JP6889860B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、定着装置及び画像形成装置に関するものである。
従来、無端状の定着ベルト、これのおもて面に当接して定着ニップを形成するニップ形成部材、定着ベルトの無端移動速度を把握する速度把握手段、及びこれによる把握結果に基づいて定着ベルトの駆動速度を制御する制御手段を有する定着装置が知られている。
例えば、特許文献1に記載の定着装置では、無端状の定着ベルトのループ外側に配設されたニップ形成部材たる加圧ローラが定着ベルトのおもて面に当接して定着ニップを形成する。定着ベルトは、そのループ内側に配設された第一ローラと第二ローラとによってテンション張架された状態で、第一ローラの回転駆動に伴って無端移動する。このとき、第二ローラが定着ベルトとの連れ回りによって従動回転する。速度把握手段や制御手段として機能するコンピューターは、その第二ローラの従動回転速度を検知する回転速度検知手段による検知結果に基づいて定着ベルトの無端移動速度を把握し、その結果に基づいて定着ベルトの駆動速度を制御する。かかる構成によれば、定着ベルトを無端移動せしめる第一ローラの弾性層厚みの温度変化に伴う径変化にかかわらず、定着ベルトを安定した速度で無端移動させることができるとされている。
しかしながら、この定着装置においては、ニップ形成部材の部分的な永久変形によって定着ベルトを安定した速度で無端移動させることが困難になるおそれがあった。
上述した課題を解決するために、本発明は、無端状の定着ベルトと、これのおもて面に当接して定着ニップを形成するニップ形成部材と、前記定着ベルトの無端移動速度を把握する速度把握手段と、これによる把握結果に基づいて前記定着ベルトの駆動速度を制御する制御手段とを有し、前記定着ニップに挟み込んだ記録シートに対してトナー像を定着せしめる定着装置において、前記定着ニップのニップ圧を調整するニップ圧調整手段を設け、前記ニップ圧調整手段の駆動の制御により、前記定着ベルトの駆動を停止しているときには、前記ニップ形成部材を前記定着ベルトから離間させて、前記定着ベルトの駆動を停止しているときの前記ニップ圧である停止用ニップ圧をゼロにする処理を実施するように、前記制御手段を構成するとともに、前記定着ベルトの無端移動に伴って従動回転する従動回転体を設け、前記ニップ圧が記録シートに対してトナー像を定着せしめるときの前記ニップ圧である定着用ニップ圧に設定されているときの前記従動回転体の回転速度である定着圧時回転速度と、前記ニップ圧が前記定着用ニップ圧から前記停止用ニップ圧に変更された直後の前記従動回転体の回転速度である停止圧時回転速度とを記憶手段に記憶しておき、ユーザーからの画像形成命令に基づいて前記定着ベルトの駆動が開始された後、一枚目の記録シートに対してトナー像の定着処理が施されるときの前記定着ベルトの無端移動速度である一枚目移動速度を、前記記憶手段に記憶している前記定着圧時回転速度、及び前記停止圧時回転速度と、前記定着ベルトの駆動開始直後であって前記ニップ圧が前記停止用ニップ圧から前記定着用ニップ圧に変更される前の前記従動回転体の回転速度とに基づいて把握するように、前記速度把握手段を構成したことを特徴とするものである。
本発明によれば、ニップ形成部材の部分的な永久変形による定着ベルトの速度不安定化を抑えることができるという優れた効果がある。
実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。 同プリンタの定着装置を示す構成図。 同定着装置の回転速度検知手段を説明するための構成図。 同定着装置の加熱ローラの回転軸部材と、同回転速度検知手段とを示す平面図。 加圧ローラを定着ベルトから離間させた状態の同定着装置を示す構成図。 同プリンタの制御部によって実施されるプリントジョブ終了時の定着制御処理の処理フローを示すフローチャート。 同制御部によって実施されるプリントジョブ中の定着制御処理の処理フローを示すフローチャート。 プリントジョブ開始時の定着制御処理で実施される一枚目用速度制御処理の処理フローの詳細を示すフローチャート。 第一変形例に係るプリンタの定着装置を示す構成図。 第二変形例に係るプリンタの定着装置の回転速度検知手段を説明するための構成図。 同プリンタ同加熱ローラの回転軸線方向の一端部と、同回転速度検知手段とを示す正面図。 第三変形例に係るプリンタの定着装置の回転速度検知手段を説明するための構成図。 第四変形例に係るプリンタの定着装置の一部を示す部分斜視図。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のタンデム型カラープリンタ(以下、プリンタ200という。)の一実施形態について説明する。
まず、プリンタ200の基本的な構成について説明する。図1は、プリンタ200を示す概略構成図である。同図において、プリンタ200は、給送シート部200Bと、これの上に配設された画像形成部200Aとを本体筐体内に備えるものであり、事業ユース向けの高速プリントを行うことが可能である。
には、本体筐体の上下方向における中央には、画像形成部200Aの中間転写ベルト210が配設されている。また、中間転写ベルト210の上方には、画像形成部200Aの作像手段が配設されている。この作像手段は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を作像するものである。
作像手段は、Y,M,C,Kのトナー像の静電潜像を担持するY,M,C,K用の感光体205Y,205M,205C,205Kを有している。ドラム状の感光体205Y,205M,205C,205Kは、中間転写ベルト210の鉛直方向上方を向いているおもて面に対し、ベルト移動方向に沿って並ぶように配設されている。
作像手段において、Y,M,C,Kのトナー像のそれぞれを個別に作像する単色作像部は、取り扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、以下、Yトナー像を作像するY用の単色作像部を例にして、単色作像部の構成について説明する。Y用の単色作像部において、感光体205Yの周囲には、帯電装置202Y、現像装置203Y、一次転写チャージャー204Y、感光体クリーニング装置206Yなどが配設されている。
図中反時計回り方向に回転駆動する感光体205Yの周面は、帯電装置202Yとの対向位置を通過する際に、トナーの正規帯電極性とは逆極性に一様に帯電せしめられる。帯電後の周面は、Y用の単色作像部及びM用の単色作像部の上方に配設されたYM用の光書込装置201YMから発せられるレーザー光によって光走査される。この光走査によって光の照射を受けた箇所は、受けない箇所(地肌部)よりも電位を減衰させてY用の静電潜像を担持する。
Y用の静電潜像は、感光体205Yの回転に伴って現像装置203Yとの対向位置を通過する際に、Yトナーが付着せしめられて現像される。この現像により、感光体205Yの周面にはYトナー像が形成される
なお、M用の感光体205Mに対しては、YM用の光書込装置201YMによって光走査が行われる。これに対し、C,K用の感光体205C,205Kに対しては、C,K用の光書込装置201CKによって光走査が行われる。
Y用の感光体205Yの周面に形成されたYトナー像は、感光体205Yの回転に伴って、図中時計回り方向に無端移動せしめられる中間転写ベルト210のおもて面と、感光体205Yとの当接によるY用の一次転写ニップに進入する。一方、中間転写ベルト210のループ内側におけるY用の一次転写ニップの近傍に配設された一次転写チャージャー204Yは、中間転写ベルト210の裏面に対し、トナーの正規帯電極性とは逆極性の電荷を付与する。これにより、Y用の一次転写ニップには、感光体205Y上のYトナーを感光体205Y側から中間転写ベルト210側に静電移動させる一次転写電界が形成される。Y用の一次転写ニップに進入したYトナー像は、一次転写電界やニップ圧の作用により、中間転写ベルト210のおもて面に一次転写される。
感光体205Yの周面における全域のうち、感光体205Yの回転に伴って一次転写ニップを通過した箇所には、中間転写ベルト210に一次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、感光体クリーニング装置206Yによって感光体205Yの周面から除去される。
C,M,K用の単色作像部においても、Y用の単色作像部と同様にして、C,M,K用の感光体205C,205M,205Kの周面にCトナー像,Mトナー像,Kトナー像が形成される。そして、それらのトナー像は、中間転写ベルト210上のYトナー像の上に重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト210のおもて面には、四色トナー像が形成される。
中間転写ベルト210のループ内側に配設され、ベルトの移動に伴って従動回転する二次転写対向ローラ211は、中間転写ベルトのループ外側に配設された二次転写ローラ212との間に中間転写ベルト210を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト210のおもて面と、二次転写ローラ212とが当接する二次転写ニップが形成されている。
このプリンタ200においては、二次転写対向ローラ211と二次転写ローラ212とのうち、何れか一方に二次転写バイアスを印加し、且つ他方を接地した構成を採用している。二次転写対向ローラ211に二次転写バイアスを印加する構成の場合には、二次転写バイアスとして、トナーの正規帯電極性と同極性の二次転写バイアスを印加する。これに対し、二次転写ローラ212に二次転写バイアスを印加する構成の場合には、二次転写バイアスとして、トナーの正規帯電極性とは逆極性の二次転写バイアスを印加する。その結果、二次転写ニップには、中間転写ベルト210上のトナーをベルト側から二次転写ローラ212側に静電移動させる二次転写電界が形成される。
給送シート部200Bは、記録シートSを複数枚重ねて収容する収容トレイ220と、これに収容される記録シートSを最上位のものから1枚ずつピックアップして給送路に送り出すピックアップローラ221とを有している。ピックアップローラ221は、所定のタイミングで収容トレイ内の記録シートSを給送路に送り出す。
給送路の末端付近には、二つのレジストローラを当接させてレジストニップを形成しているレジストローラ対222が配設されている。給送路に送り込まれた記録シートSは、先端をレジストニップに突き当てた直後に、搬送が一時停止される。これにより、記録シートSのスキューが補正される。その後、レジストローラ対222は、記録シートSを二次転写ニップで中間転写ベルト210上の四色トナー像に同期させるタイミングで駆動を開始して、記録シートSを二次転写ニップに向けて送り出す。
二次転写ニップに進入した記録シートSには、二次転写電界やニップ圧の作用により、中間転写ベルト210上の四色トナー像が二次転写される。これにより、記録シートSの表面にフルカラートナー像が形成される。
二次転写ニップを通過した記録シートSは、二次転写ニップの図中左側方に配設された定着装置100に送り込まれる。そして、定着装置100を通過して表面にフルカラートナー像が定着せしめられた後、排出経路に沿ってスタッカ215へ送り出される。
二次転写ニップを通過した中間転写ベルト210の表面には、記録シートSに二次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、中間転写ベルト210の無端移動に伴ってベルトクリーニング装置213との対向位置を通過する際に、ベルトクリーニング装置213によってベルトから除去される。
図2は、実施形態に係るプリンタ200の定着装置100を示す構成図である。同図において、定着装置100は、無端状の定着ベルト51、定着ローラ52、加熱ローラ54、加圧ローラ55、表面温度センサー56、第一分離爪57、第二分離爪58、回転速度検知手段、ニップ圧調整手段、及び制御部などを有している。
定着ベルト51は、そのループ内側に配設された定着ローラ52及び加熱ローラ54によってテンション張架された状態で、定着ローラ52の図中時計回り方向の回転駆動に伴って図中時計回り方向に無端移動せしめられる。加熱ローラ54は、その無端移動に追従して従動回転する。
定着ベルト51のループ外側に配設されたニップ形成部材たる加圧ローラ55は、定着ベルト51の周方向における全域のうち、定着ローラ52に対する掛け回し箇所に対してベルトおもて面側から当接する。これにより、定着ベルト51のおもて面と、加圧ローラ55とが当接する定着ニップが形成されている。ニップ形成部材として、ローラタイプの加圧ローラ55に代えて、無端ベルト状のものを用いてもよい。
定着ローラ52は、定着ベルト51を無端移動せしめるための駆動ローラとして機能しているとともに、自らと加圧ローラ55との間に定着ベルト51を挟み込んで定着ニップの形成をサポートする部材としても機能している。
定着ローラ52の構造は、金属の芯金52aの表面上に、シリコンゴム等からなる弾性ゴム層52bを被覆した多層構造になっている。その弾性ゴム層52bの材料としては、ウォームアップ時間短縮のため、定着ベルト51の熱を吸収し難い、発泡のシリコンゴムを用いることもできる。
加熱ローラ54は、ステンレス又はニッケル合金からなる中空構造のローラであり、その中空内には加熱ヒーター53aが固定されている。そして、加熱ヒーター53aの輻射熱によって内側から加熱しながら、定着ベルト51を自らとの接触位置で加熱する。
表面温度センサー56は、定着ベルト51の周方向における全域のうち、加熱ローラ54に対する掛け回し箇所にベルトおもて面側から対向するように配設されている。そして、前記掛け回し箇所の表面温度を検知した結果を、表面温度データとして制御部に送信する。制御部は、表面温度センサー56から送られてくる表面温度データが所定の範囲になるように、必要に応じて加熱ヒーター53aや、後述する加圧ローラ55内の加熱ヒーター59に対する電源供給をオンオフ制御する。
定着ベルト51は、例えばポリイミドなどの耐熱性樹脂からなる無端状のベルト基体層と、これのおもて面側に積層されたシリコンゴムなどからなる弾性層とを具備する多層構造の無端ベルトである。
加圧ローラ55は、アルミ又は鉄などからなる鋳鋼構造のローラ基体と、これの外周面に被覆されたシリコンゴム等からなる弾性層とを有する多層構造のローラである。そのローラ基体の中空内には、加熱ヒーター59が設けられている。
二次転写ニップから送り出された記録シートSは、定着ニップに挟み込まれる。そして、加熱やニップ圧の作用によってその表面に四色トナー像が定着せしめられる。その後、定着ニップを出た記録シートSがそのまま定着ベルト51に巻き付いたままでいると、ジャムを発生させてしまう。第一分離爪57は、定着ベルト51からの記録シートSの剥離を促すためのものである。また、第二分離爪58は、加圧ローラ55からの記録シートSの剥離を促すためのものである。
定着ベルト51を無端移動させる駆動ローラとして機能する定着ローラ52は、複数枚の記録シートSに対して画像を連続的に形成する連続プリントジョブ中に継続的に熱が与えられると、熱膨張に伴う外径の増加によって定着ベルト51の速度を増加させる。定着ローラ52の熱膨張は、弾性体であるシリコンゴムの熱膨張係数(シリコンゴムの熱膨張係数の代表値:3.0×10E−4/℃)に左右され、その値は比較的大きい。その膨張量は、主に、与えられる単位時間当たりの熱量と設定温度とで決まるが、画質に影響を与えるほど定着ベルト51の速度を増加させてしまうこともある。
このプリンタ200は、上述したように、事業ユース向けの高速機であって、高速搬送している記録シートSに対して画像を形成するものであることから、高速搬送している記録シートSに対して定着装置100による定着処理を施す必要がある。そして、定着装置100内で必要な定着時間を確保するために、定着ローラ52や加圧ローラ55として、比較的径の大きなものを用いて、シート搬送方向の長さが比較的大きな定着ニップを形成するようになっている。
上述した弾性ゴム層52bを定着ローラ52に設けている理由は、駆動ローラとして機能する定着ローラ52に対してある程度のグリップ力を定着ローラ52にもたせてその周面上における定着ベルト51のスリップを抑えるためである。加えて、加圧ローラ55による加圧領域を弾性変形させてシート搬送方向の長さが比較的大きい定着ニップを形成するためでもある。
一方、上述のような大径の定着ローラ52の弾性ゴム層52bを定着ニップの位置で弾性変形させながら、その位置で加圧ローラ55を定着ローラ52に対して食い込ませると、定着ニップ内で次のような線速差を発生させる。即ち、定着ベルト51の表面(外周側に位置する)と、加圧ローラ55の表面(内周側に位置する)との線速差である。この線速差は、記録シートSが一般的な普通紙である場合には大きな問題とはならないが、二重構造の封筒であると皺を発生させ易くなる。
そこで、このプリンタ200においては、定着ローラ52だけでなく、加圧ローラ55にも弾性ゴム層を設け、定着ニップの位置で加圧ローラ55の弾性ゴム層も弾性変形させるようになっている。これにより、定着ローラ52及び加圧ローラ55のそれぞれを定着ニップの位置で弾性変形させることで、両者を互いに食い込ませないようにして、定着ニップにおける前記線速差の発生を抑えるようにしている。
弾性ゴム層を具備する加圧ローラ55も、定着ローラ52と同様に、熱膨張によって定着ベルト51の移動速度を増加させることがある。つまり、定着ベルト51は、定着ローラ52の熱膨張、及び加圧ローラ55の熱膨張によって移動速度を増加せしめられる。
そこで、制御部は、定着ベルト51の無端移動速度を把握した結果に基づいて、定着ローラ52の駆動源である(定着ベルト51の駆動源でもある)定着駆動モータの駆動速度を調整する。この調整により、定着ローラ52や加圧ローラ55の外径変化にかかわらず、定着ベルト51を安定した速度で無端移動させることができる。
図3は、定着装置100の回転速度検知手段63を説明するための構成図である。この回転速度検知手段63は、加熱ローラ54の回転軸部材54aに固定された磁石円盤63aと、定着装置100のケースに固定された磁気センサー63bとを有している。また、磁石円盤63aは、回転軸部材54aを中心にした互いに90[°]ずつ位相ずれした位置に配設された四つの磁石63a1を具備している。それらの磁石63a1は、定着ベルト51に連れ回る従動回転体としての加熱ローラ54が回転するのに伴って、図4に示されるように磁気センサー63bの磁気検知空間の中を順に通過し、その際に、自らが発する磁気が磁気センサー63bによって検知される。磁気センサー63bは、所定の閾値を超える磁気を検知すると、パルス信号からなる検知信号を制御部500に出力する。
図3において、個々の磁石63a1が磁気センサー63bとの対向位置を通過する時間間隔と、加熱ローラ54の回転角速度とは、反比例の関係にある。つまり、加熱ローラ54の回転角速度が二倍にばれば、磁気センサー63bから発せられるパルス信号の発信時間間隔が半分になる。そして、その発信時間間隔に対して所定の係数を乗じた解がと加熱ローラ54の回転角速度になる。また、加熱ローラ54の周面上で定着ベルト51がスリップしない限り、定着ベルト51に連れ回る加熱ローラ54の周面の線速と、定着ベルト51の線速とは同じである。そして、加熱ローラ54の周面の線速は、加熱ローラ54の回転角速度に所定の係数を乗じることで求められる。従って、磁気センサー63bから発せられるパルス信号の発信時間間隔に所定の係数を乗じることで、定着ベルト51の線速(無端移動速度)を求めることが可能である。なお、磁石63a1の数は、四つに限られるものではない。
速度把握手段としての制御部500は、前述のようにして定着ベルト51の線速を求めることで、定着ベルト51の速度を把握する。そして、把握結果と所定の目標速度との差が所定の閾値を超える場合に、その差分に相当する駆動速度の増減を生じさせるための制御信号を定着モータードライバー501に出力する。定着モータードライバー501は、その制御信号に基づいて、定着駆動モーター502の回転速度を増減させる。これにより、定着ベルト51の速度が目標速度に近づけられる。
かかる構成においては、定着ローラ52や加圧ローラ55の加熱や冷却に伴う径変化にかかわらず、定着ベルト51を安定した速度で無端移動させることができる。
しかしながら、定着ローラ52や加圧ローラ55の弾性ゴム層の周方向における特定の箇所を永久変形させると、定着ベルト51を安定した速度で無端移動させることが困難になってしまう。具体的には、定着ローラ52と加圧ローラ55とは、互いに定着ベルト51を介して当接しながら互いの弾性ゴム層を当接領域で弾性変形させる。長期休業などに起因して、それぞれのローラが弾性ゴム層の周方向における特定の箇所を弾性変形させた状態を長期間維持すると、その箇所を永久変形によって窪ませるとともに、その周囲を隆起させるおそれがある。
次に、プリンタ200の特徴的な構成について説明する。
図3において、定着装置100は、定着ニップのニップ圧を調整するニップ圧調整手段を有している。このニップ圧調整手段は、加圧レバー81、加圧スプリング82、加圧カム83、加圧カムシャフト84、カムモータードライバー503、カム駆動モーター504などから構成される。
カム駆動モーター504は、自らの回転駆動力を加圧カムシャフト84に伝えることで、加圧カム83を回転させる。この回転により、カムの周縁部における加圧レバー81との当接箇所が変化すると、それに応じて加圧レバー81によって加圧ローラ55を定着ローラ52に向けて加圧する力が変化する。これにより、定着ニップのニップ圧も変化する。加圧カム83の回転角度によっては、図5に示されるように、加圧ローラ55が定着ベルト51から離間する。つまり、定着ニップのニップ圧がゼロになる。
図3において、制御手段たる制御部500は、プリントジョブを開始すると、カムモータードライバー503に制御信号を送ってカム駆動モーター504を所定の回転角度だけ回転させる。これにより、同図に示されるように、加圧ローラ55を所定の押圧力で定着ベルト51に当接させる。以下、このときの定着ニップのニップ圧を定着用ニップ圧という。
また、制御部500は、プリントジョブの終了直前には、カムモータードライバー503に制御信号を送ってカム駆動モーター504を所定の回転角度だけ逆転させる。これにより、図5に示されるように、加圧ローラ55を定着ベルト51から離間させる。以下、このときの定着ニップのニップ圧(=ゼロ)を停止用ニップ圧という。かかる構成では、運転停止時には、加圧ローラ55を定着ベルト51から離間させているので、加圧ローラ55を強い力で定着ベルト51に当接させたまま長期間に渡って弾性変形させることによる定着ローラ52の永久変形の発生を回避する。よって、定着ローラ52の周面における部分的な永久変形に起因する定着ベルト51の速度不安定化を回避することができる。
上述したように、制御部500は、回転速度検知手段63による加熱ローラ54の従動回転速度の検知結果に基づいて、定着駆動モーター502の駆動速度を調整する。このような定着定速制御により、定着ローラ52や加圧ローラ55の径変化にかかわらず、定着ベルト51を安定した速度で無端移動させることができる。一方で、運転停止時には、加圧ローラ55を定着ベルト51から離間させて、運転停止時に定着ベルト51を介して両ローラを当接させ続けることによる両ローラの局所的な永久変形の発生を回避している。
プリントジョブ開始時には、定着ベルト51から離間させていた加圧ローラ55を定着ベルト51に当接させて定着ニップを形成する必要があるが、その後、定着定速制御を開始してから画像の形成を開始すると、ファーストプリント時間を長くしてしまう。定着定速制御では、加熱ローラ54の従動回転速度の検知開始から従動回転速度の把握(速度算出)までに数秒を要してしまうからである。
より詳しく説明すると、一般に、加熱ローラ54の従動回転速度の種類は、定着圧時回転速度Vと停止圧時回転速度Vとに大別される。定着圧時回転速度Vは、加圧ローラ55を所定の押圧力で定着ベルト51に当接させてニップ圧を定着用ニップ圧にしているときにおける加熱ローラ54の従動回転速度である。また、停止圧時回転速度Vは、加圧ローラ55を定着ベルト51から離間させてニップ圧を停止用ニップ圧(実施形態ではゼロ)にしているときにおける加熱ローラ54の従動回転速度である。加圧ローラ55が定着ベルト51から離間すると、定着ローラ52が加圧ローラ55による押圧力から解放されて、その駆動源である定着駆動モーター502の負荷が低減するので、停止圧時回転速度Vは定着圧時回転速度Vよりも速くなるのが一般的である。このプリンタ200においては、プリントジョブを開始した後、一枚目の記録シートSを定着装置100に進入させる時点では、既に加圧ローラ55を所定の押圧力で定着ベルト51に当接させている。このため、その時点では加熱ローラ54が定着圧時回転速度Vで従動回転する。よって、その定着圧時回転速度Vに基づいて定着ベルト51の無端移動速度を把握する必要があるが、その定着圧時回転速度Vを検知するためには、加圧ローラ55の定着ベルト51への当接完了を待つ必要がある。そして、当接完了から直ちに定着圧時回転速度Vの検知を開始したとしても、それに数秒を要し、その数秒がファーストプリント時間(画像形成命令から一枚目のプリントを終えるまでに要する時間)を長くしてしまうのである。
そこで、制御部500は、ユーザーからの画像形成命令を受けた後、一枚目の記録シートSに対して画像の定着処理を施すときには、通常の定着定速制御とは異なる方式で定着ベルト51の無端移動速度を把握する。そして、その把握結果に基づいて、定着駆動モーター502、ひいては定着ベルト51の駆動速度を調整する。具体的には、まず、画像形成命令を受ける前の直近のプリントジョブ停止時において、加圧ローラ55を定着ベルト51から離間させる直前における加熱ローラ54の従動回転速度の検知結果を、定着圧時回転速度Vとしてフラッシュメモリーに記憶する。また、その直後に加圧ローラ55を定着ベルト51から離間させてから、定着駆動モーター502の駆動を停止する前における加熱ローラ54の従動回転速度の検知結果を停止圧時回転速度Vとしてフラッシュメモリーに記憶する。
その後、制御部500は、ユーザーからの画像形成命令を受けると、定着駆動モーター502及びカム駆動モーター504の駆動を開始する。これにより、定着ベルト51が無端移動を開始するとともに、加圧ローラ55が定着ベルト51や定着ローラ52に向けて移動し始める。この段階では、加圧ローラ55はまだ定着ベルト51に当接していないが、制御部500は、回転速度検知手段63からの出力に基づいて加熱ローラ54の従動回転速度を把握する。この把握結果は、現時点における停止圧時回転速度Vに相当する。以下、この現時点における停止圧時回転速度Vを、前回のプリントジョブ停止時にフラッシュメモリーに記憶しておいた停止圧時回転速度Vと区別するために、ジョブ開始直後停止圧時回転速度V’という。このジョブ開始直後停止圧時回転速度V’と、その後に加圧ローラ55の定着ベルト51への当接を完了したときにおける定着圧時回転速度Vとの比は、各ローラ径にそれほどの変化がなければ、前回のプリントジョブ停止時における比と大差ない。以下、その定着圧時回転速度Vを、前回のプリントジョブ停止時にフラッシュメモリーに記憶しておいた定着圧時回転速度Vと区別するために、ジョブ開始直後定着圧時回転速度V’という。
そこで、制御部500は、一枚目の記録シートSに対してトナー像の定着処理が施されるときにおけるジョブ開始直後定着圧時回転速度V’の予測値V”を、次の数式に従って求める。
「予測値V”=V’×V/V
そして、そのジョブ開始直後定着圧時回転速度V’の予測値V”に基づいて、定着ベルト51の無端移動を把握し、把握結果と目標速度との差分に相当する量だけ、定着駆動モーター502の駆動速度を増減させる。
かかる構成では、実際のジョブ開始直後定着圧時回転速度V’を回転速度検知手段63による検知結果に基づいて検知する場合に比べて、ファーストプリント時間を短縮することができる。
予測値V”と、実際のジョブ開始直後定着圧時回転速度V’との誤差は、それほど大きくないが、それでもある程度の値で発生してしまう。そして、その誤差により、定着ベルト51の実際の無端移動速度が、どうしても目標速度から少しだけずれてしまう。本発明者らは、ジョブ開始時の各種ローラの径が前回のジョブ停止時とそれほど変わらない場合には、予測値V”に基づいて定着駆動モーター502の駆動速度を制御するよりも、実際のベルト速度を目標値に近づけ得る方法があることを見出した。ジョブ開始直後停止圧時回転速度V’をフラッシュメモリーに記憶している停止圧時回転速度Vと同じにするように定着駆動モーター502の駆動速度を制御した後、一枚目の記録シートSに対する定着処理を終えるまで、その駆動速度を維持する方法である。
そこで、制御部500は、定着駆動モーター502の駆動(=定着ベルト51の駆動)を停止してから次に開始する直前までの駆動停止時間tを計時する。そして、プリントジョブ開始時に把握した駆動停止時間tが所定値以下又は所定値未満である場合には、即ち、各種ローラの径が前回のプリントジョブ終了時からそれほど変化していない可能性が高い場合には、次のような処理を行う。予測値V”に基づいて定着駆動モーター502の駆動速度を制御することに代えて、フラッシュメモリーに記憶している停止圧時回転速度Vと、ジョブ開始直後停止圧時回転速度V’とに基づいて、定着駆動モーター502の駆動速度を制御する処理である。より詳しくは、ジョブ開始直後停止圧時回転速度V’を、フラッシュメモリーに記憶している停止圧時回転速度Vと同じにするように、定着駆動モーター502の駆動速度を制御した後、一枚目の定着処理が終了するまでその駆動速度を維持する。
図6は、制御部500によって実施されるプリントジョブ終了時の定着制御処理の処理フローを示すフローチャートである。プリントジョブ終了時において、制御部500は、最終枚目の記録シートSの定着ニップ通過を確認すると(ステップ1でY:以下、ステップをSと記す)、カム駆動モーター504の逆転駆動によって加圧ローラ55を定着ベルト51から離間させる(S2)。次いで、回転速度検知手段63からの出力に基づく停止圧時回転速度Vの算出及び記憶を行う(S3)。その後、定着駆動モーター502の駆動を停止させてから(S4)、表面温度センサー56による検知結果に基づく加熱ヒーター(53a、59)のオンオフ処理を終了して(S5)、定着制御処理を終える。なお、加圧ローラ55を定着ベルト51から離間させる直前における加熱ローラ54の定着圧時回転速度Vについては、後述するプリントジョブ中の定着制御処理において検知及び記憶をしている(後述するS9)。
図7は、制御部500によって実施されるプリントジョブ中の定着制御処理の処理フローを示すフローチャートである。プリントジョブを開始した制御部500は、まず、定着駆動モーター502及びカム駆動モーター504の駆動を開始した後(S1)、表面温度センサー56による検知結果に基づく加熱ヒーターのオンオフ処理を開始する(S2)。その後、回転速度検知手段63からの出力に基づくジョブ開始直後停止圧時回転速度V’の算出を行う(S3)。次いで、一枚目の記録シートSに対してトナー像の定着処理を施すときにおける定着駆動モーター502の駆動速度の制御処理である一枚目用速度制御処理を実施(S4)する。そして、次頁のプリントジョブがない場合には(S5でN)、プリントジョブ終了時の定着制御処理へ移行する。
一方、次頁のプリントジョブがある場合には(S5でY)、一枚目用速度制御処理で算出しておいた定着用ニップ圧の条件下における定着ベルト51の無端移動速度と、目標速度との差分を算出する(S6)。その後、記録シートSが定着ニップを通過すると(S7でY)、前記差分に相当する量だけ定着駆動モーター502の駆動速度を増減させて定着ベルト51の無端移動速度を目標速度に近づける(S8)。そして、回転速度検知手段63からの出力に基づいて加熱ローラ54の定着圧時回転速度Vを算出及び記憶した後(S9)、処理フローを上記S5にループさせる。
図8は、プリントジョブ開始時の定着制御処理で実施される一枚目用速度制御処理の処理フローの詳細を示すフローチャートである。制御部500は、一枚目表速度制御処理を開始すると、まず、フラッシュメモリーから、前回のプリントジョブ終了時に予め記憶しておいた定着圧時回転速度V及び停止圧時回転速度Vを読み込む(S4a)。そして、直前まで計時していた駆動停止時間tについて所定値未満であるか否かを判定する(S4b)。この判定において、所定値未満であった場合には(S4bでY)、S4c、S4d、S4eという流れの処理フロー(以下、第一フローという)を実施する。これに対し、所定値未満でなかった場合には(S4bでN)、S4f、S4g、S4h、S4iという流れの処理フロー(以下、第二フローという)を実施する。
第一フローにおいて、制御部500は、フラッシュメモリーから読み込んだ停止圧時回転速度Vと、直前に検知しておいたジョブ開始直後停止圧時回転速度V’との差分を算出する(S4c)。そして、その算出結果に相当する量だけ定着駆動モーター502の駆動速度を増減させて(S4d)、ジョブ開始直後停止圧時回転速度V’を停止圧時回転速度Vとほぼ同じ値にした後、そのときの駆動速度を維持する(S4e)。
一方、第二フローにおいて、制御部500は、上述した数式に基づいてジョブ開始直後定着圧時回転速度V’の予測値V”を算出した後(S4f)、算出結果に基づいて定着用ニップ圧の条件下における定着ベルト51の無端移動速度を算出する(S4g)。そして、算出結果と目標速度との差分に相当する量だけ定着駆動モーター502の駆動速度を増減させることで、定着用ニップ圧の条件下における定着ベルト51の無端移動速度を目標速度に近づける(S4h、S4i)。
カム駆動モーター504の正転駆動によって定着ベルト51に向けて移動している加圧ローラ55は、第一フロー又は第二フローが終了した直後のタイミングで定着ベルト51に当接して定着ニップを形成する。このとき、制御部500によってカム駆動モーター504の正転駆動が停止される。そして、その直後に、二次転写ニップから排出された記録シートSが定着ニップに向けて送り込まれる。このとき、第一フロー又は第二フローが既に実行されていることで、定着ベルト51は目標速度に近い速度で無端移動している。
第一フロー又は第二フローを終えた制御部500は、回転速度検知手段63からの出力に基づいて加熱ローラ54の定着圧時回転速度Vを算出及び記憶する(S4j)。そして、検知結果に基づいて定着用ニップ圧の条件下における定着ベルト51の無端移動速度を算出した後(S4k)、一枚目用速度制御処理を終了する。
なお、第一フロー、第二フローの何れを実施するのかを駆動停止時間tに基づいて決定することに代えて、駆動停止時間tの代替特性に基づいて決定してもよい。例えば、最終枚目の記録シートSを定着ニップから排出してから、プリントジョブの停止を経て、次のプリント命令を受信するまでの時間に基づいて、何れのフローを実施するのかを決定してもよい。
次に、実施形態に係るプリンタ200の一部の構成を他の構成に置き換えた各変形例に係るプリンタ200について説明する。なお、以下に特筆しない限り、各変形例に係るプリンタ200の構成は実施形態と同様である。
[第一変形例]
図9は、第一変形例に係るプリンタ200の定着装置100を示す構成図である。この第一変形例においては、定着ベルト51を加熱する加熱手段として、加熱ローラ54に内包させた加熱ヒーターではなく、電磁誘導によるIHシステムの誘導加熱手段53bを設けている。この誘導加熱手段53bは、定着ベルト51における周方向の全域のうち、加熱ローラ54に対する駆け回し領域にベルトおもて面側から対向して、その駆け回し領域を電磁誘導によって加熱する。
[第二変形例]
図10は、第二変形例に係るプリンタ200の定着装置100の回転速度検知手段63を説明するための構成図である。この回転速度検知手段63は、加熱ローラ54に設けられたマーク63cと、このマーク63cを検知するように定着ベルト51のループ内側に固定された反射型光学センサー63dとを有している。マーク63cは、図11に示されるように、加熱ローラ54のローラ部54bの回転軸線方向における全域のうち、一端側の領域であって、且つローラ部54bの周方向における全域のうち、一部の領域(図10参照)だけに設けられている。加熱ローラ54が所定の回転角度姿勢になると、ローラ部54bに設けられたマーク63cが図示のように反射型光学センサー63dとの対向位置にくる。このとき、マーク63cが反射型光学センサー63dによって検知される。そして、その検知信号がパルス信号として制御部500に送られる。
マーク63cが反射型光学センサー63dとの対向位置を通過する時間間隔と、加熱ローラ54の回転角速度とは、反比例の関係にある。つまり、加熱ローラ54の回転角速度が二倍になれば、反射型光学センサー63dから発せられるパルス信号の発信時間間隔が半分になる。そして、その発信時間間隔に対して所定の係数を乗じた解がと加熱ローラ54の回転角速度になる。従って、反射型光学センサー63dから発せられるパルス信号の発信時間間隔に所定の係数を乗じることで、定着ベルト51の線速(無端移動速度)を求めることが可能である。
なお、ローラ周方向に配設されるマーク63cの数は一つに限られるものではない。また、マーク63cとして磁性材料からなるものを設け、そのマーク63cを反射型光学センサー63dではなく磁気センサーに検知させるようにしてもよい。
[第三変形例]
図12は、第三変形例に係るプリンタ200の定着装置100の回転速度検知手段63を説明するための構成図である。この回転速度検知手段63は、ペラユニット63eと、透過型光学センサー63fとを有している。
加熱ローラ54の回転軸部材における回転軸線方向の全域のうち、図中の奥側の端部領域には、第一ギヤ67が固定されていて加熱ローラ54の回転軸部材と一体となって回転する。この第一ギヤ67の近傍には、回転可能に支持される軸部材66が配設されている。そして、この軸部材66における回転軸線方向の全域のうち、図中手前側の端部領域には、回転速度検知手段63のペラユニット63eが固定されていて軸部材66と一体となって回転する。また、軸部材66における図中奥側の端部領域には、第二ギヤ65が固定されていて第一ギヤ67に噛み合っている。第一ギヤ67の回転駆動力が第一ギヤ67に噛み合っている第二ギヤ65に伝わると、軸部材66やペラユニット63eが第二ギヤ65と一体となって回転する。
ペラユニット63eは、軸部材66の回転中心を中心にした互いに90[°]ずつ位相ずれした位置に設けられた四つのペラ63e−1を具備している。加熱ローラ54が従動回転すると、その回転力が第一ギヤ67、第二ギヤ65、及び軸部材66に順に伝わってペラユニット63eが回転する。この回転に伴って、ペラユニット63eにおける四つのペラ63e−1が透過型光学センサー63fの透過検知位置を順に通過する。透過検知位置では、透過型光学センサー63fの発光素子と受光素子とが所定の間隙を介して対向しており、発光素子から発せられた光が受光素子に受光される。四つのペラ63e−1の先端部が、その間隙を順に通過していくのである。そのとき、ペラ63e−1の先端部が発光素子から受光素子に向けての光の流通を一時的に遮断する。これにより、ペラ63eが検知される。この検知信号がパルス信号として制御部500に出力される。なお、ペラ63e−1の数は、四つに限定されるものではない。
加熱ローラ54の回転軸部材に固定された第一ギヤ67は、加熱ローラ54と同じ回転角速度で回転する。一方、第一ギヤ67に噛み合っている第二ギヤ65は、第一ギヤ67よりも小径であることから、加熱ローラ54よりも速い回転角速度で回転する。そして、第二ギヤ65と一体となって回転するペラユニット63eは、第二ギヤ65と同じ回転角速度で回転する。回転速度検知手段63は、直接的にはそのペラユニット63eの回転角速度を検知するものであるが、第一ギヤ67と第二ギヤ65とのギヤ比が変わらないことから、その回転角速度に所定の係数を乗じたものが加熱ローラ54の回転角速度である。よって、回転速度検知手段63は、ペラユニット63eの回転角速度に基づいて加熱ローラ54の回転角速度を間接的に検知していることになる。
ペラユニット63eの回転角速度が、加熱ローラ54の回転角速度よりも速いことから、その速度変化が後者の回転角速度の直接検知に比べて、より精度良く検知される。つまり、ペラユニット63eの回転角速度に基づいて加熱ローラ54の回転角速度を間接的に検知することで、加熱ローラ54の回転角速度を直接的に検知する場合に比べて、加熱ローラ54の回転角速度変化を精度良く検知することができる。
[第四変形例]
図13は、第四変形例に係るプリンタ200の定着装置100の一部を示す部分斜視図である。第四変形例の定着装置100においては、定着ベルト51を加熱する加熱手段として、第一変形例と同様の誘導加熱手段53bを設けている。
同図において、回転速度検知手段63は、スリットエンコーダー63gと、透過型光学センサー63hとを具備している。
加熱ローラ54の回転軸部材の回転軸線方向における一端部には、図示のように第一ギヤ61が固定されていて加熱ローラ54と一体となって回転する。この第一ギヤ61には、それよりも小径の第二ギヤ62が噛み合っている。この第二ギヤ62が自らの回転軸線方向の一端部に固定された軸部材の他端部には、回転速度検知手段63のスリットエンコーダー63gが固定されている。第一ギヤ61の回転駆動力を受ける第二ギヤ62が回転すると、前記軸部材やスリットエンコーダー63gが第二ギヤ62と一体となって回転する。
スリットエンコーダー63gのスリット円盤には、回転方向に並ぶ複数のスリットを具備している。スリットエンコーダー63gが回転すると、それらのスリットが透過型光学センサー63hの透過検知位置を順に通過する。透過検知位置では、透過型光学センサー63hの発光素子と受光素子とが所定の間隙を介して対向しており、発光素子から発せられた光が受光素子に受光される。スリット円盤の複数のスリットが、その間隙を順に通過していくのである。そのとき、スリットが発光素子から受光素子に向けての光の流通を一時的に許容する。これにより、スリットが検知される。この検知信号がパルス信号として制御部500に出力される。
加熱ローラ54の回転軸部材に固定された第一ギヤ61は、加熱ローラ54と同じ回転角速度で回転する。一方、第一ギヤ61に噛み合っている第二ギヤ62は、第一ギヤ61よりも小径であることから、加熱ローラ54よりも速い回転角速度で回転する。そして、第二ギヤ62と一体となって回転するスリットエンコーダー63gは、第二ギヤ62と同じ回転角速度で回転する。回転速度検知手段63は、直接的にはそのスリットエンコーダー63gの回転角速度を検知するものであるが、第一ギヤ61と第二ギヤ62とのギヤ比が変わらないことから、その回転角速度に所定の係数を乗じたものが加熱ローラ54の回転角速度である。よって、回転速度検知手段63は、スリットエンコーダー63gの回転角速度に基づいて加熱ローラ54の回転角速度を間接的に検知していることになる。
スリットエンコーダー63gの回転角速度が、加熱ローラ54の回転角速度よりも速いことから、その速度変化が後者の回転角速度の直接検知に比べて、より精度良く検知される。つまり、スリットエンコーダー63gの回転角速度に基づいて加熱ローラ54の回転角速度を間接的に検知することで、加熱ローラ54の回転角速度を直接的に検知する場合に比べて、加熱ローラ54の回転角速度変化を精度良く検知することができる。
[第五変形例]
第五変形例に係るプリンタの制御部500は、プリントジョブ終了時の定着制御処理において、加熱ヒーターのオンオフ処理を終了した後(図6のS5)、定着制御処理を終了する前に、速度比を算出する。その速度比は、定着圧時回転速度Vと停止圧時回転速度Vとの比である(V/V)。その後、定着制御処理を終了してから、次の定着制御処理を開始すると、一枚目用速度制御処理(図8の処理)のS4fの工程において、上述した数式を用いずに、次の数式を用いて、ジョブ開始直後定着圧時回転速度V’の予測値V”を算出する。
「V”=V’×速度比」
かかる構成では、予測値V”を求める際に、速度比の算出の手間を省略することができる。
[第六変形例]
第六変形例に係るプリンタ200の制御部500は、収容トレイ220にセットされた記録シートSについて、厚みが比較的大きいシートであるか、あるいは厚みが比較的大きくないシートであるのかの情報を取得することができる。具体的には、プリンタ200の筐体上面には、タッチパネルやテンキーなどからなる操作表示部が固定されている。ユーザーは、この操作表示部に対して入力操作を行うことで、記録シートSの厚みについて、比較的大きい、比較的大きくないの何れであるのかを示す厚み情報を入力することが可能である。操作表示部に入力された厚み情報は、制御部500に送られて制御部500のフラッシュメモリーに記憶される。
制御部500は、厚み情報に応じた、定着用ニップ圧を二通りに切り替える。具体的には、厚み情報が比較的大きいという内容である場合には、厚み情報が比較的大きくないという内容である場合に比べて、定着用ニップ圧を低くする。より詳しくは、前者の場合には、後者の場合に比べて、定着ローラ52の回転軸心と、加圧ローラ55の回転軸心との距離である軸間距離をより小さくして定着ニップを形成する。
このように定着用ニップ圧を切り替えることで、記録シートSとして厚紙が用いられる場合におけるシートの定着ニップへの突入時、排出時のトルクの急変を軽減して、定着ニップの前後における記録シートSの搬送速度の急変を抑えることができる。
定着用ニップ圧が二通りの値で切り替えられると、その値に応じて、速度比(V/V)が異なってくる。具体的には、速度比の算出に用いられる定着圧時回転速度Vは、定着ベルト51からの加圧ローラ55の離間が行われる直前に検知されたものである。その直後に、加圧ローラ55から定着ベルト51から離間せしめられて、停止圧時回転速度Vが検知されるが、このときの定着駆動モーター502は、定着圧時回転速度Vの検知時と同じ駆動速度で駆動される。そして、定着圧時回転速度Vの検知時における定着駆動モーター502の駆動速度は、そのときの各ローラの径及び定着用ニップ圧の条件下で定着ベルト51を目標速度で無端移動させ得る値になっている。定着用ニップ圧が厚紙に対応する比較的高い値に設定されている場合には、厚紙に対応しない比較的低い値に設定されている場合に比べて、定着駆動モーター502の駆動速度が速くなる。このため、前者と後者とで速度比が異なってくる。にもかかわらず、定着ニップ圧に関係なく速度比(あるいはV及びV)として直前のプリントジョブのときのものを用いたとする。すると、次回のプリントジョブ時の定着用ニップ圧が前回のプリントジョブ時と異なっている場合には、予測値V”を精度良く求めることが困難になってしまう。
そこで、制御部500は、プリントジョブ終了時の定着制御処理において、定着圧時回転速度Vや停止圧時回転速度Vを、プリントジョブ終了時の定着用ニップ圧の情報(比較的高い、比較的高くない)と関連付けて記憶する。そして、次回のプリントジョブ中の定着制御処理における第二フローにおいて、フラッシュメモリーに記憶している複数の定着圧時回転速度V及び停止圧時回転速度Vの組み合わせのうち、次の組み合わせのものをフラッシュメモリーから読み込む(S4aの工程)。即ち、そのプリントジョブで採用されている定着用ニップ圧に関連付けられている組み合わせであって、且つその組み合わせが複数存在する場合には最新の組み合わせである。そして、読み込んだ組み合わせを用いて、予測値V”を算出する(図8のS4f)。
かかる構成では、定着用ニップ圧の値にかかわらず、予測値V”を精度良く求めることができる。
なお、定着圧時回転速度V及び停止圧時回転速度Vを代入する数式ではなく、速度比を代入する数式を用いて予測値V”を求める場合には、プリントジョブ終了時の定着制御処理において、速度比を定着用ニップ圧と関連付けて記憶させればよい。そして、次回のプリントジョブにおいて、フラッシュメモリーに記憶されている複数の速度比のうち、そのプリントジョブにおける定着用ニップ圧に関連付けられている速度比であって、その速度比が複数存在する場合には最新の速度比を読み込めばよい。
一枚目用速度制御処理においては、駆動停止時間tによっては、第二フローではなく第一フローを実施することになる。この場合、前回のプリントジョブにおける定着用ニップ圧にかかわらず、直近の停止圧時回転速度Vと同じ速度で加熱ローラ54を従動回転させる必要がある。これは次に説明する理由による。即ち、直近の停止圧時回転速度Vではなく、それよりも古くて且つ今回のプリントジョブにおける定着用ニップ圧に関連付けられた停止圧時回転速度Vを用いたとする。すると、その停止圧時回転速度Vの検知時における各ローラ径と、現状の各ローラ径とに大きな差があることに起因して、定着ベルト51を目標速度から大きくずらした速度で無端移動させてしまうおそれがでてくる。
そこで、制御部500は、第一フローを実施する場合には、その実施に先立って、定着圧時回転速度V及び停止圧時回転速度Vの再読込を実施する。具体的には、図8のS4aの工程では、そのプリントジョブの定着用ニップ圧に関連付けられた定着圧時回転速度V及び停止圧時回転速度Vの組み合わせを読み込んでいるが、この組み合わせは直近のものであるとは限らない。前回のプリントジョブと今回のプリントジョブとで定着用ニップ圧が異なっている場合には、直近の組み合わせとは異なる組み合わせを読み込んでいる。そこで、第一フローを実施するのに先立って、定着圧時回転速度V及び停止圧時回転速度Vの再読込を実施する。このときには、定着用ニップ圧にかかわらず、フラッシュメモリーに記憶している直近の定着圧時回転速度V及び停止圧時回転速度Vを読み込む。そして、それらを用いて、第一フローにおいて停止圧時回転速度Vとジョブ開始直後停止圧時回転速度V’との差分を算出する(S4c)。
かかる構成では、直近の停止圧時回転速度Vではなく、それよりも古い停止圧時回転速度Vを用いて第一フローを実施することに起因する定着ベルト51の無端移動速度の目標速度からの大きなずれを回避することができる。
[第七変形例]
第七変形例に係るプリンタ200は、以下に説明する点の他が、第6変形例に係るプリンタ200と同様の構成になっている。
制御部500は、プリントジョブ終了時の定着制御処理にて、定着ベルト51に当接させている加圧ローラ55を定着ベルト51から離間させるのに先立って、そのときの定着駆動モーター502の駆動速度を一枚目駆動速度としてフラッシュメモリーに記憶する。その後、ジョブ停止を経て次のプリントジョブを開始したときにおける第一フローでは、停止圧時回転速度Vとジョブ開始直後停止圧時回転速度V’との差分に基づいて定着駆動モーター502の駆動速度を増減させるのに代えて、次のような処理を行う。即ち、前述の一枚目駆動速度をフラッシュメモリーから読み込んで、それと同じ駆動速度で定着駆動モーター502を駆動する。かかる構成では、前記差分を計算したり、ぞの差分に相当する駆動速度の増減量を計算したりという演算処理を行うことなく、第一フローにおいて、前回のプリントジョブ終了時と同じ駆動速度で定着駆動モーター502を駆動することができる。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[態様A]
無端状の定着ベルト(例えば定着ベルト51)と、これのおもて面に当接して定着ニップを形成するニップ形成部材(例えば加圧ローラ55)と、前記定着ベルトの無端移動速度を把握する速度把握手段(例えば制御部500)と、これによる把握結果に基づいて前記定着ベルトの駆動速度を制御する制御手段(例えば制御部500)とを有し、前記定着ニップに挟み込んだ記録シート(例えば記録シートS)に対してトナー像を定着せしめる定着装置(例えば定着装置100)において、前記定着ニップのニップ圧を調整するニップ圧調整手段(例えば加圧レバー81、加圧スプリング82、加圧カム83、加圧カムシャフト84、カムモータードライバー503、カム駆動モーター504などから構成されるもの)を設け、前記ニップ圧調整手段の駆動の制御により、前記定着ベルトの駆動を停止しているときの前記ニップ圧である停止用ニップ圧を、記録シートに対してトナー像を定着せしめるときの前記ニップ圧である定着用ニップ圧よりも低くする処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
態様Aにおいては、定着動作が必要なくて、定着ベルトの駆動を停止しているときには、定着ベルトを駆動しているときに比べて、低い当接圧でニップ形成部材を定着ベルトに当接させる。あるいは、ニップ形成部材を定着ベルトから離間させてニップ形成部材と定着ベルトとの当接圧をなくす。これらにより、ニップ形成部材の一部の箇所だけを長時間に渡って定着ベルトに当接させて変形させ続けることによるその箇所の永久変形の発生を抑えたり、回避したりする。よって、ニップ形成部材の部分的な永久変形による定着ベルトの速度不安定化を抑えることができる。
[態様B]
態様Bは、態様Aにおいて、前記定着ベルトの駆動を停止しているときには、前記ニップ形成部材を前記定着ベルトから離間させて前記停止用ニップ圧をゼロにする処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、ニップ形成部材の一部の箇所だけを長時間に渡って定着ベルトに当接させて変形させ続けることによるその箇所の永久変形の発生を回避することができる。
[態様C]
態様Cは、態様Bにおいて、前記定着ベルトの無端移動に伴って従動回転する従動回転体(例えば加熱ローラ54)を設け、前記ニップ圧が前記定着用ニップ圧に設定されているときの前記従動回転体の回転速度である定着圧時回転速度(例えば定着圧時回転速度V)と、前記ニップ圧が前記定着用ニップ圧から前記停止用ニップ圧に変更された直後の前記従動回転体の回転速度である停止圧時回転速度(例えば停止圧時回転速度V)とを記憶手段(例えばフラッシュメモリー)に記憶しておき、ユーザーからの画像形成命令に基づいて前記定着ベルトの駆動が開始された後、一枚目の記録シートに対してトナー像の定着処理が施されるときの前記定着ベルトの無端移動速度である一枚目移動速度を、前記記憶手段に記憶している前記定着圧時回転速度、及び前記停止圧時回転速度と、前記定着ベルトの駆動開始直後であって前記ニップ圧が前記停止用ニップ圧から前記定着用ニップ圧に変更される前の前記従動回転体の回転速度(例えばジョブ開始直後停止圧時回転速度V’)とに基づいて把握するように、前記速度把握手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、プリントジョブを開始した後、実際の定着圧時回転速度が検知可能になるタイミングを待たずに、定着ベルトの無端移動速度を目標速度に近づけて一枚目の記録シートに対する定着処理の実施を可能にする。これにより、検知可能になるタイミングを待ってから一枚目の記録シートに対する定着処理を開始する場合に比べて、ファーストプリント時間を短縮することができる。
[態様D]
態様Cにおいて、前記定着圧時回転速度と前記停止圧時回転速度との比を前記記憶手段に記憶しておき、前記一枚目移動速度を、前記記憶手段に記憶している前記定着圧時回転速度、及び前記停止圧時回転速度に基づいて把握することに代えて、前記記憶手段に記憶している前記比に基づいて把握するように、前記速度把握手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、プリントジョブの開始直後における比の算出の手間を省くことができる。
[態様E]
態様Eは、態様C又はDにおいて、前記定着用ニップ圧を所定の規則に従って二通り以上で切り替えるように、前記制御手段を構成し、前記定着圧時回転速度をこれの把握時の前記定着用ニップ圧と関連付けて記憶するか、又は前記定着圧時回転速度と前記停止圧時回転速度との比を、前記定着圧時回転速度の把握時の前記定着用ニップ圧と関連付けて記憶し、且つ、前記一枚目移動速度を、前記一枚目の記録シートに対してトナー像の定着処理が施されるときの前記定着用ニップ圧に関連付けられた直近の前記定着圧時回転速度又は前記比に基づいて把握するように、前記速度把握手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、一枚目の記録シートに対するトナー像の定着処理を行うときに、そのときの定着用ニップ圧に見合った定着圧時回転速度又は比を用いて定着ベルトの無端移動速度を把握する。これにより、そのときの定着用ニップ圧に見合わない定着圧時回転速度又は比を用いることによる定着ベルトの無端移動速度の目標速度から大きなずれを回避することができる。
[態様F]
態様Fは、態様C又はDの定着装置において、前記定着ベルトの駆動を停止してから次に開始する直前までの駆動停止時間(例えば駆動停止時間t)又はこれの代替特性が所定値以下又は所定値未満である場合には、前記速度把握手段による前記一枚目移動速度の把握結果に基づいて前記定着ベルトの駆動速度を制御することに代えて、前記速度把握手段に記憶されている前記停止圧時回転速度(例えば停止圧時回転速度V)と、現時点における前記停止圧時回転速度(例えばジョブ開始直後停止圧時回転速度V’)とに基づいて、前記定着ベルトの駆動速度を制御する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、駆動停止時間が所定値以下又は所定値未満である場合には、停止圧時回転速度などに基づいて定着ベルトの駆動速度を制御する場合に比べて、定着ベルトの無端移動速度を目標速度に近づけることができる。
[態様G]
態様Gは、態様Eにおいて、前記定着ベルトの駆動を停止してから次に開始する直前までの駆動停止時間又はこれの代替特性が所定値以下又は所定値未満である場合には、前記速度把握手段による前記一枚目移動速度の把握結果に基づいて前記定着ベルトの駆動速度を制御することに代えて、前記速度把握手段に記憶されている複数の前記停止圧時回転速度のうち、直近の前記停止圧時回転速度(例えば停止圧時回転速度V)と、現時点における前記停止圧時回転速度(例えばジョブ開始直後停止圧時回転速度V’)とに基づいて、前記定着ベルトの駆動速度を制御する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、駆動停止時間が所定値以下又は所定値未満である場合には、停止圧時回転速度などに基づいて定着ベルトの駆動速度を制御する場合に比べて、定着ベルトの無端移動速度を目標速度に近づけることができる。
[態様H]
態様Hは、態様C又はDにおいて、前記一枚目の記録シートに対してトナー像の定着処理を施したときの前記定着ベルトの駆動速度を一枚目駆動速度(例えば一枚目駆動速度V)として記憶手段に記憶しておき、前記定着ベルトの駆動を停止してから次に開始する直前までの駆動停止時間又はこれの代替特性が所定値以下又は所定値未満である場合には、前記速度把握手段による前記一枚目移動速度の把握結果に基づいて前記定着ベルトの駆動速度を制御することに代えて、前記記憶手段に記憶している前記一枚目駆動速度と同じ駆動速度で前記定着ベルトを駆動する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とするものである。かかる構成では、駆動停止時間が所定値以下又は所定値未満である場合には、停止圧時回転速度などに基づいて定着ベルトの駆動速度を制御する場合に比べて、定着ベルトの無端移動速度を目標速度に近づけることができる。
[態様I]
態様Iは、態様A〜Hの何れかにおいて、前記一枚目の記録シートに対するトナー像の定着処理を施した後、続いて二枚目以降の記録シートに対するトナー像の定着処理を施す場合には、現状の定着圧時回転速度に基づいて前記定着ベルトの無端移動速度を把握するように、前記速度把握手段を構成したことを特徴とするものである。
[態様J]
態様Jは、記録シートにトナー像を形成する像形成手段(例えば作像手段や転写手段からなるもの)、と、前記記録シートにトナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置において、前記定着手段として、態様A〜Iの何れかを用いたことを特徴とするものである。
51:定着ベルト
54:加熱ローラ(従動回転体)
55:加圧ローラ(ニップ形成部材)
81:加圧レバー(ニップ圧調整手段の一部)
82:加圧スプリング(ニップ圧調整手段の一部)
83:加圧カム(ニップ圧調整手段の一部)
84:カムシャフト(ニップ圧調整手段の一部)
100:定着装置
500:制御部(速度把握手段、制御手段)
503:カムモータードライバー(ニップ圧調整手段の一部)
504:カムモーター(ニップ圧調整手段の一部)
S:記録シート
:定着圧時回転速度
:停止圧時回転速度
’:ジョブ開始直後定着圧時回転速度
’ジョブ開始直後停止圧時回転速度
”:予測値
:駆動停止時間
特許第4314732号

Claims (8)

  1. 無端状の定着ベルトと、これのおもて面に当接して定着ニップを形成するニップ形成部材と、前記定着ベルトの無端移動速度を把握する速度把握手段と、これによる把握結果に基づいて前記定着ベルトの駆動速度を制御する制御手段とを有し、前記定着ニップに挟み込んだ記録シートに対してトナー像を定着せしめる定着装置において、
    前記定着ニップのニップ圧を調整するニップ圧調整手段を設け、
    前記ニップ圧調整手段の駆動の制御により、前記定着ベルトの駆動を停止しているときには、前記ニップ形成部材を前記定着ベルトから離間させて、前記定着ベルトの駆動を停止しているときの前記ニップ圧である停止用ニップ圧をゼロにする処理を実施するように、前記制御手段を構成するとともに、
    前記定着ベルトの無端移動に伴って従動回転する従動回転体を設け、
    前記ニップ圧が記録シートに対してトナー像を定着せしめるときの前記ニップ圧である定着用ニップ圧に設定されているときの前記従動回転体の回転速度である定着圧時回転速度と、前記ニップ圧が前記定着用ニップ圧から前記停止用ニップ圧に変更された直後の前記従動回転体の回転速度である停止圧時回転速度とを記憶手段に記憶しておき、ユーザーからの画像形成命令に基づいて前記定着ベルトの駆動が開始された後、一枚目の記録シートに対してトナー像の定着処理が施されるときの前記定着ベルトの無端移動速度である一枚目移動速度を、前記記憶手段に記憶している前記定着圧時回転速度、及び前記停止圧時回転速度と、前記定着ベルトの駆動開始直後であって前記ニップ圧が前記停止用ニップ圧から前記定着用ニップ圧に変更される前の前記従動回転体の回転速度とに基づいて把握するように、前記速度把握手段を構成したことを特徴とする定着装置
  2. 求項の定着装置において、
    前記定着圧時回転速度と前記停止圧時回転速度との比を前記記憶手段に記憶しておき、前記一枚目移動速度を、前記記憶手段に記憶している前記定着圧時回転速度、及び前記停止圧時回転速度に基づいて把握することに代えて、前記記憶手段に記憶している前記比に基づいて把握するように、前記速度把握手段を構成したことを特徴とする定着装置。
  3. 請求項1又は2の定着装置において、
    前記定着用ニップ圧を所定の規則に従って二通り以上で切り替えるように、前記制御手段を構成し、前記定着圧時回転速度をこれの把握時の前記定着用ニップ圧と関連付けて記憶するか、又は前記定着圧時回転速度と前記停止圧時回転速度との比を、前記定着圧時回転速度の把握時の前記定着用ニップ圧と関連付けて記憶し、且つ、前記一枚目移動速度を、前記一枚目の記録シートに対してトナー像の定着処理が施されるときの前記定着用ニップ圧に関連付けられた直近の前記定着圧時回転速度又は前記比に基づいて把握するように、前記速度把握手段を構成したことを特徴とする定着装置。
  4. 請求項1又は2の定着装置において、
    前記定着ベルトの駆動を停止してから次に開始する直前までの駆動停止時間又はこれの代替特性が所定値以下又は所定値未満である場合には、前記速度把握手段による前記一枚目移動速度の把握結果に基づいて前記定着ベルトの駆動速度を制御することに代えて、前記速度把握手段に記憶されている前記停止圧時回転速度と、現時点における前記停止圧時回転速度とに基づいて、前記定着ベルトの駆動速度を制御する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする定着装置。
  5. 請求項の定着装置において、
    前記定着ベルトの駆動を停止してから次に開始する直前までの駆動停止時間又はこれの代替特性が所定値以下又は所定値未満である場合には、前記速度把握手段による前記一枚目移動速度の把握結果に基づいて前記定着ベルトの駆動速度を制御することに代えて、前記速度把握手段に記憶されている複数の前記停止圧時回転速度のうち、直近の前記停止圧時回転速度と、現時点における前記停止圧時回転速度とに基づいて、前記定着ベルトの駆動速度を制御する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする定着装置。
  6. 請求項1、2又は3の定着装置において、
    前記一枚目の記録シートに対してトナー像の定着処理を施したときの前記定着ベルトの駆動速度を一枚目駆動速度として記憶手段に記憶しておき、前記定着ベルトの駆動を停止してから次に開始する直前までの駆動停止時間又はこれの代替特性が所定値以下又は所定値未満である場合には、前記速度把握手段による前記一枚目移動速度の把握結果に基づいて前記定着ベルトの駆動速度を制御することに代えて、前記記憶手段に記憶している前記一枚目駆動速度と同じ駆動速度で前記定着ベルトを駆動する処理を実施するように、前記制御手段を構成したことを特徴とする定着装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の定着装置において、
    前記一枚目の記録シートに対するトナー像の定着処理を施した後、続いて二枚目以降の記録シートに対するトナー像の定着処理を施す場合には、現状の定着圧時回転速度に基づいて前記定着ベルトの無端移動速度を把握するように、前記速度把握手段を構成したことを特徴とする定着装置。
  8. 記録シートにトナー像を形成する像形成手段と、前記記録シートにトナー像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置において、
    前記定着手段として、請求項1乃至の何れか一項に記載の定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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