以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(実施形態1)
まず、第1の実施形態に係るガス検出装置について説明する。本実施形態のガス検出装置は、水素ガス検出装置として用いられ、MEMS(micro electro-mechanical systems)技術を用いて製造される。
図1Aは、本実施形態に係るガス検出装置(水素ガス検出装置)の構成を模式的に示した断面図である。図2は、本実施形態に係るガス検出装置(水素ガス検出装置)の構成を模式的に示した平面図である。図2のA−A線に沿った断面が図1Aに概ね対応する。
図1A及び図2に示したガス検出装置は、基板領域10と、基板領域10上に設けられた可動膜構造20と、基板領域10上に設けられ且つ可変キャパシタの一方の電極(下部電極、固定電極)として機能する第1の導電部41とを備えている。また、可動膜構造20の内側にはキャビティ30が形成されている。
基板領域10は、半導体基板(例えば、シリコン基板)と、MOSトランジスタ及び配線等を含む回路領域とを含んでいる。
可動膜構造20は、脆性材料で形成された脆性材料膜(第1の膜)21と、水素吸蔵材料(水素貯蔵材料)で形成された水素吸蔵材料膜(第2の膜)22とを含んでいる。本実施形態では、脆性材料膜21の下表面に水素吸蔵材料膜22が設けられている。水素吸蔵材料膜22は、可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)として機能し、引き出し線22aを介して外部回路に電気的に接続されている。また、可動膜構造20は、キャビティ30に達する複数の貫通穴(ベントホール)26を有している。具体的には、脆性材料膜21に複数の貫通穴26が形成されている。貫通穴26により、可動膜構造20の内側の圧力と外側の圧力とが等しく保たれている。
脆性材料膜(第1の膜)21は、可動膜構造20のベース膜として機能するものである。この脆性材料膜21は、シリコン(Si)を含有する材料で形成されていることが好ましい。脆性材料膜21の材料は、絶縁性材料でもよいし導電性材料でもよい。具体的には、脆性材料膜21の材料には、シリコン(Si)、シリコン窒化物(一般的には、シリコン(Si)及び窒素(N)を含有する材料)、シリコン酸化物(一般的には、シリコン(Si)及び酸素(O)を含有する材料)、或いはシリコン炭化物(一般的には、シリコン(Si)及び炭素(C)を含有する材料)を用いることが好ましい。なお、脆性材料膜21の材料として、AlTi(一般的には、アルミニウム(Al)及びチタン(Ti)を含有する材料)等を用いることも可能である。本実施形態では、脆性材料膜21として、シリコン窒化膜(SiN膜)を用いる。
水素吸蔵材料膜(水素貯蔵材料膜、第2の膜)22は、可動膜構造20の水素検出膜として機能するものである。この水素吸蔵材料膜22の材料は、パラジウム(Pd)、パラジウム(Pd)を含有する合金、チタン(Ti)を含有する合金、及びランタン(La)を含有する合金から選択されることが好ましい。本実施形態では、水素吸蔵材料膜22として、パラジウム膜(Pd膜)或いはパラジウム合金膜(Pd合金膜)を用いる。パラジウム合金膜には、例えば、パラジウム−ニッケル合金膜(Pd−Ni合金膜)やパラジウム−銀合金膜(Pd−Ag合金膜)が用いられる。
第1の導電部41は、可変キャパシタの一方の電極(下部電極、固定電極)として機能し、引き出し線41aを介して外部回路に電気的に接続されている。この第1の導電部41は、可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)として機能する水素吸蔵材料膜22に対向している。第1の導電部41及び基板領域10は絶縁膜42で覆われており、絶縁膜42上には層間絶縁膜43が設けられている。
上述したように、可動膜構造20は、ベース膜として機能する脆性材料膜21と、水素検出膜として機能する水素吸蔵材料膜22とによって形成されている。このように、脆性材料膜21及び水素吸蔵材料膜22によって形成された可動膜構造20を用いることで、優れた特性を有するガス検出装置を得ることができる。以下、説明を加える。
水素吸蔵材料膜22は、水素を吸収する(蓄積する)ことで膨張する(体積が増加する)。そのため、水素吸蔵材料膜22が水素を吸収することによって可動膜構造20が変形し、第1の導電部(可変キャパシタの下部電極)41と水素吸蔵材料膜(可変キャパシタの上部電極)22との距離が変化する。水素吸蔵材料膜22の膨張量は水素吸収量に応じて変化するため、第1の導電部(下部電極)41と水素吸蔵材料膜(上部電極)22との距離も水素吸収量に応じて変化する。その結果、水素吸蔵材料膜22の水素吸収量に応じて可変キャパシタのキャパシタンスが変化する。したがって、可変キャパシタのキャパシタンスを求めることで、水素吸収量を算出することが可能である。すなわち、可変キャパシタのキャパシタンスを求めることで、水素吸蔵材料膜22の周囲の水素濃度を算出することが可能である。
ところが、可動膜構造20のベース膜がクリープ疲労等によって変形すると、水素吸蔵材料膜22の変形に基づく水素濃度の検出を行うことが困難になる。本実施形態では、可動膜構造20のベース膜として脆性材料膜21を用いているため、ベース膜がクリープ疲労等によって変形することはほとんどない。そのため、本実施形態では、水素吸蔵材料膜22の変形に基づく水素濃度の検出を高精度で行うことが可能である。したがって、本実施形態では、検出精度及び信頼性に優れた高性能のガス検出装置(水素ガス検出装置)を得ることができる。
また、本実施形態では、可動膜構造20にキャビティ30に達する複数の貫通穴26が設けられているため、可動膜構造20の内側の圧力と外側の圧力とを等しく保つことができる。仮に、貫通穴26が設けられていないとすると、可動膜構造20の内側と外側との圧力差によって可動膜構造20が変形し、水素濃度を的確に検出することができなくなるおそれがある。本実施形態では、可動膜構造20に貫通穴26が設けられているため、水素濃度を的確に検出することが可能である。
図1Bは、本実施形態に係るガス検出装置の他の構成を模式的に示した断面図である。上述した図1Aに示した構成では、層間絶縁膜43を設けることによって高い強度を有する可動膜構造20を得ることできる。図1Bに示した構成では、層間絶縁膜43を設けていないため、平坦化プロセスを行う必要がなく、製造プロセスの簡単化をはかることができる。
図3は、本実施形態に係るガス検出装置(水素ガス検出装置)の全体的な構成を示したブロック図である。図3に示すように、上述した構造を有する可変キャパシタ100に検出部200が接続されている。検出部200は、図1Aの基板領域10内に設けられていてもよいし、基板領域10外に設けられていてもよい。検出部200は、可変キャパシタ100のキャパシタンスを検出するキャパシタンス検出部210と、キャパシタンス検出部210で検出されたキャパシタンスに基づいて水素濃度を算出する水素濃度算出部220とを含んでいる。予め可変キャパシタのキャパシタンスと水素濃度との関係を求めておくことで、水素濃度算出部220によって水素濃度を高精度で算出することが可能である。
次に、本実施形態に係るガス検出装置(水素ガス検出装置)の種々の変更例について説明する。なお、以下の各変更例において、基本的な構成は上述した実施形態の構成と同様である。したがって、上述した実施形態で説明した事項の説明は省略する。
図4は、本実施形態の第1の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。図5は、本実施形態の第1の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した平面図である。
上述した実施形態では、脆性材料膜21の下表面に水素吸蔵材料膜22が設けられていたが、本変更例では、脆性材料膜21の上表面に水素吸蔵材料膜22が設けられている。その他の基本的な構成は、上述した実施形態と同様である。
図6は、本実施形態の第2の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。図7は、本実施形態の第2の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した平面図である。
本変更例では、可動膜構造20が、水素吸蔵材料膜22を覆い且つ水素吸蔵材料膜22への水分の侵入を防止する水分侵入防止膜23をさらに含んでいる。具体的には、水分侵入防止膜23として、防湿膜や疎水性膜を用いることが可能である。例えば、水分侵入防止膜23として、シリコン窒化膜(SiN膜)、金膜(Au膜)、プラチナ膜(Pt膜)等を用いることが可能である。水分侵入防止膜23を設けることで、水分の侵入に起因する水素吸蔵材料膜22の特性の劣化を防止することが可能である。この水分侵入防止膜23は、水素吸蔵材料膜22への水分の侵入を防止するが、水素を透過させることはできる。したがって、上述した実施形態と同様に、水素濃度の検出を行うことが可能である。
図8Aは、本実施形態の第3の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。図8Bは、本実施形態の第3の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した平面図である。
本変更例では、水素吸蔵材料膜22を加熱する加熱部(ヒーター)60が設けられている。具体的には、脆性材料膜21上に可動膜構造20の一部として加熱部60が設けられており、加熱部60は引き出し線60aを介して外部回路に電気的に接続されている。加熱部60には、薄膜抵抗等を用いることが可能である。加熱部60によって水素吸蔵材料膜22を加熱することで、水素吸蔵材料膜22から水素を素早く放出することができる。したがって、加熱部60を設けることで、水素吸蔵材料膜22を素早く定常状態に戻すことが可能である。
図9は、本実施形態の第4の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。
本変更例も、第3の変更例と同様に、水素吸蔵材料膜22を加熱する加熱部(ヒーター)60が設けられている。具体的には、本変更例では、基板領域10に加熱部60が設けられている。また、加熱部60を第1の導電部41から電気的に絶縁するため、加熱部60は絶縁膜11によって覆われている。本変更例でも、加熱部60を設けることで、水素吸蔵材料膜22から水素を素早く放出することができる。
図10は、本実施形態の第5の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。図11は、本実施形態の第5の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した平面図である。
本変更例では、可動膜構造20が、可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)として機能する電極膜24をさらに含んでいる。すなわち、上述した実施形態では、水素吸蔵材料膜(第2の膜)22を可変キャパシタの他方の電極として用いていたが、本変更例では、水素吸蔵材料膜(第2の膜)22とは別に電極膜24を設け、電極膜24を可変キャパシタの他方の電極として用いている。電極膜24は引き出し線24aを介して外部回路に電気的に接続されている。
本変更例でも、水素吸蔵材料膜22が水素を吸収することによって可動膜構造20が変形し、第1の導電部(下部電極)41と電極膜(上部電極)24との距離が水素吸収量に応じて変化する。したがって、上述した実施形態と同様に、可変キャパシタのキャパシタンスに基づいて、水素吸蔵材料膜22の周囲の水素濃度を算出することが可能である。また、本変更例では、水素吸蔵材料膜22とは別に電極膜24を設けることで、可変キャパシタの他方の電極のパターンを水素吸蔵材料膜22のパターンとは独立して設計することができる。そのため、他方の電極(電極膜24)のパターンの面積を水素吸蔵材料膜22のパターンの面積よりも大きくすることができる。その結果、可変キャパシタのキャパシタンスを大きくすることができ、水素濃度の検出感度を増加させることができる。
図12は、本実施形態の第6の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。図13は、本実施形態の第6の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した平面図である。
本変更例では、可動膜構造20に接続され且つ可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)として機能する第2の導電部44が設けられている。すなわち、上述した実施形態では、可動膜構造20が可変キャパシタの他方の電極として機能する部分を含んでいたが、本変更例では、可動膜構造20とは別に可変キャパシタの他方の電極として機能する第2の導電部44が設けられている。第2の導電部44は、接続部(アンカー)21aを介して可動膜構造20の脆性材料膜21に機械的に接続されている。また、第2の導電部44は、バネ部46を介して支持部(アンカー)45に機械的に接続されている。第2の導電部44は引き出し線44aを介して外部回路に電気的に接続されている。
本変更例でも、水素吸蔵材料膜22が水素を吸収することによって可動膜構造20が変形し、第1の導電部(下部電極)41と第2の導電部(上部電極)44との距離が水素吸収量に応じて変化する。したがって、上述した実施形態と同様に、可変キャパシタのキャパシタンスに基づいて、水素吸蔵材料膜22の周囲の水素濃度を算出することが可能である。また、可動膜構造20の変化量が最大となる可動膜構造20の中央部に接続部21aを設けることで、第2の導電部(上部電極)44の変動量(キャパシタンスの変動量)を大きくすることができ、高精度で水素濃度を検出することが可能となる。
図14は、本実施形態の第7の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。
本変更例でも、第6の変更例と同様に、可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)として機能する第2の導電部44が設けられている。また、本変更例では、第2の変更例と同様に、可動膜構造20が水分侵入防止膜23を含んでいる。したがって、本変更例では、第2の変更例の効果及び第6の変更例の効果と同様の効果を得ることは可能である。
図15は、本実施形態の第8の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。
上述した実施形態では、キャビティ30に達する貫通穴26が可動膜構造20に形成されていたが、本変更例では、基板領域10にキャビティ30に達する貫通穴27が形成されている。このように、基板領域10に貫通穴27を設けても、可動膜構造20の内側の圧力と外側の圧力とを等しくすることが可能である。貫通穴を可動膜構造20及び基板領域10の両方に設けてもよい。
なお、上述した実施形態及び第1〜第8の変更例の構成は、適宜組み合わせるようにしてもよい。
図16〜図19は、水素吸蔵材料膜22の種々のパターン(平面パターン)を模式的に示した図である。
図16では、水素吸蔵材料膜22はドーナツ状のパターンを有している。すでに述べたように、水素吸蔵材料膜22は水素を吸収すると膨張する。そのため、応力によって可動膜構造20に反りが生じる。可動膜構造20が上側に反ると、可変キャパシタの下部電極と上部電極との距離が増加するため、可変キャパシタのキャパシタンスが減少する。その結果、水素検出感度が下がる。逆に、可動膜構造20が下側に反ると、可変キャパシタの下部電極と上部電極との距離が減少するため、可変キャパシタのキャパシタンスが増加し、水素検出感度が上がる。図16に示すように、水素吸蔵材料膜22がドーナツ状のパターンを有している場合には、水素吸蔵材料膜22が脆性材料膜21の上表面に形成されていると、脆性材料膜21の水素吸収によって可動膜構造20が下側に反る。したがって、図16に示すように、水素吸蔵材料膜22がドーナツ状のパターンを有している場合には、水素吸蔵材料膜22を脆性材料膜21の上表面に形成することで、水素検出感度を上げることが可能である。
図17では、水素吸蔵材料膜22は円盤状のパターンを有している。図17に示すように、水素吸蔵材料膜22が円盤状のパターンを有している場合には、水素吸蔵材料膜22が脆性材料膜21の下表面に形成されていると、水素吸蔵材料膜22の水素吸収によって可動膜構造20が下側に反る。したがって、図17に示すように、水素吸蔵材料膜22が円盤状のパターンを有している場合には、水素吸蔵材料膜22を脆性材料膜21の下表面に形成することで、水素検出感度を上げることが可能である。
また、図16及び図17では、水素吸蔵材料膜22が1つの大きなパターンで形成されているため、水素吸蔵材料膜22の変形量を大きくすることができる。そのため、可変キャパシタのキャパシタンスの変化を大きくすることができ、水素検出感度を上げることが可能である。
図18では、水素吸蔵材料膜22は同心円状のパターンを有している。図19では、水素吸蔵材料膜22は放射状のパターンを有している。上述したように、水素吸蔵材料膜22が水素を吸収して膨張すると、水素吸蔵材料膜22に大きな応力が加わる。その結果、座屈等が生じるおそれがある。図18及び図19に示すように、水素吸蔵材料膜22のパターンが複数の部分に分割されていると、応力を緩和することができ、可動膜構造20の信頼性を向上させることが可能である。
なお、水素吸蔵材料膜22は、図16〜図19に示したパターン以外のパターンを有していてもよい。
図20及び図21は、貫通穴26のパターン(平面パターン)を模式的に示した図である。
図20のパターンでは、単一の同心円上に複数の貫通穴26が設けられている。図21のパターンでは、複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通穴26が設けられている。なお、貫通穴26のパターンは、図20及び図21に示したパターン以外のパターンであってもよい。
図22〜図27は、本実施形態に係るガス検出装置の製造方法の一例を模式的に示した断面図である。
まず、図22に示すように、基板領域10上に、可変キャパシタの一方の電極(下部電極、固定電極)として機能する第1の導電部41を形成する。続いて、第1の導電部41及び基板領域10を覆うように絶縁膜42を形成する。続いて、第1の導電部41を覆うように第1の犠牲層71を形成する。さらに、第1の犠牲層71上に、可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)として機能する第2の導電部44を形成する。
次に、図23に示すように、第2の導電部44を覆うように第2の犠牲層72を形成する。さらに、第2の犠牲層72をパターニングして、第2の導電部44に達する開口を形成する。
次に、図24に示すように、第1の犠牲層71及び第2の犠牲層72を覆うように脆性材料膜21を形成する。このとき、第2の犠牲層72に形成された開口も脆性材料で埋められ、接続部21aが形成される。
次に、図25に示すように、脆性材料膜21上に水素吸蔵材料膜22のパターンを形成する。
次に、図26に示すように、脆性材料膜21に、複数の貫通穴(ベントホール)26を形成する。
次に、図27に示すように、貫通穴26を通してエッチングガスを供給し、第1の犠牲層71及び第2の犠牲層72を除去する。その結果、脆性材料膜21及び水素吸蔵材料膜22を含む可動膜構造20が得られ、可動膜構造20の内側にキャビティ30が形成される。
上述した製造方法によれば、第1の犠牲層71及び第2の犠牲層72を除去するために用いた貫通穴26を、可動膜構造20の内側の圧力と外側の圧力とを等しく保つための貫通穴26としても用いることができる。したがって、上述した製造方法を用いることで、効率的にガス検出装置を製造することができる。
(実施形態2)
次に、第2の実施形態に係るガス検出装置について説明する。なお、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。また、本実施形態のガス検出装置も、第1の実施形態と同様、水素ガス検出装置として用いられ、MEMS技術を用いて製造される。
図28は、本実施形態に係るガス検出装置(水素ガス検出装置)の構成を模式的に示した断面図である。図29は、本実施形態に係るガス検出装置(水素ガス検出装置)の構成を模式的に示した平面図である。
図28及び図29に示したガス検出装置は、基板領域10と、基板領域10上に設けられた可動膜構造20とを備えている。また、可動膜構造20の内側にはキャビティ30が形成されている。
基板領域10は、第1の実施形態と同様に、半導体基板(例えば、シリコン基板)と、MOSトランジスタ及び配線等を含む回路領域とを含んでいる。
可動膜構造20は、脆性材料で形成された脆性材料膜(第1の膜)21と、水素吸蔵材料(水素貯蔵材料)で形成された水素吸蔵材料膜(第2の膜)81とを含んでいる。本実施形態では、脆性材料膜21の上表面に水素吸蔵材料膜81が設けられている。本実施形態では、水素吸蔵材料膜81は、可変抵抗として機能し、引き出し線81aを介して外部回路に電気的に接続されている。また、可動膜構造20は、キャビティ30に達する複数の貫通穴(ベントホール)26を有している。具体的には、脆性材料膜21に複数の貫通穴26が形成されている。貫通穴26により、可動膜構造20の内側の圧力と外側の圧力とが等しく保たれている。
第1の実施形態と同様、脆性材料膜(第1の膜)21は、可動膜構造20のベース膜として機能する。この脆性材料膜21は、第1の実施形態と同様、シリコン(Si)を含有する材料で形成されていることが好ましい。脆性材料膜21の具体的な材料は、第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、脆性材料膜21上に可変抵抗として機能する水素吸蔵材料膜81が形成されているため、脆性材料膜21には絶縁材料を用いることが好ましい。本実施形態では、脆性材料膜21として、シリコン窒化膜(SiN膜)を用いる。
第1の実施形態と同様、水素吸蔵材料膜(水素貯蔵材料膜、第2の膜)81は、水素検出膜として機能する。水素吸蔵材料膜81の具体的な材料は、第1の実施形態の水素吸蔵材料膜22の材料と同様である。本実施形態では、水素吸蔵材料膜81として、パラジウム膜(Pd膜)或いはパラジウム合金膜(Pd合金膜)を用いる。また、水素吸蔵材料膜81は、可変抵抗として用いるため、複数の屈曲部を設けて全長を長くしている。
水素吸蔵材料膜81は、水素を吸収する(蓄積する)ことで、膨張するとともに、抵抗が変化する。そのため、水素吸蔵材料膜81の抵抗値は水素吸収量に応じて変化する。したがって、水素吸蔵材料膜81の抵抗値を求めることで、水素吸収量を算出することが可能である。すなわち、水素吸蔵材料膜81の抵抗値を求めることで、水素吸蔵材料膜22の周囲の水素濃度を算出することが可能である。
ところが、水素吸蔵材料膜81は水素を吸収することによって膨張するため、可動膜構造20のベース膜が固定されていると、水素の吸収にともなって水素吸蔵材料膜81に大きな応力が加わることになる。本実施形態では、可動膜構造20の内側にキャビティ30が設けられており、可動膜構造20が可動である。そのため、水素吸蔵材料膜81が膨張したときにベース膜が変形し、水素吸蔵材料膜81に加わる応力を緩和することができる。
また、本実施形態でも、可動膜構造20のベース膜として脆性材料膜21を用いるため、ベース膜がクリープ疲労等によって変形することはほとんどない。仮に可動膜構造20のベース膜が変形したとすると、水素吸蔵材料膜81の変形に起因して水素吸蔵材料膜81の抵抗が変化するおそれがある。本実施形態では、ベース膜の変形がほとんどないため、ベース膜の変形に起因した水素吸蔵材料膜81の変形もほとんどなく、水素の吸収に基づく水素吸蔵材料膜81の抵抗の変化を確実に検出することができる。したがって、本実施形態では、水素濃度の検出を高精度で行うことが可能であり、検出精度及び信頼性に優れた高性能のガス検出装置(水素ガス検出装置)を得ることができる。
また、本実施形態では、可動膜構造20にキャビティ30に達する複数の貫通穴26が設けられているため、可動膜構造20の内側の圧力と外側の圧力とを等しく保つことができ、圧力差に起因する可動膜構造20の変形を防止することができる。したがって、本実施形態では、水素の吸収に基づく水素吸蔵材料膜81の抵抗値の変化を確実に検出することができ、水素濃度を的確に検出することが可能である。
図30は、本実施形態に係るガス検出装置(水素ガス検出装置)の全体的な構成を示したブロック図である。図30に示すように、上述した構造を有する可変抵抗300に検出部400が接続されている。検出部400は、図28の基板領域10内に設けられていてもよいし、基板領域10外に設けられていてもよい。検出部400は、可変抵抗300の抵抗値を検出する抵抗検出部410と、抵抗検出部410で検出された抵抗値に基づいて水素濃度を算出する水素濃度算出部420とを含んでいる。予め可変抵抗の抵抗値と水素濃度との関係を求めておくことで、水素濃度算出部420によって水素濃度を高精度で算出することが可能である。
図31は、本実施形態の変更例に係るガス検出装置(水素ガス検出装置)の構成を模式的に示した断面図である。上述した実施形態では、脆性材料膜21の上表面に水素吸蔵材料膜81が設けられていたが、本変更例では、脆性材料膜21の下表面に水素吸蔵材料膜81が設けられている。その他の基本的な構成は、上述した実施形態と同様である。このような構成であっても、上述した実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
なお、本実施形態においても、第1の実施形態及び第1の実施形態の変更例で述べた各種の構成と同様の構成を適宜、採用することが可能である。
(実施形態3)
次に、第3の実施形態に係るガス検出装置について説明する。なお、基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。また、本実施形態のガス検出装置も、第1の実施形態と同様、水素ガス検出装置として用いられ、MEMS技術を用いて製造される。
図32は、本実施形態に係るガス検出装置(水素ガス検出装置)の構成を模式的に示した断面図である。図33は、本実施形態に係るガス検出装置(水素ガス検出装置)の構成を模式的に示した平面図である。
図32及び図33に示したガス検出装置は、基板領域10と、基板領域10上に設けられた可動膜構造20とを備えている。また、可動膜構造20の内側にはキャビティ30が形成されている。
基板領域10は、第1の実施形態と同様に、半導体基板(例えば、シリコン基板)と、MOSトランジスタ及び配線等を含む回路領域とを含んでいる。
可動膜構造20は、脆性材料で形成された脆性材料膜(第1の膜)21と、水素吸蔵材料(水素貯蔵材料)で形成された水素吸蔵材料膜(第2の膜)22とを含んでいる。図32及び図33に示した構成では、脆性材料膜21の上表面に水素吸蔵材料膜22が設けられているが、脆性材料膜21の下表面に水素吸蔵材料膜22が設けられていてもよい。本実施形態では、ピエゾ抵抗部82が可動膜構造20の一部として設けられており、ピエゾ抵抗部82は引き出し線82aを介して外部回路に電気的に接続されている。ピエゾ抵抗部82の材料には、シリコン(Si)やシリコンゲルマニウム(SiGe)等を用いることができる。可動膜構造20は、キャビティ30に達する複数の貫通穴(ベントホール)26を有している。具体的には、脆性材料膜21に複数の貫通穴26が形成されている。貫通穴26により、可動膜構造20の内側の圧力と外側の圧力とが等しく保たれている。
すでに述べたように、水素吸蔵材料膜22は、水素を吸収する(蓄積する)ことで膨張する(体積が増加する)。そのため、水素吸蔵材料膜22が水素を吸収することによって可動膜構造20が変形し、ピエゾ抵抗部82に加わる応力が変化する。水素吸蔵材料膜22の膨張量は水素吸収量に応じて変化するため、ピエゾ抵抗部82に加わる応力も水素吸収量に応じて変化し、応力に応じてピエゾ抵抗部82の抵抗が変化する。したがって、ピエゾ抵抗部82の抵抗値を求めることで、水素吸収量を算出することが可能である。すなわち、ピエゾ抵抗部82の抵抗値を求めることで、水素吸蔵材料膜22の周囲の水素濃度を算出することが可能である。
本実施形態でも、可動膜構造20のベース膜として脆性材料膜21を用いるため、ベース膜がクリープ疲労等によって変形することはほとんどない。そのため、本実施形態では、水素吸蔵材料膜22の変形に基づくピエゾ抵抗部82の抵抗値の変化を確実に検出することができる。したがって、本実施形態では、ピエゾ抵抗部82の抵抗値の変化に基づく水素濃度の検出を高精度で行うことが可能であり、検出精度及び信頼性に優れた高性能のガス検出装置(水素ガス検出装置)を得ることができる。
また、本実施形態では、可動膜構造20にキャビティ30に達する複数の貫通穴26が設けられているため、可動膜構造20の内側の圧力と外側の圧力とを等しく保つことができ、圧力差に起因する可動膜構造20の変形を防止することができる。したがって、本実施形態では、水素の吸収に基づくピエゾ抵抗部82の抵抗値の変化を確実に検出することができ、水素濃度を的確に検出することが可能である。
なお、本実施形態に係るガス検出装置(水素ガス検出装置)の全体的な構成は、第2の実施形態の図30のブロック図の構成と同様である。したがって、本実施形態でも、第2の実施形態の図30の場合と同様にして水素濃度を検出することができる。
また、本実施形態においても、第1の実施形態及び第1の実施形態の変更例で述べた各種の構成と同様の構成を適宜、採用することが可能である。
なお、上述した第1、第2及び第3の実施形態では、脆性材料膜21によって規定される可動膜構造20の内側の領域(キャビティ30に対応)の平面パターンは、正八角形であったが、正四角形及び正六角形等の正n角形(nは、3以上の整数、好ましくは4以上の整数)、或いは円形であってもよい。より一般的には、可動膜構造20の内側の領域の平面パターンは、n回の回転対称(nは、3以上の整数、好ましくは4以上の整数)であることが好ましい。同様に、水素吸蔵材料膜22の平面パターンは、n回の回転対称(nは、3以上の整数、好ましくは4以上の整数)であることが好ましい。
(実施形態4)
次に、第4の実施形態に係るガス検出装置について説明する。なお、基本的な構成は第1の実施形態と類似しているため、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。また、本実施形態のガス検出装置も、第1の実施形態と同様、MEMS技術を用いて製造される。本実施形態のガス検出装置は、水素ガス、水蒸気及び揮発性有機化合物(volatile organic compound)ガス等の所定のガスの検出装置として用いることが可能である。
図34は、本実施形態に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。図35は、本実施形態に係るガス検出装置の構成を模式的に示した平面図である。図35のA−A線に沿った断面が図34に概ね対応する。
図34及び図35に示したガス検出装置は、基板領域10と、基板領域10上に設けられた可動膜構造90とを備えている。また、可動膜構造90の内側にはギャップ(エアギャップ等)31が形成されている。
基板領域10は、第1の実施形態と同様に、半導体基板(例えば、シリコン基板)と、MOSトランジスタ及び配線等を含む回路領域とを含んでいる。半導体基板の表面には、絶縁膜(SiO膜、SiN膜等)11が形成されている。
可動膜構造90は、絶縁材料で形成された絶縁材料膜(第1の膜)91と、所定のガスを吸収(absorb)又は吸着(adsorb)することで変形するガス感応膜(第2の膜)92と、ヒーター用の抵抗として機能する抵抗膜(第3の膜)93とを含んでいる。絶縁材料膜(第1の膜)91と抵抗膜(第3の膜)93とは互いに接触しており、ガス感応膜(第2の膜)92と抵抗膜(第3の膜)93とは互いに接触している。また、基板領域10と可動膜構造90との間にはギャップ31が設けられ、可動膜構造90にはギャップ31に達する複数の貫通穴96が形成されている。
絶縁材料膜(第1の膜)91は、可動膜構造90のベース膜として機能するものである。この絶縁材料膜91は、脆性材料で形成されていることが好ましい。絶縁材料膜91には、第1の実施形態の脆性材料膜21と同様の脆性材料を用いることが可能である。本実施形態では、絶縁材料膜91として、SiN膜、SiO膜、AlO膜等を用いることが可能である。
ガス感応膜(第2の膜)92は、所定のガスを検出するためのガス検出膜として機能するものである。所定のガスとしては、水素ガス、水蒸気及び揮発性有機化合物ガス等があげられる。所定のガスとして水素ガスを検出する場合には、ガス感応膜92として水素吸蔵材料膜(水素貯蔵材料膜)が用いられる。この水素吸蔵材料膜には、第1の実施形態の水素吸蔵材料膜22の材料と同様の材料を用いることができる。所定のガスとして水蒸気を検出する場合には、ガス感応膜92としてポリイミドを用いることができる。所定のガスとして揮発性有機化合物ガスを検出する場合には、ガス感応膜92として、PSS (poly-styrenesulfonate)、デキストラン(dextran)、PVP (polyvinylpyrrolidone)、CMC (carboxymethylcellulose)、等を用いることができる。ガス感応膜92には、導電材料及び絶縁材料のいずれも用いることが可能である。本実施形態では、ガス感応膜92に導電材料を用いるものとする。
抵抗膜(第3の膜)93は、ヒーター用の抵抗として機能する。すなわち、抵抗膜93に電流を流すことで抵抗膜93から熱が発生し、抵抗膜93がヒーターとして機能する。抵抗膜93の材料には、Ti、Ni、Cu、Pd、Pt、Pd−Ni等を用いることが可能である。この抵抗膜93は、ガス感応膜92に吸収又は吸着された所定のガスをガス感応膜92から離脱させるために用いられる。すなわち、抵抗膜93で発生した熱によってガス感応膜92の温度が上昇し、ガス感応膜92から所定のガスを離脱させることができる。抵抗膜93は、ヒーター用の抵抗として用いるため、線状パターンであり、複数の屈曲部を設けて全長を長くしている。また、抵抗膜93は、可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)としても機能する。
基板領域10上には、可変キャパシタの一方の電極(下部電極、固定電極)として機能する第1の導電部41が設けられている。この第1の導電部41は、可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)として機能する抵抗膜93に対向している。第1の導電部41の材料には、Al、W、Ni、Ti、Cu、Au等を用いることが可能である。第1の導電部41及び基板領域10は絶縁膜(SiN膜、SiO膜、AlO膜等)42で覆われている。
基板領域10の主面に垂直な方向から見て、すなわち可動膜構造90の主面に垂直な方向から見て、ガス感応膜(第2の膜)92のパターンの少なくとも一部と抵抗膜(第3の膜)93のパターンの少なくとも一部とは互いに重なっている。本実施形態では、基板領域10の主面に垂直な方向から見て、ガス感応膜92のパターンと抵抗膜93のパターンとは実質的に一致している。
可動膜構造90は、支持部(アンカー)45によって基板領域10に固定されており、可動膜構造90は、基板領域10に固定された部分から基板領域10の主面に平行な所定の方向に延伸している。本実施形態では、可動膜構造90の両端に支持部45が設けられているため、可動膜構造90は両支持部45それぞれの中心を結んだ直線に平行な所定の方向に延伸している。
可動膜構造90は、中央部に位置する領域P1と、領域P1の両側に位置する領域P2及び領域P3を含んでいる。領域P1では、抵抗膜93がヒーター用の抵抗及び可変キャパシタの上部電極として機能する。領域P2及び領域P3では、抵抗膜93がヒーター用の抵抗として機能する。
領域P2及び領域P3では、抵抗膜93は、それぞれが上述した所定の方向に平行な方向に延伸し、上述した所定の方向に垂直な方向に配列され、且つシリアルに繋がった複数の線状パターン部分を含んでいる。すなわち、領域P2及び領域P3では、抵抗膜93のパターンは、主として上述した所定の方向に平行な方向に延伸したパターン部分によって構成されている。
上述したように、本実施形態に係る可動膜構造90は、ベース膜として機能する絶縁材料膜91と、所定のガスを吸収又は吸着することで変形するガス感応膜92と、ヒーター用の抵抗として機能する抵抗膜93との積層膜によって構成されている。このような構成を有する可動膜構造90を用いることで、優れた特性を有するガス検出装置を得ることができる。以下、説明を加える。
ガス感応膜92は、所定のガスを吸収又は吸着することで応力が変化して変形する。そのため、ガス感応膜92が所定のガスを吸収又は吸着することで可動膜構造90が変形し、可変キャパシタの下部電極として機能する第1の導電部41と可変キャパシタの上部電極として機能する抵抗膜93との距離が変化する。ガス感応膜92の変形量は所定のガスの吸収量又は吸着量に応じて変化するため、第1の導電部(下部電極)41と抵抗膜(上部電極)93との距離も所定のガスの吸収量又は吸着量に応じて変化する。その結果、所定のガスの吸収量又は吸着量に応じて可変キャパシタのキャパシタンスが変化する。したがって、可変キャパシタのキャパシタンスを求めることで、所定のガスの吸収量又は吸着量を算出することが可能である。すなわち、可変キャパシタのキャパシタンスを求めることで、ガス感応膜92の周囲の所定のガスの濃度を算出することが可能である。
上述した原理に基づくガス検出装置では、ガス感応膜92に残留するガスを放出してガス感応膜92を初期状態にリセットする、或いはガス感応膜92中の水分を放出してガス検出装置の湿度依存性を抑制するといった要請を満たすために、ガス感応膜92の加熱が必要な場合がある。本実施形態では、可動膜構造90にヒーター用の抵抗膜93を設けているため、抵抗膜93によってガス感応膜92を加熱することができ、上述したような要請を満たすことが可能である。
ただし、可動膜構造90にヒーター用の抵抗膜93を単に設けただけでは、抵抗膜93によってガス感応膜92を十分に加熱することができないおそれがある。本実施形態では、基板領域10の主面に垂直な方向から見て、ガス感応膜92のパターンの少なくとも一部と抵抗膜93のパターンの少なくとも一部とが互いに重なっている。そのため、抵抗膜93からガス感応膜92に効率的に熱を伝達することができ、抵抗膜93によってガス感応膜92を十分に加熱することができる。特に、基板領域10の主面に垂直な方向から見て、ガス感応膜92のパターンと抵抗膜93のパターンとを一致させることで、より効率的にガス感応膜92を加熱することができる。また、抵抗膜93をガス感応膜92に接触させることで、さらにより効率的にガス感応膜92を加熱することができる。
このように、本実施形態のガス検出装置では、抵抗膜93によってガス感応膜92を効率的に加熱することができるため、所定のガスの吸収量又は吸着量を的確に算出することが可能である。したがって、本実施形態では、検出精度及び信頼性に優れた高性能のガス検出装置を得ることができる。
また、本実施形態では、抵抗膜93が可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)としても機能するため、可変キャパシタの他方の電極を特別に設ける必要がなく、構成の簡単化をはかることができる。
また、本実施形態では、可動膜構造90の領域P2及び領域P3において、抵抗膜93のパターンが、主として、可動膜構造90の延伸方向(所定の方向)に平行な方向に延伸した複数のパターン部分によって構成されている。そのため、ガス感応膜92が所定のガスを吸収又は吸着したときに、可動膜構造90を上記所定の方向に垂直な方向に容易に変形させることができる。そのため、第1の導電部(下部電極)41と抵抗膜(上部電極)93との距離の変化量を大きくすることができ、可変キャパシタのキャパシタンスの変化量を大きくすることができる。したがって、検出精度(検出感度)に優れた高性能のガス検出装置を得ることができる。
次に、本実施形態に係るガス検出装置の種々の変更例について説明する。なお、以下の各変更例において、基本的な構成は上述した実施形態の構成と同様である。したがって、上述した実施形態で説明した事項の説明は省略する。
図36は、本実施形態の第1の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。図37は、本実施形態の第1の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した平面図である。
上述した実施形態では、ガス感応膜92と抵抗膜93とを別々に設けていたが、本変更例では、ガス感応膜と抵抗膜とを共通化している。すなわち、本変更例では、可動膜構造90が、絶縁材料で形成された絶縁材料膜(第1の膜)91と、所定のガスを吸収又は吸着することで変形し且つヒーター用の抵抗として機能するガス感応膜(第2の膜)94とを含んでいる。絶縁材料膜(第1の膜)91とガス感応膜(第2の膜)94とは互いに接触している。また、ガス感応膜94は、可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)としても機能する。
また、領域P2及び領域P3において、ガス感応膜94は、上述した実施形態のガス感応膜92及び抵抗膜93と同様のパターンを有している。すなわち、ガス感応膜94は、それぞれが所定の方向(可動膜構造90の延伸方向)に平行な方向に延伸し、所定の方向(可動膜構造90の延伸方向)に垂直な方向に配列され、且つシリアルに繋がった複数の線状パターン部分を含んでいる。すなわち、領域P2及び領域P3では、ガス感応膜94のパターンは、主として、上述した所定の方向に平行な方向に延伸したパターン部分によって構成されている。
本変更例では、ガス感応膜94をヒーター用の抵抗膜としても用いている。したがって、ガス感応膜94をガス感応膜94自身によって効率的に加熱することができ、本変更例でも上述した実施形態と同様に、検出精度及び信頼性に優れた高性能のガス検出装置を得ることができる。
また、本変更例では、ガス感応膜94が可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)としても機能するため、可変キャパシタの他方の電極を特別に設ける必要がなく、構成の簡単化をはかることができる。
また、本変更例では、可動膜構造の領域P2及び領域P3において、ガス感応膜94のパターンが、主として、可動膜構造90の延伸方向(所定の方向)に平行な方向に延伸した複数のパターン部分によって構成されている。そのため、本変更例でも上述した実施形態と同様に、ガス感応膜94が所定のガスを吸収又は吸着したときに、第1の導電部(下部電極)41とガス感応膜(上部電極)94との距離の変化量を大きくすることができ、検出精度(検出感度)に優れた高性能のガス検出装置を得ることができる。
図38は、本実施形態の第2の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。図39は、本実施形態の第2の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した平面図である。
上述した実施形態では、ガス感応膜92に導電材料を用いていたが、本変更例では、ガス感応膜92に絶縁材料を用いている。すなわち、本変更例では、可動膜構造90は、絶縁材料で形成された絶縁材料膜(第1の膜)91と、所定のガスを吸収又は吸着することで変形し且つ絶縁材料で形成されたガス感応膜(第2の膜)95と、ヒーター用の抵抗として機能する抵抗膜(第3の膜)93とを含んでいる。絶縁材料膜91と抵抗膜93とは互いに接触しており、ガス感応膜92と抵抗膜93とは互いに接触している。また、抵抗膜93は、可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)としても機能する。
上述した実施形態のようにガス感応膜が導電材料で形成されている場合には、ガス感応膜に起因する抵抗膜のショートを防止する必要がある。そのため、ガス感応膜のパターンには大きな制約がある。本変更例では、ガス感応膜95が絶縁材料で形成されているため、ガス感応膜のパターンにはそのような大きな制約はない。本変更例では、基板領域10の主面に垂直な方向から見て、ガス感応膜95のパターン内に抵抗膜93のパターンが含まれるように、ガス感応膜95のパターンを形成している。具体的には、基板領域10の主面に垂直な方向から見て、ガス感応膜95のパターンは絶縁材料膜91のパターンに実質的に一致している。
本変更例のガス検出装置も、上述した実施形態と同様の基本的構成を有しており、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本変更例では、ガス感応膜95が絶縁材料で形成されているため、ガス感応膜95のパターンを大きな制約なく形成することができる。
図40は、本実施形態の第3の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。図41は、本実施形態の第3の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した平面図である。
上述した実施形態では、抵抗膜93を可変キャパシタの他方の電極(上部電極、可動電極)としても用いるようにしていたが、本変更例では、抵抗膜93とは別に可変キャパシタの他方の電極を設けている。具体的には、本変更例では、領域P1に可動電極膜97を設けている。すなわち、本変更例では、可動膜構造90は、絶縁材料で形成された絶縁材料膜(第1の膜)91と、所定のガスを吸収又は吸着することで変形するガス感応膜(第2の膜)92と、ヒーター用の抵抗として機能する抵抗膜(第3の膜)93と、可変キャパシタの他方の電極として機能する可動電極膜97とを含んでいる。可動電極膜97と抵抗膜93とは領域P1において互いに接触している。なお、可動電極膜97の材料には、Ti、Ni、Cu、Al等を用いることができる。
本変更例のガス検出装置も、上述した実施形態と同様の基本的構成を有しており、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本変更例では、抵抗膜93とは別に可変キャパシタの他方の電極として機能する可動電極膜97を設けているため、可動電極膜97のパターン面積を大きくすることができる。すなわち、上述した実施形態では、抵抗膜93を可変キャパシタの他方の電極として用いているため、可変キャパシタの他方の電極は屈曲部を有する線状パターンであったのに対して、本変更例では、可変キャパシタの他方の電極のパターンは、例えば矩形パターンであり、パターン面積を大きくすることができるため、可変キャパシタのキャパシタンスを大きくすることができ、ガスの検出感度を増加させることができる。
図42は、本実施形態の第4の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。
上述した実施形態では、絶縁材料膜(第1の膜)91の上面側(外面側)にガス感応膜(第2の膜)92及び抵抗膜(第3の膜)93を設けていたが、本変更例では、絶縁材料膜(第1の膜)91の下面側(内面側)にガス感応膜(第2の膜)92及び抵抗膜(第3の膜)93を設けている。その他の基本的な構成は、上述した実施形態の構成と同様である。ガス感応膜92には、導電材料を用いてもよいし、絶縁材料を用いてもよい。
本変更例のガス検出装置も、上述した実施形態と同様の基本的構成を有しており、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図43は、本実施形態の第5の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。
上述した実施形態の第1の変更例(図36及び図37参照)では、絶縁材料膜(第1の膜)91の上面側(外面側)にガス感応膜(第2の膜)94を設けていたが、本変更例では、絶縁材料膜(第1の膜)91の下面側(内面側)にガス感応膜(第2の膜)94を設けている。その他の基本的な構成は、上述した実施形態の構成及び上述した実施形態の第1の変更例の構成と同様である。
本変更例のガス検出装置も、上述した実施形態及び上述した実施形態の第1の変更例と同様の基本的構成を有しており、上述した実施形態及び上述した実施形態の第1の変更例と同様の効果を得ることができる。
図44は、本実施形態の第6の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した断面図である。
上述した実施形態では、ガス感応膜(第2の膜)92と抵抗膜(第3の膜)93とが接触していたが、本変更例では、ガス感応膜(第2の膜)92と抵抗膜(第3の膜)93とが接触していない。図44に示した例では、絶縁材料膜(第1の膜)91の上面側にガス感応膜(第2の膜)92が形成され、絶縁材料膜(第1の膜)91の下面側に抵抗膜(第3の膜)93が形成されている。これとは逆に、絶縁材料膜(第1の膜)91の下面側にガス感応膜(第2の膜)92が形成され、絶縁材料膜(第1の膜)91の上面側に抵抗膜(第3の膜)93が形成されていてもよい。
本変更例のガス検出装置も、上述した実施形態と同様の基本的構成を有しており、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本変更例では、ガス感応膜92と抵抗膜93とが絶縁材料膜91によって電気的に絶縁されている。そのため、ガス感応膜92に導電材料を用いた場合であっても、ガス感応膜92に起因する抵抗膜93のショートを防止することができ、ガス感応膜92のパターンを大きな制約なく形成することができる。
また、上述した実施形態(図34及び図35参照)のように、導電材料で形成されたガス感応膜92と導電材料で形成された抵抗膜93とが互いに接触している場合、ガス感応膜92の抵抗値が抵抗膜93の抵抗値よりも小さいと、ガス感応膜92及び抵抗膜93の積層膜の抵抗値が抵抗膜93の抵抗値よりも大幅に低下する。そのため、抵抗膜93がヒーターとしての機能を十分に果たせなくなるおそれがある。本変更例では、ガス感応膜92と抵抗膜93とが電気的に絶縁されているため、そのような問題を防止することが可能である。
なお、絶縁材料膜91には、比較的熱伝導性の高い膜及び/又は厚さの薄い膜を用いることが好ましい。このような膜を絶縁材料膜91として用いることで、効率的にガス感応膜92を加熱することが可能である。
図45は、本実施形態の第7の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した平面図である。
上述した実施形態では、可動膜構造90が可動膜構造90の両側に設けられた支持部(アンカー)45によって基板領域10に固定されていたが、本変更例では、可動膜構造90が可動膜構造90の片側に設けられた支持部(アンカー)45によって基板領域10に固定されている。その他の基本的な構成は、上述した実施形態の構成と同様である。
本変更例のガス検出装置も、上述した実施形態と同様の基本的構成を有しており、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図46は、本実施形態の第8の変更例に係るガス検出装置の構成を模式的に示した平面図である。
本変更例のガス検出装置では、上述した実施形態及び上述した各種変更例で示したようなMEMS素子ユニットを複数設けている。
複数の可動膜構造90それぞれの一端はノード(端子)N1に電気的に接続され、複数の可動膜構造90それぞれの他端はノード(端子)N3に電気的に接続されている。また、複数の可変キャパシタそれぞれの下部電極(固定電極、第1の導電部)41は、ノード(端子)N2に電気的に接続されている。ヒーター用の抵抗膜93に電流を流す場合には、ノードN1及びノードN3間に電圧を印加する。可変キャパシタのキャパシタンスをモニタする場合には、ノードN1(或いは、ノードN3)及びノードN2間のキャパシタンスを測定する。
本変更例のガス検出装置でも、各MEMS素子ユニットは上述した実施形態と同様の基本的構成を有しており、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本変更例では、複数のMEMS素子ユニットを設けているため、ガス検出精度を高めることができる。
なお、上述した実施形態及び第1〜第8の変更例の構成は、適宜組み合わせるようにしてもよい。
また、上述した実施形態及び第1〜第8の変更例において、ガス感応膜に導電材料を用いる場合には、基板領域の主面に垂直な方向から見て、ガス感応膜のパターンは抵抗膜のパターンと実質的に一致していることが好ましい。また、ガス感応膜に絶縁材料を用いる場合、或いはガス感応膜と抵抗膜とが電気的に絶縁されている場合には、ガス感応膜のパターンには大きな制約はなく、例えば、基板領域の主面に垂直な方向から見て、ガス感応膜のパターン内に抵抗膜のパターンが含まれているようにしてもよい。
次に、本実施形態に係るガス検出装置の全体的なシステム構成及び動作について説明する。
図47は、本実施形態に係るガス検出装置の全体的なシステム構成の一例を示した図である。
図47に示すように、MEMS素子ユニット500の等価回路は、抵抗R1、抵抗R2及び可変キャパシタC1によって表される。ノードN2には、可変キャパシタC1のキャパシタンスを検出するキャパシタンス検出部610が接続され、キャパシタンス検出部610には、キャパシタンス検出部610で検出されたキャパシタンスに基づいてガス濃度を算出するガス濃度算出部620が接続されている。予め可変キャパシタC1のキャパシタンスとガス濃度との関係を求めておくことで、ガス濃度算出部620によってガス濃度を高精度で算出することが可能である。ノードN1にはスイッチSW1及びSW2が接続され、ノードN3にはスイッチSW3が接続されている。また、スイッチSW1には電圧源700が接続されており、スイッチSW2にはキャパシタンス検出部610が接続されている。
図48は、本実施形態に係るガス検出装置の動作の一例を示したタイミングチャートである。図48(a)は電圧源700から抵抗R1及びR2に供給される電流の時間的な変化を示しており、図48(b)はガス感応膜の温度の時間的な変化を示している。
期間t1では、図47のスイッチSW1及びSW3がオン状態であり、電圧源700から抵抗R1及びR2に電流が供給される。その結果、抵抗R1及びR2が発熱し、ガス感応膜の温度が増加する。スイッチSW1及びSW3をオフ状態にした後、期間t2では、スイッチSW2がオン状態となり、キャパシタンス検出部610によって可変キャパシタC1のキャパシタンスが検出される。図48に示した例では、ガス感応膜の温度が定常温度まで下がた後の期間t2で可変キャパシタC1のキャパシタンスが検出される。
図49は、本実施形態に係るガス検出装置の動作の他の例を示したタイミングチャートである。基本的な動作は、上述した図48の動作と同様である。ただし、本例では、ガス感応膜の温度が定常温度まで下がる前の期間t2で可変キャパシタC1のキャパシタンスが検出される。
図50は、本実施形態に係るガス検出装置の全体的なシステム構成の他の例を示した図である。図50の基本的な構成は、図47の構成と同様である。本構成例では、電圧源700にスイッチSW4を介して大きなキャパシタンスを有するキャパシタCstが接続されている。電圧源700の電圧によってキャパシタCstを充電しておくことで、抵抗R1及びR2に素早く電流を流すことができる。したがって、抵抗膜を素早く発熱させることができ、ガス感応膜を素早く加熱させることができる。
以下、上述した実施形態の内容を付記する。
[付記1]
基板領域と、
前記基板領域上に設けられた可動膜構造であって、絶縁材料で形成された第1の膜と、
所定のガスを吸収又は吸着することで変形する第2の膜と、ヒーター用の抵抗として機能する第3の膜とを含む可動膜構造と、
を備え、
前記基板領域の主面に垂直な方向から見て、前記第2の膜のパターンの少なくとも一部と前記第3の膜のパターンの少なくとも一部とは互いに重なっている
ことを特徴とするガス検出装置。
[付記2]
前記基板領域上に設けられ且つ可変キャパシタの一方の電極として機能する第1の導電部をさらに備え、
前記可動膜構造は、前記可変キャパシタの他方の電極として機能する部分を含む
ことを特徴とする付記1に記載のガス検出装置。
[付記3]
前記第3の膜は、前記可変キャパシタの他方の電極として機能する
ことを特徴とする付記2に記載のガス検出装置。
[付記4]
前記可動膜構造は、前記基板領域に固定された部分から前記基板領域の主面に平行な所定の方向に延伸しており、
前記第3の膜は、それぞれが前記所定の方向に平行な方向に延伸し、前記所定の方向に垂直な方向に配列され、且つシリアルに繋がった複数の線状パターン部分を含む
ことを特徴とする付記1に記載のガス検出装置。
[付記5]
前記第3の膜は、前記第2の膜に接触している
ことを特徴とする付記1に記載のガス検出装置。
[付記6]
前記所定のガスは、水素ガス、水蒸気及び揮発性有機化合物ガスから選択される
ことを特徴とする付記1に記載のガス検出装置。
[付記7]
基板領域と、
前記基板領域上に設けられた可動膜構造であって、絶縁材料で形成された第1の膜と、
所定のガスを吸収又は吸着することで変形し且つヒーター用の抵抗として機能する第2の膜とを含む可動膜構造と、
を備えることを特徴とするガス検出装置。
[付記8]
前記基板領域上に設けられ且つ可変キャパシタの一方の電極として機能する第1の導電部をさらに備え、
前記可動膜構造は、前記可変キャパシタの他方の電極として機能する部分を含む
ことを特徴とする付記7に記載のガス検出装置。
[付記9]
前記第2の膜は、前記可変キャパシタの他方の電極として機能する
ことを特徴とする付記8に記載のガス検出装置。
[付記10]
前記可動膜構造は、前記基板領域に固定された部分から前記基板領域の主面に平行な所定の方向に延伸しており、
前記第2の膜は、それぞれが前記所定の方向に平行な方向に延伸し、前記所定の方向に垂直な方向に配列され、且つシリアルに繋がった複数の線状パターン部分を含む
ことを特徴とする付記7に記載のガス検出装置。
[付記11]
前記所定のガスは、水素ガス、水蒸気及び揮発性有機化合物ガスから選択されることを特徴とする付記7に記載のガス検出装置。
[付記12]
基板領域と、
前記基板領域上に設けられ、脆性材料で形成された第1の膜と、水素吸蔵材料で形成された第2の膜とを含む可動膜構造と、
を備えることを特徴とするガス検出装置。
[付記13]
前記水素吸蔵材料は、パラジウム(Pd)、パラジウム(Pd)を含有する合金、チタン(Ti)を含有する合金、及びランタン(La)を含有する合金から選択される
ことを特徴とする付記12に記載のガス検出装置。
[付記14]
前記可動膜構造の内側にはキャビティが形成され、
前記可動膜構造及び前記基板領域の少なくとも一方は、前記キャビティに達する貫通穴を有する
ことを特徴とする付記12に記載のガス検出装置。
[付記15]
前記可動膜構造は、前記第2の膜を覆い且つ前記第2の膜への水分の侵入を防止する水分侵入防止膜さらに含む
ことを特徴とする付記12に記載のガス検出装置。
[付記16]
前記第2の膜を加熱する加熱部をさらに備える
ことを特徴とする付記12に記載のガス検出装置。
[付記17]
前記基板領域上に設けられ且つ可変キャパシタの一方の電極として機能する第1の導電部をさらに備え、
前記可動膜構造は、前記可変キャパシタの他方の電極として機能する部分を含む
ことを特徴とする付記12に記載のガス検出装置。
[付記18]
前記基板領域上に設けられ且つ可変キャパシタの一方の電極として機能する第1の導電部と、
前記可動膜構造に接続され且つ前記可変キャパシタの他方の電極として機能する第2の導電部と、
をさらに備えることを特徴とする付記12に記載のガス検出装置。
[付記19]
前記第2の膜は、可変抵抗として機能する
ことを特徴とする付記12に記載のガス検出装置。
[付記20]
前記第2の膜の変形に応じて抵抗が変化するピエゾ抵抗部をさらに備える
ことを特徴とする付記12に記載のガス検出装置。
[付記21]
基板領域と、
前記基板領域上に設けられ、シリコン(Si)を含有する材料で形成された第1の膜と、水素吸蔵材料で形成された第2の膜とを含む可動膜構造と、
を備えることを特徴とするガス検出装置。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。