JP6892071B2 - 新規チオフラビンt誘導体及びその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、リンカーを介してリガンドを結合させた新規チオフラビンT(ThT)誘導体及びその利用に関し、より具体的には、リガンド結合分子の検出やスクリーニングのための新規ThT誘導体の利用に関する。
チオフラビンT(ThT)は蛍光を発する化合物であり、アミロイドβの検出プローブとして使用されている。そして、特許文献1には、アルツハイマー病の生前診断ならびにアミロイド沈着物のインビボ画像化および予防に用いるためのチオフラビン誘導体が開示されている。さらに、特許文献2では、グアニン四重鎖に結合して蛍光を発するチオフラビン誘導体が開示されている。
特開2012-102106号公報 特開2016-79132号公報
近年、タンパク質や核酸、代謝物からなる種々のバイオマーカーが見出されている。これらの分子の検出には抗体を用いるELISA法やポリメラーゼを用いるPCR法などが利用されているが、標的認識分子取得技術や高価な測定装置を必要としない簡便なバイオマーカー計測法の開発が求められている。そこで、本発明は、標的分子に対して特異的に結合し蛍光を発するN3-チオフラビンT誘導体を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、標的分子に結合するリガンド分子を、リンカーを介してN3位に導入したThT誘導体を合成することに成功し、当該誘導体が標的分子に特異的に結合し蛍光を発するので、標的分子の測定やスクリーニングに使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]下記一般式(I)で表される化合物又はその塩。
Figure 0006892071
、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜5の炭化水素基を示し、
Lは主鎖の長さが原子数2〜45であるリンカー鎖を示し、
Xは標的分子に結合する基を示す。
[2][1]に記載の化合物又はその塩を含む、標的分子の検出剤。
[3]標的分子が抗体であり、Xが抗原分子である、[2]に記載の標的分子の検出剤。[4]標的分子が受容体であり、Xが受容体リガンドである、[2]に記載の標的分子の検出剤。
[5][1]に記載の化合物又はその塩を被検試料に添加し、蛍光強度を測定することを特徴とする、被検試料中の標的分子の検出方法。
[6][1]に記載の化合物と、標的分子を共存させ、ここに被検化合物を添加して蛍光強度を測定し、[1]に記載の化合物と標的分子の結合を変化させる化合物を選択することを特徴とする、[1]に記載の化合物と、標的分子の結合を変化させる化合物のスクリーニング方法。
本発明によれば、遊離の状態ではほとんど発光しないThTのN3位に特定のリガンド分子(或いはその部分構造)を導入することで、任意の標的分子に対する蛍光プローブ分子を創製できる。これらのN3修飾ThTは、様々なバイオマーカーの特異検出やリガンドの結合分子のスクリーニングなどに応用できる。
測定溶液の調製スキームを示す図(実施例1)。 本発明の化合物(ThT-P42D)と標的分子(Streptavidin)と発光の関係を示す図。 蛍光スペクトルおよび飽和曲線を示す図。(A) StreptavidinにThT-P42を添加した場合の蛍光スペクトル、(B) StreptavidinにThT-P42Dを添加した場合の蛍光スペクトル、(C) StreptavidinにThT-P42Dを添加した場合の飽和曲線。 UV-vis吸収スペクトルを示す図。(A)StreptavidinにThT-P42を添加した場合の吸収スペクトル、(B) StreptavidinにThT-P42Dを添加した場合の吸収スペクトル。 蛍光スペクトルおよび減衰曲線を示す図。(A) StreptavidinにThT-P42およびBiotinを添加した場合の蛍光スペクトル、(B) StreptavidinにThT-P42Dを添加した場合の蛍光スペクトル、(C) StreptavidinにThT-P42DおよびBiotinを添加した場合の減衰曲線。 UV-vis吸収スペクトルを示す図。(A)StreptavidinにThT-P42およびBiotinを添加した場合の吸収スペクトル、(B) StreptavidinにThT-P42DおよびBiotinを添加した場合の吸収スペクトル。 測定溶液の調製スキームを示す図(実施例2)。 本発明の化合物(ThT-P42H)と標的分子(Anti-cortisol抗体)と発光の関係を示す図。 蛍光スペクトルおよび飽和曲線を示す図。(A) Anti-cortisol抗体にThT-P42を添加した場合の蛍光スペクトル、(B) Anti-cortisol抗体にThT-P42Hを添加した場合の蛍光スペクトル、(C) Anti-cortisol抗体にThT-P42Hを添加した場合の飽和曲線。 UV-vis吸収スペクトルを示す図。 (A) Anti-cortisol抗体にThT-P42を添加した場合の吸収スペクトル、(B) Anti-cortisol抗体にThT-P42Hを添加した場合の吸収スペクトル。 蛍光スペクトルおよび減衰曲線を示す図。(A) Anti-cortisol抗体にHydrocortisoneおよびThT-P42を添加した場合の蛍光スペクトル、(B) Anti-cortisol抗体にHydrocortisoneおよびThT-P42Hを添加した場合の蛍光スペクトル、(C) Anti-cortisol抗体にHydrocortisoneおよびThT-P42Hを添加した場合の減衰曲線。 UV-vis吸収スペクトルを示す図。(A) Anti-cortisol抗体にHydrocortisoneおよびThT-P42を添加した場合の吸収スペクトル、 (B) Anti-cortisol抗体にHydrocortisoneおよびThT-P42Hを添加した場合の吸収スペクトル。
本発明のThT誘導体は、以下の構造を有する。
Figure 0006892071
ここで、R、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜5の(脂肪族)炭化水素基を示し、より好ましくは炭素数1〜3の炭化水素基を示し、メチル基が特に好ましい。炭素数1〜5の炭化水素基は直鎖でも分岐鎖でもよいし、飽和でも不飽和でもよい。
Lは主鎖の長さは原子数2〜45、好ましくは10〜45、より好ましくは30〜45であるリンカー鎖であり、後述の検出反応を水系の反応系で行うためには、水溶性リンカーが好ましい。
水溶性リンカーとしては、複数の−CH2−が独立して、−NH−、−NY−(Yは、炭素数1〜5の炭化水素基であり、直鎖でも分岐鎖でもよいし、飽和でも不飽和でもよい。)、−O−、−CO−、−SO2−またはアリーレン基で置換されているアルキレン基、例えば、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリイミンなどが挙げられる。親水性リンカーは、また、ペプチドや糖の重合体でもよい。
Xは標的分子に結合する基(moiety)であり、分子量は100〜1000であることが好ましく、200〜500であることがより好ましく、低分子化合物、ペプチド、糖、核酸などが挙げられ、より具体的には、抗原分子(エピトープ)、受容体リガンド(ペプチドホルモン、低分子リガンド、ステロイドホルモンなどを含む)、ビオチン、グルタチオンなどが挙げられる。
本発明のThT誘導体の一例として、Xにデスチオビオチン構造やヒドロコルチゾン(コルチゾール)構造を付加した以下のような化合物が例示される。Xにデスチオビオチン構造を有する化合物はアビジンの検出に使用できる。
Figure 0006892071
一般式(I)で示される化合物の塩としては、その酸付加塩が例示される。適切な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例は、酢酸、アスパラギン酸、安息香酸、ベシル酸、重炭酸/炭酸、重硫酸/硫酸、ホウ酸、カンシル酸、クエン酸、エジシル酸、エシル酸、ギ酸、フマル酸、グルセプト酸、グルコン酸、グルクロン酸、ヘキサフルオロリン酸、ヒベンズ酸、塩酸/塩化物、臭化水素酸/臭化物、ヨウ化水素酸/ヨウ化物、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、メシル酸、メチル硫酸、ナフチル酸、2−ナプシル酸、ニコチン酸、硝酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸/リン酸水素/リン酸二水素、サッカラート、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、トシル酸及びトリフルオロ酢酸塩を包含する。
一般式(I)で示される化合物は、後述の実施例に記載された方法に準じて合成することができる。具体的には、ThTのN3位にリンカーと標的分子結合部分を連結することで合成することができる。
一般式(I)で示される化合物は、標的分子に結合する基が標的分子に結合していないフリーの状態では、励起状態において、ベンゾチアゾールに対し、ジメチルアミノベンゼンが安定な垂直方向に配向するので蛍光は観測されない。一方、標的分子に結合する基が標的分子に結合している状態では、励起状態において、ジメチルアミノベンゼンのベンゾチアゾールに対する配向が変化し、蛍光が観測される。
これにより、蛍光に基づいて、標的分子の検出や探索の用途などに使用することができる

例えば、一般式(I)で示される化合物を溶媒中に溶解した溶液を、標的分子を含む試料と接触させて一般式(I)で示される化合物と標的分子を結合させた後、例えば、380〜450nmの励起波長を照射し、当該結合に基づく蛍光を検出することにより、標的分子の検出や定量を行うことができる。また、in vivo およびin situでの検出や定量にも適用できる。
例えば、標的分子を抗体、標的分子結合部分を抗原とし、本発明の化合物を抗体を含む試料に添加して蛍光を検出することにより、試料中の抗体を検出または定量することができる。
また、標的分子を受容体、標的分子結合部分をリガンドとし、本発明の化合物を受容体を含む試料に添加して蛍光を検出することにより、試料中の受容体を検出または定量することができる。
さらに、一般式(I)で示される化合物は受容体のアゴニストやアンタゴニストのスクリーニングにも使用できる。
例えば、一般式(I)で示される化合物(リガンド)と、標的分子(受容体)を共存させ、ここに被検化合物を添加して蛍光強度を測定し、一般式(I)で示される化合物と標的分子の結合を変化させる化合物を選択することにより、受容体のアゴニストやアンタゴニストのスクリーニングを行うことができる。
一般式(I)で示される化合物(リガンド)と、標的分子(受容体)との結合により検出される蛍光の強度が被検化合物を添加したことにより低下すると、被検化合物は受容体のアンタゴニストとして選択され、蛍光強度が被検化合物を添加したことにより増加すると、被検化合物は受容体のアゴニストとして選択される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<ThT誘導体の合成>
以下のスキームに従ってThT-P42、ThT-P42DおよびThT-P42Hを合成した。
Figure 0006892071
[化合物T1の合成]
2-Amino-6-methylbenzothiazole (530 mg, 3.3 mmol)にdry-Acetonitrile(MeCN) (2.4 mL)を加えて撹拌し、そこにMethyl bromoacetate (350 μL, 3.7 mmol)を加えて4時間還
流した。TLCで反応確認後、反応混合物を減圧留去した。残渣をMeCNに懸濁させて吸引ろ過し、ろ物を減圧乾燥させることで化合物T1を定量的に得た。
理論収量 : 3.3 mmol
1HNMR (400MHz, methanol-d4) δ7.63 (1H, s) 7.40 -7.33 (2H, q) 5.12 (2H, s) 3.80 (3H, s) 2.41 (3H, s); ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 237.1, calculated for [M+] = 237.07.
[化合物T2の合成]
化合物T1 (3.60 g, 15.2 mmol)にdry-Methanol(MeOH) (47 mL)を加えて撹拌し、0℃下でSodium Borohydride (3.44 g, 91 mmol)を加えた後、室温で11時間撹拌した。11時間後に0℃下でSodium Borohydride (2.51 g, 66 mmol)を加えた後に再度室温で12時間撹拌した。反応混合物を減圧留去した後、残渣を酢酸エチルに懸濁させた。懸濁溶液を氷水中に滴下し、有機層を水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、吸引ろ過して減圧留去することで化合物T2を得た。
収量 : 2.64 g 収量 : 83%
1HNMR (400MHz, CDCl3) δ7.09 (1H, s) 7.04-7.02 (1H, d) 6.79-6.77 (1H, d) 4.15-4.13 (2H, t) 3.99-3.96 (2H, t) 2.33 (3H, s); ESI-MS (positive ion mode) m/z, found
=209.2, calculated for [M+] = 209.07.
[化合物T3の合成]
化合物T2 (2.32 g, 11.1mmol)に50%(w/v) KOH水溶液 (66 mL)とEthylene glycol (60 mL)を加え、アルゴン下で24時間還流した。さらに、空気下で24時間還流したのち、室温まで放冷した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、ジクロロメタンを用いて抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、吸引ろ過して減圧留去した。これをカラムクロマトグラフィー (0%→5% MeOH/ CH2Cl2)により精製し、化合物T3を得た。
収量 : 1.43 g 収率: 71%
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.11-7.10 (2H, d) 7.07-7.04 (2H, q) 6.60-6.57 (2H, d) 3.72-3.61 (4H, m) 3.28-3.22 (4H, d) 2.17 (6H, s); ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 365.2, calculated for [(M+H)+]= 365.53.
[化合物T4の合成]
p-Toluenesulfonyl chloride (375 mg, 2.0 mmol)、Triethylamine(0.5 mL, 3.6 mmol)、N,N-Dimethyl-4-aminopyridine (22 mg, 181 μmol)、にdry-Dichloromethane(CH2Cl2)
(3.2 mL)を加えて撹拌しながら冷却し、0℃下でdry- CH2Cl2 (3.2 mL)に溶解させた化合物T3 (287 mg, 788 μmol)をゆっくり滴下した後、室温で4時間撹拌した。反応混合液をジクロロメタンで溶解し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、吸引ろ過して減圧留去した。これをカラムクロマトグラフィー (100%CH2Cl2)により精製し、化合物T4を得た。
収量 : 347 mg 収率: 66%
1HNMR (400MHz, CDCl3) δ7.76-7.73 (4H, q) 7.35-7.33 (4H, d) 6.99-6.97 (2H, q) 6.88-6.87 (2H, d) 6.40-6.36 (2H, d) 4.08-4.05 (4H, t) 3.36-3.32 (4H, q) 2.40 (6H, s) 2.11 (6H, s); ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 673.0 calculated for [(M+H)+] = 673.15.
[化合物T5の合成]
化合物T4 (1.07 g, 1.6 mmol)にdry-DMF (8.2 mL)を加え、sodium azide (1.03 g, 16 mmol)を加えて40℃で2.5時間撹拌した。反応混合物を減圧留去した後、残渣を酢酸エチルに懸濁させ、懸濁溶液を水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、吸引ろ過して減圧留去することで化合物T5を得た。
理論収量 : 1.6 mmol
1HNMR (400MHz, CDCl3) δ7.08-7.05 (2H, q) 7.03-7.02 (2H, d) 3.40-3.37 (4H, t) 3.30-3.25 (4H, q) 2.16 (6H, s); ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 415.2, calculated for [(M+H)+] = 415.14.
[化合物T6の合成]
化合物T5 (694 mg, 1.7 mmol)にtetrahydrofuran(10 mL)を加えてミリQ水(1 mL)を加えた後にtriphenylphosphine(2.63 g, 10.0 mmol)を加えて室温で14時間撹拌した。反応混合物を減圧留去した後、残渣をジクロロメタンに懸濁させ、懸濁溶液を1N塩酸水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで洗浄し、3N水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調整し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、吸引ろ過して減圧留去することで化合物T6を得た。
収量 : 601 mg 収率: 75%
1HNMR (400MHz, CDCl3) δ7.05-7.03 (4H, d) 6.56-6.54 (2H, d) 3.13-3.10 (4H, t) 2.83-2.81 (4H, t) 2.15 (6H, s); ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 363.1, calculated for [M+] = 363.16.
[化合物T7の合成]
化合物T6 (328 mg, 910 μmol)にdry-MeOH (4 mL)を加えて撹拌し、そこにTriethylamine(1.3 mL, 9.1 mmol)を加えEthyl Trifluoroacetate(0.6 mL, 4.5 mmol)をゆっくり加え、室温で6時間撹拌した。反応混合物を減圧留去した後、水で共沸した。これをカラムクロマトグラフィー (0%→0.5%MeOH/ CH2Cl2)により精製し、化合物T7を得た。
収量 : 384 mg 収率: 76%
1HNMR (400MHz, CDCl3) δ7.10-7.00 (4H, m) 6.56-6.54 (2H, d) 3.50-3.44 (4H, m) 3.31-3.26 (4H, m) 2.15 (6H, s); ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 555.0, calculated for [(M+H)+] = 555.57.
[化合物T8の合成]
化合物T7 (370 mg, 667 μmol)にdry-Ethanol (16 mL)を加えて撹拌し、0℃下でSodium
Borohydride (817 mg, 20 mmol)を加えた後、室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧留去した後、残渣を酢酸エチルに懸濁させた。懸濁溶液を氷水中に滴下し、水層を5%硫酸水素カリウム水溶液でpH5に中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、吸引ろ過して減圧留去することで化合物T8を得た。
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 279.4, calculated for [(M+H)+] = 279.29.
[化合物T9の合成]
化合物T8 (1.33 mmol)にdry-MeCN (8.2 mL)を加えて撹拌し、そこに4-(Dimethylamino)benzoyl chloride (189 mg, 1.0 mmol)を加えた後、室温で20時間撹拌した。反応混合物に水を加えてクエンチ後、飽和食塩水を入れてジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、吸引ろ過して減圧留去した。これをカラムクロマトグラフィー (1%→20%MeOH/ CH2Cl2)により精製し、化合物T9を得た。
収量 : 132 mg 収率: 24%
1HNMR (400MHz, CDCl3) δ8.82-8.79 (1H, d) 7.93-7.91 (2H, d) 7.72-7.71 (2H, d) 6.96-6.93 (2H, d) 5.06-5.02 (2H, t) 4.09-4.07 (2H, q) 3.19 (6H, s) 2.57 (3H, s); ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 408.1, calculated for [M+] = 408.14.
[ThT-AEの合成]
化合物T9 (202 mg, 500 μmol)に6N塩酸水溶液(30 mL)を加え、80℃で6時間還流した。反応混合物を減圧留去した後、水で共沸することで化合物ThT-AEを得た。
理論収量 : 500 μmol
1HNMR (400MHz, Deuterium oxide) δ7.97-7.94 (2H, d) 7.23-7.70 (3H, m) 6.99-6.96
(2H, d) 5.13-5.09 (2H, t) 3.60-3.56 (2H, t) 3.09 (6H, s) 2.55 (3H, s); ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 312.1, calculated for [M+] = 312.15.
[化合物T10の合成]
ThT-AE (7 mg, 22 μmol)にdry-DMF (0.1 mL)を加えて撹拌し、そこにHOBt・H2O(5 mg,
29 μmol)、PyBOP(15 mg, 29 μmol)を加えた後にDIPEA(10 μL, 58 μmol)を加えた。そこに、dry- DMF (0.2 mL)に溶解したO-[2-(Boc-amino)-ethyl]- O'-[2-(diglycolyl-amino)ethyl]decaethylene glycol(22 mg, 29 μmol)をゆっくり加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物を減圧留去した後、残渣をジクロロメタンで懸濁させ、水で洗浄した。有機層をジメチルエーテルで固液抽出することで化合物T10を得た。
収量 : 17 mg 収率: 74%
ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 1054.8, calculated for [M+] = 1054.56.
[ThT-P42の合成]
化合物T10 (9 mg, 8.5 μmol)にdry- CH2Cl2 (0.1 mL)を加えて撹拌し、そこにTrifluoroacetic acid(20 μL)を加え、室温で6時間撹拌した。反応混合物を減圧留去した後、水で共沸し、残渣を水で懸濁させ、クロロホルムで洗浄した。水層をジエチルエーテルで固液抽出し、HPLC精製することで化合物ThT-P42を得た。
収量 : 1.7 mg 収率 : 21%
1HNMR (600MHz, Deuterium oxide) δ7.97-7.96 (1H, d) 7.91 (1H, s) 7.70-7.69 (3H, q) 6.92-6.90 (2H, d) 5.06-5.04 (2H, t) 3.80 (2H, s) 3.73-3.72 (2H, t) 3.68-3.62 (48H, m) 3.57-3.56 (2H, t) 3.36-3.35 (2H, t) 3.18-3.17 (2H, t) 3.03 (6H, s) 2.53
(3H, s); ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 954.7, calculated for [M+] = 954.51.
[ThT-P42Dの合成]
ThT-P42 (10 mg, 11 μmol)にdry-DMF (0.1 mL)を加えて撹拌し、そこにHOBt・H2O(2 mg, 14 μmol)、PyBOP(7 mg, 14 μmol)を加えた後にDIPEA(24 μL, 140 μmol)を加えた。そこに、dry- DMF (0.2 mL)に溶解したd-Desthiobiotin (6 mg, 21 μmol)をゆっくり加え、室温で24時間撹拌した。反応混合物を減圧留去した後、残渣をジクロロメタンで懸濁させ、水で洗浄した。有機層をジエチルエーテルで固液抽出し、HPLC精製することで化合物ThT-P42Dを得た。
収量 : 1.0 mg 収率: 8.2%
1HNMR (600MHz, methanol-d4) δ8.18-8.16 (1H, d) 8.05 (1H, s) 7.82-7.80 (2H, d) 7.74-7.73 (1H, d) 7.00-6.98 (2H, d) 3.92 (2H, s) 3.82-3.78 (2H, m) 3.75-3.73 (2H,
t) 3.71-3.52 (54H, m) 3.42-3.41 (2H, q) 3.35-3.33 (2H, m) 3.17 (6H, s) 2.58 (3H, s) 2.19-2.17 (2H, t) 1.60-1.59 (2H, m) 1.49-1.29 (8H, m) 1.12-1.09 (3H, d); ESI-MS (positive ion mode) m/z, found = 1150.7, calculated for [M+] = 1150.63.
[ThT-P42Hの合成]
ThT-P42 (20 mg, 23 μmol)にdry-DMF (0.1 mL)を加えて撹拌し、そこにHOBt・H2O(3 mg, 15 μmol)、PyBOP(8 mg, 15 μmol)を加えた後にDIPEA(30 μL, 170 μmol)を加えた。そこに、dry- DMF (0.2 mL)に溶解したHydrocortisone 3-(O-carboxymethyl) oxime (5
mg, 12 μmol) をゆっくり加え、室温で23時間撹拌した。反応混合物を減圧留去した後、残渣をジクロロメタンで懸濁させ、水で洗浄した。有機層をジエチルエーテルで固液抽出し、HPLC精製することで化合物ThT-P42Hを得た。
収量 : 1.7 mg 収率: 11%
1HNMR (600MHz, methanol-d4) δ8.18-8.17 (1H, d) 8.06 (1H, s) 7.83-7.81 (2H, m) 7.75-7.74 (1H, q) 7.00-6.99 (2H, m) 5.66-5.65 (1H, m) 5.23-5.02 (2H, t) 4.64-4.61
(1H, d) 4.46-4.43 (2H, t) 4.37-4.36 (1H, q) 4.28-4.24 (1H, q) 3.92 (2H, s) 3.79
(2H, s) 3.76-3.74 (2H, t) 3.63-3.61 (48H, m) 3.44-3.41 (4H, m) 3.17 (6H, s) 3.04-3.00 (1H, m) 2.74-2.69 (1H, m) 2.60 (1H, s) 2.44-2.43 (1H, m) 2.34-2.28 (1H, m) 2.19-2.16 (1H, m) 2.01-2.05 (1H, m) 2.02-1.98 (2H, m) 1.79-1.72 (2H, m) 1.60-1.55 (2H, m) 1.48-1.44 (1H, m) 1.48-1.44 (1H, m) 1.35 (3H, s) 1.05-1.00 (1H, m) 0.87 (3H, s); MALDI-TOF-MS (positive ion mode) m/z, found =1371.0353, calculated for [M+] = 1371.73.
<実施例1:Streptavidinとの結合>
1.溶液の調製
1−1.Streptavidinと色素溶液の調製
まず5×PBS153NMバッファーを用いて1×PBS153NMバッファー中で最終濃度35μMとなるStreptavidin溶液(ε280=41940cm-1M-1)および28μMとなる色素(ThT-P42, ThT-P42D)溶液(ε421=15100cm-1M-1)を調製した。これらはUV-visスペクトル測定にて濃度を決定した。
1−2.Biotin溶液の調製
10.70mgのBiotinを計り取り、ミリQ水に溶かして100mLメスフラスコを用いてメスアップした。この溶液と5×PBS153NMバッファーを用いて、1×PBS153NMバッファー中で最終濃度35μMとなるBiotin溶液を調製した。
1−3.測定溶液の調製(Streptavidinと色素の結合)
35μMのStreptavidin溶液を1×PBS153NMバッファーを用いて希釈し、50μLの各濃度の溶液(最終濃度 0, 1, 2, 4, 6, 8, 12, 16, 20μM)となるように調製し、25℃で30分インキュベートした。続いて、28μMの色素溶液を20μLずつ添加し(最終濃度8μM)、25℃で2時間インキュベートした(計70μL)(図1参照)。
1−4.測定溶液の調製(d-DesthiobiotinとBiotinの交換反応)
35μMのStreptavidin溶液16μLを1×PBS153NMバッファーを用いて希釈し(最終濃度 8μM)、25℃で30分インキュベートした。続いて、28μMの色素溶液を20μLずつ添加し(最終濃度8μM)、25℃で2時間インキュベートした。最後にBiotin溶液を0, 2, 4, 8, 12, 16, 24, 32μLずつ添加し(最終濃度 0, 1, 2, 4, 6, 8, 12, 16μM)、25℃で2時間インキュベーションした(計70μL) (図1)。
2.用いた試薬
ThT誘導体(ThT-P42, ThT-P42D)
Streptavidin, TypeII 和光純薬工業株式会社,大阪,日本
Biotin 東京化成工業株式会社,東京,日本
5×PBS153NM
50 mM HPO4 2-, 730 mM Cl-, 765 mM Na+, 13.5 mM K+, 12.5 mM Mg2+ (pH 7.4)
1×PBS153NM
10 mM HPO4 2-, 146 mM Cl-, 153 mM Na+, 2.7 mM K+, 2.5 mM Mg2+ (pH 7.4)
3.蛍光およびUV-visスペクトル測定
2で調製した溶液を用いて蛍光スペクトル測定した。蛍光分光光度計(LS-55)を用いて 25℃の条件のもと励起波長を430nmとし、440〜700nmの波長範囲で測定した。モニター波長は500 nmとした。
2で調製した溶液をUV-visスペクトル測定した。紫外可視分光度計(UV -2700 )を用いて25℃の条件のもと200〜650nmの波長範囲で測定した。
4.結果
ThT誘導体であるThT-P42DはPEG鎖を有するThT-P42の末端にd-Desthiobiotinを結合させた
色素である。ThTは励起状態における立体配置によって蛍光強度が変わる特徴を有し、遊離の状態ではほとんど蛍光を発しない(蛍光量子収率Φ<0.001)が、標的に結合すると強い蛍光を発することが知られる(Φ=0.3〜0.8)。よって、ThTのN3位にリンカーを介してリガンドを結合することで、リガンド分子が標的へ結合したときに強い蛍光を発することが期待される。したがって、リガンド分子であるd-Desthiobiotinを有するThT-P42Dは標的タンパク質であるStreptavidinに添加すると蛍光を発するはずである。また、ThT-P42DとStreptavidinが結合している場合、d-Desthiobiotinよりも結合親和性の高いBiotinを添加すると交換反応が起こり、消光するはずである(図2)。
はじめにThT-P42およびThT-P42DをStreptavidinに添加するとThT-P42Dのみ蛍光強度の増大が確認された。一方で、ThT-P42DはThT-P42と同様にStreptavidinが0μMのときにほとんど蛍光を発しないことが分かった(図3)。したがって、ThT-P42Dはバックグラウンドが低い色素であることが示唆された。
・ThT-P42Dの飽和曲線はシグモイド曲線を描くことが分かり、その変曲点は5.8μMであることが分かった(図3)。
この時のUV-Vis吸収スペクトルはThT-P42Dのみ極大吸収波長のレッドシフトが確認された(図4)。したがって、ThT-P42Dは標的であるStreptavidinに結合することでThT骨格上にπ共役系が広がっていることが示唆された。
続いてThT-P42およびThT-P42DをStreptavidinに添加し、後にBiotinを添加するとThT-P42Dのみ蛍光強度の減少が確認された。つまり、d-DesthiobiotinとBiotinの交換反応が起こることでThT-P42Dは遊離し、蛍光強度が減少したと考えられる(図5)。
・ThT-P42Dの減衰曲線はシグモイド曲線を描くことが分かり、その変曲点は2.3μMであることが分かった(図5)。
この時のUV-Vis吸収スペクトルはThT-P42Dのみ極大吸収波長のブルーシフトが確認された(図6参照)。したがって、ThT-P42Dの代わりにBiotinが標的であるStreptavidinに結合することでThT骨格上に広がっていたπ共役系が縮小することが示唆された。
<実施例2:Anti-cortisol抗体との結合>
1.溶液の調製
1−1.Anti-cortisol抗体と色素溶液の調製
Anti-cortisol抗体溶液を10Kのスピンカラム(VIVASPIN 500)を用いて限外ろ過して1×PBS153NMバッファーに置換し、150KDaの分子量で最終濃度35μMとなるように1×PBS153NMバッファーを用いて調製した。続いて、1×PBS153NMバッファー中で14μMとなる色素(ThT-P42(ε421=15100cm-1M-1), ThT-P42H(ε421=12600cm-1M-1))溶液を調製した。これらはUV-visスペクトル測定にて濃度を決定した。
1−2.Hydrocortisone溶液の調製
11.10mgのHydrocortisoneを計り取り、50mM水酸化ナトリウム水溶液1mLに懸濁させて撹拌した。それをミリQ水に溶かして100mLメスフラスコを用いてメスアップした。この溶液と5×PBS153NMバッファーを用いて、1×PBS153NMバッファー中で最終濃度35μMとなるHydrocortisone溶液を調製した。
1−3.測定溶液の調製(Anti-cortisol抗体と色素の結合)
35μMのAnti-cortisol antibody溶液を1×PBS153NMバッファーを用いて希釈し、50μLの各濃度の溶液(最終濃度 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6μM)となるように調製し、25℃で1時間インキュベートした。続いて、14μMの色素溶液を20μLずつ添加し(最終濃度4μM)、25℃で2時間インキュベートした(計70μL)(図7)。
1−4.測定溶液の調製(Hydrocortisoneと色素の競合実験)
35μMのAnti-cortisol抗体8μLを1×PBS153NMバッファーを用いて希釈し(最終濃度 4μM)、25℃で1時間インキュベートした。続いて、Hydrocortisone溶液を0, 2, 4, 8, 12, 16μLずつ添加し(最終濃度 0, 1, 2, 4, 6, 8μM)、25℃で2時間インキュベーションした。最後に、14μMの色素溶液を20μLずつ添加し(最終濃度4μM)、25℃で2時間インキュベートした(計70μL) (図7)。
2.用いた試薬
ThT誘導体(ThT-P42, ThT-P42H)
Anti-Cortisol antibody [XM210] アブカム株式会社,東京,日本
Hydrocortisone 東京化成工業株式会社,東京,日本
5×PBS153NM
50 mM HPO4 2-, 730 mM Cl-, 765 mM Na+, 13.5 mM K+, 12.5 mM Mg2+ (pH 7.4)
1×PBS153NM
10 mM HPO4 2-, 146 mM Cl-, 153 mM Na+, 2.7 mM K+, 2.5 mM Mg2+ (pH 7.4)
3.蛍光およびUV-visスペクトル測定
2.で調製した溶液を用いて蛍光スペクトル測定した。蛍光分光光度計(LS-55)を用いて 25℃の条件のもと励起波長を440nmとし、450〜650nmの波長範囲で測定した。モニター波長は500 nmとした。
2.で調製した溶液をUV-visスペクトル測定した。紫外可視分光度計(UV -2700 )を用いて25℃の条件のもと200〜650nmの波長範囲で測定した。
4.結果
ThT誘導体であるThT-P42HはPEG鎖を有するThT-P42の末端にHydrocortisone誘導体を結合させた色素である。ThTは励起状態における立体配置によって蛍光強度が変わる特徴を有し、遊離の状態ではほとんど蛍光を発しない(蛍光量子収率Φ<0.001)が、標的に結合すると強い蛍光を発することが知られる(Φ=0.3〜0.8)。よって、ThTのN3位にリンカーを介してリガンドを結合することで、リガンド分子が標的へ結合したときに強い蛍光を発することが期待される。したがって、リガンド分子として抗原であるHydrocortisoneの誘導体を有するThT-P42Hは抗体であるAnti-cortisol抗体に添加すると蛍光を発するはずである。また、HydrocortisoneとAnti-cortisol抗体が結合している場合、ThT-P42Hを添加すると競合阻害が起こり、Anti-cortisol抗体に結合できず、蛍光強度が減少するはずである(図8)。
はじめにThT-P42およびThT-P42HをAnti-cortisol抗体に添加するとThT-P42Hのみ蛍光強度の増大が確認された。一方で、ThT-P42HはThT-P42と同様にAnti-cortisol抗体が0μMのときにほとんど蛍光を発しないことが分かった(図9)。したがって、ThT-P42Hはバックグラウンドが低い色素であることが示唆された。
ThT-P42Hのモニター波長における蛍光強度はAnti-cortisol抗体の濃度に対して飽和曲線を描くことが分かった(図9)。
この時のUV-Vis吸収スペクトルではThT-P42Hのみ極大吸収波長のレッドシフトが確認されたが、そのシフトは小さい(図10)。したがって、ThT-P42Hは標的であるAnti-cortisol抗体に結合したが、ThT骨格のπ共役系の拡大が少なかったために低い蛍光強度が観測されたことが示唆された。
続いてHydrocortisoneをAnti-cortisol抗体に添加し、後にThT-P42およびThT-P42Hを添加するとThT-P42Hのみ蛍光強度の減少が確認された。つまり、HydrocortisoneがAnti-corti
sol抗体結合していることで、遊離したThT-P42Hの量が増え、蛍光強度が減少したと考えられる(図11)。すなわち、前の実験でThT-P42HとAnti-cortisol抗体が結合していたことが実証された。
ThT-P42Hのモニター波長における蛍光強度はHydrocortisoneの濃度に対して減衰曲線を描くことが分かった。
この時のUV-Vis吸収スペクトルはThT-P42Hの極大吸収波長のブルーシフトがわずかに確認された(図12)。したがって、ThT-P42Hの代わりにHydrocortisoneが標的であるAnti-cortisol抗体に結合することでThT骨格上のπ共役系が縮小することが示唆された。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物又はその塩。
    Figure 0006892071

    、R、Rはそれぞれ独立して炭素数1〜5の炭化水素基を示し、
    Lは主鎖の長さが原子数2〜45であるリンカー鎖であって、複数の−CH 2 −が独立し
    て、−NH−、−NY−(Yは、炭素数1〜5の炭化水素基であり、直鎖でも分岐鎖でもよいし、飽和でも不飽和でもよい。)、−O−、−CO−、−SO 2 −またはアリーレン
    基で置換されているアルキレン基である、リンカー鎖を示し、
    Xは下記のd−デスチオビオチン残基またはヒドロコルチゾン 3−(O−カルボキシメ
    チル)オキシム残基を示す(*はリンカーとの結合部を示す)
    Figure 0006892071
  2. 請求項1に記載の化合物又はその塩を含む、標的分子の検出剤であって、Xがデスチオビオチン残基のときは標的分子はアビジンであり、Xがヒドロコルチゾン 3−(O−カル
    ボキシメチル)オキシム残基のときは標的分子はヒドロコルチゾンに対する抗体である、標的分子の検出剤
  3. 請求項1に記載の化合物又はその塩を被検試料に添加し、蛍光強度を測定することを特徴とする、被検試料中の標的分子の検出方法であって、Xがデスチオビオチン残基のときは標的分子はアビジンであり、Xがヒドロコルチゾン 3−(O−カルボキシメチル)オキ
    シム残基のときは標的分子はヒドロコルチゾンに対する抗体である、標的分子の検出方法
  4. 請求項1に記載の化合物と、標的分子を共存させ、ここに被検化合物を添加して蛍光強度を測定し、請求項1に記載の化合物と標的分子の結合を変化させる化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の化合物と、標的分子の結合を変化させる化合物のスクリーニング方法であって、Xがデスチオビオチン残基のときは標的分子はアビジンであり、Xがヒドロコルチゾン 3−(O−カルボキシメチル)オキシム残基のときは、標的分子
    はヒドロコルチゾンに対する抗体である、スクリーニング方法
  5. 下記いずれかの化合物。
    Figure 0006892071

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