JP6874903B2 - ポンプ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ポンプ装置に関する。
従来より、空気等の流体を輸送するためのポンプ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のポンプ装置は、複数の圧電ポンプを直列に接続したポンプ装置である。当該ポンプ装置は、複数の圧電ポンプにおいて隣接する圧電ポンプ同士の入力電力に位相差をつけて各圧電ポンプを駆動する。これにより、複数の圧電ポンプを直列に接続した場合の圧力の脈動を緩和する。
特許文献1のポンプ装置に用いられる圧電ポンプは、圧電素子を金属板に貼り合わせた構造を有し、これらに交流電力を供給することによりユニモルフモードの屈曲変形を生じさせて、空気の輸送を行う。
特開2004-169706号公報
圧電ポンプは、圧電素子と金属板を高速で屈曲変形させるものであり、他の種類のポンプに比べてポンプの温度上昇率が高い。ポンプの温度が高くなってポンプの耐熱温度を超えるとポンプが故障する可能性があり、結果としてポンプ装置の信頼性が低下するおそれがある。
特に圧電ポンプを直列に接続した場合、上流側の圧電ポンプで熱せられた高温の空気が下流側の圧電ポンプに供給されるため、下流側の圧電ポンプは温度が高くなりやすい。そのため、圧電ポンプを直列に接続した場合は、下流側のポンプの温度が高くなってポンプの耐熱温度を超え、ポンプが故障する可能性が高く、結果としてポンプ装置の信頼性が低下するおそれがある。
従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、信頼性を向上させたポンプ装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明のポンプ装置は、第1の圧電ポンプと、前記第1の圧電ポンプの上流側に直列的に接続された第2の圧電ポンプと、前記第1の圧電ポンプおよび前記第2の圧電ポンプに交流の入力電力を供給する駆動部と、前記第1の圧電ポンプと前記第2の圧電ポンプのそれぞれに供給する前記駆動部からの前記入力電力の分配割合を設定する分配設定部と、を備え、前記分配設定部は、前記第1の圧電ポンプへの入力電力に対する前記第2の圧電ポンプへの入力電力の割合を、1よりも大きく1.57以下に設定する。
また、本発明のポンプ装置は、第1の圧電ポンプと、前記第1の圧電ポンプの上流側に直列的に接続された第2の圧電ポンプと、前記第1の圧電ポンプおよび前記第2の圧電ポンプに交流の入力電力を供給する駆動部と、前記第1の圧電ポンプと前記第2の圧電ポンプのそれぞれに供給する前記駆動部からの入力電流値の分配割合を設定する分配設定部と、を備え、前記分配設定部は、前記第1の圧電ポンプへの入力電流値に対する前記第2の圧電ポンプへの入力電流値の割合を、1よりも大きく1.25以下に設定する。
本発明のポンプ装置によれば、直列接続した圧電ポンプが過度に高温になるのを防ぎ、信頼性を向上させることができる。
ポンプ装置の概略構成を示す図 図1のポンプ装置を用いて行った実施例1の条件および結果を示す図 実施例1における電力比とポンプの温度の関係を示す図 実施例1における圧電ポンプの圧力と流量の関係を示す図(従来例) 実施例1における圧電ポンプの圧力と流量の関係を示す図(比較例) 実施例1における圧電ポンプの圧力と流量の関係を示す図(実施例) 実施例1における圧電ポンプの圧力と流量の関係を示す図(実施例) 実施例1における圧電ポンプの圧力と流量の関係を示す図(実施例) 実施例1における圧電ポンプの圧力と流量の関係を示す図(実施例) 実施例1における圧電ポンプの圧力と流量の関係を示す図(比較例)
本発明の第1態様によれば、第1の圧電ポンプと、前記第1の圧電ポンプの上流側に直列的に接続された第2の圧電ポンプと、前記第1の圧電ポンプおよび前記第2の圧電ポンプに交流の入力電力を供給する駆動部と、前記第1の圧電ポンプと前記第2の圧電ポンプのそれぞれに供給する前記駆動部からの前記入力電力の分配割合を設定する分配設定部と、を備え、前記分配設定部は、前記第1の圧電ポンプへの入力電力に対する前記第2の圧電ポンプへの入力電力の割合を、1よりも大きく1.57以下に設定する、ポンプ装置を提供する。
このような構成によれば、第2の圧電ポンプの温度上昇に対する第1の圧電ポンプの温度上昇を抑制して、第1の圧電ポンプと第2の圧電ポンプをバランス良く発熱させることができる。これにより、いずれかの圧電ポンプが耐熱温度以上の高温になるリスクを抑制し、圧電ポンプの故障を抑制することができ、ポンプ装置の信頼性を向上させることができる。
本発明の第2態様によれば、前記第1の圧電ポンプおよび前記第2の圧電ポンプは定格出力が同じである、第1態様に記載のポンプ装置を提供する。このような構成によれば、前述したような入力電力の設定を行って第1の圧電ポンプと第2の圧電ポンプがバランス良く発熱することにより、いずれかの圧電ポンプが耐熱温度以上の高温になるリスクをさらに抑制し、さらにポンプ装置の信頼性を向上させることができる。
本発明の第3態様によれば、前記分配設定部は、前記第1の圧電ポンプへの入力電力に対する前記第2の圧電ポンプへの入力電力の割合を、1.1以上1.38以下に設定する、第1態様又は第2態様に記載のポンプ装置を提供する。このような構成によれば、第1の圧電ポンプと第2の圧電ポンプがよりバランス良く発熱することにより、いずれかの圧電ポンプが耐熱温度以上の高温になるリスクをさらに抑制し、ポンプ装置の信頼性をさらに向上させることができる。
本発明の第4態様によれば、第1の圧電ポンプと、前記第1の圧電ポンプの上流側に直列的に接続された第2の圧電ポンプと、前記第1の圧電ポンプおよび前記第2の圧電ポンプに交流の入力電力を供給する駆動部と、前記第1の圧電ポンプと前記第2の圧電ポンプのそれぞれに供給する前記駆動部からの入力電流値の分配割合を設定する分配設定部と、を備え、前記分配設定部は、前記第1の圧電ポンプへの入力電流値に対する前記第2の圧電ポンプへの入力電流値の割合を、1よりも大きく1.25以下に設定する、ポンプ装置を提供する。このような構成によれば、第2の圧電ポンプの温度上昇に対する第1の圧電ポンプの温度上昇を抑制して、第1の圧電ポンプと第2の圧電ポンプをバランス良く発熱させることができる。これにより、いずれかの圧電ポンプが耐熱温度以上の高温になるリスクをさらに抑制し、圧電ポンプの故障を抑制することができ、ポンプ装置の信頼性を向上させることができる。
本発明の第5態様によれば、前記分配設定部は、前記第1の圧電ポンプへの入力電力に対する前記第2の圧電ポンプへの入力電流値の割合を、1.05以上1.17以下に設定する、第4態様に記載のポンプ装置を提供する。このような構成によれば、第1の圧電ポンプと第2の圧電ポンプがよりバランス良く発熱することにより、いずれかの圧電ポンプが耐熱温度以上の高温になるリスクをさらに抑制し、ポンプ装置の信頼性をさらに向上させることができる。
(実施の形態)
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
<全体構成>
図1は、実施の形態におけるポンプ装置2の概略構成を示す図である。
図1に示すポンプ装置2は、第1の圧電ポンプ4と、第2の圧電ポンプ6と、駆動部8と、制御装置9と、分配設定部10とを備える。第2の圧電ポンプ6には、吸引対象物12が接続されている。
第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6は、互いに直列的に接続されたポンプである。第1の圧電ポンプ4が下流側に配置され、第2の圧電ポンプ6が上流側に配置されている。第1の圧電ポンプ4と第2の圧電ポンプ6の間には別のポンプは設けられておらず、互いに直接的に接続されている。
本実施の形態における第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6はともに、圧電素子を用いた圧電ポンプである(「マイクロブロア」、「マイクロポンプ」等と称してもよい。)。具体的には、圧電素子(図示せず)を金属板(図示せず)に貼り合わせた構造を有し、圧電素子および金属板に交流電力を供給することにより、ユニモルフモードの屈曲変形を生じさせて空気の輸送を行う。このような圧電ポンプには、空気の流れを一方向に制限するバルブ機能のダイヤフラム(図示せず)が内蔵されている。
本実施の形態ではさらに、第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6として、同じ仕様の圧電ポンプを用いている。第1の圧電ポンプ4と第2の圧電ポンプ6は同じ製造者により製造されたものであり、品番が同じであって、定格出力(すなわち単位時間当たりの流量)およびサイズ等のパラメータも同じである。品番、定格出力等を確認する際には、圧電ポンプの製造者または販売者が公表しているカタログ、あるいは圧電ポンプの製造者または販売者と客先との間で締結された製品仕様書などに基づいて確認してもよい。第1の圧電ポンプ4と第2の圧電ポンプ6は同じ仕様であることにより、入力電力が同じ場合には同程度の発熱性となる(すなわち単位時間当たりの温度上昇率が同程度)。
駆動部8は、第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6に入力電力を供給するバッテリーである。本実施の形態では、駆動部8は、第1の駆動部8Aと、第2の駆動部8Bとを備える。第1の駆動部8Aは第1の圧電ポンプ4に入力電力を供給し、第2の駆動部8Bは第2の圧電ポンプ6に入力電力を供給する。
本実施の形態の駆動部8は、第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6に対して交流の入力電力を供給する。交流の入力電力により駆動されることで、第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6の圧電素子はユニモルフモードの屈曲変形を行う。
駆動部8には制御装置9が接続されている。制御装置9は、第1の駆動部8Aおよび第2の駆動部8Bのそれぞれを制御する部材である。具体的には、制御装置9は、駆動部8から第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6のそれぞれへ入力する電力、電圧、電流などを制御する。制御装置9は例えば、MCU(Micro Controller Unit)から成る。
本実施の形態では、駆動部8および制御装置9によって、分配設定部10が構成される。分配設定部10は、駆動部8から第1の圧電ポンプ4と第2の圧電ポンプ6のそれぞれに供給する入力電力の分配割合を設定する機能を有する。分配設定部10は制御装置9を有するものに限らず、抵抗で入力電圧を設定するものでもよく、あるいは、昇圧比を設定するものでもよい。入力電力の分配割合を設定する機能を有するものであれば、任意の形態の分配設定部10を用いてもよい。
本実施の形態の分配設定部10は、「入力電流値」の分配割合を設定する機能を有するものでも良い。入力電流値は、圧電ポンプの圧電素子の変形速度に概ね比例するパラメータである。入力電流値を調整することで、圧電素子の変形速度を調整し、ポンプの故障を防止することができる。
吸引対象物12は、ポンプ装置2の第2の圧電ポンプ6によって空気が吸引される対象物である。吸引対象物12は例えば、母乳搾乳器、鼻水吸引器などであるが、その他の任意の吸引対象物であってもよい。吸引対象の流体は空気であるが、空気以外の任意の流体であってもよい。
ポンプ装置2によって吸引対象物12から空気を吸引することで、吸引対象物12の内部に負圧が生じる。このような構成を有するポンプ装置2はいわゆる「負圧ポンプ」として機能する。
上述したポンプ装置2の構成によれば、第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6に対して、第1の駆動部8Aおよび第2の駆動部8Bからそれぞれ入力電力が供給される。入力電力の供給によって第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6が駆動され、圧電素子が高速で屈曲変形を起こし、空気が輸送される。
第2の圧電ポンプ6は吸引対象物12から空気を吸引するとともに、吸引した空気を内部で加圧して第1の圧電ポンプ4へ供給する。第1の圧電ポンプ4に吸引された空気は第1の圧電ポンプ4の内部でさらに加圧され、排出口4aを介して外部に排気される。
上記動作において、第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6は内部で空気を加圧する過程で温度が上昇していく。例えば第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6がともに1.9Wの入力電圧で駆動した場合、第2の圧電ポンプ6は吸引対象物12から例えば50℃の空気を吸い込むと、吸い込まれた空気は例えば約60℃まで加熱される。この空気は第1の圧電ポンプ4に吸い込まれ、第1の圧電ポンプ4の内部で例えば約70度まで加熱された後、排出口4aから排出される。
このように、上流側の第2の圧電ポンプ6から下流側の第1の圧電ポンプ4に空気が供給される際に、第1の圧電ポンプ4には第2の圧電ポンプ6で熱せられた空気が供給される。このため、第1の圧電ポンプ4は第2の圧電ポンプ6よりも温度が高くなりやすい。
これに対して本実施の形態では、分配設定部10によって、第1の圧電ポンプ4への入力電力よりも第2の圧電ポンプ6への入力電力の方が大きくなるように分配割合を設定している。このように第1の圧電ポンプ4への入力電力の分配割合を低く設定することで、第2の圧電ポンプ6の温度上昇に対する第1の圧電ポンプ4の温度上昇を抑制し、第1の圧電ポンプ4と第2の圧電ポンプ6をバランス良く発熱させることができる。バランス良く発熱とは、2つのポンプの最高温度が互いに均衡するようにそれぞれのポンプの発熱量が定まることをいう。特に第1の圧電ポンプ4の温度が過度に上昇することを抑制することで、ポンプの内部で金属同士を接着する接着剤が剥がれる、あるいは圧電素子が割れる等の故障を抑制することができる。このようにして、ポンプ装置2の信頼性を向上させることができる。
圧電ポンプの場合は他の種類のポンプと比べて発熱性が高く、熱ダメージによる故障が生じやすい。このため、前述したような入力電力の設定を行って、第1の圧電ポンプ4の発熱を抑えて故障を抑制する効果をより効果的に発揮することができる。
また本実施の形態では、第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6は定格出力が同じである。このため、第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6の入力電力に対する発熱性は同程度となる。このような場合、前述したような入力電力の設定を行って第1の圧電ポンプ4と第2の圧電ポンプ6をバランス良く発熱させる効果をより効果的に発揮することができる。
本実施の形態では、分配設定部10は、第2の圧電ポンプ6への入力電流値が第1の圧電ポンプ4への入力電流値よりも大きくなるように設定している。圧電ポンプの場合、圧電素子の変形速度は概ね入力電力の電流値に比例するため、前述したような入力電流値の分配割合を設定することで、第1の圧電ポンプ4の圧電素子の変形を抑制できる。そのため第1の圧電ポンプ4の耐熱温度が上がり、第1の圧電ポンプ4の温度が上昇した場合でも、圧電素子の変形による故障を効果的に防止することができる。
なお、本実施の形態のように第1の圧電ポンプ4と第2の圧電ポンプ6が同じ仕様であり定格出力が同じ場合でも、製造上の誤差によって、実際の出力性能に差が生じる場合がある。このような場合には、出力性能の低いものを第2の圧電ポンプ6に採用し、出力性能の高いものを第1の圧電ポンプ4に採用してもよい。これにより、第2の圧電ポンプ6へ大きい電力を入力しても、第2の圧電ポンプ6の故障を抑制することができる。
次に、実施の形態の実施例1について説明する。
実施例1は、本発明者らが、図1に示す実施の形態のポンプ装置2を用いて、圧電ポンプ4、6の温度上昇に関する実験を行ったものである。実験の条件および結果は、図2に示す通りである。
図2において、「環境温度」の欄は、ポンプ装置2を配置した周囲の温度を表す(単位:℃)。図1に示す吸引対象物12の中に含まれている空気の温度は、環境温度と略同じである。「入力電力」の欄は、駆動部8から第1の圧電ポンプ4と第2の圧電ポンプ6のそれぞれに供給した入力電力値である(単位:W)。「温度」の欄は、所定時間経過後(本実施の形態では5分)における第1の圧電ポンプ4と第2の圧電ポンプ6のそれぞれの表面温度である。「電力比」の欄は、第1の圧電ポンプ4に供給される入力電力に対する第2の圧電ポンプ6に供給される入力電力の割合、すなわち、「(第2の圧電ポンプ6の入力電力)/(第1の圧電ポンプ4の入力電力)」である。「電流比」の欄は、第1の圧電ポンプ4に供給される入力電流値に対する第2の圧電ポンプ6に供給される入力電流値の割合、すなわち、「(第2の圧電ポンプ6の入力電流)/(第1の圧電ポンプ4の入力電流)」である。
なお、電力比、電流比はともに、ポンプ装置2を運転して第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6によって空気を輸送する前に、分配設定部10により予め設定されている。実施例1では、入力電力の合計値を3.78Wに維持しながら、電力比を変化させている。
「両ポンプの高い方の温度」の欄は、「温度」の欄の値のうちの高い方の温度を表す(単位:℃)。この温度が低くなるほど、ポンプ装置2全体としての温度上昇を抑制して信頼性を向上させることができる。「流量」の欄は、ポンプ装置2が出力する空気の流量、すなわち、第1の圧電ポンプ4が排出する空気の流量を表す(単位:L/min)。「圧力」の欄は、所定時間経過後における第1の圧電ポンプ4と第2の圧電ポンプ6のそれぞれの内部圧力を表す(単位:kPa)。
図2に示すように、電力比および電流比の値と、第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6の温度の値に相関関係があることがわかる。具体的には、電力比および電流比の値が大きくなるほど、第1の圧電ポンプ4の温度が下がり、第2の圧電ポンプ6の温度が高くなっている。
さらに電力比および電流比の値と、両ポンプの高い方の温度にも相関関係があることがわかる。具体的には、電力比および電流比の値が1の場合と比較して、電力比および電流比の値が1よりも大きくかつ所定の値以下である場合には、両ポンプの高い方の温度が低くなっている。この関係を図3に示す。
図3は、横軸に電力比を表し、縦軸に両ポンプの高い方の温度[℃]を表す。図3に示すように、電力比の値を1よりも大きくかつ1.57以下に設定した場合には、電力比の値が1の場合よりも両ポンプの高い方の温度が低く抑えられている。このような電力比の設定により、第1の圧電ポンプ4の温度上昇を効果的に抑制し、第1の圧電ポンプ4と第2の圧電ポンプ6をよりバランス良く発熱させることができる。
また図2に示す結果によれば、「電流比」に関しても、1よりも大きくかつ1.25以下に設定することで、「電力比」が1よりも大きくかつ1.57に設定された場合と同様の効果を奏することができる。また圧電ポンプの場合、圧電素子の変形速度は概ね入力電力の電流値に比例するため、前述したような電流比に設定することで、第1の圧電ポンプ4の圧電素子の変形を抑制できる。そのため、第1の圧電ポンプ4の温度が上昇した場合でも、圧電素子の変形による故障を効果的に防止することができる。
さらに電力比の値を1.1以上かつ1.38以下に設定した場合、並びに、電流比の値を1.05以上かつ1.17以下に設定した場合には、両ポンプの高い方の温度がさらに低く抑えられている。これより、第1の圧電ポンプ4の温度上昇を効果的に抑制し、第1の圧電ポンプ4と第2の圧電ポンプ6をよりバランス良く発熱させることができる。
図2に示すように、電力比および電流比を変化させた場合でも、ポンプ装置2の出力である流量は0.6L/minに維持されている。またポンプの内部圧力の値は、入力電力の大小に伴って変化している。図2の結果における圧力と流量の関係について、図4A、図4B、図5A〜図5D、図6を用いて説明する。
図4A、図4B、図5A〜図5D、図6はいずれも、横軸に各ポンプの内部圧力[kPa]を示し、縦軸に各ポンプの流量[L/min]を示す。図4Aは、電力比1の従来例に対応し、図4Bは、電力比0.91の比較例に対応する。図5A〜図5Dはいずれも実施例に対応し、図5Aは電力比1.10の実施例、図5Bは電力比1.21の実施例、図5Cは電力比1.38の実施例、図5Dは電力比1.57の実施例にそれぞれ対応する。図6は電力比1.74の比較例に対応する。
図4A〜図6に示すように、第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6のいずれにおいても、ポンプの内部圧力および出力される空気の流量は概ね反比例の関係にある。
流量の値をいずれの値に設定した場合でも、圧力の合計値は20kPaで一定に保たれる。例えば、流量の値を0.6mL/minに設定したとき、図4Aの電力比1の場合、第1の圧電ポンプ4の内部圧力は10kPa、第2の圧電ポンプ6の内部圧力は10kPaである。同様に、図4Bの電力比0.91の場合、第1の圧電ポンプ4の内部圧力は10.5kPa、第2の圧電ポンプ6の内部圧力は9.5kPaである。図5A〜図5D、図6の値については、図2に示す通りであるため、説明を省略する。
上記結果の通り、電力比の合計値を一定としながら入力電力の分配割合を変えた場合も、第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6の内部圧力の合計を一定に保ちながら、ポンプ装置2から一定流量の空気を出力することができる。このようにしてポンプ装置2の性能を保つことができる。
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されない。例えば、実施の形態では、分配設定部10が「入力電力」の分配割合を設定するものである場合について説明したが、このような場合に限らず、前述したように「入力電流値」の分配割合を設定するものであってもよい。このような場合であっても、図2に示した電流比の値を1よりも大きく1.25以下に設定することで、電力比の値を1よりも大きくかつ1.57以下に設定した場合と同様の効果を奏することができる。
また実施の形態では、第2の圧電ポンプ6に吸引対象物12を接続してポンプ装置2を負圧ポンプとして用いる場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば、吸引対象物12の代わりに、第1の圧電ポンプ4の排出口4aにカフなどの加圧対象物を接続して加圧ポンプとして用いてもよい。
また実施の形態では、第1の圧電ポンプ4および第2の圧電ポンプ6という2つの圧電ポンプを設ける場合について説明したが、このような場合に限らず、3つ以上の圧電ポンプを設けてもよい。この場合、複数の圧電ポンプにおける任意の隣接する圧電ポンプの入力電力を上流側よりも下流側が小さくなるように設定すれば、同様の効果を奏することができる。このとき全ての隣接する圧電ポンプ同士の入力電力をこのように設定する必要はなく、少なくとも2つの隣接する圧電ポンプ同士の入力電力がこのような設定になっていれば、同様の効果を奏することができる。
また実施の形態では、駆動部8として2つの駆動部8A、8Bを設ける場合について説明したが、このような場合に限らない。2つの圧電ポンプ4、6を駆動できるものであれば任意の形態の駆動部を用いてもよい。例えば、2つの圧電ポンプ4、6に対して共通の1つの駆動部を設けるようにしてもよい。
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、各実施の形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
本発明は、ポンプ装置に有用である。
2 ポンプ装置
4 第1の圧電ポンプ
4a 排出口
6 第2の圧電ポンプ
8 駆動部
8A 第1の駆動部
8B 第2の駆動部
9 制御装置
10 分配設定部
12 吸引対象物

Claims (5)

  1. 第1の圧電ポンプと、
    前記第1の圧電ポンプの上流側に直列的に接続された第2の圧電ポンプと、
    前記第1の圧電ポンプおよび前記第2の圧電ポンプに交流の入力電力を供給する駆動部と、
    前記第1の圧電ポンプと前記第2の圧電ポンプのそれぞれに供給する前記駆動部からの前記入力電力の分配割合を設定する分配設定部と、を備え、
    前記分配設定部は、前記第1の圧電ポンプへの入力電力に対する前記第2の圧電ポンプへの入力電力の割合を、1よりも大きく1.57以下に設定する、ポンプ装置。
  2. 前記第1の圧電ポンプおよび前記第2の圧電ポンプは定格出力が同じである、請求項1に記載のポンプ装置。
  3. 前記分配設定部は、前記第1の圧電ポンプへの入力電力に対する前記第2の圧電ポンプへの入力電力の割合を、1.1以上1.38以下に設定する、請求項1又は2に記載のポンプ装置。
  4. 第1の圧電ポンプと、
    前記第1の圧電ポンプの上流側に直列的に接続された第2の圧電ポンプと、
    前記第1の圧電ポンプおよび前記第2の圧電ポンプに交流の入力電力を供給する駆動部と、
    前記第1の圧電ポンプと前記第2の圧電ポンプのそれぞれに供給する前記駆動部からの入力電流値の分配割合を設定する分配設定部と、を備え、
    前記分配設定部は、前記第1の圧電ポンプへの入力電流値に対する前記第2の圧電ポンプへの入力電流値の割合を、1よりも大きく1.25以下に設定する、ポンプ装置。
  5. 前記分配設定部は、前記第1の圧電ポンプへの入力電流値に対する前記第2の圧電ポンプへの入力電流値の割合を、1.05以上1.17以下に設定する、請求項4に記載のポンプ装置。
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