JP6871987B2 - 多機能抽出装置並びにこれを用いた抽出方法 - Google Patents

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本発明はコーヒーや茶等の飲料、朝鮮人参やその他生薬原料から薬用成分を抽出した健康飲料や医薬飲料等を、工業レベルで製造するのに適した多機能抽出装置に関するものであって、抽出器内で擬似的タッピング状態を得ることができるようにした多機能抽出装置並びにこれを用いた抽出方法に係るものである。
コーヒー、紅茶等の缶飲料は、消費者の嗜好の多様化に応えて、種々のバリエーションが市販されており、例えばコーヒー飲料にあっては、比較的薄味のものから濃厚な味覚のものまで、多種にわたって商品展開がなされている。ところで比較的濃厚なコーヒーとして知られるエスプレッソコーヒーの場合、本来高速抽出されるべきものであるが、このような高速抽出は、缶コーヒー等を生産するための工業的な大量生産になじみにくく、このため現状で市販されているものはエスプレッソコーヒーにできるだけ味覚や食感を近似させるべく、従来の抽出手法の範囲で工夫されたものに過ぎなかった。
このような状況から、本出願人は新規な手法による多機能抽出システムを案出し、既に特許第4034018号として開示している。
この手法は基本的には抽出にあたり抽出器内を高圧雰囲気とすると共に、抽出液の流れを下方から上方に向かうようにするものであり、短時間でありながらも入念な抽出を可能としたものである。
ところでこのような手法であっても、濃厚抽出の典型例であるエスプレッソコーヒー等の抽出にあたっては、材料たるコーヒー粉を抽出器内に投入してから、これを叩き固めるタッピング作業を必要としている。このタッピングにより、材料は密に固められ、処理液の通過、即ち抽出に抵抗を与えて濃厚な抽出を可能としている。
しかしながらこのようなタッピング作業自体、作業者の人力により行われるものであるから、タッピングを受けた材料の密度が常に安定するとは限らない。その上この作業自体労力を要する上、作業時間も一定時間必要とし、いわゆる段取り時間の短縮にも一定の限界があった。
特許第4034018号公報
本発明はこのような背景を考慮してなされたものであって、抽出工程において、処理液の圧力を高めることによって擬似的タッピング状態を得ることができるのではないかとの独創的着想の下、これを実現することのできる多機能抽出装置と、これを用いた抽出方法を案出することを技術課題としたものである。
すなわち請求項1記載の多機能抽出装置は、抽出器の前段に給液タンクを給液配管を介して接続するとともに、後段に取出配管を介して冷却器を接続して成る多機能抽出装置であって、前記抽出器は、密閉自在の容器本体の内部に、材料受入部と、この材料受入部の上下に位置する通液部とを仕切フィルタによって区画して成り、更に前記取出配管には、排圧調整弁を設け、抽出にあたっては、処理液を容器本体の下方から加圧状態で供給した後、上方から材料のエキス分を抽出した状態の処理液として取り出せるようにするとともに、取り出した処理液を、この加圧密閉状態のまま冷却器に送り、加圧密閉状態のまま冷却するものであり、濃厚抽出を行う材料が用いられた場合には、前記排圧調整弁を絞り込み、抽出器内の処理液の圧力を高め、擬似的タッピング状態を得るようにしたことを特徴として成るものである。
また請求項2記載の多機能抽出装置は、前記請求項1記載の要件に加え、前記排圧調整弁は、抽出器と冷却器との間における取出配管途中に設けられることを特徴として成るものである。
更にまた請求項3記載の多機能抽出装置は、前記請求項1または2いずれか一項記載の要件に加え、前記仕切フィルタは、作用面が容器本体の胴断面にほぼ等しくなるように形成され、且つその構成は、環状のリムに対して簀子状に形成されたサポート杆の材料受入部側にフィルタエレメントを張設した構成であって、更にこの簀子状のサポート杆側から支持枠によって支承するものであり、また、前記フィルタエレメントは、楔断面の金属線材が、楔状先端を通液部側に向けるように多数並列配置されて成ることを特徴として成るものである。
更にまた請求項4記載の多機能抽出装置は、前記請求項1、2または3いずれか一項記載の要件に加え、前記抽出器は、材料受入部を形成する胴部と、この胴部に対し上下に設けられ、内部を通液部とした蓋部を有することを特徴として成るものである。
更にまた請求項5記載の多機能抽出装置は、前記請求項1、2、3または4いずれか一項記載の要件に加え、前記容器本体には給気配管が並設されていることを特徴として成るものである。
更にまた請求項6記載の多機能抽出装置は、前記請求項1、2、3、4または5いずれか一項記載の要件に加え、前記容器本体には処理液の流れ方向を上方から下方へ向かわせる反転配管が並設されていることを特徴として成るものである。
更にまた請求項7記載の多機能抽出装置は、前記請求項1、2、3、4、5または6いずれか一項記載の要件に加え、前記容器本体には、加振装置が付設されていることを特徴として成るものである。
更にまた請求項8記載の多機能抽出装置は、前記請求項1、2、3、4、5、6または7いずれか一項記載の要件に加え、前記抽出にあたっては、抽出に先立ち容器本体内に蒸気または熱水のいずれか一方または双方を供給し、材料を活性化させる予備処理を行うことを特徴として成るものである。
更にまた請求項9記載の多機能抽出装置は、前記請求項1、2、3、4、5、6、7または8いずれか一項記載の要件に加え、前記抽出にあたっては、処理液が材料と接触している際におけるすべての時間または一部の時間にわたって加振がされることを特徴として成るものである。
更にまた請求項10記載の多機能抽出装置を用いた抽出方法は、前記請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9いずれか一項記載の多機能抽出装置を用いて材料からエキス分を抽出するに当り、濃厚抽出を行う材料が用いられた場合には、前記圧力調整弁を絞り込み、抽出器内の処理液の圧力を高め、擬似的タッピング状態を得るようにしたことを特徴として成るものである。
まず請求項1記載の発明によれば、抽出器内に受入れられた材料に直接的なタッピングを行わなくとも、液圧を高めることによって擬似的タッピング状態が得られ、効率的な濃厚抽出ができる。
また請求項2記載の発明によれば、耐圧能力に一定の限界のある冷却器の前段に排圧調整弁を配置したから、抽出器内の液圧を充分に高めることができる。
また請求項3記載の発明によれば、まず材料受入部における仕切フィルタを充分に大きな作用面積としたので、短時間の抽出で処理液が材料を通過し、迅速な抽出が行い得る。
また、仕切フィルタにおけるフィルタエレメントが楔断面の金属線であるから、抽出時における処理液の通過が円滑で且つその材料あるいは処理液等の通過に伴う機械的負荷に充分対応し得るものである。
また、仕切フィルタは更に支持枠によっても支持される状態となるから、稼動時における機械的負荷等に耐えることができる。
また請求項4記載の発明によれば、蓋部の存在により材料の投入等の稼動にあたっての段取り作業あるいは運転時以外における清掃等のメンテナンス作業が容易に行い得る。
また請求項5記載の発明によれば、蒸気等供給できる配管が存在するため、例えば冷水等で抽出を行う場合、抽出速度が鈍りがちな材料にあらかじめ蒸気等を供給して加熱し、これらを活性化させておくような処理が可能であり、更にまた内部の加熱殺菌等も行い得る。
また請求項6記載の発明によれば、処理液を上方から下方に供給した方が好ましいような製品の場合であっても使用することが可能である。
また請求項7記載の発明によれば、抽出時に容器本体に振動を与えることができ、効果的な抽出を更に助ける。
また請求項8記載の発明によれば、冷水抽出の場合であっても材料が活性化処理されているので、効率的な抽出が図られる。
また請求項9記載の発明によれば、抽出時において材料及び処理液が加振され、効果的な抽出を更に助ける。
また請求項10記載の発明によれば、抽出器内に受入れられた材料に直接的なタッピングを行わなくとも、液圧を高めることによって擬似的タッピング状態が得られ、効率的な濃厚抽出ができる。
本発明に係る多機能抽出器を一部破断して示す斜視図、並びに仕切フィルタ部を示す拡大図である。 本発明に係る多機能抽出器を用いた抽出システムを示す説明図である。 本発明に係る多機能抽出器を示す縦断面図、並びにフィルタエレメント部を示す拡大図である。 本発明に係る多機能抽出器を示す平面図である。
本発明を実施するための形態は、以下の実施例に述べるものをその一つとするとともに、更にその技術的思想内において改良し得る種々の手法を含むものである。
以下本発明を図示の実施の形態に基づいて具体的に説明する。符号Aは本発明に係る多機能抽出装置であって、このものは図1及び図2に示すように抽出器1に対し、給液タンク2と冷却器3と排気ピット4とを前後にそれぞれの接続用の配管を介して接続させて成るものである。まず多機能抽出器1について具体的に説明する。このものは容器本体10を主要部材とするものであり、飲料製造という高度に衛生管理が要求される分野であることに因み、容器本体10並びに関連部材の多くはステンレス材料が用いられる。この容器本体10は適宜の架台Fに支持されており、容器本体10は円胴状の胴部11と、その上下に設けられる蓋部12とに分割されるものであり、この蓋部12を区別するときは下蓋部12Aと上蓋部12Bとして示す。これら蓋部12は下蓋部12A、上蓋部12B共に開閉機構13により胴部11に対し開閉自在に取り付けられている。具体的構成はピボット状のヒンジ13Aに対し側面から見てベルクランク状のアーム13Bを回転自在に支持させ、このアーム13Bの一端に前記蓋部12を固定するとともに、他端にシフトシリンダ13Cの摺動子を接続させている。
なおこのシフトシリンダ13Cは一例として電動タイプのものが用いられるものであり、シリンダ駆動モータ13Dにより駆動される。また蓋部12の閉鎖状態は前記シフトシリンダ13Cの伸長時において蓋部12が胴部11に対し密着して得られるが、その状態を更にボルト状のクランプ13Eにより締め合わせその固定を図るようにしている。もちろんクランプ13Eはこのような手法のほか、トグルクランプを用いたバックル状のもの、あるいはバイヨネットクラッチ状の自動ロック可能な機構等、適宜高圧容器の蓋部閉鎖機構に用いられる機構をとり入れることが可能である。
更に容器本体10は処理液Lによって材料Wのエキス分を抽出するにあたって、その効果をより高めるために全体を振動させることもできる加振装置14を具える。すなわち容器本体10における胴部11にはモータと重心を偏心させた回転体を一体とさせた加振装置14を取り付け、モータを回転させることにより一定周波数の機械的振動が発生するようにしているものである。
このような容器本体10はその内部を中空とするものであり、この内部は前記下蓋部12Aの内部を下方の通液部10Aとし、また上蓋部12Bの内部を上方の通液部10Bとし、その中間の胴部11の内側を材料受入部10Cとする。そして材料受入部10Cとその上下双方の通液部10A、10Bの間には仕切フィルタ15が設けられている。この仕切フィルタ15は全体として円形の平板状部材であり、図1に示すように円環状のリム15Aに対し一定間隔毎に帯状金属材から成るサポート杆15Bを粗い簀子状に形成し、更にサポート杆15Bの材料受入部10C側にフィルタエレメント15Cを張設したものである。このフィルタエレメント15Cは、要は材料Wの通過を許さない程度の濾過作用ができればよいものであるが、請求項3で定義したように楔断面の金属線材を多数密に簀子状に配設したものとする。
なおフィルタエレメント15Cの個々の金属線材が断面楔状であることに因み、処理液Lの通過方向に見て通過開始端と通過終了端の通過幅Dがそれぞれ異なるが、その配設態様は図3に示すように下方の通液部10Aと材料を受け入れる材料受入部10Cとの間に設ける仕切フィルタ15にあっては、下方を幅広とし、上方の通液部10Bと材料受入部10Cとの境界部の仕切フィルタ15については、逆に材料受入部10C側を狭く、上方の通液部10B側を広くするような配設態様とするのである。要はフィルタエレメント15Cの楔状先端は、いずれも通液部10A、10B側に向けるように設定する。
このような仕切フィルタ15は更に容器本体10側に設ける支持枠16によって支承される。具体的には格子状の支持枠16を容器本体10における上下の蓋部12に設けるようにする。更に処理液Lの供給、取り出しのために前記下蓋部12Aには一例としてそのほぼ中央に短寸の管状の給液口17を形成し、一方、上蓋部12Bには同様に短寸の管状の取出口18を設ける。また更に図2に骨格的に示すように下蓋部12Aには給気口、例えば加熱した蒸気や、処理液Lの上方からの排出用の加圧空気(あるいは酸化を嫌う場合は窒素ガス等)を供給できる給気口19を形成する。
このような多機能抽出器1に対し、更にその上流側に給液タンク2が接続されるとともに、下流側に冷却器3と、排気ピット4とが接続される。以下これらの配管構造について説明すると、給液配管20は、前記給液タンク2から適宜ポンプP等を介して給液口17に接続され、更に出口側には取出配管21を設けてこれを前記冷却器3に至らせる。また容器本体10における前記給気口19に対しては給気配管22が設けられるものであり、この給気配管22は適宜エアフィルタ等をその途中に具えるとともに、必要に応じてこの配管途中を分岐させ、取出配管21に合流させる。なおこの給気配管22によって、例えば冷水等で抽出を行う場合、抽出速度が鈍りがちな材料Wにあらかじめ蒸気等を供給して加熱し、活性化させる予備処理や抽出器内部の加熱殺菌処理等が行える。
更にこの実施の形態では反転配管23を有する。すなわちこの装置は通常下方から処理液Lを供給するのであるが、それを反転して上方から供給できるようにするための配管であり、図2の骨格図において二点鎖線で示す経路である。もちろんそれらはその途中で切替弁24を具え、経路の選択が図られるのは言うまでもない。
更に冷却器3は冷水を通す冷媒コイル30を冷却器3の冷却液31内を通過させ、冷却液31を冷却するものであり、この冷却器3内を製品を移送する取出配管21が通過することにより、その冷却が図られるのである。これによって理解されるように材料Wのエキス分を抽出して製品となった処理液Lは密閉状態のまま冷却がなされるのである。
そしてこの冷却器3の前段における取出配管21には、その途中から分岐するように圧力開放配管25が接続されている。この圧力開放配管25は、その途中に圧力開放弁26を具えると共に、その端部は排気ピット4至り、その後は適宜のダクトにより内部気体が適宜の環境保全がされた状態で外気へ排出されるように構成されている。
更に前記取出配管21は、冷却器3の前段に排圧調整弁35を具える。この排圧調整弁35は、取出配管21の管流路を絞ることができるものであって、結果的に抽出器1内に背圧を加えることができるように作用する。
本発明の多機能抽抽出システムは以上述べたような構成を有するものであり、次のような作動の下にその抽出がなされる。
(1)材料の準備
材料Wとしては、以下コーヒーのエスプレッソを中心に述べるが、このようなコーヒー以外にも紅茶、緑茶、ウーロン茶、更にはドクダミ茶、その他エキスを抽出して飲用として適する素材すべてが適用可能である。またそれらの一般的な飲料のほか、薬用の飲料として朝鮮人参等を材料Wとして適用できる。抽出にあたっては、まずこのような材料Wを容器本体10における材料受入部10Cに所定量投入する。もちろんこの際は胴部11に対し、下蓋部12Aを閉鎖した状態にし、且つその間に下方の仕切フィルタ15を挟み込んで保持したような状態とし、一方、上蓋部12Bを開放した状態としてこの作業を行う。
なお材料Wを材料受入部10Cに充填するにあたっては、材料エキス分を有効に抽出する濃厚抽出を行うべく、材料Wを適度に加圧し、密に充填することが好ましい。因みにその加圧手段としては、例えば加振装置14によって胴部11を振動させる形態や、ランマー等によって材料Wを適度に押し固めるタッピングを行う形態が採り得るし、あるいは特に器具等を使わずに、作業者が直接手で押さえるようにしても構わない。またタッピングを行うタイミングも所定量すべてを一度に投入した後、最後に加圧する形態はもとより、投入を何回かに分散し、投入と加圧とを繰り返し行う形態等が採り得る。
このような手法を採るに当り、既に述べた排圧調整弁35を操作し、取出配管21の流路を絞り込むことによって抽出器内の液圧を上げ、前記タッピング処理を擬似的に行うことができ、通常のタッピングによる効果と同様の効果を得ることができる。
この手法について本明細書では「擬似的タッピング」と定義するものであって、具体的手法については後述の「特殊な抽出」の項で説明する。
(2)処理液の注入
このような作業が終了した後、上蓋部12Bを上方の仕切フィルタ15を挟み込むような状態に閉鎖する。このような状態で給液タンク2からの処理液Lを給液配管20を通って給液口17から容器本体10内に注入する。なおこの処理液L自体は当然コーヒー等を抽出させる場合には熱水であるが、前記生薬等のエキス分を抽出する場合には例えばアルコール等を用いることも可能である。なおこのエスプレッソコーヒー等を抽出する場合には、この処理液Lは加圧した状態とすることが好ましい。その圧力はほぼ20kg/cm2 前後を上限とした圧力とすることが好ましい。もちろん処理液Lを容器本体10に対し下方から供給し、上方から抜き出すわけであるから、そのような動きが達成される相応の圧力を最低限有することは言うまでもない。
(3−i)抽出
このようにして処理液Lが容器本体10に供給されてくると、まず下方の通液部10Aを満たした後、液面が更に上昇して処理液Lはフィルタエレメント15Cを通って材料Wと接し、その材料Wのエキスを充分抽出しながら上方の通液部10Bを満たし、更にここから逸流する処理液Lは取出口18から取出配管21に取り出されてゆくのである。この抽出作用を行う際、前記請求項7または9において定義したように加振装置14を作動させ、材料Wと処理液Lとに振動を与え、抽出をより効果的に行わせることが好ましい。もちろんこの加振にあたっては請求項9の記載からも理解されるように、加振手段は必ずしも請求項7で定義したような容器本体10に取り付けた加振装置14であることを要しない。例えば加振棒を容器本体10内、特に材料受入部10C等に設け、材料W、処理液Lに直接接触しながら加振するようなものであってもよい。
因みにこの抽出は処理液Lを連続的に送り込みながら順次取出口18から取り出す連続的な抽出のほか、容器本体10内を処理液Lで満たした後、一旦注液を止め、抽出を促したのち、これを排出するような使用方法がとり得る。もちろんこの際、最後の処理液Lを上方から抜くわけであるから、前記給気口19から加圧用の空気あるいは必要に応じて窒素ガスを供給して容器本体10の内部圧力を高め、処理液Lの抜き取りを完了するのである。もちろん加圧用の空気等は給気口19から供給することを限定されず、例えば給液口17に空気供給管路を切替自在に接続させておいて、ここから供給するようにしてもよい。
(3−ii) 特殊な抽出
更に本発明では、取出配管21に設けた排圧調整弁35を絞り込むことによって、エスプレッソコーヒー等を抽出する際に、別途タッピングを行わなくとも擬似的にタッピングを行った状態とすることができる。もちろんこの場合、コーヒー粉の材料Wは、物理的なタッピングは行っていないので、抽出速度等が極端に遅くなってしまうことがなく、効果的な抽出ができる。
具体的には抽出器1のラボ装置を用い、未タッピングのコーヒー粉を材料Wとして投入し、一方は通常のタッピングを行い、他方はタッピングを行わない状態で抽出状態の比較を行った。
その結果、抽出器1内で本発明の擬似的タッピングによる抽出、即ち排圧調整弁35を絞った状態での抽出は、タッピングを行った従来手法と比べ、同様の抽出が行われていることが確認された。即ち抽出安定温度に到達する時間についても同等であるし、払い出し流量(抽出後の取出流量)も同等である。
一方で抽出器1内の圧力は、現行手法より低くした場合でも同等の抽出が可能であることが確認された。
結果的に本発明の擬似的タッピングでは、製造工程全体で俯瞰すると次のような効果が得られる。
先ず濃厚抽出を行う場合、物理的な現行(従来)手法のタッピングは不要であり、単に多機能抽出装置Aの中で圧力や送液流量をコントロールするだけで目的とする抽出が可能となる。このことは人力、材料Wの処理態様等の二次的な関連要素が少なくなることであり、抽出の安定化が図られる。
またコーヒー豆を例にとると、この場合コーヒー豆の投入量について、タッピングを行った場合、抽出器1の実機で重量を検証することが不可欠である。一方、タッピングを行わない本発明の擬似的タッピングの場合には、抽出器1内の容積分しか投入できないため、粉砕したコーヒー豆のかさ密度等で投入量は事前にある程度、予測乃至は目安を立てられる。
因みに従来のタッピングを行う場合、コーヒー粉の性状により実投入量に差が出てしまう。
このような効果が得られる結果、抽出にあたってのいわゆる段取り作業に要する人力、労力、時間等を充分省力化することが可能となった。
(4)フィルタエレメントの作用
このような抽出にあたり、フィルタエレメント15Cは楔状断面の部材であり、且つサポート杆15Bとの組み合わせによって充分な剛性を発揮し、処理液L等の材料Wあるいは処理液L等の圧力等に充分耐え得るものである。そして特に処理液Lの流れ方向に見て、材料受入部10Cと上方の通液部10Bとの間では処理液Lの上流側においてフィルタエレメント15Cの通過幅Dが狭く、下流側(通液部10B側)が広くなっているから、フィルタエレメント15Cにおいて材料Wの目詰まりが生じにくくなっているのである。
もちろんこの目詰まりが回避しやすい現象は処理液Lが通常の重力方向と逆に下方から上方に向かっていることも一つの要因である。また仕切フィルタ15に対しては比較的過大な機械的負荷が生じない状態で抽出がされている。すなわち処理液Lが下方から上方に向かっていることにより材料Wの荷重等がむしろ減殺され、仕切フィルタ15にそのまま重量がかからないためである。因みに処理液Lが上方から下方に向かった場合、材料Wの重量が下方に向かい且つ処理液Lが上方に供給されて、更にそこでの抽出がされると、材料W自体が流路抵抗となって処理液Lの流動抵抗と材料Wの重量とがすべて仕切フィルタ15にかかってしまうのである。このような好ましくない状況は、処理液Lの自然流下の状況でも生ずるものであるから、ましてや抽出効率を上げるべく加圧状態に処理液Lを供給した場合より顕著なものとなってしまうのである。
(5)冷却
このようにして抽出された材料Wのエキスを抽出したほぼ製品となった処理液Lは冷却器3を通り、その管路が冷却液31中に浸漬されていることにより冷却液31との間で熱交換を行い、例えばエスプレッソコーヒーの場合、ほぼ110℃の温度をほぼ20℃に低下させるようにしているのである。
(6)冷水抽出の方法
このような基本的な操作により処理液Lによる材料Wのエキス分の抽出が行われるわけであるが、例えば処理液Lが冷水の場合、例えば緑茶等であってもエキス分の抽出が充分に行われない場合が生ずる。この場合、例えば前記給気口19から加熱した蒸気またはシャワー状の熱水を供給して例えば茶葉のような材料Wの場合、材料の茶葉を開かせるようにして抽出がより活性化できるような状態に予備処理を行う。そしてその後冷水の処理液Lを通過させて抽出を行う。
(7)抽出終了後の保全作業
更に本発明の特徴として、抽出終了後の機材の保守、点検、材料取出等の作業を、安全に且つ周辺環境を汚損することなく行うことができる。
即ち抽出の工程終了後、例えば茶等において顕著であるが、材料が密に積層して抽出器1の内部圧力が残存してしまいがちの場合、先ず圧力開放配管25に設けられている圧力開放弁26を開放する。この圧力開放弁26は、実質的に抽出器1の内部と連通しているから、抽出器1内の圧力が排気ピット4に開放される。この結果、次に行う上蓋部12Bを開けての保守作業に際して、抽出器1の内部残留圧力に起因する材料W等の飛散が防止される。
因みに圧力開放弁26は、圧力開放配管25に設けたものであるが、実質的に抽出器1内部と連通していればよいから、例えば上蓋部12Bに直接設けるような形態を採ることもできる。
1 抽出器
2 給液タンク
3 冷却器
4 排気ピット
10 容器本体
10A 通液部(下方の)
10B 通液部(上方の)
10C 材料受入部
11 胴部
12 蓋部
12A 下蓋部
12B 上蓋部
13 開閉機構
13A ヒンジ
13B アーム
13C シフトシリンダ
13D シリンダ駆動モータ
13E クランプ
14 加振装置
15 仕切フィルタ
15A リム
15B サポート杆
15C フィルタエレメント
16 支持枠
17 給液口
18 取出口
19 給気口
20 給液配管
21 取出配管
22 給気配管
23 反転配管
24 切替弁
25 圧力開放配管
26 圧力開放弁
30 冷媒コイル
31 冷却液
35 排圧調整弁
A 多機能抽出装置
D 通過幅
F 架台
L 処理液
P ポンプ
W 材料

Claims (10)

  1. 抽出器の前段に給液タンクを給液配管を介して接続するとともに、後段に取出配管を介して冷却器を接続して成る多機能抽出装置であって、
    前記抽出器は、密閉自在の容器本体の内部に、材料受入部と、この材料受入部の上下に位置する通液部とを仕切フィルタによって区画して成り、更に前記取出配管には、排圧調整弁を設け
    、抽出にあたっては、処理液を容器本体の下方から加圧状態で供給した後、上方から材料のエキス分を抽出した状態の処理液として取り出せるようにするとともに、取り出した処理液を、この加圧密閉状態のまま冷却器に送り、加圧密閉状態のまま冷却するものであり、濃厚抽出を行う材料が用いられた場合には、前記排圧調整弁を絞り込み、抽出器内の処理液の圧力を高め、擬似的タッピング状態を得るようにしたことを特徴とする多機能抽出装置。
  2. 前記排圧調整弁は、抽出器と冷却器との間における取出配管途中に設けられることを特徴とする請求項1記載の多機能抽出装置。
  3. 前記仕切フィルタは、作用面が容器本体の胴断面にほぼ等しくなるように形成され、且つその構成は、環状のリムに対して簀子状に形成されたサポート杆の材料受入部側にフィルタエレメントを張設した構成であって、更にこの簀子状のサポート杆側から支持枠によって支承するものであり、
    また、前記フィルタエレメントは、楔断面の金属線材が、楔状先端を通液部側に向けるように多数並列配置されて成ることを特徴とする請求項1または2いずれか一項記載の多機能抽出装置。
  4. 前記抽出器は、材料受入部を形成する胴部と、
    この胴部に対し上下に設けられ、内部を通液部とした蓋部を有することを特徴とする請求項1、2または3いずれか一項記載の多機能抽出装置。
  5. 前記容器本体には給気配管が並設されていることを特徴とする請求項1、2、3または4いずれか一項記載の多機能抽出装置。
  6. 前記容器本体には処理液の流れ方向を上方から下方へ向かわせる反転配管が並設されていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5いずれか一項記載の多機能抽出装置。
  7. 前記容器本体には、加振装置が付設されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6いずれか一項記載の多機能抽出装置。
  8. 前記抽出にあたっては、抽出に先立ち容器本体内に蒸気または熱水のいずれか一方または双方を供給し、材料を活性化させる予備処理を行うことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7いずれか一項記載の多機能抽出装置。
  9. 前記抽出にあたっては、処理液が材料と接触している際におけるすべての時間または一部の時間にわたって加振がされることを特徴とする請求項7または8いずれか一項記載の多機能抽出装置。
  10. 前記請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9いずれか一項記載の多機能抽出装置を用いて材料からエキス分を抽出するに当り、濃厚抽出を行う材料が用いられた場合には、前記圧力調整弁を絞り込み、抽出器内の処理液の圧力を高め、擬似的タッピング状態を得るようにしたことを特徴とする多機能抽出装置を用いた抽出方法。
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