JP6891062B2 - 根固め部の強度推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、杭の根固め部の強度推定方法に関するものである。
従来、基礎杭を構築する方法として、支持層まで杭穴を掘削して、杭穴内に既製杭や鉄筋篭を設置する方法がある。この方法においては、杭穴内の底部に根固め液を注入し、固化させて根固め部を形成する。根固め部の形成は、地中深くにおいて行うため、強度の測定が難しい。そこで、根固め部の強度を推定する方法が提案されている。この強度推定方法では、予め、施工現場のN値、地盤性状を計測し、比重−圧縮強度の対応表を作成しておく。そして、固化する前の根固め部から試料を採取して、比重を測定する。この比重と対応表とから根固め部の固化後の圧縮強度を求める(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−222799号公報
しかし、この方法だと事前に、施工現場毎にN値、地盤性状を計測し、それに対応した、比重−圧縮強度の対応表を作成する必要があり、工事前の工数が嵩むという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、施工現場毎における対応表の作成を必要としない根固め部の強度推定方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る根固め部の強度推定方法は、地盤を掘削した杭穴の底部にセメントミルクを注入、固化させることによって形成される根固め部の強度を推定する方法であって、セメントミルクを主体とする試料のセメント及び水の質量比と、前記試料を固化した後の圧縮強度と、の第一の相関関係を求める工程と、セメントミルクに粒径が予め設定した小粒径の土質材料を混合し、固化させた際の、セメント及び水の質量比と圧縮強度との相関関係が、前記第一の相関関係から乖離する度合と、前記土質材料を混合したセメントミルクの中に含まれる前記小粒径の土質材料の質量比と、の第二の相関関係を求める工程と、掘削した杭穴の底部にセメントミルクを注入し、注入後の前記セメントミルクと掘削土砂との混合物を未固結試料として採取する工程と、前記未固結試料のセメント及び水の質量比を求める工程と、前記未固結試料に含まれる前記掘削土砂の質量比であって、前記小粒径である前記掘削土砂の質量比を求める工程と、前記工程で求めた前記未固結試料に含まれる掘削土砂の質量比、前記第一の相関関係、及び、前記第二の相関関係から、前記未固結試料の固化後の圧縮強度と、前記未固結試料のセメント及び水の質量比と、の第三の相関関係を求める工程と、前記工程で求めた前記未固結試料のセメント及び水の質量比と、前記第三の相関関係と、から、前記根固め部の圧縮強度を推定する工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係る根固め部の強度推定方法においては、前記予め設定した小粒径の土質材料とは、粒径が0.075mm以下であるとよい。
本発明に係る根固め部の強度推定方法においては、砂をセメントミルクに混ぜたもののセメント及び水の質量比と圧縮強度との関係を第一の相関関係としているとよい。
本発明に係る根固め部の強度推定方法においては、前記根固め部を形成する支持層の構成物からなる試料の密度の測定を行う工程と、前記支持層の構成物からなる試料中の前記小粒径の粒子の質量比を測定する工程と、前記未固結試料に含まれる水の質量を測定する工程と、乾燥させた前記未固結試料の密度を測定する工程と、前記工程で測定した前記支持層の構成物からなる試料の密度と、前記工程で測定した前記未固結試料の密度と、前記工程で測定した前記水の質量と、から、前記未固結試料に含まれるセメントの質量と掘削土砂の質量とを算出する工程と、を有し、前記未固結試料のセメント及び水の質量比を求める工程では、前記工程で測定した前記水の質量と、前記工程で算出した前記セメントの質量とから、セメント及び水の質量比を算出し、前記未固結試料に含まれる小粒径である掘削土砂の質量比を求める工程では、前記工程で求めた前記掘削土砂の質量と、前記工程で求めた前記支持層の構成物からなる試料中の小粒径の粒子の質量比と、から前記未固結試料に含まれる小粒径である掘削土砂の質量比を算出するとよい。
上述の構成によれば、小粒径である土質材料を含む割合の影響を加味するだけで根固め部の圧縮強度の推定を行うことができるため、施工現場毎の対応表の作成を必要とせず、根固め部の圧縮強度を推定でき、杭工事における工事前の工程の短縮を行うことができる。
図1は、本発明の第一実施形態における基礎杭を示した縦断面図である。 図2は、本発明の第一実施形態における施工手順を示した縦断面図である。 図3は、それぞれ含まれる材料の異なる複数のソイルセメントの圧縮強度とセメント水比との関係を示す図である。 図4は、図3において材料として使用したものの粒度分布を示す図である。 図5は、粘土含有量の異なるソイルセメントの圧縮強度とセメント水比との関係を示す図である。 図6は、第一の相関関係を表す関係式の切片に与える影響と、0.075mm以下の粒子の含有量と、の関係を示す図である。 図7は、本発明の第一実施形態に係る根固め部の強度判定方法を示すフローチャートである。 図8は、本発明の第二実施形態に係る根固め部の強度判定方法を示すフローチャートである。
以下に添付図面、図1〜図7を参照して、本発明に係る根固め部の強度推定方法の第一実施形態について詳細に説明する。この根固め部の強度推定方法は、基礎杭の施工の際に、掘削した杭穴の底部にセメントミルクを含む液体を注入して形成する根固め部の強度推定方法である。本実施形態においては、図1に示すように、地盤11において、地表から支持層12にかけて掘削した杭穴1の底部に根固め部32を構築した後、杭穴1に基礎杭31を配設する場合を想定している。本実施形態においては、この方法において、基礎杭31を配設する以前に根固め部32の固化後の強度、例えば、材齢28日の圧縮強度を推定する方法について例示する。杭穴1を掘削する際に使用する掘削機は、図2Aに示すように、掘削ロッド2の先端に掘削ヘッド3を備えたものである。掘削ヘッド3は、順方向に回転させた場合に掘削歯が閉じた状態となる。一方、逆方向に回転させると掘削歯が広がり、拡大掘りができるようになっている。
図3は、砂、礫、粘土をそれぞれ重量%で25%置換した際のソイルセメントの圧縮強度とセメント水比の関係を示している。砂を含むソイルセメントと礫を含むソイルセメントとの圧縮強度及びセメント水比の関係は、ほとんど変わらない。一方、粘土を含むソイルセメントの圧縮強度及びセメント水比の関係は、同じセメント水比で比べると、圧縮強度が大きくなっている。圧縮強度に影響する部分は、砂と礫と以外であって粘土に含まれる粒子であるから、礫や砂より小さい小粒径の粒子の含まれる割合が、圧縮強度及びセメント水比の関係における圧縮強度の大きさに大きく影響するということを見出した。図4に、図3において使用した砂、礫、粘土の粒度分布を示す。図3と図4とから、圧縮強度及びセメント水比の関係における圧縮強度の大きさに大きく影響する小粒径の粒子は、例えば0.075mm以下の粒子であると考えられる。0.075mm以下の粒子は、砂より小さな粒子であり、シルトや粘土である。セメントは、シルトと同等の粒径の粒子を多く含む。尚、図4から、圧縮強度及びセメント水比の関係における圧縮強度の大きさに影響する小粒径の粒子は、図3において使用した粘土の約90%を占める0.1mm以下の粒子と考えてもよいし、約100%を占める0.2mm以下の粒子と考えても良い。これらのことを念頭において、根固め部32の強度推定方法の各工程について説明する。
第一の工程:セメントミルクを主体とする試料のセメント及び水の質量比と、試料を固化した後の圧縮強度と、の第一の相関関係を求める。ここで、図5に示す、セメントミルクの中に砂を25%含むものを固化させたもののセメント水比と材齢28日の圧縮強度の相関関係を第一の相関関係とする。
第二の工程:セメントミルクに粒径が予め設定した小粒径(例えば、0.075mm以下)の土質材料を混合し、固化させた際の、セメント及び水の質量比と圧縮強度との相関関係が、第一の相関関係から乖離する度合と、土質材料を混合したセメントミルクの中に含まれる小粒径である土質材料の質量比と、の第二の相関関係を求める。それには、まず、小粒径(例えば、0.075mm以下)の土質材料を含むセメントミルクを生成する。このセメントミルクは、小粒径の土質材料の含有率を変えるとともに、セメント水比を変えたものを複数種類生成する。そのセメントミルクを固化させたものの圧縮強度、例えば、材齢28日の圧縮強度を測定することにより、小粒径の土質材料を含むセメントミルクのセメント水比と圧縮強度との相関関係を求める。この相関関係は、小粒径の土質材料の含有率毎に求める。相関関係は、例えばグラフや関係式で表現され、例えば図5のようになる。このグラフを表すデータから、セメント水比と圧縮強度の関係式(回帰式)を算出する。図5は、セメントミルクの中に、粘土を40%含むものと、粘土を25%含むものと、粘土を10%含むものと、砂を25%含むものを固化させたもののセメント水比と材齢28日の圧縮強度の相関関係(グラフ及び関係式)を示している。なお、粘土は105℃乾燥炉で1日乾燥させたものを使用している。図5に示すように、粘土の含有率によって、セメント水比と圧縮強度の相関関係は異なる。第一の相関関係から乖離する度合は、例えば、図5中の関係式の切片に表すことができる。第一の相関関係を表す関係式は、y=39.6x−34.3である。第一の相関関係から乖離する度合をΔbとすると、求める式は、y=39.6x−34.3+Δbとなる。図5とから、Δbと土質材料における粒径が0.075mm以下の粒子の含有量との第二の相関関係(グラフ又は関係式)は、図6に示すようになる。尚、関係式は、直線で表されているが、これに限られない。
第三の工程:図2Aに示すように、基礎杭31の施工現場にて、水(掘削液)を注入しながら掘削ロッド2によって杭穴1を掘削する。杭穴1を掘削する際には、図2Bで示すように、練付ドラム4で杭穴1の側壁を均しながら掘削することが好ましい。掘削された杭穴1は、注入した水と掘削土砂とが混合した泥水13で満たされることになる。支持層12に到達するまで掘削したら、掘削ロッド2を逆転させ、掘削ロッド2の先端部である掘削ヘッド3を拡開させる。その状態で、図2Bに示すように、掘削ロッド2によって、杭穴1の他の部分より大きな径で支持層12を拡大掘削を行い、拡大部1Aを形成する。その後、図2Cに示すように、拡大部1Aにセメントミルク(根固め液)を注入し、泥水13と掘削土砂と撹拌混合する。セメントミルクは、ソイルセメント21となる。セメントミルクを充填した後、掘削ロッド2を杭穴1から引き上げ、図2Dの状態で、ソイルセメント21が固化する前にソイルセメント21(掘削土砂を含んだセメントミルク)から試料(未固結試料)を採取する(ステップS101)。試料の採取方法としては、例えば、掘削ロッド2の先端に試料採取器を取り付け、これにより、試料を採取する。尚、未固結試料を採取する前に、セメントミルクと泥水13と掘削土砂とを掘削機の掘削ロッド2によって撹拌混合したが、撹拌しなくともよい。
第四の工程:未固結試料のセメント水比を求める。先ず、未固結試料から試験体を作成する。そして、試験体の質量を測る。続いて、試験体に含まれる水の質量を求める(ステップS102)。試験体に含まれる水の質量を求める際には、例えば、電子レンジで水分を蒸発させる方法や赤外線水分計を使用することができる。その後に、試験体に含まれるセメントの質量を測定する(ステップS103)。試験体に含まれるセメントの質量の測定には、例えば、試験体を所定量の塩酸に溶解させて水酸化ナトリウムで滴定を行う方法や、酸に溶解させた際の溶解熱の算出により求める方法などを使用することができる。試験体中の水の質量と、セメントの質量から未固結試料のセメント水比が算出される(ステップS104)。
第五の工程:試験体に含まれる小粒径である掘削土砂の質量比を求める(ステップS105)。第四の工程で、水の量とセメント量を求めた後には、掘削土砂が残存する。この掘削土砂中に含まれる小粒径である掘削土砂の質量を求める。その際には、篩を使用して、小粒径である掘削土砂を分離させ、質量を測定することができる。試験体中の小粒径である掘削土砂の質量と、試験体の質量と、から試験体中に含まれる小粒径である掘削土砂の質量比が求められる。尚、予めボーリング調査などで根固め部が形成される支持層の材料を採取しておき、その材料における小粒径の粒子が含まれる割合を求めておき、この割合と、第四の工程を経て残存した掘削土砂の質量と、から、この掘削土砂中に含まれる小粒径である掘削土砂の質量を求めてもよい。尚、この場合、第四の工程を経て残存した掘削土砂の質量に、支持層の材料における小粒径の粒子が含まれる割合(質量比)を乗じたものを掘削土砂中に含まれる小粒径である掘削土砂の質量としている。
第六の工程:第五の工程で求めた試験体に含まれる小粒径である掘削土砂の質量比、第一の相関関係、及び、第二の相関関係から、未固結試料の固化後の圧縮強度と、未固結試料のセメント及び水の質量比と、の第三の相関関係を表す関係式(強度評価式)を求める(ステップS106)。小粒径である掘削土砂の質量比と第二の相関関係を表す関係式からΔbが求められ、第一の関係式にΔbを足すことにより、第三の相関関係が求められる。例えば、小粒径である掘削土砂の質量比が10%だったとすると、図6のグラフまたは関係式より、Δbは、略1となる。そして、第一の相関関係より、求める第三の相関関係は、略、図5における粘土10%の際の関係を表すグラフ及び関係式となる。
第七の工程:未固結試料のセメント水比と第三の相関関係を表す関係式(強度評価式)とから、根固め部32の圧縮強度を推定する(ステップS107)。
第八の工程:根固め部32が設計基準強度を満たすか判定する(ステップS108)。根固め部32が設計基準強度を満たす場合(ステップS108,Yes)、根固め部32の強度判定を終了する。根固め部32が設計基準強度を満たさないと判定された場合(ステップS108,No)、未固結試料の試験体の材齢X日強度もしくは、根固め部32のコア強度を測定する(ステップS109)。そして、未固結試料の試験体の材齢X日強度もしくは、根固め部32のコア強度が設計基準を満たしているか判定する(ステップS110)。設計基準を満たす場合、根固め部32の強度判定を終了する(ステップS110,Yes)。一方、設計基準を満たさない場合(ステップS110,No)、根固め部32の再施工を行う(ステップS111)。その後、ステップS101に戻る。根固め部32の圧縮強度が十分になると推定される場合、図2Eに示すように、杭穴1内の拡大部1Aより上部の部分1Bに杭周固定液22を地表付近にまで注入する。その際に、地上に溢れ出す泥水13は、例えば、セメント系の固化材を添加して固化し、トラックで搬送可能な程度の粘度として産業廃棄物として処分してもよい。その後に、図2Fに示すように、基礎杭31を拡大部1Aに達するまで沈設する。
上述のように、予め、セメントミルク主体とする試料を生成し、固化後の圧縮強度とセメント水比との関係である第一の相関関係と、小粒径の土質材料を含む割合が第一の相関関係に与える影響である第二の相関関係と、を求めておく。そうすれば、施工現場毎の事前調査をしなくとも、根固め部32の例えば材齢28日の圧縮強度を推定することができる。従って、工事の事前準備に係る工数を減らすことができ、コスト低減することができる。また、未固結試料を採取した後の工程はどの工程も短時間で終わらすことができ、圧縮強度の推定にかかる日数も、拡大部1Aにセメントミルクを打設してから1日以内で可能なので、早期に根固め部32の補修が可能となる。
続いて、本発明に係る根固め部の強度推定方法の第二実施形態について説明する。図8は、第二実施形態に係る根固め部の強度判定方法を示すフローチャートである。本発明の第二実施形態は、第一実施形態の第四の工程と第五の工程との代わりに、第四Aの工程を含み、第四Aの工程より前に、第二Aの工程を含み、第一実施形態の第六の工程の代わりに、第六Aの工程を含む点が第一実施形態と異なり、他は第一実施形態と同じである。
第二Aの工程:根固め部が形成される支持層12の構成物からなる試料(第一の試料)の密度を測定する(ステップS200)。この時の密度は、105℃乾燥(絶対乾燥)時の密度でよい。密度の測定は、例えば、ピクノメーター等の密度測定装置を使用すると良い。第一の試料は、例えば、ボーリングによって、予め採取される。また、第一の試料中に含まれる小粒径の粒子の質量比を求める(ステップS201)。小粒径の粒子の質量比は、第一の試料の質量と、小粒径の粒子の質量との比である。小粒径の粒子の質量は、篩を使用して小粒径の粒子を選り分け、その質量を測定することで求めることができる。
第四Aの工程:未固結試料のセメント水比を求める。また、未固結試料から試験体を作成し、試験体の質量と、試験体に含まれる小粒径である掘削土砂の質量と、の質量比を求める。これらに際して、先ず、試験体の質量を測る。続いて、試験体に含まれる水の質量を求める(ステップS202)。試験体に含まれる水の質量を求める際には、例えば、電子レンジで水分を蒸発させる方法や赤外線水分計を使用することができる。次に、乾燥させた試験体の密度を測定する(ステップS203)。そして、下記質量の方程式及び体積の方程式から、試験体中のセメントの質量及び掘削土砂の質量を求める。
WC+WW+WS=W0 (1)質量の方程式
WCC + WSS=(W0- WW )/ρ0 (2)体積の方程式
ここで、WC:セメントの質量、WW:水の質量、WS:掘削土砂の質量、W0:試験体の質量、
ρC:セメントの密度(≒3.15)、ρW:水の密度(≒1.0)、ρS:掘削土砂の密度(第一の試料の密度)、ρ0:乾燥試験体の密度、である。
試験体に含まれる水の量とセメントの量より、第二の試料のセメント水比を求める(ステップS204)。試験体の質量と、試験体に含まれる小粒径である掘削土砂の質量と、の質量比を求める(ステップS205)。試験体中の小粒径である掘削土砂の質量は、掘削土砂の質量、及び第二Aの工程で求めた第一の試料中に含まれる小粒径の粒子の質量比から求めることができる。具体的には、掘削土砂の質量に、第一の試料中に含まれる小粒径の粒子の質量比を乗じたものが試験体中の小粒径である掘削土砂の質量である。尚、試験体中に含まれる掘削土砂は、第一の試料と同じ粒度分布を持つと仮定している。
第六Aの工程:第四Aの工程で求めた試験体に含まれる小粒径である掘削土砂の質量比、第一の相関関係、及び、第二の相関関係から、未固結試料の固化後の圧縮強度と、未固結試料のセメント及び水の質量比と、の第三の相関関係を表す関係式(強度評価式)を求める(ステップS206)。
尚、上述の第一実施形態では、杭穴1の底部を拡大掘りして、拡大部1Aを形成したが、拡大部1Aを形成せず、他の部分と同じ径とした杭穴1の底部にセメントミルクを注入して根固め部を形成してもよい。上述の第一実施形態ではセメント水比を使用しているが水セメント比を使用しても良い。セメントの量と水の量との質量比であればよい。上述の第一実施形態における工程の順序は、記載されている順序に限られない。例えば、第一の工程と第二の工程は、第六の工程の前であればよい。上述の第一実施形態では、セメントミルクの中に砂を25%含むものを固化させたもののセメント水比と材齢28日の圧縮強度の相関関係を第一の相関関係としているが、これに限られず、他の相関関係を第一の相関関係としてもよい。小粒径の粒子とは、0.075mm以下の粒子とは限られず、例えば、0.2mm以下の粒子であってもよい。第二実施形態においては、乾燥試験体の密度を測定して、セメントの質量及び掘削土砂の質量を求めているが、試験体の体積を測定して、セメントの質量及び掘削土砂の質量を求めてもよい。
1 杭穴
1A 拡大部
11 地盤
12 支持層
21 ソイルセメント
31 基礎杭
32 根固め部

Claims (4)

  1. 地盤を掘削した杭穴の底部にセメントミルクを注入、固化させることによって形成される根固め部の強度を推定する方法であって、
    セメントミルクを主体とする試料のセメント及び水の質量比と、前記試料を固化した後の圧縮強度と、の第一の相関関係を求める工程と、
    セメントミルクに粒径が予め設定した小粒径の土質材料を混合し、固化させた際の、セメント及び水の質量比と圧縮強度との相関関係が、前記第一の相関関係から乖離する度合と、前記土質材料を混合したセメントミルクの中に含まれる前記小粒径の土質材料の質量比と、の第二の相関関係を求める工程と、
    掘削した杭穴の底部にセメントミルクを注入し、注入後の前記セメントミルクと掘削土砂との混合物を未固結試料として採取する工程と、
    前記未固結試料のセメント及び水の質量比を求める工程と、
    前記未固結試料に含まれる前記掘削土砂の質量比であって、前記小粒径である前記掘削土砂の質量比を求める工程と、
    前記工程で求めた前記未固結試料に含まれる掘削土砂の質量比、前記第一の相関関係、及び、前記第二の相関関係から、前記未固結試料の固化後の圧縮強度と、前記未固結試料のセメント及び水の質量比と、の第三の相関関係を求める工程と、
    前記工程で求めた前記未固結試料のセメント及び水の質量比と、前記第三の相関関係と、から、前記根固め部の圧縮強度を推定する工程と、
    を有することを特徴とする根固め部の強度推定方法。
  2. 前記予め設定した小粒径の土質材料とは、粒径が0.075mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の根固め部の強度推定方法。
  3. 砂をセメントミルクに混ぜたもののセメント及び水の質量比と圧縮強度との関係を第一の相関関係としていることを特徴とする請求項1に記載の根固め部の強度推定方法。
  4. 前記根固め部を形成する支持層の構成物からなる試料の密度の測定を行う工程と、
    前記支持層の構成物からなる試料中の前記小粒径の粒子の質量比を測定する工程と、
    前記未固結試料に含まれる水の質量を測定する工程と、
    乾燥させた前記未固結試料の密度を測定する工程と、
    前記工程で測定した前記支持層の構成物からなる試料の密度と、前記工程で測定した前記未固結試料の密度と、前記工程で測定した前記水の質量と、から、前記未固結試料に含まれるセメントの質量と掘削土砂の質量とを算出する工程と、
    を有し、
    前記未固結試料のセメント及び水の質量比を求める工程では、前記工程で測定した前記水の質量と、前記工程で算出した前記セメントの質量とから、セメント及び水の質量比を算出し、
    前記未固結試料に含まれる小粒径である掘削土砂の質量比を求める工程では、前記工程で求めた前記掘削土砂の質量と、前記工程で求めた前記支持層の構成物からなる試料中の小粒径の粒子の質量比と、から前記未固結試料に含まれる小粒径である掘削土砂の質量比を算出することを特徴とする請求項1に記載の根固め部の強度推定方法。
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