JP6870396B2 - コークス炉の炉体設備における火入れ時の炉体乾燥方法及びバーナー - Google Patents
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なお、非特許文献1には、炉蓋に設置した仮設バーナーを用いてコークス炉の乾燥を行うことが開示されている。
ここで、短炎化バーナーとして構造がシンプルなガスバーナーの場合、例えば特許文献3,4に示す構造のものが提案されている。
このため、乾燥初期では、燃料の供給量が極めて少なく、これに伴い空気比が大きくなる。一方、乾燥後半では、燃料の供給量が多くなり空気比が小さくなる。具体的にはCOGを燃料とした場合、乾燥初期と乾燥後半とで、燃料の供給量が50倍程度変化し、空気比も30倍程度変化することになる。
このように、従来では、コークス炉の炉体乾燥に適した短炎化バーナーは提供されておらず、コークス炉の炉体乾燥には多くの時間を要していた。
さらに、内管の外径dと前記外管の内径Dとの比D/dが2.5以上とされているので、外管内を流れる空気の流速が抑えられ、燃料供給量が少ない場合でも小孔から噴出された燃料の燃焼による炎が消えることを抑制できる。
また、前記内管は、その先端面が閉止されるとともに先端側の側壁に複数の小孔が設けられているので、燃焼フレームの短炎化を図ることができる。
また、燃焼フレームの短炎化が図られているので、燃焼フレームによって直接炭化室の炉壁を加熱することを抑制して、仮設バーナーの燃焼排ガスの顕熱によって炭化室の炉壁を加熱乾燥することができ、炭化室の奥行き方向における温度偏差の発生を抑制することができる。これにより、昇温速度の管理を炭化室全体の適正な温度に応じて行うことができ、火入れ時の炉体乾燥の乾燥期間の短縮を図ることができる。また、局所的に高温になる部分が存在しないため、炭化室の炉壁を構成する耐火煉瓦の亀裂の発生を抑制することができる。
さらに、小孔の開口径が3mm以上8mm以下とされているので、小孔の開口部近傍に煤が付着し閉塞することを抑制でき、安定して燃焼を噴出して燃焼させることができる。また、小孔の個数が10個以上30個以下とされているので、燃焼供給量が多い場合でも、良好に燃料を噴出して燃焼させることができる。
この場合、前記外管の外周に沿って2次空気を自然供給する2次空気流路を備えているので、この2次空気によって仮設バーナーの過熱を抑制することができ、長期間安定して稼働させることができる。
さらに、内管の外径dと前記外管の内径Dとの比D/dが2.5以上とされているので、外管内を流れる空気の流速が抑えられ、燃料供給量が少ない場合でも小孔から噴出された燃料の燃焼による炎が消えることを抑制できる。
また、前記内管は、その先端面が閉止されるとともに先端側の側壁に複数の小孔が設けられているので、燃焼フレームの短炎化を図ることができる。
さらに、空気を自然供給する構成とされているので、構造が非常に簡易であり、仮設のバーナーとして特に適している。
本実施形態であるコークス炉1は、図1に示すように、並列された複数の炭化室10を備えており、隣接する2つの炭化室10の間に、燃焼室20が配置されている。
そして、図2に示すように、並列する炭化室10及び燃焼室20の下方側に、蓄熱室30が配設されている。
また、炭化室10は、並列する炭化室10の間に設けられた燃焼室20からの熱を効率的に石炭へと伝達するために、炭化室10の一対の炉壁(燃焼室20側に位置する炉壁)の距離が比較的短くされている。すなわち、炭化室10の炉幅が狭くされているのである。
蓄熱室30は、燃焼室20に対して燃焼ガス及びエアを導入するとともに、燃焼室20内の排ガスが排出される構成とされており、図2に示すように、燃焼ガス及びエアの供給管5及び煙道7に接続されている。
コークス炉1の炉体設備の乾燥は、図3に示すように、炭化室10の炉蓋から仮設バーナー40を挿入し、この仮設バーナー40の燃焼排ガスを炭化室10から燃焼室20及び蓄熱室30を含む炉体設備全体に導入することで実施される。
この仮設バーナー40は、燃料Eが供給される内管41と、1次空気A1が自然供給される外管43と、を備えた二重管構造とされている。本実施形態では、外管43とバーナータイル48の間に、2次空気A2が導入される2次空気流路49が形成されている。
なお、本実施形態では、図4に示すように、小孔42を千鳥配置で形成しており、小孔42が形成される領域Sは、内管41の先端から100mm以上300mm以下の範囲内とされている。
そして、内管41の外径dと外管43の内径Dとの比D/dが2.5以上、望ましくは3以上とされており、1次空気流路45の流路面積が確保されている。なお、本実施形態では、内管41の外径dが40mm以上60mm以下の範囲内、外管43の内径Dが130mm以上200mm以下の範囲内とされている。
このとき、乾燥時の温度管理は、珪石煉瓦の相転移に伴う体積変化に起因する亀裂の発生を抑制するために、炭化室10の炉壁のうち最も高温となる領域の温度を監視することになる。
さらに、内管41の外径dと外管43の内径Dとの比D/dが2.5以上とされているので、内管41の外周面と外管43の内周面との間に形成された1次空気流路45を流れる1次空気A1の流速が抑えられ、燃料供給量が少ない場合でも小孔42から噴出された燃料Eの燃焼による炎が消えることを抑制できる。
よって、広い燃焼負荷範囲においても燃焼が安定していることから、乾燥の初期段階から後半段階にわたって、安定して乾燥を行うことができる。
特に、本実施形態では、内管41の先端位置は、外管43の先端位置よりも後退しており、その後退距離Hが、150mm以上600mm以下の範囲内とされているので、燃焼フレームのさらなる短炎化を図ることができる。
これにより、昇温速度の管理を炭化室10全体の適正な温度に応じて行うことができ、火入れ時の炉体乾燥の乾燥期間の短縮を図ることができる。また、炭化室10の炉壁の耐火煉瓦の亀裂の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、小孔の42個数が10個以上30個以下とされているので、燃焼供給量が多い場合でも、良好に燃料Eを噴出して燃焼させることができる。
また、本実施形態では、小孔42を千鳥配置で形成しており、小孔42が形成される領域Sは、内管41の先端から100mm以上300mm以下の範囲内と比較的広い範囲とされているので、燃焼供給量が多い場合でも、安定して燃料Eを燃焼させることができる。
また、本実施形態においては、仮設バーナー40が、1次空気A1及び2次空気A2が自然供給される構造とされていることから、構造が非常に簡易であり、仮設のバーナーとして特に適している。
例えば、本実施形態では、内管に小孔を千鳥配置で設ける構成として説明したが、これに限定されることはなく、小孔の配置に特に限定はない。
また、本実施形態では、外管の先端が炉壁の煉瓦先端よりも突出する構成として説明したが、これに限定されることはなく、外管の先端が炉壁の煉瓦先端位置と一致していてもよい。
従来例として、非特許文献1に記載されたような炉蓋に設置した従来の仮設バーナーを用いて炉体の乾燥を実施した。
一方、本発明例として、実施の形態で説明した仮設バーナーを用いて、炉体の乾燥を実施した。
このときの炉体の管理温度の推移を図5に示す。
以上のことから、本発明例によれば、仮設バーナーで加熱する場合であっても、炭化室の奥行き方向における温度偏差の発生を抑制し、昇温速度の調整を適正に行うことで、乾燥期間の短縮を図ることが可能であることが確認された。
10 炭化室
11 炉壁
20 燃焼室
30 蓄熱室
40 仮設バーナー(バーナー)
41 内管
42 小孔
43 外管
Claims (3)
- 蓄熱室の上部に燃焼室と炭化室とが交互に配列された構造を有するコークス炉の炉体設備における火入れ時の炉体乾燥方法であって、
前記炭化室に仮設バーナーを設置し、前記仮設バーナーの燃焼排ガスを、前記炭化室から前記燃焼室及び前記蓄熱室を含む炉体全体に導いて前記炉体設備を乾燥する構成とされており、
前記仮設バーナーは、燃料が供給される内管と、空気が自然供給される外管と、を備えた二重管構造とされ、前記内管は、その先端面が閉止されるとともに先端側の側壁に複数の小孔が設けられ、前記内管の外径dと前記外管の内径Dとの比D/dが2.5以上とされており、
前記仮設バーナーの前記内管に設けられた前記小孔の開口径が3mm以上8mm以下とされ、前記小孔の個数が10個以上30個以下とされていることを特徴とするコークス炉の炉体設備における火入れ時の炉体乾燥方法。 - 前記仮設バーナーは、前記外管の外周側から2次空気を自然供給する2次空気流路を備えていることを特徴とする請求項1に記載のコークス炉の炉体設備における火入れ時の炉体乾燥方法。
- 請求項1又は請求項2に記載されたコークス炉の炉体設備における火入れ時の炉体乾燥方法において仮設バーナーとして用いられるバーナーであって、
燃料が供給される内管と、空気が自然供給される外管と、を備えた二重管構造とされ、前記内管は、その先端面が閉止されるとともに先端側側壁に複数の小孔が設けられており、前記内管の外径dと前記外管の内径Dとの比D/dが2.5以上とされており、
前記内管に設けられた前記小孔の開口径が3mm以上8mm以下とされ、前記小孔の個数が10個以上30個以下とされていることを特徴とするバーナー。
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