JP4953041B2 - アポトーシス抑制剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、アポトーシス抑制作用を有し、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、緑内障、脊髄小脳変性症等の神経疾患、脳卒中等の脳虚血性疾患、糖尿病で観察される末梢性神経障害等の神経変性疾患、エイズ、中毒性疾患の治療および予防に有用な化合物およびその薬理学的に許容される塩、またはそれらの水和物もしくは溶媒和物、ならびにそれらを有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アポトーシスは、細胞の遺伝子に制御された細胞自壊プログラムが発動することによって起こる細胞死であり、例えば器官の発達、変態、隆形成、表皮細胞の細胞交代などにおいてみられる。アポトーシスによる細胞死の形態は、細胞質の濃縮、原形質膜毛の消失、核の分節化、染色体ヌクレオソーム単位での切断によって達成される。このような生理機能としてのアポトーシスは、通常の発生・分化、正常組織や細胞のターンオーバーなどの一部として機能している反面、その機能亢進や抑制によって様々な疾患を発生させる可能性が指摘されている(プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、1997年、94巻、12736−12737ページ)。例えば、ガン、自己免疫疾患、ウイルス感染、エイズ、中毒性疾患、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、緑内障、脊髄小脳変性症等)などにおける細胞死はアポトーシスと密接な関係を有するといわれている(臨床医、「特集;アポトーシスの臨床」、1995年、21巻、9号)。
【0003】
アルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中等の脳虚血性疾患等の神経変性疾患においては、従来から、神経伝達物質の遊離促進により症状を改善するというような、対症療法的な治療が行われており(ニューロロジー(Neurology)、1998年、51巻(サプルメント1)、S30ページ、ランセット(Lancet)、1977年、1巻、439−443ページ)、これらは対症療法的な治療であるがために、疾患の特徴である進行的な神経細胞死や変性を抑制するものではなく、疾患の根本的な治療には結びつくものではなかった。そのため、現在、このようなアポトーシスの亢進を抑制し、疾患自体を治療または予防する薬剤が切望されている。
【0004】
一方、塩酸セレギリンは、モノアミンオキシダーゼB型(MAO−B)阻害活性を有するパーキンソン病治療薬であり、黒質線条体におけるドパミンニューロンに作用して、シナプス間隙のドパミン量の調整を図り、神経刺激をコントロールすることを特徴としている。また、塩酸セレギリンは、MAO−B阻害活性のほかアポトーシスの抑制作用を有することが報告され、このアポトーシス抑制作用が、神経細胞死もしくはその変性進行を抑制する細胞死抑制効果または細胞保護効果をもたらしているといわれている。
【0005】
他方、(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−プロピルアミノペンタン(以下、(−)BPAPという。)は、CAE/SAE効果(catecholaminergic and serotoninergic activity enhancer 効果)を有する化合物であり、この効果により、パーキンソン病治療において対症療法的に有効な作用を示すことは知られている。尚、CAE/SAE効果とは、ドパミン、ノルアドレナリン、セロトニン作動性神経に作用し、神経発火活動に依存してこれらの神経伝達物質の遊離を促進する機構をいう(国際公開番号WO 99/07667号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明における解決すべき課題は、アポトーシス抑制作用を有し、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、緑内障、脊髄小脳変性症等の神経疾患、脳卒中等の脳虚血性疾患、ならびに、糖尿病で観察される末梢性神経障害等の神経変性疾患、エイズ、中毒性疾患の治療または予防に有用な化合物および該化合物を含有する医薬組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、(−)BPAPに対して種々の構造変換を実施した化合物群につき、鋭意研究を行った結果、下記一般式、
【0008】
【化1】
【0009】
(式中XおよびYは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、プロパルギル基のいずれかを示す。)で表される化合物およびその薬理学的に許容される塩、またはそれらの水和物もしくは溶媒和物に、細胞保護または細胞死抑制の優れた抗アポトーシス作用を有することを見出し、この発明を完成した。
【0010】
この発明は、上記一般式で表される化合物群を有効成分として含むアポトーシス抑制剤に関するものを含むほか、アポトーシスの亢進が起因する疾患の治療剤、または、予防剤に関するものを含む。ここで、アポトーシスの亢進が起因する疾患とは、例えば、脳虚血性疾患、糖尿病で観察される末梢性神経障害、エイズ、中毒性疾患などや、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、緑内障、脊髄小脳変性症などの神経変性疾患が挙げられる。
【0011】
この発明の具体的な実施形態としては、一般式で示される化合物であって、式中XおよびYとして、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、プロパルギル基からなる化合物によって実施することができる。このとき、例示したアルキル基は、直鎖であっても分岐していても閉環していてもよい。
【0012】
さらに、これらの化合物は、主鎖であるペンタンの2位に不斉炭素を有するが、この発明化合物としては、R体、S体のいずれの光学活性体であっても、ラセミ体であってもよい。また、本発明化合物には、一般式で表される化合物およびその薬理学的に許容される塩、またはそれらの水和物もしくは溶媒和物が含まれる。
【0013】
これらの例示した化合物のうち、以下に示した化合物およびその薬理学的に許容される塩、またはそれらの水和物もしくは溶媒和物は、特に好ましい発明化合物として挙げることができる。
【0014】
(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−[N−プロピル−N−(2−プロピニル)アミノ]ペンタン、
(S)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−[N−プロピル−N−(2−プロピニル)アミノ]ペンタン、
1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−[N−プロピル−N−(2−プロピニル)アミノ]ペンタン、
(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−[N,N−ジ(2−プロピニル)アミノ]ペンタン、
(S)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−[N,N−ジ(2−プロピニル)アミノ]ペンタン、
1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−[N,N−ジ(2−プロピニル)]アミノペンタン、
(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−(2−プロピニル)アミノペンタン、
(S)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−(2−プロピニル)アミノペンタン、
1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−(2−プロピニル)アミノペンタン、
(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−アミノペンタン、
(S)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−アミノペンタン、
1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−アミノペンタン。
【0015】
本発明において、薬理学的に許容される塩とは、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸との塩や、ぎ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、こはく酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、グルタミン酸等の有機酸との塩が挙げられるが、薬理学的に許容されるものであれば特には限定されない。
【0016】
これらの発明化合物の製造方法については、上記発明化合物のうち、アミノ基が無置換の化合物、すなわち、上記の一般式(XとYがいずれも水素原子を示す。)によって表されるもの、アミノ基がモノアルキル化された化合物、すなわち、上記の一般式(Xが水素原子、Yがアルキル基を示す。)によって表されるもの、および、その薬理学的に許容される塩、水和物、溶媒和物は、日本特許出願番号2000−109622号に記載された方法、または、国際公開番号WO 99/07667号に開示された方法によって製造することができる。
【0017】
また、この発明化合物のうち、上記以外の化合物については、アミノ基が無置換の化合物、すなわち、上記の一般式(XとYがいずれも水素原子を示す。)によって表されるもの、アミノ基がモノアルキル化された化合物、すなわち、上記の一般式(Xが水素原子、Yがアルキル基を示す。)によって表されるもの、および、その薬理学的に許容される塩、水和物、溶媒和物をアルキル化、もしくは、プロパルギル化することによって製造することができる。
【0018】
具体的には、アミノ基が無置換の化合物、すなわち、上記の一般式(XとYがいずれも水素原子を示す。)によって表されるもの、もしくは、アミノ基がモノアルキル化された化合物、すなわち、上記の一般式(Xが水素原子、Yがアルキル基を示す。)によって表されるもの、もしくは、その薬理学的に許容される塩、水和物、溶媒和物(以下、原料化合物という。)を反応溶媒中で、無機塩基の存在下、ハロゲン化アルキル、または、ハロゲン化プロパルギルを反応させ、アルキル化、または、プロパルギル化することで製造することができる。ここで、反応溶媒としては、反応の進行を妨げないものであれば、どのような溶媒を用いてもよいが、具体例としては、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ジエチルエーテル等の有機溶媒、水、およびこれらの混合溶媒を用いることができる。なお、水と有機溶媒の混合溶媒を用いる場合であって、その混液が均質に混和しない場合には、無機塩基による反応を促進するため、テトラブチルアンモニウムハライド等の相関移動触媒を使用することもできる。また、無機塩基とは、原料化合物のアミノ基とハロゲン化物の反応を促進するものであれば、どれでもよいが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を用いることができる。さらに、ハロゲン化アルキル、および、ハロゲン化プロパルギルとは、具体的には、ハロゲン化メチル、ハロゲン化エチル、ハロゲン化プロピル、ハロゲン化ブチル、ハロゲン化ペンチル、ハロゲン化ヘキシルのいずれかをいい、ここにいうハロゲン化物としては、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物などが含まれる。
【0019】
以上の方法により製造された化合物は、遊離体のまま、または、その塩、ならびに、それらの水和物もしくは溶媒和物として単離精製されるが、その方法は、通常の知識を有する化学者が使用できる単離精製方法、具体的には、抽出、濃縮、留去、結晶化、ろ過、再結晶、各種クロマトグラフィー等の一般的な方法で行うことができる。
【0020】
本発明の対象とする化合物およびその薬理学的に許容される塩、またはそれらの水和物もしくは溶媒和物は、細胞死抑制効果もしくは細胞保護効果を示し、上述の通り、アポトーシスの亢進に起因する疾患を治療または予防するためのアポトーシス抑制剤として使用することができる。ヒトまたは動物に投与する医薬組成物としては、通常の製剤化技法を用い、必要に応じて、担体、賦形剤、その他の薬理学的に許容される添加剤とともに調製される。このとき、担体、賦形剤としては、固体、液体のいずれでもよく、投与に際しては、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤、注射剤、軟膏剤、点眼剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、ローション剤、坐剤、ハップ剤などの形態として、治療または予防に有効な量を投与することができる。
【0021】
以下、実施例を用いてこの発明をより詳しく説明するが、ここに示す実施例は単に例示するのみであり、これらによってこの発明が限定されることはない。
【0022】
【実施例1】
(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−プロピルアミノペンタン塩酸塩(化合物番号1)を、日本特許出願番号2000−109622号に記載した方法で製造した。
【0023】
【実施例2】
(S)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−プロピルアミノペンタン塩酸塩(化合物番号2)を、日本特許出願番号2000−109622号に記載した方法で製造した。
【0024】
【実施例3】
1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−プロピルアミノペンタン塩酸塩(化合物番号3)を、国際公開番号WO 99/07667号に開示された方法、または、日本特許出願番号2000−109622号に記載した方法で製造した。
【0025】
【実施例4】
(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−アミノペンタン塩酸塩(化合物番号4)を、日本特許出願番号2000−109622号に記載した方法で製造した。
【0026】
【実施例5】
(S)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−アミノペンタン塩酸塩(化合物番号5)を、日本特許出願番号2000−109622号に記載した方法で製造した。
【0027】
【実施例6】
1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−アミノペンタン塩酸塩(化合物番号6)を、国際公開番号WO 99/07667号に開示される方法、または、日本特許出願番号2000−109622号に記載した方法で製造した。
【0028】
【実施例7】
(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−(2−プロピニル)アミノペンタン塩酸塩(化合物番号7)を、以下の方法で製造した。
(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−アミノペンタン塩酸塩(化合物番号4: 0.32 g, 1.33 mmol)をアセトニトリル(3 ml)に溶解した。その溶液に炭酸カリウム(0.55 g, 3.98 mmol)の水溶液(0.4 ml)、臭化プロパルギル(0.24 ml, 2.69 mmol)を順次加えた。その混合液を室温で3時間撹拌した。反応後、アセトニトリルを加え、減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)に付して精製し(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−(2−プロピニル)アミノペンタン(0.22 g)を得た。これを塩化水素−ジエチルエ−テルで処理をし、目的物(0.26 g, 70%)を得た。無色針状晶
融点:140-142℃ (アセトン)
MS:242[(M-1)+], 198, 159, 131
IR (KBr):3250, 2980, 2950, 2800, 2750, 2660, 2560, 2380, 2150, 1610, 1460, 1258, 1180, 1015, 960, 820, 770 cm-1
1H-NMR (CDCl3):δ 0.93(t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.27-1.50(m, 4H), 2.17(t, J = 2.3 Hz, 1H), 2.79-3.00 (m, 2H), 3.14-3.22 (m, 1H), 3.45 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.48 (s, 1H), 7.14-7.25(m, 2H), 7.40-7.51 (m, 2H)
元素分析:C16H19NO・HClとして
理論値:C 69.18%, H 7.26%, N 5.04%
実測値:C 68.76%, H 7.13%, N 5.08%
【0029】
【実施例8】
(S)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−(2−プロピニル)アミノペンタン塩酸塩(化合物番号8)は、以下の方法で製造した。
(S)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−アミノペンタン塩酸塩(化合物番号5: 0.50 g, 2.09 mmol)をアセトニトリル(5 ml)に溶解した。その溶液に炭酸カリウム(0.86 g, 6.22 mmol)の水溶液(0.6 ml)、臭化プロパルギル(0.19 ml, 2.13 mmol)を順次加えた。その混合液を室温で3時間撹拌した。反応後、アセトニトリルを加え、減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーに付して精製して、(S)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−(2−プロピニル)アミノペンタン(0.34 g)を得た。塩化水素−ジエチルエ−テルで処理をし、目的物(0.39 g, 67%)を得た。無色針状晶
融点:131-132℃ (アセトン)
MS:242[(M+1)+],198,159,131
IR(KBr): 3250, 2980, 2950, 2800, 2750, 2660, 2560, 2380, 2150, 1610, 1460, 1258, 1180, 1015, 960, 820, 770 cm-1
1H-NMR(CDCl3):δ 0.93 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.35-1.46 (m, 4H), 2.18 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 2.79-3.00 (m, 2H), 3.14-3.23 (m, 1H), 3.44 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.48 (s, 1H), 7.14-7.25 (m, 2H), 7.39-7.52 (m, 2H)
元素分析:C16H19NO・HClとして
理論値:C 69.18%, H 7.26%, N 5.04%
実測値:C 68.80%, H 7.28%, N 5.22%
【0030】
【実施例9】
1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−(2−プロピニル)アミノペンタン塩酸塩(化合物番号9)は、以下の方法で製造した。
1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−アミノペンタン塩酸塩(化合物番号6: 1.00 g, 4.17 mmol)をアセトニトリル(10 ml)に溶解した。その溶液に炭酸カリウム(1.15 g, 8.32 mmol)の水溶液(1.2 ml)、臭化プロパルギル(0.18 ml, 2.09 mmol)を順次加えた。その混合液を室温で16時間撹拌した。反応後、アセトニトリルを加え、減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(n-ヘキサン:酢酸エチルエステル=8:1)に付して精製して、1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−(2−プロピニル)アミノペンタン(0.62 g)を得た。これを塩化水素−ジエチルエ−テルで処理をし、目的物(0.66 g, 57%)を得た。無色板状晶
融点:118-119℃ (アセトン)
MS:242[(M+1)+],198,159,131
IR(KBr):3250, 2980, 2950, 2800, 2700, 2660, 2560, 2440, 2150, 1610, 1580, 1460, 1380, 1258, 1210, 1180, 1145, 1015, 1010, 960 , 820, 805, 770, 730, 700 cm-1
1H-NMR(CDCl3) 0.93 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.27-1.50 (m, 4H), 2.17 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 2.79-3.00 (m, 2H), 3.14-3.22 (m, 1H), 3.45 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 6.48 (s, 1H), 7.14-7.25 (m, 2H), 7.39-7.51 (m, 2H)
元素分析:C16H19NO・HClとして
理論値:C 69.18;H 7.26;N 5.04%
実測値:C 69.31;H 7.25;N 5.16%
【0031】
【実施例10】
(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−[N−プロピル−N−(2−プロピニル)アミノ]ペンタン塩酸塩(化合物番号10)は、以下の方法で製造した。
(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−プロピルアミノペンタン塩酸塩(化合物番号1: 0.50 g, 1.77 mmol)をアセトニトリル(2.5 ml)に溶解した。その溶液に炭酸カリウム(0.74 g, 5.35 mmol)の水溶液(0.6 ml)、臭化プロパルギル(0.32 ml, 3.59 mmol)を順次加えた。その混合液を室温で22時間撹拌した。さらに、その溶液に炭酸カリウム(0.49 g, 3.55 mmol)の水溶液(0.3 ml)、臭化プロパルギル(0.16 ml, 1.80 mmol)、およびアセトニトリル(2.5 ml)を順次加えた。その混合液を室温で4時間撹拌した。反応後、ろ過し、不溶物をアセトニトリルで洗浄した。溶媒を減圧留去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)に付して精製して、(R)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−[N−プロピル−N−(2−プロピニル)アミノ]ペンタン(0.34 g)を得た。これを塩化水素−ジエチルエ−テルで処理をし、目的物(0.31 g, 55%) を得た。無色板状晶
融点:164-165℃ (アセトン)
MS:282[(M-1)+],258,240,214,153
IR(KBr):3200, 2980, 2945, 2880, 2475, 2125, 1625, 1585, 1455, 1380, 1255, 1180, 1000, 940, 815, 760 cm-1
1H-NMR(CDCl3): 0.84 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 7.0 Hz, 3H),1.20-1.58 (m, 6H), 2.17 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 2.49-2.72 (m, 3H),3.12-3.24 (m, 2H), 3.42 (d, J = 2.3 Hz, 2H), 6.41 (s, 1H), 7.13-7.24 (m, 2H), 7.39-7.49 (m, 2H)
元素分析:C19H25NO・HClとして
理論値:C 71.34;H 8.19;N 4.38%
実測値:C 71.62;H 8.09;N 4.54%
【0032】
【実施例11】
(S)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−[N−プロピル−N−(2−プロピニル)アミノ]ペンタン塩酸塩(化合物番号11)は、以下の方法で製造した。
(S)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−プロピルアミノペンタン塩酸塩(化合物番号2: 0.50 g, 1.77 mmol)をアセトニトリル(5 ml)に溶解した。その溶液に炭酸カリウム(0.74 g, 5.35 mmol)の水溶液(0.6 ml)、臭化プロパルギル(0.32 ml, 3.59 mmol)を順次加えた。その混合液を室温で66時間撹拌した。反応後、ろ過し、不溶物をアセトニトリルで洗浄した。溶媒を減圧留去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)に付して精製して、(S)−1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−[N−プロピル−N−(2−プロピニル)アミノ]ペンタン(0.48 g)を得た。これを塩化水素−ジエチルエ−テルで処理をし、目的物(0.49 g, 86%) を得た。無色針状晶
融点:143-145℃ (アセトン)
MS:282[(M-1)+],240,214,153
IR (KBr):3200, 2980, 2945, 2880, 2475, 2125, 1625, 1585, 1455, 1380, 1255, 1175, 1000, 940, 815, 760 cm-1
1H-NMR(CDCl3):δ0.84 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.20-1.58 (m, 6H), 2.17 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 2.49-2.72 (m, 3H),3.12-3.24 (m, 2H), 3.42 (d, J = 2.3 Hz, 2H), 6.41 (s, 1H), 7.13-7.24 (m, 2H), 7.39-7.49 (m, 2H)
元素分析:C19H25NO・HClとして
理論値:C 71.34%, H 8.19%, N 4.38%
実測値:C 71.39%, H 8.07%, N 4.46%
【0033】
【実施例12】
1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−[N−プロピル−N−(2−プロピニル)アミノ]ペンタン塩酸塩(化合物番号12)は、以下の方法で製造した。
1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−プロピルアミノペンタン塩酸塩(化合物番号3: 0.96 g, 3.41 mmol)をアセトニトリル(10 ml)に溶解した。その溶液に炭酸カリウム(1.41 g, 10.2 mmol)の水溶液(1.2 ml)、臭化プロパルギル(0.46 ml, 5.16 mmol)を順次加えた。その混合液を室温で20時間撹拌した。さらに、その溶液に炭酸カリウム(0.94 g, 6.81 mmol)の水溶液(0.8 ml)、臭化プロパルギル(0.30 ml, 3.37 mmol)、およびアセトニトリル(5 ml)を順次加えた。その混合液を室温で5時間撹拌した。反応後、ろ過し、不溶物をアセトニトリルで洗浄した。溶媒を減圧留去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)に付して精製して、1−(ベンゾフラン−2−イル)−2−[N−プロピル−N−(2−プロピニル)アミノ]ペンタン(0.94 g)を得た。これを塩化水素−ジエチルエ−テルで処理をし、目的物(0.99 g, 91%) を得た。無色針状晶
融点:131-132℃ (アセトン)
MS:282[(M-1)+],258,240,170,152
IR(KBr):3190, 2980, 2945, 2880, 2475, 2125, 1625, 1585, 1455, 1380, 1255, 1175, 955, 815, 760, 740 cm-1
1H-NMR(CDCl3):δ 0.84 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 0.88 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.20-1.58 (m, 6H), 2.17 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 2.49-2.72 (m, 3H), 3.12-3.24 (m, 2H), 3.42 (d, J = 2.3 Hz, 2H), 6.41 (s, 1H), 7.13-7.24 (m, 2H), 7.39-7.49 (m, 2H)
元素分析:C19H25NO・HClとして
理論値:C 71.34;H 8.19;N 4.38%
実測値:C 71.15;H 8.13;N 4.60%
【0034】
【実施例13】
培地中の血清除去によるPC12細胞死に対する本発明化合物の細胞死抑制効果を検討した。PC12細胞をポリエチレンイミンでコーティングした24穴マルチウェルプレートに播種し[10%牛胎児血清(FBS),5%馬血清(HS)含有 ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM),1X105cells/1ml/well]2日間培養した。その後、NGF(nerve growth factor)を50ng/ml添加した分化誘導用培地(2%FBS,1%HS含有DMEM)にて5日間培養後、培地交換と同時に血清(−)・NGF(+)群(NGF群), 血清(−)・NGF(−)群(コントロール群), 血清(−)・NGF(−)・薬物(+)群(薬物群)を設けた。24時間培養後トリパンブルーで染色し、倒立顕微鏡下で視野あたりの生・死細胞数を計数した。示す値は、NGF群,薬物群の各細胞生存率の平均値からコントロール群の平均値を差し引き、NGF群の細胞死抑制効果を100として計算した。
【0035】
その結果、表1に示したように、化合物番号1、化合物番号10、化合物番号11の各化合物には、一般的に抗アポトーシス作用があるとされる塩酸セレギリンと同程度かそれ以上の細胞死抑制効果(または細胞保護効果)が認められ、本発明化合物の優れたアポトーシス抑制作用が確認された。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】
この発明の完成により、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、緑内障、脊髄小脳変性症等の神経疾患、脳卒中等の脳虚血性疾患、糖尿病で観察される末梢性神経障害等の神経変性疾患、エイズ、中毒性疾患の治療および予防に対して有用なアポトーシス抑制作用を有する化合物およびその薬理学的に許容される塩、またはそれらの水和物もしくは溶媒和物、ならびにそれらを有効成分として含有する医薬組成物が提供される。
Claims (5)
- 請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの水和物もしくは溶媒和物のいずれかを有効成分として含有するアポトーシス抑制剤。
- 請求項1に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの水和物もしくは溶媒和物のいずれかを有効成分として含有するアポトーシスに起因する疾患の予防または治療剤。
- アポトーシスに起因する疾患が、神経変性疾患、脳虚血性疾患、糖尿病で観察される末梢性神経障害、エイズまたは中毒性疾患のいずれかである請求項3に記載の予防または治療剤。
- 神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症または脊髄小脳変性症のいずれかである請求項4に記載の予防または治療剤。
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