JP6875174B2 - 酵母培養用培地ならびにそれを用いた酵母の培養方法 - Google Patents
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Description
本発明の一形態によれば、炭素源と、窒素源と、リン源と、マグネシウム源と、溶媒と、を含有する酵母培養用培地であって、前記炭素源が100g/L超のグリセロールを含み、かつ、鉄、カルシウム、銅、ホウ素、およびマンガンからなる微量元素をこれらの元素換算の合計量で0.0008g/L以上含有することを特徴とする、酵母培養用培地が提供される。かかる構成を備えた培地を用いて酵母を培養することにより、酵母の培養効率を向上させて、培地の単位容積あたりの集菌量を高めることが可能となる。以下、形態に係る酵母培養用培地について、より詳細に説明する。
本形態に係る酵母培養用培地は、炭素源としてグリセロールを必須に含有する。そして、グリセロールの含有量は、100g/L超である点に特徴がある。グリセロール(C3H8O3)は、グルコース(C6H12O6)と比較して化学的により還元された物質であり、酵母の代謝過程上でより向上した還元力を提供することができる。そして、酵母の代謝過程では還元力が要求される場合が多いことから、グリセロールを100g/L超の量で含有することにより、培養効率の向上が図られているものと考えられる。なお、本形態に係る酵母培養用培地におけるグリセロールの含有量は、好ましくは110g/L以上であり、より好ましくは120g/L以上であり、さらに好ましくは130g/L以上であり、特に好ましくは140g/L以上であり、最も好ましくは150g/L以上である。一方、グリセロールの含有量の上限値について特に制限はないが、通常は250g/L以下程度であればよい。
本形態に係る酵母培養用培地は、窒素源として無機窒素源を含有することが好ましい。一般的に、酵母の培養に使用される培地としては、YM培地、YPD培地などが挙げられる。酵母培養用培地の窒素源として無機窒素源を用いると、酵母の増殖を促進させることができる。これは、酵母が窒素源として利用しやすい無機窒素源を優先的に取り込むことにより、その増殖が促進されるものと考えられる。
リン源としては、リン酸塩が好適に用いられうる。リン源としてのリン酸塩としては、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸アンモニウムなどが挙げられ、なかでもリン酸二水素カリウムが好ましく用いられうる。
マグネシウム源としては、マグネシウム塩が好適に用いられうる。マグネシウム源としてのマグネシウム塩としては、硝酸塩、塩化物などが挙げられ、硫酸マグネシウムやその水和物(例えば硫酸マグネシウム七水和物)が好ましく用いられうる。
溶媒としては、通常、水が用いられる。水は、純水、蒸留水、脱イオン水、RO水、などが挙げられるが、特に制限はない。
さらに、本形態に係る酵母培養用培地は、鉄、カルシウム、銅、ホウ素、およびマンガンからなる5種の微量元素を必須に含有するものであり、かつ、これらの元素換算の合計含有量が0.0008g/L以上である点にも特徴を有している。このように、所定の微量元素をある程度の含有量で含有しつつ、上述したようにグリセロールの含有量についても所定の値を超えるように設定することで、酵母の培養効率を相乗的に向上させることが可能となり、培地の単位容積あたりの菌体重量を飛躍的に増加させることが可能となったものである。なお、このような効果が奏されるメカニズムについては完全には明らかとはなっていないが、これらの所定の微量元素が酵母の代謝過程に介在する酵素に対して触媒的に作用することで酵母の代謝過程が菌体の増殖の方向に促進されることによるものと考えられる。なお、上記所定の(5種の)微量元素の含有量(元素換算の合計含有量)は、好ましくは0.0009g/L以上であり、より好ましくは0.0010g/L以上であり、さらに好ましくは0.0011g/L以上である。また、上記所定の(5種の)微量元素の含有量(元素換算の合計含有量)は、好ましくは0.0008〜0.0012g/Lである。なお、これらの(5種の)微量元素のそれぞれの含有量(元素換算)の割合について特に制限はないが、本発明の効果をよりいっそう発揮させるという観点から、ホウ素原子の含有量を1質量部としたときに、鉄原子が5〜9質量部、カルシウム原子が5〜9質量部、銅原子が4〜8質量部、マンガン原子が3〜7質量部である。また、より好ましくは、ホウ素原子の含有量を1質量部としたときに、鉄原子が6〜8質量部、カルシウム原子が6〜8質量部、銅原子が5〜7質量部、マンガン原子が4〜6質量部である。
本形態に係る酵母培養用培地のpHに特に制限はないが、一般的に酵母の培養は弱酸性条件下において行うことが好ましいことから、好ましくは5.0〜7.0であり、より好ましくは5.5〜6.5である。特に、後述する実施例において用いられている酵母であるヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)等のヤロウィア属の培養に好適である。ここで、酵母培養用培地のpHは、pHメーターを用いて測定することができる。なお、培地のpHは、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、クエン酸等の酸;または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、等の塩基をpH調整剤として用いることにより調整することができる。
本形態に係る酵母培養用培地で培養される酵母としては、特に制限されないが、ヤロウィア属(Yarrowia)、キャンディダ属(Candida)、ピキア属(Pichia)、ハンセヌラ属(Hansenura)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)、トリコスポロン属(Trichosporon)、リポマイセス属(Lipomyces)、ロードトルラ(Rhodotorula)属、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)等の酵母が好ましく用いられる。
上述したように、本形態に係る酵母培養用培地は、液体培地である。本形態に係る培地の調製方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、炭素源(グリセロールを必須に含む)、窒素源、リン源、マグネシウム源、および上記所定の微量元素を水に代表される溶媒に溶解することで調製することができる。酵母培養用培地のpHを調製する必要がある場合、pH調整剤として、上述した酸やアルカリを用いればよい。また、必要に応じて消泡剤を添加してもよい。
本発明の一形態によれば、上記酵母培養用培地で酵母を培養することを有する、酵母の培養方法が提供される。
(実施例1)
下記表1の組成となるように、各成分を蒸留水に溶解し、実施例1の酵母培養用培地を調製した。なお、微量元素(Fe、Ca、Cu、B、Mn)については、水100mLに対してFe0.03w/v%、Ca0.02w/v%、Cu0.02w/v%、B0.005w/v%、Mn0.02w/v%の濃度となるように下記表1に記載の成分を溶解させた濃縮溶液を予め調製しておき、これを下記表1に記載の濃度となるように添加することにより培地を調製した。
下記表2の組成となるように、各成分を蒸留水に溶解し、比較例1の酵母培養用培地(YM培地)を調製した。
微量元素を配合しなかったこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、比較例2の酵母培養用培地を調製した。
微量元素の配合量を半量としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、比較例3の酵母培養用培地を調製した。
グリセロールの濃度を1/3量(50g/L(=5w/v%))としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、比較例4の酵母培養用培地を調製した。
グリセロールの濃度を1/3量(50g/L(=5w/v%))としたこと以外は、上述した比較例2と同様の手法により、比較例5の酵母培養用培地を調製した。
グリセロールの濃度を1/3量(50g/L(=5w/v%))としたこと以外は、上述した比較例3と同様の手法により、比較例6の酵母培養用培地を調製した。
坂口フラスコ4本に上記で調整した実施例および各比較例の培地を各100mL入れ、滅菌した。
上記で調整した実施例および各比較例の培地のそれぞれについて、以下の手法によりジャーファーメンターを用いた培養を行った。
ジャーファーメンターでの培養物について、遠心分離機を用いて菌を沈殿させた後、上清を捨てて菌体重量を測定した。結果を下記の表3に示す。
Claims (8)
- 炭素源と、窒素源と、リン源と、マグネシウム源と、溶媒と、を含有する酵母培養用培地であって、
前記炭素源が100g/L超のグリセロールを含み、
鉄、カルシウム、銅、ホウ素、およびマンガンからなる微量元素をこれらの元素換算の合計量で0.0008g/L以上含有し、かつ、
前記微量元素の含有量が、0.0008〜0.0012g/Lであることを特徴とする、酵母培養用培地。 - 前記グリセロールの含有量が、150〜250g/Lである、請求項1に記載の酵母培養用培地。
- 前記微量元素の含有量(元素換算)が、ホウ素原子の含有量を1質量部としたときに、鉄原子が6〜8質量部、カルシウム原子が6〜8質量部、銅原子が5〜7質量部、マンガン原子が4〜6質量部である、請求項1または2に記載の酵母培養用培地。
- 前記窒素源が無機窒素源である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酵母培養用培地。
- 前記無機窒素源が、アンモニウム塩、硝酸塩、亜硝酸塩、アンモニアおよび尿素からなる群から選択される、請求項4に記載の酵母培養用培地。
- 前記酵母が、ヤロウィア属、キャンディダ属、ピキア属、ハンセヌラ属、サッカロマイセス属、クルイベロマイセス属、およびトリコスポロン属からなる群から選択される酵母である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の酵母培養用培地。
- 前記酵母が、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)である、請求項6に記載の酵母培養用培地。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の酵母培養用培地で酵母を培養することを有する、酵母の培養方法。
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