以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る連結具10は、図2に示すように、衣料品、商品等の対象物に値段や品質等を表示する表示札60を取り付けるために使用される部材である。連結具10は、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアミド等の樹脂により一体的に形成され、可撓性を備えている。なお、樹脂にはエラストマーやゴムも含まれるものとする。連結具10は、一体的に形成されない場合もあり得る。連結具10は、図1に示すように、長尺な線状部20と、線状部20の一端側に設けられる差込部30と、線状部20の他端側に設けられて差込部30と係合可能な受け部40とを備えている。また、連結具10は、切断可能な切断部51が形成される切断操作部50を備えている。なお、連結具10は、一体的に形成されなくてもよい。例えば、線状部20、差込部30および受け部40が、異なる部材により形成されてもよい。
線状部20は、細い線材により形成されている。線状部20は、略一定の線径を有しても、部位によって異なる線径を有してもよい。例えば、線状部20の差込部30に連結される部位や、切断操作部50に連結される部位は、太く形成されてもよい。差込部30は、先端側に位置する頭部31と、頭部31の基端側に位置する係合フック32とを備えている。なお、差込部30の先端側は、差込部30を受け部40に対して差し込む方向側であり、差込部30の基端側は、先端側の反対側である。頭部31は、受け部40に入り込むことが可能な大きさで形成される。係合フック32は、線状部20の中心軸に対して傾斜しつつ、基端側へ突出している。このため、係合フック32は、受け部40へ挿入される際に、線状部20の中心軸に向かって弾性的に撓むことができる。係合フック32の数は、例えば2つであるが、1つ以上であれば特に限定されない。差込部30の形状は、特に限定されず、例えば中心軸と直交する断面が略円形、略三角形、略四角形等であってもよい。また、差込部30の形状は、全体的に扁平で薄い形状であってもよい。差込部30が扁平で薄い形状であれば、受け部40を薄く形成することが可能である。
受け部40は、差込部30が差し込まれる受け穴41が形成されて、差込部30と係合する部位である。本実施形態においては、受け部40は、切断操作部50に形成されている。受け穴41は、受け穴41の内周面で突出する係合突起42と、係合突起42よりも差込方向側に位置する収容部43とを備えている。係合突起42は、頭部31が通過可能であり、かつ弾性的に撓んだ係合フック32が通過可能な大きさで突出している。収容部43は、係合突起42を通過した頭部31および係合フック32を収容可能な大きさで形成されている。
切断操作部50は、操作者が指でつまんで切断できる部位である。切断操作部50は、切断可能な切断部51と、切断部51を挟んで位置する第1部位52および第2部位53とを備えている。切断操作部50は、切断部51で切断しやすいように、扁平形状であることが好ましい。なお、切断操作部50は、切断できるのであれば、扁平形状でなくてもよい。切断操作部50は、例えば、略一定の厚さを有する扁平な四角柱である。第1部位52および/または第2部位53の表面には、印字したり、シール等を付着させたりすることができる。
切断部51は、第1部位52および第2部位53の間で延在する溝59で形成されている。溝59は、切断操作部50の一方面のみに形成されても、両面に形成されてもよい。なお、切断部51の構成は、指で切断可能であれば、特に限定されない。例えば、切断部51は、小孔が一列に並んで形成されてもよい。小孔の形状は、特に限定されず、例えば丸孔、四角孔、または小孔が並ぶ方向へ長いスリット状の孔であってもよい。また、小孔は、貫通孔であることが好ましいが、貫通孔でなくてもよい。また、貫通しない孔や溝は、切断操作部50の一方面のみに形成されても、両面に形成されてもよい。また、切断部51は、溝59と小孔の両方を有してもよい。切断部51には、切断されて切断面となる予定の仮想的な切断予定面S上に位置している。本実施形態では、切断予定面Sは、溝59の略中央部を通り、扁平形状(平板形状)である切断操作部50の面と垂直な面である。なお、切断部51は、必ずしも、厳密に切断予定面Sの上で切断される必要はない。溝59や小孔が、厳密に同一平面上に位置しなくても、切断予定面Sは、特定可能である。例えば、切断予定面Sは、各小孔の中心を通る最少二乗平面や、溝の中心を通る最少二乗平面とすることができる。または、実物を作成して実際に切断し、その切断面の実測値から切断予定面Sを特定してもよい。
第1部位52は、一側端である第1接続面54に、線状部20が接続されている。差込部30を受け部40に係合した状態において、図3に示すように、第1接続面54に対して線状部20が接続される第1方向N1は、切断予定面Sに対して角度θ1で傾いている。角度θ1の絶対値は、例えば0度以上75度以下であり、好ましくは0度以上60度以下であり、より好ましくは0度以上45度以下であり、更に好ましくは0度以上30度以下であり、更に好ましくは0度以上15度以下である。角度θ1の絶対値が小さいと、線状部20から作用する張力が、切断予定面Sに作用しにくいため、切断部51の意図しない切断を抑制できる。第1部位52が第1接続面54に対して接続される角度は、垂直でもよいが、垂直でなくてもよい。
第2部位53は、一側端である第2接続面55に、受け部40の受け穴41が開口している。差込部30を受け部40に係合した状態において、第2接続面55に対して線状部20が接続される第2方向N2は、切断予定面Sに対して角度θ2で傾いている。角度θ2の絶対値は、例えば0度以上75度以下であり、好ましくは0度以上60度以下であり、より好ましくは0度以上45度以下であり、更に好ましくは0度以上30度以下であり、更に好ましくは0度以上15度以下である。角度θ2の絶対値が小さいと、線状部20から作用する張力が、切断予定面Sに作用しにくいため、切断部51の意図しない切断を抑制できる。第2部位53が第2接続面55に対して接続される角度は、垂直でもよいが、垂直でなくてもよい。
第1接続面54および第2接続面55は、法線方向が略同一方向を向いており、同一平面上に位置している。
次に、第1実施形態に連結具10の作用を説明する。
始めに、表示札60を取り付ける取付者が、表示札60の取付孔61に差込部30を挿入する。これにより、表示札60は、差込部30と第1部位52の間の線状部20に保持される。次に、差込部30を、衣料品等の対象物に形成される孔等に挿入する。そして、取付者は、図2(A)、図3に示すように、差込部30を第2部位53の受け部40に差し込む。これにより、差込部30の頭部31が係合突起42を通過して収容部43へ到達する。さらに、差込部30の係合フック32が、係合突起42に押されて変形しながら係合突起42を通過して収容部43へ到達する。収容部43に到達した係合フック32は、自己の弾性力によって元の形状に戻り、係合突起42よりも大きく広がる。このため、係合フック32が係合突起42を通過して収容部43へ到達すると、係合フック32が係合突起42に引っ掛かる。これにより、受け部40に差し込まれた差込部30は、受け部40から引き抜き不能となる。このため、対象物に取り付けられた表示札60等が入れ替えられることが抑制される。切断操作部50は、重力によって下方へ下がる。このため、切断操作部50から、線状部20の両端部が略平行に上方へ延びる。したがって、表示札60は、重力により下がって、切断操作部50の近傍で略平行に並ぶ線状部20の間に挟まれる。このため、表示札60は、安定した位置で良好に保持される。
表示札60および連結具10を対象物から取り外す際には、操作者は、第1部位52を一方の手の指でつまみ、第2部位53を他方の手の指でつまむ。次に、操作者は、第1部位52および第2部位53に、離れる方向の力を作用させる。これにより、切断部51に応力が集中して切断部51に亀裂が生じ、切断予定面Sに沿って亀裂が進展する。なお、操作者は、第1部位52および第2部位53に離れる方向の力を作用させて引き裂くのではなく、切断部51に捩じり力を作用させたり、切断部51に折り曲げる力を作用させたりしてもよい。切断部51が完全に切断されると、図2(B)に示すように、第1部位52および第2部位53が離れ、連結具10の切断が完了する。切断された連結具10の両端には、第1部位52および第2部位53が設けられる。このため、切断された連結具10から、表示札60が脱落しにくい。したがって、切断された連結具10および表示札60を、ばらけさせずにまとめて処理(例えば、処分)できる。
以上のように、本実施形態に係る連結具10は、可撓性を備える線状部20と、線状部20の一端側に設けられる差込部30と、線状部20の他端側に設けられて差込部30と係合可能な受け部40と、を有する連結具10であって、切断可能な切断部51を挟んで第1部位52および第2部位53を備える切断操作部50を有し、差込部30を受け部40に係合した状態において、第1部位52および第2部位53の各々が線状部20に接続され、第1部位52に対して線状部20が接続される第1方向N1は、切断部51が切断されることで切断面となる予定の切断予定面Sに対して75度以下の角度θ1を形成し、第2部位53に対して線状部20が接続される第2方向N2は、切断予定面Sに対して75度以下の角度θ2を形成する。
上記のように構成した連結具10は、線状部20から第1部位52に作用する張力と、線状部20から第2部位53に作用する張力が、切断予定面Sに対して45度以下の角度で作用するため、切断予定面Sに作用する引張力を抑制できる。このため、切断操作部50の切断部51を手でも容易に切断できるとともに、切断部51において意図せずに切断されることを効果的に抑制できる。
また、受け部40は、第2部位53に形成される。これにより、切断操作部50と異なる位置に受け部40が設けられないため、構成をシンプルとすることができる。このため、差込部30を受け部40に係合した環状の状態において、第1部位52および第2部位53に連なる線状部20を、直線的な部位のみで構成可能である。したがって、対象物へ取り付けた後の連結具10は、対象物に対して必要以上に引っ掛からず、表示札60を適切に配置できる。なお、受け部40は、第1部位52に形成されてもよい。この場合、線状部20は、第2部位53に一体的に連結される。
また、第1部位52および第2部位53は、扁平形状である。これにより、第1部位52および第2部位53をつまみやすくなり、切断する操作が容易となる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る連結具70は、図4に示すように、受け部40が切断操作部50に設けられない点で、第1実施形態と異なる。
連結具70の線状部20は、第1線状部21と第2線状部22とを備えている。第1線状部21は、第1部位52の第1接続面54から延在し、第2線状部22は、第2部位53の第2接続面55から延在している。差込部30は、第1線状部21の、第1部位52から離れた側の端部に配置される。差込部30は、係合フック32の基端側に、受け部40の係合突起42を通過できない大きさの係止部33が形成されている。受け部40は、第2線状部22の、第2部位53から離れた側の端部に配置される。受け部40は、貫通孔を有する筒状の部材に形成される。なお、差込部30および受け部40は、係合可能であれば、構成は限定されない。第1線状部21は、第2線状部22よりも長い。このため、図5に示すように、差込部30を受け部40に係合させて、切断操作部50が重力によって下方に下がった状態において、商品等に引っ掛かる上方の部位が、差込部30および受け部40からずれた第1線状部21となる。このため、第1線状部21よりも大きな差込部30および受け部40が、対象物に形成される孔等に引っ掛かり難くなる。このため、連結具70は、対象物に対して適切な位置を維持しやすい。なお、第1線状部21は、第2線状部22よりも短くてもよい。この場合、切断操作部50が重力によって下方に下がった状態において、商品等に引っ掛かる上方の部位が、差込部30および受け部40からずれた第2線状部22となる。なお、第1線状部21および第2線状部22は、略同じ長さであってもよい。
切断操作部50は、例えば、直径よりも高さが低い略円柱形状であり、扁平な略円盤形状である。切断部51は、溝59と、貫通孔59Aとを有している。貫通孔59Aは、切断部51の第1接続面54および第2接続面55から離れた側に位置している。なお、貫通孔59Aは、切断部51の第1接続面54および第2接続面55に近い側に位置してもよい。また、貫通孔59Aは、切断部51の延在方向の略中央部に位置してもよい。また、貫通孔59Aは、複数設けられてもよい。または、貫通孔59Aは、設けられなくてもよい。
次に、第2実施形態に連結具70の作用を説明する。
始めに、表示札60を取り付ける取付者が、表示札60の取付孔61に差込部30または受け部40を挿入する。表示札60の取付孔61に差込部30を差し込む場合、表示札60は、差込部30と第1部位52の間の第1線状部21に保持される。表示札60の取付孔61に受け部40を差し込む場合、表示札60は、受け部40と第2部位53の間の第2線状部22に保持される。以降は、表示札60の取付孔61に差込部30を差し込んだ場合を説明する。
次に、差込部30または受け部40を、衣料品等の対象物に形成される孔等に挿入する。そして、取付者は、図5(A)に示すように、差込部30を受け部40に差し込む。これにより、差込部30の頭部31が係合突起42を通過して収容部43へ到達する。さらに、差込部30の係合フック32が、変形しながら係合突起42を通過して収容部43へ到達する。収容部43に到達した係合フック32は、自己の弾性力によって元の形状に戻り、係合突起42よりも大きく広がる。このため、係合フック32が係合突起42を通過して収容部43へ到達すると、係合フック32が係合突起42に引っ掛かる。なお、係止部33は、係合突起42を通過できない。これにより、受け部40に差し込まれた差込部30は、受け部40から引き抜き不能となる。
表示札60および連結具70を対象物から取り外す際には、操作者は、第1実施形態と同様に、第1部位52を一方の手の指でつまみ、第2部位53を他方の手の指でつまむ。そして、第1部位52および第2部位53に、離れる方向の力、捩じり力、折り曲げる力等を作用させることで、図5(B)に示すように、第1部位52および第2部位53を切断部51で切断できる。このとき、切断部59は、貫通孔59Aを有するため、貫通孔59Aを起点として亀裂を生じさせやすいため、切断が容易である。これにより、連結具70の切断が完了する。
以上のように、第2実施形態において、線状部20は、第1部位52から延在する第1線状部21と、第2部位53から延在する第2線状部22と、を有し、差込部30は、第1線状部21の第1部位52から離れている端部に形成され、受け部40は、第2線状部22の第2部位53から離れている端部に形成される。これにより、第1線状部21または第2線状部22を通された表示札60が切断操作部50の近傍にある場合に、表示札60に阻害されることなしに、表示札60から離れている差込部30および受け部40を容易に係合できる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、図6に示す第1実施形態の第1変形例のように、第1部位52の第1接続面54に対して反対側の側端に、第1接続面54から離れる方向へ突出する第1突出部56が形成され、第2部位53の第2接続面55に対して反対側の側端に、第2接続面55から離れる方向へ突出する第2突出部57が形成されてもよい。第1突出部56と第2突出部57の間には、誘導凹部58が形成されている。誘導凹部58は、第1部位52および第2部位53の間の切断部51に向かって窪む切り欠きである。表示札60および連結具10を対象物から取り外す際には、操作者は、第1突出部56の近傍を一方の手の指でつまみ、第2突出部57の近傍を他方の手の指でつまむ。次に、操作者は、第1突出部56および第2突出部57に、離れる方向の力、捩じり力、折り曲げる力等を作用させる。これにより、切断部51(特に、誘導凹部58)に応力が集中して切断部51に亀裂が生じ、切断予定面Sに沿って亀裂が進展する。切断部51が完全に切断されると、第1部位52および第2部位53が離れ、連結具10の切断が完了する。
また、図7に示す第1実施形態の第2変形例のように、切断部51を挟んで位置する第1部位52および第2部位53とを備える切断操作部50の外周囲に、補強部80が形成されてもよい。補強部80は、第1部位52から切断部51を通って第2部位53までの範囲を連続して覆っている。補強部81は、切断操作部50において延在する切断部51の一方側の端部を囲む第1補強部81と、他方側の端部を囲む第2補強部82とを備えている。切断部51は、溝59と、第2補強部82に隣接する貫通孔59Aを有している。なお、貫通孔59Aは、第1補強部81に隣接して形成されてもよい。または、貫通孔59Aは、第1補強部81に隣接する位置および第2補強部82に隣接する位置の両方に設けられてもよい。なお、貫通孔59Aは、設けられなくてもよい。補強部80は、切断予定面Sと平行であって補強部80の延在方向と直交する方向において、切断部51の厚さT2よりも大きな厚さT1を有している。切断予定面Sと平行であって補強部80の延在方向と直交する方向において、補強部80の厚さT1は、第1部位52および第2部位53の厚さT3以下であってもよいが、好ましくは厚さT3よりも大きい。このため、補強部80によって、切断部51が意図せずに切断されることを効果的に抑制できる。なお、第1補強部81および第2補強部82は、手で切断できる程度の強度で形成される。このため、切断操作部50の切断部51を切断する際には、操作者は、第1補強部81および第2補強部82を手で切断することで、第1部位52および第2部位53を切断部51で分離できる。また、第2補強部82および/または第1補強部81に隣接して、貫通孔59Aが形成されているため、第1補強部81および第2補強部82を手で切断することが容易となる。なお、補強部80は、切断操作部50の外周囲の全体に形成されなくてもよく、例えば、第1補強部81および第2補強部82のみで形成されてもよい。または、補強部80は、第1補強部81または第2補強部82の一方のみで形成されてもよい。また、補強部80は、切断予定面Sと平行であって補強部80の延在方向と直交する方向(厚さT1の方向)において、両方向へ突出しているが、一方へのみ突出してもよい。
また、図8(A)に示す第1実施形態の第3変形例のように、連結具10は、補強部80を有するとともに、角度θ1の絶対値は、45度を超える値(例えば、略90度)であってもよい。なお、角度θ1ではなく、角度θ2の絶対値が、45度を超える値(例えば、略90度)であってもよい。また、角度θ1の絶対値および角度θ2の絶対値の両方が、45度を超える値であってもよい。また、上述した第2変形例において、連結具10は、補強部80を有さなくてもよい。
また、図8(B)に示す第1実施形態の第4変形例のように、切断操作部50は、扁平な略円盤形状であり、切断部51を挟んで位置する第1部位52および第2部位53を備える切断操作部50の外周囲に、補強部80が形成されてもよい。切断部51は、溝59と、貫通孔59Aとを有している。貫通孔59Aの位置は、特に限定されないが、切断部51の延在方向の端部に近い部位や、中央部等に形成される。貫通孔59Aは、複数形成されてもよい。角度θ1、θ2の絶対値は、45度を超える値(例えば、略90度)であってもよい。
また、図9に示す第1実施形態の第5変形例のように、切断操作部50は、一方側の面(または両面)に、第1部位52および第2部位53の両方にフィルム90が配置されてもよい。第1部位52および第2部位53の間には、溝や小孔等からなる切断部51が形成されている。なお、第1部位52および第2部位53は、フィルム90のみで連結されていてもよい。フィルム90は、第1部位52および第2部位53の一部を構成し得る。フィルム90には、例えば商品情報等を記憶したICチップ等である記憶装置91が内包されている。また、フィルム90には、商品情報等が印字されてもよい。このため、フィルム90を切断操作部50に付着させることで、連結具10に、対象物の情報を付与することができる。記憶装置91は、熱に弱いため、連結具10の成形時に連結具10に埋め込むことが困難である。しかしながら、フィルム90によって記憶装置91を連結具10に付着させることで、記憶装置91を熱に晒さずに、連結具10に付着させることができる。第1部位52および第2部位53を切断部51で切り離すと、第1部位52および第2部位53は、フィルム90で部分的に接続された状態となる。この後、フィルム90を第1部位52または第2部位53から剥がすことで、第1部位52および第2部位53を容易に分離できる。フィルム90は、ホログラム等の偽造防止機能を備えることが好ましいが、これに限定されない。
また、図10(A)に示す第6変形例のように、切断操作部50の第1部位52および第2部位53は、略楕円形(長円形)で形成されてもよい。また、図10(B)に示す第7変形例のように、切断操作部50は、略ハート形で形成されてもよい。したがって、切断操作部50は、略ハート形であることで、線状部20が連結される側の反対側に、第1突出部56、第2突出部57および誘導凹部58が形成される。これにより、第1部位52および第2部位53が広がるように形成され、つまんで切断部51を切断することが容易となる。また、図10(C)に示す第8変形例のように、切断操作部50は、略ハート形で形成され、第1線状部21および第2線状部22が、切断操作部50の縁部に沿って一体的な線材として形成されてもよい。このような構成とすることで、切断部51において意図せずに切断されることを効果的に抑制できる。また、図11(A)に示す第9変形例のように、第1部位52および第2部位53が、切断部51で結合された略球形状であってもよい。球形状の第1部位52および第2部位53の各々の中心は、切断部51から離れている。切断部51の直径は、第1部位52の直径および第2部位53の直径よりも小さい。第1部位52および第2部位53の大きさは、等しくても異なってもよい。操作者は、第1部位52および第2部位53を指によって逆方向へ捩じることで、切断部51を容易に切断できる。また、図11(B)に示す第10変形例のように、第1部位52が、第1線状部21に連結される部位52Aおよび部位52Aに連結される部位52Bを有してもよい。第2部位53は、部位52Bに、切断部51で結合されている。第1部位52の部位52Aおよび部位52B、並びに第2部位53は、略球形状で形成される。部位52Aおよび第2部位53は、略同形状で形成される。このような形態であっても、操作者は、第1部位52および第2部位53を指によって逆方向へ捩じることで、切断部51を容易に切断できる。
また、図12(A)に示す第2実施形態の第11変形例のように、切断操作部50は、略円弧形状で形成され、第1線状部21および第2線状部22が、切断操作部50の縁部に沿って一体的な線材として形成されてもよい。切断部51は、溝59と、第1線状部21および第2線状部22に近い側に位置する貫通孔59Aとを備えている。このような構成とすることで、切断部51において切断可能とするとともに、切断部51において意図せずに切断されることを効果的に抑制できる。なお、第1線状部21および第2線状部22は、一体的でなくてもよい。また、図12(B)に示す第2実施形態の第12変形例のように、第1部位52および第2部位53が、第1線状部21および第2線状部22へ向かって徐々に外径が小さくなる縮径部52C、53Cと、中央部で外径が小さくなる中央縮径部52D、53Dとを備えてもよい。中央縮径部52Dと中央縮径部53Dの間には、貫通孔59Aが形成されている。縮径部52Cまたは縮径部53Cは、表示札60の取付孔61に入り込むことができる。したがって、表示札60が、縮径部52Cまたは縮径部53Cに対して安定的に保持される。また、第1部位52および第2部位53が縮径部52C、53Cを備えるため、切断部51を切断して対象物から第1部位52または第2部位53を引き抜く際に、縮径部52Cまたは縮径部53Cが対象物に引っ掛かり難くなる。このため、対象物が損傷することを抑制できる。
また、図13(A)に示す第1実施形態の第13変形例のように、切断操作部50は、受け部40を備える略円筒形状であってもよい。受け部40は、差込部30が差し込まれる受け穴41が形成されて、差込部30と係合する部位である。受け穴41は、受け穴41の内周面で突出する係合突起42と、係合突起42よりも差込方向側に位置する収容部43とを備えている。係合突起42は、図13(B)に示すように、頭部31が通過可能であり、かつ弾性的に撓んだ係合フック32が通過可能な大きさで突出している。収容部43は、係合突起42を通過した頭部31および係合フック32を収容可能な大きさで形成されている。また、受け部40は、係合突起42よりも差込方向側で収容部43に貫通する2つの側孔44が形成されている。2つの側孔44は、切断操作部50の周方向に対向するように形成されている。切断操作部50は、外周面の係合突起42よりも差込方向側に、切り欠きを備える切断部51が形成されている。切断予定面Sが、係合突起42よりも差込方向側に位置している。切り欠きの数は特に限定されない。本実施形態では、切り欠きは、切断操作部50の周方向に、2つの側孔44と交互に配置されるように2つ形成されている。切断操作部50の切断部51よりも差込方向側が第1部位52であり、切断操作部50の切断部51よりも受け穴41に近い側が第2部位53である。
表示札60および連結具10を対象物から取り外す際には、操作者は、第1部位52を一方の手の指でつまみ、第2部位53を他方の手の指でつまむ。次に、操作者は、第1部位52および第2部位53に、離れる方向の力、捩じり力、折り曲げる力等を作用させる。これにより、切断部51に応力が集中して切断部51に亀裂が生じ、切断部51を切断できる。このとき、切断操作部50に側孔44が形成されているため、亀裂が側孔44に進展することで、切断部51を切断しやすい。図13(C)に示すように、切断部51が完全に切断されると、第1部位52および第2部位53が離れ、連結具10の切断が完了する。係合フック32が係合する係合突起42は、第2部位53側に位置するため、差込部30は、第2部位53とともに第1部位52から離れることができる。
また、図14(A)、(B)に示す第1実施形態の第14変形例のように、第12変形例と異なり、係合突起42が、受け穴41の内周面で内側へ突出しつつ差込方向側へ突出してもよい。係合突起42は、差込方向側の面に、最も差込方向側の先端部42Aと、収容部43の内周面に連続する基端部42Bとを備えている。切断部51を通る切断予定面Sは、基端部42Bよりも差込方向側に位置する。なお、切断予定面Sは、先端部42Aよりも差込方向側に位置しても、差込方向側に位置しなくてもよい。すなわち、第13変形例では、係合突起42が差込方向側へ突出しているため、係合突起42の差込方向側の一部が、切断予定面Sよりも差込方向側に位置してもよい。図14(C)に示すように、切断部51が完全に切断されると、第1部位52および第2部位53が離れる。このとき、係合フック32が係合する係合突起42は、第2部位53側に位置するため、差込部30は、第2部位53とともに第1部位52から離れることができる。
また、図15(A)に示す第1実施形態の第15変形例のように、分離して形成された第1部位52および第2部位53が、接続部材100により接続されてもよい。なお、第1部位52および第2部位53は、完全には分離せずに部分的に連結されて一体的に形成されてもよい。第1部位52は、第1貫通孔110が形成されている。第1貫通孔110は、第1部位52と第2部位53の境界面を略垂直に貫通して形成されている。第1貫通孔110は、第2部位53と接する側の反対側において、第1貫通孔110の貫通方向と直交するいずれかの方向へ幅が広がっている第1幅広孔111が形成されている。第2部位53は、第2貫通孔120が形成されている。第2貫通孔120は、第1部位52と第2部位53の境界面を略垂直に貫通して形成されている。第2貫通孔120は、第1部位52と接する側の反対側において、第2貫通孔120の貫通方向と直交するいずれかの方向へ幅が広がっている第2幅広孔121が形成されている。第1貫通孔110および第2貫通孔120は、連通している。そして、第1貫通孔110および第2貫通孔120の内部には、接続部材100が、第1部位52および第2部位53に対して二色成形により充填されている。したがって、第1部位52および第2部位53は、接続部材100によって接続されている。第1部位52および第2部位53の境界面は、切断予定面Sである。接続部材100は、第1幅広孔111に配置される第1接続端部101と、第2幅広孔121に配置される第2接続端部102と、第1接続端部101および第2接続端部102の間に配置される中間部103とを備えている。第1接続端部101、第2接続端部102および中間部103は、一体で形成されている。接続部材100は、第1部位52および第2部位53よりも柔らかい材料により形成されている。一例として、第1部位52および第2部位53は、ポリアミドまたはポリプロピレン製であり、接続部材100は、エラストマー製である。樹脂やエラストマーの硬さ(柔らかさ)は、例えばロックウェル硬さ、ブリンネル硬さ、ビッカース硬さ、ショア硬さ、デュロメータ硬さ等により特定できる。接続部材100は、第1部位52および第2部位53よりも柔らかいために破断しやすい。切断される切断部51は、第1部位52および第2部位53の境界に位置する接続部材100に形成される。
操作者は、切断部51を切断する際に、第1部位52を一方の手の指でつまみ、第2部位53を他方の手の指でつまむ。次に、操作者は、第1部位52および第2部位53に、離れる方向の力、捩じり力、折り曲げる力等を作用させる。これにより、接続部材100の切断部51に応力が集中して切断部51に亀裂が生じ、切断部51を切断できる。このとき、接続部材100の両端に、第1接続端部101および第2接続端部102が形成されるため、接続部材100が第1貫通孔110および第2貫通孔120から抜けにくい。このため、接続部材100の切断部51に応力が作用しやすくなり、切断部51を切断しやすい。接続部材100の切断される切断部51の位置は、第1部位52および第2部位53の境界位置から離れることもあり得る。なお、接続部材100は、切断部51が形成される部位において、接続部材100の延在方向と直交するいずれかの方向へ幅が広がって形成されてもよい。
図15(B)に示す第16変形例は、第15変形例と略同様の形態を備えるが、第1接続端部101と第2接続端部102の形状が異なる点で、第14変形例と異なる。第2接続端部102は、第1接続端部101よりも、接続部材100の延在方向と直交するいずれかの方向へ幅が広く形成されている。したがって、第2接続端部102は、第1接続端部101よりも、第1貫通孔110および第2貫通孔120から抜けにくい。切断部51は、第1部位52および第2部位53の間に位置している。第1幅広孔111は、第1接続端部101に対応した形状で形成され、第2幅広孔121は、第2接続端部132に対応した形状で形成される。
操作者は、切断部51を切断する際に、第1部位52を一方の手の指でつまみ、第2部位53を他方の手の指でつまむ。次に、操作者は、第1部位52および第2部位53に、離れる方向の力、捩じり力、折り曲げる力等を作用させる。これにより、第1接続端部101が第1貫通孔110から抜けて、第1部位52および第2部位53が切断される。なお、第2接続端部102は、第2貫通孔120から抜けない。このため、接続部材100は、第2部材53に保持される。
また、図16に示す第1実施形態の第17変形例のように、分離して形成された第1部位52および第2部位53が、リング状の接続部材140により接続されてもよい。なお、第1部位52および第2部位53は、完全には分離せずに部分的に連結されて一体的に形成されてもよい。リング状の接続部材140は、第1部位52および第2部位53の境界面に位置する切断予定面Sを跨って第1部位52および第2部位53をまとめて囲んでいる。第1部位52および第2部位53の外周面には、接続部材140を収容する収容溝150が形成されている。接続部材140は、第1部位52および第2部位53に対して二色成形により配置されている。一例として、第1部位52および第2部位53は、ポリアミドまたはポリプロピレン製であり、接続部材140は、エラストマー製である。接続部材140は、第1部位52および第2部位53よりも柔らかい材料により形成されている。したがって、接続部材140は、第1部位52および第2部位53よりも破断しやすい。切断部51は、第1部位52および第2部位53の境界に位置する接続部材140に形成される。
操作者は、切断部51を切断する際に、第1部位52を一方の手の指でつまみ、第2部位53を他方の手の指でつまむ。次に、操作者は、第1部位52および第2部位53に、離れる方向の力、捩じり力、折り曲げる力等を作用させる。これにより、接続部材140の切断部51に応力が集中して切断部51に亀裂が生じ、切断部51を切断できる。接続部材140の切断される切断部51の位置は、第1部位52および第2部位53の境界位置から離れることもあり得る。なお、第14〜16変形例において、角度θ1、θ2の絶対値は、45度を超える値(例えば、略90度)であってもよい。
また、図17、18(A)に示す第2実施形態の第18変形例のように、切断部51が位置する切断予定面Sが、平面ではなく湾曲または屈曲した面であってもよい。第1線状部21に接続された第1部位52は、第2線状部22に接続された第2部位53と比較して小さい。第1部位52は、第1部位52が接続された第1接続面54を含む狭い範囲を、湾曲した切断予定面Sによって囲まれて形成されている。切断予定面S上に、溝59を有する切断部51が位置している。切断予定面Sで囲まれる第1部位52の、第1接続面54に対して線状部20が接続される第1方向N1と直交する方向の最大幅D1は、差込部30の、線状部20の延在方向に対して直交する方向の最大幅D2以下であることが好ましい。
第1方向N1は、切断予定面Sの少なくとも一部に対して、75度以下の角度θ1を形成する。第2方向N2は、切断予定面Sの少なくとも一部に対して75度以下の角度θ2を形成する。このため、連結具10は、線状部20から第1部位52に作用する張力と、線状部20から第2部位53に作用する張力が、切断予定面Sの少なくとも一部に対して45度以下の角度で作用するため、切断予定面Sに作用する引張力を抑制できる。このため、切断操作部50の切断部51を手でも容易に切断できるとともに、切断部51において意図せずに切断されることを効果的に抑制できる。
操作者は、切断部51を切断する際に、第1部位52を一方の手の指でつまみ、第2部位53を他方の手の指でつまむ。次に、操作者は、第1部位52および第2部位53に、離れる方向の力、捩じり力、折り曲げる力等を作用させる。これにより、切断部51に応力が集中して切断部51に亀裂が生じ、切断部51を切断できる。第1部位52の最大幅D1は、差込部30の最大幅D2以下であるため、差込部30を通すことができた表示札60の取付孔61から、切断された後の第1部位52を容易に引き抜くことができる。
なお、第18変形例において、第1部位52が第2部位53と比較して小さいのではなく、第2部位53が第1部位52と比較して小さくてもよい。また、第18変形例は、補強部80や貫通孔59Aが設けられてもよい。図18(B)に示すように、第18変形例の切断部51は、少なくとも1つの貫通孔59Aが設けられてもよい。これにより、操作者は、切断部51を容易に切断できる。
また、第1部位52が第2部位53と異なる大きさを有する構成は、上述した他の実施形態に適用されてもよい。例えば、図3に示す第1実施形態において、第1部位52の切断予定面Sと垂直な方向の長さL1は、第2部位53の切断予定面Sと垂直な方向の長さL2と等しいが、長さL2よりも短くてもよく、または長くてもよい。なお、長さL1は、第1接続面54に対して線状部20が接続される第1方向N1と直交する方向の最大幅D1と略一致する。そして、長さL1(または最大幅D1)が、差込部30の、線状部20の延在方向に対して直交する方向の最大幅D2(図1を参照)以下であれば、差込部30を通すことができた表示札60の取付孔61から、切断された後の第1部位52を容易に引き抜くことができる。
なお、上述した第1〜5、14〜17変形例は、第1実施形態の変形例であるが、第2実施形態の変形例とすることもできる。また、上述した第6〜13、18変形例は、第1線状部21および第2線状部22を有する第2実施形態の変形例であるが、第1実施形態の変形例とすることもできる。