JP6877993B2 - データ作成装置、3次元積層システム、制御方法及びプログラム - Google Patents
データ作成装置、3次元積層システム、制御方法及びプログラム Download PDFInfo
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3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部を設定する支持部設定システムにおいて、
前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルが複数蓄積されているデータベースと、
前記データベースを参照して、前記支持部を設定するコンピュータとを有し、
前記コンピュータは、
前記支持部の強度特性を設定する設定工程と、
前記支持部と前記製品について、応力解析を行う解析工程と、
前記解析工程で行われた応力解析に基づいて、前記支持部の応力値を算出する算出工程と、
前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記設定工程で設定された前記強度特性と前記算出工程で算出した前記応力値に基づいて、前記製品や前記支持部にそりが発生するかどうかを判定する第1の判定工程と、
前記第1の判定工程でそりが発生すると判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルに基づいて、前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する第1の修正工程と
を実施する
ことを特徴とする。
上記第1の態様に記載の支持部設定システムにおいて、
前記コンピュータは、
設定又は修正後の前記強度特性が所定の基準値を超えた場合、前記支持部が外しにくいと判定する第2の判定工程と、
前記第2の判定工程で前記支持部が外しにくいと判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記基準値を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する第2の修正工程と
を実施する
ことを特徴とする。
上記第2の態様に記載の支持部設定システムにおいて、
前記コンピュータは、前記支持部が修正された場合、修正された前記支持部に基づいて、前記解析工程、前記算出工程、前記第1の判定工程、前記第1の修正工程、前記第2の判定工程及び前記第2の修正工程を再び実施する
ことを特徴とする。
上記第1〜第3の態様のいずれか1つに記載の支持部設定システムにおいて、
前記第1の判定工程は、前記算出工程で算出した前記応力値と、設定又は修正後の前記強度特性に対する前記数理モデル上の前記そり防止応力限界とを比較し、前記応力値が前記そり防止応力限界を超えた場合、前記製品や前記支持部にそりが発生すると判定するものである
ことを特徴とする。
上記第1〜第4の態様のいずれか1つに記載の支持部設定システムにおいて、
前記コンピュータは、様々な構成の前記支持部についての応力ひずみ線図に基づいて、前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化する定式化工程を実施する
ことを特徴とする。
上記第1〜第5の態様のいずれか1つに記載の支持部設定システムで設定された支持部と前記製品とを積層するための造形データに基づいて、前記支持部を含む前記製品を積層する
ことを特徴とする。
3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部を設定する支持部設定方法において、
前記支持部の強度特性を設定する設定工程と、
前記支持部と前記製品について、応力解析を行う解析工程と、
前記解析工程で行われた応力解析に基づいて、前記支持部の応力値を算出する算出工程と、
前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルが複数蓄積されているデータベースを用い、前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記設定工程で設定された前記強度特性と前記算出工程で算出した前記応力値に基づいて、前記製品や前記支持部にそりが発生するかどうかを判定する第1の判定工程と、
前記第1の判定工程でそりが発生すると判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルに基づいて、前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する修正工程と
を有する
ことを特徴とする。
上記第7の態様に記載の支持部設定方法において、
設定又は修正後の前記強度特性が所定の基準値を超えた場合、前記支持部が外しにくいと判定する第2の判定工程と、
前記第2の判定工程で前記支持部が外しにくいと判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記基準値を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する第2の修正工程と
を有する
ことを特徴とする。
上記第8の態様に記載の支持部設定方法において、
前記支持部が修正された場合、修正された前記支持部に基づいて、前記解析工程、前記算出工程、前記第1の判定工程、前記第1の修正工程、前記第2の判定工程及び前記第2の修正工程を再び実施する
ことを特徴とする。
上記第7〜第9の態様のいずれか1つに記載の支持部設定方法において、
前記第1の判定工程は、前記算出工程で算出した前記応力値と、設定又は修正後の前記強度特性に対する前記数理モデル上の前記そり防止応力限界とを比較し、前記応力値が前記そり防止応力限界を超えた場合、前記製品や前記支持部にそりが発生すると判定する
ことを特徴とする。
上記第7〜第10の態様のいずれか1つに記載の支持部設定方法において、
様々な構成の前記支持部についての応力ひずみ線図に基づいて、前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化する定式化工程を有する
ことを特徴とする。
上記第7〜第11の態様のいずれか1つに記載の支持部設定方法で設定された支持部と前記製品とを積層するための造形データに基づいて、前記支持部を含む前記製品を積層する
ことを特徴とする。
上記第7〜第11の態様のいずれか1つに記載の支持部設定方法をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする。
3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部を設定するデータ作成装置であって、
前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルを記憶するデータベースと、
積層工程によって前記支持部と前記製品にかかる応力を解析する解析部と、
前記解析部による前記支持部と前記製品にかかる応力についての解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない前記強度特性を有する前記支持部の形状を特定する支持部形状特定部と、
を備える
ことを特徴とする。
前記支持部形状特定部が、
前記支持部にかかる応力についての前記解析結果に基づいて前記製品にそりが発生すると判定された場合に、前記解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に基づいて前記支持部の形状を特定する
ことを特徴とする。
前記製品の姿勢を変更する姿勢変更部と、
前記姿勢変更部が姿勢を変更した場合に前記支持部が必要であるか否かを判定する支持部要否判定部と
を備え、
前記支持部形状特定部が、
前記支持部が必要と前記支持部要否判定部が判定した場合に、前記姿勢変更部が姿勢を変更した前記支持部と前記製品にかかる応力についての前記解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記そり防止応力限界に対応する前記強度特性を有する前記支持部の形状を特定する
ことを特徴とする。
前記姿勢変更部は、
前記支持部形状特定部が前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正した際に、修正した前記強度特性が前記強度特性の上限値以上となる場合に、前記製品の姿勢を変更する
ことを特徴とする。
前記姿勢変更部が、
前記支持部形状特定部が前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正した際に、前記強度特性が、強度特性の下限値以下となる場合に、前記製品の姿勢を変更する
ことを特徴とする。
前記姿勢変更部が前記製品を積層する際のリコータの移動平面に垂直な方向の軸を中心に前記製品を回転させた場合に、前記リコータの移動に伴い前記支持部が変形するか否かを判定する変形判定部、
を備える
ことを特徴とする。
前記データベースを参照して、前記支持部を設定するコンピュータを有し、
前記コンピュータは、
前記支持部の強度特性を設定する設定工程と、
前記支持部と前記製品について、応力解析を行う解析工程と、
前記解析工程で行われた応力解析に基づいて、前記支持部の応力値を算出する算出工程と、
前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記設定工程で設定された前記強度特性と前記算出工程で算出した前記応力値に基づいて、前記製品や前記支持部にそりが発生するかどうかを判定する第1の判定工程と、
前記第1の判定工程でそりが発生すると判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルに基づいて、前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する第1の修正工程と、
設定又は修正後の前記強度特性が所定の基準値を超えた場合、前記支持部が外しにくいと判定する第2の判定工程と、
前記第2の判定工程で前記支持部が外しにくいと判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記基準値を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する第2の修正工程と
を実施する
ことを特徴とする。
前記コンピュータが、
前記支持部が修正された場合、修正された前記支持部に基づいて、前記解析工程、前記算出工程、前記第1の判定工程、前記第1の修正工程、前記第2の判定工程及び前記第2の修正工程を再び実施する
ことを特徴とする。
前記コンピュータが、
様々な構成の前記支持部についての応力ひずみ線図に基づいて、前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化する定式化工程を実施する
ことを特徴とする。
上記の何れかのデータ作成装置と、
前記データ作成装置によって生成された造形データに基づいて、3次元形状の製品を造形する3次元積層装置と、
を備える
ことを特徴とする。
3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルを記憶するデータベースを備え、前記支持部の設定方法であって、
積層工程によって前記支持部と前記製品にかかる応力を解析することと、
前記解析することによって得られた解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない前記強度特性を有する前記支持部の形状を特定することと、
を含む
ことを特徴とする。
3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部を設定するためのコンピュータに、
前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルを記憶させることと、
積層工程によって前記支持部と前記製品にかかる応力を解析することと、
前記解析することによって得られた解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない前記強度特性を有する前記支持部の形状を特定することと、
を実行させる
ことを特徴とする。
本実施例においては、図1に示すように、データ作成装置10が、ネットワーク20を介して、3次元積層装置30と接続されている。なお、ここでは、1つの3次元積層装置30を図示しているが、複数の3次元積層装置30と接続されていても良い。
基準データを作成する支持部の構成(外形形状、断面形状、骨組部分の寸法、間隔など)を設定すると共に、設定した支持部の構成についての変更条件を設定する。ここでは、一例として、図4(a)〜(c)に示すように、外形形状として角柱を設定し、断面形状として井桁構造を設定し、また、変更条件として、複数のメッシュ密度(井桁構造の骨組部分の間隔)を設定している。なお、ここでは、骨組部分の寸法については、条件を変更せず、一定の値を用いる。
ステップS21で設定した複数種類の支持部A、B、Cについて、3次元積層装置30を用いて実際に積層する積層試験を行う。又は、積層試験は時間及びコストがかかるため、これに代えて、積層解析プログラムによる積層解析を行っても良い。
ステップS23で積層試験した複数種類の支持部A、B、Cについて、引張試験装置を用いて実際に引張試験を行う。又は、引張試験は時間及びコストがかかるため、これに代えて、引張試験プログラムによる引張解析を行っても良い。この引張試験又は引張解析により、支持部A、B、Cについての応力ひずみ線図が求められる。
ステップS23で求めた応力ひずみ線図に基づいて、支持部A、B、Cについての強度特性とそり防止クライテリア(反り防止応力限界)を取得する。なお、ここでは、強度特性として、ヤング率(剛性)を用いるが、同等の強度特性であれば、他の物理量でも良い。また、ここでの「ヤング率」は、例えば、図4に示す井桁構造のように、空洞部分がある断面形状を有する支持部については、空洞部分を含めて求めたヤング率(見かけのヤング率)である。また、「そり防止クライテリア」は、例えば、支持部の弾性限度の応力(弾性変形しても元に戻る応力)から求めれば良い。
基準データを作成する支持部について、必要数取得できたか判断し、必要数取得できていればステップS26へ進み、必要数取得できていなければ、ステップS21へ戻り、上述したステップS21〜S24を繰り返す。必要数としては、設定した変更条件について、後述する定式化が可能な数があれば良い。
取得したヤング率とそり防止クライテリアに基づいて、その定式化を行い、図5に示す曲線のような数理モデルMを求める。このような数理モデルMを求めることにより、後述するステップS5で行う判定が可能となる。数理モデルMは、公知のフィッティング関数などを用いて、定式化を行えば良い。
ステップS26で求めた数理モデルMをDB14へ登録する。様々な構成の支持部についての数理モデルMをDB14へ登録することで、様々な構成の支持部について、評価を行うことが可能となる。
製品形状作成部11において、製品の3次元形状データ(3D−CADデータ)を作成する。新しい製品であれば、製品形状作成部11において、3次元モデルを作成することにより、3次元形状データを作成する。既に、3次元形状データがある場合には、製品形状作成部11において、その3次元形状データを入力すれば良い。また、既存の製品であれば、3Dスキャナなどで形状をスキャンして、3次元形状データを作成しても良い。
造形データ作成部12において、製品形状作成部11で作成した3次元形状データに基づいて、3次元積層装置30で使用する造形データを作成する。具体的には、以下のステップS2−1〜S2−3に従って行う。
積層して造形する製品の積層姿勢を設定する。この設定は、オペレータが設定しても良いし、また、積層姿勢を最適化するプログラムを用いて設定しても良い。
設定した積層姿勢に基づいて、製品を支持部で支持する支持範囲(位置や数など)、支持部の構成(外形形状、断面形状、骨組部分の寸法、間隔など)を設定する。この際、設定した支持部の構成に基づいて、ヤング率を予め設定しておく。
支持部を含む製品の3次元形状データについて、これを水平に薄くスライスして分割したスライスデータに変換して、3次元積層装置30で使用する造形データを作成する。
造形データ作成部12において、製品及び支持部の応力解析を行う。具体的には、ステップS2(ステップS2−3)で作成した造形データについて、3次元積層装置30で使用する製品の材料及び加熱計画に基づいて、応力解析により、熱変形量を予測する。これは、公知の構造解析プログラムを用いれば良い。
ステップS3で予測した熱変形量に基づいて、製品及び支持部に発生する応力値を算出する。
ステップS4で算出した支持部の応力値について、製品や支持部にそりが発生しないかどうか判定し、そりが発生しなければ、ステップS6へ進み、そりが発生すれば、ステップS7へ進む。この判定は、基準データ作成部13で作成し、DB14に登録された基準データを参照して、具体的には、図5に示すような数理モデルMを参照して、行っている。
支持部のヤング率について、支持部が製品から外しやすいかどうか判定し、外しやすい場合、ステップS8へ進み、外しにくい場合は、ステップS7へ進む。この判定は、図5に示すように、外しやすさを判定する所定の基準値Lに対する支持部のヤング率の大きさで、支持部の外しやすい、外しにくいを判定している。
ステップS5でそりが発生すると判定された場合、そして、ステップS6で支持部が外しにくいと判定された場合、支持部のヤング率を見直す。具体的には、図5に示すような数理モデルMを参照して、行っている。ここで、図5に示すパターンI及びパターンIIについて、支持部のヤング率の見直しを説明する。
ステップS5及びS6の条件を満たすと判定された場合、設定又は修正したヤング率を支持部の剛性として決定する。例えば、図5のパターンIの場合は(パターンIの黒丸参照)、ヤング率80000MPaを、支持部の剛性として決定し、図5のパターンIIの場合は(パターンIIの黒丸参照)、ヤング率40000MPaを、支持部の剛性として決定する。
ステップS8で決定した支持部の剛性に基づいて、支持部の構成を決定する。ここでは、変更条件として、メッシュ密度(井桁構造の骨組部分の間隔)を設定した基準データを参照しているので(図4参照)、ステップS8で決定した剛性となるメッシュ密度(井桁構造の骨組部分の間隔)を決定する。
ステップS9で決定した支持部の構成に基づいて、ステップS2(ステップS2−3)で作成した造形データを修正する。具体的には、ステップS9で決定した構成(井桁構造の骨組部分の間隔)を有する支持部の3次元形状データを製品の3次元形状データに追加し、この支持部を含む製品の3次元形状データをスライスデータに変換して、3次元積層装置30で使用する造形データを修正する。
修正後の造形データを3次元積層装置30へ送信し、3次元積層装置30へ積層開始指示を行う。これにより、3次元積層装置30は、修正後の造形データに基づいて、支持部を含む製品を積層し、造形することになる。
本実施例によるデータ作成装置10は、製品や支持部にそりが発生し、見かけのヤング率が製品から支持部を外すときの外しにくさの上限値を示すヤング率を超えた場合に、製品の姿勢を見直し、製品及び支持部について応力解析をし直す。
データ作成装置10は、基準データ作成部13と、DB14と、造形データ作成部12(解析部、姿勢変更部、支持部形状特定部、変形判定部)と、製品形状作成部11と、を備える。
基準データ作成部13は、数理モデルMを作成し、作成した多数の数理モデルMをDB14へ登録する。
なお、強度特性とは、製品及び支持部の強度を示すもので、製品や支持部を構成する材料と構造によって変化する見かけのヤング率で示されるものである。
また、そり防止応力限界とは、製品や支持部を積層する際にそりが発生しない応力の最小値であり、製品や支持部が破損しない限界の応力を示す値である。
また、造形データ作成部12は、製品の姿勢を変更する。具体的には、造形データ作成部12は、支持部にかかる応力がそり防止応力限界を超えない範囲に強度特性を修正した際に強度特性が所定の上限値を上回る場合に、製品の姿勢を変更する。例えば、図6に示すように、強度特性の上限値である見かけのヤング率の上限値をLで示される90000MPaとした場合、そり防止クライテリアがおよそ380MPa以上になると、見かけのヤング率が上限値を上回る。このような場合に、造形データ作成部12は、製品の姿勢を変更して、見かけのヤング率を低減する。
造形データ作成部12は、製品の姿勢を変更したときの解析結果と数理モデルとに基づいて、そり防止応力限界に対応する強度特性を有する支持部の形状を特定する。
ここでは、図7に示すデータ作成装置10の処理フローについて説明する。
造形データ作成部12は、支持範囲について、支持部の位置や数などを設定するプログラムを用いて設定する。このようなプログラムとしては、コスト低減のため、支持部の数などを最小化して設定するものが望ましい。
造形データ作成部12は、支持部の構成について、初期値を予め設定しておく。造形データ作成部12は、最初は、この初期値を用いる。ここでは、一例として、支持部の外形形状を角柱とし、断面形状を井桁構造としており、造形データ作成部12は、骨組部分の寸法、間隔などについて、初期値を用いる。そして、造形データ作成部12は、支持部についての3次元形状データを製品の3次元形状データに追加する。
具体的には、造形データ作成部12は、基準データ作成部13が作成し、DB14に登録した例えば図6に示す基準データを参照して、この判定を行う。
例えば、図6に示すパターンIの場合は(パターンIの白丸参照)、支持部の見かけのヤング率が40000MPaであり、ステップS4で算出した応力値が350MPaである。そのため、造形データ作成部12は、算出した応力値が数理モデルMより大きく、製品や支持部にそりが発生する応力値となると判定する(ステップS5においてNO)。また、例えば、図6に示すパターンIIIの場合は(パターンIIIの白丸参照)、支持部の見かけのヤング率が55000MPaであり、ステップS4で算出した応力値が400MPaである。そのため、造形データ作成部12は、算出した応力値が数理モデルMより大きく、製品や支持部にそりが発生する応力値となると判定する(ステップS5においてNO)。また、例えば、図6に示すパターンIIの場合は(パターンIIの白丸参照)、支持部の見かけのヤング率が160000MPaであり、ステップS4で算出した応力値が250MPaである。そのため、造形データ作成部12は、算出した応力値が数理モデルMより小さく、製品や支持部にそりが発生しない応力値となると判定する(ステップS5においてYES)。
具体的には、造形データ作成部12は、図6に示すパターンIの場合、数理モデルMにおいて応力値が350MPaとなる80000MPaの見かけのヤング率に見直す。また、具体的には、造形データ作成部12は、図6に示すパターンIIIの場合、数理モデルMにおいて応力値が400MPaとなる110000MPaの見かけのヤング率に見直す。
例えば、見かけのヤング率の上限値Lが90000MPaである場合、造形データ作成部12は、図6に示すパターンIについて見直した後の見かけのヤング率について、見かけのヤング率の上限値Lを超えていないと判定する。また、例えば、造形データ作成部12は、図6に示すパターンIIIについて見直した後の見かけのヤング率について、見かけのヤング率の上限値Lを超えていると判定する。
また、造形データ作成部12は、見かけのヤング率の上限値Lを超えていると判定した場合(ステップS12においてYES)、ステップS2の処理に戻し製品の姿勢を前回の最適化の次によかった製品の姿勢に変更する。
具体的には、造形データ作成部12は、支持部の見かけのヤング率が基準値L(図6では90000MPa)よりも大きいと判定した場合、支持部が製品から外しにくいと判定する(ステップS6においてNO)。例えば、図6に示すパターンIIの場合は(パターンIIの白丸参照)、支持部のヤング率が160000MPaであり、ステップS4で算出した応力値が250MPaであるので、支持部が製品から外しにくいと判定する。また、具体的には、造形データ作成部12は、支持部の見かけのヤング率が基準値Lよりも小さいと判定した場合、支持部が製品から外しやすいと判定する(ステップS6においてYES)。
つまり、造形データ作成部12は、製品形状作成部11がそり防止応力限界を超えない範囲に強度特性を修正した際に、強度特性の上限値以上となる場合に、製品の姿勢を変更する。そして、製品形状作成部11は、造形データ作成部12が製品の姿勢を変更したときの解析結果と数理モデルMとに基づいて、そり防止応力限界に対応する強度特性を有する支持部の形状を特定する。
3次元積層装置30による製品の造形する過程において3次元積層装置30が備えるリコータが移動するときに支持部が破損することがある。
3次元積層装置30は、積層構造の製品を造形するための装置である。
3次元積層装置30は、図8に示すように、造形プラットフォーム101、金属フレーム102、未硬化粉末103、レンズ104、リコータ105、粉末106、レーザビーム109、造形物110を備える。
金属フレーム102は、造形物110の原材料となる未硬化粉末103を収納する容器である。
リコータ105は、リコータ105内に納められた粉末をまきながら造形物を積層する平面方向(例えば、図8の左右方向)に移動し、まいた粉末106を平らにする。
造形プラットフォーム101が下がる。
3次元積層装置30は、リコータ105を用いて粉末106をまきながら造形物110を積層する平面方向に移動し、まいた粉末を平らにする。
3次元積層装置30は、平らになった面にレーザを照射し粉末106を硬化し造形物110を積層させる。これを繰り返すことで、3次元積層装置30は、造形物110を生成する。
ここでは、図9に示すデータ作成装置10の処理フローについて説明する。
なお、ここでは、製品から支持部を外すときの外しやすさの下限値を示すヤング率Loが予め設定されており、図7に示す処理フローと異なる、見かけのヤング率が製品から支持部を外すときの外しやすさの下限値を示すヤング率以下となった場合の処理について説明する。
造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が下限値Loを超えていると判定した場合(ステップS13においてNO)、ステップS12の処理に進める。
また、造形データ作成部12は、見直した後の見かけのヤング率が下限値Lo以下であると判定した場合(ステップS13においてYES)、ステップS2の処理に戻す。
つまり、造形データ作成部12は、製品形状作成部11がそり防止応力限界を超えない範囲に強度特性を修正した際に、強度特性が、製品を積層する際のリコータの移動により支持部が破損しないことを示す強度特性の下限値以下となる場合に、製品の姿勢を変更する。そして、製品形状作成部11は、造形データ作成部12が製品の姿勢を変更したときの解析結果と数理モデルとに基づいて、そり防止応力限界に対応する強度特性を有する支持部の形状を特定する。
製品の製造過程においてリコータが移動し、支持部が破損することがある。支持部の破損は、リコータの移動方向によって発生確率が異なる。そのため、本実施例によるデータ作成装置10は、リコータが移動すると支持部が破損する場合に、製品の姿勢を見直し、製品及び支持部について応力解析をし直す。
ここでは、図10に示すデータ作成装置10の処理フローについて説明する。
なお、ここでは、図7に示す処理フローと異なる、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損しないかどうかを判定し、リコータの移動平面に垂直な方向の軸を中心に製品を回転させる処理について説明する。
造形データ作成部12は、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損しないと判定した場合(ステップS14においてYES)、ステップS6の処理に進める。
このとき、造形データ作成部12は、ランダムにZ軸回りの角度を決定してもよい。また、造形データ作成部12は、支持部がリコータによるせん断力により破損しにくい姿勢、例えば、支持部の断面の長手方向がリコータの移動方向となる姿勢となる角度を優先して決定してもよい。
そして、造形データ作成部12は、リコータによるせん断力で製品や支持部が破損しないかどうかを判定する(ステップS16)。
CPU301は、ROM303やストレージ装置304などに格納されたプログラムやデータをRAM302に記憶させ、処理を実行することで、コンピュータ300の各機能を実現する演算装置である。RAM302は、CPU301のワークエリアなどとして用いられる揮発性のメモリである。ROM303は、電源を切ってもプログラムやデータを保持する不揮発性のメモリである。ストレージ装置304は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などにより実現され、OS(Operation System)、アプリケーションプログラム、および各種データなどを記憶する。
データ作成装置10の各機能部は、CPU301が例えばストレージ装置304に格納された制御プログラムを実行することにより実現される。
外部I/F305は、外部装置とのインターフェースである。外部装置には、例えば、記録媒体307などがある。コンピュータ300は、外部I/F305を介して、記録媒体307の読取り、書き込みを行うことができる。記録媒体307には、例えば、光学ディスク、磁気ディスク、メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリなどが含まれる。
通信I/F306は、有線通信または無線通信により、コンピュータ300をネットワークに接続するインターフェースである。バスBは、上記各構成装置に接続され、制御装置間で各種制御信号などを送受信する。
11 製品形状作成部
12 造形データ作成部
13 基準データ作成部
14 データベース
20 ネットワーク
30 3次元積層装置
101 造形プラットフォーム
102 金属フレーム
103 未硬化粉末
104 レンズ
105 リコータ
106 粉末
109 レーザビーム
110 造形物
300 コンピュータ
301 CPU
302 RAM
303 ROM
304 ストレージ装置
305 外部I/F
306 通信I/F
307 記録媒体
Claims (12)
- 3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部を設定するデータ作成装置であって、
前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルを記憶するデータベースと、
積層工程によって前記支持部と前記製品にかかる応力を解析する解析部と、
前記解析部による前記支持部と前記製品にかかる応力についての解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない前記強度特性を有する前記支持部の形状を特定する支持部形状特定部と、
を備えるデータ作成装置。 - 前記支持部形状特定部は、
前記支持部にかかる応力についての前記解析結果に基づいて前記製品にそりが発生すると判定された場合に、前記解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に基づいて前記支持部の形状を特定する、
請求項1に記載のデータ作成装置。 - 前記製品の姿勢を変更する姿勢変更部と、
前記姿勢変更部が姿勢を変更した場合に前記支持部が必要であるか否かを判定する支持部要否判定部と
を備え、
前記支持部形状特定部は、
前記支持部が必要と前記支持部要否判定部が判定した場合に、前記姿勢変更部が姿勢を変更した前記支持部と前記製品にかかる応力についての前記解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記そり防止応力限界に対応する前記強度特性を有する前記支持部の形状を特定する、
請求項1または請求項2に記載のデータ作成装置。 - 前記姿勢変更部は、
前記支持部形状特定部が前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正した際に、修正した前記強度特性が前記強度特性の上限値以上となる場合に、前記製品の姿勢を変更する、
請求項3に記載のデータ作成装置。 - 前記姿勢変更部は、
前記支持部形状特定部が前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正した際に、前記強度特性が、強度特性の下限値以下となる場合に、前記製品の姿勢を変更する、
請求項3または請求項4に記載のデータ作成装置。 - 前記姿勢変更部が前記製品を積層する際のリコータの移動平面に垂直な方向の軸を中心に前記製品を回転させた場合に、前記リコータの移動に伴い前記支持部が変形するか否かを判定する変形判定部、
を備える請求項3から請求項5の何れか一項に記載のデータ作成装置。 - 前記データベースを参照して、前記支持部を設定するコンピュータを有し、
前記コンピュータは、
前記支持部の強度特性を設定する設定工程と、
前記支持部と前記製品について、応力解析を行う解析工程と、
前記解析工程で行われた応力解析に基づいて、前記支持部の応力値を算出する算出工程と、
前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記設定工程で設定された前記強度特性と前記算出工程で算出した前記応力値に基づいて、前記製品や前記支持部にそりが発生するかどうかを判定する第1の判定工程と、
前記第1の判定工程でそりが発生すると判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルに基づいて、前記そり防止応力限界を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する第1の修正工程と、
設定又は修正後の前記強度特性が所定の基準値を超えた場合、前記支持部が外しにくいと判定する第2の判定工程と、
前記第2の判定工程で前記支持部が外しにくいと判定された場合、前記データベースが有する前記数理モデルを参照して、前記基準値を超えない範囲に前記強度特性を修正し、修正した前記強度特性に対応する構成に前記支持部を修正する第2の修正工程と
を実施する、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載のデータ作成装置。 - 前記コンピュータは、
前記支持部が修正された場合、修正された前記支持部に基づいて、前記解析工程、前記算出工程、前記第1の判定工程、前記第1の修正工程、前記第2の判定工程及び前記第2の修正工程を再び実施する、
請求項7に記載のデータ作成装置。 - 前記コンピュータは、
様々な構成の前記支持部についての応力ひずみ線図に基づいて、前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化する定式化工程を実施する、
請求項7または請求項8に記載のデータ作成装置。 - 請求項1から請求項9の何れか一項に記載のデータ作成装置と、
前記データ作成装置によって生成された造形データに基づいて、3次元形状の製品を造形する3次元積層装置と、
を備える3次元積層システム。 - 3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルを記憶するデータベースを備えるコンピュータが、プログラムを実行することによって行う制御方法であって、
積層工程によって前記支持部と前記製品にかかる応力を解析することと、
前記解析することによって得られた解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない前記強度特性を有する前記支持部の形状を特定することと、
を含む制御方法。 - 3次元積層装置で製品を積層する際に、前記製品を支持する支持部を設定するためのコンピュータに、
前記支持部の強度特性とそり防止応力限界との関係を定式化した数理モデルを記憶させることと、
積層工程によって前記支持部と前記製品にかかる応力を解析することと、
前記解析することによって得られた解析結果と前記数理モデルとに基づいて、前記支持部にかかる応力が前記そり防止応力限界を超えない前記強度特性を有する前記支持部の形状を特定することと、
を実行させるプログラム。
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