JP6879877B2 - 耐熱性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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(1)質量%で、C:0.005〜0.3%、Si:1超〜4%、Mn:0.1〜10%、Ni:2〜25%、Cr:15〜30%、N:0.005〜0.4%未満、Al:0.001〜1%、Cu:0.05〜4%、Mo:0.02〜3%、V:0.02〜1%、P:0.05%以下、S:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、下記式(1)の値が50以下、対応粒界頻度が70%以上であることを特徴とする耐熱性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板。
25.7+2(Ni%)+410(C%)−0.9(Cr%)−77(N%)
−13(Si%)−1.2(Mn%)・・・(1)
(2)前記鋼板が、更に、質量%でTi:0.005〜0.3%、Nb:0.005〜0.3%、B:0.0002〜0.005%、Ca:0.0005〜0.01%、W:0.1〜3.0%、Zr:0.05〜0.30%、Sn:0.01〜0.50%、Co:0.03〜0.30%、Mg:0.0002〜0.010%、Sb:0.005〜0.3%、REM:0.002〜0.2%、Ga:0.0002〜0.3%、Ta:0.01〜1.0%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする(1)に記載の耐熱性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板。
(3)(1)または(2)のいずれかに記載のステンレス鋼板の製造方法であって、冷間圧延工程にて圧下率を10%以下とし、冷延板焼鈍において900℃までの加熱速度を5℃/sec以上、900℃以上の加熱速度を1℃/sec以上、5℃/sec未満とし、最高温度を1000〜1150℃とし、1000℃〜前記最高温度での保持時間を120sec以下とすることを特徴とする耐熱性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法。
(4)排気部品に用いられることを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載のオーステナイト系ステンレス鋼板。
オーステナイト系ステンレス鋼では冷延・焼鈍後に結晶粒界が形成され、多結晶体となる。結晶粒界では原子配列が規則的あるいは不規則的となる。結晶粒界での原子配列が規則的で隙間が少ない場合は低エネルギー構造となり、粒界劣化現象が引き起こされ難い。 この様な低エネルギー構造の特殊な粒界の代表として、対応粒界が挙げられている。これに対して、結晶粒界での原子配列が規則的でない場合はランダム粒界と呼ばれ、高エネルギー構造を有する。対応方位関係は幾何学的に多くの組み合わせで出現するが、Σ3〜29対応粒界と呼ばれている。このΣkにおけるkの値は奇数をとり、このkの値が小さい程、対応格子点密度が高く、低エネルギー粒界としての性格が強まる。
上記の従来知見では、この対応粒界頻度を増やすことで耐食性を向上させるものが大半であり、例えば特許文献9は、Si含有量が0.59%のSUS304に対してΣ29以下の対応粒界頻度を75%以上とすることで粒界腐食を抑制するものである。一方、対応粒界頻度を増加させるために特許文献9では、900〜1000℃で5時間以上の熱処理を必要としており、工業的な大量生産としては非効率であった。また、対応粒界頻度を増加させて、粒界での炭窒化物析出を抑制し、耐食性を向上させるものであるが、高温での機械的性質に与える影響は不明であった。
即ち、{(Σ3〜Σ29の対応粒界の長さの総計)/(粒界総長さ)}×100(%)で表される。
EBSP(Electron Back-Scattering diffraction Pattern)を用いて材料の板厚中心から板厚1/4〜1/2程度の範囲について、約300μm厚さ×約100μm巾の領域について結晶方位解析を行い、観察した範囲内に存在する結晶粒界の総長さと、対応粒界の長さを測定する。
25.7+2(Ni%)+410(C%)−0.9(Cr%)−77(N%)
−13(Si%)−1.2(Mn%)・・・(1)
Cは、オーステナイト組織形成、高温強度、及びクリープ寿命の確保のために0.005%を下限とする。一方、過度な添加は硬質化を招く他、Cr炭化物形成により耐食性、特に溶接部の粒界腐食性の劣化、炭化物に起因した高温摺動性の劣化、及び冷延焼鈍板酸洗時の粒界浸食溝形成により、表面粗さが粗くなる。また、Cは積層欠陥エネルギーを上げて、対応粒界頻度が低下するため、上限を0.3%とする。更に、製造コストと熱間加工性を考慮すると、Cの含有量は、0.01%以上0.20%以下が望ましい。
製造性の観点からは100℃/sec以下が望ましい。一方、900℃以上においては低加熱速度とする。これは、再結晶が促進しない温度域で軟質化を図り、ランダム粒界の移動を促進する、及び、上記析出物を十分固溶させることを目的としている。これにより、ランダム粒界の核生成を抑制しつつ粒界移動を促進し、対応粒界頻度を増加させることが出来る。上記の技術観点より、1℃/sec以上、5℃/sec未満とする。4℃/sec以下が望ましい。製造性の観点からも上記範囲が適切である。焼鈍処理の最高温度は、過度に高すぎると、新たなランダム粒界を有する再結晶粒界が多く生成し、対応粒界頻度が低減するため、1000〜1150℃とする。材料の成形性の観点からは1030℃以上が望ましく、過度な粒成長を抑制するためには1100℃以下が望ましい。最高温度を1000〜1150℃とし、1000℃以上、到達した最高温度における保持時間を120sec以下とする。120sec超にすると過度な粒成長が生じるためである。また、生産性の観点と対応粒界頻度の増加の観点から60sec以下が望ましい。また、軟質化の観点から5sec以上が望ましい。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.005〜0.3%、Si:1超〜4%、Mn:0.1〜10%、Ni:2〜25%、Cr:15〜30%、N:0.005〜0.4%未満、Al:0.001〜1%、Cu:0.05〜4%、Mo:0.02〜3%、V:0.02〜1%、P:0.05%以下、S:0.01%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、下記式(1)の値が50以下、対応粒界頻度が70%以上であることを特徴とする耐熱性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板。
25.7+2(Ni%)+410(C%)−0.9(Cr%)−77(N%)
−13(Si%)−1.2(Mn%)・・・(1) - 前記鋼板が、更に、質量%でTi:0.005〜0.3%、Nb:0.005〜0.3%、B:0.0002〜0.005%、Ca:0.0005〜0.01%、W:0.1〜3.0%、Zr:0.05〜0.30%、Sn:0.01〜0.50%、Co:0.03〜0.30%、Mg:0.0002〜0.010%、Sb:0.005〜0.3%、REM:0.002〜0.2%、Ga:0.0002〜0.3%、Ta:0.01〜1.0%の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐熱性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板。
- 請求項1または2のいずれかに記載のステンレス鋼板の製造方法であって、冷間圧延工程にて圧下率を10%以下とし、冷延板焼鈍において900℃未満までの加熱速度を5℃/sec以上、900℃以上の加熱速度を1℃/sec以上、5℃/sec未満とし、最高温度を1000〜1150℃とし、1000℃〜前記最高温度での保持時間を120sec以下とすることを特徴とする耐熱性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法。
- 排気部品に用いられることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のオーステナイト系ステンレス鋼板。
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