JP6875278B2 - 癌またはその転移の予防または治療剤 - Google Patents

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Description

本発明は、癌の予防および治療、特に腫瘍発現の抑制の分野に関する。本発明はまた、この分野で使用するための化合物に関する。 本発明はまた、医薬製剤、特に癌の予防および治療、特に腫瘍発現の抑制に使用するための医薬およびその方法に関する。
腫瘍抑制のメカニズムは、今日集中的な研究の領域である。腫瘍抑制遺伝子、すなわち、癌への経路の第一歩から細胞を保護する抗癌遺伝子を利用するために懸命の努力がなされている。 これらの遺伝子の喪失は、多くの種類のヒト癌細胞の形成のための癌原遺伝子または癌遺伝子の活性化よりも重要である(Weinberg、Robert A 2014)。様々な治療が試みられている。例えば、癌と戦う免疫系を刺激または助ける免疫療法は、1997年から視野に入っており、これは引き続き活発な研究領域となっている(Waldman TA 2003)。しかし、腫瘍発現の抑制を目的とした治療の結果は非常に不確実である。
数多くの抗腫瘍化合物が合成されてきた。各種のインドリル化合物が抗腫瘍効果を有していると指摘されている(WO 2013063492)が、どの実験データもそれらの化合物が抗癌効果を有していることを示してはいない。
カテコールアミン作動性神経系またはセロトニン作動性神経系が、脳内における腫瘍発現の作用機序に関連しているであろうということは、これまでに示唆されたことはない。
特定の化合物が、脳内でカテコールアミン作動性またはセロトニン作動性活性を増強するが、それはMAO-B阻害とは関係がないものと長い間認識されてきた(KnollおよびMiklya、1994)。
このエンハンサー調節には、有意に高い活性レベルで瞬時に働くことができる脳のエンハンサー感受性ニューロンの存在を必要とする。内因性エンハンサー物質であるフェニルエチルアミン(PEA)は、カテコールアミンであるドパミンおよびノルアドレナリン、ならびにセロトニンを含む、モノアミン作動性基質のインパルス伝播を介した遊離を増強することが見出されている [Knoll J(2001)CNS Drug Rev 7:317-345およびKnoll J(2003)Neurochem Res 28:1187-1209を参照]。エンハンサー物質は、ニューロンの発火活性に応じて神経伝達物質の遊離を促進する特異的なエンハンサー感受性ニューロン上にそれら自身の受容体を有するのであろう。
エンハンサー調節はまた、私たちの生涯にわたる活動とバランスの重要な決定要因である、獲得的動因の発達において重要な役割を果たす。これらの皮質ニューロンのエンハンサー調節は、獲得的動因を明示し、我々の目標に達するために必要とされる。エンハンサーの調節は我々の学習能力に影響し、感覚ニューロンによって知覚を調節する。これらの皮質および脳幹ニューロンの至適な活性は、それらの内因性エンハンサー物質がそれらの活性およびバランスを維持することに依存する。我々が老化するにつれて適切かつ活発なエンハンサー活性を有することは、長く、充実し、活発で健康的な寿命にとって不可欠なものである[Knoll J(2003)Neurochem Res28:1187-1209を参照]。
エンハンサー化合物は一種の「ニューロアンプライヤー(neuroampliers)」である。 それらは、神経伝達物質遊離のパルスにおけるより大きな信号強度のために、細胞の連結領域のシナプスのギャップ結合における電子カップリングを増強する。この効果は、より強い信号発火のための信号対雑音比の増加に関連する。 それ故、これのメカニズムによって、モノアミン神経伝達物質の遊離は、それらの遊離を誘発する電気インパルスとより効率的にカップリングし、モノアミン作動性ニューロンの活性は増強され、即時かつ強力な活性をもたらす。これらの知見は、黒質線条体経路および中脳辺縁−皮質回路が機能低下しているパーキンソン病およびアルツハイマー病における認知機能増強または臨床的重要性のために、且つドパミンおよびノルアドレナリンニューロンの活性低下に起因するうつ病の効果的な治療のために非常に重要であるとされている[EP1052259B1 corr. to WO 2000/026204、EP 0 957 080 B1 corr. to WO1999/007667、Knoll J(2001)CNS Drug Rev 7:317-345、Miklya I(2011)InTech Open Acces Publisher (www.intechopen.com), pp.77-100]。 このカテコールアミン作動性およびセロトニン作動性神経系は、より高次脳の中心を活性に保ち、発育期以降の中脳のエンハンサー調節の継続的な低下は、老齢化と何らかの形で関係している[Knoll J(1994)Pharmacol Toxicol 75:65-72]。
潜在的にエンハンサー活性を有する多くの化合物が合成され、種々の神経系疾患の治療のために提案されている。
例えば、多くのエチルアミン誘導体が既に開示されている。ある種の6-(2-アミノエチル)-ベンゾオキサゾリノン誘導体は、EP 110,781において、抗不安薬および心不全治療薬として記載されている。さらに、アミノアルキルベンゾオキサジノン誘導体は、FR 2,035,749において、中枢神経系の損傷のための有用な治療法として記載されている。さらに、向精神性アルキルアミンは、JP 06-99,420(公告公報)において、医薬品に使用するために教示されている。 典型的には、これらの化合物は、中枢神経系においてカテコールアミン遊離能を有するが、実際には、中枢刺激薬と同様に、過剰な量のカテコールアミンが神経毒性としての副作用を生じることが容易に想定される。
この範囲における最も顕著な化合物の1つは、最初のB型モノアミノオキシダーゼ(MAO)選択的阻害薬として初めて導入された、(-)- デプレニル(セレギリン、エルデプリル、ユメックス、エムザム、ゼルパー)である。 デプレニルは、パーキンソン病、アルツハイマー病、大うつ病を治療するために登録されており、アンチエイジング化合物として広く使用されている。 本発明者のグループは、MAO-B阻害効果のない低用量の(-)-デプレニルが、高度に特異的なカテコールアミン作動活性エンハンサー物質として作用することを以前に実証した。これは、インパルス伝播による神経伝達物質の遊離を増強する。エンハンサー効果のために、生涯に亘って(-)-デプレニルにより維持されたラットでは、その学習能力および性的活動が有意に長く保持され、プラセボ処置ラットよりもかなり長期間生存したことが、(-)-デプレニルで実施された初期の長寿研究で示されている(Knoll and Miklya、1995)。
加齢脳におけるMAO-B活性の進行性増加により、および加齢に伴うPEAの脳への供給低下および発育期以降の間のドパミン作動性ニューロン活性の平均以上の低下より、ドパミンの脳供給の低下は、加齢に伴う不可避な生化学的障害である。以前から言われていたデプレニルが寿命を延ばすという知見は、ラット、マウス、ハムスターおよびイヌで確認された(表1)。
Figure 0006875278
離乳期から性成熟期まで増進したエンハンサー調節がカテコールアミン作動性ニューロンおよびセロトニン作動性ニューロンに作用することが示されている。このメカニズムは発達期における継続を終結させ、青年期から成体期への移行の基礎を構成する(Knollら、2000)。
エンハンサー感受性カテコールアミン作動性ニューロンおよびセロトニン作動性ニューロンは、低「経済的」レベルで離乳期以前では機能し、離乳後に劇的に増強される。緊張した興奮は、離乳期から性成熟期までの生体の発達段階では変化がない。性ホルモン(エストロン、テストステロン)は、増加しているカテコールアミン作動性およびセロトニン作動性活性を、離乳期前の「経済」レベルに戻し、生体の発達段階を終わらせる。この変化はまた、「自然死」までのエンハンサー調節(老化)のゆっくりとした連続的な減衰の始まりでもある。性成熟が完了した直後から安全かつ効果的な予防的薬理学的介入が行われるだけで、脳の老化が著しく遅くなることは明らかである。それらが特異的にエンハンサー効果を発揮する極端に低い用量範囲において、エンハンサー物質は、より低い機能のエンハンサー感受性ニューロンを選択的により良好なものに変換する。
顧みれば、1994年に出版された第2回長寿研究の成果が、このメカニズムの最初の否定できない証拠であった。強壮で長生きである28週齢のウィスターロガン(Wistar-Logan)系雄性ラット1600匹での長寿試験で、94匹の性的能力の最も低いラット(LP)と99匹の性的能力の最も高いラット(HP)を選択し、生理食塩水およびデプレニル(Deprenyl)でそれぞれ生涯処置した。生理食塩水処置したLPラット(n = 44)は134.58±2.29週間生存し、HPラットは151.24±1.36週間生存した(P <O.001)。デプレニル処置LPラット(n=49)は、生理食塩水処置したLPラットよりも有意に長く生存し、生理食塩水処置HPラットと同じくらい長く生存した。デプレニル処置はまた、先天的なHPラット(n=50)より優れた能力のラットに変換した。それらは185.30±1.96週間生存していた。50匹のラットのうち17匹は、我々の研究で使用した系統での何百匹もの未処置または生理食塩水処置ラットについて長い観察期間中に観察された最大寿命より長生きであった。
エンハンサー効果は、二峰性の二つのベル型の濃度−効果曲線を有し、良好な能力のためにはエンハンサー物質の有効濃度範囲の1つが必要である。より低い曲線が特異的なエンハンサー効果に関連する一方で、より高い濃度の曲線は非特異的効果に関連する。
トリプタミンもまた、PEAのようなCAE物質であるという知見(Knoll 1994)、およびセロトニン作動性ニューロンは、離乳期から性成熟期までのラット脳における活性が有意に増強されているという実験的証拠(KnollおよびMiklya 1995)は、PEAと同様に、トリプタミンが内因性エンハンサー物質でもあることを明確に示している。
トリプタミンがPEAのような天然エンハンサー物質であることが発見されたことから(Knoll、1994)、合成エンハンサー化合物の新しいファミリー(PEAおよびアンフェタミン類とは無関係)を開発することを目指した構造活性相関研究を開始した。 新しく合成された(R)-1-(ベンゾフラン-2-イル)-2-プロピルアミノペンタン((-)- BPAPまたはBPAP)は、今のところ、最も強力で選択的な化合物として知られている。
さらなるトリプタミン誘導体、(R)-(-)-1-(インドール-3-イル)-2-プロピルアミノペンタン((-)-IPAPまたはIPAP)は、強力なトリプタミン由来の選択的エンハンサー物質で、BPAPと同様に、弱いMAO-A阻害薬であり、遊離作用を有しない。
BPAP(図2)の開発は、フェムト/ピコモル濃度でさえ、その特異的エンハンサー活性を発揮する(Knollら、1999)。デプレニルおよびBPAPを用いた実験的および臨床的研究は、発達期以後の間の合成エンハンサー物質の予防的投与により、行動の老化に関連する衰えを著しく遅らせ、寿命を延ばすことを証明した。ヒトにおいて、デプレニルによる性成熟からの維持は、今日この目的を達成する有望な機会を与えられた唯一の利用可能な治療であり、パーキンソン病およびアルツハイマー病のような加齢関連した神経変性疾患の発症を予防または遅延させる機会を与える。BPAPもこれらの適応症において有効であると示唆され、開示されている(例えばWO1999007667、JP04953040B2およびJP04953041B2参照)。
WO1999007667には、CAEまたはSAE効果によるカテコールアミンおよびセロトニン遊離をそれぞれ増強する化合物がさらに開示され、向精神薬、抗うつ薬として、およびパーキンソン病および/またはアルツハイマー病の治療において有用であることが見出されている(JP9/247445)。
モノアミン作動性ニューロンの活性増強効果、特にカテコールアミン作動性ニューロンのカテコールアミン作動性エンハンサー効果(CAE)効果にはかなりの注意が払われており、それは膜電位依存性エキソサイトーシスの増幅によるカテコールアミン遊離促進作用であり、貯蔵部位からのカテコールアミン置換による上記の遊離作用とは異なる(Life Sci.、58、945-952(1996)、WO1999/007667およびWO2000/026204)。CAE効果によるカテコールアミン遊離を増強する化合物は、向精神薬、抗うつ薬、パーキンソン病および/またはアルツハイマー病の治療用組成物に有用であることが見出された(WO1999/007667、EP957080としても公開)。WO2000026204には、光学分割によってWO1999007667の有機アミン化合物からのそれぞれの光学異性体が記載されている。これらの光学活性異性体は、特にパーキンソン病および/またはアルツハイマー病を治療するための同じグループの疾患の薬理学的スクリーニングによって有用な治療法であることが判明した。
BPAPおよびその薬理学的に許容される塩は、特に、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、またはアポトーシスが生じる疾患の予防剤として有用であると記載されている(JP04953040B2)。JP04953041B2において、この化合物は、例えば、脳虚血性疾患で観察される末梢神経障害、網膜色素変性症、緑内障および脊髄小脳変性症、脳卒中、糖尿病、AIDS、および毒性疾患の神経変性疾患や神経学的疾患の治療または予防における使用のためにも示唆されている。
デプレニルは選択的にCAE物質であり、セロトニン作動性ニューロンの非常に弱いエンハンサーであるが、例えばJP04953041B2に教示されているように、BPAPはカテコールアミン作動性およびセロトニン作動性エンハンサー効果(すなわちCAE/SAE効果)の両方を有する化合物である。
本発明者らの知る限りにおいて、ニューロン活性エンハンサー化合物は、癌または腫瘍の予防または治療に使用することは示唆されていない。
腫瘍の発現抑制を提供する必要性は、当技術分野において依然として存在する。
CAE/SAE効果を有するニューロン活性エンハンサー化合物が腫瘍発現の抑制効果も有することは、本発明者らによって予想外にも発見された。そこで、本発明者らは、本発明を完成させるために鋭意努力した。
発明の簡単な説明
本発明は、化合物またはその薬学的に許容される塩に関するものであり、
該化合物は、中枢神経系のモノアミン作動性ニューロンにおいてインパルス伝播を介したモノアミン神経伝達物質の遊離を増強するモノアミン作動性活性エンハンサー化合物であるニューロン活性エンハンサー化合物であり、その化合物の癌またはその転移を予防または治療するための使用に関するものであり、好ましくは、モノアミン作動性エンハンサー化合物の効果、すなわち、モノアミン作動性ニューロンからのインパルス伝播を介したモノアミン神経伝達物質の遊離の増強が、以下の方法によって直接的または間接的に測定可能または検出可能である。
- カテコールアミン量の測定、好ましくは、前記エンハンサー化合物の存在下で単離されたラットの脳幹からの電気刺激により遊離された [3H]-ノルエピネフリン、[3H] -ドパミンの量の測定;
- セロトニン量の測定、好ましくは、前記エンハンサー化合物の存在下で単離されたラットの脳幹から電気刺激により遊離された [3H]-セロトニンの量の測定;
- 条件回避反射(CAR)解析、例えばテトラベナジン処置によって学習障害を来したマウスなどを用いて行ったとき、合成CAE物質またはA型MAO阻害薬の投与により拮抗しうるが、B型MAOの選択的阻害またはカテコールアミンまたはセロトニンの再取り込みの阻害は、それぞれ無効である; そして
- 非常に広い用量範囲での候補エンハンサー化合物の投与、二峰性、ベル型の濃度効果曲線はエンハンサー効果に特徴的である(少なくともMAO阻害より低い範囲); 低用量範囲は「特異的エンハンサー効果」を示し、高用量範囲は「非特異的エンハンサー効果」を示す(Knoll J 2012)。
特に、本発明は、一般式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩に関するものであり、その化合物は、中枢神経系のモノアミン作動性ニューロンにおけるインパルス伝播を介したモノアミン神経伝達物質の遊離を増強するモノアミン作動性活性エンハンサー化合物であり、
癌またはその転移を予防または治療するための使用のためのものである。
Figure 0006875278
一般式Iにおいて、
Qは置換または非置換の二環式基であり、
ベンゼン環とそれに縮合した環であり、
その環は1-3個のヘテロ原子、好ましくは1-2個のヘテロ原子を有していても有していなくてもよい、飽和または不飽和の5員または6員環であり、
Qが置換されている場合、該置換基は、水素、ヒドロキシル、C 1-4アルキル、C 1-4アルコキシおよびハロゲンからなる基から選択され、
Xはメチレンすなわち >CH2であり
R1はC 1-5アルキルであり、
R2は水素、C 1-4アルキル、C 2-4アルケニル、C 2-4アルキニル、C 2-4アルキルカルボニル、C 6-10アリールまたはC 7-11アリールアルキルであり、
R3は、水素、メチルまたはエチルであり、
R2およびR3のいずれか1つが水素と異なる場合、互いに独立して、非置換または置換のいずれかであり、置換されている場合、その置換基は、好ましくは、水素、ヒドロキシ、C 1-4アルキルまたはC 1-4アルコキシおよびでハロゲンからなる基から選ばれ、その置換基がC 1-4アルキルまたはC 1-4アルコキシである場合は、その置換基は短く、つまり置換されているR1、R2またはR3よりも少ない炭素原子を有していることを条件とする。
好ましくは、Qは、ベンゼン環と該ベンゼン環に縮合した二環式基であり、飽和または不飽和の5員環である。該5員環は好ましくは1-2個のヘテロ原子を有する。
好ましくは、その5員環は不飽和である。
好ましくは、Qは1個または2個の置換基で置換されているか、または非置換である。
好ましくは、R1、R2およびR3のいずれか1つは、1つまたは2つの置換基で置換されているか、または非置換である。
好ましくは、Qは非局在性π電子系を有する複素環式基である。
非局在性π電子系は、環全体に拡がっていてもいなくてもよい。好ましくは、π電子系は芳香族基にあり、したがって好ましくは、Qは芳香族基である。
好ましくは、一般式Iのキラリティーが構造中に示される。
認識されるように、一般式Iの化合物は、前記キラル中心または立体中心のSまたはR立体配置化合物であり、好ましくはCahn-Ingold-PrelogによるR立体配置化合物であり、この化合物は式Iで示される。
Figure 0006875278
I式中、Q、X、R1、R2およびR3は、上記または本明細書で定義したとおりのものである。
式Iの化合物の好ましい実施形態において、Xはメチレン基、すなわちCH2である。
さらに好ましい実施形態において、Xはメチレン基、すなわちCH2であり、化合物はR配置化合物であり、一般式IIで示される化合物である。
Figure 0006875278
好ましい実施形態においては、モノアミン作動性活性エンハンサー化合物はカテコールアミン作動性活性エンハンサー(CAE)物質および/またはセロトニン作動性活性エンハンサー(SAE)物質であり、モノアミン作動性ニューロンはカテコールアミン作動性および/またはセロトニン作動性ニューロンである。
好ましい態様において、モノアミン作動活性エンハンサー化合物は、一般式IまたはII、好ましくはIIであり、またはその薬学的に許容される塩を有する化合物であり、
癌またはその転移を予防または治療するために使用され、
式IまたはIIにおいて、Qが
- 1個のベンゼン環と、好ましくはそのベンゼン環に縮合した飽和または不飽和の5員または6員環からなる置換または非置換の二環式基であり、置換基として1個以上、好ましくは1個〜3個または1個〜2個のヘテロ原子を持つものでも持たなくてもよく、または
Qが置換されている場合、
その置換基は、水素、ヒドロキシ、C 1-4アルキル、C 1-4アルコキシおよびハロゲンからなる群から選択され、好ましくは、Qは1または2個の置換基で置換されているか、非置換であり、
R1はC 1-5アルキルであり;
R2は水素、C 1-4アルキル、C 2-4アルケニル、C 2-4アルキニル、C 2-4アルキルカルボニル、C 6-10アリールまたはC 7-11アリールアルキルであり;
R3は水素、メチルまたはエチルである。
あるいは、本発明は、一般式IまたはIIの化合物、好ましくは一般式IIの化合物、またはそれらの医薬的に許容される塩に関するものであり、
それらを、好ましくは或る量、または用量(エンハンサー用量)で、癌またはその転移を予防または治療するために使用するものであり、その用量では、中枢神経系または脳のエンハンサー感受性モノアミン作動性ニューロンを刺激し、それによりインパルス伝播を介した該ニューロンからのモノアミン神経伝達物質の遊離を増強するいうことであり、式Iまたは好ましくは式IIにおいて、Q、 R1、R2およびR3は本明細書で定義されているとおりである。
好ましい実施形態において、Qは、1つの6員芳香族環を含むまたはからなる置換されまたは置換されない二環式基であり、好ましくはベンゼン環および1つ以上のヘテロ原子を有しても、いなくてもよい飽和または不飽和の5員または6員環であり、もし二環式基が置換されている場合、その置換基は、水素、低級アルコキシおよびハロゲンからなる基から選択され、好ましくは、該二環式基は、1または2個の置換基で置換されているかまたは非置換であるか、または一個の置換基で置換されており、
R1はC 1-5アルキル、好ましくはC 1-4アルキルまたはC 2-5アルキル、好ましくはエチルまたはプロピルであり;
R2は水素、C 1-4アルキル、C 2-4アルキルカルボニル、C 6-10アリールまたはC 7-11アリールアルキルであり;
R3は水素、メチルまたはエチル、好ましくは水素である。
あるいは、本発明は、一般式IIの化合物またはその薬学的に許容される塩、
癌またはその転移癌の予防または抑制に用いるためのもの、
式IIにおいて、
Qは、1個または2個のヘテロ原子、好ましくはOおよび/またはNを含む、1個のベンゼン環および飽和もしくは不飽和の5員または6員環を含むかまたはそれらからなる二環式基であり、
前記二環式基は、1〜3個または1個または2個の置換基で置換されているか非置換であり、
前記1〜3個の置換基は、水素、ヒドロキシル、C 1-3アルキル、C 1-4アルコキシおよびF、Cl、BrおよびIからなる基から選択され、
R1はC 2-4アルキル、好ましくはエチルまたはプロピルであり;
R2は水素、C 1-3アルキル、C 2-3アルキルカルボニルまたはC 6-10アリールであり;
R3は水素、メチルまたはエチル、好ましくは水素である。
あるいは、R2は、水素、C 1-4アルキル、C 2-4アルケニル、C 2-4アルキニルである。
場合により、本発明は、環がインドールまたは1,3-ベンゾジオキソールである場合、同時には、R1はC 2アルキルではなく、R2もメチルではないという条件で、前記化合物に関する。
薬学的に許容される塩は、酸付加塩であってもよい。
好ましくは、本発明による使用のための化合物において、Q中の1個以上、好ましくは1個または2個のヘテロ原子はO、NまたはS、好ましくはOおよびN、好ましくは1または2個のヘテロ原子から選択され、OおよびNから選択される。
好ましくは、本発明による使用のための化合物において、R2は、C 2-5アルキル、C 6-10アリールおよびC 7-11アリールアルキルから選択される。
好ましくは、Qは非置換であり、R1はプロピルであり、R2はエチルである。
好ましくは、好ましい実施形態において、Q中の二環式基は、
- ナフチル、好ましくは1-ナフチルまたは2-ナフチル、
- インドリル、好ましくは1-インドール-2-イルまたは1-インドール-3-イルであり、
- ベゾジアゾリル、特に1,3-ベンゾジアゾリル、好ましくは1,3-ベンゾジアゾール-2-イル、
- ベンゾフラニル、特に1-ベンゾフラニル、好ましくは1-ベンゾフラン-2-イルまたは1-ベンゾフラン-3-イルであり; または - ベンゾジオキソリル、特に1,3-ベンゾジオキソリル、好ましくは1,3-ベンゾジオキソール-2-イルである。
より好ましくは、Qは、上記のように結合したナフチル、インドリル、1,3-ベンゾジアゾリル、ベンゾフラニルまたは1,3-ベンゾジオキソリルである。
非常に好ましくは、R1はプロピルであり、R2はエチルであり、R3は水素、メチルまたはエチルであり、好ましくは水素である。
さらにより好ましくは、Qにおける二環式基はベンゾフラニル、特に1-ベンゾフラニル、好ましくは1-ベンゾフラン-2-イルまたは1-ベンゾフラン-3-イルであり、またはQはベンゾフラニル、特に1-ベンゾフラニル、好ましくは1-ベンゾフラン-2-イルまたは1-ベンゾフラン-3-イルである。
好ましい実施形態では、R3は、水素である。
好ましい実施形態では、Qはインドリルであり、R1はプロピルであり、R2はエチルである。
より好ましい実施態様において、化合物(R)-(-)-1-(インドール-3-イル)-2-プロピルアミノペンタン(略して(-)-IPAPまたはIPAP)はまた、強力なトリプタミン由来の選択的エンハンサー物質であり、BPAPと同様に、弱いMAO-A阻害薬であり、遊離作用を有さない。
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、一般式IIIで示され、
Figure 0006875278
式IIIにおいて、R1、R2および/またはR3は、式Iにおいて、Qが1個のベンゼン環と、該ベンゼンに縮合した飽和または不飽和の5員または6員環からなる置換または非置換の二環式環である実施形態として規定された通りであるかまたはその好ましい実施形態である。
好ましい実施形態では、R3は、水素である。
好ましくは、この好ましい実施形態では、R1はプロピルであり、R2はエチルである。
非常に好ましくは、該化合物は、(2R)-1-(1-ベンゾフラン-2-イル)-N-プロピルペンタン-2-アミン[(-)-BPAP]である。
好ましくは、化合物は、エンハンサー感受性ニューロンを刺激する量で、または脳または中枢神経系においてカテコールアミンまたはセロトニン遊離を増強する量で使用される。
好ましくは、化合物は、脳または中枢神経系におけるカテコールアミン遊離を増強する量で使用される。 特に、化合物は、脳または中枢神経系におけるセロトニン遊離を増強する量で使用される。
好ましくは、該化合物は、1日量として体重1kg当たり1mg未満、好ましくは0.5または0.4mg/kg未満で投与される。好ましくは、化合物は0.25mg/kg未満の1日量で投与される。好ましくは、これは非選択的なエンハンサー用量である。
好ましくは、前記化合物は、1日量として体重1kgあたり0.01mg未満、好ましくは体重1kg当たり0.005, 0.004または0.003mg未満で投与される。好ましくは、化合物は1日量として0.0025mg/kg未満で投与される。好ましくは、これは選択的なエンハンサー用量である。
癌またはその転移を予防または治療することは、好ましくは、その発現を抑制することを伴う。この場合には、それは該癌または転移の発現を抑制することとして理解される。
一実施形態において、癌は、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫および胚細胞腫からなる群から選択される悪性腫瘍または新生物である。
好ましい実施態様において、悪性腫瘍は、癌腫または肉腫で、好ましくは、結合組織の癌腫または肉腫である。
非常に好ましい実施形態において、悪性腫瘍は粘液線維肉腫、腺癌、結腸癌およびその肝転移から成る群から選択され、
一実施形態においては、被験体は恒温動物、好ましくは哺乳動物、好ましくはヒトであり、
好ましくは、化合物は、エンハンサー効果が発揮される低用量で投与される。
好ましくは、化合物は、エンハンサー効果が知られているか、証明できるか、(非特異的エンハンサー効果を)発揮できる低用量で投与される。
好ましくは、化合物は、他の効果はないが、そのエンハンサー効果が知られているまたは証明できるまたは(特異的エンハンサー効果を)発揮できる低用量で投与される。
好ましくは、化合物は、長期間、好ましくは少なくとも1、2、3、5、6、8、または10ヶ月間、または少なくとも1、2、3、4、5または6年間、または被験体の予想寿命の1%、2%、または好ましくは5%よりも長期間にわたって被験体に投与される。
好ましくは、対象は成人で、投与期間は、1年または2年以上、好ましくは5年以上である。
好ましい実施形態において、被験体は、性的に成熟した被験体、好ましくは成人被験者である。
好ましい実施形態では、被験体に、例えば悪性腫瘍または新生物といった癌の発現が認められないことである。好ましくは、化合物は、癌またはその転移の防止または予防のために使用される。
本発明はまた、中枢神経系におけるカテコールアミンの遊離を増強する量において活性化合物として本発明に従って使用する化合物を含む薬用組成物または医薬に関するものある。
好ましくは、この医薬は本発明の使用のための化合物を含み、その化合物は、上記またはここにまたは以下に活性化合物として述べるように、光学純度が70%以上、好ましくは、80%または90%または95%または97%または98%または99%以上のものである。
本発明はまた、癌またはその転移の予防または治療する方法、または前記被験体における癌またはその転移の発現を抑制して被験体を治療するための方法であって、それは被験体に、化合物の治療量を前記被験体に投与するための方法を含む。
定義
本発明の「医薬組成物」は、本明細書に定義されるような癌の治療に適した少なくとも1つの生物学的に活性な物質を含む物質の組成物である。医薬組成物はまた、例えば、併用療法において、生物学的に活性な物質をさらに細胞傷害薬とすることができる化学療法化合物の有用な例を含んでもよい。さらに、組成物は、化学療法に伴う悪心および嘔吐の発生を防止または低減するための補助化合物を含んでもよい。補助薬は、当該分野で周知である。さらに、組成物は、免疫療法薬を含んでもよい。
「薬剤」は、例えば恒温動物または哺乳動物といった動物またはヒトにおいて、有効性が証拠によって支持されている医薬組成物であり、好ましくは国や地域や国の地域社会の健康承認または保健機関に登録されている。
化合物の「治療量」は、本明細書に開示されるように、癌の症状、特に癌またはその転移を、治療、防除、寛解、予防、または改善するのに有効な化合物の量を指す。好ましくは、本発明の化合物の治療量は、他の治療効果、例えばMAO阻害、例えばMAO-B阻害を発揮する量よりも低く、好ましくは有意に低い。
「癌」は、ここでは被験体の癌細胞が悪性の無秩序または制御不能の増殖を特徴とする被験者の状態として理解される。増殖は通常、癌という語に含まれる「新生物」または「腫瘍」と呼ばれる細胞の瘤や塊を形成する結果をもたらす。
ここでは癌は、もしそれが患者の状態を進行的に悪化させる傾向がある場合は、つまり被験体に有害な作用を及ぼし、彼/彼女/被験体に死をもたらすことになるならば、「悪性」と見做される。
実施の形態において、細胞の瘤や塊(例えば新生物または腫瘍)が、最初は悪性でなく、良性として発現あるいは診断されても、それが(i)悪性になる危険性があるか、または(ii)時間につれて後に悪性なものになるようであれば、癌は悪性であると見做される。
癌の「発現」は、少なくとも一つの症状が存在する場合、好ましくは、癌が発現し、検出可能または測定可能な徴候または指示または癌が存在することの特異的な証拠の出現として理解される。癌の「発現」は定量的に特徴づけることができ、またはそれによって発現のレベルが評価される。
癌の発現の「抑制」は、治療(または治療的介入)または処置の結果、癌の発現がないか、稀、すなわちより小さな確率でしか発現しないこと、または癌発現が防止または低減されていること;または発現のレベルが、適切な対照または対照処置と比較して低くなっている場合をいう。対照は、治療または処置が適用されていないか、またはプラセボ投与、例えば、同じ被験体または対照被験体、すなわち被験体の対照群への投与として設定または処置することができる;または対照は、コントロール値にすることができる。
「転移」は、癌が原発巣からリンパ系または血流を介して身体の他の部分に広がるプロセスであり、一箇所または複数の箇所への転移が生じる。
「動物」は、脊椎動物、好ましくは恒温動物、好ましくは哺乳動物を指す。広い意味において、動物の用語は、好ましくはヒトを含む哺乳動物である。ときには、狭い意味での動物という用語は、ヒトを含まない。動物は魚類、爬虫類、両生類、鳥類や哺乳類から選択することができる。好ましくは、動物は哺乳動物である。
「被験体」は、本発明の製剤または組成物で予防的処置を含む処置の対象となる動物またはヒトであると理解される。好ましくは、被験体は恒温動物、哺乳動物またはヒトである。好ましい「被験体」は、患者である。
「患者」は、医療診断、観察や処置を受けている対象である。処置は、予防または治療である。好ましくは、患者は癌を有する対象である。好ましくは、処置は予防または治療である。
「エンハンサー化合物」はニューロン活性エンハンサー化合物(好ましくは、モノアミン作動性活性エンハンサー化合物であり、特により好ましくは「カテコールアミン作動性エンハンサー化合物」であるCAE化合物または「セロトニン作動性エンハンサー化合物」であるSAE化合物)であり、少なくともエンハンサー感受性ニューロン群、好ましくは、それぞれのモノアミン作動性神経伝達物質を遊離するニューロン(好ましくはカテコールアミンおよびセロトニン作動性)ニューロンを、用量依存性に賦活することが可能であり、モノアミンオキシダーゼ-A(MAO-A)を阻害せず、好ましくは、MAO-Bを阻害しない。特に、化合物が中枢神経系におけるモノアミン作動性ニューロンからのインパルス伝播を介したモノアミン神経伝達物質の遊離を増強する用量範囲と定義できる。好ましくは、モノアミン作動性神経伝達物質、好ましくはカテコールアミンまたはセロトニンに対するエンハンサー効果により、膜電位依存性エキソサイトーシスの増幅を介して遊離が起こる。好ましくは、エンハンサー化合物は、エンハンサー感受性ニューロンの興奮性を増大させる。
好ましくは、エンハンサー化合物は、脳または中枢神経系においてでカテコールアミンの遊離を増強する(CAE化合物)。
好ましくは、エンハンサー化合物は、脳または中枢神経系においてセロトニンの遊離を増強する(SAE化合物)。
このエンハンサー効果(モノアミン作動性エンハンサー、すなわちCAEまたはSAE効果や、CAEとSAE効果の両方が存在する場合:CAE/SAE効果)は、とりわけ以下の方法により、測定可能または検出可能である。
- 単離された哺乳動物の脳、好ましくは脳幹、好ましくはラット脳幹からの電気刺激に遊離された[3H]-ノルエピネフリン、[3H]-ドパミンの量を測定することにより、
- 単離された哺乳動物の脳、好ましくは脳幹、好ましくはラット脳幹からの電気刺激に遊離された[3H]-セロトニンの量を測定することにより、
- 条件回避反射(CAR)解析により、例えばテトラベナジン処置により学習障害を呈するネズミを用いて行うが、合成CAE物質またはA型MAO阻害薬の投与によって拮抗することができるが、B型MAO選択的阻害またはカテコールアミンやセロトニンの再取り込みの阻害はそれぞれ無効である、
- 極めて広い用量範囲における候補エンハンサー化合物の投与により、その中で、二峰性、ベル型の濃度効果曲線は、エンハンサー効果に特徴的であり、より低用量範囲では「特異的エンハンサー効果」を示し、一方高用量範囲は「非特異的エンハンサーの効果」(両方の範囲または少なくとも典型的MAO阻害用量より低い範囲である)を示す。
エンハンサー効果の評価や検出においては、上記の一つまたはそれ以上の方法および任意に1つまたはそれ以上の方法を用いることができる。
用語「含んでなる」または「含んでいる」または「含む]の語は、本明細書においては、非網羅的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、列挙されたものや方法の段階、更には構成要素を含むすべてのものに加えて、さらに別のものまたは方法段階または構成要素の付加および包含を許すというものである。
表現「実質的にからなる」、「実質的に含んでなる」は、リスト、例えば、請求項に列挙された必須の特徴または方法段階または構成要素からなると理解されるべきであり、使用、方法、組成物または他の主題の本質的な特性に実質的に影響を与えない他の特徴または方法段階または構成要素を付加的に含有し得る。「含んでなる」または「含んでいる」または「含む」は、本明細書では(本明細書に限ってのことであるが)、もしそれが必要であるならば、新規事項の追加となることなく、[実質的にからなる]または「実質的に含んでなる」ということに置き換えることができるということが理解されるべきである。
これは、「含んでなる」または「含んでいる」、あるいはまた「含む」は、もし必要ならば「からなる」に限定することができることを理解すべきある。
「一つ以上」は、一つまたはそれ以上の、好ましくは1個、2個または3個、または1または2個を意味する。
「低級」アルキルは、アルコキシなどは、好ましくはC 1-6、C 1- 4、のC 1- 3またはC 1-2のアルキルまたはアルコキシ等を意味する。
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、単独または組み合わせて、好ましくは1-6の、好ましくは1-4、または1-3個の炭素原子または1-2個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖炭化水素基(すなわち、"C 1-6 " "C 1-4 "または"C 1-3 "または"C 1-2 "アルキル基)、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチルおよびt-ブチルなどをいう。
本明細書で使用する場合、「アルコキシ」という用語は、アルキル基は前述した通りであり、アルキル-O-基を意味する。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシおよびn-ブトキシ、好ましくはメトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
本明細書で使用される、用語「アリール」は、例えば、一環式または二環式芳香環、任意に複素環を意味する。例えば、
- フェニル、ピリジニル、ピラニル、ジアジニル、オキサジニルまたはジオキシニル、
- ナフチル、好ましくは1-ナフチルまたは2-ナフチル、
- インドリル、好ましくはL-インドール-2-イルまたはL-インドール-3-イル、
- ベンゾジアゾリル、特に1,3-ベンゾジアゾリル、好ましくは1,3-ベンゾジアゾール-2-イル、
- ベンゾフラニル、特に1-ベンゾフラニル、好ましくは1-ベンゾフラン-2-イルまたは1-ベンゾフラン-3-イル; または
- ベンゾジオキソリル、特に1,3-ベンゾジオキソリル、好ましくは1,3-ベンゾジオキソール-2-イルである。
「複素環」化合物、基または環構造は、ここに用いられるように、炭素原子に加え、その環のメンバーとして少なくとも1つの非炭素元素の原子を有する環状化合物である。好ましくは、複素環式化合物の環は、5、6員環である。
本明細書で使用される「アルケニル」は、単独でまたは組み合わせて、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を含む直鎖または分枝鎖不飽和炭化水素基を意味し、この炭化水素基は、2-6、好ましくは2-4または2-3または2個の炭素原子を含有する(すなわち、"C 2-6" "C 2-4"または"C 2-3"または"C 2-2"のアルケニル基)。
本明細書中で使用される「アルキニル」は、単独でまたは組み合わせて、少なくとも一つの炭素-炭素三重結合を含む直鎖または分岐鎖の不飽和炭化水素基を意味し、炭化水素基は、2-6、好ましくは2-4または2-3または2個の炭素原子を含有する(すなわち、"C 2-6" "C 2-4"または"C 2-3"または"C 2-2 "のアルキニル基)。
本明細書で使用される「アルキルカルボニル」は、アルキルと、酸素原子と炭素原子が二重結合しているカルボニル基を含んでいるアルキル-CO-基を意味し、アルキル基は前述のとおりである。親部分への結合は、カルボニル基の炭素原子、エーテル酸素を介している。
本明細書で使用される「アリールアルキル」は、上述したように、1個以上、好ましくは1-3個、1-2個の任意の置換基を有していてもよいアルキル基を介して親分子結合しているアリールアルキル基を意味する。
「飽和」基、環または化合物中において、炭素原子の鎖が単結合のみによって連結されているものである。「不飽和」基、環または化合物は、それぞれ、アルケンまたはアルキンまたはアリールで見られるような炭素 - 炭素二重結合または三重結合または非局在性の、例えば、芳香族のようなπ電子系を含有するものである。
本明細書で使用する場合、用語「縮合環」は、環がもう一つの基と縮合して二環式基を形成しているものを意味し、その環の2つのメンバー原子間の単結合は、この二つの環で共有、すなわち、二つの環に共有されている。
「アルキル置換基」は、大きくない、すなわち、より小さく、より短く、
それによって置換されている基が例えばQ、R1、R2またはR3といった基または部分より少ない鎖原子、好ましくは炭素原子で構成されている。
セレギリン/(-)-デプレニルの化学構造;系統的(IUPAC)名:(R)-N-メチル-N-(1-フェニルプロパン-2-イル)プロパ-2-イン-1-アミン (-)-IPAP((-)-1-(インドール-3-イル)-2-プロピルアミノペンタン、系統的(IUPAC)名:(R)-1-(インドール-3-イル)-N-プロピルペンタン-2-アミンの化学構造。 (-)-BPAPの化学構造;系統的(IUPAC)名:(2R)-1-(1-ベンゾフラン-2-イル)-N-プロピルペンタン-2-アミン
シャトルボックスにおける長寿研究のための(-)-デプレニルの至適用量の選択。測定:(S)生理食塩水処置(対照)ラットの条件回避反応(CARs)を固定する能力;(T1)トレーニング1時間前の1mg/kgのテトラベナジン皮下投与したラットの学習能力の阻害;[T1+(-)-デプレニル]テトラベナジンの阻害効果を用量依存的に拮抗する(-)-デプレニルの能力。群の間の行動の有意性は、多因子分散分析(ANOVA)によって評価した。*P<0.05; **P<0.01、***P<0.001
シャトルボックスにおける長寿研究のための(-)-BPAPの至適用量の選択。測定:(S)生理食塩水処置(対照)ラットの条件回避反応(CARs)を固定する能力;(T1)は、トレーニング1時間前の1mg/kgのテトラベナジン皮下投与したラットの学習能力の阻害;[T1+(-)-BPAP]テトラベナジンの阻害効果を用量依存的に拮抗する(-)-BPAPの能力。群の間の行動の有意性は、多因子分散分析(ANOVA)によって評価した。*P<0.01 **P<0.001
0.1mg/kg(-)-デプレニル慢性処置の生存に対する影響(N=40) 0.001mg/kg(-)-デプレニル慢性処置の生存に対する影響(N=40) 0.05mg/kg(-)-BPAP慢性処置の生存に対する影響(N=40) 0.0001mg/kg(-)-BPAP慢性処置の生存に対する影響(N=40) 0.1mg/kg(-)-デプレニル慢性処置による腫瘍発現抑制効果(N=40) 0.001mg/kg(-)-デプレニル慢性処置による腫瘍発現抑制効果(N=40) 0.05mg/kg(-)-BPAP慢性処置による腫瘍発現抑制効果(N=40) 0.0001mg/kg(-)-BPAP慢性処置による腫瘍発現抑制効果(N=40) (-)-デプレニルおよび(-)-BPAPをそれぞれ慢性処置されたラットの腫瘍発現から死亡までの時間 FVB/N系マウスにおけるマウス肺腺癌の増殖に対する(-)-BPAP処置の効果。値は平均値±SEとして表現されている。*P<0.05、**P<0.01 Balb/c系ヌードマウスにおけるマウス肺腺癌の増殖に対する(-)-BPAP処置の効果。値は平均値±SEとして表現されている。*P<0.05、**P<0.01 FVB/N系マウスへのジエチルニトロソアミンを注射1年後の、肺重量/体重で表されるマウス肺腺癌の増殖に対する(-)-BPAPの低用量(0.0001mg/kg/日)および高用量(0.05mg/kg/日)処置の影響。 FVB/N系マウスへのジエチルニトロソアミン注射1年後の、平均腫瘍数で表されるマウス肺腺癌の増殖に対する(-)-BPAPの低用量(0.0001mg/kg/日)および高用量(0.05mg/kg/日)処置の影響。 オーガンバス中ラット青斑核における(-)-BPAP投与後20分間のノルエピネフリン遊離に対する異なる濃度の(-)-BPAPによる効果。対応のあるスチューデントt-検定 *P<0.01、**P<0.001 エンハンサー物質である(-)-デプレニルおよび(-)-BPAPで1.5年間処置されたFVB/N系マウスにおける肺癌発現の抑制 0.0001mg/kg(-)-BPAPで1.5年間処置されたマウスにおける肺癌発現の抑制
発明の詳細な説明
エンハンサー物質がエンハンサー感受性ニューロンの興奮性を増加させることを実証することは容易である。
我々が、例えば3分間の回収期間中に単離したラット脳幹から電気的刺激により遊離した[3H]-ノルエピネフリン、[3H]-ドパミンまたは[3H]-セロトニン量を測定した時、また、特異的なエンハンサー効果を発揮するデプレニルやBPAPを至適濃度の存在下、測定を繰り返した時、標識された伝達物質の遊離量は有意に高い。これは、エンハンサー感受性ニューロン群が、全体として、合成エンハンサー物質の存在下で高い活性レベルですぐに働くことを示している。単回ウォッシュアウト後、ニューロンは再びそれらの正常な活性レベルですぐに働く。ニューロンは、「悉無律」の様式で刺激に反応するので、ニューロン群(最も興奮性のもの)の一部のみが電気刺激に反応することは明らかである。エンハンサー物質はニューロンの興奮性を増幅させるので、エンハンサー物質の存在下、ニューロン群のより高い割合が興奮し、電気的刺激により遊離された標識伝達物質量が、有意に増加する(Knoll,2005.3.1.3レビュー参照)。
脳幹におけるノルアドレナリン作動性、ドパミン作動性およびセロトニン作動性ニューロンによって表される、生命に重要な中枢神経系制御のエンハンサー感受性の実証;デプレニルがPEA由来の合成CAE物質である発見;最後に、デプレニルよりも強力なトリタミン由来の合成CAE物質で、MAO-B阻害能を有さない、BPAPの発見。「特異的」および「非特異的」エンハンサー効果を発揮するデプレニルおよびBPAPの低用量を用いて、我々の最初の長寿研究を開始した。ラット脳のカテコールアミンおよびセロトニン作動性神経系におけるエンハンサー調節が離乳から性的成熟まで有意に高い活性レベルで機能していること(Knoll and Miklya、1995)、またラットにおいて、性ホルモンが、離乳後の期間に特徴的に、脳におけるカテコールアミン/セロトニン作動性トーンの有意な状態を終了させる以前に明らかにしているので、我々は2010年5月に、性的に成熟した2ヶ月齢Wistar系雄性ラット(チャールズ・リバー)における長寿研究を開始した。この研究は、これまで未知のエンハンサー感受性の腫瘍発現抑制(TMS)調節が、哺乳動物の脳内で働くことを明らかにした。これは、この明細書の主題である。
本長寿研究において、カテコールアミン作動性ニューロンに特異的エンハンサー効果のための至適用量、0.0001mg/kgの(-)-BPAPを週3回、雄性チャールズ・リバーラットに投与した。(-)-BPAP処置ラットは、生理食塩水処置ラットよりも有意に長く(P<0.05)生存することが判明した。これは、(-)-BPAPの特異的なエンハンサー効果が寿命の有意な延長の充分な原因であるという明確な実験的証拠である。
本長寿試験は、これまで知られていなかったエンハンサー感受性腫瘍抑制機構(TSM)が、Wistar系ラットの脳内で機能することを明らかにした。寿命の最初の1年が終了するあたりで、高い割合で、筋肉を含む皮下組織に浸潤し急速に増殖する粘液線維肉腫を発現し始めることが我々のWistar系ラットの亜系統に特徴的である。我々は雄性ラットで長寿研究に取り組み、50%の動物が寿命の間に腫瘍を発現することを観察した。我々は、エンハンサー物質[(-)-デプレニル(0.1mg/kg)またはBPAP(0.05または0.0001mg/kg)]を用いて、2ヶ月齢の終わりから週3回処置したラットにおいて、粘液線維肉腫の発現が有意に減少したことを経験した。40匹の生理食塩水処置(対照)ラットの群において、最初の動物が11ヶ月齢で腫瘍を発現し、その群の20匹のラットが、30ヶ月齢の終わりに腫瘍を発現した。 対照的に、0.0001mg/kg(-)-BPAPで処置した40匹のラットの群において、腫瘍を発現した最初のラットは20ヶ月齢であり、この群のラットが30ヶ月齢を終えるとき、粘液線維肉腫を発現したのは8匹のラットのみであった(P<0.001)。0.05mg/kg(-)-BPAPで処置した40匹の雄性ラットの群において、腫瘍を発現した最初のラットは13ヶ月齢であり、この群のラットが30ヶ月齢を終えるとき、腫瘍発現したのは7匹のラットのみであった(P<O.001)。デプレニル(0.1mg/kg)で処置した40匹の雄性ラットの群において、腫瘍を発現した最初のラットは16ヶ月齢であり、この群のラットが30ヶ月齢を終えるとき、11匹のラットが腫瘍を発現していた(P<0.01)。したがって、0.0001mg/kgの(-)-BPAPでさえ、0.1mg/kgの(-)-デプレニルよりも腫瘍発現を抑制する効力が強かった。
(-)-デプレニルおよび(-)-BPAPの公知のエンハンサー効果と同様に、TMS効果も中枢性の効果である。
TMS調節は腫瘍細胞における直接の細胞傷害作用とは無関係であるため、我々は、2種類のヒト培養髄芽腫細胞株におけるBPAPおよびデプレニルの効果を試験した:線維形成性小脳髄芽細胞腫由来のDaoy HTB-186細胞株(Jacobsenら、1985)および二倍体DNA量をもつ後頭蓋窩髄芽腫由来のUW-228-2細胞株(Kelesら、1985)。(-)-デプレニルと(-)-BPAPの両方が培養中のヒト髄芽腫細胞の増殖を阻害せず、上記の結論と一致している。
Wistar系ラットは、筋肉を含む皮下組織に浸潤し急速に増殖する粘液線維肉腫を発現するという感受性もって生まれる。それらはまた、腫瘍の発現に対抗する先天的な防御機構をもって生まれる。デプレニルおよびBPAPはTMSニューロンをより高い活性レベルに保つので、結果的に、粘液線維肉腫の発現に影響を与える。
BPAPは現在知られている最も強力で選択的なトリプタミン由来の合成エンハンサー物質であり、カテコールアミン作動性ニューロンのPEA由来の合成エンハンサーであるデプレニルより約100倍強力なCAE物質である。BPAPはカテコールアミン作動性ニューロンよりもセロトニン作動ニューロンのはるかに強力なエンハンザーでもある。デプレニルは、セロトニン作動性ニューロンに対してほとんど不活性である。BPAPとデプレニル間のこれらの効果の差異のすべては、ドパミン作動性、ノルアドレナリン作動性、セロトニン作動性、およびTMSの4つのエンハンサー感受性脳制御に対するエンハンサー効果の測定からまとめられた。特異的な実験的ツールとしてエンハンサー物質を用いて、我々は予想外にラット脳におけるエンハンサー感受性TMS調節の作用があることを発見した。予想されるように、エンハンサー感受性調節およびこれらの調節に関連する内在性エンハンサー物質の殆どは知られてはいない。エンハンサー研究はまさにそのパイオニア段階にある。
Wistar系ラットの寿命の間に粘液線維肉腫の発現を防御するのに、0.0001mg/kgBPAPの生涯投与が非常に効率的(P<O.001)であったため、この防御がエンハンサー感受性脳調節であることは疑いのない証拠である。高選択的な合成エンハンサー物質であるBPAPは、明らかに未同定のTMSニューロンの非常に強力なエンハンサー物質である。
BPAPが別の種のin vivo実験で腫瘍増殖および転移を阻害するかどうかをさらに研究するために、直径3mmのマウス由来の原発性肺腺癌腫瘍を25gの体重のFVB/N系雌性マウスの皮下に移植した(Taketo M.1991)。この概念は、このマウス肺腺癌異種移植モデルにおける(-)-BPAP処置によっても証明されている。
別の研究では、多数のマウス結腸癌細胞(C38)をC57Bl/6系マウスの脾臓に播種した場合、BPAPで処置したマウス群において、対照群と比較して腫瘍の発現は有意に低かった(2対14)。
フェムト-ピコモル濃度で特異的なエンハンサー効果を発揮し、現在知られている最も強力なエンハンサー物質であるBPAPは、哺乳動物の脳におけるこれまで知られていないエンハンサー感受性調節を検出する理想的な実験的ツールである。
以下に、TMS脳調節の本性、エンハンサー物質の作用機序、および腫瘍研究に別の経路を与える機会および予防についてさらに検討する。
エンハンサー感受性ノルアドレナリン作動性、ドパミン作動性およびセロトニン作動性神経系(これらの活性は継続的に加齢に伴って低下する)に対するデプレニルおよびBPAPのエンハンサー効果、および図9-12に示されたエンハンサー物質の効果に関する経験を照らし合わせると、これまでに知られていないエンハンサー感受性ニューロン群がラット脳に存在し、それらは個体が罹患しそうな腫瘍を抑制する生理的機能であると、我々は学説に拘束されることなく、合理的に結論づけることができる。これは、哺乳類の脳における高度に効果的なTMS機構の存在の最初の例である。
先行技術の結果から、老化に起因して、エンハンサー感受性ニューロンは、その神経系に関連する病的状態の徴候をもたらす決定的な閾値に達することになる。例えば、エンハンサー感受性ドパミン作動性ニューロンの場合、加齢に伴う神経系の減衰により、線条体中のドパミン含量が、パーキンソン病(PD)の症状が現れ、病気が診断されるときには、危険なレベル(正常レベルの30%)に達していることを、我々は正確に知っている。
いかなるタイプのパフォーマンスを研究するために使用される方法および種にかかわらず、観察者は個々のパフォーマンスの大きな差異に遭遇することは通常経験することである。どんな機能を測定しても、哺乳類のすべてのグループにおいて、より低いパフォーマンスと、より高いパフォーマンスを有する個体を見つけるであろう。エンハンサー感受性調節の場合、我々は長寿の研究で、デプレニルの投与により、パフォーマンスのより低い個体をより良いパフォーマンスを有する個体に変えることを実証した(Knoll、1988; Knoll、Dallo、Yen、1989; Knoll、Yen、Miklya、1994)。
このすべてがエンハンサー感受性TMSメカニズムの真実である。至適用量でのエンハンサー物質の予防的投与はTMSシステムをより高い活性レベルに保つので、最初の腫瘍の発現はより後方にずれて起こることとなり、TMSシステムの活性低下が決定的な閾値を超える前に、および腫瘍細胞の止められない増殖が始まる前に、より高い割合のラットが寿命を閉じる。例えば、この実験では、生理食塩水処置群のラット(N=40)の最後の動物が32ヵ月で死亡した。その群の半分(20匹のラット)が腫瘍を発現することなく死亡した。TMS機能に関して、これらのラットは高機能の個体であったと言うことができる。他の半分のラット(20匹のラット)は、死ぬ前に腫瘍を発現した。したがって、これらのラットにおいて、TMSニューロンにおけるエンハンサー調節の加齢に関連した低下は、決定的な閾値を超え、我々は粘液線維肉腫の発現を観察した。例えば0.05 mg/kgのBPAPの生涯投与でTMSニューロンをより高い活性レベルに保つと、TMSニューロンのエンハンサー調節の老化に関連する減衰が遅延し、7匹のラットが粘液線維肉腫を発現した(図11参照)。
エンハンサー物質は、従来知られていなかったエンハンサー感受性TMS機構が脳内で働いていることを明らかにしている。合成エンハンサー物質の予防的投与の助けにより、我々は、その個体が、その系統が罹患しやすい腫瘍の発現を回避する機会を有意に増加させる。生理食塩水またはエンハンサー処置ラットで生じた粘液線維肉腫の顕微鏡検査および組織学には差異がない。さらに、図13は、生理食塩水、デプレニルまたはBPAPを慢性処置したラットにおいて、腫瘍発現から死亡までの時間に有意差がないことを示している。
表2は、加齢に関連した体重変化に関して、生理食塩水-,またはエンハンサー-処置ラットの間に有意差がないことを示す。
Figure 0006875278
エンハンサー物質は、脳内のエンハンサー感受性ニューロンに特異的に至適濃度で作用するので、BPAPおよびデプレニルの2種のヒト髄芽細胞腫細胞株に対して無効であったことは、粘液線維肉腫の発現に感受性がある我々のラットの系統において、これまでに未知のエンハンサー感受性調節が作用して腫瘍の発現を阻害するという我々の結論を強力に支持している。エンハンサー調節の老化に関連した低下のために、腫瘍を発現するラットの数は、時間が経過するにつれて連続的に増加している。適切な用量のエンハンサー物質の維持は、エンハンサー感受性ニューロンをより高い活性レベルに保ち、有意に少ない数のラットが腫瘍を顕在化させる。
BPAPはセロトニン作動性ニューロンの活性を優先的に増強したので、我々は、10ng/mlBPAPの存在下で、単離したラット脳幹からの[3H]-SERの遊離を測定し、この効果を、選択的SER再取り込みの阻害薬である50ng/mlフルオキセチン、MAO-AおよびMAO-B阻害薬である250ng/mlクロルギリンおよびラザベミドとそれぞれ比較した。これらの化合物のいずれも、電気刺激による脳幹からの[3H]-SERの遊離を増強せず、それらがセロトニン作動性ニューロンに対するエンハンサー効果を欠いていることを明らかにした。
本発明のエンハンサー化合物の調製は、例えば以下の特許および特許出願:WO1999007667A1、WO2000026204A1に記載されている。
好ましくは、エナンチオマー的に純粋な化合物が使用される。
本発明のエンハンサー化合物の製剤化は、一般に、当業者の技術の範囲内である。通常、セレギリンのようなMAO阻害薬に関連する豊富なガイダンスは、用量が有意に低く、製剤をこの低用量に適合させるべきであることを除いて、踏襲することができる。
一般に、低用量、口腔剤および速い分散および遅延性製剤は、当該技術分野において周知であり、本明細書では患者の要求に従って適用することができる。
具体的には、低用量医薬品の調製については、豊富な教示が以下の刊行物に見いだされる:[Ahmed H、Shah N.(2000)低用量医薬品の製剤化 - 理論と実践。 Am. Pharm. Rev. 3(3): 9-14; Jack Zheng(2009)低用量経口製剤の製剤化と分析開発。 John Wiley & Sons]
本発明は、本明細書中の実施例によってさらに説明される。これらの実施例は例示的かつ実例的な性質を有し、本発明の説明は本明細書で提供される全教示を含むことに留意すべきである。また、全明細書を通して、デプレニルは比較例として挙げられている。
実施例1 (-)デプレニル(D)および(-)BPAP(B)を用いたラットモデルにおける長寿試験
材料および方法
材料
(-)-1-(ベンゾフラン-2-イル)-2-プロピル-アミノペンタンHCl [(-)−BPAP] 藤本製薬株式会社、大阪、日本;
(-)デプレニル(セレギニン)はサノフィ−キノイン、ブタペスト、ハンガリー;
テトラベナジン HCl(ハンガリー、ブダペストの技術科学大学、有機化学講座、C. Szantay教授によって合成された。)
動物
ゼンメルワイス(Semmelweis)大学の飼育コロニーから提供を受けた体重250-350gのWistar系雄性ラット(チャールズ・リバー)で実験を行った。動物を12時間の明暗サイクルおよび温度(22±2℃)および相対湿度(55±5%)に制御された条件下で維持した。室温および相対湿度は毎日確認した。ラットを標準実験室用飼料および水道水を自由摂取および飲水で飼育した。すべての操作は、実験的および他の科学的目的のために使用される脊椎動物の保護のための欧州条約に準拠している。この研究は、ブダペストのゼンメルワイス大学の動物倫理委員会によって承認された(承認番号:1810/003/2004)。
シャトルボックス実験による長寿研究のためのデプレニルおよびBPAPの適切なCAE用量の選択
シャトルボックスの改変版では、双方向条件回避反射(CAR)の獲得を5日間連続して解析した。ラットを、中央に小さなゲートを有する仕切りによって2つの部分に分割されたボックスに入れ、動物を条件刺激(CS、光刺激)の影響下で仕切りを横切るように訓練した。5秒以内に反応しなかった場合には、ラットは無条件刺激(US)であるフットショック(1mA)が与えられた。ラットがUSに5秒以内に応答しなかった場合、それは逃避失敗(EF)として分類された。1回の試行は、10秒の試行間隔と20秒のCSとで構成された。CSの最後の5秒はUSの5秒をオーバーラップさせた。各学習セッションでは、CAR、EF、および信号間反応(IR)の数が自動的に計数され、多元配置分散分析(ANOVA)によって評価された。
テトラベナジン処置(1mg/kg皮下)は、脳幹のカテコールアミン作動性ニューロンの神経終末の貯蔵部位からノルエピネフリンおよびドパミンの少なくとも90%を枯渇させる。カテコールアミン作動性脳エンジンの機能低下のために、皮質ニューロンの活性化は、CARの獲得に必要なレベルより低いままである。テトラベナジン処置によって引き起こされる学習障害は、合成CAE物質またはA型MAO阻害薬の投与によって拮抗され得るが、B型MAOの選択的阻害またはカテコールアミンおよび/またはセロトニンの再取込み阻害は無効である(Knollら、1992)。
エンハンサー物質は、特有の用量依存性をもってエンハンサー効果を発揮する:二峰性、ベル型の濃度効果曲線は、エンハンサー効果に特徴的である。BPAPは、フェムト/ピコモル濃度範囲(「特異的エンハンサー効果」)および1000万倍高い濃度範囲(「非特異的エンハンサー効果」)においてノルアドレナリン作動性ニューロンの活性を増強した。デプレニルは、BPAPほど強力ではないCAE物質であるが、その他の点ではBPAPと同じ特徴を有し、特異的かつ非特異的なエンハンサー効果を発揮する(Knollら、1999、Knoll、Miklya、Knoll B、2002)。
図3は、このin vivo試験においても、二峰性、ベル型の用量効果関係がDのエンハンサー効果を特徴付けることを示している。我々は、長寿試験のために、2用量のデプレニル、0.001mg/kgおよび0.1mg/kgを選択した。そして、0.001mg/kgを、特異的エンハンサー効果を発揮する至適用量として選択した。非特異的エンハンサー効果を有する用量に関しては、B型MAOが適切なモノアミンを十分に酸化するので、有効性の低い0.1mg/kgの用量を長寿試験のために選択した。この図はまた、MAO-Aの阻害する非常に高用量のデプレニル(5-10mg/kg)が、テトラベナジン誘発学習障害に拮抗させるのに有効であることを示している。
図4は、シャトルボックスにおけるBPAPの用量関連効果を示す。長寿試験のために、我々は、特異的(0.0001mg/kg)および非特異的(0.05mg/kg)エンハンサー効果を誘発する至適用量を選択した。BPAPは2 mg/kg以上の用量でMAO-Aの活性を阻害し(Knollら、1999)、極めて高い用量範囲(2-10mg/kg)でテトラベナジン誘発性学習障害に拮抗する。
0.0001mg/kgBPAPがシャトルボックスでのテトラベナジン誘発学習障害に拮抗するという事実(図4)は、エンハンサー物質がカテコールアミン作動性の脳エンジンを活発にさせるユニークなメカニズムの主要なin vivoの証拠であることは間違いない。至適な低用量のPEAおよびデプレニルならびにトリプタミンおよびBPAPにおいては、エンハンサー感受性ニューロンの興奮性の増加が見られたので、我々は、脳内のカテコールアミン作動性およびセロトニン作動性ニューロンからのインパルス伝播を介した神経伝達物質の遊離増強を測定した。低用量では、デプレニルは選択的CAE物質である。優位なセロトニン作動性活性エンハンサー物質であるBPAPは、Dよりもはるかに強力なエンハンサーを示すCAE物質でもある。
長寿研究
長寿研究は、ゼンメルワイス大学の繁殖コロニーから提供された200匹の雄性ラットを用いて実施された。ラットは2010年2月末に生まれた。2ヶ月の馴化期間の後、ラットを無作為に5つの群に分けた。長寿試験は2010年5月初旬に開始された。動物は自然死するまで観察された。この研究のデータは、生理食塩水処置群の最後の動物が2012年10月31日に死亡したため、2012年10月31日までに観察された変化を表す。後で示すように、エンハンサー処置群の数匹のラットは、 2012年11月1日時点でなお生存していた。
長寿試験の間、5匹のラットは、上部がステンレススチールのポリカーボネートケージ(高さ:18cm;幅:42 cm;長さ:44cm)で飼育された。ケージの床敷きは週3回(月曜日、水曜日、金曜日)取り替えた。体重は毎月1回測定された。処置は2ヶ月齢末に開始された。生理食塩水、(-)-デプレニルおよび(-)-BPAPをそれぞれ週3回(月曜日、水曜日、金曜日)に皮下注射した。長寿試験に供した5群のラットの処置を表3に示す。
群と個体の混合を避けるために、生理食塩水で処置したラットを1から40に青色で標識した。D-処置ラットは、1から80(1-40:0.1mg/kgで処置したラットおよび41-80:0.001mg/kgで処置したラット)に緑色で標識した。B処理したラットは、1から80(1-40:0.05mg/kgで処置したラットおよび41-80:0.0001mg/kgで処置したラット)は黒色で標識した。
Figure 0006875278
腫瘍の観察
我々は、皮下腫瘍の出現を注意深く観察し、腫瘍の展開を死亡まで追跡した。組織学的解析は、例として各群から採取した数匹のラットについて死後に行った。
ラットに発生した皮下腫瘍を2つの最大直径で測定した。動物を屠殺後、腫瘍を摘出し、写真を撮った。組織を室温で24時間、10%中性ホルマリン(PBS、pH7.0)中で摘出直後に固定し、脱水し、パラフィンに包埋した。3-4マイクロメーター厚の切片を切り取り、常法でヘマトキシリンおよびエオシン(HE)によって染色した。
腫瘍は軟性で、灰白色であった。 時折、様々な程度の出血性および壊死性領域が検出され得る。組織学的には、腫瘍細胞は、円形または楕円形の核と好酸球性の細胞質を有する丸いかまたは細長い形状であった。時には有糸分裂像が見られた。細胞は、コラーゲン線維の領域を含む淡い部分的に好酸性、部分的に好塩基性の疎性マトリックスに取り囲まれていた。腫瘍は皮下組織および横紋筋に浸潤していた。
腫瘍の起源を証明するために、ホルマリン固定パラフィン包埋切片で免疫組織化学反応を行った。脱パラフィンおよび再水和後、スライドを抗ビメンチン抗体(Dako、Glostrup、Denmark、1:1200希釈)、平滑筋抗体(SMA、Dako、1:400希釈)、デスミン(Dako、1:300希釈)、Ki67(Dako、1:100希釈)でインキュベーションした。反応は、Ventana Benchmarck XT自動化免疫組織化学染色システム(Ventana Medical System Inc.、Tuscon、AZ、USA)で、HRPマルチマーベースのビオチンフリー検出法を用いて行った。試薬および二次抗体は、Ventana(iView DAB Detection Kit、Ventana)から得た。
免疫組織化学は、SMAおよびデスミンの反応は陰性で、ビメンチンで強く染色される間葉由来腫瘍細胞であることを証明した。Ki67は腫瘍細胞の5%まで陽性であり、腫瘍細胞の増殖性を示した。
最終的な組織学的診断は、皮下組織における粘液線維肉腫であった。
長寿研究の成果
デプレニルおよびBPAPが「特異的」および「非特異的」エンハンサー効果を発揮する低用量での延命効果
薬物のCAE効果の発見前に行ったデプレニルの2つの長寿試験では、脳のMAO-B活性を完全に阻害する0.25mg/kg用量のデプレニルを使用した。この研究では、シャトルボックス実験で発揮された化合物が「非特異的」および「特異的」エンハンサー効果を示す(図3参照)、デプレニルのピーク用量を使用した。
生理食塩水処置群の最初の動物は9ヶ月齢に死亡し、最後の動物は32ヶ月齢で死亡した。
図5は、0.1mg/kg デプレニルで処置したラットの群において、最初の動物が11ヶ月齢に死亡し、2匹のラットが32ヶ月齢の終わりまで生存していたことを示す(P>0.05)。図6は、0.001mg/kg デプレニルで処置したラットの群において、最初の動物が13ヶ月齢で死亡し、どのラットも32ヶ月齢の終わりには生存しなかったことを示す(P>0.05)。
図5および6によれば、デプレニルはラットの寿命を有意に延長しなかったが、この方向への変化は明らかである。しかしながら、B処理したラットは、生理食塩水で処置したラットよりも有意に長く生存した。
図7は、0.05mg/kgBPAPで処置したラットの群において、最初の動物が14ヶ月齢で死亡し、5匹のラットが32ヶ月齢の終わりまで生存していたことを示す(*P<0.05)。図8は、0.0001mg/kgBPAPで処置したラットの群において、最初の動物が16ヶ月齢に死亡し、1匹のラットは32ヶ月齢まで生き残った(*P<0.05)。
デプレニルおよびBの腫瘍発現抑制(TMS)効果
我々の長寿研究の過程で、我々はラットの脳内で以前は知られていなかったユニークなエンハンサー感受性TMS機構が作動していることを発見した。
Wistar系ラット(チャールズ・リバー)の本来の特性として、生後1年の終わり頃に、筋肉を含む皮下組織に浸潤している急速に増殖する粘液線維肉腫が出現し始め、時間の経過とともに腫瘍を発現するラット数が増加し、最終的には集団の約半分が粘液線維肉腫で死亡する。
実施中の長寿試験では、生理食塩水で処置したラット群は、腫瘍を最初に発現した動物は11ヶ月齢で、その群の20匹のラットが27ヶ月齢の終わりまでに腫瘍を発現した。この群の最後の2匹の動物は、32ヶ月齢で死亡した。
0.1mg/kgデプレニルで処置したラット群では、最初の動物が16ヶ月齢で腫瘍を発現し、その群の11匹のラットが32ヶ月齢の終わりまで腫瘍を発現した。最後の動物は32ヶ月目に腫瘍を発現した。図9は、0.1mg/kgデプレニルを投与したラットの処置が粘液線維肉腫の発現を有意に抑制したことを示している(P<O.01)。
0.001mg/kgデプレニルで処置したラット群では、最初の動物が12ヶ月齢で腫瘍を発現し、その群の15匹のラットが32ヶ月齢の終わりに腫瘍を発現した。最後の動物は29ヶ月齢で腫瘍を発現した。この群の最後の動物は、32ヶ月齢で死亡した。図10は、0.001mg/kgデプレニルのTMS効果は有意ではなかったが、その傾向は否定できないことを示している。
0.05mg/kgBPAPで処置したラット群では、最初の動物が13ヶ月齢で腫瘍を発現し、その群の7匹のラットは32ヶ月齢の終わりに腫瘍を発現した。最後の動物は、29ヶ月齢の間に腫瘍を発現した。この群の5匹のラットはまだ生存している。図11は、0.05mg/kgBPAPで処置したラットでは粘液線維肉腫の発現を有意に抑制したことを示している(P<O.001)。
0.0001mg/kgBPAPで処置したラット群では、最初の動物が25ヶ月齢で腫瘍を発現し、その群の8匹が32ヶ月齢の終わりに腫瘍を発現した。最後の動物は31ヶ月目に腫瘍を発現した。この群の1匹はまだ生きている。図12は、0.0001mg/kgBPAP処置したラットでは粘液線維肉腫の発現を有意に抑制したことを示している(P<0.001)。
腫瘍の説明
肉眼的観察
ラットの皮下の局所において、結節が出現した。写真は、粘液線維肉腫の典型的な皮下局在を説明している。
腫瘍は限局性であったが、検出可能な被膜は見られなかった。写真は、特徴的な構造を持たない、灰白色の腫瘍の切断面を示している。時折、小さな出血領域と黄色の同質性の壊死領域が見られることがあった。
組織学
ヘマトキシリン-エオシン(HE)染色切片では、腫瘍細胞は、多数の小さな血管を有する、疎性の淡い好酸性マトリックスに局在していた。腫瘍細胞は、中央性または偏心性に局在した丸みを帯びた核および淡い好酸球性の細胞質を有する細長いまたは星状の形態を有していた。時折有糸分裂像が検出された。PAS反応では、マトリックスは淡陽性反応を示し、腫瘍細胞は主に陰性であった。写真は、皮下腫瘍の典型的な組織学を示している。
免疫組織化学
免疫組織化学反応により、腫瘍細胞はビメンチンに対して強く陽性に染色された。SMA(平滑筋抗原)の抗体は血管のみを染色し、腫瘍細胞は陰性であった。抗デスミン抗体は、筋肉構成成分のみと反応し、陰性染色された腫瘍細胞が浸潤していた。
H-カルデスモン反応は陰性であった。
このデータは、我々の研究で使用されたWistar系ラットでは、急速に増殖する皮下粘液線維肉腫の発現を示す割合が、時間につれて連続的に増加するという実験的証拠を提供し、この腫瘍の発現はこの系統の本来の特性であるということの証拠であると思われる。
実施例2 ヒト培養髄芽腫細胞株に関する実験
細胞株
ヒト髄芽腫細胞株DaoyはATCCCから購入し、UW-228はSilber教授(ワシントン州シアトル、ワシントン大学)から好意により提供されたものである。
維持
DaoyおよびUW-228-2細胞株は、(50ml FCS(Gibco)、40mgゲンタマイシン(Sandoz)、5mlのピルビン酸ナトリウム(S8636、Sigma, St Louis, USA)、5mlの非必須アミノ酸溶液(M7145, Sigma, St Louis, USA)、10 mlのL-グルタミン(Sigma, St Louis, USA)を含有した500mlのイーグル最小必須培地, α改変型(M8042, Sigma, St Louis, USA)で、37℃、5% CO2中で維持された。
増殖アッセイ
96ウェルプレート(Sarstedt)の各ウェルに、3x10 3個のDaoyまたはUW-228-2細胞をに播種し、100μlの10%FCS含有培地に加えた。播種24時間後、さらに100μlの培地に溶解した薬物によって細胞を72時間処理した。最初に、両細胞株を単独の(-)-BPAPおよび(-)-デプレニルで処置し、10-6、10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13および10-14M濃度で用量−効果曲線を評価した。併用処置では、10-3、3.3×10-4、1.1×10-5および3.7×10-5Mのテモゾロミド(Schering Plough, USA)、または、0.04, 0.2, 1, 5μMのシスプラチン(Ebewe Pharma, Austria)、または0.04, 0.2, 1, 5μMのエトポシド(Ebewe Pharma, Austria)、または10-7、10-6、10-5および10-4μM(UW228-2)または0.001, 0.005, 0.025および0.125μM(Daoy)のビンクリスチン(Richter Gedeon, Hungary)の単独または、10-13または10-8Mの(-)-BPAPまたは(-)-デプレニルとの併用で行われた。
細胞増殖は、製造業者のプロトコールに記載された方法に従い、72時間処理後に、MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド)アッセイ(M5655, Sigma)によって評価した。
統計
シャトルボックスにおける群間のパフォーマンスの有意性は、多因子分散分析(ANOVA)によって評価した。ラットにおける腫瘍発現から死亡までの期間およびエンハンサー物質で慢性的に処置されたラットの加齢に関連した体重変化に関する有意性は、一元配置 ANOVAによって解析した。生存率および腫瘍発現の統計解析は、Kaplan-Meier法によって行った。
ヒト培養髄芽腫細胞株の実験結果
我々は、2種のヒト培養髄芽腫細胞株、すなわち、線維形成性小脳髄芽細胞腫由来のDaoy HTB-186細胞株(Jacobsenら、1985)および二倍体DNA量をもつ後頭蓋窩髄芽腫由来のUW-228-2細胞株(Kelesら、1985)におけるエンハンサー物質の効果を試験し、10-14及び10-6Mの9つの濃度範囲でデプレニルとBPAPの効果を調べた。適用したいずれの濃度においてもデプレニルまたはBPAPは培養髄芽細胞腫細胞上の増殖に影響を与えなかった。さらに、BPAPとデプレニルは、調べられた既知の腫瘍細胞増殖阻害薬の有効性を変化させなかった(方法における調べられた組み合わせを参照)。
培養腫瘍細胞の増殖に対するエンハンサー物質が無効であったことは、エンハンサー感受性TMS調節の生理学的機能と一致した。
実施例3 マウス肺腺癌異種移植モデルにおける-(-)-BPAPの効果
(-)-BPAP処置が肺腺癌細胞の成長に影響を及ぼするか否かを調べるために、in vivo異種移植モデルが計画された。
方法
皮下に維持されたマウスの原発性肺腺癌腫瘍が、本研究で利用された。直径3mmの大きさの腫瘍が、体重25gのFVB/N雌性マウス計18匹の皮下に移植された。腫瘍接種翌日に、それぞれ6匹ずつの動物に、0.0001mg/kg(低用量)または0.05mg/kg(高用量)のいずれかの用量で、(-)-BPAPを毎日皮下注射された。腫瘍サイズはデジタルノギスを使用して週2回測定した。腫瘍体積は以下の式で計算した。
Figure 0006875278
統計解析は、グラフパッドプリズム(GraphPad Prism)4.03ソフトウェアによって行われた。対照と(-)-BPAP処置群との間の変化の有意性は、マン・ホイットニーのU検定(Mann-Whitney U-Test)により評価した。有意差は、P<0.05のレベルで表された。
次に、獲得免疫系が(-)-BPAPの腫瘍抑制作用における役割を果たしているかどうかを調査するために、18匹のBalb/c系ヌードマウスを用いて、同様の実験を繰り返した。
結果
対照のFVB/N系動物における腫瘍の成長は、(-)-BPAP処置されたマウスより速かった(図14)。腫瘍移植後12日目から、対照マウスと低用量の(-)-BPAP処置動物との間で腫瘍体積に有意差が認められた(P<0.05)。高用量の(-)-BPAP処置マウスは、低用量の(-)-BPAP処置マウスと同様の腫瘍体積を示し、これらの変化には、統計的有意性がなかった(図14)。
Balb/c系ヌードマウスで行った実験では、以前のFVB/N系の動物での結果と類似した結果が得られた(図15)。低用量の(-)-BPAP処置は、腫瘍体積の測定によって示される腫瘍増殖を有意に阻害した(図15)。我々の以前の観察と同様に、高用量の(-)-BPAPは、対照サンプルに比べて、より低い腫瘍体積であったものの、腫瘍サイズの有意な変化を引き起さなかった(図15)。これらの結果は、BPAPの腫瘍抑制作用は、免疫系のTまたはB細胞を必要としないことを示唆している。
実施例4 原発性肺腺癌モデルのマウスにおける(-)-BPAPの効果
この研究において、15日齢のFVB/N系マウスにジエチルニトロソアミンの単回腹腔内注射(15μg/g体重)によって、原発性肺腺癌が誘発された。
3群の動物が定義された:
1.対照群:8週齢から毎日生理食塩水が皮下注射された。
2.BPAP低用量群:8週齢から毎日0.0001mg/kgが皮下投与された。
3.BPAP高用量群:8週齢から毎日0.05mg/kgが皮下投与された。
結果
1年後、動物を屠殺し、体重および肺重量を記録した。さらに、肉眼的に観察可能な腫瘍を計数した。
各群のマウス体重当たりの肺重量の平均比が図16に示されている。各群の肉眼的観察可能な腫瘍の平均数が図17に示されている。
これらの予備的な結果は、低用量のBPAPが原発性肺腺癌の形成または発現をよく予防しうることを示している。
実施例5 単離されたラット青斑核における-(-)-BPAPのエンハンサー効果
この研究では、速やかに摘出されたラットの青斑核のオーガンバスに(-)-BPAPを添加した。8個の組織が、各濃度の解析のために使用された。異なる濃度の(-)-BPAP存在下で、組織から20分以内に遊離されたノルエピネフリンの量を、KnollおよびMiklya(1995)の方法に従って測定した。(対応のあるスチューデントのt検定。*P<0.01、**P<0.001)。
結果
ノルエピネフリン量(組織湿重量1g当たりのmmolとしてプロット)は、BPAPモル濃度に対してプロットされている(図18参照)。二峰性、ベル型の濃度効果曲線は、ラットの単離青斑核に対する(-)-BPAPのエンハンサー効果に特徴的である。
実施例6 (-)-BPAP処置マウスの結腸癌モデルに対する効果
この研究では、30,000個のマウス結腸癌細胞(C38)をC57B1/6系マウスの脾臓内に接種され、接種後23日目には肝転移が肉眼的に観察された。その実験において、1つのマウスの群は、30,000個の細胞/動物の接種に先立って、0.0001mg/kgBPAPを一週間毎日皮下に前処置し、さらに実験終了(第23日目)まで処置したが、対照動物にはBPAP処置をしなかった。
結果
BPAP処置群では、2個の腫瘍/肝臓が現れた(P <0.05)が、対照においては、接種後23日目の肉眼的に観察可能な肝転移の平均数は14であった。
実施例7 FVB/N系マウスの長寿研究 - 肺癌の自然発生の抑制
マウスの寿命における(-)-デプレニルと(-)-BPAPの効果を調べるために、「特異的」(低い、すなわち特異的エンハンサー用量)および「非特異的」(より高い、すなわち、非特異的エンハンサー用量)エンハンサー効果を発揮する投与量により処置されたマウスをランダムに選択し剖検した:6ヶ月、1年、1.5年と2年の時点で屠殺し、ランダムに選んだマウスにおける肺癌の発現を検出した。
方法
5群の性的に成熟したマウスは、異なる2用量の(-)-BPAPおよび(-)-デプレニルでそれぞれ毎日処置された。
1群:対照:生理食塩水
2群:BPAP低用量:0.0001mg/kgの(-)-BPAP
3群:BPAP高用量:0.05mg/kgの(-)-BPAP
4群:デプレニル低用量:0.001mg/kgの(-)-デプレニル
5群:デプレニル高用量:0.1mg/kgの(-)-デプレニル
合計172匹のマウスを実験に供した。体重は隔月に測定した。モニタリングのために、6ヶ月、1年、1.5年と2年の時点で、各群からマウスを屠殺する計画がなされた。残りの動物は自発死まで飼育された。
結果
長寿研究がまだ実行されている;現時点(2015年11月)まで、6ヶ月、1年、1.5年間処置したマウスで剖検が行われた。肺癌は、6ヶ月または1年間の生理食塩水処置したマウスでは検出されなかった。これに対し、1.5年間生理食塩水処置したマウスの75%に腫瘍の発生が観察されたが、1.5年齢のエンハンサー処置マウスにおいては、腫瘍の発生は有意に低いかまたは全く発生しなかった。
結果を表4と図19および図20に示した。有意水準は、両面のカイ二乗検定(Chi-square test)に基づいて算出した。
Figure 0006875278
表4は、特異的エンハンサー用量で処置された18ヶ月齢の解剖マウスはいずれもが肺癌を発現していないことを示している。
図19は、表4に示すように、4匹の生理食塩水処置マウスと、18ヶ月間エンハンサー物質を毎日処置した合計14匹のマウスとの間の有意差の計算結果を示している。
図20は、特異的エンハンサー効果を発揮する非常に低用量の(-)-BPAPが、FVB/N系マウスにおける肺癌の発現を完全に抑制することを示している。
実施例8 電気刺激によってラット脳幹から遊離したモノアミン神経伝達物質の測定(参考例)
この測定は、EP1052259B1(WO2000026204A1に相当)の実施例2に記載された方法と同様にして、必要な変更を加えて、行うことができる。この方法は、[Knoll J、 Knoll BおよびMiklya I Life Sci, 58、2101-2114(1996)]にも記載されている。
要約すると、ラットから脳幹(平均重量約800mg)を単離し、酸素添加をしたクレブス溶液に浸す。次に、遊離を測定するために、標識された神経伝達物質の溶液を調製物に添加し、適切な環境下で取込みさせる。必要な場合には、MAO活性を阻止する。
モノアミンの取り込み後、脳幹は、適切なオーガンバスに固定され、適切な溶液にて洗浄して、モノアミンの取り込みを促進し、その代謝を抑制する。
灌流液の分取は定期的に行われ、もしモノアミンが放射性標識れている場合には、フラクションをシンチレーション液と組み合わせる。
本発明の化合物は、エンハンサー濃度で灌流緩衝液に溶解される。(陰性)対照として、灌流緩衝液または化合物を含まない適切な緩衝液を使用することができる。陽性対照として既知のエンハンサー効果を有する化合物を用いることができる。
エンハンサー効果の典型的な曲線(典型的には二峰性の曲線)を取る場合には、可能な濃度範囲に及ぶ異なる濃度の溶液を調製する。
電気刺激する前に十分な時間、組織を本発明の化合物を含む緩衝液で灌流する。
脳幹は、3分間の矩形パルス(例えば、3Hz、1秒60V)で刺激される。実験の開始時に、例えば静止期間の3フラクションといったいくつかのフラクションを、最初の刺激前にとった。その後、刺激間はいくつかのフラクション、例えば静止期間の7フラクションを割り当てた。
電気刺激が神経細胞に与えられたとき、本発明の化合物は、エキソサイトーシスの増加により、モノアミン神経伝達物質の遊離を増強することが確認されている。
結果
電気的に刺激された脳(例えば、脳幹)からのモノアミン神経伝達物質の遊離を引き起こす、本発明の化合物の低用量または最小用量を明確にする場合、エンハンサー化合物の最小用量がMAO阻害薬のそれより低く、特に有意に低く、典型的には、0.04または0.02μg/ml、またはさらにより好ましくは0.015μgまたは0.01μg/mlのより高くなく、またはより低い。
広範囲にわたる濃度系列が適用される場合、遊離されたモノアミン量の、典型的には二峰性曲線は、本発明の化合物の濃度の機能として得られる。しかし、少なくともベル型曲線は、エンハンサー効果の典型的な低濃度範囲で得られる。典型的には、この曲線の中位は0.04または0.02μg/ml、より好ましくは0.015または0.01μg/mlである。
実施例9 脳組織から遊離された生体アミンの測定
この測定は、EP1052259B1(WO2000026204A1に相当)の実施例4に記載の測定と同様に、必要な変更を加えて、行うことができる。この方法は、[Knoll J. Knoll BおよびMiklya I、Life Sei, 58, 2101−2114(1996)]に記載されている。
Wistar系ラットなどのラットから単離した脳組織(線条体、黒質、嗅結節、青斑核および縫線核など)を、体温で酸素添加したクレブス溶液に浸す。調製物をオーガンバスに浸し、適切な時間インキュベートし、必要に応じて溶液を交換する。本発明の化合物を含有するクレブス溶液中に組織を適切な時間浸した後、この間に遊離した生体アミンを定量する。本発明の化合物、適切な場合には、既知のエンハンサー化合物である陽性対照を生理食塩水に溶解し、陰性対照としての生理食塩水を脳サンプルの解剖の30分前に皮下に投与する。20分間遊離した適切なアミンの量は、例えばクロマトグラフィーによって測定され、nmol/g組織として示される。平均値間の差異は、例えばスチューデンツt-検定を使用してテストされる。有意水準は例えばP<0.05に設定する。
エンハンサー化合物がモノアミン神経伝達物質の遊離を増加させると予想される。特に、純粋なエンハンサー化合物は、低濃度、例えばMAO阻害薬の有効濃度よりも低い濃度、特に0.05または0.02mg/kg/日未満、より好ましくは0.015mg/kg/日または0.01mg/kg/日未満、または0.005又は0.002mg/kg/日未満、更により好ましくは0.0015mg/kg/日または0.001mg/kg/日未満の濃度において、モノアミン神経伝達物質遊離を増加させる。
適切な低用量のエンハンサー物質の特異な作用メカニズムは、その独自の安全性の基礎を形成する。特異的なエンハンサー効果を発揮する極めて低用量においては、機能の低いエンハンサー感受性ニューロンをより優れた機能に選択的に変換させる。
二峰性、ベル型の濃度効果曲線はエンハンサー効果に特徴的であるため、エンハンサー物質の所与の濃度範囲は適切な性能発揮のために必要であり、それより低い濃度および高い濃度は両方とも効果的ではなかった。
生涯投与予防薬は独特の薬物安全性を必要とする。今日使用されているすべての薬物は、高機能の生物の生理学的環境を厳しく変化させるため、原則として生涯にわたる日常投与には不適合である。対照的に、本発明の合成エンハンサー物質、特にそれらが特異的なエンハンサー効果を発揮する低濃度では、より機能の低いエンハンサー感受性ニューロンをより優れた機能に変え、ニューロンの生理学的環境を変えず、生涯の予防薬として適している。本発明のエンハンサー物質は、それらの特異的なエンハンサー効果を非常に低い用量で発揮する。典型的には、BPAPによって例示されるように、それらはより高用量でも忍容され、これらの化合物の安全域は独特である。本発明者らによるこれまでに知られていない哺乳類の脳における腫瘍発現抑制(TMS)調節機構の発見は、これまで知られていなかったエンハンサー感受性脳制御の例である。
本発明者らは、トリプタミン類縁化合物のカテコールアミン作動性/セロトニン作動性エンハンサー活性に基づく腫瘍抑制機構を初めて本明細書に開示する。本発明の結果は、本発明のエンハンサー物質がカテコールアミン作動性ニューロンおよびセロトニン作動性ニューロンの活性を増加させ、今日この目的のために使用される薬物のいずれとも質的に異なっていることを示す。
本発明は、医薬製剤、特に癌の予防および治療、特に腫瘍発現の抑制に使用するための医薬ならびにその方法に関する。
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Claims (9)

  1. 中枢神経系のモノアミン作動性ニューロンにおけるインパルス伝播を介したモノアミン神経伝達物質の遊離を増強する、モノアミン作動性エンハンサー化合物であり、一般式IIIで示される化合物またはその薬学的に許容される塩を、哺乳動物に、1日投与量として、0.05mg/kg体重より少ない量で投与されるように用いられる、一般式IIIで示される化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する癌またはその転移の予防または治療剤。
    Figure 0006875278



    (式IIIにおいて、
    R 1 はC 2-4アルキル;
    R 2 は水素、C 1-3アルキル、C 2-3アルキルカルボニルまたはC 6-10アリール;
    R 3 は水素、メチルまたはエチルである。)
  2. モノアミン作動性エンハンサー化合物がカテコールアミン作動性活性エンハンサー(CAE)物質および/またはセロトニン作動性活性エンハンサー(SAE)物質であり、モノアミン作動性ニューロンがカテコールアミン作動性および/またはセロトニン作動性ニューロンである請求項1に記載の癌またはその転移の予防または治療剤。
  3. 一般式IIIで示される化合物が、(2R)-1-(1-ベンゾフラン-2-イル)-N-プロピルペンタン-2-アミン[(-)-BPAP]である請求項1または2に記載の癌またはその転移の予防または治療剤。
  4. 癌が悪性腫瘍、または癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫および胚細胞腫からなる群から選択される癌である請求項1からのいずれかに記載の癌またはその転移の予防または治療剤。
  5. 悪性腫瘍が粘液線維肉腫、腺癌、結腸癌および肝転移癌からなる群から選択されるものである請求項に記載の癌またはその転移の予防または治療剤。
  6. 哺乳動物がヒトである請求項1から5のいずれかに記載の癌またはその転移の予防または治療剤。
  7. モノアミン作動性エンハンサー化合物の1日投与量が、0.0001mg/kg体重未満の特異的エンハンサー用量である請求項1からのいずれかに記載の癌またはその転移の予防または治療剤。
  8. モノアミン作動性エンハンサー化合物が、ヒトに少なくとも1ヶ月間投与されるように用いられる請求項1からのいずれかに記載の癌またはその転移の予防または治療剤。
  9. モノアミン作動性エンハンサー化合物の光学純度が80%以上である請求項1からのいずれかに記載の癌またはその転移の予防または治療剤。

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