JP6883437B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、エレクトロルミネッセンス(電界発光)を「EL」と記す場合がある。)に関する。
有機EL素子は、自発光型である、視野角が広い、視認性に優れる、低電圧で駆動できる、面発光で薄型化・軽量化可能である、多色表示可能であるなどの特徴を有している。このため、有機EL素子は、ディスプレイなどの画像表示装置や照明装置に好適に用いることができる。
有機EL素子は、通常、透明基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極がこの順に積層されることにより構成されている。有機EL素子の発光は、以下に示す(i)〜(v)の過程を経て生じる。
(i)正孔および電子が電極から注入される。
(ii)注入された正孔および電子が輸送される。
(iii)発光層内で正孔と電子が再結合する。
(iv)発光材料が電子的励起状態を形成する。
(v)発光材料が電子的励起状態から光を放射する。
有機EL素子では、高効率化するために、発光層の発光材料としてリン光材料を用いることが提案されている。発光材料は、エネルギーを得て電子的励起状態となるとき、一重項励起状態(S)と三重項励起状態(T)を1:3の確率で生成する。そして、発光材料が電子的励起状態から基底状態に戻る際に、光としてエネルギーを放出する。
発光材料として蛍光材料を用いた場合、Sからのエネルギーしか光に変換されない。これに対し、リン光材料を用いた場合、Sからのエネルギーだけでなく、Tからのエネルギーも光に変換される。このため、発光材料として、蛍光材料を用いた有機EL素子よりも、リン光材料を用いた有機EL素子の方が、高効率化が期待できる(例えば、非特許文献1参照)。
発光材料は、通常、ゲスト材料として、ホスト材料とともに用いられる。ゲスト材料とホスト材料とを含む発光層を有する有機EL素子では、正孔と電子との再結合により励起されたホスト材料のエネルギーがゲスト材料に移動する。そのエネルギーによりゲスト材料が励起され、光エネルギーとして放出される。
発光層に用いられるホスト材料は、これまでにも多数報告されている。例えば、ホスト材料として、カルバゾール系化合物などが挙げられる。ホスト材料として一般的に用いられるカルバゾール系化合物としては、下記一般式(10)で示されるCBPがある。また、ホスト材料として、SとTとのエネルギー差が小さい熱活性化遅延蛍光材料を用いることで、高効率化・長寿命化が可能となることが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
Figure 0006883437
有機EL素子の発光材料(ゲスト材料)としては、一般的に、高い外部量子効率が得られるイリジウム錯体が用いられている。しかし、発光材料としてイリジウム錯体を用いた有機EL素子は、発光スペクトルの半値幅が広く、色純度が低い。このため、発光材料としてイリジウム錯体を用いた有機EL素子では、カラーフィルター等を用いて発光スペクトルを先鋭化する必要があり、光の利用効率が低かった。
近年、ディスプレイに用いる有機EL素子として、高色純度発光のものが求められている。例えば、超高精細度テレビジョン(UHDTV)においては、三原色がスペクトル軌跡上に位置した広色域表色系を用いることが、ITU−R勧告BT.2020に規定された(例えば、非特許文献3参照)。
このような背景から、発光スペクトルの半値幅の狭い発光材料が開発されつつある。例えば、非特許文献4には、下記一般式(2−1)で示される白金錯体が記載されている。一般式(2−1)で示される白金錯体によれば、発光スペクトルの半値幅が18nmである高色純度の緑色発光が得られる。
Figure 0006883437
有機ELディスプレイ,株式会社オーム社,pp.83(2011) Org. Electron,14,260(2013) Recommendation ITU−R BT 2020−2(2015) T.Fleetham,Arizona State University,PhD thesis,pp.116−122(2014)
有機EL素子においては、外部量子効率を高くするとともに、発光の色純度を高くすることが要求されている。しかし、従来の有機EL素子は、高い外部量子効率と高色純度の発光とを兼ね備えたものではなかった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、外部量子効率が高く、かつ発光の色純度が高い有機EL素子を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた。その結果、ホスト材料として下記一般式(1)で示される化合物を含み、ゲスト材料として配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体を含む発光層を有する有機EL素子とすればよいことを見出し、本発明を想到した。
すなわち、本発明は、以下の発明に関わる。
〔1〕 2つの電極間に、発光層を含む積層構造が形成され、
前記発光層が、下記一般式(1)で示される化合物と、配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体とを含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0006883437
(式(1)中のRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素原子数2〜12のパーフルオロアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、炭素原子数2〜12のパーフルオロアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、5−テトラゾリル基、SRa(式中のRaは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。)、N(Rb)(式中の二つのRbはそれぞれ、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基からなる群から選択される置換基、二つのRbが結合している原子と一緒になって形成されたヘテロ原子を有していてもよい二環式基または三環式基である。)からなる群から選択される置換基である。)
〔2〕 前記錯体が、下記一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする〔1〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0006883437
(式(2)中のMは配位数が4の金属である。R、R、R、Rはそれぞれ、置換されていてもよい炭素環基または置換されていてもよい複素環基である。LはRとRとを連結する連結基であり、LはRとRとを連結する連結基であり、LはRとRとを連結する連結基である。)
〔3〕 一般式(1)で示される化合物が、下記一般式(1−2)で示される化合物であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0006883437
〔4〕 一般式(2)で示される化合物が、下記一般式(2−1)〜(2−15)で示されるいずれかの化合物であることを特徴とする〔2〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 0006883437
〔5〕 一般式(2)で示される化合物が、一般式(2−1)で示される化合物または一般式(2−3)で示される化合物であることを特徴とする〔4〕に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
本発明の有機EL素子は、発光層が、ホスト材料として機能する一般式(1)で示される化合物と、ゲスト材料として機能する配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体とを含む。このため、本発明の有機EL素子は、外部量子効率が高く、かつ発光スペクトルの半値幅が狭く、発光の色純度が高い。
本実施形態の有機EL素子の一例を説明するための断面模式図である。 実施例1の薄膜と比較例1の薄膜における発光スペクトルを示すグラフである。 実施例2及び比較例2の有機EL素子における電流密度と外部量子効率との関係を示したグラフである。 実施例3及び比較例3の有機EL素子における電流密度と外部量子効率との関係を示したグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者は、上記課題を解決し、外部量子効率が高く、かつ発光の色純度が高い有機EL素子を実現するために、発光層の材料に着目して、以下に示すように、鋭意検討を重ねた。
有機EL素子の発光層の特性は、発光材料(ゲスト材料)だけでなく、ゲスト材料とともに使用するホスト材料の種類によって大きく異なる。したがって、例えば、発光層のゲスト材料として高色純度の緑色発光が得られる一般式(2−1)で示される白金錯体を用いたとしても、ホスト材料の種類によっては色純度の高い発光は得られない。また、発光層のゲスト材料として一般式(2−1)で示される白金錯体を用いた場合に、高い外部量子効率が得られるホスト材料は知られていなかった。
そこで、本発明者は鋭意検討を重ねた。その結果、発光層のホスト材料として一般式(1)で示される化合物を用い、ゲスト材料として配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体を用いればよいことを見出し、本発明を想到した。
一般式(1)で示される化合物は、エネルギーギャップが小さく、なおかつゲスト材料よりも大きいTエネルギーを有するので、配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体とともに用いることで、高い外部量子効率が得られるものと推定される。また、配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体は安定である。そのため、発光層が、配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体を含むことにより、分子の振動に伴う光の放射が抑えられ、発光スペクトルの半値幅が狭く、高色純度の発光が得られるものと推定される。
「有機EL素子」
図1は、本実施形態の有機EL素子の一例を説明するための断面模式図である。図1に示す本実施形態の有機EL素子1は、陽極9(電極)と陰極3(電極)との間に、発光層6を含む積層構造が形成されているものである。
本実施形態の有機EL素子1における積層構造は、正孔注入層8と、正孔輸送層7と、発光層6と、電子輸送層5と、電子注入層4とがこの順に形成されたものである。
図1に示す有機EL素子1は、基板2と反対側に光を取り出すトップエミッション型のものであってもよいし、基板2側に光を取り出すボトムエミッション型のものであってもよい。
(基板)
基板2の材料としては、樹脂材料、ガラス材料等が挙げられる。基板2の材料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
基板2に用いられる樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等が挙げられる。基板2の材料として、樹脂材料を用いた場合、柔軟性に優れた有機EL素子1が得られるため好ましい。
基板2に用いられるガラス材料としては、石英ガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)等が挙げられる。
有機EL素子1がボトムエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明基板を用いる。
有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明基板だけでなく、不透明基板を用いてもよい。不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料からなる基板、ステンレス鋼のような金属板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成した基板、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
(陽極)
陽極9は、正孔注入層8または正孔輸送層7に正孔を注入する。このため、陽極9の材料としては、仕事関数が比較的大きい各種金属材料や、各種合金等が用いられる。陽極9の材料としては、例えば、金、ヨウ化銅、酸化スズ、アルミニウムドープの酸化亜鉛(ZnO:Al)、インジウム酸化スズ(ITO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、フッ素酸化スズ(FTO)等が挙げられる。これらの中でも、透明性や仕事関数の観点から、陽極9の材料として、ITO、IZO、FTOが好ましい。
有機EL素子1がボトムエミッション型のものである場合、陽極9の材料として、透明導電材料が用いられる。
有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合、陽極9の材料として、透明導電材料だけでなく、不透明材料を用いてもよく、反射性の材料を用いてもよい。
(正孔注入層)
正孔注入層8に用いられる材料は、陽極9の仕事関数と正孔輸送層7のイオン化ポテンシャル(IP)との関係、電荷輸送特性等の観点に応じて選ばれる。正孔注入層8の材料は、適切なIPと電荷輸送特性を有する化合物であればよく、低分子、高分子問わず、各種の有機化合物、無機化合物を選択して用いることができる。正孔注入層8の材料は、1種のみであってもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
正孔注入層8に用いられる無機化合物としては、例えば、モリブデン酸化物(MoOx)、酸化バナジウム(V)等が挙げられる。無機化合物は、有機化合物と比較して安定である。このため、正孔注入層8に無機化合物を用いた場合、有機化合物を用いた場合と比較して、酸素や水に対する高い耐性が得られやすい。
正孔注入層8に用いられる有機化合物としては、例えば、下記一般式(8−1)〜(8−19)で示される化合物が挙げられる。一般式(8−1)〜(8−19)で示される化合物の中でも、一般式(8−11)で示されるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)、一般式(8−19)で示されるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、一般式(8−4)で示される銅フタロシアニン(CuPc)が好ましく、特に、一般式(8−19)で示されるPEDOTが好ましい。
Figure 0006883437
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(正孔輸送層)
正孔輸送層7に用いられる材料としては、例えば、HTEB−2(関東化学株式会社製)、HTEB−4(関東化学株式会社製)及び下記一般式(7−1)〜(7−35)で示される化合物が挙げられる。一般式(7−1)〜(7−35)で示される化合物の中でも特に、一般式(7−1)で示されるα−NPDと、バンドギャップが大きく、電気的安定性・熱的安定性に優れる一般式(7−35)で示される化合物とを組み合わせて用いることが好ましい。
正孔輸送層7の材料は、1種のみであってもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、正孔輸送層7は、1層のみで形成されていてもよいし、2層以上積層して形成されたものであってもよい。例えば、正孔輸送層7は、発光層6側に配置したHTEB−4(関東化学株式会社製)からなる層と、正孔注入層8側に配置した一般式(7−1)で示されるα−NPDからなる層とを積層したものとすることができる。
Figure 0006883437
Figure 0006883437
Figure 0006883437
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(発光層)
本実施形態の有機EL素子1に含まれる発光層6は、電荷輸送および電荷再結合を行うホスト材料と、発光材料であるゲスト材料とを含む。
「ホスト材料」
本実施形態では、ホスト材料として、一般式(1)で表わされる化合物を含む。一般式(1)で表わされる化合物は、1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
Figure 0006883437
(式(1)中のRはそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素原子数2〜12のパーフルオロアルキル基、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、炭素原子数2〜12のパーフルオロアルコキシ基、炭素原子数1〜20のアルキルスルホニル基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、炭素原子数1〜20のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、5−テトラゾリル基、SRa(式中のRaは、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基または置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。)、N(Rb)(式中の二つのRbはそれぞれ、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基からなる群から選択される置換基、二つのRbが結合している原子と一緒になって形成されたヘテロ原子を有していてもよい二環式基または三環式基である。)からなる群から選択される置換基である。)
式(1)中のRは、全て同じであってもよいし、一部または全部がそれぞれ異なっていてもよい。
一般式(1)で示される化合物としては、特に下記一般式(1−2)で示される化合物が好ましい。一般式(1−2)で示される化合物は、一重項励起状態(S)と三重項励起状態(T)とのエネルギー差が小さく、かつエネルギーギャップが小さいため、外部量子効率が高い有機EL素子1が得られやすく、好ましい。
Figure 0006883437
「ゲスト材料」
ゲスト材料としては、配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体を含む。配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体は、1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
ゲスト材料としては、蛍光材料および/またはリン光材料を用いる。ゲスト材料がリン光材料である場合、ゲスト材料のTエネルギーは、ホスト材料のTエネルギーよりも小さいことが好ましい。
ゲスト材料は、ホスト材料からのエネルギー移動を有効に行うために、ホスト材料の発光波長と重なる吸収波長を有することが好ましい。
配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体は、下記一般式(2)で示される化合物であることが好ましい。一般式(2)で示される化合物は、四座配位子が、金属を囲むように略同一平面上に配置された4つの環状構造を有する基と、隣接する環状構造を有する基の間のうちの3箇所をそれぞれ連結する連結基とを有する。このため、一般式(2)で示される化合物は、安定であり、分子の振動に伴う光の放射が効果的に抑制され、発光スペクトルの半値幅が狭く、高色純度の発光が得られるものと推定される。
Figure 0006883437
(式(2)中のMは配位数が4の金属である。R、R、R、Rはそれぞれ、置換されていてもよい炭素環基または置換されていてもよい複素環基である。LはRとRとを連結する連結基であり、LはRとRとを連結する連結基であり、LはRとRとを連結する連結基である。)
一般式(2)で示される化合物におけるMは、配位数が4の金属であればよく、例えば、Pt、Pd、Cuなどが挙げられ、PtまたはPdが好ましく、特にPtが好ましい。
一般式(2)で示される化合物におけるR、R、R、Rはそれぞれ、置換されていてもよい炭素環基または置換されていてもよい複素環基である。R、R、R、Rとしての炭素環基または複素環基は、より一層、光の放射に伴う分子の振動が抑えられる化合物となるため、5員環または6員環であることが好ましい。式(2)中のR、R、R、Rは、全て同じであってもよいし、一部または全部がそれぞれ異なっていてもよい。
一般式(2)で示される化合物におけるL、L、Lは、隣接する環状構造を有する基(R、R、R、R)の間を連結するものであればよく、例えば、隣接する環状構造を有する基を形成している原子とともに形成された環構造であってもよいし、隣接する環状構造を有する基を形成している原子間の単結合であってもよいし、エーテル結合であってもよい。式(2)中のL、L、Lは、全て同じであってもよいし、一部または全部がそれぞれ異なっていてもよい。
一般式(2)で示される化合物は、下記一般式(2−1)〜(2−15)で示されるいずれかの化合物であることが好ましく、これらの中でも特に、高色純度発光が得られやすいため、一般式(2−1)で示される化合物、一般式(2−3)で示される化合物であることが好ましい。
Figure 0006883437
ホスト材料として、一般式(1)で表わされる化合物を用い、ゲスト材料として一般式(2)で示される化合物を用いる場合、ホスト材料中のゲスト材料の含有量は、3〜10重量%であることが好ましい。ゲスト材料の含有量が上記範囲であると、ホスト材料からゲスト材料へのエネルギー移動が効率的に起こり、なおかつゲスト濃度増加による三重項−三重項消滅(TTA)による効率低下を防ぐことができる。このため、有機EL素子1の発光効率が良好となる。
本実施形態の有機EL素子1に含まれる発光層6は、一般式(1)で表わされる化合物と、配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体を含むものであり、一般式(1)で表わされる化合物と上記錯体のみで形成されていてもよいし、一般式(1)で表わされる化合物と上記錯体の他に、必要に応じて従来公知の材料を含有していてもよい。
(電子輸送層)
適切な最低未占有分子軌道(LUMO)レベルを有する電子輸送層5を、陰極3または電子注入層4と発光層6との間に設けると、陰極3または電子注入層4から電子輸送層5への電子注入障壁が緩和され、電子輸送層5から発光層6への電子注入障壁が緩和される。また、電子輸送層5に用いられる材料が適切な最高被占有分子軌道(HOMO)レベルを有する場合、発光層6で再結合せずに対極へ流出する正孔が阻止される。その結果、発光層6内に正孔が閉じ込められて、発光層6内での再結合効率が高められる。
電子輸送層5は、電子注入障壁が問題とならず、発光層6の電子輸送能が十分に高い場合には、省略される場合がある。
電子輸送層5に用いられる材料としては、例えば、下記一般式(5−1)〜(5−28)で示される化合物が挙げられる。一般式(5−1)〜(5−28)で示される化合物の中でも特に、一般式(5−4)で示されるTPBiが好ましい。
Figure 0006883437
Figure 0006883437
Figure 0006883437
(電子注入層)
電子注入層4に用いられる材料は、陰極3の仕事関数と電子輸送層5のLUMOレベル等の観点から選ばれる。電子注入層4に用いられる材料は、電子輸送層5を設けない場合には、発光層6のゲスト材料およびホスト材料のLUMOレベルを考慮して選ばれる。
電子注入層4に用いられる材料は、有機化合物でもよいし、無機化合物でもよい。電子注入層4が、無機化合物からなるものである場合には、例えば、アルカリ金属や、アルカリ土類金属の他、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、炭酸セシウム等を用いることができ、フッ化リチウムを用いることが好ましい。
(陰極)
陰極3は、電子注入層4または電子輸送層5に電子を注入する。このため、陰極3の材料としては、仕事関数の比較的小さな各種金属材料、各種合金等が用いられる。陰極3の材料としては、例えば、アルミニウム、銀、マグネシウム、カルシウム、金、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、マグネシウムインジウム合金(MgIn)、銀合金等が挙げられる。
有機EL素子1がボトムエミッション型のものである場合、陰極3の材料として、金属からなる不透明電極を用いることができ、反射性の材料を用いてもよい。
有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合、陰極3の材料として、透明導電材料が用いられる。なお、陰極3の材料としてITOを用いた場合、ITOの仕事関数が大きいため、電子注入が困難となる。また、ITO膜は、スパッタ法やイオンビーム蒸着法を用いて成膜するため、成膜時に電子注入層4等にダメージが与えられる可能性がある。このため、陰極3の材料としてITOを用いる場合には、電子注入層4とITOとの間に、マグネシウム層や銅フタロシアニン層を設けることが好ましい。
図1に示す有機EL素子1は、基板2上に、陽極9と、正孔注入層8と、正孔輸送層7と、発光層6と、電子輸送層5と、電子注入層4と、陰極3をこの順に形成することにより製造できる。陽極9、正孔注入層8、正孔輸送層7、発光層6、電子輸送層5、電子注入層4、陰極3の各層の形成方法は、特に限定されず、各層に用いられる材料の特性に合わせて、従来公知の種々の形成方法を適宜用いて形成できる。
具体的には、例えば、陰極3および陽極9を形成する方法として、スパッタ法、真空蒸着法、ゾルゲル法、スプレー熱分解(SPD)法、原子層堆積(ALD)法、気相成膜法、液相成膜法等が挙げられる。
また、電子注入層4、電子輸送層5、発光層6、正孔輸送層7、正孔注入層8の各層を形成する方法として、各層となる有機化合物を含む有機化合物溶液を塗布する塗布法、真空蒸着法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra−dilute Solution)法などが挙げられる。これらの形成方法の中でも特に、塗布法を用いることが好ましい。
また、電子注入層4、電子輸送層5、正孔輸送層7、正孔注入層8のうちいずれかの層が無機材料からなるものである場合、無機材料からなる層は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法等の方法を用いて形成できる。
図1に示す有機EL素子1は、陽極9と陰極3との間に、発光層6を含む積層構造が形成され、発光層6が一般式(1)で示される化合物と、配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体とを含む。このため、本実施形態の有機EL素子1は、外部量子効率が高い。また、本実施形態の有機EL素子1は、発光スペクトルの半値幅が狭く、発光の色純度が高い。
「他の例」
本発明の有機EL素子は、上述した実施形態において説明した有機EL素子に限定されるものではない。
具体的には、上述した実施形態においては、基板2と発光層6との間に陽極9が配置された順構造の有機EL素子1を例に挙げて説明したが、本発明の有機EL素子は、基板と発光層との間に陰極が配置された逆構造のものであってもよい。
また、図1に示す有機EL素子1においては、電子注入層4、電子輸送層5、正孔輸送層7、正孔注入層8は、必要に応じて形成すればよく、設けられていなくてもよい。
また、陰極3、電子注入層4、電子輸送層5、発光層6、正孔輸送層7、正孔注入層8、陽極9の各層は、1層で形成されているものであってもよいし、2層以上からなるものであってもよい。
また、図1に示す有機EL素子1は、図1に示す陽極9、正孔注入層8、正孔輸送層7、発光層6、電子輸送層5、電子注入層4、陰極3の各層の間に、他の層を有するものであってもよい。具体的には、有機EL素子の特性をさらに向上させる等の理由から、必要に応じて、電子阻止層などを有していてもよい。
以下、本発明の実施例および比較例について説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
(実験1)
「実施例1」
石英基板上に真空蒸着により、一般式(1−2)で示される化合物中に、一般式(2−1)で示される化合物を1重量%含む厚み30nmの薄膜を作製した。
「比較例1」
一般式(1−2)で示される化合物に代えて、一般式(11)で示される化合物としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の薄膜を作製した。
Figure 0006883437
実施例1および比較例1で得られた薄膜について、それぞれHORIBA社製のFluoroMax−4を用い、波長350nmの励起光源を用いて、300Kにおける発光スペクトルを測定した。その結果を図2に示す。
図2に示すように、実施例1の薄膜の発光スペクトルは、比較例1の薄膜と比較して560nm付近にみられるピークの発光強度が小さく、発光の色純度が高いことが確認できた。
(実験2)
「実施例2」
以下に示す材料を用いて、以下に示す方法により、実施例2の有機EL素子を作製した。
基板の陽極上に、真空蒸着法により、正孔注入層と、第2正孔輸送層と、第1正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層と、電子注入層と、陰極とを、この順に形成し、実施例の有機EL素子を作製した。
(基板、陽極)ITO(酸化インジウムスズ)からなる幅3mmにパターニングされた電極(陽極)を有する平均厚さ0.7mmの市販の透明ガラス基板。
(正孔注入層)PEDOT(Clevios HIL1.5)(厚み30nm)
(正孔輸送層)「第1正孔輸送層」HTEB−4(関東化学株式会社製)(厚み10nm)「第2正孔輸送層」α−NPD(厚み20nm)
(発光層)一般式(1−2)で示される化合物をホスト材料として用い、ホスト材料中にゲスト材料として一般式(2−1)で示される化合物を6重量%含む(厚み25nm)
(電子輸送層)TPBi(厚み35nm)
(電子注入層)LiF膜(厚み0.8nm)
(陰極)Al膜(厚み100nm)
「比較例2」
発光層のホスト材料に使用した化合物を、一般式(10)で示されるCBPとしたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例2の有機EL素子を作製した。
得られた実施例2および比較例2の有機EL素子について、それぞれケースレー社製の「2400型ソースメーター」を用いて電圧を印加し、コニカミノルタ社製の「LS−100」を用いて電流密度と外部量子効率の関係を調べた。その結果を図3に示す。
図3に示すように、実施例2の有機EL素子では、比較例2の有機EL素子と比較して、外部量子効率が高かった。
「実施例3」
発光層のゲスト材料に使用した化合物を、一般式(2−3)で示される化合物としたこと以外は、実施例2と同様にして、有機EL素子を作製した。
「比較例3」
発光層のホスト材料に使用した化合物を、一般式(10)で示されるCBPとしたこと以外は、実施例3と同様にして、比較例3の有機EL素子を作製した。
得られた実施例3および比較例3の有機EL素子について、実施例2および比較例2の有機EL素子と同様にして、電流密度と外部量子効率の関係を調べた。その結果を図4に示す。
図4に示すように、実施例3の有機EL素子では、比較例3の有機EL素子と比較して、外部量子効率が高かった。
実施例2、3および比較例2、3の有機EL素子について、それぞれ電流密度1mA/cm時の外部量子効率を測定した結果を、表1に示す。
また、実施例2、3および比較例2、3の有機EL素子において、発光層に使用したホスト材料の三重項励起状態(T)エネルギーとエネルギーギャップとを表1に示す。
Figure 0006883437
表1に示すように、実施例2、3および比較例2、3におけるホスト材料のTエネルギーに差は見られなかった。
また、表1に示すように、実施例2の有機EL素子では、比較例2の有機EL素子と比較して、外部量子効率が高かった。また、実施例3の有機EL素子では、比較例3の有機EL素子と比較して、外部量子効率が高かった。これは、実施例2、3におけるエネルギーギャップが比較例2、3と比較して小さいため、発光層への電荷注入が効率的に行われたことによるものであると推定される。
1…有機EL素子、2…基板、3…陰極、4…電子注入層、5…電子輸送層、6…発光層、7…正孔輸送層、8…正孔注入層、9…陽極。

Claims (2)

  1. 2つの電極間に、発光層を含む積層構造が形成され、
    前記発光層が、下記一般式(1−2)で示される化合物と、配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体とを含み、前記錯体が、下記一般式(2−1)で示される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0006883437
  2. 2つの電極間に、発光層を含む積層構造が形成され、
    前記発光層が、下記一般式(1−2)で示される化合物と、配位数が4の金属に平面状の四座配位子が結合した錯体とを含み、前記錯体が、下記一般式(2−3)で示される化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0006883437
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