JP6871399B2 - 水性組成物及び高分子化合物 - Google Patents
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Description
インクジェット記録方法は、印刷版を必要とせず、画像形成部のみにインクを吐出して記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率的に使用でき、ランニングコストが安い。更に、インクジェット記録方法は印刷装置も従来の印刷機に比べ比較的低コストで、小型化も可能であり、騒音も少ない。このように、インクジェット記録方法は他の画像記録方式に比べて種々の利点を兼ね備えている。
また、水性顔料分散物(水性インク)に係る分散剤として、例えば特許文献1には、側鎖にベンゼン環を有する構成単位を特定量と、側鎖に長鎖アルキル基を有する構成単位を特定量と、イオン性基を有する構成単位とを含有する高分子分散剤が記載されている。特許文献2によれば、この高分子分散剤と顔料とを水性溶媒中で混合して得た水性顔料分散物は、分散性と分散安定性を高いレベルで両立できるとされる。
他方、インクジェットインクに代表される水性インク組成物は、塩基性の水性媒体中において顔料等の分散性に優れること(すなわち、保存安定性、吐出性等に優れること)が求められる。この水性インク組成物は、酸処理等された記録媒体上に吐出されることにより、記録媒体上で顔料が凝集して所望の鮮明な画像部(印字部)が形成される。
しかし、この水性インク組成物の分散剤として、多官能チオールを用いて多分岐連結構造を導入した化合物を適用する場合には問題が生じる。多官能チオールとして商業的に入手可能な化合物は、その多くが、エステル結合を複数有する多価エステル化合物である。したがって、塩基性の水性媒体中ではこのエステル結合が加水分解を受け、水性媒体中で分散剤が分解してしまう。
そこで本発明は、エステル結合を有する多分岐連結構造を有しながらも、塩基性の水性媒体中でも加水分解を生じにくく、また、水性媒体中への顔料の分散剤として優れた特性を示す高分子化合物を提供することを課題とする。また本発明は、この高分子化合物を水性媒体中に含有する水性組成物を提供することを課題とする。
本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
〔1〕
水性媒体と、下記一般式(1)で表される高分子化合物とを少なくとも含有する水性組成物であって、
前記水性組成物が、前記水性媒体中に顔料が分散してなる水性顔料分散物である、水性組成物。
上記高分子化合物の酸価が0.5〜3.5mmol/gである、〔1〕記載の水性組成物。
〔3〕
上記酸基がカルボキシ基である、〔1〕又は〔2〕に記載の水性組成物。
〔4〕
上記P1のガラス転移温度が70℃以上である、〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の水性組成物。
〔5〕
上記P1のI/O値が0.4〜0.6である、〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の水性組成物。
〔6〕
〔1〕〜〔5〕のいずれか記載の水性組成物を用いた水性インク組成物。
〔7〕
上記水性インク組成物がインクジェット記録用である、〔6〕記載の水性インク組成物。
〔8〕
下記一般式(1)で表される高分子化合物。
本明細書において、各置換基の例として説明される各基の「基」は無置換の形態及び置換基を有する形態のいずれも包含する意味に用いる。例えば、「アルキル基」は置換基を有してもよいアルキル基を意味する。
本明細書において、「化合物」という語を末尾に付して呼ぶとき、あるいは化合物を特定の名称ないし化学式で示すときには、特に断わりのない限り、化合物そのものに加え、その塩、錯体、そのイオンを含む意味に用いる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両者を含む意味に用いる。このことは、「(メタ)アクリル酸」についても同様である。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の水性組成物は、水性媒体と、特定構造の高分子化合物とを少なくとも含有する。本発明の水性組成物において、上記高分子化合物は通常、水性媒体中に溶解した状態、又は分散された状態にある。
上記高分子化合物は、顔料等の分散剤として優れた特性を有する。すなわち、本発明の水性組成物は、好ましくは顔料を含有し、この顔料が上記高分子化合物の作用により水性媒体中に分散してなる水性顔料分散物である。この水性顔料分散物において、顔料は、その表面の少なくとも一部が上記特定構造の高分子化合物に覆われ、水性媒体中への安定的な分散が可能になる。
本発明の水性組成物はさらに、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。その他の成分の例としては、水溶性樹脂、水分散性樹脂、界面活性剤、pH調整剤、無機塩、有機塩等が挙げられる。
本発明の水性組成物を構成する各成分について詳説する。
本発明の水性組成物に用いる水性媒体(以下、水性媒体(a)という。)は、水、又は、水と水溶性有機溶媒との混合液である。
水の量に特に制限はなく、水の含有量は、水性組成物の全質量に対し、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が特に好ましい。上記水の含有量の上限は特に限定しないが、水性組成物の全質量に対し、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
また、ケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンが挙げられる。
エーテル化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びポリオキシプロピレングリセリルエーテルが挙げられる。
アミド化合物としては、例えば、ジメチルホルムアミド、及びジエチルホルムアミドが挙げられる。
ニトリル化合物としては、例えば、アセトニトリルが挙げられる。
スルホン化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、及びスルホランが挙げられる。
本発明に係る水性組成物は、水溶性有機溶媒を、1種単独で含有してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明に係る水性組成物が、水溶性有機溶媒を2種以上併用する場合、上記含有量は、水溶性有機溶媒の合計含有量をいう。
本発明の水性組成物中の水性媒体(a)の含有量は、50〜95質量%が好ましく、60〜90質量%がより好ましく、70〜90質量%がさらに好ましい。
本発明の水性組成物の好ましい実施形態においては、水性組成物は1種又は2種以上の顔料を水性媒体中に分散してなる水性顔料分散物である。
本発明の水性顔料分散物に用いられる顔料の種類に特に制限はなく、通常の有機又は無機顔料を用いることができる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、又は多環式顔料が好ましい。
アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料が挙げられる。
多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料が挙げられる。
染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートが挙げられる。
具体例としては例えば、Raven1250、Raven1200、Raven1190 ULTRA、Raven1170、Raven1255、Raven1080ULTRA、Raven1060ULTRA、Raven1040、Raven1035、Raven1020、Raven1000、Raven900、Raven890、Raven850、Raven780ULTRA、Raven860Ultra、Raven520、Raven500、Raven450、Raven460、Raven415、Raven14、Conductex7055 Ultra(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R、Regal330R、Regal660R、Mogul L、Black Pearls L、Regal99、Regal350、MONARCH280、MONARCH120(以上、キャボット社製)、Color Black S160、Color Black S170、Printex35、Printex U、Printex V、Printex140U、Printex140V、Printex300、Printex25、Printex200、PrintexA、PrintexG、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black4、Special Black550、Special Black 350、Special Black250、Special Black100、NEROX3500、NEROX1000、NEROX2500(以上、エボニックデグッサ社製)、No.10、No.20、No.25、No.33、No.40、No.45、No.47、No.52、No.85、No.95、No.260、MA7、MA8、MA11、MA77、MA100、MA220、MA230、MA600(以上、三菱化学社製)等を挙げることができる。但し、これらに限定されるものではない。
顔料分散物中の有機顔料及びカーボンブラックの粒径を200nm以下とすることにより、水性インク組成物に用いた際の色再現性が向上しうる。また、顔料分散物中の顔料の粒径を10nm以上とすることにより、水性インク組成物に用いた際の耐光性が向上しうる。
本発明の水性顔料分散物中に分散している無機顔料、特に白インクに使用される酸化チタンの粒径は、150〜400nmが好ましく、200〜300nmがより好ましい。
顔料分散物中の無機顔料の粒径、特に白インクに使用される酸化チタンの粒径を150nm以上とすることにより、水性インク組成物に用いた際の隠蔽性が向上しうる。また、顔料分散物中の無機顔料の粒径、特に酸化チタンの粒径を400nm以下とすることにより、水性インク組成物に用いた際の顔料の沈降性が向上しうる。
A1に含まれる炭化水素基は、鎖状でも環状でもよく、これらの組み合わせでもよい。また、炭化水素基が環状炭化水素の場合、脂肪族性でも芳香族性でもよい。
A1は、炭素数は4〜20の炭化水素基でもよく、この炭化水素基が2価の連結基を介して一般式(1)中の硫黄原子(S)に結合した形態でもよい。
A1が、上記の2価の連結基を介して硫黄原子に結合する形態である場合、この2価の連結基は、分子量が200以下が好ましく、10〜100がより好ましく、16〜80がさらに好ましい。この場合の好ましいA1の形態としては、例えば、[炭素数は4〜20の炭化水素基]−O−[アルキレン基]―、 [炭素数は4〜20の炭化水素基]−O−[アラルキレン基]―、[炭素数は4〜20の炭化水素基]−SO−[アルキレン基]―、[炭素数は4〜20の炭化水素基]−SO−[アラルキレン基]―、[炭素数は4〜20の炭化水素基]−SO2−[アルキレン基]―、[炭素数は4〜20の炭化水素基]−SO2−[アラルキレン基]―、[炭素数は4〜20の炭化水素基]−C(O)N−[アルキレン基]―、[炭素数は4〜20の炭化水素基]−C(O)N−[アラルキレン基]―を挙げることができる。
A1は、炭素数4〜20(好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数7〜18)の炭化水素基であることが好ましく、芳香族性の環状炭化水素基であることが特に好ましい。
R1の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
P1は、ポリマー構造が2価の連結基を介して一般式(1)中の硫黄原子(S)と結合した形態でもよい。この場合、P1を構成し得る上記の2価の連結基は、分子量が500以下が好ましく、10〜400がより好ましく、24〜300がさらに好ましい。この2価の連結基の例として、例えば、アルキレン基、ヒドロキシル基を有するアルキレン基、アラルキレン基、アルキレンオキシ基、アラルキレンオキシ基、−C(O)N−[アルキレン基]−、−C(O)N−[アラルキレン基]−、又は、これらの2種以上を組合せた2価の基が挙げられる。
P1は、ポリマー構造そのものであること(すなわち、上記の2価の連結基を有しないこと)が好ましい。この場合、P1と一般式(1)中の硫黄原子との結合が、エチレン性不飽和基とチオール基との間の反応連鎖移動(重合)反応により形成されていることが好ましい。
酸基の塩の形態に特に制限はない。酸基がプロトンを解離して塩の形態となる場合の対塩としては、アルカリ金属塩、又はアミン塩が好ましい。アルカリ金属塩の好ましい例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、及びセシウム塩が挙げられ、なかでもナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。
アミン塩を形成するアミン化合物の好ましい例は、一般式(3)で表わされる化合物である。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。また、上記アルキル基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよいが。直鎖状でありことが好ましい。
上記ヒドロキシアルキル基としては、アルキル基の炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。上記アルキル基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよいが。直鎖状でありことが好ましい。また、上記ヒドロキシアルキル基は、アルキル基の末端にヒドロキシ基を有する、ω−ヒドロキシアルキル基であることが好ましい。
上記アミン化合物としては、無機アミン化合物、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物のいずれであってもよいが、第2級アミン化合物又は第3級アミン化合物が好ましい。
水性顔料分散物の保存安定性の観点から、アミン化合物としては、アルカノールアミン化合物が好ましい。
アルカノールアミン化合物としては、モノアルカノールアミン化合物、ジアルカノールアミン化合物、トリアルカノールアミン化合物のいずれであってもよいが、水性顔料分散物の保存安定性の観点から、モノアルカノールアミン化合物又はジアルカノールアミン化合物が好ましい。
ジアルカノールアミン化合物としては、モノアルキルジアルカノールアミン化合物が好ましい。
アミン化合物の具体例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアミノエタノール、アミノメチルプロパンジオール(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパノール)、アミノエチルプロパンジオール(2−アミノ−2−エチル3−プロパノール)、及び、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールが挙げられる。
中でも、保存安定性の観点から、ジメチルアミノエタノール、アミノメチルプロパンジオール、又はアミノエチルプロパンジオールであることが好ましい。
P1が有するポリマー構造は、次の(i)及び(ii)を構成成分として有することが好ましく、より好ましくは、構成成分(i)と構成成分(ii)とから構成される。
但し、P1に含まれる構成成分(i)は、その少なくとも一部が塩の形態である。
−構成成分(i)−
(メタ)アクリル酸成分、クロトン酸成分、イタコン酸成分、マレイン酸成分、フマル酸成分、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート成分又は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸成分から選ばれる構成成分。
(なかでも構成成分(i)は、(メタ)アクリル酸成分、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸成分であることが好ましく、(メタ)アクリル酸成分であることがより好ましい。)
−構成成分(ii)−
(メタ)アクリル酸エステル成分、クロトン酸エステル成分、マレイン酸ジエステル成分、フマル酸ジエステル成分、イタコン酸ジエステル成分、(メタ)アクリル酸アミド成分、スチレン成分、ビニルエステル成分、ビニルエーテル成分、ビニルケトン成分、オレフィン成分、マレイミド成分、及び(メタ)アクリロニトリル成分から選ばれる構成成分
また、P1が有するポリマー構造は、酸基の塩として、クロトン酸成分の塩、マレイン酸成分の塩、フマル酸成分の塩、及びイタコン酸成分の塩から選ばれる、酸基の塩を含んでもよい。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここで、計算対象となる樹脂(P1)はi=1からnまでのn種のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。但し、Σはi=1からnまでの和をとる。なお、各モノマーの単独重合体のガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook (3rd Edition) (J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を採用する。これではモノマーの単独重合体のガラス転移温度の値(Tgi)が決定できなかった場合、国立研究開発法人物質・材料研究機構が公開している高分子データベース(PoLyInfo)に収録されているデータ(データ数が最も多い値)を採用する。それでもモノマーの単独重合体のガラス転移温度の値(Tgi)が決定できなかった場合、実測によって得られる測定Tgを適用する。測定Tgは例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220を用いて、昇温速度10℃/分で測定したときに、ガラス転移に伴いベースラインが変化しはじめる温度と、再びベースラインに戻る温度との平均として測定される。
P1のTgは70〜250℃が好ましく、90〜230℃がより好ましく、110〜200℃がさらに好ましく、130〜190℃がさらに好ましく、150〜180℃が特に好ましい。
P1のI/O値は次の方法によって求める。甲田善生著、有機概念図−基礎と応用−(1984)13ページ等に記載されている有機性(O値)、無機性(I値)を元に、P1を構成する各モノマーのI/O値を算出する。P1を構成する各モノマーについて、その「I/O値」と「P1中のモル%」の積を算出し、これらを合計して、少数点以下第3位を四捨五入したものをP1のI/O値とする。
ただし、各モノマーの無機性値の算出方法として、一般には2重結合を無機性2として加算するが、ポリマー化すると2重結合はなくなる。そのため、本発明におけるI/O値の決定においては、モノマーの無機性値として2重結合分を加算していない数値を用いた。また、酸基は塩については、解離性のプロトン性基に置き換えてそのI/O値を決定し、P1のI/O値を算出した。
P1のI/O値は0.45〜0.6がより好ましく、0.5〜0.55がさらに好ましい。
また、nは2〜9の整数であり、2〜8の整数が好ましく、2〜7の整数がより好ましく、3〜6の整数がさらに好ましい。
また、mとnは、3≦m+n≦10を満たし、4≦m+n≦8を満たすことが好ましく、4≦m+n≦7を満たすことがさらに好ましい。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL Super HZM−H、TSKgeL Super HZ4000、TSKgeL Super HZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)の3本を直列に接続し、溶離液としてNMP(N−メチルピロリドン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行なう。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
一般式(1)で表される高分子化合物の合成方法に特に制限はなく、例えば、特開2007−277514号公報に記載された方法に準じて、一般式(1)で表される高分子化合物を得ることができる。
一例として、ポリマー構造がエチレン性不飽和基のラジカル重合により生じるポリマー構造である場合について説明すると、炭素数4〜20の炭化水素基を含む基(A1)を2つ以上有しかつチオール基を有する化合物の存在下、所望のラジカル重合性モノマーをラジカル重合することにより得ることができる。A1を2つ以上有しかつチオール基を有する化合物は、下記一般式(2)で表される。
上記ラジカル重合反応は、溶媒中、ラジカル重合開始剤を添加して、40〜220℃で反応させることにより行うことができる。
上記溶媒は、化合物の溶解性を考慮して適宜に選択することができる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、トルエン等を用いることができ、これらの二種以上を混合して使用してもよい。
ラジカル重合開始剤としては2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4’−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルのようなアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシドのような過酸化物、および過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムのような過硫酸塩などが使用できる。
また、ラジカル発生剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4’−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチルのようなアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシドのような過酸化物、および過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムのような過硫酸塩などが使用できる。
本発明の水性組成物は、一般式(1)で表される高分子化合物を溶媒中に混合する工程を経て、調製される。本発明の水性組成物が水性顔料分散物の場合には、例えば、少なくとも水性媒体(a)と、顔料と、一般式(1)で表される高分子化合物(分散剤)とを混合し、必要により塩基性物質を含む水溶液を混合して分散処理することにより、本発明の水性顔料分散物を得ることができる。
本発明の水性インク組成物は、本発明の水性組成物ないし水性顔料分散物そのものでもよいが、通常は本発明の水性顔料分散物を原料として用いて調製される。より詳細には、少なくとも本発明の水性顔料分散物と、水性媒体(以下、水性媒体(b)という。)とを混合することにより、本発明の水性インク組成物を調製することが好ましい。本発明の水性インク組成物には、必要に応じて、界面活性剤、乾燥防止剤(膨潤剤)、着色防止剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘土調整剤、pH調製剤、キレート剤等の添加剤を混合してもよい。混合方法に特に制限はなく、通常用いられる混合方法を適宜に選択し、本発明の水性インク組成物を得ることができる。
また、本発明の水性インク組成物中に分散している有機顔料及びカーボンブラックの粒径は、80〜120nmであることが好ましく、90〜110nmであることがより好ましい。インク組成物中の顔料の粒径は体積平均粒径を意味し、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。また本発明の水性インク組成物中に分散している無機顔料、特に白インクに使用される酸化チタンの粒径は、180〜300nmが好ましく、200〜280nmがより好ましい。
上記界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用することができる。
上記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキシド付加物等を挙げることができ、これから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの化合物の市販品としては例えば、日信化学工業社のオルフィンE1010などのEシリーズを挙げることができる。
表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、水性インク組成物を用いて25℃の条件下で測定される。
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)[DPMP:堺化学工業(株)製]25.0g、及び1−オクタデセン24.2gを、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル104.8gに溶解させ、窒素気流下、80℃に加熱した。これにt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート[パーブチルO:日油(株)製]0.5とトリプロピレングリコールモノメチルエーテル10.0gを加え、窒素気流下、80℃で3時間加熱した。更に、温度を90℃へ昇温して2時間加熱した。次いで、室温まで冷却し、一般式(2)で表される化合物B−1の30質量%溶液を得た。
撹拌機、冷却管を備えた3口フラスコにジプロピレングリコール181gを加え、窒素気流下で85℃に加熱した。メタクリル酸メチル172g、メタクリル酸28g、化合物B−1の54.9g(30%溶液)を混合したモノマー溶液と、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート[パーブチルO:日油(株)製]6.1gをジプロピレングリコール41.8gに溶解させて得られた開始剤溶液とをそれぞれ調液した。上記3口フラスコにモノマー溶液を4時間、開始剤溶液を5時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに2時間反応させた後、95℃に昇温し、3時間加熱撹拌して未反応モノマーを全て反応させた。モノマーの消失は1H−NMRで確認した。
得られた反応溶液を70℃に冷却し、水酸化カリウム水溶液(濃度50%)29.2gを添加した後、プロピレングリコール261gを加えて撹拌し、下記構造の高分子化合物D−01の30質量%溶液を得た。下記構造中、mとnの数値は1分子中の数であり、ポリマー性基(P1)の構成単位に付された数値は各構成単位の重量%である。また、A1部分のメチレンに付された数値はメチレンの繰り返し数(炭素数)である。
得られた高分子化合物D−01の重量平均分子量(Mw)をGPC(ポリスチレン換算)で測定した結果、3.0万であった。
上記合成例1において、A1の由来として1−オクタデセンに代えて、下記構造のA1を導く化合物を用いたこと以外は、上記合成例1と同様にして高分子分散剤C−02〜05の30質量%溶液を得た。
上記合成例1において、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)に代えて、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)(合成例6)、又はトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(比較合成例1)を用い、また、A1の由来として1−オクタデセンに代えてα−メチルスチレンを使用して、下記に記載のnとmの比となるようにモル比を変更し、モノマーの種類と比率を変更したこと以外は、上記合成例1と同様にして高分子化合物D−06及びcD−1の30質量%溶液を得た。
上記合成例1において、A1の由来として1−オクタデセンに代えてα−メチルスチレンを使用して、下記に記載のnとmの比となるようにモル比を変更したこと以外は、上記合成例1と同様にして高分子化合物cD−2及びD−07〜D−09の30質量%溶液を得た。
上記合成例1において、A1の由来として1−オクタデセンに代えてα−メチルスチレンを使用し、また、使用するモノマーの種類と比率を変更したこと以外は、上記合成例1と同様にして高分子化合物D−10及び11の30質量%溶液を得た。
上記合成例1において、使用するモノマーの種類と比率を変更したこと以外は、上記合成例1と同様にして高分子化合物D−12〜D−14の30質量%溶液を得た。
上記合成例1において、A1の由来として1−オクタデセンに代えてイタコン酸を用い、また、使用するモノマーの種類を変更し、さらに、中和塩基として水酸化カリウムを添加せずに、プロピレングリコールで濃度を調整したこと以外は、上記合成例1と同様にして高分子化合物cD−3の30質量%溶液を得た。
上記各合成例で得た高分子化合物の溶液3.0gと、50mMリン酸バッファー(リン酸二水素ナトリウム2水和物0.5g、リン酸水素二ナトリウム3.1g、水500g)6.0gとを混合し、高分子化合物を含有する塩基性水溶液(pH8.5)を得た。この塩基性水溶液をサンプル瓶に詰めて密閉し、60℃で1週間静置した。その後、GPC測定して、下記式によりMw変化率を算出した。このMw変化率を下記評価基準に当てはめ、高分子化合物の保存安定性を評価した。
Mw変化率={[60℃に1週間静置後のMw]−[60℃に加熱する前(高分子化合物を含有する塩基性水溶液の調製直後)のMw)}/[60℃に加熱する前(高分子化合物を含有する塩基性水溶液の調製直後)のMw)}
<高分子化合物の保存安定性評価基準>
A+:Mw変化率が3%未満である。
A:Mw変化率が3%以上6%未満である。
B:Mw変化率が6%以上9%未満である。
C:Mw変化率が9%以上12%未満である。
D:Mw変化率が12%以上である。
結果を下表に示す。
<水性顔料分散物の調製>
ペイントシェーカー試験用分散機(東洋精機製作所社製)を使用し、下記の通り顔料分散物を調製した。
ガラス容器に、PR122顔料粉末(FUJI FAST RED 9800、マゼンタ、富士色素社製)7.5g、上記各合成例で得た高分子化合物の30質量%溶液9.85g、超純水31.7g、プロピレングリコール1.3gを入れた。更に、0.1mmφジルコニアビーズ(TORAY製トレセラムビーズ)120gを加えて、スパチュラで軽く混合した。
ガラス容器をペイントシェーカーに設置し、4時間かけて分散した。分散終了後、ろ布でろ過してビーズを取り除き、顔料濃度が15質量%の水性顔料分散物を得た。
上記で得られた水性顔料分散物をサンプル瓶に詰めて密閉し、60℃で48時間放置した後、顔料分散物の凝集及び増粘について、粘度の変化を指標にして評価した。
粘度は、TV−22型粘度計(東機産業(株)社製)を用い、25℃で測定した。
粘度の変化は下記式により算出した。算出値を下記評価基準に当てはめ、水性顔料分散物の保存安定性を評価した。
粘度変化=[60℃で48時間放置後の粘度]−[60℃に加熱する前の粘度]
−水性顔料分散物の保存安定性評価基準−
A:粘度変化が1mPa・s未満である。
B:粘度変化が1mPa・s以上4mPa・s未満である。
C:粘度変化が4mPa・s以上8mPa・s未満である。
D:粘度変化が8mPa・s以上である。
結果を下表に示す。
また、高分子化合物が一般式(1)におけるP1部位に酸基の塩を有しない場合には水性媒体中に溶解させることができなかった(cD−3、cD−5)。
また、P1部位に酸基の塩を導入した場合であっても、A1部位に炭素数4〜20の炭化水素基を導入せずに極性の高い基を導入した高分子化合物は、水性媒体中で分解されやすく、高分子化合物の保存安定性に劣る結果となった。また、この高分子化合物は、顔料の分散剤としての特性にも劣っていた(cD−4)。
これに対し、本発明の高分子化合物は、いずれも塩基性の水性媒体中への溶解性に優れ、また、この水性媒体中で加水分解されにくく、保存安定性にも優れていた。さらに、本発明の高分子化合物を用いた顔料分散物もまた、分散安定性に優れていた(D−01〜D−14)。
<樹脂微粒子の合成>
−重合反応−
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコ(反応容器)に、メチルエチルケトン293.0gを入れて、80℃まで昇温した。反応容器内温度を80℃に保ちながら、メチルメタクリレート180g、イソボルニルメタクリレート90.0g、メタクリル酸30.0g、メチルエチルケトン48g、及び重合開始剤「V−601」(和光純薬(株)製)1.25gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、1時間攪拌した。
次いで、「V−601」0.60g、メチルエチルケトン5.0gからなる溶液を加え、2時間攪拌した。この工程を4回繰り返し、さらに「V−601」0.60g、メチルエチルケトン5.0gからなる溶液を加え、3時間攪拌した。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は62000であった。
次に、上記共重合溶液588.2gを秤量し、イソプロパノール165g、20質量%マレイン酸水溶液2.0g、1モル/LのNaOH水溶液140.1mLを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に蒸留水718gを20mL/minの速度で滴下し、水分散化せしめた。その後、大気圧下にて、反応容器内温度を80℃として2時間、次いで反応容器内温度を85℃として2時間、さらに反応容器内温度を90℃として2時間保って溶媒を留去した。その後、反応容器内を減圧して、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を留去し、固形分濃度25.0質量%の自己分散性樹脂微粒子の水性分散物を得た。尚、得られた樹脂微粒子の体積平均粒子径は4nm(体積平均粒子径はマイクロトラックUPA EX−150(日機装(株)製)で測定した)であった。
下記配合比(単位:質量部)で各成分を混合し、水性インクを調液した。調液後、1μmフィルターで粗大粒子を除去し、水性インク組成物としてのマゼンタインクを調製した。
上記と同様にして調製した水性顔料分散物: 33.0質量部
上記で調製した樹脂微粒子: 6.0質量部
グリセリン: 3.0質量部
プロピレングリコール: 5.0質量部
トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤社製): 2.0質量部
ポリオキシプロピレングリセリルエーテル(三洋化成工業社製): 5.0質量部
オルフィンE1010: 界面活性剤(日信化学工業社製): 0.3質量部
オルフィンE1020: 界面活性剤(日信化学工業社製): 1.0質量部
イオン交換水 残量(合計が100質量部となるように配合)
また、表面張力は、協和界面科学社製CBVP−Zを用いて、白金プレート法で測定した。上記で調製したマゼンタインクの表面張力は、いずれも20〜60mN/mの範囲内にあった。
下記配合比で各成分を混合し、酸処理液(酸処理剤)を得た。
得られた酸処理液の物性は、粘度4.5mPa・s(25℃)、表面張力41.0mN/m(25℃)、pH0.1(25℃)であった。
ここで、粘度、表面張力、及びpHは、それぞれ、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学社製)、及びpHメーターWM−50EG(東亜DDK社製)を用いて測定した。
TPGmME(トリプロピレングリコールモノメチルエーテル) 4.8質量部
DEGmBE(ジエチレングリコールモノブチルエーテル) 4.8質量部
マロン酸 16.0質量部
リンゴ酸 7.8質量部
プロパントリカルボン酸 3.5質量部
リン酸85質量%水溶液 15.0質量部
消泡剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製TSA−739(15%);エマルジョン型シリコーン消泡剤)
シリコーンオイルの量として 0.07質量部
イオン交換水 残量(合計が100質量部となるように配合)
特菱アート両面N(記録媒体、三菱製紙製)を500mm/秒で稼動するステージ上に固定し、処理液をワイヤーバーコーターで約1.7g/m2となるように塗布し、直後に50℃で2秒間乾燥させた。その後、走査方向に対して斜めに配置して固定してあるリコー社製GELJET GX5000プリンターヘッドで解像度1200×1200dpi、打滴量3.5pL、ライン方式で、各マゼンタインクによりマゼンタ色のベタ画像を印字した。印字直後、60℃のホットプレート上に画像形成面を上にして載せて、すぐにドライヤーを用いて120℃の温風で5秒乾燥させ、印字サンプルとした。
印字サンプルを3cm四方のサイズで2枚に裁断した。次に2枚の印画面同士が向かい合うように、4角を合わせて重ねた。これを、60℃、50%RHの環境条件下において、50℃のホットプレート上に載置した。その上に2.5cm×2.5cmの面を紙側に向けて2.5cm×2.5cm×0.3cmの平板のゴム版を置き、さらにその上に2.5cm×2.5cmの面をゴム版に向けて2.5cm×2.5cm×0.3cmの平板のプラスチック版を置いた。プラスチック版の上に500gのビーズ入りの容器を載せて60分静置した後、重ねあわせた2枚の紙を剥がして、下記評価基準に従って耐ブロッキング性を評価した。
A:自然に剥がれた。または、剥がすときに抵抗があったが、印字部分の色移りはなかった。
B:印字面の面積の10%未満の範囲に色移りが認められたが、実用上問題のないレベルであった。
C:印字面の面積の10%以上の範囲に色移りが認められたが、実用上許容できるレベルであった。
耐ブロッキング性の評価結果を表1に示した保存安定性の結果と併せて下表に示す。
Claims (8)
- 前記高分子化合物の酸価が0.5〜3.5mmol/gである、請求項1記載の水性組成物。
- 前記酸基がカルボキシ基である、請求項1または2に記載の水性組成物。
- 前記P1のガラス転移温度が70℃以上である、請求項1〜3記載のいずれか1項記載の水性組成物。
- 前記P1のI/O値が0.4〜0.6である、請求項1〜4のいずれか1項記載の水性組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項記載の水性組成物を用いた水性インク組成物。
- 前記水性インク組成物がインクジェット記録用である、請求項6記載の水性インク組成物。
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