以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成については、同じ符号を付して説明する。また、実施形態に記載されている構成要素の相対配置、形状等は、あくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<実施形態1>
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷装置の一例であるインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」という)を模式的に示す図である。図1に示すように、プリンタ100は、プリンタの構造材をなすフレーム上にキャリッジ103を備える。キャリッジ103は、ガイド104に沿ってX方向に往復走査する。
キャリッジ103上には第一の記録ヘッド101Lと第二の記録ヘッド101Rとが装着可能である。第一の記録ヘッド101Lは、インクを吐出するための複数のノズルを搭載している。これら複数のノズルによって、複数の色のインクに対応したノズル列が構成されている。図1の例では、第一の記録ヘッド101Lは、シアンノズル列102LC、マゼンタノズル列102LM、およびイエローノズル列102LYを搭載している。同様に、第二の記録ヘッド101Rは、第一の記録ヘッド101Lに搭載のインクと同色のインクを吐出するための複数のノズルを搭載している。具体的には、第二の記録ヘッド101Rは、シアンノズル列102RC、マゼンタノズル列102RM、およびイエローノズル列102RYを搭載している。第一の記録ヘッド101Lと第二の記録ヘッド101Rとは、同じ構造をしている。すなわち、第一の記録ヘッド101Lおよび第二の記録ヘッド101Rの形状やノズル列の構成は、同じである。そして、第一の記録ヘッド101Lと第二の記録ヘッド101Rとは、互いに点対象の位置関係となるようにキャリッジ103に装着される。このため、図1においてはシアンノズル列(102LC、102RC)が、キャリッジ103において走査方向(X方向)の両端に位置し、イエローノズル列(102LY、102RY)が、キャリッジ103の内側に位置する。
プリンタ100においては、印刷用紙106の幅方向(X方向)に直交する方向(Y方向)にノズルが配列されている。プリンタ100は、記録ヘッドが搭載されているキャリッジ103をガイド104に沿ってX方向に走査して記録(印刷)を行う、いわゆるシリアル記録タイプのプリンタである。それぞれのインク色のノズル列のノズル配置の解像度は1200dpiである。
プリンタ100は、用紙ガイド107を図1の平面視において左側に備えている。以下、本明細書において、「左側」(あるいは単に「左」)や、「右側」(あるいは単に「右」)と記載する場合、図に正対した場合の図面中の左または右の位置関係を示しているものとする。よって、図1の例では、用紙ガイド107は、プリンタ100において左側に備えられている。
画像が記録される記録媒体の一例である印刷用紙106は、搬送ローラ105(および他の不図示のローラ)がモータ(不図示)の駆動力によって回転することにより、用紙ガイド107に沿って図1の用紙搬送方向に搬送される。プリンタ100においては、印刷用紙106のサイズに関わらず、印刷用紙106の左端は用紙ガイド107の右端に接することとなる。印刷用紙106が所定の位置に搬送されると、第一の記録ヘッド101Lと第二の記録ヘッド101Rとを用いた記録動作が行われる。すなわち、印刷データに応じて、第一の記録ヘッド101Lと第二の記録ヘッド101Rのそれぞれの所定数のノズルからインクが吐出されることにより、記録ヘッドのノズル列に対応した1走査幅分の画像が印刷用紙に記録される。1走査幅分の画像が記録されると、再びノズル列に対応した幅分、印刷用紙106が用紙搬送方向に搬送され、再び1走査幅分の画像が記録される。このような、印刷用紙106の搬送と印刷用紙106に対する各記録ヘッドからのインク吐出動作を繰り返すことにより、例えば、一頁分の画像を印刷することができる。
図2は、図1に記載のプリンタ100の第一の記録ヘッド101Lおよび第二の記録ヘッド101Rが印刷可能な領域を説明する図である。図2は、図1の第一の記録ヘッド101Lおよび第二の記録ヘッド101Rを側面から見た場合の模式図と、印刷可能領域とを示している。図2において図1と同じ符号を付しているものは、図1と同じ構成を示しているので説明を省略する。図2において位置X1,X2,X3,X4は印刷用紙106の紙面上でのX方向位置を表している。具体的には、下記の位置を示している。
X1=第一の記録ヘッド101Lが印刷可能な領域の左端
X2=第二の記録ヘッド101Rが印刷可能な領域の左端
X3=第一の記録ヘッド101Lが印刷可能な領域の右端
X4=第二の記録ヘッド101Rが印刷可能な領域の右端
また、図2において領域P1〜P6は印刷用紙106紙面上でのX方向領域を表している。具体的には、下記の領域を示している。
P1=第一の記録ヘッド101Lが印刷可能な領域
P2=第二の記録ヘッド101Rが印刷可能な領域
P3=第一の記録ヘッド101Lのみが印刷可能な領域
P4=第一の記録ヘッド101Lと第二の記録ヘッド101Rとの両方で印刷可能な領域
P5=第二の記録ヘッド101Rのみが印刷可能な領域
P6=少なくとも一方の記録ヘッドで印刷可能な領域
図1に記載のプリンタ100において、領域P3は、第一の記録ヘッド101Lで印刷される。領域P5は、第二の記録ヘッド101Rで印刷される。領域P4は、第一の記録ヘッド101Lと第二の記録ヘッド101Rとの両方で印刷される。領域P4の印刷方法としては、以下のような態様が可能である。
1.領域P4の全体を、第一の記録ヘッド101Lと第二の記録ヘッド101Rとで50%ずつ印刷する。
2.領域P4の所定のX位置よりも左側の領域を第一の記録ヘッド101Lで印刷し、残りの右側の領域を第二の記録ヘッド101Rで印刷する。
3.領域P4の左側ほど第一の記録ヘッド101Lで印刷し、右側ほど第二の記録ヘッド101Rで印刷するように、印刷に用いるヘッド割合を領域に応じて段階的に変える。
本実施形態においては、各領域の幅は以下の通りである。
P1=120mm
P2=120mm
P4= 30mm
P6=210mm
A4サイズは、210×297mmであるので、第一の記録ヘッド101Lおよび第二の記録ヘッド101Rの両方を用いてA4幅の印刷用紙に印刷することができる。また、第一の記録ヘッド101Lだけを用いる場合でも、4x6サイズ(約102mm×約152mm)までのサイズの印刷用紙(写真サイズ)に印刷することができる。
図3は、本実施形態の印刷システムの構成を示すブロック図である。印刷システムは、図1に示したプリンタ100と、ホスト機器300とを有する。ホスト機器300の例としては、パーソナルコンピュータなどのコンピュータや、カメラなどの撮像装置、またはスマートフォン・タブレットなどの多機能端末などが挙げられる。
ホスト機器300は、CPU301、RAM302、HDD303、データ転送I/F(interface)304、入力I/F305、およびディスプレイI/F306を備えている。CPU(Central Processing Unit)301は、HDD(Hard Disk Drive)303やRAM(Random Access Memory)302に保持されているプログラムに従った処理を実行する。RAM302は、揮発性のストレージであり、プログラムやデータを一時的に保持する。また、HDD303は、不揮発性のストレージであり、同じくプログラムやデータを保持する。また、HDD303は、後述するプリンタリストを保持する。不揮発性のストレージとして、SSD(Solid State Drive)など他の記憶デバイスを用いてもよい。データ転送I/F304は、プリンタ100との間におけるデータの送受信を制御する。このデータ送受信の接続方式としては、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、LAN(Local Area Network)、インターネット等を用いることができる。有線で接続されていても無線で接続されていてもよい。入力I/F305は、キーボード、マウス、タッチパネル等のHID(Human Interface Device)を制御するI/Fであり、ユーザは、このI/Fを介して入力をすることができる。ディスプレイI/F306は、ディスプレイ(不図示)における表示を制御する。ディスプレイは、ホスト機器300に備えられていてもよく、外部のディスプレイを利用する形態でもよい。
プリンタ100は、CPU311、RAM312、ROM313、データ伝送I/F314、第一のヘッドコントローラ315L、第二のヘッドコントローラ315R、画像処理アクセラレータ316、スキャナコントローラ317を備えている。CPU311は、ROM313やRAM312に保持されているプログラムに従い、後述する各実施形態の処理を実行する。RAM312は、揮発性のストレージであり、プログラムやデータを一時的に保持する。また、ROM313は不揮発性のストレージであり、後述する各実施形態の処理で作成されるテーブルデータやプログラムを保持することができる。
データ転送I/F314はホスト機器300との間におけるデータの送受信を制御する。第一のヘッドコントローラ315Lは、図1に示した第一の記録ヘッド101Lに対して印刷データを供給するとともに、第一の記録ヘッド101Lの吐出動作を制御する。具体的には、第一のヘッドコントローラ315Lは、RAM312の所定のアドレスから制御パラメータと印刷データとを読み込む構成とすることができる。CPU311が、制御パラメータと印刷データとをRAM312の上記所定のアドレスに書き込むと、第一のヘッドコントローラ315Lにより処理が起動され、第一の記録ヘッド101Lからのインク吐出が行われる。同様に、第二のヘッドコントローラ315Rは、図1に示した第二の記録ヘッド101Rに対して印刷データを供給するとともに、第二の記録ヘッド101Rの吐出動作を制御する。画像処理アクセラレータ316は、ハードウェアによって構成され、CPU311よりも高速に画像処理を実行するものである。具体的には、画像処理アクセラレータ316は、RAM312の所定のアドレスから画像処理に必要なパラメータとデータを読み込む構成とすることができる。そして、CPU311がパラメータとデータをRAM312の上記所定のアドレスに書き込むと、画像処理アクセラレータ316が起動され、所定の画像処理が行われる。なお、画像処理アクセラレータ316は必ずしも必要な要素ではなく、プリンタの仕様などに応じて、CPU311による処理のみで画像処理を実行してもよいことはもちろんである。スキャナコントローラ317は、スキャン処理を制御する。
図4は、図3に示す印刷システムの機能ブロックを示す図である。ホスト機器300は、印刷アプリ400を備えている。印刷アプリ400は、印刷デバイス名取得部401、印刷可能情報取得部402、印刷ジョブ受付可能状態取得部403、印刷ジョブ送信部404、および印刷結果受信部405を有する。印刷アプリ400が備える各部は、HDD303に格納されたプログラムをCPU301がRAM302に読み出して実行することにより、CPU301が図4のホスト機器300の各部として機能することにより実現される。印刷アプリ400は、プリンタドライバを使用せずに、プリンタ100と直接印刷をするためのアプリケーションである。印刷アプリ400として、プリンタメーカやOS(Operating System)ベンダーなどの各社によって様々なアプリケーションが提供されている。図4においては、1つの印刷アプリ400を例示しているが、ホスト機器300は、複数の印刷アプリを備えていてもよく、他の印刷アプリも印刷アプリ400と同等の構成を有することができる。印刷アプリ400は、それぞれ対応する印刷サービスに用いられるネットワークプロトコルを用いて、プリンタ100のネットワーク上での存在を認識することができる。
印刷デバイス名取得部401は、プリンタ100の印刷デバイス名を取得する。例えば、ネットワーク内において利用可能なプリンタを探索して発見したプリンタ100の印刷デバイス名を取得する。印刷デバイス名とは、プリンタ100を識別する名称である。一般的には、プリンタ100の型番などが印刷デバイス名として使用される。
印刷可能情報取得部402は、プリンタ100の印刷可能情報をプリンタ100から取得する。印刷可能情報とは、プリンタ100の印刷に用いられる色数、印刷用紙種別、印刷用紙サイズ、印刷色モードなどの印刷可能条件に関する情報である。色数とは、プリンタ100が使用可能なインクの色数である。印刷用紙種別とは、普通紙、光沢紙などのような用紙種別であり、プリンタ100の記録ヘッドに搭載されるインクなどに応じて定まる。印刷用紙サイズは、プリンタ100で印刷可能な用紙サイズである。印刷色モードとは、カラー、モノクロ、特殊色(例えばメタリック)などのような、利用可能な色モードのことである。
印刷アプリ400は、例えばネットワーク内において利用可能なプリンタを探索する処理を行う。このとき、発見されたプリンタを、HDD303に記憶(保持)されている利用可能なプリンタリストに登録する。プリンタを登録する際には、印刷デバイス名取得部401で取得した印刷デバイス名をリストに表示する名称として使用し、印刷可能情報取得部402で取得した印刷可能情報を、そのプリンタに関連付けて登録する処理が行われる。すなわち、HDD303には、印刷デバイス名と印刷可能情報とが関連付けて記憶される。ここで、印刷アプリ400の中には、一旦、利用可能なプリンタリストに登録したプリンタに関しては、印刷可能情報取得部402が再度の印刷可能情報の取得を行わないものがある。あるいは、印刷可能情報取得部402が再度の印刷可能情報の取得をしたとしても、既にプリンタリストに登録済みの情報であるので、再取得した印刷可能情報を用いて登録済みの情報を更新しないものがある。つまり、印刷アプリ400の中には、HDD303に一旦記憶した印刷可能情報に関しては、書き換えを行わないものがある。このような印刷アプリ400では、後述するようにプリンタ100の記録ヘッドの構成が変更され、これに伴い印刷可能情報が変更になった場合に、その情報が反映されないことになる。このため、プリンタ100の印刷可能条件と、印刷アプリ400が認識する印刷可能条件との間に齟齬が生じてしまう。以降で説明する処理によれば、このような印刷アプリ400において、齟齬が生じてしまうことを低減することができる。詳細については後述する。
印刷アプリ400の各部の説明を続ける。
印刷ジョブ受付可能状態取得部403は、プリンタ100の印刷ジョブ受付可能状態を取得する。印刷ジョブの受付が不可能であることを示す情報を取得している場合、印刷ジョブ送信部404は、プリンタ100に印刷ジョブを送信しない。印刷ジョブの受付が可能であることを示す情報を取得している場合、印刷ジョブ送信部404は、プリンタ100に印刷ジョブを送信する。印刷ジョブ送信部404は、HDD303に格納されている画像データなどを用いた印刷をプリンタ100に実行させるための印刷ジョブを送信する。印刷結果受信部405は、印刷ジョブ送信部404が送信した印刷ジョブの処理結果を、プリンタ100から受信する。
次に、プリンタ100の構成を説明する。プリンタ100は、左ヘッド情報取得部411、右ヘッド情報取得部412、リスト格納部413、印刷処理部414、ヘッド交換指示受付部415、および印刷サービス提供部416を備えている。印刷サービス提供部416は、印刷デバイス名公開部421、印刷可能情報送信部422、印刷ジョブ受付可能状態送信部423、印刷ジョブ受信部424、および印刷結果送信部425を有している。
左ヘッド情報取得部411は、キャリッジ103の左側に搭載されている記録ヘッドの情報(例えば、ヘッド種別ID)を取得する。右ヘッド情報取得部412は、キャリッジの右側に搭載されている記録ヘッドの情報を取得する。左ヘッド情報取得部411および右ヘッド情報取得部412は、第一のヘッドコントローラ315Lおよび第二のヘッドコントローラ315Rによって構成されている。
リスト格納部413は、ROM313によって構成されており、ヘッド構成リストを格納したり、印刷可能情報リストを格納したりする。ヘッド構成リストと印刷可能情報リストとの詳細については後述する。
印刷処理部414は、印刷サービス提供部416から送られる印刷データに基づいて、印刷処理を実行する。印刷処理部414は、第一のヘッドコントローラ315L、第二のヘッドコントローラ315R、画像処理アクセラレータ316、およびCPU311などによって構成されている。
ヘッド交換指示受付部415は、記録ヘッドの交換の指示を受け付ける。また、記録ヘッドの交換が完了したことを印刷サービス提供部416に通知したりする。
印刷サービス提供部416は、ホスト機器300の印刷アプリ400に対して印刷サービスを提供する。ヘッド交換指示受付部415および印刷サービス提供部416は、ROM313に格納されたプログラムをCPU311がRAM312に読み出して実行する。これにより、CPU311が、ヘッド交換指示受付部415および印刷サービス提供部416(および印刷サービス提供部416に含まれる各部)として機能することにより実現される。
印刷デバイス名公開部421は、ホスト機器300を含む各ホスト機器に対して印刷デバイス名を公開する。印刷可能情報送信部422は、ホスト機器300を含む各ホスト機器に対して印刷可能情報を送信する。印刷ジョブ受付可能状態送信部423は、ホスト機器300を含む各ホスト機器に対して印刷ジョブ受付可能状態を送信する。印刷デバイス名公開部421、印刷可能情報送信部422、および印刷ジョブ受付可能状態送信部423は、プッシュ型でホスト機器300に情報を伝えてもよい。あるいは、プル型でホスト機器300に情報を伝えてもよい。つまり、印刷サービス提供部416は、印刷アプリ400に対して、例えばブロードキャストのような態様で、能動的に情報を送信することができる(プッシュ型)。あるいは、印刷サービス提供部416は、印刷アプリ400から要求された場合にホスト機器300に情報を伝えてもよい(プル型)。
印刷ジョブ受信部424は、ホスト機器300からの印刷ジョブを受信する。印刷ジョブ受信部424は、受信した印刷ジョブの印刷処理を印刷処理部414に依頼する。印刷結果送信部425は、印刷ジョブ受信部424で受け付けた印刷ジョブの印刷結果をホスト機器300に送信する。
図5は、印刷サービスを実施する際におけるホスト機器300と、プリンタ100との間の処理シーケンスの一例を示す図である。図5において、ステップS501〜S507はホスト機器300の処理を示す。ステップS511〜S517はプリンタ100の処理を示す。ステップS501においてホスト機器300の処理がスタートする。例えば、ユーザが印刷アプリ400を起動することで処理が開始される。ステップS511でプリンタ100の処理が開始される。
ステップS512においてプリンタ100の印刷サービス提供部416は、プリンタ100が印刷可能であることを確認し、印刷サービスを開始する。すなわち、印刷サービス提供部416は、プリンタ100の状態をReadyの状態にする。
ステップS502においてホスト機器300の印刷アプリ400は、印刷サービスDiscoveryを実施する。ステップS513において印刷サービス提供部416は、そのDiscoveryに対して応答して、プリンタ100が印刷サービスを提供可能な機器であることを通知する。このとき、印刷サービス提供部416は、プリンタ100の印刷デバイス名をホスト機器300に通知する。
ステップS503においてホスト機器300の印刷アプリ400は、印刷可能情報を取得する。印刷アプリ400は、プリンタ100が未知のデバイスの場合には、プリンタ100に印刷可能情報を問い合わせる。そして、この問い合わせに応じてステップS514でプリンタから送信される印刷可能情報を、印刷アプリ400は取得する。一方、印刷アプリ400は、プリンタ100が既知のデバイスの場合には、既に取得済みの印刷アプリ400内に登録し、保持している印刷可能情報を取得する。すなわち、印刷アプリ400は、プリンタ100が既知のデバイスの場合には、プリンタ100から印刷可能情報を取得しない。
ステップS504においてホスト機器300は、ステップS503で取得した印刷可能情報に基づいて印刷ジョブ作成用のユーザインタフェース(UI)を構築して表示する。具体的にはプリンタ100の印刷可能情報に基づいて、印刷サイズ、印刷可能用紙サイズ、印刷可能用紙種類、使用インク種類などのプリンタ100に適した表示と、プリンタ100に適した選択肢の表示などを含むUIの表示制御をする。ここで、プリンタ100の印刷可能条件に変更が生じており、ステップS503の処理でホスト機器300がプリンタ100から印刷可能情報を取得しない場合、その変更内容がステップS504で反映されない。つまり、プリンタ100に適していないUIが表示されてしまう可能性がある。その結果、プリンタ100の現在の印刷可能条件と齟齬が生じる印刷ジョブが構築されてしまうことになる。後述する本実施形態の処理では、このような齟齬が生じることを抑制する技術を説明する。
ステップS505でホスト機器300は、印刷ジョブを発行する。ステップS515でプリンタ100は、印刷ジョブを受信して印刷を行う。プリンタ100での印刷が完了すると、ステップS516においてプリンタ100は、印刷完了をホスト機器300に通知する。ステップS506においてホスト機器300は、印刷完了通知を受信する。印刷アプリ400は、印刷が完了した旨を表示する。その後、ホスト機器300はステップS507、プリンタ100はステップS517にそれぞれ進み、一連の印刷サービス処理を完了する。
なお、図5の処理では、いずれもホスト機器300側からプリンタ100に対してリクエストを行い、そのリクエストに対してプリンタ100が応答するプル型の形態を説明した。しかしながら、前述したように、プリンタ100がネットワークに存在するホスト機器300(及び不図示の他のホスト機器)に対して自発的に発信する、いわゆるプッシュ型の形態でもよい。
次に、プリンタ100のキャリッジ103に、異なる記録ヘッドが搭載される例を説明する。
図6は図1に記載のプリンタ100に黒インクのみを搭載した第三の記録ヘッド601Lおよび第四の記録ヘッド601Rを搭載した図である。第三の記録ヘッド601Lおよび第四の記録ヘッド601Rは、第一の記録ヘッド101Lおよび第二の記録ヘッド101Rと同じ形状、サイズであり、キャリッジ103に交換可能に構成されているものである。図6において、第三の記録ヘッド601Lおよび第四の記録ヘッド601R以外は図1と同様の構成であるので、説明を省略する。
第三の記録ヘッド601Lは、インクを吐出するための黒ノズル列602LKを搭載している。同様に、第四の記録ヘッド601Rも第三の記録ヘッド601Lに搭載のインクと同色のインクを吐出するための黒ノズル列602RKを搭載している。
プリンタ100は、カラー印刷が可能な第一の記録ヘッド101Lおよび第二の記録ヘッド101Rを搭載した際には、モノクロ印刷およびカラー印刷を行うことができる。また、プリンタ100は、第三の記録ヘッド601Lおよび第四の記録ヘッド601Rを搭載した際には、モノクロ印刷を行うことができる。なお、CMYインクの3色でモノクロ印刷やカラー印刷をする際の黒表現を行う際には、3色を所定の比率で印刷することでグレーから黒を表現する、いわゆるプロセスブラック処理を行えばよい。
図7は、図6に記載のプリンタ100の第三の記録ヘッド601Lと第四の記録ヘッド601Rとが印刷可能な領域を説明する図である。図7は、図6の第三の記録ヘッド601Lと第四の記録ヘッド601Rとを側面から見た場合の模式図と、印刷可能領域とを示している。
図7におけるXK1〜XK4、およびPK1〜PK6は、図2のX1〜X4およびP1〜P6と同じものとする。なお、厳密には、図2と異なる設定も可能である。具体的には、第一の記録ヘッド101Lに搭載されているシアンノズル列102LCとイエローノズル列102LYと間の距離をPとすると、以下のように設定することも可能である。
PK1=P1+P
PK2=P2+P
PK4=P4+P
PK6=P6+P
なお、左右の記録ヘッドは、同じ種別(CMYまたは黒のみ)の記録ヘッドを用いる形態を説明したが、これに限られるものではない。一方の記録ヘッドと他方の記録ヘッドとを異なる種別の記録ヘッドとしてもよい。また、一方の記録ヘッドを非搭載にしてもよい。プリンタ100は、いずれの状態においても印刷用紙に印刷を行うことができる。
次に、プリンタ100に搭載されている記録ヘッドが交換される場合の処理について説明する。搭載される記録ヘッドが交換された場合、プリンタ100の印刷可能条件が変更される場合がある。以下では、プリンタ100がホスト機器300と接続を行った後に、プリンタ100に搭載されている記録ヘッドが交換された場面を想定する。つまり、ホスト機器300の印刷アプリ400では、プリンタ100が既に登録済みの状態において、プリンタ100に搭載されている記録ヘッドが交換された場面を想定する。本実施形態では、そのような記録ヘッドが交換された場合において、ホスト機器300から、プリンタ100で対応できない印刷条件での印刷ジョブが発行されてしまう可能性を低減させる処理を行う。すなわち、プリンタ100で変更された印刷可能条件が、ホスト機器300で反映されるような処理をプリンタ100が行う形態を説明する。
表1は、プリンタ100に搭載する左搭載ヘッド(「左ヘッド」ともいう)・右搭載ヘッド(「右ヘッド」ともいう)の組み合わせと、その組み合わせにおける印刷可能な印刷方式および印刷可能サイズを示すヘッド構成リストである。なお、前述したように、プリンタ100は、用紙ガイド107が左側に備えられているので、通常の印刷時においては左ヘッドが必ず用いられる態様となっている。
表1から、プリンタ100は、搭載している記録ヘッドの種別の組み合わせに応じて以下の特徴を有する。なお、カラー記録ヘッドとは、第一の記録ヘッド101Lなどのように、CMYのノズル列を備えた記録ヘッドのことである。黒記録ヘッドとは、第三の記録ヘッド601Lなどのように、黒のみのノズル列を備えた記録ヘッドのことである。
・左ヘッドがカラー記録ヘッドである場合、カラー印刷もモノクロ印刷も可能(構成番号1・3参照)
・左ヘッドが黒記録ヘッドである場合、カラー印刷は行えず、モノクロ印刷は可能(構成番号2・4参照)
・右ヘッドが左ヘッドと同じ種別の場合、左右の両記録ヘッドを用いて210mmまで印刷が可能(構成番号1・2参照)
・右ヘッドが左ヘッドと異なる種別の場合、右ヘッドは使用されず、左ヘッドを用いて120mmまで記録が可能(構成番号3・4参照)
なお、表1のヘッド構成リストは、用紙ガイド107が、プリンタ100の左側に設けられている形態の場合のリストである。用紙ガイド107が、プリンタ100の右側に設けられているような場合には、右ヘッドの種別を基準にして作成されたヘッド構成リストを用いることができる。
図8は本実施形態のプリンタ100における処理を説明するフローチャートである。以下で説明する処理においては、プリンタ100は、初期状態においては表1の構成番号1の状態であるものとして説明する。つまり、キャリッジ103に搭載されている左右の記録ヘッドの種別は、いずれもカラー記録ヘッドである(つまり、図1の構成である)ものとする。
まず、ステップS801でプリンタ100の電源ON処理が行われる。これにより、プリンタ100の各部に電力が供給される。
次に、ステップS802で左ヘッド情報取得部411は、キャリッジ103に搭載されている左側の記録ヘッドの種別IDを取得する。種別IDは、記録ヘッドの所定の部材の値を読み取ることなどによって取得される。種別IDを取得することにより、左側の記録ヘッドが、カラー記録ヘッドなのか黒記録ヘッドなのかを特定できる。ここでは左ヘッド種別IDは、「カラー」となる。取得された左ヘッドの種別IDは、印刷サービス提供部416に通知される。
次に、ステップS803において右ヘッド情報取得部412は、キャリッジ103に搭載されている右側の記録ヘッドの種別IDを取得する。ここでは右ヘッドの種別IDは、「カラー」となる。取得された右ヘッドの種別IDは、印刷サービス提供部416に通知される。
次に、ステップS804において印刷サービス提供部416は、左ヘッドの種別IDと、右ヘッドの種別IDとを用いてリスト格納部413に格納されているヘッド構成リストを参照し、プリンタ100の構成番号を設定する。すなわち、ステップS802およびステップS803で取得された左右ヘッドの種別IDと、表1のヘッド構成リストと、に基づいて構成番号を設定する。ここでは構成番号は、前述の通り「1」となる。
次に、ステップS805で印刷サービス提供部416は、外部のホスト機器300に対して印刷サービスを開始する。このステップは、以下の処理を含むものである。
・ホスト機器300に対して「印刷デバイス名」の公開
・ホスト機器300からの問い合わせ応じて「印刷可能情報」の送信
・ホスト機器300からの問い合わせに応じて「印刷ジョブ受付可能状態」の送信 ・ホスト機器300からの問い合わせに応じて「印刷デバイス状態」の送信
前述したように、これらの情報の公開および送信は、プッシュ型で行われてもよいし、プル型で行われてもよい。一般に、ホスト機器300の印刷アプリ400が、最初にプリンタ100を登録する場合、ホスト機器300は、プリンタ100に印刷可能条件を問い合わせる。そして、プリンタ100から送信された「印刷可能情報」に基づいて印刷可能条件を印刷アプリ400に登録する。
表2は、表1のヘッド構成リストに対応する印刷可能情報のリストである。表1と表2の構成番号は、それぞれ対応した番号となっている。本実施形態においては、表2に示すように、記録ヘッドのヘッド構成(左右の記録ヘッドの組み合わせ)が異なる場合、印刷デバイス名もそれぞれ異なるものとしてプリンタ100で公開される。つまり、搭載するヘッド構成が変わった場合、プリンタ100は、変更されたヘッド構成に対応する印刷デバイス名を公開する。このため、ホスト機器300において、あたかも別の新しいプリンタを発見した場合の処理が実行されることが期待できる。つまり、ホスト機器300の印刷アプリ400は、利用可能な新しいプリンタを発見することになるので、そのプリンタの印刷可能情報を取得し、印刷可能条件を設定する処理が行われることになる。このため、プリンタの印刷可能条件と、ホスト機器300(印刷アプリ400)で認識している印刷可能条件との間に齟齬が生じてしまうことを低減することができる。
このステップS805の処理では、印刷サービス提供部416は、ステップS804で設定された構成番号に基づいて表2に記載の「印刷デバイス名」、「印刷可能情報」を公開及び送信する。上述した例では、構成番号は「1」である。よって、公開および送信される「印刷デバイス名」、「印刷可能情報」は、下記となる。
・印刷デバイス名:PRINTER_CMY_A4
・印刷可能情報 :印刷色=BK&COLOR
印刷幅=210mm
インク=3色:CMY
送信された各種印刷可能情報は、ホスト機器300で例えば以下のように印刷可能条件として利用される。
・印刷色:ホスト機器300で印刷モードを選択する際の選択可能な選択肢
・印刷幅:ホスト機器300で印刷用紙サイズを選択する際の選択可能な選択肢
・インク:ホスト機器300でインク残量等を表示する際のインク数
プリンタ100からホスト機器300に送信される印刷可能情報は、上記の例に限られるものではない。他にも、色やインク情報に応じて印刷色モード、印刷用紙種別等の情報が印刷可能情報としてホスト機器300に送信されてもよい。なお、印刷可能情報に含まれる項目のうち、どの項目を印刷可能条件として用いるかはホスト機器300側で任意に設定することができる。また、プリンタ100は、ホスト機器300から問い合わせを受けた項目のみを印刷可能情報として送信してもよい。
また、このステップS805の処理では、印刷サービス提供部416は、ホスト機器300から印刷デバイス状態の問い合わせを受ける場合がある。すなわち、ホスト機器300が、印刷デバイスの状態を問い合わせる状態問い合わせコマンドを送信する場合がある。この状態問い合わせコマンドには、印刷デバイス名が含まれる。印刷サービス提供部416は、状態問い合わせコマンドを受信した場合、コマンドに含まれる印刷デバイス名に基づいて、印刷デバイスの状態(プリンタステータス)をホスト機器300に応答する。具体的には、印刷サービス提供部416は、コマンドに含まれる印刷デバイス名が、現在サービスを提供している印刷デバイス名と一致する場合、印刷デバイスの状態をホスト機器300に応答する。例えば、上述した例では、構成番号は「1」である。そこで、印刷サービス提供部416は、状態問い合わせコマンドに含まれる印刷デバイス名が、「PRINTER_CMY_A4」である場合、印刷デバイスの状態をホスト機器300に応答する。例えば、印刷デバイスの状態として、印刷可能であるIDLEや、印刷受付不可状態の一つであるBUSYなどを応答として送信する。一方、その他の構成、例えば印刷デバイス名が「PRINTER_K_A4」を含む状態問い合わせコマンドを受信した場合、印刷サービス提供部416は、応答を返さない。このように、プリンタ100が応答を返さないことにより、ホスト機器300は、その構成(印刷デバイス名が「PRINTER_K_A4」で識別される構成)のプリンタが利用不可能であることを知ることができる。この結果、ホスト機器300は、印刷デバイス状態に応じてそのプリンタに対応するアイコンの色を変える、または「利用不可」等のテキストを表示することでユーザに明示的に対象のプリンタの状態を示すことができる。ここではプリンタ100は状態問い合わせコマンドに対して応答を返さないことで利用不可能な状態をホスト機器300に認識させる例を示した。しかしながらこれに限らず、プリンタ100は、エラー状態を応答として送信するなど別の方法で利用不可能な状態をホスト機器300に通知してもよい。
次に、ステップS806でプリンタ100は、電源OFF指示がされたかどうかを判定する。電源OFF指示がされた場合、ステップS807に進む。ステップS807で印刷サービス提供部416は、印刷サービスを終了する。例えば、印刷サービス提供部416は、印刷サービスで用いるネットワークプロトコルを用いた通信を切断する。その後、ステップS808へ進み、プリンタ100は、電源OFF処理を行い、本フローを終了する。
一方、ステップS806で電源OFF指示がされていない場合、処理がステップS809に進む。
ステップS809でヘッド交換指示受付部415は、ヘッド交換指示を受け付けたかを判定する。ヘッド交換指示を受け付けていない場合、ステップS810に進む。ステップS810で印刷サービス提供部416は、ホスト機器300からの印刷ジョブを受信したかどうかを判定する。印刷ジョブを受信していない場合、ステップS806に進み、以後、上述の処理を繰り返す。ステップS810で印刷ジョブを受信したと判定された場合、処理がステップS811に進む。
ステップS811で印刷処理部414は、印刷サービス提供部416から通知された印刷ジョブの印刷処理を実施する。この時点ではプリンタ100は一度も印刷可能条件に変更が発生していないので、ホスト機器300から送付される印刷ジョブとの間に齟齬が生じる可能性はない。
次に、ステップS812で印刷処理部414は、受信した印刷ジョブの印刷処理が終了したかを判定する。印刷処理が終了するまでステップS811の処理が行われる。印刷処理が終了したと判定された場合、ステップS806へ進み、以後、上述の処理を繰り返す。一方、ステップS809でヘッド交換指示を受け付けた場合、処理がステップS813に進む。
ステップS813で印刷サービス提供部416は、ヘッド交換処理の開始に伴い、印刷サービスの終了を行う。例えば、印刷サービス提供部416は、印刷サービスで用いるネットワークプロトコルを用いた通信を切断する。この時点でプリンタ100は、外部のホスト機器300から、利用可能な印刷デバイスとして認識されなくなる。
次に、ステップS814においてプリンタ100は、ヘッド交換処理を実施する。例えば、キャリッジ103をヘッド交換位置まで移動させる。そして、ユーザによって、キャリッジ103に搭載されているヘッドが新しいヘッドに交換される。本実施形態では、左右の記録ヘッド共に、黒記録ヘッドに交換された例を説明する。
次に、ステップS815においてプリンタ100は、ヘッド交換処理が終了したかを判定する。具体的にはユーザがキャリッジ103に記録ヘッドを搭載した後、ヘッド交換終了ボタン等を押下することによって、プリンタ100は、ヘッド交換処理が終了したと判定する。ヘッド交換処理が終了するまでステップS814の処理が行われる。ヘッド交換処理が終了したと判定された場合、ステップS802に戻る。そして処理が継続される。
このように、ヘッド交換の指示があった場合には、印刷サービスを終了し、ヘッド交換が行われた後に、再度、ヘッド種別ID取得の処理を含む上述した各処理が行われることになる。上述した例では、再度のステップS802およびステップS803で取得するヘッド種別IDは、以前のステップS802およびステップS803で取得していたものと異なる。このため、各ステップで得られる情報は、以下の点で異なるものとなる。
(再度のステップで得られる情報)
ステップS802 ・左ヘッドの種別ID=「黒」
ステップS803 ・右ヘッドの種別ID=「黒」
ステップS804 ・構成番号=「2」
ステップS805 ・印刷デバイス名:PRINTER_K_A4
・印刷可能情報 :印刷色=BK
印刷幅=210mm
インク=1色:K
本実施形態においては、表2に示すように、ヘッドの構成に応じて、印刷デバイス名が異なるものとなっている。したがって、再度のステップS805では、交換されたヘッド構成を用いた印刷サービスを開始する際に、印刷可能情報のみならず、印刷デバイス名自体も変更(更新)して外部のホスト機器300に対する印刷サービスが開始されることになる。印刷デバイス名を変更しない場合、つまり、印刷デバイス名自体は従前のままで、印刷可能情報だけを変更すると、ホスト機器300においては、既に登録済みの印刷デバイスと認識し続ける。ホスト機器300は、登録済みの印刷デバイスに対して再度の印刷可能情報を取得しないことがあり、齟齬が生じてしまう場合がある。本実施形態では、ヘッド構成が変更された場合に、プリンタ100が別の印刷デバイス名を用いることで、別の印刷デバイスであるとホスト機器300に認識させ、印刷可能情報を取得させることができる。
なお上記の例は、同一のプリンタ100において記憶ヘッドが交換される形態を例に挙げて説明したが、同一の型番のプリンタ100を複数利用する場合においても有用である。例えばプリンタ100Xとプリンタ100Yとが、同一の型番である場合、同一の印刷デバイス名となり得る。その一方で、例えばプリンタ100Xが、図6のような記録ヘッドの構成を備えているモノクロ対応のプリンタであり、プリンタ100Yが、図1のような記録ヘッドの構成を備えているカラー対応のプリンタであると想定する。この場合、ホスト機器300が最初にプリンタ100Xを登録すると、その印刷デバイス名のプリンタは、モノクロ対応のプリンタであると認識され続けてしまう。よって、プリンタ100Xをネットワークから切断し、新たにプリンタ100Yを接続したとしても、ホスト機器300は、そのプリンタ100Yをモノクロ対応のプリンタであると認識し続けてしまうことがあるので、印刷可能情報に齟齬が生じてしまう。このように、同一のプリンタ100のヘッド構成の変更だけではなく、同一の型番のプリンタ100の接続の切り替えによっても齟齬が生じてしまうことがある。
本実施形態の処理では、交換後の記録ヘッドのヘッド構成が、交換前の記録ヘッドのヘッド構成から変更された場合、その変更されたヘッド構成に応じて印刷デバイス名自体も変更されることになる。このため、外部のホスト機器300では、「未知の新規デバイス」が印刷サービスを開始したように認識されることになる。このため、変更されたヘッド構成に対応する印刷可能情報がホスト機器300で取得されることになり、齟齬が生じなくなる。その一方で、ユーザが再び構成番号が「1」のヘッド構成に更に変更した(元に戻した)場合には、プリンタ100が、「既知のカラー印刷デバイス」として再認識される。この再認識されたときの印刷可能情報は、既に登録済みの印刷可能情報と同じである。従って、プリンタ100とホスト機器300との間の印刷可能条件に齟齬が生じることはない。
また、本実施形態の処理では、ホスト機器300から状態問い合わせコマンドを受信すると、プリンタ100は、コマンドに含まれる印刷デバイス名に基づいてホスト機器300に応答する処理が行われる。ホスト機器300によっては印刷デバイスの情報を記憶し続けてしまうものもある。このため、プリンタ100の印刷デバイス名が変更されても、ホスト機器300では、変更前の印刷デバイス名を選択することが可能な状態となっている場合がある。このため、ホスト機器300が、変更前の印刷デバイス名に対応する印刷可能情報に基づいて印刷ジョブを発行する可能性がある。上述した実施形態のように、プリンタ100が、状態問い合わせコマンドに含まれるデバイス名に基づく応答をすることで、ホスト機器300は、プリンタ100の有効な印刷デバイス名または無効な印刷デバイス名を認識することができる。この結果、ホスト機器300は、ホスト機器300を操作するユーザに、プリンタ100の印刷可能情報に対応した印刷サービスの有効または無効を、より確実に示すことができる。これによって変更前の印刷デバイス名に対応する印刷可能情報に基づいて印刷ジョブが発行される可能性を抑制することができ、印刷ジョブとの間に齟齬が生じる可能性を低減することができる。
なお、表2の印刷デバイス名には、全て共通に「PRINTER_」を含んでいる。つまり、印刷デバイス名の前方の少なくとも一部が一致している。これは、例えばプリンタ100が複数存在する場合に、ホスト機器側のプリンタリスト上で連続して表示されてユーザが選択しやすいようにするためである。つまり、同一の型番のプリンタ100が複数存在し、各プリンタのヘッド構成が異なっている場合には、別々の印刷デバイス名としてホスト機器側のプリンタリストで表示されることになる。印刷デバイス名は、共通の部分を含むことが好ましく、一例としては、機種名等を共通で含むことが好ましい。
以上説明したように、本実施形態においては、記録ヘッドが交換されることによってヘッド構成が変わる場合に、印刷デバイス名自体も更新される。これにより、ホスト機器300では、未知の新規デバイスであると認識することになるので、ホスト機器300に対して印刷可能情報を反映させることができる。この結果、ホスト機器300が発行する印刷ジョブとプリンタ100の印刷可能条件との間で齟齬が生じてしまう可能性を低減することができる。
なお、本実施形態では、印刷デバイス名を変更する形態を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。ホスト機器300(印刷アプリ400)において、あたかも新たなプリンタであるという認識が行われるようなパラメータであれば、そのようなパラメータを変更する形態であってもよい。例えば、「Bonjour」「WSD (Web Services on Devices)」「UPnP」などのネットワークプロトコルを用いた印刷サービスにおいて、デバイスを認識するために利用する識別子を変更すればよい。つまり、第一の識別子を用いた第一の印刷サービスを提供している場合において、ヘッド構成が変更されると、第二の識別子を用いた第二の印刷サービスが提供されればよい。
<実施形態2>
実施形態1では、ヘッド交換の指示を受け付けた場合に、プリンタ100が、ホスト機器300に対する印刷サービスを停止して、ホスト機器300との接続を切断し、ヘッド交換後に新たに印刷サービスを開始する形態を説明した。しかしながら、ヘッド交換は、必ずしも別の種別の記録ヘッドに交換する際に行われるものではない。例えば、インクタンクと一体型に構成されている記録ヘッドを用いる場合、インク切れになった記録ヘッドを交換するような形態も考えられる。実施形態1で説明した処理の場合、ユーザが大量ページの印刷ジョブを実施している最中にインク切れとなり、新しい同種の記録ヘッドに交換する場合でも、ホスト機器300との接続を切断することになる。このため、印刷ジョブが中断してしまう。
そこで、実施形態2では、ユーザによって行われたヘッド交換が、インク切れに対応するヘッド交換なのか、印刷可能条件を変更することを意図したヘッド交換なのかを判定し、判定結果に基づく処理を行う形態を説明する。なお、プリンタ100およびホスト機器300の構成については実施形態1で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
図9は、本実施形態の処理を説明するフローチャートである。本実施形態においても、プリンタ100の初期状態は、表1の構成番号が「1」のヘッド構成であるものとする。ステップS901〜S912は、図8のステップS801〜S812と処理が同じなので説明を省略する。
本実施形態の最初のステップS905において、外部のホスト機器300に対して送信されるプリンタ100の情報は、実施形態1の最初のステップS805と同様に下記となる。
・印刷デバイス名:PRINTER_CMY_A4
・印刷可能情報 :印刷色=BK&COLOR
印刷幅=210mm
インク=3色:CMY
本実施形態では、ステップS909においてヘッド交換指示を受け付けたと判定された場合、ステップS914に処理が進む。
ステップS914〜S915においては、図8のステップS814〜ステップS815の処理と同様に、ヘッド交換処理が行われる。図8の処理と異なる点は、図8のステップS813の印刷サービス終了の処理を行っていない点である。したがって、本実施形態では、実施形態1とは異なり、印刷サービスを終了しない状態でヘッド交換処理が実施されることとなる。
本フローの説明において、まずはユーザが行うヘッド交換は、インク切れに伴う同一種別のヘッド交換であると想定する。具体的には、ユーザが、右ヘッドのみ新しいカラーヘッドに交換してヘッド交換ボタンを押下したと想定する。
ステップS915においてヘッド交換が終了したと判定された場合、ステップS916に処理が進む。ステップS916〜S917では、ステップS902〜S903と同様に左右のヘッドのヘッド種別IDが取得される。
次に、ステップS918で印刷サービス提供部416は、構成番号が変更されたか否かを判定する。上述した想定における処理では、ステップS918の時点での構成番号は、「1」である。これは、ステップS904時点での構成番号と同一となる。よって判定結果はNOとなる。ステップS918の判定結果がNOの場合には、ステップS906へ処理が進み、以後、上述の処理を繰り返す。このような処理によれば、構成番号が変更されない場合、例えばインク切れなどで同種の記録ヘッドに交換されただけの場合には、印刷サービスを継続することが可能となる。例えば一連の印刷を複数の印刷ジョブに分割して送信するホスト機器300に対して、印刷ジョブをキャンセルして中断することなく、印刷サービスを継続することができる。
次に、同一種別のヘッド交換ではなく、異なる種別へのヘッド交換をユーザが行う場合の例を説明する。具体的にはステップS914でユーザが左右ヘッド共に黒ヘッドに交換した場合を例に挙げて説明する。この場合には、ステップS916〜S917で取得する左右のヘッドのヘッド種別IDは、「黒」となる。よって、ステップS918の時点での構成番号は、「2」である。これはステップS904時点での構成番号と不一致となる。よって、ステップS918においては、構成番号に変更があったと判定され、ステップS913に処理が進む。
ステップS913において印刷サービス提供部416は、図8のステップS813と同様の処理で印刷サービスを終了する。そして、ステップS904へと進み、以後は上述の処理を繰り返す。
このような処理によれば、次にステップS904〜S905で印刷サービスを開始する際には、各種の情報は下記の通りとなる。
ステップS904 ・本体構成番号=「2」
ステップS905 ・印刷デバイス名:PRINTER_K_A4
・印刷可能情報 :印刷色=BK
印刷幅=210mm
インク=1色:K
このため、実施形態1で説明したように、ホスト機器300では、別のデバイスが印刷サービスを開始したように認識されることになる。
以上の説明したように、本実施形態においては、現在実施中の印刷サービスの終了を、ヘッド構成が変更された段階で(つまり印刷デバイス名の更新の必要性が確定した段階で)実施する。このような処理によれば、ユーザが行ったヘッド交換が、インク切れに対応するヘッド交換だった場合にはホスト機器との接続を維持し、印刷ジョブを中断せずに継続することができる。その上で、実施形態1で説明したように、外部のホスト機器300に対して確実に印刷可能情報を送信することが可能となる。この結果、ホスト機器300が発行する印刷ジョブとプリンタ100の印刷可能条件との間で齟齬が生じる可能性を低減することができる。
なお、実施形態1および実施形態2の説明においては、構成番号が「1」の状態から構成番号が「2」の状態への遷移のみを説明したが、他の構成番号の状態に遷移したり、他の構成番号の状態から遷移する形態においても、同様の効果を得ることができる。実施形態1および実施形態2では主に「印刷色」の変化を例に挙げて説明したが、他の構成番号の状態に遷移することで「印刷幅」「インク」等の他の印刷可能条件にも変化が発生する。よって、実施形態1および実施形態2の処理によれば、これらの変化についても、ホスト機器300に送信することが可能である。
また、実施形態1および実施形態2では、キャリッジ103に記録ヘッドが全く搭載されていないケースについては、印刷サービスが提供できない状況であるので説明を省略した。ヘッドの構成が遷移する途中に間にヘッド未搭載の状況が発生することも有り得るが、そのような場合でも上述した実施形態の処理によって適切に処理が行われることになる。例えば、搭載されている左右ヘッドがどちらもカラー記録ヘッドであり、一旦、両記録ヘッドを取り外してヘッドを未搭載の状態にし、その後に、カラー記録ヘッドを搭載する場合を想定する。この場合、途中で未搭載の状態が挟まるものの、ヘッドの構成を全体として捉えた場合には、左右ともカラー記録ヘッドのままであり、ヘッドの構成に変更がない。このため、ホスト機器300に対する印刷サービスの提供を終了して、改めて別の印刷デバイス名で印刷サービスを開始しなくてよい。なお、実施形態2の処理の場合、未搭載の状態を構成番号として設定してしまうと、上述したように、未搭載の状態を挟むものの、最終的にヘッドの構成に変更がない場合でも、一旦印刷サービスの提供を停止してしまう。よって、実施形態2の処理の場合、不必要なサービス停止を抑制することができるので、未搭載の状態を構成番号として設定しないことが好ましい。
なお、実施形態2では、構成番号が変更になったか否かを判定することで、インク交換のためのヘッド交換であるか、あるいは印刷条件に影響を及ぼすヘッド交換であるかをプリンタ100が判定する形態を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。左右に搭載されているヘッド種別IDの組み合わせと、その組み合わせに応じた印刷可能情報とが別個のリスト形式で格納されているような場合には、構成番号を用いずに同様の判定を行うことができる。
<実施形態3>
実施形態1および実施形態2では、所定サイズの用紙を印刷する際に、他方の記録ヘッドでは印刷できない領域を一部含むような形態のプリンタを例に挙げて説明した。本実施形態は、黒記録ヘッドとカラー記録ヘッドとを1つずつ搭載して、所定サイズの用紙を印刷する際に、それぞれの記録ヘッドが同一の印刷領域を印刷することが可能なタイプのプリンタを用いる形態を説明する。
図10は、本実施形態に係るインクジェットプリンタを模式的に示す図である。図10において、キャリッジ1003に搭載される第五の記録ヘッド1001Lおよび第六の記録ヘッド1001R以外は、図1と同様の構成であるので説明を省略する。第五の記録ヘッド1001Lは、インクを吐出するための複数のノズルを搭載している。これら複数のノズルによって、複数の色のインクに対応したノズル列が構成されている。具体的には、第五の記録ヘッド1001Lは、シアンノズル列1002LC、マゼンタノズル列1002LM、イエローノズル列1002LYを搭載している。第六の記録ヘッド1001Rは、インクを吐出するための黒ノズル列1002RKを搭載している。つまり、第五の記録ヘッド1001Lは、カラー記録ヘッドであり、第六の記録ヘッド1001Rは、黒記録ヘッドである。
プリンタ100は、カラー記録が可能な第五の記録ヘッド1001Lおよび黒記録が可能な第六の記録ヘッド1001Rの両方を搭載した場合、ならびに、第五の記録ヘッド1001Lのみを搭載した場合には、モノクロ印刷およびカラー記録が可能である。また、黒記録が可能な第六の記録ヘッド1001Rのみを搭載した場合、モノクロ記録が可能である。
図11は、第五の記録ヘッド1001Lと第六の記録ヘッド1001Rとを用いた場合の印刷領域を説明する図である。図11において、図10で説明したものについては、説明を省略する。図11の位置X‘1,X’2,X‘3,X’4は、印刷用紙106紙面上でのX方向位置を表している。具体的には、下記の位置を示している。
X‘1=第五の記録ヘッド1001Lが印刷可能な領域の左端
X‘2=第六の記録ヘッド1001Rが印刷可能な領域の左端
X‘3=第五の記録ヘッド1001Lが印刷可能な領域の右端
X‘4=第六の記録ヘッド1001Rが印刷可能な領域の右端
また、図11における領域P‘1〜P’6は印刷用紙106紙面上でのX方向領域を表している。具体的には、下記の領域を示している。
P‘1=第五の記録ヘッド1001Lが印刷可能な領域
P‘2=第六の記録ヘッド1001Rが印刷可能な領域
P‘3=第五の記録ヘッド1001Lのみが印刷可能な領域
P‘4=第五の記録ヘッド1001Lと第六の記録ヘッド1001Rの両方で印刷可能な領域
P‘5=第六の記録ヘッド1001Rのみが印刷可能な領域
P‘6=少なくとも一方の記録ヘッドで印刷可能な領域
本実施形態においては、P‘4領域の幅は、「210mm」となっている。よって、左右の記録ヘッドを用いても、それぞれ片方の記録ヘッドを用いても、いずれもA4幅の印刷領域を印刷することができる。
表3は、図10のプリンタ100に搭載する左ヘッド・右ヘッドの組み合わせとその際の印刷可能な印刷方式およびその印刷可能サイズについてまとめたものである。
表3から、図10のプリンタ100は、搭載している記録ヘッドの種別の組み合わせに応じて、以下の特徴がある。
・左ヘッドにカラー記録ヘッドが装着されている場合、カラー印刷もモノクロ印刷も可能(構成番号1・3参照)
・右ヘッドに黒記録ヘッドが装着されている場合、モノクロ印刷は可能(構成番号1・2参照)
また、印刷幅は、いずれのヘッド構成においても210mmまで印刷可能である。本実施形態では、いずれのヘッド構成においても210mmまで印刷可能な形態である。よって、用紙ガイド107は、左側に固定されていなくてもよい。つまり、プリンタ100の中央部分に印刷用紙106挟持可能に位置し、左右にサイズが調整可能な用紙ガイドを用いてもよい。
実際の処理フローとして、実施形態1で説明した図8を用いることとする。処理内容については実施形態1と同様であるので説明を省略する。但し、図8のステップS805で外部ホスト機器に送信する内容が異なる。以下に説明する。
まず、本実施形態では、初期状態で図11中のプリンタ100は、表3の構成番号が「1」状態であるとする。また、実施形態3の印刷可能情報のリストは、表4であるとする。
この場合、図8のステップS805において、外部のホスト機器300に送信する情報は以下のようになる。具体的には、構成番号に基づいて、表4に記載の「印刷デバイス名」、「印刷可能情報」を公開および送信することとなる。
・印刷デバイス名:PRINTER_CMYK_A4
・印刷可能情報 :印刷色=BK&COLOR
印刷幅=210mm
インク=4色:CMYK
本実施形態では、ユーザが、カラー印刷可能な左側記録ヘッドを取り外し、新たな記録ヘッドを装着せずにヘッド交換終了ボタンを押下するケースを想定する。この場合、図8のステップS814のヘッド交換処理終了後に再びステップS802以降の処理が行われると、各ステップで得られる情報は、以下の通りとなる。
ステップS802 ・左ヘッドのヘッド種別ID=「無し」
ステップS803 ・右ヘッドのヘッド種別ID=「黒」
ステップS804 ・本体構成番号=「2」
ステップS805 ・印刷デバイス名:PRINTER_K_A4
・印刷可能情報 :印刷色=BK
印刷幅=210mm
インク=1色:K
このように、実施形態1で説明した処理と同様に、印刷デバイス名自体が更新される。このため、ホスト機器300において印刷可能情報が反映させることができる。この結果、ホスト機器300が発行する印刷ジョブとプリンタ100の印刷可能条件との間で齟齬が生じる可能性を低減できる。
なお、本実施形態では実施形態1の図8のフローを元に処理を説明したが、実施形態2の図9のフローを用いても、実施形態2と同様の効果が得られる。
また、本実施形態の説明において、構成番号が「1」の状態から構成番号が「2」の状態への遷移のみを説明したが、他の構成番号からの遷移や他の構成番号への遷移においても、同様の処理が行われる。他の構成番号との間での遷移においては、本実施形態で説明した「印刷色」の変化だけでなく、「インク」等の他の要因も変化する。よって、これらの変化についても、ホスト機器300に送信することが可能となる。
<その他の実施形態>
実施形態1から3においては、キャリッジ103に記録ヘッドが複数個搭載することが可能な形態を例に挙げて説明したが、本発明は、キャリッジ103に1つの記録ヘッドを搭載可能なプリンタにも適用することは可能である。キャリッジ103に1つの記録ヘッドを搭載可能なプリンタにも適用する場合の処理については、実施形態3の表3および表4に示す構成番号が「2」と構成番号が「3」との間の遷移が、対応することになる。つまり、本発明は、少なくとも2種類以上の記録ヘッドを搭載可能なキャリッジを搭載するプリンタであれば、同時に搭載する記録ヘッドの数は、一つ以上の任意のものとすることができる。
また、実施形態1から3においては、キャリッジ103に搭載する記録ヘッドとして、「CMYインクを搭載したカラー記録ヘッド」および「Bkインクを搭載したモノクロ記録ヘッド」の2種類の色セットの記録ヘッドを例に挙げて説明した。しかしながら、これらの例に限られるものではない。例えば、「オレンジ、グリーン、バイオレットなどの特色インクを搭載した特色記録ヘッド」、「淡C、淡M、淡Bkなどのインクを搭載したフォト用記録ヘッド」などを用いる形態でもよい。また、「銀、蛍光、香りなどのインクを搭載した機能性プリント記録ヘッド」を用いる形態でもよい。つまり、記録ヘッドの組み合わせによって印刷可能条件(使用インク色数、印刷品位、印刷目的、成果物の種別など)が変更される記録ヘッドを用いる形態においても、実施形態1から3で説明した効果と同等の効果を得ることができる。
また、実施形態1から3では、ホスト機器300が印刷アプリ400を備えている形態を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。ホスト機器300は、例えばクラウド上で提供される印刷サービス用のプログラムに対して指示を出力し、その結果を受け取る形態でもよい。また、印刷アプリ400は、1つの印刷サービス用のネットワークプロトコルを用いる形態を説明したが、印刷アプリ400は、印刷サービス用のネットワークプロトコルを複数利用可能であってもよい。印刷アプリ400が利用しているネットワークプロトコルにおいて、プリンタ100のヘッド構成の変更に伴いデバイスが変更されたことを認識できればよい。また、本発明は、印刷可能情報を取得しない印刷アプリ400に適用される形態に限られるものではない。ヘッド構成が変更されたことに応じて適切に印刷可能情報を取得するホスト機器300に対しても、本発明を適用してもよいことはもちろんである。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。