JP6882970B2 - 押釦スイッチ用部材 - Google Patents

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Description

本発明は、押釦スイッチ用部材に関する。
車載機器、通信機器、オーディオ機器、家庭用電気機器等の多種多様な機器のスイッチとして、従来から、押圧部、薄肉可動部およびベース部を備える押釦スイッチ用部材(例えば、特許文献1,2を参照)を用いたものが知られている。
図7は、従来から公知の押釦スイッチ用部材の平面図(7A)およびB1−B1線断面図(7B)を示す。図7に示す押釦スイッチ用部材101は、押圧部110と、押圧部110の平面視にて径方向外周に連接する薄肉可動部120と、薄肉可動部120の平面視にて径方向外周に連接するベース部130と、薄肉可動部120により形成されているドームの内側空間に、押圧部110と反対側に向かって突出する接点部140と、を備える。押圧部110、薄肉可動部120およびベース部130は、同一種類のゴム状弾性体からなる。
また、図8は、従来から公知の別の押釦スイッチ用部材の平面図(8A)およびB2−B2線断面図(8B)を示す。当該別の公知の押釦スイッチ用部材102は、前述の押圧部110に相当する押圧部150がその天面151に平面視にて部分的にベース部130と反対側に突出する1以上の突出部152を有する点を除き、図7の押釦スイッチ用部材101と同様の形態を有する。
さらに、図9は、従来から公知のさらなる別の押釦スイッチ用部材の平面図(9A)およびB3−B3線断面図(9B)を示す。当該さらなる別の公知の押釦スイッチ用部材103は、前述の押圧部110に相当する押圧部160に、天面161側に開口して天面161から内方に向かう穴部162が形成されている点を除き、図7の押釦スイッチ用部材101と同様の形態を有する。
上述の従来から公知の押釦スイッチ用部材101,102,103によれば、薄肉可動部120は、押圧部110,150,160からの下方への押圧とその解除動作によって弾性的に変形する。このため、押釦スイッチ用部材101,102,103は、押圧式のスイッチに多く使用されている。
特開2004−235006号公報 特開平7−201249号公報
従来から公知の押釦スイッチ用部材101,102,103は、押釦スイッチ用部材として優れた機能を有しているが、より優れた押釦スイッチ用部材とするためにさらなる改善の余地がある。
押釦スイッチ用部材101,102,103は、押釦スイッチに組み込まれたときにおいて、押釦スイッチ用部材101,102,103の押圧部110,150,160に対して下方に押圧力を加えると、薄肉可動部120が変形し、これに伴い押圧部110,150,160が基板方向に急激に下降してスイッチがオンになる。
押釦スイッチ用部材の中には、スイッチがオンになった後の感触がソフトであること(スイッチがオンになった後に押し込みがストップする感覚が急激ではないこと)が要求されるものがある。例えば、自動車のエンジンスタート・ストップのための押釦スイッチ用部材については、頻繁に使用する上に印象に残りやすいものであるため、押し込んだ時の感触がソフトであることが強く要求され、スイッチがオンになった後の急激な荷重の上昇はユーザから嫌われる傾向にある。
押釦スイッチ用部材101については、スイッチがオンになった後の急激な荷重の上昇を十分に抑えることが困難である。また、スイッチがオンになった後のストロークを長くすると、薄肉可動部120の変形が大きくなることから、薄肉可動部120の破断が発生しやすくなる。
また、押釦スイッチ用部材102については、押釦スイッチ用部材101の場合よりは押圧感触がソフトであるとはいえ、やはりスイッチがオンになった後の急激な荷重の上昇を十分に抑えることは困難である。また、押釦スイッチ用部材101の場合と同様に、スイッチがオンになった後のストロークを長くすると、やはり薄肉可動部120の形状変形が大きくなることから、薄肉可動部120の破断が発生しやすい。
押釦スイッチ用部材103については、押圧部160に穴部162が形成されているため、押釦スイッチ用部材101,102の場合よりも押圧部160の変形を大きくすることができる。このため、押釦スイッチ用部材103の場合には、スイッチがオンになった後の急激な荷重の上昇を十分に抑えることができる。しかし、押釦スイッチ用部材103においても、薄肉可動部120の破断が発生しやすいという問題を解決することができない。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、スイッチがオンになった後の急激な荷重の上昇を十分に抑えることができ、かつ薄肉可動部の破断の発生しにくい押釦スイッチ用部材を提供することを目的とする。
[1]上記目的を達成するための一実施形態に係る押釦スイッチ用部材は、押圧部と、押圧部の平面視にて径方向外周に連接する薄肉可動部と、薄肉可動部の平面視にて径方向外周に連接するベース部と、を押圧部の押し込み方向に向かって順に備え、少なくとも押圧部および薄肉可動部は共にゴム状弾性体であり、縦断面視にて、押圧部と薄肉可動部との連接部であって薄肉可動部の外側にある連接外側部の幅に対して、連接部における薄肉可動部の内側にある連接内側部の幅が1.3倍以上としている。
[2]別の実施形態に係る押釦スイッチ用部材では、さらに、押圧部は、その天面から押し込み方向の途中位置まで柱状であって、当該途中位置から裾野を拡げた形状であるのが好ましい。
[3]別の実施形態に係る押釦スイッチ用部材では、また、連接外側部の幅に対する連接内側部の幅が1.7以下であるのが好ましい。
[4]別の実施形態に係る押釦スイッチ用部材では、さらに、連接外側部の円換算直径をD1とし、連接内側部の円換算直径をD2とし、1.3≦D2/D1≦1.7の関係であるのが好ましい。
[5]別の実施形態に係る押釦スイッチ用部材では、また、押圧部は、その天面側に開口して天面から内方に向かう穴部を備えるのが好ましい。
[6]別の実施形態に係る押釦スイッチ用部材では、また、押圧部は、その天面から押し込み方向の厚みの途中位置までの第1領域に、第1領域より薄肉可動部に近い第2領域と比較してゴム硬度の低い低硬度部を有するのが好ましい。
[7]別の実施形態に係る押釦スイッチ用部材では、さらに、押圧部は、その天面から押し込み方向の途中位置まで柱状であって、当該途中位置から裾野を拡げた形状であり、低硬度部は、天面から途中位置を越えて裾野を拡げた形状に至るように形成されているのが好ましい。
[8]別の実施形態に係る押釦スイッチ用部材では、また、薄肉可動部により形成されているドームの内側空間であって押圧部の直下位置に、押圧部と反対側に突出する接点部を、さらに備えるのが好ましい。
本発明によれば、スイッチがオンになった後の急激な荷重の上昇を十分に抑えることができ、かつ薄肉可動部の破断の発生しにくい押釦スイッチ用部材を提供することができる。
図1は、第1実施形態に係る押釦スイッチ用部材の平面図(1A)およびA1−A1線断面図(1B)をそれぞれ示す。 図2は、第2実施形態に係る押釦スイッチ用部材の平面図(2A)およびA2−A2線断面図(2B)をそれぞれ示す。 図3は、比較例1についての座屈状態における形状に関するシミュレーションの結果を示す図(3A)、比較例1についての応力に関するシミュレーションの結果を示す図(3B)、比較例2についての座屈状態における形状に関するシミュレーション結果を示す図(3C)、比較例2についての応力に関するシミュレーションの結果を示す図(3D)、実施例1についての座屈状態における形状に関するシミュレーション結果を示す図(3E)、実施例1についての応力に関するシミュレーションの結果を示す図(3F)ならびに実施例1および比較例2についての座屈状態における形状に関するシミュレーション結果を重ね合わせた図(3G)をそれぞれ示す。 図4は、実施例1、比較例1および比較例2についての荷重に関するシミュレーションの代表的な数値を示す。 図5は、実施例1、比較例1および比較例2についての荷重に関するシミュレーションのグラフを示す。 図6は、実施例2〜5および比較例3,4についての打鍵試験の結果を示す。 図7は、従来から公知の押釦スイッチ用部材の平面図(7A)およびB1−B1線断面図(7B)を示す。 図8は、従来から公知の別の押釦スイッチ用部材の平面図(8A)およびB2−B2線断面図(8B)を示す。 図9は、従来から公知のさらに別の押釦スイッチ用部材の平面図(9A)およびB3−B3線断面図(9B)を示す。
次に、本発明に係る押釦スイッチ用部材について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、各実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。各実施形態においては、基本的な構成および特徴が同じ構成要素については、各実施形態に共通して同じ符号を使用し、説明を省略する場合がある。
(第1実施形態)
1.押釦スイッチ用部材の構造
まず、第1実施形態に係る押釦スイッチ用部材について説明する。
図1は、第1実施形態に係る押釦スイッチ用部材の平面図(1A)およびA1−A1線断面図(1B)をそれぞれ示す。
第1実施形態に係る押釦スイッチ用部材1は、図1に示すように、押圧部10と、押圧部10の平面視にて径方向外周に連接する薄肉可動部20と、薄肉可動部20の平面視にて径方向外周に連接するベース部30と、を押圧部10の押し込み方向に向かって順に備える。押釦スイッチ用部材1は、薄肉可動部20により形成されているドームの内側空間であって押圧部10の直下位置に、押圧部10と反対側に突出する接点部40を、さらに備える。接点部40は、平面視にて円形の薄型円柱形状を有する。押圧部10、薄肉可動部20およびベース部30は、共にゴム状弾性体である。
接点部40は、上記ドームの天上部分から下方に突出するゴム状弾性体に固定されている。ただし、ドームの天上部分に、接点部40を直接固定するようにしても良い。また、少なくとも押圧部10と薄肉可動部20がゴム状弾性体にて構成されていれば足り、ベース部30はゴム状弾性体以外の材料から構成されていても良い。
押圧部10、薄肉可動部20、ベース部30および接点部40は、別体にて製造後に、接合されても良く、あるいは一体成形等の手法により製造されていても良い。また、この実施形態では、押圧部10、薄肉可動部20およびベース部30は、同一種類のゴム状弾性体にて構成されているが、別の種類のゴム状弾性体から構成されていても良い。
第1実施形態および後述する他の各実施形態において、ゴム状弾性体としては、好適には、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)若しくはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー、ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、又は、上記したものの複合物等を例示できる。これらの例示のゴム状弾性体の内、特に、シリコーンゴムが好ましい。また、ゴム状弾性体は、シリカ等のフィラーを含有していても良い。
(1)押圧部
押圧部10は、スイッチのオン、オフまたはその両方のときに、指やその他の押圧操作手段に接触して、ベース部材30の方向(図1(1B)では下方向)に向かって押圧を受けて下方に移動可能な部材である。押圧部10は、キートップ、押釦部、頭部等と称されることもある。押圧部10は、ベース部30を基準として一方の側に突出している。この実施形態では、一方の側とは、押釦スイッチ用部材1を回路基板等に設置したときの当該回路基板等と反対側の側に相当する。押釦スイッチ用部材1の設置箇所によっては、上側ではなく、左側、右側等の別の方向となることもある。
押圧部10は、第1実施形態および後述する各実施形態においては、天面11から押し込み方向の途中位置まで柱状であって、当該途中位置から裾野を拡げた形状である。当該柱状の部分は、天面11を円とする円柱である。本願において、「柱状」は、その長さ方向にわたって平面視の径(若しくは対角線)が一定の形態をいう。ただし、平面視の径(若しくは対角線)は、完全に一定であることまでを必要とせず、プラスマイナス5%の範囲内の変動は許容される。また、上記裾野を拡げた形状の部分は、平面視にて円形で縦断面視にて台形の円錐台である。図1(1B)に示すように、押圧部10は、天面11から、押圧部10と薄肉可動部20との連接部であって薄肉可動部20の外側にある連接外側部16、当該連接部であって薄肉可動部20の内側にある連接内側部15を通って、薄肉可動部20を切り落とした部位である。これは、他の実施形態でも同様である。押圧部10の形状についてさらに詳細に説明すると、押圧部10の一方の側の端部に近い部分(上側の部分:第1領域)は円柱形状である。第1領域から薄肉可動部20に近い第2領域は、薄肉可動部20と滑らかに連接するように直径が少し広くなっていく部分である。押圧部10の厚みは、天面11と連接内側部15に当たる破線位置で挟まれた距離をいう。
押圧部10は、好ましくは、天面11側に開口して天面11から内方に向かう穴部14を有する。穴部14は、好ましくは、押圧部10の天面11から続く柱状の部分と、裾野を拡げた形状の部分との境界、若しくはその境界を越えて裾野を拡げた形状の部分に進出して形成される。ただし、穴部14は、上記境界よりも柱状の部分側のみに形成されていても良い。また、穴部14は、接点部40にまで達するもの、あるいは接点部40をも貫通した貫通穴であっても良い。ただし、穴部14は必須の部位ではない。押圧部10に穴部14を備えていなくとも良い。
穴部14は、この実施形態では、その開口面の平面視形状を略円形とする円筒カップ形状の空間であるが、その開口部の形状を平面視にて矩形などの他の形状とした角筒形状の空間としても良い。また、穴部14は、円錐形状、角錐形状、半球状等の筒状以外の形状を有するものであっても良い。
連接外側部16は、平面視にて、連接内側部15により規定される範囲内に収まる大きさである。この実施形態では、連接外側部16は、縦断面視において、連接内側部15の幅に対して小さい幅を有するように形成されている。連接外側部16の上記幅と、連接内側部15の上記幅とは同一でも良い。ここで、「縦断面視」とは、押圧部10、薄肉可動部20、ベース部30の順に積層される方向に切断した断面視、若しくは押圧部10の押し込む方向に切断した断面視を意味する。
連接外側部16の幅(D1)に対する連接内側部15の幅(D2)は、好ましくは1.3以上1.7以下である。ここで、「幅」は、連接外側部16および連接内側部15の各平面視の形状が円であることから、それぞれの直径を意味する。しかし、連接外側部16および連接内側部15の平面視の形状が円以外の場合には、「幅」は、連接外側部16および連接内側部15の各平面視の形状を各同じ面積の円に換算した直径(=円換算直径)を意味する。連接外側部16の円換算直径をD1とし、連接内側部15の円換算直径をD2とすると、1.3≦D2/D1≦1.7の関係となるように、連接外側部16と連接内側部15の各大きさを設計するのが好ましい。また、より好ましくは、1.3<D2/D1≦1.7であり、さらにより好ましくは、1.4≦D2/D1≦1.7である。ただし、後述の第2実施形態のように、押圧部に低硬度部を備える場合には、連接外側部の幅(「幅」を「円換算直径」であるD1としても良い)に対して、連接内側部の幅(「幅」を「円換算直径」であるD2としても良い)を1.0以上とし、好ましくは1.0より大きくし、さらに好ましくは1.3以上とし、さらにより好ましくは1.3より大きくし、それよりさらに好ましくは1.4以上としても良い。詳細は、第2実施形態でも説明する。
押圧部10の最表面には、防傷等を目的として、樹脂(熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂など)、ガラス、セラミックス、押圧部10より高硬度のシリコーンゴムやその他エラストマー等からなる薄いコート層が形成されていても良い。
(2)薄肉可動部
薄肉可動部20は、押圧部10の外周に連接する部材である。薄肉可動部20は、その形状からドームと称しても良い。薄肉可動部20は、第1実施形態および後述する各実施形態においては、平面視にて円環状の部材である。薄肉可動部20は、好ましくは、押圧部10およびベース部30よりも薄肉に形成されている。図1(1B)に示すように、薄肉可動部20は、連接外側部16と連接内側部15との間を切った部位からベース部30との境界部までの構成部である。これは、他の実施形態でも同様である。薄肉可動部20は、押圧部10を回路基板等に向けて押圧したときに弾性変形して、押圧部10への押圧を解除したときに元の形状に戻る弾性変形部材である。
(3)ベース部
ベース部30は、薄肉可動部20の外周に連接する。ベース部30は、押釦スイッチ用部材1を押釦スイッチに組み込むときに、押釦スイッチ用部材1を回路基板等に固定する部分である。第1実施形態および他の各実施形態においては、ベース部30の平面視形状は四角形である。ベース部30には、取り付けのための孔や突起等が形成されていても良い。なお、ベース部30は、薄肉可動部20や押圧部10を構成する材料と異なる材料(ゴム状弾性体、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂のいずれでも良く、樹脂以外の材料、例えば金属でも良い)で構成されていても良い。
(4)接点部
接点部40は、押圧部10の直下に位置するドームの天上から、押圧部10と反対方向(すなわち、押圧部10の押し込み方向)に向かって突出する部分である。接点部40は、押釦スイッチ用部材1に組み込まれたときに、押圧部10の直下に配置される構成要素(例えば、電極、メタルドームあるいは他種類のスイッチ)に接触してスイッチをオン・オフさせる部分となる。接点部40は、押圧部10と一体であっても、あるいは別体であっても良い。接点部40が押圧部10と別体である場合には、例えば、接点部40は、押圧部10の裏側に接着されても良い。この実施形態では、接点部40は、導電性を有する材料(例えば、金属や導電性のゴム状弾性体)から成るのが好ましいが、非導電性材料から成るものでも良い。また、接点部40は、ゴム状弾性体でも、非ゴム状弾性体でも良い。なお、接点部40は、押釦スイッチ用部材1にとって必須の部材ではない。
(5)作用・効果
この実施形態に係る押釦スイッチ用部材1では、押圧部10と薄肉可動部20とを連接する連接部であって薄肉可動部20の外側にある連接外側部16の幅に対して、連接部における薄肉可動部20の内側にある連接内側部15の幅を1.3倍以上としているので、押圧部10の押し込み方向への集中的な負荷を実現し、薄肉可動部20への負荷を低減することができる。
また、押圧部10は、天面11から押し込み方向の途中位置まで柱状であって、その途中位置から裾野を拡げた形状である。このため、押圧部10を押し込んだ際に、押圧が平面視にて前後左右に振れることを低減でき、ほぼ押し込み方向に安定した押し込みを実現できる。
また、連接外側部16の幅に対する連接内側部15の幅を1.3以上1.7以下、第1実施形態により近い形態においては、連接外側部16の円換算直径をD1とし、連接内側部15の円換算直径をD2としたときに、1.3≦D2/D1≦1.7の関係、さらには1.3<D2/D1≦1.7の関係、さらには1.4≦D2/D1≦1.7の関係とすることにより、押圧部10の押し込みをより安定化させつつ、薄肉可動部20への負荷をより低減しやすくなる。
また、押圧部10は、その天面11側に開口して天面11から内方に向かう穴部14を備えるので、スイッチがオンになった後の急激な荷重の上昇を、より抑えることができる。
また、薄肉可動部20により形成されているドームの内側空間であって押圧部10の直下位置に、押圧部10と反対側に突出する接点部40を、さらに備える。天面1の幅を接点部40の上記と同様の断面視における幅より小さくすることにより、押圧部10の押し込み方向へのより集中的な負荷を実現し、薄肉可動部20への負荷をより低減することができる。
2.押釦スイッチ用部材の製造方法
押釦スイッチ用部材1は、例えば、押圧部10、薄肉可動部20およびベース部30を別々に成形した後、それら10,20,30に加えて接点部40を含め、互いに接着等することにより製造できる。また、押釦スイッチ用部材1は、押圧部10、薄肉可動部20およびベース部30を一体成形後、接点部40を接着等することによっても製造できる。さらに、接点部40をゴム状弾性体で形成する場合には、押圧部10、薄肉可動部20、ベース部30および接点部40を一体成形することにより製造できる。
また、押釦スイッチ用部材1は、接点部40を金型に予めインサートして、押圧部10、薄肉可動部20およびベース部30を成形するための硬化性組成物を当該金型内に供給して成形するインサート成形によっても製造可能である。
さらには、3Dプリンタを用いて、ベース部30から押圧部10に向かって、あるいはその逆方向にビルドアップしていき押釦スイッチ用部材1の本体を製造し、最後に接点部40を当該本体に接着して、押釦スイッチ用部材1を完成するようにしても良い。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る押釦スイッチ用部材について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と共通する構成については、適宜、省略し、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
1.押釦スイッチ用部材の構造
図2は、第2実施形態に係る押釦スイッチ用部材の平面図(2A)およびA2−A2線断面図(2B)をそれぞれ示す。
第2実施形態に係る押釦スイッチ用部材2は、基本的には第1実施形態に係る押釦スイッチ用部材1と同様の構成を有するが、押圧部50が低硬度部52を有する点で、第1実施形態に係る押釦スイッチ用部材1とは異なる。
第2実施形態に係る押釦スイッチ用部材2は、図2に示すように、押圧部50と、押圧部50の平面視にて径方向外周に連接する薄肉可動部20と、薄肉可動部20の平面視にて径方向外周に連接するベース部30と、を押圧部10の押し込み方向に向かって順に備える。押釦スイッチ用部材2は、薄肉可動部20により形成されているドームの内側空間であって押圧部50の直下位置に、押圧部50と反対側に突出する接点部40を、さらに備えるのが好ましい。接点部40は、平面視にて円形の薄型円柱形状を有する。押圧部50、薄肉可動部20およびベース部30は、共にゴム状弾性体である。なお、接点部40は、第1実施形態と同様、押釦スイッチ用部材2にとって必須ではない。
押釦スイッチ用部材2では、図2(2B)に示すように、押圧部50は、天面51から、押圧部50と薄肉可動部20との連接部であって薄肉可動部20の外側にある連接外側部56、当該連接部であって薄肉可動部20の内側にある連接内側部55を通って、薄肉可動部20を切り落とした部位である。押圧部50の形状についてさらに詳細に説明すると、押圧部50の一方の側の端部に近い部分(上側の部分:第1領域)は円柱形状である。第1領域から薄肉可動部20に近い第2領域は、薄肉可動部20と滑らかに連接するように直径が少し広くなっていく部分である。押圧部50の厚みは、天面51と連接内側部55に当たる破線位置で挟まれた距離をいう。押圧部50は、その天面51から押し込み方向の厚みの途中位置までの第1領域に、第1領域より薄肉可動部20に近い第2領域と比較してゴム硬度の低い低硬度部52を有する。低硬度部52は、押圧部50の天面51から厚み方向の途中(Xの位置)までの第1領域に存在する。また、低硬度部52は、薄肉可動部20の一部をも含む。押圧部50は、好ましくは、天面51側に開口して天面51から内方に向かう穴部54を有する。穴部54は、低硬度部52の領域内で形成されている。ただし、穴部54は、低硬度部52を越えて、それより押し込み方向に位置する第2領域に到達する深さ、あるいは接点部40を貫通する貫通穴でも良い。なお、穴部54は必須の構成ではなく、設けなくとも良い。
図2に示すように、押釦スイッチ用部材2において、天面51の側からの平面視にて、連接外側部56の外形は、連接内側部55により規定される範囲内に収まる。ここで、「範囲内に収まる」には、外形が同じである(平面視したときに連接外側部56および連接内側部55がともに円形である場合には、双方の直径が同じである)ことも含まれる。このような低硬度部52の形態を、図2(2B)に基づいて別の表現で説明すると、低硬度部52の先端幅(=連接外側部56の幅)は、押釦スイッチ用部材2の縦断面視(押し込む方向に切った断面視)にて、連接内側部55の幅に対して同一若しくは小さくしていることになる。ここで、「低硬度部52の先端幅」は、低硬度部52の天面51の幅と称しても良い。
押釦スイッチ用部材2では、押圧部50は、天面51の外形が押し込み方向に向かって一定厚みだけ保持される柱状領域と、当該柱状領域から幅を徐々に大きくする台形領域と、を有する。柱状領域の幅は連接内側部55の幅と比べて同一若しくは小さい。
この実施形態においては、連接外側部56および連接内側部55の平面視形状はともに円形であり、連接外側部56の直径(=D1)と連接内側部55の直径(=D2)とを比較すると、1.0≦D2/D1、1.0<D2/D1、1.3≦D2/D1、1.3<D2/D1、1.4≦D2/D1の順に、より好ましくなる。また、D2/D1の上限値を考慮すれば、1.0≦D2/D1≦1.7、1.0<D2/D1≦1.7、1.3≦D2/D1≦1.7、1.3<D2/D1≦1.7、1.4≦D2/D1≦1.7の順に、より好ましくなる。このような関係は、D1を連接外側部56の幅と、D2を連接内側部55の幅とそれぞれ読み替えても、同様である。
押圧部50は、上述のように、第1領域に、第2領域よりもゴム硬度の低い低硬度部52を有する。押圧部50は、天面51から押し込み方向の途中位置まで柱状であって、当該途中位置から裾野を拡げた形状を有している。低硬度部52は、天面51から上述の途中位置を越えて裾野を拡げた形状に至るように形成されている。押圧部50の低硬度部52と、低硬度部52より高硬度の第2領域とを共にシリコーンゴムにて形成する場合、シリコーンゴムの硬度を変化させるために、第2領域の部分を、シリカ等のフィラーを添加した硬化性シリコーン組成物を硬化させて作製する一方で、第1領域の部分を、シリカ等のフィラーを添加しないで若しくは第1領域よりも当該フィラーの添加量の少ない硬化性シリコーン組成物を硬化させて作製することができる。また、第1領域作製用の硬化性シリコーン組成物に添加するシリコーンオイル成分を、第2領域作製用の硬化性シリコーン組成物に添加する同成分より多くしても良い。
押釦スイッチ用部材2において、押圧部50の押し込み方向の厚み、すなわち、図2(2B)における天面51から破線の位置までの長さをT1とし、低硬度部52の押し込み方向の厚み(図2(2B)のハッチング幅の密な部分の上下方向の長さ)をT2とするときに、0.5≦T2/T1≦0.8の関係であるのが好ましい。
押圧部50の厚みおよび低硬度部52の厚みを計測する場合、天面51に、突起等やコート層が存在する場合であっても、当該突起等やコート層の厚みや長さは、押圧部50および低硬度部52の各厚みには含まれない。また、押圧部50や低硬度部52が円柱形状の領域ではない場合等、場所によって厚みが異なる場合には、押圧部50の厚みおよび低硬度部52の厚みは平均値として算出される。
0.5≦T2/T1とすると、押圧部50を押し込んだときに、低硬度部52が圧縮されてその厚みを減じる十分な柔軟性を確保することができる。また、T2/T1≦0.8とすると、押圧部50と薄肉可動部20との連接部付近における局所的な歪みの発生を十分に抑制することができ、長期使用に際して当該連結部からの破断のリスクをより低減できる。
また、押釦スイッチ用部材2において、JIS K 6253に準拠するタイプAデュロメータを用いた測定による低硬度部52のゴム硬度をH1とし、同測定による第2領域のゴム硬度をH2とするときに、H2−H1≧30の関係を満たすのが好ましい。以後、「ゴム硬度」は、全て、JIS K 6253に準拠するタイプAデュロメータを用いた測定による硬度を意味する。
H2−H1≧30とすると、低硬度部52のゴム硬度を相対的に十分に低くでき、押圧部50の天面51から押し込み方向に力が加えられたときに、低硬度部52が圧縮されてその厚みを減じる十分な柔軟性を確保することができる。0.5≦T2/T1及びH2−H1≧30の両条件が満たされると、なお好ましい。
この実施形態によれば、押圧部50は、第1領域に、第2領域よりもゴム硬度の低い低硬度部52を有するため、先に述べた第1の実施形態の作用・効果に加えて、押圧力が加えられたときに押圧部50が変形するとともに押圧力を分散させて薄肉可動部20への負荷を低減することが可能である。したがって、スイッチがオンになった後の急激な荷重の上昇を一層抑えることができ、かつ薄肉可動部20の破断を一層発生しにくくすることができるという作用・効果も得られる。また、第1領域は、薄肉可動部20とは接触していないため、薄肉可動部20との連接部付近における局所的な歪みの発生を抑制することができる。
また、押圧部50は、その天面51から押し込み方向の途中位置まで柱状であって、当該途中位置から裾野を拡げた形状であり、低硬度部52は、天面51から途中位置を越えて裾野を拡げた形状に至るように形成されている。このため、低硬度部52を安定的に押し下げ方向に押圧でき、スイッチのオン後も平面視にて前後左右に振れるリスクを低減しつつ押し下げ方向に低硬度部52を圧縮させることができる。
さらに、0.5≦T2/T1とすることで押圧部50が変形するための低硬度部52の厚みを十分に確保することができ、かつT2/T1≦0.8とすることで押圧部50と薄肉可動部20との連接部付近における局所的な歪みの発生を十分に抑制することができる。
また、H2−H1≧30の関係を満たすと、低硬度部52のゴム硬度を相対的に十分に低くできるので、天面51から押圧力が加えられたときに、低硬度部52を十分に圧縮変形させることができる。
2.押釦スイッチ用部材の製造方法
押釦スイッチ用部材2は、例えば、押圧部50の低硬度部52以外の部分を(この実施形態においては、薄肉可動部20およびベース部30も同時に)成形し、それと併行して、押圧部50の第2領域よりも低硬度の材料を用いて、押圧部50の低硬度部52以外の部分と接するように低硬度部52を成形して、低硬度部52を押圧部50の第2領域に接着することにより容易に製造することができる。
また、押釦スイッチ用部材2は、押圧部50の素体を低硬度部52となる部分と一体として成形し、成型後に種々の手段(たとえば、電子線の照射)により押圧部50の低硬度部52以外の部分を硬化させることによっても製造することができる。
また、押釦スイッチ用部材2は、低硬度部52の部分、若しくは押圧部50の第2領域と薄肉可動部20とベース部30の部分のいずれか一方を先に金型にインサートして、他方の硬化性組成物を当該金型内に供給して成形するインサート成形によっても製造可能である。
さらには、3Dプリンタを用いて、ベース部30から押圧部50に向かって、あるいはその逆方向にビルドアップしていき、低硬度部52とその他の部材との間でプリント材料を変更して、押釦スイッチ用部材2を製造しても良い。
(その他の実施形態)
以上、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明に係る押釦スイッチ用部材は、各実施形態に制約されることなく、例えば、下記のように種々変形して実施可能である。
上述の各実施形態における押圧部10,50(押圧部10等という)、薄肉可動部20、ベース部30、連接外側部16,56(連接外側部16等という)、連接内側部15,55(連接内側部15等という)および接点部40の各形状は例示であり、それぞれ用途等に応じた種々の形状とすることができる。また、押圧部10等、薄肉可動部20、連接外側部16等、連接内側部15等および接点部40の平面視の形状はそれぞれ同一形状である必要はなく、例えば、押圧部10等、連接外側部16等、連接内側部15等および接点部40の平面視の形状を円形とし、薄肉可動部20の外縁部(ベース部30との連接部)の平面視の形状を四角形とするようにしても良い。逆に、押圧部10等、薄肉可動部20、ベース部30、連接外側部16等、連接内側部15等および接点部40の平面視の形状を全て円形あるいは四角形としても良い。
第2実施形態における押圧部50の天面51に、突起やコート層を形成しても良い。低硬度部52を、押圧部50の柱状の領域のみに形成するようにしても良い。また、押圧部50は、天面51から押し込み方向の全厚みにわたって、平面視における径をほぼ同一とした円柱部材としても良い。
なお、上述の各実施形態では、薄肉可動部20は、縦断面視にて略「ハ」の字の途中で屈曲した形状を有するが、これに限定されず、例えば縦断面視にて略「ハ」の字形状や逆椀形状といった他の形状を有していても良い。また、上記各実施形態では、薄肉可動部20の主要部分若しくは全部のゴム硬度は、低硬度部52のゴム硬度に比べて高いが、同一若しくは低くすることもできる。
次に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の実施例の内容に制約されるものではない。
(実施例1および比較例1,2)
まず、実施例1および比較例1,2に係る押釦スイッチ用部材について、シミュレーションにより、押圧部の押し込みにより座屈状態となったときにおける、押圧部と薄肉可動部とが連接している部分(破断が発生しやすい部分)の形状および応力に関する評価を行った。また、実施例1および比較例1,2に係る押釦スイッチ用部材について、押し込み距離と荷重との関係に関する評価も行った。
(1)実施例1および比較例1,2の構成
実施例1に係る押釦スイッチ用部材は第1実施形態に係る押釦スイッチ用部材1に対応し、比較例1に係る押釦スイッチ用部材は公知の押釦スイッチ用部材101に対応し、比較例2に係る押釦スイッチ用部材は別の公知の押釦スイッチ用部材103に対応する。このため、実施例1および比較例1,2に係る押釦スイッチ用部材についての図示は省略する。
シミュレーションにおいては、各押釦スイッチ用部材はシリコーンゴムにて形成されたものとした。ここで、各押釦スイッチ用部材は、共通する部分については同じ形状とした。実施例1に係る押釦スイッチ用部材の押圧部の天面の直径は3mmとした。天面の直径は、連接外側部の直径とほぼ等しい。比較例1,2に係る押釦スイッチ用部材の押圧部の天面の直径は4.5mmとした。各押釦スイッチ用部材の押圧部の天面からベース部の底面までの距離(押釦スイッチ用部材の高さ)は6.7mmとした。接点部の底面からベース部の底面までの距離は2.8mmとした。薄肉可動部の下方開口面の直径は、5.9mmとした。また、薄肉可動部の肉厚は0.85mmとした。さらに、実施例1に係る押釦スイッチ用部材については、穴部の直径を1.4mmとし、深さを2mmとした。比較例2に係る押釦スイッチ用部材については、穴部の直径を2.8mmとし、深さを2mmとした。また、各押釦スイッチ用部材については、押圧部、薄肉可動部およびベース部のゴム硬度は60度に設定し、接点部のゴム硬度は70度に設定した。
(2)座屈状態となったときの形状および応力についての押釦スイッチ用部材の評価
図3は、比較例1についての座屈状態における形状に関するシミュレーションの結果を示す図(3A)、比較例1についての応力に関するシミュレーションの結果を示す図(3B)、比較例2についての座屈状態における形状に関するシミュレーション結果を示す図(3C)、比較例2についての応力に関するシミュレーションの結果を示す図(3D)、実施例1についての座屈状態における形状に関するシミュレーション結果を示す図(3E)、実施例1についての応力に関するシミュレーションの結果を示す図(3F)ならびに実施例1および比較例2についての座屈状態における形状に関するシミュレーション結果を重ね合わせた図(3G)をそれぞれ示す。当該評価は、押し込み距離(ストローク)を3.8mmとして行った。
図3(3A)、図3(3C)、図3(3E)および図3(3G)は、各押釦スイッチ用部材の縦断面図の一部(押圧部の押し込みにより座屈状態となったときにおける、押圧部と薄肉可動部とが連接している部分)を示す図である。図3(3B)、図3(3D)および図3(3F)は、各押釦スイッチ用部材の縦断面についてメッシュを用いて応力を解析した結果の一部(最も応力がかかる箇所が含む一部)を示す図である。図3(3A)〜図3(3F)における丸印は、それぞれ最も応力がかかる箇所を示すものである。
まず、図3(3A)〜図3(3D)に示すように、比較例1,2に係る押釦スイッチ用部材においては、押圧部の押し込みにより座屈状態となったときに、押圧部と薄肉可動部とが連接している部分が大きく折れ曲がっていることが確認できる。このとき、比較例1においては最大319gf/mmの応力が、比較例2においては最大336gf/mmの応力が、それぞれかかっていた。
一方、図3(3E)および図3(3F)に示すように、実施例1に係る押釦スイッチ用部材においては、押圧部と薄肉可動部とが連接している部分の折れ曲がり方が比較例1,2の場合よりも小さいことが確認できる。図3(3G)に示すように、比較例2(色が濃い部分)と実施例1(色が薄い部分)とを重ねてみると、折れ曲がり方の違いが一目瞭然である。また、実施例1においては最大で285gf/mmの応力がかかっており、比較例1,2の場合と比較して最大応力が大きく減少していることが確認できた。
(3)押し込み時の荷重についての押釦スイッチ用部材の評価
図4および図5は、実施例1、比較例1および比較例2についての荷重に関するシミュレーションの結果を示す。図4は特徴的な数値をまとめた表であり、図5はシミュレーション結果に基づくグラフである。図5のグラフの縦軸は荷重(単位:N)を表し、横軸は押し込み距離(単位:mm)を表す。
図4の表において、「ピーク」はスイッチがオンになる前の段階における最大荷重を、「メーク」はスイッチがオンになる直前における最小荷重を、「クリック」はピークおよびメークから算出したスイッチの感触の硬さを、「ピークst」はピークの荷重となるまでの押し込みの長さを、「オンst」はスイッチがオンとなるまでの押し込みの長さを、それぞれ表す。
図4の表および図5のグラフに示すように、実施例1は、比較例1と比較してスイッチがオンになった後の急激な荷重の上昇を大幅に抑えられることが確認できた。また、実施例1は、スイッチがオンになった後の荷重の上昇を比較例2と比較して遜色ないレベルにできることも確認できた。つまり、実施例1に係る押釦スイッチ用部材によれば、十分にソフトな感触が得られることが確認できた。
(実施例2〜5および比較例3,4)
次に、実施例2〜5および比較例3,4に係る押釦スイッチ用部材を実際に製造して打鍵試験を行い、耐久性に関する評価を行った。
(1)実施例2〜5および比較例3,4の構成
実施例2〜5に係る押釦スイッチ用部材は上記第1実施形態に係る押釦スイッチ用部材1に対応する。実施例2、実施例3、実施例4、実施例5の順に、D2/D1の値が大きくなる。比較例3に係る押釦スイッチ用部材は別の公知の押釦スイッチ用部材103に対応する(D2/D1=0.9)。比較例4に係る押釦スイッチ用部材は第1実施形態に係る押釦スイッチ用部材1の形状と同様の形状を有するが、D2/D1の値を1.2とした押釦スイッチ用部材である。実施例2〜5および比較例3,4の図示は省略する。
各押釦スイッチ用部材はシリコーンゴムにて形成した。ここで、実施例2〜5および比較例3,4に係る押釦スイッチ用部材の各形態は、天面を含む柱状部分の大きさを除き、全て同じ形態とした。各押釦スイッチ用部材の天面の直径は2.0〜4.2mmの範囲で変えた。各押釦スイッチ用部材の天面からベース部の底面までの距離(押釦スイッチ用部材の高さ)は6.7mmとした。接点部の底面からベース部の底面までの距離は2.8mmとした。薄肉可動部の下方開口面の直径は、5.9mmとした。また、薄肉可動部の肉厚は0.85mmとした。さらに、穴部の直径を1.4mmとし、深さを2mmとした。また、押圧部を押圧したときに、ベース部が過度に拡がらないように、ベース部の下に厚さ100μmのPETフィルムを配置した。
(2)押釦スイッチ用部材の製造方法
上記各押釦スイッチ用部材は、金型を用いてシリコーンゴムの原料を固化させることで製造した。シリコーンゴムの原料としてはシリコーンゴムコンパウンドSE−4706U(東レ・ダウコーニング株式会社)100重量部に架橋剤としてC−8(信越化学工業株式会社)2重量部を添加混練し分出ししたものを用いた。なお、接点部は、他の部分を成形した後に接着した。天面の直径D1については、それぞれの実施例または比較例ごとに設定した(実施例および比較例ごとの数値設定については、図6参照)。
(3)打鍵試験による押釦スイッチ用部材の評価
上記のようにして製造した各押釦スイッチ用部材について打鍵試験を行った。打鍵試験における荷重は700gとし、3回/秒の打鍵スピードで押釦スイッチ用部材が破断するまで打鍵を行った。このとき、オン後の荷重上昇の低下についても測定した。荷重の測定には、日本計測システム株式会社製の自動荷重試験機(型式:MAX−1KN−S−1)を用いた。
図6は、実施例2〜5および比較例3,4についての打鍵試験の結果を示す。
図6中の「オン後の荷重上昇の低下」の項目については、「A」は非常に良好な結果が得られたことを示す。また、「耐久性」の項目については、「A」は非常に良好な結果が得られた(基準である打鍵耐久回数である1万回の2.5倍以上の打鍵回数に耐えた)ことを示し、「B」は良好な結果が得られた(基準である打鍵耐久回数である1万回の2.0倍以上の打鍵回数に耐えた)ことを示し、「C」は良好な結果が得られなかった(基準である打鍵耐久回数である1万回の打鍵回数に耐えられなかった)ことを示す。また、「操作性」の項目については、「A」は押圧部を押圧すればスイッチが速やかにオンになる状況を示し、「B」は押圧部の天面中央部を正しく垂直に押圧しないとスイッチがオンになりにくく「A」に比べて操作性が劣る状況を示す。
D1とD2との関係について確認した結果、図6に示すように、押圧部に穴部が形成されている場合には、オン後の荷重上昇の低下について非常に良好な結果が得られる、つまり、十分にソフトな感触が得られることが確認できた。また、1.3≦D2/D1である場合には、耐久性についても極めて良好な結果が得られることが確認できた。さらに、1.3<D2/D1≦1.7である場合、さらにいえば1.4≦D2/D1≦1.7である場合には(実施例3,4)、D2/D1=1.3(実施例2)である場合よりも、耐久性について一層良好な結果が得られることも確認できた。スイッチをオンにしやすさを表す操作性に関しては、D2/D1=2.0(実施例5)のレベルまでD1を小さくすると、操作性が低下する傾向がみられた。このことから、全ての評価項目が「A」となる実施例3,4の形態が最も良い形態であると考えられる。
本発明に係る押釦スイッチ用部材は、例えば、自動車、車載用電子機器、携帯通信機器、パーソナルコンピューター、カメラ、家庭用オーディオ機器、家庭用電化製品などの押圧式のキーを備える各種機器に用いるための押釦スイッチを構成するために利用することができる。
1,2・・・押釦スイッチ用部材、10,50・・・押圧部、11,51・・・天面、14,54・・・穴部、15,55・・・連接内側部、16,56・・・連接外側部、20・・・薄肉可動部、30・・・ベース部、40・・・接点部、52・・・低硬度部、連接外側部の直径(連接外側部の円換算直径)・・・D1、連接内側部の直径(連接内側部の円換算直径)・・・D2。

Claims (6)

  1. 押圧部と、
    前記押圧部の平面視にて径方向外周に連接する薄肉可動部と、
    前記薄肉可動部の平面視にて径方向外周に連接するベース部と、を前記押圧部の押し込み方向に向かって順に備える押釦スイッチ用部材であって、
    少なくとも前記押圧部および前記薄肉可動部は共にゴム状弾性体であり、
    縦断面視にて、前記押圧部と前記薄肉可動部との連接部であって前記薄肉可動部の外側にある連接外側部の幅に対して、前記連接部における前記薄肉可動部の内側にある連接内側部の幅が1.3倍以上であり、
    前記押圧部は、その天面から前記押し込み方向の厚みの途中位置までの第1領域に、前記第1領域より前記薄肉可動部に近い第2領域と比較してゴム硬度の低い低硬度部を有する押釦スイッチ用部材。
  2. 前記押圧部は、その天面から前記押し込み方向の途中位置まで柱状であって、当該途中位置から裾野を拡げた形状であり、
    前記低硬度部は、前記天面から前記途中位置を越えて前記裾野を拡げた形状に至るように形成されている請求項に記載の押釦スイッチ用部材。
  3. 前記連接外側部の幅に対する前記連接内側部の幅が1.7以下である請求項1または2に記載の押釦スイッチ用部材。
  4. 前記連接外側部の円換算直径をD1とし、前記連接内側部の円換算直径をD2としたときに、1.3≦D2/D1≦1.7の関係である請求項1から3のいずれか1項に記載の押釦スイッチ用部材。
  5. 前記押圧部は、その天面側に開口して前記天面から内方に向かう穴部を備える請求項1から4のいずれか1項に記載の押釦スイッチ用部材。
  6. 前記薄肉可動部により形成されているドームの内側空間であって前記押圧部の直下位置に、前記押圧部と反対側に突出する接点部を、さらに備える請求項1からのいずれか1項に記載の押釦スイッチ用部材。
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