JP6889084B2 - 積層体、ハンカチ、タオル、肌着および積層体の製造方法 - Google Patents

積層体、ハンカチ、タオル、肌着および積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、積層体、ハンカチ、タオル、肌着および積層体の製造方法に関する。
綿は吸水性に優れるため、吸水性が求められるハンカチ、タオルおよび肌着などの様々な物品に利用されている。
ハンカチ、タオルおよび肌着などの物品は、水を吸収して保持するため、水分により菌が繁殖しやすく、悪臭を発生しやすいことが知られている。このため、これらの物品は、使用後に洗浄する必要があり、煩雑であるという問題があった。このような問題を解決するために使い捨てのハンカチやタオルが提案されている。
使い捨てのハンカチとして、不織布の袋内に高吸水性樹脂を入れて密封し、ポケットの大きさとした使い捨てハンカチが開示されている。また、この使い捨てハンカチは、銅や銀繊維等により殺菌効果を付与できることが開示されている(特許文献1参照)。
また、使い捨てのタオルとして吸収パッドをポリウレタン不織布で包み込み、該不織布の端部をシールしてなる使い捨てタオルが開示されている。この使い捨てタオルは、ポリウレタン不織布のソフトな風合い、手触りを備えているとされている(特許文献2参照)。
また、使い捨ておむつとして用いる吸収性物品として、液透過性材料からなるトップシートと液不透過性材料からなるバックシートとの間に、SAPおよびフラッフパルプを含む複数の吸収体と、上記複数の吸収体を仕切る中間液透過性シートと、を備えた吸収性物品が開示されている(特許文献3参照)。
実開昭63−7109 実開平1−164891 特開2011−15886号公報
発明者らが検討したところ、特許文献1および特許文献2に記載の使いすてハンカチおよび使い捨てタオルは、高吸水性樹脂または吸収パッド中の高吸水性ポリマー(以下、「高分子吸収体」または「SAP」ともいう。)の分布むらが生じやすいものであった。SAPに分布むらが生じると、SAPが少ない部分における吸水性に劣る場合があった。また、部分的にゲル化してしまい、触感が一定ではなく、使用者に不快感があり再使用時の使用感に劣る場合があった。また、十分に吸水できず表面が湿ってしまい再使用時の使用感に劣る場合があった。
さらに、特許文献2に記載の使い捨てタオルにおいては、抗菌性について何ら検討されておらず、抗菌性が十分ではなかった。
このような特許文献1および特許文献2に記載のハンカチおよび使い捨てタオルを、肌着に転用しようとすると、触感が一定ではなくなり使用者に不快感が生じるため、継続使用時の使用感に劣るものとなった。
特許文献1および特許文献2に記載されたSAPを含む液体吸収体は、例えば特許文献3に記載されたように紙おむつで汎用されている。
紙おむつにおいてもSAPの分布むらが問題となる場合がある。例えば吸水前の乾燥時において、輸送中の振動および傾き、ならびに着用者の動きなどによって液体吸収体中を移動しやすく、そのためSAPの分布にはむらが生じ易い。特に、吸水性を高めるためにSAPの量を多くしたときに、上記むらは顕著に生じる。
これに対し、液体吸収体の製造後に、熱処理やエンボス加工を施したり、特許文献3に記載のように中間層シートによる仕切りを設けたりすると、上記SAPの移動が抑制されると期待される。しかし、これらの方法は、液体吸収体の製造工程や構造を複雑にするため、製造コストの上昇を招くことになる。また、特許文献3に記載された吸収性物品を用いてハンカチ、タオルおよび肌着を作成したところ、厚みが厚くなりすぎてしまい、実用的ではなかった。
また、SAPの分布むらを抑制する他の方法として、液体吸収体を厚くする方法が知られている。しかし、例えば液体吸収体中にフラッフパルプとSAPを含む構成にあっては、そもそもフラッフパルプ中をSAPが移動しやすいため、分布ムラを十分に抑制できていなかった。また、ハンカチ、タオルおよび肌着に用いると、厚みが厚くなりすぎてしまい、実用的ではなかった。
このように、発明者らが検討したところ、紙おむつに用いられる液体吸収体は、ハンカチ、タオルおよび肌着に用いる厚みが厚くなり過ぎてしまい、ハンカチ、タオルおよび肌着とは呼び難いものになってしまった。そのため、紙おむつにおける液体吸収体は、直ちにハンカチ、タオルおよび肌着に転用できるものではないことがわかった。
本発明は上記に鑑みてなされたものである。
本発明では、高分子吸収体の分布ムラが生じにくく、吸水性、抗菌性に優れ、再使用時および継続使用時の使用感に優れる積層体を提供することを課題とする。また、本発明では、上記の積層体を製造する方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための本発明の第一の態様は、以下の積層体に関する。
<1> 液体吸収体層と、第1液透過性シート層と、を有し、 前記液体吸収体層は、MFRが0.1g/10min以上200g/10min以下である樹脂からなる、平均繊維長が0.05mm以上50mm以下であり、かつ、繊維径の最小値が0.5μm以上であり繊維径の最大値が50μm以下であるミクロフィブリル繊維が集合してなる、カナディアンフリーネスが300ml以上740ml以下である合成パルプと、前記合成パルプに捕捉された高分子吸収体と、抗菌剤と、を含む積層体。
<2> 前記液体吸収体層の全質量に対する前記合成パルプの含有率が10質量%〜70質量%である<1>に記載の積層体。
<3> 前記液体吸収体層の全質量に対する前記高分子吸収体の含有率が20質量%〜80質量%である<1>または<2>に記載の積層体。
<4> 前記液体吸収体層の全質量に対する前記抗菌剤の含有率が0.1質量%〜20質量%である<1>〜<3>のいずれか一項に記載の積層体。
<5> 前記抗菌剤が、銀イオンを担持した無機粒子である<1>〜<4>のいずれか一項に記載の積層体。
<6> 前記液体吸収体層の前記第1液透過性シートを有する側とは反対側に第2液透過性シートを有する<1>〜<5>のいずれか一項に記載の積層体。
上記課題を解決するための本発明の第二の態様は、以下のハンカチに関する。
<7> <1>〜<6>のいずれか一項に記載の積層体を含むハンカチ。
上記課題を解決するための本発明の第三の態様は、以下のタオルに関する。
<8> <1>〜<6>のいずれか一項に記載の積層体を含むタオル。
上記課題を解決するための本発明の第四の態様は、以下の肌着に関する。
<9> <1>〜<6>のいずれか一項に記載の積層体を含む肌着。
上記課題を解決するための本発明の第五の態様は、以下の積層体の製造方法に関する。
<10> 下羽根および上羽根の上下二段に設置された撹拌羽根を撹拌容器内に有するミキサーで、下羽根による回転力によって前記合成パルプおよび前記高分子吸収体を流動させ、同時に上羽根による剪断力によって、MFRが0.1g/10min以上200g/10min以下である樹脂からなる、平均繊維長が0.05mm以上50mm以下であり、かつ、繊維径の最小値が0.5μm以上であり繊維径の最大値が50μm以下であるミクロフィブリル繊維が集合してなる、カナディアンフリーネスが300ml以上740ml以下である合成パルプと、高分子吸収体と、を撹拌および混合して液体吸収体を製造する液体吸収体製造工程と、 抗菌剤を付与する抗菌剤付与工程と、 前記液体吸収体と、第1液透過性シートと、を積層する積層工程と、を含む積層体の製造方法。
本発明によれば、高分子吸収体の分布ムラが生じにくく、吸水性、抗菌性に優れ、再使用時および継続使用時の使用感に優れる積層体を提供することができる。また、本発明では、上記の積層体を製造する方法を提供することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
<<積層体>>
本発明の積層体は、後述する特定の液体吸収体層と、後述する特定の第1液透過性シート層と、を有する積層体である。
本発明の積層体は、高分子吸収体の分布ムラが生じにくく、吸水性、抗菌性に優れ、再使用時および継続使用時の使用感に優れるため、例えば、ハンカチ、タオルおよび肌着として使用することができる。
具体的には、液体が付着した部分に、第1液透過性シート層の側を接触させると、水は第1液透過性シート層の繊維間または孔を通過して液体吸水体層に到達し、この液体吸収体層で溜めこまれる。これにより、ハンカチ、タオルおよび肌着として使用した際の水や汗などを吸収するという本来の作用が果たされる。また、積層体の吸水される側の表面(つまり第1液透過性シート層の側の表面)は濡れた状態になりにくく、再使用または継続使用時の使用感に優れている。また、液体が溜め込まれる液体吸収体層には抗菌剤が含まれるため、菌が繁殖しにくく衛生的である。また、SAPが合成パルプ中に捕捉されているため、SAPの分布むらが生じ難く、部分的なゲル化に起因する使用感の悪化や吸水性の低下といった不具合が生じ難い。
本発明の積層体における液体吸収体層において、特定の合成パルプ中にSAPが捕捉される理由は明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
本発明で用いる特定の合成パルプは、後述のとおり複数の微小繊維が絡まり合って、分岐構造を有するより太い繊維を形成している。また、カナディアンフリーネスが所定範囲内であり、比較的分岐が多い構造である。
一般的に、分岐が多いパルプを用いれば、パルプ中にSAPが捕捉されやすいと考えられる。
しかし、発明者らが検討したところ、分岐が多い特定の合成パルプと、SAPと、を単に混合するだけでは、特定の合成パルプ中にSAPは捕捉されなかった(後述の比較例3、4参照)。
本発明者らはさらに検討を重ね、特定のミキサーを用いて特定の合成パルプとSAPとを混合することで、特定の合成パルプ中にSAPを捕捉できることを見出し、本発明に至ったものである。
特定のミキサーを用いて天然パルプとSAPとを混合しても、SAPは天然パルプには捕捉されない(後述の比較例1、2参照)。そのため、特定の合成パルプと特定のミキサーとの組み合わせにより、特定の合成パルプ中にSAPが捕捉されたと推測される。
<液体吸収体層>
液体吸収体層は、MFRが0.1g/10min以上200g/10min以下である樹脂からなる、平均繊維長が0.05mm以上50mm以下であり、かつ、繊維径の最小値が0.5μm以上であり繊維径の最大値が50μm以下であるミクロフィブリル繊維が集合してなる、カナディアンフリーネスが300ml以上740ml以下である合成パルプと、前記合成パルプに捕捉された高分子吸収体と、抗菌剤と、を含む。
捕捉されたとは、SAPが容易には離脱しない程度に合成パルプに固着していることを意味する。本明細書において、厚み2cm、縦横各10cmの容器に詰めて液体吸収体を成形した後、取り出してポリ袋に入れ、アズワン製ラボシェイカーSR−1にて、ポリ袋ごと200r.p.m.で10分間振盪したときに、合成パルプから分離してポリ袋中の下部に落下したSAPの量が、振盪前に液体吸収体が含有していたSAPの量の10質量%以下であるとき、SAPは合成パルプに捕捉されているとする。
なお、例えば、液体吸収体と、液透過性シートとを有する積層体を試験するには、液透過性シートを除去し、液体吸収体のみを、厚み2cm、縦横各10cmの容器に詰めて成形した後、取り出してポリ袋に入れて上記の振盪よる試験をすればよい。他のシートを有する積層体にあっては、他のシートを同様にして除去して試験すればよい。
また、上記振盪前に液体吸収体が含有していたSAPの量は、液体吸収体を分解し、繊維とSAPを精密に分離してそれぞれを計量することによって測定することができる。このようにしてあらかじめ測定したSAPの量から、振盪後の分離SAP量を計量することで、分離率を求めることができる。また、仕込みの量から計算してもよい。
また、試験研究などでSAPが合成パルプに捕捉されるか否かを確認する際には、他の原料を用いずに、SAPと合成パルプだけで試験すればよい。
このようにSAPが合成パルプに捕捉されていると、吸水前の乾燥時において、輸送中の振動および傾き、ならびに着用者の動きが生じても、SAPの粉末または顆粒は液体吸収体中を移動しにくい。そのため、液体吸収体中のSAPの分布にむらが生じにくくなり、SAPの分布が少ない領域に液体が供給されたときに吸水性に劣るという問題が生じにくい。
液体吸収体層の厚さは、特段制限されないが、SAPの分布むらを抑制できるという本発明の効果を十分に発揮して、ハンカチ、タオルおよび肌着として好適に用いる観点から、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、2mm以下がさらに好ましい。
また、液体吸収体層の厚さは、液体を効率良く吸収する観点から、0.1mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。
(合成パルプ)
合成パルプは、合成された樹脂からなる複数の微小繊維が絡まり合って、分岐構造を有するより太い繊維を形成する構造を有する繊維(単に「ミクロフィブリル繊維」ともいい、このような構造を単に「ミクロフィブリル構造」ともいう。)が、全体として特定方向に整列せずに集合してなる繊維集合体である。
ここで合成パルプが「合成された樹脂からなる」とは、合成パルプが合成された樹脂のみからなる意味には限定されない。すなわち、上記合成パルプには、後述するその他の化合物を含む合成パルプも含まれる。
上記合成された樹脂は、特に限定されず種々の化合物を用いることができるが、熱可塑性樹脂であることが好ましく、ポリオレフィンであることがより好ましい。上記ポリオレフィンの例には、炭素数2〜6のα−オレフィンの単独重合体および共重合体が含まれる。上記共重合体は、2種類以上の炭素数2〜6のα−オレフィンの共重合体でもよいし、炭素数2〜6のα−オレフィンと他の重合性化合物との共重合体でもよい。上記他の重合性化合物の例には、炭素数2〜6のα−オレフィン以外のオレフィン、アクリル酸およびメタクリル酸などを含む不飽和カルボン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ならびに酢酸ビニルなどが含まれる。上記共重合体は、上述した単独重合体または共重合体に、不飽和カルボン酸モノマーを過酸化物でグラフト反応させて得られる、グラフト共重合体であってもよい。上記単独重合体または共重合体は、結晶性であることが好ましい。
上記炭素数2〜6のα−オレフィンの好ましい例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテンおよび4−メチル−1−ブテンが含まれる。これらの炭素数2〜6のα−オレフィンを含む材料から製造される結晶性の単独重合体または共重合体の例には、線状低密度ポリエチレンやエラストマー(エチレン−α−オレフィン共重合体)などを含む低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−メタクリル酸共重合体、マレイン酸やアクリル酸による酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ3−メチルブテン、およびポリ4−メチルブテン、ならびにこれらの混合物が含まれる。
上記合成された樹脂は、分子量分布(Mw/Mn)(TSKgelカラムを用いたGPC法によるポリスチレン換算の分子量を用いて算出した値)が1.5以上3.5以下であることが好ましい。また、上記合成された樹脂は、メルトフローレート(MFR:ASTMD1238による190℃、2.16kg加重で測定される値)が0.1g/10min以上200g/10min以下であることが好ましく、5.0g/10min以上150g/10min以下であることがより好ましい。さらに上限は110g/10min以下がさらに好ましく、100g/10min以下であることが特に好ましい。
上記合成された樹脂は、分子量分布およびメルトフローレートが異なる複数の合成樹脂を用いてもよい。複数の合成樹脂を用いる場合、上記分子量分布およびメルトフローレートは、複数の樹脂を混合後に測定される値である。
上記合成された樹脂は、ポリエチレンからなることが好ましく、特には上記メルトフローレートが5.0g/10min以上150g/10min以下であるポリエチレンからなることが好ましい。
上記合成された樹脂の製造方法は特に限定されず、公知の方法で製造したものを用いることができる。
なお、合成パルプは、SAPの分布むらを極端に生じやすくしない限りにおいて、ミクロフィブリル繊維以外の種々の化合物(以下、単に「他の化合物」ともいう。)を含有していても良い。たとえば、合成パルプは、上記他の化合物として、後述の抗菌剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、各種安定剤、酸化防止剤、分散剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、および充填剤などとして公知の化合物を含有することができる。合成パルプは、複数種のこれらの化合物を含有していても良く、その含有量はこれらの化合物を含有させる目的に応じて適宜選択できる。
ミクロフィブリル繊維は、1本の繊維の端部間の距離のうち、最長となるように設定された端部間の距離の平均値(以下、「平均繊維長」という。)が、0.05mm以上50mm以下であればよく、0.1mm以上10mm以下であることが好ましく、0.1mm以上1.15mm以下であることがより好ましい。平均繊維長がこの範囲にあれば、合成パルプとしたときに、適度な嵩高性を有し圧力を印加されたときに十分な復元力を有するため好ましい。
平均繊維長は以下の手順で求めることができる。
合成パルプを構成するミクロフィブリル繊維を、上記最長となる長さを用いて長さ0.05mmごとに分級する。その後、それぞれの級(長さ)に含まれるミクロフィブリル繊維の実測繊維長と、それぞれの級に含まれるミクロフィブリル繊維の本数を測定する。測定は、12000〜13000本の繊維について行えばよい。その後、上記測定結果から、以下の式により、それぞれの級の数平均繊維長Ln(mm)を求める。
Ln=ΣL/N
L:1つの級に含まれるミクロフィブリル繊維の実測繊維長(mm)
N:1つの級に含まれるミクロフィブリル繊維の本数
その後、以下の式により、合成パルプを構成するミクロフィブリル繊維の平均繊維長(mm)を求める。
平均繊維長=Σ(Nn×Ln)/Σ(Nn×Ln
Nn:それぞれの級に含まれるミクロフィブリル繊維の本数
なお、上記実測繊維長は、たとえば、濃度0.02重量%になるように合成パルプを水に分散し、フィンランド国、メッツォオートメーション社製自動繊維測定機(製品名;FiberLab−3.5)で合成パルプを構成する繊維の一本一本の繊維の長さを測定して求めることができる。当該測定機では、キャピラリー中を流れる際の繊維にキセノンランプ光を照射してCCD(電荷結合素子)センサーで映像信号を採取し、画像解析する。
ミクロフィブリル繊維は、直径(以下、単に「繊維径」ともいう。)の最小値が0.5μm以上であることが好ましく、繊維径の最大値が50μm以下であることが好ましい。平均繊維径は、15μm以上であることがより好ましく、35μm以下であることがより好ましい。繊維径がこの範囲にあれば、当該繊維を集合体としたときに適度な嵩高性を有し圧力を印加されたときに十分な復元力を有するため好ましい。
繊維径は、1本、1本の繊維を、光学顕微鏡および電子顕微鏡などの顕微鏡で観察して測定できる。
具体的には、繊維径の最大値および最小値は、次のようにして測定できる。
キーエンス社製デジタルHFマイクロスコープVH8000にて倍率100倍で合成パルプを観察し、繊維径が10μm以上であるように観察されるミクロフィブリル繊維を無作為に100本選択する。選択されたミクロフィブリル繊維の繊維径を測定し、測定値のうち最大の値を「繊維径の最大値」とする。
日本電子社製走査型電子顕微鏡JSM6480にて倍率3000倍で合成パルプを観察し、繊維径が10μm未満であるように観察されるミクロフィブリル繊維を無作為に100本選択し、選択されたミクロフィブリル繊維の繊維径を測定し、測定値のうち最小の値を「繊維径の最小値」とする。
また、平均繊維径は、バルメットオートメーション製Valmet FS5などの繊維画像分析計を用いて測定することができる。
ミクロフィブリル繊維は、1本の繊維が多数に枝分かれた分岐構造を有する。分岐構造は光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察して確認できる。
分岐構造を有するミクロフィブリル繊維は、多数集合して合成パルプを形成したときに、特定方向に整列せず、分岐した繊維同士が互いに絡み合ったり、分岐部分が交差したりしやすい。上記絡み合いや交差により、合成パルプには多数の空孔が形成される。また、上記絡み合いや交差により、上記空孔は、圧力をかけても潰れ難くなる。これにより、合成パルプは、空孔部分に入り込んだ水分をそのまま保持することが可能であり、たとえばシート状の繊維集合体としたときに、吸水性が高い液体吸収体層とすることができる。
吸水性がより高い液体吸収体層とする観点からは、合成パルプは、JISP8121−2に準じて測定されるカナディアンフリーネス(CSF)が300ml以上740ml以下であることが好ましい。
CSFは以下の手順で求めることができる。
絶乾重量24gの合成パルプを量り取り、2000mlの水を加えて濃度1.2%程度とし、JISP8220−1に規定する離解機にかけて30000回転(10分間)まで離解させる。完全に離解したミクロフィブリル繊維を0.3%濃度程度に希釈し、水温を20.0±0.5℃とする。離解したパルプスラリーを1000ml量り取り、カナダ標準ろ水度試験器を用いて、側管から出た排水量を読み取る。
液体吸収体層中の合成パルプの量は、液体吸収体層の全質量に対して10質量%以上70質量%以下であることが好ましく、20質量%以上65質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。合成パルプの量が上記範囲内であると、SAPが良好に捕捉されて分布むらを抑制でき、吸水性に優れる傾向がある。
(合成パルプの製造方法)
合成パルプは、種々の方法により製造し得るが、通常はフラッシュ法で製造することが可能である。フラッシュ法とは、樹脂が溶媒に溶解している高圧の樹脂溶液を減圧下に噴出することで上記溶媒を揮散させて上記樹脂からなる繊維を形成し、さらに必要に応じてワーリングブレンダーまたはディスクリファイナーなどで上記形成された繊維を切断および叩解する方法である。フラッシュ法は、不織布にしたときに強度が高い合成パルプを得られるため好ましい。特に、特開昭48−44523号公報に記載されているような、ポリオレフィン溶液を懸濁剤の存在下、水媒体に分散させたものをフラッシュさせる方法は、乱雑に分岐した形状を有する繊維状の樹脂を有する合成パルプが得られ、このような合成パルプはより強度が高い液体吸収体層を得られため、好ましい。
フラッシュ法は、合成パルプを構成するミクロフィブリル樹脂の材料となる熱可塑性樹脂を溶解し、懸濁液および水を添加してエマルジョンとする工程と、上記エマルジョンを減圧下に噴出(フラッシュ)すると同時に溶剤を気化させる工程と、を含む。
フラッシュ法の第1工程では、前記熱可塑性樹脂を、当該熱可塑性樹脂を溶解可能な溶剤に溶解し、懸濁剤および水を加えてエマルジョンとする。
上記溶剤の例には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンおよびシクロヘキサンなどを含む飽和炭化水素系溶剤、ベンゼンおよびトルエンなどを含む芳香族系溶剤、塩化メチレン、クロロホルムおよび四塩化炭素などを含むハロゲン化炭素類などが含まれる。これらの溶剤から、製造しようとする合成パルプを構成するミクロフィブリル樹脂の材料となる熱可塑性樹脂を溶解せしめ、かつ、フラッシュ時に揮発し得られた繊維の集合体に残存しにくいものを適宜選択すればよい。
上記懸濁剤の例には、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリル酸塩、ゼラチン、トラガカントゴム、デンプン、メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなどを含む親水性樹脂が含まれる。また、上記親水性樹脂と、一般的なノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤またはアニオン系界面活性剤とを併用することもできる。懸濁剤は、上記熱可塑性樹脂、溶剤および水を均一に混合させるため、エマルションを安定化させ、かつ、フラッシュ後の繊維の切断および叩解を水中でも安定して行うことを可能とする。
上記懸濁剤の添加量は、繊維中、懸濁剤が0.1重量%以上5重量%以下となる量とするのが好ましい。上記懸濁剤の量は、製造過程において、添加した懸濁剤の一部が抜けるような操作をする場合は多めに添加するなど、適宜調整することが好ましい。添加量の目安としては、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下とすることができる。
フラッシュ法の第2工程では、上記第1工程で得られたエマルジョンを、温度が100℃以上200℃以下、好ましくは130℃以上150℃以下となるように加熱し、かつ、圧力が0.1MPa以上5.0MPa以下、好ましくは圧力0.5MPa以上1.5MPa以下の加圧状態にする。その後、上記加熱および加圧したエマルジョンを、ノズルより減圧された空間へ噴出(フラッシュ)すると同時に溶剤を気化させ揮散させる。上記減圧された空間は、圧力が1kPa以上95kPa以下であることが好ましい。また、上記減圧された空間は、窒素雰囲気などの不活性雰囲気であることが好ましい。なお、本発明において、「圧力」とは絶対圧力のことを示す。
上記工程により、上記熱可塑性樹脂を材料とした、分岐構造を有する不定長のミクロフィブリル繊維が得られる。このようにして得られたミクロフィブリル繊維は、さらにワーリング・ブレンダーまたはディスクリファイナーなどで、平均繊維長が上述した範囲の長さになるように切断および叩解することが好ましい。このとき、上記ミクロフィブリル繊維を水に溶解または分散させて、濃度が0.5g/L以上5.0g/Lの水スラリーにして、上記切断および叩解を行うことが好ましい。
このとき、たとえば、ディスクリファイナーの刃の種類、回転数、またはスクリーンの径などを所定の条件に沿って選択することで、ミクロフィブリル樹脂の繊維径およびカナディアンフリーネスなどを所望の程度に調整することができる。
上記ミクロフィブリル樹脂には、親水性を増大させるために、ノニオン性界面活性剤またはポリプロピレングリコールによる表面処理を行ってもよい。親水化処理されたミクロフィブリル樹脂の例には、特開昭63−235575号公報および特開昭63−66380号公報などに示された合成パルプに用いられるミクロフィブリル樹脂が含まれる。
このようにして得られたミクロフィブリル樹脂を、乾燥後、ミキサーなどによって開綿して、合成パルプとすることができる。
以上説明した方法によれば、分岐構造を有するミクロフィブリル樹脂、および上記ミクロフィブリル繊維が集合してなる合成パルプ、を好ましく製造することができる。なお、合成パルプが前述した他の化合物を含有するときは、上記エマルジョンに上記他の化合物を添加することが好ましい。このようにすることで、上記他の化合物が合成パルプ中に十分に分散し、上記他の化合物による効果を長期間保持することが可能となる。
(高分子吸収体(SAP))
高分子吸収体(SAP)は、吸水能力が自重の数十倍から1000倍程度である親水性高分子化合物の架橋物を材料とする粒子状の樹脂組成物であり、上記親水性高分子化合物がその構成単位にカルボン酸基、カルボン酸塩基、カルボン酸無水物基、水酸基、エチレンオキサイド基などの親水性基を含むものである。SAPは、特に限定されず、紙おむつ、生理用品などの衛生材料関係、土木建築材料関係、農園芸材料関係などの用途に通常使用されている公知のSAPを使用することができる。
SAPの材料は特に限定されず、公知の材料を用いることができる。SAPの材料の例には、アクリル酸塩重合体の架橋物、ビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体の架橋物、無水マレイン酸グラフトポリビニルアルコールの架橋物、アクリル酸塩−メタクリル酸塩共重合体の架橋物、メチルアクリレート−酢酸ビニル共重合体のケン化物の架橋物、澱粉−アクリル酸塩グラフト共重合体の架橋物、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物の架橋物、カルボキシメチルセルロースの架橋物、イソブチレン−無水マレイン酸塩共重合体の架橋物、エチレンオキサイド重合体の架橋物などが含まれ、これらのうちアクリル酸塩重合体架橋物が好ましい。これらの材料は単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
取扱いを容易にする観点および分布むらをより抑制する観点から、SAPの平均一次粒径は1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。また、SAPを合成パルプ中により均一に分散させて、液体吸収体層内部の吸水性を均一にする観点、および吸水速度を向上させる観点から、SAPの平均一次粒径は、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
SAPが複数の球体が結合したもの、いわゆる凝集体または造粒体である場合、分布むらをより抑制する観点から、SAPの平均二次粒径は、100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましい。また、SAPを合成パルプ中により均一に分散させて、液体吸収体層内部の吸水性を均一にする観点、および吸水速度を向上させる観点から、SAPの平均二次粒径は1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、600μm以下であることがさらに好ましい。
SAPの形状は特に限定されず、真球に近い球形のものや不定形状、複数の球体が結合したもの(いわゆる凝集体または造粒体)など、公知の様々な形状とすることができる。
SAPの分布むらを抑制できるという本発明の効果を十分に発揮して、吸収速度を向上し、かつ、しなやかさを向上させる観点から、本発明に用いるSAPとしては、一次粒径が10μm〜100μmであり凝集していない真球に近い球形のものが好ましい。
また、SAPの分布むらをより抑制する観点から、本発明に用いるSAPとしては、一次粒径が10μm〜100μmであり二次粒径が300μm〜600μmであり真球に近い球形の粒子の凝集体または造粒体が好ましい。
上記観点から、SAPのアスペクト比は1.0以上3.0以下が好ましく、1.0以上2.0以下がより好ましい。なお、SAPのアスペクト比とは、SAPを透過型電子顕微鏡で観察して得られる、10個のSAP粒子の長径と短径との比(長径/短径)の平均値である。SAPのアスペクト比は、SAPが凝集していないときは、それぞれの一個の粒子について測定される値であり、SAPが凝集体または造粒体であるときは凝集体または造粒体から測定される値である。
SAPの平均一次粒径および平均二次粒径は、カタログに記載された値を採用すればよい。カタログに記載されていない場合には、レーザー回折式の粒子径測定装置で測定した値を採用すればよい。粒子径測定装置としては、具体的には島津製作所社製SALD−2000Jが挙げられる。
液体吸収体層中のSAPの量は、液体吸収体層の全質量に対して20質量%以上80質量%以下であることが好ましく、25質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上60質量%以下であることがさらに好ましい。特に、上記SAPの量を50質量%以上に多くすると、上述した乾燥時のSAPの粉末または顆粒の移動またはSAPが液体を吸収して形成するゲルの移動が特に生じやすいが、このような場合でも、SAPが合成パルプに捕捉されていることで、上記移動が生じにくい。液体吸収体層中のSAPの量は、上述した振盪前に液体吸収体層が含有していたSAPの量と同様に測定することができる。
(抗菌剤)
本発明の積層体は、液体吸収体層に抗菌剤を含む。これにより、雑菌の発生が抑制され、悪臭の発生が抑制される。
抗菌剤とは、抗菌作用のある物質を意味する。
抗菌剤としては特に制限されず、例えば公知の抗菌剤を使用することができる。公知の抗菌剤としては、例えば、有機合成系抗菌剤、天然物系抗菌剤、無機物系抗菌剤などが挙げられる。
これらの抗菌剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
−有機合成系抗菌剤−
有機合成系抗菌剤としては、微生物の生合成を阻害し易い、フェノール系材料、ピリジン系、キノン系、トリアジン系、イソチアゾロン系、アニリド系などの抗菌剤;微生物のエネルギー獲得等を阻害し易い、ニトリル系、イミダゾール系、チアゾール系などの抗菌剤;微生物の生体物質(DNA、RNA、酵素等のたんぱく質)を損傷し易い、アルコール系、アルデヒド系(カルボン酸系、エステル系)、ジスルフィド系、チオカルバゾール系などの抗菌剤;微生物の細胞構造を破壊し易い、カルボン酸系、エステル系、エーテル系、過酸化物系、エポキシ系、ビグアナイド系、界面活性剤系、高分子コロイドなどの抗菌剤;が挙げられる。
−天然物系抗菌剤−
天然物系抗菌剤としては、動物由来及び魚由来のキチン、キトサン、プロポリスなどの抗菌剤;微生物由来及び放線菌由来のポリリジンなどの抗菌剤;植物由来の茶カテキン、カラシ抽出物、ヒノキ抽出物、ワサビ抽出物(アリルイソチオチアネート)などの抗菌剤;が挙げられる。
−無機物系抗菌剤−
無機物系抗菌剤としては、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンなどの金属及びこれらの金属を含む無機化合物;ゼオライト系(銀ゼオライトなど)、酸化チタン系などの金属酸化物;が挙げられる。
また、無機物系抗菌剤としては、安全性、扱いやすさ、合成パルプへの捕捉性の良さの観点から、銀イオンを担持した粒子が好ましく用いられる。銀イオンを担持した粒子としては、銀イオンを担持した無機粒子が好ましく、銀イオンを担持したゼオライトがより好ましい。
これら有機合成系抗菌剤、天然物系抗菌剤および無機物系抗菌剤の中でも、抗菌剤としては、無機物系抗菌剤が好ましく、銀イオンを担持した無機粒子がより好ましく用いられる。
抗菌剤が無機物系抗菌剤(好ましくは銀イオンを担持した粒子)であると、繰り返し使用する場合においても抗菌性が維持される傾向にある。
抗菌剤の形状としては特に制限されず、例えば、粒子状、繊維状等が挙げられる。中でも、取り扱いやすさ、混合性の良さの観点から、粒子状であることが好ましい。
粒子状の抗菌剤における平均粒子径は1μm以上150μm以下が好ましく、3μm以上130μm以下がより好ましく、5μm以上50μm以下がさらに好ましい。
平均粒子径は、レーザー回折式の粒子径測定装置で測定した値である。粒子径測定装置としては、具体的には島津製作所社製SALD−2000J、コールター社製コールターカウンター、日機装社製マイクロトラック粒度分布測定装置が好ましく用いられ、島津製作所社製SALD−2000Jがより好ましく用いられる。
粒子状の抗菌剤における比重(相対密度)は、1.5以上10以下が好ましく、2以上6以下がより好ましい。比重(相対密度)は、カタログや文献(例えば、無機化学ハンドブック(技報堂出版))等に記載されている。
抗菌剤の含有量は、分布むら、吸水性、使用感および抗菌性を両立する観点から、液体吸収体層の全質量に対して0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.5質量%以上25質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下がさらに好ましい。
抗菌剤が粒子である場合に、抗菌剤である粒子が合成パルプに捕捉されているか否かは制限されない。抗菌剤である粒子の分布むらを抑制して抗菌性を均一に付与する観点から、合成パルプに捕捉されていることが好ましい。
抗菌剤である粒子が合成パルプに捕捉されているとは、抗菌剤である粒子が容易には離脱しない程度に合成パルプに固着していることを意味する。上述のSAPにおける試験と同様に試験して、合成パルプから分離してポリ袋中の下部に落下した抗菌剤である粒子の量が、振盪前に液体吸収体が含有していた抗菌剤である粒子の量の10質量%以下であるとき、抗菌剤である粒子は合成パルプに捕捉されているとする。
(その他の成分)
液体吸収体層は、SAPの分布むらを極端に生じやすくしない限りにおいて、合成パルプおよびSAP以外の成分(以下、単に「その他の成分」ともいう。)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば天然パルプが挙げられる。
天然パルプとしては、例えば、木材パルプおよび非木材パルプが挙げられる。
木材パルプとしては、例えば、針葉樹および広葉樹などから、クラフト法、ソーダ法および亜硫酸法に代表されるケミカルパルプ化法や、中性亜硫酸塩法、酸性亜硫酸塩法に代表されるセミケミカルパルプ化法や、その他公知のパルプ化法によって、製造された木材パルプが挙げられる。
非木材パルプは、木材以外の原料から製造されたパルプである。木材以外の原料としては、植物繊維が挙げられる。
吸水速度を向上させる観点からは、液体吸収体層は天然パルプを含むことが好ましくい。このときの液体吸収体層中の天然パルプの量は、液体吸収体層中の全質量に対して1質量%以上含むであることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。
液体吸収体層が天然パルプを含む場合、液体吸収体層中の天然パルプの量は、液体吸収体層の全質量に対して50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。上記範囲内であるとSAPの分布むらが生じにくい傾向がある。
<第1液透過性シート層>
本発明の積層体は、第1液透過性シート層を有する。第1液透過性シート層は、液体を透過する性質(以下、「液透過性」ともいう)を有する液透過性シートを含む層である。前述のとおり第1液透過性シート層は、外部にある液体を素早く吸収して液体吸収体層に搬送する役割を有している。
液透過性を有するとは、EDANA(ヨーロッパ不織布工業会)の「153.0−02 REPEATED Liquid Strike−Through Time」法に準じて測定した値(以下、「ストライクスルータイム」ともいう。)が10秒以下であるシートをいう。Liquid Strike−Through Timeとは、表面から裏面に向けて、所定量の生理食塩水が通過するのに要する時間(秒)を示すものであり、液透過時間が短いほど、液透過性が良好であることを示す。
Liquid Strike−Through Timeの試験機としては、Lenzing Technik社製の試験機LISTERを用いればよい。
第1液透過性シートとしては、例えば、不織布、織布および多孔性シート等が挙げられる。
不織布としては、例えば、繊維をカードなどに通して配向させたものをニードルパンチや高圧水流で絡合させたもの、接着剤などで接着させたケミカルボンド不織布、不織布を構成する繊維に低融点樹脂を含む繊維を混ぜて加熱することで熱融着させるサーマルボンド不織布などの乾式不織布;繊維を水分散させたものから抄紙網などで抄きあげる湿式不織布;などを用いることができる。
また、熱可塑性樹脂を溶融紡糸し、繊維が冷却して固化するまでにシート状に細くし、繊維同士を融着させて得るスパンボンド法やメルトブロー法で得た不織布を用いることもできる。
これらの不織布は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、これらの不織布は、親水化したものが好ましく用いられる。親水化する方法は特に制限されず、例えば後述する親水化された有機合成繊維を用いる方法が挙げられる。
不織布を構成する繊維としては、例えば、有機合成繊維、無機繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維が挙げられる。
上記繊維は、マルチフィラメントであっても、モノフィラメントであってもよいし、短繊維であっても、長繊維であってもよい。
これらの繊維は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、上記繊維の断面形状は特に制限されない。
合成繊維としては、例えば、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−6,6、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等)、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
無機繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維等が挙げられる。
半合成繊維としては、例えば、セルロース系繊維(トリアセテート、ジアセテート等)、蛋白質系繊維が挙げられる。
再生繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ、ポリノジック等が挙げられる。
天然繊維としては、例えば、綿、絹、羊毛等が挙げられる。
不織布を構成する繊維として、有機合成繊維を用いる場合、有機合成繊維としては親水化された有機合成繊維が好ましい。
有機合成繊維を親水化する方法としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤などで表面処理する公知の方法が挙げられる。
これらの中でも、第1液透過性シートとしては、入手のしやすさと取り扱いの容易さの観点から、不織布が好ましく、親水化された有機合成繊維を含む不織布がより好ましい。
不織布における繊維の目付けとしては特に制限されないが、第1液透過性シート層から液体吸収体層への水の到達を容易にする観点から、1g/m〜1000g/mが好ましく、5g/m〜500g/mがより好ましく、10g/m〜300g/mがさらに好ましい。
不織布における繊維の繊度としては特に制限されないが、0.01dtex〜1000dtexが好ましく、0.05dtex〜100dtexがより好ましく、0.1dtex〜50dtexがさらに好ましい。
織布としては、上述の不織布を構成する繊維から形成された織布が挙げられる。また、多孔性シートとしては、例えば、低密度ポリエチレン等のポリオレフィンからなる開孔シートが挙げられる。
第1液透過性シート層の厚さは、用途に応じて適宜選択すればよいが、通常0.01mm以上3mm以下が好ましく、0.05mm以上2mm以下がより好ましく、0.1mm以上1mm以下がさらに好ましい。
第1液透過性シート層は、単層であっても、複数層であってもよい。
第1液透過性シート層の厚さ(比率)は、積層体全体の厚さに対して、好ましくは1%〜99%、より好ましくは5%〜90%、さらに好ましくは10%〜80%である。なお、第1液透過性シート層の場合、第1液透過性シート層の厚さ(比率)は、複数層全体の厚さである。
第1液透過性シート層は、上述の抗菌剤を含んでいても良い。第1液透過性シート層が抗菌剤を含むと、積層体の抗菌性が向上する傾向にあり好ましい。
<第2液透過性シート層>
本発明の積層体は、第2液透過性シート層を有してもよい。
第2液透過性シート層は、前述の積層体における第1液透過性シート層と同様の材料・材質であり、好ましい範囲も同様である。
例えば本発明の積層体が、液体吸収体層の第1液透過性シート層を有する側とは反対側に、さらに第2液透過性シート層を有する場合、水の除去を積層体の両面(第1液透過性シート層の表面および第2液透過性シート層の側の表面)を利用して行うことができる。このため、第2液透過性シートを有する積層体は、ハンカチやタオルなどの両面から液体を吸収させる用途に好ましく用いられる。
第2液透過性シート層は、第1液透過性シート層と一体であってもよい。第1液透過性シート層と第2液透過性シート層が一体であるとは、第1液透過性シート層と第2液透過性シート層とが、端部で結合していることを意味する。この場合、第1液透過性シート層と第2液透過性シート層は、1枚の液透過性シートから形成してもよい。第1液透過性シートと第2液透過性シートとが一体である場合、積層体は口の閉じた袋状になる。
第2液透過性シート層は、上述の抗菌剤を含んでいても良い。第2液透過性シート層が抗菌剤を含むと、積層体の抗菌性が向上する傾向にあり好ましい。
<その他の層>
本発明の積層体は、液体吸収体層および第1液透過性シート層ならびに任意である第2液透過性シート層以外の層(以下「その他の層」ともいう。)を有していてもよい。
その他の層としては、例えば中間層および液不透過性層が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
中間層は、液体吸収体層と第1液透過性シート層との間、または液体吸収体層と第2液透過性シート層との間に形成される層である。中間層は、第1液透過性シート層および第2液透過性シート層から液体吸収体層へと液体が移動しやすくするために、例えば、第1液透過性シート層および第2液透過性シート層よりも吸水性が高いシートで形成することができる。
中間層は、上述の抗菌剤を含んでいても良い。中間層が抗菌剤を含むと、積層体の抗菌性が向上する傾向にあり好ましい。
液不透過性層は、液体を透過しにくい性質を有する層である。このため、液不透過性シートを一方の表面に有する積層体は、液不透過性層他方の表面から液体を吸収するため、例えば肌着などの一方の表面から液体を吸収させる用途に好ましく用いられる。
液不透過性層は、液不透過性シートを含む層である。液不透過性シートとしては、例えば、ポリエチレンなどの樹脂からなる液不透過性シートから形成される。例えば肌着として用いた際の着心地の観点から、液不透過性層は、液不透過性と透湿性を兼ね備えた微多孔性ポリエチレンフィルムが好ましい。
液不透過性層は、上述のストライクスルータイムが600秒以上であることが好ましい。
液不透過性層は、上述の抗菌剤を含んでいても良い。液不透過性層が抗菌剤を含むと、積層体の抗菌性が向上する傾向にあり好ましい。
本発明の積層体は、液体吸収体層と、第1液透過性シート層とを少なくとも含む。積層体の層構成としては、例えば、(1)第1液透過性シート層/液体吸収体層、(2)第1液透過性シート層/液体吸収体層/第2液透過性シート層、(3)第1液透過性シート層/中間層/液体吸収体層、(4)第1液透過性シート層/中間層/液体吸収体層/中間層/第2液透過性シート層、(5)第1液透過性シート層/液体吸収体層/液不透過性シート層、および、(6)第1液透過性シート層/中間層/液体吸収体層/液不透過性シート層、ならびにこれらの積層体にさらにその他の層を含む構成が挙げられる。
本発明の積層体をハンカチおよびタオルとして用いる場合には、積層体の層構成は、例えば上記(1)〜(4)およびこれらにさらにその他の層を含む構成が好ましい。また、本発明の積層体を肌着として用いる場合には、積層体の層構成は、例えば上記(5)〜(6)およびこれらにさらにその他の層を含む構成が好ましい。
積層体の厚みは特に制限されず、用途に応じて選択すればよい。例えば、ハンカチとして用いる場合は、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。例えば、タオルとして用いる場合は、10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。例えば、肌着として用いる場合は、5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。本願の積層体は、SAPの分布むらが生じにくいため、このような薄さにしても吸水性、抗菌性および使用感に優れる。
積層体の寸法(縦×横)は、特に制限されず、使用する用途に応じて従来公知の寸法にすることができる。ハンカチであれば、例えば縦5cm〜50cm、横5cm〜50cm程度にすればよい。タオルであれば、例えば縦40cm〜200cm×横40cm〜200cm程度にすればよい。肌着であれば、人の体に装着できる寸法にすればよい。
<<積層体の製造方法>>
本発明の積層体の製造方法は、液体吸収体製造工程と、抗菌剤付与工程と、積層工程とを少なくとも含む。
<液体吸収体層製造工程>
液体吸収体層製造工程は、合成パルプにSAPを捕捉させ、層状の液体吸収体層を製造する工程である。
液体吸収体層製造工程では、合成パルプにSAPを捕捉させるが、その方法は特に制限されず、例えば、合成パルプをシート状に成形した後、粉末状または顆粒状のSAPを散布する方法、フラッフ化した合成パルプとSAPと抗菌剤とをミキサーなどで混合する方法、フラッフ化した合成パルプとSAPを解砕しながら同時に容器中を降下させて層を形成する方法、ミクロフィブリル樹脂または合成パルプとSAPをミキサーなどで混合してSAPを捕捉した合成パルプを製造する方法などを用いることができる。合成パルプとSAPをミキサーなどで混合する方法、またはフラッフ化した合成パルプとSAPと抗菌剤とを解砕しながら同時に容器中を降下させて層を形成する方法が好ましい。
これらのうち、ミクロフィブリル樹脂または合成パルプとSAPをミキサーなどで混合する方法が好ましく、下羽根および上羽根の上下二段に設置された撹拌羽根を撹拌容器内に有するミキサーで、下羽根による回転力によって上記ミクロフィブリル樹脂または合成パルプおよびSAPと抗菌剤とを流動させ、同時に上羽根による剪断力によって両者を撹拌および混合する方法が好ましい。本発明者の知見によれば、上記上下二段に設置された撹拌羽根を有するミキサーで混合することで、SAPを十分に捕捉し、かつ、SAPをより均一に分散させた合成パルプを製造することができる。
このときの下羽根の周速度は、30m/s以上100m/s以下であることが好ましく、40m/s以上80m/s以下であることがより好ましく、50m/s以上70m/s以下であることがさらに好ましい。一方で上羽根の回転速度は、下羽根と同軸で、同周速度で構わない。二軸等で下羽根と周速度を変えられるときは、下羽根の周速度の範囲で周速度を変えることもできる。また、混合時間は3分以上30分以下であることが好ましく、5分以上20分以下であることがより好ましく、10分以上15分以下であることがさらに好ましい。
上記上下二段に設置された撹拌羽根を有するミキサーの例には、ヘンシェル型ミキサーが含まれる。特に、日本コークス工業製のFMミキサー、CPミキサー、MHミキサー、ホソカワミクロン製サイクロミックス(R)CLX高速せん断型混合機などが好ましい。これらの中でも、剪断および混合をより十分に行い得る、日本コークス工業社製FMミキサーが好ましい。
得られた液体吸収体が層状であれば、次の積層工程にそのままで用いることができる。液体吸収体が層状でない場合は、層状に成形して次の積層工程に用いる。液体吸収体を層状に成形する方法は、従来公知の方法を用いればよく、制限されない。例えば、エアレイド製法などが挙げられる。
<抗菌剤付与工程>
抗菌剤付与工程は、抗菌剤を付与する工程である。抗菌剤を付与する方法としては、例えば、合成パルプまたは液体吸収体層の表面又は内部に、抗菌剤を含む溶液を散布、塗布、又は含浸させる方法;合成パルプの繊維に予め抗菌剤を添加して紡糸し、紡糸された繊維を用いて液体吸収体層を製造する方法;などが挙げられる。
抗菌剤として粒子状の抗菌剤を用いる場合においては、前述の液体吸収体層製造工程において、SAPと同様にして合成パルプと混合する方法が好ましい。
<積層工程>
積層工程は、少なくとも、液体吸収体層と、第1液透過性シート層を形成する不織布と、を積層する工程である。
積層方法は特に制限されず、従来一般的に用いられている公知の方法を使用することができる。
例えば、積層工程の一態様としては、液体吸収体製造工程で得られた液体吸収体を、必要に応じて層状に成形して液体吸収体層を準備する。液体吸収体層と、別途準備した第1液透過性シート層とを公知の方法で各層を接合する。
公知の接合方法としては、例えば、エンボス加工、キルティング加工、高周波ウエルダー加工、超音波シーラー加工、ホットメルト接着剤の使用等が挙げられる。
また、積層工程では、第2液透過性シート層を構成する不織布をさらに積層してもよく、液体吸収体層、第1液透過性シート層および第2液透過性シート層以外のその他の層を積層してもよい。
<その他の工程>
本発明の積層体の製造方法は、さらに他の工程を有していてもよい。その他の工程としては、積層体を所望の形状に形成する工程などが挙げられる。
液体吸収体層製造工程、抗菌剤付与工程、積層工程および任意であるその他の工程は、それぞれ独立して行っても良く、一部または全部を同時に行っても良い。
例えば、液体吸収体層製造工程において、合成パルプ、SAPおよび抗菌剤を混合することで、液体吸収体製造工程と抗菌剤付与工程を同時に行うことができる。
<<用途>>
本発明の積層体は、液体と接触し、その液体を吸収し得る用途であれば特に制限されず、例えば、ハンカチ、タオル、下着、肌着、その他衣類、寝具、医療・介護用品等の布状体または布状積層体;生鮮食品(野菜、果物、精肉、鮮魚、加工食品等)のドリップシート;上記生鮮食品の包装袋又は包装容器等の鮮度保持用資材;台ふきんおよび食器拭きなどの各種布巾等の各種用途に適用することができる。
これらの中でも、本発明の効果が発揮されやすいハンカチ、タオルおよび肌着として好ましく用いられる。
本発明の積層体は、単独でまたは他の物品と積層して、上述の各用途に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において使用した原材料および混合機は以下のとおりである。
<使用した原材料>
合成パルプ1:FD505(商品名)(平均繊維長1.0mm、繊維径30μm、MFR7.0g/10min、CSF600ml、ミクロフィブリル繊維)(三井化学社製)
合成パルプ2:FDSS−50(商品名)(平均繊維長0.1mm、繊維径15μm、MFR100g/10min、CSF400ml、ミクロフィブリル繊維)(三井化学社製)
SAP1:アクアキープSA60S(商品名)(真球凝集体)(住友精化社製)
SAP2:アクアキープCA180N(商品名)(真球)(住友精化社製)
抗菌剤:ゼオミックLJ210N(商品名)(銀イオンを担持したゼオライト粒子)(シナネンゼオミック社製)
天然パルプ:針葉樹パルプを解砕し、綿状にしたもの(ミクロフィブリル構造および分岐構造を有さない)
液透過性シート:市販品の尿取りパッドからトップシートを剥ぎ取り、液透過性シートとした。表1中では市販品と記す。
なお、FD505およびFDSS−50は、平均繊維径が1〜50μmの範囲にあり、繊維径の最小値が0.5μm以上であり最大値が50μm以下であり、分岐構造を有することが分っている。また、液透過性シートのストライクスルータイムは、1秒以下であった。
<使用した混合機>
混合機1:FMミキサー、FM20(日本コークス工業社製)
混合機2:MHミキサー、MH20(日本コークス工業社製)
混合機3:CPミキサー、CP15(日本コークス工業社製)
混合機4:ブレンダーミキサー(商品名MX−152、パナソニック社製)
混合機5:タンブラーミキサー(商品名タンブラーミニ(2L容器)、エイシン社製)
なお、混合機1〜混合機3は、いずれも上下二段に設置された撹拌羽根を有するミキサーであり、上羽根と下羽根は同軸である。また、混合機4〜混合機5の羽根は1枚である。
(1)ハンカチの製造
表1に記載された配合比率、混合機および混合条件で、合成パルプ(比較例1および比較例2にあっては天然パルプ)と、SAPとを混合し、SAPとパルプの混合物を得た。なお、上下二段に設置された攪拌羽根を有するミキサー(混合機1〜混合機3)を用いた際、上羽根と下羽根の攪拌速度は同じにした。
次いで、SAPと合成パルプ(比較例1および比較例2にあっては天然パルプ)の混合物を目開き5ミリの篩で振るいながら液透過性シート上に振りかけて積層し、厚さ1mmのシート状に成形した。これに、表1の配合比率となるよう抗菌剤を振りかけ、液体吸収体層を得た。
次いで、液体吸収体層の両面に、液透過性シートをかぶせて積層し、積層体を得た。
次いで、積層体を縦20cm、横20cmに裁断して4辺をヒートシーラーにてシールして袋状にし、ハンカチとした。ハンカチの厚みは1.5mmであった。
(2)SAPの分離率(分布むら)の評価
上記(1)中で得られたSAPとパルプの混合物を厚み2cm、縦横各10cmの容器に詰めて成形した後、ポリ袋に入れ、上述のとおりアズワン製ラボシェイカーSR−1にて、ポリ袋ごと200r.p.m.で10分間振盪して、ポリ袋中の下部に分離した粒子を計量した。分離したSAPの質量を、ポリ袋に投入したSAPの全質量で除算して、SAPの分離率とした。結果を表1に示す。なお、SAPの分離率が低く、合成パルプに捕捉されていれば、SAPの分布むらが生じにくくなる。
(3)吸水性の評価
上記(1)で得られたハンカチの任意の3点に、それぞれ水5mlを滴下し、吸水速度が一定であるか否かを目視で確認し、下記評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
―評価基準―
A:任意の3点がいずれも同程度の吸水速度である
B:任意の3点の少なくとも1点の吸水速度が、他と比べて遅い
(4)抗菌性の評価
上記(1)で得られたハンカチにおいて、JIS L 1902(2015)に従い黄色ブドウ球菌の生菌数試験を行った。下記評価基準に従って評価し、抗菌性を評価した。
―評価基準―
A:生菌数が0であり、抗菌性に優れる
B:生菌数が0を超えており、抗菌性に劣る
(5)再使用時の使用感の評価
手を水で濡らし、上記(1)で得られたハンカチで水分をふき取った。5分後に再度手を水で濡らし、さきほど使用したハンカチで水分をふき取った。2回目のふき取りの再の使用感を下記評価基準に従って評価した。
―評価基準―
A:ハンカチとして違和感無く使用できる
B:ハンカチとして違和感無く使用できない
Figure 0006889084
表1中「−」は、該当する成分を含まないことを意味する。
下羽根による回転力からなる流動に加え、上羽根による剪断力を発生させるFMミキサーFM20、MHミキサーMH20およびCPミキサーCP15のいずれかにて、多分岐構造を持ち、ミクロフィブリル構造を有する合成パルプであるFD505またはFDSS−50と、SAPとを混合すると、SAPが合成パルプ中に捕捉されることが分かる。また、このようにSAPの分布むらが抑制され、かつ、抗菌剤を含む実施例1〜実施例3のハンカチでは、吸水性、抗菌性および再使用時の使用感のいずれも優れていることが分かる。
それに対し、分岐構造が少なく、フィブリルも少ないパルプでは、SAPが捕捉されていなかった(比較例1、2)。また、混合に一般的なミキサーを用いた場合、多分岐構造を持ち、ミクロフィブリル構造を有する特定の合成パルプを用いてもSAPは捕捉されていなかった(比較例3、4)。また、このようにSAPの分布むらが生じやすいハンカチでは、吸水性および再使用時の使用感が劣ることが分かる(比較例1〜比較例4)。

Claims (10)

  1. 液体吸収体層と、第1液透過性シート層と、を有し、
    前記液体吸収体層は、MFRが0.1g/10min以上200g/10min以下である樹脂からなる、平均繊維長が0.05mm以上50mm以下であり、かつ、繊維径の最小値が0.5μm以上であり繊維径の最大値が50μm以下であるミクロフィブリル繊維が集合してなる、カナディアンフリーネスが300ml以上740ml以下である合成パルプと、前記合成パルプに捕捉された高分子吸収体と、抗菌剤と、を含む積層体。
  2. 前記液体吸収体層の全質量に対する前記合成パルプの含有率が10質量%〜70質量%である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記液体吸収体層の全質量に対する前記高分子吸収体の含有率が20質量%〜80質量%である請求項1または請求項2に記載の積層体。
  4. 前記液体吸収体層の全質量に対する前記抗菌剤の含有率が0.1質量%〜20質量%である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記抗菌剤が、銀イオンを担持した無機粒子である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記液体吸収体層の前記第1液透過性シートを有する側とは反対側に第2液透過性シートを有する請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の積層体を含むハンカチ。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の積層体を含むタオル。
  9. 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の積層体を含む肌着。
  10. 下羽根および上羽根の上下二段に設置された撹拌羽根を撹拌容器内に有するミキサーで、下羽根による回転力によって合成パルプおよび高分子吸収体を流動させ、同時に上羽根による剪断力によって、MFRが0.1g/10min以上200g/10min以下である樹脂からなる、平均繊維長が0.05mm以上50mm以下であり、かつ、繊維径の最小値が0.5μm以上であり繊維径の最大値が50μm以下であるミクロフィブリル繊維が集合してなる、カナディアンフリーネスが300ml以上740ml以下である前記合成パルプと、前記高分子吸収体と、を撹拌および混合して液体吸収体を製造する液体吸収体製造工程と、
    抗菌剤を付与する抗菌剤付与工程と、
    前記液体吸収体と、第1液透過性シートと、を積層する積層工程と、を含む積層体の製造方法。
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