JP6870369B2 - 潤滑剤 - Google Patents

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Description

本発明は、高温下においても使用可能な潤滑剤に関し、さらに詳しくは、耐蒸発性、耐熱性、防錆性、摩耗抑制性(対象材の摩耗を抑制できること)、および摩耗粉分散性(摩耗が発生した場合でも摩耗粉の分散性に優れるものであり、これにより、対象材の損傷を適切に抑制することができること)に優れ、高温下においても好適に使用可能な潤滑剤に関する。
従来、機械装置、動力伝達装置、金属加工油、グリースなどに用いられる潤滑剤としては、石油由来の鉱油が一般的に用いられており、通常は、複数種類の鉱油のうち、目的とする特性に近い鉱油を基油として選択し、これに必要に応じて、他の鉱油を組み合わせたものが用いられている。このような鉱油を用いた潤滑剤においては、鉱油自体を改良する方法の他、添加剤を配合することにより各種特性の向上が行われている(たとえば、特許文献1参照)。
しかしながら、鉱油を用いた潤滑剤は耐熱性が十分でなく、そのため、高温環境下で使用した場合に、分解により蒸気が発生することで徐々に揮発してしまったり、あるいは、分解物により錆が生じたり、さらにはこれらによって、対象材の摩耗が発生しまい、摩耗により生じた摩耗粉が凝集することで、対象材を顕著に損傷させてしまうという問題があり、そのため、鉱油を用いた潤滑剤は、200〜300℃のような高温条件下において、安定的に使用できるものではなかった。このような状況に対し、鉱油を用いた潤滑剤に代わる、高温下でも使用可能な、蒸気圧の極めて低い材料からなる潤滑剤が求められている。
特開2011−57762号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、耐蒸発性、耐熱性、防錆性、摩耗抑制性(対象材の摩耗を抑制できること)、および摩耗粉分散性(摩耗が発生した場合でも摩耗粉の分散性に優れるものであり、これにより、対象材の損傷を適切に抑制することができること)に優れ、高温下においても好適に使用可能な潤滑剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する潤滑剤によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する潤滑剤が提供される。
本発明の潤滑剤において、前記カチオン性基を有するポリエーテル化合物が、下記一般式(1)で表される単量体単位からなるものであることが好ましい。
Figure 0006870369
(上記一般式(1)中、Aは、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、Xは、任意の対アニオンを表し、Rは非イオン性基を表し、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であり、n+mが5〜1000の整数である。)
また、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の潤滑剤としての使用が提供される。
本発明によれば、耐蒸発性、耐熱性、防錆性、摩耗抑制性および摩耗粉分散性に優れ、高温下においても好適に使用可能な潤滑剤を提供することができる。
本発明の潤滑剤は、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有するものである。
まず、本発明の潤滑剤を構成する、カチオン性基を有するポリエーテル化合物について説明する。
<カチオン性基を有するポリエーテル化合物>
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、オキシラン構造を含有する化合物のオキシラン構造部分が開環重合することにより得られる単位である、オキシラン単量体単位を主鎖として含んでなるポリエーテル化合物であって、その分子中にカチオン性基を有するものである。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を形成する、オキシラン単量体単位の具体例としては、エチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位、1,2−ブチレンオキシド単位などのアルキレンオキシド単量体単位;エピクロロヒドリン単位、エピブロモヒドリン単位、エピヨードヒドリン単位などのエピハロヒドリン単量体単位;アリルグリシジルエーテル単位などのアルケニル基含有オキシラン単量体単位;フェニルグリシジルエーテル単位などの芳香族エーテル基含有オキシラン単量体単位;グリシジルアクリレート単位、グリシジルメタクリレート単位などの(メタ)アクリロイル基含有オキシラン単量体単位;などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、2種以上のオキシラン単量体単位を含有するものであってもよく、この場合においては、それら複数の繰り返し単位の分布様式は特に限定されないが、ランダムな分布を有していることが好ましい。
また、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物は、オキシラン単量体単位のうち少なくとも一部として、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位を含有する。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物に含有させることのできるカチオン性基としては、特に限定されないが、潤滑剤の耐蒸発性、耐熱性、防錆性、摩耗抑制性および摩耗粉分散性を高めることができるという観点から、周期表第15族または第16族の原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることが好ましく、窒素原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることがより好ましく、窒素原子含有芳香族複素環中の窒素原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることがさらに好ましく、イミダソリウム環中の窒素原子がオニウムカチオン構造を形成したカチオン性基であることが特に好ましい。
カチオン性基の具体例としては、アンモニウム基、メチルアンモニウム基、ブチルアンモニウム基、シクロヘキシルアンモニウム基、アニリニウム基、ベンジルアンモニウム基、エタノールアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、ジブチルアンモニウム基、ノニルフェニルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、n−ブチルジメチルアンモニウム基、n−オクチルジメチルアンモニウム基、n−ステアリルジメチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、トリビニルアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基、N,N−ジメチルエタノールアンモニウム基、トリ(2−エトキシエチル)アンモニウム基等のアンモニウム基;ピペリジニウム基、1−ピロリジニウム基、1−メチルピロリジニウム基、イミダゾリウム基、1−メチルイミダゾリウム基、1−エチルイミダゾリウム基、ベンズイミダゾリウム基、ピロリウム基、1−メチルピロリウム基、オキサゾリウム基、ベンズオキサゾリウム基、ベンズイソオキサゾリウム基、ピラゾリウム基、イソオキサゾリウム基、ピリジニウム基、2,6−ジメチルピリジニウム基、ピラジニウム基、ピリミジニウム基、ピリダジニウム基、トリアジニウム基、N,N−ジメチルアニリニウム基、キノリニウム基、イソキノリニウム基、インドリニウム基、イソインドリウム基、キノキサリウム基、イソキノキサリウム基、チアゾリウム基等のカチオン性の窒素原子を含有する複素環を含んでなる基;トリフェニルホスホニウム塩、トリブチルホスホニウム基等のカチオン性のリン原子を含んでなる基;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、1−メチルピロリジニウム基、イミダゾリウム基、1−メチルイミダゾリウム基、1−エチルイミダゾリウム基、ベンズイミダゾリウム基等のカチオン性の窒素原子を含有する複素環を含んでなる基が好ましい。なお、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中、含有するカチオン性基は、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
また、カチオン性基は、通常、対アニオンを有するものであるが、その対アニオンとしては特に限定されないが、たとえば、Cl、Br、Iなどのハロゲン化物イオンや(FSO、(CFSO、(CFCFSOなどのスルホニルイミド化物イオン、さらには、OH、SCN、BF 、PF 、ClO 、CHSO 、CFSO 、CFCOO、PhCOOなどを挙げることができる。これら対アニオンは、潤滑剤として必要となる特性に応じて適宜選択すればよい。なお、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物中、対アニオンは、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上のアニオンを含有するような態様であってもよい。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物においては、ポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位のうち、その少なくとも一部がカチオン性基を有するオキシラン単量体単位であればよく、たとえば、ポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位の全てがカチオン性基を有するものであってもよく、あるいは、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位およびカチオン性基を有しないオキシラン単量体単位が混在するものであってもよい。本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物において、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合は、特に限定されず、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成するオキシラン単量体単位全体に対して、1モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、30モル%以上が特に好ましい。なお、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合の上限は、特に限定されない。カチオン性基を有するオキシラン単量体単位が占める割合を上記範囲とすることにより、潤滑剤としての熱安定性をより優れたものとすることができる。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造としては特に限定されないが、下記一般式(1)で表される単量体単位からなるものであることが好ましい。
Figure 0006870369
(上記一般式(1)中、Aは、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、Xは、任意の対アニオンを表し、Rは非イオン性基を表し、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であり、n+mが5〜1000の整数である。)
上記一般式(1)中、Aは、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、カチオン性基の具体例としては、上述したものが挙げられ、また、カチオン性基含有基としては、上述したカチオン性基を含有する基が挙げられる。なお、上記一般式(1)中、Aで表されるカチオン性基またはカチオン性基含有基は、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
上記一般式(1)中、Xは、任意の対アニオンを表し、たとえば、対アニオンの具体例としては、上述したものが挙げられる。なお、上記一般式(1)中、Xで表される対アニオンは、全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上のアニオンを含有するような態様であってもよい。
上記一般式(1)中、Rは、非イオン性基であり、非イオン性の基であれば特に限定されない。Rとしては、たとえば、水素原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜10のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜20のシクロアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等の炭素数6〜20のアリール基;等が挙げられる。
これらのうち、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、および炭素数6〜20のアリール基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。
置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基等の炭素数2〜6のアルケニルオキシ基;フェニル基、4−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メトキシフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチルカルボニル基、エチルカルボニル基等の炭素数1〜6のアルキルカルボニル基;アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の(メタ)アクリロイルオキシ基;等が挙げられる。なお、上記一般式(1)中、Rで表される非イオン性基が複数ある場合は、それらは全て同じものであってもよいし、異なる2種類以上の基を含有するような態様であってもよい。
また、上記一般式(1)中、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であればよいが、nは、2〜1000の整数であることが好ましく、5〜200の整数であることがより好ましく、10〜100の整数であることがさらに好ましい。また、mは、0〜998の整数であることが好ましく、0〜195の整数であることがより好ましく、0〜90の整数であることがさらに好ましい。また、n+mは、5〜1000の整数であり、5〜200の整数であることが好ましく、10〜100の整数であることがより好ましい。上記一般式(1)中、n、m、n+mを適切に調整することにより、潤滑剤としての流動性を適切に調整することができる。n+mが小さすぎると、潤滑剤としての流動性が高くなり過ぎてしまい、高温における潤滑作用が低下してしまうおそれがある。一方、n+mが高すぎると、流動性が劣り取扱い性が低下してしまうおそれがある。
なお、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造が、上記一般式(1)で表される単量体単位からなるものである時、重合体鎖末端は、特に限定されず、任意の基とすることができる。重合体鎖末端基としては、たとえば、上述したカチオン性基、水酸基、または水素原子などが挙げられる。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、500〜400,000であることが好ましく、1,000〜80,000であることがより好ましく、2,000〜40,000であることがさらに好ましい。また、本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜2.0である。カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量および分子量分布を適切に調整することにより、潤滑剤としての流動性を適切に調整することができる。なお、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量および分子量分布は、後述する実施例に記載の方法で求めることができる。また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の分子量分布は、カチオン性基を導入する前のベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の分子量分布から変化していないものとして取り扱うことができる。
本発明で用いるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の合成方法は、特に限定されず、目的とする化合物を得られるものである限りにおいて、任意の合成方法を採用することができる。合成方法の一例を示すと、まず、以下の(A)または(B)の方法により、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)を得る。
(A)エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどのエピハロヒドリンを少なくとも含む、オキシラン単量体を含有する単量体を、触媒として、特開2010−53217号公報に開示されている、周期表第15族または第16族の原子を含有する化合物のオニウム塩と、含有されるアルキル基が全て直鎖状アルキル基であるトリアルキルアルミニウムとを含んでなる触媒との存在下で開環重合することにより、ベースポリマーを得る方法。
(B)エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリンなどのエピハロヒドリンを少なくとも含む、オキシラン単量体を含有する単量体を、特公昭46−27534号公報に開示されている、トリイソブチルアルミニウムにリン酸とトリエチルアミンを反応させた触媒の存在下で開環重合することにより、ベースポリマーを得る方法。
そして、上記(A)または(B)の方法において得られたベースポリマーに、イミダゾール化合物などのアミン化合物を反応させることにより、ベースポリマーのエピハロヒドリン単量体単位を構成するハロゲン基をオニウムハライド基に変換して、さらに必要に応じて、オニウムハライド基を構成するハロゲン化物イオンを、アニオン交換反応を行うことにより、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を得ることができる。
<潤滑剤>
本発明の潤滑剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有するものであり、本発明の潤滑剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物のみからなるもの(すなわち、カチオン性基を有するポリエーテル化合物100重量%であるもの)であってもよいし、あるいは、カチオン性基を有するポリエーテル化合物以外の成分を含有するものであってもよい。本発明の潤滑剤中における、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有割合は、本発明の潤滑剤全体100重量%に対して、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。カチオン性基を有するポリエーテル化合物の含有割合を上記範囲とすることにより、カチオン性基を有するポリエーテル化合物による効果、すなわち、耐蒸発性、耐熱性、防錆性、摩耗抑制性および摩耗粉分散性の向上効果をより高めることができる。
また、本発明の潤滑剤が、カチオン性基を有するポリエーテル化合物以外の成分を含有する場合における、カチオン性基を有するポリエーテル化合物以外の成分としては、特に限定されないが、潤滑剤に添加される通常の添加剤が挙げられる。このような添加剤としては、たとえば、酸化防止剤、耐荷重添加剤、金属腐食防止剤、極圧剤、清浄分散剤、消泡剤、錆止め剤、増ちょう剤などが挙げられる。
増ちょう剤としては、特に限定されないが、たとえば、グリースの増ちょう剤として使用されているものを好適に用いることができる。具体的には、リチウム石けん、カルシウム石けん、ナトリウム石けんなどの石けん系増ちょう剤;リチウムコンプレックス石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウムコンプレックス石けん、カルシウムスルホネートコンプレックス石けんなどのコンプレックス石けん系増ちょう剤;ジウレア、テトラウレアなどのウレア系増ちょう剤;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、メラミンシアヌレート(MCA)などの有機系増ちょう剤;などを用いることができる。増ちょう剤を含有させることにより、本発明の潤滑剤を半固体状とすることができる。
また、本発明の潤滑剤には、添加剤以外にも、本発明の作用効果を損なわない範囲において、鉱油などの一般的な潤滑油の基油;イオン液体などの塩化合物;などを配合してもよい。本発明の潤滑剤中における、カチオン性基を有するポリエーテル化合物以外の配合剤の配合量は、潤滑剤全体100重量%に対して、好ましくは90重量%以下、より好ましくは50重量%以下であり、さらに好ましくは30重量%以下である。
本発明の潤滑剤は、上述したカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有するものであるため、このようなカチオン性基を有するポリエーテル化合物の作用により、耐蒸発性、耐熱性、防錆性、摩耗抑制性(対象材の摩耗を抑制できること)、および摩耗粉分散性(摩耗が発生した場合でも摩耗粉の分散性に優れるものであり、これにより、対象材の損傷を適切に抑制することができること)に優れ、そのため、高温下(好ましくは、200℃以上の環境下、より好ましくは350℃以上の環境下)においても好適に使用可能なものである。そのため、本発明の潤滑剤は、宇宙ステーションなどの宇宙空間で使用する装置やスパッタリング装置などの真空装置、半導体装置などの高真空下または超高真空下、さらには、最高温度が200〜400℃に達するような装置または機械などにおいて好適に用いることができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記に従った。
(1)数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)
ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算値として測定した。なお、測定器としてはHLC−8320(東ソー社製)を用い、カラムはTSKgel SuperMultiporeHZ−H(東ソー社製)4本を直列に連結して用い、検出器は示差屈折計RI−8320(東ソー社製)を用いた。
また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、次のように求めた。すなわち、まず、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の繰り返し単位の平均分子量と、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の平均分子量、および下記(2)により求めたカチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率とから、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成する、全ての繰り返し単位の平均分子量を求めた。そして、ベースポリマー(カチオン性基を有しないポリエーテル化合物)の繰り返し単位数と、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を構成する、全ての繰り返し単位の平均分子量とを乗じることにより得られた値を、カチオン性基を有するポリエーテル化合物の数平均分子量とした。
(2)カチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造およびカチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率
カチオン性基を有するポリエーテル化合物の構造、およびカチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、以下のように測定した。すなわち、まず、試料となるカチオン性基を有するポリエーテル化合物30mgを、1.0mLの重クロロホルムまたは重ジメチルスルホキシドに加え、1時間振蕩することにより均一に溶解させた。そして、得られた溶液についてNMR測定を行って、H−NMRスペクトルを得て、定法に従いポリエーテル化合物の構造を帰属した。
また、カチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率は、次の方法により算出した。すなわち、まず、主鎖のオキシラン単量体単位に由来するプロトンの積分値から全オキシラン単量体単位のモル数B1を算出した。次に、カチオン性基に由来するプロトンの積分値から、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位のモル数B2を算出した。そして、B1に対するB2の割合(百分率)を、カチオン性基を有するポリエーテル化合物中の、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位の含有率として求めた。
(3)5%質量減少温度
潤滑剤試料に対し、示差熱分析装置を用い、10℃/minの速度にて昇温し、初期質量から5質量%減少した温度を測定した。5%質量減少温度が高いほど、潤滑剤としての耐蒸発性に優れるといえる。
(4)耐熱性試験
JIS K2540−2000の装置仕様に準拠して、下記の条件にて、潤滑剤としての耐熱性の測定を行った。具体的には、試験容器に潤滑剤試料20gをはかり採り、予め温度を250℃に調節した恒温空気浴内の回転盤上に、試験容器を置いた後、扉を閉じて回転盤を回転させた。そして、潤滑剤試料の温度が試験温度である250℃に達してから24時間、250℃にて加熱保持した。24時間の加熱後、試験容器を取り出し、暗所で室温まで放冷して,潤滑剤試料および試験容器底部における析出物(酸化劣化により生じた析出物)の有無を透視して、以下の基準で耐熱性の評価を行った。
○:析出物が確認できなかった。
×:析出物が目視で確認できた。
(5)防錆性評価
JIS K2513に準拠して、研磨した3種類のSUS板(材質SUS303、SUS304、SUS420)および研磨した銅板(材質C1100P)を用いて、これらに対する、潤滑剤としての防錆性を評価した。具体的には、各金属板(3種類のSUS板および銅板)を潤滑剤試料に浸漬した容器を、温度200℃の循風乾燥器中で1週間保管した後の各金属板表面の変色の度合いを、以下の3段階にて評価した。
○:目視で各金属板の変色が全く認められなかった。
△:各金属板のうち、目視でわずかな変色が認められた金属板があった。
×:各金属板のうち、目視で明らかな変色が認められた金属板があった。
(6)摩耗性能試験および摩耗微粉末分散試験
市販のスラストベアリング(材質SUJ−2、型番51120、小西製作所) をアセトンで洗浄し、表面の防錆油を除去して乾燥した。これに潤滑剤試料100μLを添加し、300℃の恒温機中で外部接続のモーターにより200rpmで500時間回転させ、次いで、スラストベアリングをアセトン10mL中に浸漬させ、アセトン中にて、1分間の条件にて、超音波洗浄器による抽出処理を行った。超音波洗浄器での抽出操作を行った後のスラストベアリングを、直ぐに取り出して乾燥し、スラストベアリングの外観を観察することで、以下の基準にしたがって摩耗抑制性を評価した。
○:目視ではスラストベアリングの摩耗が認められなかった。
△:目視でスラストベアリングの摩耗がわずかに認められた。
×:目視でスラストベアリングの明らかな摩耗が認められた。
また、スラストベアリングから潤滑剤試料を回収し、潤滑剤試料中に分散している金属微粉末の状態を観察することで、以下の基準にしたがって摩耗粉分散性を評価した。
○:目視で微粉末の凝集が認められず、かつ、顕微鏡での形態観察でも微粉末の凝集が観察されなかった。
△:目視で微粉末の凝集が認められなかったが、顕微鏡での形態観察で微粉末の凝集が観察された。
×:目視で微粉末の凝集が認められた。
〔製造例1〕
(エピクロロヒドリンのリビングアニオン重合によるポリエーテル化合物Aの合成)
アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド3.22gおよびトルエン50mlを添加し、これを0℃に冷却した。次いで、トリエチルアルミニウム1.256g(テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドに対して1.1当量)をノルマルヘキサン10mlに溶解したものを添加して、15分間反応させることで触媒組成物を得た。得られた触媒組成物に、エピクロロヒドリン10.0gを添加し、0℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。12時間の反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止した。次いで、得られた重合反応液を0.1Nの塩酸水溶液で洗浄することにより触媒残渣の脱灰処理を行い、さらにイオン交換水で洗浄した後、有機相を50℃で12時間減圧乾燥することで、無色透明のオイル状物質を9.9gの収量で得た。また、得られたオイル状物質のGPCによる数平均分子量(Mn)は1,050、分子量分布(Mw/Mn)は1.35であった。以上より、得られたオイル状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持つ、エピクロロヒドリン単位により構成されたポリエーテル化合物A(繰り返し単位数11)であるといえる。
〔製造例2〕
(ポリエーテル化合物Aの1−メチルイミダゾールによる4級化)
製造例1で得られたポリエーテル化合物A 5.0gと、1−メチルイミダゾール12.1gと、アセトニトリル10.0gとを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱した。80℃で48時間反応させた後、室温に冷却し反応を停止した。そして、得られた薄赤色反応物をトルエン/メタノール/水の等重量混合溶液にて洗浄した後、1−メチルイミダゾールおよびトルエンを含む有機相を除去して、水相を50℃で12時間減圧乾燥したところ、薄赤色の固体を9.4gの収量で得た。この固体について、H−NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料のポリエーテル化合物Aの、繰り返し単位におけるクロロ基全てが1−メチルイミダゾリウム基に、重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が1−メチルイミダゾリウム基に、それぞれ置換された、対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bであると同定された。このイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの繰り返し単位数は11であることから、数平均分子量は1,990である。
〔製造例3〕
(イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドによるアニオン交換)
製造例2で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 2.5gと、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド4.1gと、イオン交換水20mLとを攪拌機付きガラス反応器に添加した。室温で30分間反応させた後、50℃で12時間減圧乾燥し、得られた固液混合物を水で洗浄して無機塩を除去した後、トルエンで液相を抽出した。得られたトルエン溶液を50℃で12時間減圧乾燥したところ、ほぼ無色透明な粘性液状物質を5.7gの収量で得た。得られた粘性液状物質についてH−NMRスペクトル測定および元素分析を行ったところ、出発原料である対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの、塩化物イオンと臭化物イオンの全てが、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cであると同定された。イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cの数平均分子量(Mn)は4,770である。
〔製造例4〕
(イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bのリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドによるアニオン交換)
製造例2で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物B 2.5gと、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド2.9gと、イオン交換水20mLとを攪拌機付きガラス反応器に添加した。室温で30分間反応させた後、50℃で12時間減圧乾燥し、得られた固液混合物を水で洗浄して無機塩を除去した後、トルエンで液相を抽出した。得られたトルエン溶液を50℃で12時間減圧乾燥したところ、ほぼ無色透明な粘性液状物質を4.3gの収量で得た。得られた粘性液状物質についてH−NMRスペクトル測定と元素分析を行ったところ、出発原料であるイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bの、塩化物イオンと臭化物イオンの全てが、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンに交換された、対アニオンとしてビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dであると同定された。イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dの数平均分子量(Mn)は3,640である。
〔製造例5〕
(エピクロロヒドリンのリビングアニオン重合によるポリエーテル化合物Eの合成)
トリエチルアルミニウムの使用量を1.370g(テトラノルマルブチルアンモニウムブロミドに対して1.2当量)に、トルエンの使用量を50mlに、エピクロロヒドリンの使用量を50.0gに、それぞれ変更したこと以外は、製造例1と同様にして、重合操作を行うことで、無色透明のオイル状物質を48.5gの収量で得た。得られたオイル状物質のGPCによる数平均分子量(Mn)は5,250、分子量分布(Mw/Mn)は1.18であった。以上より、得られたオイル状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持つ、エピクロロヒドリン単位により構成されたポリエーテル化合物E(平均繰り返し単位数57量体)であるといえる。
〔製造例6〕
(ポリエーテル化合物Eの1−メチルイミダゾールによる4級化)
ポリエーテル化合物Aに代えて、製造例5で得られたポリエーテル化合物E 5.0gを用いたこと以外は、製造例2と同様に反応させたところ、薄赤色の固体を9.4gの収量で得た。この固体について、H−NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料のポリエーテル化合物Eの、繰り返し単位におけるクロロ基全てが1−メチルイミダゾリウム基に、重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が1−メチルイミダゾリウム基に、それぞれ置換された、対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fであると同定された。このイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fの繰り返し単位数は57であることから、数平均分子量は9,970である。
〔製造例7〕
(イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドによるアニオン交換)
イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bに代えて、製造例6で得られたイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物F 2.5gを用いたこと以外は、製造例3と同様に操作を行ったところ、ほぼ無色透明な粘性液状物質を5.7gの収量で得た。得られた粘性液状物質についてH−NMRスペクトル測定と元素分析を行ったところ、出発原料であるイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Fの、塩化物イオンと臭化物イオンの全てが、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Gであると同定された。イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Gの数平均分子量(Mn)は23,900である。
〔製造例8〕
(エピクロロヒドリンおよびプロピレンオキシドのリビングアニオン重合によるポリエーテル化合物Hの合成)
エピクロロヒドリン10.0gに代えて、エピクロロヒドリン8.0gとプロピレンオキシド2.0gとの混合物を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、重合操作を行うことで、無色透明のオイル状物質を9.9gの収量で得た。得られたオイル状物質のGPCによる数平均分子量(Mn)は1,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.24であった。以上より、得られたオイル状物質は、重合開始末端にブロモメチル基を持つ、エピクロロヒドリン単位とプロピレンオキシド単位とのランダム共重合構造により構成されたポリエーテル化合物H(平均でエピクロロヒドリン単位10個とプロピレンオキシド単位4個とからなる14量体)であるといえる。
〔製造例9〕
(ポリエーテル化合物Hの1−メチルイミダゾールによる4級化)
ポリエーテル化合物Aに代えて、製造例8で得られたポリエーテル化合物H 5.0gを用いたこと以外は、製造例2と同様に反応させたところ、薄赤色の粉末状固体を8.5gの収量で得た。この固体について、H−NMR測定および元素分析を行ったところ、出発原料のポリエーテル化合物Hの、エピクロロヒドリン単位におけるクロロ基全てが1−メチルイミダゾリウム基に、重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基が1−メチルイミダゾリウム基に、それぞれ置換された、対アニオンとしてハロゲン化物イオンを有するイミダゾリウム構造含有共重合ポリエーテル化合物Iであると同定された。このイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Iの繰り返し単位数から、数平均分子量は1,970である。
〔製造例10〕
(イミダゾリウム構造含有共重合ポリエーテル化合物Iのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドによるアニオン交換)
イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Bに代えて、製造例9で得られたポリエーテル化合物I 2.5gを用いたこと以外は、製造例3と同様に操作を行ったところ、ほぼ無色透明な粘性液状物質を5.4gの収量で得た。得られた粘性液状物質についてH−NMRスペクトル測定と元素分析を行ったところ、出発原料であるイミダゾリウム構造含有共重合ポリエーテル化合物Iの、塩化物イオンと臭化物イオンの全てが、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Jであると同定された。イミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Jの数平均分子量(Mn)は4,440である。
〔実施例1〕
製造例3で得られた、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Cをそのまま用い、ポリエーテル化合物C 100重量%からなる潤滑剤試料として、上記した方法にしたがって、潤滑剤としての評価(5%質量減少温度、耐熱性試験、防錆性評価、摩耗性能試験および摩耗微粉末分散試験)を行った。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
製造例4で得られた、対アニオンとしてビス(フルオロスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Dをそのまま用い、ポリエーテル化合物D 100重量%からなる潤滑剤試料として、上記した方法にしたがって、潤滑剤としての評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
製造例7で得られた、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Gをそのまま用い、ポリエーテル化合物G 100重量%からなる潤滑剤試料として、上記した方法にしたがって、潤滑剤としての評価を行った。結果を表1に示す。
〔実施例4〕
製造例10で得られた、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有するイミダゾリウム構造含有ポリエーテル化合物Jをそのまま用い、ポリエーテル化合物J 100重量%からなる潤滑剤試料として、上記した方法にしたがって、潤滑剤としての評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
製造例1で得られた、重合開始末端にブロモメチル基を持つ、エピクロロヒドリン単位により構成されたポリエーテル化合物Aをそのまま用い、ポリエーテル化合物A 100重量%からなる潤滑剤試料として、上記した方法にしたがって、潤滑剤としての評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
製造例5で得られた、重合開始末端にブロモメチル基を持つ、エピクロロヒドリン単位により構成されたポリエーテル化合物Eをそのまま用い、ポリエーテル化合物E 100重量%からなる潤滑剤試料として、上記した方法にしたがって、潤滑剤としての評価を行った。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
製造例8で得られた、重合開始末端にブロモメチル基を持つ、エピクロロヒドリン単位とプロピレンオキシド単位とのランダム共重合構造により構成されたポリエーテル化合物Hをそのまま用い、ポリエーテル化合物H 100重量%からなる潤滑剤試料として、上記した方法にしたがって、潤滑剤としての評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006870369
なお、実施例3については、スラストベアリングの摩耗が発生せず、摩耗粉が発生しなかったと考えられるため、摩耗粉分散性の評価については行わなかった。
表1から確認できるように、カチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する潤滑剤は、耐蒸発性および耐熱性に優れ、さらには、防錆性、摩耗抑制性(対象材の摩耗を抑制できること)、および摩耗粉分散性(摩耗が発生した場合でも摩耗粉の分散性に優れるものであり、これにより、対象材の損傷を適切に抑制することができること)にも優れるものであり、高温下においても好適に使用可能なものであるといえる(実施例1〜4)。
一方、カチオン性基を有しないポリエーテル化合物を含有する潤滑剤は、耐蒸発性および耐熱性が十分でなく、防錆性、摩耗抑制性、および摩耗粉分散性のいずれかにも劣るものであった(比較例1〜3)。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表される単量体単位からなるカチオン性基を有するポリエーテル化合物を含有する潤滑剤。
    Figure 0006870369
    (上記一般式(1)中、A は、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、X は、任意の対アニオンを表し、Rは非イオン性基を表し、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であり、n+mが5〜1000の整数である。)
  2. 下記一般式(1)で表される単量体単位からなるカチオン性基を有するポリエーテル化合物の潤滑剤としての使用。
    Figure 0006870369
    (上記一般式(1)中、A は、カチオン性基またはカチオン性基含有基を表し、X は、任意の対アニオンを表し、Rは非イオン性基を表し、nは2以上の整数であり、mは0以上の整数であり、n+mが5〜1000の整数である。)
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