JP5275013B2 - 巻き爪矯正具 - Google Patents

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本発明は、巻き爪が生じている指、特に、親指に装着して巻き爪を矯正する巻き爪矯正具に関するものである。
巻き爪矯正具としては、従来から種々の形状、構造を有するものが開発され、例えば、特許文献1に記載されているように、ゴム弾性を有する伸縮矯正具、又は、弾性金属板の長さ方向の両側端に巻き爪の両側端に引っ掛けるフック形状の係止片を取付けてなる巻き爪矯正具や、特許文献2に記載されているように形状記憶合金又は形状記憶樹脂よりなり、爪の甲部に貼着して加温することにより、巻き爪を矯正する方向に屈曲させるように構成した矯正具、さらには、特許文献3に記載されているように、弾性を有する細長い薄板の先端部を下方に折り返して巻き爪の先端部に引っ掛ける係止片部に形成してなり、爪の上面に粘着テープによって固定して係止片部を巻き爪の先端部に係止させた状態に保持するように構成した矯正具などが開発されている。
特開2003−265508号公報 特開平8−215227公報 実用新案登録第3091516号公報
しかしながら、特許文献1に記載された構造の巻き爪矯正具においては、ゴム弾性を有する伸縮矯正具は、爪の幅方向にその弾性収縮力を作用させるように構成しているため、巻き爪の両側端に係止させているこの伸縮矯正具の両側端の係止片に対しては、その弾性収縮力が巻き爪の両側端間を狭めようとする作用力として大きく働く一方、巻き爪を引き起こす方向、即ち、矯正しようとする方向への作用力が小さくなり、矯正力として有効に作用させることができないといった問題点がある。
また、この伸縮矯正具に代えて弾性金属板を採用し、この弾性金属板の両側端に係止片を取付けてなる巻き爪矯正具によれば、両側の係止片を巻き爪の両側端に係止させるには弾性金属板の幅を巻き爪の幅に略等しく形成しておかねばならないが、巻き爪の幅は患者によって異なるため、共用可能な幅寸法に形成しておいた場合には使用が困難な事態が発生するばかりでなく、巻き爪に装着するには、一方の係止片を巻き爪の一側端部に係止させたのち、弾性金属板を巻き爪の上面に沿って弾性的に湾曲させながら他方の係止片を巻き爪の他側端部に係止させなければならないため、その取付作業に手間を要して煩わしくなると共に、弾性金属板の弾性力のみでは長時間に亘って十分な矯正力を発揮させることが困難である。
一方、特許文献2に記載されているように形状記憶合金又は形状記憶樹脂よりなる巻き爪矯正具によれば、この矯正具を爪の甲部に貼着する接着剤の接着力が弱いと矯正具が爪の甲部から簡単に剥離して矯正ができなくなり、接着力が強いと剥離が困難となる問題点が生じ、その上、巻き爪を矯正するには、この矯正具をドライヤや温湯で加温する必要があって長時間、連続的に矯正力を発揮させることが困難であるばかりでなく、加温を止めると、元の形状に復帰して矯正が行えなくなるといった問題点がある。
また、特許文献3に記載されているような巻き爪矯正具によれば、弾性を有する細長い薄板の先端部を下方に折り返して巻き爪の先端部に引っ掛ける係止片部に形成してなるものであるから、使用に際して、この係止片部を巻き爪の一側端縁部又は他側端縁部における先端部に簡単に引っ掛けることができて巻き爪に対する装着が容易に行える利点を有するが、係止片部を巻き爪の先端部に引っ掛けた状態にしてこの矯正具を粘着テープによって爪の上面に固定しても、係止片部に巻き爪を引き起こそうとする充分な矯正力を生じさせることが困難であり、また、この矯正部を巻き爪の先端を支点として積極的に巻き爪の上面に向かって弾性変形させ、その弾性力によって係止片部に巻き爪を引き起こそうとする矯正力を生じさせようとしても、支点が巻き爪の先端であるため、係止片部を巻き爪の先端から前方に向かって離脱させる方向に作用して巻き爪を矯正する方向には殆ど作用せず、効果的な矯正力を得ることができないといった問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、巻き爪に対する装着が簡単に行えるばかりでなく、テコ作用を利用して巻き爪に対し、長時間に亘って有効で且つ安定した矯正力を発揮して巻き爪の矯正を行うことができる巻き爪矯正具を提供するにある。また、本発明のもう一つの目的は、巻き爪が陥入して炎症を起こしている患部を外部から保護し得る巻き爪矯正具を提供するにある。
上記目的を達成するために本発明の巻き爪矯正具は、請求項1に記載したように、弾性を有する薄板片からなり、先端部を下方に折り返して巻き爪の先端に引っ掛ける係止片部に形成している巻き爪矯正片の基端に、該基端からこの巻き爪矯正片の延長方向に斜め上方に向かって屈折してなるレバー片を一体に設け、且つ、これらの巻き爪矯正片とレバー片との屈折連設部を支点部に形成してなる矯正具主体と、上記レバー片を指の甲部上に押し付けた状態で固定する粘着テープ等の固定部材とからなることを特徴とする。
さらに、このように構成した巻き爪矯正具において、請求項2に係る発明は、上記巻き爪矯正片の幅を巻き爪の一側部上又は他側部上に配設可能な幅に形成していると共に、その一側端縁又は他側端縁に、巻き爪の一側端部又は他側端部を被覆する保護片を下方に向かって屈折、形成していることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、弾性を有する薄板片からなる巻き爪矯正片の先端部を下方に折り返して巻き爪の先端に引っ掛ける係止片部に形成しているので、指先から突出する巻き爪の先端に前方側からこの係止片部を容易に係止させることができるのは勿論、巻き爪の上面に巻き爪矯正片と、この巻き爪矯正片の基端を支点としてこの支点部から該巻き爪矯正片の延長方向である後方に向かって上方に傾斜したレバー片とを配設しているので、巻き爪矯正片の基端を支点としてレバー片を下方に弾性変形させながら指の甲上に押し付けた状態にすると、巻き爪矯正片が上記支点部を中心として、テコの作用によりその先端側を起立させようとする方向に作動し、巻き爪の先端部に係止している係止片部を積極的に上方に持ち上げようとする作用力が発生して巻き爪を効果的に矯正することができる。
さらに、レバー片部を指の甲部上に押し付けた状態で粘着テープ等の固定部材によって固定するように構成しているので、支点部を介して形成している上記巻き爪矯正片とレバー片とのテコ作用による巻き爪矯正力を長時間に亘って安定的に且つ有効に発揮させて巻き爪を矯正することができる。また、巻き爪矯正片とレバー片の長さの比率やレバー片の屈折角度を適宜に設定することによって、所望の巻き爪矯正力を発揮する矯正具を得ることができる。
請求項2に係る発明によれば、上記巻き爪矯正片の横幅を、巻き爪の一側部上又は他側部上に配設可能な幅に形成しているので、下方に向かって湾曲している巻き爪の両側端先端部に一つの係止片部の両側端部を引っ掛ける場合とは異なって、巻き爪の両側端におけるいずれか一方の先端に係止片部を簡単且つ確実に係止させることができると共に、支点部を介して設けられている上記レバー片と巻き爪矯正片とによるテコの作用力を、係止片部が係止している巻き爪におけるいずれか一方の側端先端部に集中的に作用させて巻き爪を矯正することができる。
さらに、巻き爪矯正片の一側端縁又は他側端縁に、巻き爪の一側端部又は他側端部を被覆する保護片を下方に向かって屈折、形成しているので、巻き爪が陥入して炎症を起こしている患部をこの保護片で被覆して外部から患部に他物が直接当接したり衝撃力等が不測に作用するのをこの保護片で確実に防止することができ、患部を傷めたり痛みを与えるのをなくすることができる。また、この保護片の内側面に脱脂綿を配設したり薬剤を塗布することにより患部の化膿等の予防や治療を行うことができる。
本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1は巻き爪矯正具主体の斜視図、図2は使用時の巻き爪矯正具の斜視図、図3は使用状態を示す斜視図であって、巻き爪矯正具主体1は、弾性を有する長方形状の薄い金属製薄板片、又は、硬質合成樹脂製薄板片からなり、この薄板片の長さ方向の中央部を下方に向かってV字状に屈折させて支点部2に形成していると共に、この支点部2を中央にして前半部を巻き爪矯正片3に、後半部を該巻き爪矯正片3の基端(後端)からこの巻き爪矯正片3の延長方向に向かって斜め上方に屈折したレバー片4に形成してあり、さらに、巻き爪矯正片3の前端部、即ち、前端部を下方から後方に向かって折り返して巻き爪Aの先端A1に引っ掛けるフック形状の係止片部5に形成していると共に、この巻き爪矯正片3の一側端縁に該一側端縁から下方に向かって屈折して巻き爪Aの一側端部A2を先端から基端部に亘って被覆する一定高さの横長の保護片6を一体に形成している。
巻き爪矯正片3の横幅は巻き爪Aの横幅の1/2〜1/4程度の幅に形成されていて、その先端係止片部5の一側端部を、下方に向かって湾曲している巻き爪の一側端部A2の先端下面に、係止片部5の他側端部を、該一側端部先端から巻き爪Aの1/2以下の幅に至る中間部の先端A1の下面に簡単且つ確実に係止できるように構成している。また、巻き爪矯正片3の長さは巻き爪Aの長さよりも短く形成されていて、係止片部5を巻き爪Aの先端A1に係止させた際に、その基端に設けている上記支点部2が硬い巻き爪Aの上面に位置するように構成している。
さらに、上記レバー片4の傾斜角度、即ち、係止片部5を巻き爪Aの先端A1に引っ掛けて巻き爪矯正片3を巻き爪A上に配設した状態におけるこの巻き爪矯正片3の長さ方向の延長線に対する起立角度は、大きい程、巻き爪Aの先端に係止した係止片部5を引き起こそうとする矯正力が大きくなるが、余り大きくすると使用勝手が悪くなると共に痛みが生じる虞れがあるので、30°〜40°の角度範囲にしておくことが好ましい。また、巻き爪矯正片3とレバー片4との長さは略等しいか、レバー片4の方をやや長く形成している。
そして、このように形成した巻き爪矯正具主体1と、この巻き爪矯正具主体1におけるレバー片4を指の甲部上に押しつけた状態で固定するための適宜長さの粘着テープ7とによって巻き爪矯正具を構成している。
次に、このように構成した巻き爪矯正具を使用して巻き爪Aを矯正するには、まず、巻き爪矯正具主体1における巻き爪矯正片3を巻き爪Aの一側部上に配設して図2、図4に示すように、該巻き爪矯正片3の先端の係止片部5の一側部を巻き爪Aの一側端部A2の先端下面に、係止片部5の他側端部を該先端から巻き爪Aの1/2以下の幅に至る中間部の先端A1の下面にそれぞれ引っ掛けて係止させた状態にすると共に、巻き爪矯正片3の一側端縁から下方に向かって突設している横長の保護片6によって巻き爪Aにおける指に陥入している一側端部A2を略全長に亘って被覆した状態にする。
しかるのち、巻き爪矯正片3の基端から支点部2を介して後方に向かって斜め上方に傾斜しているレバー片4をその傾斜角度がなくなるように弾性変形させながら押し下げて指の甲部上に押し付けると、このレバー片4の押し下げ力を力点として巻き爪矯正片3が上記支点部2を支点とするテコ作用により該巻き爪矯正片3の先端部を起立させるようにする方向に作動し、この先端部から下方に折り返し形成している係止片部5を上方に持ち上げようとする作用力が発生して該係止片部5が係止している巻き爪Aの指に陥入している先端部を矯正する方向に作用する。
次いで、指の甲部上に押し付けたレバー片4を図3、図5に示すように粘着テープ7によって指の甲部上に固定すると、上記テコ作用による巻き爪Aの先端部を持ち上げようとする上記作用力、即ち、巻き爪Aを矯正しようとする矯正力がそのまま保持されて、長時間に亘って安定した矯正力を発揮させることができる。また、巻き爪矯正片3の一側端縁から下方に向かって突設している上記保護片6によって巻き爪Aにおける指に陥入している一側端部A2を略全長に亘って被覆して外部から保護することができると共に、必要に応じてこの保護片6の内面と巻き爪が陥入している患部との間に脱脂綿を配したり、軟膏等の薬剤を塗布することにより、患部の化膿等の予防や治療を行うことができる。
以上の実施例においては、巻き爪Aの一側端部A2を矯正する矯正具について述べたが、巻き爪Aの他側端部A3を矯正する矯正具の構造も、保護片6が巻き爪矯正片3の他側端縁から下方に向かって屈折、形成している点以外は上記矯正具と同じ構造を有している。
即ち、図6に示すように、巻き爪Aの他側端部A3を矯正する矯正具主体1'は、弾性を有する長方形状の薄い金属製薄板片、又は、硬質合成樹脂製薄板片からなり、この薄板片の長さ方向の中央部を下方に向かってV字状に屈折させて支点部2に形成していると共に、この支点部2を中央にして前半部を巻き爪矯正片3に、後半部を該巻き爪矯正片3の基端(後端)からこの巻き爪矯正片3の延長方向に向かって斜め上方に屈折したレバー片4に形成してあり、さらに、巻き爪矯正片3の前端部、即ち、前端部を下方から後方に向かって折り返して巻き爪Aの先端A1に引っ掛けるフック形状の係止片部5に形成していると共に、この巻き爪矯正片3の他側端縁に該他側端縁から下方に向かって屈折して巻き爪Aの他側端部A3を先端から基端部に亘って被覆する一定高さの横長の保護片6'を一体に形成した構造を有している。
この矯正具主体1'における巻き爪矯正片3の横幅や長さ、レバー片4の傾斜角度等は上記巻き爪Aの一側端部A2を矯正する矯正具と同じである。そして、このように形成した巻き爪矯正具主体1'と、この巻き爪矯正具主体1'におけるレバー片4を指の甲部上に押しつけた状態で固定するための適宜長さの粘着テープ7とによって巻き爪Aの他側端部A3を矯正する矯正具を構成している。
このように構成した巻き爪矯正具を使用して巻き爪Aの他側端部A3に生じている陥入爪部である患部を矯正するには、図7に示すように、その巻き爪矯正片3を巻き爪Aの他側部上に配設して該巻き爪矯正片3の先端の係止片部5の他側部を巻き爪Aの他側端部A3の先端下面に、係止片部5の一側端部を該先端から巻き爪Aの1/2以下の幅に至る中間部の先端A1の下面にそれぞれ引っ掛けて係止させた状態にすると共に、巻き爪矯正片3の他側端縁から下方に向かって突設している横長の保護片6'によって巻き爪Aにおける指に陥入している他側端部A2を略全長に亘って被覆した状態にする。
しかるのち、上記実施例と同様に、巻き爪矯正片3の基端から支点部2を介して後方に向かって斜め上方に傾斜しているレバー片4をその傾斜角度がなくなるように弾性変形させながら押し下げて指の甲部上に押し付けることにより、巻き爪矯正片3の先端係止片部5を上方に持ち上げようとする作用力、即ち、巻き爪Aの矯正力を生じさせ、この状態でレバー片4を粘着テープ7によって指の甲部上に固定して上記矯正力を長時間に亘って発揮させるものである。また、巻き爪矯正片3の他側端縁から下方に向かって突設している上記保護片6'によって巻き爪Aにおける指に陥入している一側端部A2を略全長に亘って被覆して外部から保護する。
巻き爪Aの両側端部A2、A3を同時に矯正する場合には、上記巻き爪Aの一側端部A2を矯正する矯正具と、他側端部A3を矯正する矯正具とを使用して巻き爪Aの上面に並列状態に装着すればよい。なお、以上のいずれの実施例においても、巻き爪矯正具主体1、1'におけるレバー片4を指の甲部に固定する部材として、粘着テープ7を使用しているが、救急絆創膏や輪ゴム等の固定部材を使用してもよい。また、係止片部5として、フック形状に形成する以外に、1〜3重の渦巻きバネ状に屈曲させた形状としておいてもよい。
巻き爪矯正具主体の斜視図。 使用時の巻き爪矯正具の斜視図。 使用状態を示す斜視図。 巻き爪先端に係止片部を係止させた状態の縦断側面図。 使用状態を示す縦断側面図。 巻き爪の他側端部を矯正する矯正具主体の斜視図。 使用状態を示す斜視図。
符号の説明
1 矯正具主体
2 支点部
3 巻き爪矯正片
4 レバー片
5 係止片部
6 保護片
7 粘着テープ
A 巻き爪
A1 先端
A2 一側端部
A3 他側端部

Claims (2)

  1. 弾性を有する薄板片からなり、先端部を下方に折り返して巻き爪の先端に引っ掛ける係止片部に形成している巻き爪矯正片の基端に、該基端からこの巻き爪矯正片の延長方向に斜め上方に向かって屈折してなるレバー片を一体に設け、且つ、これらの巻き爪矯正片とレバー片との屈折連設部を支点部に形成してなる矯正具主体と、上記レバー片を指の甲部上に押し付けた状態で固定する粘着テープ等の固定部材とからなることを特徴とする巻き爪矯正具。
  2. 巻き爪矯正片は、巻き爪の一側部上又は他側部上に配設可能な幅を有していると共に、その一側端縁又は他側端縁に、巻き爪の一側端部又は他側端部を被覆する保護片を下方に向かって屈折、形成していることを特徴とする請求項1に記載の巻き爪矯正具。
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