の前記塩に対応する前記酸と反応させる工程と、
を含む、方法。 - X1またはX2が同一であり、メチルを表す、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 前記塩がフマル酸塩であり、式(I)の化合物のX1およびX2が同一であり、メチルを表し、工程ii)で使用される前記酸がフマル酸である、請求項9に記載の方法。
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