以下、添付図面を参照して、本願の開示する衛生洗浄装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(第1の実施形態)
<1.衛生洗浄装置の構成>
図1は、第1の実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を模式的に示す斜視図である。なお、図1には、説明を分かり易くするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする3次元の直交座標系を図示している。
図1に示すように、トイレ装置1は、洋式大便器(以下「便器」と記載する)10と、衛生洗浄装置20とを備え、トイレ室内に設置される。便器10は、貯水タンク11に貯留された水で洗浄を行うロータンク式であるが、これに限定されるものではなく、たとえばフラッシュバルブ式であってもよい。また、図1に示す例では、床置き式の便器10を示したが、これに限られず、壁掛け式などであってもよい。
衛生洗浄装置20は、便器10の上部に設けられる。衛生洗浄装置20は、本体部30と、便蓋300と、図示しない便座とを備える。便蓋300および便座はともに、開閉可能なように本体部30に取り付けられる。
本体部30は、ケース31と、ノズル40とを備える。ケース31は、ノズル40などを収納する。
図2は、ノズル40を含む衛生洗浄装置20の構成の一例を示す説明図である。図2に示すように、ノズル40は、水を使用者の局部等へ吐出する複数の吐出口41を有する。ここでは、3つの吐出口41を備えるノズル40の例を示すが、ノズル40が備える吐出口41の数は、1つまたは2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。なお、本明細書において、「水」なる表現は、必ずしも冷水の意味ではなく、温水を含む意味で使用する場合がある。
ノズル40は、ケース31(図1参照)に対して進退可能に構成される。詳しくは、たとえば、ノズル40には、図示しないモータなどの駆動源が接続される。ノズル40は、駆動源の駆動により、便器10のボウル内へ進出した位置と、ケース31内に後退して格納される位置との間で進退させられる。ノズル40は、進出した位置で水を使用者の身体へ吐出させて局部を洗浄する。
衛生洗浄装置20はさらに、給水路50と、瞬間式熱交換器(以下、単に「熱交換器」と記載する)70と、逆流防止機構90と、制御部200と、操作部220とを備える。なお、ノズル40、給水路50、熱交換器70、逆流防止機構90および制御部200は、ケース31内に配置される。
給水路50は、給水源である水道管Aからの水をノズル40へ供給する。具体的には、給水路50は、上流側給水路51と、下流側給水路52とを備える。上流側給水路51は、水道管Aから逆流防止機構90までの流路であり、下流側給水路52は、逆流防止機構90からノズル40までの流路である。
上流側給水路51の中途部には、上流側(すなわち水道管A側)から順に、ストレーナ61、電磁弁62および定流量弁63が設けられる。
ストレーナ61は、水道管Aから供給される水に混入したゴミなどの異物を除去する。電磁弁62は、非通電時に閉状態となるノーマルクローズ式のバルブであり、制御部200からの制御信号に応じて上流側給水路51を開閉する。定流量弁63は、水道管Aから流入された水を、所定の流量以下に調整して流出させる。
下流側給水路52の中途部には、上流側(すなわち逆流防止機構90側)から順に、ポンプ64、熱交換器70、ストレーナ65、バキュームブレーカ66、切替弁67が設けられる。
ポンプ64は、制御部200からの制御信号に応じて駆動し、逆流防止機構90のタンク91に貯留された水をノズル40へ供給する。
熱交換器70は、ヒータ等の発熱体71を備え、下流側給水路52を流れる水をその流速を保ったまま設定された温度に加熱する。
ストレーナ65は、下流側給水路52を流れる水を濾過する。たとえば、ストレーナ65は、下流側給水路52を流れる水に含まれるスケールなどの異物を除去する。
バキュームブレーカ66は、たとえば下流側給水路52に負圧が生じた場合に、逆流する水を大気開放経路661へ流すことで、ノズル40から熱交換器70等への逆流を防止する。
切替弁67は、制御部200からの制御信号に応じて駆動し、下流側給水路52を流れる水の流出先を切り替える。たとえば、下流側給水路52を流れる水は、切替弁67によって、その流出先をノズル40が備える複数の吐出口41のいずれかに切り替えられる。また、切替弁67には、機能水を生成する電解槽ユニット68が接続されており、下流側給水路52を流れる水は、切替弁67によって、その流出先を電解槽ユニット68に切り替えられる。
電解槽ユニット68は、その内部に陽極板および陰極板を有し、制御部200からの制御信号に応じて駆動して内部を流れる水を電気分解することによって次亜塩素酸を含む水を機能水として生成する。電解槽ユニット68は、生成した機能水を噴霧ノズル681またはアルカリ性水排出路682に流出させる。電解槽ユニット68の内部には、機能水の流出先を噴霧ノズル681とアルカリ性水排出路682との間で切り替える切替弁が設けられる。
なお、電解槽ユニット68は、必ずしも噴霧ノズル681およびアルカリ性水排出路682の両方を備えたものであることを要さず、たとえば噴霧ノズル681のみを備える構成であってもよい。この場合、機能水の流出先を噴霧ノズル681とアルカリ性水排出路682との間で切り替える切替弁は不要である。
逆流防止機構90は、給水路50に設けられたタンク91と、上流側給水路51に連通し、タンク91の内部に水を流入させる入水口92と、下流側給水路52に連通し、タンク91の内部の水を下流側給水路52へ流出させる流出口93とを備える。また、逆流防止機構90は、入水口92との間にエアギャップを形成するように設けられ、タンク91の内部の余剰水を排出するオーバーフロー口94と、タンク91の内部の水位を検知するフロートスイッチ95(水位検知部の一例)とを備える。
定流量弁63を通過した水は、入水口92からタンク91の内部に流入する。流入した水はタンク91の内部に貯留されるが、その水位が満水位H1を超えると、オーバーフロー口94からタンク91の外部(便器10)へ余剰水として流出する。
オーバーフロー口94は、入水口92よりも低い位置に設けられる。したがって、入水口92とオーバーフロー口94との間には大気開放した空間(エアギャップ)が形成される。これにより、タンク91の水位が上昇しても、タンク91の内部に貯留されている水が入水口92に到達するより前にオーバーフロー口94からタンク91の外部へ排出されることとなる。このため、タンク91から上流への汚水の逆流を防止することができる。
フロートスイッチ95は、タンク91の内部に配置され、タンク91内の水位の変動に伴ってフロートが上下動することでON/OFFを行うスイッチである。具体的には、フロートスイッチ95は、タンク91の内部の水位が所定の高水位以上である場合に、制御部200に対してON信号を出力する。また、フロートスイッチ95は、タンク91の内部の水位が所定の低水位以下である場合に、制御部200に対してOFF信号を出力する。「高水位」は、満水位H1の半分よりも高い所定の水位であり、「低水位」は、満水位H1の半分よりも低い所定の水位である。本実施形態において、「高水位」は満水位H1に設定されるものとし、「低水位」は、空水位、すなわち、流出口93から排出可能な全ての水がタンク91の内部から排出された状態におけるタンク91内の水位に設定されるものとする。ただし、これに限らず、「高水位」は満水位H1未満の水位に設定されてもよいし、「低水位」は空水位よりも高い水位に設定されてもよい。
なお、フロートスイッチ95は、上述した構成に限定されない。たとえば、フロートスイッチ95は、タンク91の内部の水位が高水位以上である場合にON信号を出力する第1のスイッチと、タンク91の内部の水位が低水位以下である場合にON信号を出力する第2のスイッチとを備える構成であってもよい。この場合、制御部200は、第1のスイッチからON信号が出力され且つ第2のスイッチからOFF信号が出力されている場合に「高水位」を検出し、第2のスイッチからON信号が出力され且つ第1のスイッチからOFF信号が出力されている場合に「低水位」を検出することができる。また、制御部200は、第1のスイッチおよび第2のスイッチの両方からOFF信号が出力されている場合に、「高水位」でも「低水位」でもないことを検出することができる。
操作部220は、人体の洗浄を開始する開始指示や洗浄を停止する停止指示が使用者によって入力される操作ボタンや操作ツマミなどを備え、トイレ室の適宜位置に設けられる。操作部220は、使用者から操作ボタン等を介して入力された開始指示等を示す信号を出力する。なお、操作部220としては、たとえばリモートコントローラを用いることができるが、これに限られず、本体部30に取り付けるものであってもよい。
フロートスイッチ95や操作部220から出力される各種の信号は、制御部200に入力される。制御部200は、衛生洗浄装置20全体を制御し、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などの図示しない演算処理装置や、RAM(Random Access Memory)などの図示しない記憶装置を備える。
制御部200は、入力される各種の信号に基づいて電磁弁62、発熱体71、ポンプ64、ノズル40および電解槽ユニット68などを制御する処理を行う。
ところで、欧州などの硬水を使用する地域では、カルシウム等のミネラル分が析出して給水路50に堆積することで、給水路50を閉塞させるおそれがある。また、給水路50だけでなく、タンク91、ストレーナ65、バキュームブレーカ66、ノズル40、噴霧ノズル681等にも析出物(スケール)が堆積してこれらを閉塞させるおそれがある。
このため、本実施形態に係る衛生洗浄装置20は、タンク91およびタンク91よりも下流側に堆積したスケールをクエン酸等の酸性溶液を用いて除去するスケール除去処理を実行する。
スケール除去処理は、タンク91に貯留された酸性溶液を下流側給水路52に供給することによって下流側給水路52およびノズル40等に酸性溶液を充填し、下流側給水路52およびノズル40等に堆積したスケールを酸性溶液で溶かす。その後、下流側給水路52およびノズル40等に水を供給することにより、スケールの溶解物および酸性溶液を水とともに排出する。これにより、下流側給水路52およびノズル40等からスケールが除去される。
なお、かかるスケール除去処理は、使用者の操作部220への操作に応じて操作部220から出力されるスケール除去モードへの移行指示に従って実行される。
また、衛生洗浄装置20は、使用者によって投入された酸性溶液をタンク91に供給する溶液投入部を備える。
ここで、タンク91に酸性溶液を投入する際、酸性溶液の液跳ねが生じることによって、タンク91の周辺に配置された周辺部材に酸性溶液が付着するおそれがある。特に、逆流防止機構90のタンク91は、貯湯式の衛生洗浄装置が備える貯湯タンクと比べて容量が非常に小さく、液跳ねが生じた場合に、液跳ねした酸性溶液がタンク91の外部へ飛散しやすいため、周辺部材に酸性溶液が付着し易い。周辺部材に酸性溶液が付着すると、周辺部材が劣化してしまうおそれがあるため、酸性溶液の液跳ねを生じさせないようにすることが望ましい。
そこで、本実施形態に係る衛生洗浄装置20では、溶液投入部の形状を工夫することで、酸性溶液の液跳ねを抑制して周辺部材への酸性溶液の付着を抑制することとした。
また、タンク91に酸性溶液を投入する際、タンク91の満水位H1を超える量の酸性溶液がタンク91に投入されると、酸性溶液がタンク91のオーバーフロー口94から溢れ出して周辺部材に付着するおそれがある。上述したようにタンク91の容量は小さいため、たとえばタンク91内の水位が満水位H1に近い状態でタンク91に酸性溶液が投入されることで、酸性溶液が容易にオーバーフロー口94から溢れ出るおそれがある。
そこで、本実施形態に係る衛生洗浄装置20では、スケール除去モードへの移行指示を受け付けた場合に、タンク91の内部の水を排出する排出処理を行った後で、スケール除去処理を実行することで、酸性溶液のオーバーフロー口94からの漏洩を抑制して周辺部材への酸性溶液の付着を抑制することとした。
<2.溶液投入部の構成>
以下、溶液投入部の構成およびスケール除去処理の内容について図3以降を参照して具体的に説明する。まず、溶液投入部の構成について図3〜図7を参照して説明する。図3は、逆流防止機構90および溶液投入部の斜視図である。また、図4は、逆流防止機構90および溶液投入部を衛生洗浄装置20の背面側から見た場合の模式断面図である。
なお、本明細書において「水平」や「鉛直」などの語句は、必ずしも数学的に厳密な精度を必要とするものではなく実質的な公差や誤差などについては許容されるものである。
図3に示すように、溶液投入部100は、本体部101と漏斗部102とを備える。図4に示すように、本体部101は、衛生洗浄装置20のケース31の内部に設けられ、漏斗部102は、ケース31の外部に設けられる。具体的には、ケース31の上面には凹部311が形成されており、かかる凹部311の底面に本体部101の上流側開口部111が固定されている。
通常時において、ケース31の凹部311には、図示しない蓋体が取り付けられており、本体部101の上流側開口部111にゴミ等の異物が入り込まないようになっている。タンク91に酸性溶液を投入する場合には、図示しない蓋体を取り外し、本体部101の上流側開口部111に漏斗部102を取り付けた状態とする。
漏斗部102は、使用者によって酸性溶液が投入される投入口121を有する。かかる漏斗部102は、投入口121よりも下流側から投入口121に向かって開口面積が拡大するいわゆる漏斗形状を有する。
このように、溶液投入部100は、漏斗部102を備えることにより、使用者によって短時間に多量の酸性溶液が投入された場合であっても、本体部101が流しきれない酸性溶液を漏斗部102にいったん溜めることができる。このため、溶液投入部100から酸性溶液が溢れ出ることを抑制することができる。また、投入口121の開口面積を広くすることで、使用者による酸性溶液の投入を容易化することができる。
また、本実施形態に係る溶液投入部100は、漏斗部102が本体部101に対して(言い換えれば、ケース31に対して)着脱可能である。このため、本体部30の大型化を抑えつつ、使用者による酸性溶液の投入を容易化することができる。
漏斗部102の投入口121から使用者によって投入された酸性溶液は、本体部101の上流側開口部111から本体部101の内部に流入し、本体部101の下流側開口部112(入液口の一例)から本体部101の外部に流出する。タンク91の上部には、上部開口911が形成されており、本体部101の下流側開口部112から流出した酸性溶液は、かかる上部開口911を介してタンク91の内部に供給される。
なお、溶液投入部100は、必ずしも漏斗部102を備えることを要さず、本体部101の上流側開口部111が酸性溶液の投入口であってもよい。投入口としての上流側開口部111は、漏斗状に形成されてもよい。このように構成することで、漏斗部102を備える場合と同様の効果を得ることができる。
図5は、溶液投入部100の本体部101の斜視図であり、図6は、溶液投入部100の本体部101をA矢視から見た図である。また、図7は、図6におけるBB線断面図である。
図5に示すように、溶液投入部100の本体部101は、上流側開口部111と、下流側開口部112と、給液路113とを備える。上流側開口部111は、上方に向けて開口し、下流側開口部112は、水平方向に開口する。下流側開口部112の下面には、切欠部112aが形成されており、上流側開口部111から本体部101の内部に流入した酸性溶液は、下流側開口部112の切欠部112aからタンク91へ向けて落下する。
給液路113は、本体部101の内部に形成され、上流側開口部111と下流側開口部112とを連通し、上流側開口部111から流入した酸性溶液を下流側開口部112へ向けて流通させる。
図6および図7に示すように、給液路113は、第1延在部分113aと、第2延在部分113bとを備える。第1延在部分113aは、鉛直方向に延在する部分であり、上流側において上流側開口部111に連通し、下流側において第2延在部分113bに連通する。第2延在部分113bは、上流側から下流側に向かって広がりながら、水平方向に延在する部分であり、上流側において第1延在部分113aに連通し、下流側において下流側開口部112に連通する。
図6に示すように、第2延在部分113bの水平方向における流路幅は、上流側端部(紙面奥側)から下流側開口部112に向かうにつれてW1からW2(>W1)に拡大する。また、図6および図7に示すように、第2延在部分113bの鉛直方向における流路幅も、上流側端部から下流側開口部112に向かうにつれてW3からW4(>W3)に拡大する。
このように、本実施形態に係る溶液投入部100の給液路113は、下流側開口部112に向かって流路断面積が拡大する拡大部を備える。
給液路113の流路断面積を下流側開口部112に向かって拡大させることで、給液路113の流路断面積を一定とした場合と比較して、給液路113を流れる酸性溶液の流速を低下させることができる。これにより、下流側開口部112から流出する酸性溶液の流速が低下し、着液時の衝撃を小さくなることで、酸性溶液がタンク91内の液面に落下する際の液跳ねが抑制され、酸性溶液の液跳ねによる周辺部材への酸性溶液の付着が抑制される。
また、給液路113のうち、水平方向に延在する第2延在部分113bに拡大部を設けることで、給液路113を流れる酸性溶液の流速を効率よく低下させることができる。
また、拡大部である第2延在部分113bは、鉛直方向の流路幅および水平方向の流路幅の両方が下流側開口部112に向かうにつれて拡大するように形成される。このように、鉛直方向の流路幅だけでなく、水平方向の流路幅も拡大させることで、鉛直方向の流路幅のみを拡大させる場合と比べ、溶液投入部100の高さ寸法を低く抑えることができる。したがって、衛生洗浄装置20の高さ寸法の増大を抑制することができる。
しかも、溶液投入部100の第2延在部分113bは、鉛直方向の流路幅よりも水平方向における流路幅の方が大きい、いわゆる扁平形状を有する。かかる形状とすることで、溶液投入部100の高さ寸法をさらに低く抑えることができ、衛生洗浄装置20の高さ寸法の増大をさらに抑制することができる。
また、溶液投入部100は、下流側開口部112の下面に形成された切欠部112aから酸性溶液をタンク91へ向けて落下させる。これにより、下流側開口部112に切欠部112aを設けない場合と比較して、下流側開口部112からタンク91外へ飛散する酸性溶液の量を少なくすることができる。したがって、周辺部材への酸性溶液の付着をさらに抑制することができる。
また、図7に示すように、第1延在部分113aとの接続部分における第2延在部分113bの鉛直方向の流路幅W5は、第1延在部分113aの流路幅W0よりも小さく形成される。これにより、第1延在部分113aから第2延在部分113bに流出する酸性溶液の勢いを弱めることができる。したがって、周辺部材への酸性溶液の付着をさらに抑制することができる。
<3.溶液投入部からタンクへの酸性溶液の投入位置について>
次に、溶液投入部100からタンク91への酸性溶液の投入位置について図8および図9を参照して説明する。図8は、逆流防止機構90および溶液投入部100の平面図であり、図9は、図8におけるCC線断面図である。
図8および図9に示すように、溶液投入部100は、入水口92から流出した水がタンク91に落下する落下位置P1よりもオーバーフロー口94から遠い位置である落下位置P2に酸性溶液を落下させる。
具体的には、入水口92は、水道管A(図2参照)から供給された水を水平方向に吐出する。入水口92から吐出された水は、入水口92と一定の間隔を開けて対向するタンク91の対向面912に衝突した後、タンク91の内部へ向けて落下する。
一方、溶液投入部100は、使用者によって投入された酸性溶液を下流側開口部112の切欠部112aからタンク91の内部へ向けて落下させるが、この落下位置P2が落下位置P1よりもオーバーフロー口94から遠くなるように下流側開口部112が位置決めされている。言い換えれば、平面視において、溶液投入部100の下流側開口部112は、タンク91の対向面912よりもオーバーフロー口94から遠い位置に配置される。
このように、オーバーフロー口94からできるだけ遠い位置に酸性溶液を落下させるようにすることで、オーバーフロー口94の近くに酸性溶液を落下させた場合と比較して、タンク91内に供給した酸性溶液をオーバーフロー口94からタンク91外へ排出させにくくすることができる。これにより、たとえばタンク91内に水が残存している場合に、タンク91の容量を超える量の酸性溶液が投入されたとしても、酸性溶液よりも先に水がオーバーフロー口94から排出されるようになるため、酸性溶液の無駄な消費を抑えることができる。また、酸性溶液がオーバーフロー口94から排出されにくくなることで、オーバーフロー口94から溢れ出た酸性溶液の周辺部材への付着を抑制することもできる。
また、図8および図9に示すように、溶液投入部100は、入水口92から流出した水がタンク91に落下する落下位置P1よりも流出口93から遠い位置に酸性溶液を落下させる。すなわち、酸性溶液の落下位置P2が水の落下位置P1よりも流出口93から遠い位置となるように下流側開口部112が位置決めされる。言い換えれば、平面視において、溶液投入部100の下流側開口部112は、タンク91の対向面912よりも流出口93から遠い位置に配置される。
このように、酸性溶液を流出口93からできるだけ遠い位置に落下させるようにすることで、酸性溶液を流出口93の近くに落下させた場合と比較して、タンク91内に水が残存している場合におけるスケール除去効率の低下を抑えることができる。
具体的には、スケール除去処理において、タンク91内の酸性溶液を下流側給水路52やノズル40等に供給する際に、余分な酸性溶液がノズル40から便器10へ排出されることがある。ノズル40から排出される酸性溶液は、スケール除去処理の開始直後に流出口93によってタンク91から吸い出される酸性溶液、つまり、流出口93の近くに存在する酸性溶液である。仮にタンク91内に水が残存している場合に、酸性溶液を流出口93の近くに落下させたとすると、タンク91内に残存している水が流出口93から遠い位置に追い出され、流出口93の近くに酸性溶液が存在した状態となる。この結果、水よりも先に酸性溶液が流出口93から吸い出されてノズル40から無駄に排出される可能性がある。
これに対し、酸性溶液を流出口93から遠い位置に落下させた場合には、酸性溶液よりも先に水が流出口93から吸い出されてノズル40から排出されることとなるため、酸性溶液の無駄な消費を抑えることができる。また、タンク91内に残存する水によって希釈されていない濃度の高い(所望の濃度から極力下がっていない)酸性溶液を下流側給水路52やノズル40等に供給することができる。したがって、タンク91内に水が残存している場合におけるスケール除去効率の低下を抑えることができる。
また、酸性溶液を流出口93から遠い位置に落下させることで、タンク91内の隅々に酸性溶液を行き渡らせることができる。このため、タンク91の内部に堆積したスケールを効率よく除去することができる。
なお、図9に示すように、タンク91は、第1貯留部913と、第1貯留部913に連通し、且つ、第1貯留部913よりも深い第2貯留部914とを備え、流出口93、オーバーフロー口94およびフロートスイッチ95(図示せず)は、第2貯留部914に配置される。また、第1貯留部913の上部に上部開口911(図3参照)が設けられており、溶液投入部100は、第1貯留部913に酸性溶液を落下させる。
流出口93は、第1貯留部913の底面よりも低い位置、具体的には、第2貯留部914の底面近傍に配置される。ただし、流出口93と第2貯留部914の底面との間には僅かに隙間が設けられるため、流出口93よりも低い位置に水または酸性溶液が残存する可能性がある。このときのタンク91内の水位が空水位H2であり、フロートスイッチ95は、タンク91の満水位H1と空水位H2とを検知する。
なお、逆流防止機構90は水平式逆流防止機構であるため、垂直方向に水を吐出する垂直式逆流防止機構である場合と比べて、衛生洗浄装置20の小型化を図ることができる。また、逆流防止機構90は、タンク91と一体的に形成されるため、衛生洗浄装置20の小型化をより一層図ることができる。
<4.スケール除去処理について>
次に、スケール除去処理の具体的な動作について図10および図11を参照して説明する。図10は、スケール除去モードにおける処理手順を示すフローチャートである。図11は、スケール除去処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図10および図11に示す処理は、衛生洗浄装置20が備えるポンプ64、切替弁67、ノズル40等を制御部200が制御することによって実行される。
図10に示すように、制御部200は、スケール除去モードへの移行指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、制御部200は、操作部220から出力されるスケール除去モードへの移行指示を受信した場合に、スケール除去モードへの移行指示を受け付けたと判定する。
制御部200は、スケール除去モードへの移行指示を受け付けるまで、ステップS101の判定処理を繰り返す(ステップS101,No)。一方、ステップS101においてスケール除去モードへの移行指示を受け付けたと判定した場合(ステップS101,Yes)、制御部200は、スケール除去処理に先立ち、排水処理を実行する(ステップS102)。
排水処理は、タンク91の内部の水を排出する処理である。具体的には、制御部200は、ポンプ64を駆動させてタンク91内の水をノズル40から排出する。制御部200は、たとえば、排水処理を開始してから予め決められた時間が経過したときに排水処理を終了する。あるいは、制御部200は、フロートスイッチ95によって空水位H2が検知されたときに排水処理を終了する。
その後、制御部200は、スケール除去処理を開始する(ステップS103)。具体的には、図11に示すように、制御部200は、酸性溶液の1回目の投入が完了したか否かを判定する(ステップS201)。具体的は、制御部200は、操作部220から出力される投入完了通知を受信した場合に、酸性溶液の1回目の投入が完了したと判定する。投入完了通知は、使用者が、酸性溶液を溶液投入部100の漏斗部102へ投入した後、操作部220を操作することによって操作部220から制御部200へ送信される。
制御部200は、投入完了通知を受信するまで、ステップS201の判定処理を繰り返す(ステップS201,No)。一方、ステップS201において投入完了通知を受信したと判定した場合(ステップS201,Yes)、制御部200は、ポンプ64を駆動させることにより、タンク91の内部に貯留された酸性溶液をタンク91から吸い出して下流側給水路52やノズル40等に充填する(ステップS202)。制御部200は、ポンプ64の駆動を開始させてから予め決められた時間が経過したとき、または、フロートスイッチ95によって空水位H2が検知されたときに、ステップS202の処理を終了する。
ステップS202において、制御部200は、切替弁67を駆動させて酸性溶液の流出先を切り替えることにより、切替弁67よりも下流側の各流路、具体的には、ノズル40の各吐出口41への流路、噴霧ノズル681への流路、アルカリ性水排出路682に酸性溶液を充填させる。ただし、タンク91の容量は小さいため、タンク91に対して1回の投入動作によってタンク91に投入される酸性溶液だけでは、下流側給水路52およびノズル40等の全てに酸性溶液を行き渡らせることができない。そこで、本実施形態に係る衛生洗浄装置20では、タンク91内への酸性溶液の投入を2回行うことで、下流側給水路52およびノズル40等の全てに酸性溶液を行き渡らせることとしている。
つづいて、制御部200は、酸性溶液の2回目の投入が完了したか否かを判定する(ステップS203)。具体的には、制御部200は、操作部220から出力される投入完了通知を再度受信した場合に、酸性溶液の2回目の投入が完了したと判定する。制御部200は、投入完了通知を受信するまで、ステップS203の判定処理を繰り返す(ステップS203,No)。
ステップS203において2回目の投入完了通知を受信したと判定した場合(ステップS203,Yes)、制御部200は、ポンプ64を再度駆動させることにより、タンク91の内部に貯留された酸性溶液をタンク91から吸い出して下流側給水路52やノズル40等に充填する(ステップS204)。これにより、下流側給水路52およびノズル40等の全てに酸性溶液が充填される。制御部200は、ポンプ64の駆動を開始させてから予め決められた時間が経過したとき、または、フロートスイッチ95によって空水位H2が検知されたときに、ステップS204の処理を終了する。
このように、制御部200は、スケール除去処理において、流出口93から排出可能な全ての酸性溶液を下流側給水路52およびノズル40等に供給する動作を複数回行うことにより、タンク91に貯留された酸性溶液で下流側給水路52およびノズル40を満たすこととした。これにより、タンク91の容量が小さい場合であっても、下流側給水路52およびノズル40等の全てに酸性溶液を充填させることができる。
なお、ここでは、酸性溶液の充填処理を2回行うこととしたが、充填処理の回数は、タンク91の容量と、下流側給水路52およびノズル40等を満たすのに必要な酸性溶液の量とに基づいて決定されるものであり、2回に限定されない。
つづいて、制御部200は、下流側給水路52およびノズル40等の全てを酸性溶液で満たした状態で所定時間待機する(ステップS205)。これにより、下流側給水路52およびノズル40等の内部に堆積したスケールが酸性溶液によって溶解される。また、タンク91の内部に堆積したスケールも酸性溶液によって溶解される。
その後、制御部200は、ポンプ64を再び駆動させてタンク91内の酸性溶液をノズル40から排出する(ステップS206)。また、制御部200は、ポンプ64を駆動させた状態で、電磁弁62を駆動させることによって、タンク91の内部に水を供給するとともに、タンク91内の水をノズル40、噴霧ノズル681およびアルカリ性水排出路682から排出する処理を行う。これにより、タンク91、下流側給水路52およびノズル40等に残存する酸性溶液が水に置換される。ステップS206の処理を終えると、制御部200は、スケール除去処理を終えるとともに、スケール除去モードを終了する。
このように、本実施形態に係る衛生洗浄装置20では、スケール除去モードへの移行指示を受け付けた場合に、スケール除去処理の実行前に、タンク91の内部の水を排出する排水処理を行うこととした。
使用者は、たとえば説明書を読んだり、操作部220に表示される情報を閲覧したりすることにより、タンク91に投入すべき酸性溶液の適正量を知ることができる。しかしながら、使用者は、タンク91の内部に貯留されている水の量を知ることはできない。このため、使用者によって適正量の酸性溶液がタンク91に投入されたとしても、タンク91の内部に貯留されている水の量によっては、酸性溶液がオーバーフロー口94から溢れ出てしまうおそれがある。
これに対し、本実施形態に係る衛生洗浄装置20では、スケール除去モードへの移行指示を受け付けた場合に、排水処理を行ってタンク91の内部の水を排出することで、酸性溶液のオーバーフロー口94からの漏洩を抑制することができる。したがって、本実施形態に係る衛生洗浄装置20によれば、タンク91の周辺に配置される周辺部材に酸性溶液が付着することを抑制することが可能である。
また、制御部200は、排水処理を行うことにより、流出口93から排出可能な全ての水をタンク91の内部から排出することとした。言い換えれば、制御部200は、排水処理を行うことにより、タンク91内の水位を空水位H2にすることとした。これにより、タンク91の内部により多くの酸性溶液を貯留することができる。また、タンク91内に残存する水によって酸性溶液が希釈されることを防止することができる。
なお、ここでは、排水処理において、タンク91内の水位を空水位H2にすることとしたが、排水処理後の水位は必ずしも空水位H2であることを要しない。たとえば、制御部200は、排水処理を行うことにより、タンク91の内部の水位を空水位H2よりも高く且つ満水位H1よりも低い予め決められた水位にしてもよい。これによっても、排水処理を行わない場合と比較して、オーバーフロー口94からの酸性溶液の漏洩や残存する水による酸性溶液の希釈を抑制することが可能である。また、たとえば、タンク91内に予め決められた量の水を残しつつ、使用者に酸性溶液の原液を投入させるようにすることで、使用者の手を煩わせることなく、タンク91内で酸性溶液を所望の濃度に希釈することも可能である。
ところで、使用者によって投入された酸性溶液の量が適正量を超えている場合、スケール除去処理前に排水処理を行ったとしても、オーバーフロー口94から酸性溶液が溢れ出すおそれがある。そこで、衛生洗浄装置20では、オーバーフロー口94から酸性溶液が溢れ出すことをより確実に抑制するための排液処理を行うこととしている。
かかる排液処理の内容について図12を参照して説明する。図12は、排液処理の処理手順を示すフローチャートである。
なお、酸性溶液は、スケール除去モード時以外にも誤って投入される可能性がある。このため、排液処理は、スケール除去モード中であるか否かにかかわらず実行される。
図12に示すように、制御部200は、フロートスイッチ95によって満水位H1が検知されたか否かを判定する(ステップS301)。制御部200は、満水位H1が検知されるまで、ステップS301の処理を繰り返す(ステップS301,No)。
ステップS301において満水位H1が検知されたと判定すると(ステップS301,Yes)、制御部200は、ポンプ64を駆動させることにより(ステップS302)、タンク91内の酸性溶液(または水)をノズル40から排出する。
つづいて、制御部200は、満水位H1が解消されたか否か、つまり、フロートスイッチ95よって満水位H1が検知されなくなったか否かを判定する(ステップS303)。
ステップS303において、満水位H1が解消されたと判定すると(ステップS303,Yes)、制御部200は、ポンプ64を停止させて(ステップS304)、排液処理を終了する。
一方、ステップS303において満水位H1が解消されない場合(ステップS303,No)、制御部200は、ポンプ64の駆動時間が閾値を超えたか否かを判定し(ステップS305)、超えていない場合には(ステップS305,No)、処理をステップS303へ戻す。
ステップS305においてポンプ64の駆動時間が閾値を超えたと判定した場合(ステップS305,Yes)、制御部200は、上述したスケール除去処理を開始して(ステップS103)、排液処理を終了する。
このように、制御部200は、フロートスイッチ95よって満水位H1が検知された場合に、タンク91の内部の酸性溶液を排出する排液処理を実行することとした。したがって、オーバーフロー口94から酸性溶液が溢れ出すことをより確実に防止することができる。
なお、ここでは、満水位H1が検知された場合に排液処理を実行することとしたが、排液処理は、少なくとも、タンク91の内部の水位が満水位H1の半分の水位よりも高い高水位であることがフロートスイッチ95よって検知された場合に実行されればよい。
また、制御部200は、排液処理においてポンプ64の駆動時間が閾値を超えた場合、つまり、満水位H1の状態が一定時間継続した場合に、スケール除去モードへの移行指示を受け付けたか否かにかかわらずスケール除去処理を実行することとした。これにより、酸性溶液が無駄に排出されることを抑制することができる。
なお、制御部200は、排液処理を実行した場合に、ポンプ64の駆動時間にかかわらず必ずスケール除去処理を実行するようにしてもよい。これにより、タンク91や下流側給水路52の内部に酸性溶液が残存したままの状態となることを防止することができる。
次に、スケール除去モード時における衛生洗浄装置20の動作例について図13を参照して説明する。図13は、スケール除去モード時における衛生洗浄装置20の動作例を示すタイミングチャートである。
なお、図13においては、上から順に、電磁弁62の開閉状態、タンク91の水位、ポンプ64の駆動状態を示している。スケール除去モードへの移行前において、電磁弁62は閉状態、ポンプ64はOFF状態となっている。また、タンク91の内部には、所定量の水が貯留されているものとする。
図13に示すように、スケール除去モードへ移行すると、まず、ポンプ64が駆動し(T1)、タンク91内の水が排出される(排水処理)。その後、タンク91内の水位が空水位H2となると、ポンプ64が停止する(T2)。
つづいて、使用者によってタンク91の内部に酸性溶液が投入され、タンク91内の水位が上昇する。このとき、タンク91内の水位が満水位H1を超えると(T3)、ポンプ64が駆動し、余剰な酸性溶液がタンク91から排出される(排液処理)。その後、タンク91内の水位が満水位H1を下回ると、ポンプ64が停止する(T4)。
つづいて、使用者が操作部220を用いて投入完了通知の送信を行うと、ポンプ64が駆動し(T5)、タンク91の内部の酸性溶液が下流側給水路52やノズル40等に充填される。タンク91の内部の水位が空水位H2となると、ポンプ64が停止する(T6)。
つづいて、使用者によってタンク91の内部に酸性溶液が再度投入され、タンク91内の水位が上昇する。その後、使用者が操作部220を用いて投入完了通知の送信を行うと、ポンプ64が駆動し(T7)、タンク91の内部の酸性溶液が下流側給水路52やノズル40等に充填される。
つづいて、タンク91の内部の水位が、たとえば満水位H1の半分の水位となったとき(T8)、ポンプ64が一旦停止する。そして、一定時間待機した後、ポンプ64が再度駆動し(T9)、タンク91内の酸性溶液が下流側給水路52やノズル40等に再び充填される。その後、タンク91内の水位が空水位H2となると、ポンプ64が停止する(T10)。
つづいて、一定時間待機した後(T11)、電磁弁62が開状態となることでタンク91内に水が供給され、且つ、ポンプ64が駆動することで、タンク91内に供給された水が下流側給水路52およびノズル40等を通って便器10へ排出される。これにより、下流側給水路52およびノズル40等に残存する酸性溶液が排出される。
その後、一定時間経過した後(T12)、電磁弁62が閉状態となり、且つ、ポンプ64が停止して、スケール除去モードが終了する。
上述してきたように、本実施形態に係る衛生洗浄装置20は、ノズル40と、給水路50と、逆流防止機構90と、溶液投入部100とを備える。ノズル40は、使用者の局部へ向けて水を吐出する。給水路50は、ノズル40に水を供給する。逆流防止機構90は、給水路50に設けられたタンク91と、給水路50のうちタンク91より上流側に位置する上流側給水路51に連通し、タンク91の内部に水を流入させる入水口92と、給水路50のうちタンク91より下流側に位置する下流側給水路52に連通し、タンク91の内部の水を下流側給水路52へ流出させる流出口93と、入水口92との間にエアギャップを形成するように設けられ、タンク91の内部の余剰水を排出するオーバーフロー口94とを備える。溶液投入部100は、使用者によって酸性溶液が投入される投入口121と、投入口121から投入された酸性溶液を流通させる給液路113と、給液路113を流れる酸性溶液をタンク91に流入させる下流側開口部112(入液口の一例)とを備える。また、溶液投入部100の給液路113は、下流側開口部112に向かって流路断面積が拡大する拡大部を備える。
また、本実施形態に係る衛生洗浄装置20は、ノズル40と、給水路50と、逆流防止機構90と、溶液投入部100と、制御部200とを備える。ノズル40は、使用者の局部へ向けて水を吐出する。給水路50は、ノズル40に水を供給する。逆流防止機構90は、給水路50に設けられたタンク91と、給水路50のうちタンク91より上流側に位置する上流側給水路51に連通し、タンク91の内部に水を流入させる入水口92と、給水路50のうちタンク91より下流側に位置する下流側給水路52に連通し、タンク91の内部の水を下流側給水路52へ流出させる流出口93と、入水口92との間にエアギャップを形成するように設けられ、タンク91の内部の余剰水を排出するオーバーフロー口94とを備える。溶液投入部100は、使用者によって投入された酸性溶液をタンク91に供給する。制御部200は、スケール除去モードへの移行指示を受け付けた場合に、タンク91に貯留された酸性溶液を下流側給水路52およびノズル40に充填し、その後、下流側給水路52およびノズル40から酸性溶液を排出するスケール除去処理を実行する。また、制御部200は、スケール除去モードへの移行指示を受け付けた場合に、タンク91の内部の水を排出する排水処理を行った後で、スケール除去処理を実行する。
したがって、本実施形態に係る衛生洗浄装置20によれば、酸性溶液を貯留するタンク91の周辺に配置される周辺部材に酸性溶液が付着することを抑制することができる。
上述した実施形態では、スケール除去処理の実行前に排水処理を行うこととした。これに限らず、制御部200は、フロートスイッチ95によってタンク91の内部の水位が満水位H1の半分の水位よりも低い低水位未満であることが検知された場合に、排水処理を行うことなく、スケール除去処理を実行してもよい。たとえば、制御部200は、タンク91の内部の水位が空水位H2であることがフロートスイッチ95によって検知されている場合には、排水処理を省略してもよい。このようにすることで、早期にスケール除去処理を開始することができ、使用者の待ち時間を短縮することができる。
また、上述した実施形態では、タンク91の内部の水位を検知する水位検知部がフロートスイッチ95である場合の例について説明したが、水位検知部は、必ずしもフロートスイッチ95であることを要しない。たとえば、水位検知部は、液面センサ等であってもよい。
(第2の実施形態)
次に、溶液投入部が備える本体部の他の構成例について図14〜図16を参照して説明する。図14は、第2の実施形態に係る溶液投入部の本体部の斜視図であり、図15は、第2の実施形態に係る溶液投入部の本体部の底面図である。また、図16は、後述するカバー体を取り外した状態における本体部の斜視図である。
図14および図15に示すように、第2の実施形態に係る本体部101Aは、給液路113Aの下流側が下方に延在しており、その下流側端部に、鉛直方向に開口する下流側開口部112Aを有する。
具体的には、図16に示すように、第2の実施形態に係る本体部101Aの給液路113Aは、第1延在部分113aおよび第2延在部分113bに加えて第3延在部分113cを備える。第3延在部分113cは、鉛直方向に延在する部分であり、上流側において第2延在部分113bに連通し、下流側において下流側開口部112Aに連通する。
第3延在部分113cにおける流路断面積は、拡大部が設けられる第2延在部分113bの上流側端部における流路断面積よりも大きく、第2延在部分113bの下流側端部における流路断面積よりも小さい。
カバー体114は、第3延在部分113cの一部を構成する部材であり、本体部101Aに対して着脱可能に設けられる。
このように、第2の実施形態に係る本体部101Aは、下方に延在する第3延在部分113cを備え、かかる第3延在部分113cの下流側端部に下流側開口部112Aを設けることとした。これにより、第1の実施形態に係る本体部101と比較して、下流側開口部112Aをタンク91の上部開口911に近づけることができる。したがって、下流側開口部112Aから流出した酸性溶液がタンク91の周辺部材に付着することを抑制することができる。
なお、第3延在部分113cは、たとえば、タンク91の上部開口911(図3参照)と同一の高さ位置、あるいは、上部開口911よりも低い位置まで延在していることが好ましい。言い換えれば、本体部101Aの下流側開口部112Aは、タンク91の上部開口911と同一の高さ位置、あるいは、上部開口911よりも低い位置に配置されることが好ましい。このように構成することで、下流側開口部112Aから流出した酸性溶液がタンク91の周辺部材に付着することをより確実に抑制することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。