JP6882396B2 - 水素製造装置及びその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水素製造装置及びその制御方法に関する。
従来、原料ガスから不純物を除去して精製ガスに精製するガス精製器としてPSA(Pressure Swing Adsorption)装置が知られている。
例えば、水素製造装置では、原料炭化水素を水蒸気改質装置で改質ガスに改質した後、PSA装置(水素精製器)へ供給し、改質ガスから不純物を除去して水素ガスに精製している。具体的には、PSA装置内にある吸着剤が配置された吸着塔に改質ガスを供給することによって、改質ガス中の不純物を吸着剤に吸着させて分離し、水素ガスに精製する。
特許文献1には、三つの吸着塔を有するPSA装置を含む水素製造装置が提案されている。このPSA装置では、出力変動を予測して原料ガスの導入量及び昇圧や均圧等の各工程の所要時間を制御している。
特開2001−279267号公報
しかし、ガス使用先のガス使用量(負荷変動)に対応してPSA装置の各工程を時間制御する場合、ガス使用量(負荷)に対応して細かく時間を設定する必要があり、制御が複雑になる。
特に、水素ガスの使用量が変動した場合には、水素製造装置においてPSA装置に供給する改質ガスの供給流量を変動させる必要がある。しかしながら、水素製造装置では改質器内の熱収支を維持しつつ改質ガスの供給流量を変更しなくてはならないため、改質ガスの供給流量変更は漸減的になる。したがって、PSA装置では、供給される改質ガスの供給流量の漸減的な変化に対応して各工程の時間制御をしなくてはならず、制御が一層複雑になる。
本発明は、全てを時間制御する場合と比較して簡単な制御で、負荷変動に対応して運転制御可能である水素製造装置及びその制御方法を提供することである。
請求項1記載の水素製造装置は、炭化水素を水蒸気改質し、水素ガス使用量に対応した量の改質ガスを生成する改質器と、前記改質ガスを圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された改質ガスから不純物を分離して水素ガスに精製するガス精製装置と、を備え、前記ガス精製装置は、前記改質ガス中の不純物を吸着する吸着剤が充填されており、前記改質ガスから不純物を除去した水素ガスを送出する吸着工程と、前記吸着剤から前記不純物を除去する脱着工程が行われる複数の吸着塔と、各前記吸着塔内の圧力をそれぞれ検出する圧力検出手段と、装置の最大負荷で運転される定格運転時には各吸着塔の吸着工程において、前記吸着塔内の圧力を昇圧させ、前記水素ガスを送出するパージカット過程と、前記パージカット過程に続いて行われ前記水素ガスを脱着工程中の吸着塔に供給するパージ過程と、を設定時間に基づいて切り換えると共に、装置の負荷が最大負荷から変動する負荷変動運転時には各吸着塔の吸着工程において前記圧力検出手段で検出された当該吸着塔内の圧力が閾値圧力に到達した時に当該吸着塔を前記パージカット過程から前記パージ過程に切り換える制御手段と、を有する。
この水素製造装置では、定格運転時には改質器から圧縮機を介してガス精製装置に所定量の改質ガスを供給する。ガス精製装置では、制御手段によって、定格運転時に各吸着塔の吸着工程において、当該吸着塔内の圧力を昇圧させて水素ガスを送出するパージカット過程と、パージカット過程に続いて行われ脱着工程中の吸着塔に水素ガスを供給するパージ過程と、を設定時間に基づいて切り換えている。すなわち、吸着工程中の各過程を設定時間に基づいて制御している。
一方、水素製造装置の負荷が定格運転時から変更された負荷変動運転時には、改質器から圧縮機を介してガス精製装置に供給される改質ガスの供給流量が変動する。そこで、ガス精製装置では、制御手段によって、吸着工程において吸着塔内の圧力が閾値圧力に到達した時にその吸着塔をパージカット過程から前記パージ過程に切り換える。
水素製造装置は、水素ガス使用量に基づいて負荷が変動した場合、ガス精製装置に対する改質ガスの供給流量を変動させることで水素ガスの製造量を調整する。この結果、負荷変動運転時には、各吸着塔に供給される改質ガスの供給流量が変動し、その吸着塔内の圧力の上昇速度が変動する。したがって、パージカット過程の時間を設定することが煩雑又は困難である。なお、「水素ガス使用量」とは、水素製造装置で製造された水素ガスの水素ガス利用者側の使用量を意味する。
特に、改質器では熱収支を維持しつつ改質ガスの生成量を変動させるため、改質ガスの供給流量の変化は漸減的である。したがって、ガス精製装置において、負荷変動運転時にパージカット過程の時間を設定するのは一層煩雑又は困難である。
そこで、この水素製造装置では、負荷変動運転時に各吸着塔の吸着工程におけるパージカット過程からパージ過程への切り換えを圧力で制御することにより、負荷変動時にこの切り換えを時間制御する場合と比較して簡単な制御で行うことができる。
すなわち、この水素製造装置では、定格運転を時間制御すると共に、負荷変動運転時に圧力制御も組み合わせることにより、負荷の変動に拘らず簡単な制御で水素ガスを製造することができる。
請求項2記載の水素製造装置は、請求項1記載の水素製造装置において、前記負荷変動運転時において、前記パージ過程の設定時間は当該パージ過程直前の前記パージカット過程の実施時間に基づいて設定されており、前記実施時間が長いほど前記設定時間は長い。
この水素製造装置では、ガス精製装置における負荷変動運転時のパージ過程の設定時間をそのパージ過程直前のパージカット過程の実施時間に基づいて設定している。すなわち、パージカット過程の実施時間が長いほど、パージ過程の設定時間を長く設定している。
ガス精製装置において、パージカット過程の実施時間は負荷変動により変動する。すなわち、負荷が相対的に高い場合には、ガス精製装置に対する改質ガスの供給流量が相対的に大きいため、吸着塔の圧力上昇速度が相対的に高く、相対的に短い時間で閾値圧力に到達する。この結果、パージカット時間が相対的に短くなる。一方、負荷が相対的に低い場合には、ガス精製装置に対する改質ガスの供給流量が相対的に小さいため、吸着塔内における圧力上昇速度が相対的に低く、相対的に長い時間で閾値圧力に到達する。この結果、パージカット時間は相対的に長くなる。
しかしながら、負荷(吸着塔内の圧力上昇速度)の大小に拘らずパージカット終了時の吸着塔の圧力は閾値圧力で一定となるため、その吸着塔内の吸着剤に吸着される不純物量も略一定となる。したがって、パージに必要とされる水素ガス量も略一定となる。
ここで、パージ過程で吸着工程中の吸着塔から脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガス流量も、負荷が相対的に大きいほど相対的に高い。したがって、脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガス量が所定量に到達するまでの時間も相対的に短くなる。
一方、パージ過程で吸着工程中の吸着塔から脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガス流量も、負荷が相対的に小さいほど相対的に低い。したがって、脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガス量が所定量に到達するまでの時間も相対的に長くなる。
そこで、この水素製造装置では、吸着工程中の吸着塔においてパージ過程直前までのパージカット過程の実施時間に基づいてパージ過程の設定時間を設定する。すなわち、パージカット過程の実施時間が相対的に長いほど相対的に長いパージ過程の設定時間を設定する。これにより、簡単な制御で、負荷変動(吸着塔に対する改質ガス流量変動)に拘らず、吸着工程中の吸着塔から脱着工程中の吸着塔に一定量の水素ガスを供給することができ、その吸着塔の吸着剤から不純物を良好に除去できる。
また、パージカット過程の実施時間(負荷)に対応してバージ過程の設定時間を設定することにより、パージ過程にかける時間が適切となり、水素製造装置の水素ガスの生産性を向上させることができる。
請求項3記載の水素製造装置の制御方法は、炭化水素を水蒸気改質し、水素ガス使用量に対応した量の改質ガスを生成する改質器と、前記改質ガスを圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された改質ガスから不純物を分離して水素ガスに精製するガス精製装置と、を備え、前記ガス精製装置は、前記改質ガス中の不純物を吸着する吸着剤が充填されており、前記改質ガスから不純物を除去した水素ガスを送出する吸着工程と、前記吸着剤から前記不純物を除去する脱着工程が行われる複数の吸着塔を有し、装置の最大負荷で運転される定格運転時には各吸着塔の吸着工程において、前記吸着塔内の圧力を昇圧させ、前記水素ガスを送出するパージカット過程と、前記パージカット過程に続いて行われ前記水素ガスを脱着工程中の吸着塔に供給するパージ過程と、を設定時間に基づいて切り換えると共に、装置の負荷が最大負荷から変動する負荷変動運転時には各吸着塔の吸着工程において当該吸着塔内の圧力が閾値圧力に到達した時に当該吸着塔を前記パージカット過程から前記パージ過程に切り換える。
この水素製造装置の制御方法では、定格運転時には改質器から圧縮機を介してガス精製装置に所定量の改質ガスを供給する。ガス精製装置では、制御手段によって、定格運転時に各吸着塔の吸着工程において、当該吸着塔内の圧力を昇圧させて水素ガスを送出するパージカット過程と、パージカット過程に続いて行われ脱着工程中の吸着塔に水素ガスを供給するパージ過程と、を設定時間に基づいて切り換えている。すなわち、吸着工程中の各過程を設定時間に基づいて制御している。
一方、水素製造装置の負荷が定格運転時から変更された負荷変動運転時には、改質器から圧縮機を介してガス精製装置に供給される改質ガスの供給流量が変動する。そこで、ガス精製装置では、制御手段によって、吸着工程において吸着塔内の圧力が閾値圧力に到達した時にその吸着塔をパージカット過程から前記パージ過程に切り換える。
水素製造装置は、水素ガス使用量に基づいて負荷が変動した場合、ガス精製装置に対する改質ガスの供給流量を変動させることで水素ガスの製造量を調整する。この結果、負荷変動運転時には、各吸着塔に供給される改質ガスの流量が変動し、吸着塔内の圧力の上昇速度が変動する。したがって、パージカット過程の時間を設定することが煩雑又は困難である。なお、「水素ガス使用量」とは、水素製造装置で製造された水素ガスの水素ガス利用者側の使用量を意味する。
特に、改質器では熱収支を維持しつつ改質ガスの生成量を変動させるため、改質ガスの供給流量の変化は漸減的である。したがって、ガス精製装置において、負荷変動運転時にパージカット過程の時間を設定するのは一層煩雑又は困難である。
そこで、この水素製造装置では、負荷変動運転時に各吸着塔の吸着工程におけるパージカット過程からパージ過程への切り換えを圧力で制御することにより、負荷変動時にこの切り換えを時間制御する場合と比較して簡単な制御で行うことができる。
すなわち、この水素製造装置では、定格運転を時間制御すると共に、負荷変動運転時に圧力制御も組み合わせることにより、負荷の変動に拘らず簡単な制御で水素ガスを製造することができる。
請求項4記載の水素製造装置の制御方法は、請求項3記載の水素製造装置の制御方法において、前記負荷変動運転時において、前記パージ過程の設定時間は当該パージ過程直前の前記パージカット過程の実施時間に基づいて設定されており、前記実施時間が長いほど前記設定時間は長い。
この水素製造装置では、ガス精製装置における負荷変動運転時のパージ過程の設定時間をそのパージ過程直前のパージカット過程の実施時間に基づいて設定している。すなわち、パージカット過程の実施時間が長いほど、パージ過程の設定時間を長く設定している。
ガス精製装置において、パージカット過程の実施時間は、負荷変動により変動する。すなわち、負荷が相対的に高い場合には、ガス精製装置に対する改質ガスの供給流量が相対的に大きいため、吸着塔の圧力上昇速度が相対的に高く、相対的に短い時間で閾値圧力に到達する。この結果、パージカット時間が相対的に短くなる。一方、負荷が相対的に低い場合には、ガス精製装置に対する改質ガスの供給流量が相対的に小さいため、吸着塔内における圧力上昇速度が相対的に低く、相対的に長い時間で閾値圧力に到達する。この結果、パージカット時間は相対的に長くなる。
しかしながら、負荷(吸着塔内の圧力上昇速度)の大小に拘らずパージカット終了時の吸着塔の圧力は閾値圧力で一定となるため、その吸着塔内の吸着剤に吸着される不純物量も略一定となる。したがって、パージに必要とされる水素ガス量も略一定となる。
ここで、パージ過程で吸着工程中の吸着塔から脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガス流量も、負荷が相対的に大きいほど相対的に高い。したがって、脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガス量が所定量に到達するまでの時間も相対的に短くなる。
一方、パージ過程で吸着工程中の吸着塔から脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガス流量も、負荷が相対的に小さいほど相対的に低い。したがって、脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガス量が所定量に到達するまでの時間も相対的に長くなる。
そこで、この水素製造装置では、吸着工程中の吸着塔においてパージ過程直前までのパージカット過程の実施時間に基づいてパージ過程の設定時間を設定する。すなわち、パージカット過程の実施時間が相対的に長いほど相対的に長いパージ過程の設定時間を設定する。これにより、簡単な制御で、負荷変動(吸着塔に対する改質ガス流量変動)に拘らず、吸着工程中の吸着塔から脱着工程中の吸着塔に一定量の水素ガスを供給することができ、その吸着塔の吸着剤から不純物を良好に除去できる。
また、パージカット過程の実施時間(負荷)に対応してバージ過程の設定時間を設定することにより、パージ過程にかける時間が適切となり、水素製造装置の水素ガスの生産性を向上させることができる。
請求項1、2記載の発明に係る水素製造装置、及び請求項3、4記載の発明に係る水素製造装置の制御方法では、上記構成としたので、全て時間で制御する場合と比較して簡単な制御で水素ガスを製造することができる。
一実施形態に係る水素製造装置を示した概略構成図である。 一実施形態に係るPSA装置を示した概略構成図である。 一実施形態に係るPSA装置のハードウェア構成を示したブロック図である。 一実施形態に係るPSA制御部のハードウェア構成を示したブロック図である。 一実施形態に係るPSA装置の定格運転時の電磁開閉弁の切換制御のタイミングチャートと、各吸着塔の内部圧力変化を示す図である。 (A)は、一実施形態に係るPSA装置の定格運転時における各工程と各過程の設定時間を示す図であり、(B)はパージカット過程の実施時間とパージ過程の設定時間を対応を示した図であり、図(C)は負荷変動運転時における各工程と各過程の設定時間を示す図である。 一実施形態に係るPSA装置の昇圧過程における電磁開閉弁の開閉状態を示す図である。 一実施形態に係るPSA装置の水素送出過程における電磁開閉弁の開閉状態を示す図である。 一実施形態に係るPSA装置のパージ過程における電磁開閉弁の開閉状態を示す図である。 一実施形態に係るPSA装置の排気停止過程における電磁開閉弁の開閉状態を示す図である。 一実施形態に係るPSA装置の均圧工程における電磁開閉弁の開閉状態を示す図である。 一実施形態に係るPSA装置において、吸着塔を切り換えたタイミングにおける電磁開閉弁の開閉状態を示す図である。 一実施形態に係るPSA装置の負荷変動運転時のパージカット過程の実施時間が相対的に短い場合における電磁開閉弁の切換制御のタイミングチャートと、各吸着塔の内部圧力変化を示す図である。 一実施形態に係るPSA装置の負荷変動運転時のパージカット過程の実施時間が相対的に長い場合における電磁開閉弁の切換制御のタイミングチャートと、各吸着塔の内部圧力変化を示す図である。
一実施形態に係る水素製造装置及びその制御方法を図1〜図14を参照して説明する。
〈水素製造装置〉
水素製造装置10は、図1に示すように、炭化水素(都市ガス)から水蒸気改質した改質ガスを生成する改質器20と、改質ガスを圧縮する圧縮機30と、圧縮された改質ガスから不純物を除去して水素ガスを精製するPSA装置40と、を備えている。
また、水素製造装置10は、圧縮機30の上流側、下流側でそれぞれ改質ガスから水分を分離・除去する昇圧前水分離部50、昇圧後水分離部60と、改質器20の後述する燃焼排ガスから水分を分離・除去する燃焼排ガス水分離部70と、を備えている。
なお、この水素製造装置10は、炭化水素原料から水素を製造するものであり、本実施形態では、炭化水素原料の一例としてメタンを主成分とする都市ガスが用いられる場合について説明する。
(改質器)
改質器20は、原料として供給される都市ガスと改質用の水とを混合しつつ加熱し、混合ガスを発生させる予熱流路と、水蒸気改質反応によって、混合ガスから水素を主成分とする改質ガスG1を生成する改質触媒層とを備えている。改質ガスG1には、水素、一酸化炭素、水蒸気、メタンが含まれている。
また、改質器20は、改質ガスG1に含まれる一酸化炭素と水蒸気とが反応して、水素と二酸化炭素とに変換された改質ガスG2を生成する(水性シフト反応が行われる)CO変成触媒層を備えている。改質ガスG2は、改質ガスG1に比べて一酸化炭素が低減される構成である。この改質ガスG2が、改質ガス排出管24に送出される構成である。
さらに、改質器20には、バーナーが配置された燃焼室22が設けられており、バーナーに都市ガス又はオフガスが燃料として供給され、燃焼室22で空気と混合されて燃焼され、燃焼排ガスがガス排出管26へ案内される構成である。なお、この燃焼熱によって、水蒸気改質反応が促進される構成である。
改質器20において生成された改質ガスは、図1に示すように、昇圧前水分離部50、圧縮機30、昇圧後水分離部60、及びPSA装置40をこの順番で流れる。つまり、ガスの流れ方向において、上流側から下流側に、改質器20、昇圧前水分離部50、圧縮機30、昇圧後水分離部60、及びPSA装置40がこの順番で配置されている。
(昇圧前水分離部)
昇圧前水分離部50には、改質器20から改質ガスG2を流入させる改質ガス排出管24の下流端が接続されている。昇圧前水分離部50の底部には水回収管52が接続され、昇圧前水分離部50の上部には連絡流路管54が接続されている。
改質ガス排出管24上には、チラー56で冷却された水と改質ガスG2とを熱交換する熱交換器HE1が設けられている。
すなわち、改質ガスG2は、昇圧前水分離部50の上流の改質ガス排出管24に配置された熱交換器HE1において、冷却水との熱交換による冷却により水が凝縮されて分離され、昇圧前水分離部50の下部に水(液相)が貯留可能とされている。当該水(液相)は、水回収管52へ送出される構成である。改質ガスG2から水が凝縮された後の改質ガスG3は、連絡流路管54へ送出される構成である。
なお、連絡流路管54上において、昇圧前水分離部50と圧縮機30との間には、バッファタンク58が配設されている。
(圧縮機)
圧縮機30には、昇圧前水分離部50からの改質ガスG3が流れる連絡流路管54と、昇圧後水分離部60へ供給される改質ガスG3が圧縮された改質ガスG4が流れる連絡流路管32とが接続されている。圧縮機30は、昇圧前水分離部50から供給された改質ガスG3を圧縮し、圧縮された改質ガスG4を昇圧後水分離部60へ供給可能とされている。
(昇圧後水分離部)
昇圧後水分離部60には、圧縮機30から改質ガスG4を流入させる連絡流路管32の下流端が接続されている。昇圧後水分離部60の底部には水回収管62が接続され、昇圧後水分離部60の上部には連絡流路管64が接続されている。
連絡流路管32上には、チラー66で冷却された水と改質ガスG4とを熱交換する熱交換器HE2が設けられている。
すなわち、改質ガスG4は、昇圧後水分離部60の上流の連絡流路管32に配置された熱交換器HE2において、冷却水との熱交換による冷却により水が凝縮されて分離され、昇圧後水分離部60の下部に水(液相)が貯留可能とされている。当該水(液相)は、水回収管62へ送出される構成である。改質ガスG4から水が凝縮された後の改質ガスG5は、連絡流路管64へ送出される構成である。
なお、連絡流路管64上において、昇圧後水分離部60とPSA装置40との間には、バッファタンク68が配設されている。
(PSA装置(概略))
PSA装置40には、昇圧後水分離部60からの改質ガスG5が流れる連絡流路管64の下流端と、精製された水素(ガス)が送出される水素供給管42の上流端と、PSA装置40で分離されたオフガスが送出されるオフガス供給管44の上流端とが接続されている。さらに、PSA装置40には、内部の水素(ガス)圧力が過剰となった場合に、水素製造装置10の外部に水素を排出するベント管45の上流端が接続されている。
PSA装置40は、水素精製器として用いられるものである。このPSA装置40は、一対の吸着塔を備え、一方の吸着塔で吸着剤に不純物を吸着させる吸着工程を行い、他方の吸着塔で吸着剤に吸着した不純物を脱着させる脱着工程を行い、次に一方の吸着塔で脱着工程、他方の吸着塔で吸着工程を行う。これを周期的に繰り返すことで、改質ガスG5を水素と一酸化炭素を含む不純物(オフガスOG)とに連続的に分離して、精製された水素が水素供給管42に送出される構成である。
一方、オフガス供給管44は、改質器20の燃焼室22に連通している。また、オフガス供給管44上には、オフガスバッファタンク46が設けられている。したがって、オフガスOGは、オフガスバッファタンク46を介して改質器20の燃焼室22にバーナーの燃料として供給される構成である。
なお、PSA装置40の詳細については、後述する。また、PSA装置40が「ガス精製装置」に相当する。
(燃焼排ガス水分離部)
燃焼排ガス水分離部70には、改質器20の燃焼室22から燃焼排ガスを導くガス排出管26の下流端が接続されている。燃焼排ガス水分離部70の底部には水回収管72が接続され、燃焼排ガス水分離部70の上部にはガス排出管74が接続されている。
ガス排出管26上には、チラー76で冷却された水と燃焼排ガスとを熱交換する熱交換器HE3が設けられている。
すなわち、燃焼室22から排出される燃焼排ガスは、燃焼排ガス水分離部70の上流のガス排出管26に配置された熱交換器HE3において、冷却水との熱交換による冷却により水が凝縮されて分離され、燃焼排ガス水分離部70の下部に水(液相)が貯留可能とされている。当該水(液相)は、水回収管72へ送出される構成である。水が凝縮された後の燃焼排ガスは、ガス排出管74から外気中へ排出される構成である。
水回収管52、62、72の各々の下流端は、改質用水供給管80に接続されている。改質用水供給管80には、溶存イオン成分を除去するための水処理器(イオン交換樹脂)82が設けられている。また、改質用水供給管80には、外部水供給部84が接続されている。外部水供給部84から改質用水供給管80に、例えば純水または市水が供給される構成である。
さらに、改質用水供給管80には、ポンプP1が設けられている。昇圧前水分離部50、昇圧後水分離部60、燃焼排ガス水分離部70で分離された水、又は外部水供給部84から供給された水は、ポンプP1によって改質器20へ供給される構成である。
(PSA装置(詳細))
PSA装置40の内部構造について図2を参照して詳細に説明する。
図2に示すように、PSA装置40は、それぞれ改質ガスG5の不純物を吸着させる吸着剤が内部に配設された第1吸着塔102、第2吸着塔104と、改質ガスG5を精製して製造された製品水素ガスを貯留する水素ガス貯留タンク106と、を有する。
PSA装置40において、第1吸着塔102と第2吸着塔104の原料ガス(改質ガスG5)供給側には、一端が連絡流路管64に接続される原料ガス供給流路108と、原料ガス供給流路108の他端から分岐された原料ガス供給分岐流路110A、110Bと、原料ガス供給分岐流路110A、110Bにそれぞれ接続される共通流路112A、112Bと、が配設されている。
すなわち、第1吸着塔102には、原料ガス供給流路108、原料ガス供給分岐流路110A、共通流路112Aを介して連絡流路管64から改質ガスG5が供給可能に構成されている。
同様に、第2吸着塔104には、原料ガス供給流路108、原料ガス供給分岐流路110B、共通流路112Bを介して連絡流路管64から改質ガスG5が供給可能に構成されている。
また、原料ガス供給分岐流路110A、110Bには、それぞれ電磁開閉弁114A、114Bが配設されており、電磁開閉弁114A、114Bの開閉によって第1吸着塔102、第2吸着塔104と原料ガス供給流路108(連絡流路管64)とが連通又は遮断される構成である。
PSA装置40において、第1吸着塔102と第2吸着塔104のオフガス排出側には、オフガス供給管44に一端が接続されたオフガス排出流路116と、オフガス排出流路116の他端で分岐されたオフガス排出分岐流路118A、118Bと、オフガス排出分岐流路118A、118Bがそれぞれ接続される共通流路112A、112Bと、が設けられている。
すなわち、第1吸着塔102から排出されたオフガスは、共通流路112A、オフガス排出分岐流路118A、オフガス排出流路116を介してオフガス供給管44に送出可能に構成されている。
同様に、第2吸着塔104から排出されたオフガスは、共通流路112B、オフガス排出分岐流路118B、オフガス排出流路116を介してオフガス供給管44に送出可能に構成されている。
なお、オフガス排出分岐流路118A、118Bには、それぞれ電磁開閉弁120A、120Bが配設されており、電磁開閉弁120A、120Bの開閉によって第1吸着塔102、第2吸着塔104とオフガス排出流路116(オフガス供給管44)とが連通又は遮断される構成である。
さらに、共通流路112Aと共通流路112Bは、連絡流路122で接続されている。
したがって、第1吸着塔102と第2吸着塔104は、共通流路112A、連絡流路122、共通流路112Bを介して連通されている。
なお、連絡流路122上には、一対の電磁開閉弁124A、124Bが配設されており、一対の電磁開閉弁124A、124Bの開閉によって第1吸着塔102と第2吸着塔104とが連通又は遮断される構成である。
第1吸着塔102、第2吸着塔104の精製ガス(製品水素ガス)の送出側には、水素ガス貯留タンク106に一端が接続された製品水素ガス送出流路126と、製品水素ガス送出流路126の他端が接続される製品水素ガス送出分岐流路128A、128Bと、製品水素ガス送出分岐流路128Aと第1吸着塔102とを連通させる共通流路130Aと、製品水素ガス送出分岐流路128Bと第2吸着塔104とを連通させる共通流路130Bと、が設けられている。
なお、製品水素ガス送出分岐流路128A、128B上には、それぞれ電磁開閉弁132A、132Bが配設されており、電磁開閉弁132A、132Bを開閉することにより、第1吸着塔102、第2吸着塔104と水素ガス貯留タンク106とが連通又は遮断される構成である。
また、共通流路130A、130B間には、両者を接続する連絡流路134が設けられている。連絡流路134の略中央には、局部的に縮径されたオリフィス136が設けられている。また、連絡流路134においてオリフィス136の両側には、それぞれ電磁開閉弁138A、138Bが配設されている。
したがって、電磁開閉弁138A、138Bを開閉することにより、第1吸着塔102と第2吸着塔104とが共通流路130A、連絡流路134(オリフィス136)、共通流路130Bを介して連通又は遮断される構成である。
また、連絡流路134において電磁開閉弁138Aよりも共通流路130A側と電磁開閉弁138Bよりも共通流路130B側とを連通させた連絡流路140が設けられており、連絡流路140上にも一対の電磁開閉弁142A、142Bが配設されている。
したがって、電磁開閉弁142A、142Bを開閉することにより、第1吸着塔102と第2吸着塔104とが連絡流路140を介して(オリフィス136を介さずに)連通又は遮断される構成である。
水素ガス貯留タンク106の下流側には、製品水素ガス供給流路144の一端が接続されており、製品水素ガス供給流路144の他端が水素供給管42に接続されている。
製品水素ガス供給流路144上には、上流側からプレッシャーレギュレータ148、マスフロコントローラ150、電磁開閉弁152が配設されている。なお、マスフロコントローラ150は省略しても良い。
プレッシャーレギュレータ148は、製品水素ガスを所定の圧力に調整して水素ガス利用者側に供給するものである。
マスフロコントローラ150は、製品水素ガスの流量を調整するものである。
電磁開閉弁152は、水素ガス貯留タンク106と水素供給管42とを連通又は遮断させるものである。すなわち、製品水素ガスを水素ガス利用者側に供給可能又は供給不能(遮断)とするものである。
なお、製品水素ガス供給流路144においてプレッシャーレギュレータ148の上流側から分岐して、PSA装置40の外部のベント管45に接続されるベント流路154が設けられている。ベント流路154には、所定圧力以上の場合のみ開放される逆止(リリーフ)弁156が設けられている。
したがって、製品水素ガス供給流路144においてプレッシャーレギュレータ148の上流側の圧力が過剰となった場合に逆止弁156が開放され、製品水素ガスがベント流路154からベント管45を介して水素製造装置10の外部に排出される構成である。
原料ガス供給流路108、第1吸着塔102、第2吸着塔104、製品水素ガス供給流路144には、それぞれ圧力センサ160、162、164、166が配設されている。圧力センサ162、164が圧力検出手段に相当する。
原料ガス供給流路108に配設された圧力センサ160によってPSA装置40に供給された原料ガス、すなわち改質ガスG5の圧力が検出される構成である。
また、第1吸着塔102、第2吸着塔104にそれぞれ配設された圧力センサ162、164によって第1吸着塔102、第2吸着塔104の内部圧力がそれぞれ検出される構成である。
さらに、製品水素ガス供給流路144においてプレッシャーレギュレータ148とマスフロコントローラ150との間に配設された圧力センサ166によってPSA装置40から供給される製品水素ガスの圧力が検出される構成
である。
(制御部)
PSA装置40は、PSA制御部170を有している。PSA制御部170は、図3に示すように、電磁開閉弁114A、114B、120A、120B、124A、124B、132A、132B、138A、138B、142A、142B、152(以下、「電磁開閉弁114A〜152」という)、及び圧力センサ160、162、164、166と図示しない信号線で接続されており、後述する制御プログラムに沿って圧力センサ162、164の検出値等に基づいて各電磁開閉弁114A〜152を開閉制御するものである。
なお、PSA制御部170及び電磁開閉弁114A〜152が「制御手段」に相当する。
次に、PSA制御部170のハードウェア構成について説明する。
図4に示すように、PSA制御部170は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)172、ROM(Read Only Memory)174、RAM(Random Access Memory)176、ストレージ178、及びインタフェース180を含んで構成されている。各構成は、バス182を介して相互に通信可能に接続されている。
CPU172は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU172は、ROM174又はストレージ178からプログラムを読み出し、RAM176を作業領域としてプログラムを実行する。CPU172は、ROM174又はストレージ178に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
ROM174は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM176は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ178は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データが格納されている。例えば、後述する定格運転制御プログラムや負荷変動運転制御プログラムがストレージ178に格納されている。また、負荷変動運転時に、後述するパージカット時間tpcに基づいてパージ時間tpを決定するためのテーブル(図6(B)参照)がストレージ178に格納されている。
インタフェース180は、PSA制御部170が他の機器と接続するためのインタフェースである。
(作用)
次に、水素製造装置10及びPSA装置40の作用について説明する。先ず、水素製造装置10の作用について説明する。
図1に示すように、水素製造装置10の改質器20へ供給された都市ガスは、予熱流路で改質用の水と混合されつつ加熱され、改質触媒層へ供給される。改質触媒層では、燃焼室22の燃焼排ガスからの熱を受け、水蒸気改質反応によって混合ガスから水素を主成分とする改質ガスG1が生成される。この改質ガスG1は、改質ガス流路を通ってCO変成触媒層へ供給される。CO変成触媒層では、改質ガスG1に含まれる一酸化炭素と水蒸気が反応して、水素と二酸化炭素に変換され、一酸化炭素が低減された改質ガスG2は、改質ガス排出管24へ送出される。
この際、改質器20の燃焼室22では、供給された都市ガス又はオフガスと空気とが混合された気体がバーナーによって燃焼される。燃焼排ガスは、燃焼室22からガス排出管26を介して燃焼排ガス水分離部70へ供給される。図1に示すように、燃焼排ガスに含まれる水は、熱交換器HE3での熱交換により冷却されて凝縮され、燃焼排ガス水分離部70に貯留され、水回収管72へ送出される。水が分離された燃焼排ガスは、ガス排出管74から外気中へ排出される。
一方、図1に示すように、改質ガスG2は、改質ガス排出管24を経て、昇圧前水分離部50へ供給される。昇圧前水分離部50では、熱交換器HE1での熱交換による冷却により凝縮された水が貯留され、水回収管52へ送出される。改質ガスG2から水が分離された改質ガスG3は、連絡流路管54からバッファタンク58を介して圧縮機30へ供給され、圧縮機30によって圧縮される。
改質ガスG3が圧縮された改質ガスG4は、連絡流路管32から昇圧後水分離部60へ供給される。昇圧後水分離部60では、熱交換器HE2での熱交換による冷却により凝縮された水が貯留され、水回収管62へ送出される。改質ガスG4から水が分離された改質ガスG5は、連絡流路管64からバッファタンク68を介してPSA装置40へ供給される。
なお、昇圧前水分離部50、昇圧後水分離部60、燃焼排ガス水分離部70からそれぞれ水回収管52、62、72に送出された水は、改質用水供給管80に戻される。ポンプP1の駆動により、改質用水供給管80から改質器20に改質水として供給される。
PSA装置40では、圧力スイング方式が採用されており、一対の吸着塔の一方では吸着剤に水素以外の不純物が吸着され、他方の吸着塔では吸着剤に吸着された不純物が脱着されている。PSA装置40では、この吸着工程と脱着工程をそれぞれの吸着塔で一定の周期で繰り返すことにより、改質ガスG5から連続的に水素と不純物が分離されて水素が精製される。
続いて、PSA装置40の具体的動作について図5〜図14を参照して説明する。
図5は、第1吸着塔102、第2吸着塔104の工程と、電磁開閉弁114A〜152の開閉タイミングを記載したタイミングチャートと、その際の第1吸着塔102、104内の圧力変化(実線が第1吸着塔102内の圧力(圧力センサ162の検出値)、破線が第2吸着塔104内の圧力(圧力センサ164の検出値))を示したものである。図13及び図14も同様である。
(定格運転時)
先ず、PSA装置40の定格運転について図5〜図12を参照して説明する。この場合には、PSA制御部170は、定格運転制御プログラムをストレージ178から読み出し、実行することにより、電磁開閉弁114A〜152の開閉制御を行うものである。
ここで、第1吸着塔102、第2吸着塔104における吸着工程(吸着工程内の昇圧過程、水素送出過程、パージ過程、排気停止過程の各過程)、均圧工程、脱着工程、均圧工程の切り換えは、それぞれの設定時間によって基本的に制御されている。定格運転時の各工程、各過程の設定時間を図6(A)に示す。なお、吸着工程における昇圧過程、水素送出過程をまとめたものをパージカット過程という場合がある。
但し、後述するように、吸着塔内部の圧力が吸着工程の設定時間内に第1閾値圧力Th1に到達した場合には、次工程に切り換えられる構成である。
なお、水素製造装置10の改質器20及び圧縮機30は連続的に運転され、改質器20で製造され、圧縮機30で圧縮された改質ガスG5が連続的にPSA装置40に供給されている。
第1吸着塔102が吸着工程、第2吸着塔104が脱着工程で開始される状態から説明する。なお、各電磁開閉弁の開閉は、PSA制御部170からの制御信号によって制御されている。
図5及び図7に示すように、先ず、時刻T0において、PSA制御部170からの制御信号により電磁開閉弁114Aが開弁され、連絡流路管64から原料ガス供給流路108を介して第1吸着塔102に改質ガスG5が供給される。この際、第1吸着塔102の下流側に位置する電磁開閉弁132A、138A、142Aは全て閉弁している。この結果、第1吸着塔102内の圧力が上昇する(昇圧過程)。
なお、電磁開閉弁114A〜152の開閉がPSA制御部170からの制御信号に基づいて行われることは明らかであるため、以下の各電磁開閉弁114A〜152の開閉については「PSA制御部170からの制御信号により」の記述を省略する。
また、時刻T0において、電磁開閉弁120Bが開弁され、第2吸着塔104がオフガス排出流路116と連通される。これにより、第2吸着塔104からオフガス排出流路116を介してオフガス供給管44にオフガスOGが排出される。
なお、図7において、PSA装置40の各流路のうち太線で記載されている部分が、ガスが流れている部分である。また、図7において、電磁開閉弁114A〜152が黒塗りで示されている場合は閉弁状態を表し、白抜きで示されている場合は開弁状態を表す。以下、他の図でも同様である。
次に、図5及び図8に示すように、時刻T0から設定時間t1経過後の時刻T1で電磁開閉弁132Aを開弁する。換言すれば、第1吸着塔102内の圧力が十分に上昇し、吸着剤が不純物を十分に吸着して第1吸着塔102から所定の純度の水素ガスが送出可能となるように、設定時間t1が設定されている。これにより、第1吸着塔102と水素ガス貯留タンク106とを連通させ、第1吸着塔102で精製された精製水素ガスを水素ガス貯留タンク106に供給する(水素送出過程)。
なお、PSA装置40の定格運転中は、電磁開閉弁152は常時開弁されており、水素ガス貯留タンク106から送出された製品水素ガスは、プレッシャーレギュレータ148で所定圧力とされ、マスフロコントローラ150で所定流量とされた後、水素供給管42を介して水素ガス利用者側に供給される。
さらに、図5及び図9に示すように、時刻T1から設定時間t2経過後の時刻T2で、電磁開閉弁138A、138Bを開弁する。この結果、第1吸着塔102及び水素ガス貯留タンク106と第2吸着塔104とが、オリフィス136を介して連通する。これにより、第1吸着塔102又は水素ガス貯留タンク106から第2吸着塔104に精製された水素ガスが供給され、第2吸着塔104内の吸着剤に付着した不純物が水素ガスで除去され、オフガスとしてオフガス排出流路116からオフガス供給管44に排出される(パージ過程)。
また、図5及び図10に示すように、時刻T2から設定時間t3経過後の時刻T3で、電磁開閉弁120Bが閉弁される。すなわち、第2吸着塔104とオフガス排出流路116との連通が遮断される。これにより、第2吸着塔104では、オリフィス136から水素ガスが供給される一方、オフガスの排出が停止されるため、内部の圧力が上昇する(排気停止過程)。
さらに、図5及び図11に示すように、時刻T3から設定時間t4経過後の時刻T4で電磁開閉弁114A、132A、138A、138Bが閉弁される。これにより、第1吸着塔102が原料ガス供給流路108と遮断されると共に、水素ガス貯留タンク106及びオリフィス136と遮断される。
これにより、第1吸着塔102に改質ガスが供給されなくなると共に、第1吸着塔102から水素ガス貯留タンク106に精製された水素ガスが送出されることも停止される。
また、オリフィス136を介した第1吸着塔102と第2吸着塔104との連通も遮断される。
このタイミングで電磁開閉弁124A、124Bと電磁開閉弁142A、142Bが開弁される。これにより、第1吸着塔102の上流側と第2吸着塔104の上流側、第1吸着塔102の下流側と第2吸着塔104の下流側が連通される。
このように、第1吸着塔102と第2吸着塔104がオリフィス136を介さずに上流側と下流側で連通されることにより、圧力が均等化される(均圧工程)。
さらに、図5及び図12に示すように、時刻T4から設定時間Ts2経過後の時刻T5で、電磁開閉弁124A、124Bと電磁開閉弁142A、142Bが閉弁され、第1吸着塔102と第2吸着塔104との連通が遮断される。
同時に、電磁開閉弁114Bが開弁され、第2吸着塔104と原料ガス供給流路108とが連通され、連絡流路管64から原料ガス供給流路108を介して第2吸着塔104に改質ガスG5が供給される。
また、電磁開閉弁120Aが開弁され、第1吸着塔102とオフガス排出流路116とが連通され、第1吸着塔102からオフガス排出流路116を介してオフガス供給管44にオフガスが排出される。
以下、時刻T0から時刻T5までのタイミングと同様に、時刻T5から時刻T10までのタイミングで電磁開閉弁の開閉制御が行われることにより、第1吸着塔102で脱着工程と均圧工程が行われ、第2吸着塔104で吸着工程と均圧工程が行われる。これは、吸着塔を入れ替えただけで動作は同様であるので詳細な説明を省略する。
この後は、第1吸着塔102と第2吸着塔104を切換ながら、この制御を繰り返していく。
なお、このPSA装置40には、図5に示すように、定格運転時の第1吸着塔102、第2吸着塔104の最大圧力値よりも少し高い圧力に第1閾値圧力Th1が設定されている。
これは、PSA装置40の定格運転時に、何らかの事情より第1吸着塔102、第2吸着塔104内の圧力が第1閾値圧力Th1よりも高まった場合や、水素ガス貯留タンク106の圧力が高まった場合には、逆止弁156が開弁されることにより、水素ガス貯留タンク106からベント流路154、ベント管45を介して水素製造装置10の外部に水素が排出される(水素がベントされる)構成とされている。
したがって、PSA制御部170では、定格運転時時には、吸着工程、脱着工程、均圧工程や各過程の切り換えを設定時間に基づいて行うが、第1吸着塔102、第2吸着塔104内の圧力(圧力センサ162、164の検出値)が設定時間内に第1閾値圧力Th1に到達すると、吸着工程と脱着工程とを直ちに切り換える。これにより、第1吸着塔102、第2吸着塔104内の圧力が第1閾値圧力Th1を超えてPSA装置40のベント流路154からベント管45を介して水素ガスがベントされることを防止する構成である。本実施形態のように、吸着工程と脱着工程の間に均圧工程を挟んでいる場合には、吸着工程又は脱着工程から均圧工程に直ちに移行する構成である。
なお、「水素製造装置の定格運転」とは、水素製造装置10の定格(水素製造装置10の最大水素ガス生産能力=負荷100%)運転時に、改質器20で所定量の改質ガスG2を生成し、その改質ガスG2が圧縮機30で圧縮され、所定量の改質ガスG5として供給されることにより、PSA装置40の第1吸着塔102と第2吸着塔104の一方が吸着工程を行い、他方が脱着工程を行い、次に一方が脱着工程を行い、他方が吸着工程を行うことを繰り返し行い、改質ガスG5を所定純度以上の製品水素ガスに精製する運転のことをいう。本実施形態のように吸着塔(吸着工程と脱着工程)を切り換える際に、均圧工程を挟むものも含む。
(負荷変動運転)
次に、PSA装置40の負荷変動運転について、図6〜図14を参照して説明する。
水素ガス利用者側の水素ガス使用量が水素製造装置10の最大水素ガス生産量(負荷100%)から低下した場合に、水素製造装置10の図示しない制御部からPSA制御部170に負荷変動信号が入力される。
PSA制御部170では、負荷変動信号が入力されると、負荷変動運転制御プログラムをストレージ178から読み出し、実行することにより、電磁開閉弁114A〜152の開閉制御を行い、負荷変動運転が行われる。
なお、「水素製造装置(PSA装置)の負荷変動運転」とは、水素製造装置10の定格運転(負荷100%)に対して負荷100%未満のときの水素製造装置10の運転をいう。具体的には、負荷に対応した量の改質ガスG2を改質器20で生成し、その改質ガスG2が圧縮機30で圧縮され、所定量の改質ガスG5として供給されることにより、PSA装置40の第1吸着塔102と第2吸着塔104の一方が吸着工程を行い、他方が脱着工程を行い、次に一方が脱着工程を行い、他方が吸着工程を行うことを繰り返し行い、改質ガスG5を所定純度以上の製品水素ガスに精製する運転のことをいう。なお、「負荷変動運転」には、水素製造装置10の負荷が100%未満の場合の運転全て(例えば、負荷50%の運転と負荷100%から50%に移行する間の運転の双方)が該当する。
PSA制御部170では、負荷変動運転制御プログラムに従って上記定格運転と同様に時間制御を基本として制御する(図6(C)参照)。ただし、負荷変動運転時には、負荷変動によりPSA装置40に供給される改質ガスG5の流量が変動し、それにより吸着塔における圧力上昇速度が変化する。
特に、水素製造装置10の場合には、負荷変動運転時にPSA装置40に供給する改質ガスG5の流量を変化させることが必要だが、改質器20では熱収支を維持しつつ改質ガスの送出量を変化させるため、改質ガスG5の流量変化が漸減的となる。
このように、改質ガスG5の流量が漸減的に変化する場合に、それぞれの供給流量に対応してPSA装置40の各工程及び各過程の設定時間を設定することは煩雑であり、制御が複雑になる。
そこで、負荷変動運転時には、改質ガスG5の供給流量の変化による各吸着塔102、104内の圧力上昇速度の変化に対応するために定格運転時の水素送出過程の最大圧力値を第2閾値圧力Th2(<Th1)に設定しており、吸着塔内の圧力が第2閾値圧力Th2に到達した時にその吸着塔の水素送出過程を終了するように設定されると共に、パージカット過程(昇圧過程+水素送出過程)の実施時間(以下、「パージカット時間」という)に基づいてパージ過程の設定時間(以下、「パージ時間」という)を設定することで、制御の簡易化を図ったものである。なお、第2閾値圧力Th2が「閾値圧力」に相当する。
また、本実施形態のPSA装置40では、負荷変動運転は、水素ガス利用者側の使用量が増大して水素製造装置10の最大水素ガス生産能力(負荷100%)に復帰するまで継続される。
なお、水素製造装置10の改質器20及び圧縮機30は連続的に運転され、改質器20で製造され、圧縮機30で圧縮された改質ガスG5が連続的にPSA装置40に供給されている。
本実施形態では、第1吸着塔102が吸着工程、第2吸着塔104が脱着工程で開始される。なお、各電磁開閉弁の開閉は、PSA制御部170からの制御信号によって制御されている。
図13及び図7に示すように、先ず、時刻T11において、電磁開閉弁114Aが開弁され、連絡流路管64から原料ガス供給流路108を介して第1吸着塔102に改質ガスG5が供給される。この際、第1吸着塔102の下流側に位置する電磁開閉弁132A、138A、142Aは全て閉弁している。この結果、第1吸着塔102内の圧力が上昇する(昇圧過程)。
また、時刻T11において、電磁開閉弁120Bが開弁され、第2吸着塔104がオフガス排出流路116に連通される。これにより、第2吸着塔104からオフガス排出流路116を介してオフガス供給管44にオフガスOGが排出される。
次に、図13及び図8に示すように、時刻T11から設定時間t1(図6(C)参照)経過後の時刻T12で電磁開閉弁132Aを開弁する。これにより、第1吸着塔102と水素ガス貯留タンク106とを連通させ、第1吸着塔102で精製された精製水素ガスを水素ガス貯留タンク106に供給する(水素送出過程)。
ところで、水素製造装置10が定格運転から負荷変動運転に移行した場合には、負荷が100%から低下しているため、定格運転と比較してPSA装置40に供給される改質ガスG5の流量が低下する。この結果、第1吸着塔102の圧力上昇速度が低下する。
続いて、図13及び図9に示すように、第1吸着塔102内の圧力が第2閾値圧力Th2に到達した時刻T13で電磁開閉弁138A、138Bを開放する。これにより、第1吸着塔102又は水素ガス貯留タンク106と第2吸着塔104とが、オリフィス136を介して連通する。これにより、第1吸着塔102又は水素ガス貯留タンク106から第2吸着塔104に精製された水素ガスが供給され、第2吸着塔104内の吸着剤に付着した不純物が水素ガスで除去され、オフガスとしてオフガス排出流路116からオフガス供給管44に排出される(パージ過程)。
なお、負荷変動運転時にパージ過程が開始される時刻T13は、定格運転時のパージ過程開始時刻である時刻T2と比較して遅れている(T13−T11>T2−T0)。これは、上述のように、負荷変動運転では定格運転と比較して第1吸着塔102内の圧力の上昇速度が低いため、第2閾値圧力Th2に到達するまでの時間がかかるためである。ここで、水素送出過程に要した実施時間がt5(>t2)である。
この際、PSA制御部170では、ストレージ178に格納されたテーブル(図6(B)参照)を読み出して、負荷変動運転におけるパージ時間tpをパージカット時間tpc(=t1+t5)に基づいて決定する。
図6(B)に示すように、テーブルには、図示しないタイマー等によって検出されたパージカット時間tpcの長さに応じて異なるパージ時間tpが設定されている。具体的には、パージカット時間tpcの長さに応じて五段階に分け、それぞれに対応するパージ時間tp1〜tp5が設定されている。すなわち、パージカット時間tpcが長い場合ほど、パージ時間tpが長く設定されている。
したがって、PSA制御部170では、このテーブルを参照して、例えば、パージカット時間tpcが相対的に最も短いta以上tb未満の範囲に含まれる場合には、相対的に最も短いパージ時間tp1が決定される。逆に、パージカット時間tpcが相対的に最も長いte以上tf未満の範囲に含まれる場合には、相対的に最も長いパージ時間tp5が決定される。
このようにパージ時間tpが決定されるのは、負荷が相対的に高い場合(例えば、水素製造装置10の最大生産能力の90%)には吸着工程中の吸着塔に供給される改質ガスの流量が相対的に大きく、この吸着塔内におけるガスの圧力上昇速度が相対的に高い。この結果、この吸着塔内における圧力の第2閾値圧力Th2までの到達時間(パージカット時間tpc)が相対的に短くなる。また、パージ過程においても、負荷が相対的に高いため、吸着工程中の吸着塔から脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガスの流量が相対的に高い。この結果、脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガスが吸着剤から不純物を除去可能な一定量に到達するまでのパージ時間tpが相対的に短くなるためである。
これに対して、負荷が相対的に低い場合(例えば、最大生産能力の50%)には吸着工程中の吸着塔に供給される改質ガスの流量が相対的に小さく、この吸着塔内におけるガスの圧力上昇速度が相対的に低い。この結果、この吸着塔内における圧力の第2閾値圧力Th2までの到達時間(パージカット時間tpc)が相対的に長くなる。また、パージ過程においても、負荷が相対的に低いため、吸着工程中の吸着塔から脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガスの流量が相対的に低い。この結果、脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガスが吸着剤から不純物を除去可能な一定量に到達するまでのパージ時間tpが相対的に長くなるためである。
図13に示すように、水素製造装置10の負荷が90%の場合には、PSA制御部170では、パージカット時間tpcが相対的に最も短いa以上tb未満であるため、パージ時間tpを相対的に最も短いtp1に決定する(図6(B)参照)。
また、PSA装置40の負荷変動運転中は、電磁開閉弁152は常時閉弁されており、水素ガス貯留タンク106から水素供給管42を介して水素ガス利用者側に供給されていない。
なお、負荷変動運転時には、定格運転の排気停止過程は省略される。
したがって、図13及び図11に示すように、時刻T13からパージ時間tp1経過後の時刻T14で電磁開閉弁114A、132A、138A、138Bが閉弁される。これにより、第1吸着塔102が原料ガス供給流路108と遮断されると共に、水素ガス貯留タンク106及びオリフィス136と遮断される。
また、第1吸着塔102と第2吸着塔104とのオリフィス136を介しての連通も遮断される。
このタイミングで、図11に示すように、電磁開閉弁124A、124Bと電磁開閉弁142A、142Bが開弁される。これにより、第1吸着塔102の上流側と第2吸着塔104の上流側、第1吸着塔102の下流側と第2吸着塔104の下流側とが連通される。
このように、第1吸着塔102と第2吸着塔104がオリフィス136を介さずに上流側と下流側とで連通されることにより、第1吸着塔102と第2吸着塔104内の圧力が均等化される(均圧工程)。
さらに、図13及び図12に示すように、時刻T14から均圧工程の設定時間Ts2経過後の時刻T15で、電磁開閉弁124A、124Bと電磁開閉弁142A、142Bが閉弁され、第1吸着塔102と第2吸着塔104との連通が遮断される(均圧工程が終了される)。
同時に、電磁開閉弁114Bが開弁され、第2吸着塔104と原料ガス供給流路108とが連通され、連絡流路管64から原料ガス供給流路108を介して第2吸着塔104に改質ガスG5が供給される。すなわち、第2吸着塔104で吸着工程が開始される。
また、電磁開閉弁120Aが開弁され、第1吸着塔102とオフガス排出流路116とが連通され、第1吸着塔102からオフガス排出流路116を介してオフガス供給管44にオフガスが排出される。すなわち、第1吸着塔102で脱着工程が開始される。
以下、時刻T11から時刻T15までのタイミングと同様に、時刻T15からのタイミング(図13において、時刻T17以降、図示省略。)で電磁開閉弁の開閉制御が行われることにより、第1吸着塔102で脱着工程と均圧工程が行われ、第2吸着塔104で吸着工程と均圧工程が行われる。これは、吸着塔を入れ替えただけで動作は同様であるので詳細な説明を省略する。
なお、水素製造装置10の負荷が90%から70%に変更された場合には、負荷の低減に伴って水素製造装置10の改質器20からPSA装置40に供給される改質ガスG5の流量が低減される。この結果、吸着工程中の吸着塔、例えば第1吸着塔102の圧力上昇速度が低減され、第1吸着塔102の圧力が第2閾値Th2に到達するまでのパージカット時間tpcが増大する。例えば、図14に示すように、吸着塔内の圧力が第2閾値圧力Th2に到達した時が時刻T22となり、パージカット時間tpc(=T22−T20>T13−T11(図13参照))が増加してtc以上td未満となった場合には、パージ時間tpはtp1よりも長いtp3に決定される(tp1<tp2<tp3<tp4<tp5)(図6(B)参照)。
このように、水素製造装置10は、負荷が変更された場合でも脱着工程中の吸着塔、例えば第2吸着塔104に一定量の水素ガスを供給でき、吸着剤から不純物を脱着させることができると共に、パージ時間tpを負荷に応じて適切に決定することで効率的に水素を生産することができる。
(効果)
このように、PSA装置40では、定格運転時に設定時間に基づいて各工程(吸着工程、脱着工程、均圧工程)や各過程(昇圧過程、水素送出過程、パージ過程、排気停止過程)等を切り換えることにより、簡単な制御で所定の純度の水素を製造することができる。
また、負荷変動運転時には、負荷変動運転制御プログラムに従って定格運転(定格運転制御プログラム)と異なる運転を行うことにより、以下の効果がある。
1.負荷変動運転において、吸着工程におけるパージカット過程の終了時を吸着工程中の吸着塔、例えば第1吸着塔102内の圧力が第2閾値圧力Th2に到達した時に設定することによって、負荷変動による改質ガスG5の流量変動に基づく吸着塔内の圧力上昇速度の変化に対応して個別にパージカット過程(昇圧過程+水素送出過程)の時間を設定する必要がなくなり、PSA装置40の制御が簡略化される。
2.PSA装置40では、負荷変動運転時のパージ時間tpをそのパージ過程直前のパージカット時間tpcに基づいて設定している。すなわち、パージカット時間tpcが長いほど、パージ時間tpを長く設定している。これにより、水素製造装置10は簡単な制御で、負荷変動(吸着塔に対する改質ガス流量変動)に拘らず、一定量の水素ガスを脱着工程中の吸着塔に供給することができ、その吸着塔の吸着剤から不純物を良好に除去できる。
また、パージカット時間に対応した適切なパージ時間を設定することにより、水素製造装置10の水素ガスの生産性を向上させることができる。
さらに、図6(B)に示すように、パージカット時間tpcに応じて五段階にパージ時間tpを設定したため、負荷変動に応じて脱着工程中の吸着塔に供給される水素ガス量を適切に管理することができ、無駄なく、かつ適切に吸着剤から不純物を除去できる。
特に、水素製造装置10の負荷変動時、例えば、定格運転(負荷100%)から負荷50%に移行した場合、改質器20は熱収支を取りながら改質ガスの供給量を減少させるため、漸減的に供給量を変化させることになる。この場合でもPSA装置40では、五段階に設定されたパージ時間によって細かく対応でき、吸着剤から不純物を効率的に除去すると共に、パージ時間を適切に設定できる。
また、負荷変動運転時には、定格運転時の排気停止過程を省略しているため、制御が一層簡略化される。
さらに、PSA装置40は、各吸着塔を外部と遮断した後に電磁開閉弁124A、124B、142A、142Bを開弁することで、第1吸着塔102と第2吸着塔104とをそれぞれ上流側、下流側で連通させて均圧化している。これにより、相対的に圧力が低い脱着工程側の吸着塔内の圧力を上昇させ、当該吸着塔の吸着剤に付着した不純物の拡散が抑制される。すなわち、PSA装置40の負荷変動運転時に吸着剤に付着した不純物を除去して所定の純度の製品水素ガスを精製するまでの時間を短縮することができる。
(その他)
本実施形態のPSA装置40では、吸着工程と脱着工程の間に均圧工程を入れているが、均圧工程がないものでも良い。この場合には、負荷変動運転時に吸着工程のパージ過程終了後に、直ちに脱着工程に切り換えられる。
また、本実施形態のPSA装置40は、第1吸着塔102と第2吸着塔104の2つの吸着塔を有する構成であったが、3以上の吸着塔を有するものでも良い。
さらに、本実施形態のPSA装置40は、負荷変動運転プログラムと定格運転プログラムを別プログラムとしたが、単一の運転プログラムで、例えば、負荷変動運転時のサブルーチンを有する
ものでも良い。
また、本実施形態では負荷変動運転時に、パージカット時間tpcの長さに応じて五段階のパージ時間tpを設定したが、もっと細かく設定しても良いし、より少なく設定しても良い。あるいは、負荷変動運転時に、所定の関係式に基づいてパージカット時間tpcからパージ時間tpを求める構成でも良い。この場合でもパージカット時間tpcが長いほど、パージ時間tpが長くなるように設定されていれば良い。
さらに、本実施形態では、負荷変動運転においてパージカット時間tpcが長いほどパージ時間tpが長くなるように設定したが、これに限定されるものではない。パージカット過程(水素送出過程)が設定圧力で終了されるように設定され、パージ過程が設定時間で制御されるように構成されていれば良い。すなわち、負荷変動運転時に、パージカット過程が圧力で制御され、パージ過程が時間で制御されるものであれば良い。
また、PSA装置40が均圧工程中にPSA制御部170で圧力センサ160の圧力をモニタリングすることにより、圧力センサ160で検出された圧力が閾値圧力以上となった場合に連絡流路管64から水素製造装置10の外部に改質ガスをベントする構成としても良い。
10 水素製造装置
20 改質器
30 圧縮機
40 PSA装置(ガス精製装置)
102 第1吸着塔
104 第2吸着塔
114A 電磁開閉弁(制御手段)
114B 電磁開閉弁(制御手段)
120A 電磁開閉弁(制御手段)
120B 電磁開閉弁(制御手段)
124A 電磁開閉弁(制御手段)
124B 電磁開閉弁(制御手段)
132A 電磁開閉弁(制御手段)
132B 電磁開閉弁(制御手段)
138A 電磁開閉弁(制御手段)
138B 電磁開閉弁(制御手段)
142A 電磁開閉弁(制御手段)
142B 電磁開閉弁(制御手段)
152 電磁開閉弁(制御手段)
162 圧力センサ(圧力検出手段)
164 圧力センサ(圧力検出手段)
170 PSA制御部(制御手段)

Claims (4)

  1. 炭化水素を水蒸気改質し、水素ガス使用量に対応した量の改質ガスを生成する改質器と、
    前記改質ガスを圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機で圧縮された改質ガスから不純物を分離して水素ガスに精製するガス精製装置と、
    を備え、
    前記ガス精製装置は、前記改質ガス中の不純物を吸着する吸着剤が充填されており、前記改質ガスから不純物を除去した水素ガスを送出する吸着工程と、前記吸着剤から前記不純物を除去する脱着工程が行われる複数の吸着塔と、
    各前記吸着塔内の圧力をそれぞれ検出する圧力検出手段と
    装置の最大負荷で運転される定格運転時には各吸着塔の吸着工程において、前記吸着塔内の圧力を昇圧させ、前記水素ガスを送出するパージカット過程と、前記パージカット過程に続いて行われ前記水素ガスを脱着工程中の吸着塔に供給するパージ過程と、を設定時間に基づいて切り換えると共に、装置の負荷が最大負荷から変動する負荷変動運転時には各吸着塔の吸着工程において前記圧力検出手段で検出された当該吸着塔内の圧力が閾値圧力に到達した時に当該吸着塔を前記パージカット過程から前記パージ過程に切り換える制御手段と、
    を有する水素製造装置。
  2. 前記負荷変動運転時において、前記パージ過程の設定時間は当該パージ過程直前の前記パージカット過程の実施時間に基づいて設定されており、前記実施時間が長いほど前記設定時間は長い請求項1記載の水素製造装置。
  3. 炭化水素を水蒸気改質し、水素ガス使用量に対応した量の改質ガスを生成する改質器と、
    前記改質ガスを圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機で圧縮された改質ガスから不純物を分離して水素ガスに精製するガス精製装置と、
    を備え、
    前記ガス精製装置は、前記改質ガス中の不純物を吸着する吸着剤が充填されており、前記改質ガスから不純物を除去した水素ガスを送出する吸着工程と、前記吸着剤から前記不純物を除去する脱着工程が行われる複数の吸着塔を有し、
    装置の最大負荷で運転される定格運転時には各吸着塔の吸着工程において、前記吸着塔内の圧力を昇圧させ、前記水素ガスを送出するパージカット過程と、前記パージカット過程に続いて行われ前記水素ガスを脱着工程中の吸着塔に供給するパージ過程と、を設定時間に基づいて切り換えると共に、装置の負荷が最大負荷から変動する負荷変動運転時には各吸着塔の吸着工程において当該吸着塔内の圧力が閾値圧力に到達した時に当該吸着塔を前記パージカット過程から前記パージ過程に切り換える水素製造装置の制御方法。
  4. 前記負荷変動運転時において、前記パージ過程の設定時間は当該パージ過程直前の前記パージカット過程の実施時間に基づいて設定されており、前記実施時間が長いほど前記設定時間は長い請求項3記載の水素製造装置の制御方法。
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