(外観検査装置のシステム構成)
図1は外観検査システムの一例を示す図である。外観検査ラインは検査対象物であるワークWを搬送する搬送ベルトを有している。照明装置はワークWを照明する環状の照明部10を有し、複数の異なる波長のLED1(基礎光源)を備えている。照明部10は環状部を有し、その周方向で複数の点灯ブロックTBに分割され、それぞれの点灯ブロックTBには複数の異なる波長のLED1が配置されている。照明部10は、点灯ブロックTBを最小単位として点灯と消灯を切り替えることができる。カメラは照明されたワークWからの反射光を受光して輝度画像を生成する撮像部30であり、環状の照明部10の中心軸上に配置される。画像処置装置40は、照明装置とカメラを制御し、カメラによって取得された画像に対してエッジ検出や面積計算などの画像処理を実行し、ワークWの良否判定を行う。PLC70(Programable Logic Controller)は画像処置装置に接続される。PLC70に接続され、外観検査ラインの所定の位置に設けられた光電センサ90等により、ワークWが、環状の照明装置の中心軸上や照明装置の所定の上流の位置に到着したことが検知されると、PLC70はトリガ信号を画像処置装置40に送信する。画像処置装置40は、PLC70からのトリガ信号を受け取ると、ワークWが照明装置にて照明可能な位置、好ましくは環状の照明部10の中央部に搬送されたタイミングで照明装置を点灯させ、照明装置によりワークWが照明されたタイミングで撮像するようにカメラを制御する。画像処置装置40はカメラにより取得された画像を用いて画像処理を実行し、外部接続されたPLC70などの制御機器に対し、外観検査の結果として、ワークWが良品であるか否かなどの判断結果を示す信号として判断信号を出力する。表示部50は画像処置装置40に接続され、検査に関連する制御パラメータを設定するための使用者インタフェースやワークWの画像、ワークWの外観検査の結果などを表示する。入力部60は、ポインティングデバイス61、キーボード62、コンソールなどであり、画像処置装置40に接続されて、制御パラメータを設定するために使用される。
(外観検査装置の構成)
本発明の第1の実施形態に係る外観検査装置のブロック図を図2に示す。この図に示す外観検査装置は、環状の照明装置と、環状の照明装置の略中心軸上で、かつ照明装置の上方に配置され、環状の照明部10の略中心にワークWが位置した際にワークWを撮像する撮像部30と、設定画面と撮像したワークWの画像と良否判断結果とを表示する表示部50と、制御パラメータなどの各種設定をする入力部60と、各種の制御処理を行う画像処置装置40を備えている。照明装置は、複数の点灯ブロックTBで構成されて、複数の異なる波長の光を発するLED1がそれぞれの点灯ブロックTBに配置される環状の照明部10と、照明部10が点灯された際にその光を受光する受光部20とを備えている。画像処置装置40は、照明方法や波長選択、光量設定等の各種設定を管理する入力管理部41と、点灯ブロックTBごとに、受光部にて受光された光量と光量設定部にて設定された光量とを比較して、光量の補正値を設定する光量補正値設定部42と、照明部10を点灯させるための照明制御部43と、撮像部30により撮像するタイミングを制御する撮像制御部44と、撮像部30により取得された画像を用いて画像処理を行い、画像処理された画像データを用いてワークWの良否の判断をする画像処理部45と、表示部50に表示させる内容を制御する表示制御部46と、各種設定を記憶する記憶部47とを備えている。さらに画像処置装置40は必要に応じて外部機器であるPLC70やコンピュータ80等と接続することもできる。なお、画像処理装置40は必要に応じてコントローラ等にも接続でき、画像処理以外の各種制御処理をコントローラ等に担わせることもできる。
(照明部)
照明部10は、図3に示すように、単一の平面を構成する照明基板3の上に、環状に配置された複数のLED1で構成され、少なくとも環状の照明部10の中心部には、その中心部に位置決めされるワークWの画像を撮像部30にて撮像可能になるように中空部が形成される。ワークWを搬送する搬送ベルト等の搬送面、または検査対象であるワークWの表面に対して、照明部10内に配置される全てのLED1を含む単一の平面が略平行となるように、照明部10は配置される。そして、環状の照明部10の中心部で、かつ下方に位置決めされるワークWに対して、異なる照明方向から同時、または方向を点灯ブロックTB単位で順次切り替えて照明光を照射できる構成となっている。本実施形態では、異なる波長を各々発光する複数のLED1を一つの光源単位KTとするとともに、環状体をその周方向に略均等に分割して複数の点灯ブロックTBを形成し、各点灯ブロックTBに対して、一つの光源単位KTを配置している。本実施形態では、照明部10を4つに分割している。これにより、本実施形態の照明部10は、第1点灯ブロックTB1、第2点灯ブロックTB2、第3点灯ブロックTB3、第4点灯ブロックTB4の4つの点灯ブロックTBで構成されるとともに、各点灯ブロックTBに一つの光源単位KTが配置される。また、図1に示すように、各点灯ブロックTBは、各点灯ブロックTBから照射される光が環状の照明部10の中心に位置決めされるワークWに向けて照射されるように、光軸を斜め下方の中心部に指向するように構成している。
(受光部)
受光部20は、図3に示すように、照明部10の環状体の周方向に略均等に配置される複数の点灯ブロックTBに対応してそれぞれ設置され、各点灯ブロックTB内に配置される光源単位KTとしての全てのLED1から発せられた光を受光可能に構成されている。本実施形態においては、第1点灯ブロックTB1内には第1受光部21が、第2点灯ブロックTB2内には第2受光部22が、第3点灯ブロックTB3内には第3受光部23が、第4点灯ブロックTB4内には第4受光部24が配置されている。それぞれの受光部は、光源単位KTに対応させて、各点灯ブロックTBの周方向の中央部で、光源単位KTの外周側に配置されているが、各点灯ブロックTB内に配置される光源単位KTの全てのLED1からの光を適切に受光できる位置であれば、例えば、点灯ブロックTBの周方向の端部などに配置されてもよい。それぞれの受光部は、各波長のLED1の光を受光して光量を示す受光信号を出力する受光素子2を一つ有する。また、各受光部は、複数の受光素子2から構成されていてもよい。その場合、受光部20は、複数の受光素子2にて受光した値の平均値等の一つの光量を示す受光信号を出力する。光源単位KTとは、受光部20にて光が受光され、互いに異なる波長の光を発光する各波長のLED1を少なくとも一つずつ含み、各LED1が波長ごとに独立して光量の補正が可能なものである。点灯ブロックTBとは、少なくとも一つの光源単位KTを含む複数の異なる波長のLED1からなり、照明制御部43からの一つの信号によって、波長ごとに点灯するものである。
(撮像部)
撮像部30は、PLC70からのトリガ信号に基づく画像処置装置からの制御信号を受け、照明部10からの光が照射されるタイミングにて、ワークWを撮像することにより、ワークWの画像を取得する。撮像部30の光軸と環状の照明部10の中心軸は一致するように配置されることが好ましい。撮像部30は、例えば、CCDやCMOS等の撮像素子が利用できる。撮像部30は、ワークWを撮像して画像信号を出力し、出力された画像信号を輝度信号に変換して、撮像ケーブルで接続された画像処理部45に出力する。
(表示部)
表示部50は、入力部60からの制御パラメータなどの各種の設定を受け付ける画面を表示したり、撮像した画像を表示したりする。表示部50は、画像処置装置にケーブル等を介して接続される。各種設定を受け付ける画面や撮像した画像を、画像処置装置に接続可能なコンピュータ80の画面に表示されるように構成してもよい。
(外観検査方法の流れ)
本発明における外観検査方法の流れとして、大きく分けて3つのステップが存在する。最初のステップは、設定ステップであり、外観検査装置を稼働させて、ワークWの外観検査をする前に、波長の選択や選択した波長にて照射される光量の設定などの様々な制御パラメータの設定をするステップである。次のステップは、チューニングステップである。設定ステップで設定した光量に基づいて照明部10からの光の照射を指示した場合に、LED1の劣化等の理由で、照明部10から照射される光が設定した光量とならない場合がある。この場合に、照明部10から照射される光が設定した光量となるように光量を補正するステップである。最後のステップは、稼働ステップであり、補正された光量に基づいて照明部10から照射される光を用いてワークWを撮像し、ワークWの外観検査をするステップである。
(入力管理部)
図4は、図2の入力管理部41の一構成例を示したブロック図である。入力管理部41は、設定ステップにおいて、照明方法を選択するための照明方法選択部411と、照明部10に配置されているLED1の各波長の中から検査に必要な波長を選択するための波長選択部412と、波長選択部412を用いて選択された波長のLED1が発する光の光量を設定するための光量設定部413とを備える。
(照明方法選択部)
照明方法選択部411は、設定ステップにおいて、照明部10から照射される光の複数の照射方法のうち、いずれか一つの選択を使用者から受け付ける。照射方法には、照明部10に設けられる全ての点灯ブロックTB1〜TB4に対して、各点灯ブロックTBを順に切り替えながら点灯させてワークWに照明を照射し、点灯ブロックTBの点灯毎に、撮像部30によりワークWを撮像する部分切替点灯モードと、照明部10の全ての点灯ブロックTB1〜TB4を同時に点灯させてワークWに照明を照射し、撮像部30によりワークWを撮像する全点灯モードとがある。部分切替点灯モードでは、点灯ブロックTBごとに照明を点灯させることで、異なる複数の方向から光が順次照射されたワークWの照射方向ごとの画像を取得できる。全点灯モードでは、すべての点灯ブロックTB1〜TB4を同時に点灯させた状態でのワークWの画像を取得できる。部分切替点灯モードは、複数の方向からそれぞれ光を照射するので傷等の検出に適している。全点灯モードは、すべての点灯ブロックTB1〜TB4を同時に点灯させることで均一な光が照射されるため、色ムラ等の検出に適している。よって使用者は、傷の検出を望むのか、色ムラの検出を望むのかの観点から、一方のモードを選択する。また、部分切替点灯モードについては、点灯ブロックTB毎に点灯を行い、撮像を行うモードに加えて、点灯ブロックTB毎に撮像した画像を設定時に使用者に提示することにより、使用者の所望する検査内容、例えばワークWの特定の箇所に対する傷の有無の検査に有効な点灯ブロックTBのみの点灯を指定される機能(不要と判断される点灯ブロックTBを常時オフ状態とする機能)を更に付与してもよい。但し、この場合は、ワークWが照明部10によって照明される位置に配置される際、位置決めされて、供給されることが好ましい。照明方法選択部411にて選択された照明方法は、記憶部47により記憶される。
(波長選択部)
波長選択部412は、設定ステップにおいて、照明部10に配置されているLED1の各波長のうち、少なくとも一つの波長の選択をするための選択部である。照明方法選択部411にて照明方法が選択された後に、波長選択部412は波長の選択を受け付ける。波長選択部412によって選択された波長は、記憶部47により記憶される。
上述したように、波長選択部412を用いて波長を照明部10に対して設定できるが、重要なことは、事前に使用者が、照明部10にて提供される複数の波長の中で、どの波長が使用者の提供するワークWの検査内容に有効かを把握することである。このため、本実施形態では、検査前の設定時、複数の異なる波長の光をワークWに対して順次照射して、照射ごとに得られた複数の画像に基づいて、波長選択部412は複数の波長の中からいずれかの波長の選択をする機能を提供している。例えば、照明方法が選択された後に、照明部10は傷や色ムラがある不良品に対して複数の異なる波長の光をそれぞれ照射し、撮像部30はそれぞれの波長で照射された画像を取得する。得られた複数の画像を比較すると、傷や色ムラが検出されている画像と、検出されるべき傷や色ムラが検出されていない画像がある場合がある。そこで、波長選択部412は、複数の画像から傷や色ムラが検出されている画像、具体的には輝度画像の輝度値にばらつきがある画像を抽出し、その抽出された画像に用いられている波長を選択する。
なお、波長選択に際して、波長選択部412が自動で波長の選択をする他に、使用者が自らの判断に基づき、手動で波長の選択をすることができる。その際、表示部50は、複数の波長でそれぞれ照射された複数の画像を同時に表示することで、傷や色ムラを検出しやすい適切な一つまたは複数の波長を、使用者が選択できるようにしている。なお、この波長選択部412にて特定の波長が選択されない場合は、画像処理装置40に設定される初期値として、提供されている全ての波長が選択された状態が採用される。なお、初期値としては、全ての波長でなく、特定の限られた波長を採用するようにしてもよい。
(光量設定部)
光量設定部413は、設定ステップにおいて、波長選択部412にて選択された波長のLED1から照射される光の光量を設定するための設定部である。照明方法の選択と波長の選択が完了すると、光量設定部413は、選択された波長の光量の設定を受け付ける。光量設定部413で光量が設定されると、選択された波長のLED1に、光量設定部413で設定された光量に対応する電流値が流れることにより、選択された波長のLED1は光量設定部413にて設定された光量で点灯する。光量設定部413によって設定された光量は、記憶部47に記憶される。波長選択部412で複数の波長が選択された場合は、光量設定部413は、波長ごとに異なる光量を設定することができる。波長ごとに異なる光量が設定された場合は、波長ごとの光量がそれぞれ記憶される。
上述したように光量設定部413を用いて、選択した波長に対する光量の設定ができるが、重要なことは、事前に使用者が、どのようにして最適な光量を設定できるかである。このため、以下の実施形態では、複数の異なる光量の光をワークWに対して順次照射して、照射ごとに得られた複数の画像を参考にして、光量設定部413は複数の光量の中から適切な光量の設定をすることができる。具体的には、設定ステップにおいて、照明方法の選択と波長の選択が完了した後、選択された波長で複数の光量の光を順次ワークWに対して照射し、複数の光量の光で照射されたワークWをそれぞれ撮像し、撮像した複数の画像に基づいて、光量設定部413は、撮像する画像、または画像に対して設定された検査領域が検査に適した画像となるように、光量を自動で設定する。詳述すると、モノクロカメラで撮像した場合、照明が明るすぎると撮像した画像に白い部分(いわゆる白とび)が多くなり、逆に暗すぎると撮像した画像に黒い部分(いわゆる黒潰れ)が多くなり、どちらの画像であっても検査が正確にできない可能性が高い。つまり、撮像した画像が全体、または画像の中で少なくとも検査対象となる領域が、白とびや黒潰れの少ないグレーを基調に写っていることが好ましい。よって、照明部10は複数の明るさでワークWに対して光を照射し、撮像部30は異なる明るさの照明ごとにワークWを撮像し、画像処理部45はそれぞれの輝度画像を生成する。光量設定部413は撮像した複数の画像の中から全体、または画像の中で少なくとも検査対象となる領域がグレー基調となっている画像、例えば256階調の輝度画像の中から、輝度が0に近い画素や255に近い画素が少ない輝度画像を抽出する。光量設定部413は、抽出された輝度画像の撮像時の光量が検査に適した明るさであると判断して、その光量を自動で設定する。また、他の例として、照明部10により事前に複数の光量の光が不良品に対して照射された際、光量設定部413は、得られた複数の輝度画像の中から、後述する画像処理部45による平均階調処理により傷等が検出される画像の光量を選択することができる。
なお、光量設定に際して、光量設定部413が自動で光量の設定をする他に、使用者が自らの判断に基づいて、手動にて光量の設定をすることができる。その際、表示部50は、照明部10が提供可能な範囲内における異なる明るさの光量ごとに撮像された複数のワークWの画像を同時に表示することで、使用者が適切な光量を選択できるようにしている。
また、上記実施形態においては、照明方法の選択、波長の選択、次いで光量の設定の順で設定ステップの各種パラメータの設定を行ったが、設定順はこれに限定されない。
(光量補正値設定部)
光量補正値設定部42は、チューニングステップにおいて、点灯ブロックTB毎に、波長選択部412によって選択された波長に対応するLEDから光量設定部413で設定された光量で発せられた光が各受光部20により受光され、各受光部20にて受光された光量に基づく値と光量設定部413にて設定された光量に基づく値とを比較することにより、点灯ブロックTB毎に、受光部20にて受光される光量に基づく値が光量設定部413にて設定された光量に基づく値と等しくなる補正値を設定する。なぜなら、光量設定部413にて設定された光量に対応する電流値でLED1を点灯させたとしても、LED1は経時劣化するため、光量設定部413で設定された光量で点灯するとは限らない。よって、適切なタイミングにて光量補正値設定部42による補正値の設定やその設定の更新を行うことにより、それぞれの点灯ブロックTBは、常時、設定された光量、または設定光量に近似した光量での点灯が可能となる。
受光部20にて受光された光量に基づく値と光量設定部413にて設定された光量に基づく値の比較は、基本的に受光部20にて受光した光量と光量設定部413にて設定された光量の比較で行われる。しかし、各受光部20にて受光するLED1からの光は、LED1からワークWに向けて照射される主たる光量ではなく、LED1から拡散する一部の光を受光することになる場合がある。このため、光量設定部413にて設定されたワークWに対する照明光量と、受光部20にて受光する光量の大きさが異なる場合がある。このような場合に対応するため、一例として受光部20で受光する受光量と、その受光量の場合のLED1のワークWに向けた主たる発光量との相関を対応テーブルとして生成して保有し、その対応テーブルを用いることにより、受光部20から検出した受光量に基づいて対応テーブルによって求めた計算上の主たる発光量と、光量設定部413で設定された光量との比較を行う方法等がある。また、上記具体例では算出値を求めるために対応テーブルを用いたが、実験に基づいて求めた係数に基づく算出値であってもよい。逆に、ここでの比較とは、受光部20にて受光された光量と光量設定部413にて設定された光量に基づく値を比較する方法も考えられる(この方法については、受光素子対応テーブルとして後述する)。
ここで補正値の具体例を挙げると、例えば、光量設定部413で設定された光量に基づく値と受光部20にて受光された光量に基づく値の差分値、光量設定部413で設定された光量に基づく値と受光部20にて受光された光量に基づく値の差分から算出される電流値、受光部20にて受光された光量が光量設定部413で設定された光量に補正された時の電流値、もしくは受光部20にて受光された光量が、後述する受光素子対応テーブルの光量設定部413にて設定された光量に対応する基準値に補正された時の電流値等がある。つまり補正値とは、光量設定部413にて設定された光量と受光部20にて受光された光量に基づいて定められ、光量設定部413にて設定された光量で各点灯ブロックTBの各波長のLED1を点灯させるための値である。
(照明制御部)
照明制御部43は、チューニングステップにおいて、波長選択部412にて選択された波長と光量設定部413によって設定された光量に基づいて、点灯ブロックTB毎に、波長選択部412にて選択された波長に対応するLED1を発光させる。それによって、上述した光量補正値設定部42にて補正値が求められる。また、照明制御部43は、光量補正値設定部42が補正値を設定した後の稼働ステップにおいて、補正値に基づいて、点灯ブロックTB毎に、波長選択部412にて選択された波長に対応するLED1を発光させる。つまり、補正値の設定を行う工程がチューニングステップであり、設定された補正値に基づき照明を行う工程が稼働ステップに該当する。
部分切替点灯モードの場合、照明制御部43は、各点灯ブロックTBの点灯において、波長選択部412にて選択された波長のLED1を光量設定部413によって設定された光量、または補正値に基づいて、各点灯ブロックTBを順に切り替えながら発光させる。一つの点灯ブロックTBが点灯している間は、他の点灯ブロックTBは消灯している。また、上記照明方法選択部の欄にて説明した、選択した点灯ブロックTBのみを、順次点灯させる部分切替点灯モードを設ける場合は、選択された点灯ブロックTBのみを、光量設定部413によって設定された光量、または補正値に基づいて点灯させる。また、波長選択部412にて複数の波長が選択された際は、一つ目の波長のLED1をそれぞれの点灯ブロックTBを順に切り替えながら発光させて、次に二つ目の波長のLED1をそれぞれの点灯ブロックTBを順に切り替えながら発光させる。
なお、各点灯ブロックTBに設けられる受光部20が、他の点灯ブロックTBのLED1の発光による影響を受けないような構成(例えば、各点灯ブロックTBにおける発光を他の点灯ブロックTBの受光部20に対して遮光する構成や、各点灯ブロックTBの受光部20を、他の点灯ブロックTBでの発光に影響のない位置に配置する構成等)を採用すれば、チューニングステップにおいて、同時に複数の点灯ブロックTBを点灯させて、点灯ブロックTB単位における光量補正制御をすることができる。
一方、全点灯モードの場合、照明制御部43は、すべての点灯ブロックTB1〜TB4において同時に、波長選択部412にて選択された波長のLED1を光量設定部413によって設定された光量、または補正値に基づいて発光させる。
(撮像制御部)
撮像制御部44は、照明制御部43による照明のタイミングに同期させて、撮像部30にワークWを撮像させる。言い換えると、稼働ステップにおいて、照明方法選択部411によって選択された照明方法、および光量補正値設定部42で設定された補正値に基づいて、照明制御部43は、ワークWに対して照明の照射を行い、撮像制御部44は、照明が照射されたタイミングでワークWが撮像されるように撮像部30を制御する。部分切替点灯モードの場合は、それぞれの点灯ブロックTBが点灯されたタイミングで、撮像部30がワークWの撮像を行うように、撮像制御部44は撮像部30を制御する。全点灯モードの場合は、すべての点灯ブロックTB1〜TB4が点灯されたタイミングで撮像部30がワークWの撮像を行うように、撮像制御部44は撮像部30を制御する。
(画像処理部)
画像処理部45は、稼働ステップにおいて、撮像部30から取得した画像に対して、画像処理部45の有する種々の画像処理ツールを選択し、組み合わせることにより構成された画像処理フローに基づいて、使用者の所望する画像検査を実施する。例えば、使用者が全点灯モードを選択した場合、撮像部30は、ワークWを取り囲む全ての方向から照明光が照射されている状態の画像を取得し、その画像が画像処理部45に供給される。一例であるが、全点灯モードを選択するケースとして以下のようなケースがある。使用者がワークW上の傷の有無を検出したい場合、波長として紫外線が有効であることが判明した。しかも、全点灯モードで取得した画像でも、部分切替点灯モードで取得した複数の画像でも傷の有無の検出が可能であると判明した場合、その使用者は処理速度、つまり検査時間の短い全点灯モードを選択する。
このようなケースでは、更に画像処理装置40において、使用者は、取得したワークWを含む画像に対して、ワークWの中で傷の有無の検査を実施したい領域に対して、領域指定用ウインドと呼ばれる機能を用いて、検査領域を指定する。次に、領域指定用ウインドにて指定された領域内で、例えば4ピクセル×4ピクセルのサーチウインドを設定し、領域指定用ウインドの左上隅から例えば1ピクセル単位で右方向にシフトし、ウインド内の右隅まで移動すると、自動的に上記右上隅の位置から下方向に1ピクセルシフトした位置から1ピクセル単位で右方向にシフトし、ウインド内の右隅まで移動する行為を、領域指定用ウインドにて指定された領域の右下隅までシフトさせる機能を設定するとともに、各シフト位置において、サーチウインド内の画像情報に対する平均諧調処理を実施するための画像処理ツールを設定する。平均諧調処理とは、サーチウインド内にある全ての画素の諧調の平均値を求めるもので、特定のシフト位置におけるサーチウンイド内の平均諧調値を、そのサーチウインドの位置に対して、1ピクセル毎に上下、左右、四つの斜め方向の位置において求めた平均諧調値と比較することで、この領域に諧調の変化がないかどうかを調べる機能を付加する。このような評価を領域指定用ウインドにて指定された領域内全てで実行することより、諧調の変化があった個所に傷が存在すると判定する。
このように、全点灯モードで取得した画像に対して、使用者の所望する検査内容を、画像処理装置40が保有する複数の画像処理ツールを選択し、そのツールに対する条件を設定することにより、取得した画像内の傷の有無の検査を行うことができる。一方、部分切替点灯モードが選択された場合、撮像部30は、各点灯ブロックTB内の選択されたLED1が点灯するタイミング毎に画像を取得し、少なくとも点灯ブロックTBに対応する複数の画像が画像処理装置40に供給される。
部分切替点灯モードでは、取得した複数の画像に対して、全点灯モードで行ったような画像処理を各画像に施して、傷の有無を確認することも可能であるが、画像処理装置40に対する別の画像処理の設定で、以下のような処理も可能である。撮像部30から入力された複数の部分照明画像の画像信号を用いて、各画素における面の法線ベクトル画像(以下、「傾き画像」という。)を生成し、傾き画像のX方向及びY方向の第2次の傾き画像(以下、「輪郭抽出画像」という。)を作成し、それらの画像を用いて、傷の検査等を行うための処理をする。そして、画像処理部45は、処理された画像に基づいて、傷の有無や大きさの検査を行う。例えば傷の大きさが所定の閾値以上の場合に不良品であると判断する。
(検査前の設定)
図5に設定ステップにおける検査対象物となるワークWに適合する検査方法などの設定時のフローチャートの一例を示す。このフローチャートは、外観検査方法の流れの中の設定ステップに該当する。最初に使用者は、部分切替点灯モードか全点灯モードのいずれかの照明方法を選択する(ST101)。次に、使用者は異なる複数の波長の中から少なくとも一つのワークWの検査に適した波長の選択をする(ST102)。次に、使用者はその選択した波長の光の点灯ブロックTBから照射される光量を設定する(ST103)。
(光量補正制御)
図6に光量補正制御の一連の外観検査方法の流れの第1の実施形態のフローチャートの一例を示す。第1の実施形態は、部分切替点灯モードにおいて、点灯ブロックTBごとにチューニングステップと稼働ステップを繰り返す制御である。つまり、各稼働ステップに先立ち、チューニングステップが行われる。チューニングステップにおいて、画像処理装置40は以下の制御を行う。画像処置装置は、記憶部47に記憶されている部分切替点灯モードを読み出す(ST201)。次に、画像処置装置は、波長選択部412で選択された波長を記憶部47から読み出す(ST202)。そして、画像処置装置は、光量設定部413で設定された光量を記憶部47から読み出す(ST203)。
チューニングステップにおいて、照明制御部43は、選択した波長のLED1を設定した光量になるように点灯ブロックTBごとに切り替えながら点灯させる(ST204)。具体的には、複数の点灯ブロックTBのうち、例えば第1点灯ブロックTB1内に配置されている選択された波長のLED1を点灯させる。第1点灯ブロックTB1が点灯されると、第1点灯ブロックTB1内に配置された第1受光部21はその光量を受光する(ST205)。
次いで、光量補正値設定部42は、光量設定部413にて設定された光量と、第1受光部21にて受光された光量を比較する(ST206)。第1受光部21にて受光された光量が設定された光量と乖離している場合には、上述した[光量補正値設定部]の欄にて説明した手法に基づいて、第1受光部21にて受光される光量を設定された光量とするための補正値を設定する(ST207)。受光された光量が設定された光量と乖離していない場合には、光量補正値設定部42は補正値をゼロとする。これで第1点灯ブロックTB1内の選択された波長のLED1に対する補正値の設定は完了する。
補正値を設定した後の稼働ステップにおいて、画像処理装置40は以下の制御を行う。照明制御部43は、光量補正値設定部42によって設定された補正値に基づいて、照明部10の第1点灯ブロックTB1が点灯するように制御を行う(ST208)。撮像部30は、補正値によって補正された光量で第1点灯ブロックTB1のLED1が点灯している間にワークWを撮像する(ST209)。この後、補正値の設定が完了していない第2点灯ブロックTB2から第4点灯ブロックTB4に対しては、チューニングステップであるステップ204に戻り、ステップ209までのチューニングステップと稼働ステップをそれぞれの点灯ブロックTBにて行い、一方で、すべての点灯ブロックTB1〜TB4において、光量補正が完了している場合は、ステップ211に進む(ST210)。波長選択部412で選択された波長のうち、光量補正とワークWの撮像が完了していない波長が残っている場合は、チューニングステップであるステップ202に戻り、すべての波長で完了している場合は、ステップ212に進む(ST211)。
撮像部30は、得られた複数の画像データを画像処理部45に転送する。具体的には、複数の部分照明画像、または複数の波長が選択されている場合には波長ごとの複数の部分照明画像を転送する。画像処理部45は、画像処理の一例として、複数の部分照明画像をフォトメトリックステレオ法(詳細は後述する)によって画像処理し、画像処理された複数の画像データに基づいて、そのワークWが良品であるか否かを判定する(ST212)。
そして、次のワークWが照明部10の中心軸上に到達すると、外観検査装置は、次のワークWに対して外観検査を行う。光量補正値設定部42にて一度補正値が設定された後でも、LED1の劣化により光量の低下の恐れがあるため、光量補正値設定部42は、適切な頻度で補正値を更新する必要がある。本実施形態では、点灯ブロックTBごとに、稼働ステップに先立ちチューニングを行い、その後の稼働ステップにおいて、更新された補正値を用いて照明の照射を行う。しかし、この構成に限らず、稼働ステップに先立ち、すべての点灯ブロックTBでチューニングを行った後に、稼働ステップにおいて更新された各点灯ブロックTBの補正値を用いて照明の照射を行うことも可能である。
なお、すべての稼働ステップに先立ちチューニングを行わなくてもよい。例えば、外観検査装置の起動時に光量補正制御を行う実施形態、それぞれの点灯ブロックTBが点灯する数回に一回の割合で光量補正制御を行う実施形態、タイマーを設け、一定時間経過するごとに光量補正制御を行う実施形態、光源単位KTに配置されているLED1に温度センサを設けて、起動時や前回の光量補正制御からの温度変化が一定以上になった際に光量補正制御を行う実施形態、などがある。
また、補正値を更新する具体的な方法には、二つの実施形態がある。一つ目の実施形態では、補正値が設定された後のチューニングステップにおいて、設定済の補正値に基づいてLED1を発光させ、受光部20にて受光された光量に基づいて、新たな補正値を設定する。つまり、先に光量補正値設定部42にて設定済の補正値を利用して、新たな補正値に更新する方式である。二つ目の実施形態では、補正値が設定された後のチューニングステップにおいて、光量設定部413にて設定された設定値に基づいてLED1を発光させ、受光部20にて受光された光量に基づいて、新たな補正値を設定する。つまり、先に光量補正値設定部42にて設定済の補正値を利用せずに、光量設定部413にて設定された設定値を利用して、新たな補正値に更新する方式である。
以上の構成により、本発明に係る外観検査装置は、波長選択部412で選択された波長の光を光量設定部413で設定された光量で点灯ブロックTBごとに環状の照明部10から照射し、各点灯ブロックTBに対応する受光部20にてその光を受光して、その受光量と設定された光量を点灯ブロックTBごとに比較することで、受光部20にて受光される受光量が設定された光量に近づくように光量を補正し、補正された光量の光がワークWに照射されたタイミングでワークWを撮像することができる。
また、本実施形態では、部分切替点灯モードで、それぞれの点灯ブロックTBを順次点灯させた場合における光量補正制御の説明をしたが、すべての点灯ブロックTB1〜TB4を同時に点灯させる全点灯モードにおいても同様の光量補正制御が可能である。全点灯モードの場合、光量補正値設定部42は、光量設定部413にて設定された光量とそれぞれの点灯ブロックTBにて受光された光量とを点灯ブロックTBごとに比較して、点灯ブロックTBごとに補正値を設定し、照明制御部43は、設定された補正値に基づいて、すべての点灯ブロックTB1〜TB4を同時に点灯させる。この場合は、すべての点灯ブロックTB1〜TB4でチューニングステップが完了した後に、稼働ステップに移行する。なお、部分切替点灯モードと同様に、すべての稼働ステップに先立ちチューニングを行わなくてもよく、その場合は、先述した各実施形態の採用が可能である。
(受光素子とLEDのばらつき補正)
LED1は上述した経時劣化の問題に加え、LED1の未使用状態においても個々の特性により、同じ電流を流したとしても発光する光量が異なる恐れがある。また、受光部20内に配置される受光素子2にも個体差があり、感度の異なる受光素子2が同じ照明装置に配置される可能性がある。よって、LED1の光量や受光素子2の受光感度のばらつきに対する配慮が必要な場合がある。
(発光素子対応テーブル)
最初に、LED1のばらつきに関して説明する。光量設定部413で設定した光量で発光させるための電流を流しても、設定した光量以下でしか発光していない場合、それを考慮して多めの電流を流すようにしなければならない。逆に、光量設定部413で設定した光量で発光させるための電流を流した時に、設定した光量以上の光量を発光している場合、それを考慮して少なめの電流を流すようにしなければならない。
よって、照明装置の製造時の完成検査時等において、照明装置に内蔵されて点灯ブロックTBごとに設けられた受光部20の他に、各点灯ブロックTBの光源単位KTからの距離がそれぞれ等しくなるように配置され、各光源単位KTからの光をそれぞれ受光する単一の検査用受光装置(図示せず)を設ける。具体的には、照明装置の中央にある中空部の略中心に単一の検査用受光装置を設ける。それ以外の受光方法としては、検査用受光装置を、各点灯ブロックTBの点灯ごとに、点灯させた点灯ブロックTBの受光部20の近傍に移動させ、各光源単位KTからの光をそれぞれ受光するものでもよい。いずれの方法においても重要なことは、同じ受光素子を持つ検査用受光装置を用い、照明部10の各受光部20に対してほぼ同じ条件(各受光部20に対して、同じ受光環境となる位置)にて各ブロックからの光を検査用受光装置が受光することである。
上記検査用受光装置を用いて、ある波長について、光量設定部413にて設定された光量で第1点灯ブロックTB1のみを点灯させ、検査用受光装置が光を受光する。検査用受光装置にて受光された光量と光量設定部413にて設定された光量に乖離がある場合は、検査用受光装置にて受光された光量が光量設定部413によって設定された光量となるように第1点灯ブロックTB1のLED1の発光量を調整する。調整された光量で発光している時のLED1に対する指示値(例えば、電流値など)を、第1点灯ブロックTB1における設定された光量に対応する調整値とする。第2点灯ブロックTB2から第4点灯ブロックTB4の基準値についても同様に算出され、光量設定部413で設定可能な他の光量についても、同様に点灯ブロックTBごとに調整値が算出される。そして、発光素子対応テーブル作成部は、光量設定部413によって設定可能な光量とそれぞれの調整値を点灯ブロックTBごとに対応付けた発光素子対応テーブルを作成する。つまり、LED1ごとの補正は、各点灯ブロックTBのLED1の発光性能を、単一の受光素子を持つ検査用受光装置を用いて評価し、調整することによって行われる。このLED1のばらつきの補正は、後述する受光素子2のばらつきの補正よりも先立って行う。
つまり、発光素子対応テーブル作成部は、検査用受光装置にて受光される各点灯ブロックTBの光量が光量設定部413にて設定された光量となった時の各点灯ブロックTBに対する指示値を調整値として、光量設定部413にて設定可能な光量に対応するそれぞれの調整値を点灯ブロックTBごとに算出し、光量設定部413にて設定可能な光量とそれぞれの調整値を点灯ブロックTBごとに対応付けた発光素子対応テーブルを波長ごとに作成する。波長ごとに作成された発光素子対応テーブルは、照明装置に備えられる記憶装置によって記憶される。
(受光素子対応テーブル)
次に、受光素子2のばらつきについて説明する。例えば、作成された発光素子対応テーブルを用いることによって、第1点灯ブロックTB1内のLED1の発光した光量が設定された光量と同じであったとしても、第1点灯ブロックTB1に配置された第1受光素子2aの感度が悪い場合、設定された光量以下の光量しか受光しない。逆に、第2点灯ブロックTB2内のLED1の発光した光量が設定された光量と同じであったとしても、第2点灯ブロックTB2に配置された第2受光素子2bの感度が良い場合、設定された光量以上の光量を受光する。
受光素子2のばらつきを補正するために、完成検査時等の発光素子対応テーブル作成後において、発光素子対応テーブルを作成する際に使用した検査用受光装置と同様な受光装置を使用する。
受光素子対応テーブルの作成方法の一例について説明する。例えば、ある波長について、光量設定部413によって10の光量が設定された場合に、照明制御部43は、発光素子対応テーブルを用いて第1点灯ブロックTB1のみを10の光量で点灯させる。そして、第1点灯ブロックTB1に配置されている第1受光素子2aと、検査用受光装置がその光を受光する。この場合、検査用受光装置は10の光量を受光するが、第1受光素子2aは感度が悪いため、9の明るさであると検知している。よって、光量設定部413で設定される光量が10である時の第1点灯ブロックTB1の基準値は9と記憶される。つまり、基準値とは、光量設定部413によって設定された光量で点灯ブロックTBを発光させた際に、その点灯している点灯ブロックTB内に配置された受光部20が受光する光量である。第2点灯ブロックTB2から第4点灯ブロックTB4の基準値についても同様に算出され、光量設定部413で設定可能な他の光量についても、同様に点灯ブロックTBごとに基準値が算出される。そして、受光素子対応テーブル作成部は、光量設定部413によって設定可能な光量とそれぞれの基準値を点灯ブロックTBごとに対応付けた図7に示す受光素子対応テーブルを波長ごとに作成する。受光素子対応テーブルの縦軸は光量設定部413によって設定可能な光量、横軸は点灯ブロックTBを指す。つまり、受光素子2ごとの補正は、各点灯ブロックTBの受光素子2の受光性能を、単一の受光素子を持つ検査用受光装置を用いて評価し、調整することによって行われる。
つまり、受光素子対応テーブル作成部は、光量設定部413にて設定可能な光量でLED1を光らせた状態で受光部20にて受光される光量を基準値として、光量設定部413にて設定可能な光量に対応するそれぞれの基準値を点灯ブロックTBごとに算出し、光量設定部413によって設定可能な光量とそれぞれの基準値を点灯ブロックTBごとに対応付けた受光素子対応テーブルを波長ごとに作成する。波長ごとに作成された受光素子対応テーブルは照明装置に備えられる記憶装置によって記憶される。
なお、発光素子対応テーブル作成部と受光素子対応テーブル作成部は、照明装置、または照明装置の完成検査時等に使用される検査装置のいずれに設けられていてもよい。
また、検査用受光装置にて光量を検知する実施形態には、それぞれの点灯ブロックTBからの光を受光素子にて受光して光量を検知する実施形態の他に、撮像部30により取得された輝度画像に基づいて光量を検知する実施形態を含む。例えば、白紙等の基準板に対して、点灯ブロックTBごとに光を順次照射して撮像し、撮像した複数の画像から点灯ブロックTBごとの複数の輝度画像を生成する。そして、点灯ブロックTBごとの複数の輝度画像に基づいて、各点灯ブロックTBの光量を検出する。つまり、検査用受光装置は、検査用に別途設けられる受光素子の代わりに、撮像部30で代用できる。また、受光素子対応テーブルは照明装置の完成検査時等に作成されるが、経時劣化による受光素子2のばらつきの変化に対応できるように、更新されてもよい。なお、その場合、受光素子対応テーブル作成部は、照明装置や画像処理部45、外部に接続されるコンピュータ80等に設けられていればよい。
(対応テーブルを用いた光量補正値設定)
対応テーブルを用いた光量補正値設定について、受光素子対応テーブルである図7を用いながら説明すると、使用者が光量設定部413で10の光量を設定した場合、照明制御部43は、第1点灯ブロックTB1の特定の波長のLED1に対して、発光素子対応テーブル上での10の光量に対応する調整値の電流を流す。しかし、LED1の経時劣化によりLED1の光量が減少しているため、第1受光素子2aは8の光量を検知している。光量補正値設定部42は、受光素子対応テーブルにおける光量設定部413で設定された光量(このケースでは10)に対応する第1点灯ブロックTB1の基準値(このケースでは9)と、第1受光素子2aで受光している光量(このケースでは8)とを比較して、第1受光素子2aで受光する光量が基準値である9になるように補正値を設定する。照明制御部43は、設定された補正値に基づいて、第1受光素子2aで受光する光量が9になるように光量を補正する。これにより、第1点灯ブロックTB1を10の光量で点灯させることができる。つまり、光量補正値設定部42は、発光素子対応テーブルを用いて調整された光量で各点灯ブロックTBが点灯された際に、受光部20にて受光される光量と受光素子対応テーブルにおける設定された光量に対応する基準値とを点灯ブロックTBごとに比較して、受光部20にて受光される光量が基準値に近づくように、点灯ブロックTBごとに補正値を設定する。
本実施形態では、照明制御部43は、発光素子対応テーブルと受光素子対応テーブルを用いて、受光部20で受光される光量が光量設定部413で設定された光量に対応する基準値に近づくように光量を制御したが、この方法に限られない。例えば、LED1や受光素子2のばらつきを許容できる場合は、発光素子対応テーブルや受光素子対応テーブルを使用せずに、またはどちらかの対応テーブルだけを用いて、受光部20で受光される光量が光量設定部413で設定された光量になるように光量を制御してもよい。
(フォトメトリックステレオ法)
ここで、図8〜図11を参照しながら、フォトメトリックステレオ法の基本原理について説明する。フォトメトリックステレオ法は、本実施形態での部分切替点灯モードで取得した複数の照明方向から光が照射された複数の画像を用いて、ワークWの傷等を検出するのに有効な画像処理ツールの一例である。そのため、フォトメトリックステレオ法は、画像処理部45に設定される数多くの画像処理ツールの一つであり、使用者によって選択され、画像処理フローに組み込まれるものである。
まず、図8に示すように、未知の拡散反射面S、及び明るさと位置が既知の複数の照明(この例では第1点灯ブロックTB1と第2点灯ブロックTB2の2個)がある場合を想定する。例えば図9に示すように、第1点灯ブロックTB1から光を照射すると、拡散反射面Sの表面における拡散反射光は、(1)照明の明るさ(既知)、(2)照明の向き(既知)、(3)ワークWの表面の向き(法線ベクトルn)、(4)ワークWの表面のアルベドのパラメータのみで決定される。そこで、図9及び図10に示すように、複数の異なる照明方向、具体的には三以上の照明方向から照明光が投光されたときの拡散反射光からなる部分照明画像を、それぞれ撮像部30で撮影する。そして図11に示すように、3以上の部分照明画像を入力画像とすることで、未知である(3)ワークW表面の向き(法線ベクトルn)、(4)ワークW表面のアルベドを、以下の関係式に基づいて算出できる。
I=ρLSn
上式において、
ρ:アルベド
L:照明の明るさ
S:照明方向行列
n:表面の法線ベクトル
I:画像の階調値
上式から、照明部10が3つの場合、次式で表すことができる。
また照明部10が4つの場合は、次式で表すことができる。
(法線ベクトルn)
上式より、法線ベクトルnは、次式で表現できる。
n=1/ρL・S+I
上式において、
S+:正方行列であれば、普通の逆行列
S+:縦長行列の逆行列は以下の式で表現されるムーアペンローズの擬似逆行列
S+=(StS)−1St
で求める。
(アルベド)
さらにアルベドρは、次式で表現できる。
ρ=|I|/|LSn|
(輪郭抽出画像)
次に、フォトメトリックステレオ法で傾き画像を生成すると共に、得られた傾き画像から、傷や輪郭等のワークWの表面情報を得る方法について説明する。
まず、傾き画像の生成方法について説明する。ワークWの曲面をSとするとき、傾き画像は次式で与えられる。
x方向:δs/δx、y方向:δs/δy
ここで傾き画像の例として、ワークWとして一円玉を用いた例を図12、図13に示す。図12は、法線方向のY座標成分画像、図13は法線方向のX座標成分画像である。ここでは、4つの照明方向から撮像した部分照明画像を用いて、Y方向(図において垂直方向)に微分することで図12に示す傾き画像を、またX方向(図において水平方向)に微分することで図13に示す傾き画像を図13を、それぞれ得ている。
ここで、傷や輪郭等はワークW表面の傾きが変化する箇所なので、傾き画像をそれぞれの方向に微分する。第2次の傾き画像は、次式で与えられる。
x方向:δ2s/δx2、y方向:δ2s/δy2
以上から、x方向、y方向の傾き画像の部分δ2s/δx2、δ2s/δy2を合成して、ワークWの輪郭や傷情報を含む輪郭抽出画像を生成する。輪郭抽出画像Eは、次式で与えられる。
E=δ2s/δx2+δ2s/δy2
上式において、Eは輪郭情報、SはワークWの曲面をそれぞれ示している。図12、図13から演算された輪郭抽出画像の例を、図14に示す。輪郭抽出画像は、高い部分が白色、低い部分が黒色となるように、画像の濃淡(輝度)で高さを表現している。
この輪郭抽出画像と予め画像処理装置40に登録してある良品の画像に基づいて、画像処理部45はワークWが良品であるか否かを判定する。
(照明部の詳細)
図15は第1の実施形態の照明部10の内部の平面図を示す。以下、LED1からの光が出射する方向を下方向として説明をする。照明部10は、下方向に開口を有する環状のケース4と、ケース4内に収容された環状の照明基板3と、ケース4の開口を覆って光を拡散させる拡散板(図示せず)とで構成される。図示の例では、ケース4は円形の形状であるが、多角形であってもよい。ケース4は、中心部に撮像部30の撮像光軸を配置可能とするための開口部を有するとともに、照明基板3を支持する環状体からなる照明基板支持部5と、中心部に位置する開口部から最も離間した環状体の外周部に、環状体の平面に対して直交方向に延びる外壁6から構成される。
照明基板3には、異なる波長の光を発する複数のLED1が、互いに隣接して環状の照明部10の周方向に沿って配置される。本実施形態では8色の波長の光を発するLED1を備えており、緑(520nm)、赤(720nm)、青(450nm)、赤外(850nm)、紫外(405nm)、黄(590nm)、赤(650nm)、白の光を発する各LED1が、この記載された順序で配置されることにより一つの光源単位KTを構成し、この光源単位KTが点灯ブロックTB内に一つ配置される。本実施形態では、光源単位KTに各波長のLED1が一つずつ配置されるが、いずれかの波長のLED1を複数配置してもよい。また、各LED1はその波長によって受光素子2による感度が低い、または感度が高いものが存在するため、この点を考慮して、光源単位KT内では、受光素子2に対して感度が低いLED1を近く、感度の高いLED1を遠くに配置することが好ましい。ここで、受光素子2に対して感度がいいものは、例えば赤等であり、相対的に感度が悪いものは、例えば青、赤外、紫外等である。
(受光部の詳細)
図15に示すように、第1の実施形態では、受光素子2はLED1から出射される光を直接受光する。つまり、受光素子2は、その受光面を照明基板3上に配置されたLED1と対向して配置される。第1の実施形態では、LED1の発光面が下向きで、受光素子2の受光面が上向きに配置される。また、受光素子2は、レンズ等の光学部材やフィルタ等を通して、LED1から出射される光を受光してもよい。
また、受光部20は光源単位KTに対応して配置されるが、「対応して配置される」とは、以下のような実施形態を含む。第1の実施形態では、円弧状の点灯ブロックTB内に配置された光源単位KTの外周側の照明部10内に受光部20を設け、環状の照明部10の周方向において、受光部20と光源単位KTが重複して配置される。しかし、この構成に限らず、受光部20が受光すべきLED1からの光を受光可能な位置であれば、照明部10内のどこに配置されていてもよい。
受光素子2は、照明基板3上に環状に配置された複数のLED1よりも外周側にオフセットして配置される。ここで「受光素子2は複数のLED1よりも外周側にオフセットして配置される」とは、平面視において、受光素子2がLED1と重なり合っていない状態だけでなく、受光素子2がLED1の一部に重なり合っているが、LED1の光軸中心と受光素子2が重なり合っていない状態も含む。これにより、外観検査のために重要なLED1から垂直に出射される光が受光素子2により妨げられない。
(光源単位と受光部の関係の別実施形態)
図15に基づいて説明した第1の実施形態は、図16に示すように、一つの点灯ブロックTBの中に一つの光源単位KTを配置し、光源単位KTに対応させて一つの受光部20を配置した。各点灯ブロックTBにおける、一つの光源単位KTに対する受光部20の設け方としては、図17に示す第2の実施形態のように、一つの光源単位KTに対応させて複数の受光部20を配置することもできる。一例として、一つの光源単位KTに対して二つの受光部20が配置された場合、光源単位KT内の一部の波長のLED1に対応させて第1の受光部20aを設け、その光源単位KT内の他の波長のLED1に対応させて、第2の受光部20bを設ける。この場合、一部の波長のLED1の光は第1の受光部20aが受光し、他の波長のLED1の光は第2の受光部20bが受光し、第1の受光部20aと第2の受光部20bによって、その光源単位KTの受光信号が出力される。
また、各点灯ブロックTBに対して、複数の光源単位KTを設けた場合、図18に示す第3の実施形態のように、点灯ブロックTB内の複数の光源単位KTに対して、単一の受光部20を設ける手法が考えられる。また、それ以外の手法として、図19に示す第4の実施形態のように、点灯ブロックTB内の複数の光源単位KTの各々に対して、受光部20を設ける手法が考えられる。また、一つの点灯ブロックTB内に複数の受光部20を設ける場合、複数の受光部20にて受光した値の平均値等の一つの光量を示す受光信号を出力する。
ここで、図20を用いて、第3の実施形態としての、各点灯ブロックTBに4つの光源単位KTを有する実施形態について説明する。本実施形態では、環状の照明部10が4つの点灯ブロックTBに分割され、各点灯ブロックTBの周方向の中央部に、一つの受光部20が配置される。そして、点灯ブロックTBの周方向の中央部に、第1の光源単位KT1の8波長のLED1が配置される。図20において、第1の光源単位KT1の周方向の右側には、第2の光源単位KT2の8波長のLED1と、第4の光源単位KT4の8波長のうち4波長のLED1の計12個のLED1が配置され、第1の光源単位KTの周方向の左側には、第3の光源単位KT3の8波長のLED1と、第4の光源単位KT4の8波長のうち他の4波長のLED1の計12個のLED1が配置される。よって、各点灯ブロックTBには、各波長のLED1が4つずつ配置され、各波長の4つのLED1が直列でそれぞれ接続されることにより、連動して点灯と消灯がされる。連動して点灯される各波長の4つのLED1の光が一つの受光部20によって受光される。
次に、図21を用いて、第3の実施形態の照明部10に係る一の波長の点灯回路を説明する。図21に示す点灯回路では、各波長において、前述した点灯ブロックTB内における4つのLED1が直列に接続され、LED群を形成している。点灯ブロックTBを点灯・消灯させるためにオン・オフが可能なスイッチSWが、LED群に直列に接続される。また、上述した光量補正値設定部42にて設定された補正値に基づいて抵抗値を調整することにより光量を補正可能な可変抵抗Rが、LED群に直列に接続される。上述した通り、照明部10は、4つの点灯ブロックTBに分割されているため、直列に接続されたLED群とスイッチSWと可変抵抗Rとが4つ設けられ、それらは電源ケーブルによって並列に接続される。電源ケーブルには電源が接続され、電源ケーブルを通じて各LED群に電源が供給される。本実施形態では、8波長のLED1を用いているため、上述した点灯回路が8つ設けられている。なお、それぞれのLED群の4つのLED1が光源単位KTのLED1となり、その光が受光部20により受光される。
上記の回路構成に基づいて、光量補正制御を説明すると、チューニングステップにおいて、点灯ブロックTBごとに配置された各受光部20は、点灯ブロックTBごとに直列に接続された複数のLED1から光を受光する。そして、光量補正値設定部42は、光量設定部413にて設定された光量と、各点灯ブロックTBにおいて受光部20にて受光されたLED1の光量とを比較して、点灯ブロックTBごとにLED1の光量の補正値を設定する。そして、稼働ステップにおいて、照明制御部43は、設定された補正値に基づいて、補正された光量で各点灯ブロックTBにおいて直列に接続されたすべてのLED1を点灯させる。
(照明部の別実施形態)
第1から第4の実施形態において、各点灯ブロックTBの中には、少なくとも一つの光源単位KTの他に、光源単位KTに属さない、つまり、受光部20にて光が受光されない複数のLED1からなるユニットUN(8波長を構成する複数のLED1)が追加で配置されてもよい。この場合、光源単位KTに属さないユニットUNのLED1は、同じ点灯ブロックTBに配置される光源単位KTにおいて光量補正値設定部42にて補正された光量と同じ光量で点灯するように光量が補正される。
この光源単位KTに属さないユニットUNが追加で配置される第5の実施形態を図22に示す。第5の実施形態では、一つの光源単位KTの光のみが受光部20にて受光され、ユニットUNの光は受光部20にて受光されないような構成(例えば、受光部20に対してユニットUNの光を遮光する遮光板を設ける構成や、チューニング用の点灯回路を別途設けて、チューニング時には光源単位KTのみを点灯させる構成等)にしている。また、遮光板やチューニング用の点灯回路等を設けなくても、受光部20にて受光されるユニットUNの光が、光源単位KTの光と比較して十分小さい場合は、光源単位KTのみの光が、受光部20により受光されるとみなしてチューニングすることができる。なお、光量の少ない波長のLED1がある場合などは、ユニットUNの中に、その波長のLED1を他の波長のLED1よりも多く配置してもよい。
(点灯ブロックと光源単位の関係の別実施形態)
第1から第5の実施形態では、点灯ブロックTBの中に少なくとも一つの光源単位KTを配置した。しかし、図23に示す第6の実施形態では、一つの光源単位KTが隣り合う点灯ブロックTBにまたがって配置され、またがって配置された光源単位KTに対応させて一つの受光部20が配置される。受光部20は、二つの点灯ブロックTBにまたがって配置された光源単位KTの複数のLED1のうち、一の点灯ブロックTBに配置された波長のLED1が点灯した際はその光を受光し、他の点灯ブロックTBに配置された波長のLED1が点灯した際はその光を受光し、受光信号を出力する。
本実施形態では、照明部10は4つの点灯ブロックTBに分割されていることから、4つの光源単位KTが、それぞれの隣り合う点灯ブロックTBにまたがって配置される。例えば、一の光源単位KTが、隣り合う第1点灯ブロックTB1と第2点灯ブロックTB2にまたがって配置され、光源単位KTの8波長のLED1のうち、1〜4波長のLED1が第1点灯ブロックTB1に配置される場合、第2点灯ブロックTB2には5〜8波長のLED1が配置される。そして、他の光源単位KTが、隣り合う第2点灯ブロックTB2と第3点灯ブロックTB3にまたがって配置され、第2点灯ブロックTB2には1〜4波長のLED1が配置され、第3点灯ブロックTB3には5〜8波長のLED1が配置される。それぞれ隣り合っている、第3点灯ブロックTB3と第4点灯ブロックTB4、第4点灯ブロックTB4と第1点灯ブロックTB1においても同様である。つまり、それぞれの点灯ブロックTBには、1〜8波長のLED1が配置される。よって、第6の実施形態においても、各点灯ブロックTB内には、一つの光源単位KTが設けられているとみなすことができる。
また、第1から第5の実施形態に対して、第6の実施形態の構成と組み合わせて用いることが可能である。例えば、一つの光源単位KTに対応させて複数の受光部20を設ける第2の実施形態において、一の光源単位KTが、隣り合う第1点灯ブロックTB1と第2点灯ブロックTB2にまたがって配置される場合、第1点灯ブロックTB1に配置される1〜4波長のLED1に対応させて一の受光部20を配置し、第2点灯ブロックTB2に配置される5〜8波長のLED1に対応させて他の受光部20を配置することができる。そして、他の光源単位KTが、隣り合う第2点灯ブロックTB2と第3点灯ブロックTB3にまたがって配置され、第2点灯ブロックTB2に配置される1〜4波長のLED1に対応させて一の受光部20を配置し、第3点灯ブロックTB3に配置される5〜8波長のLED1に対応させて他の受光部20を配置する。それぞれ隣り合っている、第3点灯ブロックTB3と第4点灯ブロックTB4、第4点灯ブロックTB4と第1点灯ブロックTB1においても同様である。
(受光部の別実施形態)
受光部20によるLED1からの光を受光する形態としては、大きく分けて二つの形態が存在する。一つ目は、受光部20がLED1からの光を直接受光する直接受光形態であり、二つ目は、LED1から出射される光が、光の照射角度を変える反射部材によって反射され、受光素子2に受光される間接受光形態である。先に説明した第1の実施形態の受光部20は、直接受光形態に該当する。
他の直接受光形態の具体的な一例としては、受光素子2が、一列に配列されたLED1とLED1の間に配置され、受光素子2の両側に配置された複数のLED1の光を直接受光する実施形態がある。
なお、直接受光形態、間接受光形態のいずれにおいても、導光部材を設けて光を受光素子2に導光する実施形態や、集光部材を設けて、光を集光させながら受光素子2に受光させる実施形態の採用が可能である。
具体的な一例として、間接受光形態において、集光部材を設けた第2の実施形態について説明する。図24は間接受光形態である第2の実施形態の模式断面図、図25は第2の実施形態の模式斜視図を示す。第2の実施形態では、受光素子2は、光を反射させて集光する集光部材により集光されたLED1からの光を間接的に受光する。例えば、照明基板3に孔が設けられ、受光素子2は、照明基板3のLED1の配置面の反対側の面の孔部分に、受光面を上向きにして装着される。受光部材201は、照明基板3上に設けられると共に、照明基板3側の面が反射材で被覆された上部材202と、光を内部で拡散させる四角錐台形状の透明又は半透明の拡散部材203を有する。拡散部材203は、上面が下方に向けて逆円錐状に陥没しており、拡散部材203の上面に上部材202が装着されることによって、受光部材201は、中空状の円錐を内部に形成する。LED1から出射された光は、拡散部材203の台形面から入射し、上部材202の反射面や拡散部材203の面等で反射した後、中空状の円錐部分により集光されて、照明基板3の孔を通って受光素子2に入光する。これにより、外乱光の影響を排除しながら受光素子2に受光させることができる。
(その他の変形例)
上述した実施形態では、単一の平面を構成する照明基板3上にLED1を配置する構成としたが、図26に示すように、環状に構成されたケース4に、照明基板3を全周にわたって斜めに配置し、照明基板3上において、高さが同一である平面上に複数のLED1を環状に配置してもよい。
上述した実施形態では、環状の照明基板3上に複数のLED1を一列に配置したが、径方向で複数列にLED1を配置してもよい。斜めに配置された照明基板3上で複数列にLED1が配置された場合、同じ波長の光を発するLED1は、高さが同一である平面上に位置する。
また、上述した実施形態では、単一の平面を構成する照明基板3上に複数のLED1を配置したが、図27に示すように、環状に構成されたケース4に、照明基板3を全周にわたって2段に配置し、上段に1〜4波長のLED1を環状に配置し、下段に5〜8波長のLED1を環状に配置してもよい。この場合、上段の照明基板3の内径は、下段の照明基板3の内径よりも小さく、上段の照明基板3は幅広になっている。そして、上段のLED1は、下段のLED1よりも環状の照明部10の中心軸側にオフセットして配置される。
上述した実施形態では照明部10を4つに分割して4個の点灯ブロックTBを備えているが、異なる二以上の照明方向からワークWを照明できるよう、点灯ブロックTBは少なくとも2個あれば足りる。8個の点灯ブロックTBなどに点灯ブロックTBの数を増やすと、より多くの照明方向から部分照明画像が得られるため、画像検査の精度を向上できる。
本実施形態では、環状に配列されたLED1からの光が照明装置の下方のワークWに向かって照射されるリング照明装置を前提に説明したが、LED1を環状に配列し、ワークWの表面を浅い角度で全周方向から光を照らすローアングル照明装置や、環状に配列されたLED1からの光が上方に照射され、ドーム形状の反射鏡で反射させることにより光を拡散させて、照明装置の下方のワークWに拡散光を照射するドーム型照明装置にも本発明は適用可能である。
さらに照明部10は、バー状に構成された点灯ブロックTBを矩形状に配置したり、多角形状に配置したりすることもできる。
LED1は発光素子の一つの実施形態であり、発光素子としては、電気信号に応答して発光するものの採用が可能である。例えば、有機EL、レーザー光、量子ドットなども発光素子として採用可能である。
受光素子2は例えば、フォトダイオードである。他にも受光素子2としてフォトトランジスタ、光光電セル、イメージセンサ等、光の明暗を電気信号に変換できるものの採用が可能ある。