以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る位置情報提供装置を含む通信システムの構成を説明するブロック図である。通信システム1は、移動機10、SLP(SUPL Location Platform)20、GMLC(Gateway Mobile Location Centre)30、GNSS(Global Navigation Satellite System)40、WiFi装置50、及び、基地局装置60を含んで構成される。この通信システム1は、移動機10の存在する場所を示す位置情報を取得するためのシステムである。移動機10に係る位置情報は、GNSS40による衛星との通信を利用した測位方法(GNSS測位)、無線LANのアクセスポイントであるWiFi装置50からの信号を利用した測位方法(WiFi測位)、及び、移動機10が接続する基地局装置60の位置情報及び電波情報を利用した測位方法(基地局測位)を利用して、取得することができる。本実施形態では、移動機10に係る位置情報を上記の3つの測位方法の何れかにより取得する。3つの測位方法により得られる測位結果には、位置を示す情報(緯度及び経度)と誤差を示す情報(誤差半径)とが含まれる。誤差を示す情報とは、位置を示す情報により特定される位置と移動機10が真に存在している位置との誤差に関する情報であり、測位方法や測位条件によって変化する。
移動機10は、例えば、スマートフォン及びタブレット端末等の通信機能を有し、ユーザにより使用される端末装置である。
SLP20は、SUPL(Secure User Plane Location)を用いたGNSS測位において、移動機10に対して送信するGNSS測位のためのアシストデータを格納し、移動機10からの要求に基づいて、アシストデータを移動機10に対して送信する機能を有する。
GNSSを用いた測位方法の場合には、所謂アシストGNSS(A−GNSS)測位方式が用いられる。GNSS測位とは、上空の4つ以上のGNSS衛星からの信号を受信することにより、GNSS衛星の位置情報に基づいて移動機10の位置(具体的には、緯度、経度及び高度)を割り出す方法であるが、これを行うためには移動機10によりGNSS衛星を捕捉する必要があり、この処理に一定時間を要する。このため、アシストGNSS測位では、GNSS衛星の位置及び移動機10の概位置(初期位置)情報等の情報(アシストデータ)を移動機10に対して提供することにより、移動機10によるGNSS衛星の捕捉に係る処理及び測位時間の短縮が図られている。
なお、本実施形態で用いられるSUPLとは、OMA(Open Mobile Alliance)で規定されているものであり、移動機10と通信網との間でアシストデータを送信するための通信ベアラとしてU-Plane(User Plane)を利用したアシストGNSS測位方式のことをいう。
さらに、本実施形態においては、SLP20は、WiFi測位による測位結果と、基地局測位による測位結果とを取得し、これらの測位結果から移動機10に係る位置情報として移動機10に提供する測位結果を特定する処理を行う位置情報特定装置としての機能を有する。この点についての詳細は後述する。
GMLC30は、基地局を利用した測位に係る処理を行う機能を有する。GMLC30は、3GPP(Third Generation Partnership Project)で規定される論理ノードであり、移動機10が接続する移動体通信網において位置情報に係るデータを管理する機能を有していてもよい。なお、本実施形態では、基地局を利用した測位を行う機能をGMLC30が有している場合について説明するが、GMLC30とは異なるノードが基地局測位に係る処理を制御する機能を有し、GMLC30は基地局装置に係る情報を提供するノードとして機能してもよい。
GNSS40、WiFi装置50、及び、基地局装置60は、いずれも移動機10に係る測位を行う際に使用する装置を模式的に示したものである。
GNSS40は、衛星システムを利用した測位を行う際に移動機10が信号を受信するGNSS衛星を模式的に示している。実際にGNSS測位を行う場合には、移動機10は3つ以上のGNSS衛星からの信号を受信する。なお、以下の実施形態では、移動機10がGNSS測位の一種であるGPS測位を利用して測位を行う場合について説明する。ただし、GNSS測位の種類はGPS測位に限定されるものではない。
WiFi装置50は、無線LANのアクセスポイントからの信号を利用した測位を行う際に移動機10が信号を受信するアクセスポイントの装置を模式的に示している。本実施形態では、無線LANの規格の一つであるWiFiのアクセスポイントをWiFi装置50として模式的に示している。実際にWiFi測位を行う場合には、移動機10は複数のWiFi装置(アクセスポイント)からの信号を受信する。そして、移動機10は、信号を取得することで得られるWiFi装置に係る情報をWiFi測位に対応するWiFi装置の位置情報を管理するWiFi装置管理サーバ(図示せず)に送信することで、WiFi測位による測位結果に対応する位置情報を取得することができる。
基地局装置60は、無線通信網を利用して移動機10が通信を行う際に移動機10が在圏するエリアの基地局装置を模式的に示している。基地局測位では、移動機10が在圏するエリアの基地局装置の位置情報及び電波情報等を元に、移動機10の位置情報を推定する。
通信システム1では、上記の通り、移動機10がGPS衛星(GNSS衛星)からの信号を受信し、この情報に基づいてGPS測位を行う。また、移動機10は、WiFi装置50からの信号を受信し、この情報に基づいてWiFi測位を行う。移動機10によるGPS測位及びWiFi測位の結果は、SLP20に対して送信される。また、移動機10がGPS測位を行う際には、測位精度に関係する情報として、移動機10においてGPS測位に要した時間(例えば、衛星を捕捉して信号を受信し、測位演算を完了するまでの時間)を測位時間として計測する。この測位精度に関係する情報は、移動機10がSLP20に対して測位結果を送信する際に同時に送信される。
また、移動機10に係る基地局測位は、移動機10が行うのではなく、移動機10の在圏情報を用いてSLP20がGMLC30に対して問い合わせることで、SLP20が基地局測位に係る情報を取得する機能を有する。すなわち、SLP20が移動機10から在圏情報を取得することで、移動機10に係る基地局測位を行うことになる。
また、通信システム1においては、SLP20が移動機10に係る位置情報を特定して移動機10に対して提供する機能を有する。より具体的には、複数の測位方法から得られる測位結果のうち測位精度が最も高い測位結果を移動機10に係る位置情報であると判断する。本実施形態では、この作業を移動機10に係る位置情報の特定という。そして、当該位置情報を移動機10又は他の外部装置に対して提供する機能を有する。
上述の通り、移動機10に係る位置情報に特定され得る情報として、3つの測位方法によって3種類の測位結果による位置情報を得ることができる。ただし、測位方法が互いに異なることにより、得られる測位結果についても互いに異なる特徴を有する。
例えば、GPS測位等のGNSS測位は、見通しのよい屋外のようにGNSS衛星を適切に捕捉することができると、非常に高い測位精度が得られる。ただし、GNSS衛星の捕捉が不十分である場合には精度が低下する。また、屋内のようにGNSS衛星を捕捉できない環境では測位自体が失敗する。したがって、測位環境に応じて測位の成否及び測位精度が変化する可能性がある。
また、WiFi測位のような無線LANのアクセスポイントを利用した測位は、GNSS衛星にように屋外での測位に限定されるものではなく、屋内でも測位が可能である。ただしアクセスポイントの数に応じて測位精度が変化する可能性がある。また、アクセスポイントとなる装置が移動しているにもかかわらず、アクセスポイントの位置情報を管理するサーバ(例えば、WiFi装置管理サーバ)での情報が更新されていない場合には、誤った位置が測位結果として得られる可能性がある。無線LANのアクセスポイントを利用した測位は、無線通信網を提供する事業者とは異なる事業者が提供している場合もあり、この場合には、アクセスポイントの位置情報が適切に更新されているかどうかについて無線通信網を提供する事業者側では適切に把握できないことも考えられる。そして、上記のようにアクセスポイントの位置情報を適切に管理できていないアクセスポイントを利用した測位が行われると、測位の結果が本来の位置から大きくずれてしまう「ロングジャンプ現象」が生じる可能性がある。
また、基地局測位は、無線通信網を提供する事業者が管理をしている基地局装置が設けられている位置を示す情報を利用するため、測位結果は正確である。ただし、基地局装置がカバーするセルのエリアに応じて誤差半径が決まるため、他の測位方式と比較して測位精度が低くなる可能性が高い。
このように、3種類の測位方法による測位結果のうちどの情報が最も精度が高いかは測位条件等によって変化する可能性がある。そこで、本実施形態の通信システム1では、SLP20において、3種類の測位方法による測位結果のうち移動機10の位置情報として最も適切な、すなわち、精度の高い位置情報を特定するという処理を行うことを特徴とする。また、従来は最も測位精度が高い測位結果が得られていると考えられているGNSS測位の測位結果についても、測位精度を評価した上で、測位結果の精度が高くないと考えられる場合には、移動機10に関してのより精度の高い位置情報を特定することを特徴とする。
上記の特徴を実現するための通信システム1の移動機10及びSLP20における機能部について、図2を参照しながら説明する。図2に示すように、移動機10は、GPS測位部11、GPS測位時間計測部12、WiFi測位部13、在圏情報取得部14、及び、位置情報統合通信部18を有する。また、SLP20は、測位精度評価部21及び基地局測位部22を有する。
移動機10のGPS測位部11は、GPS測位を行う機能を有する。すなわち、SLP20から提供されるアシストデータを利用してGPS衛星を捕捉し、GPS衛星からの信号を受信する処理を行う。また、GPS衛星から受信する信号及びアシストデータに基づいて、GPS測位による測位結果を算出する機能を有する。
GPS測位時間計測部12は、上記のGPS測位部11におけるGPS測位に係る所要時間、具体的には、GPS衛星の捕捉処理の開始から、GPS測位に必要なGPS衛星からの信号を受信し、当該信号に基づいてGPS測位の測位結果を算出するまでの所要時間を計測する機能を有する。GPS測位の所要時間は、GPS測位の精度に関係する。例えば、屋内の場合のようにGPS測位に好適な条件ではない場所でGPS測位を行おうとすると、GPS衛星の捕捉に時間がかかり、GPS衛星からの信号を適切に受信できない場合がある。このような場合には、測位結果の算出に使用する情報が不十分な状態で測位結果を算出する場合がある。つまり、GPS測位の所要時間が長くなると、GPS測位の測位結果の精度が低下していることが考えられる。そのため、GPS測位時間計測部12がGPS測位の所要時間を計測することで、GPS測位の測位精度に係る情報を取得する。
WiFi測位部13は、移動機10に係るWiFi測位を行う機能を有する。すなわち、WiFi測位部13は、移動機10の周囲のWiFi装置との間で通信を行うことでWiFi装置から得られた情報をWiFi装置管理サーバに対して送信することで、WiFi測位による測位結果に対応する位置情報を取得する機能を有する。
在圏情報取得部14は、基地局測位に用いられる移動機10の在圏セルに係る情報を取得する機能を有する。基地局測位で用いられる在圏セルの情報とは、移動機10が通信を行う相手となる基地局装置60の情報である。この情報は、移動機10が在圏するセルの基地局装置60と通信を行うことで取得することができる。在圏情報取得部14は、基地局測位を行う際に在圏セルに係る情報を取得する構成としてもよいが、コレに限定されない。例えば、在圏情報取得部14は、移動機10の位置登録処理を行う際に取得した情報を保持しておいて、基地局測位を行う際には当該情報を在圏セルに係る情報として利用する構成としてもよい。
位置情報統合通信部18は、移動機10のGPS測位部11、GPS測位時間計測部12、WiFi測位部13、在圏情報取得部14で取得された情報をSLP20に対して送信すると共に、SLP20から送信される情報を受信する機能を有する。位置情報統合通信部18は、例えば、移動機10に搭載されるアプリケーション等により実現される。
SLP20の測位精度評価部21は、移動機10において行われた測位の結果を取得する測位結果取得部として機能する。また、移動機10から送信される情報に基づいて、各測位方法による測位結果の測位精度を評価する機能を有する。また、評価された測位精度に基づいて、移動機10の位置情報として用いる測位結果を決定する位置情報特定部としての機能を有する。本実施形態では、上述したように、移動機10について、複数の測位方法による測位結果を取得することができる。測位精度評価部21では、複数の測位方法により取得された測位結果のうちどの測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知するかを決定する。
SLP20の基地局測位部22は、移動機10から送信される移動機10の在圏情報に基づいて、GMLC30との間で通信を行って基地局測位を行う機能を有する。基地局測位部22による移動機10に係る基地局測位は、測位精度評価部21による処理の結果基地局測位の測位結果が必要となった場合に行われる。すなわち、測位精度評価部21からの指示により基地局測位が行われる。また、基地局測位に係る測位結果は、測位精度評価部21に対して送られる。
なお、上記実施の形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
例えば、本発明の一実施の形態における移動機10及びSLP20等は、それぞれ、本実施形態の通信システム1における各処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図3は、本実施形態に係る上記の各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の各装置は、それぞれ、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。上記の各装置のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
移動機10及びSLP20における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信や、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、移動機10のGPS測位部11及びSLP20等の測位精度評価部21等は、プロセッサ1001で実現されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールやデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、移動機10のGPS測位部11及びSLP20等の測位精度評価部21等は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施の形態に係る位置情報特定方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。例えば、上述の移動機10の位置情報統合通信部18などは、通信装置1004で実現されてもよい。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001やメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、移動機10及びSLP20は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
次に、上記の通信システム1における移動機10に係る位置情報特定方法について、図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、移動機10、SLP20及びGMLC30における処理の流れを説明するシーケンス図である。また、図5は、SLP20の測位精度評価部21における測位結果の精度評価及び移動機10の位置情報に係る処理を説明するフローチャートである。
まず、図4に示すように、移動機10において、自機に係る位置情報の取得が必要となったとする。このような場合、移動機10では、WiFi測位部13によりWiFi測位に係る処理が行われる(S01)。また、GPS測位部11によりGPS測位に係る処理が行われると同時に、GPS測位時間計測部12によりGPS測位に係る測位時間の計測が行われる(S02)。GPS測位時には、移動機10とSLP20との間でアシストデータの送受信等に係る処理が行われる。さらに、在圏情報取得部14により、移動機10に係る在圏情報の取得が行われる(S03)。上記の処理(S01〜S03)の順序は、上記の順序に限定されず、入れ替えてもよい。上記の処理(S01〜S03)を行うことで、移動機10では、GPS測位に係る測位結果、GPS測位の所要時間(測位時間)、WiFi測位に係る測位結果、及び、基地局測位に用いられる在圏セルに係る情報が準備される。これらの情報が、位置情報統合通信部18からSLP20に対して移動機10の位置情報に関連する情報(位置関連情報)として送信されることで、移動機10からSLP20に対して位置情報の提供が要求される(S04)。
SLP20では当該情報を移動機10から受信すると、測位精度評価部21において測位結果に係る測位精度の評価及び移動機10の位置情報の特定に係る処理が行われる(S05)。詳細は図5を参照しながら説明するが、SLP20は、基地局測位の測位結果が必要である場合、基地局測位部22がGMLC30に対して基地局測位要求を送信することで、基地局測位結果に対応する基地局測位応答を取得する(S06)。これらの処理(S05,S06)により、移動機10に対して送信する移動機10に係る位置情報を特定することができる。特定された結果は、位置測位応答としてSLP20から移動機10に対して送信されて、移動機10の位置情報統合通信部18において受信される。この結果、移動機10では、自機に係る位置情報を取得することができる(S07)。
SLP20の測位精度評価部21及び基地局測位部22における処理(S05,S06)について、図5を参照しながら説明する。
SLP20では、複数の測位方法(GPS測位、WiFi測位、基地局測位)により取得される測位結果について、移動機10の位置情報として選択する優先度が予め定められている。本実施形態では、各測位方法により適切に測位を行った場合に想定される測位結果の精度が高い順に、移動機10の位置情報として採用する優先度が設定される。具体的には、上述したように、適切に測位を行った場合の測位結果の精度は、GPS測位、WiFi測位、基地局測位の順に高いため、測位結果として採用する際の優先度もこの順に設定されている。ただし、GPS測位において衛星捕捉数が十分ではない場合や、WiFi測位においてロングジャンプ現象が発生した場合のように、測位は成功したとしても測位結果の精度が想定されている精度よりも低くなる場合がある。そこで、測位精度評価部21では、上記の測位方法に応じた優先度と、測位結果ごとの精度の評価と、を組み合わせて、より適切な測位結果を移動機10の位置情報として特定(選択)する。
まず、SLP20では、移動機10から位置関連情報を受信する(S11,S04に対応)。測位精度評価部21では、この位置関連情報にGPS測位結果が含まれているか判断する(S12)。GPS測位結果が含まれている場合(S12−YES)については後述する。
位置関連情報にGPS測位結果が含まれていない場合(S12−NO)は、GPS測位結果とは異なる測位結果を移動機10の位置情報として利用することになる。したがって、測位精度評価部21では、その他の測位に係る情報、すなわち、WiFi測位結果及び在圏基地局情報(在圏するセルに関する基地局装置の情報)があるか判断する(S13)。位置関連情報にこれらの情報が含まれていない場合(S13−NO)には、測位精度評価部21では、移動機10に対して位置情報を提供できないと判断し、移動機10に対して測位の失敗を通知する(S14)。一方、位置関連情報にこれらの情報が含まれている場合(S13−YES)には、基地局測位部22が、基地局装置の情報を利用して基地局測位を実施する(S15)。基地局測位が失敗した場合(S16−NO)は、測位精度評価部21で移動機10に対して位置情報を提供できないと判断し、移動機10に対して測位の失敗を通知する(S14)。一方、基地局測位が成功した場合(S16−YES)には、位置関連情報に含まれるWiFi測位結果と基地局測位結果とのいずれを移動機10の位置情報として特定するかを判断するために、WiFi測位結果の精度評価を行う(S17)。
WiFi測位結果の精度評価とは、基地局測位の測位結果と比較してWiFi測位結果の精度が高いか否かを判断するものである。測位結果の精度は、例えば、WiFi測位結果が基地局測位結果からどれくらい離れているかに基づいて評価をすることができる。具体的には、WiFi測位結果と基地局測位結果との距離に関して閾値を予め設定しておき、WiFi測位結果と基地局測位結果との距離が閾値よりも近ければ、WiFi測位結果の精度が基地局測位結果よりも高いと判断する、というように、閾値を利用してWiFi測位の精度を評価することができる。精度を評価するための閾値の設定方法は特に限定されないが、例えば、基地局測位結果の水平誤差半径×係数に基づいて設定することができる。この係数は例えば、地域の特性(基地局の分布状況)に基づいて設定することができる。また、基地局測位結果の水平誤差を元に、都市部・近郊・郊外等の地域のカテゴリに応じて精度を評価するための閾値を設定してもよい。このように、WiFi測位結果の精度評価を行う方法は、「ロングジャンプ現象」が生じているWiFi測位結果の精度が高精度であると判断されない範囲で、適宜変更することができる。
測位精度評価部21では、上記の評価の結果、より精度の高い測位方法による測位結果を移動機10の位置情報として特定し、移動機10に対して通知する。すなわち、基地局測位と比較してWiFi測位の精度が低い場合(S18−NO)には、移動機10に対して位置情報として基地局測位結果を通知する(S19)。また、基地局測位と比較してWiFi測位の精度が高い場合(S18−YES)には、移動機10に対して位置情報としてWiFi測位結果を通知する(S20)。このように、SLP20から移動機10に対して基地局測位結果もしくはWiFi測位結果が移動機10の位置情報として通知される。
一方、位置関連情報にGPS測位結果が含まれている場合(S12−YES)には、GPS測位結果と他の測位結果とを比較した上で移動機10に対して提供する情報を決定する。図5に示す例では、GPS測位が成功している場合には、基本的にはWiFi測位及び基地局測位よりもその精度が高いということを前提としている。さらに、GPS測位が適切に行われていない(例えば、衛星の捕捉が不十分である等)場合であっても、基本的に基地局測位よりも精度が高いということを前提としている。ただし、GPS測位の精度が低いと考えられる場合であって、位置関連情報にWiFi測位の結果が含まれている場合には、WiFi測位の精度によってはWiFi測位の結果を利用することを想定している。
具体的には、位置関連情報にGPS測位結果が含まれている場合(S12−YES)、位置関連情報にさらにWiFi測位結果が含まれているかを判断する(S21)。位置関連情報にWiFi測位結果が含まれていない場合(S21−NO)には、測位精度評価部21では、GPS測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知することを決定する(S22)。この場合、基地局測位は行わずにGPS測位結果が移動機10の位置情報として特定される。
一方、位置関連情報にWiFi測位結果が含まれている場合(S21−YES)には、GPS測位結果の精度評価を行う(S23)。GPS測位結果の精度の高低は、移動機10のGPS測位時間計測部12において計測された測位時間を予め定められた閾値(例えば、15秒)と比較することにより判断される。測位時間が閾値よりも短い場合には、GPS測位が適切に行われた、すなわち、高精度のGPS測位結果が得られたと判断する。また、測位時間が閾値よりも長い場合には、GPS測位が適切に行われず(例えば、捕捉した衛星の数が少ない等)、低精度のGPS測位結果が得られたと判断する。
上記のGPS測位結果精度評価の結果、GPS測位結果が高精度である場合には(S24−YES)、測位精度評価部21では、GPS測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知することを決定する(S22)。一方、GPS測位結果が低精度である場合には(S24−NO)、測位精度評価部21は、GPS測位結果とは異なる測位結果を移動機10に対して送信するかどうかを決定する処理を継続する。
測位精度評価部21では、まず、位置関連情報に在圏基地局情報が含まれるかを判断する(S25)。ここで、位置関連情報に在圏基地局情報が含まれていない場合には(S25−NO)、GPS測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知することを決定する(S22)。位置関連情報に在圏基地局情報が含まれていないということは、基地局測位結果を得ることができないということである。本実施形態の例では、測位精度評価部21では、基地局測位結果が得られない場合には、WiFi測位結果の精度評価を行わずにGPS測位結果を移動機10に対して送信することとしている。本実施形態では、WiFi測位の精度が基地局測位よりも著しく低い場合があるため、そのような測位精度の測位結果を移動機10に対して送信することを防ぐために、GPS測位結果を提供する。
位置関連情報に在圏基地局情報が含まれる場合には(S25−YES)、基地局測位部22により基地局測位に係る処理を行う(S26)。その後、測位精度評価部21において、基地局測位が適切に行われたか否かを判断し(S27)、基地局測位が失敗した場合には(S27−NO)、GPS測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知することを決定する(S22)。一方、基地局測位が成功した場合には(S27−NO)、基地局測位結果を利用してWiFi測位結果の精度評価を行う(S28)。基地局測位結果を利用したWiFi測位結果の精度評価は、GPS測位結果がない場合のWiFi測位結果の精度評価(S17)と同様に行われる。
測位精度評価部21において、WiFi測位結果の精度を評価した結果、WiFi測位結果が高精度であると判断された場合には(S29−YES)、移動機10に対して位置情報としてWiFi測位結果を通知する(S20)。また、WiFi測位結果が低精度であると判断された場合には(S29−NO)、移動機10に対して位置情報としてGPS測位結果を通知する(S22)。以上の処理を行うことで、SLP20から移動機10に対して位置情報として、GPS測位結果、WiFi測位結果又は基地局測位結果の何れを送信するかが決定される。そして、その決定に基づいて、位置測位応答(S07、図4参照)が行われる。
このように、本実施形態に係る位置情報特定装置として機能するSLP20では、複数種類(本実施形態では3種類)の測位方法によって得られた測位結果が取得される。また、複数種類の測位方法については、移動機10の位置情報として利用する際の優先度が予め定められている。そして、優先度に基づいて、上位の測位方法により得られた測位結果から、それぞれ精度が適切であるか(高精度であるか)否かを判断した上で、適切な精度である場合には移動機10に対して当該測位結果を移動機10の位置情報として通知する。一方、上位の測位方法により得られた測位結果の精度が適切ではない(低精度である)場合には、優先度が低い測位方法による測位結果を移動機10の位置情報として取得する。このように、複数種類の測位方法による測位結果を取得した上で、優先度と測位結果の精度とに基づいて、どの測位結果を移動機10の位置情報として特定し通知するかを決定する構成を有していることで、移動機についてより高い精度で位置情報を特定することが可能となる。
また、本実施形態のSLP20では、優先度が低い測位方法による測位結果についてもその精度について適切であるか否かを判断した上で、適切な精度である場合には当該測位結果を移動機10の位置情報として特定し、移動機10に対して通知する。具体的には、優先度が2番目に設定されているWiFi測位の測位結果についても、その精度を評価した上で、位置情報として特定するか否かを決定している。このような構成としていることで、移動機10の位置情報をより高い精度で特定することが可能となる。また、上記の構成を有することで、何らかの事情で著しく精度が低くなってしまった測位結果等を移動機10の位置情報とすることを防ぐことができる。
特に、本実施形態のSLP20では、優先度が最も高く設定されているGPS測位結果の測位結果が得られなかった(S12−NO)場合、もしくは、GPS測位結果の精度が高精度ではなかった(S24−NO)場合に、次の候補となる測位結果の精度も評価をした上で、移動機10の位置情報として用いる測位結果を選択する(移動機10の位置情報を特定する)ことを特徴としている。上記の実施形態で説明したように、GPS測位結果の精度に問題がある場合には、WiFi測位結果又は基地局測位結果を移動機10の位置情報として用いることも選択肢となる。この場合に、SLP20では、WiFi測位結果と基地局測位結果とを利用してWiFi測位結果の精度を評価した上で、WiFi測位結果を移動機10の位置情報として利用するか否かを判断している。このような構成とすることで、WiFi測位結果がロングジャンプ現象を含んだ低精度の測位結果である場合に、そのような低精度のWiFi測位結果が移動機10の位置情報として特定されることを防ぐことができる。
また、上記の実施形態では、WiFi測位結果の精度を評価する方法として、優先度がさらに低く3番目に設定されている基地局測位の測位結果との間で、係数等を加味した上での比較を行っている。このようにさらに下位の測位結果との間での比較によって精度を評価することで、移動機についてより高い精度で位置情報を特定することが可能となる。
また、WiFi測位結果の精度に問題があり、移動機10の位置情報として特定しないことが判断された場合には、優先度が3番目に設定されている基地局測位の測位結果を移動機10の位置情報として特定する構成としている。このような構成とすることで、GPS測位結果やWiFi測位結果のような精度の高い測位結果を移動機の位置情報として特定することができない場合でも、移動機の位置情報を可能な限り提供することができる構成を実現している。
さらに、上記実施形態では、GPS測位に関しては、SLP20は、移動機10から測位結果に対応させてGPS測位を行った測位時間に係る情報を取得し、測位時間に係る情報を利用してGPS測位結果の精度を評価している。このように、測位時間と測位精度との間に対応関係があると推定できるような測位方法については、測位時間を用いて測位結果の精度を評価する構成とすることで、より簡便に測位結果の精度を評価することができる。
(変形例)
上記実施形態では、基地局測位の測位結果を移動機10の位置情報と特定する場合は、GPS測位結果が存在せず(S12−NO)、且つ、WiFi測位結果が低精度であると判断された場合(S18−NO)に限られていた。しかしながら、基地局の増設等により、1つの基地局装置がカバーするセルのエリアが小さくなっている場合がある。この場合、基地局測位の結果における誤差半径が従来の基地局装置での測位結果における誤差半径よりも小さくなり、すなわち、精度が向上すると考えられる。そのため、基地局装置のカバーするエリアが従来の基地局装置と比較して小さい場合には、基地局測位に係る情報を移動機10の位置情報として利用することが好ましい状況が増加すると考えられる。
そこで、上記の第1実施形態の変形例として、SLP20において、移動機10が在圏する基地局装置のカバーするエリアの大きさに係る情報を基地局測位の精度に関連するとして取得し、当該エリアが大きいか小さいか否かを判断するステップを挟むことで、基地局装置のカバーするエリアが小さい場合には、基地局測位に係る情報を活用する構成について説明する。
図6は、SLP20の測位精度評価部21における測位結果の精度評価及び移動機10の位置情報に係る第1の変形例の処理を説明するフローチャートである。このフローチャートは、図5のフローチャートに対応するものである。図5と同様の処理を行う部分については、説明を簡略化する。
まず、SLP20では、移動機10から位置関連情報を受信する(S11)。測位精度評価部21では、この位置関連情報にGPS測位結果が含まれているか判断する(S12)。
まず、位置関連情報にGPS測位結果が含まれていない場合(S12−NO)は、測位精度評価部21では、すなわち、WiFi測位結果及び在圏基地局情報(在圏するセルに関する基地局装置の情報)があるか判断する(S13)。位置関連情報にこれらの情報が含まれていない場合(S13−NO)には、測位精度評価部21では、移動機10に対して位置情報を提供できないと判断し、移動機10に対して測位の失敗を通知する(S14)。
一方、位置関連情報にこれらの情報が含まれている場合(S13−YES)には、さらに、移動機10が在圏するセルの大きさに係る情報である基地局装置に対応する誤差情報が所定の閾値以下であるか否かを判断する(S31)。移動機10が在圏するセルの大きさに係る情報である基地局装置に係る誤差情報は、基地局測位の測位結果の精度に関連する情報である。誤差情報は、基地局測位部22が基地局装置を特定する情報を利用してGMLC30に対して問い合わせることで誤差情報を取得する構成とすることができる。なお、基地局装置に係る誤差情報は、移動機10から送信される位置関連情報に含まれる構成としてもよい。測位精度評価部21では、基地局装置が管轄するセルの半径に対応した誤差半径に係る情報を取得した上で、当該誤差半径が、所定の閾値以下であるか否かを判断する。この結果、所定の閾値以下である場合(S31−YES)には、測位精度評価部21は、基地局測位に係る情報を移動機10の位置情報として利用することができると判断する。そして、基地局測位部22がGMLC30に対して問い合わせることにより取得することができる基地局装置が管轄するセルの重心位置を移動機10の位置情報として利用することを決定する(S32)。基地局装置が管轄するセルの重心位置は、基地局測位による測位結果に相当する。なお、GMLC30から取得することができる基地局測位の結果がセルの重心位置とは異なる場合には、当該基地局測位の結果を移動機10の位置情報として利用する構成としてもよい。何れのパターンでも、基地局装置が管轄するセルの大きさ(エリアの大きさ)に基づいて、セルに係る情報を移動機10の位置情報と利用するかどうかを判断する。
なお、基地局装置が管轄するセルの半径に対応した誤差半径に係る情報が所定の閾値よりも大きい場合(S31−NO)には、図5と同様の処理を行う。すなわち、基地局測位部22が、基地局装置の情報を利用して基地局測位を実施する(S15)。基地局測位が失敗した場合(S16−NO)は、測位精度評価部21では、移動機10に対して測位の失敗を通知する(S14)。一方、基地局測位が成功した場合(S16−YES)には、WiFi測位結果の精度評価を行う(S17)。測位精度評価部21は、判断の結果、より精度の高い測位方法による測位結果を移動機10の位置情報として特定し、移動機10に対して通知する。すなわち、基地局測位と比較してWiFi測位の精度が低い場合(S18−NO)には、移動機10に対して位置情報として基地局測位結果を通知する(S19)。また、基地局測位と比較してWiFi測位の精度が高い場合(S18−YES)には、移動機10に対して位置情報としてWiFi測位結果を通知する(S20)。このように、SLP20から移動機10に対して基地局測位結果もしくはWiFi測位結果が移動機10の位置情報として通知される。
次に、位置関連情報にGPS測位結果が含まれている場合(S12−YES)には、GPS測位結果と他の測位結果とを比較した上で移動機10に対して提供する情報を決定する。位置関連情報にGPS測位結果が含まれている場合(S12−YES)、位置関連情報にさらにWiFi測位結果が含まれているかを判断する(S21)。位置関連情報にWiFi測位結果が含まれていない場合(S21−NO)には、測位精度評価部21では、GPS測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知することを決定する(S22)。
一方、位置関連情報にWiFi測位結果が含まれている場合(S21−YES)には、GPS測位の所要時間を利用してGPS測位結果の精度評価を行う(S23)。GPS測位結果精度評価の結果、GPS測位結果が高精度である場合には(S24−YES)、測位精度評価部21では、GPS測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知することを決定する(S22)。一方、GPS測位結果が低精度である場合には(S24−NO)、測位精度評価部21は、GPS測位結果とは異なる測位結果を移動機10に対して送信するかどうかを決定する処理を継続する。
測位精度評価部21では、まず、位置関連情報に在圏基地局情報が含まれるかを判断する(S25)。ここで、位置関連情報に在圏基地局情報が含まれていない場合には(S25−NO)、GPS測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知することを決定する(S22)。
位置関連情報に在圏基地局情報が含まれている場合には(S25−YES)、在圏基地局情報にて示される基地局装置に対応する誤差情報(誤差半径情報)が所定の閾値以下であるか否かを判断する(S33)。上述したように、基地局装置に係る誤差半径に係る情報は、GMLC30に対して問い合わせて取得するか、もしくは、移動機10からの位置関連情報に含まれる構成とすることができる。測位精度評価部21では、基地局装置が管轄するセルの半径に対応した誤差半径に係る情報を取得した上で、当該誤差半径が、所定の閾値以下であるか否かを判断する。この結果、所定の閾値以下である場合(S33−YES)には、測位精度評価部21は、基地局測位に係る情報を移動機10の位置情報として利用することができると判断する。そして、基地局測位部22がGMLC30に対して問い合わせることにより取得することができる基地局装置が管轄するセルの重心位置を移動機10の位置情報として利用することを決定する(S32)。なお、GMLC30から取得することができる基地局測位の結果がセルの重心位置とは異なる場合には、当該基地局測位の結果を移動機10の位置情報として利用する構成としてもよい。何れのパターンでも、基地局装置が管轄するセルの大きさ(エリアの大きさ)に基づいて、セルに係る情報を移動機10の位置情報と利用するかどうかを判断する。
なお、基地局装置が管轄するセルの半径に対応した誤差半径に係る情報が所定の閾値よりも大きい場合(S33−NO)には、図5と同様の処理を行う。すなわち、基地局測位部22により基地局測位に係る処理を行う(S26)。その後、測位精度評価部21において、基地局測位が適切に行われたか否かを判断し(S27)、基地局測位が失敗した場合には(S27−NO)、GPS測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知することを決定する(S22)。一方、基地局測位が成功した場合には(S27−NO)、基地局測位結果を利用してWiFi測位結果の精度評価を行う(S28)。
測位精度評価部21において、WiFi測位結果の精度を評価した結果、WiFi測位結果が高精度であると評価された場合には(S29−YES)、移動機10に対して位置情報としてWiFi測位結果を通知する(S20)。また、WiFi測位結果が低精度であると評価された場合には(S29−NO)、移動機10に対して位置情報としてGPS測位結果を通知する(S22)。以上の処理を行うことで、SLP20から移動機10に対して位置情報として、GPS測位結果、WiFi測位結果又は基地局測位結果の何れを送信するかが決定される。そして、その決定に基づいて、位置測位応答(S07、図4参照)が行われる。
在圏基地局情報に基づいて特定される移動機10が通信を行っている基地局装置の管轄するセルが小さい場合には、当該基地局装置に係る情報を移動機10の位置情報として利用した方が、精度が高くなることがある。図6に示す構成とすることで、在圏基地局情報から求められる基地局装置の管轄するセルの誤差半径に基づいて基地局装置に係る情報を移動機10の位置情報として利用するか否かを判断することができることから、基地局測位の測位結果の精度が高い場合には、当該基地局装置に関する情報を好適に利用することができる。
図7は、SLP20の測位精度評価部21における測位結果の精度評価及び移動機10の位置情報に係る第2の変形例の処理を説明するフローチャートである。
図7に示す第2の変形例は、図6に示す第1の変形例と同様に移動機10が在圏する基地局装置のカバーするエリアが大きいか小さいか否かを判断するステップを挟むことで、基地局装置のカバーするエリア(セル)が小さい場合には、基地局測位に係る情報を活用する構成について説明する。第2の変形例では、基地局装置のカバーするエリア(セル)が小さいか否かを判断する基準となる情報が、位置関連情報に含まれる場合について説明する。すなわち、位置関連情報には、基地局装置のカバーするエリアの大小を特定することができる種別情報が含まれている。種別情報は、基地局測位による測位結果の精度に関連する情報である。このような構成とすると、SLP20では、種別情報を利用して、基地局測位に係る情報を移動機10の位置情報として利用するか否かを判断することが可能となる。
図7を参照しながら具体的な処理について説明する。まず、SLP20では、移動機10から位置関連情報を受信する(S11)。測位精度評価部21では、この位置関連情報にGPS測位結果が含まれているか判断する(S12)。
まず、位置関連情報にGPS測位結果が含まれていない場合(S12−NO)は、測位精度評価部21では、すなわち、WiFi測位結果及び在圏基地局情報(在圏するセルに関する基地局装置の情報)があるか判断する(S13)。ここでの在圏基地局情報には、基地局装置のカバーするエリアの大きさを示す情報である種別情報が含まれる。位置関連情報にこれらの情報が含まれていない場合(S13−NO)には、測位精度評価部21では、移動機10に対して位置情報を提供できないと判断し、移動機10に対して測位の失敗を通知する(S14)。
一方、位置関連情報にこれらの情報が含まれている場合(S13−YES)には、さらに、基地局装置に係る種別情報を参照し、基地局装置がカバーするエリアが十分に小さいセルであるか否かを判断する(S35)。この結果、種別情報に基づいて基地局装置がカバーするエリアが小さいと判断できる場合(S35−YES)には、測位精度評価部21は、基地局測位に係る情報を移動機10の位置情報として利用することができると判断する。そして、基地局測位部22がGMLC30に対して問い合わせることにより取得することができる基地局装置が管轄するセルの重心位置を移動機10の位置情報として利用することを決定する(S36)。なお、GMLC30から取得することができる基地局測位の結果がセルの重心位置とは異なる場合には、当該基地局測位の結果を移動機10の位置情報として利用する構成としてもよい。何れのパターンでも、基地局装置が管轄するセルの大きさ(エリアの大きさ)を種別情報に基づいて判断し、セルに係る情報を移動機10の位置情報と利用するかどうかを判断する。
なお、種別情報に基づいて基地局装置がカバーするエリアが小さいと判断できない場合(S35−NO)には、図5及び図6と同様の処理を行う。すなわち、基地局測位部22が、基地局装置の情報を利用して基地局測位を実施する(S15)。基地局測位が失敗した場合(S16−NO)は、測位精度評価部21では、移動機10に対して測位の失敗を通知する(S14)。一方、基地局測位が成功した場合(S16−YES)には、WiFi測位結果の精度評価を行う(S17)。測位精度評価部21は、判断の結果、より精度の高い測位方法による測位結果を移動機10の位置情報として特定し、移動機10に対して通知する。すなわち、基地局測位と比較してWiFi測位の精度が低い場合(S18−NO)には、移動機10に対して位置情報として基地局測位結果を通知する(S19)。また、基地局測位と比較してWiFi測位の精度が高い場合(S18−YES)には、移動機10に対して位置情報としてWiFi測位結果を通知する(S20)。このように、SLP20から移動機10に対して基地局測位結果もしくはWiFi測位結果が移動機10の位置情報として通知される。
次に、位置関連情報にGPS測位結果が含まれている場合(S12−YES)には、GPS測位結果と他の測位結果とを比較した上で移動機10に対して提供する情報を決定する。位置関連情報にGPS測位結果が含まれている場合(S12−YES)、位置関連情報にさらにWiFi測位結果が含まれているかを判断する(S21)。位置関連情報にWiFi測位結果が含まれていない場合(S21−NO)には、測位精度評価部21では、GPS測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知することを決定する(S22)。
一方、位置関連情報にWiFi測位結果が含まれている場合(S21−YES)には、GPS測位の所要時間を利用してGPS測位結果の精度評価を行う(S23)。GPS測位結果精度評価の結果、GPS測位結果が高精度である場合には(S24−YES)、測位精度評価部21では、GPS測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知することを決定する(S22)。一方、GPS測位結果が低精度である場合には(S24−NO)、測位精度評価部21は、GPS測位結果とは異なる測位結果を移動機10に対して送信するかどうかを決定する処理を継続する。
測位精度評価部21では、まず、位置関連情報に在圏基地局情報が含まれるかを判断する(S25)。ここで、位置関連情報に在圏基地局情報が含まれていない場合には(S25−NO)、GPS測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知することを決定する(S22)。
位置関連情報に在圏基地局情報が含まれている場合には(S25−YES)、当該情報に含まれる基地局装置に係る種別情報を参照し、基地局装置がカバーするエリアが十分に小さいセルであるか否かを判断する(S37)。当該誤差半径が、所定の閾値以下であるか否かを判断する。この結果、種別情報に基づいて基地局装置がカバーするエリアが小さいと判断できる場合(S37−YES)には、測位精度評価部21は、基地局測位に係る情報を移動機10の位置情報として利用することができると判断する。そして、基地局測位部22がGMLC30に対して問い合わせることにより取得することができる基地局装置が管轄するセルの重心位置を移動機10の位置情報として利用することを決定する(S36)。なお、セルの重心位置を利用することに代えて、GMLC30から取得することができる基地局測位の結果を、移動機10の位置情報として利用する構成としてもよい。何れのパターンでも、基地局装置が管轄するセルの大きさ(エリアの大きさ)に基づいて、セルに係る情報を移動機10の位置情報と利用するかどうかを判断する。
なお、種別情報に基づいて基地局装置がカバーするエリアが小さいと判断できない場合(S37−NO)には、図5と同様の処理を行う。すなわち、基地局測位部22により基地局測位に係る処理を行う(S26)。その後、測位精度評価部21において、基地局測位が適切に行われたか否かを判断し(S27)、基地局測位が失敗した場合には(S27−NO)、GPS測位結果を移動機10の位置情報として移動機10に対して通知することを決定する(S22)。一方、基地局測位が成功した場合には(S27−NO)、基地局測位結果を利用してWiFi測位結果の精度評価を行う(S28)。
測位精度評価部21において、WiFi測位結果の精度を評価した結果、WiFi測位結果が高精度であると判断された場合には(S29−YES)、移動機10に対して位置情報としてWiFi測位結果を通知する(S20)。また、WiFi測位結果が低精度であると判断された場合には(S29−NO)、移動機10に対して位置情報としてGPS測位結果を通知する(S22)。以上の処理を行うことで、SLP20から移動機10に対して位置情報として、GPS測位結果、WiFi測位結果又は基地局測位結果の何れを送信するかが決定される。そして、その決定に基づいて、位置測位応答(S07、図4参照)が行われる。
在圏基地局情報に基づいて特定される移動機10が通信を行っている基地局装置の管轄するセルが小さい場合には、当該基地局装置に係る情報を移動機10の位置情報として利用した方が、精度が高くなることがある。図7に示す構成とすることで、在圏基地局情報に含まれる種別情報を利用して基地局装置に係る情報を移動機10の位置情報として利用するか否かを判断することができることから、基地局測位の測位結果の精度が高い場合には、当該基地局装置に関する情報を好適に利用することができる。
なお、図6及び図7に示す変形例では、優先度が2番目に設定されているWiFi測位の測位結果の精度を評価する前に、優先度が3番目に設定されている基地局測位の測位結果の精度に関連する情報に基づいて、3番目に設定されている基地局測位の測位結果の精度を評価している。そして、3番目に設定されている基地局測位の測位結果の著しく高いと判断できる場合(S31−YES、S33−YES、S36−YES、S37−YES)には、WiFi測位の測位結果の精度の評価も行わずに、基地局測位の結果を優先して使用している。これらの処理は、基地局測位の測位結果の精度に関連する情報を参照した結果、基地局測位の測位結果がWiFi測位結果の精度よりも高いことが確実であると判断できるときに行われる処理である。本実施形態に係る通信システムでは、移動機の位置情報の精度を高めることが目的である。したがって、予め定められた優先度に対して測位結果の精度が逆転している場合には、上記実施形態で説明したようにより精度が高い測位結果を優先して移動機の位置情報として利用する構成とすることができる。また、精度に関連する情報とは、上記の変形例で説明した情報に限定されない。上記の変形例では基地局測位の精度に関連する情報について説明したが、精度に関連する情報については測位方法に応じて適宜変更される。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る通信システムについて説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係る位置情報提供装置を含む通信システムの構成を説明するブロック図であり、図1に対応するブロック図である。第1実施形態では、移動機に係る位置情報の特定をSLPが行う構成について説明した。すなわち、位置情報特定装置に係る機能をSLPが備えている場合について説明した。一方、第2実施形態に係る通信システムでは、位置情報特定装置に係る機能を移動機が有し、移動機に係る位置情報の特定に係る処理を移動機が行う。この点が、第1実施形態と第2実施形態との相違点である。
通信システム2は、移動機10A、SLP20A、GMLC30、GNSS40、WiFi装置50、及び、基地局装置60を含んで構成される。移動機10Aは、第1実施形態の移動機10とは異なり、SLP20AからGPS測位(GNSS測位)に係る情報を取得する。また、基地局測位に関しても移動機10Aが主体となって実施する。そして、自機において各測位結果の測位精度の評価を行う。したがって、SLP20Aは、SUPL(Secure User Plane Location)を用いたGPS測位において、移動機10Aに対して送信するGPS測位のためのアシストデータを格納し、移動機10Aからの要求に基づいて、アシストデータを移動機10Aに対して送信する機能を有する。そのほかの各装置における処理は第1実施形態と同様である。
通信システム2の移動機10Aにおける機能部について、図9を参照しながら説明する。図9に示すように、移動機10Aは、GPS測位部11、GPS測位時間計測部12、WiFi測位部13、在圏情報取得部14、及び、位置情報統合通信部18を有する。さらに、移動機10Aは、測位精度評価部21及び基地局測位部22を有する。第1実施形態に係る通信システム1との相違点は、通信システム1ではSLP20に設けられていた測位精度評価部21及び基地局測位部22が移動機10Aに設けられていて、SLP20Aはこれらの機能を有していない点である。
移動機10AにおけるGPS測位部11、GPS測位時間計測部12、WiFi測位部13、及び、在圏情報取得部14の各部の機能は、移動機10と同様である。また、位置情報統合通信部18は、送受信する情報の内容は異なるが、SLP20との間で情報の送受信を行う機能を有する。
また、測位精度評価部21は、各測位方法による測位結果の測位精度を評価する機能を有する。また、評価された測位精度に基づいて、移動機10Aの位置情報として用いる測位結果を決定する機能を有する。移動機10Aでは、各測位方法による測位結果を自機で集約し、集約した情報から、自機の位置情報として用いる測位結果を特定する機能を有する。
基地局測位部22は、移動機10Aの在圏情報に基づいて、GMLC30との間で通信を行って基地局測位を行う機能を有する。通信システム1では、SLP20が基地局測位に係る処理を行っていたが、通信システム2では、移動機10Aが当該処理を行う。基地局測位部22による移動機10に係る基地局測位は、測位精度評価部21のよる処理の結果基地局測位の測位結果が必要となった場合に行われる。すなわち、測位精度評価部21からの指示により基地局測位が行われる。また、基地局測位に係る測位結果は、測位精度評価部21に対して送られる。
次に、上記の通信システム2における移動機10Aに係る位置情報特定方法について、図10を参照しながら説明する。図10は、移動機10A、SLP20A及びGMLC30における処理の流れを説明するシーケンス図である。
まず、移動機10Aにおいて、自機に係る位置情報の取得が必要となったとする。このような場合、移動機10Aでは、WiFi測位部13によりWiFi測位に係る処理が行われる(S41)。また、GPS測位部11によりGPS測位に係る処理が行われると同時に、GPS測位時間計測部12によりGPS測位に係る測位時間の計測が行われる(S42)。GPS測位時には、移動機10AとSLP20Aとの間でアシストデータの送受信等に係る処理が行われる。さらに、在圏情報取得部14により、移動機10Aに係る在圏情報の取得が行われる(S43)。上記の処理(S41〜S43)の順序は、上記の順序に限定されず、入れ替えてもよい。上記の処理(S41〜S43)を行うことで、移動機10Aでは、GPS測位に係る測位結果、GPS測位の所要時間(測位時間)、WiFi測位に係る測位結果、及び、基地局測位に用いられる在圏セルに係る情報が準備される。
これらの情報は、位置情報統合通信部18からSLP20Aに対して移動機10Aの位置情報に関連する情報(位置関連情報)として送信されることで、移動機10AからSLP20Aに対して位置情報の提供が要求されてもよい(S44)。ただし、本実施形態の通信システム2では、移動機10A側で測位結果の精度に係る処理を行うため、本処理は省略してもよい。
その後、移動機10Aでは、測位精度評価部21において測位結果に係る測位精度の評価及び移動機10Aの位置情報の特定に係る処理が行われる(S45)。具体的な処理は、第1実施形態の通信システム1でSLP20において行われた処理と同様である。すなわち、図5(及び、変形例に関しては、図6、図7)に示したフローチャートと同様の処理により、移動機10Aの位置情報として利用する測位結果を特定する処理が行われる。本実施形態では、移動機10Aにおいて位置情報の特定に係る処理が行われるため、図5〜図7等で示している「移動機からの情報の取得」、「移動機への情報の通知」等は行われない。なお、基地局測位の測位結果が必要である場合、移動機10Aの基地局測位部22がGMLC30に対して基地局測位要求を送信することで、基地局測位結果に対応する基地局測位応答を取得する(S46)。これらの処理(S45,S46)により、移動機10Aに係る位置情報を特定することができる(S47)。特定された移動機10Aに係る位置情報は、移動機10Aの位置に対応して提供されるサービス等に利用することができる。
第2実施形態の通信システム2のように、位置情報特定装置として機能する装置がSLPではなく移動機10Aであったとしても、移動機10Aにおいて複数種類(本実施形態では3種類)の測位方法によって得られた測位結果が取得される。複数種類の測位方法については、移動機10Aの位置情報として利用する際の優先度が予め定められている。そして、優先度に基づいて、上位の測位方法により得られた測位結果から、それぞれ精度が適切であるか(高精度であるか)否かを判断した上で、適切な精度である場合には当該測位結果を移動機10の位置情報として特定する。一方、上位の測位方法により得られた測位結果の精度が適切ではない(低精度である)場合には、優先度が低い測位方法による測位結果を移動機10Aの位置情報として特定する。このように、複数種類の測位方法による測位結果を取得し、優先度と測位結果の精度とに基づいて、どの測位結果を移動機10Aの位置情報として特定するかを決定する構成を有していることで、移動機10Aについてより高い精度で位置情報を特定することが可能となる。
また、本実施形態の移動機10Aにおいても、優先度が低い測位方法による測位結果についてもその精度について適切であるか否かを判断した上で、適切な精度である場合には当該測位結果を移動機10Aの位置情報として特定する構成とする。優先度が低い測位方法による測位結果についても、その精度が適切であることを確認した上で移動機10Aの位置情報として特定する構成としていることで、移動機10Aについてより高い精度で位置情報を特定することが可能となる。また、上記の構成を有することで、著しく精度が低い測位結果等を移動機10Aの位置情報とすることを防ぐことができる。
特に、本実施形態の移動機10Aにおいても、優先度が最も高く設定されているGPS測位結果の測位結果が得られなかった場合、もしくは、GPS測位結果の精度が高精度ではなかった場合に、次の候補となる測位結果の精度も評価をした上で、移動機10Aの位置情報として用いる測位結果を選択する(移動機10Aの位置情報を特定する)ことが可能となっている。このような構成とすることで、WiFi測位結果がロングジャンプ現象を含んだ低精度の測位結果である場合に、そのような低精度のWiFi測位結果が移動機10Aの位置情報として特定されることを防ぐことができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で以下のような様々な変形が可能である。
例えば、上記実施形態で説明した通信システム1,2に含まれる各装置は複数台の装置を組み合わせて構成されていてもよい。また、通信システム1,2に含まれる複数台の装置が1台の装置によって実現されていてもよい。
また、第1実施形態では、SLP20が位置情報特定装置として機能する場合について説明したが、移動機10とは異なる装置であって、SLP20とは異なる装置が位置情報特定装置としての機能を有していてもよい。
また、上記実施形態では、移動機10においてWiFi測位及びGPS測位を行う場合について説明したが、移動機10に係る測位の処理を移動機10とは異なる装置(例えば、無線通信網を提供する事業者側の測位用のサーバ)において行う構成としてもよい。
また、上記実施形態では、移動機に関して3種類の測位方法により測位を行う場合について説明したが、位置情報特定装置としての機能は、少なくとも2種類の測位方法により移動機の測位を行う場合に、適用することができる。また、位置情報特定装置としての機能は、4種類以上の測位方法により測位を行う場合にも適用できる。
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC ConnectionReconfiguration)メッセージなどであってもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT−Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
本明細書において特定の装置によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。例えば、特定の装置が基地局装置であった場合においては、当該基地局を有する1つまたは複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局および/または基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MMEまたはS−GWなどが考えられるが、これらに限られない)によって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MMEおよびS−GW)であってもよい。
情報等は、上位レイヤ(または下位レイヤ)から下位レイヤ(または上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
本明細書で使用する「システム」および「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスで指示されるものであってもよい。
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的なものではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本明細書で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素(例えば、TPCなど)は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的なものではない。
基地局は、1つまたは複数(例えば、3つ)の(セクタとも呼ばれる)セルを収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、および/または基地局サブシステムのカバレッジエリアの一部または全体を指す。さらに、「基地局」「eNB」、「セル」、および「セクタ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)、フェムトセル、スモールセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
移動機(移動通信端末)は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
参照信号は、RS(Reference Signal)と略称することもでき、適用される標準によってパイロット(Pilot)と呼ばれてもよい。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
本明細書で「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した場合においては、その要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1および第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
上記の各装置の構成における「部」を、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
「含む(include)」、「含んでいる(comprising)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本明細書において、文脈または技術的に明らかに1つのみしか存在しない装置である場合以外は、複数の装置をも含むものとする。
本開示の全体において、文脈から明らかに単数を示したものではなければ、複数のものを含むものとする。