JP2019172633A - 芳香族化合物、電気化学デバイス、有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

芳香族化合物、電気化学デバイス、有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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有希子 岩崎
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弘彦 深川
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Abstract

【課題】発光効率が高く、駆動電圧の低い有機EL素子などの電気化学デバイスを実現できる、発光層のホスト材料として特に有効な芳香族化合物を提供する。【解決手段】陽極9と陰極3の間に発光層6を含む積層構造が形成され、発光層6が一般式(1)で示される芳香族化合物を含む、有機EL素子1。【選択図】図1

Description

本発明は、特定の置換基を有するカルバゾール基と芳香族炭化水素基または芳香族複素環基とがベンゼン環のオルト位に置換された芳香族化合物、それを含む有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」とも記す。)素子や有機発光ダイオードなどの有機発光素子、有機薄膜トランジスタ、有機薄膜太陽電池などの電気化学デバイスに関する。
従来、有機EL素子や有機発光ダイオードなどの有機発光素子に用いる発光材料および有機半導体材料として、α−NPD、Alq3などが用いられてきた(非特許文献1参照)。有機EL素子は、通常、透明基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極がこの順に積層されることにより構成されており、高効率化するために、発光層の発光材料としてリン光材料を用いることが提案されている。
発光材料は、エネルギーを得て電子的励起状態となるとき、一重項励起状態(S)と三重項励起状態(T)を1:3の確率で生成し、発光材料が電子的励起状態から基底状態に戻る際に光としてエネルギーを放出する。発光材料として蛍光材料を用いた場合、Sからのエネルギーしか光に変換されないが、リン光材料を用いた場合、Sからのエネルギーだけでなく、Tからのエネルギーも光に変換される。このため、発光材料として、蛍光材料を用いた有機EL素子よりも、リン光材料を用いた有機EL素子の方が、高効率化が期待できる(例えば、非特許文献2、3参照)。
リン光材料は、通常、ゲスト材料として、ホスト材料とともに用いられる。ホスト材料とリン光材料(ゲスト材料)とを含む発光層を有する有機EL素子では、正孔と電子との再結合により励起されたホスト材料のエネルギーがリン光材料に移動する。そのエネルギーによりリン光材料が励起され、光エネルギーが放出される。ホスト材料からリン光材料への効率的なエネルギー移動を可能とするためには、ホスト材料のTエネルギーを、リン光材料のTエネルギーよりも大きくすることが有効である(例えば、非特許文献4参照)。
発光層に用いられるホスト材料としては、4,4’−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)などのカルバゾール系化合物が知られている。
有機ELディスプレイ,株式会社オーム社,pp.101〜105(2011) 有機ELディスプレイ,株式会社オーム社,pp.83(2011) Org. Electron,14,260(2013) Appl.Phys.Lett.,83,569(2003)
有機EL素子においては、発光効率を確保しつつ、駆動電圧を低くすることが要求される。しかし、CBPなどの従来のホスト材料を発光層に用いた有機EL素子では、電極から発光層への正孔および電子の移動におけるエネルギー障壁が大きいため、十分に駆動電圧を低くすることができない。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、発光効率が高く、駆動電圧の低い有機EL素子を実現できる、発光層のホスト材料として特に有効な芳香族化合物、それを用いた電気化学デバイス、有機EL素子を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた。その結果、有機EL素子の2つの電極間に形成された発光層のホスト材料として特に有効な化合物として、正孔輸送性および電子輸送性に寄与する下記一般式(1)で示される芳香族化合物を想到した。
下記一般式(1)で示される芳香族化合物は、SとTのエネルギー差が小さく、一般的なホスト材料であるCBPと同程度のTエネルギーを有しているため、CBPに比べてエネルギーギャップが小さい。有機EL素子の発光層のホスト材料として用いた際には、正孔輸送層から発光層への正孔移動、または電子輸送層から発光層への電子移動におけるエネルギー障壁が小さくなるため、駆動電圧を下げることができる。また、下記一般式(1)で示される芳香族化合物は、カルバゾール骨格が正孔輸送性、1,3,5−トリアジン骨格などのXからなる6員環が電子輸送性に寄与しており、正孔輸送性と電子輸送性の両方を兼ね備えている。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]下記一般式(1)で示される芳香族化合物。
Figure 2019172633
(ただし、一般式(1)中のXは、それぞれ独立にN、C−HまたはC−Arを示し、少なくとも1つはNである。Arは、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは未置換の芳香族複素環基を示す。Xは、1つまたは2つが下記一般式(1a−1)〜(1a−5)で示される基であり、残りがそれぞれ独立に水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは未置換の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および、置換もしくは未置換の炭素数3〜30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される置換基である。一般式(1)および一般式(1a−1)〜(1a−5)中のRは、それぞれ独立に水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは未置換の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および、置換もしくは未置換の炭素数3〜30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される置換基であり、隣り合う置換基は一体となって環を形成していてもよい。一般式(1a−1)〜(1a−5)中のRは、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基を示す。一般式(1a−1)〜(1a−5)中の−*は、Xが結合しているカルバゾール環の炭素原子と結合する結合子を示す。)
Figure 2019172633
[2]下記一般式(2)で示される芳香族化合物。
Figure 2019172633
(ただし、一般式(2)中のRは、それぞれ独立に水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは未置換の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および、置換もしくは未置換の炭素数3〜30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される置換基である。)
[3]下記一般式(2−1)で示される芳香族化合物。
Figure 2019172633
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の芳香族化合物を含む電気化学デバイス。
[5]有機発光素子、有機薄膜トランジスタまたは有機薄膜太陽電池である、[4]に記載の電気化学デバイス。
[6]2つの電極間に発光層を含む積層構造が形成され、
前記発光層が、[1]〜[3]のいずれかに記載の芳香族化合物を含む、有機EL素子。
本発明の芳香族化合物を発光層のホスト材料として用いれば、発光効率が高く、駆動電圧の低い有機EL素子を実現できる。有機発光ダイオードなどの有機EL素子以外の有機発光素子、有機薄膜トランジスタ、有機薄膜太陽電池などの特性に優れた電気化学デバイスを得ることもできる。
本実施形態の有機EL素子の一例を説明するための断面模式図である。 実施例2において実験1で形成した薄膜の300Kおよび10Kにおける発光スペクトルを測定した結果を示したグラフである。 実施例2において実験2で形成した薄膜の300Kおよび77Kにおける発光スペクトルを測定した結果を示したグラフである。 実施例3および比較例1の有機EL素子における印加電圧と輝度との関係を示したグラフである。 実施例3および比較例1の有機EL素子における電流密度と電力効率との関係を示したグラフである。
<芳香族化合物>
本発明の芳香族化合物は、下記一般式(1)で示される芳香族化合物である。以下、一般式(1)で示される化合物を「化合物(1)」とも記す。他の一般式で示される化合物も同様に記す。
Figure 2019172633
ただし、一般式(1)中のXは、それぞれ独立にN、C−HまたはC−Arを示し、少なくとも1つはNである。Arは、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは未置換の芳香族複素環基を示す。
は、1つまたは2つが下記一般式(1a−1)〜(1a−5)で示される基であり、残りがそれぞれ独立に水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは未置換の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および、置換もしくは未置換の炭素数3〜30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される置換基である。
は、それぞれ独立に水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは未置換の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および、置換もしくは未置換の炭素数3〜30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される置換基であり、隣り合う置換基は一体となって環を形成していてもよい。
Figure 2019172633
ただし、一般式(1a−1)〜(1a−5)中のRは、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基を示し、Rは、一般式(1)中のRと同じである。
−*は、Xが結合しているカルバゾール環の炭素原子と結合する結合子を示す。
化合物(1)中のカルバゾール環構造を含む骨格は、正孔輸送性を示す。一般式(1a−1)〜(1a−5)で示される基のようなカルバゾール基はすべて正孔輸送性に寄与し、また結合位置によらず同等の正孔輸送性を示す。
化合物(1)中のXからなる6員環は、電子輸送性を示す。
一般式(1)における8つのXのうち2つが一般式(1a−1)〜(1a−5)で示される基である場合、それら2つの基は、Xが結合しているカルバゾール環中の別のベンゼン環にそれぞれ結合していることが好ましい。
一般式(1a−1)〜(1a−5)で示される基でないXとしては、化合物(1)の合成の容易性の点から、水素原子が好ましい。
Arの置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基としては、フェニル、シクロペンタジエン、ナフタレン、フェナントレンあるいはこれらから誘導される基などが挙げられる。
Arの置換もしくは未置換の芳香族複素環基としては、1,2,5−チアジアゾール、ピリジン、ピリミジン、イミダゾールあるいはこれらから誘導される基などが挙げられる。
6つのXのうちの3つがNであり、3つがC−Arであって、NとC−Arが交互に配置されている基が好ましい。この場合の3つのC−ArのArは、フェニル基が好ましい。
一般式(1)中のRとしては、化合物(1)の合成の容易性の観点から、水素原子が好ましい。
一般式(1a−1)〜(1a−5)中のRとしては、化合物(1)の合成の容易性の観点から、水素原子が好ましい。
化合物(1)としては、下記の化合物(2)が好ましい。
Figure 2019172633
ただし、一般式(2)中のRは、それぞれ独立に水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは未置換の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および、置換もしくは未置換の炭素数3〜30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される置換基である。
一般式(2)中のRとしては、水素原子が好ましい。すなわち、化合物(2)としては、下記の化合物(2−1)が好ましい。化合物(2−1)は、SとTとのエネルギー差が小さく、かつエネルギーギャップが小さいため、駆動電圧が低く外部量子効率が高い有機EL素子が得られやすい。
Figure 2019172633
化合物(2)以外の化合物(1)の具体例としては、例えば、下記の化合物(1−1)〜(1−5)が挙げられる。
Figure 2019172633
<電気化学デバイス>
本発明の電気化学デバイスは、本発明の化合物(1)を含む。本発明の電気化学デバイスは、本発明の化合物(1)を含む以外は、公知の態様を採用できる。
電気化学デバイスとしては、有機EL素子や有機発光ダイオードなどの有機発光素子、有機薄膜トランジスタ、有機薄膜太陽電池などが挙げられる。本発明の化合物(1)は、有機EL素子の発光層のホスト材料として特に有効である。
[有機EL素子]
本発明の有機EL素子は、2つの電極間に発光層を含む積層構造が形成され、発光層が化合物(1)を含む。本発明の有機EL素子は、発光層が化合物(1)を含む以外は、公知の態様を採用できる。
本発明の有機EL素子としては、例えば、図1に例示した有機EL素子1が挙げられる。なお、図1の寸法などは一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
有機EL素子1は、基板2上に、陽極(電極)9、正孔注入層8、正孔輸送層7、発光層6、電子輸送層5、電子注入層4、および陰極(電極)3がこの順に積層された積層体である。このように、有機EL素子1では、陽極9と陰極3の間に発光層6を含む積層構造が形成されている。
有機EL素子1は、基板2と反対側に光を取り出すトップエミッション型であってもよく、基板2側に光を取り出すボトムエミッション型であってもよい。
(基板)
基板の材料としては、樹脂材料、ガラス材料などが挙げられる。基板の材料は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。基板の材料としては、柔軟性に優れた有機EL素子が得られる観点から、樹脂材料が好ましい。
基板に用いられる樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレートなどが挙げられる。
基板に用いられるガラス材料としては、石英ガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)などが挙げられる。
ボトムエミッション型の有機EL素子の場合には、基板として透明基板を用いる。トップエミッション型の有機EL素子の場合は、透明基板を用いてもよく、不透明基板を用いてもよい。
不透明基板としては、アルミナなどのセラミックス材料からなる基板、ステンレス鋼のような金属板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成した基板、樹脂材料で構成された基板などが挙げられる。
(陽極)
陽極は、正孔注入層または正孔輸送層に正孔を注入する。そのため、陽極の材料としては、仕事関数が比較的大きい各種金属材料や、各種合金などが用いられる。
陽極の材料としては、金、ヨウ化銅、酸化スズ、アルミニウムドープの酸化亜鉛(ZnO:Al)、インジウム酸化スズ(ITO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)、フッ素酸化スズ(FTO)などが挙げられる。陽極の材料としては、透明性や仕事関数の観点から、ITO、IZO、FTOが好ましい。
ボトムエミッション型の有機EL素子の場合、陽極の材料として透明導電材料が用いられる。
トップエミッション型の有機EL素子の場合、陽極の材料としては、透明導電材料を用いてもよく、不透明材料を用いてもよく、反射性の材料を用いてもよい。
(正孔注入層)
正孔注入層の材料は、陽極の仕事関数と正孔輸送層のイオン化ポテンシャル(IP)との関係、電荷輸送特性などの観点に応じて選ばれる。正孔注入層の材料は、適切なIPと電荷輸送特性を有する化合物であればよく、低分子、高分子問わず、各種の有機化合物、無機化合物を選択して用いることができる。正孔注入層の材料は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
正孔注入層に用いられる無機化合物としては、モリブデン酸化物(MoOx)、酸化バナジウム(V)などが挙げられる。無機化合物は、有機化合物と比較して安定である。このため、正孔注入層に無機化合物を用いた場合、有機化合物を用いた場合と比較して、酸素や水に対する高い耐性が得られやすい。
正孔注入層に用いられる有機化合物としては、例えば、下記の化合物(8−1)〜(8−19)が挙げられる。これらの化合物の中でも、化合物(8−11)であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)、化合物(8−19)であるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、化合物(8−4)である銅フタロシアニン(CuPc)が好ましく、化合物(8−19)が特に好ましい。
Figure 2019172633
Figure 2019172633
(正孔輸送層)
正孔輸送層に用いられる材料としては、例えば、下記の化合物(7−1)〜(7−37)が挙げられる。これらの化合物の中でも、化合物(7−1)であるα−NPDと、バンドギャップが大きく、電気的安定性および熱的安定性に優れる化合物(7−36)または(7−37)とを組み合わせて用いることが好ましい。また、化合物(1)は正孔輸送性を有しているため、正孔輸送層の材料として用いることもできる。正孔輸送層の材料は、1種のみであってもよく、2種以上であってもよい。
Figure 2019172633
Figure 2019172633
Figure 2019172633
Figure 2019172633
正孔輸送層は、1層のみで形成されていてもよく、2層以上が積層されて形成されていてもよい。2層以上が積層された正孔輸送層としては、例えば、発光層側に配置した化合物(7−37)からなる層と、正孔注入層側に配置した化合物(7−1)からなる層とが積層された正孔輸送層が挙げられる。
(発光層)
発光層は、電荷輸送および電荷再結合を行うホスト材料と、発光材料であるゲスト材料とを含む。本発明の有機EL素子では、発光層のホスト材料として、化合物(1)を用いる。
ゲスト材料としては、蛍光材料およびリン光材料のいずれか一方または両方を用いる。ゲスト材料は、ホスト材料からのエネルギー移動を有効に行うために、ホスト材料の発光波長と重なる吸収波長を有することが好ましい。
ゲスト材料がリン光材料である場合、ゲスト材料のTエネルギーは、ホスト材料のTエネルギーよりも小さいことが好ましい。
ゲスト材料として用いられるリン光材料としては、例えば、下記の化合物(6−1)〜(6−29)が挙げられる。本発明ではホスト材料として化合物(1)を用いるため、リン光材料としては、化合物(6−2)であるIr(mppy)などの緑色発光のものが好ましい。
Figure 2019172633
Figure 2019172633
Ir(mppy)は、化合物(1)よりもTエネルギーが小さい。このため、ホスト材料として化合物(1)を用い、ゲスト材料としてIr(mppy)を用いた場合、ホスト材料からゲスト材料への効率的なエネルギー移動が起こる。その結果、駆動電圧がより低い有機EL素子となる。また、Ir(mppy)は化合物(1)の発光波長と重なる吸収波長を有するため、発光効率の高い有機EL素子となる。
ホスト材料中のゲスト材料の含有量は適宜設定できる。
ホスト材料として化合物(1)を用い、ゲスト材料としてIr(mppy)を用いる場合、ホスト材料中のゲスト材料の含有量は、ホスト材料の総質量に対して、1〜6質量%が好ましい。ゲスト材料の含有量が上記範囲であると、ホスト材料からゲスト材料へのエネルギー移動が効率的に起こり、なおかつゲスト濃度増加による三重項−三重項消滅(TTA)による効率低下を抑制しやすい。そのため、有機EL素子の発光効率がより良好となる。
ゲスト材料として用いられる蛍光材料としては、例えば、下記の化合物(6−30)〜(6−51)が挙げられる。
Figure 2019172633
Figure 2019172633
(電子輸送層)
適切な最低未占有分子軌道(LUMO)レベルを有する電子輸送層を、陰極または電子注入層と発光層との間に設けると、陰極または電子注入層から電子輸送層への電子注入障壁が緩和され、電子輸送層から発光層への電子注入障壁が緩和される。また、電子輸送層に用いられる材料が適切な最高被占有分子軌道(HOMO)レベルを有する場合、正孔が発光層で再結合せずに対極へ流出することが阻止される。その結果、発光層内に正孔が閉じ込められて、発光層内での再結合効率が高められる。
電子輸送層は、電子注入障壁が問題とならず、発光層の電子輸送能が十分に高い場合には、省略される場合がある。
電子輸送層に用いられる材料としては、例えば、下記の化合物(5−1)〜(5−28)が挙げられる。これらの化合物の中でも、化合物(5−4)であるTPBiが好ましい。化合物(1)は電子輸送性を有しているため、電子輸送層に用いることもできる。
Figure 2019172633
Figure 2019172633
Figure 2019172633
(電子注入層)
電子注入層に用いられる材料は、陰極の仕事関数と電子輸送層のLUMOレベルなどの観点から選ばれる。電子注入層に用いられる材料は、電子輸送層を設けない場合には、発光層のゲスト材料およびホスト材料のLUMOレベルを考慮して選ばれる。
電子注入層に用いられる材料は、有機化合物でもよく、無機化合物でもよい。
電子注入層が無機化合物からなるものである場合、アルカリ金属や、アルカリ土類金属の他、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、炭酸セシウムなどを用いることができ、フッ化リチウムが好ましい。
(陰極)
陰極は、電子注入層または電子輸送層に電子を注入する。このため、陰極の材料としては、仕事関数の比較的小さな各種金属材料、各種合金などが用いられる。
陰極の材料としては、アルミニウム、銀、マグネシウム、カルシウム、金、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、マグネシウムインジウム合金(MgIn)、銀合金などが挙げられる。
ボトムエミッション型の有機EL素子の場合、陰極としては、金属からなる不透明電極を用いてもよく、反射性の材料を用いてもよい。
トップエミッション型の有機EL素子の場合、陰極の材料として、透明導電材料が用いられる。なお、陰極の材料としてITOを用いた場合、ITOの仕事関数が大きいため、電子注入が困難となる。また、ITO膜は、スパッタ法やイオンビーム蒸着法を用いて成膜するため、成膜時に電子注入層などにダメージを与える可能性がある。このため、陰極の材料としてITOを用いる場合には、電子注入層とITO膜との間に、マグネシウム層や銅フタロシアニン層を設けることが好ましい。
有機EL素子の製造方法は、特に限定されない。例えば、有機EL素子1は、基板2上に、陽極9、正孔注入層8、正孔輸送層7、発光層6、電子輸送層5、電子注入層4、および陰極3をこの順に形成することにより製造できる。
陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極の各層の形成方法は、特に限定されず、各層に用いられる材料の特性に合わせて公知の方法から適宜選択できる。
陰極および陽極を形成する方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、ゾルゲル法、スプレー熱分解(SPD)法、原子層堆積(ALD)法、気相成膜法、液相成膜法などが挙げられる。
電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層を有機化合物で形成する場合、各層の形成方法としては、各層の材料である有機化合物を含む有機化合物溶液を塗布する塗布法、真空蒸着法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra−dilute Solution)法などが挙げられる。これらの形成方法の中でも、塗布法が好ましい。
電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層を無機化合物で形成する場合、各層の形成方法としては、スパッタ法、真空蒸着法などが挙げられる。
上述したように、従来の有機EL素子で発光層のホスト材料として一般に用いられているCBPは、正孔輸送性のみを示し、SエネルギーとTエネルギーとの差が大きく、エネルギーギャップが大きい。そのため、CBPを発光層のホスト材料として用いた有機EL素子では、電極から発光層への正孔および電子の移動におけるエネルギー障壁が大きく、駆動電圧が高かった。
これに対して、本発明における化合物(1)は、カルバゾール骨格が正孔輸送性に寄与し、1,3,5−トリアジン骨格などのXからなる6員環が電子輸送性に寄与するため、SエネルギーとTエネルギーとの差が小さい。そのため、化合物(1)を発光層のホスト材料として用いた有機EL素子では、ホスト材料のエネルギーギャップが小さくなるため、電極から発光層への正孔および電子の移動におけるエネルギー障壁が小さくなり、駆動電圧が低くなる。しかも、化合物(1)のTエネルギーはCBPと同等であるため、化合物(1)を発光層のホスト材料として用いた有機EL素子は、ホスト材料としてCBPを用いた場合と同等の高い発光効率が得られる。
このように、2つの電極(陽極と陰極)の間に、化合物(1)が含まれた発光層を含む積層構造が形成されている有機EL素子は、発光効率が高く、また駆動電圧が低く、消費電力が低い。
有機EL素子以外の電気化学デバイスに化合物(1)を用いる場合も、電気特性に優れた電気化学デバイスが得られる。
本発明の電気化学デバイスは、上述した有機EL素子1には限定されない。
有機EL素子における化合物(1)を含む層は、2つの電極間に形成された層であれば、発光層でなくてもよい。例えば、発光層には化合物(1)が含まれず、正孔輸送層または電子輸送層に化合物(1)が含まれている有機EL素子であってもよい。この場合も、電極から発光層への正孔や電子の移動におけるエネルギー障壁が小さくなるため、駆動電圧を低くすることができる。
化合物(1)を発光層のゲスト材料として用いた有機EL素子であってもよく、発光層を化合物(1)のみで形成した有機EL素子であってもよい。
基板と発光層との間に陰極が配置された逆構造の有機EL素子であってもよい。
有機EL素子1において、電子注入層4、電子輸送層5、正孔輸送層7、正孔注入層8のうちのいずれかの層が設けられていない有機EL素子であってもよい。
陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の各層は、1層で形成されていてもよく、2層以上からなる層であってもよい。
有機EL素子1における陽極9、正孔注入層8、正孔輸送層7、発光層6、電子輸送層5、電子注入層4、陰極3の各層の間に他の層を有する有機EL素子であってもよい。他の層としては、例えば、有機EL素子の特性をさらに向上させる目的で形成される電子阻止層が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
100mL反応器に、3−ブロモカルバゾール(5.0g、20.3mmol、1.0eq.)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、50mL)を加えた。冷却バスによる氷浴下、5℃でNaH(60%)(0.89g、22.3mmol、1.1eq.)を何回かに分けて加え、同温で30分間撹拌した。この溶液にベンジルブロミド(2.9mL、24.4mmol、1.2eq.)を約3分間かけて滴下した。滴下後、冷却バスを外し、室温下で1時間撹拌して褐色溶液を得た。この褐色溶液に市水(50mL)を加え、トルエン(25mL)で2度抽出した有機層を合わせ、市水、飽和食塩水で順次洗浄し、乾燥、濃縮して茶褐色の固体(7.2g)を得た。
得られた茶褐色の固体にエタノール(50mL)を加え、懸濁液を80℃で30分間加熱撹拌し、放冷後、固体を濾別し、高真空下で乾燥して無色の固体(5.67g、1晶)を得た。濾液を濃縮し、残渣にエタノール(10mL)を加え、同様の操作を行って無色の固体(1.06g、2晶)を得た。1晶と2晶を合わせて化合物(10−1)(6.73g、20.0mmol、98%)を得た。
Figure 2019172633
100mL反応器に、化合物(10−1)(3.0g、8.92mmol、1.0eq.)、カルバゾール(2.98g、17.8mmol、2.0eq.)、ヨウ化銅(I)(0.51g、2.68mmol、0.3eq.)、N−メチルエチレンジアミン(0.794g、1.07mmol、1.2eq.)、KPO(4.73g、22.3mmol、2.5eq.)、トルエン(50mL)を加え、バス温125℃で18時間加熱撹拌した。撹拌後の懸濁液を濾過し、濾液を濃縮して褐色の固体(8.97g)を得た。これをカラム精製(SiO=220g、ヘキサン/クロロホルム=2/1→3/2)し、無色の固体(3.6g)を得た。これを酢酸エチル(10mL)にて超音波分散洗浄し、濾過し、高真空下で乾燥して無色の固体である化合物(10−2)(3.3g、7.81mmol、87%)を得た。
Figure 2019172633
200mL反応器に、化合物(10−2)(3.3g、7.81mmol、1.0eq)、カリウムtert−ブトキシド(t−BuOK、6.13g、54.6mmol、7.0eq.)、ジメチルスルホキシド(DMSO、6.1g、78.1mmol、10eq.)、テトラヒドロフラン(THF、55mL)を加えた。この溶液を撹拌しながら酸素バブリングを1時間(約10L)行った。得られた橙色の懸濁液に市水(200mL)を加え、5%塩化アンモニウム水溶液で中和し、トルエン(100mL)と酢酸エチル(100mL)で順次抽出した有機層を合わせ、市水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮し、橙褐色の粉末(3.34g)を得た。これをカラム精製(SiO=80g、ヘキサン/クロロホルム=1/1→1/2)し、無色の固体(2.45g)を得た。これをエタノールにて分散洗浄し、高真空下乾燥し、無色の固体である化合物(10−3)(2.01g、6.23mmol、79%)を得た。
Figure 2019172633
100mL反応器に、化合物(10−3)(2.01g、6.23mmol、1.0eq.)、1,2−ジブロモベンゼン(2.94g、12.4mmol、2.0eq.)、ヨウ化銅(I)(0.355g、1.87mmol、0.3eq.)、N−メチルエチレンジアミン(0.55g、7.48mmol、1.2eq.)、KPO(3.3g、15.6mmol、2.5eq.)、トルエン(40mL)を加え、バス温125℃で72時間加熱撹拌した。撹拌後の懸濁液を濾過し、濾液を濃縮し、得られた残渣に(10mL)加え、析出した固体を濾過し、エタノールにて洗浄し、乾燥して褐色の固体(5.1g)を得た。これをカラム精製(SiO=100g、ヘキサン/クロロホルム=2/1→1/1)し、無色の固体(1.9g)を得た。これをエタノール(10mL)にて超音波分散洗浄し、濾過し、高真空下で乾燥して無色の固体である化合物(10−4)(1.75g、3.59mmol、57%)を得た。
Figure 2019172633
100mL反応器に、化合物(10−4)(1.75g、3.59mmol、1.0eq)、THF(25mL)を加え、冷却バスにより−78℃に冷却した。この溶液に、n−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.64moL/L、3.28mL、5.39mmol、1.5eq.)を約3分かけて滴下し、同温で0.5時間撹拌した後、得られた薄黄色の懸濁液にiPrOBpin(1.07g、5.74mmol、1.6eq.)を加えた。同温で0.5時間撹拌した後、冷却バスを外して室温まで昇温させた。この溶液に5%塩化アンモニア水溶液(20mL)加えた後、酢酸エチル(50mL)で2度抽出した有機層を合わせ、市水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮して褐色の粘帖な液体(2.95g)を得た。これをカラム精製(SiO=90g、ヘキサン/トルエン=1/1→1/2)し、無色の液体である化合物(10−5)(1.14g、2.13mmol、59%)を得た。
Figure 2019172633
100mL反応器に、化合物(10−5)(1.14g、2.13mmol、1.0eq)、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(0.856g、3.2mmol、1.5eq.)、Pd(PhP)(74mg、0.0568mmol、0.03eq.)、炭酸ナトリウム(0.68g、6.40mmol、3.0eq.)、トルエン(10mL)、蒸留水(10mL)、エタノール(5mL)を加えた。得られた懸濁液をバス温95℃に昇温し、同温で3時間撹拌した。その後、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos、175mg、0.426mmol、0.2eq.)、酢酸パラジウム(29mg、0.128mmol、0.06eq.)を加え、同温で14時間撹拌した。この懸濁液に再度同量のS−Phosおよび酢酸パラジウム、2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(0.856g、3.2mmol、1.5eq.)加え、同温で18時間撹拌した。この懸濁液をセライトにて濾過し、濾液に5%塩化アンモニウム水溶液(25mL)を加え、トルエン(50mL)にて抽出した有機層を市水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮して褐色の粘帖な液体(3.8g)を得た。これをカラム精製(SiO=120g、ヘキサン/トルエン=2/1→1/1)して薄緑色の液体(1.26g)を得た。これをヘプタン(15mL)/エタノール(5mL)混合液によりバス温95℃で加熱懸濁洗浄し、濾過し、高真空下で乾燥して薄黄緑色の粉末である化合物(2−1)(0.88g、1.37mmol、64%)を得た。
Figure 2019172633
[実施例2]
実施例1で得た化合物(2−1)について、蛍光スペクトルおよびリン光スペクトルを測定してSエネルギーおよびTエネルギーを評価した。
「実験1」
ガラス材料からなる基板上に、真空蒸着法により、化合物(2−1)からなる厚み50nmの薄膜を形成した。形成した薄膜について、HORIBA社製のFluoroMax−4を用い、波長300nmの励起光源を用いて、300Kおよび10Kにおける発光スペクトルを測定した。得られた発光スペクトルを図2に示す。
また、低温(10K)での発光スペクトル測定によりリン光発光を観測し、薄膜のTエネルギーを求めた。なお、低温(10K)での発光スペクトル測定は、蛍光発光成分を除去してリン光スペクトルを観測するために、励起光照射後100msの遅延を設けて測定した。薄膜のTエネルギーを表1に示す。
「実験2」
ガラス材料からなる基板上に、真空蒸着法により、CBP(化合物(11))からなる厚み50nmの薄膜を形成した。形成した薄膜について、実験1と同様にして300Kおよび77Kにおける発光スペクトルを測定し、低温(77K)での発光スペクトル測定によりリン光発光を観測し、薄膜のTエネルギーを求めた。得られた発光スペクトルを図3に示す。薄膜のTエネルギーを表1に示す。
Figure 2019172633
「実験3」
ガラス材料からなる基板上に、真空蒸着法により、Ir(mppy)(化合物(6−2))からなる厚み50nmの薄膜を形成した。形成した薄膜について、実験2と同様にして77Kにおける発光スペクトルを測定し、薄膜のTエネルギーを求めた。薄膜のTエネルギーを表1に示す。
Figure 2019172633
Figure 2019172633
常温(300K)での発光スペクトルは、蛍光発光を示している。したがって、常温(300K)での発光スペクトルから、Sエネルギーに相当する知見が得られる。図2および図3に示すように、化合物(2−1)の蛍光発光はCBPの蛍光発光よりも長波長側にみられ、化合物(2−1)のSエネルギーは、CBPのSエネルギーよりも小さかった。また、表1に示すように、化合物(2−1)のTエネルギーは、CBPのTエネルギーと同程度であった。このように、化合物(2−1)は、CBPよりもエネルギーギャップが小さかった。この結果は、化合物(2−1)は、発光層のホスト材料として、CBPよりも優れていることを示している。
また、表1に示すように、化合物(2−1)のTエネルギーは、一般的な緑色リン光材料であるIr(mppy)のTエネルギーよりも大きかった。この結果は、化合物(2−1)は、発光層のホスト材料に適していることを示している。
[実施例3]
酸化インジウムスズ(ITO)からなる幅3mmにパターニングされた電極(陽極)を有する平均厚さ0.7mmの市販の透明ガラス基板を用い、真空蒸着法により、陽極上に正孔注入層(厚み30nm)、第2正孔輸送層(厚み20nm)、第1正孔輸送層(厚み10nm)、発光層(厚み30nm)、電子輸送層(厚み35nm)、電子注入層(厚み0.8nm)、陰極(厚み100nm)をこの順に形成して有機EL素子を得た。
正孔注入層の材料としてPEDOT(Clevios HIL1.5)を用いた。第1正孔輸送層の材料として化合物(7−36)、第2正孔輸送層の材料としてα−NPDを用いた。発光層の材料として、ホスト材料である化合物(2−1)中にゲスト材料であるIr(mppy)を6質量%含む材料を用いた。電子輸送層の材料としてTPBiを用いた。電子注入層の材料としてフッ化リチウムを用いた。陰極の材料としてAlを用いた。
[比較例1]
発光層のホスト材料を化合物(2−1)からCBP(化合物(11))に変更した以外は、実施例3と同様にして有機EL素子を作製した。
[外部量子効率]
実施例3および比較例1の有機EL素子について、それぞれ電流密度10mA/cmにおける外部量子効率を測定した。その結果を表2に示す。
[電圧と輝度の関係]
実施例3および比較例1の有機EL素子に対して、ケースレー社製の「2400型ソースメーター」を用いて電圧を印加し、コニカミノルタ社製の「LS−100」を用いて輝度を測定し、印加電圧と輝度の関係を調べた。その結果を図4に示す。
[電流密度と電力効率の関係]
実施例3および比較例1の有機EL素子に対して、ケースレー社製の「2400型ソースメーター」を用いて電流密度と電力効率の関係を調べた。その結果を図5に示す。
Figure 2019172633
表2に示すように、実施例3の有機EL素子の外部量子効率は、比較例1の有機EL素子の外部量子効率よりも高い値を示した。
図4に示すように、実施例3の有機EL素子では、比較例1の有機EL素子と比較して、印加電圧が同じである場合に高い輝度が得られており、駆動電圧が低かった。また、図5に示すように、実施例3の有機EL素子では、比較例1の有機EL素子と比較して、電流密度が同じである場合に高い電力効率が得られた。これらの結果は、実施例3で発光層のホスト材料として使用した化合物(2−1)が、比較例1で使用したCBPと比較してエネルギーギャップが小さいためであると推定される。
[実施例4]
化合物(2−1)および化合物(1−1)〜(1−5)のエネルギーギャップを、Gaussian09[B3LYP 6−31g(d,p)]により計算して見積もった。その結果を表3に示す。
Figure 2019172633
Figure 2019172633
表3に示すように、化合物(1−1)〜(1−5)のエネルギーギャップは、化合物(2−1)のエネルギーギャップと同程度の値であった。この結果から、一般式(1)におけるカルバゾールの置換位置や置換数、電子輸送性に寄与する部分の構造が化合物(2−1)と異なる化合物も、化合物(2−1)と同様の効果が得られると考えられる。
1…有機EL素子、2…基板、3…陰極、4…電子注入層、5…電子輸送層、6…発光層、7…正孔輸送層、8…正孔注入層、9…陽極。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示される芳香族化合物。
    Figure 2019172633
    (ただし、一般式(1)中のXは、それぞれ独立にN、C−HまたはC−Arを示し、少なくとも1つはNである。Arは、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基、または置換もしくは未置換の芳香族複素環基を示す。Xは、1つまたは2つが下記一般式(1a−1)〜(1a−5)で示される基であり、残りがそれぞれ独立に水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは未置換の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および、置換もしくは未置換の炭素数3〜30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される置換基である。一般式(1)および一般式(1a−1)〜(1a−5)中のRは、それぞれ独立に水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは未置換の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および、置換もしくは未置換の炭素数3〜30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される置換基であり、隣り合う置換基は一体となって環を形成していてもよい。一般式(1a−1)〜(1a−5)中のRは、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素基を示す。一般式(1a−1)〜(1a−5)中の−*は、Xが結合しているカルバゾール環の炭素原子と結合する結合子を示す。)
    Figure 2019172633
  2. 下記一般式(2)で示される芳香族化合物。
    Figure 2019172633
    (ただし、一般式(2)中のRは、それぞれ独立に水素原子、または、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアルキルアミノ基、炭素数2〜10のアシル基、炭素数7〜20のアラルキル基、置換もしくは未置換の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、および、置換もしくは未置換の炭素数3〜30の芳香族6員複素環基からなる群から選択される置換基である。)
  3. 下記一般式(2−1)で示される芳香族化合物。
    Figure 2019172633
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香族化合物を含む、電気化学デバイス。
  5. 有機発光素子、有機薄膜トランジスタまたは有機薄膜太陽電池である、請求項4に記載の電気化学デバイス。
  6. 2つの電極間に発光層を含む積層構造が形成され、
    前記発光層が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香族化合物を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子。
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