以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図39を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の後面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口26,27,28,63等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置(図示せず)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車の他、レール61,62、2つの一般入賞口63、比較的大型の可動入球役物装置190、その可動入球役物装置190の左下方位置に配設される左始動入賞口26、中央位置に配設される中始動入賞口28、右下方位置に配設される右始動入賞口27を備え、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。
ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の後面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。
一般入賞口63、左始動入賞口26、右始動入賞口27、中始動入賞口28、可動入球役物装置190は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技領域内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為に普通入賞口63に入球したり、左始動入賞口26、中始動入賞口28又は右始動入賞口27に入球したり、あるいは作動時(開放時)の可動入球役物装置190に入球したりする。
各入賞口に入球した遊技球は遊技盤13に形成された貫通穴を通じて遊技盤13の裏側へ回収される。
一方、可動入球役物装置190内に流入した遊技球は、さらにその内部で流下や転動、上昇等の過程を経て振り分け動作が行われた後に排出され、遊技盤13の裏側へ回収される。なお、可動入球役物装置190内での振り分け動作については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
可動入球役物装置190は、特定の条件が満たされた場合(例えば、左始動入賞口26、中始動入賞口28又は右始動入賞口27に遊技球が入球した場合であって、所定の特別図柄が小当たりの態様で停止表示された場合)に作動し、遊技球の流入を可能にする。すなわち可動入球役物装置190は、遊技領域の上部位置に設けられた可動片190a(いわゆる羽根部材)を有しており、この可動片190aは、例えば大開放口ソレノイド209a(図4参照)を用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って所定角度だけ往復回転する。
図示のように可動片190aは略直立した状態で大入賞口スイッチ190bを閉止した状態にあり、このため可動入球役物装置190への遊技球の流入は常に不能となっている。可動入球役物装置190が作動すると、可動片190aがその基端部を中心として遊技領域内の左右方向へ倒れるようにして変位し、大入賞口スイッチ190bを開放することで可動入球役物装置190への遊技球の流入(大入賞口スイッチ190bへの遊技球の入球)を可能にする。可動片190a及び大入賞口スイッチ190bは遊技領域内の上部位置、特に遊技球が最初に打ち込まれる位置の近くにあることから、可動入球役物装置190の作動時に遊技領域内に打ち込まれた遊技球は、上部位置の釘に誘導されて容易に可動片190aに到達し、そのまま可動片190aに案内されて大入賞口スイッチ190bに流入する。
また、可動入球役物装置190は、規定の条件が満たされた場合(可動入球役物装置190の内部に設けられたいずれかの特定領域を遊技球が通過した場合)にも作動し、大入賞口スイッチ190bへの入球を可能にする。なお、可動入球役物装置190内の特定領域についてはさらに後述する。
可動入球役物装置190内には、上記の大入賞口スイッチ190bへ流入した遊技球を流下させる第1流下装置300と、その第1流下装置300に配設される確定領域を通過した遊技球を流下させ、いずれの特定領域を通過させるかを振り分ける第2流下装置400と、が配設されている。
大入賞口スイッチ190bを通じて可動入球役物装置190へ流入した全ての遊技球は、第1流下装置300の導入通路310を通じて可動入球役物装置190の内部に案内される。可動入球役物装置190に流入した全ての遊技球は、大入賞口スイッチ190bにより検出される。
また、可動入球役物装置190内には、導入通路310に続いてルート振分部320が配置されている。ルート振分部320は、遊技球をノーマルルートに誘導するかスペシャルルートに誘導するかの振り分け動作を行う。遊技球がノーマルルートに誘導されれば、その後に大当りとなる確率は低いが、遊技球がスペシャルルートに誘導されれば、遊技球がノーマルルートに誘導された場合と比較してその後に大当りとなる確率が高くなる。なお、ルート振分部320の詳細は後述する。
また、可動入球役物装置190内には、ルート振分部320に続いて振分傾斜部350が配置されている。振分傾斜部350は、可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bに入球した遊技球を、特定領域に誘導することが確定する確定領域を通過させるか、もしくは確定領域を通過させることなく排出するかの振り分けを行う。
ここで、「確定領域」は、遊技球が特定領域を通過する場合にはその前に必ず通過する領域となるため、遊技球が確定領域を通過すれば、いずれは遊技球が特定領域を通過することになる。ただし、遊技球が確定領域を通過した時点では、未だ遊技球が特定領域を通過していないので、厳密な意味では大当りではないが、遊技者から見れば遊技球が確定領域を通過することが、事実上の大当りとなる。
いずれにしても、この振分傾斜部350により、遊技球が確定領域を通過するか、もしくは確定領域を通過することなく排出されるかの振り分けが行われる。なお、振分傾斜部350の詳細は後述する。
また、第1振分傾斜部350の下流には、第2流下装置400が配置されている。第2流下装置400は、確定領域を通過した遊技球を、複数の特定領域のうちいずれかの特定領域を通過させた上で排出する振り分けを行う。
すなわち、先の振分傾斜部350では、確定領域を通過させるか否かといった振り分けが行われたが、この第2流下装置400では、確定領域を通過して事実上の大当りが確定した遊技球に対し、どのような利益を付与するかといった振り分けが行われる。なお、第2流下装置400の詳細は後述する。
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、左右始動入賞口26,27へ入賞したか、中始動入賞口28へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、左右始動入賞口26,27へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、中始動入賞口28へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が小当たりに対応した図柄かを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、大入賞口スイッチ190bへ入賞があったことを契機として抽選(可動入球役物装置190を流下する遊技球が特定領域を通るか否かの抽選)が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、16R大当たり、7R大当たり、3R大当たり、が用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「16R大当たり」とは、最大ラウンド数が16ラウンドの大当たりのことであり、「7R大当たり」とは、最大ラウンド数が7ラウンドの大当たりのことであり、「3R大当たり」とは、最大ラウンド数が3ラウンドの大当たりのことである。
1ラウンドとは、大当たりの賞球個数を区切る単位のことである。本実施形態では、1ラウンドの間は、可動片190aが傾倒し、大入賞口スイッチ190bが開放され、30秒間経過するか、遊技球が10個大入賞口スイッチ190bを通過すると終了となる。大入賞口スイッチ190bを遊技球が1個通過することにより10個の賞球があるので、1ラウンドごとに、約100個の賞球を得ることができる。
なお、本実施形態では、1ラウンド目は、遊技球が確定領域孔340(の奥にある確定領域スイッチ340a、図5参照)を通過することで終了となるので、1ラウンド目は賞球が無い。即ち、3R大当たりでは、最大で約200個の賞球が、7R大当たりでは、最大で約600個の賞球が、16R大当たりでは、最大で約1500個の賞球が得られる。
時短状態(時短中)とは、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして中始動入賞口28へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、時短中でない遊技の状態(第2図柄の当たり確率がアップしていない状態)である。
本実施形態では、特定領域孔440を通過した後の遊技球が通過する時短スイッチ190d(排出検知スイッチ190cの手前側)が配設され、その時短スイッチ190dを遊技球が通過することにより時短状態へ移行する。
時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、中始動入賞口28に付随する電動役物28aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物28aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物28aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、中始動入賞口28へ球が入賞しやすい状態となる。よって、時短中は、中始動入賞口28へ球が入賞し易い状態となり、大入賞口スイッチ190bを開放状態にし易くすることができる。
なお、時短スイッチ190dは、複数の特定領域孔440の内、左端に配置される第3特定領域孔443(図23参照)を通過した遊技球のみが通過する態様で配置されている。後述するように、第3特定領域孔443は、特定領域孔440の内で最も利益の小さい大当たり(3ラウンド大当たり)を遊技者が獲得する第3特定領域スイッチ443a(図23参照)が配置される孔である。
即ち、本実施形態によれば、第2流下装置400を流下する遊技球により最も利益が小さい大当たり(3ラウンド大当たり)となった場合でも、時短を付与することで遊技者に補助的な利益を付与することができる。一方で、3ラウンド大当たりよりも利益の大きい大当たりとなった場合には、時短を付与しないことにすることで、遊技者に与える利益が過度に大きくなることを抑制することができる。
なお、時短中において、中始動入賞口28に付随する電動役物28aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物28aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、中始動入賞口28に付随する電動役物28aが開放される時間および1回の当たりで電動役物28aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、時短中において、中始動入賞口28に付随する電動役物28aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物28aを開放する回数は変更せず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可動入球役物装置190が配設されている。可動入球役物装置190には、左右始動入賞口26,27及び中始動入賞口28への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、開閉動作する可動片190aと、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可動入球役物装置190には、外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、中始動入賞口28に付随された電動役物28aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、時短中の方が短くなるように設定される。これにより、時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、中始動入賞口28の電動役物28aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、時短中は、中始動入賞口28へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物28aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、時短中に中始動入賞口28へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物28aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可動入球役物装置190の左右において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、可動入球役物装置190の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び可動入球役物装置190の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を可動入球役物装置190の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可動入球役物装置190の左右に限定されるものではなく、例えば、可動入球役物装置190の上方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可動入球役物装置190の左右下方には、球が入賞し得る左右始動入賞口26,27が配設されている。この左右始動入賞口26,27へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる左始動入賞口スイッチ210a、右始動入賞口スイッチ210bがオンとなり、その左始動入賞口スイッチ210a、右始動入賞口スイッチ210bのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示されると共に、可動片190aが所定回数(本実施形態では1回)開放し、所定期間後(本実施形態では0.5秒後)閉鎖される。
一方、左右始動入賞口26,27の正面視中央側には、球が入賞し得る中始動入賞口28が配設されている。この中始動入賞口28へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる中始動入賞口スイッチ210cがオンとなり、その中始動入賞口スイッチ210cのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示されると共に、可動片190aが所定回数(本実施形態では2回)開放と閉鎖とを繰り返す(開放する期間は0.5秒で、1回目と2回目との間隔は2秒間)。
各始動入賞口26,27,28は、1/1で小当たりとなるように抽選を行っている。そのため、本実施形態において、各始動入賞口26,27,28を遊技球が通過することによる大当たりの抽選は無い。その抽選後、ランダムに選択されたオープニング期間(1〜5秒間)後に、可動片190aが所定回数の開放と閉鎖とを繰り替えす。
また、左右始動入賞口26,27および中始動入賞口28は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、左右始動入賞口26,27へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と中始動入賞口28へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、左右始動入賞口26,27へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と中始動入賞口28へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、左右始動入賞口26,27へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、中始動入賞口28へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
中始動入賞口28には電動役物28aが付随されている。この電動役物28aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物28aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が中始動入賞口28へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物28aが開放状態(拡大状態)となり、球が中始動入賞口28へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物28aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、時短中は、電動役物28aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、時短中は、通常時と比して、中始動入賞口28へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として16R大当たりとなる確率は、中始動入賞口28へ球が入賞した場合のほうが左右始動入賞口26,27へ球が入賞した場合よりも高く設定されている(可動入球役物装置190に複数個の遊技球をまとめて入球させ易くされている)。一方、左右始動入賞口26,27は、中始動入賞口28にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
可動入球役物装置190の上部には大入賞口スイッチ190bが配設されている。パチンコ機10においては、左右始動入賞口26,27又は中始動入賞口28への入賞後、可動入球役物装置190に入球した遊技球が特定領域孔440を通過したことに起因して大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を可動入球役物装置190の一部に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり、大当たり遊技)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている可動片190aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この大入賞口スイッチ190bは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その大入賞口スイッチ190bが所定時間開放される。この大入賞口スイッチ190bの開閉動作は、最高で例えば15回(初回ラウンドを除く16ラウンド分)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。大入賞口スイッチ190bとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、大入賞口スイッチ190bが所定時間開放され、その大入賞口スイッチ190bの開放中に、球が大入賞口スイッチ190b内へ入賞することを契機として大入賞口スイッチ190bとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、大入賞口スイッチ190bは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も可動入球役物装置190の上側に限らず、例えば、左右始動入賞口26,27の下方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、正面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、アウト口71が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口26,27,28,63にも入賞しなかった球は、アウト口71を通って図示しない球排出路へと案内される。また、可動入球役物装置190に入球した遊技球も含めて、遊技領域内に打ち込まれた全ての遊技球は遊技盤13の裏側へ回収される。回収された遊技球は、図示されていないアウト通路アセンブリを通じてパチンコ機10の裏側から枠外へ排出され、さらに図示しない島設備の補給経路に合流する。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。
本実施形態における遊技機の遊技の一例について説明する。本実施形態の遊技の目的は、特定領域孔440に遊技球を通過させて、特別遊技状態へ遊技状態を移行して、賞球を得ることである。そのために、遊技者は、センターフレーム86の上面部を遊技球が滑り落ちるように遊技球の強さを調整して発射する。これにより、遊技球が多数の釘に当たりながら各始動入賞口26,27,28に入球すると、可動片190aが開放する。このときに、タイミング良く遊技球を可動入球役物装置190に入球させることができれば、その後の遊技球の流下の態様によって遊技球が特定領域孔440を通過するので、遊技者は遊技球の流下を視認して、大当たりを得ることができるか、はずれとなるかを実際の遊技球の動きを見ながら楽しむことができる。
即ち、大当たりを得る第1条件は、可動片190aを開放させることであり、第2条件は、可動片190bが開放した時に遊技球を可動入球役物装置190に入球させることである。
そのため、遊技球をセンターフレーム86までは届かせない打ち方(いわゆる「ちょろ打ち」)や、返しゴム69まで届かせる打ち方(いわゆる「右打ち」)は、本実施形態で大当たりを得るためには、不利となる。
なお、後述するように、本実施形態では、可動入球役物装置190に遊技球を2個同時に入球させると大当たりを得やすい構造が採用されている。そのため、遊技者は、遊技球をセンターフレーム86の上端部(三角に尖った頂点部分)へ目がけて発射することで、遊技球を左右にばらけさせ、可動片190bの開放時に左右から1個ずつ、合わせて2個入球することを狙い、これにより、大当たりを得やすいように遊技を行うことができる。
図3に示すように、パチンコ機10の後面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、第1図柄表示装置37A,37Bにおける表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図119参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図118参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図117参照)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、大入賞口スイッチ190bの可動片190aの下辺を軸として左右へ向けて開閉回転駆動するための大開放口ソレノイド209aや電動役物28aを駆動するための電動役物ソレノイド209b又はモータなどからなる各種ソレノイド・モータ209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
各種スイッチ208とは異なるスイッチであって、遊技者に与える利益に直接的に関与する各種直接スイッチ210は、入出力ポート205を介さず、直接MPU201に接続される。
各種ソレノイド・モータ209は、少なくとも、大入賞口スイッチ190bの可動片190aの下辺を軸として左右へ向けて開閉回転駆動するための大開放口ソレノイド209a、電動役物28aを開閉回転駆動するための電動役物ソレノイド209b、流下阻止板412を駆動する滞留ソレノイド413(図23参照)、可動板421aを駆動する駆動モータ421b(図23参照)、を備える。
なお、各種直接スイッチ210には、左始動入賞口スイッチ210a(図2参照)、右始動入賞口スイッチ210b(図2参照)、中始動入賞口スイッチ210c(図2参照)、第1特定領域スイッチ441a(図23参照)、第2特定領域スイッチ442a(図23参照)、第3特定領域スイッチ443a(図23参照)が含まれる。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる7セグ表示器の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、各種ソレノイド・モータ209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
図5から図9は、第1流下装置300の構成の詳細を示す図であって、図5は、第1流下装置300の正面斜視図であり、図6は、第1流下装置300の正面図であり、図7は、図6の矢印VII方向視における第1流下装置300の側面図であり、図8は、図7の矢印VIII方向視における第1流下装置300の上面図であり、図9は、第1流下装置300の部分背面斜視図である。
なお、図5及び図6では、理解を容易とするために、導入通路310の正面側壁とルート振分部320の正面側壁との図示が省略される(即ち、遊技球が導入通路310の内側およびルート振分部320の内側を流下するものであって、正面側(図5手前側)へ向けて遊技球が脱落する態様では無い)。
図5から図9に示すように、第1流下装置300は、大入賞口スイッチ190b(図2参照)を通過した遊技球が案内される一対の導入通路310と、その導入通路310の終端位置(左右方向中央位置)で導入通路310と連結され遊技球が流下するルート振分部320と、そのルート振分部320から送球された遊技球を前方へ流下させる振分傾斜部330と、その振分傾斜部330の左右方向中心部において振分傾斜部330の正面側に配置される遊技球が1個入球できる程度の大きさの孔である確定領域孔340と、その確定領域孔340から左右にずれた位置において確定領域孔340よりも大きく開口したはずれ孔350と、を主に備える。
導入通路310は、遊技球が通過可能な内径で左右対称に形成される通路であって、中央に配置されるルート振分部320へ向けて下降傾斜しており、その終端位置(ルート振分部320との連結部分)に第1突出部311と、第2突出部312と、を備える。
第1突出部311は、導入通路310の前後幅方向にわたって上方へ向けて突出される突起である。遊技球は、第1突出部311と当接することにより、減速する。
第2突出部312は、導入通路310からルート振分部320へ向けて送球される遊技球の流下方向を限定する傾斜面部であり、導入通路310の出口の底面と連結して左右方向へ下降傾斜する態様で延設される。
ルート振分部320は、進入してきた遊技球を通常流路(ノーマルルート)か特別流路(スペシャルルート)かに振り分ける振り分け動作を行う。また、ルート振分部320は、ルート振分部誘導路321と、遊技球が当接することにより回転動作する振分体322と、その振分体322の左右方向へ開口される一対のスペシャルルート用孔323と、振分体322の下方において後方へ開口されるノーマルルート用孔324と、スペシャルルート用孔323を通過した遊技球を振分傾斜部350へ向けて流下させるスペシャルルート誘導路325と、ノーマルルート用孔324を通過した遊技球を振分傾斜部350へ向けて流下させるノーマルルート誘導路326と、を主に備える。
ルート振分部誘導路321は、導入通路310からの遊技球を振分体322に誘導するための鉛直下方へ延びる通路であり、遊技球を左右横並びで2個配置可能な幅で形成される。
振分体322は、回転可能に軸支される部材であって、平衡状態(図6参照)で回転軸の下方に配置される断面扇状の扇状部322aと、その扇状部322aの周方向中間位置から回転軸を通る方向(図5上方)へ延設され扇状部322aと一体で形成される板状部322bと、を主に備える。
扇状部322aは、図6に示すように、平衡状態で遊技球をスペシャルルート用孔323へ案内する(流入させる)形状(左右の平面部がスペシャルルート用孔323へ向けて延びる形状)から構成される。
板状部322bは、後述する第1角度状態(図11(b)参照)と第2角度状態(図11(c)参照)との間の状態に振分体322がされた場合において、第2突出部312との間の距離が少なくとも遊技球の直径以下となる長さまで延設される。
スペシャルルート用孔323は、ルート振分部320の側壁に穿設される貫通孔であって、振分体322の左右方向へ向けて開けられる一対の貫通孔として配置されている。スペシャルルート用孔323は、スペシャルルート用孔323に入球した遊技球をスペシャルルート誘導路325に案内する。なお、スペシャルルート誘導路325には、スペシャルルートスイッチ325a1,325b1が設けられており、スペシャルルート用孔323に入球した遊技球はスペシャルルートスイッチ325a1,325b1により検出される。
ノーマルルート用孔324は、ルート振分部320の底壁部付近において背面壁部に穿設される貫通孔である。なお、ノーマルルート用孔324はその中央部に開口高さを小さくする盛り部324aが形成される。この盛り部324aにより、ノーマルルート用孔324の中央部の開口高さが遊技球の直径より小さくされるので、遊技球はノーマルルート用孔324の中央部を避けてノーマルルート用孔324の左右端部を通過する。
スペシャルルート誘導路325は、一対のスペシャルルート用孔323からそれぞれ延設される左側誘導路325aと、右側誘導路325bとを備え、それらは左右対称かつ前後方向に非対称に形成される。
即ち、左側誘導路325aは、その内側に遊技球の通過を検出する左検出スイッチ325a1を備え、正面側へ向けて延びた後、鉛直下方に延びている一方で、右側誘導路325bは、その内側に遊技球の通過を検出する右検出スイッチ325b1を備え、正面側へ延びることなく、鉛直下方へ延びている。このように前後の配置を異ならせることで、一対のスペシャルルート用孔323を同時に遊技球が通過した場合に、振分傾斜部330に着地した遊技球が左右方向で衝突する事を防止することができる。これにより、スペシャルルート誘導路325を通過した遊技球が確定領域を通過し易くすることができる。
スペシャルルートスイッチ325a1,325b1は、遊技球の通過を検出するセンサである。このスペシャルルートスイッチ325a1,325b1の検出信号を確認することで、遊技球がスペシャルルートを何球通過したかを判定することができる。
なお、スペシャルルートスイッチ325a1,325b1を演出実行の契機として用いても良い。例えば、所定期間内(例えば、本実施形態では2秒間)にスペシャルルートスイッチ325a1,325b1の両方を遊技球が通過した場合、その後複数の遊技球が確定領域孔340を通過し、より有利側の大当たりとなり易いことから、スペシャルルートスイッチ325a1,325b1の両方を遊技球が通過したことを検出したら、激し目の煽り(激しい発光、音響効果)を行うことで遊技者の興趣を高めることができる。
一方で、遊技球のイレギュラーな流下によりスペシャルルートスイッチ325a1,325b1のいずれか一方においてのみ遊技球を検出した場合には、確定領域孔340を遊技球が通過したとしても、その後、どの大当たりとなるか(賞球数の多い側の大当たりとなるか)は不明なので、控えめな煽り(控えめな発光、音響効果)を行うことで遊技者の興趣を若干高めることができる。
また、例えば、スペシャルルートスイッチ325a1,325b1の一方に遊技球が入球することを繰り返し検出する(例えば、3回連続で検出する)場合には、振分体322を何らかの方法で固定する不正を行っていると判断して、エラーを出すことにより、遊技者の不正を抑制する事ができる。
スペシャルルート誘導路325の出口は、振分傾斜部330の正面端部付近に配置されているので、スペシャルルート誘導路325から排出された遊技球は、振分傾斜部330の突起部331に当接することなく、正面中央側へ向けて流下する。
ノーマルルート誘導路326は、ノーマルルート用孔324の左右両端部から、左右方向外方へ向けて傾斜しながら後方へ延び、その後方端部で鉛直下方へ延びている。ノーマルルート誘導路326の出口は、振分傾斜部330の後方端部付近に配置されているので、ノーマルルート誘導路326から排出された遊技球は、振分傾斜部330の突起部331に当接しながら、正面側へ向けて流下する。
振分傾斜部330は、前後方向に直交する面における断面が中央部分の沈んだ湾曲形状から形成される傾斜面部であり、中腹部分に、複数の突起部331が散らばって凸設される。
突起部331は、正面側へ向かうほど左右端部へ向かう方向に傾斜して複数が整列され、中間部分に遊技球の直径程度の隙間を有する。そのため、ノーマルルート誘導路326から排出された遊技球のほとんどが突起部331により左右端部へ向けて流される一方で、若干の遊技球が隙間を通過して確定領域孔340へ向かう。
突起部331は、スペシャルルート誘導路325から排出された遊技球が振分傾斜部330に当接する位置よりも後方(振分傾斜部330の上流側)に配置される。そのため、スペシャルルート誘導路325から排出された遊技球は、突起部331と衝突することなく、振分傾斜部330の湾曲形状に沿って中央へ向かいながら正面側へ流下することが可能となり、確定領域孔340を通過し易くなる。
一方で、ノーマルルート誘導路326から排出された遊技球は、突起部331と衝突しながら振分傾斜部330を流下するので、確定領域孔340を通過するか否かは遊技球の流下のランダム性に委ねられる。本実施形態では、確定領域孔340の左右に配置されるはずれ孔350が確定領域孔340よりも大きく開口されるので、ノーマルルート誘導路326から排出された遊技球ははずれ孔350を通過し易くなる。
即ち、本実施形態では、ノーマルルート誘導路326を通過する遊技球に比較して、スペシャルルート誘導路325を通過する遊技球の方が、確定領域孔340を通過し易い態様とすることができる。
なお、確定領域孔340に入球した遊技球は、その後に確定領域を通過することになり、はずれ孔350に入球した遊技球は、その後に特定領域を通過することなく排出されることになる。
ここで、確定領域には確定領域スイッチ340a(図5参照)が設けられており、確定領域を通過する遊技球は確定領域スイッチ340aにより検出される。また、可動入球役物装置190(図2参照)の下縁部にはアウト通路(図示せず)が形成されている。このため、確定領域孔340に入球せずに、はずれ孔350に入球した遊技球はアウト通路に導かれ、確定領域や特定領域を通過することなく可動入球役物装置190から排出される。そして、アウト通路を流下する遊技球は排出検知スイッチ190cを通過する態様とされ、アウト通路を通過する遊技球は排出検知スイッチ190cにより検出される。なお、本実施形態では、確定領域孔340を通過した遊技球もアウト通路に合流し、排出検知スイッチ190cを通過するように構成している。
排出検知スイッチ190cは、大入賞口スイッチ190bに入球した遊技球との検出個数の差を検出し、その差が所定期間以内(例えば15秒以内)に無くなることにより、安定して遊技が行われていることを確認するためのスイッチである。例えば、振分傾斜部330の突起部331に遊技球が堆積し、遊技球の排出が滞った場合に、遊技球の排出エラーが発生したと判断し、アラームをかけることができる。
図10及び図11を参照して、振分体322について説明する。図10は、振分体322の分解正面斜視図であり、図11(a)から図11(c)は、振分体322の正面図である。なお、図10及び図11(a)では、振分体322の平衡状態が図示され、図11(b)では、振分体322が平衡状態から第1角度θ1だけ時計回りに回転した第1角度状態が図示され、図11(c)では、振分体322が第1角度状態から第2角度θ2だけ時計回りに回転した第2角度状態が図示される。また、図11(a)から図11(c)では、振分体322の軸方向(図11紙面垂直方向)の中間位置における部分断面図が、拡大して図示される。
図10に示すように、振分体322は、上述した扇状部322aと、板状部322bと、それら扇状部322aと板状部322bとを前後端部で連結する円環状の一対の連結環部322cと、その連結環部322cの内周と面位置となる内周を有し一対の連結環部322cの間で前後方向(振分体322の軸方向)に亘って延設されると共に延設方向に垂直な断面が環を半分に分割された分割リング形状から形成される抵抗延設部322dと、一対の連結環部322cの間で抵抗延設部322dの形成されない位相範囲において連結環部322cの内周面よりも径方向外方へ向けて凹設される離間中心部322eと、一対の連結環部322cに連通される棒状部材であってルート振分部320の背面側壁に固定される軸支棒322fと、を主に備える。
軸支棒322fは、ルート振分部320の背面側壁に接着固定され図示しない正面側壁付近まで延設される部材であって、連結環部322cの内径よりも若干小さな外径の円柱形状から構成される一対の軸支円柱部322f1と、軸支円柱部322f1を連結する棒状部材であって軸支円柱部322f1の断面形状よりも小さな断面形状を有する連結棒部322f2と、を備える。
一対の軸支円柱部322f1は、同軸に配置されると共に、その軸方向の離間間隔が連結環部322cの離間間隔と同一とされる。これにより、一対の軸支円柱部322f1で一対の連結環部322cを支持することができるので、軸支状態を安定させることができ、扇状部322a及び板状部322bの回転状態を安定化させることができる。
連結棒部322f2は、図10に示すように、下側略半周部分が軸支円柱部322f1の外周と面位置とされ、上側略半周部分が径方向内側へ向けて凹設される。その目的について、図11を参照して説明する。
図11(a)及び図11(b)に示すように、振分体322が平衡状態(図11(a)参照)と第1角度状態(図11(b)参照)との間の状態となる場合において、連結棒部322f2と抵抗延設部322dとは離れているので、振分体322が回転を開始しても連結棒部322f2と抵抗延設部322dとの間では摩擦抵抗が生じない。そのため、平衡状態から第1角度状態までの間の状態では、振分体322を回転し易く構成することができる(回転抵抗を抑制することができる)。
これに対し、図11(b)及び図11(c)に示すように、振分体322が第1角度状態(図11(b)参照)と第2角度状態(図11(c)参照)との間の状態となる場合において、第2角度状態へ向かうほど連結棒部322f2と抵抗延設部322dとの接する面積が大きくなるので、連結棒部322f2と抵抗延設部322dとの間で生じる摩擦抵抗を増大させることができる。そのため、平衡状態から第1角度状態までの間の状態に比較して、振分体322を回転しにくくすることができる(回転抵抗を増大させることができる)。
従って、遊技球が振分体322に当接する場合に、当接開始時には振分体322を素早く回転させ、徐々に回転の勢いが弱まる態様で振分体322を回転させることができる。
図12から図22を参照して、ルート振分部320の振り分け動作について説明する。まず、図12及び図13を参照して、1個の遊技球A1がルート振分部320に流入した場合について説明する。図12(a)、図12(b)及び図13は、第1流下装置300の部分正面図である。なお、図12(a)では振分体322の平衡状態が、図12(b)では振分体322の第1角度状態が、図13では振分体322の第2角度状態がそれぞれ図示されると共に、遊技球A1の流下が時系列で図示される。
図12(a)に示すように、導入通路310を流下した遊技球A1は、第1突出部311に当接することで左右方向の速度が減速されながら第1突出部311を乗り越え、第2突出部312の傾斜面に沿って下方へ向けて(軸支棒322fへ向けて)流下する。そのため、遊技球A1が導入通路310から勢いよく左方へ送球され振分体322を乗り越えることが防止されると共に、扇状部322aの左右端部(スペシャルルート用孔323に近接する位置)に着地することが防止される。
図12(a)に示す状態から、遊技球A1が第2突出部312aの上面を転動して流下すると、遊技球A1は、図12(b)に示す矢印A1xに沿って流下した後、扇状部322aの傾斜に沿って転動して図12(b)に示す位置(スペシャルルート用孔323に近接する位置)に到達する。
ここで、振分体322は、図12(a)に示す平衡状態から図12(b)に示す第1角度状態までは、回転抵抗が小さくされるので、遊技球A1が振分体322に着地することにより、遊技球A1の重量の分、振分体322が回転する。そのため、遊技球A1は振分体322からの跳ねが抑制され(吸収され)、振分体322を押し込む態様で流下する。
図12(b)に示すように、振分体322が第1角度状態となるまでの間(本実施形態において、約0.5秒間)に、遊技球A1は扇状部322aの上面を転動して右下方へ流下し、スペシャルルート用孔323の手前側(図12(b)左側)に到達する。この状態において、扇状部322aの傾斜面(遊技球A1が乗っている面)がスペシャルルート用孔323の入口の底面よりも下方へ沈んでいるため、遊技球A1がスペシャルルート用孔323を通過することが妨げられる。
その後、遊技球A1から与えられる負荷により振分体322が更に回転し、図13に示す第2角度状態となる(本実施形態において、約2秒間)ことにより遊技球A1が振分体322から下方へ脱落し、ノーマルルート用孔324へ向かう。
即ち、1個の遊技球A1がルート振分部320に流入した場合、遊技球A1はノーマルルート用孔324を通過する。
次いで、図14及び図15を参照して、2個の遊技球A2,A3がルート振分部320に左右から同時に流入した場合について説明する。図14(a)、図14(b)及び図15は、第1流下装置300の部分正面図である。なお、図14(a)、図14(b)及び図15では振分体322の平衡状態が図示されると共に、遊技球A2,A3の流下が時系列で図示される。
図14(a)に示すように、導入通路310を流下した遊技球A2,A3は、第1突出部311に当接することで左右方向の速度が減速されながら第1突出部311を乗り越え、第2突出部312の傾斜面に沿って下方へ向けて(軸支棒322fへ向けて)流下する。
そのため、遊技球A2,A3が導入通路310から勢いよく左右方向へ送球され振分体322を乗り越えることが防止されると共に、扇状部322aの左右端部(スペシャルルート用孔323に近接する位置)に着地することが防止される。
図14(a)に示す状態から、遊技球A2,A3が第2突出部312aの上面を転動して流下すると、遊技球A2,A3は、図14(b)に示す矢印A1x,A2xに沿って流下した後、扇状部322aの傾斜面に着地する。なお、矢印A2xは、矢印A1xを左右反転した向きの矢印である。
ここで、振分体322に与えられる軸支棒322fを中心とする回転方向の負荷が釣り合うので、振分体322の回転が抑制され、振分体322が平衡状態を維持する。遊技球A2,A3が扇状部322aの上面の傾斜に沿って左右へ流下する間においても、遊技球A2,A3が同様の流下態様とされることで、振分体322が平衡状態で維持されるので、扇状部322aの傾斜面(遊技球A2,A3が乗っている面)がスペシャルルート用孔323の入口の底面から下方へ沈むことが抑制され(段差無く滑らかに接続され)、遊技球A2,A3がスペシャルルート用孔323に流入される。
即ち、2個の遊技球A2,A3がルート振分部320に同時に流入した場合、遊技球A2,A3はスペシャルルート用孔323を通過する。
次いで、図16から図18を参照して、2個の遊技球A4,A5がルート振分部320に左右から若干ずれたタイミング(例えば、0.5秒ずれたタイミング)で流入した場合について説明する。図16(a)、図16(b)、図17(a)、図17(b)及び図18は、第1流下装置300の部分正面図である。なお、図16(a)では、振分体322の平衡状態が、図16(b)では、振分体322の第1角度状態が、図17(a)では、振分体322が第1角度状態と第2角度状態との間の状態として、図17(b)では、振分体322が第1角度状態と平衡状態との間の状態として、図18では振分体322の平衡状態が、それぞれ図示されると共に、遊技球A4,A5の流下が時系列で図示される。
なお、本実施系形態では、可動片190bの開放期間が0.5秒間であるので、一回の開放で入球する遊技球は、0.5秒間以上の時間遅れは生じないので、本例は、遊技球が最大のずれ幅でずれた例となる(例えば、可動片190bの開放開始直後に一方の遊技球A4が入球し、可動片190bの閉鎖直前に他方の遊技球A5が入球した例となる)。
図16(a)に示すように、導入通路310を流下した遊技球A4,A5は、第1突出部311に当接することで左右方向の速度が減速されながら第1突出部311を乗り越え、第2突出部312の傾斜面に沿って下方へ向けて(軸支棒322fへ向けて)流下する。
そのため、遊技球A4,A5が導入通路310から勢いよく左右方向へ送球され振分体322を乗り越えることが防止されると共に、扇状部322aの左右端部(スペシャルルート用孔323に近接する位置)に着地することが防止される。
図16(a)に示す状態から、先の遊技球A4が第2突出部312aの上面を転動して流下すると、矢印A1xに沿って流下した後、扇状部322aの傾斜面に着地することで、振分体322が時計回りに回転し、図16(b)に示す第1角度状態となる。
図16(b)に示す状態から遊技球A5が振分体322に着地するまでの間、振分体322は遊技球A4の重さにより更に時計回りに回転することになるが、図17(a)に示す状態(第1角度状態から第2角度状態までの間)では、振分体322の回転抵抗が上昇し回転速度が遅くなるので、振分体322が第2角度状態となるまでの期間を長くすることができる。これにより、後の遊技球A5が振分体322に着地する前に振分体322が第2角度状態となってしまい遊技球A4が振分体322から脱落することを抑制することができる。
図17(a)に示すように、遊技球A5が扇状部322bに着地すると、振分体322に対して回転の両方向から負荷が与えられ、回転方向の負荷がバランスし合う(打ち消し合う)ので、図17(b)に示すように、振分体322が平衡状態へ近づく。更に、遊技球A4,A5から振分体322へ与えられる負荷がバランスし合うことにより、図18に示すように、振分体322が平衡状態となるので、扇状部322aの傾斜面(遊技球A2,A3が乗っている面)がスペシャルルート用孔323の入口の底面から下方へ沈むことが抑制され(段差無く滑らかに接続され)、遊技球A4,A5がスペシャルルート用孔323に流入される。
即ち、2個の遊技球A4,A5がルート振分部320に若干ずれたタイミングで流入した場合、遊技球A4,A5はスペシャルルート用孔323を通過する。このように、ホン実施形態における振分体322は、複数の遊技球が可動片190aの開放期間である0.5秒間の時間遅れをもって到達しても、そのずれを吸収してスペシャルルート用孔323へ遊技球を送球することができる態様で、構成される。
次いで、図19及び図20を参照して、2個の遊技球A6,A7がルート振分部320に一方から連なって流入した場合について説明する。図19(a)、図19(b)、図20(a)及び図20(b)は、第1流下装置300の部分正面図である。なお、図19(a)では、振分体322の平衡状態が、図19(b)では、振分体322の第1角度状態が、図20(a)では、振分体322が第1角度状態と第2角度状態との間の状態として、図20(b)では、振分体322が第1角度状態と平衡状態との間の状態として、それぞれ図示されると共に、遊技球A6,A7の流下が時系列で図示される。
図19(a)に示すように、導入通路310を流下した遊技球A6,A7は、第1突出部311に当接することで左右方向の速度が減速されながら第1突出部311を乗り越え、第2突出部312の傾斜面に沿って下方へ向けて(軸支棒322fへ向けて)流下する。
そのため、遊技球A6,A7が導入通路310から勢いよく左右方向へ送球され振分体322を乗り越えることが防止されると共に、扇状部322aの左右端部(スペシャルルート用孔323に近接する位置)に着地することが防止される。
また、遊技球A6,A7が連なって導入通路310を流下する場合、遊技球A6が第1突出部311に当接し減速される状態において、遊技球A6の後方(図19(a)右方)で遊技球A6に当接しながら遊技球A7は減速され、更に遊技球A6が第1突出部311を乗り越え流下した後で改めて、遊技球A7は第1突出部311に当接し減速される。これにより、先の遊技球A6と後の遊技球A7との間隔が空けられる(本実施系形態において、約1秒間)。
そのため、図19(b)に示すように、遊技球A6が矢印A1xに沿って流下した後、扇状部322aの傾斜面に着地し、振分体322を第1角度状態まで回転させた後において、なお第1突出部311を乗り越える途中の状態とされる。
図19(b)に示す状態から遊技球A7が振分体322に着地するまでの間、振分体322は遊技球A6の重さにより更に時計回りに回転することになるが、図20(a)に示す状態(第1角度状態から第2角度状態までの間)では、振分体322の回転抵抗が上昇し回転速度が遅くなるので、振分体322が第2角度状態となるまでの期間を長くすることができる。これにより、後の遊技球A7が振分体322に着地する前に振分体322が第2角度状態となってしまい遊技球A6が振分体322から脱落することを防止することができる。
その後、図20(a)に示すように、遊技球A6の負荷により振分体322が更に時計回りに回転されることで、板状部322bの先端が右側の第2突出部312に近接する。この状態で遊技球A7が第2突出部312の傾斜面を転動しつつ矢印A1xに沿って流下することにより、板状部322bの上面を転動し、遊技球A7が振分体322の左側に着地する。即ち、板状部322bにより、遊技球A6,A7を振分体322の左右に振り分けることができる。
また、本実施形態では、第2突出部312により遊技球A7が振分体311の回転中心へ向けた速度で流下するので、板状部322bの回転角度が不十分な状態(例えば図19(b)に示す状態)で遊技球A7が第2突出部312から下方へ流下したとしても、板状部322bの先端部(と第2突出部312との間で)で遊技球A7を支えることができ、そこから更に振分体322を時計回りに回転させることで、遊技球A7を確実に振分体322の左方へ流下させることができる。
図20(a)に示すように、遊技球A7が扇状部322bの左側部分に着地すると、振分体322に対して回転の両方向から負荷が与えられ、回転方向の負荷がバランスし合う(打ち消し合う)ので、図20(b)に示すように、振分体322が平衡状態へ近づく。更に、遊技球A6,A57ら振分体322へ与えられる負荷がバランスし合うことにより、振分体322が平衡状態となるので、扇状部322aの傾斜面(遊技球A6,A7が乗っている面)がスペシャルルート用孔323の入口の底面から下方へ沈むことが抑制され(段差無く滑らかに接続され)、遊技球A6,A7がスペシャルルート用孔323に流入される。
即ち、2個の遊技球A6,A7がルート振分部320に一方から連なって流入した場合、遊技球A6,A7はスペシャルルート用孔323を通過する。
次いで、図21及び図22を参照して、2個の遊技球A8,A9がルート振分部320に大きくずれたタイミング(本実施形態では、約2秒間)で流入した場合について説明する。なお、このような状態は、例えば、一の作動契機で可動片190a(図2参照)が2回開放され、1回開放する毎に遊技球が1個ずつ大入賞口スイッチ190b(図2参照)に入球される場合に形成される。
図21(a)、図21(b)及び図22は、第1流下装置300の部分正面図である。なお、図21(a)では、振分体322の第2角度状態が、図21(b)では、振分体322が第1角度状態と第2角度状態との間の状態として、図22では、振分体322の平衡状態が、それぞれ図示されると共に、遊技球A8,A9の流下が時系列で図示される。
図21(a)に示すように、遊技球A8の負荷により振分体322が第2角度状態となり、遊技球A8を脱落させたあとで、振分体322は平衡状態へ向けて回転し始めるが、第2角度状態と第1角度状態との間では回転抵抗が大きくされるので、振分体322はゆっくりと回転する。
そのため、図21(b)に示すように、遊技球A9は、第1角度状態から第2角度状態までの間の状態における振分体322に着地する。ここで、振分体322の回転抵抗が大きいため、平衡状態の振分体322に着地する時のような遊技球A9が振分体322を押し込む態様の動作が生じるのではなく、遊技球A9が振分体322の傾斜面の上でバウンドし振分体322の角度状態が第1角度状態と第2角度状態との間に維持される態様の動作が生じる。
従って、遊技球A9が振分体322に着地するとすぐに平衡状態を通り過ぎて振分体322が左右逆側を向くという動作が生じることが無く、振分体322がゆっくりと回転することになるので、扇状部322bの傾斜に沿って遊技球A9をスペシャルルート用孔323に近接する側(扇状部322aの左右端部側)に配置させた後で振分体322を平衡状態に到達させることができる。これにより、図22(b)に示すように、振分体322が平衡状態となると同時に遊技球A9をスペシャルルート用孔323に流入させることができる。
即ち、2個の遊技球A8,A9がルート振分部320に大きくずれた(本実施形態では、約2秒間)タイミングで流入した場合、先の遊技球A8はノーマルルート用孔324を通過し、後の遊技球A9はスペシャルルート用孔323を通過する。
これを達成するために、本実施形態では、遊技球が振分体322に当接して振分体322を平衡状態から第2角度状態まで状態変化させた後で第1角度状態に戻るまでの期間(約4秒間)は、可動片190a(図2参照)が2回開放する際の閉鎖から開放までの間隔(本実施形態において、2秒間)以上に設定されている。
なお、本実施形態では、ノーマルルート用孔324を通過した遊技球がノーマルルート誘導路326及び振分傾斜部330を通過して確定領域孔340に到達するまでにかかる期間は、4秒間から5秒間に収まるように設計される。また、スペシャルルート用孔323を通過した遊技球がスペシャルルート誘導路325及び振分傾斜部330を通過して確定領域孔340に到達するまでにかかる期間は、2秒間から3秒間となるように設計される。
即ち、例えば、図21(a)において、遊技球A8,A9が共に確定領域孔340へ到達する場合、遊技球A8は、図21(a)の状態から約4秒後から5秒後に確定領域孔340に到達し、遊技球A9は、図21(a)に図示する状態から約0.5秒後の状態である図21(b)の状態から、約2秒後から3秒後(図21(a)の状態から、2.5秒後から3.5秒後)に確定領域孔340に到達する(約1秒で平衡状態となり、その後の1.5秒から2.5秒で確定領域孔340へ到達する)。従って、遊技球A8,A9は、最大でも2.5秒間のずれで確定領域孔340に到達する。
このように、一回の小当たり抽選により可動入球役物装置190に2個の遊技球が入球する場合に、それらの遊技球が確定領域孔340に到達する場合の最大ずれ間隔は、約2.5秒間に設定される。これに基づいて、後述する第2流下装置400の滞留ソレノイド413の張出期間を5秒間と設定している。これにより、複数個の遊技球を流下阻止板412で滞留させてから、再び流下させることを、確実に実施することができる。
次いで、第1流下装置300の確定領域孔340(図5参照)を通過した遊技球が流下する第2流下装置400について説明する。
図23は、第2流下装置400の正面斜視図であり、図24は、第2流下装置400の正面図である。図23及び図24に示すように、第2流下装置400は、複数の分岐する流路から構成され確定領域孔340(図5参照)を通過した遊技球を流下させる装置であり、流路が2本に分岐する第1分岐領域410と、その第1分岐領域410で分岐された上側の流路である第2分岐誘導流路R2を流下した遊技球が到達する領域であって流路が2本に分岐する第2分岐領域420と、第1分岐領域410で分岐された下側の流路である第3分岐誘導流路R3を流下した遊技球が到達し且つ第2分岐流路420で分岐された手前側の流路である特殊誘導流路R4を流下した遊技球が到達する領域であって流路が2本に分岐する第3分岐領域430と、遊技球が排出される複数の特定流域孔440と、を主に備え、各分岐領域410〜430には、遊技球を誘導する誘導流路R1〜R6が接続されている。
第1分岐誘導流路R1は、確定領域孔340(図5参照)を通過した遊技球が誘導される流路であって、右下方へ延びた後で、鉛直方向から若干右に逸れる方向(右下へ向けて下降傾斜する方向)に延び、第1分岐領域410に上方から接続される流路である。即ち、第1分岐領域410へは、遊技球が鉛直方向から若干右に逸れる方向(斜め右下方向)に沿って流入される。本実施形態では、第1分岐誘導流路R1が、流入した遊技球を最大でも3秒間で第1分岐領域410へ排出する態様で構成される。
第2分岐誘導流路R2は、第1分岐領域410から分岐される上側の流路であって、左下方へ延びた後で第2分岐領域420に右方から接続される。
第3分岐誘導流路R3は、第1分岐領域410から分岐される下側の流路であって、正面側へ向けて下降傾斜する方向へ延びた後で、左方へ下降傾斜する方向へ延び、さらに鉛直下方へ延びた後で第3分岐領域430に上方から接続される。
特殊誘導流路R4は、第2分岐領域420から分岐される手前側の流路であって、鉛直下方へ延びた後で、第3分岐誘導流路R3の鉛直方向へ延びる部分に上方から合流する。特殊誘導流路R4に遊技球が流入してから、振分突起431に到達し、左右どちらかの流路へ遊技球が流れるまでに1秒間を要する。
第1遅延誘導流路R5は、第3分岐領域430から分岐される右側の流路であって、右下方へ延び、下端部に第2特定領域孔442が配設される。
第2遅延誘導流路R6は、第2分岐領域420から分岐される背面側の流路であって、左下方へ延び、左端部に第3特定領域孔443が配設される。
図24に示すように、第3分岐誘導流路R3は第2分岐誘導流路R2よりも経路が長くされる一方で、傾斜角度は大きくされる。そのため、それぞれの誘導流路R2,R3を流下する遊技球の流下位置(左右位置)を均一化できる。本実施形態では、第1分岐領域410から同時に第2分岐誘導流路R2と第3分岐誘導流路R3とに送球される2個の遊技球が、第2分岐誘導流路R2で停留することなく特殊誘導流路R4へ入球された場合に、合流位置において鉛直方向で当接するように流路の形状が設計される。
図24に示すように、第1遅延誘導流路R5は、第2遅延誘導流路R6に比較して、傾斜角度が大きく、且つ、延設長さが短くされている。即ち、遊技球が第1遅延誘導流路R5を通過する場合(本実施形態において約2秒間)に比較して、遊技球が第2遅延誘導流路R6を通過する場合(本実施形態において約5秒間)の方が、遊技球の滞在時間が長くなる。なお、各誘導流路R5,R6の底面には、遊技球を減速させる減速突起が複数配設される。
特定領域孔440は、第3分岐領域430から分岐される左側の流路に配設される第1特定領域孔441と、第1遅延誘導流路R5の下端部に配設される第2特定領域孔442と、第2遅延誘導流路R6の左端部に配設される第3特定領域孔443と、を主に備える。
第1特定領域孔441は、16ラウンド大当たり用の第1特定領域に遊技球を誘導するための孔であり、その真下に第1特定領域スイッチ441aが配設される。これにより、第1特定領域孔441を通過して第1特定領域を通過する遊技球は、第1特定領域スイッチ441aにより検出される。
第2特定領域孔442は、7ラウンド大当たり用の第2特定領域に遊技球を誘導するための孔であり、その真下に第2特定領域スイッチ442aが配設される。これにより、第2特定領域孔442を通過して第2特定領域を通過する遊技球は、第2特定領域スイッチ442aにより検出される。
第3特定領域孔443は、3ラウンド大当たり用の第3特定領域に遊技球を誘導するための孔であり、その真下に第3特定領域スイッチ443aが配設される。これにより、第3特定領域孔443を通過して第3特定領域を通過する遊技球は、第3特定領域スイッチ443aにより検出される。
ここで、本実施形態におけるパチンコ機10において、例えば、第3特定領域を遊技球が通過し、3ラウンド大当たりの演出が実行されている間に、遊技球が第1特定領域を通過したとしても、その遊技球は無効(既に3R大当たりの処理が走っているため、割り込みしない)となり、16ラウンド大当たりの演出は実行されない。そのため、遊技者の不満の原因となっていた。これに対し、本実施形態では、複数の特定領域を遊技球が通過し得る状態となった場合に、遊技者に与える利益が多い方の特定領域を遊技球が先に通過する態様で構成される。なお、その詳細については後述する。
図25を参照して、第1分岐領域410の構成について説明する。図25は、図24の範囲XXVにおける第2流下装置400の部分正面図である。図25に示すように第1分岐領域410は、第1分岐誘導流路R1を流下した遊技球の右方から当接し、遊技球を第2分岐流路R2へ向けて反射させる当接壁411と、第2分岐誘導流路R2及び第3分岐誘導流路R3の内方に張り出す張出状態と、外方へ没する退避状態とで状態を切り替える態様で出没可能に構成される流下阻止板412と、その流下阻止板412を駆動すると共に第2分岐誘導流路R2の背面側に配設される滞留ソレノイド413と、を備える。
当接壁411は、遊技球の直径以下の長さで鉛直上方へ向けて延設される側壁である。これにより、当接壁411へ向かってくる遊技球が1個である場合と、2個以上である場合とで、遊技球の振り分けを変化させることができる。当接壁411が遊技球を振り分ける様子について、図26を参照して説明する。
流下阻止板412は、張出状態において、第2分岐誘導流路R2及び第3分岐誘導流路R3の内側の開口の大きさを遊技球の直径以下に狭め、遊技球を停留させる。一方で、退避状態では、流下阻止板412が第2分岐誘導流路R2及び第3分岐誘導流路R3の外方へ没するので、遊技球の停留が解除される。
即ち、流下阻止板412を張出状態としておくことで、第1分岐誘導流路R1を流下して当接壁411の左方へ到達した遊技球を一時的に停留させることができ、その後、滞留ソレノイド413の駆動状態を切り替えて流下阻止板412を退避状態とすることで、遊技球を左方へ送球することができる。そのため、当接壁411付近から遊技球を下方へ送球するタイミングを、滞留ソレノイド413の制御次第で任意に規定することができる。
図26(a)から図26(c)は、図24の範囲XXVにおける第2流下装置400の部分正面図である。なお、図26(a)から図26(c)では、第1特定領域410へ遊技球B1,B2が2個流入する様子が時系列で図示されており、図26(a)では、先に入球した遊技球B1が当接壁411に当接する直前の状態が図示され、図26(b)では、後から入球した遊技球B2が遊技球B1と当接して右方へ押しのけられた状態が図示され、図26(c)では、遊技球B1,B2が離れ、遊技球B1が第2分岐誘導流路R2へ、遊技球B2が第3分岐誘導流路R3へ、それぞれ流入した状態が図示される。また、図26(a)から図26(c)では、流下阻止板412は張出状態で図示される。
図26(a)に示すように、先の遊技球B1は、第1分岐誘導流路R1をその延設方向に沿って右下方へ向けて流下し、右側面で当接壁411と衝突すると共に第2分岐誘導流路R2の底板に着地した後で、第2分岐誘導流路R2を左方へ流下する。
このとき、遊技球B1は左右方向への速度が抑えられた状態(着地した状態)から左方へ向けての第2分岐誘導流路R2への流下を開始する。そして、当接壁411から左方へ跳ね返った位置(図26(b)参照)で、流下阻止板412に流下を阻止され、しばらく滞留する。
遊技球B1が滞留している間に後の遊技球B2が第1分岐領域410へ流入することにより、遊技球B2は、当接壁411と当接するよりも先に遊技球B1と当接する。この当接時において、遊技球B1は当接壁411に当接する位置から左方へ若干ずれた位置に配置され、遊技球B2は遊技球B1に遊技球B1の中心よりも右側で上方から当接する。そのため、当接により遊技球B1から遊技球B2に右方向への負荷が与えられる。
また、遊技球B2は、第1分岐誘導流路R1の延設方向に沿った右下方向への速度成分を有するので、遊技球B1との当接後、右方へ移動する。ここで、当接壁411の延設高さが遊技球B1,B2の直径よりも短くされているので、当接壁411を乗り越えた状態で遊技球B2を右方へ移動させることができる。これにより、遊技球B2は第3分岐誘導流路R3を流下し、遊技球B1の下方において流下阻止板412に流下を阻止され、しばらく滞留する。
滞留ソレノイド413は、遊技球B1,B2が第1分岐誘導流路R1に流入してから、遊技球B2が第3分岐誘導流路R3の流下阻止板412に到達するまでに必要な期間(本実施形態では、3秒間)よりも十分長い期間(本実施形態では、5秒間)が経過した時に、駆動状態を切り替えられ、退避状態となる。そのため、2個の遊技球B1,B2が第1分岐誘導流路R1に流入する間隔が異なる場合でも、各遊技球B1,B2が一度停留してから、再度流下し始める際の、流下開始タイミング及び流下開始位置を固定することができる。
2個の遊技球B1,B2がまとまって第1分岐領域410に入球した場合に後の遊技球B2を第2分岐誘導流路R2よりも有利な第3分岐誘導流路R3に入球させることができる。一方で、遊技球が1個ずつ第1分岐領域410に入球する場合には、何回入球しようが、当接壁411に阻まれることで、遊技球が第3分岐誘導流路R3へ流入することが防止される。
従って、第1分岐領域410へまとまって入球する遊技球の個数により遊技球の分岐の仕方を変化させることができ、2個の遊技球が第1分岐領域410へまとまって入球した場合に、2個とも第2分岐誘導流路R2へ流入することを防止することができる。
なお、図12から図20までで上述した通り、第1分岐領域410へ遊技球が流入する前段階として、第1流下装置300に2個の遊技球が入球する場合、2個の遊技球はほぼ同じタイミングでスペシャルルート用孔323に送球され、確定領域孔340(図5参照)へ流下するので、第1分岐領域410へ2個の遊技球がまとまって入球される状況は、第1流下装置300に2個の遊技球がまとまって入球すれば、高確率で生じる状況である。
図27(a)は、図24の矢印XXVIIa方向視における第2流下装置400の部分上面図であり、図27(b)は、図27(a)のXXVIIb−XXVIIb線における第2流下装置400の部分断面図である。なお、図27(a)及び図27(b)では、第2分岐領域420に対応する領域が図示される。
図27(a)及び図27(b)に示すように、第2分岐領域420は、第2分岐誘導流路R2を通過した遊技球が当接する位置に配置され一定の往復揺動動作を行う振分動作装置421と、その振分動作装置421により正面側(図27(a)下側)に振り分けられた遊技球が通過する特殊領域孔422と、振分動作装置421により奥側(図27(a)上側)に振り分けられた遊技球が通過する第1遅延準備孔423と、振分動作装置421により振り分けられた遊技球が逆側へ行くことを防止する防止壁部424と、を主に備える。
振分動作装置421は、第1分岐誘導流路R2の出口位置付近において回転可能に軸支される可動板421aと、その可動板421aを駆動させる駆動力を発生させ第2流下装置400のフランジ部(図示せず)に固定される駆動モータ421bと、を主に備える。
可動板421aは、防止壁部424の右側に接すると共に第2分岐誘導流路R2の中心軸と公差する位置に鉛直方向に延びる回転軸を備え、可動板421aの延設方向が第2分岐誘導流路R2の中心軸と沿う状態(図27(a)に実線で示す状態)を基準として、前後(図27(a)上下)に所定角度(本実施形態では45°)ずつ首振りする態様で往復回転する。なお、その回転動作は、パチンコ機10の電源投入時(電源OFF等の停電時以外)から電源遮断時まで継続される動作であって、2秒で一往復する程度(片道90°の回転に1秒程度)の速度態様とされる。
なお、本実施形態では、可動板421aの回転軸と第2分岐誘導流路R2の前後側壁端部とを結ぶ一対の基準直線L1を境として、一対の基準直線L1の間に可動板421aが配置される状態を可動板421aの滞留状態と称し、一対の基準直線L1と可動板421aの長手方向とが一致する状態を含め一対の基準直線L1の外側に可動板421aが配置される状態を可動板421aの通過許容状態と称す。
特殊領域孔422は、通過した遊技球を特殊誘導流路R4へ案内する。そのため、可動板421aにより正面側(図27(a)下側)へ向きを変えられた遊技球は、特殊誘導流路R4から第3分岐誘導流路R3へ流入しながら鉛直下方へ落下し、第3分岐領域430へ流入する。
一方で、特殊領域孔423は、通過した遊技球を第2遅延誘導流路R6へ案内する。そのため、可動板421aにより奥側(図27(a)上側)へ向きを変えられた遊技球は、第2遅延誘導流路R6を通過して第3特定領域孔443を通過する。
図28は、図24の範囲XXVIIIにおける第2流下装置400の部分正面図である。なお、図28では、第3分岐領域430に対応する領域が図示される。図28に示すように、第3分岐領域430は、第3分岐誘導流路R3を通過した遊技球が上方から入球する領域であって、第3分岐誘導流路R3の出口位置から第3分岐誘導流路R3の中心軸を延長した位置において鉛直上方へ向けて凸設される振分突起431を備える。
振分突起431は、第3分岐誘導流路R3の中心軸を延長した線を基準として左右対称となる山形状から形成される。そのため、第3分岐誘導流路R3を流下した遊技球は、振分突起431との当接開始時に、振分突起431の中心の鉛直上方に中心を有することになる。従って、遊技球を左右に振り分ける確率が半々(50%ずつ)とされる。
次いで、図29から図39を参照して、遊技球B1,B2が第2分岐領域420及び第3分岐領域430を通過するいくつかの態様について、場合分けして説明する。まず、図29から図31を参照して、第2分岐領域420で遊技球B1aが滞留せずに流下して特殊領域孔422を通過する場合について説明する。
図29(a)は、図24の範囲XXVIIIにおける第2流下装置400の部分正面図であり、図29(b)は、図29(a)の矢印XXIXb方向視における第2流下装置400の部分上面図であり、図30(a)は、図24の範囲XXVIIIにおける第2流下装置400の部分正面図であり、図30(b)は、図30(a)の矢印XXXb方向視における第2流下装置400の部分上面図であり、図31(a)及び図31(b)は、図24の範囲XXVIIIにおける第2流下装置400の部分正面図である。なお、図29(a)、図29(b)、図30(a)、図30(b)、図31(a)及び図31(b)では、第1分岐領域410にまとまって2個入球した遊技球B1a,B2aが流下する様子が図系列で図示される。
図29(a)及び図29(b)に示すように、遊技球B1aが第2分岐領域420に到達した時に可動板421aが特殊領域孔422側を空けて通過許容状態となっている場合、遊技球B1aは特に減速することなく、図30(a)及び図30(b)に示すように、特殊領域孔422に到達し、特殊領域孔422に落下する。
ここで、遊技球B1a,B2aの第1分岐領域410からの左方への流下は、左方向への速度が第1分岐領域410を起点として生じるため、第2分岐誘導流路R2の態様(延設長さや傾斜角度)と第3分岐誘導流路R3(延設長さや傾斜角度)の設定により、流下する遊技球B1a,B2aの位置に狙いを付けることができる。
本実施形態では、図31(a)に示すように、第2分岐領域420で可動板421aに減速されずに特殊領域孔422に遊技球B1aが落下した場合、第3分岐誘導流路R3を通過した遊技球B2aの上面に落下するように、流路形状が設計されている。
例えば、第2分岐誘導流路R2から特殊領域孔422まで遊技球が2秒間で流下しきり、特殊誘導流路R4から第3分岐領域430までを1秒で落下する一方で、第3分岐誘導流路R3を遊技球が約2.5秒間で流下し切る態様で構成される。
ここで、遊技球B2aは、図30(a)に示す状態から図31(a)に示す状態へ移動した際に、第3分岐誘導流路R3の左側の側壁に衝突する事で左方への速度が殺されると共に鉛直下方へ自由落下する。そのため、遊技球B2aは、図31(a)に示す状態において、左右方向の速度および上下方向の速度が大きく低減される。この速度が大きく低減される位置へ向けて遊技球B1aを落下させる態様により、遊技球B1aと遊技球B2aとを安定して当接させることができる。
図31(a)に示すように、遊技球B1a,B2aが上下で当接する状態から、そのまま遊技球B1a,B2aが連なって鉛直下方へ落下した後で、下側の遊技球B2aが振分突起431に衝突する。その場合において、遊技球B2aが振分突起431に振り分けられる割合は左右半々(50%)とされるが、遊技球B2aが左右のどちらかに振り分けられる際に、その上の遊技球B1aに衝突することで、遊技球B1aが遊技球B2aの左右逆側へ振り分けられ易くなる。そのため、2個の遊技球B1a,B2aを振分突起431の両方向にそれぞれ1個ずつ流下させ易くすることができる。
本実施形態では、遊技球B1a,B2aが振分突起431で振り分けられた後で、第1特定領域スイッチ441aを遊技球が通過し得るまでにかかる期間に比較して、第2特定領域スイッチ442aを遊技球が通過し得るまでにかかる期間が大幅に長くされる。
従って、2個の遊技球B1a,B2aを振分突起431の両方向にそれぞれ1個ずつ流下させることにより、遊技球B1a,B2aが第2特定領域スイッチ442aを通過するよりも前に遊技球B1a,B2aを第1特定領域スイッチ441aに通過させることができる。これにより、第3分岐領域430に遊技球が1個流入する場合に比較して、遊技者が16ラウンド大当たり(7ラウンド大当たりよりも利益の大きい大当たり)を獲得する確率を向上させることができる。
図32から図35を参照して、第2分岐領域420で遊技球B1bが一時的に滞留してから特殊領域孔422を通過する場合について説明する。
図32(a)は、図24の範囲XXVIIIにおける第2流下装置400の部分正面図であり、図32(b)は、図32(a)の矢印XXXIIb方向視における第2流下装置400の部分上面図であり、図33(a)は、図24の範囲XXVIIIにおける第2流下装置400の部分正面図であり、図33(b)は、図33(a)の矢印XXXIIIb方向視における第2流下装置400の部分上面図であり、図34(a)は、図24の範囲XXVIIIにおける第2流下装置400の部分正面図であり、図34(b)は、図34(a)の矢印XXXIVb方向視における第2流下装置400の部分上面図であり、図35は、図24の範囲XXVIIIにおける第2流下装置400の部分正面図である。
なお、図32(a)、図32(b)、図33(a)、図33(b)、図34(a)、図34(b)及び図35では、第1分岐領域410にまとまって2個入球した遊技球B1b,B2bが流下する様子が図系列で図示される。
図32(a)及び図32(b)に示すように、遊技球B1bが第2分岐領域420に到達した時に可動板421aが第1遅延準備孔423へ近づく向きへ回転動作する途中において滞留状態となっている場合、遊技球B1bは可動板421aの先端に進行を妨げられ、図32(b)に示す位置(第2分岐誘導流路R2の出口位置)で一時的(約1秒間)に滞留したあと、可動板421aが更に回転して通過許容状態となることに伴って特殊領域孔422へ向かって流下する(図33(b)参照)。ここで、遊技球B1bが滞留する間も遊技球B2bは流下を継続しているので、遊技球B1b,B2bが当接するタイミングからは、ずれて遊技球B1bが特殊領域孔422へ到達する。
図34(a)に示すように、遊技球B1bが特殊誘導流路R4へ流入開始するタイミングでは、既に遊技球B2bが振分突起431に到達し、第3分岐領域430における振り分けを実行されている。
その後、図35に示すように、遊技球B1bが振分突起431に到達する。ここで、振分突起431により遊技球B1b,B2bが振り分けられる際に、遊技球B1b,B2bは互いに干渉することはないので、遊技球B1b,B2bごとの振り分け割合は半々(50%)となる。
即ち、遊技者にとっては、第1特殊領域孔441へ遊技球B1b,B2bを流入させるチャンスを2回得られることになるので、第2流下装置400に遊技球が1個だけ入球する場合に比較して、遊技者が得られる利益を向上させやすくすることができる。
また、図35に示すように、振分突起431から第2特定領域孔442までの間に第1遅延流路R5が配設されることにより、先に振分突起431に到達した遊技球B2bが第2特定領域孔442側へ振り分けられたとしても、その遊技球B2bが第1遅延誘導流路R5を流下している間(約2秒間)に、後の遊技球B1bが第1特定領域孔441を通過し(図34(a)に示す状態から1秒後、即ち、遊技球B2bが第1遅延誘導流路R5を流下している間に通過し)、第1特定領域スイッチ441aに検出されるという状態(遊技者が16ラウンド大当たりを獲得した状態)を構成することができる。これにより、遊技者が得られる利益を向上させやすくすることができる。
図36から図39を参照して、第2分岐領域420で遊技球B1cが滞留することなく、第1遅延準備孔423を通過する場合について説明する。
図36(a)は、図24の範囲XXVIIIにおける第2流下装置400の部分正面図であり、図36(b)は、図36(a)の矢印XXXVIb方向視における第2流下装置400の部分上面図であり、図37(a)は、図24の範囲XXVIIIにおける第2流下装置400の部分正面図であり、図37(b)は、図37(a)の矢印XXXVIIb方向視における第2流下装置400の部分上面図であり、図38及び図39は、第2流下装置400の部分正面図である。
なお、図36(a)、図36(b)、図37(a)、図37(b)、図38及び図39では、第1分岐領域410にまとまって2個入球した遊技球B1c,B2cが流下する様子が図系列で図示される。
図36(a)及び図36(b)に示すように、遊技球B1cが第2分岐領域420に到達した時に可動板421aが第1遅延準備孔423側を空けて通過許容状態となっている場合、遊技球B1cは特に減速することなく、図37(a)及び図37(b)に示すように、第1遅延準備孔423に到達し、第1遅延準備孔423に落下する。
第1遅延準備孔423に落下した遊技球B1cは第2遅延誘導流路R6を流下して第3特定領域孔441へ向かう。ここで、図38及び図39に示すように、第3分岐誘導流路R3を流下した遊技球B2cは振分突起431で左右に振り分けられるが、特定領域までの距離が長い側である第1遅延誘導流路R5を遊技球B2cが流下し切る期間(約2秒間)の方が、遊技球B1cが第2遅延誘導流路R6を流下し切る期間(約5秒間)に比較して短くされる。
即ち、遊技球B2cが振分突起431で左右どちらに振り分けられるかに関わらず、遊技球B1cが第2遅延誘導流路R6を流下して第3特定領域スイッチ443aを通過するよりも前に、遊技球B2cを第1特定領域スイッチ441a又は第2特定領域スイッチ442aの中へ流入させることができる。これにより、遊技者が得られる利益を向上させやすくすることができる。
このように、本実施形態では、第1流下装置300へ遊技球が2個まとまって入球されることで、遊技球を確定領域孔340へ入球させやすくできるルート振分部320及び振分傾斜部330が配設され、遊技者は可動入球役物装置190へ遊技球を2個まとめて入れる遊技を行うことで、その利益を得やすくすることが可能となる。
また、本実施形態では、可動入球役物装置190に複数の遊技球が入球し、それらが確定領域孔340に共に入球した場合に、その後に続く第2流下装置400が、1個の遊技球が流下する場合に比較して、より利益の大きな大当たりを獲得し易い構造となっている。これにより、遊技者の興趣を向上させることができる。
次いで、図40から図42を参照して、第2実施形態における第2流下装置2400について説明する。
第1実施形態では、第2遅延誘導流路R6を長く傾斜の緩やかな流路として構成することで遊技球が第3特定領域スイッチ443aを通過するまでの期間を稼ぐ場合を説明したが、第2実施形態における第2流下装置2400は、各始動入賞口26〜28(図2参照)へ遊技球が入球することを作動契機として所定期間張り出し、特定領域孔2440への遊技球の落下を阻止する時限阻止板2411を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図40(a)は、第2実施形態における第2流下装置2400の正面図であり、図40(b)及び図40(c)は、図40(a)のXLb−XLb線における第2流下装置2400の断面図である。なお、図40(a)では、正面側に配設される蓋部材の図示が省略され特定領域孔2440の内側面が図示され、これは、図41及び図42において同様である。また、図40(b)では、時限阻止板2411が張り出された状態が図示され、図40(c)では、時限阻止板2411が引き込められた状態が図示される。
図40(a)に示すように、第2流下装置2400は、第1分岐誘導流路R1と、その第1分岐誘導流路R1に連結される時限分岐領域2410と、時限分岐領域2410の時限阻止板2411の状態を変化させる電磁ソレノイド2420と、を主に備える。
時限分岐領域2410は、第1分岐誘導流路R1を流下した遊技球をいずれかの特定領域に送球する領域であって、特定領域に遊技球が流入される入口である特定領域孔2440を遊技球が通過することを時限的に防止する時限阻止板2411と、遊技球が送球されるいくつかの(本実施形態では3個の)特定領域孔2440を備える。
時限阻止板2411は、特定領域孔2440の内側に張り出す(図40(b)下方へ張り出す)張出状態と、特定領域孔の外側へ没する(図40(b)上方へ没する)没入状態とを電磁ソレノイド2420の駆動力で構成可能とされ、張り出した状態における板の上面が各特定領域孔2440の入口(上面)から遊技球の半径分だけ下方へ沈んだ位置に配置される。
電磁ソレノイド2420は、確定領域スイッチ340a(図5参照)を遊技球が通過したことを作動契機として通電され張出状態を構成する。その張出状態は、遊技球が第1分岐誘導流路R1を通過して各特定領域孔2440の内側に遊技球が配置されるまでにかかる期間(本実施形態において最大で10秒間)よりも十分長い期間(12秒間)維持される。これにより、各特定領域孔2440から落下する遊技球の落下タイミングを揃えることができる。
各特定領域孔2440は、遊技球が1個通過できる程度の大きさの孔であって、第1分岐誘導流路R1へ流下した遊技球が等分の確率で落下する第1特定領域孔2441と、第2特定領域孔2442と、第3特定領域孔2443と、を主に備える。
第1特定領域孔2441は、16ラウンド大当たり用の第1特定領域に遊技球を誘導するための孔であり、その真下に第1特定領域スイッチ2441aが配設される。これにより、第1特定領域孔2441を通過して第1特定領域を通過する遊技球は、第1特定領域スイッチ2441aにより検出される。
第2特定領域孔2442は、7ラウンド大当たり用の第2特定領域に遊技球を誘導するための孔であり、その真下に第2特定領域スイッチ2442aが配設される。これにより、第2特定領域孔2442を通過して第2特定領域を通過する遊技球は、第2特定領域スイッチ2442aにより検出される。
第3特定領域孔2443は、3ラウンド大当たり用の第3特定領域に遊技球を誘導するための孔であり、その真下に第3特定領域スイッチ2443aが配設される。これにより、第3特定領域孔2443を通過して第3特定領域を通過する遊技球は、第3特定領域スイッチ2443aにより検出される。
ここで、図40(a)に示すように、各特定領域孔2441〜2443から各特定領域スイッチ2441a〜2443aまでの距離H1〜H3が異なっている。即ち、第1特定領域孔2441から第1特定領域スイッチ2441aまでの距離(距離H1)に比較して第2特定領域孔2442から第2特定領域スイッチ2442aまでの距離(距離H2)が長くされ、第2特定領域孔2442から第2特定領域スイッチ2442aまでの距離(距離H2)に比較して第3特定領域孔2443から第3特定領域スイッチ2443aまでの距離(距離H3)が長くされる(距離H1<距離H2<距離H3)。各特定領域孔2441〜2443の流下抵抗は同等で構成されるので、複数個の遊技球が落下タイミングを揃えた態様で各特定領域孔2441〜2443に落下する場合に、遊技者が獲得できる利益を、遊技球が通過する特定領域孔2441〜2443における最大の利益とすることができる。なお、本実施形態では、流下抵抗を同等したが、流下抵抗を変化させ、距離H1〜H3を同等とすることによって、本効果を奏するように構成しても良い。
図41及び図42を参照して第2流下装置2400に2個の遊技球B10,B11がまとまって入流した場合の遊技球B10,B11の流下態様の一例について説明する。
図41(a)、図41(b)及び図42は、第2流下装置2400の正面図である。なお、図41(a)、図41(b)及び図42では、第3流下装置2400に入球した2個の遊技球B10,B11が流下する様子が時系列に沿って図示される。
図41(a)に示すように、先の遊技球B10が等分の確率で第3特定領域孔2443に入球すると、その遊技球B10が蓋となり、後の遊技球B11は第3特定領域孔2443には入球不可能となる。これにより、第2流下装置2440に遊技球が2個入球した場合に、2個の遊技球とも同じ特定領域孔2440(例えば、第3特定領域孔2443)に入球することを防止することができる。
図41(b)に示すように、後の遊技球B11は等分の確率で第2特定領域孔2442又は第1特定領域孔2441に入球する。なお、図41(b)では、第1特定領域孔2441に遊技球B11が入球した場合が図示される。
図42に示すように、電磁ソレノイド2420の通電が切られ、時限阻止板2411が没入状態とされると、遊技球B10,B11が同時に落下する。このとき、距離H1が距離H3に比較して短いので、第1特定領域スイッチ2441aを遊技球B11が通過して検出された後で、第3特定領域スイッチ2443aを遊技球B10が通過する。そのため、遊技球B10が第3特定領域スイッチ2443aを通過したことは無効となり、遊技者は、16ラウンド大当たりを獲得することができる。
これにより、本実施形態では、2個の遊技球B10,B11が第2流下装置2440に入球された場合に、2個とも同じ特定領域孔2441〜2443に入球することを防止できると共に、より遊技者にとって有利な特定領域孔2441〜2443に入球した遊技球を各特定領域スイッチ2441a〜2443aで有効に検出する態様とすることができる。これにより、第2流下装置2400に遊技球が1個流入する場合に比較して、遊技者がより利益の高い大当たりを獲得できるようにすることができる。
次いで、図43から図52を参照して、第3実施形態における第1流下装置3300について説明する。第1実施形態では、振分体322に遊技球が当接することで遊技球の流下経路が変化する場合を説明したが、第3実施形態における第1流下装置3300のルート振分部3320は、遊技球同士を衝突させることによって、遊技球の流下経路を変化させる態様で構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図43は、第3実施形態における第1流下装置3300の正面図であり、図44は、図43の矢印XLIV方向視における第1流下装置3300の側面図であり、図45は、図44の矢印XLV方向視における第1流下装置3300の上面図である。なお、図43では、理解を容易とするために、導入通路3310の正面側壁とルート振分部3320の正面側壁との図示が省略される(即ち、遊技球が導入通路3310の内側およびルート振分部3320の内側を流下するものであって、正面側(図43手前側)へ向けて遊技球が脱落する態様では無い)。
図43から図45に示すように、第1流下装置3300は、大入賞口スイッチ190b(図2参照)に入球した遊技球をルート振分部3320まで誘導する導入通路3310と、その導入通路3310を通過した遊技球が入球するルート振分部3320と、突起部331を有する振分傾斜部330と、確定領域孔340と、はずれ孔350と、を主に備える。
導入通路3310は、正面視中央部に配置される分岐領域3311と、その分岐領域3311へ向けて下降傾斜して形成されると共に遊技球を流下させる流路であって分岐領域3311に連結される上側流路3312と、分岐領域3311から正面視左右両方向へ向けて下降傾斜して形成されると共に遊技球を流下させる流路であって左右端部で連結流路3314,3315に連結される下側流路3313と、その下側流路3313の右側端部から左右方向成分無く背面側へ向けて下降傾斜する方向へ延設される右側連結流路3314と、下側流路3313の左側端部から左右方向成分無く正面側へ向けて下降傾斜する方向へ延設される左側連結流路3315と、その各連結流路3314,3315の下側底板の左右内側位置に上方へ向けて凸設される突出部3316と、を主に備える。
分岐領域3311は、遊技球が収容されていない状態で上側流路3312から送球された遊技球を左右同じ側の下側流路3313へ流入させる壁部である仕切り壁部3311aを備える。
仕切り壁部3311aは、上側流路3312の底板が途切れる位置から遊技球1個分(左右方向に遊技球1個分)離間した位置であって、下側流路3313の底板を左右方向に延設した位置から上方へ向けて遊技球の直径以下の高さで延設される壁部である。
図46を参照して仕切り壁部3311aの機能を説明する。図46(a)及び図46(b)は、導入通路3310の部分正面図である。なお、図46(a)及び図46(b)では、導入通路3310の一方の入口から遊技球B20,B21がまとまって入球した場合の遊技球B20,B21の流下の様子が時系列で図示される。
遊技球が導入通路3310に右側から入球すると、上側流路3312から分岐領域3311へ入ることで鉛直方向へ落下し、仕切り壁部3311aに左方への移動を制限され、続けて下側流路3313へ入球する。
即ち、導入通路3310を流下する遊技球が1個であったり、2個であっても左右に一個ずつ分かれていたりすれば、左右一方側から上側流路3312を流下した遊技球は分岐領域3311で同じ側へ跳ね返される態様で下側流路3313へ入球される。導入通路3310は左右対称形状から構成され、これは遊技球が左側から入球しても同様である。
一方、図46(a)に示すように、2個の遊技球B20,B21が右側からまとまって導入通路3310を流下する場合、先の遊技球B20が上側流路3312から分岐領域3311へ入ることで鉛直方向へ落下した状態において、左右の方向転換をする前に後の遊技球B21が先の遊技球B20を乗り越え可能となる。突出部3316は遊技球の直径以下の高さであるので、この場合、遊技球B21は突出部3316を乗り越えて、突出部3316の左側において下側流路3313に入球する。
従って、導入通路3310に遊技球が2個まとまって入球する場合に、導入通路3310に左右両側から1個ずつ入球しようが、左右片方から2個まとまって入球しようが、導入通路3310からルート振分部3320へ左右1個ずつの態様で遊技球を入球させることができる。
図43から図45に戻って説明する。下側流路3313を通過した遊技球は連結流路3314,3315の延設方向(左右方向成分の無い方向)に沿って下方へ落下する。各連結流路3314,3315は、下方底板(図43下側の板)が中央方向へ向かって下降傾斜する態様で構成される。そのため、下側流路3313から各連結流路3314,3315へ送球された遊技球は各連結流路3314,3315の下方底板に着地した時点において左右方向の速度はほとんど無い状態となり、下方底板の傾斜に従って左右中央方向へ転動する。
その後、遊技球は突出部3316に当接して減速された後にルート振分部3320に流入される。これにより、ルート振分部3320に入球する遊技球が左右方向に飛び出すことを防止することができると共に、ルート振分部3320の内面の形状に沿って遊技球を転動させることができる。なお、各連結流路3314,3315の延設方向が前後方向で異なっていることにより、ルート振分部3320に入球する遊技球の前後位置を若干ずらした構成としている。
次いで、図47及び図48を参照して、ルート振分部3320について説明する。なお、ルート振分部3320の説明において、図43から図45を適宜参照する。図47(a)は、図43のXLVIIa−XLVIIa線における第1流下装置3300の部分断面図であり、図47(b)は、図47(a)のXLVIIb−XLVIIb線における第1流下装置3300の部分断面図であり、図48は、図47(b)のXLVIII−XLVIII線における第1流下装置3300の部分断面図である。
ルート振分部3320は、導入通路3310から入球した遊技球の転動を案内する一対の案内レール3321と、その案内レール3321の左右中央位置において遊技球が移動可能な領域が前後方向(図47(a)上下方向)に拡大される拡大領域3322と、拡大領域3322の前後方向中央位置において遊技球が落下可能な孔として構成されるスペシャルルート用孔3323と、各案内レール3321の終端部において遊技球が落下可能な孔として構成されるノーマルルート用孔3324と、そのノーマルルート用孔3324を通過した遊技球を後方へ向けて流下させ振分傾斜部330の後方端部に落下させるノーマルルート誘導路3326と、を主に備える。
案内レール3321は、遊技球を前後に平行に配置された2本のレールで支えその流下経路を規制する正面視において下へ凸状に湾曲するものである。なお、一対の案内レール3321は上面視において左右中心の点を基準として回転対称とされるので、左側から流入する遊技球を案内する案内レール3321について説明し、反対側の案内レール3321については説明を省略する。
案内レール3321は、ルート振分部3320の前後方向中央位置付近においてルート振分部3320の底板(図43下側の板)の湾曲形状に沿って延設される中央レール部3321aと、その中央レール部3321aと平行な位置関係で併設される補助レール部3321bと、を備える。
中央レール部3321aと補助レール部3321bとは、断面形状における張り出し高さ(湾曲中心側へ向けた張り出し高さ)が同等とされる。中央レール部3321aの形成は、スペシャルルート用孔3323に対応する左右方向中央部分において省略される。また、補助レール部3321bの形成は、中央レール部3321aが省略される部分よりも左右外方にずれた位置から中央部分に亘って省略され、補助レール部3321bの終端位置(ルート振分部3320へ入球して他の遊技球と衝突しなかった遊技球の左右方向の速度が概略無くなる位置)において下方へ向けてノーマルルート用孔3324が穿設される。なお、中央レール部3321aは、一対の案内レール3321において兼用される。
拡大領域3322は、その前後方向(図47(a)上下方向)中央位置の下側部分(図47(a)紙面垂直方向奥側部分)に、スペシャルルート用孔3323を備え、そのスペシャルルート用孔3323の前後位置に配置される傾斜面3322aと、その傾斜面3322aの前後方向へ向けて凸状に湾曲した壁部として配設される湾曲受け壁3322bと、を備える。
傾斜面3322aは、補助レール部3321bの中心側の端部(形成が省略された部分における端部)に連結されると共に補助レール部3321bの端部を端点として下に凸状の湾曲形状(図48参照)から構成される湾曲側壁3322a1を備える。傾斜面3322aは、湾曲側壁3322a1から、湾曲受け壁3322bへ近接するほどなだらかに上昇傾斜する態様で構成される。
スペシャルルート用孔3323は、遊技球を振分傾斜部330(図43参照)の正面端部左右中央位置付近に落下させる孔である。そのため、スペシャルルート用孔3323を落下した遊技球は、ノーマルルート用孔3324を落下した遊技球に比較して確定領域孔340に入球する確率が高くされる。
ノーマルルート用孔3324は、遊技球をノーマルルート誘導路3326(図43参照)へ案内する孔である。そのため、ノーマルルート用孔3324を落下した遊技球はノーマルルート誘導路3326を通過して、振分傾斜部330(図43参照)の後方端部付近に落下する。そのため、ノーマルルート用孔3324を落下した遊技球は、スペシャルルート用孔3323を落下した遊技球に比較して確定領域孔340に入球する確率が低くされる。
図49及び図50を参照して、ルート振分部3320に1個の遊技球B22が流入した場合の遊技球B22の流下態様について説明する。図49(a)、図49(b)、図50(a)及び図50(b)は、図43のXLVIIa−XLVIIa線におけるルート振分部3320の断面図である。なお、図49(a)、図49(b)、図50(a)及び図50(b)では、ルート振分部3320を流下する遊技球B22の流下の態様が時系列に沿って図示される。
図49(a)に示すように、左側連結流路3315を流下して突出部3316に当接することにより減速された遊技球B22は、案内レール3321に支持され左右方向に転動する。
図49(b)に示すように、遊技球B22が拡大領域3322に差し掛かると、遊技球B22を補助レール部3321bが支持する状態から、湾曲側壁3322a1が支持する状態へと移行する。
この状態において、中央レール部3321aよりも湾曲側壁3322a1の方が下方へ沈んでいるので、遊技球B22の重心が傾斜面3322a側へ向けて移動する(遊技球B22が傾斜面3322aに寄りかかる)。
図50(a)に示すように、傾斜面3322aに寄りかかった状態で遊技球B22はスペシャルルート用孔3323の上方を通過する。この状態において、遊技球B22の左右方向の速度は大きいためスペシャルルート用孔3323に落下することは確率的には少ないが、遊技球B22の重心を傾斜面3322a側に寄せる事で落下を確実に防止でき、また、遊技球B22がスペシャルルート用孔3323の開口端部に衝突して減速することを防止することができる。
図50(b)に示すように、スペシャルルート用孔3323の上方を通過した遊技球B22は、右端のノーマルルート用孔3323に到達し、落下する。従って、ルート振分部3320に1個の遊技球B22が入球した場合、遊技球B22はノーマルルート用孔3324に優先的に入球される。従って、遊技球B22が確定領域孔340(図45参照)を通過するか否かは、振分傾斜部330の突起部331に衝突してランダムに向きを変えて流下する際のランダム性に委ねられる。
次いで、図51及び図52を参照して、ルート振分部3320に2個の遊技球B23,B24が流入した場合の遊技球B23,B24の流下態様について説明する。図51(a)、図51(b)、図52(a)及び図52(b)は、図43のXLVIIa−XLVIIa線におけるルート振分部3320の断面図である。なお、図51(a)、図51(b)、図52(a)及び図52(b)では、ルート振分部3320を流下する遊技球B23,B24の流下の態様が時系列に沿って図示される。
図51(a)に示すように、右側連結流路3314及び左側連結流路3315を流下して突出部3316に当接することにより減速された遊技球B23,B24は、案内レール3321に支持され左右方向に転動する。
ここで、一対の案内レール3321は、中央レール部3321aを兼用(共用)するので、図51(b)に示すように、遊技球B23,B24が拡大領域3322に流入すると、遊技球B23,B24が衝突する。
遊技球B23,B24は前後方向(図51(a)上下方向)に位置ずれして流下するので、衝突により前後方向の速度が生じる。即ち、図52(a)に示すように、遊技球B23,B24は湾曲側壁3322a1へ近接する方向へ流下し、湾曲側壁3322a1に衝突する。
湾曲側壁3322a1は、前後方向に凸状の湾曲形状から形成されるので、遊技球B23,B24に対して左右方向に押し返す方向の負荷を与え、それにより遊技球B23,B24は左右方向の速度を殺される。
そのため、遊技球B23,B24は、どちらもノーマルルート用孔3324に到達できず、図52(b)に示すように、拡大領域3322をふらふらと転動し、速度が小さくなった後で、スペシャルルート用孔3323に落下する。
従って、ルート振分部3320に2個の遊技球B23,B24が入球した場合、遊技球B23,B24はスペシャルルート用孔3323に優先的に入球される。そのため、遊技球B23,B24が、2球とも確定領域孔340(図45参照)を通過する確率が飛躍的に向上される。
即ち、2個の遊技球B23,B24がルート振分部3320に入球する場合の方が、1個の遊技球B22がルート振分部3320に入球する場合に比較して、遊技球が確定領域孔340を通過する確率を飛躍的に向上させることができる。
このように、本実施形態では、複数個の遊技球が入球した場合に、第1流下装置3300のルート振分部3320において遊技球同士が衝突することにより、遊技球がスペシャルルート用孔3323に流入する確率を向上させることができる。
次いで、図53から図55を参照して、第4実施形態における第1流下装置4300について説明する。第1実施形態では、振分体322に遊技球が当接し、遊技球の重量のかかり方により振分体322がバランスするか否かで遊技球の流下経路が変化する場合を説明したが、第4実施形態における第1流下装置4300のルート振分部4320は、射出用ソレノイド4323の左方に遊技球が何個滞留するかによって、遊技球の射出後の経路を変化させる態様で構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図53(a)及び図53(b)は、第4実施形態における第1流下装置4300の部分正面図である。なお、図53(a)では、射出用ソレノイド4323が引き込んだ状態が図示され、図53(b)では、射出用ソレノイド4323に通電され張り出した状態が図示される。
図53(a)及び図53(b)に示すように、第1流下装置4300は、導入通路310(第1突出部311が省略される)と、その導入通路310から送球された遊技球を振り分けるルート振分部4320と、振分傾斜部330と、確定領域孔340と、はずれ孔350と(図5参照)を主に備える。
ルート振分部4320は、入球した遊技球を流下させ落下孔4321aへ誘導するルート振分部誘導路4321と、落下孔4321aの鉛直下方において右方へ下降傾斜する方向へ延設される滞留流路4322と、その滞留流路4322の延設方向に沿って可動部を滞留流路4322の内方へ向けて引張可能となるように第1流下装置4300に固定される射出用ソレノイド4323と、第1実施形態のスペシャルルート誘導路325(左側誘導路325a)へ遊技球を流下させるスペシャルルート用孔4324と、ノーマルルート誘導路326(図5参照)へ遊技球を流下させるノーマルルート用孔4325と、を主に備える。
滞留流路4322は、落下孔4321aを落下する遊技球が着地する位置から、引き込んだ状態における射出用ソレノイド4323までの距離が遊技球1個分よりも長く形成される。これにより、第1流下装置4300に2個の遊技球B31,B32(図55(a)参照)が入球した場合に、射出用ソレノイド4323の左方の滞留流路4322に、その滞留流路4322の延設方向に沿って2個の遊技球B31,B32を並べることができる。
射出用ソレノイド4323は、始動入賞口26,27,28(図2参照)への遊技球の通過を契機として動作する。即ち、始動入賞口26,27,28に遊技球が通過したことを契機として開放状態とされる大入賞口スイッチ190b(図2参照)へ入球した遊技球が滞留流路4322に到達するのに十分な時間(例えば、本実形態によれば、5秒間)引き込み状態を維持し、その後、張り出し状態となるように勢いよく状態変化する(可動部が張り出される)。これにより、遊技球が滞留流路4322の左方へ向けて射出される。
図54(a)及び図54(b)は、第1流下装置4300の部分正面図である。なお、図54(a)では、射出用ソレノイド4323が引き込んだ状態で遊技球B30が滞留流路4322に到達した状態が図示され、図54(b)では、射出用ソレノイド4323に通電され可動部が張り出した状態が図示される。
図54(a)に示すように、第1流下装置4300に1個の遊技球B30が入球された場合、1個の遊技球B30が射出用ソレノイド4323の左方に到達する(射出用ソレノイド4323に1個の遊技球B30が寄りかかる)。
この状態で射出用ソレノイド4323が張り出し状態に変化すると、遊技球B30がノーマルルート用孔4325へ向けて勢いよく飛び出し、遊技球B30はノーマルルート用孔4325に落下する(遊技球B30にノーマルルート用孔4325まで到達する初速を調度与える態様で射出用ソレノイド4323が張り出される)。
ノーマルルート用孔4325に落下した遊技球はノーマルルート誘導路326(図5参照)へ案内されるので、第1流下装置4300に1個の遊技球B30が入球した場合には、上述したように、確定領域孔340(図5参照)に遊技球B30が入球するか否かは、振分傾斜部330(図5参照)を遊技球B30が流下する際のランダム性に委ねられる。一方で、第1流下装置4300に遊技球が2個入球された場合には、状況が変化する。
図55(a)及び図55(b)は、第1流下装置4300の部分正面図である。なお、図55(a)では、射出用ソレノイド4323が引き込んだ状態で2個の遊技球B31,B32が滞留流路4322に到達した状態が図示され、図55(b)では、射出用ソレノイド4323に通電され可動部が張り出した状態が図示される。
図55(a)に示すように、第1流下装置4300に2個の遊技球B31,B32が入球された場合、引き込んだ状態の射出用ソレノイド4323の左方において、その射出用ソレノイド4323の張り出し方向に沿って(滞留流路4322の延設方向に沿って)2個の遊技球B31,B32が並ぶ。
2個の遊技球B31,B32が並んだ状態で、図55(b)に示すように射出用ソレノイド4323が張り出し状態とされると、遊技球が1個の場合に比較して押し出す対象が遊技球2個と重いため、遊技球B31,B32がノーマルルート用孔4325まで到達せず、その手前のスペシャルルート用孔4324に2個の遊技球B31,B32が落下する。
スペシャルルート用孔4324に落下した遊技球はスペシャルルート誘導路325へ案内されるので、第1流下装置4300に2個の遊技球B31,B32が入球した場合には、上述したように、確定領域孔340(図5参照)に遊技球B31,B32が入球し易い状況が形成される。
従って、本実施形態において、第1流下装置4300に入球する遊技球の個数が異なる場合に、遊技球を移動させる態様で動作する電動動作装置(射出用ソレノイド4323)が遊技球を移動させる距離(飛距離)を異ならせことにより、その後の遊技球の流下経路を異ならせることができる。
これによれば、2個の遊技球を可動部材(例えば第2実施形態における振分体322(図5参照))に移動方向の両側から当接させ可動部材を釣り合い状態にさせる場合のように、2個の遊技球を振分体322の左右両側に分ける必要が無いので、ルート振分部誘導路4321の構造を簡素化(遊技球が1個だけ通る大きさの孔構造化)することができる。
また、射出用ソレノイド4323の動作の耐久性および正確性が高いことから、遊技球が1個しか滞留流路4322に入っていないのにスペシャルルート用孔4324に入球するといった動作不良が生じることを抑制することができる。
次いで、図56及び図57を参照して、第5実施形態における第2流下装置5400について説明する。第1実施形態では、当接壁411が固定部分として構成され、第1分岐領域410に2個の遊技球が入球された場合に1個の遊技球が第3分岐誘導流路R3に入球される場合を説明したが、第5実施形態における第2流下装置5400の第1分岐領域5410は、電源投入時から一定間隔で継続して動作する動作壁5411を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図56は、図24の範囲XXVに対応する範囲における第5実施形態における第2流下装置5400の部分正面図である。図56に示すように、第2流下装置5400の第1分岐領域5410は、第2分岐誘導流路R2の底板部分に回転軸を備え、電源投入時から所定間隔ごとに回転往復動作する断面L字形状の動作壁5411を備える。
動作壁5411は、駆動モータ(図示せず)の電動動作により、上方から到達した遊技球を右方へ案内する傾斜状態(図56で実線で図示)と、第1実施形態における当接壁411(図24参照)と同様の位置において鉛直上方へ壁部が延設される鉛直状態(図56において想像線で図示)との間を所定間隔毎に往復動作する。
そのため、鉛直状態において、2個の遊技球が第1分岐領域5410に入球した場合の遊技球の流下態様は、第1実施形態で上述したものと同様となる。一方で、本実施形態では、傾斜状態において2個の遊技球が第1分岐領域5410に入球する場合を構成可能である。以下、その流下態様について説明する。
図57(a)から図57(c)は、図24の範囲XXVに対応する範囲における第2流下装置5400の部分正面図である。なお、図57(a)から図57(c)では、動作壁5411の傾斜状態が図示され、第1分岐領域5410に流入した2個の遊技球B40,B41の流下態様が時系列で図示される。
図57(a)から図57(c)に示すように、動作壁5411は傾斜状態において、延設先端と第2分岐誘導流路R2との間の間隙が遊技球の直径以下となるように回転軸の位置および断面形状が決定される。そのため、傾斜状態において、2個の遊技球B40,B41は、共に第3分岐誘導流路R3へ案内される。
従って、2個の遊技球B40,B41を確実に第3分岐領域430(図31参照)へ案内することができ、振分突起431により2個の遊技球B40,B41を左右に1個ずつ振り分け易くできるので、遊技球B40又は遊技球B41を第1特定領域孔441に落下させ易くできる。これにより、遊技球が第1特定領域スイッチ441a(図31参照)を通過することにより得られる16ラウンド大当たりを、遊技者が得やすくすることができるので、動作壁5411が傾斜状態の時に2個の遊技球B40,B41が第1分岐領域に入球した時点で、遊技者は安心して遊技球の流下を見守ることができる。
一方で、動作壁5411が鉛直状態の時に、2個の遊技球が第1分岐領域5410に入球すると、第1実施形態で上述したように、遊技球を1個ずつ第2分岐誘導流路R2と第3分岐誘導流路R3とに分かれて流下する流下態様となり(図26参照)、動作壁5411が傾斜状態の時に比較して若干不利な流下態様となるが、第2分岐誘導流路R2を流下する遊技球が可動板421a(図27参照)に停留させられずに、第2分岐誘導流路R2を流下する遊技球が特殊誘導流路R4を通過することにより、その遊技球が第3分岐誘導流路R3へ合流する(図29から図31参照)。即ち、動作壁5411が傾斜状態の時に2個の遊技球B40,B41が第1分岐領域5410に入球した場合と同様に、振分突起431により2個の遊技球B40,B41を左右に1個ずつ振り分け易くできるので、遊技球B40又は遊技球B41を第1特定領域孔441に落下させ易くできる。これにより、遊技球が第1特定領域スイッチ441a(図31参照)を通過することにより得られる16ラウンド大当たりを、遊技者が得やすくすることができる。
これにより、動作部材(動作壁5411、可動板421a(図27参照))の状態によって、遊技球の流下態様が異なる箇所を、第1分岐領域5410、第2分岐領域420(図24参照)の複数箇所に構成することができる。可動壁5411が傾斜状態の時に第1分岐領域5410へ2個の遊技球が入球する場合には、遊技者はその後の遊技球の流下を安心して見守ることができる。その一方で、可動壁5411が鉛直状態の時に第1分岐領域5410へ2個の遊技球が入球する場合には、その後の第2分岐領域420における遊技球の流下態様に遊技者は注目することになる。
従って、流下する遊技球への注目力を向上させることができると共に、遊技球の流下のバリエーションを増加させ、新鮮な遊技を提供することができる。
なお、本実施形態では、動作壁5411が傾斜状態を維持する期間を動作壁5411が鉛直状態を維持する期間に比較して短く構成することで、遊技者にとって有利になりすぎることを防止している。即ち、本実施形態では、動作壁5411は、鉛直状態を第1期間(例えば、4秒間)だけ維持した後、傾斜状態を第2期間(例えば、1秒間)だけ維持し、その後に鉛直状態が第1期間だけ維持され、といった態様で、電源投入時から状態変化を繰り返す。即ち、第1分岐領域へ遊技球が入球した場合に動作壁5411が傾斜状態となっている確率を所定の割合(20%)とすることができ、2個の遊技球B40,B41が2個とも第3分岐誘導流路R3へ案内される事態が生じる確率を低減することができる。
次いで、図58から図82を参照して、第6実施形態における第2流下装置6400について説明する。第2実施形態では、複数の遊技球が時限分岐領域2410に流入し、特定領域孔2440に落ちる場合に、先に落ちる遊技球により期待できる利益と、後に落ちる遊技球により期待できる利益とに差は生じない場合を説明したが、第6実施形態における第2流下装置6400は、後に落ちる遊技球により期待できる利益を、先に落ちる遊技球により期待できる利益以上とする利益増大装置6450を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図58は、第6実施形態における第2流下装置6400の正面図であり、図59(a)は、図58のLIXa−LIXa線における第2流下装置6400の断面図であり、図59(b)は、図59(a)のLIXb−LIXb線における第2流下装置6400の断面図である。なお、図58では、正面側に配設される蓋部材の図示が省略され特定領域孔6440の内側面が部分的に図示される。
図58、図59(a)及び図59(b)に示すように、第2流下装置6400は、第1分岐誘導流路R1と、その第1分岐誘導流路R1に連結される時限分岐領域6410と、その時限分岐領域6410を流下する遊技球が落下する特定領域孔6440と、特定領域孔6440に落下した(落下して跳ね返りが収まった)遊技球により動作する利益増大装置6450と、遊技球が特定領域孔6440に落下する過程において遊技球により動作するスライド遅延装置6460と、動作により時限分岐領域6410の内部を仕切り遊技球の流下経路を制限する制限装置6470と、を主に備える。
時限分岐領域6410は、第1分岐誘導流路R1を流下した遊技球をいずれかの特定領域に送球する領域であって、遊技球が上面を転動することにより特定領域孔6440へ向けて流下可能に構成され板状の転動板6412と、特定領域に遊技球が流入される入口である特定領域孔6440を遊技球が通過することを時限的に防止する時限阻止板2411と、その時限阻止板2411の状態を変化させる電磁ソレノイド2420と、を備える。なお、時限阻止板2411は、第2実施形態と異なり、特定領域孔6440の形状に合わせて斜めに配置される。
転動板6412は、上面視において利益増大装置6450の移動閉塞面6451dの移動軌跡を内包する形状で後方へ向けて凹設される凹設部6412aを備え、正面側(図58紙面手前側)へ向けて下降傾斜する姿勢で設置され、その上面に複数の突起が配設されると共に、その下方に配置されるスライド遅延装置6460に被さる態様で組立てられる。
特定領域孔6440は、複数(本実施形態では3個)の特定領域孔、即ち、第1特定領域孔6441、第2特定領域孔6442、第3特定領域孔6443、を主に備え、各特定領域孔6441〜6443は、遊技球を受け入れる入口開口部6440iにおいて、利益増大装置6450を動作可能に収容する形状から形成される。
本実施形態では、利益増大装置6450が左右へ延びる回転軸を中心に回転する装置として構成されるので、利益増大装置6450が回転した場合に干渉しないように、利益増大装置6450の動作軌跡の外方に特定領域孔6440を構成する壁部が配置される。
特定領域孔6440は、遊技球が1個通過できる程度の大きさの孔であって、第1分岐誘導流路R1へ単一の遊技球が流下した場合に、遊技球が等分の確率で落下する第1特定領域孔6441と、第2特定領域孔6442と、第3特定領域孔6443と、を主に備える。
第1特定領域孔6441は、16ラウンド大当たり用の第1特定領域に遊技球を誘導するための孔であり、入口開口から鉛直方向に延びる上下流路と、その流路の下端において遊技球を後斜め下方へ流下させる斜め流路と、を備え、斜め流路の内部に第1特定領域スイッチ2441aが配設される。これにより、第1特定領域孔6441を通過して第1特定領域を通過する遊技球は、第1特定領域スイッチ2441aにより検出される。
なお、第1特定領域スイッチ2441aの上方において時限阻止板2411が張出状態で張り出され(図60参照)、その張出状態において遊技球が第1特定領域孔6441を流下することを阻止する。
第2特定領域孔6442及び第3特定領域孔6443は、第1特定領域孔6441と同様の内部形状を有し、第2特定領域孔6442が7ラウンド大当たり用の第2特定領域に遊技球を誘導するための孔であり、第3特定領域孔6443が3ラウンド大当たり用の第3特定領域に遊技球を誘導するための孔であることが異なる。
即ち、第2特定領域孔6442の斜め流路の内部に第2特定領域スイッチ2442aが配設され、第3特定領域孔6443の斜め流路の内部に第3特定領域スイッチ2443aが配設される。
これにより、第2特定領域孔6442を通過して第2特定領域を通過する遊技球は、第2特定領域スイッチ2442aにより検出され、第3特定領域孔6443を通過して第3特定領域を通過する遊技球は、第3特定領域スイッチ2443aにより検出される。
ここで、図60に示すように、各特定領域孔6441〜6443から各特定領域スイッチ2441a〜2443aまでの距離H1〜H3が異なっている。即ち、第1特定領域孔6441の斜め流路の入口から第1特定領域スイッチ2441aまでの距離(距離H1)に比較して第2特定領域孔6442の斜め流路の入口から第2特定領域スイッチ2442aまでの距離(距離H2)が長くされ、第2特定領域孔6442の斜め流路の入口から第2特定領域スイッチ2442aまでの距離(距離H2)に比較して第3特定領域孔6443の斜め流路の入口から第3特定領域スイッチ2443aまでの距離(距離H3)が長くされる(距離H1<距離H2<距離H3)。
これにより、各特定領域孔6441〜6443の斜め流路の入口から、遊技球が同じタイミングで落下した場合に、距離H1〜H3の短い方の特定領域スイッチ2441a〜2443aが有効に検出されるので、遊技者は、よりラウンド数の多い大当たりを獲得することができる。
スライド遅延装置6460は、転動板6412の下方において動作可能に配置され第2特定領域孔6442の内側と第3特領域孔6443の内側とに張り出す部材であって、転動板6412の下方において固定される軸を中心として回転する長尺板形状の回転板6461と、その回転板6461の長尺方向の一方(図59(a)右方)の端部において連結され、前後方向にスライド動作可能に支持される右側スライド板6462Rと、回転板6461の長尺方向の他方の端部において連結され、前後方向にスライド動作可能に支持される左側スライド板6462Lと、それら各スライド板6462R,6462Lを前方へ付勢する付勢バネ6463R,6463Lと、を主に備える。
図59(a)に示す状態(外力による負荷が生じていない状態)において、スライド遅延装置6460は釣合状態となる。この釣合状態において、右側スライド板6462Rと左側スライド板6462Lとの各特定領域孔6442,6443の内方への出代が、略同一となる。
この釣合状態から、遊技球が各特定領域孔6442,6443に落下し始めると、遊技球から右側スライド板6462R又は左側スライド板6462Lに負荷がかかり各スライド板6462R,6462Lが前後方向にスライド移動する。このとき、各スライド板6462R,6462Lは回転板6461の両端に連結されているので、各スライド板6462R,6462Lは逆方向へ動作する。即ち、一方のスライド板(例えば右側スライド板6462R)が後方へスライド移動すると、他方のスライド板(例えば左側スライド板6462L)が前方へスライド移動する。
各スライド板6462R,6462Lは、長尺方向の長さが同一で形成される一方で、その先端形状が異なる。即ち、右側スライド板6462Rは先端が正面側へ向かうにつれて下降傾斜する形状から形成され、左側スライド板6462Lは先端が平坦な(水平に延びる)形状から形成される。
そのため、例えば、第2特定領域孔6442及び第3特定領域孔6443に同時に遊技球が流入した場合、左側スライド板6462Lが優先的に後方へスライド移動する(右側スライド板6462Rが前方へ張り出す)ので、第3特定領域孔6443への遊技球の落下が遅延することになる。なお、その際の作用効果については、図70から図72で後述する。
各付勢バネ6463R,6463Lは、同じバネ部材から形成され、釣合状態において自然長となっている。なお、本実施形態では、各スライド板6462R,6462Lが遊技球の作用により、引き込んだ状態から釣合状態に戻るまでの期間が1秒間以上となる弾性バネ(緩いバネ)が、付勢バネ6463R,6463Lに採用される。
利益増大装置6450は、第1特定領域孔6441の内方に配置される第1回転部材6451と、第2特定領域孔6442の内方に配置される第2回転部材6452と、を主に備える。次いで、利益増大装置6450の詳細構成について説明する。
図60は、図59(a)のLX−LX線における第2流下装置6400の断面図である。図60に示すように、第1回転部材6451は、軸方向(図60紙面垂直方向)の幅寸法が遊技球の直径と略同等とされ略円柱形状から形成される本体部材6451aと、その本体部材6451aの略1/4周部分において略扇状に凹設される凹設部6451bと、本体部材6451aの斜め前上方部において周面に沿って張り出して形成される伝達部6451cと、その伝達部6451cの左方(図60紙面奥方向)において本体部材6451aの軸垂直方向に広がる面状に形成される移動閉塞面6451dと、を主に備え、図60に示す待機状態において遊技球が凹設部6451bに収容されることにより、遊技球の重さにより伝達状態(図65参照)まで後転動作する態様(重心バランス)で構成される。
本体部材6451aは、外周を形成する円の中心と回転軸とが一致して形成され、第1回転部材6451の重心G1を図60に図示する待機状態において、回転軸の正面側下部に備える。これにより、待機状態では、本体部材6451aが前倒れしかけるところ、正面側に配設される蓋部材に下支えされることにより、図60に示す待機状態で姿勢が安定する。
凹設部6451bは、図60に示す待機状態において上下方向(鉛直方向)に沿って延びる上下側面VS1と、前後方向(水平方向)に沿って延びる前後側面HS1と、を備える。
上下側面VS1は、第1回転部材6451の回転軸の上部に配置されると共に、第3特定領域孔6443の背面側の側面との間の距離V1が、遊技球の直径よりも若干長い寸法とされる。
これにより、第3特定領域孔6443に遊技球が落下し始める際に、遊技球の重さを利用して、遊技球を介して右側スライド板6462Rに負荷をかけることができる。また、遊技球が凹設部6451bに収容され、第1回転部材6451が後転動作し始めた後において、上下側面VS1と第3特定領域孔6443の背面側の側面との間の距離が距離V1よりも(即ち、遊技球の直径よりも)狭まることにより、新たに別の遊技球が第3特定領域孔6443に落下したり、既に凹設部6451bに収容されている遊技球が跳ね戻ったりすることを防止することができる。
伝達部6451cは、後方端部付近に断面円弧形状に凹設され左右方向へ延設される円弧側面RSを備え、その円弧側面RSが左方(図60紙面奥方向)へ向かうにつれて、伝達状態において下降傾斜する態様で傾斜して形成される。
円弧側面RS1の曲率半径は、遊技球の曲率半径と同等とされる。これにより、円弧側面RS1に遊技球が配置される場合に遊技球を多点で支持することができ、円弧側面RS1が遊技球をガイドする効果を向上させることができる。
移動閉塞面6451dは、円弧側面RS1が形成される面(図66の上端の側面)に沿って延長される直線よりも下方に形成される。これにより、伝達状態(図65参照)において、移動閉塞面6451dは遊技球が転動する転動板6412の上面よりも下方に配置されるので、伝達状態において遊技球と移動閉塞面6451dとが当接することを防止することができる。
また、移動閉塞面6451dは、第1回転部材6451の待機状態において、制限装置6470が動作後状態となった場合に、制限装置6470との間の隙間が遊技球の大きさ以下となる態様で構成される。
なお、移動閉塞面6451dは、待機状態において、手前側の側面が第2回転部材6452の伝達部6452cの後側の側面と当接する(図59(b)参照)。
図61は、図59(a)のLXI−LXI線における第2流下装置6400の断面図である。図61に示すように、第2回転部材6452は、移動閉塞面6451dに対応する部分が無い以外は、第1回転部材6451と同様の断面形状で構成される。即ち、第2回転部材6452は、軸方向(図61紙面垂直方向)の幅寸法が遊技球の直径と略同等とされ略円柱形状から形成される本体部材6452aと、その本体部材6452aの略1/4周部分において略扇状に凹設される凹設部6452bと、本体部材6452aの斜め前上方部において周面に沿って張り出して形成される伝達部6452cと、を主に備え、図61に示す待機状態において遊技球が凹設部6452bに収容されることにより、遊技球の重さにより伝達状態(図66参照)まで後転動作する態様(重心バランス)で構成される。
本体部材6452aは、第1回転部材6451の本体部材6451aと同様に、外周を形成する円の中心と回転軸とが一致して形成され、第2回転部材6452の重心G2を図61に図示する待機状態において、回転軸の正面側下部に備える。待機状態では、本体部材6452aが前倒れしかけるところ、正面側に配設される蓋部材に下支えされることにより、図61に示す待機状態で姿勢が安定する。
凹設部6452bは、第1回転部材6451の凹設部6451bと同様に、上下側面VS2と、前後側面HS2と、を備える。
上下側面VS2は、第2回転部材6452の回転軸の上部に配置されると共に、第2特定領域孔6442の背面側の側面との間の距離V2が、遊技球の直径よりも若干長い寸法とされる。
これにより、第2特定領域孔6442に遊技球が落下し始める際に、遊技球の重さを利用して、遊技球を介して左側スライド板6462Lに負荷をかけることができる。また、遊技球が凹設部6452bに収容され、第2回転部材6452が後転動作し始めた後において、上下側面VSと第2特定領域孔6442の背面側の側面との間の距離が距離V2よりも(即ち、遊技球の直径よりも)狭まることにより、新たに別の遊技球が第2特定領域孔6442に落下したり、既に凹設部6452bに収容されている遊技球が跳ね戻ったりすることを防止することができる。
伝達部6452cは、第1回転部材6451の伝達部6451cと同様に、後方端部付近に断面円弧形状に凹設され左右方向へ延設される円弧側面RS2を備え、その円弧側面RS2が左方(図61紙面奥方向)へ向かうにつれて、伝達状態において下降傾斜する態様で傾斜して形成される。
また、伝達部6452cは、右側の端部が移動軌跡において移動閉塞面6451dと干渉する態様で構成される(図59(b)参照)。そのため、第2回転部材6452が後転動作すると、伝達部6452cが移動閉塞面6451dを押進する構成となり、第1回転部材6452も後転動作することになる(図64(a)及び図64(b)参照)。
円弧側面RS2の曲率半径は、遊技球の曲率半径と同等とされる。これにより、円弧側面RS2に遊技球が配置される場合に遊技球を多点で支持することができ、円弧側面RS2が遊技球をガイドする効果を向上させることができる。
次いで、図62(a)、図62(b)及び図63を参照して、第1回転部材6451の伝達状態について説明する。図62(a)は、図58のLIXa−LIXa線における第2流下装置6400の断面図であり、図62(b)は、図62(a)のLXIIb−LXIIb線における第2流下装置6400の断面図であり、図63は、図62(a)のLXIII−LXIII線における第2流下装置6400の断面図である。なお、図62(a)、図62(b)及び図63では、第1回転部材6451の伝達状態が図示されると共に、図63では凹設部6451bに収容された遊技球が図示される。
図62(a)、図62(b)及び図63に示すように、遊技球の重みで第1回転部材6451が後転動作した後の第1回転部材6451の伝達状態では、伝達部6451cの後端部が入口開口部6440iの背面側の側面に当接することにより後転方向の回転が止められる(入口開口部6440iの背面側の側面が回り止めとして機能する)。また、図63に示すように、伝達状態において、遊技球は時限阻止板2411の上面に乗ったままとされ、この状態において、遊技球と前後側面HS1が第1回転部材6451の回転方向で当接するので、第1回転部材6451が前転動作することが防止される。これにより、第1回転部材6451の姿勢が伝達状態で安定する。
なお、時限阻止板2411に乗った遊技球は、電磁ソレノイド2420が作動し遊技球が落下するまで時限阻止板2411の上に維持されることから、電磁ソレノイド2420の動作制御次第で、伝達状態の維持期間を制御することができる。
図63に示すように、第1回転部材6451の伝達状態では、第3特定領域孔6443の入口開口部6440iが伝達部6451cに塞がれており、他の遊技球が第3特定領域孔6443に落下することを防止することができる。
伝達部6451cは、伝達状態において、転動板6412の正面側端部(図63の左端部)よりも下方に配置されるので、転動板6412を転動して第3特定領域孔6443の入口開口部6440iに到達する遊技球を伝達部6451cの上面にスムーズに乗せることができる。
伝達部6451cは、上述した通り、伝達状態において左方(図63紙面奥方向)へ向かうほど下降傾斜する態様で構成されるので、伝達部6451cの上面に乗った遊技球を左方へ流下させることができる。例えば、図62(a)の状態で、遊技球が伝達部6451cの上面に乗った場合、伝達部6451cの傾斜に沿って、遊技球を第2特定領域孔6442へ向けて(図62(a)左方へ向けて)転動させることができる。
従って、伝達部6451cは、第3特定領域孔6443へ複数個の遊技球が流下することを防止することができるという効果と、第3特定領域孔6443へ向かって流下してきた遊技球の流下方向を、第3特定領域孔6443よりも期待できる利益が高い第2特定領域孔6442(又は第1特定領域孔6441)へ向けた流下方向へ切り替えることができるという効果と、を奏する。
なお、図63に示すように、第1回転部材6451の伝達状態では、移動閉塞面6451dが転動板6412の上面の下方に潜り込むので、遊技球が移動閉塞面6451dに当接することはなく、凹設部6412aの上方を遊技球が左右方向に自由に移動することができる。
図63に示す状態から、電磁ソレノイド2420が作動し時限阻止板2411が没入状態(第3特定流域孔6443の外方へ引き込んだ状態)となると、遊技球が落下し、第1回転部材6451の前転動作を止める負荷が解除されるので、第1回転部材6451が前転動作し、待機状態(図60参照)に戻る。
次いで、図64から図66を参照して、第2回転部材6451の伝達状態について説明する。図64(a)は、図58のLIXa−LIXa線における第2流下装置6400の断面図であり、図64(b)は、図64(a)のLXIVb−LXIVb線における第2流下装置6400の断面図であり、図65は、図64(a)のLXV−LXV線における第2流下装置6400の断面図であり、図66は、図64(a)のLXVI−LXVI線における第2流下装置6400の断面図である。なお、図64から図66では、第1回転部材6451及び第2回転部材6452の伝達状態が図示されると共に、図65では凹設部6452bに収容された遊技球が図示される。
図64から図66に示すように、遊技球の重みで第2回転部材6452が後転動作した後の伝達状態では、伝達部6452cの後端部が入口開口部6440iの背面側の側面に当接することにより後転方向の回転が止められる(入口開口部6440iの背面側の側面が回り止めとして機能する)。また、図65に示すように、伝達状態において、遊技球は時限阻止板2411の上面に乗ったままとされ、この状態において、遊技球と前後側面HS2が第2回転部材6452の回転方向で当接するので、第2回転部材6452が前転動作することが防止される。これにより、第2回転部材6452の姿勢が伝達状態で安定する。
図66に示すように、第2回転部材6452が後転動作することに基づいて、第1回転部材6451も後転動作する。ここで、第1回転部材6451の凹設部6451bには遊技球は収容されていないが、第2回転部材6452の伝達部6452cの後端部が第1回転部材6451の移動閉塞面6451dに前側から当接することにより(図64(b)参照)、第2回転部材6452の後転動作に基づいて第1回転部材6451も後転動作すると共に、第1回転部材6451の前転動作が防止される。従って、第2回転部材6452が伝達状態となることに基づいて、第1回転部材6451も同様に伝達状態となる。
図65及び図66に示すように、第2回転部材6452の伝達状態では、第2特定領域孔6442の入口開口部6440iが伝達部6452cに塞がれており、他の遊技球が第2特定領域孔6442に落下することを防止することができる。加えて、第1回転部材6451も伝達状態となるので、第3特定領域孔6443の入口開口部6440iが伝達部6451cに塞がれており、他の遊技球が第3特定領域孔6443に落下することを防止することができる。
伝達部6452cは、第2回転部材6452の伝達状態において、転動板6412の正面側端部(図65の左端部)よりも下方に配置されるので、転動板6412を転動して第2特定領域孔6442の入口開口部6440iに到達する遊技球を伝達部6452cの上面にスムーズに乗せることができる。
伝達部6452cは、上述した通り、伝達状態において左方(図65紙面奥方向)へ向かうほど下降傾斜する態様で構成されるので、伝達部6452cの上面に乗った遊技球を左方へ流下させることができる。例えば、図65の状態で、遊技球が伝達部6452cの上面に乗った場合、伝達部6452cの傾斜に沿って、遊技球を第1特定領域孔6441へ向けて(図64(a)左方へ向けて)転動させることができる。
従って、伝達部6452cは、第2特定領域孔6442へ複数個の遊技球が流下することを防止することができるという効果と、第2特定領域孔6442へ向かって流下してきた遊技球の流下方向を、第2特定領域孔6442よりも期待できる利益が高い第1特定領域孔6441へ向けた流下方向へ切り替えることができるという効果と、を奏する。
更に、伝達部6452cは、第2回転部材6452が伝達状態の場合には第1回転部材6451も伝達状態となることから、期待できる利益が最も小さい第3特定領域孔6443へ向かって流下してきた遊技球の流下方向を、期待できる利益が最も大きい第1特定領域孔6441へ向けた流下方向へ切り替えることができるという効果を奏する。これにより、大逆転の演出効果を遊技者が体感することができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
図64から図66に示す状態から、電磁ソレノイド2420が作動し時限阻止板2411が没入状態(第2特定流域孔6442の外方へ引き込んだ状態)となると、遊技球が落下し、第2回転部材6452の前転動作を止める負荷が解除されるので、第2回転部材6452が前転動作し、それに伴い、第1回転部材6451も前転動作し、待機状態(図60参照)に戻る。
次に、時限分岐領域6410に2個の遊技球が到達して、それぞれ第2特定領域孔6442と第3特定領域孔6443とに向かう場合の第2流下装置6400の内部での動作について説明する。
図67は、図58のLIXa−LIXa線における第2流下装置6400の断面図であり、図68は、図67のLXVIII−LXVIII線における第2流下装置6400の断面図であり、図69は、図67のLXIX−LXIX線における第2流下装置6400の断面図である。
また、図70及び図72は、図67のLXVIII−LXVIII線における第2流下装置6400の断面図であり、図71及び図73は、図67のLXIX−LXIX線における第2流下装置6400の断面図である。なお、図67から図69では、時限分岐領域6410を流下し、正面側の特定領域孔6440に時間差t1(t1=1秒)で到達する2個の遊技球B61,B62が図示され、図70及び図71では、遊技球B61が左側スライド板6462Lを押し込んだ状態が図示され、図72及び図73では、利益増大装置6450の第1回転部材6451と第2回転部材6452との伝達状態が図示される。
なお、本実施形態では、遊技球B61が左側スライド板6462Lに当接し始めてから(図68参照)、左側スライド板6462Lを押し込みきるまでに0.1秒間経過し、そこから、第2回転部材6452が伝達状態となるまでに0.4秒間経過する態様で構成される。即ち、図67から図69を基準とした場合に(経過時間t=0)、図70及び図71には、t=0.1秒のタイミングの状態が図示され、図72及び図73には、t=0.5秒のタイミングの状態が図示される。
図68及び図69では、遊技球B62が転動板6412の上面を流下すると共に、遊技球B61が左側スライド板6462Lの先端部に当接し始めている状態が図示される。
この状態から、遊技球B61が第2特定領域孔6442に落下し始めると、図70及び図71に示すように、遊技球B61により左側スライド板6462Lが第2特定領域孔6442の外方へ押し込まれ、それに基づいて、右側スライド板6462Rが第3特定領域孔6443の内方へ張り出される。
この場合、第3特定領域孔6443の入口開口部6440iが狭められることで、遊技球B62が入口開口部6440iの外側(右側スライド板6462Rの上方)に滞留する。なお、本実施形態では、各スライド板6462R,6462Lが移動した後、負荷が解除されてから釣合状態に戻りきるまでに1秒間経過する態様で構成されるので、遊技球B61が図70に示す状態から更に落下した後も、右側スライド板6462Rは張り出した状態を維持する。
図70に示す状態から、更に遊技球B61が落下して、時間が経過すると、第2回転部材6452が後転動作し、伝達状態となる(図72参照)。図72に示す状態は、経過時間t=0.5秒の状態であって、この状態において右側スライド板6462Rは張りだした状態を維持しているので、遊技球B62は依然として入口開口部6440iの外方に配置される。
そして、第2回転部材6452(及び第1回転部材6451)が伝達状態となるまでの後転動作の過程において、遊技球B62が第1回転部材6451の伝達部6451cに当接して押し上げられることで、遊技球B62が伝達部64514cの上面に配置される。
この後は、遊技球B62が転動部6451c,6452cの上面の傾斜に沿って第1特定領域孔6441へ向かって流下することとなる。即ち、本実施形態によれば、直前まで第3特定領域孔6443(期待できる利益が最も小さい孔)へ流入しそうな経路で流下していた遊技球B62の流下経路を、遊技球B61の作用により、第1特定領域孔6441(期待できる利益が最も大きい孔)へ向かう流下経路に切り替えることができる。これにより、遊技者は大逆転の感覚を得ることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
図74から図80では、2個の遊技球B63,B64が、第2特定領域孔6462と第3特定領域孔6463に同時に落下し始める場合について説明する。
図74は、図58のLIXa−LIXa線における第2流下装置6400の断面図であり、図75は、図74のLXXV−LXXV線における第2流下装置6400の断面図であり、図76は、図74のLXXVI−LXXVI線における第2流下装置6400の断面図である。
また、図77及び図79は、図74のLXXV−LXXV線における第2流下装置6400の断面図であり、図78及び図80は、図74のLXXVI−LXXVI線における第2流下装置6400の断面図である。
なお、図74から図76では、時限分岐領域6410を流下し、正面側の特定領域孔6440に時間差t1(t1=0秒、即ち、同時)で到達する2個の遊技球B63,B64が図示され、図77及び図78では、遊技球B63が左側スライド板6462Lを押し込んだ状態が図示され、図79及び図80では、利益増大装置6450の第1回転部材6451と第2回転部材6452との伝達状態が図示される。
なお、図74から図76を基準とした場合に(経過時間t=0)、図77及び図78には、t=0.1秒のタイミングの状態が図示され、図79及び図80には、t=0.5秒のタイミングの状態が図示される。
図75では、遊技球B63が左側スライド板6462Lの先端に当接し始めている状態が図示される。なお、スライド板6462L,6462Rの先端形状の違いから、この状態(経過時間t=0の状態)において、遊技球B63と同じ高さに配置されている遊技球B64は、右側スライド板6462Rとは当接していない(図76参照)。
図77及び図78に示すように、図74に示す状態から遊技球B63が更に落下することに基づいて、左側スライド板6462Lが第2特定領域孔6442の外方へ押し込まれ、右側スライド板6462Rが第3特定領域孔6443の内方へ張り出される。
この場合、第3特定領域孔6443の入口開口部6440iが狭められることで、遊技球B64が入口開口部6440iの外側(右側スライド板6462Rの上方)に滞留する。なお、本実施形態では、各スライド板6462R,6462Lが移動した後、負荷が解除されてから釣合状態に戻りきるまでに1秒間経過する態様で構成されるので、遊技球B63が図77に示す状態から更に落下した後も、右側スライド板6462Rは張り出した状態を維持する。
ここで、遊技球B64の落下の過程において、遊技球B64も右側スライド板6462Rの先端と当接するが、先に左側スライド板6462Lと遊技球B63とが当接しスライド移動し始めることにより、右側スライド板6462Rの先端部は遊技球B64の下側に潜り込むことになるので、遊技球B64から右側スライド板6462Rにかけられる負荷の成分が、スライド移動方向よりも、そのスライド移動方向に垂直な方向において大きくなる。これにより、右側スライド板6462Rが張り出す動作を遊技球B64が妨害することを防止することができる。
図77に示す状態から、更に遊技球B63が落下して、時間が経過すると、第2回転部材6452が後転動作し、伝達状態となる(図79参照)。図79に示す状態は、経過時間t=0.5秒の状態であって、この状態において右側スライド板6462Rは張りだした状態を維持しているので、遊技球B64は依然として入口開口部6440iの外方に配置される。そして、第2回転部材6452(及び第1回転部材6451)が伝達状態となると、伝達状態となるまでの後転動作の過程において、遊技球B64が第1回転部材6451の伝達部6451cに当接して押し上げられることで、遊技球B64が伝達部64514cの上面に配置される。
この後は、遊技球B64が転動部6451c,6452cの上面の傾斜に沿って第1特定領域孔6441へ向かって流下することとなる。即ち、本実施形態によれば、2個の遊技球B63,B64が第2特定領域孔6442及び第3特定領域孔6443に同時に到達する場合において、直前まで第3特定領域孔6443(期待できる利益が最も小さい孔)へ流入しそうな経路で流下していた遊技球B64の流下経路を、遊技球B63の作用により、第1特定領域孔6441(期待できる利益が最も大きい孔)へ向かう流下経路に切り替えることができる。これにより、従来は注目されることの無かった経路を流下する遊技球が注目される機会をつくることができ、パチンコ機10の該当するスペースを演出スペースとして有効活用できると共に、この演出により遊技者は大逆転の感覚を得ることができるので、遊技者の興趣を向上させることができる。
本実施形態では、右側スライド板6462Rの先端部を傾斜面で形成したが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、左側スライド板6462Rの先端部を傾斜面で形成し、右側スライド板6462Lの先端部を矩形状に形成しても良い。
この場合、遊技球B63,B64が第2特定領域孔6442及び第3特定領域孔6443に同時に落下する場合に、第2特定領域孔6442に落下しかけた遊技球B63が第2回転部材6452の伝達部6452cの上面に押し出されることとなり、遊技球B63が第1特定領域孔6441へ向かう。この場合、本実施形態よりも、遊技球B63伝達部6452cの上面を転動する距離を短くすることができるので、早期に遊技球B63を第1特定領域孔6441に到達させることができ、大当たりまでの期間を短縮することができる。
一方、本実施形態では、第3特定領域孔6443へ向かった遊技球B64を第1特定領域孔6441へ向かわせるという仕掛けのために、敢えて右側スライド板6463Rの先端を傾斜させるという構成を採用している。本実施形態の構成により、遊技球B64からは最低の利益しか得られないだろうという状況から、遊技球B64の流下により最大の利益を得られるという状況に一気に変化させることができる。これにより、第3特定領域6443へ向かう遊技球B64を無視することができないという感覚を遊技者に植え付けることができ、普通は軽視されがちな第3特定領域6443へ向かう経路の注目力を向上させることができるので、第2流下装置6400の時限分岐領域6410の全体に注目させることができる。
即ち、右側スライド板6462R、左側スライド板6462Lのどちらの先端部を傾斜面で形成する場合においても、時限分岐領域6410に短い間隔で遊技球が2個流入した場合には、少なくとも一方の遊技球が、最も遊技者に付与される利益の大きい第1特別領域スイッチ2441aを通過することになる。そのため、後の遊技球の方が遊技者に付与される利益が大きくなる作用を維持しながら、最終的に付与される利益を最大の利益とすることができるので、遊技者の興趣を向上させる効果(飽きさせない効果、煽り)と、実質的な利益(出球数)を最大とする効果との両方を奏することができる。
図81及び図82は、図58のLIXa−LIXa線における第2流下装置6400の断面図である。なお、図81及び図82では、第2流下装置6400の内部を流下する2個の遊技球B65,B66が時系列に沿って図示されると共に、制限装置6470の動作後の状態が図示される。
図81及び図82に示すように、制限装置6470は、時限分岐領域6410の後端部に回転軸を有し、動作後の状態で遊技球B65,B66を第3特定領域孔6443へ向けて流下させる仕切棒6471を備える。
仕切棒6471は、転動板6412の上面を転動する遊技B65,B66の中心位置の高さにおいて遊技球と当接する態様で配置される。これにより、仕切棒6471に当接した遊技球B65,B66が仕切棒6471を乗り越えて左方へ移動することを防止することができる。
制限装置6470の動作後の状態において、第2流下装置6400の内部を流下する遊技球B65,B66の流下の態様について説明する。
図81では、第1回転部材6451が待機状態となっている。この場合、上述したように、制限装置6470の仕切棒6471と、第1回転部材6451の移動閉塞面6451dとの間の隙間の大きさが、遊技球の大きさ以下とされている。従って、図81に示す状態において、遊技球B65は、仕切棒6471の左方へ行くことはなく、仕切棒6471の右側に留められ、第3特定領域孔6443へ向けて流下する。
そのため、制限装置6470が動作後の状態において、単一の遊技球が第2流下装置6400へ流下すると、必ず第3特定領域孔6443に落下する状態を形成することができる。これにより、例えば、時短遊技により可動入球役物装置190(図2参照)への入球確率を向上させつつ、単一の遊技球が第2流下装置6400へ入球する大当たり状態では大当たりの出球を第3特定領域孔6443に遊技球が落下する事により得られる出球(最低の出球)に統一することで、時短遊技の継続はし易いが、一回の大当たりの出球は抑えた遊技機を構成することができる。これにより、出球はそれほど無くても良いが、大当たり後に長く継続して遊技をしたいという遊技者の意向に沿った遊技機を提供することができる。
なお、本実施形態において、第3特定領域孔6443を落下した遊技球が時短スイッチ190dを通過する構成とする場合、時短遊技中に大当たりを獲得することで、再度の時短遊技が約束されることとなる。これにより、遊技者は、遊技球の消費を抑えながら、大当たり遊技および時短遊技を継続して楽しむことができる。
一方、制限装置6470が動作後の状態において、2個以上の遊技球が第2流下装置6400へ流下すると、図82に示すように、1球目の遊技球B65が第1回転部材6451を回転させることで、2球目の遊技球B66は、第1回転部材6451の伝達部6451cの上面を第2特定領域孔6442又は第1特定領域孔6441へ向けて転動する。即ち、制限装置6470が動作後の状態において、第2流下装置6400に複数の遊技球を入球させることで、大当たり遊技で多くの出球を獲得できるようになるので、第2流下装置6400に複数個の遊技球を入球させることに実益が伴う。これにより、遊技者に対し、複数個の遊技球を可動入球役物装置190へ入球させるために遊技球の発射強度を調整する遊技を、行わせ易くすることができる。
このように、本実施形態では、第2流下装置6400へ遊技球が2個まとまって入球される際に、利益増大装置6450の動作により、先の遊技球が流入した特定領域孔6440により獲得できる利益に対して、後の遊技球が流入した特定領域孔6440により獲得できる利益の方を強制的に大きくできる。これにより、先の遊技球の作用により後の遊技球の流下経路を変化させることができるので、遊技球の動きに対する注目力を向上させることができる。
また、本実施形態では、後の遊技球が先の遊技球よりも小さな利益となることがないので、後の遊技球が、どの特定領域孔6440に流入するかを、普段よりも安心して見届けることができる。
また、本実施形態では、第2流下装置6400に流入した一個めの遊技球は、確実に第3特定領域孔6443に流下する態様を構成できるので、出球は抑えながら、別の作用と組み合わせる(本実施形態では時短の獲得と組み合わせる)ことにより、遊技性の幅を広げることができる。
次いで、図83から図101を参照して、第7実施形態における第2流下装置7400について説明する。第1実施形態では、遊技球が自重で流下して各特定領域孔441〜443に振り分けられる場合を説明したが、第7実施形態における第2流下装置7440は、遊技球を移動させる駆動力を発生する遊技球駆動装置7450を備える。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図83は、第7実施形態における第2流下装置7400の正面斜視図であり、図84は、転動床装置7410の正面斜視図である。なお、図83では、第1分岐誘導流路R1を流下して遊技球駆動装置7450へ流入を開始する遊技球が図示される。また、図84は、図83から遊技球駆動装置7450等が取り外された状態に相当する。
図83及び図84に示すように、第2流下装置7400は、上面側において遊技球を通過させると共に左右方向に延設される転動床装置7410と、その転動床装置7410を転動する遊技球を振り分けると共に透光性の樹脂材料から形成される一対の円環状の回転振分装置7420と、その回転振分装置7420の回転駆動力を発生する駆動装置7430と、転動床装置7410に開口されると共に回転振分装置7420に振り分けられた遊技球が流下可能とされる複数の特定領域孔7440と、転動床装置7410の延設方向に軸方向が沿う態様で回転軸が配置される遊技球駆動装置7450と、を主に備える。
転動床装置7410は、第1分岐誘導流路R1と、回転振分装置7420を回転可能に支持する左右の支持柱7411L,7411Rと、遊技球の重量で傾倒可能に構成される傾倒床7412と、左支持柱7411Lを左方へ通過した遊技球が転動する左方へ下降傾斜する傾斜流路7413と、遊技球駆動装置7450を支持する一対の支持孔7414と、駆動装置7430の駆動モータ7431を支持するモータ支持孔7415と、第1分岐誘導流路R1からスクリュー部材7453に流入する直前の遊技球を検出するセンサであって支持孔7414の下方に配置される流入センサ7416と、を主に備える。
左支持柱7411Lは、T字の柱形状から構成され、上下方向に延びる主柱7411aと、その主柱7411aの上端部において、前後対称形状で前後方向に延設される枝柱7411bと、その枝柱7411bの上面から張り出す回転可能なリング形状部材から構成されるカラー7411cと、を主に備える。
主柱7411aは、上下方向に沿って穿設される第2特定領域孔7442と、傾倒床7412と対向する側に配置されると共に、傾倒床7412が上下方向に傾倒可能に傾倒床7412を支持する軸受け部7411a1と、を主に備える。
枝柱7411bは、上面が回転振分装置7420の回転軸を中心とした円弧形状で凹設されており、凹設部分に回転振分装置7420が回転可能に支持(嵌合)される。カラー7411cは、枝柱7411bの前後端部付近に複数個配置され、枝柱の上面から、回転振分装置7420の回転軸側へ向けた出代が一定とされている。これにより、回転振分装置7420は複数個のカラー7411cに当接した状態で回転可能となり、回転振分装置7420が回転することにより枝柱7411bと擦れて摩耗することを防止することができ、耐久性を向上することができる。
右支持柱7411Rは、第2特定領域孔7442の代わりに第3特定領域孔7443が穿設されること、及び、傾倒床7412の動作により孔の内側へ張り出す張出部材7411hを備えること以外は、左支持柱7411Lと同様の構成を備えるので、説明を省略する。
傾斜床7412は、軸受け部7411a1に支持されると共に、遊技球が乗っていない上向き状態と、遊技球が乗ることで傾倒する下向き状態とで状態を変化可能とされ、上面が遊技球駆動装置7450の回転軸を中心とした円弧形状で凹設される。なお、上面の凹設部分と遊技球駆動装置7450の円柱部7453aとの間の距離が遊技球の直径よりも長くなるように配置される。これにより、上面の凹設部分を、遊技球が、前後方向(円弧の周方向)に振れながら転動することが可能となる。
傾斜流路7413は、左支持柱7411Lの左方まで到達した遊技球を第1特定領域孔7441へ案内する傾斜した流路であり、第1特定領域孔7441が穿設される側方支持柱7413aを備える。
本実施形態では、各特定領域孔7440を備える側方支持柱7413a、左右支持柱7411R,7411Lが左右方向に並んで配置される。これにより、時限阻止板2411(図40参照)により遊技球の流下を阻止する構成を形成し易くすることができる。即ち、本実施形態では第2実施形態で上述した時限阻止板2411を、各特定領域孔7440の内径を狭める位置に配置している(図85(a)参照)。これにより、本実施系形態の各特定領域スイッチ2441a〜2443aの高さの違いとの関係から、複数の遊技球が異なった特定領域孔7440に入球した場合に、遊技者に付与される利益の高い方のスイッチに遊技球を先に通すことができる。従って、利益の高い方の大当たりを遊技者が獲得することができるので、遊技者が落胆することを防止することができる。
また、時限阻止板2411は、遊技球を1個のみ特定領域孔7440に収容可能であって2個目以降の遊技球が収納されない(遊技球の直径分の深さ)位置に配置される。そのため、単一の特定領域孔7440には単一の遊技球のみが収容されるので、2個以上の遊技球が第2流下装置7400に流下した場合には、遊技者は、第2特定領域スイッチ2442aを遊技球が通過することにより獲得可能な7ラウンド以上の大当たりを獲得することができる。
回転振分装置7420は、左右支持柱7411L,7411Rの上面に嵌合される円環形状の回転部材から構成される装置であって、左支持柱7411Lの上面に嵌合される第1円環部材7421と、右支持柱7411Rの上面に嵌合される第2円環部材7422と、を主に備える。
第1円環部材7421は、円筒状に形成される本体部7421aと、その本体部7421aの幅方向中央部において壁部を除去することにより開口される複数の開口部7421bと、その開口部7421bが開口される幅方向中央部よりも幅方向外側において本体部7421aの外周面が回転中心へ向けて凹設される凹設嵌合部7421cと、その凹設嵌合部7421cよりも幅方向外側において円周に亘って形成される歯車7421dと、を主に備える。
第1円環部材7421は、駆動装置7430の回転動作により、下部に、本体部7421aの曲面と、開口部7421bの開口と、を交互に配置する。これにより、遊技球を左支持柱7411Lに開口される第2特定領域孔7442に流下させる場合(開口部7421bが第2特定領域孔7442の開口と一致する場合の一部)と、遊技球が第2特定領域孔7442に流下せず左方へ通過する場合(開口部7421bが第2特定領域孔7442の開口と一致する場合の一部と、本体部7421aが第2特定領域孔7442を塞ぐ場合)と、を形成できる。
開口部7421bは、遊技球が通過可能な大きさに開口される一対の開口部分から構成され、回転軸を中心に90度に亘って穿設される開口が90度間隔で配置される。即ち、第1円環部材7421が90度回転する毎に、回転軸の下方に配置される部分が、本体部7421aと、開口部7421bとで入れ替わる。なお、開口部7421bを囲う側面は、内周側を臨む態様(外周側の角部を面取りする態様)で傾斜して形成される。これにより、遊技球が開口部7421bの側面に当接する(引っかかる)際の減速度合いを小さくすることができる。
凹設嵌合部7421cは、転動床装置7410のカラー7411cの配置に合わせて形成される部分である。カラー7411cが凹設嵌合部7421cと当接した状態で第1円環部材7421は回転するので、カラー7411cが左右方向で本体部7421aと当接可能な配置となる。従って、カラー7411cと本体部7421aとが左右方向(回転軸方向)で当接することにより第1円環部材7421の軸方向の位置ずれを抑制することができる。
歯車7421dは、駆動装置7430の第1歯車7432と歯合する伝達部分としての役割を備える。なお、本実施形態では、第1円環部材7421と第2円環部材7422とが同一の歯車比で同一の駆動モータ7431により回転するので、第1円環部材7421と第2円環部材7422とは、回転速度と、回転開始のタイミングと、回転終了のタイミングとが同一とされる。
第2円環部材7422は、第1円環部材7421と同様に、円筒状に形成される本体部7422aと、その本体部7422aの幅方向中央部において壁部を除去することにより開口される複数の開口部7422bと、その開口部7422bが開口される幅方向中央部よりも幅方向外側において外周面が回転中心へ向けて本体部7422aに凹設される凹設嵌合部7422cと、その凹設嵌合部7422cよりも幅方向外側において円周に亘って形成される歯車7422dと、を主に備え、第1円環部材7421と異なって、本体部7421aと開口部7421bとの境界部分において内周側へ凸設される複数の凸設部7422eを、主に備える。
凹設嵌合部7422c及び歯車7422dの構成は、第1円環部材7421の凹設嵌合部7421c及び歯車7421dと同様なので、説明を省略する。
開口部7422bは、遊技球が通過可能な大きさに開口される3個の開口部分から構成され、回転軸を中心に60度に亘って穿設される開口が60度間隔で配置される。即ち、第2円環部材7422が60度回転する毎に、回転軸の下方に配置される部分が、本体部7422aと、開口部7422bとで入れ替わる。なお、第1円環部材7421の開口部7421bと異なり、開口部7422bを囲う側面が、円周に対して垂直に形成される。
凸設部7422eは、本体部7422aの上を遊技球が転動する際に、遊技球を回転方向に移動させる左右方向に帯状に凸設される部分であり、入口付近において、隣設する開口部7422bの反対側の側面が、開口部7422bの反対側へ臨む傾斜面で形成される。なお、本実施形態では、本体部7422aと開口部7422bとの境界の内、2個の開口部7422bとの境界において凸設部7422eが配置され、1個の開口部7422bとの境界には凸設部7422eが配置されない。
駆動装置7430は、回転振分装置7420の回転駆動力を発生させる装置であって、モータ支持孔7412に回転軸を挿通した状態で支持される駆動モータ7431と、その駆動モータ7431の回転軸に固着されると共に第1円環部材7421に歯合される第1歯車7432と、その第1歯車7432と同軸で駆動モータ7431の回転軸に固着されると共に第2円環部材7432に歯合される第2歯車7433と、を主に備える。
なお、本実施形態では、第1歯車7432と第2歯車7433とが同一形状の歯車から構成され、回転振分装置7420の各歯車7421d,7422dが同一形状の歯車から構成されるので、第1円環部材7421と第2円環部材7422とのギア比が同一とされる。
特定領域孔7440は、側方支持柱7413aの内部に配置される第1特定領域孔7441と、左支持柱7411Lの内部に配置される第2特定領域孔7442と、右支持柱7411Rの内部に配置される第3特定領域孔7443と、を主に備える。
第1特定領域孔7441は、16ラウンド大当たり用の第1特定領域に遊技球を誘導するための孔であり、内部に第1特定領域スイッチ2441aが配設される。これにより、第1特定領域孔7441を通過して第1特定領域を通過する遊技球は、第1特定領域スイッチ2441aにより検出される。
第2特定領域孔7442及び第3特定領域孔7443は、第1特定領域孔7441と同様の内部形状を有し、第2特定領域孔7442が7ラウンド大当たり用の第2特定領域に遊技球を誘導するための孔であり、第3特定領域孔7443が3ラウンド大当たり用の第3特定領域に遊技球を誘導するための孔であることが異なる。即ち、第2特定領域孔7442の内部に第2特定領域スイッチ2442aが配設され、第3特定領域孔7443の内部に第3特定領域スイッチ2443aが配設される。
これにより、第2特定領域孔7442を通過して第2特定領域を通過する遊技球は、第2特定領域スイッチ2442aにより検出され、第3特定領域孔7443を通過して第3特定領域を通過する遊技球は、第3特定領域スイッチ2443aにより検出される。
なお、第1特定領域スイッチ2441a、第2特定領域スイッチ2442a及び第3特定領域スイッチ2443aの上方において時限阻止板2411(図40参照)を張出状態で張り出させることで、その張出状態において遊技球が特定領域孔7441,7442,7443を流下することを阻止(遅延)することができる。
ここで、図85に示すように、各特定領域孔7441〜7443から各特定領域スイッチ2441a〜2443aまでの距離H1〜H3が異なっている。即ち、第1特定領域孔7441から第1特定領域スイッチ2441aまでの距離(距離H1)に比較して第2特定領域孔7442から第2特定領域スイッチ2442aまでの距離(距離H2)が長くされ、第2特定領域孔7442から第2特定領域スイッチ2442aまでの距離(距離H2)に比較して第3特定領域孔7443から第3特定領域スイッチ2443aまでの距離(距離H3)が長くされる(距離H1<距離H2<距離H3)。
これにより、各特定領域孔7441〜7443の上端付近から、遊技球が同じタイミングで落下した場合に、距離H1〜H3の短い方の特定領域スイッチ2441a〜2443aが有効に検出されるので、遊技者は、よりラウンド数の多い大当たりを獲得することができる。
遊技球駆動装置7450は、一対の支持孔7414に回転軸を挿通させた状態で保持される駆動モータ7451と、その駆動モータ7451の回転軸として一対の支持孔7414に回転可能に支持されると共に駆動モータ7451の駆動力で回転する円柱形状の軸棒部材7452と、その軸棒部材7452に一体成型される螺旋形状のスクリュー部材7453と、を主に備える。
スクリュー部材7453は、軸棒部材7452と一体成型される部材であって、円柱形状の円柱部7453aと、その円柱部7453aの外周面に沿って、薄板が螺旋状に巻き付けられた状態で形成される螺旋板部7453bと、を主に備える。
円柱部7453aの直径は、回転振分装置7420及び傾斜床7412との間の距離が遊技球の直径以上となる大きさで形成される。これにより、回転振分装置7420及び傾斜床7412と、円柱部7453aとの間において遊技球を通過させることができる。
螺旋板部7453bは、左右方向で隣り合う薄板の間の距離が遊技球の直径以上とされる。これにより、遊技球が螺旋板部7453bの隣り合う板間に収容され、スクリュー部材7453の回転に基づいて左方へ移動可能となる。なお、本実施形態では、隣り合う板間の距離は、25mmで設計される。
なお、各支持柱7411L,7411Rの左右方向幅が20mmで構成され、各特定領域孔7442,7443は、各支持柱7411L,7411Rの左右幅方向中心位置に配置される(図101(a)参照)。
また、螺旋板部7453bは、軸方向視における直径が第2円環部材7422の凸設部7422eの軌跡の内径以下とされる。これにより、回転振分装置7420とスクリュー部材7453とが干渉することを防止するようにしている。
なお、本実施形態において、螺旋板部7453bは、右端部を基点として左巻のスクリューとして形成される。そのため、スクリュー部材7453を、右端を視認した状態(右面視)で時計回りに回転させることにより、遊技球を左方へ移動させることができる。本実施形態において、スクリュー部材7453は、電源投入時から、収容した遊技球を秒速10mm(V=10mm/s)で左方へ移動させる一定の駆動態様で回転駆動される。
図85を参照して、第1円環部材7421及び第2円環部材7422の位相関係について説明する。なお、これから説明する位相関係はあくまで例示であって、第1円環部材7421及び第2円環部材7422の位相関係はこれに限られるものではない。
図85(a)は、第2流下装置7400の正面図であり、図85(b)は、図85(a)のLXXXVb−LXXXVb線における第1円環部材7421の断面図であり、図85(c)は、図85(a)のLXXXVc−LXXXVc線における第2円環部材7422の断面図である。なお、図85(a)では、理解を容易にするために、駆動装置7430の図示が省略される。
図85(a)から図85(c)に示すように、第1円環部材7421の開口部7421bが手前側上方(図85(b)において第1円環部材7421の回転軸を通る鉛直線と水平線とで区切られる領域の内、左上)の領域に収められる時に、第2円環部材7422の本体部7422aと開口部7422bとの境目が第2円環部材7422の回転軸を通る鉛直線上に配置される位相関係で構成される。なお、図85(b)及び図85(c)に示す状態を回転振分装置7420の初期状態と定義して説明する。
なお、各円環部材7421,7422は、図85(b)及び図85(c)において、反時計回りに秒速60度(10rpm)で回転駆動される。また、駆動開始のタイミングは、遊技球が確定領域スイッチ340a(図5参照)に入賞したことを契機に制御され、数秒間回転駆動したあとで停止制御される。このように、本実施形態では、スクリュー部材7453と各円環部材7421,7422との駆動契機を異ならせているので、遊技者が動作パターンを予測することを困難とでき、各円環部材7421,7422の姿勢を見定めて遊技球を発射する所謂タイミング打ちにより遊技者に付与される利益が偏ることを防止することができる。
本実施形態では、各円環部材7421,7422の本体部7421a,7421b(歯車7421b,7422bは除く)の幅方向の寸法が20mmとされ、開口部7421b,7422bが幅方向の寸法12mmで、それぞれ幅方向の中心に配置される。遊技球の直径は11mmであるので、スクリュー部材7453に押進され左方へ移動する遊技球が開口部7421b,7422bの幅方向中心位置に配置されたタイミングで、開口部7421b,7422bの開口内に対応する特定領域孔7442,7443が配置されない場合(ピタッと合わない場合)には、遊技球が左方へ通過することになる。
また、各円環部材7421,7422の本体部7421a,7422a間(歯車7422は無視)の距離は30mmで設定される。
従って、遊技球が第3特定領域孔7443に落下し得る位置(第1円環部材7421の幅方向中心位置)に配置されてから、第2特定領域孔7442落下し得る位置(第2円環部材7422の幅方向中心位置)に配置されるまでの移動距離が50mmと規定される。即ち、遊技球は、第3特定領域孔7443の中心位置を通過してから約5秒で第2特定領域孔7442の中心位置に到達し、この間に各円環部材7421,7422が300度(図85(b)及び図85(c)において反時計回りに300度)の角度だけ回転する(即ち、時計回りに60度回転した状態と同じとなる)。
次いで、第2円環部材7422の作用について説明する。第2円環部材7422は、遊技球を第3特定領域孔7443に落下させるか、第3特定領域孔7443へ落下させずに左方へ流下させるかを振り分ける部材であると共に、遊技球を左方へ流下させる態様を複数形成可能に構成される。
図86(a)及び図86(b)は、図85(a)のLXXXVc−LXXXVc線における第2円環部材7422の断面図である。なお、図86(a)では、初期状態から反時計回りに30度回転した状態が図示され、図86(b)では、図86(a)に示す状態から反時計回りに60度回転した状態が図示される。即ち、図86(b)には、図86(a)に示す状態から1秒間経過した状態が図示される。
図86(a)に示す状態において、第2円環部材7422の本体部7422aの右端位置IN(図85(a)参照)に遊技球の中心位置が配置された場合、1秒後経過すると遊技球は10mm左方へ移動することで、遊技球の中心位置が第2円環部材7422の幅方向中心位置まで移動するので、図86(b)に示す第2円環部材7422の幅方向中心位置に遊技球の中心位置が配置される。
この場合、遊技球の中心位置が第2円環部材7422の幅方向中心位置に配置された時に遊技球の下方に開口部7422bが配置されるので、遊技球は第3特定領域孔7443へ落下する。
図87(a)及び図87(b)は、図85(a)のLXXXVc−LXXXVc線における第2円環部材7422の断面図である。なお、図87(a)では、初期状態から反時計回りに330度回転した状態が図示され、図87(b)では、図87(a)に示す状態から反時計回りに60度回転した状態が図示される。即ち、図87(b)には、図87(a)に示す状態から1秒間経過した状態が図示される。
図87(a)に示す状態において、第2円環部材7422の本体部7422aの右端位置IN(図85(a)参照)に遊技球の中心位置が配置された場合、1秒後経過すると遊技球は10mm左方へ移動することで、遊技球の中心位置が第2円環部材7422の幅方向中心位置まで移動するので、図87(b)に示す第2円環部材7422の幅方向中心位置に遊技球の中心位置が配置される。
この場合、遊技球の中心位置が第2円環部材7422の幅方向中心位置に配置された時に遊技球の下方に本体部7422aの壁面が配置されるので、遊技球は第3特定領域孔7443へ落下せず、図85(a)左方(図87(b)奥方向、第2特定領域孔7442側方向)へ通過する。このとき、遊技球を進行方向の垂直方向へ移動させる負荷が、第2円環部材7422から遊技球へ与えられないので、遊技球は第2円環部材7422の最下部に位置した状態で通過する。
この場合、スクリュー部材7453の駆動力により、傾倒床7412の上面の最下部に位置した状態で傾倒床7412を通過し、第1円環部材7421に到達するので、第2特定領域孔7442に遊技球が落下するか否かは、第1円環部材7421の状態に左右される。
図88(a)及び図88(b)は、図85(a)のLXXXVb−LXXXVb線における第1円環部材7421の断面図である。なお、図88(a)では、図87(b)に示す状態と同じタイミングの状態が図示され、図88(b)では、図88(a)に示す状態から反時計回りに300度回転した状態が図示される。即ち、図88(b)には、図88(a)に示す状態から約5秒間経過した状態が図示される。
上述したように、本実施形態では、第2円環部材7422の中心位置から第1円環部材7421の中心位置まで遊技球が約5秒で移動する。即ち、図87(b)で第2円環部材7422を通過した遊技球は、図88(b)に示す状態において第1円環部材7421の中心位置に到達する。図88(b)に示す状態では、遊技球の下方に開口部7421bが配置されるので、遊技球は開口部7421bを通過して第2特定領域孔7442に落下する。
図89及び図90を参照して、別のタイミングで遊技球が回転振分装置7420に流入した場合について説明する。
図89(a)及び図89(b)は、図85(a)のLXXXVc−LXXXVc線における第2円環部材7422の断面図である。なお、図89(a)では、初期状態が図示され、図89(b)では、図89(a)に示す状態から反時計回りに60度回転した状態が図示される。即ち、図89(b)には、図89(a)に示す状態から1秒間経過した状態が図示される。
図89(a)に示す状態において、第2円環部材7422の本体部7422aの右端位置IN(図85(a)参照)に遊技球の中心位置が配置された場合、1秒後経過すると遊技球は10mm左方へ移動することで、遊技球の中心位置が第2円環部材7422の幅方向中心位置まで移動するので、図89(b)に示す第2円環部材7422の幅方向中心位置に遊技球の中心位置が配置される。
この場合、遊技球の中心位置が第2円環部材7422の幅方向中心位置に配置された時に遊技球の下方に本体部7422aの壁面の端部が配置されるので、遊技球は第3特定領域孔7443へ落下せず、図85(a)左方(図87(b)奥方向、第2特定領域孔7442側方向)へ通過する。なお、第2円環部材7422が図89(b)に示す状態から反時計回りに30度(0.5秒間)回転することにより開口部7422bが遊技球の下方に配置されるが、その時には、遊技球の中心位置は第2円環部材7422の幅方向中心位置から5mm移動しており(スクリュー部材7453に遊技球が押進されており)、遊技球と第3特定領域孔7443との位置がずれているため、遊技球が第3特定領域孔7443に落下せず図85(a)左方へ移動する。
このとき、遊技球を進行方向の垂直方向へ移動させる負荷が、第2円環部材7422から遊技球へ与えられないので、遊技球は第2円環部材7422の最下部に位置した状態で通過する。
この場合、スクリュー部材7453の駆動力により、傾倒床7412の上面の最下部に位置した状態で傾倒床7412を通過し、第1円環部材7421に到達するので、第2特定領域孔7442に遊技球が落下するか否かは、第1円環部材7421の状態に左右される。
図90(a)及び図90(b)は、図85(a)のLXXXVb−LXXXVb線における第1円環部材7421の断面図である。なお、図90(a)では、図89(b)に示す状態と同じタイミングの状態が図示され、図90(b)では、図90(a)に示す状態から反時計回りに300度回転した状態が図示される。即ち、図90(b)には、図90(a)に示す状態から約5秒間経過した状態が図示される。
上述したように、本実施形態では、第2円環部材7422の中心位置から第1円環部材7421の中心位置まで遊技球が約5秒で移動する。即ち、図89(b)で第2円環部材7422を通過した遊技球は、図90(b)に示す状態において第1円環部材7421の中心位置に到達する。図90(b)に示す状態では、遊技球の下方に本体部7421aの端部が配置されるので、遊技球は第2特定領域孔7442に落下できず、図85(a)左方(図90(b)奥側方向、第1特定領域孔7441側)へ流下する。
このように、第1円環部材7421により、第2特定領域孔7442に落下するか否かが振り分けられる。遊技球が回転振分装置7420に流入するタイミングの僅かな違い(例えば、0.5秒の違い)で、遊技球がどの特定領域孔7441〜7443に落下するかを異ならせることができる。これにより、回転振分装置7420を通過する遊技球の注目度合いを向上させることができる。
ここまでは、遊技球が第2円環部材7422を通過する際に、第2円環部材7422の最下部を流下する場合を説明した。次に、第2円環部材7422の最下部よりも持ち上げられて第2円環部材7422を通過する場合について説明する。
図91(a)及び図91(b)は、図85のLXXXVc−LXXXVc線における第2円環部材7422の断面図であり、図91(c)は、図91(a)の矢印XCIc方向視における第2円環部材7422の部分内面図である。なお、図91(a)では、初期状態から反時計回りに120度回転した状態が図示され、図91(b)では、図91(a)に示す状態から反時計回りに120度回転した状態が図示され、第2円環部材7422の内面を転動する遊技球が実線と想像線とで図示される。なお、図91(b)に示す状態は、I9(a)に示す状態から約2秒間経過した状態に対応する。
図91に示すように、図91(a)に示す状態で遊技球が第2円環部材7422の右端位置IN(図85(a)参照)に配置され、それから約2秒経過すると遊技球は第2円環部材7422の左端位置OUT(図85(a)参照)に配置され、約2秒間の間に凸設部7422eによって図91(b)に示す位置まで(第2円環部材7422の半径の半分の高さまで)遊技球が持ち上げられる。ここから遊技球がスクリュー部材7453(図83参照)に押進されることにより、図91(b)に示す高さ位置から傾倒床7412へ向けて押し出される。そのため、遊技球は、傾倒床7412を転動する際に、円弧の周方向に揺れながら傾倒床7412を流下する。
図91(c)に示すように、凸設部7422eが、入口付近において、隣設する開口部7422bの反対側の側面が、開口部7422bの反対側へ臨む傾斜面で形成されるので、例えば、遊技球が凸設部7422eの端部に当接した状態で第2円環部材7422に流入する場合に、開口部7422bの反対側(本体部7422aの壁部がある側)に遊技球を案内し易くすることができる。
これにより、遊技球が凸設部7422eの端部に当接するようなタイミング(遊技球が本体部7422aに振れるか、開口部7422bに振れるか、すぐには判断できないタイミング)で第2円環部材7422に流入する場合に遊技者にとって利益の大きい方向に遊技球を転がし易くすることができる。
そのため、遊技球が凸設部7422eの端部に当接するようなタイミングを、1/2の確率で第3特定領域孔7443に落下するという単なる振り分けのタイミングとしてではなく、第2円環部材7422を遊技球が第2特定領域孔7442側へ通過し易い大チャンスのタイミングとして演出することができる。これにより、遊技者の興趣を高めるタイミングを多くすることができる。
図92は、図85(a)の矢印XCII方向視における第2流下装置7400の部分上面図である。なお、図92では、傾倒床7412を流下する遊技球の経路の一例が曲線で図示される。また、傾倒床7412の第2円環部材7422側の端部を基準として、遊技球が通過するまでの期間tが図示される。
図92に示すように、図91(b)に示す状態から遊技球が傾倒床7412に押し出された場合、遊技球は、傾倒床7412の円弧の周方向における流下向きを約1秒ごとに切り替える態様で揺れながら流下する(図中の矢印で例示)。そのため、期間t=4付近の位置において示すように、遊技球が第1円環部材7421を通過する場合に、遊技球と第2特定領域孔7442との位置がずれるので、第2特定領域孔7442に遊技球が落下することを防止することができる。
図93(a)及び図93(b)は、図85(a)のLXXXVb−LXXXVb線における第1円環部材7421の断面図である。なお、図93(a)では、図91(b)に示す状態と同じタイミングにおける状態が図示され、図93(b)では、図93(a)に示す状態から反時計回りに240度回転した状態が図示される。即ち、図93(b)に示す状態は、図93(a)に示す状態から約4秒間経過した後の状態が図示されており、図91(b)に示す遊技球が第1円環部材7421の幅方向中心位置に配置されるタイミングにおける状態が図示される。
図93(b)に示すように、第1円環部材7421の幅方向中心位置に遊技球の中心が配置されるタイミングにおいて、第2特定領域孔7442が上面視において開口部7421bの領域の内側に配置されるので、遊技球は第2特定領域孔7442に落下し得る。
遊技球が第1円環部材7421の内面の最下部を通過する場合には、図93(b)に示す状態において遊技球は第2特定領域孔7442に落下することがほとんどであったが、図92で上述した通り、本実施形態では遊技球を傾倒床7412の円弧の周方向に揺らすことができる。これにより、遊技球が第1円環部材7421の最下部に配置されていない間に、遊技球が第1円環部材7421の幅方向の中心位置を通過する態様で遊技球を流下させることができ、第1円環部材7421が図93(b)の状態であったとしても、遊技球が第2特定領域孔7442に落下せずに、遊技球が第1円環部材7421を図85(a)左方(図93(b)奥側方向、傾斜流路7413側方向(図83参照))へ通過する状態を構成することができる(図93(b)に想像線で図示)。
従って、遊技球が傾倒床7412の円弧の周方向に揺れたら(遊技球の流下態様がいつもと違ったら)遊技者にとって利益となる確率を高くすることができるので、遊技球の流下態様に対する注目力を向上させることができる。
また、図92で示したのは、遊技球の流下の仕方の一例であり、例えば、遊技球が傾倒床7412の上面の一部に引っ掛かり減速し、収束度合いが上がった場合は、遊技球と第2特定領域孔7442との位置が合う場合も生じる。
そのため、遊技球が第2円環部材7422の同じ高さから傾倒床7412へ流下し、傾倒床7412の円弧の周方向に揺れたとしても、遊技球の流下経路がいつも同じになるとは限らないので、遊技球が傾倒床7412の円弧の周方向に揺れた場合の期待度(第1円環部材7421を左方へ通過するかもしれないという期待度)を持続させながら、遊技球の流下の態様を最後まで見守るように仕向けることができる。これにより、第2流下装置7400を流下する遊技球の注目力を向上させることができ、それに基づいて、第2流下装置7400自体の注目力を向上させることができる。
図94(a)及び図94(b)は、図85(a)のLXXXVc−LXXXVc線における第2円環部材7422の断面図である。なお、図94(a)では、初期状態から反時計回りに150度回転した状態が図示され、図94(b)では、図94(a)に示す状態から反時計回りに120度回転した状態が図示され、第2円環部材7422の内面を転動する遊技球P75が実線と想像線とで図示される。なお、図94(b)に示す状態は、図94(a)に示す状態から約2秒間経過した状態に対応する。
図94に示すように、図94(a)に示す状態で遊技球が第2円環部材7422の右端位置IN(図85(a)参照)に配置され、それから約2秒経過すると遊技球は第2円環部材7422の左端位置OUT(図85(a)参照)に配置され、約2秒間の間に凸設部7422eによって図94(b)に示す位置まで(第2円環部材7422の半径の高さまで)遊技球P75が持ち上げられる。ここから遊技球P75がスクリュー部材7453(図83参照)に押進されることにより、図94(b)に示す高さ位置から傾倒床7412へ向けて押し出される。そのため、遊技球P75は、傾倒床7412を転動する際に、円弧の周方向に揺れながら傾倒床7412を流下する。
図95は、図85(a)の矢印XCII方向視における第2流下装置7400の部分上面図である。なお、図95では、傾倒床7412を流下する遊技球P75の経路の一例が曲線で図示される。また、傾倒床7412の第2円環部材7422側の端部を基準として、遊技球P75が通過するまでの期間tが図示される。
図95に示すように、図94(b)に示す状態から遊技球が傾倒床7412に押し出された場合、遊技球は、傾倒床7412の円弧の周方向における流下向きを約1.2秒ごとに切り替える態様で揺れながら流下する(図中の矢印で図示)。なお、図92に示す態様よりも揺れ幅が大きいので、切替間隔が長くなっている。本例においても、期間t=4付近の位置において示すように、遊技球P75が第1円環部材7421を通過する場合に、遊技球P75と第2特定領域孔7442との位置がずれるので、第2特定領域孔7442に遊技球が落下することを防止することができる。
ここで、図92では、期間t=4付近の位置において遊技球P75が揺れの向きの切り替わる位置(第2特定領域孔7442から離れた位置)に配置されたのに対して、図95では、期間t=4の位置において遊技球P75が揺れの向きの切り替わる位置よりも第2特定領域孔7442に近接配置される。
即ち、遊技球P75の揺れ方を、遊技球P74の揺れ方と変えることにより、遊技球の動作による演出の種類を増やすことができると共に、期間t=4の位置における遊技球と第2特定領域孔7442との位置ずれの度合いを変えることにより、遊技球P75が第2特定領域孔7442に落下するか否かの確率を変化させることができるので、遊技球の注目力を向上させることができる。
図96(a)及び図96(b)は、図85(a)のLXXXVb−LXXXVb線における第1円環部材7421の断面図である。なお、図96(a)では、図94(b)に示す状態と同じタイミングにおける状態が図示され、図96(b)では、図96(a)に示す状態から反時計回りに240度回転した状態が図示される。即ち、図96(b)に示す状態は、図96(a)に示す状態から約4秒間経過した後の状態が図示されており、図94(b)に示す遊技球P75が第1円環部材7421の幅方向中心位置に配置されるタイミングにおける状態が図示される。
図96(b)に示すように、第1円環部材7421の幅方向中心位置に遊技球の中心が配置されるタイミングにおいて、第2特定領域孔7442が上面視において開口部7421bの領域の内側に配置されるので、遊技球P75は第2特定領域孔7442に落下し得る。
遊技球P75が第1円環部材7421の内面の最下部を通過する場合には、図96(b)に示す状態において遊技球は第2特定領域孔7442に落下することがほとんどであったが、図95で上述した通り、本実施形態では遊技球を傾倒床7412の円弧の周方向に揺らすことができる。これにより、遊技球が第1円環部材7421の最下部に配置されていない間に、遊技球が第1円環部材7421の幅方向の中心位置を通過する態様で遊技球を流下させることができ、第1円環部材7421が図96(b)の状態であったとしても、遊技球P75が第2特定領域孔7442に落下せずに、遊技球P75が第1円環部材7421を図85(a)左方(図96(b)奥側方向、傾斜流路7413側方向(図83参照))へ通過する状態を構成することができる(図96(b)に想像線で図示)。
従って、遊技球P75が傾倒床7412の円弧の周方向に揺れたら(遊技球の流下態様がいつもと違ったら)遊技者にとって利益となる確率を高くすることができるので、遊技球の流下態様に対する注目力を向上させることができる。
また、図95で示したのは、遊技球P75の流下の仕方の一例であり、例えば、遊技球P75が傾倒床7412の上面の一部に引っ掛かり減速し、収束度合いが上がった場合は、遊技球P75と第2特定領域孔7442との位置が合う場合も生じる。
そのため、遊技球P75が第2円環部材7422の同じ高さから傾倒床7412へ流下し、傾倒床7412の円弧の周方向に揺れたとしても、遊技球P75の流下経路がいつも同じになるとは限らないので、遊技球P75が傾倒床7412の円弧の周方向に揺れた場合の期待度(第1円環部材7421を左方へ通過するかもしれないという期待度)を持続させながら、遊技球P75の流下の態様を最後まで見守るように仕向けることができる。これにより、第2流下装置7400を流下する遊技球P75の注目力を向上させることができ、それに基づいて、第2流下装置7400自体の注目力を向上させることができる。
図97(a)及び図97(b)は、図85(a)のLXXXVc−LXXXVc線における第2円環部材7422の断面図である。なお、図97(a)では、初期状態から反時計回りに240度回転した状態が図示され、図97(b)では、図97(a)に示す状態から反時計回りに120度回転した状態が図示され、第2円環部材7422の内面を転動する遊技球が実線と想像線とで図示される。なお、図97(b)に示す状態は、I15(a)に示す状態から約2秒間経過した状態に対応する。
図97に示すように、図97(a)に示す状態で遊技球が第2円環部材7422の右端位置IN(図85(a)参照)に配置され、それから約2秒経過すると遊技球は第2円環部材7422の左端位置OUT(図85(a)参照)に配置され、約2秒間の間に凸設部7422eによって図97(b)に示す位置まで(第2円環部材7422の半径の半分の高さまで)遊技球が持ち上げられる。ここから遊技球がスクリュー部材7453(図83参照)に押進されることにより、図97(b)に示す高さ位置から傾倒床7412へ向けて押し出される。そのため、遊技球は、傾倒床7412を転動する際に、円弧の周方向に揺れながら傾倒床7412を流下する。
図98(a)及び図98(b)は、図85(a)のLXXXVb−LXXXVb線における第1円環部材7421の断面図である。なお、図98(a)では、図97(b)に示す状態と同じタイミングにおける状態が図示され、図98(b)では、図98(a)に示す状態から反時計回りに240度回転した状態が図示される。即ち、図98(b)に示す状態は、図98(a)に示す状態から約4秒間経過した後の状態が図示されており、図98(b)に示す遊技球が第1円環部材7421の幅方向中心位置に配置されるタイミングにおける状態が図示される。
図98(b)に示すように、第1円環部材7421の幅方向中心位置に遊技球の中心が配置されるタイミングにおいて、第2特定領域孔7442の上方に本体部7421aの壁部が被さる態様で配置されるので、遊技球は第2特定領域孔7442に落下し得ない。
図97及び図98では、図97(b)に示す高さ位置(図91(b)に示す高さ位置と同じ高さ位置)から遊技球を傾倒床7412へ押し出すので、傾倒床7412を流下する遊技球の流下態様は、図92で説明した態様と同様となる。
一方で、図93で説明した場合と異なり、第1円環部材7421の幅方向中心位置を、遊技球が第1円環部材7421の最下部に配置される状態で通過しても、第2特定領域孔7442に落下することはなく、傾斜流路7413側へ第1円環部材7421を通過する。
即ち、傾倒床7412を円弧の周方向に揺れながら流下する遊技球の流下態様が同じ場合でも、第2特定領域孔7442に落下し得る場合と、第2特定領域孔7442に落下し得ない場合とを明確に分けることができる。
そのため、傾倒床7412を円弧の周方向に揺れながら流下する遊技球の流下態様が同じで、第1円環部材7421に到達する前に揺れが収束してしまい、第1円環部材7421の最下部に遊技球が落ち着いてしまった場合でも、第1円環部材7421に流入した遊技球が、第2特定領域孔7442に落下するのか、傾斜流路7413側へ通過するのか、を最後まで(遊技球が第1円環部材7421を通過するまで)分からなくすることができ、遊技球の注目力を向上させることができる。
また、第1円環部材7421の幅方向中心位置に遊技球の中心が配置されたタイミングにおける第1円環部材7421の姿勢の違いは、遊技球を持ち上げる凸設部7422eの違いにより生じている。
そのため、遊技者が、第2円環部材7422のどちらの凸設部7422eで遊技球が持ち上げられているかを把握しづらくすることにより、遊技球が傾倒床7412を流下する態様から、第1円環部材7421の幅方向中心位置に遊技球の中心が配置される際の第1円環部材7421の姿勢を予測しづらくすることができる。
なお、本実施形態では、3個の開口部7422bが全て同じ大きさで構成され、本体部7422aに特徴のある模様を付けることをしない(例えば、一色での塗りつぶしや、位相によらず同一の色彩で視認される縞模様などから形成される)ことにより、一対の凸設部7422eの内、どちらの凸設部7422eが遊技球を持ち上げたのかを把握しづらくするようにしている。
図99(a)及び図99(b)は、図85(a)のLXXXVc−LXXXVc線における第2円環部材7422の断面図である。なお、図99(a)では、初期状態から反時計回りに270度回転した状態が図示され、図99(b)では、図99(a)に示す状態から反時計回りに120度回転した状態が図示され、第2円環部材7422の内面を転動する遊技球P76が実線と想像線とで図示される。なお、図99(b)に示す状態は、図99(a)に示す状態から約2秒間経過した状態に対応する。
図99に示すように、図99(a)に示す状態で遊技球が第2円環部材7422の右端位置IN(図85(a)参照)に配置され、それから約2秒経過すると遊技球は第2円環部材7422の左端位置OUT(図85(a)参照)に配置され、約2秒間の間に凸設部7422eによって図99(b)に示す位置まで(第2円環部材7422の半径の高さまで)遊技球P76が持ち上げられる。ここから遊技球P76がスクリュー部材7453(図83参照)に押進されることにより、図99(b)に示す高さ位置から傾倒床7412へ向けて押し出される。そのため、遊技球P76は、傾倒床7412を転動する際に、円弧の周方向に揺れながら傾倒床7412を流下する。
図100(a)及び図100(b)は、図85(a)のLXXXVb−LXXXVb線における第1円環部材7421の断面図である。なお、図100(a)では、図99(b)に示す状態と同じタイミングにおける状態が図示され、図100(b)では、図100(a)に示す状態から反時計回りに240度回転した状態が図示される。即ち、図100(b)に示す状態は、図100(a)に示す状態から約4秒間経過した後の状態が図示されており、図100(b)に示す遊技球が第1円環部材7421の幅方向中心位置に配置されるタイミングにおける状態が図示される。
図100(b)に示すように、第1円環部材7421の幅方向中心位置に遊技球の中心が配置されるタイミングにおいて、第2特定領域孔7442の上方に本体部7421aの壁部が部分的に被さる態様で配置されるので、遊技球は第2特定領域孔7442に落下し得ない。
図99及び図100では、図94(b)に示す高さ位置(図94(b)に示す高さ位置と同じ高さ位置)から遊技球を傾倒床7412へ押し出すので、傾倒床7412を流下する遊技球の流下態様は、図95で説明した態様と同様となる。
一方で、図95で説明した場合と異なり、第1円環部材7421の幅方向中心位置を、遊技球が第1円環部材7421の最下部に配置される状態で通過しても、第2特定領域孔7442に落下することはなく、傾斜流路7413側へ第1円環部材7421を通過する。
即ち、傾倒床7412を円弧の周方向に揺れながら流下する遊技球の流下態様が同じ場合でも、第2特定領域孔7442に落下し得る場合と、第2特定領域孔7442に落下し得ない場合とを明確に分けることができる。
そのため、傾倒床7412を円弧の周方向に揺れながら流下する遊技球の流下態様が同じで、第1円環部材7421に到達する前に揺れが収束してしまい、第1円環部材7421の最下部に遊技球が落ち着いてしまった場合でも、第1円環部材7421に流入した遊技球が、第2特定領域孔7442に落下するのか、傾斜流路7413側へ通過するのか、を最後まで(遊技球が第1円環部材7421を通過するまで)分からなくすることができ、遊技球の注目力を向上させることができる。
また、第1円環部材7421の幅方向中心位置に遊技球の中心が配置されたタイミングにおける第1円環部材7421の姿勢の違いは、遊技球を持ち上げる凸設部7422eの違いにより生じている。
そのため、遊技者が、第2円環部材7422のどちらの凸設部7422eで遊技球が持ち上げられているかを把握しづらくすることにより、遊技球が傾倒床7412を流下する態様から、第1円環部材7421の幅方向中心位置に遊技球の中心が配置される際の第1円環部材7421の姿勢を予測しづらくすることができる。
なお、本実施形態では、3個の開口部7422bが全て同じ大きさで構成され、本体部7422aに特徴のある模様を付けることをしない(例えば、一色での塗りつぶしや、位相によらず同一の色彩で視認される縞模様などから形成される)ことにより、一対の凸設部7422eの内、どちらの凸設部7422eが遊技球を持ち上げたのかを把握しづらくするようにしている。
図91から図100に示すように、傾倒床7412を流下する遊技球が、傾倒床7412の上面の円弧の周方向に沿って揺動する場合の遊技球の流下態様のパターンを、最大振幅が異なる少なくとも2種類の流下態様として形成することができ、又、それぞれの流下態様は維持しながら、第1円環部材7421を傾斜流路7413側へ、通過させるか否かの振り分け確率を大きく異ならせる態様で構成することができる。
即ち、凸設部7422eに持ち上げられた後で傾倒床7412を揺れる遊技球の流下態様は維持しつつ、回転振分装置7420の動作制御も変更することなく、遊技球が第2円環部材7422に流入するタイミングによって第1円環部材7421を遊技球が傾斜流路7413側へ通過する状態を構成することができる。
本実施形態では、流入センサ7416(図84参照)により、遊技球がスクリュー部材7453に流入するタイミングを検出するので、そのタイミングにおける第1円環部材7421の位相から、遊技球がどの特定領域孔7441〜7443に落下するタイミングでスクリュー部材7453に流入したかを認識することができ、それを演出制御に役立てることができる。
例えば、第1特定領域孔7441に遊技球が落下することが確定したタイミングである場合には、最大の利益を獲得したことを示す派手な演出を、遊技球がスクリュー部材7453の螺旋状の板の間に収容されている内から、先読み演出として行うことができる。即ち、遊技球の流下態様により得られるであろう利益の違いを制御で先読みして、第2流下装置7400を遊技球が流下する際の演出の強度に差を持たせることにより、演出に、単なる賑やかしではなく、遊技者の利益に直結するものとしての役割を与えることができる。
これにより、遊技球の流下態様が同じ場合(例えば、図92に示す流下態様である場合)に、遊技者目線では遊技球が第1円環部材7421を傾斜流路7413側へ通過するか否かが分からないが、制御側では、傾斜流路7413側へ通過することがほとんどであることを認識することができる(例えば、図98で上述した説明を参照)。
従って、遊技者から見て、遊技球の流下態様と、演出とが1対1でリンクすることを防止することができ、遊技球の流下態様がいつもと同様である場合に別の演出がされても、それを賑やかしの演出(所謂「ガセ演出」)であると決めつけることを防止することができる。これにより、遊技球の流下態様への注目力を向上させることができる。
図101(a)及び図101(b)は、図85(b)のCIa−CIa線における第2流下装置7400の断面図である。なお、図101(a)では、傾倒床7412が上向き状態とされ、図101(b)では、傾倒床7412が下向き状態とされる。また、図101(a)には、第2円環部材7422の左端位置OUTに位置する遊技球P78と、右端位置INに位置する遊技球P79とが図示され、図101(b)には、図101(a)に示す状態から約0.5秒後の状態が図示される。
図101(a)に示すように、遊技球P78が傾倒床7412に乗っていない場合、傾倒床7412は上向き状態となり、張出部材7411hは第3特定領域孔7443の内面の外方に配置される。この状態では、遊技球P79は第3特定領域孔7443に落下可能となっている。
図101(a)に示す状態から0.5秒経過すると、遊技球がスクリュー部材7453に押進され、約5mm左方へ移動するので、図101(b)に示すように、左側の遊技球P78が傾倒床7412に乗り、傾倒床7412が遊技球P78の重さで下向き状態となる。
この状態において、張出部材7411hが第3特定領域孔7443の内面の内方に張り出すので、第3特定領域孔7443の開口部を狭めることができるので、遊技球P79が第3特定領域孔7443を落下することを防止することができる。
従って、先にスクリュー部材7453に流入した遊技球P78が第2円環部材7422を左方(第2特定領域孔7442側方向)へ通過した場合に、後からスクリュー部材7453に流入した遊技球P79が、先に流入した遊技球P78により得られる利益よりも小さな利益しか得られない第3特定領域孔7443に落下することを防止することができる。これにより、2個の遊技球P78,P79が第2流下装置7400に流入した場合に、後から流入した遊技球P79によって、先に流入した遊技球P78により得られる利益以上の利益を得ることができるので、先の遊技球P78が通過する流路が確定した後において、更に後の遊技球P79に対する注目力を向上させることができる。
また、遊技球P78は傾倒床7412の上面に約3秒間滞在するので、後からスクリュー部材7453に流入した遊技球P79が第2円環部材7422を通過する前に傾倒床7412が上向き状態に戻ることを防止することができる。
なお、本実施形態では、上記の効果を奏するために、スクリュー部材7453の螺旋板部7453bの板同士の間隔が、20mm以上離れて構成される(本実施形態では、約25mmの間隔で構成される)。これにより、後の遊技球P79が、張出部材7411hの張出動作の前に第3特定領域孔7443に落下することを防止することができる。
本実施形態では、螺旋板部7453bの板同士の間隔が約25mmの間隔で構成されるので、2個の遊技球が第3特定領域孔7443に到達する場合に、2.5秒間隔(第2円環部材7422が150度回転する間隔)で第2円環部材7422の中心位置を通ることになる。そのため、第2円環部材7422の構成上(本体部7422aの壁部の180度反対側に開口部7422bの開口が配置される構成上)、一方の遊技球が開口に落ちると、他方の遊技球は壁部に乗りやすい。
そのため、時限阻止板2411が無い場合であっても、少なくとも、どちらか一方の遊技球を第2円環部材7422の左方へ送り易い構成とすることができる。
また、2個の遊技球が、共に第2円環部材7422の本体部7422aの壁部に乗る場合、第2円環部材7422の凸設部7422eの配置から(120度ごとの配置、一箇所において配置省略から)、少なくとも、どちらか一方の遊技球を第2円環部材7422の円周方向へ揺らし易くすることができる。例えば、図87(a)に示す遊技球P72の後方に、螺旋板部7453bの板を一枚挟んで後の遊技球が配置され、第2円環部材7422に流入する場合、図72(a)に示す状態から第2円環部材7422が150度(2.5秒分)回転した状態(図91(a)参照)の時に、後の遊技球が第2円環部材7422に流入する。
この場合、図87(a)に示す遊技球P72は凸設部7422eとは当接せず、第2円環部材7422の円周方向に揺れる動作をしないが、図91(a)に示す遊技球P74は凸設部7422eと当接して、円周方向に揺れながら第2円環部材7422と第1円環部材7421との間を移動する(図92(b)参照)。従って、複数個の遊技球がスクリュー部材7453に連続して流入される(螺旋板部7453bの板を一枚挟んだ状態でスクリュー部材7453の動作により駆動される)ことにより、少なくとも一個の遊技球を第2円環部材7422の周方向に揺らしやすくでき、遊技者の期待感を向上させることができる。
このように、本実施形態では、第2流下装置7400へ遊技球が2個まとまって入球されることで、回転振分装置7420及び遊技球駆動装置7450と遊技球との作用により、遊技球が第2円環部材7421を左方へ通過する態様で構成される。即ち、遊技者が、より利益の高い大当たり(7ラウンド大当たり、16ラウンド大当たり)を獲得することが可能になる。
また、本実施形態では、大当たり獲得までの過程において、遊技球を第2円環部材7422の周方向に動作させる場合と、動作させない場合とがランダムで形成され、どちらの場合となるかで、獲得できる利益の振り分け(確率)が変化する構成となっているので、遊技球の流下の態様の注目力を向上させることができる。
一方で、本実施形態では、遊技球の流下軌跡が同じ場合でも、それぞれの流下軌跡において、いずれの大当たり(7ラウンド大当たり、16ラウンド大当たり)にも、なり得るパターンを形成できる。そのため、第2円環部材7422を左方へ通過した遊技球の流下軌跡によらず、遊技球の流下の態様の注目力を向上させることができる。
次いで、図102から図130を参照して、第1制御例について説明する。なお、第1制御例では、電気的構成が図4で上述したブロック図により構成されるので、図4を適宜参照する。
図102は、第1制御例における各種カウンタの概要を示す図であり、図103(a)は、第1制御例における主制御装置内のROMの電気的構成を示すブロック図であり、図103(b)は、第1制御例における主制御装置内のRAMの電気的構成を示すブロック図であり、図104(a)は、第1制御例における第1当たり乱数テーブルの内容を模式的に示す模式図であり、図104(b)は、第1制御例における第1乱数カウンタC1と第1特別図柄における小当たり判定値との対応関係を模式的に示した模式図であり、図104(c)は、第1制御例における第1乱数カウンタC1と第2特別図柄における小当たり判定値との対応関係を模式的に示した模式図であり、図104(d)は、第1制御例における第2当たり乱数カウンタC4と普通図柄における当たりとの対応関係を模式的に示した模式図である。
主制御装置110では、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定および第2図柄表示装置(図示せず)における表示の設定といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。そして、RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタが設けられている。ここで、図102を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。これらのカウンタ等は、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、および、第2図柄表示装置における表示の設定などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
特別図柄の抽選や、第1図柄表示装置37の表示の設定には、特別図柄の抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、特別図柄の当たり種別を選択するために使用する第1当たり種別カウンタC2と、特別図柄における外れの停止種別を選択するために使用する停止種別選択カウンタC3と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1と、が用いられる。また、普通図柄の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度、前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(図115参照)の実行間隔である2ミリ秒間隔で更新され、また、一部のカウンタは、メイン処理(図119参照)の中で不定期に更新されて、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる左始動入賞口26及び右始動入賞口27への入賞に対応する特別図柄1保留球格納エリア203aと中始動入賞口28への入賞に対応する特別図柄2保留球格納エリア203bとがそれぞれ設けられており、これらの各エリアには、左始動入賞口26及び右始動入賞口27または中始動入賞口28への入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2及び停止種別選択カウンタC3の各値がそれぞれ格納される。また、RAM203には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる普通図柄保留球格納エリア203cが設けられており、これらの各エリアには、球が左右何れかの普通始動口(スルーゲート)67を通過したタイミングに合わせて、第2当たり乱数カウンタC4の値が格納される。
図102を参照して、各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、所定の範囲(例えば、0〜399)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜399の値を取り得るカウンタの場合は399)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。
また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1が0〜399の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、0〜399の範囲のループカウンタである。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(図115参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図119参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が左始動入賞口26及び右始動入賞口27または中始動入賞口28に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納される。そして、特別図柄の当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される第1当たり乱数テーブル(図示せず)によって設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値が、第1当たり乱数テーブルによって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の当たりと判定する。尚、特別図柄の第1当たり乱数テーブル202aは、主制御装置110のROM202内に設けられている。
ここで、第1当たり乱数テーブル202aについて説明する。第1当たり乱数テーブル202aは、第1特別図柄または第2特別図柄の抽選において、各遊技状態で小当たりと判定される乱数値(判定値)が設定されたテーブルである。具体的には、第1特別図柄または第2特別図柄の抽選において、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が「0〜399」のいずれであるか判別されて、「0〜399」のいずれかであれば、小当たりであると判別される(小当たり確率=1/1)。
第1当たり種別カウンタC2は、特別図柄の小当たりとなった場合に、第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が左始動入賞口26及び右始動入賞口27に入賞したタイミングでRAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aに格納される。
ここで、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の当たりとなる乱数でなければ、即ち、特別図柄の外れとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の外れ時のものとなる。しかし、本実施形態では、小当たり確率が1となるので、外れの表示態様で表示されることは無い。
一方で、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bに格納された第1当たり乱数カウンタC1の値が、特別図柄の小当たりとなる乱数であれば、第1図柄表示装置37に表示される停止図柄に対応した表示態様は、特別図柄の小当たり時のものとなる。この場合、その小当たり時の具体的な表示態様は、同じ特別図柄1保留球格納エリア203aに格納されている第1当たり種別カウンタC2の値が示す表示態様となる。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1によって、大まかな表示態様が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。変動種別カウンタCS1の値は、後述するメイン処理(図119参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。尚、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)から、図柄変動の変動時間を一つ決定する乱数値を格納した変動パターンテーブルは、主制御装置110のROM202内に設けられている。
第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜239の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり239)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。また、第2当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値が当該第2当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施形態ではタイマ割込処理(図115参照)毎に、例えば定期的に更新され、球が左右何れかの普通始動口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得され、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203cに格納される。
そして、普通図柄の当たりとなる乱数の値は、主制御装置のROM202に格納される第2当たり乱数テーブル202c(図104(d)参照)によって設定されており、第2当たり乱数カウンタC4の値が、第2当たり乱数テーブル202cによって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、普通図柄(第2図柄)の当たりと判定する。また、この第2当たり乱数テーブル202cは、非時短時(普通図柄の通常状態である期間)用と、時短時(普通図柄の時短状態である期間、時短中カウンタ203tの値が0より大きい期間)用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、非時短時と時短時とで、当たりとなる確率が変更される。
図102に戻り、説明を続ける。RAM203は、図102に図示した各種カウンタのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。
なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図119参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図118参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図117参照)が即座に実行される。
また、RAM203は、図103(b)に示すように、特別図柄1保留球格納エリア203a、特別図柄2保留球格納エリア203b、普通図柄保留球格納エリア203c、特別図柄1保留球数カウンタ203d、特別図柄2保留球数カウンタ203e、普通図柄保留球数カウンタ203f、入賞個数カウンタ203j、動作カウンタ203k、滞留カウンタ203l、報知カウンタ203m、残球タイマフラグ203n、残球タイマ203o、排出個数カウンタ203s、時短中カウンタ203t、大当たり開始フラグ203v1、大当たり中フラグ203v2、小当たり開始フラグ203w1、小当たり中フラグ203w2、V入口通過フラグ203x1、Vフラグ203x2、その他メモリエリア203zを有している。
特別図柄1保留球格納エリア203aは、図102に示すように1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、左始動入賞口26及び右始動入賞口27に入賞したことに基づいて取得された第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2の各値がそれぞれ格納される。
より具体的には、球が左始動入賞口26及び右始動入賞口27へ入賞(始動入賞)したタイミングで、各カウンタC1〜C3の各値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、エリア番号の小さいエリアほど、時間的に古い入賞に対応するデータが記憶され、保留第1エリアには、時間的に最も古い入賞に対応するデータが記憶される。尚、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、特別図柄の抽選が行われる場合には、特別図柄1保留球格納エリア203aの保留第1エリアに記憶されている各カウンタC1〜C3の各値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶された各カウンタC1〜C3の各値に基づいて、特別図柄の抽選などの判定が行われる。
尚、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となる。そこで、他の保留エリア(保留第2エリア〜保留第4エリア)に記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリア(保留第1エリア〜保留第3エリア)に詰めるシフト処理が行われる。本実施形態では、特別図柄1保留球格納エリア203aにおいて、入賞のデータが記憶されている保留エリア(第2保留エリア〜第4保留エリア)についてのみデータのシフトが行われる。
特別図柄2保留球格納エリア203bは、特別図柄1保留球格納エリア203aに対して、中始動入賞口28への入賞に対して取得されたカウンタ値がそれぞれ記憶される点で異なるのみで、その他の構成については、同一であるので、詳細な説明については省略する。
普通図柄保留球格納エリア203cは、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bと同様に、1つの実行エリアと、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)とを有している。これらの各エリアには、第2当たり乱数カウンタC4が格納される。
より具体的には、球が左右何れかの普通始動口67を通過したタイミングで、カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、4つの保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)の空いているエリアの中で、エリア番号(第1〜第4)の小さいエリアから順番に記憶される。つまり、特別図柄1保留球格納エリア203aと同様に、入賞した順序が保持されつつ、入賞に対応するデータが格納される。尚、4つの保留エリアの全てにデータが記憶されている場合には、新たに何も記憶されない。
その後、主制御装置110において、普通図柄の当たりの抽選が行われる場合には、普通図柄保留球格納エリア203cの保留第1エリアに記憶されているカウンタC4の値が、実行エリアへシフトされ(移動させられ)、その実行エリアに記憶されたカウンタC4の値に基づいて、普通図柄の当たりの抽選などの判定が行われる。
尚、保留第1エリアから実行エリアへデータをシフトすると、保留第1エリアが空き状態となるので、特別図柄1保留球格納エリア203aの場合と同様に、他の保留エリアに記憶されている入賞のデータを、エリア番号の1小さい保留エリアに詰めるシフト処理が行われる。また、データのシフトも、入賞のデータが記憶されている保留エリアについてのみ行われる。
特別図柄1保留球数カウンタ203dは、左始動入賞口26及び右始動入賞口27への入球(始動入賞)に基づいて第1図柄表示装置37で行われる第1特別図柄(第1図柄)の変動表示の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この特別図柄1保留球数カウンタ203dは、初期値がゼロに設定されており、左始動入賞口26及び右始動入賞口27へ球が入球して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図112のS404参照)。一方、特別図柄1保留球数カウンタ203dは、新たに特別図柄の変動表示が実行される毎に、1減算される(図110のS210参照)。
この特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(特別図柄における変動表示の保留回数N)は、特別図柄1保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される(図110のS211、図112のS405参照)。特別図柄1保留球数コマンドは、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値が変更される度に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
音声ランプ制御装置113は、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値が変更される度に、主制御装置110より送信される特別図柄1保留球数コマンドによって、主制御装置110に保留された変動表示の保留球数そのものの値を取得することができる。これにより、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bによって管理される変動表示の保留球数が、ノイズ等の影響によって、主制御装置110に保留された実際の変動表示の保留球数からずれてしまった場合であっても、次に受信する保留球数コマンドによって、そのずれを修正することができる。
特別図柄2保留球数カウンタ203eは、特別図柄1保留球数カウンタ203dに対して、中始動入賞口28に入賞して、保留された保留球の数が格納される点で相違する点で異なるので、その詳細な説明については省略する。なお、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値が変更されると、特別図柄2保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に対して通知される。
普通図柄保留球数カウンタ203fは、普通始動口67における球の通過に基づいて第2図柄表示装置で行われる普通図柄(第2図柄)の変動表示の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この普通図柄保留球数カウンタ203fは、初期値がゼロに設定されており、球が普通始動口67を通過して変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図114のS704参照)。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fは、新たに普通図柄(第2図柄)の変動表示が実行される毎に、1減算される(図113のS605参照)。
球が左右何れかの普通始動口67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)が4未満であれば、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得され、その取得されたデータが、普通図柄保留球格納エリア203cに記憶される(図114のS705)。一方、球が左右いずれかの普通始動口67を通過した場合に、この普通図柄保留球数カウンタ203fの値が4であれば、普通図柄保留球格納エリア203cには新たに何も記憶されない(図114のS703:No)。
入賞個数カウンタ203jは、大当たり遊技における1つのラウンドで可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bに入賞した遊技球の数(即ち、可動入球役物装置190に入球した遊技球の数)をカウントするためのカウンタである。具体的には、可動入球役物装置190に設けられた大入賞口スイッチ190b(図2参照)を遊技球が通過したと検出されることに基づいて、1ずつ加算されて更新される。一方、1つのラウンドが終了した場合に、可動入球役物装置190に入賞した個数(入賞個数カウンタ203jの値)と排出された個数(排出個数カウンタ203sの値)とが一致しているか判別(図123のS1267)された後に、初期値である「0」にリセットされる。なお、この入賞個数カウンタ203jの値は、電源断時にはバックアップされる。また、初期化された状態では、0に設定される。
動作カウンタ203kは、大開放口ソレノイド209aがオン(励磁)に設定される時間を計時(カウント)するためのカウンタである。
滞留カウンタ203lは、第1実施形態で上述した滞留ソレノイド413(図23参照)、第2実施形態、第6実施形態および第7実施形態で上述した電磁ソレノイド2420(図40参照)、第7実施形態で上述した駆動モータ7451(図83参照)がオン(励磁)に設定される時間を計時(カウント)するためのカウンタである。本パチンコ機10では、滞留カウンタ203lには、遊技球が確定領域孔スイッチ340a(図5参照)を通過することに基づいて所定期間(第1実施形態では5秒、第2実施形態および第6実施形態では12秒、第7実施形態では14秒)に対応するカウンタ値が設定される(図116のS724)。一方、主制御装置110のMPU2011の実行する小当たり終了処理(図125、S1312)のS1322の処理において1ずつ減算されて更新される。
また、この滞留カウンタ203lの値が0と判別されること(図125のS1323:Yes)に基づいて、第1実施形態で上述した滞留ソレノイド413(図23参照)、第2実施形態、第6実施形態および第7実施形態で上述した電磁ソレノイド2420(図40参照)、第7実施形態で上述した駆動モータ7451がオフに設定される(図23参照)。なお、この滞留カウンタ203lは、電源断時にはバックアップされ、初期化された状態では、初期値である0が設定される。このように、滞留カウンタ203lを設定して滞留ソレノイド413等の遊技球の流下を阻止する装置を制御することで、特定領域孔440への入賞を確定領域孔340に入賞した遊技球の個数により制御することができる。即ち、遊技球が全て第3特定領域孔443(遊技者に付与される利益が最も小さい特定領域スイッチを有する特定領域孔)を通過することを防止することができる。
報知カウンタ203mは、遊技者の注意を惹きつけるための報知演出(本実施形態では、音響および照明効果)を出力するタイミングを判別するためのカウンタである。本実施形態では各始動入賞口26〜28を遊技球が通過するタイミングや、15ラウンド目の終了タイミング(可動入球役物装置190に10球入賞か30秒が経過)に1秒間に対応する報知カウンタ203mが設定される。この報知カウンタ203mは、主制御装置110の報知処理により1ずつ減算されて更新される。報知カウンタ203mが0となることに基づいて、音声ランプ制御装置113に対して出力される報知コマンドが設定される。音声ランプ制御装置113では、このコマンドを受信すると上記した音響および照明を出力する為の処理が実行される。
このように構成することで、遊技者に、可動入球役物装置190へ遊技球を入球可能となるタイミングが近づいていることに気付かせたり、大当たり遊技の終了が近づいていることに気付かせたりできるので、可動入球役物装置190が開放するタイミングで遊技球を可動入球役物装置190へ向けて発射していなかったり、大当たり遊技が終了したのに可動入球役物装置190へ発射をし続けたりするといったことによる無駄球を減らすことができる。
残球タイマフラグ203nは、1のラウンドで可動入球役物装置190の可動片190aがラウンド終了のタイミングで閉鎖したことを示すフラグである。この残球タイマフラグ203nがオンに設定されていると、1のラウンドのラウンド終了のタイミングで可動入球役物装置190の可動片190aが開放状態から閉鎖状態に設定されたことを示している。この残球タイマフラグ203nがオンに設定されることで、後述する残球タイマ203oが1ずつ加算されて更新される(図123のS1264参照)。残球タイマ203oは、可動片190aが閉鎖されてからの時間を判別するためのカウンタであり、可動入球役物装置190内の遊技球が排出されるのに必要な時間が経過したかを判別するためのカウンタである。
残球タイマ203oは、予め設定されている1のラウンドが終了して可動入球役物装置190の可動片190aがラウンド終了のタイミングで閉鎖した場合に、可動入球役物装置190に入賞した遊技球が排出されるのに必要な時間が経過したかを判別するためのカウンタである。本実施形態では、可動入球役物装置190に入賞した遊技球が排出されるまでに必要な時間は4秒であり、本実施形態では、予め5秒に対応するカウンタ値が残球タイマ203oの上限値として設定されている。この残球タイマ203oの上限値(本実施形態では、2秒)となったことに基づいて、可動入球役物装置190への入賞個数とその排出個数とが一致しているかの判別が実行される(図123のS1267)。一致しない場合には、エラーコマンドが設定されて、その旨が報知される。よって、可動入球役物装置190内に遊技球が球詰まりしていることを早期に知らせることができる。
排出個数カウンタ203sは、1のラウンドで排出検知スイッチ190c(図2参照)を通過した遊技球の数をカウントするためのカウンタである。この排出個数カウンタ203sは、可動入球役物装置190に入賞した遊技球の数と排出個数とが判別された後に初期値である0にリセットされる(図123のS1271)。
時短中カウンタ203tは、時短遊技状態における残りの特別図柄の変動回数をカウントするためのカウンタである。この時短中カウンタ203tは、遊技球が時短スイッチ190d(図2参照)を通過したことが検出されることにより100が設定される。即ち、本実施形態では、遊技球が時短スイッチ190dを通過したことが検出された場合には、大当たり遊技終了後に100回の時短遊技状態に移行する。
大当たり開始フラグ203v1は、大当たりの開始タイミングであるか否かを判別するために用いるフラグである。この大当たり開始フラグ203v1は、遊技球が各特定領域スイッチ441a〜441cのいずれかを通過したことが検出された場合(図125のS1324参照)にオンに設定され(図125のS1327参照)、大当たり制御処理において大当たりの開始タイミングであるかを判別するために参照され(図120のS1101参照)、その大当たり制御処理において大当たり開始タイミングであると判別された場合にオフに設定されるものである(図121のS1133参照)。これにより、大当たり開始タイミングに応じた処理を実行することができる。
大当たり中フラグ203v2は、大当たり中であるか否か、即ち、大当たり遊技が実行されているか否かを判別するために用いるフラグである。この大当たり中フラグ203v2は、上述した大当たり開始フラグ203hと同様に、遊技球が各特定領域スイッチ441a〜441cのいずれかを通過したことが検出された場合(図125のS1324参照)にオンに設定され(図125のS1327参照)、そして、大当たり制御処理において、大当たり中であるか否かを判別するために参照され(図120のS1103参照)、その大当たり制御処理において、大当たり終了のタイミングであると判別された場合に、オフに設定される(図120のS1114参照)。
小当たり開始フラグ203w1は、小当たりの開始タイミングであるか否かを判別するために用いられるフラグである。この小当たり開始フラグ203w1は、特別図柄変動処理において抽選結果が小当たりであると判別された場合に実行される、小当たり開始設定処理においてオンに設定される(図111のS302参照)。そして、小当たり制御処理において小当たりの開始タイミングであるか否かを判別するために参照され(図124のS1301参照)、その小当たり制御処理において小当たりの開始タイミングであると判別された場合にオフに設定される(図124のS1302参照)。
小当たり中フラグ203w2は、小当たり中であるか否か、即ち、小当たり遊技が実行されているか否かを判別するために用いるフラグである。この小当たり中フラグ203w2は、上述した小当たり開始フラグ203w1と同様に、小当たり開始設定処理においてオンに設定される(図111のS302参照)。そして、小当たり制御処理において小当たり中であるか否かを判別するために参照され(図124のS1305)、その小当たり制御処理において小当たりの終了タイミングであると判別された場合にオフに設定される(図125のS1330)。
その他メモリエリア203zは、遊技に必要なその他のデータや、カウンタ、フラグ等が設定(記憶)される。
次に、図104を参照して、第1当たり乱数テーブル202aと第2当たり乱数テーブル202cとの内容について説明する。図104の(a)〜(c)は、第1当たり乱数テーブル202aの内容を模式的に示した模式図であり、図104(d)は、上述した第2当たり乱数テーブル202cの内容を模式的に示した模式図である。
第1当たり乱数テーブル202aは、図104(a)に示す通り、左始動入賞口26又は右始動入賞口27へ遊技球が入球することにより取得される第1当たり乱数カウンタC1の値が、小当たりであるか否かを判別するための特別図柄1乱数テーブル202a1と、中始動入賞口28へ遊技球が入球することにより取得される第1当たり乱数カウンタC1の値が、小当たりであるか否かを判別するための特別図柄2乱数テーブル202a2とが設けられている。
具体的には、特別図柄1乱数テーブル202a1は、図104(b)に示す通り、左始動入賞口26又は右始動入賞口27への入球に基づく、第1特別図柄の抽選において、当たりと判定される乱数値(判定値)が設定されたテーブルである。第1特別図柄の抽選では、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が「0〜399」であるか判別されて、「0〜399」であれば小当たりであると判別される。従って、小当たり確率は1となる。
一方、特別図柄2乱数テーブル202a2は、図104(c)に示す通り、中始動入賞口28への入球に基づく、第2特別図柄の抽選において、当たりと判定される乱数値(判定値)が設定されたテーブルである。第2特別図柄の抽選では、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が「0〜399」であるか判別されて、「0〜399」であれば小当たりであると判別される。従って、小当たり確率は1となる。
このように、本制御例のパチンコ機10における第1当たり乱数カウンタC1は、0〜399の範囲の、2バイトのループカウンタとして構成されている。この第1当たり乱数カウンタC1において、左始動入賞口26又は右始動入賞口27への入球に基づく第1特別図柄の抽選時に、小当たりとなる乱数値の総数は400であるので、第1特別図柄の小当たりとなる確率は「400/400(=1)」となる。
また、中始動入賞口28への入球に基づく第2特別図柄の抽選時に、第2特別図柄の小当たりとなる乱数値の総数は400であるので、第2特別図柄の小当たりとなる確率は「400/400(=1)」となる。
図104(d)に示すように、第2当たり乱数テーブル202cでは、非時短時に、普通図柄の当たりとなる乱数値は24個あり、その範囲は「5〜28」となっている。これら乱数値は、非時短時用の第2当たり乱数テーブル202Cに格納されている。このように普通図柄の非時短時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が24なので、普通図柄の大当たりとなる確率は、「1/10」となる。
パチンコ機10が普通図柄の非時短時である場合に、球が普通始動口67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置において普通図柄の変動表示が30秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5〜28」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、中始動入賞口28が「0.2秒間×1回」だけ開放される。尚、本実施形態では、パチンコ機10が普通図柄の非時短時である場合に、普通図柄の当たりとなったら中始動入賞口28が「0.2秒間×1回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「0.5秒間×2回」開放しても良い。
一方で、時短時に、普通図柄の大当たりとなる乱数値は200個あり、その範囲は「5〜204」となっている。これらの乱数値は、時短時用の第2当たり乱数テーブル202Cに格納されている。このように時短時には、乱数値の総数が240ある中で、大当たりとなる乱数値の総数が200なので、普通図柄の大当たりとなる確率は、「5/6」となる。
パチンコ機10が時短時である場合に、球が普通始動口67を通過すると、第2当たり乱数カウンタC4の値が取得されると共に、第2図柄表示装置において普通図柄の変動表示が3秒間実行される。そして、取得された第2当たり乱数カウンタC4の値が「5〜204」の範囲であれば当選と判定されて、第2図柄表示装置における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、中始動入賞口28が「1秒間×2回」開放される。このように、時短時には、普通図柄の低確率時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、中始動入賞口28の解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、左始動入賞口26及び右始動入賞口27へ球が入球し易い状態となる。
尚、第2当たり乱数カウンタC4の値(乱数値)から、普通図柄の当たりか否かを判定する乱数値を格納したテーブル(図示せず)は、ROM202内に設けられている。尚、本実施形態では、パチンコ機10が時短時である場合に、普通図柄の当たりとなったら中始動入賞口28が「1秒間×2回」だけ開放されるが、開放時間や回数は任意に設定すれば良い。例えば、「3秒間×3回」開放しても良い。
なお、普通図柄の当たりと判定された場合は、第2図柄表示装置における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されると共に、電動役物28aが所定時間だけ開放される。
ここで、本制御例における電動役物28aは、電動役物ソレノイド209bの作動により、遊技盤13の前後方向へ向く一対の軸を回転軸として両開きの態様で回転動作する。この電動役物28aは、両開きの態様で回転動作(開放動作)することで、遊技球を中始動入賞口28へ入球するように誘導する働きをする。一方、中央へ向けて両側から閉じる態様で回転動作(閉鎖動作)することで、遊技球を中始動入賞口28へ誘導しない(入球しない)働きをする。
詳細は後述するが、本制御例における電動役物28aは、時短中の場合は2秒間開放されるが、時短中でない場合は0.2秒間しか開放されない。また、電動役物28aの開放時間0.2秒は、遊技球が中始動入賞口28へと誘導されるのに必要な時間より短い時間である。よって、時短中でない場合に第2当たり乱数カウンタC4の値が当たりとなったとしても、中始動入賞口28へと遊技球を入賞させることができない。これにより、時短中でない(時短有りの大当たりを現出させていない)にも関わらず、中始動入賞口28へと入球させようとする遊技を抑制することができる。
第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜239)、タイマ割込処理(図109参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図119参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
このように、RAM203には種々のカウンタ等が設けられており、主制御装置110では、このカウンタ等の値に応じて小当たり抽選や第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行することができる。
音声ランプ制御装置113のROM222には、図105(a)に示すように、変動パターン選択テーブル222a、その他、遊技の制御に必要な各種データやプログラム等が記憶されている。
変動パターン選択テーブル222aは、図示しない変動パターン選択用のカウンタ値に各変動パターンの種別の変動パターンがそれぞれ設定されている。音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドが示す変動パターン種別、当否判定結果、取得した選択用のカウンタ値に基づいて、詳細な変動パターンを選択する。これにより、変動時間や変動パターンの種別等の大まかな情報は厳守しつつ、音声ランプ制御装置113が多種多様の変動態様を選択することができる。よって、同じ変動表示態様等が頻繁に表示されることが防止でき、遊技者が早期に飽きてしまう不具合を抑制できる。
図105(b)を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223について説明する。図105(b)に示すように、音声ランプ制御装置113のRAM223には、入賞情報格納エリア223a、特別図柄1保留球数カウンタ223b、特別図柄2保留球数カウンタ223c、演出カウンタ223f、羽入口通過カウンタ223i、V入口通過カウンタ223j、ラウンド数累積カウンタ223k、その他メモリエリア223zが少なくとも設けられている。
入賞情報格納エリア223aは、1つの実行エリアと、4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)とを有しており、これらの各エリアには、入賞情報がそれぞれ格納される。この入賞情報格納エリア223aに格納される情報により、保留球の抽選結果等が変動開始前に音声ランプ制御装置113により判別できる。
特別図柄1保留球数カウンタ223bは、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dと同様に、第1図柄表示装置37で行われる変動演出(変動表示)であって、主制御装置110において保留されている変動演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。即ち、第1特別図柄に対応する保留球の数が、主制御装置110より出力される保留球数コマンドに基づいて設定される。
上述したように、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110に直接アクセスして、主制御装置110のRAM203に格納されている特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を取得することができない。よって、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信される保留球数コマンド(図110のS206、S211参照)に基づいて保留球数をカウントし、特別図柄1保留球数カウンタ223bにて、その第1特別図柄の保留球数を管理するようになっている。
具体的には、主制御装置110では、左始動入賞口26又は右始動入賞口27への入球によって変動表示の保留球数が加算された場合、又は、主制御装置110において特別図柄における変動表示が実行されて保留球数が減算された場合に、加算後または減算後の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を示す保留球数コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より送信される保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を取得して、特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納する(図129のS1702参照)。このように、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信される保留球数コマンドに従って、特別図柄1保留球数カウンタ223bの値を更新するので、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dと同期させながら、その値を更新することができる。
特別図柄2保留球数カウンタ223cは、特別図柄1保留球数カウンタ223bに対して、第2特別図柄に対応する保留球の数が主制御装置110から出力される保留球数コマンドに基づいて記憶される点で異なるのみであるので、その詳細な説明については省略する。
演出カウンタ223fは、予告演出や、各種抽選に使用されるカウンタである。0〜198の範囲で繰り返し更新される。図示は省略したが、音声ランプ制御装置113のMPU221が実行するメイン処理(図127参照)が実行される毎に1ずつ更新される。
RAM223は、その他、主制御装置110より受信したコマンドを、そのコマンドに対応した処理が行われるまで一時的に記憶するコマンド記憶領域(図示せず)などを有している。なお、コマンド記憶領域はリングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ処理装置113のコマンド判定処理(図128参照)が実行されると、コマンド記憶領域に記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。
羽入口通過カウンタ223iは、可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bを通過した遊技球をカウントするためのカウンタである。この羽入口通過カウンタ223iは、大入賞口スイッチ190bを遊技球が通過した場合に送信される羽入口通過コマンドを受信した場合に1加算されるものである(図115のS712)。この羽入口通過カウンタ223iは、ランプ編集処理において表示用の演出コマンドを設定する際に参照され(図128のS1606、S1609)、そのランプ編集処理において表示用の演出コマンドが設定された後に0に初期化される(図128のS1604)。
V入口通過カウンタ223jは、可動入球役物装置190の確定領域スイッチ340aを通過した遊技球をカウントするためのカウンタである。このV入口通過カウンタ223jは、確定領域スイッチ340aを遊技球が通過した場合に送信されるV入口通過コマンドを受信した場合に1加算されるものである(図130のS1737)。このV入口通過カウンタ223jは、ランプ編集処理において表示用の演出コマンドを設定する際に参照され(図128のS1621)、そのランプ編集処理において表示用の演出コマンドが設定された後に0に初期化される(図128のS1605)。
ラウンド数累積カウンタ223kは、大当たりまたは小当たりが継続した場合において、大当たり遊技におけるラウンド数を累積してカウントするためのカウンタである。このラウンド数累積カウンタ223kは、新たなラウンドの開始を示すラウンド数コマンドを受信した場合に1加算されるものであり(図130のS1724)、大当たり終了コマンドを受信した場合に初期化される(図130のS1728)。
その他メモリエリア223zは、その他、主制御装置110より受信したコマンドを、そのコマンドに対応した処理が行われるまで一時的に記憶するコマンド記憶領域(図示せず)などを有している。なお、コマンド記憶領域はリングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ制御装置113のコマンド判定処理(図128参照)が実行されると、コマンド記憶領域に記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。
図106は、本実施形態のパチンコ機10による遊技の流れを一例として示すゲームフロー図である。パチンコ機10による通常遊技は、遊技球を遊技領域内に打ち込む(発射する)ことで開始される。以下、遊技球の打ち出しを前提として遊技の流れについて説明する。なお、図106における説明では、図1及び図2を適宜参照する。
遊技球が遊技領域内を流下する過程で、左始動入賞口26、中始動入賞口28又は右始動入賞口27のいずれかに入球すると、それぞれの始動入賞口に対応した左始動入賞口スイッチ210a、中始動入賞口スイッチ210c又は右始動入賞口スイッチ210bによって遊技球の通過が検出され、これを契機として特別図柄抽選が行われる。
特別図柄抽選は、可動入球役物装置190を作動させるか否かに関わる抽選である。本実施形態では、第1当たり乱数テーブル202aのどの乱数を引いたとしても小当たりとなるように設定されているので(小当たり確率=1/1)、特別図柄抽選は確認的な役割をもつ抽選である。なお、いずれの始動入賞口にも遊技球が入球しなかった場合はひとまずゲームフローは終了となり、改めて始動入賞口への入球(F01)を目指してゲームフローを開始することになる。
また、特に図示していないが、特別図柄抽選が行われると、第1図柄表示装置37a,37bにおいて特別図柄が所定の変動時間にわたり変動表示された後、抽選結果を表す態様で停止表示される。なお、第1図柄表示装置37a,37bによる特別図柄の変動パターンに関しては、抽選によってランダムに変化させても、一定の変動パターンに固定してもよい。
ここで、本実施形態では、左始動入賞口26又は右始動入賞口27への入球を契機として第1特別図柄抽選(内部抽選)が行われる一方、中始動入賞口28への入球を契機として第2特別図柄抽選(内部抽選)が行われる。
そして、特別図柄抽選の当たり確率(小当たり確率)は1(=1/1)に設定されているため、遊技球がいずれかの始動入賞口に入球すると、そのまま小当たりに該当することになる。したがって、特に主制御装置110において内部的に当たり判定乱数を取得する必要はないが、本実施形態では、取得することとしている。
なお、本実施形態では、特に各始動入賞口への入球を契機として直接的に大当たり遊技が実行される当たり(いわゆる直当たり、直撃当たり)を設けていないが、これに限られるものではなく、直撃当たりを設けることとして、ここで取得した当たり判定乱数を用いて直当たり判定を行ってもよい。
また、本実施形態では、特別図柄に「はずれ」の表示態様がなく、第1特別図柄による抽選では「小当たり1」に該当し、第2特別図柄による抽選では「小当たり2」に該当することになっている。「小当たり1」と「小当たり2」の違いは、可動入球役物装置190の作動回数に関係しており、「小当たり1」に該当した場合は可動入球役物装置190が1回作動し、「小当たり2」に該当した場合は可動入球役物装置190が2回作動する。
いずれにしても、第1図柄表示装置37a,37bにより特別図柄が小当たりの態様で停止表示されると、これを契機として可動入球役物装置190が作動(開放動作)する(F02)。可動入球役物装置190の作動は、上記のように可動片190aを開放位置に変化させるものであるが、本実施形態では所定の開放時間(例えば0.5秒程度)にわたり、「小当たり1」に該当した場合は1回だけ、「小当たり2」に該当した場合は2回だけ可動片190aを短期間開放させるものとしている。
次に、可動入球役物装置190の作動時に、遊技球が大入賞口スイッチ190bに入球したか否かが判定される(F03)。ここで遊技球が大入賞口スイッチ190bに入球した場合、ゲームフローはさらに可動入球役物装置190内での振り分け動作に進行していくことになる。なお、可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bに遊技球が入球しなかった場合はひとまずゲームフローが終了となり、改めて始動入賞口への入球(F01)を目指してゲームフローを開始することになる。
ゲームフローが可動入球役物装置190内に進行すると、上記のように様々な遊技球の振り分け動作を経て、最終的にいずれかの特定領域を遊技球が通過したか否かの判定が行われる(F04)。その結果、最終的に特定領域を通過することなく可動入球役物装置190から遊技球が排出された場合、残念ながらゲームフローはそこで終了となり、改めて始動入賞口への入球(F01)を目指してゲームフローを開始することになる。
これに対し、可動入球役物装置190内で遊技球の特定領域通過が発生した場合、再び可動入球役物装置190が作動する。具体的には、例えば所定の開放時間(例えば30秒)にわたり大入賞口が所定回数開放(例えば1回開放)するか、もしくは規定個数(例えば10個)の遊技球の入賞があるかのいずれかの条件が満たされるまでを1ラウンドとし、このラウンドを予め定められた連続作動回数にわたって繰り返すという特別遊技(大当たり遊技)が実行される。
本実施形態において、連続作動回数(ラウンド数)は、遊技球が第1特定領域スイッチ441aを通過した場合は16回に設定され、遊技球が第2特定領域スイッチ442aを通過した場合は7回に設定され、遊技球が第3特定領域スイッチ443aを通過した場合は3回に設定される。このような大当たり遊技中(可動入球役物装置190の作動中)は、通常時に閉止状態にある大入賞口スイッチ190bへの入球を短期間内に数多く発生させることができるため、その間に遊技者はまとまって多くの賞球を獲得することができる。
なお、本実施形態では、可動入球役物装置作動(F02)を1ラウンド目としている。そのため、実際に遊技者がまとまって多くの賞球を獲得できるラウンドの回数は、上述した各連続作動回数(16回、7回、3回)から、1を減じた回数(15回、6回、2回)となる。
また、特別遊技中(大当たり遊技中)は、導入通路310からダイレクトに遊技球を遊技盤13の奥側へ流入させると共に排出検知スイッチ190cを通過する流路の入口として構成される開放口(図示せず)が開放されることで、遊技球が導入通路310の中腹から遊技盤13の奥へ流下され、遊技球が第1流下装置300及び第2流下装置400を小当たり遊技時のように流下することを防止している。
これにより、遊技球が開放口からダイレクトに排出検知スイッチ190cへ流下される。そのため、第1流下装置300や第2流下装置400を通過する時間を要することなく特別遊技を行うことができ、後述する異常処理(図123参照)の処理時間を短縮化することができる。なお、本実施形態では、大入賞口スイッチ190bを通過した遊技球は、導入通路310の中腹に配置される開放口(図示せず)を通過した場合、最大でも4秒で排出検知スイッチ190cを通過するように構成される。
次に、特定領域通過(F04)で検出された遊技球が、時短スイッチ444aを通過したか否かが判定される(F06)。ここで、遊技球が時短スイッチ444aを通過していた場合、大当たり遊技終了後に、ゲームフローは電動役物28aが規定回数作動(F07)する時短遊技に進行していくことになる。この時短遊技中は、遊技球が中始動入賞口28へ導入されやすい状態となるので、可動片190aを開放させやすくなり、可動入球役物装置190内での振り分け遊技が頻繁に行われることとなるので、大当たりを連続して獲得し易い。
なお、遊技球が時短スイッチ444aを通過していなかった場合はひとまずゲームフローが終了となり、改めて始動入賞口への入球(F01)を目指してゲームフローを開始することになる。
図107は、本制御例における左始動入賞口26又は右始動入賞口27への入賞から大当たり遊技の発生までの流れを説明したタイムチャートである。なお、各種装置の動作制御の詳細については後述する。
左始動入賞口26又は右始動入賞口27への遊技球の入賞に基づき、主制御装置110にて第1特別図柄の変動制御が行われる。そして、第1特別図柄の変動が停止し、主制御装置110が小当たり制御1(小当たり遊技1とも称す)を開始すると、可動片190aを動作させる大開放口ソレノイド209aがオン状態となる(開放状態)。この状態では遊技者は可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bを狙い遊技球を発射することになり、可動入球役物装置190内に遊技球が入球した場合には、その遊技球は確定領域孔340、又は、はずれ孔350を通過してパチンコ機10の奥まで流下することになる。
次に、主制御装置110による小当たり制御1の流れを説明する。ここでは小当たり制御1全体の時間を7.5秒と設定している。まず小当たり制御1が開始されてから設定時間t1(例えば、2秒)が経過すると、大開放口ソレノイド209aが設定時間t2(例えば、約0.5秒)開放動作する。次いで、設定時間t3(例えば、5秒)が経過し、確定領域スイッチ340を遊技球が通過したことが検出されない場合、小当たり遊技を終了する。なお、設定時間t3は設定時間t2経過時に可動入球役物装置190を流下する遊技球が排出検知スイッチ190cを通過するのに十分な時間が設定されている。
一方、遊技球が確定領域スイッチ340aを通過した場合、遊技球が確定領域スイッチ340aを通過したことに基づいて、主制御装置110では小当たり制御1を終了し、設定時間t10(第1実施形態では5秒、第2実施形態、第6実施形態では12秒、第7実施形態では14秒)だけ第1実施形態で上述した滞留ソレノイド413(図23参照)、第2実施形態、第6実施形態および第7実施形態で上述した電磁ソレノイド2420(図40参照)又は、第7実施形態で上述した駆動モータ7451を駆動し、遊技球を滞留可能とし、その後、例えば、第1実施形態の滞留ソレノイド413の駆動を止めて流下阻止板412を退避状態とすることにより、流下する遊技球が特定領域スイッチ441a〜443aのどれを通過したかに基づいて、異なるラウンド回数の大当たり遊技制御を行う。なお、大当たり遊技の詳細については、後述する。
次に、図108を参照して図107と相違する点を説明する。図108は、本制御例における中始動入賞口28への入賞から大当たり遊技の発生までの流れを説明したタイムチャートである。なお、各種装置の動作制御の詳細については後述する。
中始動入賞口28への遊技球の入賞に基づき、主制御装置110にて第2特別図柄の変動制御が行われる。そして、第2特別図柄の変動が停止し、主制御装置110が小当たり制御2(小当たり遊技2とも称す)を開始すると、可動片190aを動作させる大開放口ソレノイド209aがオン状態となる(開放状態)。
次に、主制御装置110による小当たり制御2の流れを説明する。ここでは小当たり制御全体の時間を10秒と設定している。まず小当たり制御2が開始されてから設定時間t4(例えば、2秒)が経過すると、大開放口ソレノイド209aが設定時間t5(例えば、約0.5秒)開放動作する。次いで、設定時間t6(例えば、2秒)が経過すると、大開放口ソレノイド209aが設定時間t7(例えば、約0.5秒)開放動作する。その後、設定時間t8(例えば、5秒)が経過し、確定領域スイッチ340を遊技球が通過したことが検出されない場合、小当たり遊技を終了する。なお、設定時間t8は設定時間t7経過時に可動入球役物装置190を流下する遊技球が排出検知スイッチ190cを通過するのに十分な時間が設定されている。
一方、遊技球が確定領域スイッチ340aを通過した場合、遊技球が確定領域スイッチ340aを通過したことに基づいて、主制御装置110では小当たり遊技制御を終了し、設定時間t10(第1実施形態では5秒間、第2実施形態および第6実施形態では8秒間、第7実施形態では10秒間)だけ第1実施形態で上述した滞留ソレノイド413(図23参照)、第2実施形態、第6実施形態および第7実施形態で上述した電磁ソレノイド2420(図40参照)、第7実施形態で上述した駆動モータ7451の駆動を行い、例えば、流下阻止板412(図23参照)を張出状態とすることで遊技球を滞留させ、その後、滞留ソレノイド413の通電の解除を行い流下阻止板412を退避状態とすることにより、流下した遊技球が特定領域スイッチ441a〜443aのどれを通過したかに基づいて、異なるラウンド回数の大当たり遊技制御を行う。なお、大当たり遊技の詳細については、後述する。
次に、図109から図125のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2m秒間隔で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後、立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図109は、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、例えば2ミリ秒毎に実行される定期処理である。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S101)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S102)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では399)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では239)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3、第2当たり乱数カウンタC4の更新を実行する(S103)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3及び第2当たり乱数カウンタC4をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態ではそれぞれ、399,99、239)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
次に、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて表示を行うための処理である特別図柄変動処理を実行する(S104)。その後、左始動入賞口26、右始動入賞口27又は中始動入賞口28への入賞(始動入賞)に伴う始動入賞処理を実行する(S105)。尚、特別図柄変動処理、始動入賞処理の詳細は、図110及び図112を参照して後述する。
始動入賞処理を実行した後は、第2図柄表示装置において表示を行うための処理である普通図柄変動処理を実行し(S106)、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過に伴うスルーゲート通過処理を実行する(S107)。尚、普通図柄変動処理、及び、スルーゲート通過処理の詳細は、図113および図114を参照して後述する。スルーゲート通過処理を実行した後は、遊技球が可動入球役物装置190に入球したことに基づき演出を行う羽入口通過処理を実行し(S140)、確定領域孔340を遊技球が通過したことに基づき、その後の大当たり遊技の制御を行うV入口通過処理を実行し(S141)、発射制御処理を実行し(S108)、更に、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S109)、タイマ割込処理を終了する。
なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための発射停止スイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
次に、図110を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される特別図柄変動処理(S104)について説明する。図110は、この特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。この特別図柄変動処理(S104)は、タイマ割込処理(図109参照)の中で実行され、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて行う特別図柄(第1図柄)の変動表示などを制御するための処理である。
この特別図柄変動処理では、まず、今現在が、大当たり中であるか否かを判定する(S201)。大当たり中としては、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たり(大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、大当たり中であれば(S201:Yes)、そのまま本処理を終了する。
大当たり中でなければ(S201:No)、第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様が変動中であるか否かを判定し(S202)、第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様が変動中でなければ(S202:No)、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(特別図柄における変動表示の保留回数N2)を取得する(S203)。次に、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)が0よりも大きいか否かを判別する(S204)。
特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)が0でなければ(S204:Yes)、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)を1減算し(S205)、演算により変更された特別図柄2保留球数カウンタ203eの値を示す保留球数コマンド(特図2保留球数コマンド)を設定する(S206)。ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図119参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。
音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄1保留球数カウンタ203d、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄1保留球数カウンタ223b、特別図柄2保留球数カウンタ223cにそれぞれ格納する。
S206の処理により特図2保留球数コマンドを設定した後は、特別図柄2保留球格納エリア203bに格納されたデータをシフトする(S207)。S207の処理では、特別図柄2保留球格納エリア203bの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて変動表示を開始するための特別図柄変動開始処理を実行する(S213)。特別図柄変動開始処理は、変動種別カウンタの値に基づいて、小当たり変動パターンを決定する処理である。
一方、S204の処理において、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(N2)が0であると判別された場合には(S204:No)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)の値を取得する(S208)。特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が0より大きいか判別する(S209)。特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が0であると判別された場合には(S209:No)、この処理を終了する。
一方、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が0でなければ(S209:Yes)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)を減算し(S210)、演算により変更された特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)を示す保留球数コマンド(特図1保留球数コマンド)を設定する(S211)。S211の処理により特図1保留球数コマンドを設定した後は、特別図柄1保留球格納エリア203aに格納されたデータをシフトする(S212)。その後、S213の処理が実行される。
S202の処理において、第1図柄表示装置37A,37Bの表示態様が変動中であれば(S202:Yes)、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S214)。第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行される変動表示の変動時間は、変動種別カウンタCS1により選択された変動パターンに応じて決められており(変動パターンコマンドに応じて決められており)、この変動時間が経過していなければ(S214:No)、本処理を終了する。
一方、S214の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S214:Yes)、第1図柄表示装置37A,37Bの停止図柄に対応した表示態様を設定する(S215)。停止図柄の設定は、図110を参照して後述する特別図柄変動開始処理(S213)によって予め行われる。この特別図柄変動開始処理が実行されると、特別図柄1保留球格納エリア203aまたは特別図柄2保留球格納エリア203bの実行エリアに格納された各種カウンタの値に基づいて、特別図柄の抽選が行われる。より具体的には、第1当たり乱数カウンタC1の値に応じて特別図柄の小当たりか否かが決定される。なお、本実施形態では、特別図柄の抽選における小当たりの確率が1(1/1)となっているので、本抽選は確認作業としての意味をもつ。
尚、本実施形態では、小当たりになる場合には、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて青色のLEDを点灯させる。なお、LEDの表示は、次の変動表示が開始される場合に点灯が解除されるが、変動の停止後数秒間のみ点灯させるものとしても良い。
S215の処理が終了した後は、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行中の変動表示が開始されたときに、特別図柄変動開始処理によって行われた特別図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、特別図柄の小当たりであるかを判定する(S243)。S243の処理において、今回の抽選結果が小当たりであると判別された場合は(S243:Yes)、小当たり開始設定処理を実行する(S244)。一方、S243の処理において、今回の抽選結果が小当たりでないと判別された場合は、本処理を終了する。なお、小当たり開始設定処理の詳細については、図111を参照して後述する。
S244の処理が終了した後は、時短中カウンタ203tの値が1以上であるか判別する(S220)。時短中カウンタ203tの値が0であると判別された場合には(S220:No)、この処理を終了する。一方、時短中カウンタ203tが1以上であると判別された場合には(S220:Yes)、時短中カウンタ203tの値を1減算し、この処理を終了する(S221)。
なお、本実施形態では、特別図柄1及び特別図柄2の抽選の小当たり確率を1としたが、これに限る必要はない。例えば、特別図柄1、特別図柄2の抽選で大当たりとなる確率を0.01とし、小当たりの確率を0.99としても良い。
次に、図111を参照して、小当たり開始設定処理について説明する。図111は、特別図柄変動開始処理(S213)の中で実行される、小当たり開始設定処理(S244)を示すフローチャートである。
小当たり開始設定処理(S244)では、まず、大開放口ソレノイド209aの開放シナリオを設定する(S301)。その後、小当たり開始フラグ203w1、小当たり中フラグ203w2をオンに設定し(S302)、本処理を終了する。
なお、開放シナリオとしては、いずれの特別図柄(特別図柄1又は特別図柄2)で小当たりとなったかにより、異なった開放の態様が設定される。即ち、本実施形態では、図107に図示される態様(1回開放)、又は、図108に図示される態様(2回開放)の開放シナリオが設定される。
次に、始動入賞処理(S105)を説明する。まず、図112のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される始動入賞処理(S105)を説明する。図112は、この始動入賞処理(S105)を示すフローチャートである。この始動入賞処理(S105)は、タイマ割込処理(図109参照)の中で実行され、左始動入賞口26、右始動入賞口27又は中始動入賞口28への入賞(始動入賞)の有無を判断し、始動入賞があった場合に、各種乱数カウンタを取得し、その値の保留処理を実行するための処理である。
始動入賞処理(図112,S105)が実行されると、まず、球が左始動入賞口26又は右始動入賞口27に入賞(始動入賞)したか否かを判定する(S401)。ここでは、左始動入賞口26又は右始動入賞口27への入球を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が左始動入賞口26又は右始動入賞口27に入賞したと判別されると(S401:Yes)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(特別図柄における変動表示の保留回数N1)を取得する(S402)。そして、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S403)。
そして、左始動入賞口26又は右始動入賞口27への入賞がないか(S401:No)、或いは、左始動入賞口26又は右始動入賞口27への入賞があっても特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が4未満でなければ(S403:No)、S407の処理へ移行する。一方、左始動入賞口26又は右始動入賞口27への入賞があり(S401:Yes)、且つ、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)が4未満であれば(S403:Yes)、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N1)を1加算する(S404)。そして、演算により変更された特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を示す保留球数コマンド(特図1保留球数コマンド)を設定する(S405)。
ここで設定された保留球数コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行される後述のメイン処理(図119参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を抽出し、抽出した値をRAM223の特別図柄1保留球数カウンタ223bに格納する。
S405の処理により保留球数コマンドを設定した後は、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3の各値を、RAM203の特別図柄1保留球格納エリア203aの空き保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納する(S406)。尚、S406の処理では、特別図柄1保留球数カウンタ203dの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
次いで、S407〜S412までの処理では、S401〜S406までの処理に対して、同様の処理が中始動入賞口28の入賞に対しても実行される。中始動入賞口28の入賞に対して、第2特別図柄に対する保留処理が実行される点で異なるのみで、その他の処理については同一であるので、その詳細な説明は省略する。そして、S407の処理において球が中始動入賞口28へ入賞していないと判定された場合(S407:No)と、S412の処理の後、この処理を終了する。
次に、図113を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される普通図柄変動処理(S106)について説明する。図113は、この普通図柄変動処理(S106)を示すフローチャートである。この普通図柄変動処理(S106)は、タイマ割込処理(図109参照)の中で実行され、第2図柄表示装置において行う第2図柄の変動表示や、中始動入賞口28に付随する電動役物28aの開放時間などを制御するための処理である。
この普通図柄変動処理(図113,S106)では、まず、今現在が、普通図柄(第2図柄)の当たり中であるか否かを判定する(S601)。普通図柄(第2図柄)の当たり中としては、第2図柄表示装置において当たりを示す表示がなされている最中と、中始動入賞口28に付随する電動役物28aの開閉制御がなされている最中とが含まれる。判定の結果、普通図柄(第2図柄)の当たり中であれば(S601:Yes)、そのまま本処理を終了する。
一方、普通図柄(第2図柄)の当たり中でなければ(S601:No)、第2図柄表示装置の表示態様が変動中であるか否かを判定し(S602)、第2図柄表示装置の表示態様が変動中でなければ(S602:No)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S603)。次に、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0よりも大きいか否かを判別し(S604)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0であれば(S604:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0でなければ(S604:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を1減算する(S605)。
次に、普通図柄保留球格納エリア203cに格納されたデータをシフトする(S606)。S606の処理では、普通図柄保留球格納エリア203cの保留第1エリア〜保留第4エリアに格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、普通図柄保留球格納エリア203cの実行エリアに格納されている第2当たり乱数カウンタC4の値を取得する(S607)。
次に、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるか否かを判定する(S608)。
パチンコ機10が普通図柄の時短状態である場合は(S608:Yes)、今現在が、大当たり中であるか否かを判定する(S609)。大当たり中としては、大当たり遊技中と、大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。判定の結果、大当たり中であれば(S609:Yes)、S611の処理に移行する。
S609の処理において、大当たり中でなければ(S609:No)、パチンコ機10が大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、S607の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、時短時用の第2図柄当たり乱数テーブル202cと基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S610)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、時短時用の第2図柄当たり乱数テーブル202cに格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5〜204」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0〜4,205〜239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図104(d)参照)。
S608の処理において、パチンコ機10が普通図柄の時短状態でない場合は(S608:No)、S611の処理へ移行する。S611の処理では、パチンコ機10が大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、S607の処理で取得した第2当たり乱数カウンタC4の値と、非時短時用の第2当たり乱数テーブル202cとに基づいて、普通図柄の当たりか否かの抽選結果を取得する(S611)。具体的には、第2当たり乱数カウンタC4の値と、非時短時用の第2当たり乱数テーブル202cに格納されている乱数値と比較する。上述したように、第2当たり種別カウンタC4の値が「5〜28」の範囲にあれば、普通図柄の当たりであると判定し、「0〜4,29〜239」の範囲にあれば、普通図柄の外れであると判定する(図104(d)参照)。
次に、S610またはS611の処理によって取得した普通図柄の抽選結果が、普通図柄の当たりであるかを判定し(S612)、普通図柄の当たりであると判定された場合には(S612:Yes)、当たり時の表示態様を設定する(S613)。このS613の処理では、第2図柄表示装置における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「○」の図柄が点灯表示されるように設定する。
そして、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるかを判定し(S614)、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であれば(S614:Yes)、今現在が、大当たり中であるか否かを判定する(S615)。判定の結果、大当たり中であれば(S615:Yes)、S617の処理に移行する。本実施形態では、大当たり中は、球が中始動入賞口28に入ることをできるだけ抑制するために、普通図柄の当たりになった場合でも、電動役物28aの開放回数および開放時間が遊技球の入球が不可能となる期間(0.2秒間)に設定される。これにより、大当たり遊技中に中始動入賞口28に遊技球が入球することによる賞球を得にくくでき、出球個数が大きく変化することを防止することができる。
S615の処理において、大当たり中でなければ(S615:No)、パチンコ機10が大当たり中でなくて、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるので、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放期間を1秒間に設定すると共に、その開放回数を2回に設定し(S616)、S619の処理へ移行する。S614の処理において、パチンコ機10が普通図柄の時短状態でない場合は(S614:No)、S617の処理へ移行する。S617の処理では、パチンコ機10が大当たり中であるか、又は、パチンコ機10が普通図柄の通常状態であるので、中始動入賞口28に付随する電動役物28aの開放期間を0.2秒間に設定すると共に、その開放回数を1回に設定し(S617)、S619の処理へ移行する。
S612の処理において、普通図柄の外れであると判定された場合には(S612:No)、外れ時の表示態様を設定する(S618)。このS618の処理では、第2図柄表示装置における変動表示が終了した後に、停止図柄(第2図柄)として「×」の図柄が点灯表示されるように設定する。外れ時の表示態様の設定が終了したら、S619の処理へ移行する。
S619の処理では、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であるかを判定し(S619)、パチンコ機10が普通図柄の時短状態であれば(S619:Yes)、第2図柄表示装置における変動表示の変動時間を3秒間に設定して(S620)、本処理を終了する。一方、パチンコ機10が普通図柄の時短状態でない場合は(S619:No)、第2図柄表示装置における変動表示の変動時間を30秒間に設定して(S621)、本処理を終了する。このように、大当たり中を除き、普通図柄の時短時には、普通図柄の非時短時と比較して、変動表示の時間が「30秒→3秒」と非常に短くなり、更に、中始動入賞口28の解放期間が「0.2秒×1回→1秒間×2回」と非常に長くなるので、中始動入賞口28へ球が入球し易い状態となる。
S602の処理において、第2図柄表示装置の表示態様が変動中であれば(S602:Yes)、第2図柄表示装置において実行している変動表示の変動時間が経過したか否かを判別する(S622)。なお、ここでの変動時間は、第2図柄表示装置において変動表示が開始される前に、S620の処理またはS621の処理によって予め設定された時間である。
S622の処理において、変動時間が経過していなければ(S622:No)、本処理を終了する。一方、S622の処理において、実行している変動表示の変動時間が経過していれば(S622:Yes)、第2図柄表示装置の停止表示を設定する(S623)。S623の処理では、普通図柄の抽選が当たりとなって、S613の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「○」図柄が、第2図柄表示装置において停止表示(点灯表示)されるように設定される。一方、普通図柄の抽選が外れとなって、S618の処理により表示態様が設定されていれば、第2図柄としての「×」図柄が、第2図柄表示装置において停止表示(点灯表示)されるように設定される。
S623の処理により、停止表示が設定されると、次にメイン処理(図119参照)の第2図柄表示更新処理(S1007参照)が実行された場合に、第2図柄表示装置における変動表示が終了し、S613の処理またはS618の処理で設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)が第2図柄表示装置に停止表示(点灯表示)される。
次に、第2図柄表示装置において実行中の変動表示が開始されたときに、普通図柄変動処理(図113,S106)によって行われた普通図柄の抽選結果(今回の抽選結果)が、普通図柄の当たりであるかを判定する(S624)。今回の抽選結果が普通図柄の当たりであれば(S624:Yes)、中始動入賞口28に付随する電動役物28aの開閉制御開始を設定し(S625)、本処理を終了する。S625の処理によって、電動役物28aの開閉制御開始が設定されると、次にメイン処理(図119参照)の電動役物開閉処理(S1005参照)が実行された場合に、電動役物の開閉制御が開始され、S616の処理またはS617の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで電動役物の開閉制御が継続される。一方、S624の処理において、今回の抽選結果が普通図柄の外れであれば(S624:No)、S625の処理をスキップして、本処理を終了する。
次に、図114のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるスルーゲート通過処理(S107)を説明する。図114は、このスルーゲート通過処理(S107)を示すフローチャートである。このスルーゲート通過処理(S107)は、タイマ割込処理(図109参照)の中で実行され、普通図柄始動口(スルーゲート67)における球の通過の有無を判断し、球の通過があった場合に、第2当たり乱数カウンタC4が示す値を取得し保留するための処理である。
スルーゲート通過処理(図114,S107)では、まず、球が普通図柄始動口(スルーゲート67)を通過したか否かを判定する(S701)。ここでは、普通図柄始動口(スルーゲート67)における球の通過を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が普通図柄始動口(スルーゲート67)を通過したと判定されると(S701:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普通図柄における変動表示の保留回数M)を取得する(S702)。そして、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判定する(S703)。
球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過していないか(S701:No)、或いは、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過していても普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4未満でなければ(S703:No)、本処理を終了する。一方、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過し(S701:Yes)、且つ、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4未満であれば(S703:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を1加算する(S704)。そして、上述したタイマ割込処理のS103で更新した第2当たり乱数カウンタC4の値を、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203cの空き保留エリア(保留第1エリア〜保留第4エリア)のうち最初のエリアに格納して(S705)、本処理を終了する。尚、S705の処理では、普通図柄保留球カウンタ203dの値を参照し、その値が0であれば、保留第1エリアを最初のエリアとする。同様に、その値が1であれば保留第2エリアを、その値が2であれば保留第3エリアを、その値が3であれば保留第4エリアを、それぞれ最初のエリアとする。
次に、図115を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される羽入口通過処理(S140)について説明する。図115は、タイマ割込処理(図109参照)の中で実行される羽入口通過処理(S140)を示すフローチャートである。
羽入口通過処理(S140)では、遊技球が大入賞口スイッチ190bを通過したことを検出した場合、まず小当たり中であるか否かを判定する(S711)。S711の処理において、小当たり中であると判別された場合(S711:Yes)、羽入口通過コマンドを設定し(S712)、本処理を終了する。小当たり中ではない場合は(S712:No)、小当たり遊技でないにも関わらず、大入賞口スイッチ190bへ遊技球が入球した場合であるので、エラーコマンドを設定し(S713)、本処理を終了する。
S712の処理において設定された羽入口通過コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図119参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113では、羽入口通過コマンドを受信すると、大入賞口スイッチ109bを通過した遊技球をカウントすると共に、音声出力装置226やランプ表示装置227へ大入賞口スイッチ190b通過に基づく演出を実行させるためのコマンドを送信する。これにより、可動入球役物装置190への入球に基づく小当たり遊技中の演出を実行することができる(図106参照)。
次に、図116を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるV入口通過処理(S141)について説明する。図116は、V入口通過処理(S141)を示すフローチャートである。このV入口通過処理(S141)は、タイマ割込処理(図109参照)の中で実行される処理である。
V入口通過処理では、まず、遊技球が確定領域孔340を通過したか否かが判定される(S721)。S721の処理において、遊技球が確定領域孔340を通過したと判別された場合(S721:Yes)、V入口通過フラグ203xをオンに設定し(S722)、V入口通過コマンドを設定し(S723)、滞留カウンタ203lに所定期間(第1実施形態では5秒、第2実施形態および第6実施形態では8秒、第7実施形態では10秒)に対応するカウンタ値を設定し(S724)、本処理を終了する。
なお、滞留カウンタ203lが0以上の値を維持している間、対応する駆動装置(第1実施形態で上述した滞留ソレノイド413(図23参照)、第2実施形態、第6実施形態および第7実施形態で上述した電磁ソレノイド2420(図40参照)、第7実施形態で上述した駆動モータ7451(図83参照))がオン(励磁)に設定される。
ここで設定されたV入口通過コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図119参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。
一方、S721の処理において、遊技球が確定領域孔340を通過していないと判別されると、次に、V入口通過フラグ203x1がオンに設定されているか否かを判定する(S725)。S725の処理において、V入口通過フラグ203xがオンに設定されていない(オフに設定されている)と判別された場合(S725:No)、本処理を終了する。
S725の処理において、V入口通過フラグ203xがオンに設定されていると判別された場合(S725:Yes)、次いで、大当たり種別値が大当たりCに該当するか否かを判定する(S726)。大当たりCに該当する場合(S726:Yes)、大当たりCを示すVフラグ203x2をオンに設定し(S727)、S4604の処理へ移行する。なお、大当たりCは、16ラウンド大当たりに対応する。
一方、S726の処理において、大当たりCに該当しないと判別された場合(S726:No)、次いで、大当たりDに該当するか否かを判別する(S729)。S729の処理において、大当たりDに該当すると判別された場合は(S729:Yes)、次いで、大当たりDを示すVフラグ203x2をオンに設定し(S730)、S4604の処理へ移行する。なお、大当たりDは、7ラウンド大当たりに対応する。
一方、S729の処理において、大当たりDに該当しないと判別された場合(S729:No)、次いで、大当たりEに該当するか否かを判別する(S731)。S731の処理において、大当たりEに該当すると判別された場合は(S731:Yes)、次いで、大当たりEを示すVフラグ203x2をオンに設定し(S732)、S4604の処理へ移行する。なお、大当たりEは、3ラウンド大当たりに対応する。
S731の処理において、大当たりEに該当しないと判別された場合は(S731:No)、エラーコマンドを設定し(S733)、本処理を終了する。本制御例では、可動入球役物装置190へ入球した遊技球が確定領域孔340を通過した後で、獲得可能な大当たりは大当たりC、大当たりD又は大当たりEに限定される。よって、V通過後大当たり種別値が大当たりC、大当たりD及び大当たりEでない場合に、遊技球が確定領域スイッチ340aを通過することに基づいて実行されるV入口通過処理(S141)が実行される場合は、不正に確定領域スイッチ340aへ遊技球が入賞された場合であると考えられる。この場合、S731の処理においてエラーコマンドを設定されることにより、エラーの出力が実行され、不正行為を発見することができる。S727、S730又はS732の処理を終えると、時短中カウンタ203fを0に設定して、本処理を終了する(S728)。
S728の処理において時短中カウンタ203fを0に設定することにより、大当たり遊技が開始されると時短遊技が終了するように構成されている。
S141の処理において、いずれかのVフラグ203x2がオンに設定されることで、小当たり終了処理において、V入口通過フラグ203x1がオフに設定される(図125のS1324及びS1328参照)。
V入口通過フラグ203x1がオフに設定されると、S141の処理において大当たりの種別を判定しなくなる。従って、本制御例では、小当たり遊技中に、特定領域スイッチ441a〜443a,2441a〜2443aの内、最初に遊技球が通過するのがどのスイッチなのかで大当たり種別が決定し、その後で遊技球がどの特定領域スイッチ441a〜443a,2441a〜2443aを通過しても、その通過は無効となる(制御に反映されない)。
図117は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S801)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図118を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合に主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。図118は、この立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S901)。例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本実施形態では1秒)を実行する(S902)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S903)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図3参照)がオンされているか否かを判別し(S904)、オンされていれば(S904:Yes)、処理をS912へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S904:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S905)、記憶されていなければ(S905:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS912へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S905:Yes)、RAM判定値を算出し(S906)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S907:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS912へ移行する。なお、図119のS1014の処理で後述する通り、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S912の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S912)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S913,S914)を実行する。
本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAMの初期化処理(S913,S914)を実行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S913,S914)を実行する。RAMの初期化処理(S913,S914)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S913)、その後、RAM203の初期値を設定する(S914)。RAM203の初期化処理の実行後は、S910の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S904:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S905:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S907:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S908)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S909)、S910の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。
S910の処理では、演出許可コマンドを音声ランプ制御装置113へ送信し、音声ランプ制御装置113に対して各種演出の実行を許可する。次いで、割込みを許可して(S911)、後述するメイン処理に移行する。
次に、図119を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。図119は、このメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4m秒周期の定期処理としてS1001〜S1007の各処理が実行され、その残余時間でS1010,S1011のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理(図119参照)においては、まず、タイマ割込処理(図109参照)の実行中に、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する外部出力処理を実行する(S1001)。具体的には、タイマ割込処理(図109参照)におけるS101のスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、特別図柄変動処理(図110参照)や始動入賞処理(図112参照)で設定された保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。また、大当たり制御処理(図120参照)で設定されたラウンド数コマンド等のコマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。加えて、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次に、変動種別カウンタCS1の値を更新する(S1002)。具体的には、変動種別カウンタCS1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では198)に達した際、0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S1003)、次いで、大当たり状態である場合に、大当たり演出の実行や、可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bを開放又は閉鎖するための大当たり制御処理を実行する(S1004)。大当たり制御処理では、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口スイッチ190bを開放し、大入賞口スイッチ190bの最大開放時間が経過したか、大入賞口スイッチ190bに球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口スイッチ190bを閉鎖する。この大入賞口スイッチ190bの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。尚、本実施形態では、大当たり制御処理(S1004)をメイン処理(図119参照)において実行しているが、タイマ割込処理(図109参照)において実行しても良い。
次に、中始動入賞口28に付随する電動役物28aの開閉制御を行う小当たり制御処理(S1041)を実行する。小当たり制御処理では、普通図柄変動処理(図113参照)のS625の処理によって電動役物の開閉制御開始が設定された場合に、電動役物の開閉制御を開始する。尚、この電動役物の開閉制御は、普通図柄変動処理におけるS616の処理またはS617の処理で設定された開放時間および開放回数が終了するまで継続される。
次に、第1図柄表示装置37A,37Bの表示を更新する第1図柄表示更新処理を実行する(S1006)。第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図110参照)によって変動パターンが設定された場合に、その変動パターンに応じた変動表示を、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて開始する。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37BのLEDの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる。
なお、メイン処理は4ミリ秒毎に実行されるが、そのメイン処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、メイン処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行う。尚、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
また、第1図柄表示更新処理では、特別図柄変動開始処理(図110参照)によって設定された変動パターンに対応する変動時間が終了した場合に、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行されている変動表示を終了し、特別図柄変動開始処理(図110参照)によって設定された表示態様で、停止図柄(第1図柄)を第1図柄表示装置37A,37Bに停止表示(点灯表示)する。
次に、第2図柄表示装置の表示を更新する第2図柄表示更新処理を実行する(S1007)。第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動開始処理(図113参照)のS620の処理またはS621の処理によって第2図柄の変動時間が設定された場合に、第2図柄表示装置において変動表示を開始する。これにより、第2図柄表示装置では、第2図柄としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる変動表示が行われる。また、第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動処理(図113参照)のS623の処理によって第2図柄表示装置の停止表示が設定された場合に、第2図柄表示装置において実行されている変動表示を終了し、普通図柄変動開始処理(図113参照)のS613の処理またはS618の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)を第2図柄表示装置に停止表示(点灯表示)する。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S1008)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1008:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち今回のメイン処理の開始から所定時間(本実施形態では4m秒)が経過したか否かを判別し(S1009)、既に所定時間が経過していれば(S1009:Yes)、処理をS1001へ移行し、上述したS1001以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、今回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S1009:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S1010,S1011)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S1010)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では399、239)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。次に、変動種別カウンタCS1の更新を、S1002の処理と同一の方法によって実行する(S1011)。
ここで、S1001〜S1007の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1についてもランダムに更新することができる。
また、S1008の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S1008:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図117のNMI割込処理が実行されたということなので、S1012以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S1012)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S1013)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S1014)、RAM203のアクセスを禁止して(S1015)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S1008の処理は、S1001〜S1007で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS1010とS1011の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS1001の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS1001の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存したりしなくても、初期設定の処理(S901)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S1001の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走したりすることなく正確な制御を行うことができる。
次に、図120のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される大当たり制御処理(S1004)を説明する。図120は、この大当たり制御処理(S1004)を示すフローチャートである。この大当たり制御処理(S1004)は、メイン割込処理(図119参照)の中で実行され、パチンコ機10が特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たりに応じた各種演出の実行や、大入賞口スイッチ190bを開放又は閉鎖するための処理である。
大当たり制御処理(図120,S1004)では、まず、大当たりが開始されるかを判定する(S1101)。具体的には、V入口通過処理(図116参照)が実行され、その後、大当たりの開始が設定されていれば(図125のS1327参照)、大当たりが開始されると判定する。S1101の処理において、大当たりが開始される場合には(S1101:Yes)、大当たり時役物装置作動開始処理(S1102)の処理が実行され、本処理を終了する。なお、S1102の処理については、図121で後述する。
一方、S1101の処理において、大当たりが開始されない場合には(S1101:No)、大当たり中であるかを判定する(S1103)。大当たり中としては、大当たり(大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。S1103の処理において、特別図柄の大当たり中でなければ(S1103:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、S1103の処理において、大当たり中であると判別した場合には(S1103:Yes)、大当たり時役物装置開放処理(S1104)の処理が実行され、その後、S1105の処理を実行する。なお、S1104の処理については、図122で後述する。
S1105の処理では、開放回数カウンタの値が、現ラウンド内で設定した回数(例えば、1回)に達しているかを判定する。S1105の処理において、開放回数カウンタの値が、現ラウンド内で設定した回数に達していた場合(S1105:Yes)、大入賞口閉鎖時間タイマカウントダウン処理を実行する(S1106)。一方、S1105の処理において、開放回数カウンタの値が、現ラウンド内で設定した回数に達していなかった場合(S1105:No)、異常処理を実行し(S1118)、本処理を終了する。
大入賞口閉鎖時間カウントダウン処理(S1106)では、S1104で設定した大当たり時インターバルタイマ(S1149)のカウントダウンを実行する。
続いて、閉鎖時間が経過したか否かを判定する(S1107)。そして、閉鎖時間が経過していなかった場合(S1107:No)、異常処理を実行し(S1118)、本処理を終了する。一方、閉鎖時間が経過していた場合(S1107:Yes)、ラウンド数カウンタをインクリメントする(S1108)。なお、ラウンド数カウンタの値は、例えば、初期値を0として、RAM203のカウント領域に記憶されている。
S1108の処理の後、ラウンド数カウンタの値が、S1102で設定した実行ラウンド数(S1132)に達しているか否かを判定する。このとき、ラウンド数カウンタの値が未だ実行ラウンド数に達していない場合(S1109:No)、次にS1115の処理に進み、ラウンド数コマンドを設定する(S1115)。
S1115で設定したランド数コマンドは、外部出力処理S1101(図119参照)で音声ランプ制御装置113に送信される。音声ランプ制御装置113は、受信したラウンド数コマンドに基づいて現在のラウンド数を認識し、その結果を大当たり中の演出制御に反映させることができる。
次に、通常ラウンド大入賞口閉鎖指定コマンドを設定する(S1116)。このコマンドは、大当り時における各ラウンド後の可動入球役物装置190の閉鎖を音声ランプ制御装置113に通知するためのものである。なお、通常ラウンド大入賞口閉鎖指定コマンドは、最終ラウンド以外での可動入球役物装置190の閉鎖であることを示すコマンドである。ここで設定されたコマンドは、外部出力処理S1101(図119参照)で音声ランプ制御装置113に送信される。
次に、S1117の処理を行い、今回のラウンド内でカウントした入賞球数カウンタがリセットされ(S1117)、同時に、開放回数カウンタの値もリセットされ、本処理を終了する。
一方、S1109の処理において、ラウンド数カウンタの値が実行ラウンド数に達していた場合(S1109:Yes)、このラウンドが最終ラウンドであることを意味し、次いで、残球タイマフラグ203nがオフに設定されているか否かを判定する(S1110)。S1110の処理において、残球タイマフラグ203nがオフに設定されていない(即ち、残球タイマフラグ203nがオンに設定されている)と判別された場合(S1110:No)、次いで、異常処理を実行し(S1118)、本処理を終了する。
一方、S1110の処理において、残球タイマフラグ203nがオフに設定されていると判別された場合(S1110:Yes)、可動入球役物装置190に流入した遊技球の個数と、排出された遊技球の個数とが一致した場合であり、次いで、ラウンド数カウンタをリセットする(S1111)。
次に、最終ラウンド大入賞口閉鎖指定コマンドを設定する(S1112)。このコマンドは、大当り時における最終ラウンドでの可動入球役物装置190の閉鎖を音声ランプ制御装置113に通知するためのものである。ここで最終ラウンドは、3ラウンド大当りであれば3ラウンドが該当し、7ラウンド大当りであれば7ラウンドが該当し、16ラウンド大当りであれば16ラウンドが該当する。
次いで、大当たり終了コマンドを設定し(S1113)、大当たり中フラグをオフし(S1114)、S1117の処理へ進み、本処理を終了する。最終ラウンド大入賞口閉鎖指定コマンド、及び大当たり終了コマンドは、外部出力処理S1101(図119参照)で音声ランプ制御装置113に送信される。
図121のフローチャートを参照して、大当たり時役物装置作動開始処理S1102について説明する。図121は、この大当たり時役物装置作動開始処理S1102を示すフローチャートである。
まず、大当り開始待ち時間タイマカウントダウン処理を実行する(S1130)。この処理では、主制御装置110は大当り開始待ち時間タイマに初期値を設定し、その後、時間の経過に伴って(本モジュールの呼び出しごとに)タイマをカウントダウンする。大当り開始待ち時間タイマの初期値は、小当り時の可動入球役物装置190の作動終了時から可動入球役物装置190を再び作動させるまでの待ち時間(例えば数秒程度)として設定される。また、音声ランプ制御装置113では、この「大当り開始待ち時間」を利用して、例えば大当り遊技の開始前演出が行われる。
次に、大当り開始待ち時間が経過したか否かを判定する(S1131)。大当り開始待ち時間タイマの値が未だ0になっていなければ(S1131:No)、大当り開始待ち時間が経過していないと判断し、本処理を終了する。
一方、大当り開始待ち時間タイマの値が0になると(S1131:Yes)、S1132以降の処理に進む。
次に、実行ラウンド数を設定する(S1132)。本実施形態では、設定される実行ラウンド数(連続作動回数)は「3ラウンド」、「7ラウンド」、「16ラウンド」の3通りであり、いずれの実行ラウンド数を設定するかについては、大当り種別ステータスを確認すること(Vフラグ203x2の種別を確認すること)で実行ラウンド数を設定することができる。
ただし、上述したように可動入球役物装置190の初回開放(小当りの動作)が1ラウンド目に相当する。したがって、ここでは実行ラウンド数として残りの「2ラウンド」、「6ラウンド」又は「15ラウンド」のいずれかを設定することとする。ここで設定した実行ラウンド数は、プログラム上で対応する値として、RAM203のバッファ領域に格納される。
次に、大当たりフラグをオフし(S1133)、大当たり開始コマンドを設定し(S1134)、本処理を終了する。
ここで設定された大当たり開始コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図119参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、大当たり開始コマンドを受信すると、大当たりを開始する演出制御を実行する。
図122のフローチャートを参照して、大当たり時役物装置開放処理S1104について説明する。図122は、大当たり時役物装置開放処理S1104を示すフローチャートである。なお、この処理は、主に、大当り遊技(特別遊技)中の動作として可動入球役物装置190の開閉動作を制御するためのものである。
まず、主制御装置110は、現在が大入賞口スイッチ190bの開放のタイミングであるか否かを判定する(S1141)。S1141の処理において、大入賞口スイッチ190bの開放のタイミングであると判別された場合(S1141:Yes)、大入賞口スイッチ190bを開放させる(S1142)。具体的には、大開放口ソレノイド209aに対して印加する駆動信号を出力する。これにより、可動入球役物装置190の可動片190aが作動して、大入賞口スイッチ190bが閉止状態から開放状態に移行する。
次いで、大当たり時開放タイマを設定する(S1143)。ここで設定したタイマの値は、可動入球役物装置190を作動する際の1回あたりの開放時間となる。本実施形態では、大当り時開放タイマの値として1ラウンド分のトータル開放時間(例えば30秒程度)が設定される。この程度の開放時間であれば、その間に充分な数(例えば10個程度)の遊技球を大入賞口に入賞させることができる。
次に、大当り時インターバルタイマ(大入賞口閉鎖時間タイマ)を設定する(S1144)。ここで設定したタイマの値は、大当り中のラウンド間での待機時間、又は最終ラウンド終了時の待機時間となる。なお、タイマの値は、例えば3秒程度(残球タイマの設定値よりも長い数値)に設定される。
一方、S1141の処理において、大入賞口スイッチ190bの開放タイミングではないと判定された場合(S1141:No)、次いで、大入賞口スイッチ190bが開放中であるか否かを判定する(S1145)。
S1145の処理において、大入賞口スイッチ190bが開放中であると判別された場合(S1145:Yes)、開放タイマカウントダウン処理を実行する(S1146)。この処理では、先のS1102の処理で設定した開放タイマのカウントダウンを実行する。続いて、開放時間が終了したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の開放タイマの値が0以下であるか否かを確認し、未だ開放タイマの値が0以下になっていなければ(S1147:No)、次に、入賞球数カウント処理を実行する(S1149)。この処理では、開放時間内に可動入球役物装置190に入賞した遊技球の個数をカウントする。具体的には、開放時間内に大入賞口スイッチ190bから入力された入賞検出信号に基づいて、カウント数の値をインクリメントする。
次に、現在のカウント数が所定数(10個)未満であるか否かを確認する。この所定数は、上記のように開放1回(大当り中の1ラウンド、小当り時の1回)あたりに許容する入賞球数の上限(賞球数の上限)を定めたものである。未だカウント数が所定数に達していなければ(S1150:Yes)、本処理を終了する。
上記のS1147で開放時間が終了したと判定されるか(S1147:Yes)、もしくはS1150でカウント数が所定数に達したと判定されると(S1150:No)、次に、S1148を実行する。
S1148では、主制御装置110は、大入賞口スイッチ190bを閉止させる。具体的には、大開放口ソレノイド209aに印加していた駆動信号の出力を停止する。これにより、可動入球役物装置190が開放状態から閉止状態に復帰する。
次に、残球タイマフラグ203nをオンする(S1151)。次いで、インターバル待機処理(S1152)を実行する。この処理では、S1102の処理で設定したインターバルタイマのカウントダウンを実行する。そして、インターバルタイマの値が0以下になると、次に、開放回数カウンタの値をインクリメントし(S1153)、本処理を終了する。なお、開放回数カウンタの値は、例えば初期値を0としてRAM203のカウント領域に記憶されている。
一方、S1145の処理において、大入賞口190bが開放中ではないと判別された場合(S1145:No)、本処理を終了する。
図123は、この異常処理(S1118)の内容を示したフローチャートである。異常処理(S1118)では、不正に大入賞口スイッチ190bを通過させられていないかを監視する処理を実行する。
異常処理(図123、S1118)では、まず、ラウンド有効期間であるか判別する(S1261)。ラウンド有効期間外である場合には(S1261:No)、この処理を終了する。一方、ラウンド有効期間内であると判別した場合には(S1261:Yes)、排出検知スイッチ190cを遊技球が通過したか判別する(S1262)。排出検知スイッチ190cを遊技球が通過したと判別した場合には(S1262:Yes)、球排個数カウンタ203sの値を1加算して更新する(S1263)。その後、S1264の処理を実行する。一方、排出検知スイッチ190cを遊技球が通過していないと判別した場合には(S1262:No)、S1264の処理を実行する。
S1264の処理では、残球タイマフラグ203nがオンであるか判別する(S1264)。残球タイマフラグ203nがオフであると判別した場合には(S1264:No)、この処理を終了する。一方、残球タイマフラグ203nがオンであると判別した場合には(S1264:Yes)、球はけ時間の期間中であるので、残球タイマ203oを1加算して更新する(S1265)。残球タイマ203oは上限値(本実施形態では、2秒)が経過したか判別する(S1266)。上限値でないと判別した場合には(S1266:No)、この処理を終了する。一方、上限値であると判別した場合には(S1266:Yes)、排出個数(排出個数カウンタ203sの合計値)と入賞個数(入賞個数カウンタ203jの値)とが一致するか判別する(S1267)。
一致すると判別した場合には(S1267:Yes)、S1269の処理を実行する。一方、一致しないと判別した場合には(S1267:No)、エラーコマンドを設定する(S1268)。その後、S1269の処理を実行する。エラーコマンドを音声ランプ制御装置113が受信することにより、エラー表示(例えば、入賞個数不一致エラーの文字を表示)がされ、ホールコンピュータに対して、エラー信号の出力がされる。よって、可動入球役物装置190内に不正に遊技球を残存させて、大当たり遊技終了後にその遊技球を確定領域孔340に通過させる不正を抑制できる。
S1269の処理では、残球タイマフラグ203nをオフに設定し(S1269)、残球タイマ203oを初期値である0にリセットする(S1270)。その後、入賞個数カウンタ203j、排出個数カウンタ203sが初期値にそれぞれリセットされ(S1271)、その後、この処理を終了する。
図124を参照して、小当たり制御処理(S1040)について説明する。図124は、メイン処理(図119参照)の中で実行される小当たり制御処理(S1040)を示すフローチャートである。この小当たり制御処理(S1040)は、メイン処理(図119参照)の中で実行され、パチンコ機10が特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たりに応じた各種演出の実行や、可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bを開放又は閉鎖するための処理である。
小当たり制御処理では、まず、小当たりが開始されるかを判定する(S1301)。具体的には、小当たり開始設定処理(図111参照)のS4308の処理により小当たり開始フラグ203w1がオンに設定されていれば、小当たりが開始されると判定する。S1301の処理において、小当たりが開始される場合には(S1301:Yes)、小当たり開始フラグ203w1をオフに設定し(S1302)、開放シナリオを設定し(S1303)、小当たり開始コマンドを設定して(S1304)、本処理を終了する。
ここで設定された小当たり開始コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図119参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、大当たり開始コマンドを受信すると、大当たりを開始する演出を実行する。
一方、S1301の処理において、小当たりが開始されない場合には(S1301:No)、小当たり中であるかを判定する(S1305)。小当たり中の判断は、具体的には、小当たり中フラグ203w2がオンであるか否かにより判別する。S1305の処理において、小当たり中でなければ(S1305:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、S1305の処理において、小当たり中であれば(4704:Yes)、次の開放のタイミングであるかを判定する(S1306)。次の開放のタイミングであれば(S1306:Yes)、可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bを開放し(S1307)、新たに開始する開放回数を示すコマンドを設定し(S1308)、本処理を終了する。ここで設定された開放回数を示すコマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図119参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、開放回数を示すコマンドを受信すると、開放の回数に応じた演出を開始する。
一方、S1306の処理において、次の開放のタイミングでなければ(S1306:No)、可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bの閉鎖のタイミングであるか否かを判定する(S1309)。具体的には、可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bを開放した後に所定時間(本実施形態では、0.5秒)が経過した場合に、閉鎖タイミングであると判定する。
S1309の処理において、可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bの閉鎖のタイミングであると判別された場合には(S1309:Yes)、可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bを閉鎖して(S1310)、本処理を終了する。一方、可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bの閉鎖条件が成立していない場合には(S1309:No)、小当たりの期間が経過したか否かを判定する(S1311)。
具体的には、小当たりの開放シナリオ別に、小当たり開始から所定期間が経過した場合に、小当たりの期間が経過したと判断する。即ち、小当たり制御1では、小当たり開始から7.5秒が経過した場合(図107参照)、小当たり制御2では、小当たりから10秒が経過した場合に(図108参照)、小当たりの期間が経過したと判定する。
S1311の処理において、小当たりの期間が経過したと判別される場合には(S1311:Yes)、小当たり終了処理を実行し(S1312)、本処理を終了する。一方、S1311の処理において、小当たりの期間が経過していないと判別される場合には(S1311:No)、本処理を終了する。
ここで、図125を参照して、小当たり終了処理(S1312)の詳細について説明する。図125は、小当たり終了処理(S1312)を示すフローチャートである。この小当たり終了処理(S1312)は、小当たり制御処理において小当たり終了のタイミングであると判別された場合に実行される処理である。
小当たり終了処理(S1312)では、まず、V入口通過フラグ203x1がオンであるか否かを判別する(S1321)。S1321の処理において、V入口通過フラグ203x1がオンであると判別された場合は(S1321:Yes)、小当たり遊技中に遊技球が確定領域孔340を通過した場合である(特定領域孔440のいずれかの特定領域スイッチ441a,442a,443aを通過した場合である)ので、大当たり遊技の実行を開始するための処理を行う。まず、滞留カウンタ203lを更新する(S1322)。
S1322の処理において、滞留カウンタ203lは1ずつ減算されて更新される。また、この滞留カウンタ203lの値が0以下であると判別されること(S1323:Yes)に基づいて、S1324の処理に移行する。
次いで、Vフラグ203x2がオンに設定されているか否かが判定される(S1324)。S1324の処理において、Vフラグ203x2がオンに設定されていると判別された場合(S1324:Yes)、Vフラグ203x2に対応する大当たり種別に基づいて大入賞口スイッチ190bの開放シナリオを設定し(S1325)、Vフラグ203x2に対応する大当たり種別に基づいて大当たりの開始を設定する(S1326)。次いで、大当たり開始フラグ203v1と大当たり中フラグ203v2とをオンに設定し(S1327)、V入口通過フラグ203x1をオフに設定し(S1328)、Vフラグ203x2をオフに設定して(S1329)、S1330の処理に移行する。
一方、S1323の処理において、滞留カウンタ203lが0より大きいと判別される場合(S1323:No)、又は、S1324の処理において、Vフラグ203x2がオンに設定されていない(即ち、Vフラグ203x2がオフに設定されている)場合(S1324:No)、本処理を終了する。
S1321の処理において、V入口通過フラグ203x1がオンでないと判別された場合は(S1321:No)、小当たり遊技中に遊技球が確定領域スイッチ340aを通過しなかった場合であるので、大当たりを付与せず終了するために、小当たり終了コマンドを設定して(S1331)、S1330の処理に移行する。
ここで設定された小当たり終了コマンドは、RAM203に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU201により実行されるメイン処理(図119参照)の外部出力処理(S1001)の中で、音声ランプ制御装置113に向けて送信される。音声ランプ制御装置113は、小当たり終了コマンドを受信すると、RAM223の入賞情報格納エリア223aに格納されている入賞情報に基づいて、小当たり終了の演出の表示態様を選択し、小当たり終了の演出を開始する。
S1330の処理に移行した後は、小当たり中フラグ203w2をオフに設定し(S1330)、開放シナリオをクリアして(S1332)、本処理を終了する。
次に、図126から図130を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU221の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
まず、図126を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を説明する。図126は、この立ち上げ処理を示すフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S1401)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S1512の電源断処理(図127参照)の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S1402)。図127を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断コマンドを受信すると(図127のS1511参照)、S1512の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S1512の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S1402:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS1512の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S1403)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S1406の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S1403:Yes)、S1404へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S1403:No)、S1408へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM223のデータ破壊と判断され(S1403:Yes)、S1404へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1514の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM223のデータは正常と判断されて(S1403:No)、S1408へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S1402:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S1514の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS1404へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S1404の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S1404)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S1405:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S1406)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S1405:No)、RAM223の異常を報知して(S1407)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良い。
S1408の処理では、電源断フラグがオンされているか否かを判別する(S1408)。電源断フラグはS1514の電源断処理の実行時にオンされる(図127のS1513参照)。つまり、電源断フラグは、S1514の電源断処理が実行される前にオンされるので、電源断フラグがオンされた状態でS1408の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS1514の電源断処理の実行を完了した状態で開始された場合である。従って、かかる場合には(S1408:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S1409)、RAM223の初期値を設定した後(S1410)、割込み許可を設定して(S1411)、メイン処理へ移行する。なお、RAM223の作業エリアとは、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。
一方、電源断フラグがオフされた状態でS1408の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS1404からS1406の処理を経由してS1408の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S1408:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS1409をスキップして、処理をS1410へ移行し、RAM223の初期値を設定した後(S1410)、割込み許可を設定して(S1411)、メイン処理へ移行する。
なお、S1409のクリア処理をスキップするのは、S1404からS1406の処理を経由してS1408の処理へ至った場合には、S1404の処理によって、既にRAM223のすべての記憶領域はクリアされているし、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって、立ち上げ処理が開始された場合には、RAM223の作業領域のデータをクリアせず保存しておくことにより、音声ランプ制御装置113の制御を継続できるからである。
次に、図127を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図127は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、メイン処理が開始されてから、又は、今回のS1501の処理が実行されてから1m秒以上が経過したか否かが判別され(S1501)、1m秒以上経過していなければ(S1501:No)、S1502〜S1509の処理を行わずにS1510の処理へ移行する。S1501の処理で、1m秒経過したか否かを判別するのは、S1502〜S1509が主に表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1m秒以内)で編集する必要がないのに対して、S1510のコマンド判定処理を短い周期で実行する方が好ましいからである。S1510の処理が短い周期で実行されることにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止できる。
S1501の処理で1m秒以上経過していれば(S1501:Yes)、まず、S1503〜S1510の処理によって設定された、表示制御装置114に対する各種コマンドを、表示制御装置114に対して送信する(S1502)。次いで、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS1508の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S1503)、その後電源投入報知処理を実行する(S1504)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS1505の処理へ移行する。
S1505の処理では客待ち演出処理が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S1506)。客待ち演出処理では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、表示ランプ34の出力を低電力の設定に切り替える設定などが行われる。保留個数表示更新処理では、特別図柄1保留球数カウンタ223bの値に応じて保留ランプ(図示せず)を点灯させる処理が行われる。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S1507)。この枠ボタン入力監視・演出処理は、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、ランプ編集処理を実行し(S1508)、その後音編集・出力処理を実行する(S1509)。ランプ編集処理では、遊技状態に対応するよう電飾部29〜33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、遊技状態に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力される。なお、このランプ編集処理の詳細については、図128を参照して後述する。
S1509の処理後、主制御装置110より受信したコマンドに応じた処理を行うコマンド判定処理を行う(S1510)。このコマンド判定処理の詳細については、図129を参照して後述する。
そして、コマンド判定処理が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S1511)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S1511の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S1511:Yes)、電源断フラグ及び電源断処理中フラグを共にオンして(S1513)、電源断処理を実行する(S1514)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S1515)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S1511の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S1511:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S1512)、RAM223が破壊されていなければ(S1512:No)、S1501の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S1512:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後、遊技状態に応じて電飾部29〜33の点灯パターンなどが変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
ここで、図128を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるランプ編集処理(S1508)について説明する。図128は、ランプ編集処理(S1508)を示すフローチャートである。このランプ編集処理(S1508)は、メイン処理(図127参照)において、1ms間隔で実行される処理である。
ランプ編集処理では、まず、大当たり中であるか否かを判定する(S1601)。S1601の処理において、大当たり中ではないと判別された場合(S1601:No)、次いで、小当たり中であるか否かを判定する(S1602)。
S1602の処理において、小当たり中ではないと判別された場合は(S1602:No)、現在の遊技状態が、小当たり遊技状態へ進むことを狙って遊技球を発射する通常遊技状態である場合である。よって、電飾部29〜33のランプの出力を、通常遊技用演出パターンに設定し(S1603)、羽入口通過カウンタ223iを0に設定し(S1604)、V入口通過カウンタ223jを0に設定し(S1605)、本処理を終了する。
S1602の処理において、小当たり中であると判別された場合は(S1602:Yes)、いずれかの始動入賞口26,27,28に遊技球が入賞しており、大入賞口スイッチ190bが開放することにより可動入球役物装置190aの内部に遊技球を流入し得る状態であるので、そのことを遊技者が把握できるように、電飾部29〜33のランプの出力をA1パターンに設定する(S1606)。本実施形態では、A1パターンにおいて、電飾部29〜33が青色に発光する。
なお、A1パターンとは、小当たり遊技用のランプの出力の内の1パターンである。本実施形態では、電飾部29〜33のランプの異なる演出パターンとして、A1〜A3の出力パターンを構成可能とされる。
例えば、A1パターンでは電飾部29〜33のランプが青色に発光し、A2パターンでは電飾部29〜33のランプが緑色に発光し、A3パターンでは電飾部29〜33のランプが赤色に発光することで、遊技者に大当たりの期待度を把握させることができる。なお、出力パターンは3個に限定されるものではなく、任意の個数で構成可能であり、また、色による違いを構成することに限定されるものではなく、例えば点滅の速さや、ランプの発光の向きの変化により違いを構成しても良い。
次いで、羽入口通過カウンタ223jの値が1以上であるか否かを判定する(S1607)。S1607の処理において、羽入口通過カウンタ223jの値が1以上であると判別された場合(S1607:Yes)、電飾部29〜33のランプの出力をA2パターンに設定する(S1608)。本実施形態では、A2パターンにおいて、電飾部29〜33が青色よりも大当たりの期待度の高い緑色に発光する。
次いで、羽入口通過カウンタ223iの値が2以上であるか否かを判定する(S1609)。羽入口通過カウンタ223iの値が2以上であると判別された場合(S1609:Yes)、電飾部29〜33のランプの出力をA3パターンに設定し(S1610)、S1611の処理に移行する。本実施形態では、A3パターンにおいて、電飾部29〜33が緑色よりも大当たりの期待度の高い赤色に発光する。
即ち、小当たり遊技中の電飾部29〜33のランプの発光の色を遊技球が大入賞口スイッチ190bを何球通過したかに対応して変化させることができる。第1実施形態で上述したように、大入賞口スイッチ190bを複数の遊技球が通過した方が、遊技球が確定領域孔340に流下しやすいスペシャルルート用孔323に入りやすくなる。そのため、大入賞口スイッチ190bを通過した遊技球の個数を、そのまま大当たりの期待度の変化に対応付けられるので、電飾部29〜33の光の変化を単なる賑やかしの変化ではなく、遊技者の利益に対応して変化するものとして行うことができる。これにより、遊技者の興趣を向上させることができる。
一方、S1607の処理において、羽入口通過カウンタ223jの値が1以上ではないと判別された場合(S1607:No)、又は、S1609の処理において、羽入口通過カウンタ223jの値が2よりも小さいと判別された場合(S1609:No)、S1611の処理に移行する。
次いで、V入口通過カウンタ223jの値が1以上であるか否かを判定する(S1611)。S1611の処理において、V入口通過カウンタ223jの値が1以上であると判別された場合は(S1611:Yes)、現在の状態が、大当たり遊技への移行が確定し、これから大当たり種別が決定する状態である。そのため、電飾部29〜33のランプの出力を、当たり獲得用演出パターンに設定し(S1612)、本処理を終了する。
一方、S1611の処理において、V入口通過カウンタ223jの値が1より小さい(0である)と判別された場合は(S1611:No)、大当たり遊技への移行が未確定の状態であるので、電飾部29〜33のランプの出力の状態を維持し、本処理を終了する。
S1601の処理において、大当たり中であると判別された場合(S1601:Yes)、次に、ラウンド数累積カウンタ223kの値が1であるか否かが判定される(S1620)。
S1620の処理において、ラウンド数累積カウンタ223kの値が1であると判定された場合は(S1620:Yes)、大当たりのラウンド数が未確定の状態である。
次に、V入口通過カウンタ223jの値が1であるか否かが判定される(S1621)。S1621の処理において、V入口通過カウンタ223jの値が1であると判別された場合は(S1621:Yes)、現在の状態が、1個の遊技球がいずれかの特定領域孔440を通過することに基づいて大当たりのラウンド数が決定される状態であって、3ラウンドの大当たりを獲得する可能性が残っている状態である。この場合、電飾部29〜33のランプの出力をB1パターンに設定し、本処理を終了する(S1622)。本実施形態では、B1パターンにおいて、電飾部29〜33が金色に発光する。
なお、B1パターンとは、大当たり遊技の演出用のランプの出力の内、1ラウンド目の演出を行う出力の1パターンである。本実施形態では、電飾部29〜33のランプの異なる演出パターンとして、B1、B2の出力パターンを構成可能とされる。
例えば、B1パターンでは電飾部29〜33のランプが金色に発光し、B2パターンでは電飾部29〜33のランプが虹色に発光することで、遊技者に大当たりの利益が大きくなることについての期待度を把握させることができる。なお、出力パターンは2個に限定されるものではなく、任意の個数で構成可能であり、また、色による違いを構成することに限定されるものではなく、例えば点滅の速さや、ランプの発光の向きの変化により違いを構成しても良い。
一方、S1621の処理において、V入口通過カウンタ223jの値が1ではないと判別された場合は(S1621:No)、現在の状態が、2個以上の遊技球がいずれかの特定領域孔440を通過することに基づいて大当たりのラウンド数が決定される状態である。例えば、第1実施形態では、2個以上の遊技球が確定領域孔340を通過し第2流下装置400の内部を流下する過程において、少なくとも1個の遊技球が第3分岐誘導流路R3へ向かう構成とされている。
第3分岐誘導流路R3を流下した遊技球は、第1特定領域孔441(16ラウンド大当たりを付与)又は第2特定領域孔442(7ラウンド大当たりを付与)のいずれかを通過することとなり、その通過タイミングは、他の遊技球が第3特定領域孔443(3ラウンド大当たりを付与)を通過する場合の通過タイミングよりも早くなるように構成される。
従って、第3特定領域孔443を遊技球が通過することになったとしても、その通過が無効となることが確定しているので、現在の状態は、3ラウンドの大当たりを獲得する可能性が排除された状態である。この場合、電飾部29〜33のランプの出力をB2パターンに設定し、本処理を終了する(S1623)。本実施形態では、B2パターンにおいて、電飾部29〜33のランプが、金色よりも獲得可能な利益の期待度が大きい虹色に発光する。
S1620の処理において、ラウンド数累積カウンタ223kの値が1ではないと判定された場合は(S1620:No)、現在の状態が、大当たりのラウンド数が確定し、2ラウンド移行の大当たり遊技に進んでいる状態である。そのため、電飾部29〜33のランプの出力を大当たり遊技用演出パターンに設定し(S1624)、本処理を終了する。
なお、本実施形態では、上述したように、小当たり遊技に進行する前段階の通常遊技状態において、電飾部29〜33のランプの出力が通常遊技用演出パターンに設定され、小当たり遊技状態から大当たり遊技状態に移行する場合において、電飾部29〜33のランプの出力が当たり獲得用演出パターンに設定され、大当たり遊技のラウンド数が確定し残りの大当たり遊技を実行する状態において、電飾部29〜33のランプの出力が大当たり遊技用演出パターンに設定される。
ここで説明した状態は、それぞれ遊技者に付与される利益が確定した状態となるので、色の違いを設けても遊技者の興趣が向上するものでは無く、むしろ発光色の変化に目が刺激され、遊技者を疲労させることにつながる。そのため、本実施形態では、遊技者を無意味に疲労させることを防ぐために、通常遊技用演出パターン、当たり獲得用演出パターン及び大当たり遊技用演出パターンにおいて、同系色の光(例えば、白色光)により電飾部29〜33のランプを発光させるようにしている。これにより、遊技者が利益の確定のタイミングを把握しやすくすることができる。
なお、大当たり獲得の瞬間は、遊技者の興趣が最も向上する瞬間であるので、それに対応するために、当たり獲得用演出パターンによる電飾部29〜33のランプの発光強度は、通常遊技用演出パターンや大当たり遊技用演出パターンによる電飾部29〜33のランプの発光強度よりも強く構成される。
図128では、電飾部29〜33のランプの発光について制御することについて説明したが、S1509の処理において、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226から出力される音響演出についても、同様に制御される。即ち、遊技者に付与される利益の期待度に基づいて、音響が変化する。例えば、電飾部29〜33のランプの出力がA1パターンに設定された時(S1606)よりも、電飾部29〜33のランプの出力がA2パターンに設定された時(S1608)の方が、出力する楽曲のテンポが上がったり、音量が上がったりする態様で制御される。
次に、図129を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S1510)について説明する。図129は、このコマンド判定処理(S1510)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S1510)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図127参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する。
コマンド判定処理(図129,S1510)では、まず、RAM223に設けられたコマンド記憶領域から、未処理のコマンドのうち主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出し、解析して、主制御装置110より保留球数コマンドを受信したか否かを判定する(S1701)。そして、保留球数コマンドを受信した場合には(S1701:Yes)、受信した保留球数コマンドが特図1保留球数コマンドであるか、特図2保留球数コマンドであるかを判別して、そのコマンドに含まれている値、即ち、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(特別図柄における変動表示の保留回数N1)を抽出し、主制御装置110の特別図柄2保留球数カウンタ203eの値(特別図柄における変動表示の保留回数N2)を抽出し、これを音声ランプ制御装置113の特別図柄2保留球数カウンタ223cに格納する(S1702)。
ここで、特図1保留球数コマンド又は特図2保留球数コマンドは、球が左右始動入賞口26,27又は中始動入賞口28に入賞(始動入賞)したとき、又は、特別図柄の抽選が行われたときに主制御装置110から送信されるので、始動入賞が検出される毎に、又は、特別図柄の抽選が行われる毎に、S1702の処理によって音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223b、特別図柄2保留球数カウンタ223cの値を主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203d、特別図柄2保留球数カウンタ203eの値に合わせることができる。よって、ノイズなどの影響により、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bまたは特別図柄2保留球数カウンタ223cの値が主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dまたは特別図柄2保留球数カウンタ203eの値とずれても、始動入賞の検出時や特別図柄の抽選時に、音声ランプ制御装置113の特別図柄1保留球数カウンタ223bまたは特別図柄2保留球数カウンタ223cの値を修正し、主制御装置110の特別図柄1保留球数カウンタ203dまたは特別図柄2保留球数カウンタ203eの値に合わせることができる。尚、S1702の処理が実行されると、更新された特別図柄1保留球数カウンタ223b、特別図柄2保留球数カウンタ223cの値を液晶表示装置の代替品として遊技者に視認可能に配置される7セグ表示器(図示せず)へ通知するための表示用保留球数コマンドが設定される。これにより、保留球数に応じた保留球数図柄が7セグ表示器に表示される。
一方、保留球数コマンドを受信しなかった場合(S1701:No)、当たり関連のコマンドを受信したか否かを判定する(S1703)。当たり関連のコマンドを受信した場合(S1703:Yes)、当たり関連処理を実行し(S1704)、その後、本処理を終了する。
S1703の処理において、当たり関連のコマンドを受信していないと判別された場合(S1703:No)、次いで、主制御装置110より報知コマンドを受信したか否かを判別する(S1705)。報知コマンドを受信したと判別した場合には(S1705:Yes)、受信したコマンドに対応した報知音声(例えば、「てっぺんに球を打ち込め」)を選択し、報知用のコマンドを設定する(S1706)。
次に、S1705の処理において、報知コマンドを受信していないと判別した場合には(S1705:No)、その他のコマンドを受信したか否かを判定し、その受信したコマンドに応じた処理を実行して(S1707)、本処理を終了する。その他のコマンドが、音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い、処理結果をRAM223に記憶し、7セグ表示器で用いるコマンドであればそのコマンドを7セグ表示器に送信するように、コマンドの設定を行うものである。
ここで、図130を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される当たり関連処理(S1704)について説明する。図130は、当たり関連処理(S1704)を示すフローチャートである。この当たり関連処理(S1704)は、コマンド判定処理(図129参照)において当たり関連のコマンドを受信したと判別された場合に実行される処理である。
当たり関連処理では、まず大当たり開始コマンドを受信したか否かを判定する(S1721)。大当たり開始コマンドを受信したと判別された場合(S1721:Yes)、表示用大当たり開始コマンドを設定し(S1722)、本処理を終了する。ここで設定される表示用大当たり開始コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図127参照)のコマンド出力処理(S1502)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、表示用大当たり開始コマンドを受信すると、大当たりの開始を示唆する演出を7セグ表示器(図示せず)に表示する。
一方、大当たり開始コマンドを受信していないと判別された場合は(S1721:No)、次いで、ラウンド数コマンドを受信したか否かを判別する(S1723)。S1723の処理において、ラウンド数コマンドを受信したと判別された場合(S1723:Yes)、ラウンド数累積カウンタ223kに1を加算する(S1724)。その後、ラウンド数累積カウンタ223kに基づいて表示用ラウンド数コマンドを設定し(S1725)、本処理を終了する。
S1723の処理において、ラウンド数コマンドを受信していないと判別された場合は(S1723:No)、大当たり終了コマンドを受信したか否かを判別する(S1726)。S1726の処理において、大当たり終了コマンドを受信したと判別された場合(S1726:Yes)、表示用大当たり終了コマンドを設定し(S1727)、ラウンド累積カウンタ223kを0に設定し(S1728)、本処理を終了する。
S1726の処理において、大当たり終了コマンドを受信していないと判別された場合は(S1726:No)、小当たり開始コマンドを受信したか否かを判定する(S1729)。
S1729の処理において、小当たり開始コマンドを受信したと判別された場合は(S1729:Yes)、表示用小当たり開始コマンドを設定し(S1730)、本処理を終了する。
S1729の処理において、小当たり開始コマンドを受信していないと判別された場合は(S1729:No)、小当たり終了コマンドを受信したか否かを判別する(S1731)。
S1731の処理において、小当たり終了コマンドを受信したと判別された場合は(S1731:Yes)、小当たり遊技の終了を示唆する演出を実行するため、表示用小当たり終了コマンドを設定し(S1732)、本処理を終了する。
一方、S1731の処理において、小当たり終了コマンドを受信していないと判別された場合は(S1731:No)、羽入口通過コマンドを受信したか否かを判別する(S1733)。
S1733の処理において、羽入口通過コマンドを受信したと判別された場合は(S1733:Yes)、羽入口通過カウンタ223iに1を加算する(S1734)。ここで加算された羽入口通過カウンタ223iは、図128で3説明したランプ編集処理において、小当たり遊技中における可動入球役物装置190への遊技球の入球数を判別するために参照される。
S1734の処理を終えると、小当たり遊技中における可動入球役物装置190への入球に基づく演出(例えば、図128参照)を実行するために、表示用羽入口通過コマンドを設定し(S1735)、本処理を終了する。
一方、S1733の処理において、羽入口通過コマンドを受信していないと判別された場合は(S1733:No)、V入口通過コマンドを受信したか否かを判定する(S1736)。
S1736の処理において、V入口通過コマンドを受信したと判別された場合は(S1736:Yes)、V入口通過カウンタ223jに1を加算する(S1737)。ここで加算されたV入口通過カウンタ223jは、図128で説明したランプ編集処理において、大当たり遊技中(1ラウンド目)における確定領域スイッチ340aへの入球数を判別するために参照される。
S1737の処理を終えると、大当たり遊技開始を示唆する演出を実行するために、表示用V入口通過コマンドを設定し(S1738)、本処理を終了する。一方、S1736の処理において、V入口通過コマンドを受信していないと判別された場合は(S1736:No)、そのまま本処理を終了する。
このように、本実施形態では、可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bを遊技球が何個通過したか、及び、確定領域スイッチ340aを遊技球が何個通過したかにより、演出の態様を変化させる(図128参照)。これにより、遊技者が遊技球に注意を払っていない場合にも、演出態様により遊技者に有利な状態となっていることを報知することができ、遊技者が、大当たりの瞬間を見逃すことを防止することができる。
また、これにより、可動入球役物装置190の特性(遊技球が何個入球するかにより獲得が期待できる利益の大きさが変化する特性)と、演出とをリンクさせることができる。即ち、演出の変化を、単なる賑やかしの変化ではなく、獲得が期待できる利益の変化に基づいた演出変化として構成することができる。これにより、演出に対する遊技者の注目度合い、を向上させることができる。
次いで、図131から図165を参照して、第8実施形態について説明する。第1実施形態では、可動入球役物装置190への球の流下態様の変化が、球と釘との衝突でランダムに生じる場合について説明したが、第8実施形態における入賞前流下装置8500は、可動入球役物装置190の上流側に配置され、内部の出没部材8520と球とを衝突させることにより、球の流下態様の変化を制御可能に構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図131は、第8実施形態における遊技盤8013の正面図であり、図132は、遊技盤8013の部分正面斜視図であり、図133は、遊技盤8013の部分正面分解斜視図である。なお、図131では、天部開口8512の上方において球と衝突する釘の配置例が図示され、図132及び図133では、その釘の図示が省略される。また、図133では、ベース板60が透明であることから、その後方に配置される第1流下装置300が透けて視認可能とされる。なお、後述するように表側装置8510は光透過性の材料から形成されるが、理解を容易とするために、内部構造の図示は省略される。
図131から図133までに示すように、本実施形態では、可動入球役物装置190の上方において遊技盤8013に開口8013aが形成され、その開口8013aを埋める態様で入賞前流下装置8500が遊技盤8013に締結固定される。
入賞前流下装置8500には、天部開口8512から球を入球させることが可能であるが、球発射ユニット112a(図4参照)から球を発射した後、天部開口8512に球が入球し、内部流路INR8に入球するまでに少なくとも1秒間が経過するように、天部開口8512付近に植設される釘の配置や、入賞前流下装置8500の傾斜流路8513の形状が設定される。
遊技領域を流下する球の内、入賞前流下装置8500の天部開口8512に入球した球は、入賞前流下装置8500の内部流路INR8を可動入球役物装置190の可動片190aに近づく態様で流下する。その可動片190aが開放状態の場合に、入賞前流下装置8500から排出された球が可動入球役物装置190へ入球可能となるように、入賞前流下装置8500の構成および開口8013aの位置が設定される。なお、本実施形態では、内部流路INR8から球が排出されてから、開放状態の可動片190aに到達するまでに1秒経過する態様で、入賞前流下装置8500の構成および開口8013aの位置が設定される。
入賞前流下装置8500は、光透過性の材料から形成され開口8013aを閉鎖する態様で遊技盤8013の正面側に配置されると共に遊技盤8013に締結固定される表側装置8510と、その表側装置8510の背面側において遊技盤8013の開口8013aに内嵌される装置であって遊技盤8013の後方まで張り出すと共に遊技盤8013に締結固定される裏側装置8540と、その裏側装置8540に配設される内部流路INR8に出没動作する出没部材8520に駆動力を伝達する装置であって裏側装置8540に配設される伝達装置8600と、その伝達装置8600により伝達される駆動力を発生する駆動モータKM1,KM2と、を主に備える。
本実施形態における入賞前流下装置8500によれば、表側装置8510と裏側装置8540とを個別に遊技盤8013に締結固定できるので、一部を変更したい場合に全てを取り替えることを不要とできる。例えば、表側装置8510の本体板部8511の正面側側面の装飾を変更したい場合に、表側装置8510のみを遊技盤8013から取り外し、交換することができる。この際、後述するように、表側装置8510の伝達棒8530と、裏側装置8540の第2伝達棒8550とを、表側装置8510と裏側装置8540とが組み付け時に近接移動する方向(前後方向)から、連結させることができる(連結片8534,8555同士を連結させることができる、図152参照)。これにより、表側装置8510と裏側装置8540とを容易に個別に交換することができる。
図134を参照して、表側装置8510の詳細について説明する。図134(a)は、表側装置8510の背面図であり、図134(b)は、図134(a)のCXXXIb−CXXXIb線における表側装置8510の断面図である。
図134に示すように、表側装置8510は、骨組みとなる板状部材であって背面側へ向けて開いた開口部8514を備える本体板部8511と、開口部8514に遊嵌され前後方向に出没可能に構成される出没部材8520と、その出没部材8520の下方において開口部8514に収容される伝達棒8530と、を主に備える。
図135を参照して、本体板部8511について説明する。図135(a)は、本体板部8511の背面図であり、図135(b)は、図135(a)の矢印CXXXVb方向視における本体板部8511の側面図であり、図135(c)は、図135(a)のCXXXVc−CXXXVc線における本体板部8511の部分断面図であり、図135(d)は、図135(c)のCXXXVd−CXXXVd線における本体板部8511の部分断面図である。
図135に示すように、本体板部8511は、遊技盤8013の正面側において流下する球を受入可能に開口させる天部開口8512と、その天部開口8512に入球した球を斜め下後方へ流下させるハーフパイプ形状の傾斜流路8513と、本体板部8511の背面から正面側へ向けて凹設され背面側へ開いた開口として形成される開口部8514と、その開口部8514から上下方向に沿って(若干傾斜して)上方へ向けて凹設される複数の遊嵌凹設部8515と、を主に備える。
なお、本体板部8511は、開口部8514を備える薄板部材と、その薄板部材の後方に固着される厚板部材とにより形成される。遊嵌凹設部8515が厚板部材に予め凹設された上で、薄板部材と厚板部材とが固着されることにより、本体板部8511が製造される。
本体板部8511の正面側側面は、パチンコ機10のガラス面と対向配置され、遊技者は、本体板部8511の正面側側面を通して後述する内部流路INR8を視認することになる。本体板部8511の正面側側面には、様々な装飾を施すことが可能であり、その態様は限定されるものでは無い。本実施形態では、例えば、各伝達棒8530,8550の移動範囲を正面側から視認不能とする箇所(前後方向で各伝達棒8530,8550と重なる箇所、即ち、図153に示す伝達棒8530の上端位置から図154に示す伝達棒8530の下端位置までに亘る箇所)に非透過の装飾がされる一方、移動範囲の上端位置に配置された各伝達棒8530,8550の上端位置よりも上方には非透過の装飾はされず、内部流路INR8が視認可能とされる。これにより、遊技者が、各伝達棒8530,8550の動きを視認することを困難とできると共に、内部流路INR8の視認性を確保することができる。なお、非透過の装飾は左右方向に亘ってされても良いし、前後方向に各伝達棒8530,8550から投影される位置(左右方向に間隔を空けた位置)にされても良い。
遊嵌凹設部8515は、背面と面位置の部分に、背面側の開口幅を左右両方向から縮小する抜け止め部8515aを備える。遊嵌凹設部8515へ下方から入れ込んだ部材の左右幅が遊嵌凹設部8515の左右幅よりも小さく、且つ、抜け止め部8515aの左右間隔よりも大きい場合には、抜け止め部8515aにより、その部材を後方から引き抜くことを不可能な状態で保持することができる。
図136(a)は、出没部材8520の上面図であり、図136(b)は、図136(a)の矢印CXXXVIb方向視における出没部材8520の側面図であり、図136(c)は、図136(a)の矢印CXXXVIc方向視における出没部材8520の正面図である。
図136に示すように、出没部材8520は、張出先端側(図136(a)右側)において左右側が傾斜する態様で尖る衝突部8521と、底面において根本側(図136(a)左側)へ向かって上方傾斜する傾斜面8522と、根本側端部において左右方向へ突設される一対の突設部8523と、を主に備える。
突設部8523は、その突出先端間の幅が、遊嵌凹設部8515の左右幅よりも小さく、且つ、抜け止め部8515aの左右間隔よりも大きく設定される。即ち、組立状態(図134参照)において突設部8523が抜け止め部8515aに引っ掛かることから、出没部材8520は、本体板部8511からの前後方向への引き抜きが不可能な状態で本体板部8511に保持される(遊嵌される)。
図137(a)は、伝達棒8530の上面図であり、図137(b)は、図137(a)の矢印CXXXVIIb方向視における伝達棒8530の側面図であり、図137(c)は、図137(a)の矢印CXXXVIIc方向視における伝達棒8530の正面図である。
図137に示すように、伝達棒8530は、上下方向に沿って延設される棒部材から構成される本体棒部8531と、その本体棒部8531の上端部において膨出する膨出部8532と、その膨出部8532の上面において一方向(図137(b)左右方向)に傾斜する傾斜面8533と、本体棒部8531の下端部から本体棒部8531の延設方向と交差する方向(図137(b)右方)に延設される連結片8534と、を主に備える。
傾斜面8533は、出没部材8520の出没方向(図136(b)左右方向)と伝達棒8530の本体棒部8531の延設方向とを直角とする場合に、出没部材8520の傾斜面8522と面で当接する傾斜角度で形成される(図134(a)参照)。そのため、伝達棒8530が上下動作することに伴い、傾斜面8522,8533同士を擦りながら出没部材8520が動作することになる。
なお、本実施形態では、傾斜面8533の傾斜態様は、本体棒部8531の長手方向(図137(b)上下方向)の幅に対して、本体棒部8531の短手方向(図137(b)前後方向)の幅の方が長くなる態様とされる。その一例として、図137に示すように、傾斜面8533の前後方向(図137(b)左右方向)からの傾斜角度は、約20度とされる。
図138を参照して、表側装置8510の組立方法について説明する。図138(a)、図138(b)及び図138(c)は、図134(a)のCXXXIb−CXXXIb線における表側装置8510の断面図である。
図138(a)には、本体板部8511に出没部材8520を組み付ける直前の様子が図示される。図138(a)に示すように開口部8514に収容した出没部材8520を、上向きに移動させることで、根本側部分を遊嵌凹設部8515に収容させることができる(図138(b)参照)。
図138(b)には、本体板部8511に伝達棒8530を組み付ける直前の様子が図示される。図138(b)に示すように、出没部材8520を開口部8514の上方に保持することで出没部材8520の下方のスペースを空け、その空いたスペースに伝達棒8530を滑り込ませることで、開口部8514に伝達棒8530の本体棒部8531を収容させることができる。開口部8514は貫通していないので、伝達棒8530は本体板部8511に突き当たる位置で位置決めされる。
図138(c)には、本体板部8511に出没部材8520及び伝達棒8530を組み付けた後の様子が図示される。図138(c)に示すように、伝達棒8530の収容後に出没部材8520に与えていた負荷を解除すると、出没部材8520は自重で下方(図138(c)下方)へ移動する。出没部材8520は伝達棒8530と当接する位置まで下降し、当接状態において、互いの傾斜面8522,8533を介して伝達棒8530に負荷を与える。本実施形態では傾斜面8522,8533が開口部8514の底面側(図138(c)左側)へ向けて上昇傾斜しているので、傾斜面8522,8533を介する出没部材8520からの負荷が伝達棒8530を開口部8514の底面に押し付ける向きに生じる。即ち、傾斜面8522,8533を介した負荷により伝達棒8530が開口部8514から脱落することが防止される。
更に、出没部材8520は伝達棒8530の逆向きの負荷を受けるところ、伝達棒8530が開口部8514に収容された状態では出没部材8520が開口部8514へ移動することが伝達棒8530により防止される。そのため、出没部材8520は遊嵌凹設部8515内を背面側へ向けて移動することになるが、突設部8523が抜け止め部8515aに引っかかり、それ以上の移動が規制される。これにより、出没部材8520が遊嵌凹設部8515から脱落することを防止することができる。
従って、出没部材8520を自重で下降させることにより、本体板部8511に出没部材8520及び伝達棒8530を仮止めすることができる。これにより、表側装置85100を遊技盤8013に固定する前の状態において、出没部材8520や伝達棒8530を落ちないように把持することを不要とできる。更に、表側装置8510を、締結ネジなどの締結部材無しで組み立てることができるので、表側装置8510の製造効率を上昇させることができる。
図139(a)は、裏側装置8540及び伝達装置8600の正面図であり、図139(b)は、裏側装置8540及び伝達装置8600の側面図である。裏側装置8540は、骨組みとなる板状部材である本体板部8541と、その本体板部8541の上部に配設される天井板部8542と、傾斜流路8513の下端の下方位置に配設され回転動作により球を左右に振り分ける振分装置8543と、本体板部8541の下部において正面側へ延設されると共に内部流路INR8の底面を構成する延設床部8544と、本体板部8541に背面側から当接固定され間に形成される空間に部材を収容する後蓋部材8545と、を主に備え、本体板部8541と後蓋部材8545との間の空間に上述した出没部材8520と、その出没部材8520を動作させる第2伝達棒8550とを収容する態様で形成される。伝達装置8600は、後蓋部材8545に配設されるが、詳細は後述する。
一対の天井板部8541は、内側の間隔が傾斜流路8513の左右幅よりも若干大きくなるように形成され、組立状態において、傾斜流路8513から排出された球を上下方向に案内する案内流路として機能する。
延設床部8544は、その上面8544aが振分装置8543の真下から左右両方向に下降傾斜する構成とされる。即ち、詳細は後述するが、天井板部8542の正面側を流下して振分装置8543に振り分けられた球は延設床部8544の傾斜に沿って転動し、延設床部8544の左右端部から排出される。
図140は、裏側装置8540の背面図であり、図141は、本体板部8541の背面図である。なお、図140では、後蓋部材8545及び伝達装置8600の図示が省略される。
図140及び図141に示すように、本体板部8541の背面側の空間に出没部材8520及び第2伝達棒8550が収容される。即ち、本体板部8541は、出没部材8520を挿入可能な大きさで前後方向に穿設される支持孔8541aと、その支持孔8541aの正面側端部において開口幅を左右両方向から縮小する抜け止め部8541bと、第2伝達棒8550を出没部材8520と交差する態様で一方向に移動可能に案内する部分であって本体板部8541の背面から突出される突出支持部8541cと、を主に備える。
抜け止め部8541bの間隔は、突設部8523の突出先端間の間隔よりも小さく設定される。これにより、出没部材8520が正面側から脱落することを防止することができる。
突出支持部8541cは、支持孔8541aの中心を通り底辺と直交する直線L81を基準として、その直線L81と直交する方向に同等長さだけ広がる隙間V81を除いた部分に配設される。その隙間V81を後述する第2伝達棒8550が移動可能とされる。
図142(a)は、第2伝達棒8550の上面図であり、図142(b)は、図142(a)の矢印CXLIIb方向視における第2伝達棒8550の側面図であり、図142(c)は、図142(b)の矢印CXLIIc方向視における第2伝達棒8550の正面図である。
第2伝達棒8550は、上下方向に沿って延設される棒部材から構成される本体棒部8551と、その本体棒部8551の上端部において膨出する膨出部8552と、その膨出部8552の上面において一方向(図142(b)左右方向)に傾斜する傾斜面8553と、本体棒部8551の下端部から本体棒部8551の延設方向と交差する方向(図142(b)右方)に延設される中間片8554と、その中間片8554の延設先端部から本体棒部8551と中間片8554とで形成される平面と直交する方向に延設される連結片8555と、を主に備える。
本体棒部8551は、幅方向の寸法が突出支持部8541c間の隙間V81の幅よりも若干短い寸法とされる。これにより、本体棒部8551を、突出支持部8541間にスライド移動可能に配置することができる。
膨出部8552は、左右幅(図142(c)左右方向幅)が隙間V81の幅よりも長くなる態様で形成される。これにより、膨出部8552が突出支持部8541cに引っ掛かり、第2伝達棒8550が突出支持部8541cの間から落下することを防止できる。
傾斜面8553は、出没部材8520の出没方向(図136(b)左右方向)と第2伝達棒8550の本体棒部8551の延設方向とを直角とする場合に、出没部材8520の傾斜面8522と面で当接する傾斜角度で形成される(図155参照)。そのため、第2伝達棒8550が上下動作することに伴い、傾斜面8522,8553同士を擦りながら出没部材8520が動作することになる。
本実施形態では、傾斜面8553の傾斜態様は、本体棒部8551の長手方向(図137(b)上下方向)の幅に対して、本体棒部8551の短手方向(図137(b)前後方向)の幅の方が長くなる態様とされる。その一例として、図142に示すように、傾斜面8553の前後方向(図142(b)左右方向)からの傾斜角度は、約20度とされる。なお、本実施形態では、傾斜面8533の傾斜角度を傾斜面8553の傾斜角度と同一としたが、これらを違う値としても良い。
連結片8555は、組立状態(図131参照)において、伝達棒8530の連結片8534と係合する部分であって、その係合により、伝達棒8530と第2伝達棒8550とを一体的に動作させることができる。
裏側装置8540への出没部材8520及び第2伝達棒8550の組み付けについて説明する。本体板部8541の背面側から、出没部材8520を支持孔8541aに挿入し、次いで、本体板部8541の背面側から本体板部8541に第2伝達棒8550を近接移動させ、本体棒部8551が隙間V81に内嵌される態様で本体板部8541に第2伝達棒8550を嵌め込む。その後、本体板部8541に後蓋部材8545を締結固定することにより、本体板部8541と後蓋部材8545との間に出没部材8520と第2伝達棒8550とを脱落不能に保持することができる。
図143は、伝達装置8600の正面斜視図であり、図144は、伝達装置8600の正面分解斜視図である。なお、図143及び図144では、左右一対で配設される左右対称の伝達装置8600の内、左側の伝達装置8600が図示される。また、理解を容易とするために、第2伝達棒8550の連結片8555の図示が省略される。
図143及び図144に示すように、伝達装置8600は、裏側装置8540の後蓋部材8545に配設される装置であって、後蓋部材8545の正面において後蓋部材8545に回転可能に支持される第1伝達部材8610と、その第1伝達部材8610に連結されると共に直線方向にスライド動作可能に後蓋部材8545に支持される第2伝達部材8620と、後蓋部材8545の背面側に配設され第1伝達部材8610を駆動する駆動力を発生させる駆動モータKM1と、を主に備える。なお、第1伝達部材8610及び第2伝達部材8620は、上述した伝達棒8530及び第2伝達棒8550に駆動モータKM1,KM2の駆動力を伝達する部材である。
図143及び図144に示すように、後蓋部材8545は、駆動モータKM1の駆動軸が挿通される貫通孔8545aと、正面側に互いに平行に並んで延設される一対の平面板から形成される支持板部8545bと、その支持板部8545bの正面側端部から互いに対向する方向に延設される抜け止め突部8545cと、を主に備える。
抜け止め突部8545cは、後蓋部材8545の正面側に、第1伝達部材8610の前後方向(駆動軸が延設される方向)の厚み寸法と第2伝達部材8620の前後方向の厚み寸法との合計よりも若干大きな寸法だけ離間した位置に配置されると共に、抜け止め突部8545c同士の間隔が第2伝達部材8620の長手方向長さよりも短く設定される。これにより、後蓋部材8545の前面と抜け止め突起8545cとの間に第1伝達部材8610及び第2伝達部材8620を重ねて配置することができると共に、第2伝達部材8620が前後方向に外れることを防止することができる。
本実施形態では、第1伝達部材8610及び第2伝達部材8620を、締結部材無しで後蓋部材8545に固定することができる。ここで、第1伝達部材8610及び第2伝達部材8620を後蓋部材8545に取り付ける方法について説明する。
まず、駆動モータKM1を後蓋部材8545の背面側に固定する。この状態で、駆動モータKM1の駆動軸は貫通孔8545aを通して後蓋部材8545の正面側へ張り出している。
次いで、駆動モータKM1の駆動軸が第1伝達部材8610の中心孔8612に差し込まれるように、第1伝達部材8610を後蓋部材8545の正面側から後蓋部材8545に近接させ、第1伝達部材8610を駆動モータKM1と連結する。この状態では、第1伝達部材8610が駆動軸から引き抜かれることを防止する抜け止め部材は存在しない。そのため、第1伝達部材8610を容易に取り外すことができる。
次いで、第2伝達部材8620の下部切り欠き8624の間を第1伝達部材8610の伝達突部8613が通過する態様で、第2伝達部材8620を支持板部8545bの長手方向(第2伝達部材8620の移動を案内する方向)に沿ってスライド移動させることで、第2伝達部材8620を第1伝達部材8610と抜け止め突部8545cとの間に入れ込むことができる(収容することができる)。下部切り欠き8624の上端を伝達突部8613が通過するまで第2伝達部材8620をスライド移動させることにより、伝達突部8613を第2伝達部材8620の不完全円弧孔8625に収容することができる。
不完全円弧孔8625は、下部切り欠き8624以外は外部に通じない閉じた孔として構成される。そのため、伝達突部8613は、下部切り欠き8624を通過することがなければ不完全円弧孔8625から外れることは無い。ここで、図143及び図144に示すように、下部切り欠き8624は、不完全円弧孔8625の下方へ延設される態様で不完全円弧孔8625と連結されるので、第2伝達部材8620が自重で移動する分には伝達突部8613が下部切り欠き8624を通過することは無い。換言すれば、外力が加わらない限り(例えば、作業者が第2伝達部材8620を持ち上げる等)、第2伝達部材8620が後蓋部材8545から外れることを防止することができ、そのまま第1伝達部材8610と第2伝達部材8620とを連動させることができる。
尚かつ、第2伝達部材8620が前後方向に外れることが防止されることから、その第2伝達部材8620の背面側において後蓋部材8545との間に挟まれる第1伝達部材8610が前後方向に外れることを防止することができる。
従って、第2伝達部材8620を前方から覆うカバー部材などの別部材を不要とできると共にそれに伴う締結部材などを不要できることで部材個数の削減を図りながら、第1伝達部材8610と第2伝達部材8620とを連動可能に構成することができる。
ここで、詳細は後述するが、第1伝達部材8610と第2伝達部材8620との連動の概要について説明する。この連動により、駆動モータKM1,KM2の駆動力が第2伝達棒8550へ伝達される。
まず、駆動モータKM1,KM2が回転駆動されると、それに伴い第1伝達部材8610が回転する。この回転により、第1伝達部材8610の伝達突部8613が第1伝達部材8610の回転軌跡と同軸の円軌道で変位する。伝達突部8613は、第2伝達部材8620の不完全円弧孔8625に挿通されており、伝達突部8613の進行方向と不完全円弧孔8625の延設方向とが交差する場合、伝達突部8613から第2伝達部材8620へ駆動力が伝達される。
伝達突部8613から伝達される駆動力により第2伝達部材8620は変位し得るが、その第2伝達部材8620は後蓋部材8545の支持板部8545bにより移動を規制される。そのため、第2伝達部材8620の移動方向は支持板部8545bの延設方向(直線方向)に限定される。従って、第2伝達部材8620は、第1伝達部材8610の回転動作に伴って、直線往復動作を行う。
図145(a)は、第1伝達部材8610の正面図であり、図145(b)は、図145(a)の矢印CXLVb方向視における第1伝達部材8610の側面図である。第1伝達部材8610は、円板形状の本体板部8611と、その本体板部8611の中心位置において穿設され駆動モータKM1,KM2の駆動軸が挿通固着される中心孔8612と、偏心した位置から板厚方向に突設される伝達突部8613と、その伝達突部8613付近の外形位置から正面視時計回り(図145(a)時計回り)に連続的に外径を縮径する態様で形成される縮径部8614と、を主に備える。
縮径部8614は、本体板部8611の外径との寸法差が、後述する伝達棒8530及び第2伝達棒8550の移動幅以上に設定される。これにより、第1伝達部材8610を回転させることに伴い、伝達棒8530及び第2伝達棒8550が本体板部8611と当接する場合と、縮径部8614と当接する場合とで切り替わり、その切替により伝達棒8530及び第2伝達棒8550を動作させることができる。
図146(a)は第2伝達部材8620の正面図であり、図146(b)は、図146(a)の矢印CXLVIb方向視における第2伝達部材8620の側面図である。第2伝達部材8620は、横長の矩形板上に形成される本体板部8621と、その本体板部8621から上方へ円弧状に膨出する円弧膨出部8622と、本体板部8621の左右両端部から左右方向外側に延設される被案内腕部8623と、本体板部8621の下端から上方へ向けて直線上に切りかかれる下部切り欠き8624と、その下部切り欠き8624の上端部において左右両方向へ円弧孔状に切りかかれる不完全円弧孔8625と、その不完全円弧孔8625の左右外側端部から左右方向に直線上に延設される端部孔8626と、を主に備える。なお、図146(a)では、第2伝達部材8620が移動範囲の上端位置に配置された場合における第1伝達部材8610の中心孔8612、伝達突部8613の移動軌跡及び本体板部8611の外形が想像線で図示される。
図146に示すように、円弧膨出部8622の外形は、第2伝達部材8620が移動範囲の上端位置に配置された場合に、第1伝達部材8610の本体板部8611の外形が構成する円と前後方向で一致する形状とされる。
また、不完全円弧孔8625は、第2伝達部材8620が移動範囲の上端位置に配置された場合に、第1伝達部材8610の伝達突部8613の移動軌跡を前後方向視で含む形状から形成され、隙間幅が第1伝達部材8610の伝達突部8613の直径よりも若干長く設計される。即ち、第2伝達部材8620が移動範囲の上端位置に配置された状態において、伝達突起8613を移動させた(第1伝達部材8610を回転した)場合に、第2伝達部材8620を上端位置で維持する態様で連動させることができる。
被案内腕部8623は、支持板部8545bと対向配置され、支持板部8545bにより動作を規制される部分である。被案内腕部8623の左右方向外側端部間の長さは、支持板部8545b同士の隙間よりも若干小さい寸法で設定される。
下部切り欠き8624は、切り欠きの幅が、伝達突部8613の直径よりも長くなるように設定される。端部孔8626は、左右方向外側端部間の距離が、伝達突部8613の移動軌跡の直径以上の長さに設定される。
なお、下部切り欠き8624は、上述したように、組み付け時に伝達突部8613を通過させる切り欠きとしての作用の他、第2伝達部材8620の動作抵抗を低減する作用も備える。
即ち、第2伝達部材8620は、第1伝達部材8610の回転動作に伴って直線動作を行うところ、その動作方向の規制は一対の支持板部8545bによりされる。ここで、第2伝達部材8620及び支持板部8545bの寸法誤差などにより、第2伝達部材8620と支持板部8545bとの間の隙間が小さくなりすぎると動作抵抗が大きくなり駆動モータNM1,KM2の駆動力が過剰に必要となるという問題が生じる一方、第2伝達部材8620と支持板部8545bとの間の隙間が大きくなりすぎると第2伝達部材8620の姿勢を維持し難いという問題が生じるので、寸法管理に精密さが求められ、製造コストを抑制することが困難となる。
これに対し、第2伝達部材8620は、下部切り欠き8624が第2伝達部材8620と支持板部8545bとが隙間を空ける方向に配置されているので、隙間が小さくなったとしても(隙間が無くなったとしても)、下部切り欠き8624が空いている分、第2伝達部材8620の本体板部8621を撓ませることができ、第2伝達部材8620と支持板部8545bとの間で生じる押圧力を低減することができる(撓み変形により吸収することができる)。
従って、設計値では、第2伝達部材8620及び支持板部8545bの隙間を小さい側に設定し、例え寸法誤差が最大まで大きくなっても(隙間が大きくなっても)第2伝達部材8620の姿勢を維持できる程度の範囲に寸法管理をすることで、伝達装置8600が誤動作を行うこと(第2伝達部材8620の移動抵抗が過大となり動作停止したり、第2伝達部材8620が姿勢変化したりすること)を防止することができる。これにより、第2伝達部材8620の寸法と、支持板部8545bとの間の寸法として、許容される寸法誤差を大きくでき、製造コストを抑制することができる。
次いで、図147を参照して、伝達装置8600と第2伝達棒8550との間における駆動力の伝達の態様について説明する。なお、上述したように、第2伝達棒8550は伝達棒8530と一体的に動作するので、図147で図示される第2伝達棒8550の動作を、伝達棒8530の動作として認識しても良い。
図147(a)から図147(f)は、伝達装置8600の動作を時系列で説明する伝達装置8600及び第2伝達棒8550の正面図である。なお、理解を容易とするために、第1伝達部材8610が想像線で図示されると共に第2伝達棒8550の上部の図示が省略される。なお、図147では、第1伝達部材8610が反時計回りに回転動作する場合の動作が図示される。また、図147では、各第2伝達棒8550を図147正面視右側から(球が入ってくる側から)順に第2伝達棒8550A,8550B,8550Cとも称す。
図147(a)では、伝達突部8613が不完全円弧孔8625に侵入する直前において端部孔8626に配置される状態が図示される。この状態では、図147(a)に示すように、第2伝達部材8620は上端位置よりも下方に配置されており、各第2伝達棒8550は第1伝達部材8610の縮径部8614に当接する。
図147(b)では、図147(a)から第1伝達部材8610が反時計回りに回転し、伝達突部8613が不完全円弧孔8625に侵入した後の状態が図示される。この状態では、第2伝達部材8620は上端位置に配置され、各第2伝達棒8550は第2伝達部材8620の上面に当接する。上端位置に配置されるまでの第2伝達部材8620の移動は上下方向の移動なので、各第2伝達棒8550は、図147(a)に示す位置から、同時に上昇動作する。
図147(c)では、図147(b)から第1伝達部材8610が反時計回りに回転し、伝達突部8613が不完全円弧孔8625の終端位置まで移動した状態が図示される。この状態では、伝達突起8613が不完全円弧孔8625の内側を不完全円弧孔8625の延設方向に沿って移動するだけなので、第2伝達部材8620は図147(b)に示す位置から移動せず、上端位置に留まる。
図147(d)では、図147(c)から第1伝達部材8610が反時計回りに回転し、伝達突部8613が不完全円弧孔8625から端部孔8626へ移動した状態が図示される。この状態では、伝達突部8613が下方へ移動するのに伴い第2伝達部材8620も下方へ移動することになるが、第2伝達棒8550と第1伝達部材8610の本体板部8611の最外径面(外周面)が当接することから、第2伝達棒8550は本体板部8611に下降を規制され、図147(c)で図示される位置のまま留まる。
図147(e)では、図147(d)から第1伝達部材8610が反時計回りに回転し、縮径部8614が第2伝達棒8550Aと対向配置された状態が図示される。この状態では、図147(d)に示す状態と比較して、縮径部8614と本体板部8611との差分だけ第2伝達棒8550Aが下降動作する。一方で、残りの第2伝達棒8550B,8550Cは、図147(d)に示す位置のまま留まる。
図147(f)では、図147(e)から第1伝達部材8610が反時計回りに回転し、縮径部8614が第2伝達棒8550Bと対向配置された状態が図示される。この状態では、図147(e)に示す状態と比較して、縮径部8614と本体板部8611との差分だけ第2伝達棒8550Bが下降動作する。一方で、残りの第2伝達棒8550Cは、図147(e)に示す位置のまま留まる。
図147(f)に示す状態から、第1伝達部材8610が更に同方向に回転を継続すると、図147(a)に示す状態に戻るので、第2伝達棒8550Cも、図147(f)に示す位置から下降動作する。
従って、伝達装置8600により、第2伝達棒8550A〜8550Cを上昇動作させる場合には、各第2伝達棒8550A〜8550Cを同時に上昇動作させ、下降動作させる場合には、入球側から第2伝達棒8550A〜8550Cを順に下降動作させることができる。即ち、第2伝達棒8550A〜8550Cの動作方向に併せて、動作態様(動作順序)を切り替えることができる。
本実施形態によれば、伝達突起8613の配置に対する第2伝達部材8620の配置が1対1で対応する。そのため、例えば、部材同士の擦れの有無により互いの配置がずれる場合に対して、擦れの程度を希望の範囲に収めるための対策を不要とすることができる。また、第2伝達部材8620を第1伝達部材8610に連動させる際に、動作速度の高低に関わらず、高精度に連動させることができる。
次いで、内部流路INR8について説明する。図148は、図131のCXLVIII−CXLVIII線における入賞前流下装置8500の断面図である。なお、図148では、内部流路INR8の外方側に配置される退避状態とされた出没部材8520が実線で図示されると共に、内方側に配置される張出状態とされた出没部材8520が想像線で図示される。また、実線で図示された状態が、図147(a)の状態に対応する。なお、内部流路INR8は、振分装置8543(図133参照)に振り分けられた球が流下する一対の流路を指すが、図148においては、その一方(図131左側)の流路について説明する。
図148に示すように、内部流路INR8は、下側面が延設床部8544の上面8544aで、正面側面が表側装置8510の本体板部8511で、背面側面が裏側装置8540の本体板部8541で、それぞれ構成される流路である。なお、図148には図示されないが、上側面が天井板部8542により形成され、流路が構成される。
内部流路INR8は、延設床部8544により球が転動可能とされる範囲の内、入球位置Startから到達位置Goalまで図148左右方向に延びる区間として構成される。即ち、内部流路INR8は、出没部材8520Aと対向配置される第1領域Rtと、出没部材8520Bと対向配置される第2領域Rmと、出没部材8520Cと対向配置される第3領域Rbとにより構成され、内部流路INR8から排出されるとの記載は、第3領域Rbから排出されることを意味する。
図148に示すように、延設床部8544の上面8544aは、前後に広く(球が複数個配置可能な程度に広く)形成され、その前後方向の中間位置に、延設床部8544の延設方向に沿って断面凹状に延設される凹設溝8544bを備える。
延設床部8544の下方端部(図148左側端部)では、球が前後方向に2個並べる長さの長孔8544cが形成されることから、延設床部8544の下方端部に球が複数個同時に到達した場合であっても、球詰まりが生じることを抑制することができる。
長孔8544cを通過した球は、その下方の流路から遊技盤8013(図131参照)の正面側に排出され、開放状態の可動片190aの上面を転動し、可動入球役物装置190に入球可能とされる。
内部流路INR8を転動する球の流下態様について説明する。まず、出没部材8520が退避状態(図148における実線の状態)の場合、凹設溝8544bに案内され転動する球と出没部材8520とが当接することが無いので、球は凹設溝8544bを転動し、内部流路INR8を第1経路RFに沿って図148左右方向に転動する。
出没部材8520の退避状態においても、出没部材8520の先端が表側装置8510及び裏側装置8540から内部流路INR8側に張り出している。凹設溝8544bから外れた位置を転動する球は、出没部材8520の張り出した部分と当接することにより、はね返され、凹設溝8544b側へ弾き返される。即ち、退避状態の出没部材8520により、凹設溝8544bから外れて流下する球を凹設溝8544b側へ寄せることができる。即ち、出没部材8520の退避状態において、球が凹設溝8544bから外れて流下することを抑制することができる。
一方、出没部材8520が張出状態(図148における想像線の状態)の場合、凹設溝8544bに到達する度に球は凹設溝8544bに案内されそうになるものの、出没部材8520と球とが当接することにより第1経路RFから離れ、出没部材8520を避けて前後に屈曲する第2経路RSに沿って転動する。
図148に示すように、球の流下経路は、第1経路RFと第2経路RSとにより構成される。本実施形態では、第1経路RFと第2経路RSとは、凹設溝8544b上で交差するところ、その交差位置を頂点として第1経路RFと第2経路RSとで形成される三角形が正三角形となるように、出没部材8520の配置および内部流路INR8の形状が設定される。そのため、例えば、球が減速せずに転動するとの仮定において、第1経路RFと第2経路RSとの交差位置まで球が転動する場合、第2経路RSを流下する場合の時間は、第1経路RFを流下する場合の時間の2倍となる。これは、正三角形の2辺を伝って流下するか、1辺を伝って流下するかの違いである。即ち、本実施形態では、出没部材8520が退避状態なのか、張出状態なのかにより、球の流下に要する時間を変化させることができる。
図149は、図131のCXLVIII−CXLVIII線における入賞前流下装置8500の断面図である。なお、図149では、全ての出没部材8520が張出状態とされた場合が図示される。また、図149に示す状態が、図147(b)で図示される状態に対応する。
図149に示す状態では、内部流路INR8に入球した球は、出没部材8520に流下経路を規定され、第2経路RSに沿って内部流路INR8を流下する。即ち、前後方向に屈曲しながら、前後方向と垂直な左右方向成分の速度により内部流路INR8の延設方向に流下する。
従って、球の流下速度が変わらないとしても、球の流下する向きが切り替わるので、球が凹設溝8544bに沿って左方へ流下する場合に比較して内部流路INR8を通過するまでに要する時間が長くなる。
換言すると、第2経路RSを流下する場合、球の流下方向が前後方向成分も有することになり、左右方向成分が第1経路RFを流下する場合の半分になるので、球が第2経路RSを流下する場合、球が第1経路RFを流下する場合に比較して、2倍の時間を要する。
なお、本実施形態では、出没部材8520が張出状態とされた場合であっても、球を停止させることは無く、あくまで球の左右方向の速度を減速させる(球を遅延させる)。そのため、球を停止させる場合に比較して、複数個の球が連続して天部開口8512(図132参照)に入球したとしても、先に入球した球により後から入球する球の入球が阻害される可能性を低くすることができる。
これにより、天部開口8512を常時、球が入球可能な状態としながら、球の作用で次の球が入球できなくなることを防止することができると共に、天部開口8512への入球を所定時間間隔で規制するストッパ装置の配設を不要とすることができる。
図150は、図131のCXLVIII−CXLVIII線における入賞前流下装置8500の断面図である。なお、図150では、天部開口8512側の出没部材8520Aのみが退避状態とされ、残りの出没部材8520B,8520Cが張出状態とされる。また、図150に示す状態が、図147(e)で図示される状態に対応する。
図150に示す状態では、内部流路INR8に入球した球は、出没部材8520Aと対向配置される第1領域Rtでは第1経路RFを流下する一方で、出没部材8520Bと対向配置される第2領域Rm及び出没部材8520Cと対向配置される第3領域Rbでは、出没部材8520に流下経路を規定され、第2経路RSに沿って内部流路INR8を流下する。
即ち、内部流路INR8に入球してすぐは左右方向に最短距離で流下する一方で、途中から球が遅くなる(屈曲することで左右方向へ向けた球の速度成分が小さくなる)態様で球が流下する。
図151は、図131のCXLVIII−CXLVIII線における入賞前流下装置8500の断面図である。なお、図151では、天部開口8512側の出没部材8520A,8520Bが退避状態とされ、残りの出没部材8520Cが張出状態とされる。また、図151に示す状態が、図147(f)で図示される状態に対応する。
図151に示す状態では、内部流路INR8に入球した球は、出没部材8520Aと対向配置される第1領域Rt及び出没部材8520Bと対向配置される第2領域Rmでは第1経路RFを流下する一方で、出没部材8520Cと対向配置される第3領域Rbでは、出没部材8520に流下経路を規定され、第2経路RSに沿って内部流路INR8を流下する。
即ち、内部流路INR8に入球してすぐは左右方向に最短距離で流下する一方で、途中から球が遅くなる(屈曲することで左右方向へ向けた球の速度成分が小さくなる)態様で球が流下する。
本実施形態では、図148から図151へ順に図示した状態変化が、内部流路INR8を球が通過しきるのに要する時間よりも短い間隔で生じる。そのため、球が内部流路INR8を流下している途中で出没部材8520の状態が変化することになり、球の流下経路がリアルタイムで切り替えられることになる。これにより、球の間隔を縮めることができ、連球(連なって流下する球)を形成することができる。なお、その詳細は後述する。
図152は、図148のCLII−CLII線における入賞前流下装置8500の部分断面図である。なお、図152では、伝達装置8600の図示が省略される。
図152に示すように、、組立状態において、出没部材8520及び伝達棒8530が本体板部8511と裏側装置8540との間の空間に配設される。
裏側装置8540の延設床部8544は、凹設溝8544bの内側において、その凹設溝8544bよりも小さな幅の断面矩形状に図152下方(延設床部8544の上面8544aと垂直な方向)へ穿設される支持長孔8544dと、その支持長孔8544dの内側に上下に移動可能に支持されると共に第2伝達棒8550に下支えされる張出部材8544eと、を備える。
張出部材8544eは、第2伝達棒8550の上下動に伴い上下動し、その上端部が凹設溝8544bの下側面から上方へ張り出す場合と、凹設溝8544bの下側面の下方へ没する場合との両方を形成可能な形状から構成される。
図153は、図148のCLII−CLII線における入賞前流下装置8500の部分断面図である。なお、図153では、伝達棒8530及び第2伝達棒8550が移動範囲の上端位置(図147(b)参照)に配置された状態が図示される。
図153に示すように、伝達棒8530及び第2伝達棒8550が移動範囲の上端位置に配置されると、出没部材8520が張出状態となると共に、張出部材8544eが凹設溝8544bの下側面から上方へ張り出す張出状態を形成する。
張出部材8544eは、凹設溝8544bに案内されて転動する球の下端部と干渉する位置まで張り出す。これにより、球を凹設溝8544bから押し出すことができ、凹設溝8544bによる案内効果を消失させることができる(球を凹設溝8544bと交差する方向に押し出すことに要する負荷を低減させることができる)。
また、張出部材8544eは、張出状態において、上面8544aよりも下方に配置される。そのため、凹設溝8544bと交差する方向に流下する球との衝突を極力避けることができる。
図152及び図153に示すように、出没部材8520の退避状態から張出状態への移動は、水平方向(前後方向、図153左右方向)に行われる。そのため、出没部材8520の移動時に、重力により生じる抵抗を低減することができる。
本実施形態では、上述したように、傾斜面8533,8553の傾斜角度が、前後方向(図152左右方向)に対して緩めに設定されるので、図152及び図153に示す状態の状態変化において、出没部材8520が移動する距離(前後方向距離)に比較して、各伝達棒8530,8550が移動する距離(図152上下方向距離)を短くすることができる。これにより、出没部材8520の状態変化の視認による把握に比較して、各伝達棒8530,8550の状態変化の視認による把握を困難とすることができる。
図154は、図148のCLII−CLII線における入賞前流下装置8500の部分断面図である。なお、図154では、図153に示す状態から伝達棒8530及び第2伝達棒8550が移動範囲の下端位置(図147(a)参照)に移動した後の状態が図示される。
図154に示すように、伝達棒8530及び第2伝達棒8550が移動範囲の下端位置まで移動すると、移動方向が水平方向に限定される出没部材8520は張出状態のまま維持され、移動方向が上下に沿った方向である張出部材8544eは下支えする第2伝達棒8550の下降に伴って凹設溝8544bの下側面の下方へ没する退避状態を形成する。
図153に示す状態と、図154に示す状態とは、出没部材8520の配置は同じであるが、出没部材8520が球に与える作用が異なる。即ち、図153では、内部流路INR8を流下する球と出没部材8520とが衝突した後、出没部材8520は張出状態を維持し位置が固定されるが、図154では、内部流路INR8を流下する球と出没部材8520とが衝突すると、出没部材8520を後方から支える部材が無いことから、出没部材8520は球からの負荷により退避状態の位置へ向けて変位する。
また、上述したように、本実施形態では、本体板部8511の正面側側面に施される非透過の装飾により、遊技者が各伝達棒8530,8550の位置を把握することが防止される。従って、遊技者が、図153に示す状態と、図154に示す状態とを区別することができない。
そのため、出没部材8520が張出状態とされ、遊技者からは同様の状態として視認されたとしても、図153に示す状態では、球は内部流路INR8を第2経路RSで流下する一方で、図154に示す状態では、球は内部流路INR8を第1経路RFで流下する。従って、球が内部流路INR8を流下する際の流下態様を遊技者が予想することを困難とすることができる。これにより、出没部材8520の状態を視認して、それを目印に球を発射し、内部流路INR8に球を入球させるタイミングを図る遊技者に対して、狙いのタイミングを定めることを困難とすることができる。
各出没部材8520の組は、別々のタイミングで動作するので(図147参照)、図153と図154との違いが、各出没部材8520の組で異なったタイミングで生じることになる。そのため、遊技者が出没部材8520の状態を視認して打ち出しのタイミングを定めることを更に困難とすることができる。
図154に示す状態において、張出部材8544eは、凹設溝8544bに案内されて転動する球の下端部と干渉することは無い。そのため、凹設溝8544bによる球の案内効果(凹設溝8544bに案内される球を、凹設溝8544bの延設方向と交差する方向に移動させる際に要する押圧力を十分に確保する効果)を維持することができる。従って、出没部材8520と球とが衝突し、出没部材8520を退避状態へ押し込む最中に、出没部材8520から球へ与えられる負荷により球が凹設溝8544bから外れる可能性を低くすることができ、安定して球を第1経路RFで流下させることができる。
図155は、図148のCLV−CLV線における入賞前流下装置8500の部分断面図である。なお、図155では、伝達装置8600の図示が省略される。
図155に示すように、組立状態において、出没部材8520及び第2伝達棒8550が裏側装置8540の本体板部8541と後蓋部材8545との間の空間に配設される。なお、第2伝達棒8550が上下動作した場合の出没部材8520に与える作用は、図152から図154で説明した作用と同様なので、ここでは説明を省略する。
次いで、図156を参照して、本実施形態における第1の作動パターンの出没部材8520の動作およびそれに伴い変化する内部流路INR8を球が通過するのに要する時間の長さについて説明する。なお、以下では、第2伝達棒8550Aに当接動作する出没部材8520を出没部材8520Aと、第2伝達棒8550Bに当接動作する出没部材8520を出没部材8520Bと、第2伝達棒8550Cに当接動作する出没部材8520を出没部材8520Cとも称する。
図156(a)は、第1の作動パターンにおける出没部材8520Aの計時変化を示した図であり、図156(b)は、第1の作動パターンにおける出没部材8520Bの計時変化を示した図であり、図156(c)は、第1の作動パターンにおける出没部材8520Cの計時変化を示した図である。
なお、図156(a)から図156(c)までの図において、横軸は、第1伝達部材8610の位相変化として示される。即ち、図147(b)から反時計回りに約5度回転させた状態を0度として、そこから反時計回りに回転した際の回転角度が、図156(a)から図156(c)までの横軸の数値に対応する。なお、本実施形態では、8秒間で1回転の速度(1秒間で45度の速度)で第1伝達部材8610が駆動モータKM1に動作制御されるので、図156(a)から図156(c)までの横軸の数値を対応する角度(45度)で割った数値が、状態変化に要した秒数を表す。
MPU201(図4参照)は、電源投入からの一定動作として、以下で説明する第1の作動パターンで出没部材8520を動作制御可能とされる。以下、電源投入後に行われる出没部材8520の動作制御について説明する。
<第1の作動パターンで動作する場合>
図156(a)から図156(c)までに示すように、第1伝達部材8610の回転角度が0度から180度となるまでの間(4秒間)は、各出没部材8520A〜8520Cは張出状態を維持する。
次いで、図156(a)に示すように、第1伝達部材8610の回転角度が225度となると、出没部材8520Aが、張出状態から退避状態に状態変化する。次いで、図156(b)に示すように、第1伝達部材8610の回転角度が270度となると、出没部材8520Bが、張出状態から退避状態に状態変化する。次いで、図156(c)に示すように、第1伝達部材8610の回転角度が315度となると、出没部材8520Cが、張出状態から退避状態に状態変化する。次いで、第1伝達部材8610の回転角度が355度となると、各出没部材8520A〜8520Cが退避状態から張出状態に状態変化する。出没部材8520は、上述した状態変化を8秒周期で繰り返している。
次いで、図157を参照して、内部流路INR8を球が流下する態様について説明する。図157(a)から図157(g)は、内部流路INR8とその内部流路INR8を通過する球を模式的に示した模式図である。図157(a)では、第1伝達部材8610の回転角度が180度の状態が図示され、図157(a)に続く図157(b)から図157(g)には、第1伝達部材8610の回転角度が22.5度(0.5秒)間隔で順にずれたタイミングの状態が図示される。
即ち、図157(b)では、第1伝達部材8610の回転角度が202.5度の状態が、図157(c)では、第1伝達部材8610の回転角度が225度の状態が、図157(d)では、第1伝達部材8610の回転角度が247.5度の状態が、図157(e)では、第1伝達部材8610の回転角度が270度の状態が、図157(f)では、第1伝達部材8610の回転角度が292.5度の状態が、図157(g)では、第1伝達部材8610の回転角度が315度の状態が、それぞれ図示される。
図157(a)から図157(g)までは、時系列で記載されており、それぞれ内部流路INR8に新たに入球した球が順に追加される。即ち、内部流路INR8に間を空けず入球するパターンとして、0.5秒ごとに内部流路INR8に入球する球を球P1〜P7と称して説明を行う。
なお、図157において、内部流路INR8の各位置に対応する第2伝達棒8550の状態が6マスに仕切られた長方形により模式的に図示される。即ち、対向配置される第2伝達棒8550が内部流路INR8の下方に左右方向に3区分で図示され、各区分において、上側のマスに網掛けがある場合には、その位置の第2伝達棒8550が移動範囲の上端位置に配置され、下側のマスに網掛けがある場合には、その位置の第2伝達棒8550が移動範囲の下端位置に配置される。
本実施形態では、内部流路INR8を球が通過するのに要する時間は、第1経路RFで流下する場合には1.5秒間に、第2経路RSで流下する場合には3.0秒間に設定される。換言すれば、図157(a)から図157(g)において、第1経路RFと第2経路RSとの交差する点を頂点として形成される正三角形の一辺を球が通過するのに要する時間が0.25秒間であり、第1経路RFで流下する場合には6本の一辺を通り(0.25×6=1.5)、第2経路RSで流下する場合には12本の一辺を通る(0.25×12=3.0)態様で設定される。なお、理解を容易とするために、内部流路INR8を通過する球の跳ね返り係数を1と仮定して(球の流下速度は跳ね返りで変化しないと仮定して)説明を行う。
なお、実際の検討により球の跳ね返り係数を1未満の値として検討する場合、第2流路RSで跳ね返るながら流下する球の速度が跳ね返りにより低下するので、第1流路RFで流下する球との関係で、より連球を形成し易くすることができる。即ち、跳ね返り係数を1と仮定した検討により、最も連球を形成し難い条件における検討を行うことができる。
図157(a)では、第1伝達部材8610が回転角度180度の際に内部流路INR8に入球した球P1が図示される。なお、球P1の下流側において、各出没部材8520が張出状態とされるので、球P1は第2経路RSで流下を開始する。
図157(b)では、球P1の入球から0.5秒経過後に内部流路INR8に入球した球P2が図示される。このとき、第1伝達部材8610が回転角度202.5度となる。球P1に続いて入球する球P2は、振分装置8543(図139(a)参照)により球P1の反対側に振り分けられ、反対側(図157右側)の内部流路INR8に入球する。なお、球P2の下流側において、各出没部材8520が張出状態とされるので、球P2は第2経路RSで流下を開始する。
図157(c)では、球P2の入球から0.5秒経過後に内部流路INR8に入球した球P3が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度は225度となる。なお、球P3の下流側において、出没部材8520Aが退避状態とされるので、球P3は少なくとも第1領域Rtを第1経路RFで流下する。また、球P2の下流側において、出没部材8520Aが退避状態とされるので、球P2は少なくとも第1領域Rtを第1経路RFで流下する。
図157(d)では、球P3の入球から0.5秒経過後に内部流路INR8に入球した球P4が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度247.5度となる。なお、球P4の下流側において、出没部材8520Aが退避状態とされるので、球P4は少なくとも第1領域Rtを第1経路RFで流下する。
また、球P2は、第1領域Rtを第1経路RFで流下し第2領域Rmに侵入したが、第2領域Rmでは出没部材8520Bが未だ張出状態となっていたため、第2領域Rmでは第2経路RSで流下した結果、図157(d)に示す位置まで移動した。即ち、図157(c)から図157(d)までの0.5秒間の内、先の0.25秒間で第1領域Rtを通過しきり、後の0.25秒間で第2領域Rmを流下した結果として図示される。
なお、図157(d)の時点で、球P1と球P3との間隔が、1秒間の間隔から0.5秒間の間隔に縮小された。
図157(e)では、球P4の入球から0.5秒経過後に内部流路INR8に入球した球P5が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度270度となる。なお、球P5の下流側において、出没部材8520A,8520Bが退避状態とされるので、球P5は少なくとも第1領域Rt及び第2領域Rmを第1経路RFで流下する。
なお、図157(e)の時点で、球P1と球P3との間隔が0.5秒間の間隔から0.25秒間の間隔に縮小された。また、球P2と球P4との間隔が、1秒間の間隔から0.5秒間の間隔に縮小された。
図157(f)では、球P5の入球から0.5秒経過後に内部流路INR8に入球した球P6が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度292.5度となる。なお、球P6の下流側において、出没部材8520A,8520Bが退避状態とされるので、球P6は少なくとも第1領域Rt及び第2領域Rmを第1経路RFで流下する。
また、球P3は、第2領域Rmを第1経路RFで流下し第3領域Rbに侵入したが、第3領域Rbでは出没部材8520Cが未だ張出状態となっていたため、第3領域Rbでは第2経路RSで流下した結果、図157(f)に示す位置まで移動した。即ち、図157(e)から図157(f)までの0.5秒間の内、先の0.25秒間で第2領域Rmを通過しきり、後の0.25秒間で第3領域Rbを流下した結果として図示される。
なお、図157(f)の時点で、球P2と球P4との間隔が、0.5秒間の間隔から0.25秒間の間隔に縮小された。
図157(g)では、球P6の入球から0.5秒経過後に内部流路INR8に入球した球P7が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度315度となる。なお、球P7の下流側において、出没部材8520A,8520B,8520Cが退避状態とされるので、球P7は第1経路RFで流下開始する。
なお、図157(g)の時点で、球P3と球P5との間隔が、1秒間の間隔から0.5秒間の間隔に縮小された。
図157(g)の時点で、球P1が内部流路INR8から排出される。そして、球P2,P3,P4は、球P1の排出から0.25秒間で内部流路INR8から排出され、球P5は、球P2,P3,P4の排出から0.25秒間(球P1の排出から0.5秒間)で内部流路INR8から排出される。
即ち、0.25秒間に4球をまとめて(0.5秒間に5球をまとめて)内部流路INR8から排出することができる。第1実施形態で上述したように、可動片190aの開放時間は約0.5秒間なので、可動片190aの開放タイミングと内部流路INR8からの球の排出タイミングとを上手く合わせることができれば、可動片190aが一回開放する間に、複数個(図157によれば最大5個)の球を可動入球役物装置190に入球させることができる。これにより、可動入球役物装置190への同時入賞を、偶発的にではなく、入賞前流下装置8500の制御を利用して生じさせることができ、同時入賞の可能性を高めることができる。従って、同時入賞の期待感を高めることができ、同時入賞に深く関わる入賞前流下装置8500の注目力を向上させることができる。
図157に示すように、内部流路INR8に入球した球は、その入球順に並ぶ。即ち、後から入球した球は、先に入球した球の上流側に保持される事になる。これにより、天部開口8512に入球する順序と、内部流路INR8から排出される順序とが入れ替わることを防止することができる。
その上で、出没部材8520A〜8520Cが、退避状態から張出状態となるときには一斉に張り出す一方で、張出状態から退避状態となるときには球が入球する側から順に動作することにより、内部流路INR8の内部において、同時点で、先に入球した球の速度の内部流路INR8延設方向成分を、後から入球した球の速度の内部流路INR8延設方向成分以下とすることができる。
換言すると、内部流路INR8の内部において、第2経路RSで流下する球の上流側において、球は第1経路RFでも第2経路RSでも流下することが可能とされる一方で、第1経路RFで流下する球の上流側において、球が第2経路RSで流下することを防止する構造とすることができる。
これにより、内部流路INR8を流下する球同士の関係において、球の間隔が広がることを防止することができると共に、球の間隔を徐々に縮めることができる。これにより、内部流路INR8を流下する球が連なることに対する期待感を高めることができる。
以下、0.5秒間以内に内部流路INR8から排出される場合を「連球が形成された」と称して説明する(0.5秒ちょうどの場合を除く)。上述したように、球P1〜P4又は、球P2〜P5は、0.25秒間で内部流路INR8から排出されるので、第1の作動パターンにおいて、球P1〜P4、球P2〜P5で連球を形成することができる。
図158は、第1の作動パターンにおける球の内部流路INR8への入球タイミングと内部流路INR8を通過しきるのに要する時間の長さとの関係を示した図である。図158では、横軸が、第1伝達部材8610の位相変化として示される。即ち、図156と同様に、図147(b)から反時計回りに約5度回転させた状態を0として、そこから反時計回りに回転した際の回転角度が、図158の横軸の数値に対応する。なお、本実施形態では、8秒間で1回転の速度(1秒間で45度の速度)で第1伝達部材8610が駆動モータKM1に動作制御されるので、図158の横軸の数値を対応する角度(45度)で割った数値が、状態変化に要した秒数を表す。
図158では、縦軸が、各横軸のタイミングにおいて内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8から排出されるまでの時間を、横軸の数値22.5度間隔で示す。例えば、横軸が0度から180度までに内部流路INR8に入球した球は、流下する際に対向する出没部材8520が張出状態とされるので(図156参照)、内部流路INR8を第2経路RSで流下しきる場合に要する3秒間が縦軸の数値となる。
一方で、例えば、180度から360度までに内部流路INR8に入球した球は、流下する際に対向する出没部材8520が張出状態となる領域ばかりでは無く、退避状態とされる領域も有する。その領域では、球が第1経路RFで流下するので、第2経路RSで流下しきる場合に比較して、要する時間が短縮される。
詳細には、図157で説明したものを引用すると、横軸の数値180度で内部流路INR8に入球した球P1が内部流路INR8を流下しきるのに3秒間を要し、横軸の数値202.5度で内部流路INR8に入球した球P2が内部流路INR8を流下しきるのに2.75秒間を要し、横軸の数値225度で内部流路INR8に入球した球P3が内部流路INR8を流下しきるのに2.25秒間を要し、横軸の数値247.5度で内部流路INR8に入球した球P4が内部流路INR8を流下しきるのに1.75秒間を要し、横軸の数値270度で内部流路INR8に入球した球P5、及び横軸の数値292.5度で内部流路INR8に入球した球P6が内部流路INR8を流下しきるのに1.5秒間を要し、横軸の数値315度で内部流路INR8に入球した球P7が内部流路INR8を流下しきるのに2.0秒間を要し、同様の考え方で、横軸の数値337.5度で内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに2.5秒間を要する。
図158に示すように、球がいつ内部流路INR8に入球するかにより、内部流路INR8を球が流下しきるまでに要する時間を変化させることができると共に、その変化の度合いを短時間(本実施形態では4秒間)で連続的に変化させることで、内部流路INR8に異なったタイミングで入球した球同士で連球を形成する場合の、連球形成のし易さを入球タイミングにより変化させることができる。
例えば、1球目が上述した球P1であった場合、その後で球P1と0.5秒以内に内部流路INR8を排出される最後の球は球P4である(球P1入球から排出までの時間=3.0秒、球P1入球から球P4排出までの時間=球P1と球P4との入球タイミングの差1.5秒+球P4が内部流路INR8を流下しきる時間1.75秒=3.25秒、球P1入球から球P5排出までの時間=球P1と球P5との入球タイミングの差2秒+球P5が内部流路INR8を流下しきる時間1.5秒=3.5秒)ので、球P4が入球するまでの1.5秒間の間に球を内部流路INR8に入球させれば、連球を形成することができる。加えて、球P2,P3も入球させることができれば、4個の球を連球とすることができる。
一方で、1球目が上述した球P4であった場合、その後で球P4と0.5秒以内に内部流路INR8を排出される最後の球は球P5である(球P4入球から排出までの時間=1.75秒、球P4入球から球P5排出までの時間=球P4と球P5との入球タイミングの差0.5秒+球P5が内部流路INR8を流下しきる時間1.5秒=2.0秒、球P4入球から球P6排出までの時間=球P4と球P6との入球タイミングの差1秒+球P6が内部流路INR8を流下しきる時間1.5秒=2.5秒)ので、球P5が入球するまでの0.5秒間の間に次の球を内部流路INR8に入球させなければ連球を形成することができないので、2個の球を連球とすることが限界となると共に、連球を形成することの難易度が上昇する。
そのため、1球目を第1作動パターンのどのタイミングにおいて(出没部材8520A〜8520Cの張出および退避のパターンのどのタイミングにおいて)内部流路INR8に入球させられるかにより、連球を形成させる難易度が変化するので、連球を形成しようとする遊技者が、出没部材8520の動作タイミングを基に発射タイミングを決め、球を発射するという遊技をするように仕向けることができる。これにより、出没部材8520の注目力を向上させることができる。
例えば、全ての出没部材8520が張出状態となっているのを視認した上で球を発射することで、1球目を球P1として入球させ易くすることができることから、出没部材8520が全て張出状態であることを確認して、入賞前流下装置8500へ向けて球を発射するという遊技方法を、遊技者が選択することができる。
一方で、出没部材8520Aが退避を始めてから1球目を打ち出していたのでは連球を形成し難いことから、球を発射してから入賞前流下装置8500まで球が到達するまでの時間を加味して2球目が入ったとしても連球が形成し難いタイミングに入った場合には、打ち出しを一時止め、出没部材8520が全て張り出すタイミングになったら打ち出しを再開するという遊技方法を、遊技者が選択することができる。
即ち、出没部材8520の動作態様を確認することにより、連球を形成し易い打ち出しタイミングを遊技者が把握することができることになり、それにより球の打ち出しの態様を遊技者が選択できることになるので、入賞前流下装置8520を利用して連球を形成したいと考える遊技者の出没部材8520に対する注目力を向上させることができる。
図158に示すように、第1伝達部材8610の回転角度が202.5度から247.5度の範囲において、図158に示すグラフの傾きが最大となる。この範囲においては、グラフの傾きが、45度回転する間(1秒間)に球が排出されるまでに要する時間が1秒短縮される傾きとされる。即ち、内部流路INR8に入球した球が排出されるまでの時間の短縮分が、入球の時間差と等しくなるので、先に内部流路INR8に入球した球(例えば、球P2)に、後から内部流路INR8に入球した球(例えば、球P3)を追いつかせることができる。
なお、本実施形態によれば、球P2が球P3に追いつく場合であっても、振分装置8543(図133参照)により、球P2,P3が別流路に振り分けられることになるので、球P2,P3を互いに衝突させることなく、同時に一対の内部流路INR8の左右両端出口から排出させることができる。これは、球P3のタイミングで入球せず、球P2と球P4のタイミングで入球した場合も同様である。球P2と球P4とは、図157で示す態様とは異なり、別々の流路に振り分けられることで、互いの衝突を避けることができる。
一方、図157に示すように、球P2,P3,P4が全て入球した場合であっても、球P2と球P4とが同時に入球できる形状から長孔8544cが形成されるので、内部流路INR8の出口付近で球詰まりが生じることを防止することができる。
次いで、図159を参照して、本実施形態における第2の作動パターンの出没部材8520の動作およびそれに伴い変化する内部流路INR8を球が通過するのに要する時間の長さについて説明する。
第2の作動パターンでは、正面視左側の内部流路INR8において、出没部材8520が第1の作動パターンと同様の動作態様で動作する一方で、正面視右側の内部流路INR8において、出没部材8520が退避状態のまま固定される。
MPU201(図4参照)は、電源投入からの一定動作として、以下で説明する第2の作動パターンを、上述した第1の作動パターンの間に挿入する態様でも出没部材8520を動作制御可能とされる。即ち、予め設定された順序で、第1の作動パターン又は第2の作動パターンでの動作制御が進行する。以下、電源投入後に行われる出没部材8520の動作制御について説明する。
<第2の作動パターンで動作する場合>
図159(a)から図159(g)は、内部流路INR8とその内部流路INR8を通過する球を模式的に示した模式図である。図159(a)では、正面視左側の内部流路INR8に作用する第1伝達部材8610の回転角度が180度の状態が図示され、図159(a)に続く図159(b)から図159(g)には、第1伝達部材8610の回転角度が22.5度(0.5秒)間隔で順にずれたタイミングの状態が図示される。なお、図159(a)から図159(g)までにおいて、正面視右側の内部流路INR8に作用する第1伝達部材8610の回転角度は、315度から355度までの間の角度に維持される。
図159(a)から図159(g)までは、時系列順に記載されており、それぞれ内部流路INR8に新たに入球した球が順に追加される。即ち、内部流路INR8に間を空けず入球するパターンとして、0.5秒ごとに球が内部流路INR8に入球するものとして説明を行う。
なお、図159において、内部流路INR8の各位置に対応する第2伝達棒8550の状態が6マスに仕切られた長方形により模式的に図示される。即ち、対向配置される第2伝達棒8550が内部流路INR8の下方に左右方向に3区分で図示され、各区分において、上側のマスに網掛けがある場合には、その位置の第2伝達棒8550が移動範囲の上端位置に配置され、下側のマスに網掛けがある場合には、その位置の第2伝達棒8550が移動範囲の下端位置に配置される。
図159(a)では、第1伝達部材8610が回転角度180度の際に正面視左側の内部流路INR8に入球した球P1が図示される。なお、球P1の下流側において、各出没部材8520が張出状態とされるので、球P1は第2経路RSで流下を開始する。
図159(b)では、球P1の入球から0.5秒経過後に正面視右側の内部流路INR8に入球した球P2が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度202.5度となる。球P1に続いて入球する球P2は、振分装置8543(図139(a)参照)により球P1の反対側に振り分けられ、反対側(図159右側)の内部流路INR8に入球する。なお、球P2の下流側において、各出没部材8520が退避状態とされるので、球P2は第1経路RFで流下を開始する。
図159(c)では、球P2の入球から0.5秒経過後に正面視左側の内部流路INR8に入球した球P3が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度225度となる。なお、球P3の下流側において、出没部材8520Aが退避状態とされるので、球P3は少なくとも第1領域Rtを第1経路RFで流下する。
図159(d)では、球P3の入球から0.5秒経過後に正面視右側の内部流路INR8に入球した球P4が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度247.5度となる。なお、球P4の下流側において、出没部材8520Aが退避状態とされるので、球P4は第1経路RFで流下する。
なお、図159(d)の時点で、球P1と球P3との間隔が、1秒間の間隔から0.5秒間の間隔に縮小された。
図159(e)では、球P4の入球から0.5秒経過後に正面視左側の内部流路INR8に入球した球P5が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度270度となる。なお、球P5の下流側において、出没部材8520A,8520Bが退避状態とされるので、球P5は少なくとも第1領域Rt及び第2領域Rmを第1経路RFで流下する。
なお、図159(e)の時点で、球P1と球P3との間隔が0.5秒間の間隔から0.25秒間の間隔に縮小された。一方、球P2と球P4との間隔は、1秒間のまま変化していない。
図159(f)では、球P5の入球から0.5秒経過後に正面視右側の内部流路INR8に入球した球P6が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度292.5度となる。なお、球P6の下流側において、出没部材8520が退避状態とされるので、球P6は第1経路RFで流下する。
また、球P3は、第2領域Rmを第1経路RFで流下し第3領域Rbに侵入したが、第3領域Rbでは出没部材8520Cが未だ張出状態となっていたため、第3領域Rbでは第2経路RSで流下した結果、図159(f)に示す位置まで移動した。即ち、図159(e)から図159(f)までの0.5秒間の内、先の0.25秒間で第2領域Rmを通過しきり、後の0.25秒間で第3領域Rbを流下した結果として図示される。
図159(g)では、球P6の入球から0.5秒経過後に正面視左側の内部流路INR8に入球した球P7が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度315度となる。なお、球P7の下流側において、出没部材8520A,8520B,8520Cが退避状態とされるので、球P7は第1経路RFで流下開始する。
なお、図159(g)の時点で、球P3と球P5との間隔が、1秒間の間隔から0.5秒間の間隔に縮小された。
図159(g)の時点で、球P1が内部流路INR8から排出される。そして、球P4は、球P1と同時に正面視右側の内部流路INR8から排出され、球P3は、球P1の排出から0.25秒間で内部流路INR8から排出される。また、球P5は、球P3の排出から0.25秒間(球P1,P4の排出から0.5秒間)で内部流路INR8から排出される。
即ち、0.25秒間に3球をまとめて(0.5秒間に4球をまとめて)内部流路INR8から排出することができる。第1実施形態で上述したように、可動片190aの開放時間は約0.5秒間なので、可動片190aの開放タイミングと内部流路INR8からの球の排出タイミングとを上手く合わせることができれば、可動片190aが一回開放する間に、複数個(図159によれば最大3個)の球を可動入球役物装置190に入球させることができる。これにより、可動入球役物装置190への同時入賞を、偶発的にではなく、入賞前流下装置8500の制御を利用して生じさせることができ、同時入賞の可能性を高めることができる。従って、同時入賞の期待感を高めることができ、同時入賞に深く関わる入賞前流下装置8500の注目力を向上させることができる。
ここで、可動入球役物装置190に入球させることができる球の最大個数は、第1の作動パターン(4個)に比較して、第2の作動パターン(3個)の方が、少なくなる。一方で、左側の出没部材8520の動作態様は、第1の作動パターンと同様である。そのため、遊技者は、左側の出没部材8520の動作態様の確認に加えて、右側の出没部材8520の動作態様も確認しなければ、入賞前流下装置8500に1球目の球が入球したタイミングと、連球を形成可能な球の個数の最大値との関係を正確に把握することが困難となる。これにより、左右一対の両方の出没部材8520に対する注目力を向上させることができる。
また、両方の動作態様を確認することを実質上困難とすることで、入賞前流下装置8500に1球目を入球させる最善のタイミングを確実に把握することを困難とでき、パチンコ機10が攻略(例えば、可動入球役物装置190に高確率で球を連ねて入球)される可能性を低減することができる。
次いで、図160を参照して、第2の作動パターンで出没部材8520が動作する場合に、1球目の球P1が上面視右側の内部流路INR8に入球した場合について説明する。
図160(a)から図160(g)は、内部流路INR8とその内部流路INR8を通過する球を模式的に示した模式図である。図160(a)では、正面視左側の内部流路INR8に作用する第1伝達部材8610の回転角度が180度の状態が図示され、図160(a)に続く図160(b)から図160(g)には、第1伝達部材8610の回転角度が22.5度(0.5秒)間隔で順にずれたタイミングの状態が図示される。なお、図160(a)から図160(g)までにおいて、正面視右側の内部流路INR8に作用する第1伝達部材8610の回転角度は、315度から355度までの間の角度に維持される。
図160(a)から図160(g)までは、時系列順に記載されており、それぞれ内部流路INR8に新たに入球した球が順に追加される。即ち、内部流路INR8に間を空けず入球するパターンとして、0.5秒ごとに球が内部流路INR8に入球するものとして説明を行う。
なお、図160において、内部流路INR8の各位置に対応する第2伝達棒8550の状態が6マスに仕切られた長方形により模式的に図示される。即ち、対向配置される第2伝達棒8550が内部流路INR8の下方に左右方向に3区分で図示され、各区分において、上側のマスに網掛けがある場合には、その位置の第2伝達棒8550が移動範囲の上端位置に配置され、下側のマスに網掛けがある場合には、その位置の第2伝達棒8550が移動範囲の下端位置に配置される。
図160(a)では、第1伝達部材8610が回転角度180度の際に正面視右側の内部流路INR8に入球した球P1が図示される。なお、球P1の下流側において、各出没部材8520が退避状態とされるので、球P1は第1経路RFで流下を開始する。
図160(b)では、球P1の入球から0.5秒経過後に正面視左側の内部流路INR8に入球した球P2が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度202.5度となる。球P1に続いて入球する球P2は、振分装置8543(図139(a)参照)により球P1の反対側に振り分けられ、反対側(図160左側)の内部流路INR8に入球する。なお、球P2の下流側において、各出没部材8520が張出状態とされるので、球P2は第2経路RSで流下を開始する。
図160(c)では、球P2の入球から0.5秒経過後に正面視右側の内部流路INR8に入球した球P3が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度225度となる。なお、球P3の下流側において、出没部材8520が退避状態とされるので、球P3は第1経路RFで流下する。
図160(d)では、球P3の入球から0.5秒経過後に正面視左側の内部流路INR8に入球した球P4が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度247.5度となる。なお、球P4の下流側において、出没部材8520Aが退避状態とされるので、球P4は、少なくとも第1領域Rtにおいて第1経路RFで流下する。
図160(e)では、球P4の入球から0.5秒経過後に正面視右側の内部流路INR8に入球した球P5が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度270度となる。なお、球P5の下流側において、出没部材8520が退避状態とされるので、球P5は第1経路RFで流下する。
なお、図159(e)の時点で、球P1と球P3との間隔は1秒間のまま変化しておらず、球P2と球P4との間隔は1.0秒間の間隔から0.75秒間の間隔に縮小された。
図160(f)では、球P5の入球から0.5秒経過後に正面視左側の内部流路INR8に入球した球P6が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度292.5度となる。なお、球P6の下流側において、出没部材8520が退避状態とされるので、球P6は第1経路RFで流下する。
図160(g)では、球P6の入球から0.5秒経過後に正面視右側の内部流路INR8に入球した球P7が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度315度となる。なお、球P7の下流側において、出没部材8520が退避状態とされるので、球P7は第1経路RFで流下する。
図160(g)の0.25秒後の時点で、球P2が内部流路INR8から排出される。そして、球P4は、球P2と同時に正面視左側の内部流路INR8から排出され、球P5は、球P2,P4の排出から0.25秒間で内部流路INR8から排出される。
即ち、0.25秒間に3球をまとめて(0.5秒間に3球をまとめて)内部流路INR8から排出することができる。第1実施形態で上述したように、可動片190aの開放時間は約0.5秒間なので、可動片190aの開放タイミングと内部流路INR8からの球の排出タイミングとを上手く合わせることができれば、可動片190aが一回開放する間に、複数個(図160によれば最大3個)の球を可動入球役物装置190に入球させることができる。これにより、可動入球役物装置190への同時入賞を、偶発的にではなく、入賞前流下装置8500の制御を利用して生じさせることができ、同時入賞の可能性を高めることができる。従って、同時入賞の期待感を高めることができ、同時入賞に深く関わる入賞前流下装置8500の注目力を向上させることができる。
ここで、図159に示す場合に連球が形成され始めるタイミング(第1伝達部材8610が回転角度315度となるタイミング)と、図160に示す場合に連球が形成され始めるタイミング(第1伝達部材8610が回転角度326.25度)とが異なるので、球P1として内部流路INR8に入球した球が左右どちらに振り分けられるかにより、連球が可動入球役物装置190に入球しやすい可動片190aの開放タイミングを異ならせることができる(0.25秒異ならせることができる)。これにより、本実施形態におけるパチンコ機10が攻略(例えば、可動入球役物装置190に高確率で球を連ねて入球)される可能性を低減することができる。
一方で、球P1がどちらに振り分けられる場合であっても、連球を形成する余地を残すことができるので、出没部材8520の動作態様によらず、球を打ち出し続ける遊技方法で遊技を行う遊技者が、過度に損をすることを防止することができる。
また、本作動のパターンによれば、球P1がどちらに振り分けられるかにより、連球を形成する球自体を変化させることができる。即ち、球P1が正面視左側の内部流路INR8に入球する場合には球P1,P3,P4により連球を形成させ(図159参照)、球P1が正面視右側の内部流路INR8に入球する場合には球P2,P4,P5により連球を形成させることができる(図160参照)。
従って、正面視左側の第1伝達部材8610の回転角度として、全く同じ複数のタイミング(例えば、球P1,P4のタイミング)で球を入賞前流下装置8500に入球させた場合であっても、球P1が左右のいずれの内部流路INR8に入球するかにより、球P4と連球を形成できるか否かを変化させることができる(この場合、球P1が正面視左側に入球した場合にのみ連球を形成することができる)。これにより、連球を形成できる入賞前流下装置8500への入球タイミングが固定化されることを防止することができ、パチンコ機10が攻略(例えば、可動入球役物装置190に高確率で球を連ねて入球)される可能性を低減することができる。
次いで、図161を参照して、本実施形態における第3の作動パターンの出没部材8520の動作およびそれに伴い変化する内部流路INR8を球が通過するのに要する時間の長さについて説明する。
第3の作動パターンでは、左右の出没部材8520が同様に出没動作することは第1の作動パターンと同様であるが、常時一定の動作速度ではなく、低速動作と、高速動作と、第1の作動パターンと同様の速度の動作とを順に繰り返す態様で動作制御される。
即ち、第1伝達部材8610が、回転角度が0度から225度となるまで第1の作動パターンと同様の速度で回転動作し、その後、2秒間経過する直前まで回転角度が225度から270度までの間に収められる低速動作(第1の作動パターンの速度の約0.5倍の速度での動作)で回転動作し、その後、回転角度が225度となってから2秒間経過する時点において回転角度が315度となる速度で高速動作され、その後、回転角度が360度となるまで第1の作動パターンと同様の速度で回転動作する(1回転で8秒間経過する)。
MPU201(図4参照)は、電源投入からの一定動作として、以下で説明する第3の作動パターンを、上述した第1の作動パターンの間に挿入する態様でも出没部材8520を動作制御可能とされる。即ち、予め設定された順序で、第1の作動パターン,第2の作動パターン又は第3の作動パターンが順次選択され、動作制御が進行する。以下、電源投入後に行われる出没部材8520の動作制御について説明する。
<第3の作動パターンで動作する場合>
図161(a)から図161(g)は、内部流路INR8とその内部流路INR8を通過する球を模式的に示した模式図である。図161(a)では、内部流路INR8に作用する第1伝達部材8610の回転角度が180度の状態が図示され、図161(a)に続く図161(b)から図161(g)には、本作動のパターンにおいて、0.5秒間隔で順にずれたタイミングの状態が図示される。
図161(a)から図161(g)までは、時系列順に記載されており、それぞれ内部流路INR8に新たに入球した球が順に追加される。即ち、内部流路INR8に間を空けず入球するパターンとして、0.5秒ごとに球が内部流路INR8に入球するものとして説明を行う。
なお、図161において、内部流路INR8の各位置に対応する第2伝達棒8550の状態が6マスに仕切られた長方形により模式的に図示される。即ち、対向配置される第2伝達棒8550が内部流路INR8の下方に左右方向に3区分で図示され、各区分において、上側のマスに網掛けがある場合には、その位置の第2伝達棒8550が移動範囲の上端位置に配置され、下側のマスに網掛けがある場合には、その位置の第2伝達棒8550が移動範囲の下端位置に配置される。
図161(a)では、第1伝達部材8610が回転角度180度の際に内部流路INR8に入球した球P1が図示される。なお、球P1の下流側において、各出没部材8520が張出状態とされるので、球P1は第2経路RSで流下を開始する。
図161(b)では、球P1の入球から0.5秒経過後に内部流路INR8に入球した球P2が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度202.5度となる。球P1に続いて入球する球P2は、振分装置8543(図139(a)参照)により球P1の反対側に振り分けられ、反対側(図161右側)の内部流路INR8に入球する。なお、球P2の下流側において、各出没部材8520が張出状態とされるので、球P1は第2経路RSで流下を開始する。
図161(c)では、球P2の入球から0.5秒経過後に内部流路INR8に入球した球P3が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度225度となる。なお、球P3の下流側において、出没部材8520Aが退避状態とされるので、球P3は少なくとも第1領域Rtを第1経路RFで流下する。
図161(d)では、球P3の入球から0.5秒経過後に内部流路INR8に入球した球P4が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度225度となってから0.5秒が経過している。なお、球P4の下流側において、出没部材8520Aが退避状態とされるので、球P4は少なくとも第1領域Rtを第1経路RFで流下する。なお、図161(d)の時点で、球P1と球P3との間隔が、1秒間の間隔から0.5秒間の間隔に縮小された。
図161(e)では、球P4の入球から0.5秒経過後に内部流路INR8に入球した球P5が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度225度となってから1.0秒が経過している。なお、球P5の下流側において、出没部材8520Aが退避状態とされるので、球P5は少なくとも第1領域Rtを第1経路RFで流下する。図161(e)の時点で、球P2と球P4との間隔が1.0秒間の間隔から0.75秒間の間隔に縮小された。
図161(f)では、球P5の入球から0.5秒経過後に内部流路INR8に入球した球P6が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度225度となってから1.5秒が経過している。なお、球P6の下流側において、出没部材8520Aが退避状態とされるので、球P6は少なくとも第1領域Rtを第1経路RFで流下する。
図161(g)では、球P6の入球から0.5秒経過後に内部流路INR8に入球した球P7が図示される。この時、第1伝達部材8610が回転角度315度となる。なお、球P7の下流側において、出没部材8520A,8520B,8520Cが退避状態とされるので、球P7は第1経路RFで流下開始する。図161(g)の時点で、球P4と球P6との間隔が、1秒間の間隔から0.5秒間の間隔に縮小された。
図161(g)の時点で、球P1が内部流路INR8から排出される。そして、球P2,P3は、球P1の排出から0.25秒間で内部流路INR8から排出される。球P4は、球P2,P3の排出から0.25秒間で、球P1の排出から0.5秒間で内部流路INR8から排出される。球P5は、球P4の排出から0.25秒間で、球P2、P3の排出から0.5秒間で内部流路INR8から排出される。球P6は、球P5の排出から0.25秒間で、球P4の排出から0.5秒間で内部流路INR8から排出される。
即ち、0.25秒間に3球をまとめて(0.5秒間に4球をまとめて)内部流路INR8から排出することができる。第1実施形態で上述したように、可動片190aの開放時間は約0.5秒間なので、可動片190aの開放タイミングと内部流路INR8からの球の排出タイミングとを上手く合わせることができれば、可動片190aが一回開放する間に、複数個(図161によれば最大3個)の球を可動入球役物装置190に入球させることができる。これにより、可動入球役物装置190への同時入賞を、偶発的にではなく、入賞前流下装置8500の制御を利用して生じさせることができ、同時入賞の可能性を高めることができる。従って、同時入賞の期待感を高めることができ、同時入賞に深く関わる入賞前流下装置8500の注目力を向上させることができる。
ここで、可動入球役物装置190に入球させることができる球の最大個数は、第1の作動パターン(5個)に比較して、第3の作動パターン(4個)の方が、少なくなる。一方で、出没部材8520の動作態様は、第1の作動パターンと途中まで同様なので、遊技者は、出没部材8520の動作態様が、第1の作動パターンなのか、第3の作動パターンなのか、把握することが困難となる。これにより、出没部材8520の動作態様から予め球の流下態様を予想することを困難とでき、内部流路INR8を流下する球に対する注目力を向上させることができる。
また、球の打ち出し前に、出没部材8520が第1の作動パターンで動作しているのか、第3の作動パターンで動作しているのを確認することを実質上困難とすることで、入賞前流下装置8500に1球目を入球させる最善のタイミングを確実に把握することを困難とでき、パチンコ機10が攻略(例えば、可動入球役物装置190に高確率で球を連ねて入球)される可能性を低減することができる。
第1の作動パターンと第3の作動パターンとの連球形成における特徴について説明する。なお、特に、少なくとも2球を連ねることができる場合に着目し、本説明において、図157を適宜参照する。
第1の作動パターンでは、球P1及び球P4、又は球P2及び球P5で連球が形成できることから、連球形成に要する入賞前流下装置8500への球の入球間隔を長めに(最大1.5秒間)確保することができる。
これにより、例えば、入賞前流下装置8500へ向けて球を発射する場合に、2連続(0.6秒間隔)で発射した球(短い間隔で発射した球)に限らず、3連続で発射した球の先頭と末尾の球(長い間隔(1.2秒間隔)で発射した球、1球目と3球目)においても連球を形成することができる。これにより、連球形成の難易度を下げることができる。
一方で、第3の作動パターンでは、球P1及び球P3、又は球P2及び球P4での連球に留まるため、2連続(0.6秒間隔)で発射した球(短い間隔で発射した球)以外で連球を形成することは難しいが、第1の作動パターンと異なり、球P5が1球目となった場合であっても、球P6との連球を形成することができる。換言すれば、第1の作動パターンでは球P5,P6で連球を形成することはできないが、第3の作動パターンでは、球P5,P6で連球を形成することができる。即ち、第1の作動パターンの場合に比較して、第3の作動パターンの方が、2連続(0.6秒間隔)で入賞前流下装置8500へ球を入球させた場合に、連球の形成を許容する許容期間を長めに確保することができる。
従って、第1の作動パターンと第3の作動パターンとの比較において、第1の作動パターンには、連球の形成を許容する許容期間が短いという短所と、連球とできる球の発射間隔を長く設定できという長所とがあり、一方で、第3の作動パターンには、連球の形成を許容する許容期間が長いという長所と、連球とできる球の発射間隔が短いという短所とがある。
これらの長所と短所とを相反させていることから、適宜、第1の作動パターンと第3の作動パターンとを入れ替える制御をすることにより、遊技者にパチンコ機10が攻略(例えば、可動入球役物装置190に高確率で球を連ねて入球)される可能性を低減することができる。
次いで、図162及び図163を参照して、本実施形態における第4の作動パターンの出没部材8520の動作およびそれに伴い変化する内部流路INR8を球が通過するのに要する時間の長さについて説明する。第4の作動パターンは、第1の作動パターンの場合に対して、第1伝達部材8610が逆方向に回転する場合に相当する。
図162(a)は、第4の作動パターンにおける出没部材8520Aの計時変化を示した図であり、図162(b)は、第4の作動パターンにおける出没部材8520Bの計時変化を示した図であり、図162(c)は、第4の作動パターンにおける出没部材8520Cの計時変化を示した図である。
図162(a)から図162(c)までの図において、横軸は、第1伝達部材8610の位相変化として示される。即ち、図147(b)から反時計回りに約5度回転させた状態を0度として、そこから時計回りに回転した際の回転角度(上述した第1の作動パターン〜第3の作動パターンの場合とは逆方向の回転角度)が、図162(a)から図162(c)までの横軸の数値に対応する。なお、逆方向であることを示すために、図162において角度に負号を付す。
なお、本実施形態では、8秒間で1回転の速度(1秒間で45度の速度)で第1伝達部材8610が駆動モータKM1に動作制御されるので、図162(a)から図162(c)までの横軸の数値を対応する角度(45度)で割った数値が、状態変化に要した秒数を表す。
MPU201(図4参照)は、電源投入からの一定動作として、以下で説明する第4の作動パターンを、上述した第1の作動パターンの間に挿入する態様でも出没部材8520を動作制御可能とされる。即ち、予め設定された順序で、第1の作動パターン,第2の作動パターン,第3の作動パターン又は第4の作動パターンが順次選択され、動作制御が進行する。以下、電源投入後に行われる出没部材8520の動作制御について説明する。
<第4の作動パターンで動作する場合>
図162(a)から図162(c)までに示すように、第1伝達部材8610の回転角度が5度となるまでの間(約0.1秒間)は、各出没部材8520A〜8520Cは張出状態を維持する。
次いで、図162(a)から図162(c)に示すように、第1伝達部材8610の回転角度が5度となると、出没部材8520A〜8520Cが、張出状態から退避状態に状態変化する。次いで、図162(c)に示すように、第1伝達部材8610の回転角度が45度となると、出没部材8520Cが退避状態から張出状態に状態変化する。次いで、図162(b)に示すように、第1伝達部材8610の回転角度が90度となると、出没部材8520Bが退避状態から張出状態に状態変化する。次いで、図162(a)に示すように、第1伝達部材8610の回転角度が135度となると、出没部材8520Aが退避状態から張出状態に状態変化する。各出没部材8520A〜8520Cは、第1伝達部材8610の回転角度が360度となるまで張出状態で維持される。出没部材8520は、上述した状態変化を8秒周期で繰り返している。
図163は、第4の作動パターンにおける球の内部流路INR8への入球タイミングと内部流路INR8を通過しきるのに要する時間の長さとの関係を示した図である。図163では、横軸が、第1伝達部材8610の位相変化として示される。即ち、図162と同様に、図147(b)から反時計回りに約5度回転させた状態を0度として、そこから時計回りに回転した際の回転角度が、図163の横軸の数値に対応する。
なお、本実施形態では、8秒間で1回転の速度(1秒間で45度の速度)で第1伝達部材8610が駆動モータKM1に動作制御されるので、図163の横軸の数値を対応する角度(45度)で割った数値が、状態変化に要した秒数を表す。
図163では、縦軸が、各横軸のタイミングにおいて内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8から排出されるまでの時間を、横軸の数値22.5度間隔で示す。例えば、横軸が135度から225度までに内部流路INR8に入球した球は、流下する際に対向する出没部材8520が張出状態とされるので(図156参照)、内部流路INR8を第2経路RSで流下しきる場合に要する3秒間が縦軸の数値となる。
これは、上述した第1の作動パターンにおいて内部流路INR8を第2経路RSで流下しきる場合を形成する入球時の角度範囲(0度から180度まで、図158参照)の半分の角度範囲である。即ち、本作動パターンによれば、第1の作動パターンに比較して、内部流路INR8を球が第2経路RSで流下しきる可能性を低減することができる。
一方で、例えば、0度から135度、及び225度から360度までに内部流路INR8に入球した球は、流下する際に対向する出没部材8520が張出状態となる領域ばかりでは無く、退避状態とされる領域も有する。その領域では、球が第1経路RFで流下するので、第2経路RSで流下しきる場合に比較して、球が内部流路INR8を流下しきるのに要する時間が短縮される。
詳細には、横軸の数値0度から45度で内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに2秒間を要し、横軸の数値67.5度から112.5度で内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに2.5秒間を要し、横軸の数値135度から225度で内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに3.0秒間を要し、横軸の数値247.5度で内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに2.75秒間を要し、横軸の数値270度で内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに2.5秒間を要し、横軸の数値292.5度で内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに2.25秒間を要し、横軸の数値315度から360度で内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに2.0秒間を要する。
図163に示すように、本作動パターンでは、第1の作動パターンにおいて発生した、球が内部流路INR8を流下しきるのに要する時間の変化に比較して、その変化の度合いが緩やかとなる。
図163に示すように、球がいつ内部流路INR8に入球するかにより、内部流路INR8を球が流下しきるまでに要する時間を変化させることができると共に、その変化の度合いを短時間で連続的に変化させることで、内部流路INR8に異なったタイミングで入球した球同士で連球を形成する場合の、連球形成のし易さを入球タイミングにより変化させることができる。
なお、本作動パターンによれば、球同士の間隔を短縮し易いタイミング(続けて入球する球が内部流路INR8を通過しきるのに要する時間が短縮されるタイミング)として、第1伝達部材8610の角度が225度となるタイミングが挙げられる。そのタイミングから、2.0秒間の内に0.5秒間隔で内部流路INR8に球が入球した場合、後の球が内部流路INR8を通過しきるのに要する時間が0.25秒短縮されることから、一対の球の間隔が0.5秒以内に収まり、連球を形成することができる。
本作動パターンによれば、第1の作動パターンとの比較において、出没部材8520の状態を目印に内部流路INR8に球を打ち込むタイミングを図り、連球を形成することを確実に行うことを困難とすることができる。
例えば、第1の作動パターンにおいて、各出没部材8520が退避状態から張出状態となったタイミングから約4秒後(第1伝達部材8610が回転角度180度となった場合、図158参照)に1球目を内部流路INR8に入球させることにより、その後も継続して入賞前流下装置8500に球を打ち出すことにより連球を形成することができる。
一方で、第4の作動パターンにおいて、各出没部材8520の内、最初に退避状態から張出状態となる出没部材8520Cが張出状態となったタイミングから約4秒後(第1伝達部材8610が回転角度225度となった場合、図163参照)に1球目の球(例えば、球P1)を内部流路INR8に入球させることが最も得策であることは変わりないが、その後に内部流路INR8に球を続けて入球させる場合、0.5秒間隔で入球させた球(例えば、球P2)との間では連球を形成できる一方で、1秒間隔で入球させた球(例えば、球P3)との間では連球を形成することができない。従って、第4の作動パターンで動作させる間において、第1の作動パターンで動作させる場合に比較して、連球の形成を抑制することができる(連球の形成が許容される入球タイミングの間隔を狭めることができる)。
本作動パターンによれば、第1の作動パターンとの関係において、出没部材8520が同様の状態の時に内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるまでに要する時間を変化させることができる。
例えば、第1の作動パターンにおいて出没部材8520Cのみが張出状態とされる場合に内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに要する時間は1.5〜2.0秒間であるが、本作動パターンにおいて出没部材8520Cのみが張出状態とされる場合に内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに要する時間は2.0〜2.5秒間である。
例えば、第1の作動パターンにおいて出没部材8520Aが退避状態とされ出没部材8520B,8520Cが張出状態とされる場合に内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに要する時間は1.5〜2.25秒間であるが、本作動パターンにおいて出没部材8520Aが退避状態とされ出没部材8520B,8520Cが張出状態とされる場合に内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに要する時間は2.5〜3.0秒間である。
この変化を付与することにより、出没部材8520の状態を目印に内部流路INR8に球を入球させ、その球と入賞前流下装置8500の外側を流下して可動片190aへ向かう球とを連ねて連球を形成する遊技方法の成功率を下げることができる。
即ち、出没部材8520の状態と、内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を通過しきるまでに要する時間との関係が常に維持される場合(出没部材8520が停止したまま維持される場合を含む)、内部流路INR8に入球した球がいつ内部流路INR8から可動片190aへ排出されるかを容易に把握することができる。
そのため、その排出タイミングに合わせて可動片190a付近に球が到達するように球を打ち出すことにより、内部流路INR8に連続で入球させることなく容易に連球を形成し、可動入球役物装置190へ複数の球を入球させることが可能となってしまい、パチンコ機10が攻略(例えば、可動入球役物装置190に高確率で球を連ねて入球)されやすくなってしまう。
これに対し、第1の作動パターンと本作動パターンとでは、出没部材8520が同様の状態の時に内部流路INR8に入球させた球が、内部流路INR8を流下しきるまでに要する時間が異なる。そのため、内部流路INR8から排出される球と連球を形成させるべく可動片190a付近に発射する球の打ち出しタイミングを、第1の作動パターンで動作する場合と本作動パターンで動作する場合とでずらすことができる。これにより、パチンコ機10が攻略(例えば、可動入球役物装置190に高確率で球を連ねて入球)される可能性を低くすることができる。
次いで、第1伝達部材8610の回転動作と、可動片190aを動作させる大開放口ソレノイド209aの動作との関係の一例について説明する。図164は、上述した第1制御例における左始動入賞口26又は右始動入賞口27への入賞から小当たり遊技の終了までの流れを説明したタイムチャートである。なお、各種装置の動作制御の詳細については後述する。また、図164に示すタイムチャートにおいて、第1伝達部材8610は、第1の作動パターンで動作制御される(図156、図158参照)。
左始動入賞口26又は右始動入賞口27への遊技球の入賞に基づき、主制御装置110にて第1特別図柄の変動制御が行われる。そして、第1特別図柄の変動が停止し、主制御装置110が小当たり制御1(小当たり遊技1とも称す)を開始すると、可動片190aを動作させる大開放口ソレノイド209aがオン状態となる(開放状態)。この状態では遊技者は可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bを狙い遊技球を発射することになり、可動入球役物装置190内に遊技球が入球した場合には、その遊技球は確定領域孔340、又は、はずれ孔350を通過してパチンコ機10の奥まで流下することになる。
上述したように、小当たり制御1では、全体の時間を7.5秒と設定され、設定時間t1が2秒間で設定され、設定時間t2が約0.5秒で設定され、設定時間t3が約5秒で設定される。
ここで、図164に示されるように、左始動入賞口26又は右始動入賞口27への球の入球タイミングや、変動時間により、設定時間t2の開始時点と、第1伝達部材8610の角度が0度となる時点とが一致する場合、球P1が内部流路INR8を流下しきり、可動片190aに到達するタイミング(内部流路INR8の流下時間3秒+内部流路INR8から排出され可動片190aに到達するまでの時間1秒=球P1が内部流路INR8に入球してから4秒後のタイミング)と、可動片190aが開放状態に変化するタイミングとが一致する。即ち、上述した球P1〜P5により形成することができる連球を、可動片190aが開放状態の時に可動片190aに到達させることができる。
図164に示す関係が成立する場合には、連球が可動入球役物装置190に入球する可能性が飛躍的に上がることから、「上部ポケットに球を入れ続けろ!」等の報知を、音声や液晶表示により行うことで、連球を可動入球役物装置190に入球させやすい期間であることを遊技者に認識させ、漫然と遊技を行うことの防止を図ることができる。
即ち、通常遊技は、各始動入賞口26〜28に球を入球させ可動片190aを開放状態とし、その開放状態の可動片190aの上面に球を到達させ可動入球役物装置190に球を入球させるように行われるので、遊技者が球を打ち出す好適な範囲は一対の可動片190aの間に広範囲に広がっており、遊技者は、球の発射強度の調整に神経を使う必要は無い。
可動片190aの間の範囲において、センターフレーム86に球を衝突させる向きで球を発射すれば、その球は流下の過程で可動片190a付近を流下し、更に下方において各始動入賞口26〜28に入球可能であるので、遊技者が得られる利益に大きな違いは無く、遊技者が発射強度を精密に調整する必要は無く、漫然と遊技を行うことになる。
一方、入賞前流下装置8500への入口である天部開口8512は、球が2個左右に並ぶ程度の開口広さであり、一対の可動片190aの間の範囲に比較して著しく範囲が狭くなる。従って、天部開口8512に球を繰り返し入球させるためには、発射強度の精密な調整が不可欠となる。このような精密な調整は、短期間であればできるが、長期に亘り行おうとすると、遊技者に疲労が蓄積され、長期間の遊技の妨げとなる。
そのため、内部流路INR8で形成した連球を可動入球役物装置190に入球させられる期間において、上述した報知を行うことにより、その報知が行われている時にのみ天部開口8512を狙う遊技(疲労度の高い遊技)を遊技者に行うように促すことができる。これにより、遊技者は、必要時には連球の形成を狙いながら、それ以外の時には一対の可動片190aの間へ向けて球を発射する遊技(疲労度の低い遊技)を行うといった、球の発射態様の切り替えを意図的(得られる利益の違いにより)に行うことができる。
なお、第1特別図柄の変動時間を0.5秒とすると、球P1の入球タイミングは、左始動入賞口26又は右始動入賞口27への入賞よりも前になるので、球P1の入球タイミングで上述した報知を行い、球P1が可動片190aに到達するタイミングで可動片190aを確実に開放状態とすることは困難である。
第1特別図柄の変動時間が0.5秒の場合、球の各始動入賞口26〜28への入球は球P4の入球タイミングと同じになる(回転周期の5.5秒時点(図158参照)になる)ので、球P5の入球タイミングまでの0.5秒間、入賞前流下装置8500への入球により連球を形成できる期間が残されている。
そのため、この0.5秒間において、上述した報知を行い、内部流路INR8へ球を入球させることを促すことで、連球の形成を促進させることができる。一方で、発射してから内部流路INRに球が入球するまでの期間が少なくとも1秒間であるので、報知がされてから打ち出しても、連球を形成できる期間に間に合わない。即ち、上述した報知は、既に遊技領域を流下している球が、上述した報知がされている間に内部流路INR8に入球することで遊技者の興趣を向上させる演出的な報知としての意味合いを有する。
次に、図165を参照して図164と相違する点を説明する。図165は、上述した第1制御例における中始動入賞口28への入賞から小当たり遊技の終了までの流れを説明したタイムチャートである。大当たり遊技の発生までの流れを説明したタイムチャートである。なお、各種装置の動作制御の詳細については後述する。また、図165に示すタイムチャートにおいて、第1伝達部材8610は、第1の作動パターンで動作制御される(図156、図158参照)。
中始動入賞口28への遊技球の入賞に基づき、主制御装置110にて第2特別図柄の変動制御が行われる。そして、第2特別図柄の変動が停止し、主制御装置110が小当たり制御2(小当たり遊技2とも称す)を開始すると、可動片190aを動作させる大開放口ソレノイド209aがオン状態となる(開放状態)。この状態では遊技者は可動入球役物装置190の大入賞口スイッチ190bを狙い遊技球を発射することになり、可動入球役物装置190内に遊技球が入球した場合には、その遊技球は確定領域孔340、又は、はずれ孔350を通過してパチンコ機10の奥まで流下することになる。
上述したように、小当たり制御2では、全体の時間を10秒と設定され、設定時間t4が2秒間で設定され、設定時間t5が約0.5秒で設定され、設定時間t6が2秒間で設定され、設定時間t7が約0.5秒で設定され、設定時間t8が5秒で設定される。
ここで、図165に示されるように、中始動入賞口28への球の入球タイミングや、変動時間により、設定時間t7の開始時点と、第1伝達部材8610の角度が0度となる時点とが一致する場合、球P1が内部流路INR8を流下しきり、可動片190aに到達するタイミング(内部流路INR8の流下時間3秒+内部流路INR8から排出され可動片190aに到達するまでの時間1秒=球P1が内部流路INR8に入球してから4秒後のタイミング)と、可動片190aが開放状態に変化するタイミングとが一致する。即ち、上述した球P1〜P5により形成することができる連球を、可動片190aが開放状態の時に可動片190aに到達させることができる。
図165に示す関係が成立する場合には、連球が可動入球役物装置190に入球する可能性が飛躍的に上がることから、「上部ポケットに球を入れ続けろ!」等の報知を、音声や液晶表示により行うことで、連球を可動入球役物装置190に入球させやすい期間であることを遊技者に認識させ、漫然と遊技を行うことの防止を図ることができる。
なお、図165において、球P1の入球タイミングは、中始動入賞口28への入賞よりも後になるので、球P1の入球タイミングで上述した報知を行い、球P1が可動片190aに到達するタイミングで可動片190aを確実に開放状態とすることができる。
第1特別図柄の変動時間が0.5秒の場合、中始動入賞口28に球が入球したタイミング(回転周期の3.0秒時点(図158参照)のタイミング)で球を打ち出した球は、その1秒後に内部流路INR8に入球し得る(球P1として内部流路INR8に入球し得る)。
図165に示す状態となる場合には、中始動入賞口28に球が入球した時から上述した報知を約2〜3秒間継続する態様で制御される。これにより、その報知が行われている間に発射した球や、遊技領域を既に流下開始している球が入賞前流下装置8500に入球することにより、内部流路INR8で連球が形成され、その形成された連球を入賞前流下装置8500に入球させることができる。
この場合、遊技者は、報知を確認してから天部開口8512へ向けた打ち出しを開始しても、連球を形成可能な期間内に内部流路INR8へ球を入球させることができる。そして、上述したように、本実施形態の可動入球役物装置190は、複数個の球が入球することで大当たりとなる確率が飛躍的に高まるように構成される。従って、本報知は、演出的な意味合いだけでなく、遊技者が得られる利益に影響を与える意味合いも有することから、本報知に対する遊技者の注目力を向上させることができる。
本実施形態によれば、小当たり遊技1と小当たり遊技2とでは、可動片190aの開放動作の回数が違うこと以外に大きな違いを備えている。
ここで、可動片190aの開放動作の回数が違うと、可動入球役物装置190に入球する可能性が異なる。ただし、その違い(可能性の違い)は、1回の開放動作で遊技者が球を入球させる可能性同士の足し算である。そのため、期待される利益の期待値(入球により大当たりをなる可能性)は、小当たり遊技2が小当たり遊技1の2倍となる。
一方、本実施形態によれば、小当たり遊技1では、上述した報知を確認してから発射し内部流路INR8に入球させた球同士で連球を形成することはできないが、小当たり遊技2では、上述した報知を確認してから発射し内部流路INR8に入球させた球同士で連球を形成することができる。
従って、小当たり遊技2の際に上述した報知が発生した場合、その報知を確認した後で複数個の球を天部開口8512目がけて発射し内部流路INR8に入球させることで意図的に連球を形成でき、その連球を可動入球役物装置190に入球させることができる。即ち、天部開口8512に複数個の球を入球させることで、高確率で大当たりを獲得できる期間を、上述した報知により遊技者が認識した上で、その期間中に発射した球を天部開口8512に複数個入球させることで大当たりを獲得することができる。
この場合、報知に従い天部開口8512に複数個の球を入球させることができれば、ほぼ大当たりを獲得できることから、上述した報知が生じる場合に限っていえば、小当たり遊技2の期待値は、小当たり遊技1に比較して顕著に大きくなる。そのため、小当たり遊技2(中始動入賞口28への入球)の注目力(小当たり遊技2の際に生じる報知に対する注目力)を飛躍的に向上させることができる。
次いで、図166から図170を参照して、第9実施形態について説明する。第8実施形態では、第1伝達部材8610の伝達突部8613の配置に対する第2伝達部材8620の配置が一通りに定まる場合を説明したが、第9実施形態における第2伝達部材9620は、伝達突部8613の配置に対する第2伝達部材8620の配置を複数通り実現可能に構成される。なお、第9実施形態における入賞前流下装置の構成は、第8実施形態における第2伝達部材8620の替わりに第2伝達部材9620が用いられることを除いて、共通である。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図166(a)は、第9実施形態における第2伝達部材9620の正面図であり、図166(b)は、図166(a)のCLXVIb−CLXVIb線における第2伝達部材9620の断面図である。なお、図166では、左右一対で配置される左右対称の一対の第2伝達部材9620の内、正面視左側の第2伝達部材9620が図示される。
図166(a)及び図166(b)に示すように、第2伝達部材9620は、第8実施形態の第2伝達部材9620と同様の本体板部8621と、円弧膨出部8622と、被案内腕部8623と、下部切り欠き8624と、を備えることに加え、第8実施形態の不完全円弧孔8625の上側面を円弧径外方へ向けてずらすことにより幅広に形成される不完全円弧孔9625と、その不完全円弧孔9625の左右外側端部から左右方向に直線上に延設される端部孔8626と、不完全円弧孔9625の一部を塞ぐ態様で本体板部8621に締結固定され伝達突部8613(図167参照)の通過経路を切り替える切替板9627と、本体板部8621の正面に配設され伝達突部8613に対する一方向弁として機能する一方向弁9628と、を主に備える。
切替板9627は、組立状態において本体板部8621の正面側に重ねられ締結固定されると共に不完全円弧孔9625の上半分を正面視において覆う正面視扇状の覆設板部9627aと、その覆設板部9627aの内周部分から背面側へ向けて湾曲板状に延設される仕切板部9627bと、を主に備える。
仕切板部9627bは、不完全円弧孔9625の幅方向のおよそ中心位置に配置されると共に不完全円弧孔9625の中心軸と同軸の円弧形状から形成される。また、不完全円弧孔9625は、仕切板部9627bの上側と下側との両方において、伝達突部8613を挿通可能な幅で形成される。即ち、不完全円弧孔9625の幅が、仕切板部9627bの厚さと、伝達突部9613の直径の2倍との合計よりも、若干長くされる。これにより、伝達突部8613は、仕切板部9627bの上側を通過することもできるし、仕切板部9627bの下側を通過することもできる。
一方向弁9628は、正面視右側の端部孔8626の上部に前後方向に横長矩形状で凹設される凹設支持部9628aと、その凹設支持部9628aに収容され左右方向にスライド可能に支持されるスライド部材9628bと、そのスライド部材9628bを不完全円弧孔9625へ向けて移動させる付勢力を発生するバネ部材9628cと、を主に備える。
凹設支持部9628aは、左方端部において不完全円弧孔9625に合流する。そのため、スライド部材9628bは、バネ部材9628cの付勢力により不完全円弧孔9625の内部に張り出す。
スライド部材9628bは、下面が左右方向に沿った面とされ、上面がバネ部材9628c側へ向かうにつれて(正面視右側へ向かうにつれて)上昇傾斜する面とされる。そのため、スライド部材9628bに対して伝達突部8613が当接する向きによって、スライド部材9628bに生じる作用が変化する。
例えば、伝達突部8613がスライド部材9628bに上方から当接した場合、当接点においてスライド部材9628bを右方へ押し込む負荷が生じることから、スライド部材9628bが押し込まれ、伝達突部8613はスライド部材9628bが配置される位置を通過可能となる。
一方、例えば、伝達突部8613がスライド部材9628bに下方から当接した場合、当接点においてスライド部材9628bを右方へ押し込む負荷が生じ無いので、スライド部材9628bはバネ部材9628cの付勢力により張り出された状態が維持され、伝達突部8613はスライド部材9628bが配置される位置を通過不能となる。
次いで、図167を参照して、伝達装置9600と第2伝達棒8550との間における駆動力の伝達の態様について説明する。なお、上述したように、第2伝達棒8550は伝達棒8530と一体的に動作するので、図167で図示される第2伝達棒8550の動作を、伝達棒8530の動作として認識しても良い。
図167(a)から図167(f)は、伝達装置9600の動作を時系列で説明する伝達装置9600及び第2伝達棒8550の正面図である。なお、理解を容易とするために、第1伝達部材8610が想像線で図示されると共に第2伝達棒8550の上部の図示が省略される。なお、図167では、第1伝達部材8610が反時計回りに回転動作した後、時計回りに回転動作する場合の動作が図示される。また、図167では、各第2伝達棒8550を図167正面視右側から(球が入球する側から)順に第2伝達棒8550A,8550B,8550Cとも称す。
図167(a)では、伝達突部8613が端部孔8626から不完全円弧孔9625に侵入した後の状態が図示される。この状態では、第2伝達部材9620は上端位置に配置され、各第2伝達棒8550は第2伝達部材9620の上面に当接する。上端位置に配置されるまでの第2伝達部材9620の移動は上下方向の移動なので、各第2伝達棒8550は、第2伝達部材9620の上昇に伴って同時に上昇動作する。
図167(b)では、図167(a)から第1伝達部材8610が反時計回りに回転し、伝達突部8613が不完全円弧孔9625の終端位置まで移動した状態が図示される。この状態では、伝達突起8613が不完全円弧孔9625の内側を不完全円弧孔9625の延設方向に沿って移動するだけなので、第2伝達部材9620は図167(a)に示す上端位置から移動せず、上端位置に留まる。
図167(c)では、図167(b)から第1伝達部材8610が反時計回りに回転し、伝達突部8613が不完全円弧孔9625から端部孔8626へ移動した状態が図示される。この状態では、伝達突部8613が下方へ移動するのに伴い第2伝達部材9620も下方へ移動することになるが、第2伝達棒8550と第1伝達部材8610の本体板部8611の最外径面(外周面)が当接することから、第2伝達棒8550は本体板部8611に下降を規制され、図167(b)で図示される位置のまま留まる。
図167(d)では、図167(c)から第1伝達部材8610が逆方向(正面視時計回り)に回転し、縮径部8614が第2伝達棒8550Cと対向配置された状態が図示される。この状態では、伝達突部8613が仕切板部9627bの上側を通ることから、伝達突部8613の配置を図167(b)と略同等としながら、第2伝達部材9620の上下位置を大きく変化させることができる。
この状態では、図167(c)に示す状態と比較して、縮径部8614と本体板部8611との差分だけ第2伝達棒8550Cが下降動作する。一方で、残りの第2伝達棒8550A,8550Bは、図167(c)に示す位置のまま留まる。
図167(e)では、図167(d)から第1伝達部材8610が正面視時計回りに回転し、縮径部8614が第2伝達棒8550Bと対向配置された状態が図示される。この状態では、図167(d)に示す状態と比較して、縮径部8614と本体板部8611との差分だけ第2伝達棒8550Bが下降動作する。一方で、残りの第2伝達棒8550Aは、図167(d)に示す位置のまま留まる。
図167(f)では、図167(e)から第1伝達部材8610が正面視時計回りに回転し、縮径部8614が第2伝達棒8550Aと対向配置された状態が図示される。この状態では、図167(e)に示す状態と比較して、縮径部8614と本体板部8611との差分だけ第2伝達棒8550Aが下降動作する。
図167(e)に示す状態から、第1伝達部材8610を更に正面視時計回りに回転させることにより、伝達突部8613がスライド部材9628bに上から負荷をかけることで右方に押し込み、伝達突部8613は仕切板部9627bの下方へ移動する。
そして、第1伝達部材8610が反転し、正面視反時計回りに回転すると、伝達突部8613がスライド部材9628bを避けて仕切板部9627bの下側を移動することから、図167(a)に示す状態に戻るので、各第2伝達棒8550A〜8550Cが一斉に上昇する。
従って、伝達装置8600により、第2伝達棒8550A〜8550Cを上昇動作させる場合には、各第2伝達棒8550A〜8550Cを同時に上昇動作させ、下降動作させる場合には、排出側から第2伝達棒8550A〜8550Cを順に下降動作させることができる。即ち、第2伝達棒8550A〜8550Cの動作方向に併せて、動作態様(動作順序)を切り替えることができる。
また、図167(a)に示す状態から、反時計回りで第1伝達部材8610を継続して回転させることにより、第2伝達部材9620を図147と同様に上下動作させることができる。
これを実現させ易くする構成として、本実施形態では、第2伝達部材9620の動作方向下側から第2伝達部材9620に動作方向上向きの付勢力を与える弾性バネ(図示せず)が配設される。この弾性バネを配設する方法は特に限定されるもにでは無いが、例えば、一端側が支持板部8545bに支持され他端側が第2伝達部材9620と当接するように配設されても良い。
その弾性バネの付勢力により、第2伝達部材9620は、図167(c)に示す動作方向の中間位置を境に、その中間位置の上方においては弾性バネの付勢力を受けず重力により付勢され、中間位置の下方においては重力に抗して弾性バネの付勢力を受ける。従って、図167に示す状態では、第2伝達部材9620には弾性バネの付勢力は与えられず、重力による付勢が生じるのみとなる。
ここで、図167(c)に示す状態から更に第1伝達部材8610が反時計回りに回転すると、第2伝達部材9620が下方に移動することに伴い弾性バネの付勢力が第2伝達部材9620を上向きに移動させる態様で発生する。従って、第1伝達部材8610の伝達突部8613は不完全円弧孔9625の下側面に当接しながら移動することになり、伝達突部8613は不完全円弧孔9625の内部において仕切板部9627bの下側を通過する。
これにより、伝達突部8613が不完全円弧孔9625の内部において仕切板部9627bの上側を通過することを防止できるので、第1伝達部材8610を反時計回りに回転継続した場合に、図167(e)に示す状態を経由することを防止することができる。従って、本実施形態における構成を用いて、図147で説明した動作態様を実現することができる。
本実施形態では、図167に示した動作態様と、図147で上述した動作態様とを順次切り替えることにより、第2伝達棒8550の動作態様を切り替えることができる。次いで、図167で説明したパターンで第1伝達部材8610が動作する場合に内部流路INR8内に出没する出没部材8520の動作と、内部流路INR8に入球した球の流下態様について説明する。
次いで、図168を参照して、本実施形態における第5の作動パターンの出没部材8520の動作およびそれに伴い変化する内部流路INR8を球が通過するのに要する時間の長さについて説明する。
図168(a)は、第5の作動パターンにおける第1伝達部材8610の回転方向の計時変化を示した図であり、図168(b)は、第5の作動パターンにおける出没部材8520Aの計時変化を示した図であり、図168(c)は、第5の作動パターンにおける出没部材8520Bの計時変化を示した図であり、図168(d)は、第5の作動パターンにおける出没部材8520Cの計時変化を示した図である。
なお、図168(a)から図168(d)までの図において、横軸は、第1伝達部材8610の位相変化として示される。即ち、図167(a)から反時計回りに約5度回転させた状態を0度として、そこから反時計回り(図168(a)において、正回転と示す)に回転した際の角度位置が、図168(a)から図168(d)までの横軸の数値に対応する。なお、本実施形態では、停止時以外は、1秒間で45度の速度で第1伝達部材8610が駆動モータKM1に動作制御されるので、図168(a)から図168(d)までの横軸の数値から算出される実際の回転角度を対応する角度(45度)で割った数値が、状態変化に要した秒数を表す。
MPU201(図4参照)は、電源投入からの一定動作として、以下で説明する第5の作動パターンを、上述した第1の作動パターンの間に挿入する態様でも出没部材8520を動作制御可能とされる。即ち、予め設定された順序で、第1の作動パターン,第2の作動パターン,第3の作動パターン,第4の作動パターン又は第5の作動パターンが順次選択され、動作制御が進行する。以下、電源投入後に行われる出没部材8520の動作制御について説明する。
<第5の作動パターンで動作する場合>
図168(a)から図168(d)までに示すように、第1伝達部材8610の回転角度が0度から180度となるまでの間(4秒間)は、各出没部材8520A〜8520Cは張出状態を維持する。
図168(a)に示すように、第1伝達部材8610の回転角度が150度の時点で、第1伝達部材8610が逆方向(正面視左側の第1伝達部材8610は正面視時計回り)に回転を開始し、0度からの回転開始から7秒を若干経過した時点で回転方向を再度反転させる。
この回転動作に伴い、第1伝達部材8610の回転角度が75度となると、出没部材8520Cが張出状態から退避状態に状態変化する(図168(d)参照)。
次いで、図168(c)に示すように、第1伝達部材8610の回転角度が20度となると、出没部材8520Bが、張出状態から退避状態に状態変化する。次いで、図168(b)に示すように、第1伝達部材8610の回転角度が逆方向に25度となると、出没部材8520Aが、張出状態から退避状態に状態変化する。
次いで、0度からの回転開始から8秒経過する直前に、各出没部材8520A〜8520Cが退避状態から張出状態に状態変化する。出没部材8520は、上述した状態変化を8秒周期で繰り返している。
ここで、第5の作動パターンと、第1の作動パターンとの違いについて説明する。図156と、図168とを比較すると、各出没部材8520A〜8520Cが一斉に張出状態となることは同様であり、また、最初に出没部材8520が退避状態となるまでの期間も同等とされる。そのため、出没部材8520が一斉に張出状態とされた際に、第1の作動パターンで動作するのか、第5の作動パターンで動作するのかを、遊技者が予想することを困難にすることができる。従って、出没部材8520の動作態様を予想して、タイミングを合わせて球を発射し、連球を形成するという遊技の仕方を困難とでき、パチンコ機10が攻略(例えば、可動入球役物装置190に高確率で球を連ねて入球)される可能性を低減することができる。
また、第1の作動パターンと第5の作動パターンとでは、駆動モータKM1の回転速度や、駆動停止のタイミングが同等とされるので、駆動モータKM1の駆動音や、振動から、作動パターンの違いを把握することを困難とすることができる。
なお、第5の作動パターンでは、第1の作動パターンと異なり駆動方向が反転する。そのため、反転の際に生じる駆動音や振動の変化により、作動パターンの違いが把握される恐れがある。これに対し、第1の作動パターンにおいて、第5の作動パターンの駆動モータKM1の回転方向の反転時に合わせて、敢えて駆動方向を2度回転させ回転方向を同方向に戻すことにより、反転の際に生じる駆動音や振動の変化を生じさせながら、第1の作動パターンでの動作を継続することができる。これにより、駆動モータKM1の駆動音や振動から、第1の作動パターンと第5の作動パターンとを識別することを困難とすることができる。
図169は、第5の作動パターンにおける球の内部流路INR8への入球タイミングと内部流路INR8を通過しきるのに要する時間の長さとの関係を示した図である。図169では、横軸が、第1伝達部材8610の位相変化として示される。即ち、図168と同様に、図167(a)から反時計回りに約5度回転させた状態を0として、そこから反時計回りを正として回転した際の回転角度が、図169の横軸の数値に対応する。なお、本実施形態では、1秒間で45度の速度で第1伝達部材8610が駆動モータKM1に動作制御されるので、図169の横軸の数値から算出される実際の回転角度を対応する角度(45度)で割った数値が、状態変化に要した秒数を表す。
図169では、縦軸が、各横軸のタイミングにおいて内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8から排出されるまでの時間を、横軸の数値22.5度間隔で示す。例えば、横軸が0度から90度まで(回転開始から2秒間)に内部流路INR8に入球した球は、流下する際に対向する出没部材8520が張出状態とされるので(図156参照)、内部流路INR8を第2経路RSで流下しきる場合に要する3秒間が縦軸の数値となる。
一方で、例えば、回転開始2秒後から回転開始8秒後までに内部流路INR8に入球した球は、流下する際に対向する出没部材8520が張出状態となる領域ばかりでは無く、退避状態とされる領域も有する。その領域では、球が第1経路RFで流下するので、第2経路RSで流下しきる場合に比較して、要する時間が短縮される。
詳細には、横軸の数値112.5度(0度からの回転開始から2.5秒後)で内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに2.75秒間を要し、横軸の数値135度(0度からの回転開始から3.0秒後)から反転して横軸の数値120度(0度からの回転開始から4.0秒後)までに内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに2.5秒間を要し、横軸の数値97.5度(0度からの回転開始から4.5秒後)で内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに2.25秒間を要し、横軸の数値75度(0度からの回転開始から5.0秒後)から横軸の数値マイナス25度(0度からの回転開始から7.0秒後)までに内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに2.0秒間を要し、横軸の数値マイナス22.5度(0度からの回転開始から7.5秒後)で内部流路INR8に入球した球が内部流路INR8を流下しきるのに2.5秒間を要する。
図169に示すように、球がいつ内部流路INR8に入球するかにより、内部流路INR8を球が流下しきるまでに要する時間を変化させることができると共に、その変化の度合いを短時間(本実施形態では6秒間)で連続的に変化させることができ、内部流路INR8に異なったタイミングで入球した球同士で連球を形成する場合の、連球形成のし易さを入球タイミングにより変化させることができる。
本作動パターンでは、内部流路INR8を球が流下しきるまでに要する時間の短縮度合い(図169の折れ線グラフの右側へ向かうにつれて下降傾斜する部分の傾き)が、入球間隔に比較して小さいので、1球目が入球してから、内部流路INR8に続けて球を入球させて連球形成が許容される時間間隔が短い。
例えば、1球目が、第1伝達部材8610の0度からの回転開始から2秒後に内部流路INR8に入球した場合、その後3秒間は、内部流路INR8を球が流下しきるまでに要する時間は徐々に短縮される。しかし、1秒後に2球目が入球した場合に1球目と2球目との間隔が0.5秒(連球形成の境界)となるので、連球を形成するためには、少なくとも、1球目の入球から1秒以内に内部流路INR8に2球目を入球させる必要がある。従って、連球を形成可能となる内部流路INR8への入球間隔を限定することができる。
また、図169に示すように、第1伝達部材8610の0度からの回転開始2秒後から5秒後までに内部流路INR8を球が流下しきるまでに要する時間は、初期Tokh(回転開始2秒後から3秒後まで)と末期Tokb(回転開始4秒後から5秒後まで)とにおいて徐々に短縮される一方で、中期Tnom(回転開始3秒後から4秒後まで)において一定に維持される。そのため、例えば、2個の球が0.5秒間隔で内部流路INR8に同様に入球した場合であっても、それらの球がいつ内部流路INR8に入球するかにより、連球を形成できるか否かを変化させることができる。
例えば、2個の球が0.5秒間隔で内部流路INR8に入球するのが、初期Tokh又は末期Tokbである場合、先の球が内部流路INR8を流下しきるのに要する時間に比較して後の球が内部流路INR8を流下しきるのに要する時間の方が0.25秒短縮されるので、2個の球の間隔は0.25秒間となり、内部流路INR8から排出する際に連球を形成することができる。
一方、2個の球が0.5秒間隔で内部流路INR8に入球するのが、中期Tnomである場合、先の球が内部流路INR8を流下しきるのに要する時間と後の球が内部流路INR8を流下しきるのに要する時間とが同じなので、2個の球の間隔は0.5秒間のまま変化しない。そのため、内部流路INR8から排出する際に連球を形成することができない。
本作動パターンでは、0.5秒間隔で球が入球しても連球を形成できない中期Tnomが、0.5秒間隔で球を入球させれば連球を形成できる初期Tokh及び末期Tokbに挟まれるため、連球を形成できるか否かを短時間(例えば中期Tnomの時間である1秒間)置きに変化させることができる。これにより、球が内部流路INR8に入球するタイミングに対する注目力を向上させることができる。
ここで、出没部材8520の動作態様を確認することにより、連球を形成し易い打ち出しタイミングを遊技者が把握することができることになり、それにより球の打ち出しの態様を遊技者が選択できることになるので、入賞前流下装置8520を利用して連球を形成したいと考える遊技者の出没部材8520に対する注目力を向上させることができる。
一方で、本作動パターンと第1の作動パターンとでは、出没部材8520の動作態様が、出没部材8520A〜8520Cが退避状態とされる順序が反対であることを除いて酷似しており、出没部材8520がどちらの作動パターンで動作しているかを把握することは困難である。加えて、本作動パターンと第1の作動パターンとでは、内部流路INR8に球を入球させることで連球を形成し易いタイミングが、少なくとも部分的に異なるので、出没部材8520の状態を目印として球の発射タイミングを調節し、連球を形成し易くする遊技方法を困難とすることができる。これにより、パチンコ機10が攻略(例えば、可動入球役物装置190に高確率で球を連ねて入球)される可能性を低減することができる。
なお、本作動パターンと、第1の作動パターンとでは、共通して、第1伝達部材8610の0度からの回転開始後4秒から5秒までの間に、連球の形成し易い期間が形成される。そのため、本作動パターンで動作するか、第1の作動パターンで動作するかに関わらず、第1伝達部材8610の0度からの回転開始後4秒から5秒までの間に内部流路INR8に複数の球を入球させるように球を打ち出すことで、遊技者は高確率で連球を形成することができる。
これにより、高確率で連球を形成可能な遊技方法として、第1伝達部材8610の0度からの回転開始後4秒から5秒までの間に集中して球を打ち出す遊技を行うように促すことができる。
図170を参照して、上述した各作動パターンの違いについて説明する。図170は、作動パターンと、連球形成における各パラメータとの対応関係を模式的に示した模式図である。
図170では、連球形成における各パラメータとして、ひとまとまり(1度の可動片190aの開放により可動入球役物装置190に入球可能)とできる球の最大数としての最大連球形成個数Nmaxと、連球を形成する2個の球の入球タイミングのずれの最大値としての最大許容期間Tmaxと、第1伝達部材8610が1周期動作をおこなう間に0.5秒間隔の入球により連球を形成可能な期間としての継続連球形成期間Tchaと、が図示される。なお、内部流路INR8に最短0.5秒間隔で球が入球可能とされ、0.5秒以内の間隔まで球同士の間隔が縮められた場合を連球が形成された場合として説明する。
具体的には、第1の作動パターンで動作制御される場合には、期待できる最大連球個数Nmaxは4個、最大許容期間Tmaxは1.5秒、継続連球形成期間Tchaは2.0秒である。
第2の作動パターンで動作制御される場合には、期待できる最大連球個数Nmaxは3個、最大許容期間Tmaxは1.5秒、継続連球形成期間Tchaは0.5秒である。
第2の作動パターンでは、第1の作動パターンと異なり、最大許容期間Tmaxの間に0.5秒間隔で球を入球させても、連球を形成しない期間がある。
即ち、球P1が1球目として内部流路INR8に入球した場合に、球P2(球P1と0.5秒間隔)が入球したとしても連球は形成されない(図159参照)。一方で、球P1が1球目として内部流路INR8に入球した場合に、球P2が入球した上で球P3(球P1と1.0秒間隔)が入球したり、球P2の入球の有無に関わらず球P4(球P1と1.5秒間隔)が入球したりすることで、球P1と球P3又は球P1と球P4との連球が形成される。
従って、球P1が1球目として内部流路INR8に入球した場合には、直後の球P2が入球するよりも、一間隔空けて球P3や球P4が入球する場合の方が、連球の形成という面で遊技者が得られる利益が大きくなる。
一方で、球P3が1球目として内部流路INR8に入球した場合には、球P4(球P3と0.5秒間隔)が入球した場合にのみ連球が形成される。そのため、球P3が1球目として内部流路INR8に入球した場合には、直後の球P4が入球する方が、他の球が入球する場合に比較して、連球の形成という面で遊技者が得られる利益が大きくなる。
このように、第2の作動パターンでは、1球目が球P1なのか球P3なのかの違いにより、2球目が内部流路INR8に入球するまでの時間差の、連球の形成の面における最良の数値が変化する。球P1と球P3との入球タイミングのずれは、わずか1秒なので、遊技中に球が球P1のタイミングで内部流路INR8に入球したのか、球P3のタイミングで内部流路INR8に入球したのかを認識することは困難であることから、続いて入球する球が直後に入球した場合(球P3に対する球P4)に連球が形成されるのか、一間隔空けて入球した場合(球P1に対する球P4)に連球が形成されるのかを、遊技者が認識することを困難とすることができる。
これにより、内部流路INR8に複数の球が入球した場合に、内部流路INR8から実際に排出されるまで、連球が形成されるのか否か把握することを困難にでき、内部流路INR8を流下する球に対する注目力を向上させることができる。
第3の作動パターンで動作制御される場合には、期待できる最大連球個数Nmaxは3個、最大許容期間Tmaxは1.0秒、継続連球形成期間Tchaは2.5秒である。
即ち、第3の作動パターンでは、第1の作動パターンに比較して、1球目が内部流路INR8に入球してから2球目が入球して連球を形成可能となる期間が狭められる一方で、1球目が内部流路INR8に入球した直後(0.5秒間隔)に球が入球し連球を形成可能となる期間が広げられる。そのため、2個連続で天部開口8512に入球する場合に連球を形成する確率を高めることができる。
第4の作動パターンで動作制御される場合には、期待できる最大連球個数Nmaxは2個、最大許容期間Tmaxは0.5秒、継続連球形成期間Tchaは2.0秒である。
即ち、第4の作動パターンでは、第1の作動パターンに比較して、1球目が内部流路INR8に入球してから2球目が入球して連球を形成可能となる期間が狭められる。従って、第1の作動パターンで連球を形成可能であった入球タイミング(例えば、1秒間隔)で球が内部流路INR8に入球した場合に、本作動パターンでは連球が形成されないようにすることができる。
第5の作動パターンで動作制御される場合には、期待できる最大連球個数Nmaxは2個、最大許容期間Tmaxは0.5秒、継続連球形成期間Tchaは2.0秒(分割された1.0秒+1.0秒の合計)である。
即ち、第5の作動パターンでは、第1の作動パターンに比較して、1球目が内部流路INR8に入球してから2球目が入球して連球を形成可能となる期間が0.5秒間に狭められると共に、そのように2個の球が入球する場合に連球を形成する期間が1秒おきに2分割される。即ち、0.5秒間隔で内部流路INR8に入球した球が連球を形成可能な期間で、0.5秒間隔で内部流路INR8に入球した球が連球を形成不能な期間を挟む態様となり、連球を形成可能な期間と連球を形成不能な期間との切り替え間隔を短縮化することができる。
この場合、内部流路INR8に2個の球が入球するタイミングが、連球を形成するタイミングから1秒遅れる又は1秒前倒しになる場合のどちらでも連球が形成されないようにすることができる。従って、内部流路INR8に2個の球が入球するタイミングに対する遊技者の注目力を向上させることができる。
このように、各作動パターンにはそれぞれ特徴がある。これら各作動パターンを順次切り替えて動作制御することにより、例えば、出没部材8520が同じ状態の時に、内部流路INR8に同じ間隔で入球したとしても、連球を形成する場合と、連球を形成しない場合とを生じさせることができるので、長期間遊技した際に飽きることを防止できると共に、パチンコ機10が攻略(例えば、可動入球役物装置190に高確率で球を連ねて入球)される可能性を低減することができる。
次いで、図171から図174を参照して、第10実施形態について説明する。第8実施形態では、内部流路INR8を流下する球の流下態様が出没部材8520の状態の変化により切り替えられる場合を説明したが、第10実施形態における入賞前流下装置10500は、出没部材8520とは異なる動作態様で内部流路INR8に張り出し、球に作用する除去装置10560を備える。なお、第10実施形態における入賞前流下装置10500の構成は、除去装置10560を備えることを除いて第8実施形態の入賞前流下装置8500と共通である。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図171及び図172は、図148のCLII−CLII線に対応する線における第10実施形態における入賞前流下装置10500の部分断面図であり、図173は、図172のCLXXIII−CLXXIII線における入賞前流下装置10500の部分断面図である。なお、図171では、除去装置10560の退避状態が図示され、図172及び図173では、除去装置10560の張出状態が図示される。
除去装置10560は、裏側装置8540の天井板部8542の内部空間に配置されると共に天井板部8542の下側面の垂直方向に移動可能な板状の本体板部10561と、その本体板部10561の下面から出没部材8520と対応する位置において下方に突設される複数の突設部10562と、本体板部10561を退避状態の位置へ移動させる付勢力を発生させるバネ部材10563と、そのバネ部材10563の付勢力に抗して本体板部10561を押し下げ張出状態の位置まで変位させる駆動力を発生するソレノイド10564と、を主に備える。
突設部10562は、本体板部10561の移動方向視(図173紙面垂直方向視)において、出没部材8520が張出状態の際に出没部材8520が内部流路INR8に張り出す範囲を外形の内側に含み、除去装置10560が張出状態の際に球と当接可能な位置(球の高さ方向(図172上下方向)において直径の半分の位置)まで突設される。
バネ部材10563は、天井板部8542に一端を支持され、他端が本体板部10561を支持する。本体板部10561のソレノイド10564と対向配置する側面は、ソレノイド10564から遠ざかるほど上昇傾斜される。
これにより、ソレノイド10564が水平方向に伸縮動作することに伴い、本体板部10561の傾斜による本体板部10561とソレノイド10564との当接位置の上下方向の変化分だけ本体板部10561が上下動作する。即ち、図171に示す退避状態から、ソレノイド10564が励磁され伸縮動作し、図172及び図173に示す張出状態へと状態変化する。一方で、ソレノイド10564の励磁が解除されると、バネ部材10563の付勢力により本体板部10561は上昇し、退避状態へと状態変化する。
ここで、出没部材8520の動作は前後方向の動作である一方、突設部10562の動作は上下方向の動作(前後方向と垂直な方向の動作)であり、互いの動作範囲が干渉しないので、出没部材8520の動作態様に関わらず、突設部10562の動作を行うことができる。これにより、動作制御の自由度を向上させることができる。
張出状態では、図172及び図173に示すように、突設部10562が球と当接可能な位置(球の高さ方向(図172上下方向)において直径の半分の位置)まで突設されることから、出没部材8520が退避状態であるか張出状態であるかに関わらず、内部流路INR8を流下する球は突設部10562に当接し、第2経路RSで流下する。
従って、除去装置10560を張出状態とすることにより、出没部材8520の作動パターンに関わらず、内部流路INR8を球が流下しきるのに要する時間を不変とすることができ、連球の形成を抑制することができる。
換言すれば、除去装置10560が退避状態とされる場合には、出没部材8520の動作態様により連球を形成できる可能性を残す一方で、除去装置10560が張出状態とされる場合には、出没部材8520がどのように動作を行っても連球の形成を抑制することができる。即ち、除去装置10560により、出没部材8520の連球形成作用を消失させることができる。
以下、本実施形態における作動パターンの例(第6の作動パターン、第7の作動パターン)について説明する。
図174(a)は、第6の作動パターンにおける除去装置10560の状態変化の流れを説明するタイムチャートであり、図174(b)は、第7の作動パターンにおける除去装置10560の状態変化の流れを説明するタイムチャートである。なお、第6の作動パターン及び第7の作動パターンにおいて、出没部材8520は、上述したいずれかの作動パターン(第1の作動パターン〜第5の作動パターン)で動作可能に制御される。
まず、第6の作動パターンについて説明する。MPU201(図4参照)は、可動片190aの開放動作を契機とする動作として、以下で説明する第6の作動パターンで除去装置10560を動作制御可能とされる。以下、除去装置10560の動作制御について説明する。
<第6の作動パターンで動作する場合>
図174(a)に示すように、第6の作動パターンでは、遊技状態が、通常遊技状態または小当たり遊技状態である場合には、除去装置10560が退避状態とされる一方で、遊技状態が、大当たり遊技状態である場合には、除去装置10560が張出状態とされる。
これにより、第6の作動パターンでは、通常遊技状態または小当たり遊技状態においては、出没部材8520の作用により内部流路INR8を流下する球の流下態様を変化させ連球を形成する作用を維持する一方で、大当たり遊技状態においては、内部流路INR8を流下する球の連球の形成を抑制することができる。
従って、本作動パターンによれば、大当たり遊技状態に入るまでは、可動入球役物装置190へ球が連なって入球する可能性を上昇させることにより大当たり獲得の可能性を高めながら、大当たり遊技状態では連球の形成を抑制することで、ラウンド遊技終了間際に可動入球役物装置190へ球が連なって入球することでラウンド規定個数(所謂、カウント数)よりも多い球が入賞すること(所謂、オーバー入賞)を抑制することができる。
また、内部流路INR8を、通常遊技状態または小当たり遊技状態である場合と、大当たり遊技状態の場合とで、流下する球に及ぼす作用が異なる流路とすることができる。これにより、通常遊技状態または小当たり遊技状態である場合と、大当たり遊技状態の場合とで、球の流路を切り替えて球の流下態様を変化させる場合に比較して、流路を配設するスペースを削減することができ、広さが限られている遊技領域において球の流下態様を効率的に変化させることができる。
次いで、第7の作動パターンについて説明する。MPU201(図4参照)は、可動片190aの開放動作を契機とする動作として、以下で説明する第7の作動パターンで除去装置10560を動作制御可能とされる。以下、除去装置10560の動作制御について説明する。
<第7の作動パターンで動作する場合>
図174(b)に示すように、第7の作動パターンでは、遊技状態が、通常遊技状態または小当たり遊技状態である場合には、除去装置10560が退避状態とされる一方で、遊技状態が、大当たり遊技状態である場合には、各ラウンドのラウンド遊技開始と同時に除去装置10560が張出状態とされ、そのラウンド遊技の規定時間内(例えば、ラウンド遊技開始から10秒経過後)に退避状態に切り替えられる。
これにより、第7の作動パターンでは、通常遊技状態または小当たり遊技状態においては、出没部材8520の作用により内部流路INR8を流下する球の流下態様を変化させ連球を形成する作用を維持する一方で、大当たり遊技状態においては、各ラウンドのラウンド遊技開始時から所定期間は内部流路INR8を流下する球の連球の形成を抑制し、内部流路INR8に入球した間隔通りに内部流路INR8から排出する(球の間隔が維持されたまま排出される)一方で、所定期間経過後において内部流路INR8を流下する球においては、出没部材8520の作用により連球形成の可能性が上昇する。
従って、本作動パターンによれば、大当たり遊技状態に入るまでは、可動入球役物装置190へ球が連なって入球する可能性を上昇させることにより大当たり獲得の可能性を高めることができる一方で、大当たり遊技状態では、各ラウンドのラウンド遊技開始から所定期間経過前は、間隔を空けて大入賞口スイッチ190bに入賞させることで入賞個数を容易に管理でき、所定期間経過後は、連球を形成し、その連球を大入賞口スイッチ190bに入賞させるという遊技方法を容易に行うことができる。
これにより、ラウンド遊技の規定個数直前まで入賞を行い球の打ち出しを止めること(ラウンド遊技終了直前で維持すること)と、その後で連球を大入賞口スイッチ190bに入賞させることとを高確率で実現させることができ、オーバー入賞が生じる可能性を上昇させることができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、一の実施形態における構成の一部または全部を、他の実施形態における構成の一部または全部の構成と組み合わせて或いは置き換えて、別の実施形態としても良い。
上記各実施形態では、第2流下装置400の第2分岐領域420に入球した遊技球が第1遅延準備孔423に到達したら即座に落下する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ソレノイドなどの駆動装置の駆動力により第1遅延準備孔423の内方に所定期間張り出して遊技球の落下を阻止する阻止部材を備え、その阻止部材の作用により、第3分岐領域430へ向かった他の遊技球が特定領域孔440を通過するまで遊技球の落下を食い止めても良い。この場合、第2遅延誘導流路R6の長さを短縮化することができ、第2流下装置400が形成する流路により占めるスペースを省スペース化することができる。
上記各実施形態では、振分体322が駆動手段からは切り離されて配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、所定期間毎に振分体322へ向けて張り出される係止部材を備え、その係止部材の作用により所定期間毎に振分体322が固定されても良い。この場合、平衡状態において振分体322が固定された時に遊技球が1個だけ振分体322に到達し当接すると、振分体322は回転されず、遊技球がスペシャルルート用孔323へ流下する。即ち、所定期間毎に、遊技球が第1流下装置300に1個しか入球しない場合でも遊技球がスペシャルルート用孔323へ入球する期間を生じさせることができる。
上記各実施形態では、振分体322が回転動作する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、振分体322が左右にスライド動作しても良い。
上記各実施形態では、振分体322の軸支棒322fと抵抗延設部322dとの間で生じる摩擦抵抗が回転角度に応じて変化する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、振分体322と同軸で回転すると共に、振分体322が平衡状態から第1角度状態となるまでは係合せず、振分体322が第1角度状態から第2角度状態となるまでは係合し振分体322と同期して回転する係合部材を備えていても良い。この場合、平衡状態から第1角度状態までは振分体322の回転抵抗のみがかけられる一方で、第1角度状態から第2角度状態までは振分体322の回転抵抗に加え、係合部材の重量に伴う係合部材の抵抗が振分体322にかけられるので、振分体322の回転のし易さを変化させることができる。なお、係合の態様は、特に限定されるものでは無く、例えば、扇状部322aの内側から係合しても良いし、扇状部322aの外側から係合しても良い。
上記各実施形態では、複数の遊技球が確定領域孔340を通過した場合に、後から特定領域を通過する遊技球がどの特定領域スイッチ441a〜443aを通過するかは、先の遊技球がどの特定領域スイッチ441a〜443aを通過するかによらず、ランダムで選択される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、後の遊技球は、先の遊技球の通過した特定領域スイッチ441a〜443aよりも遊技者に付与する利益の大きな特定領域スイッチ442a,443aを通過する態様としても良い。この場合、遊技者が遊技球の流下態様を見守る間、興趣を向上し続けることができる。
上記各実施形態では、大入賞口スイッチ190bが普段は閉鎖される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、大入賞口スイッチ190bが常時開放されていても良い。この場合、常時、大当たり獲得を狙える状態となっているので、遊技者の興趣を向上させることができる。
上記各実施形態では、特別図柄1乱数テーブル202a1の判定値を、全て同じ小当たり判定値として設定する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、異なった小当たり判定値として設定しても良い。この場合、例えば、半分の判定値が大当たり後に時短が付く判定値に対応し、残りの判定値が大当たり後に時短が付かない判定値に対応するようにしても良い。これにより、時短スイッチ209dを要することなく、大当たり後に時短が付くか否かの振り分けを行うことができる。
上記各実施形態では、確定領域スイッチ340aを通過してから所定期間だけ対応する駆動装置(例えば、滞留ソレノイド413)が動作する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、可動入球役物装置190の可動片190aの動作タイミングを基準として、一定の動作をおこなうように構成されても良い。この場合、駆動装置(例えば、滞留ソレノイド413)の駆動維持期間は、遊技球が第1流下装置300を通過して流下阻止板412に到達するのにかかる最長期間以上に設定される。
上記各実施形態では、各出没部材8520を単一の駆動モータKM1で駆動する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、各出没部材8520A〜8520Cが別々の駆動装置(例えば、ソレノイド)の駆動力で動作しても良い。この場合、両端の出没部材8520A,8520Cを共通の状態とし、中間の出没部材8520Bのみを異なった状態とすることを容易に行うことができる。
上記各実施形態では、内部流路INR8の前後壁面が互いに平行な平面状とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、左右に隣接する出没部材8520の間において、第2経路RSで流下する球を第2経路RSの屈曲位置でガイドする部材であって湾曲して延設されるレール形状の湾曲壁面を配設しても良い。この場合、出没部材8520の間で前後方向に跳ね返る球と、後から来た球とが前後方向で衝突することを原因とした球詰まりが生じることを抑制することができる。なお、一方で、球詰まりにより連球を更に形成し易くすることができる。
上記各実施形態では、各出没部材8520が水平方向に出没する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、内部流路INR8の底面から上方へ向けて突出する態様で出没しても良い。この場合、内部流路INR8を流下する球の流下経路を、左右方向に延びる直線状の経路と、上下方向に屈曲する屈曲経路とで切り替えることができ、内部流路INR8の前後方向幅を抑制することができる。これにより、内部流路INR8を流下する球を常に遊技者の見易い位置(正面側)に配置することができる。
また、球が転動する床自体が、その上下の傾斜角度を変化させる動作をおこなっても良い。この場合、部材との当接により球が減速するのではなく、傾斜角度の緩急により転動する球の流下速度を調整することができるので、球の流下を滑らかとすることができる。
上記各実施形態では、出没部材8520が並進移動する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、出没部材8520が軸回転により張り出しても良い。
上記各実施形態では、第2伝達棒8550が下降した後も、出没部材8520が張出状態で維持される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、出没部材8520を退避状態の位置へ向けて付勢する弾性部材が配設されることで、第2伝達棒8550が下降したら出没部材8520が退避状態に変化されても良い。この場合、出没部材8520の状態と第2伝達棒8550の状態とが1対1で対応するので、出没部材8520の状態から伝達装置8600の動作態様を正確に予想することができる。
上記各実施形態では、出没部材8520を内部流路INR8の内部へ出没動作させ、球と出没部材8520とを当接させることにより球の流下態様を変化させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、内部流路INR8の外側において第2伝達棒8550の替わりに磁石を近接離反させ、磁力の作用で球を減速させるようにしても良い。この場合、球の流下経路は同一としながら、流下するタイミングにより球の流下態様(流下速度の変化態様)を変化させることができる。
上記各実施形態では、可動入球役物装置190の可動片190aの上流側に出没部材8520が出没する内部流路INR8を配置する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、可動片190aの下流側に配置される導入通路310に出没部材8510が出没するようにしても良い。この場合、タイミングがずれて可動入球役物装置190に入球した球同士の位置ずれを出没部材8520の作用により変化可能となることから、可動入球役物装置190に入球する際のタイミングずれに対して、ルート振分部320に入球する際のタイミングずれを変化させることができる。これにより、可動入球役物装置190に複数の球あ入球するタイミングが同じである場合にも、導入通路310以降の球の流下態様に変化を生じさせることができ、球の流下態様を多様化することができる。
上記各実施形態では、第2伝達棒8550の動作方向による動作順序の切り替えを、回転動作する第1伝達部材8610と、並進動作する第2伝達部材8620により行う場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2伝達棒8550の並進方向軸と交差する軸(回転軸)を中心に回転動作し第2伝達棒8550に外周面が当接する円筒オルゴール部材により第2伝達棒8550の動作順序の切り替えを行っても良い。
即ち、その円筒オルゴール部材には、回転軸と直交する平面であって第2伝達棒8550の並進方向軸を含む平面において所定角度だけ径方向外側に回転軸中心の円弧形状で膨出する膨出部を備える。この膨出部が第2伝達棒8550側を向く場合に第2伝達棒8550は膨出部の分だけ上昇動作し、膨出部が第2伝達棒8550側を向かない場合には第2伝達棒8550は移動範囲の下端位置に配置される。
膨出部が、第2伝達棒8550A〜8550Cに対応する位置において、周方向の長さ及び配置を所望の第2伝達棒8550の動作を生じさせるように配設されることにより、円筒オルゴール部材を回転させることに伴って、オルゴールに類似した駆動力伝達により第2伝達棒8550の動作方向による動作順序の切り替えを行うことができる。これにより、単一の円筒オルゴール部材により、第2伝達膨8550の動作順序の切り替えを行うことができる。
なお、膨出部は、周方向に移動するにつれ複数段階で拡径の程度を変化しても良い。この場合、出没部材8520の動作幅を複数段階で変化させることができ、出没部材8520の状態から発射タイミングの狙いを付けることを困難とすることができる。
上記各実施形態では、天部開口8512に入球した球が振分装置8543により左右に振り分けわれる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、天部開口8512の下流側かつ振分装置8543の上流側において出没動作し、没状態では球を振分装置8543へ流下させ、出状態では球が振分装置8543へ向かうことを規制しながら左右いずれかの内部流路INR8へ入球させる電動案内手段を備えるようにしても良い。この場合、電動案内手段が出状態の場合には、天部開口8512に入球した球を振り分けることなく、専ら片方の内部流路INR8へ流下させることができる。これにより、同じように天部開口8512に球が複数個入球したとしても、複数の流路に球を振り分け球の群の長さを縮められる場合と、一本の流路に球を流下させ球の群の長さが長くなる場合との変化を生じさせることができる。
なお、電動案内手段の出没動作の態様としては、例えば、電源投入時から行われる一定の動作態様や、大当たり遊技状態において可動片190aが開放動作したタイミングを基準として行われる一定の動作態様などが例示される。例えば、通常状態では電動案内手段が没状態とされ、大当たり遊技状態では電動案内手段が出状態とされる場合には、通常状態では可動片190aの単一の開放動作により4個の球が連球として入球可能(左右の可動片190aから入球可能)としながら、大当たり遊技状態では、球の群の列が長いので単一の開放動作で4個の球を連球として入球させようにも開放期間に間に合わない(3個程度が限界である)といった、変化を生じさせることができる。これにより、出没部材8520の動作態様は同じとしながら、連球の形成個数を変化させることができる。
上記各実施形態では、片方の駆動モータKM2が停止する以外は、左右一対の出没部材8520の群が左右対称動作を行う場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、左右の出没部材8520の群が、同時に異なった作動パターンで動作しても良いし、左右の出没部材8520の群同士の動作開始タイミングがずれるように制御を行っても良い。
上記各実施形態では、各伝達棒8520,8550を正面側から視認困難とすることで、出没部材8520の外観から、出没部材8520が球に与える負荷を把握することが困難である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、内部流路INR8の配置をガラス面から後方に遠ざけることで状態を視認することを困難としたり、内部流路INR8周辺の照明を落として視認し難くしたり、液晶装置の正面側に配設される導光板等による発光演出で目くらましを行い内部流路INR8の状態を把握困難としたりしても良い。
上記各実施形態では、各始動入賞口26〜28へ球が入賞した直後に可動片190aが動作する場合に、球を天部開口8512へ連続して入れることを報知する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、各始動入賞口26〜28が入賞回数を記憶(保留)可能に形成され、直近の開放動作ではなく、その後に続く開放動作(保留された開放動作)との関係で、連球を可動入球役物装置190に入球可能ば場合に、上述した報知を行うようにしても良い。この場合、入賞の直後に可動片190aが開放動作する場合に比較して、可動片190aが動作するまでの期間を長くとることができるので、報知を行うことができる期間を長めに取ることができる。従って、報知態様の自由度を高めることができる。例えば、連球形成の面でベストな発射タイミングへ向けてカウントダウンする態様の報知を行うことができる。
上記各実施形態では、各種報知が主に音声・ランプで行われる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、公知の液晶装置により、各種報知を行うようにしても良い。この場合、報知時に遊技者の注目を液晶装置に集めることができるので、球の流下態様から遊技者の視線を逸らすことができる。
上記第3実施形態では、遊技球が転動する一対の案内レール3321が下に凸状の湾曲形状から形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、一対の案内レール3321が一点で交差する直線形状からそれぞれ形成され、その交差する位置の外側に遊技球を落下可能に構成される大型のスペシャルルート用孔3323が形成され、案内レール3321を流下する遊技球が交差位置で衝突する場合には、その衝突により遊技球が外方へ飛ばされ、スペシャルルート用孔3323に到達し、落下する一方で、衝突しない場合には案内レール3321の端まで転動しきり、案内レール3321の端付近に配設されるノーマルルート用孔3324に遊技球が落下するようにしても良い。この場合、遊技球の衝突により外方へ飛ばされた先でスペシャルルート用孔3323に遊技球が落下するので、遊技球の減速を待つことなく遊技球をスペシャルルート用孔3323に落下させることができる。従って、遊技球がスペシャルルート用孔3323に落下する場合の遊技球の流下速度を向上させることができる。
上記第3実施形態では、中央レール部3321aが一対の案内レール3321で兼用される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、中央レール部3321aを一対の案内レール3321ごとに個別に設けて、中央レール部3321a間の距離を、転動する遊技球が干渉し合う距離としても良い。この場合、例えば、一方の中央レール部3321aを蛇行したレール形状から形成し、他方の中央レール部3321aを直線上のレール形状から形成することで、遊技球の衝突位置の違いによって、衝突時の遊技球同士の干渉度合い(遊技球の進行方向おける投影面積)が異なり、衝突後の遊技球の流下態様を変化させることができる。
これにより、衝突後にスペシャルルート用孔3323に落下するまでの期間を衝突位置ごとに変化させることができ(可動役物装置90に遊技球が入球してから第2流下装置400に遊技球が入球されるまでの期間を変化させることができ)、第2流下装置400で自動動作する可動板421aの状態を見て遊技球を発射するタイミング打ちを抑制することができる。
上記第6実施形態では、特定領域孔6440の入口開口部6440iが、3個の特定領域孔6441〜6443に対応した形状から構成され、利益増大装置6450が2個の回転部材から構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限るものではない。例えば、特定領域孔が利益の異なる4個の孔(例えば、大当たりのラウンド数が16ラウンド、12ラウンド、7ラウンド、3ラウンドで異なる特定領域孔)から構成され、入口開口部6440iがそれに対応した形状(4つ又の孔形状)から構成され、利益増大装置6450が最大利益の特定領域孔を除く3個の特定領域孔の入口に配置される3個の回転部材から構成されるようにしても良い。この場合、時限分岐領域6410に複数の遊技球が流入した場合のゲーム性をより複雑化することができる。
ここで、3個の回転部材は、それぞれ、直下(回転部材を回転させる遊技球がそのまま流下する位置)の特定領域孔よりも得られる利益が低い特定領域孔への遊技球の入球を、動作後の状態により塞ぐ態様で構成される。この場合、例えば、各特定領域孔には遊技球が1個ずつしか収容されないという前提のもとで、時限分岐領域6410に4個以上の遊技球が流入すれば、遊技球が全ての特定領域孔を通過するので、最大の利益を得られる特定領域孔を遊技球が通過したことから、遊技者は最大の利益をえることができるが、4個以上の遊技球を時限分岐領域6410に流入させることは困難である。
ここで、例えば、2個の遊技球が連なって時限分岐領域6410に流入した場合に、先の遊技球を2番目に高い(最大利益の一個下の)利益を付与する特定領域孔へ案内する案内装置が特定領域孔の上流側に配置されることにより、先の遊技球の作用で動作した回転部材により3番目と4番目の利益を付与する特定領域孔が塞がれることから、後の遊技球を最大の利益を付与する特定領域孔へ案内することができる。
また、例えば、2個の遊技球が連なって時限分岐領域6410に流入した場合に、先の遊技球が3番目に高い(最大利益の二個下の)利益を付与する特定領域孔に流入した場合に短時間だけ張出動作し、2番目に高い(最大利益の一個下の)利益を付与する特定領域孔へ流下しかけた遊技球をより利益の高い特定領域孔側へ流下させるスライド遅延装置を備えるようにしても良い。この場合、時限分岐領域6410に2個の遊技球が流入し、先の遊技球が3番目に高い利益を付与する特定領域孔に流入するという前提の元で、先の遊技球が特定領域孔に流入した後、短時間の内に後の遊技球が2番目に高い利益を付与する特定領域孔を流下する場合において、後の遊技球にスライド遅延装置が作用して、後の遊技球を最も利益の高い特定領域孔側へ流下させることができる。
スライド遅延装置は、例えば、4番目に高い利益を付与する特定領域孔に遊技球が流入した場合に短時間だけ張出動作し、2番目に高い(最大利益の一個下の)利益を付与する特定領域孔または3番目に高い(最大利益の二個下の)利益を付与する特定領域孔へ流下しかけた遊技球をより利益の高い特定領域孔側へ流下させる態様としても良い。この場合、先の遊技球が、4番目に高い利益を付与する特定領域孔に流入し、その後短時間の内に後の遊技球が特定領域孔の入口開口に到達した場合には、スライド遅延装置の作用により、後の遊技球をより利益の高い特定領域側に流下させることができる。
また、時限分岐領域6410に3個の遊技球が流入する場合、一個目の遊技球が得られる利益が3番目に高い特定領域孔に入球し回転部材が動作することにより、得られる利益が最も低い特定領域孔が塞がれるので、残りの2個の遊技球の内のどちらか一方が、得られる利益が最大となる特定領域孔を通過することになる。
そのため、例えば、3個の遊技球が連なって時限分岐領域6410に流入した場合に、先の遊技球を3番目に高い(最大利益の二個下の)利益を付与する特定領域孔へ案内する案内装置が特定領域孔の上流側に配置されることにより、後の遊技球のどちらか一方を最大の利益を付与する特定領域孔へ案内することができる。
同様のことが、時限分岐領域6410に流入する遊技球が2個の場合にも言える。そしてこれは、特定領域孔の孔数が5個以上となった場合にも言えることである。即ち、特定領域孔6440が異なる利益を付与するn個(nは自然数)の孔から構成され、時限分岐領域6410にm個(mは自然数、m<n)の遊技球が流入した場合に、最初の遊技球が、上からm番目に高い利益を付与する特定領域孔に流下すれば、それ以下の利益を付与する特定領域孔へ後の遊技球が流入することが防止されるので、残りの遊技球の内のどれかが最も利益の高い特定領域孔を流下することになる。従って、遊技者は最大の利益(16ラウンド大当たり)を獲得することができる。
そのため、時限分岐領域6410に流入する遊技球の個数(m)と、最初の遊技球が収容された特定領域孔の利益の順番(n1)と、を検出し、それらが所定の関係(m≧n1)を満たした場合、後の遊技球のどれかが最大の利益が付与される特定領域孔を通過することになるので、その関係が満たされた時点で、最大利益獲得の演出を行っても良い。これにより、遊技者は安心して時限分岐領域6410を流下する遊技球を見守ることができる。
上記第7実施形態では、スクリュー部材7453が常時駆動する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、数秒間(例えば10秒間)駆動させる度に、数秒間(例えば1秒間)停止させる駆動態様としても良い。この場合、スクリュー部材7453の姿勢を見極めて遊技球を発射するタイミング打ちを抑制することができる。
上記第8実施形態では、入賞前流下装置8500が組み付け時に前後方向で近接移動する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、上下方向から互いに近接移動させ組み付ける構成において、前工程で組み立てたあと、その組立体を開口8013aに嵌め込み遊技盤8013に締結固定する態様でも良い。この場合、組立体を取り外してからしか、表側装置8510又は裏側装置8540を交換することができないので、交換までの工程を長くすることができることから、不正に部材を交換する不正の防止を図ることができる。
上記第8実施形態では、衝突部8521の球と当接する対向面と内部流路INR8の前後壁面とのなす角度が45度よりも大きくなる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、45度よりも小さい角度とされても良い。この場合、球と衝突部8521とが衝突した際に球から出没部材8520へ与えられる負荷の出没部材8520の移動方向の成分が大きくなるので、球の負荷により出没部材8520を移動させる場合には、その移動に要する負荷を低減することができる。従って、球の勢いが弱くなったとしても、出没部材8520を球からの負荷で移動させることができる。
上記第10実施形態では、出没部材8520が電源投入時から一定の動作制御で動作し、除去装置10560が大当たり遊技状態における可動片190aの開放動作を基準として動作制御される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、除去装置10560が電源投入時から一定の動作制御で動作されても良いし、出没部材8520が大当たり遊技状態における可動片190aの開放動作を基準として動作制御されても良い。
上記第10実施形態では、出没部材8520が電源投入時から一定の動作制御で動作し、除去装置10560が大当たり遊技状態における可動片190aの開放動作を基準として動作制御される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、出没部材8520又は除去装置10560の少なくとも一方が、球が各始動入賞口26〜28に入球したことに伴い動作しても良い。この場合、例えば、入賞により取得される小当たり種別の違いにより出没部材8520の動作態様を変化させることができるので、可動片190aの開放動作ごとに連球の形成態様を変化させることができる。従って、可動片190aの開放タイミングを基準として複数の球が内部流路INR8に入球するタイミングが同等である発生時の異なる一対の場合に関して、ある時は連球を形成し、他のある時は連球を形成できないといった変化を生じさせることができる。これにより、遊技者が遊技に飽きることを防止することができる。
上記第10実施形態では、出没部材8520が電源投入時から一定の動作制御で動作し、除去装置10560が大当たり遊技状態における可動片190aの開放動作を基準として動作制御される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、出没部材8520又は除去装置10560が、大当たり遊技状態の各ラウンドのラウンド遊技における大入賞口スイッチ190bへの入賞個数が所定個数に到達したことに基づいて動作開始するように制御しても良い。
例えば、上述した第7の作動パターンと同様に除去装置10560が各ラウンドのラウンド遊技開始時に張出状態となり、第7の作動パターンと異なり第入賞口スイッチ190bへの入賞個数が所定個数(例えば9個/カウント数10C)に到達したことに基づいて退避状態となっても良い。この場合、各ラウンドのラウンド遊技終了間際に連球を形成できる可能性を高くすることができる。この可能性の変化は、球の発射の態様(打ち止めを行うか否か、発射開始のタイミングをずらすか否か)によらず生じるので、経験の差による出球の変化を防止することができる。
また、例えば、上述の態様とは逆に、除去装置10560が各ラウンドのラウンド遊技開始時に退避状態となり、第入賞口スイッチ190bへの入賞個数が所定個数(例えば9個/カウント数10C)に到達したことに基づいて張出状態となっても良い。この場合、各ラウンドのラウンド遊技終了間際に連球を形成できる可能性を低くできることからオーバー入賞を抑制しつつ、各ラウンドのラウンド遊技終了間際以外では連球の形成を行うことができるので、1球ずつ球が分離して入賞することの単調さを解消することができる。
上記第10実施形態では、除去装置10560が大当たり遊技状態において各ラウンドのラウンド遊技の開始から所定期間あけて動作する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、大当たり種別ごとに、除去装置10560の動作までの異なった期間が予め設定されても良い。この場合、大当たり種別ごとに除去装置10560の動作タイミングが異なることになるので、連球を形成し易くなるタイミングが毎回の大当たり遊技で同一となることを防止することができる。これにより、遊技者に対して、大当たり遊技中における球の発射タイミングを考えさせることができるので、遊技者が漫然と遊技を行うことを防止することができる。
上記第10実施形態では、入賞前流下装置10500により形成された連球が可動入球役物装置190に入球可能なタイミングに、それを示唆する報知を行う場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第2流下装置400以降の状態も加味して、「2個入球させることができれば、16R確定」などの、入球個数に対応して獲得可能な利益の変化に関する報知を行っても良い。これにより、遊技者の興趣を向上させることができ、入賞前流下装置10500に球を入球させることへの注目力を向上させることができる。
報知の方法は、特に限定されるものでは無い。例えば、音声やランプによる報知でも良いし、7セグ表示器による報知でも良いし、液晶装置による報知でも良い。演出の一例としては、液晶画面に、振り分けられるラウンド数を示す「3」,「7」,「16」の数字が1つずつ書かれた3個の風船が表示され、天部開口8512に検出センサが配設され、その検出センサにより入賞前流下装置10500に入る球が検出されるごとに風船が割れている態様で報知しても良い。即ち、1球目が入賞前流下装置10500に入球することで「7」が割れ、「3」,「16」の数字が書かれた風船が残り、1球目と連球を形成可能なタイミングで2球目が入賞前流下装置10500に入球することに伴い「3」が割れ、「16」の数字が書かれた風船が残る態様で報知しても良い。これにより、取得可能なラウンド数を後半まで伏せながら、尚かつ遊技者の期待を上昇させる演出を行うことができる。
上記第10実施形態では、大当たり遊技状態における各ラウンドのラウンド遊技において、ラウンド遊技開始から所定期間は除去装置10560が張出状態となる一方で、所定期間経過後に退避状態となる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、その逆で、ラウンド遊技開始から所定期間は除去装置10560が退避状態となる一方で、所定期間経過後に張出状態となっても良い。
この場合、ラウンド遊技開始から所定期間(除去装置10560が退避状態とされる間)は内部流路INR8を流下する球により連球を形成し易くなるので、各ラウンドのラウンド遊技の終了間際(規定個数の入賞が完了する直前)に連球を可動片190aに到達させ、規定個数(所謂、カウント数)以上の球を大入賞口スイッチ190bに入球させること(所謂、オーバー入賞)を生じ易くできる。
一方で、所定期間が経過し、除去装置10560が張出状態となると、内部流路INR8に入球した球は入球間隔と同じ間隔で排出されることになる(連球が形成されない)ので、除去装置10560が張出状態となる前(所定期間の経過前)に各ラウンドのラウンド遊技を終了させる方が、遊技者に与えられ得る利益が大きくなる遊技性を構成することができる。
従って、遊技者に、所定期間までに各ラウンドのラウンド遊技を終わらせる(なるべく多くの球を入賞させる)ような遊技(各ラウンドのラウンド遊技開始後、早期に大入賞口スイッチ190bに規定個数の球を入賞させる遊技)をするように促すことができる。
また、例えば、大当たり種別ごとに、上述した所定期間を各ラウンドのラウンド遊技ごとに複数種類で設定することにより、除去装置10560が何時張出状態となるかを遊技者に分からないようにできることから、除去装置10560の動作に対する注目力、及び除去装置10560が出没動作する内部流路INR8への注目力を向上させることができると共に、各ラウンドのラウンド遊技を行う遊技者の緊張感を高めることができる。
これは、大当たり獲得後のラウンド振り分け報知演出の際に遊技者が感じる緊張感とは別で遊技者に生じるものであると共に、各ラウンドのラウンド遊技中に、現在進行形で発生する緊張感である。即ち、本実施形態によれば、ラウンド振り分けの結果が遊技者に報知された後などにおいて、遊技者が得られる利益の変化(オーバー入賞の可能性の変化)に直結する緊張感として、各ラウンドのラウンド遊技中に内部流路INR8を流下する球(連球を形成し得る球)の流下態様と、大入賞口スイッチ190bへの球の入賞態様とに注目させることができる。これにより、大当たり振り分けの結果が報知された後などでも、遊技者に緊張感を与え、漫然とした遊技が行されることを抑制することができる。
例えば、ラウンド振り分けとしては同じ7ラウンドの大当たりを獲得した場合であっても、ある場合のラウンドのラウンド遊技を、所定期間が非常に短く、オーバー入賞を期待できない大当たり遊技とする一方で、他の場合のラウンドのラウンド遊技を、所定期間が十分長く、オーバー入賞が期待できる大当たり遊技とすることができる。この場合、ラウンド振り分けの結果が報知された後などであっても、現在行っている大当たり遊技の各ラウンドのラウンド遊技が、オーバー入賞が期待できるものなのか、オーバー入賞を期待できないものなのかを分からなくでき、遊技者に除去装置10560の状態に注目させながら、各ラウンドのラウンド遊技を進行することができる。これにより、大当たり遊技中の遊技者の緊張感を高めることができ、遊技者の興趣を高めることができる。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<振り分け手段に球が2個入球することで、2個とも有利ルートへ行くポイント>
入賞口に遊技球が入球可能な開放状態を構成する可動入球手段と、前記可動入球手段の入賞口に入球した遊技球を前記可動入球手段内に設けられた特定領域を通過させた上で排出するか若しくは前記特定領域を通過させることなく排出するかの振り分けを行う振分手段とを備える遊技機において、前記可動入球手段に所定間隔よりも短い間隔で入球した遊技球を全て特定領域へ誘導し易い態様で構成される複球誘導手段を備えることを特徴とする遊技機A1。
パチンコ機等の遊技機において、作動契機が発生することにより所定の開放時間にわたり可動入球装置が開放状態に変化し、その開放状態において可動入球装置に入球した遊技球が特定領域を通過することにより大当たりとなる遊技機がある(例えば、特開2014−61177号公報を参照)。この遊技機では、所定の開放時間は短く設定されるので(およそ0.5秒間)、遊技中に可動入球装置に遊技球が入球されるほとんどの場合において、可動入球装置に収容される遊技球の個数は1個であるが、稀に、可動入球装置に遊技球が2個収容されることがある。その発生頻度の低さから、可動入球装置に遊技球が2個収容された場合に、遊技者の期待感は格段に向上する。しかし、上述した従来の遊技機では、可動入球装置に遊技球が1個流下する場合に遊技球が通り得るルートと、可動入球装置に遊技球が2個流下する場合に遊技球が通り得るルートとが同一であるので、可動入球装置に遊技球がまとまって2個流下したとしても、別々のタイミングで2回に分けて可動入球装置に遊技球が1個ずつ流下する場合に比較して遊技球が特定領域を通過する確率が向上するわけでは無かった。この場合、遊技者の期待感の向上度合いに比較して、実際の遊技結果が伴わず、遊技者を落胆させてしまうという問題点があった。
これに対し、遊技機A1によれば、可動入球手段に所定間隔よりも短い間隔で入球した遊技球を全て特定領域へ誘導し易い態様で構成される複球誘導手段を備えるので、可動入球手段に遊技球が複数個流下した場合に遊技球が特定領域を通過する確率を、可動入球手段に遊技球が1球ずつ収容される場合に比較して格段に向上させることができる。これにより、遊技者の期待感の向上度合いと、実際の遊技結果との釣り合いをとることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
遊技機A1において、前記複球誘導手段は、遊技球と当接することにより遊技球の進行に影響を与える動作をおこなう可動手段と、その可動手段に当接した遊技球が流下可能に構成される複数の振分流路と、を備え、それら複数の振分流路は、前記特定領域に遊技球を誘導する有利側流路と、その有利側流路に比較して、前記特定領域に遊技球を通過させる確率が低い不利側流路と、を備え、前記有利側流路は、前記可動手段が、動作により構成可能とされる送球状態となった場合に遊技球が送球される流路として構成され、前記送球状態は、一の遊技球が前記可動手段に当接している間に、他の遊技球が前記可動手段に当接した場合に構成されることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、複球誘導手段の可動手段に複数の遊技球が同時に当接した場合に、可動手段が動作により送球状態を構成し、それら複数の遊技球を有利側流路に送球することができる。そのため、遊技球が有利側流路を通過する場合と不利側流路を通過する場合とを振り分けるために駆動手段を配置することが不要となり、製品コストを低減することができる。
遊技機A2において、前記可動手段の動作態様は、往復動作から構成され、一の遊技球が前記往復動作の動作方向の一の方向から前記可動手段に当接すると共に、他の遊技球が前記往復動作の動作方向の他の方向から前記可動手段に当接することで、前記可動手段が前記送球状態を構成することを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、可動手段の往復動作方向の両方向から遊技球が可動手段に負荷を与え、それら負荷が釣り合うことで可動手段が送球状態を構成するので、可動手段に遊技球が1球のみ当接した状態で可動手段が送球状態となる誤動作を防止することができる。
なお、可動手段の往復動作の態様は限定されるものではない。例えば、回転動作でも良く、スライド動作でも良い。
遊技機A3において、前記可動手段は、遊技球が非当接で力の釣り合いのとれた初期状態において前記送球状態を構成し、その初期状態で前記往復動作の一の方向から遊技球が前記可動手段に当接した後、その遊技球が前記可動手段から離れるまでの間に、第1状態と、その第1状態とは移動抵抗の異なる第2状態とが順に構成され、前記第2状態の方が前記第1状態に比較して移動抵抗が大きくされ、その第2状態において遊技球が前記可動手段に当接することにより前記可動手段が前記送球状態を構成することを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、可動手段に負荷される力が釣り合っている初期状態として送球状態を構成可能としながら、遊技球が可動手段に当接開始する際に第2状態よりも低抵抗の第1状態とされるので、一個の遊技球が初期状態の可動手段に当接する場合に可動手段を即座に移動させることで、遊技球が誤って有利側流路に送球されることを防止できると共に、その後で可動手段が第1状態よりも抵抗の高い第2状態へ変化することで、2個目の遊技球が可動手段に当接するまでの期間を稼ぐことができる。これにより、可動手段に2個の遊技球が間隔を開けて到達した場合であっても、可動手段の第2状態において2個目の遊技球が可動手段に当接する状態を構成し易くでき、2個目の遊技球が可動手段に当接することで可動手段が送球状態を構成するので、遊技球を有利側流路へ送球することができる。
遊技機A3又はA4において、前記可動手段が動作することに伴って動作する橋渡し手段を備え、その橋渡し手段は、一の遊技球が前記往復動作の動作方向の一の方向から前記可動手段に当接した後で前記可動手段に当接する他の遊技球を、前記可動手段に他の方向から当接する位置へ流下させる態様で構成されることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A3又はA4の奏する効果に加え、橋渡し手段は、一の遊技球が一の方向から可動手段に当接した後で可動手段に当接する他の遊技球を、可動手段に他の方向から当接する位置へ流下させるので、一の遊技球と他の遊技球とが同じ方向から可動手段へ向かって流下する場合であっても、一の遊技球と他の遊技球とを片方に寄せてしまうのではなく、可動手段の往復動作方向における両方向へ一球ずつ向かわせることができる。
遊技機A1において、前記複球誘導手段は、遊技球と当接することにより遊技球の進行に影響を与える動作をおこなう可動手段と、その可動手段に当接した遊技球が流下可能に構成される複数の振分流路とを備え、前記可動手段は、先の遊技球と後の遊技球とが前記可動手段に当接する場合において、当接した先の遊技球が前記振分流路に流入した後、所定期間内に後の遊技球が前記可動手段に当接することで前記可動手段が前記送球状態を構成することを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、先の遊技球が前記振分流路に流入した後、所定期間内に後の遊技球が可動手段に当接することで、可動手段が送球状態を構成するので、複数の球が可動手段に共に当接する場合に限らず、可動手段を送球状態とすることができると共に、その場合に後の遊技球のみを有利側流路へ流入させることができる。
これにより、例えば、1回の作動契機で可動入球手段が2回開放状態となる場合に1回開くごとに遊技球が1個ずつ可動入球手段に入球することにより結果として可動入球手段に遊技球が2個収容される場合(遊技球が可動手段に当接するタイミングが長くなる場合)と、可動入球手段が1回開放状態となる場合に可動入球手段に遊技球が2個入球することにより可動入球手段に遊技球が2個収容される場合とで、有利側流路へ流入する遊技球の個数を変化させることができ、遊技者が得られる利益の調整を図ることができる。
遊技機A1において、前記複球誘導手段は、遊技球に駆動力を与え射出する動作を行う動作部を有する駆動手段と、前記動作部の動作方向手前側に遊技球を留める停留手段と、駆動手段から与えられた駆動力により射出された遊技球が流下可能に構成される複数の振分流路と、を備え、それら複数の振分流路は、前記特定領域に遊技球を誘導する有利側流路と、その有利側流路に比較して、前記特定領域に遊技球を通過させる確率が低い不利側流路とを備え、前記有利側流路は、前記停留手段に遊技球が複数個留められた場合に遊技球が送球される流路として構成され、前記不利側流路は、前記停留手段に遊技球が一個留められた場合に遊技球が送球される流路として構成されることを特徴とする遊技機A7。
遊技機A7によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、駆動手段の動作部の動作で停留手段に留められた遊技球が一個射出されるのか、複数個射出されるのかで動作部にかけられる抵抗が異なることを利用して、駆動手段の動作部に同一の動作を行わせながら、遊技球が有利側流路を流下するか不利側流路を流下するかを変化させることができる。
なお、駆動手段の態様は特定の態様に限定されるものでは無い。例えば、通電により電磁的に動作するソレノイド部材により構成されても良いし、弾性変形した後の復帰動作により駆動力を与えるバネ部材により構成されても良い。
遊技機A7において、前記駆動手段による前記動作部の動作が、前記可動入球手段に入球した遊技球が前記停留手段に到達するのを待ってから行われることを特徴とする遊技機A8。
遊技機A8によれば、遊技機A7の奏する効果に加え、可動入球手段に入球した遊技球が停留手段に到達するのを待ってから駆動手段の動作部の動作が行われるので、例えば、可動入球手段に遊技球が2個入球した状態において、駆動手段の駆動力により射出された遊技球と停留手段へ向かう途中の遊技球とが衝突する事態を避けることができる。
これにより、可動入球手段に入球した遊技球が2個の場合に、それら2個の遊技球が駆動手段により射出される場合の態様を、2個の遊技球とも駆動手段の動作部の手前側に配置された状態で射出する一通りの態様に限定することができる。
従って、可動入球手段に2個の遊技球が入球した場合の遊技球の動作態様を均一化することができる。
遊技機A1において、前記複球誘導手段は、遊技球が流下可能に構成される複数の振分流路を備え、それら複数の振分流路は、前記特定領域に遊技球を誘導する有利側流路と、その有利側流路に比較して前記特定領域に遊技球を通過させる確率が低い不利側流路とを備え、前記可動入球手段に収容された複数の遊技球が衝突し合うことにより、遊技球が前記有利側流路を通過し易くなる態様で構成されることを特徴とする遊技機A9。
遊技機A9によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、振分流路内で遊技球が衝突するか否かで遊技球が有利側流路を通過し易いか否かが変化するので、可動入球手段に遊技球が入球した後も、遊技者の注目を遊技球に集め続けることができる。また、遊技球同士で衝突することにより流下の態様が変化することを利用して遊技球が有利側流路を通過する確率に変化をもたせているに過ぎず、遊技球との当接により動作する可動体が不要なので、製品コストを低減させることができる。
遊技機A9において、前記複球誘導手段は、前記複数の振分流路の各流路へ遊技球を誘導する誘導領域を備え、前記誘導領域は、底板が下方へ先細りする形状から形成され、その底板に配設される開口を通って前記振分流路に遊技球を案内するものであって、前記有利側流路へ遊技球を案内する有利側開口が、前記不利側流路へ遊技球を案内する不利側開口に比較して低位置に配置されることを特徴とする遊技機A10。
遊技機A10によれば、遊技機A9の奏する効果に加え、誘導領域から有利側流路へ遊技球を案内する有利側開口が、不利側流路へ案内する不利側開口に比較して低位置に配置されるので、衝突により速度が減少した遊技球を有利側流路へ導入し易くすることができる。
<Vに2個入ったら、少なくとも一方を良い方の抽選にする。>
遊技中に作動契機が発生すると、所定の開放時間にわたり入賞口に遊技球が入球不能な閉鎖状態から、前記入賞口に遊技球が入球可能な開放状態に、変化する可動入球手段と、前記可動入球手段の入賞口に入球した遊技球を前記可動入球手段内に設けられた特定領域に誘導することが確定する確定領域と、前記可動入球手段内に複数配置される前記特定領域の内で遊技球が通過することにより所定の利益を遊技者に付与する第1特定領域と、その第1特定領域を遊技球が通過することにより遊技者に付与される利益に比較して遊技球が通過することにより遊技者に付与する利益が小さい第2特定領域と、を備える遊技機において、所定期間内に前記確定領域を複数の遊技球が通過した場合に、前記第1特定領域を遊技球が通過することによる利益を、前記第2特定領域を遊技球が通過することによる利益に比較して得やすくする第1手段を備えることを特徴とする遊技機B1。
パチンコ機等の遊技機において、作動契機が発生することにより所定の開放時間にわたり可動入球装置が開放状態に変化し、その開放状態において可動入球装置に入球した遊技球が特定領域を通過することにより遊技者が利益を得ることが可能となる遊技機がある(例えば、特開2014−61177号公報を参照)。この遊技機では、所定の開放時間は短く設定されるので(およそ0.5秒間)、遊技中に可動入球装置に遊技球が入球するほとんどの場合において、可動入球装置に入球する遊技球の個数は1個であるが、稀に、可動入球装置に遊技球が2個入球することがある。その発生頻度の低さから、可動入球装置に遊技球が2個入球した場合に、遊技者の期待感は格段に向上する。しかし、上述した従来の遊技機では、可動入球装置に遊技球が2個入球し、それら2個の遊技球が共に確定領域を通過した場合に、いずれかの遊技球が第2特定領域を通過すると、その後に他の遊技球が第1特定領域を通過したとしても、第1特定領域を遊技球が通過することによる利益を遊技者が得ることはできなかった。この場合、遊技者の期待感の向上度合いに比較して、実際の遊技結果が伴わず、遊技者を落胆させてしまうという問題点があった。
これに対し、遊技機B1によれば、第1手段は、複数の遊技球が確定領域を所定期間内に通過する場合に、第1特定領域を遊技球が通過することによる利益を、前記第2特定領域を遊技球が通過することによる利益に比較して遊技者が得やすくするので、所定期間内に確定領域を複数の遊技球が通過した場合の遊技者の期待感の向上度合いと、実際の遊技結果との釣り合いを取ることができる。従って、遊技者の興趣を向上させることができる。
遊技機B1において、前記第1手段は、前記確定領域と前記第1特定領域との間を遊技球が通過可能に連結する第1通過流路と、前記確定領域と前記第2特定領域との間を遊技球が通過可能に連結する第2通過流路と、を備え、その第2通過流路を遊技球が通過する期間が、前記第1通過流路を遊技球が通過する期間に比較して長くなるように構成されることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、遊技球が第1通過流路を通過する期間が、遊技球が第2通過流路を通過する期間に比較して短くされるので、確定領域を概略同時に複数の遊技球が通過し、それら複数の遊技球が第1通過流路と第2通過流路とにばらけた場合に、優先して第1特定流路を遊技球が通過することによる利益を遊技者に付与することができる。
なお、遊技球が第1通過流路を通過する期間と、遊技球が第2通過流路を通過する期間とを異ならせる方法は、特に限定されるものでは無い。例えば、第1通過流路を通過する場合と第2通過流路を流下する場合とで遊技球の流下速度は同様となるようにして第2通過流路の長さを第1通過流路に比較して長くしても良いし、第1通過流路と第2通過流路との長さを同一として第1通過流路を遊技球が流下する速度が第2通過流路を遊技球が流下する速度に比較して大きくなる(例えば、第1通過流路の下降傾斜角度を第2通過流路の下降傾斜角度に比較して大きくする)ようにしても良いし、第2通過流路の内側に所定期間突出することで遊技球が通過することを防止する通過防止手段を備える事で第2通過流路の内部で遊技球を所定期間停止させるようにしても良い。
遊技機B2において、前記第1通過流路と、前記第2通過流路とは、前記確定領域から所定区間は同一の流路から構成され、前記第1通過流路または前記第2通過流路の少なくとも一方が所定の分岐領域で曲がることで流路が分岐され、前記分岐領域は、到達した遊技球を減速させる態様で構成され、前記第1手段は、複数の遊技球が分岐領域にまとまって到達することにより、少なくとも一の遊技球を前記第1通過流路へ流入させる当接流入手段を備えることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、確定領域を複数の遊技球が通過した場合に、先の遊技球を分岐領域で減速させることで後の遊技球と先の遊技球とを分岐領域にまとまって到達させることができ、その場合に当接流入手段が少なくとも一の遊技球を第1通過流路へ流入させるので、第1特定領域を遊技球が通過することによる利益を遊技者が得やすくすることができる。
なお、当接流入手段の態様は、特に限定されるものでは無い。例えば、遊技球の進行を遮蔽可能な壁部として構成されても良いし、遊技球が分岐領域に到達することに伴って動作する動作部として構成されても良いし、電源投入時から一定の動作態様で電動動作する電動部として構成されても良い。
遊技機B3において、前記特定領域は、第1特定領域よりも遊技者に付与する利益が大きい有利特定領域を備え、前記第1手段は、前記第2通過流路から前記第1通過流路への橋渡しを可能とする橋渡し流路と、前記有利特定領域と連結される流路であって第1通過流路を通過する遊技球が流入可能に構成されると共に前記有利特定領域と連結される有利通過流路と、を備え、前記橋渡し流路を通過してきた遊技球と前記第1通過流路を通過する遊技球とが合流することにより遊技球が前記有利通過流路に流入し易くなる態様で構成されることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、第2通過流路から橋渡し流路に流入してきた遊技球が第1通過流路を流下する遊技球に合流することにより、遊技球が有利特定領域に連結される有利通過流路に流入し易くなるので、確定領域を複数の遊技球が通過した後において、第1通過流路と第2通過流路とにそれぞれ遊技球が向かった場合に、第2通過流路を流下する遊技球が第1通過流路を通過する遊技球が有利通過流路へ向かうことを補助する可能性を残すことができ、第2通過流路に流入した遊技球の存在感を増すことができる。
なお、第1通過流路を流下する遊技球を有利側流路に流入し易くする方法は、特に限定されるものでは無い。例えば、遊技球同士の当接により遊技球の流下の方向を変化させることで行っても良いし、有利通過流路の入口に遊技球が複数到達(滞留)することで有利通過流路に遊技球を導入し易くする導入手段が配設されることで行っても良い。
遊技機B4において、前記第1手段は、作動状態によって通過する遊技球の流下態様に影響を与える流下態様変化手段を備え、その流下態様変化手段は、通過する遊技球の流下態様に与える影響が小さくされる通過状態と、その通過状態よりも通過する遊技球の流下態様に与える影響が大きくされる抵抗状態との間で所定期間ごとに状態変化する態様で構成され、遊技球が前記流下態様変化手段を通過する際の前記流下態様変化手段の状態により、遊技球が前記有利通過流路に流入し易くなるか否かを変化させることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B4の奏する効果に加え、流下態様変化手段が所定期間ごとに通過状態と抵抗状態との間で状態変化し、どのタイミングで流下態様変化手段を通過するかによって、遊技球が有利通過流路に流入し易くなるか否かが変化するので、第1通過流路を遊技球が流下する状態において橋渡し流路から第1通過流路へ他の遊技球が流入するパターンを複数生じさせる事ができ、遊技者に毎回新鮮な遊技を行わせることができる。
遊技機B3からB5において、前記当接流入手段は、通常状態と、その通常状態とは異なる特殊状態とで状態変化可能に構成され、前記通常状態において、前記分岐領域に到達した複数の遊技球の内、1個の遊技球を前記第1通過流路へ流入させ、前記特殊状態において、前記分岐領域に到達した複数の遊技球を全て前記第1通過流路へ流入させることを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、遊技機B3からB5の奏する効果に加え、当接流入手段の状態によって遊技者が得られる利益を変化させることができ、当接流入手段の注目力を向上させることができる。
遊技機B2からB6のいずれかにおいて、前記第1手段は、少なくとも前記第2通過流路の内方に張り出し前記第2通過流路を流下する遊技球を停止させる張出状態と、前記第2通過流路の外方へ没する没入状態とを構成する通過防止手段を備え、その張出状態は、少なくとも前記可動入球手段を流下する遊技球が前記通過防止手段に到達する時点において維持されることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、遊技機B2からB6の奏する効果に加え、通過防止手段が、少なくとも遊技球が通過防止手段に到達する時点において張出状態を維持し、遊技球を停止させるので、第2通過流路を通過する遊技球が第2特定領域に到達するまでの期間を通過防止手段が張出状態を維持する期間分長くすることができる。
なお、通過防止手段の動作態様としては、例えば、可動入球手段を開放状態とする作動契機が発生してから所定期間(遊技球が通過防止手段に到達するまでにかかる期間よりも十分長い期間)通過防止手段を張出状態で維持し、その後で没入状態に状態変化させる動作態様が例示される。
遊技機B2又はB3において、遊技球が流入不能となる状態を構成するように第2特定領域の流入部に移動可能に配置される阻止部材を備え、遊技球は前記第2特定領域の前記流入部に流下し得る位置を移動する態様とされ、前記阻止部材により、前記複数の遊技球の内、少なくとも一方の遊技球が前記第2特定領域に流下することが防止されることを特徴とする遊技機B8。
遊技機B8によれば、遊技機B2又はB3の奏する効果に加え、第2特定領域に流下し得る位置に遊技球が配置された場合に、阻止部材により流下を阻止する構成をとることで、遊技球が決まった配置にあるから第2特定領域に流入することが決まるという前提を無くすことができ、遊技者の遊技球に対する注目力を向上させることができる。
遊技機B8において、前記阻止部材は、前記遊技球に対して負荷を与えて流下の態様に影響を与える第1状態と、前記遊技球の流下の態様に影響を与えない第2状態とを構成可能とされ、前記第1状態となるか、前記第2状態となるかで、前記第1特定領域に遊技球が流下するか、前記第1特定領域よりも遊技者に付与される利益の大きい有利特定領域に遊技球が流下するか、どちらとなるかの確率が変化することを特徴とする遊技機B9。
遊技機B9によれば、遊技機B8の奏する効果に加え、遊技球が阻止部材を通過した後において、遊技球の流下の態様を第1状態と第2状態とで異ならせることができ、その違いを遊技者が期待できる利益に結びつけることができる。従って、阻止部材を通過した後においても、遊技球の注目力を向上させることができる。
<Vに2個入ったら、後の遊技球のラウンド振り分けが先の遊技球以上となる>
遊技球が通過可能であると共に遊技球の通過により遊技者に所定の利益を付与する第1特定領域と、遊技球が通過可能であると共に遊技球の通過により遊技者に前記第1特定領域の通過により得られる利益未満の利益を付与する第2特定領域と、を含む複数の特定領域を有する複合特定領域と、前記複合特定領域に遊技球を誘導することが確定する確定領域と、を備える遊技機において、所定期間内に前記確定領域を複数の遊技球が通過した場合に、後の遊技球が前記複合特定領域を通過することにより遊技者に付与される利益が、先の遊技球が単独で前記複合特定領域を通過した場合に遊技者に付与される利益以上とする第2手段を備えることを特徴とする遊技機C1。
パチンコ機等の遊技機において、作動契機が発生することにより所定の開放時間にわたり可動入球装置が開放状態に変化し、その開放状態において可動入球装置に入球した遊技球が特定領域を通過することにより遊技者が利益を得ることが可能となる遊技機がある(例えば、特開2014−61177号公報を参照)。この遊技機では、所定の開放時間は短く設定されるので(およそ0.5秒間)、遊技中に可動入球装置に遊技球が入球するほとんどの場合において、可動入球装置に入球する遊技球の個数は1個であるが、稀に、可動入球装置に遊技球が2個入球することがある。その発生頻度の低さから、可動入球装置に遊技球が2個入球した場合に、遊技者の期待感は格段に向上する。しかし、上述した従来の遊技機では、可動入球装置に遊技球が2個入球し、それら2個の遊技球が共に確定領域を通過した場合に、各遊技球が特定領域のどこを通過するかは、ランダム性に委ねられ、遊技者の興趣を十分に向上させられるものとは言えないという問題点があった。
これに対し、遊技機C1によれば、所定期間内に確定領域を複数の遊技球が通過した場合に、後の遊技球が1の特定領域を通過することにより遊技者に付与される利益が、先に他の特定領域を通過した遊技球により遊技者に付与される利益以上とする第2手段を備えるので、遊技球が特定領域を通過する様子を見る際に、先の球が通過する特定領域により得られる利益以上の利益が約束される。そのため、後の球が通過するまで注目させ続けることができ、遊技者の興趣を向上させることができる。
なお、後の遊技球が複合特定領域を通過することにより遊技者に付与される利益の態様は、特に限定されるものではなく、様々な態様が例示される。例えば、後の遊技球が特定領域を通過したことを契機として遊技者に付与される利益でも良いし、後の遊技球が特定領域を通過する結果として先の遊技球が通過する特定領域が第2特定領域から第1特定領域へと変化(増益)し、先の遊技球が(変化後の)第1特定領域を通過したことを契機として遊技者に付与される利益でも良い。
遊技機C1において、前記第2手段は、遊技球により動作する可動手段を備え、その可動手段の動作により、前記可動手段を動作させた遊技球が前記特定領域を通過することにより付与される利益未満の利益を付与する他の特定領域への遊技球の通過が不可能とされることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、遊技球が通過する特定領域の限定は、遊技球により動作する可動手段により行われるので、遊技球が流下する流下経路の形状を特別なものとすることなく、遊技球が通過する特定領域を限定することができる。
なお、特定領域への遊技球の通過を不可能とする態様は特に限定されるものでは無く、様々な態様が例示される。例えば、特定領域へ向かって遊技球が流下する流下経路を封鎖しても良いし、特定領域へ遊技球が案内される開口を閉鎖しても良い。
また、遊技球により動作するとの態様は特に限定されるものではなく、様々な態様が例示される。例えば、遊技球が検出センサを通過することを契機として作動するアクチュエータにより動作する手段でも良いし、遊技球が当接することにより遊技球に押されて動作する手段でも良い。
遊技機C2において、前記可動手段は、先の遊技球が通過する前記特定領域が確定した後で動作することを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、遊技機C2の奏する効果に加え、遊技球が通過する特定領域を変更可能な状態を過ぎた後(遊技球が通過する特定領域が確定した後、即ち、特定領域の開口から跳ね返る可能性の有る状態を過ぎた後)で可動手段が動作するので、不用意に遊技球の通過する特定領域を限定することを防止することができ、遊技者が得られる利益が乱れることを防止することができる。
例えば、通過する特定領域が確定する前に可動手段が動作する態様とすると、可動手段の動作後に遊技球自体が特定領域から跳ね戻り、可動手段の利益を得て、より利益の大きな特定領域を通過する事態が生じる。この場合、遊技球が1個の時にも可動手段の利益が得られることとなり、遊技者に与える利益が大きくなりすぎる恐れがある。
これに対し、遊技機C3によれば、遊技機C2の奏する効果に加え、遊技球が通過する特定領域が確定した後で可動手段を動作させるので、特定領域に遊技球が2個到達したことを条件として可動手段が効果を発揮する遊技性を担保することができる。
遊技機C2又はC3において、前記可動手段は、前記各特定領域への入口であると共に前記各特定領域の近傍にそれぞれ配置される入口開口を、遊技球が通過不能に狭める態様で動作することを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C2又はC3の奏する効果に加え、可動手段が、各特定領域の近傍に配置されると共に各特定領域への入口である入口開口を狭める態様で動作するので、後の遊技球が特定領域へ進入する前に可動手段を動作させ易くすることができる。
これにより、先の遊技球と後の遊技球との間隔が狭い場合でも、後の遊技球が特定領域へ進入する前に可動手段を動作させやすくすることができるので、確定領域から特定領域まで遊技球が流下する流下経路の設計自由度を向上させることができる。
遊技機C2からC4のいずれかにおいて、前記可動手段は、動作後の状態において、遊技球が1面を伝って流下可能に構成され、前記可動手段の一面を伝って遊技球を他の前記特定領域へ向かわせる態様で構成されることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C4の奏する効果に加え、可動手段の動作後の状態において、遊技球が可動手段の一面を伝って他の入口開口へ向かう態様で構成されるので、可動手段に、特定領域への遊技球の通過を防止する役割に加えて、後の遊技球の滞留を防止する役割を持たせることができる。
なお、遊技球を入口開口へ向かわせる態様は特に限定されるものでは無く、様々な態様が例示される。例えば、流下経路の一面から板が張り出し、その板の遊技球に対向する面が流下経路の延設方向に対して傾斜して構成されることにより遊技球を所定の方向へ誘導する態様で構成されても良いし、特定領域への入口であると共に上下方向へ向けた開口である入口開口に対して孔を塞ぐ態様で可動部材が動作し、その上面が傾斜して形成されることで可動部材の上面に乗った遊技球が傾斜に沿って流れる態様で構成されても良い。
遊技機C2からC5のいずれかにおいて、前記可動手段は、動作により、遊技球が通過することが確定した前記特定領域の入口を狭め遊技球を通過不能にすることを特徴とする遊技機C6。
遊技機C6によれば、遊技機C2からC5のいずれかの奏する効果に加え、可動手段が、特定領域を通過する前の遊技球が1個のみ通過可能な態様で構成されるので、所定期間内に2個の球が確定領域を通過した場合に、それぞれの遊技球を別々の特定領域に通すことができ、第2手段が作用し易くすることができる。
遊技機C2からC6のいずれかにおいて、前記各特定領域への入口であると共に前記各特定領域の近傍にそれぞれ配置される各入口開口と、先の遊技球が前記1の入口開口に入り始める段階で動作され、動作後の状態で後の遊技球が前記他の入口開口へ進入するのにかかる期間を延長する遅延可動手段と、を備えることを特徴とする遊技機C7。
遊技機C7によれば、遊技機C2からC6のいずれかの奏する効果に加え、遅延可動手段は、先の遊技球が1の入口開口に入り始める段階で動作され、動作後の状態で後の遊技球が他の入口開口へ進入するのにかかる期間を延長するので、遅延可動手段の動作により後の遊技球が早期に入口開口を通過することを防止することができる。
これにより、先の遊技球と後の遊技球とが短い間隔で各入口開口に到達した場合において、後の遊技球が利益の少ない特定領域を通過しそうな場合にでも、他の入口開口へ進入する期間を延ばして、可動手段により後の遊技球が通過する特定領域を変化(増益)し易くすることができる。
<Vに2個入ったら後の遊技球のラウンド振り分けが先の遊技球以上となる。その2>
遊技球の通過により遊技者に所定の利益を付与する第1特定領域と、遊技球の通過により遊技者に前記第1特定領域の通過により得られる利益未満の利益を付与する第2特定領域と、を含む複数の特定領域を有する複合特定領域と、前記複合特定領域に遊技球を誘導することが確定する確定領域と、を備える遊技機において、前記確定領域を通過した遊技球が通過する通過流路と、その通過流路に配設され遊技球を前記第1特定領域へ案内するか否かを振り分ける第1振分部と、前記通過流路に配設され遊技球を前記第2特定領域へ案内するか否かを振り分ける第2振分部と、を備え、前記第1振分部および第2振分部は、前記確定領域を通過した遊技球が前記第1振分部へ到達するよりも先に前記第2振分部へ到達する態様で構成され、所定期間内に前記確定領域を複数の遊技球が通過した場合に、先の遊技球の作用により、後の遊技球により遊技者が得られる利益が、先の遊技球により遊技者が得られる利益以上とされることを特徴とする遊技機D1。
パチンコ機等の遊技機において、作動契機が発生することにより所定の開放時間にわたり可動入球装置が開放状態に変化し、その開放状態において可動入球装置に入球した遊技球が特定領域を通過することにより遊技者が利益を得ることが可能となる遊技機がある(例えば、特開2014−61177号公報を参照)。この遊技機では、所定の開放時間は短く設定されるので(およそ0.5秒間)、遊技中に可動入球装置に遊技球が入球するほとんどの場合において、可動入球装置に入球する遊技球の個数は1個であるが、稀に、可動入球装置に遊技球が2個入球することがある。その発生頻度の低さから、可動入球装置に遊技球が2個入球した場合に、遊技者の期待感は格段に向上する。しかし、上述した従来の遊技機では、可動入球装置に遊技球が2個入球し、それら2個の遊技球が共に確定領域を通過した場合に、各遊技球が特定領域のどこを通過するかは、ランダム性に委ねられ、遊技者の興趣を十分に向上させられるものとは言えないという問題点があった。
これに対し、遊技機D1によれば、確定領域を通過した遊技球は、通過流路を案内され、第2振分部を通過した後で第1振分部を通過する態様で構成されるので、利益の高い振り分けを行う前に利益の低い振り分けを行うことになり、遊技者の興趣を増加し続けることができると共に、所定期間内に確定領域を複数の遊技球が通過した場合には、先の遊技球の作用により後の遊技球により遊技者が得られる利益が、先の遊技球により遊技者が得られる利益以上とされるので、後の遊技球への注目力を維持することができ、遊技者の興趣を増加し続けることができる。
遊技機D1において、前記第2振分部で前記第2特定領域側へ振り分けられた遊技球が、前記第2振分部の前記第2特定領域側への振り分け通路を狭めることにより、前記第2振分部へ到達した他の遊技球を前記第2特定領域側の逆側へ案内することを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、第2特定領域側へ振り分けられた遊技球自体が、他の遊技球が第2特定領域側へ流下することを防止する防止手段として機能するので、第2振分部に可動部材に代表される振分手段を配置する場合に比較して、部材コストを低減することができる。
なお、ここで逆側とは、遊技球の流下方向として正反対の側を意味するものでは無く、遊技球を2方向に振り分ける場合の一方の方向に対する他方の方向を意味するものである。即ち、第2特定領域側の逆側は、第2特定領域側へ向かない方向であって遊技球が振り分けられる方向の全てを含む側を意味する。
遊技機D1又はD2において、前記第2振分部と前記第1振分部とを連結すると共に前記第2振分部において前記第2特定領域側の逆側へ振り分けられた遊技球が案内される連結流路と、その連結流路に遊技球が配置されることで変位する変位手段と、を備え、前記変位手段が変位することにより、前記第2振分部へ到達した他の遊技球を前記第2特定領域側の逆側へ案内することを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D1又はD2の奏する効果に加え、先の遊技球が連結流路に配置されることにより、後の遊技球が第2振分部で第2特定領域側へ振り分けられることを防止でき、後の遊技球も連結流路へ案内することができる。これにより、先の遊技球がどの特定領域を通過するか確定する前において、後の遊技球を、先の遊技球が通過する可能性のある特定領域よりも利益の小さい特定領域へ案内することを防止することができる。
遊技機D3において、遊技球を一定の速度で流下させる流下手段を備え、その流下手段は、先の遊技球が前記連結流路に配置された場合において、後の遊技球が前記第2振分部を通過した後で先の遊技球が前記第1振分部に到達する速度で遊技球を流下させることを特徴とする遊技機D4。
ここで、遊技球が自重で流下する場合、遊技球の流下のランダム性により、遊技球は個別の流下速度で流下する。そのため、例えば、先の遊技球の流下速度が高速で、後の遊技球の流下速度が遅いと、先の遊技球が連結流路に配置され、第1振分部を通過してしまってから、後の遊技球が第2振分部に到達する場合が生じ得る。この場合、後の遊技球が第2振分部に到達する際に変位手段の変位が戻ってしまい、後の遊技球が第2特定領域側へ流下することを防止できない。
これに対し、遊技機D4によれば、遊技機D3の奏する効果に加え、流下手段により遊技球の流下速度を制御することができ、連結流路に配置された先の遊技球が第1振分部を通過する前に、後の遊技球が第2振分部を通過する態様で遊技球を流下させることができるので、変位手段の変位を有効に利用することができる。
遊技機D4において、前記流下手段は、先の遊技球および後の遊技球が、前記第1振分部または第2振分部の少なくとも一方に連なって流入することを防止する態様で、先の遊技球および後の遊技球を流下させることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、流下手段により、先の遊技球および後の遊技球が、第1振分部または第2振分部の少なくとも一方に、連なって流入することが防止されるので、先の遊技球の振り分けが確定してから、後の遊技球の振り分けが開始されるまでの間に空き期間を構成することができ、遊技球の流下態様に注目する遊技者が一喜一憂(感情移入)する期間を確保することができる。これにより、遊技者の興趣を向上させることができる。なお、連なって流下するとは、複数の遊技球が接触するほど近接して流下する状態を意味する。
<連球形成:入球タイミングにより連球形成の容易さ変化>
遊技球が流下可能に形成される遊技領域と、その遊技領域に配設され遊技球が入賞可能な入賞口と、その入賞口の上流側に配置され遊技球を前記入賞口に案内可能な球流下手段と、を備える遊技機において、その球流下手段は、前記遊技領域から遊技球を受け入れる受入口と、その受入口に入球した遊技球を前記入賞口へ向けて排出する排出口と、前記受入口および排出口を遊技球が流下可能に連結する連結流路と、を備え、第1時点に前記受入口に入球した球が前記排出口から排出されるまでに必要な第1期間を、前記第1時点よりも後の第2時点に前記受入口に入球した球が前記排出口から排出されるまでに必要な第2期間以上とする期間である指定短縮期間を形成することを特徴とする遊技機E1。
パチンコ機等の遊技機において、遊技球が連なって入球した場合に、遊技者に与えられる可能性のある利益が高い有利ルートへ遊技球が案内される入球口を備える遊技機がある(例えば、特開2014−161397号公報を参照)。しかしながら、上述した従来の遊技機では、連なった遊技球の入球が、釘に弾かれて流下する球が偶然集まった場合に生じる(完全に偶発的に生じる)ので、意図的に連球を作ることが困難であるという問題点があった。
これに対し、遊技機E1によれば、指定短縮期間において、受入口に球を繰り返し入球させることにより、先の第1時点に入球した遊技球が排出口から排出されるまでの第1期間が、第1時点よりも後の第2時点に入球した遊技球が排出口から排出されるまでの第2期間以上となるので、連結流路内における先の遊技球と後の遊技球との間隔を短縮することができる。
この場合、指定短縮期間において遊技球が複数連なった状態を意図的に形成し易くすることができるので、指定短縮期間における受入口への球の入球を促すことで、排出口から複数個の球が排出された場合に遊技者が得られる利益が向上する可能性のある遊技機において、遊技者が得られる利益を向上させることができる。
なお、球流下手段の作用を生じさせる手段は、何ら限定されるものでは無い。例えば、先に入球した遊技球を減速させる態様でも良いし、後で入球した遊技球を加速させる態様でも良い。また、例えば、先に入球した遊技球が流下する連結流路の態様が曲がりくねった態様である一方で、後で入球した遊技球が流下する連結流路の態様が最短経路(直線経路)に切り替えられる態様でも良い。
なお、球流下手段の態様は何ら限定されるものでは無い。例えば、遊技盤面に植設される釘により遊技球を案内するものでも良いし、遊技盤面から延設される長板の上面を転動させることにより遊技球を案内するものでも良い。
遊技機E1において、前記連結流路は、前記第2時点に前記受入口に入球した遊技球が、前記第1時点に前記受入口に入球した遊技球の上流側に配置される態様で形成されることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、後の遊技球が先の遊技球を追い抜くことを防止することができるので、遊技球が複数連なった状態を意図的に形成し易くすることができる。
即ち、例えば、先の遊技球が流下する流下経路と後の遊技球が流下する流下経路とが枝分かれ分岐する場合、第1期間と第2期間との関係によっては、後の遊技球が先の遊技球を追い越す可能性があり、遊技球を複数連ねることができる期間が短くなる恐れがあった。
これに対し、後の遊技球が先の遊技球の上流側に配置される場合には、後の遊技球が先の遊技球に追いついた後は、互いに連なった状態(後の遊技球が先の遊技球にせき止められる状態)で排出口まで流下するので、後の遊技球が先の遊技球を追い越すことが無い。従って、遊技球を複数連ねやすくすることができる。
遊技機E1又はE2において、前記連結流路は、同時点において、前記第1時点に前記受入口に入球した遊技球の前記排出口へ向けた速度成分が、前記第2時点に前記受入口に入球した遊技球の前記排出口へ向けた速度成分以下とされる態様で形成されることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E1又はE2の奏する効果に加え、連結流路内を流下する遊技球同士の間隔が時間経過と共に延びることを防止することができる。これにより、連結流路を流下する遊技球の間隔が縮み、連球が形成されることへの期待感を常に維持することができる。
従って、常に受入口に球を入球可能な状態にしておいても、遊技球の間隔が延びる場合が生じることが無いので、例えば、受入口に遊技球が入球可能な状態と不能な状態とを切り替える切替弁を不要とすることができる。
なお、本遊技機は、先の遊技球よりも後の遊技球の方が排出口に到達するまでの期間が長くなることを妨げるものでは無く、あくまで、同時点において連結流路を流下している遊技球同士の比較に限定されるものである。
遊技機E1からE3のいずれかにおいて、前記球流下手段は、一定の動作態様で動作すると共に前記連結流路を流下する遊技球に負荷を与える動作手段を備え、その動作手段の一定の動作態様における何れの時点が前記第1時点となるかにより、前記指定短縮期間の長さが変動することを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E1からE3のいずれかの奏する効果に加え、一球目の遊技球を受入口に入球させるタイミングにより、一球目の遊技球を受入口に入球させた後、更に受入口に遊技球を入球させることで遊技球を連ねられる期間を変動させることができるので、遊技者に、遊技球の打ち出しタイミングを、連球の形成のし易さという判断基準で選択させることができる。また、遊技球の打ち出しタイミングは、球流下手段に配設される動作手段の動作態様と関連するので、動作手段の注目力を向上させることができる。
また、これによれば、連球を形成しないタイミングにまで、受入口へ向けて遊技球を繰り返し発射するという遊技方法を抑制することができる。即ち、連球を形成し易いタイミングを把握可能とすることで、受入口へ向けて繰り返し球を発射するタイミングと、受入口以外の箇所を狙うなどして自由に発射するタイミングとを切り替えることができ、遊技に緩急を付けることができる。
従って、不要な無駄球(連球を形成しないのに焦って繰り返し発射することで生じる無駄球)を抑制することができ、遊技者の不満を部分的に解消することができる。
一方で、繰り返し受入口に入球させることで遊技者に与えられる利益が大きくなる可能性を示唆するタイミングを作ることで、繰り返し遊技球を発射することを遊技者に促すことができるので、遊技球の消化個数(発射する遊技球の個数)を増加させることができる。これにより、遊技者が単発で遊技球を打ち出すなどの遊技方法を採用することで、遊技球の消化の時間効率が悪くなるという遊技ホールの不満を部分的に解消することができる。
遊技機E4において、前記動作手段の動作態様を正逆反転させることにより、前記動作手段が同等の状態の際に前記受入口に入球した遊技球が前記排出口から排出されるまでの期間を変化可能に構成されることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、遊技機E4の奏する効果に加え、一定のパターンで減速の度合いを規定しきる場合に比較して、球流下手段の内部を流下する遊技球と、球流下手段の外側を流下する遊技球とをまとめて入賞口に入れる遊技をする際の、打ち込みタイミングを多用にし、そのような遊技を困難とすることができる。即ち、受入口に入った遊技球を連ねることを容易にするという効果に限定し、受入口に入った遊技球と、受入口からこぼれた遊技球との連球を意図的に作ることを抑制することができる。
遊技機E4において、前記動作手段の動作態様を正逆反転させることにより、前記動作手段と前記指定短縮期間との対応関係を変化可能に構成されることを特徴とする遊技機E6。
遊技機E6によれば、遊技機E4の奏する効果に加え、動作手段の動作を目印として、受入口に入球した遊技球同士で連球を作る遊技を行う遊技者に対して、その打ち出しのタイミングをずらすことができる。これにより、動作手段の動作を目印として発射する技術を高めたとしても、必ず得をするわけでは無いという遊技性を付与することができる。
遊技機E4からE6のいずれかにおいて、前記動作手段は、遊技球に負荷を与える第1状態と、遊技球に負荷を与えない第2状態との状態の切り替えにより、前記排出口から見た遊技球の流下方向を切り替えることを特徴とする遊技機E7。
遊技機E7によれば、遊技機E4からE6のいずれかの奏する効果に加え、動作手段の状態の切り替えにより、遊技球の流下速度を低下させることなく前記排出口へ向けた速度成分を変化させることができる。
遊技機E7において、前記連結流路は、前記受入口から前記排出口へ向けた方向に沿って延設される凹設溝を底部に備え、前記動作手段から負荷が与えられない場合には、前記凹設溝に遊技球の流下が規制されることを特徴とする遊技機E8。
遊技機E8によれば、遊技機E7の奏する効果に加え、動作手段から負荷が与えられない場合における遊技球の流下態様を、凹設溝により均一化することができる。
遊技機E7又はE8において、前記動作手段は、前記連結流路に出没する複数の出没部材を備え、その複数の出没部材は、前記連結流路の延設方向に沿って配設され、前記複数の出没部材は、前記第2状態から前記第1状態への切り替えは同時に生じ、前記第1状態から前記第2状態への切り替えは前記受入口側から順に生じることを特徴とする遊技機E9。
遊技機E9によれば、遊技機E7又はE8の奏する効果に加え、排出口側の方が受入口側よりも、流下する遊技球の排出口へ向けた速度成分が小さくなる状態を機械的に生じさせることができる。
遊技機E9において、前記出没部材の前記第1状態から前記第2状態への切り替え動作が、遊技球が前記出没部材に衝突開始してから通過しきるまでの要する期間と同等の期間で行われることを特徴とする遊技機E10。
遊技機E10によれば、遊技機E9の奏する効果に加え、順に受入口に入球した一対の遊技球の内、先の遊技球が第1状態の出没部材から作用を受け続け、直後に入球した遊技球が出没部材から作用を受けないという状況を形成し易くすることができる。これにより、連結流路を流下する遊技球同士の速度差を付けやすくすることができる。
<連球形成:初期動作同じで、連球形成態様の異なる動作に切替>
遊技球が流下可能に形成される遊技領域と、その遊技領域に配設され遊技球が入賞可能な入賞口と、その入賞口の上流側に配置され遊技球を前記入賞口に案内可能な球流下手段と、を備える遊技機において、その球流下手段は、前記遊技領域から遊技球を受け入れる受入口と、その受入口に入球した遊技球を前記入賞口へ向けて排出する排出口と、前記受入口および排出口を遊技球が流下可能に連結する連結流路と、その連結流路の対応する位置を流下する遊技球に生じる減速作用を複数態様で切替可能な切替期間を形成する作用切替手段とを備えることを特徴とする遊技機F1。
パチンコ機等の遊技機において、遊技球が連なって入球した場合に、遊技者に与えられる可能性のある利益が高い有利ルートへ遊技球が案内される入球口を備える遊技機がある(例えば、特開2014−161397号公報を参照)。しかしながら、上述した従来の遊技機では、所定の間隔で入球口に遊技球が入球すれば良いという安心感から、入球口に入球した遊技球のその後の流下態様に対する注目力を低下させる恐れがあるという問題点があった。
これに対し、遊技機F1によれば、作用切替手段により、切替期間において連結流路の対応する位置を流下する遊技球に生じる減速作用を複数態様で切替可能とされるので、受入口に同じ間隔を空けて続けて遊技球が入球した場合であっても、一の場合には、連なって排出口から排出される一方で、他の場合には、連なることなく依然として間隔を空けて排出口から排出される状況を作ることができる。これにより、受入口に入球した遊技球の、その後の流下態様に対する注目力を維持することができる。
なお、一の場合と、他の場合との区別の手法は、何ら限定されるものでは無い。例えば、2種の遊技機において、入賞口への遊技球の入賞の可否を切り替える羽部材が1回単独で開放する場合を一の場合とし、羽部材が2回連続で開放する場合を他の場合としても良い。また、例えば、羽部材の開放回数は同じとしながらも、始動入賞口に入賞した際に取得した小当たり種別の違いにより、一の場合と他の場合とを区別しても良い。また、例えば、作用切替手段が動作部材を備える場合において、作用切替手段の動作態様との対応で一の場合と他の場合とを区別しても良い。
なお、減速作用の態様は、何ら限定されるものでは無い。例えば、先の遊技球と後の遊技球との間隔を縮める態様でも良いし、先の遊技球と後の遊技球との間隔を維持する態様でも良いし、先の遊技球と後の遊技球との間隔を延ばす態様でも良いし、それらが時系列に沿って切り替えられる態様でも良い。
遊技機F1において、前記作用切替手段は、一定の動作態様で動作すると共に前記連結流路を流下する遊技球に負荷を与える動作手段を備え、その動作手段が同一動作を行った直後に前記切替期間が配置されることを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、遊技者が動作手段の動作を目印にして遊技球の発射タイミングを調整することで、狙い通りの流下態様で遊技球を流下させることを困難とすることができる。即ち、所定の同一動作の後で、遊技球に生じる減速作用を切り替えることができるので、例えば、所定の同一動作の直後に連結流路に入球するタイミングで発射した遊技球が、遊技者の狙い通りの態様で流下する場合と、それとは異なる態様で流下する場合とを形成することができる。これにより、動作手段の動作態様に対する注目力に比較して、流下経路を流下する遊技球への注目力を向上させることができる。
遊技機F2において、前記動作手段を駆動する駆動手段は、単一の駆動装置から形成されると共に前記切替期間において同一の動作速度を維持しながら前記減速作用を切り替えることを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、遊技機F2の奏する効果に加え、動作手段が単一の駆動装置により駆動されると共に、同一の動作速度を維持しながら減速作用を切り替えるので、駆動手段の配設スペース及び製品コストを削減することができると共に、駆動手段の動作音や振動により減速作用が切り替えられたことを遊技者に察知されることを防止することができる。
遊技機F3において、前記動作手段は、前記同一動作の直後に前記駆動手段の動作方向を正方向に維持する第1駆動状態と、前記同一動作の直後に前記駆動手段の動作方向を逆方向に反転する第2駆動状態と、で動作可能とされ、第1駆動状態および第2駆動状態において前記同一動作の直後に前記駆動手段を停止することを特徴とする遊技機F4。
遊技機F4によれば、遊技機F3の奏する効果に加え、第1駆動状態と第2駆動状態との両方において同一動作の直後に駆動手段が停止するので、遊技者に、駆動手段の動作音や振動を手がかりに駆動状態を把握されることを防止することができる。これにより、連結流路を流下する遊技球への注目力を維持することができる。
遊技機F3において、前記動作手段は、前記駆動手段の動作態様を維持しつつ、前記同一動作から前記切替期間へ移行することを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F3の奏する効果に加え、遊技者が目印とする動作手段の同一動作から切替期間への移行が駆動手段の動作態様を維持しつつ行われるので、同一動作を行った後の動作手段の動作態様を把握(予想)するための材料を、減らすことができる。これにより、動作手段の動作態様を根拠に、遊技者が、球流下手段の内側を流下する遊技球の流下態様を把握することを困難にすることができる。
なお、例えば、複数の動作手段がそれぞれ個別の駆動手段を備えることにより、例え切替期間における動作手段の動作態様が異なっていたとしても、同一動作から切替期間へ以降する際に駆動音や、駆動振動が変化することを防止することができる。
遊技機F4において、前記動作手段が、前記第1駆動状態となるか、前記第2駆動状態となるかにより、前記排出口から遊技球を連ねて排出するために必要な前記受入口への遊技球の入球態様が変化することを特徴とする遊技機F6。
遊技機F6によれば、遊技機F4の奏する効果に加え、動作手段の動作態様により、連球を形成するための受入口への遊技球の入球態様が変化するので、受入口に球が入球したタイミングに排出口から連球が排出されることを把握することを困難とできるので、排出口へ向けて流下する遊技球への注目力を向上させることができる。
<連球形成:最大連球個数を出没部材の動作で変化させる>
遊技球が流下可能に形成される遊技領域と、その遊技領域に配設され遊技球が入賞可能な入賞口と、その入賞口の上流側に配置され遊技球を前記入賞口に案内可能な球流下手段と、を備える遊技機において、その球流下手段は、所定期間に前記入賞口に案内可能な遊技球の個数の最大値である最大連球数を変化可能な変化手段を備えることを特徴とする遊技機G1。
パチンコ機等の遊技機において、遊技球が連なって入球した場合に、流下する球の間隔を流路に配設されるリブにより維持する遊技機がある(例えば、特開2015−181923号公報を参照)。しかしながら、上述した従来の遊技機では、遊技球が流路から排出されるまでの期間(遊技球を視認可能な期間)を長くできる一方で、流路から排出された後の遊技球同士の間隔が流路に入球する際の遊技球同士の間隔と同じことから、入球時には離れていた複数の遊技球が排出される際に間隔が縮まり、まとまって排出されるかもしれない場合(例えば、釘の群に衝突しながら遊技球が流下する場合)に比較して、流路から排出される遊技球への注目力を維持できないという問題点があった。
これに対し、遊技機G1によれば、変化手段により所定期間に入賞口に案内可能な遊技球の個数の最大値である最大連球数を変化可能とされるので、例えば、球流下手段に3個の遊技球が同じ間隔で入球した後で、一の場合には、所定期間に1球ずつ排出され、他の場合には、所定期間に3個まとめて排出されるという状況を作り出すことができる。これにより、球流下手段に遊技球が入球する時点において遊技球が球流下手段から排出される際の態様を把握することを困難とできるので、球流下手段から排出されるまで遊技球への注目力を維持することができる。
なお、変化手段が所定期間に1球ずつしか入賞口へ案内しない態様においては、遊技者が連続して発射する2個の遊技球の発射強度を意図的に変化させ連球とする場合(所謂、「捻り打ち」)に、その連球を1球ずつに分けることができる。これにより、捻り打ちを行う遊技者が余分な利益を受けることを防止することができるので、初心者(捻り打ちを行わない遊技者)と経験者(捻り打ちを行う遊技者)との利益差を抑制することができる。
遊技機G1において、前記変化手段は、前記球流下手段内での遊技球の流下を継続しつつ、その流下の過程で複数の遊技球の間隔を変化させることを特徴とする遊技機G2。
遊技機G2によれば、遊技機G1の奏する効果に加え、球流下手段内を流下する遊技球が停止する場合と異なり、球流下手段に遊技球が入球し過ぎ、球流下手段内に満杯となることで遊技球が入球不可能となることを防止することができる。従って、常時、球流下手段に遊技球が入球可能な状態を維持することができる。
遊技機G1又はG2において、前記変化手段は、遊技球を流下させる流下経路と、その流下経路に出没すると共にその流下経路を流下する遊技球に負荷を付与可能に構成される動作手段と、を備え、その動作手段の動作態様の切り替えにより、前記所定期間に前記入賞口に案内可能な遊技球の個数の最大値が変化することを特徴とする遊技機G3。
遊技機G3によれば、遊技機G1又はG2の奏する効果に加え、所定期間に入賞口に案内可能な遊技球の個数の最大値を動作手段の動作態様により切り替えることができるので、所定期間に入賞口に案内可能な遊技球の最大値を電気的に制御することができる。
遊技機G3において、前記流下経路は、複数股流路から形成され、その複数股に枝分かれした流路にそれぞれ前記動作手段が配設され、それら動作手段の動作態様の組合せが異なることにより、前記所定期間に前記入賞口に案内可能な遊技球の個数の最大値が変化することを特徴とする遊技機G4。
遊技機G4によれば、遊技機G3の奏する効果に加え、動作手段が複数箇所に配置され、各動作手段の動作態様の組合せにより所定期間に入賞口に案内可能な遊技球の個数の最大値が変化するので、動作手段が一箇所に配設させる場合に比較して、各動作手段の動作態様を把握することで、所定期間に入賞口に案内される遊技球の個数の最大値に狙いを付けて遊技球を発射することを困難とすることができる。
これにより、所定期間に入賞口に案内可能な遊技球の個数の最大値の変化を利用して想定外の利益を得る遊技を防止することができる。
遊技機G4において、前記流下経路は、前記複数股の流路に遊技球を振り分ける振分手段を備え、その振分手段は、遊技球を前記複数股の流路の内のいくつかの流路に振り分ける第1状態と、遊技球を前記複数股の流路の内の単一の流路に振り分ける第2状態とを切り替え可能とされることを特徴とする遊技機G5。
遊技機G5によれば、遊技機G4の奏する効果に加え、振分手段により遊技球がどのように複数股の流路に振り分けられるかが変わるので、複数股の流路内における遊技球の連なり方が変わることから、所定期間に入賞口に案内できる遊技球の数を変化させることができる。
遊技機G1からG5のいずれかにおいて、前記変化手段は、特別遊技状態への移行前の状態である通常遊技状態における前記最大連球数を、前記特別遊技状態における前記最大連球数以上とすることを特徴とする遊技機G6。
遊技機G6によれば、遊技機G1からG5のいずれかの奏する効果に加え、通常遊技状態から特別遊技状態へ移行する頻度を上げることができると共に、特別遊技状態において遊技者が得られる利益が変動することを抑制することができる(出球を均一化することができる)。これにより、特別遊技状態の回数から遊技者が得られる利益を算出する際の正確性を上昇させることができるので、遊技店は出球管理を容易に行うことができ、特別遊技状態への移行の頻度が上がることから、通常遊技状態が長い場合に遊技者に与えられる疲労感を低減することができる。従って、遊技者および遊技店の両者にとって利益となる遊技機とすることができる。
遊技機G1からG6のいずれかにおいて、前記変化手段は、特別遊技状態における各ラウンドのラウンド遊技の開始から所定期間経過するまでの前記最大連球数に比較して、その所定期間が経過した後の前記最大連球数を大きくすることを特徴とする遊技機G7。
遊技機G7によれば、遊技機G1からG6のいずれかの奏する効果に加え、各ラウンドのラウンド遊技の開始から所定期間経過するまでに入賞口に入賞する遊技球の個数管理を容易とできると共に、各ラウンドのラウンド遊技の開始から所定期間経過後に入賞口に遊技球が連球で入賞する確率を上げることができる。これにより、各ラウンドのラウンド遊技終了直前で入賞口への入賞を一時停止することを容易としながら、その状態で連球を入賞口に入賞させ易くでき、結果として、オーバー入賞が発生する確率を上げることができる。
なお、逆に、所定期間経過後の連球数を、所定期間経過前の連球数に比較して少なくするようにしても良い。この場合、所定期間における遊技の緊張感を高めることができ、遊技者が漫然と遊技を行うことの防止を図ることができる。即ち、各ラウンドのラウンド遊技開始後、なるべく早く規定個数(カウント数)分の球を入賞口(大入賞口)に入れるように遊技を行う方が遊技者が得られる利益が大きくなることから、開始後から集中して遊技に臨ませることができる。
<連球形成:連球形成可能なタイミングか、否かを認識し困難にする>
遊技球が流下可能に形成される遊技領域と、その遊技領域に配設され遊技球が入賞可能な入賞口と、その入賞口の上流側に配置され遊技球を前記入賞口に案内可能な球流下手段と、を備える遊技機において、その球流下手段は、遊技球を流下させる流下経路と、その流下経路に出没すると共にその流下経路を流下する遊技球に負荷を付与可能に構成される動作手段と、を備え、その動作手段は、前記流下経路に出張った場合に、遊技球に与える負荷の大きさを切り替え可能とされることを特徴とする遊技機H1。
パチンコ機等の遊技機において、遊技球が連なって入球した場合に、遊技者に与えられる可能性のある利益が高い有利ルートへ遊技球が案内される入球口を備える遊技機がある(例えば、特開2014−161397号公報を参照)。しかしながら、上述した従来の遊技機では、遊技球が流下する経路に配設される可動役物の姿勢から、入球口へ遊技球を連ねて入球させた場合に有利ルートへ遊技球が案内されるタイミングか否かを遊技者が把握することができるので、入球口へ遊技球を連ねて入球させた場合に有利ルートへ遊技球が案内されるタイミングに狙い打ちされることで、想定外の利益を遊技者に与える恐れがあるという問題点があった。
これに対し、遊技機H1によれば、動作手段が流下経路に出張っていることを把握することのみでは、動作手段が遊技球に与える負荷の大きさを把握することができず、流下経路を流下する遊技球を減速させる程度の把握を困難とすることができる。これにより、動作手段の配置や姿勢を目印に狙い打ちする遊技態様を防止することができ、利益の均等化を図ることができる。
また、照明や音響による報知で連球形成のタイミングだと伝えることで、遊技球にだけでなく、該当する照明や音響にも遊技者の注意を向けさせることができる。
遊技機H1において、前記動作手段は、前記流下経路に出張った場合に、遊技球と衝突した後に状態を維持する固定状態と、前記流下経路に出張った場合に、遊技球と衝突することで出張った位置よりも没する解除状態とで切替可能とされることを特徴とする遊技機H2。
遊技機H2によれば、遊技機H1の奏する効果に加え、流下経路を流下する遊技球との衝突により状態を維持し遊技球を十分に減速させられるか、遊技球との衝突により没し遊技球を十分には減速させられないか、遊技球を流下させない状態(動作手段単体)で把握することを困難とすることができる。これにより、動作手段の配置や姿勢を目印に狙い打ちする遊技態様を防止することができ、利益の均等化を図ることができる。また、遊技球の流下時には、動作手段により遊技球が減速させられるか否かを視認することができるので、流下する遊技球への注目力を向上させることができる。
遊技機H1又はH2において、前記動作手段の出没方向が前記遊技領域を構成する遊技盤の盤面に垂直な方向に沿う第1方向であることを特徴とする遊技機H3。
遊技機H3によれば、遊技機H1又はH2の奏する効果に加え、動作手段の出没動作を遊技者の目線から把握し難くすることができる。これにより、遊技球が流下経路を通過する際に動作手段が出没動作しても、その動作を遊技者が認識することを困難とすることができる。且つ、動作の前後において動作手段の外形位置が変化しないので、動作の前後において遊技者から遊技球を遮蔽する位置が変化することを防止できることから、遊技者が流下する遊技球を見失うことを防止することができる。
即ち、動作手段の出没動作の態様を遊技者に把握し難くできるという効果と、遊技球を遊技者に見やすくすることができるという効果との、一見相反する効果を両立することができる。
遊技盤H1からH3のいずれかにおいて、前記動作手段は、遊技球と衝突する出没部材と、その出没部材を動作させる駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段から前記出没部材へ当接により駆動力を伝達する伝達手段と、を備え、前記出没部材の動作方向が水平方向に沿った方向であることを特徴とする遊技機H4。
遊技機H4によれば、遊技機H1からH3のいずれかの奏する効果に加え、重力により移動方向に付勢される度合いが小さいので、出没部材を移動方向に沿って別で保持せずとも、出没部材の移動を案内する部材との静止摩擦により出没部材の配置を維持することができる。
なお、出没部材の動作態様は遊技者に視認可能とし、伝達手段を遊技者から遮蔽し視認不能とすることで、出没部材が出張った場合を遊技者が認識可能としつつ、固定状態か解除状態かの把握を困難とすることができる。
遊技機H1からH4のいずれかにおいて、前記動作手段は、遊技球と衝突する複数の出没部材を備え、それら各出没部材において、前記複数の出没部材は、前記流下経路に出張った場合に、遊技球と衝突した後に状態を維持する固定状態と、前記流下経路に出張った場合に、遊技球と衝突することで出張った位置よりも没する解除状態とで個別に切替可能とされることを特徴とする遊技機H5。
遊技機H5によれば、遊技機H1からH4のいずれかの奏する効果に加え、動作手段の外観から、どの出没部材が固定状態で、どの出没部材が解除状態なのかの識別を困難とすることができるので、動作手段が配設される流下経路を流下する遊技球に対する注目力を向上させることができる。
遊技機H4又はH5において、前記出没部材は、遊技球の流下方向と対向する対向面と前記流下経路とのなす角度が、前記対向面と前記出没部材の出没方向とのなす角度以下とされることを特徴とする遊技機H6。
遊技機H6によれば、遊技機H4又は遊技機H5の奏する効果に加え、対向面に遊技球から与えられる負荷の出没部材の出没方向成分を、流下経路の延設方向に沿った方向成分に比較して大きくすることができるので、動作手段が解除状態である場合に、出没部材を没動作し易くすることができる。
遊技機H1からH6のいずれかにおいて、前記流下経路は、その延設方向に沿って凹溝として延設される凹設溝を底部に備え、その凹設溝は、上部を転動する遊技球の流下方向を規制可能とされ、前記動作手段は、前記流下経路に出張った場合に、前記凹設溝に規制されて流下する遊技球に衝突可能に形成され、前記流下経路に出張った場合に、遊技球と衝突した後に状態を維持する固定状態と、前記流下経路に出張った場合に、遊技球と衝突することで出張った位置よりも没する解除状態とで切替可能とされ、前記動作手段は、前記固定状態では、前記凹設溝から遊技球を離すように作用し、前記解除状態では、前記凹設溝から離反し遊技球に作用しない補助動作手段を備えることを特徴とする遊技機H7。
遊技機H7によれば、遊技機H1からH6のいずれかの奏する効果に加え、補助動作手段により、固定状態では遊技球が凹設溝から積極的に離されることで出没部材へ与える負荷が低減される一方で、解除状態では凹設溝による遊技球の規制を維持し易くすることにより、出没部材が没する前に遊技球が凹設溝から離れ出没部材に与えられる負荷が小さくなることを抑制することができる。
即ち、遊技球の負荷で移動させたくない場合には、それを補助できる一方、遊技球の負荷で移動させたい場合には、それを補助できるという、一見相反する効果の両立を図ることができる。これにより、出没部材の動作を安定させることができる。
遊技機H7において、前記補助動作手段は、前記出没部材が没した場合において、前記凹設溝から離れた遊技球と当接し、遊技球の流下方向を前記凹設溝側へ向ける態様で構成されることを特徴とする遊技機H8。
遊技機H8によれば、遊技機H7の奏する効果に加え、前記補助動作手段により前記凹設溝へ遊技球を復帰させることができる。これにより、部材を追加することなく、出没部材が没した場合において凹設溝から離れたまま遊技球が流下経路を流下することを防止することができる。
遊技機A1からA10,B1からB9,C1からC7,D1からD5,E1からE10,F1からF6,G1からG7,H1からH8のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機Z1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA10,B1からB9,C1からC7,D1からD5,E1からE10,F1からF6,G1からG7,H1からH8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機Z2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA10,B1からB9,C1からC7,D1からD5,E1からE10,F1からF6,G1からG7,H1からH8のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
<その他>
パチンコ機等の遊技機において、遊技球が連なって入球した場合に、遊技者に与えられる可能性のある利益が高い有利ルートへ遊技球が案内される入球口を備える遊技機がある(例えば、特許文献1:特開2014−161397号公報)。
しかしながら、所定の間隔で入球口に遊技球が入球すれば良いという安心感から、入球口に入球した遊技球のその後の流下態様に対する注目力を低下させる恐れがあるという問題点があった。
本技術的思想は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、入球した遊技球の、その後の流下態様に対する注目力を維持することができる遊技機を提供することを目的とする。
<手段>
この目的を達成するために技術的思想1の遊技機は、遊技球が流下可能に形成される遊技領域と、その遊技領域に配設され遊技球が入賞可能な入賞口と、その入賞口の上流側に配置され遊技球を前記入賞口に案内可能な球流下手段と、を備える遊技機において、その球流下手段は、前記遊技領域から遊技球を受け入れる受入口と、その受入口に入球した遊技球を前記入賞口へ向けて排出する排出口と、前記受入口および排出口を遊技球が流下可能に連結する連結流路と、その連結流路の対応する位置を流下する遊技球に生じる減速作用を複数態様で切替可能な切替期間を形成する作用切替手段とを備える。
技術的思想2の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記作用切替手段は、一定の動作態様で動作すると共に前記連結流路を流下する遊技球に負荷を与える動作手段を備え、その動作手段が同一動作を行った直後に前記切替期間が配置される。
技術的思想3の遊技機は、技術的思想2記載の遊技機において、前記動作手段を駆動する駆動手段は、単一の駆動装置から形成されると共に前記切替期間において同一の動作速度を維持しながら前記減速作用を切り替える。
<効果>
技術的思想1記載の遊技機によれば、入球した遊技球の、その後の流下態様に対する注目力を維持することができる。
技術的思想2記載の遊技機によれば、技術的思想1記載の遊技機の奏する効果に加え、動作手段が切替期間の前に同一動作を行うことにより切替期間における遊技球の減速態様を把握し難くすることができる。
技術的思想3記載の遊技機によれば、技術的思想2記載の遊技機の奏する効果に加え、駆動手段の駆動態様から動作手段の動作態様を予想することを困難とすることができる。