以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る建設機械の施工方法及び建設機械の施工システムを説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態は、盛土工事(盛土材(土)を盛って、平坦な地表を作る造成工事)を行う建設機械の施工システムに適用する。本実施形態に係る建設機械の施工システムは、自動運転機能を有する建設機械であるダンプトラップ(運搬機械)、ブルドーザ(敷均し機械)及び振動ローラ(転圧機械)と、一人のオペレータによって操作される施工管理部とからなる。
図1〜図4を参照して、建設機械の施工システム1について説明する。図1に示すように、建設機械の施工システム1では、施工管理部2から各作業に必要な施工情報をダンプトラック3、ブルドーザ4、振動ローラ5にそれぞれ送信し、その施工情報に応じてダンプトラック3、ブルドーザ4、振動ローラ5が無人の自動運転で各作業を行う。また、建設機械の施工システム1では、各作業が完了する毎に、ダンプトラック3、ブルドーザ4、振動ローラ5から施工管理部2に作業完了情報を送信し、施工管理部2でその作業完了情報を用いて次の作業の施工情報を設定する。なお、ダンプトラック3、ブルドーザ4、振動ローラ5の各台数は、1台以上であり、盛土工事の造成範囲の大きさなどに応じて適宜決められる。特に、振動ローラ5による作業はダンプトラック3、ブルドーザ4による各作業に比べて作業時間を要するので、振動ローラ5の台数をダンプトラック3、ブルドーザ4の台数よりも多くすることにより盛土工事の施工時間を短縮できる。
図2には、工事現場の一例を示している。工事現場は、土が積み込まれる積込みエリアAと工事が行われる施工エリアBとが運搬道路Cによって繋がっている。運搬道路Cは、私道である。施工エリアB内には、盛土工事が行われる造成範囲Dが設定されている。造成範囲Dは、例えば、図2に示す矩形状である。施工エリアB内には、造成範囲D以外の場所に施工管理部2が設けられている。施工管理部2は、施工管理部2のオペレータが造成範囲D全体を見渡すことができる位置に配置される。
図3には、盛土工事を行う場合の各作業の流れを示している。まず、ダンプトラック3が、積込みエリアA内の所定の位置で土が積込まれると、その土を施工エリアBの造成範囲D内の所定の位置まで運搬して荷卸しする(運搬作業)。運搬作業に必要な施工位置情報は、積込みエリアA内での積込み位置と、造成範囲D内での荷卸し位置である。さらに、施工位置情報として、積込み位置と荷卸し位置との間に経由位置が設けられてもよい。運搬作業の作業完了位置情報は、実際に荷卸された位置である荷卸し完了位置である。荷卸し完了位置は、荷卸し位置かあるいは荷卸し位置近傍の位置となる。ダンプトラック3では、通常、運搬可能な最大土量の土を運搬する。但し、ダンプトラック3では、最大土量より少ない所定量の土を運搬する場合もある。この場合、運搬作業に必要な施工条件情報として、運搬する土量が施工管理部2により設定される。
次に、ブルドーザ4が、荷卸し完了位置を起点として、荷卸された土を所定の厚さに敷均す(敷均し作業)。敷均し作業に必要な施工位置情報は、荷卸し完了位置と、造成範囲D内に区画される区画範囲又は造成範囲Dである。敷均し作業の作業完了位置情報は、実際に敷均しが完了した範囲である敷均し完了範囲である。但し、敷均し作業の予定範囲である区画範囲又は造成範囲Dを全て敷均すことができない場合、敷均しが完了していない範囲である敷均し未完了範囲ができる。敷均し作業の敷均し厚さは、予め決められてもよいしあるいは敷均し作業に必要な施工条件情報として施工管理部2により設定されてもよい。
次に、振動ローラ5が、敷均し完了範囲に敷均された土を転圧して、土を締固める転圧作業を行う。転圧作業については、区画範囲(又は造成範囲D)全体の敷均し作業が完了すると作業を開始してもよいしあるいは区画範囲(又は造成範囲D)の一部の領域の敷均し作業が完了するとその一部の領域から作業を開始してもよい。転圧作業に必要な施工位置情報は、敷均し完了範囲である。転圧作業の作業完了位置情報は、実際に転圧が完了した範囲である転圧完了範囲である。転圧作業の完了条件は、実際に転圧した回数が転圧回数に達するかあるいは締固めの程度を示す所定条件を満たすかである。この所定条件は、例えば、振動ローラ5で振動させるローラ5aの振動の加速度が所定加速度以下にあるかあるいはローラ5aの振動の振幅が所定値以下になるかである。この転圧作業の転圧回数あるいは所定条件(加速度の閾値等)は、予め決められてもよいしあるいは転圧作業に必要な施工条件情報として施工管理部2により設定されてもよい。
図4(a)に示す例の場合、積込みエリアA内に積込み位置PA1〜PA3が設定されている。図4(b)に示す例の場合、造成範囲D内に荷卸し位置PD1〜PD6が設定されている。この例の場合、((造成範囲Dの面積×盛土工事に必要な単位面積当たりの土量)/ダンプトラック3による1回の運搬作業の最大土量)により、造成範囲Dには6回の運搬作業による土量が必要と判断される。そして、造成範囲Dが6等分に区画され、その各区画範囲AD1〜AD6の中心位置に荷卸し位置PD1〜PD6が振り分けられる。この各区画範囲AD1〜AD6は、敷均し作業の予定範囲となる。図4(c)及び図4(d)では、敷均し作業において、敷均しが完了した箇所にハッチングが施されている。図4(c)に示す例の場合、全ての区画範囲AD1〜AD6が、敷均しが完了しており、敷均し完了範囲となっている。一方、図4(d)に示す例の場合、区画範囲AD5,AD6の一部が、敷均しが完了しておらず、敷均し未完了範囲AD5’,AD6’となっている。敷均し未完了範囲AD5’,AD6’は、例えば、造成範囲D内の他の箇所よりも窪んだ谷状になっており、敷均し厚さにならなかった箇所である。敷均し未完了範囲AD5’,AD6’については、新たに荷卸し位置PD7が設定され、追加の運搬作業、敷均し作業、転圧作業が実施される。
なお、積込みエリアA内には、積込み機械が待機している。積込み機械は、作業員による手動運転で土の積込みを行う。ダンプトラック3が積込み位置に停止すると、積込み機械によりダンプトラック3の荷台3aに土が積み込まれる。
施工管理部2について説明する。施工管理部2は、オペレータの操作により、自動運転で各作業を行う建設機械(ダンプトラック3、ブルドーザ4、振動ローラ5)を管理する。施工管理部2では、各作業の進捗状況に従ってダンプトラック3、ブルドーザ4、振動ローラ5に各作業に必要な施工情報を順次送信する。また、施工管理部2では、各作業が完了する毎に、ダンプトラック3、ブルドーザ4、振動ローラ5から作業完了情報を受信し、その作業完了情報を用いて次の作業の施工情報を設定する。施工管理部2は、送受信装置20、表示装置21、操作装置22、コンピュータ23を備えている。なお、オペレータは、ダンプトラック3、ブルドーザ4、振動ローラ5の各作業の状況を目視しながら各種操作を行ってもよいし、あるいは、各作業の状況を表示装置21で確認しながら各操作を行ってもよい。
送受信装置20は、無線で各建設機械3,4,5と通信を行う通信装置である。送受信装置20は、コンピュータ23に接続されている。送受信装置20には、無線通信用のアンテナ20aが接続されている。送受信装置20では、アンテナ20aで建設機械3,4,5からの電波を受信すると、電波を復調して情報を取り出し、その情報をコンピュータ23に出力する。また、送受信装置20では、コンピュータ23から各建設機械3,4,5への情報を入力すると、その情報を変調して電波を生成し、その電波をアンテナ20aから送信する。
表示装置21は、各種情報を表示する装置である。表示装置21は、1台でもよいしあるいは複数台でもよい。表示装置21は、例えば、液晶ディスプレイである。表示装置21は、コンピュータ23に接続されている。表示装置21では、コンピュータ23から画像情報を入力すると、その画像情報を表示する。表示装置21に表示される情報としては、例えば、積込みエリアAを模式的に示す図、造成範囲Dを模式的に示す図、各建設機械3,4,5の情報(台数等)、各建設機械3,4,5に対してそれぞれ設定される施工情報(施工位置情報等)、各建設機械3,4,5からの作業完了情報(作業完了位置情報等)、各建設機械3,4,5の位置情報である。なお、オペレータが造成範囲D全体を見渡すことができない位置に施工管理部2が配置された場合、カメラで造成範囲Dを撮影し、その撮影した画像を表示装置21で表示するようにしてもよい。
操作装置22は、オペレータが入力操作を行うための装置である。操作装置22は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル(タッチパネル機能を有する表示装置21)である。操作装置22は、コンピュータ23に接続されている。操作装置22では、オペレータによって入力操作が行われると、その操作情報をコンピュータ23に出力する。
コンピュータ23は、自動運転で各作業を行う建設機械3,4,5を管理するためのコンピュータである。コンピュータ23は、例えば、パーソナルコンピュータである。コンピュータ23には、建設機械3,4,5を管理するためのアプリケーションプログラムが組み込まれている。コンピュータ23には、送受信装置20で受信した建設機械3,4,5からの作業完了情報が入力される。コンピュータ23には、操作装置22で行われたオペレータの操作情報が入力される。コンピュータ23には、建設機械3,4,5を管理するためのアプリケーションプログラムが組み込まれている。コンピュータ23では、建設機械3,4,5を管理する上で必要な各種情報を表示するための画像情報を表示装置21に出力する。
施工管理部2により行わる処理について説明する。施工管理部2では、オペレータによる操作情報に従ってコンピュータ23で各建設機械3,4,5の施工位置情報を設定する。この際、オペレータは、造成範囲Dでの実際の状況及び表示装置21に表示される積込みエリアA、造成範囲D、各建設機械3,4,5からの作業完了位置情報等を見て、操作装置22で入力操作を行う。例えば、オペレータは、ブルドーザ4の向き等から敷均し作業に適したダンプトラック3の荷卸し位置を入力する。
なお、ダンプトラック3の積込み位置については、積込みエリアA内に堆積されている土の配置状況等からコンピュータ23により自動で設定するようにしてもよい。ダンプトラック3の荷卸し位置については、上記の計算式から導かれる運搬作業の回数と造成範囲Dの形状等からコンピュータ23により自動で振り分けて設定してもよい。ブルドーザ4の敷均し範囲となる造成範囲Dの複数の区画範囲については、上記の計算式から導かれる運搬作業の回数と造成範囲Dの形状等からコンピュータ23により自動で区画して設定してもよい。ブルドーザ4の作業起点となる荷卸し完了位置については、ダンプトラック3から送信された荷卸し完了位置からコンピュータ23により自動で設定するようにしてもよい。振動ローラ5の転圧範囲は、ブルドーザ4から送信された敷均し完了範囲からコンピュータ23により自動で設定するようにしてもよい。また、ブルドーザ4で敷均し未完了範囲がある場合、コンピュータ23により未完了範囲についての荷卸し位置、敷均し範囲、転圧範囲を自動で設定するようにしてもよい。
施工管理部2では、コンピュータ23から各建設機械3,4,5への施工情報(各作業開始指令、各施工位置情報)を送受信装置20に出力し、送受信装置20からその施工情報を各建設機械3,4,5に送信する。この際、オペレータは、造成範囲Dでの実際の各建設機械3,4,5の作業状況を目視し、各建設機械3,4,5の作業開始タイミングになると操作装置22で送信操作を行う。この作業開始タイミングについても、コンピュータ23により自動で判断するようにしてもよい。オペレータは、造成範囲Dを目視中に通常の状況と異なる状況が発生した場合、その状況に応じて各建設機械3,4,5の作業停止等の操作を行う。この操作に応じて、施工管理部2では、コンピュータ23から作業停止等の指令を送受信装置20に出力し、送受信装置20からその指令を送信する。なお、施工情報として、ブルドーザ4の敷均し厚さ、振動ローラ5の転圧回数等の施工条件情報も送信してもよい。
施工管理部2では、送受信装置20で各建設機械3,4,5からの作業完了情報(作業完了通知、作業完了位置)に受信すると、その作業完了情報を送受信装置20からコンピュータ23に出力し、コンピュータ23によりその作業完了情報を表示装置21に表示させる。オペレータは、この表示装置21に表示される作業完了位置情報(特に、荷卸し完了位置、敷均し完了範囲/未完了範囲)を確認して、次の作業を行う建設機械4,5の各施工位置情報を入力できる。
ダンプトラック3について説明する。ダンプトラック3は、自動運転機能を有するダンプトラックである。ダンプトラック3は、移動するための速度制御、停止制御、操舵制御を自動運転で行うとともに、荷台3aから土を下すための荷卸し制御を自動運転で行う。特に、ダンプトラック3は、施工管理部2から運搬作業の施工情報を受信すると、この施工情報に従って積込み位置から荷卸し位置まで移動し、荷卸し位置で土を下す運搬作業を行う。また、ダンプトラック3は、運搬作業が完了すると、作業完了情報を施工管理部2に送信する。ダンプトラック3は、送受信装置30、GPS[Global Positioning System]受信装置31、積載土量検出装置32、自動運転装置33、制御装置34を備えている。
送受信装置30は、無線で施工管理部2と通信を行う通信装置である。送受信装置30は、制御装置34に接続されている。送受信装置30には、無線通信用のアンテナ30aが接続されている。送受信装置30では、アンテナ30aで施工管理部2からの電波を受信すると、電波を復調して情報を取り出し、その情報を制御装置34に出力する。また、送受信装置30では、制御装置34から施工管理部2への情報を入力すると、その情報を変調して電波を生成し、その電波をアンテナ30aから送信する。
GPS受信装置31は、GPS衛星からの電波を受信してダンプトラック3の位置を取得する装置である。GPS受信装置31は、自動運転装置33と制御装置34に接続されている。GPS受信装置31には、GPS用のアンテナ31aが接続されている。GPS受信装置31では、アンテナ31aでGPS衛星からの電波を受信すると、その電波を復調して情報を取り出す。そして、GPS受信装置31では、受信されている各GPS衛星の情報を用いてダンプトラック3の位置情報(緯度、経度等)を演算し、その位置情報を自動運転装置33と制御装置34に出力する。特に、ダンプトラック3の場合、荷卸し完了位置が必要となるので、演算される位置情報はダンプトラック3の後端3bでの位置情報である。なお、位置情報の取得装置としては、トータルステーション等の他の装置でもよい。
積載土量検出装置32は、荷台3aに積まれている土の量(例えば、重量)を検出する装置である。積載土量検出装置32は、荷台3aの下方に設けられる。積載土量検出装置32は、例えば、重量計である。積載土量検出装置32では、土量を検出し、その土量情報を制御装置34に出力する。
自動運転装置33は、自動運転のための速度制御、停止制御、操舵制御、荷卸し制御を行う装置である。自動運転装置33は、例えば、マイクロコンピュータ及び各種メモリ等から構成される。自動運転装置33には、上記の各制御を行うためのアプリケーションプログラムが組み込まれている。また、自動運転装置33には、積込みエリアAと施工エリアBとを繋ぐ運搬道路Cを通る運搬ルート情報が記憶されている。自動運転装置33には、GPS受信装置31からダンプトラック3の位置情報が入力される。
自動運転装置33は、ダンプトラック3を所定速度で走行させるために、駆動装置(例えば、エンジン)に対して速度制御(加減速制御)を行う。所定速度としては、積込みエリアA、施工エリアB、運搬道路C等を走行する際の速度がそれぞれ設定されている。また、自動運転装置33は、ダンプトラック3を所定の位置で停止させるために、ブレーキ装置に対して停止制御を行う。また、自動運転装置33は、ダンプトラック3の走行方向を変えるために、車輪を転舵させる操舵装置に対して操舵制御を行う。また、自動運転装置33は、荷台3aから土を下すために、荷台3aの傾斜角度を調整する装置(例えば、油圧シリンダ)に対する荷卸し制御を行う。なお、自動運転装置33は、障害物との衝突を回避する機能を有していてもよい。そのために、ダンプトラック3には、障害物を検知するために、カメラ、レーザレーダ等を用いた検知装置が備えられる。自動運転装置33では、検知装置で障害物を検知すると、停止制御により障害物の手前でダンプトラック3を停止させたりあるいは操舵制御により障害物を回避するためにダンプトラック3の走行方向を変える。
特に、自動運転装置33は、制御装置34からの積込み位置と荷卸し位置が入力されると、上記の各制御を行う。つまり、自動運転装置33では、GPS受信装置31からの位置情報を用いて速度制御、停止制御及び操舵制御を行い、積込み位置までダンプトラック3を移動させる。土の積込み作業が完了すると、自動運転装置33では、GPS受信装置31からの位置情報を用いて速度制御、停止制御及び操舵制御を行い、運搬ルートに沿って積込み位置から荷卸し位置までダンプトラック3を移動させる。経由位置も設定されている場合、最初に経由位置まで移動させ、経由位置から荷卸し位置まで移動させる。荷卸し位置に到着すると、自動運転装置33では、荷卸し制御を行い、荷台3aを傾けて土を卸すとともに荷台3aを元の位置に戻す。荷卸しが終わると、自動運転装置33では、運搬作業が完了したことを示す運搬作業完了情報を制御装置34に出力する。また、自動運転装置33では、GPS受信装置31からの位置情報を用いて速度制御、停止制御及び操舵制御を行い、次の運搬作業の積込み位置までダンプトラック3を移動させる。次の運搬作業がない場合、自動運転装置33では、積込みエリアA内の待機位置までダンプトラック3を移動させる。
制御装置34は、ダンプトラック3の統括的な制御を行う装置である。制御装置34は、例えば、マイクロコンピュータ及び各種メモリ等から構成される。制御装置34には、統括的な制御を行うためのアプリケーションプログラムが組み込まれている。制御装置34には、送受信装置30で受信した施工管理部2からの施工情報が入力される。制御装置34には、GPS受信装置31からダンプトラック3の位置情報が入力される。制御装置34には、積載土量検出装置32から土量情報が入力される。
制御装置34では、施工管理部2からの施工情報(運搬作業開始指令、積込み位置、荷卸し位置)が入力すると、積込み位置と荷卸し位置を自動運転装置33に出力する。この際、制御装置34では、運搬作業の開始時に積込み位置と荷卸し位置を同時に出力してもよいしあるいは運搬作業の開始時に積込み位置のみを出力し、積込み作業完了時に荷卸し位置を出力してもよい。施工情報には経由位置が含まれる場合があり、その場合には経由地も出力する。また、制御装置34では、自動運転装置33からの運搬作業完了情報を入力すると、送受信装置30に作業完了情報(運搬作業完了通知、荷卸し完了位置、土量)を出力する。
ブルドーザ4について説明する。ブルドーザ4は、自動運転機能を有するブルドーザである。ブルドーザ4は、移動するための速度制御、停止制御、操舵制御を自動運転で行うとともに、ブレード(排土板)4aの位置/姿勢制御を自動運転で行う。ブルドーザ4は、施工管理部2から敷均し作業の施工情報として敷均し範囲(区画範囲等)を受信すると、この敷均し範囲(区画範囲等)内を敷均す敷均し作業を行う。また、ブルドーザ4は、施工管理部2から敷均し作業の施工情報としてダンプトラック3の荷卸し完了位置を受信すると、この荷卸し完了位置を起点として敷均し作業を行う。また、ブルドーザ4は、敷均し作業が完了すると、作業完了情報を施工管理部2に送信する。ブルドーザ4は、送受信装置40、GPS受信装置41、ブレード位置検出装置42、盛土材検出装置43、自動運転装置44、制御装置45を備えている。
送受信装置40は、ダンプトラック3の送受信装置30と同様の装置である。また、GPS受信装置41は、ダンプトラック3のGPS受信装置31と同様の装置である。特に、ブルドーザ4の場合、位置情報は、ブルドーザ4の履帯4bの中央部4cの位置情報である。また、ブルドーザ4の場合、位置情報として高さ情報も取得する。
ブレード位置検出装置42は、ブレード4aの位置(特に、下端部の位置)を検出する装置である。ブレード位置検出装置42は、例えば、ブレード4aの上端部に取り付けられる。ブレード位置検出装置42は、例えば、センチメートル単位で高さ位置を取得できる高精度なGPS受信装置、トータルステーションである。ブレード位置検出装置42は、自動運転装置44に接続されている。ブレード位置検出装置42では、ブレード4aの下端部の位置を検出し、その位置情報を自動運転装置44に出力する。
盛土材検出装置43は、盛土材(土)を検出する装置である。盛土材検出装置43は、例えば、ブルドーザ4の車体の前側の上部に取り付けられる。盛土材検出装置43は、例えば、物体の立体的な形状等を取得できるスキャナある。盛土材検出装置43は、自動運転装置44に接続されている。盛土材検出装置43では、ブルドーザ4の前方の立体的な形状等を取得し、盛土材を判別する。そして、盛土材検出装置43では、盛土材の形状、高さ等の情報を取得し、その情報を自動運転装置44に出力する。なお、盛土材検出装置43では、盛土材の形状、高さ等の情報からダンプトラック3が土を荷卸した位置を検出するようにしてもよい。
自動運転装置44は、自動運転のための速度制御、停止制御、操舵制御、敷均し制御を行う装置である。自動運転装置44は、例えば、マイクロコンピュータ及び各種メモリ等から構成される。自動運転装置44には、上記の各制御を行うためのアプリケーションプログラムが組み込まれている。また、自動運転装置44には、敷均し作業での敷均し厚さ(例えば、25cm)が記憶されている。自動運転装置44には、GPS受信装置41からブルドーザ4の位置情報が入力される。
自動運転装置44は、ブルドーザ4を所定速度で走行させるために、一対の履帯式走行装置に対して速度制御を行う。所定速度は、施工エリアB等を走行する際の速度が設定されている。所定速度は、敷均し作業を行っている場合と行っていない場合とで異なる速度が設定されてもよい。また、自動運転装置44は、ブルドーザ4を所定の位置で停止させるために、一対の履帯式走行装置に対して停止制御を行う。また、自動運転装置44は、ブルドーザ4の走行方向を変えるために、一対の履帯式走行装置に対して操舵制御を行う。また、自動運転装置44は、ブレード4aによって土を敷均すために、ブレード4aの高さ位置を調整する装置(例えば、油圧シリンダ)に対する位置制御を行うとともにブレード4aの姿勢(角度)を調整する装置に対する姿勢制御を行う。この際、自動運転装置44は、ブレード位置検出装置42で検出されたブレード4aの高さ位置情報及び盛土材検出装置43で検出された土の情報を用いて、ブレード4aの高さ位置等を調整して敷均し厚さに土を敷均すための位置/姿勢制御を行う。なお、自動運転装置44は、障害物との衝突を回避する機能を有していてもよい。
特に、自動運転装置44は、制御装置45からの荷卸し完了位置と敷均し範囲(区画範囲等)が入力されると、上記の各制御を行う。つまり、自動運転装置44では、GPS受信装置41からの位置情報を用いて速度制御、停止制御及び操舵制御を行い、荷卸し完了位置を起点として敷均し範囲内でブルドーザ4を移動させる。敷均し範囲が設定された場合のブルドーザ4の移動経路は、アプリケーションプログラムに組み込まれている。ブルドーザ4の移動中に、自動運転装置44では、ブレード4aの位置/姿勢制御を行う。敷均し範囲内全体の敷均しが終わると、自動運転装置44では、制御装置45に敷均し作業が完了したことを示す敷均し作業完了情報を制御装置45に出力する。但し、敷均し範囲内で敷均し厚さに敷均すことができなかった未完了の箇所がある場合、自動運転装置44では、敷均し作業が未完了なことを示す敷均し作業未完了情報(未完了範囲情報を含む)を制御装置45に出力する。
制御装置45は、ブルドーザ4の統括的な制御を行う装置である。制御装置45は、例えば、マイクロコンピュータ及び各種メモリ等から構成される。制御装置45には、統括的な制御を行うためのアプリケーションプログラムが組み込まれている。制御装置45には、送受信装置40で受信した施工管理部2からの施工情報が入力される。制御装置45には、GPS受信装置41からブルドーザ4の位置情報が入力される。
制御装置45では、施工管理部2からの施工情報(敷均し作業開始指令、荷卸し完了位置、敷均し範囲(区画範囲等))が入力すると、荷卸し完了位置と敷均し範囲を自動運転装置44に出力する。また、制御装置45では、自動運転装置44から敷均し作業完了情報を入力すると、送受信装置40に作業完了情報(敷均し作業完了通知、敷均し完了範囲)を出力する。また、制御装置45では、自動運転装置44から敷均し作業未完了情報を入力すると、送受信装置40に作業未完了情報(敷均し作業未完了通知、敷均し完了範囲と敷均し未完了範囲)を出力する。
振動ローラ5について説明する。振動ローラ5は、自動運転機能を有する振動ローラである。振動ローラ5は、移動するための速度制御、停止制御、操舵制御を自動運転で行うとともに、ローラ5aの起振制御を自動運転で行う。特に、振動ローラ5は、施工管理部2から転圧作業の施工情報を受信すると、この施工情報に従って転圧範囲(敷均し完了範囲)内を転圧して締固める転圧作業を行う。また、振動ローラ5は、転圧作業が完了すると、作業完了情報を施工管理部2に送信する。振動ローラ5は、送受信装置50、GPS受信装置51、加速度検出装置52、自動運転装置53、制御装置54を備えている。
送受信装置50は、ダンプトラック3の送受信装置30と同様の装置である。また、GPS受信装置51は、ダンプトラック3のGPS受信装置31と同様の装置である。特に、振動ローラ5の場合、位置情報は、振動ローラ5のローラ5aの接地地点5bの位置情報である。また、振動ローラ5の場合、位置情報として高さ情報も取得してもよい。
加速度検出装置52は、ローラ5aの振動方向(地面に対して垂直方向)の加速度を検出する装置である。加速度検出装置52は、ローラ5aに取り付けられる。加速度検出装置52は、自動運転装置53に接続されている。加速度検出装置52では、ローラ5aの加速度を検出し、その加速度情報を自動運転装置53に出力する。
自動運転装置53は、自動運転のための速度制御、停止制御、操舵制御、起振制御を行う装置である。自動運転装置53は、例えば、マイクロコンピュータ及び各種メモリ等から構成される。自動運転装置53には、上記の各制御を行うためのアプリケーションプログラムが組み込まれている。また、自動運転装置53には、転圧作業の終了条件である転圧回数(例えば、6回(3往復))あるいは締固めの程度を判定する所定条件(ローラ5aの加速度の閾値等)が記憶されている。自動運転装置53には、GPS受信装置51から振動ローラ5の位置情報が入力される。
自動運転装置53は、振動ローラ5を所定速度で走行させるために、駆動装置に対して速度制御を行う。所定速度は、施工エリアB等を走行する際の速度が設定されている。所定速度は、転圧作業を行っている場合と行っていない場合とで異なる速度が設定されてもよい。また、自動運転装置53は、振動ローラ5を所定の位置で停止させるために、ブレーキ装置に対して停止制御を行う。また、自動運転装置53は、振動ローラ5の走行方向を変えるために、操舵装置に対して操舵制御を行う。また、自動運転装置53は、ローラ5aを振動させる起振装置に対する起振制御を行う。転圧回数が転圧作業の終了条件の場合、自動運転装置53は、GPS受信装置51で検出される振動ローラ5の位置情報を用いて、転圧範囲内の同じ箇所を通過した回数をカウントし、そのカウントした回数が転圧回数に達した場合に起振制御を終了させる。ローラ5aの加速度から判定される締固めの程度が転圧作業の終了条件の場合、自動運転装置53は、加速度検出装置52で検出されるローラ5aの加速度情報を用いて、ローラ5aの加速度が閾値以下になった場合に起振制御を終了させる。なお、自動運転装置53は、障害物との衝突を回避する機能を有していてもよい。
特に、自動運転装置53は、制御装置54からの転圧範囲(敷均し完了範囲)が入力されると、上記の各制御を行う。つまり、自動運転装置53では、GPS受信装置51からの位置情報を用いて速度制御、停止制御及び操舵制御を行い、転圧範囲内で振動ローラ5を移動させる。転圧範囲が設定された場合の振動ローラ5の移動経路は、アプリケーションプログラムに組み込まれている。振動ローラ5の移動中に、自動運転装置53では、ローラ5aの起振制御を行う。転圧範囲全体で転圧作業の終了条件を満たすと、自動運転装置53では、制御装置54に転圧作業が完了したことを示す転圧作業完了情報を制御装置54に出力する。
制御装置54は、振動ローラ5の統括的な制御を行う装置である。制御装置54は、例えば、マイクロコンピュータ及び各種メモリ等から構成される。制御装置54には、統括的な制御を行うためのアプリケーションプログラムが組み込まれている。制御装置54には、送受信装置50で受信した施工管理部2からの施工情報が入力される。制御装置54には、GPS受信装置51から振動ローラ5の位置情報が入力される。
制御装置54では、施工管理部2からの施工情報(転圧作業開始指令、転圧範囲(敷均し完了範囲))が入力すると、転圧範囲を自動運転装置53に出力する。また、制御装置54では、自動運転装置53から転圧作業完了情報を入力すると、送受信装置50に作業完了情報(転圧作業完了通知、転圧完了範囲)を出力する。転圧完了範囲は、通常、転圧範囲と同じ範囲である。
図5を参照して、建設機械の施工システム1による盛土工事の施工方法の流れを説明する。図5は、建設機械の施工システム1による施工方法の流れを示す図である。盛土工事の造成範囲Dが決められると、施工管理部2は、オペレータによる操作又はコンピュータ23による自動設定により、造成範囲Dを区画し、複数の区画範囲を設定する。この複数の区画範囲に対して、以下の動作が繰り返し行われる。但し、造成範囲Dが小さく、一回の運搬作業の土量で盛土工事をできる場合、造成範囲Dが区画されない。この場合、造成範囲Dに対して、以下の動作が1回だけ行われる。盛土工事中、オペレータは、造成範囲D内で行わるダンプトラック3、ブルドーザ4、振動ローラ5の各作業の状況を監視している。
まず、施工管理部2は、オペレータによる操作又はコンピュータ23による自動設定により、積込みエリアA内に積込み位置を設定するとともに造成範囲Dの区画範囲内(但し、造成範囲D内の場合もある)に荷卸し位置を設定する(S20)。そして、施工管理部2は、運搬作業の施工情報として運搬作業開始指令及び積込み位置と荷卸し位置をダンプトラック3に送信する(S21:運搬施工情報送信工程)。
ダンプトラック3は、運搬作業開始指令及び積込み位置と荷卸し位置を受信する(S30:運搬施工情報受信工程)。そして、ダンプトラック3は、自動運転で積込み位置まで移動する。積込み位置で土が積込まれると、ダンプトラック3は、自動運転で荷卸し位置まで移動し、荷卸し位置で土を下す(S31:運搬自動運転作業工程)。運搬作業が完了すると、ダンプトラック3は、運搬作業の作業完了情報として運搬作業完了通知及び荷卸し完了位置と土量を施工管理部2に送信する(S32:運搬作業完了情報送信工程)。なお、ダンプトラック3は、荷卸し完了位置を施工管理部2に送信しない場合もある。
施工管理部2は、運搬作業完了通知及び荷卸し完了位置と土量を受信する(S22:運搬作業完了情報受信工程)。施工管理部2は、オペレータによる操作又はコンピュータ23による自動設定により、ブルドーザ4の敷均し開始位置として荷卸し完了位置を設定する(S23)。そして、施工管理部2は、敷均し作業の施工情報として敷均し作業開始指令及び造成範囲D内の区画範囲(但し、造成範囲Dの場合もある)と荷卸し完了位置をブルドーザ4に送信する(S24:敷均し施工情報送信工程)。なお、施工管理部2は、敷均し作業の施工情報として敷均し作業開始指令と荷卸し完了位置だけをブルドーザ4に送信する場合もある。また、ダンプトラック3が荷卸し完了位置を送信しない場合、施工管理部2は、敷均し作業の施工情報として敷均し作業開始指令と造成範囲D内の区画範囲だけをブルドーザ4に送信する。この場合、ブルドーザ4では、盛土材検出装置43によりダンプトラック3が土を荷卸した位置を検出するようにしてもよい。また、施工管理部2は、敷均し作業の施工情報として敷均し作業開始指令だけをブルドーザ4に送信する場合もある。
ブルドーザ4は、敷均し作業開始指令及び区画範囲と荷卸し完了位置を受信する(S40:敷均し施工情報受信工程)。そして、ブルドーザ4は、荷卸し完了位置に下されている土を、自動運転で区画範囲において敷均し厚さになるように敷均す(S41:敷均し自動運転作業工程)。敷均し作業が完了すると、ブルドーザ4は、敷均し作業の作業完了情報として敷均し作業完了通知及び敷均し完了範囲(区画範囲に相当)を施工管理部2に送信する(S42:敷均し作業完了情報送信工程)。但し、区画範囲全体を敷均し厚さに敷均すことができなかった場合(敷均し作業が未完了の場合)、ブルドーザ4は、敷均し作業未完了通知及び敷均し完了範囲と敷均し未完了範囲を施工管理部2に送信する(S42:敷均し作業完了情報送信工程)。なお、施工管理部2が敷均し作業の施工情報として敷均し作業開始指令と荷卸し完了位置だけを送信する場合、ブルドーザ4は、荷卸し完了位置に下されている土を、自動運転で造成範囲D内の所定範囲を敷均し厚さになるように敷均す。また、施工管理部2が敷均し作業の施工情報として敷均し作業開始指令と造成範囲D内の区画範囲だけを送信する場合、ブルドーザ4は、盛土材検出装置43によりダンプトラック3が土を荷卸した位置を検出し、自動運転で区画範囲において敷均し厚さになるように敷均す。また、施工管理部2が敷均し作業の施工情報として敷均し作業開始指令だけを送信する場合でも、ブルドーザ4は、自律的に、盛土材検出装置43によりダンプトラック3が土を荷卸した位置を検出し、自動運転で造成範囲D内の所定範囲を敷均し厚さになるように敷均すことができる。
施工管理部2は、敷均し作業完了通知及び敷均し完了範囲を受信する(S25:敷均し作業完了情報受信工程)。あるいは、施工管理部2は、敷均し作業未完了通知及び敷均し完了範囲と敷均し未完了範囲を受信する(S25:敷均し作業完了情報受信工程)。施工管理部2は、オペレータによる操作又はコンピュータ23による自動設定により、振動ローラ5の転圧範囲として敷均し完了範囲を設定する(S26)。そして、施工管理部2は、転圧作業の施工情報として転圧作業開始指令及び敷均し完了範囲を振動ローラ5に送信する(S27:転圧施工情報送信工程)。
振動ローラ5は、転圧作業開始指令及び敷均し完了範囲を受信する(S50:転圧施工情報受信工程)。そして、振動ローラ5は、自動運転で敷均し完了範囲を転圧し、締固める(S51:転圧自動運転作業工程)。転圧作業が完了すると、振動ローラ5は、転圧作業の作業完了情報として転圧作業完了通知及び転圧完了範囲を施工管理部2に送信する(S52)。
施工管理部2は、転圧作業完了通知及び転圧完了範囲を受信する(S28)。施工管理部2は、造成範囲D内の全ての区画範囲について全ての作業が完了した場合、造成範囲Dの盛土工事が完了と判断する。但し、敷均し未完了範囲がある場合、敷均し未完了範囲に対して上記の動作が行われる。この場合、施工管理部2は、敷均し未完了範囲についても全ての作業が完了した場合、造成範囲Dの盛土工事が完了と判断する。
なお、S21、S24、S27の各送信(すなわち、各作業の開始タイミング)は、作業状況を監視しているオペレータによる操作に応じたタイミングで行われてもよいしあるいはコンピュータ23による自動化されたタイミングで行われてもよい。特に、転圧作業については、区画範囲全体の敷均しが完了してから作業を開始させてもよいしあるいは区画範囲の一部の領域の敷均しが終わると作業を開始させてもよい。一部の領域の敷均しが完了すると転圧作業を開始させる場合、ブルドーザ4は、敷均し作業中に、区画範囲内の所定の領域の敷均しが終了する毎にS42の送信を行うようにする。この送信では、敷均し一部終了通知と敷均しが終了した領域の範囲を送信する。この送信毎に、施工管理部2ではS25、S26、S27の各動作を行い、振動ローラ5ではS50、S51、S52の各動作を行う。
この建設機械の施工システム1は、施工管理部2から複数の建設機械3,4,5に作業開始指令及び施工位置情報をそれぞれ送信することにより、各建設機械3,4,5に施工位置情報を用いて自動運転でそれぞれ作業させる。これにより、建設機械の施工システム1は、施工管理部2による管理下で複数の建設機械3,4,5を自動運転で作業させるができ、一人のオペレータ(少人数)による高効率な施工が可能となる。
建設機械の施工システム1は、前作業の作業完了位置情報からその次の作業の施工位置情報を設定することにより、前作業が完了した位置に応じて次の作業を行う建設機械に作業をさせることができ、同じ造成範囲Dで複数の建設機械3,4,5を順次作業させることができる。
なお、建設就業者数の減少及び高齢化等により、建設作業の熟練作業員の激減が予想される。そのため、少人数で多くの建設作業を効率良くかつ高品質に行うためには、建設現場での機械化率の増加と自動化の推進が不可欠である。そこで、この建設機械の施工システム1と同様のシステムを様々な建設現場に適用し、熟練作業員をオペレータとすることにより、小人数による建設現場での機械化率の増加と自動化の推進を実現できる。特に、オペレータの操作に応じて施工管理部2から各建設機械に適切な施工情報を送信できるので、オペレータが持つ高いスキルを各建設機械の建設作業に反映させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、上記実施形態ではダンプトラック(運搬機械)、ブルドーザ(敷均し機械)、振動ローラ(転圧機械)が無人の自動運転であり、このダンプトラック、ブルドーザ、振動ローラが施工管理部により管理される構成としたが、ダンプトラックとブルドーザが無人の自動運転であり、振動ローラが人による手動運転であり、ダンプトラックとブルドーザのみが施工管理部により管理される構成としてもよい。この場合も、施工管理部によりダンプトラックとブルドーザを自動運転で作業させるができる。特に、この場合、振動ローラが有人運転なので、ブルドーザによる敷均しが完了した箇所を順次締固めていくことができる。また、ブルドーザと振動ローラが無人の自動運転であり、ダンプトラックが人による手動運転であり、ブルドーザと振動ローラが施工管理部により管理される構成としてもよい。この場合も、施工管理部によりブルドーザと振動ローラを自動運転で作業させるができる。特に、この場合、ダンプトラックが有人運転なので、公道での走行も可能である。
また、上記実施形態では複数回の運搬作業による土量が必要な場合には造成範囲内を区画し、区画範囲毎に各作業を行ったが、造成範囲内を区画しない場合にも適用できる。造成範囲内を区画しない場合、造成範囲内の未作業領域において荷卸し位置を適宜設定し、その荷卸し位置に荷卸された土量に応じて所定の範囲を敷均し、その敷均し範囲内を締固める。この一連の各作業を造成範囲全体が終了するまで繰り返す。この場合も、ダンプトラック、ブルドーザ、振動ローラに各作業の作業開始指令に付加して施工位置情報を順次送信することにより、施工管理部によりダンプトラック、ブルドーザ及び振動ローラを自動運転で作業させるができる。造成範囲内に区画範囲が設定されていないので、上記実施形態のように敷均し作業において敷均し未完了となるような場合はない。
また、上記実施形態では材料として土を用いる盛土工事に適用したが、コンクリート等の他の材料を用いる工事にも適用可能である。また、上記実施形態では運搬機械としてダンプトラックを用いたが、トラックミキサ等の他の運搬機械も適用可能である。また、上記実施形態では敷均し機械としてブルドーザを用いたが、バックホー等の他の敷均し機械も適用可能である。また、上記実施形態では転圧機械として振動ローラを用いたが、ロードローラ、タイヤローラ等の他の転圧機械も適用可能である。
また、上記実施形態では施工管理部と各建設機械との間で無線通信を行う構成としたが、建設機械間でも無線通信を行い、建設機械間で情報を送受信する構成としてもよい。例えば、建設機械間で現在位置情報を共有することにより、同じ造成範囲D内で作業を行っている各建設機械が他の建設機械を避けてスムーズに移動することができる。
上記したように転圧作業は時間を要するので、同じ転圧範囲を複数の振動ローラ5で転圧するようにしてもよい。この場合、各振動ローラ5が転圧した回数を積算し、その積算した回数が転圧回数に達した場合に転圧作業を終了する。そのために、各振動ローラ5が1回の転圧が終了する毎にその情報を施工管理部2に送信し、施工管理部2で各振動ローラ5が転圧した回数を積算し、その積算した回数が転圧回数に達した否かを判定するようにする。また、複数の振動ローラ5間で無線通信が可能な場合、振動ローラ5間で転圧した回数を共有し、親機となる振動ローラ5において各振動ローラ5が転圧した回数を積算し、その積算した回数が転圧回数に達した否かを判定するようにする。あるいは、転圧範囲を複数の領域に分割し、分割した各領域を複数の振動ローラ5でそれぞれ転圧するようにしてもよい。この場合、施工管理部2では、転圧範囲を分割した各領域と転圧作業開始指令を各振動ローラ5にそれぞれ送信するようにする。このように複数の振動ローラ5で転圧作業を行うことにより、転圧作業全体に要する時間を短縮できる。