JP6887408B2 - 変形爪矯正具 - Google Patents

変形爪矯正具 Download PDF

Info

Publication number
JP6887408B2
JP6887408B2 JP2018174071A JP2018174071A JP6887408B2 JP 6887408 B2 JP6887408 B2 JP 6887408B2 JP 2018174071 A JP2018174071 A JP 2018174071A JP 2018174071 A JP2018174071 A JP 2018174071A JP 6887408 B2 JP6887408 B2 JP 6887408B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nail
deformed
main body
deformed nail
adhesive tape
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018174071A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019051319A (ja
Inventor
菊三 岡田
菊三 岡田
英次朗 岡田
英次朗 岡田
玲奈 橋本
玲奈 橋本
Original Assignee
菊三 岡田
菊三 岡田
英次朗 岡田
英次朗 岡田
玲奈 橋本
玲奈 橋本
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 菊三 岡田, 菊三 岡田, 英次朗 岡田, 英次朗 岡田, 玲奈 橋本, 玲奈 橋本 filed Critical 菊三 岡田
Publication of JP2019051319A publication Critical patent/JP2019051319A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6887408B2 publication Critical patent/JP6887408B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Orthopedics, Nursing, And Contraception (AREA)

Description

本発明は変形爪を整復するための矯正具に関する。より詳細には、巻き爪、陥入爪等の変形爪を整復治療に用いることができ、また、整復治療後の爪を整復位において維持し、変形爪の再発を防止するために用いることができる、矯正具に関する。
変形爪とは巻き爪、陥入爪等をいい、臨床上治療を要する巻き爪・陥入爪は拇趾等に発生する。巻き爪とは足等の爪が横方向に湾曲した状態をいう。又、陥入爪とは巻き爪の重篤なもので、爪甲の外側縁が皮膚に食い込み、炎症や化膿を起こす症状をいう。この炎症や化膿により、周囲の軟部組織の発赤、腫脹、疼痛の悪循環を来たし、さらに病的肉芽が形成され、浸出液、膿の排出もみられる。陥入爪の爪外側縁は炎症に長らく侵され脆弱であり、易損性が高い。
従来の変形爪を矯正する方法には、例えば形状記憶合金、又は、形状記憶樹脂からなる板状片を巻き爪の屈曲面に接着剤で貼着させておき、環境温度を所定の温度以上に上昇させることによって、板状片の復元力により直す方法等が提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1では適用時に加熱等の操作が必要なことから、煩雑である。又、針金状の素材としては、Ni−Ti合金を用いる超弾性ワイヤが知られている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2のNi−Ti合金からなる超弾性ワイヤは高い弾性率(80〜100GPa)を有するので、爪が欠けたりすることがある。又、Ni−Ti合金にはニッケルが含まれ、そのアレルギー症状に懸念がある。さらにNi−Ti合金は圧延性が低いので、使用時に断面を加工するのが容易ではない。特許文献2に記載の方法では、従来のNi−Ti合金は爪の伸びた余剰部分(白い部分)先端部に固定するので、爪を伸ばす必要があることから、治療開始までタイムラグを生じ、痛みに耐える患者にとっては苦痛である。
本発明者らは、前述の先行技術での問題を解決すべく、変形爪の治療にあたり、爪を軟化させ、正常状態に整復することを特徴とする変形爪矯正用処理剤を提案した(特許文献3参照)。さらに、本発明者らは、1〜2日で急速に整復する手法として、巻き爪に対しては爪の本体部に開孔して上記Ni−Ti合金からなる超弾性ワイヤを挿入し、その後前記変形爪矯正用処理剤を塗布する手法を提案した(非特許文献1)。しかしながら、非特許文献1の方法では、前記処理剤をNi−Ti合金と併用した場合、弾性が強すぎることから、爪と爪下の軟部組織(爪床)を過度に剥離して組織に余分な損傷を与える。又このために、術後の疼痛が強く、強力な鎮痛剤の服用も必要となる。さらには、易損性に富む陥入爪では周囲の爪が破損折損して当分の間このワイヤを用いる手術を行えないこともある。また本発明者らは、ブラケットを有する変形爪治療具を考案した(特許文献4)。しかしながら、ここでもNi−Tiが用いられており、長期間にわたりNi−Ti合金ワイヤを用いることは、アレルギー発症の観点より好ましいとは言えない。例えば、腫脹、発赤、肉芽、滲出液等を伴う陥入爪の症例ではNi−Ti合金ワイヤと浸出液との接触が問題となる。さらに本発明者は、術者の技量によらず、簡単、安全且つ短期間に、疼痛を少なく変形爪を矯正することが可能な変形爪矯正具を考案した(特許文献5,非特許文献4)。また、しかしながら、この変形爪治療具を含め従来の変形爪治療具は、医療機関での使用を前提としており、通院の煩わしさや整復に長期間を要するなどの課題があった。
その他、Niアレルギー患者にβ型チタン合金ワイヤを用いた例が知られている(非特許文献2)ほか、異汗症性湿疹の患者ではニッケルアレルギーの関与がされていることも知られている(非特許文献3)。
特許第2648735号公報 特許第3519858号公報 特許第3914881号公報 登録実用新案第3133233号公報 特許第5382835号公報
岡田菊三「新しい巻き爪、陥入爪の治療法(岡田法)」靴の医学21巻2号、2007、65〜68頁 酒井雄一ら、「オーソンドンティック・ウェーブズ(Orthodontic Waves)」68巻3号、2009年、129−136頁「ニッケルアレルギーを伴う重度の叢生症例に対するニッケル非含有矯正装置を用いた治療」 檜垣祐子、デルマ(Derma)107号、2005年、33−37頁「手指皮膚炎・汗疱状湿疹の診療・異汗症性湿疹」 岡田菊三、岡田英次朗、橋本玲奈「新しい巻き爪、陥入爪の治療 爪軟化剤、βチタン弾性ワイヤ、ネイルタワーを用いて 臨床整形外科 2017年 52巻 7号、691−698頁」
以上のように、従来の方法では簡便、安全かつ短期間で変形爪の治療をする方法が必ずしも確立されておらず、本発明の目的は、医療機関や患者自身により、簡単な方法で、短期間に、かつ難治性アレルギーの発症を誘発せず安全に疼痛を少なく変形爪を矯正することができる手段を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、本発明者らが提案した所定の材料と粘着テープからなる変形爪矯正具を用いると、巻き爪や陥入爪等の変形爪を簡便、安全かつ短時間で治療することが可能になることを見出した。
さらに、本発明の変形爪矯正具は、本発明による変形爪整復治療後、又は、別の変形爪整復治療後の爪に用いることで、前記整復後の爪を、整復位で固定・維持することが可能となることを見出し、本発明を完成した。
上記課題は、本発明の下記構成(1)〜(8)のいずれかの構成により解決することができる。
即ち、本発明(1)は、
変形爪の矯正の際に使用される変形爪矯正具であって、
前記変形爪上に設置される、長尺体である本体部と、
前記本体部を変形爪の側縁部に係合するための係合部と、
前記係合部を介して、前記変形爪の側縁部に係合された本体部を、変形爪を有する手指、又は、足趾に巻回して固定するための粘着テープ部と、を有し、
前記本体部は、変形爪矯正具の使用時に、前記係合部が係合した一方の側縁部から、他方の側縁部に向けて爪甲上を通過して、前記他方の側縁部に近い、前記手指又は足趾の側面の稜線部、を超えて巻回する長さを有し、
前記本体部と前記粘着テープ部の合計の長さは、前記手指又は足趾を1周以上巻回する長さを有することを特徴とする、変形爪矯正具である。
本発明(2)は、
爪軟化剤が適用された変形爪用である、前記発明(1)の変形爪矯正具である。
本発明(3)は、
前記本体部の材質が、金属、樹脂、繊維で強化された紙のいずれかである、前記発明(1)、又は、(2)の変形爪矯正具である。
本発明(4)は、
前記金属が、β型チタン合金及びチタン系アモルファス合金からなる群より選択される、前記発明(3)の変形矯正具である。
本発明(5)は、
前記合金がニッケル、バナジウム及びクロムのいずれの金属も実質的に含まない、前記発明(4)の変形爪矯正具である。
本発明(6)は、
前記本体部の材質のヤング率が30〜75GPaである、前記発明(1)〜(5)のいずれかの変形爪矯正具である。
本発明(7)は、
少なくとも1種の爪軟化剤と、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の変形爪矯正具と、
を含む、変形爪の整復キットである。
本発明において、「指」とは、手指、及び、足趾を含み、本明細書において「指」とした場合には、手指と足趾を区別せずに用いる場合がある。また、変形爪を有する手指又は足趾についても、単に「指」と表現する場合がある。
図1には、本明細書で用いる手指、又は、足趾に関する部位の名称を示したものである。本明細書は、図1に基づいて、記載するものとする。
本発明において、「変形爪」とは、巻き爪、又は、陥入爪をいう。巻き爪とは足等の爪が横方向に湾曲した状態をいう。又、陥入爪とは巻き爪の重篤なもので、爪甲の外側縁が皮膚に食い込み、炎症や化膿を起こす症状をいう。
本発明において、「爪軟化剤」とは、爪を軟化する薬剤であれば特に限定されない。例えば、爪軟化剤は、爪中のケラチンタンパク質に含まれるシスチンのジスルフィド結合を還元することによってメルカプト基として切断し、その結果患部の変形爪を軟化するものが含まれる。
本発明において、爪軟化剤を「適用する」とは、変形爪の治療のため、治療対象の爪に加える(例えば、塗布、注入等)ことをいう。適用のタイミング及び回数は、特に限定されず、本発明の変形爪矯正具を装着する前でも後でもよく、矯正具装着の前後に行ってもよい。
本発明において、「矯正」とは、変形爪矯正具を変形爪に装着、挿入等の方法で固定した際、本体部が爪縁部に爪挙上力を作用し、前記変形爪の形状を正常、又は、正常に近い状態まで整復することをいう。
本発明において、「実質的に含まない」とは、具体的に当該物が合金の分析において検出されない、あるいは検出されても0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.01重量%以下であることを示す。
本発明によれば、医療機関や患者自身が、簡単な方法で、短期間に、かつ難治性アレルギーの発症を誘発せず安全に疼痛を少なく変形爪を矯正することができる手段を提供できる。
本明細書で用いる、手指又は足趾の部位の名称を説明した説明図である。 本発明の一形態にかかる変形爪矯正具の斜視図である。 本発明の変形爪矯正具に形成された本体部、係合部の斜視図である。 本発明の変形爪矯正具の使用方法の一例を示す説明図である。 本発明の変形爪矯正具の使用中の効果を示す説明図である。 本発明の変形爪矯正具の処置例である。 本発明の変形爪矯正具の処置後の写真である。
以下、添付した図面及び実施形態を参照して、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これによって制限されるものではない。
≪変形爪矯正具≫
図1に変形爪11を有する指10を示した。図1(a)は、指10の上面図であり、図1(b)は、図1(a)の白抜きの矢印の方向、即ち、つま先方向から見た正面図である。
図1及び図2に基づいて、本発明にかかる変形爪矯正具について説明する。
変形爪11は、横方向(図1(b)における指の幅方向)に湾曲しており、爪の側縁部12が皮膚に食い込んでいる。本発明の変形爪矯正具は、このように変形した爪を、正常な位置に整復するために用いられる。
図2(a)及び(b)は、本発明の実施の形態にかかる変形爪矯正具の例の斜視図である。本変形爪矯正具は本体部と、係合部と、粘着テープ部とからなる。前記本体部、前記係合部及び前記粘着テープ部は、全て、又は、それらのうちの一部が別体として構成され、使用時に組み合わせて使用する態様としてもよく、それら全てを一体物とする態様でもよい。
図2(a)は、本体部21と係合部22が一体の構成であり、粘着テープ部24のみが別体である態様を示している。図2(b)は、本体部、係合部、粘着テープ部が一体の構成の態様を示しており、本体部と粘着テープ部は境界がないため、本体部31として示されている。また図2(a)の粘着テープ部24及び図2(b)の本体部31の指に接触する面にはそれぞれ粘着剤層25及び35が形成される。
本変形爪矯正具20(30)は、変形爪の一方の側縁部12に係合部22(32)を係合させ、他方の変形爪の側縁部に向けて、本体部21(31)を変形爪11の上面に沿わせるようにして、爪甲上を通過させ、指側面部14の稜線部15を超えて巻回する。このとき、変形爪11の側縁部12は、本体部21(31)が、前記爪甲、指側面部14の稜線部15を支点として、てこの原理を利用して変形爪を強く引き上げることができ、変形爪を容易に正常位に戻すことができる。その後、粘着テープ部24(又は、本体部31)を、さらに指に巻回させ、粘着剤層25(35)により、所定の時間固定することで、変形爪を短時間で整復治療することができる。
さらに、本体部21(31)が、前記指腹部16の稜線部17を超える長さである場合には、さらに指腹部16の稜線部17を支点として、てこの原理の効果を加えることが可能となり、変形爪のさらに短時間で整復治療することができる。
また、本体部21(31)が、指側面部14の稜線部15、さらには、指腹部16の稜線部17を超えて固定されることで、前記変形爪矯正具10(20)を固定したのち、指を運動させると、筋肉の動きにより、本体部21(31)や粘着テープ部24は圧迫され、それぞれが伸長する方向に力が加えられる。このとき、てこの原理により、さらに強い変形爪を引き上げる力が、付加される。このため、変形爪の整復がさらに短時間で行うことができる。この場合においても、本体部21(31)が、指腹部16の稜線部17を超えて固定されている方が、より変形爪に力を伝達し易いため、好ましい。
図4に基づき、足趾の変形爪を整復する場合について、より詳細に説明する。図5は、図4に示された、本発明にかかる変形爪矯正具の使用方法の例に基づいて施工された変形爪を有する指を、つま先方向から見た正面図を示している。
図4(a)に示されたように、本体部21は、一方の爪の側縁部12に係合され、爪甲、指側面、指腹部の稜線部を超えて、固定されている。図4(a)は、指に力が加えていない状態を示している。この状態から、例えば、患者が歩行した場合に、前記変形爪矯正具が用いられた足趾が着地する際、図5(b)に示したように、指腹部は地面に押し付けられ、押圧され(白抜き矢印)、指側面部は黒矢印のように拡張する。このとき、本体部21には引張力(細線矢印)が印加される。前記引張力は、本体部21を伝達し、爪甲等を支点として、てこの原理により、さらに強い力で変形爪を引き上げることができる(灰色矢印)。このことにより、変形爪の整復が、さらに容易になる。
また、本変形爪矯正具は、治療後の爪に対し、変形爪の再発防止のため、正常位を維持するために使用することもできる。
以下に、本体部、係合部、粘着テープ部の順で詳述する。
<本体部>
本体部は、係合部を介して変形爪の一方の側縁部に係合され、爪の表面部に沿って、爪甲を通過し、さらに指側面の稜線部を超えて巻回して固定される。本体部は、少なくとも一か所において、てこの原理の支点となる部分に接していればよい。前記支点となる部分としては、爪甲、指側面の稜線部、指腹部の稜線部等である。本体部は、多くの支点を有する方が、変形爪の整復する効果が高くできる。
ここで、「支点となる部分に接する」とは、直接、又は、間接的に接していればよい。間接的にとは、例えば、変形爪と本体部の間に、脱脂綿などを挟んで固定する場合等である。本体部を変形爪や指の一部に、直接接するように固定する際、痛みをともなう場合に、脱脂綿などを挟むことにより、痛みを緩和することが可能となる。
また、本体部は、その一部が変形爪や指から隔離してもよい。本体部を変形爪や指の一部に、直接接するように固定する際に、痛みをともなう場合には、本体部を痛みのある部分上に中空に浮かせることで痛みを緩和することができる。
(材質)
本体部の材質は、変形爪の側縁部を引き上げ、正常位に戻すために必要な、強度、可撓性、弾性率などを有する材質であればよい。例えば、金属、樹脂、繊維などで強化された紙等が挙げられる。一般的には、より弾性率が高く、降伏強度が高い金属が好ましいが、下記の様な態様によっては、樹脂が好ましい場合がある。
本体部を係合部とのみ一体の構成とする場合において、本体部の材質は、係合部を加工可能な強度等の物理特性をさらに有する材質であればよく、金属、樹脂がより好ましい。
本体部と粘着テープ部とを、又は、本体部と係合部と粘着テープ部とを、一体の構成とする場合には、本体部の材質は、薄膜とすることが可能であり、且つ、指に巻回することができる可撓性を有する材質が好ましく、樹脂がより好ましい。
前記金属としては、βチタン合金、チタン系アモルファス合金、ニッケルを含む超弾性ワイヤ、ステンレスワイヤなどの金属がより好ましく、β型チタン合金及びチタン系アモルファス合金がさらに好ましい。
β型チタン合金は、(1)熱処理によりα+β型チタン合金以上の強度が得られる、(2)bcc構造を有するため、α+β型チタン合金よりも冷間加工性に優れる、(3)CPチタンやα+β型チタン合金よりも弾性率が小さい、といった特長を有する(医療用金属材料概論、塙隆夫編、日本金属学会)。
β型チタン合金としては、特に限定されないが、例えば、Ti−Mo−Zr−Al(例えば、Ti−15Mo−5Zr−3Al)、Ti−Mo−Zr−Fe(Ti−12Mo−6Zr−2Fe)、Ti−Mo−Nb(Ti−15Mo−2.8Nb)、Ti−Nb(例えば、Ti−45Nb)、Ti−Nb−Ta−Zr(例えば、Ti−29Nb−13Ta−4.6Zr(50GPa程度)、Ti−35Nb−7Zr−5Ta)、Ti−Mo(例えば、Ti−15Mo)、Ti−Mo−Hf(例えば、Ti−16Nb−10Hf)、Ti−Nb−Ta−Zr(例えば、Ti−16Nb−13Ta−4.6Zr)、Ti−Mo−Nb−Zr(例えば、Ti−14Mo−3Nb−1.5Zr)、Ti−Cu−Zr−Pd、Ti−Mo−Zr−Sn等のβ型、Ti−Nb−Zr(例えば、Ti−13Nb−13Zr)等のnearβ型等の金属の組み合わせが好適に用いられる(医療用金属材料概論:98頁、塙隆夫編、日本金属学会)。β型チタン合金におけるTiの割合は、40〜95重量%が好ましく、より好ましくは45〜90重量%である。
本発明に用いられるβ型チタン合金は生体用β型チタン合金が好ましく、生体用β型チタン合金は、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、クロム(Cr)等の細胞毒性(アレルギー性)元素を実質的に含まないことが好ましい。
β型チタン合金としてより好ましくは、Ti−Mo−Zr−Snからなるβ型チタン合金{例えば、歯科矯正用のオーソドンティックワイヤA(レゾルブ(TM)ベータチタンワイヤ(トミーインターナショナル)として市販)}である。このTi−Mo−Zr−Snからなるβ型チタン合金は歯科領域では矯正用ワイヤとして汎用されており、又整形外科領域では人工関節としても用いられている。特に安全性の懸念の報告がないことから、Ni過敏症の患者であっても安心して用いることができる。
なお、本発明の目的において、結晶形であるβ型チタン合金以外にも、金属ガラスを含むチタン系アモルファス合金(Ti−In−Cu、Ti−Si−Cu、Ti−Zr−Cu−Pd、Ti−Zr−Cu−Pd−Sn、Ti−Zr−Cu−Pd−Ca等)も適度な弾性を有することから、好適に用いることができる。
従来、チタンとしては純チタン(CPチタン)が用いられてきた。純チタンは耐食性に優れ、比較的成形性もよい一方で、強度が低いことが問題となっていた。一方、特許文献2にあるようなNi−Ti合金も広く用いられているが、生体用実用合金として用いられているのはTiとNiの比がほぼ1:1のニチノールと呼ばれるNi−Ti系のみである。Ni−Ti合金はアレルギー症状を起こす恐れのあるNiを含有するため、人体に触れたり、体液に接触したりするのは必ずしも好ましくない。
(物性:弾性率)
本発明の変形爪矯正具に用いられる本体部は、好ましくは30〜75GPaのヤング率を有する。より好ましくは35〜65GPaである。ヤング率は、JIS Z2280(金属材料のヤング率)に従って測定することができる。弾性率がかかる範囲にあることで、本発明にかかる変形爪矯正具は、指に巻回することで強いばねとして働くとともに、前記爪甲等のてこの原理の支点として働く部分にも負けない硬さを有するため、塑性変形しにくいという効果を有する。本体部が塑性変形してしまうと、ばねとしての反発力は低減され、変形爪を整復する効果が低下する。
(形状:本体部の長さ、幅、厚み及び断面形状)
上述したように、本体部は、係合部、又は/及び、粘着テープ部と、一体又は別体とすることができる。本体部を、係合部、又は/及び、粘着テープ部と、一体とする構成の場合には、本体部は、後述する係合部、又は/及び、粘着テープ部の形状等の特徴を含む必要がある。以下には本体部が別体である場合について詳述する。
本発明にかかる本体部は、長尺体であり、特にその形状は限定されない。例えば、棒状、ワイヤ状、薄板状、帯状などとすることができる。
本発明にかかる本体部の長さは、少なくとも、変形爪の一方の側縁部に係合し、爪の上面に沿って巻回させた際に、爪甲及び指側面の稜線部を超える長さである。さらに好ましくは、指腹部の稜線部を超える長さである。本体部の長さが、かかる範囲にあることで、前記てこの原理の支点を複数含むことができ、ばねの反発による変形爪の整復の効率を高くすることができる。
指側面部の稜線部を超えると、本体部が係合している変形爪の側縁部を持ち上げる力をさらに強くすることができるため好ましい。さらに、指腹部の稜線部を超えると、指が運動する際の、筋肉の動きや指の変形にともない、変形爪を持ち上げる力が増すため、変形爪を効率よく整復することが可能となるため、より好ましい。
本体部の長さは、始点を係合部の折り返し部の先端(例えば、係合部をU字形状とした場合は弧の先端)、終点は他の方の端部の距離である。本体部と、粘着テープ部が別体の場合には、本体部の一部を粘着テープ部が覆っているが、粘着テープ部に覆われている部分も、本体部の長さに含む。
本体部と、粘着テープ部が一体の場合には、始点を係合部の折り返し部の先端(例えば、係合部をU字形状とした場合は弧の先端)、本体部の厚さが、粘着テープ部の厚さと異なる部分までの長さとする。
本体部の長さは、患者の個人差や、変形爪を有する指によって、その長さが異なる。従て、本体部の長さは限定されないが、例えば、1cm〜8cmとすることができ、長すぎる場合には、係合部と反対側の端部を切断して、長さを調節して用いることができる。
本体部の幅、厚さ、断面形状は、特に限定されず、係合部を介して、変形爪の側縁部に係合し、変形爪の爪甲を通過して巻回可能であればよい。例えば、ワイヤ状、薄板状、柱状部材、棒状部材、筒状部材等が挙げられ、断面形状としては、円形、楕円形、多角形などの形状とすることができる。例えば、図2(a)に示す本体部10の断面は長方形(矩形)である。本発明の目的を果たすことができる限り形状に制限はない。
また前記本体部の太さや長さが、種々のものを準備しておき、症状や変形爪の形状、変形爪を有する指にあわせて、最も望ましい矯正整復力が得られる太さ及び長さのものを用いることが好ましい。また、前記本体部は、一部、又は、全部を圧延して平坦部を設けるなどの形状でも良い。そのようにすることで、変形爪に設置しやすくなる。
本体部の形状は、変形爪や指に沿わせる目的で、ワイヤ状及び薄板状の形状が好ましく、ワイヤ状及びワイヤの一部を圧延した平坦部を有するワイヤ状がより好ましい。例えば、β型チタン合金及びチタン系アモルファス合金をワイヤ状部材として用いる場合には、部材の圧延されていない本体部の断面積は、特に限定されないが、0.15〜1mm程度とすることができる。
本体部は曲線化してもよい。この曲線化が本体部の弾性と相まって、変形爪の整復に供することができる。なお、どのような曲率で曲線化させるかは爪の大きさや形状等によって適宜決定することができる。
(係合部)
本体部は、係合部を介して変形爪の側縁部に係合され、粘着テープ部により巻回されて固定される。上述したように、係合部は、本体部と一体、又は、別体して構成することができる。
係合部の材質は、特に限定されず、例えば本体部と同様に、金属、樹脂、繊維などで強化された紙等が挙げられる。本体部と係合部が別体の場合には、本体部と係合部の材質は、同一としてもよく、異なる材質を用いてもよい。
係合部の材質は、本体部を係合部とのみ、一体の構成とする場合において、係合部を加工可能な強度等をさらに有する材質であればよく、金属、樹脂が好ましく、βチタン合金、チタン系アモルファス合金、ニッケルを含む超弾性ワイヤ、ステンレスワイヤなどの金属がより好ましく、β型チタン合金及びチタン系アモルファス合金がさらに好ましい。
β型チタン合金は、(1)熱処理によりα+β型チタン合金以上の強度が得られる、(2)bcc構造を有するため、α+β型チタン合金よりも冷間加工性に優れる、(3)CPチタンやα+β型チタン合金よりも弾性率が小さい、といった特長を有する(医療用金属材料概論、塙隆夫編、日本金属学会)。
β型チタン合金としては、特に限定されないが、例えば、Ti−Mo−Zr−Al(例えば、Ti−15Mo−5Zr−3Al)、Ti−Mo−Zr−Fe(Ti−12Mo−6Zr−2Fe)、Ti−Mo−Nb(Ti−15Mo−2.8Nb)、Ti−Nb(例えば、Ti−45Nb)、Ti−Nb−Ta−Zr(例えば、Ti−29Nb−13Ta−4.6Zr(50GPa程度)、Ti−35Nb−7Zr−5Ta)、Ti−Mo(例えば、Ti−15Mo)、Ti−Mo−Hf(例えば、Ti−16Nb−10Hf)、Ti−Nb−Ta−Zr(例えば、Ti−16Nb−13Ta−4.6Zr)、Ti−Mo−Nb−Zr(例えば、Ti−14Mo−3Nb−1.5Zr)、Ti−Cu−Zr−Pd、Ti−Mo−Zr−Sn等のβ型、Ti−Nb−Zr(例えば、Ti−13Nb−13Zr)等のnearβ型等の金属の組み合わせが好適に用いられる(医療用金属材料概論:98頁、塙隆夫編、日本金属学会)。β型チタン合金におけるTiの割合は、40〜95重量%が好ましく、より好ましくは45〜90重量%である。
本発明に用いられるβ型チタン合金は生体用β型チタン合金が好ましく、生体用β型チタン合金は、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、クロム(Cr)等の細胞毒性(アレルギー性)元素を実質的に含まないことが好ましい。
β型チタン合金としてより好ましくは、Ti−Mo−Zr−Snからなるβ型チタン合金{例えば、歯科矯正用のオーソドンティックワイヤA(レゾルブ(TM)ベータチタンワイヤ(トミーインターナショナル)として市販)}である。このTi−Mo−Zr−Snからなるβ型チタン合金は歯科領域では矯正用ワイヤとして汎用されており、また整形外科領域では人工関節としても用いられている。特に安全性の懸念の報告がないことから、Ni過敏症の患者であっても安心して用いることができる。
なお、本発明の目的において、結晶形であるβ型チタン合金以外にも、金属ガラスを含むチタン系アモルファス合金(Ti−In−Cu、Ti−Si−Cu、Ti−Zr−Cu−Pd、Ti−Zr−Cu−Pd−Sn、Ti−Zr−Cu−Pd−Ca等)も適度な弾性を有することから、好適に用いることができる。
従来、チタンとしては純チタン(CPチタン)が用いられてきた。純チタンは耐食性に優れ、比較的成形性もよい一方で、強度が低いことが問題となっていた。一方、特許文献2にあるようなNi−Ti合金も広く用いられているが、生体用実用合金として用いられているのはTiとNiの比がほぼ1:1のニチノールと呼ばれるNi−Ti系のみである。Ni−Ti合金は、アレルギー症状を起こす恐れのあるNiを含有するため、人体に触れたり、体液に接触したりするのは必ずしも好ましくない。
係合部の形状は、爪に係合することができる限り、特に限定されないが、爪側縁部に係合する目的で、略コの字型、又は、略U字型が好ましい。図3の例では、略コの字型となっている。コの字型とは、折れ曲がっている角度が実質的に直角であり、U字型とは、コの字の折れ曲がっている部分の角が実質的になだらかになっている形状をいうが、これらは特に厳密に区別されるものではない。ここで、図3(a)に示した係合部22(a)は、例えば本体部21の端部を圧延することで平坦化し、その後所定形状(例えば、略コの字型、又は、略U字型)に折り曲げることにより形成される。即ち、本体部21と係合部22(a)は一体化している。
また、係合部22(a)は、例えばβ型チタン合金、又は、チタン系アモルファス合金を用いた場合0.1〜0.5mm程度の厚さの板状とすることができる。そして、図3(a)に示すように、係合部22(a)は、細長い水平上方部分27(a)と、水平下方部分26と、水平上方部分27(a)と水平下方部分26とを間隔を保った状態で接続する垂直接続部分28(a)と、からなっている。上記水平上方部分27(a)の幅は、圧延されていない本体部の幅の120〜300%程度の長さであることが好ましく、係合部の高さTは、1〜4mm程度であることが好ましい。
また別の実施形態として、当該係合部22と本体部21とは、別体として作製され、組み合わせて使用することができる。例えば、係合部22に本体部21の一端の外形に合わせた挿嵌部を設け、本体部21を嵌め合うことで脱着可能とすることができる。
係合部は二又や三又のような複数の爪形状(図2(b)〜(c))とすることができる。
例えば、係合部22(a)における水平上方部分27(a)及び垂直接続部分28(a)は、変形爪の側縁部に挿入される。係合部22(a)とは反対側の端部は、爪幅の反対側に反転された上、粘着テープ部により指部に巻回され固定される。
≪粘着テープ部≫
変形爪矯正具は、粘着テープ部を有する。粘着テープ部は、本体部の係合部が設けられた端部とは、反対の端部に設けられる。
本体部21と粘着テープ部24とが、別体の場合において、組立は公知の方法で行うことができる。例えば、粘着テープ部へ接着、縫合、又は、ステープラの針などで固定することができる。粘着テープ部24は、施行の前に本体部21に接合されている態様であってもよく、患部に施行する際に本体部と組み立てて使用してもよい。
粘着テープ部24は、指の外周に巻回、固定するため、粘着剤層25を有する。粘着剤層25は、粘着テープ部24が、指の外周に巻回された際に、指に接する面に設けられる。なお、粘着剤層25の保護のため、粘着剤層25の表面に剥離シートを設けることができる。
(粘着テープ部基材)
基材の材質は、特に限定されない。例えば紙、樹脂、ゴム、不織布などが挙げられ、これらの複数を組み合せてもよい。後述する粘着剤層が基材を透過して表面に浸み出さない材質が好ましい。
基材の厚さは、特に限定されない。材質の強度などを考慮し、厚さを決定できる。例えば、樹脂の発泡体を基材とする場合には、0.7〜2mmとすることができ、樹脂フィルムを基材とする場合には、10〜500μmとすることができる。
また、図2(b)に示したように本体部と基材を一体物とすることができる。
(粘着剤層)
粘着テープ部の粘着剤層の材質は、特に限定されない。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。かぶれ等の人体への影響と、汗をかいた際に剥離が起こらない等の固定に必要な条件を満たす材質であれば良い。透明性、耐候性、耐熱性に優れ、低アレルギー性であるアクリル系粘着剤がより好ましい。
また、粘着剤層の厚さは、特に限定されない。例えば、10〜200μmとすることができる。
(粘着テープ部の形状)
粘着テープの形状は、変形爪矯正具を患部である指に巻回して固定できる形状であればよく、本体部の延在する方向と同一の方向に延在する帯状であることが好ましい。このような形状とすることで、本体部を固定し易くなる。さらに、本体部を強く引張して、指に巻回することが可能であり、変形爪を正常位に持ち上げる力を付加することが可能となる。
粘着テープ部の長さは、特に限定されず、本発明の変形爪矯正具が、指腹部を超えて巻回し、固定できる長さであればよい。ここで変形爪矯正具の長さは、長さの始点を係合部の折り返し部の先端(例えば、係合部を略U字形状とした場合はU字部の外弧の先端)とし、終点を粘着テープ部の、本体部が延在する方向の、粘着テープ部の本体部とは反対側の端部までの長さとする。
従って、粘着テープ部の長さは、特に限定されず、個人差による指の大きさの違い、変形爪を有する指、本体部の長さ等により、選択することができる。粘着テープ部の長さを長くすることで、粘着テープ部を指に何周にも巻回することができ、本体部をより安定に固定することができる。一方、長すぎる場合には、施工が面倒になることや、経済的ではなくなることから、粘着テープ部の長さは、本発明にかかる変形爪矯正具が、指の外周を1周〜2周巻回して固定できる長さが好ましい。以上から、粘着テープ部の長さは、1cm〜8cmとすることができ、長すぎる場合には、切断するなどして調節すればよい。
粘着テープの厚さは、特に限定されず、患部である指を巻回し、変形爪矯正具を固定することができる厚さであればよい。粘着テープ部の厚さは、基材や粘着剤層の材質などによって決定することができる。
また粘着テープ部は、複数の粘着テープで構成されていてもよく、又は、複数に枝分かれした形状のものでもよい。変形爪矯正具を指に固定するために、都合が良い形状や数とすることができる。
≪キット≫
本発明は、爪軟化剤と、前記の変形爪矯正具とを含む、変形爪の整復用キットとして用いることもできる。ここで、キットの構成要素のうち、変形爪矯正具については既に詳述したので、ここでは爪軟化剤について説明する。
(爪軟化剤)
本発明においては、変形爪矯正具を変形爪の整復に用いるにあたり、爪軟化剤を併用することができる。用いられる爪軟化剤としては、特に限定されないが、爪中のケラチンタンパク質に含まれるシスチンのジスルフィド結合を還元することによってメルカプト基として切断し、その結果患部の変形爪を軟化するものが好適に用いられる。例えば、好ましくは、システイン、アセチルシステイン、チオグリコール酸及びチオグリコール酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である。上記チオグリコール酸塩としては、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸カリウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン、チオグリコール酸ジェタノールアミン、チオグリコール酸トリエタノールアミン等を用いることができ、特に、チオグリコール酸アンモニウムが好ましい。爪軟化剤として特に好ましくは特許3914881号に記載された変形爪矯正用処理剤である。
≪変形爪矯正具の使用方法≫
本発明の変形爪矯正具は、変形爪(巻き爪、又は、陥入爪)に対し、単独で使用してもよく、爪軟化剤と併用して使用してもよい。例えば、変形爪に爪軟化剤を適用して軟らかくした爪に変形爪矯正具を装着して、爪を正常な形状に整復することができる。また、変形爪に変形爪矯正具を装着した後、爪軟化剤を適用して軟らかくして、爪形状を整復することもできる。さらには、変形爪矯正具を変形爪に装着する前、装着した後の両時点において爪軟化剤を適用してもよい。爪軟化剤は還元作用を有しているので、変形爪以外の部位に付着しないよう、予め変形爪以外の部分をテープ等の手段で防護しておくことが好ましい。
また、爪軟化剤適用後は、変形爪にかかる足を自由に動かせるよう、スポンジ状のプロテクターで覆い、さらにラップやテープなどの手段で爪軟化剤が漏れないように処置ことが好ましい。
本発明の変形爪矯正具の弾性に従って爪を正常、又は、ほぼ正常な形状に矯正整復したことを確認後、爪軟化剤を洗い流す。矯正整復が不足気味と判断される場合、術者の手指を用いてさらに正常に近く矯正整復することができる。その後、本発明の変形爪矯正具を取り外し、爪が再度変形発生を防ぐためにアクリルプラスチック等を適用して整復された形状を維持固定することができる。整復位を維持するために新しい本矯正具を数日装着することもできる。
また、別の方法で、変形爪を矯正整復したのち、本発明の変形爪矯正具を施工することで、整復位を維持し、再発を防止するように使用することもできる。
なお、変形爪が陥入爪である場合、拇趾の皮膚組織に爪が陥入した結果皮膚組織が炎症を起こすと、金属素材と炎症組織が接触する。その金属にNiのようなアレルギー成分が含まれていると、アレルギー症状のリスクがさらに高くなる。例えばβ型チタン合金はかかるアレルギーを起こす成分が含まれていない場合、アレルギーのリスクを低く抑えることができる。さらには、陥入爪では爪の湾曲が巻き爪に比して強くないことから、Ni−Tiのような金属よりも低い弾性を有する素材のβ型チタンが爪を整復するのに適している。
(装着固定方法)
本発明の変形爪矯正具は、爪に固定して用いられる。例えば、図5(a)〜(h)は図2(a)の変形爪矯正具20を変形爪Bに装着する状態の一例を示す説明図である。図5(a)、(e)、(f)は指10の上面図であり、図5(b)〜(d)、(g)、(h)は、指10を指先側(つま先側)から見た正面図である。図5(b)に示すように、図2の変形爪矯正具20を、変形爪11の側縁部12に係合し装着させる。図5(c)〜(e)に示すように、粘着テープは、変形爪矯正具に引張力が印加されるように引っ張ったのち、引張力が維持できるように指Aに巻回させ固定される。その後、所定の時間が経過したのち粘着テープを剥がし、隙間部30に脱脂綿40を詰めて固定する。必要に応じて変形爪11の未処置の側縁部を施行することができる。
(処置時間)
本発明の変形爪矯正具の変形爪の矯正に要する処置時間は、爪軟化剤と併用する場合もあり、重症度にもよるが、例えば、巻き爪は6時間〜24時間の装着で十分である。
以下に変形爪の治療にかかる実施例を示す。本発明の実施例で用いられるのはあくまで例であり、それ以外のものを排除するものではない。
実施例1 変形爪(巻き爪)の治療例
変形爪矯正具は、変形爪矯正具本体部には歯列矯正用として市販されている線径0.41mm×0.56mmのTi−Mo−Zr−Snワイヤ〔オーソドンティックワイヤA{商品名:レゾルブ・ベータチタンワイヤ・レクタングラー(トミーインターナショナル)}〕を針状部材として用い、本体部の全長60mmとした。その一端の5mm部分を折り返してU字状に加工し係合部を作製した。さらに本体部の係合部の反対側にPET基材と市販のアクリル粘着剤系両面テープを接着させて作製した。
爪軟化剤は、10重量%のチオグリコール酸アンモニウム水溶液を用いた。
実際に行った処置を図6に従って説明する。
図6(a)〜(d)は施行前の患部である巻き爪写真である。図6(e)に示すように、爪軟化剤が変形爪以外に付着しないように変形爪以外の部分をテープで覆って保護した。この後、図6(f)に示すように変形爪部に爪軟化剤を塗布した。爪軟化剤を塗布したのち、図6(g)〜(j)に示すように患部をプロテクターで覆って保護した。この状態で爪が軟化するまで6〜12時間放置した。12時間経過後、図6(l)に示すように保護材を取り除き患部を露出し、爪を水洗して、爪軟化剤を洗い流した。そして図6(i)に示すように、ピンセット等で変形爪を持ち上げ、指と軟化した爪側縁部に隙間を作り、図6(m)〜(p)に示したように、変形爪矯正具20を変形爪側縁部に係合し、指に沿って粘着テープ部を巻回させて変形爪矯正具20を指に固定した。その後、再度、爪軟化剤を塗布し、患部の保護のため、図6(q)〜(u)に示したようにテープで保護した。
24時間経過後に、保護材を取り外した際の患部を図7(a)〜(i)に示した。図7(a)〜(i)に示したように、変形爪矯正具を施行した側縁部の変形が、短時間で整復していることが明らかであり、本発明による変形爪矯正具の効果が理解できる。
また本矯正具はNi等のアレルギー性金属を含有しないので、難治性のアレルギー症状を起こすことがない。また、患者は痛みも訴えず、鎮痛剤を投与する必要もなかった。
以上述べたように、爪軟化剤を併用する際には本発明の変形爪矯正具が効率よく、爪の損傷を起こすこともなく、術当日の疼痛も殆どなく変形爪を短期間で治療することができる。さらには、アレルギー等の症状を起こすこともない。
10 指(手指又は足趾)
11 変形爪(爪)
12 爪の側縁部
13 爪甲
14 指側面部
15 指側面部の稜線部
16 指腹部
17 指腹部の稜線部
20 変形爪矯正具
21 本体部
22 係合部
23 本体部の係合部の反対側の端部
24 粘着テープ部
25 粘着剤層部
26 水平下方部分
27 水平上方部分
28 垂直接続部
30 隙間部
40 脱脂綿

Claims (7)

  1. 変形爪の矯正の際に使用される変形爪矯正具であって、
    前記変形爪上に設置される、長尺体である本体部と、
    前記本体部を変形爪の側縁部に係合するための係合部と、
    前記係合部を介して、前記変形爪の側縁部に係合された本体部を、変形爪を有する手指、又は、足趾に巻回して固定するための粘着テープ部と、を有し、
    前記本体部は、変形爪矯正具の使用時に、前記係合部が係合した一方の側縁部から、他方の側縁部に向けて爪甲上を通過して、前記他方の側縁部に近い、前記手指又は足趾の側面の稜線部、を超えて巻回する長さを有し、
    前記本体部と前記粘着テープ部の合計の長さは、前記手指又は足趾を1周以上巻回する長さを有することを特徴とする、変形爪矯正具。
  2. 爪軟化剤が適用された変形爪用である、請求項1に記載の変形爪矯正具。
  3. 前記本体部の材質が、金属、樹脂、繊維で強化された紙のいずれかである、請求項1又は2に記載の変形爪矯正具。
  4. 前記金属が、β型チタン合金及びチタン系アモルファス合金からなる群より選択される、請求項3に記載の変形爪矯正具。
  5. 前記合金がニッケル、バナジウム及びクロムのいずれの金属も実質的に含まない、請求項4に記載の変形爪矯正具。
  6. 前記本体部の材質のヤング率が30〜75GPaである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の変形爪矯正具。
  7. 少なくとも1種の爪軟化剤と、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の変形爪矯正具と、
    を含む、変形爪の整復用キット。
JP2018174071A 2017-09-15 2018-09-18 変形爪矯正具 Active JP6887408B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017177490 2017-09-15
JP2017177490 2017-09-15

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019051319A JP2019051319A (ja) 2019-04-04
JP6887408B2 true JP6887408B2 (ja) 2021-06-16

Family

ID=66013228

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018174071A Active JP6887408B2 (ja) 2017-09-15 2018-09-18 変形爪矯正具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6887408B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2202926A (en) * 1938-02-25 1940-06-04 Schmidthofer Ernest Device for curing ingrowing toenails
JP5275013B2 (ja) * 2008-12-22 2013-08-28 阿蘇製薬株式会社 巻き爪矯正具
JP5070347B2 (ja) * 2011-02-17 2012-11-14 菊三 岡田 変形爪矯正具
CN105411737B (zh) * 2015-12-24 2017-04-26 汕头大学医学院第一附属医院 一种嵌甲单侧矫正装置
US20190175380A1 (en) * 2016-08-10 2019-06-13 Reflepro Japan Co., Ltd. Device for correcting nail deformity

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019051319A (ja) 2019-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100756079B1 (ko) 족부 족지 함입조 및 내향성 족지 발톱의 교정기구
EP2524675B1 (en) Device for correcting hallux valgus and method for producing device for correcting hallux valgus
US20190133803A1 (en) Hallux valgus orthosis
KR20110118701A (ko) 내향성 손발톱 교정용구
KR101361813B1 (ko) 네일 교정기
JPWO2008142880A1 (ja) 陥入爪の矯正装置
JP5070347B2 (ja) 変形爪矯正具
JP4109154B2 (ja) 陥入爪治療具
JP6887408B2 (ja) 変形爪矯正具
JP3133233U (ja) 変形爪治療具
CN203226911U (zh) 一种与人体生物力学相容性好的正畸保持器
JP3519858B2 (ja) 陥入爪矯正具
KR200435748Y1 (ko) 족부 족지 함입조 및 내향성 족지 발톱의 교정기구
KR101875094B1 (ko) 형상기억합금을 이용한 내향성 발톱 개선용 패드
EP2890339B1 (en) Kit for correcting and preventing ingrown nails and instruction for its use
CN2693197Y (zh) 一种镍钛形状记忆合金嵌甲矫正器
CA2931659C (en) Deformed nail corrector
JP4687926B2 (ja) 巻き爪矯正具
JP5382835B1 (ja) 変形爪矯正具
Won et al. Factors influencing the treatment effect of superelastic wire orthonyxia for nail plate deformity
KR102110415B1 (ko) 피부의 창상 수축 억제용 내부목 및 이를 이용한 피부의 창상 수축 억제방법
Hatori et al. A super-elastic alloy hallux valgus brace–a novel orthotic device
Makhija et al. MAK Bends and MAK Stops: An Innovative Way to put Bends and Stops in NiTi Archwires
CN105726107A (zh) 脚趾甲美容器具
JP2012050670A (ja) 自律機能型歯列矯正ワイヤー

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20181023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181101

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201019

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201027

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210420

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210518

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6887408

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250