JP6870064B2 - ピリミジン化合物の医薬用途 - Google Patents

ピリミジン化合物の医薬用途 Download PDF

Info

Publication number
JP6870064B2
JP6870064B2 JP2019217907A JP2019217907A JP6870064B2 JP 6870064 B2 JP6870064 B2 JP 6870064B2 JP 2019217907 A JP2019217907 A JP 2019217907A JP 2019217907 A JP2019217907 A JP 2019217907A JP 6870064 B2 JP6870064 B2 JP 6870064B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seizures
compound
salt
alkyl
syndrome
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019217907A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020094045A (ja
Inventor
友一 篠原
友一 篠原
岩田 伸
伸 岩田
健太 新井
健太 新井
展明 伊藤
展明 伊藤
征希 鈴木
征希 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Otsuka Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Otsuka Pharmaceutical Co Ltd
Publication of JP2020094045A publication Critical patent/JP2020094045A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6870064B2 publication Critical patent/JP6870064B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、ピリミジン化合物又はその塩を有効成分とする、てんかん発作又はけいれん発作等を伴う疾患において、発作等の治療、予防及び/又は診断に有用な医薬に関する。
てんかん有病率は人口の約1%で、日本では約100万人の患者が存在する一般的な神経疾患であり生涯罹患率は3〜4%とされ、年間数万人がてんかんを発症していると推測される。当該患者の約7割は、既存の抗てんかん薬の服用で発作を抑制することができ、問題なく日常生活を送ることができるが、残りの3割のてんかん患者では発作を十分にコントロールすることができず、いつ起こるかわからない発作に不安を抱えている。既存の抗てんかん薬の多くは、神経細胞の過剰興奮や過剰同期を抑制することで、神経活動の興奮−抑制の不均衡を正すことを目的としているが、至適用量以上の用量では平衡が妨害され、運動障害や、てんかん発作が誘導されうる。
特許文献1には、てんかんを含む、Kv3.1及び/又はKv3.2チャネルの調節物質が要求される疾病又は疾患の治療等に用いられる化合物として、ピリミジンを構造に含む化合物が開示されている。
特許文献2,3には、てんかんを含む神経変性病態を処置するための、キヌレニン-3-モノオキシゲナーゼインヒビターとして、ピリミジン骨格を有する化合物が開示されている。
特許文献4は、抗てんかん作用を示す化合物としてウラシル化合物を開示している。
しかしながら、ウラシル骨格の1位の窒素にピリミジンの5位の炭素を結合させた構造を有する化合物を含有する医薬は、いずれの特許文献にも開示も示唆もされていない。
国際公開第2011/069951号公報 国際公開第2013/016488号公報 国際公開第2011/091153号公報 国際公開第2004/009559号公報
本発明の目的の一つは、てんかん発作又はけいれん発作等を伴う疾患において、発作等の治療、予防及び/又は診断に有効な新規ピリミジン化合物及びその塩の医薬用途を提供することである。
また、本発明の別の目的としては、てんかん発作を完全に抑制する用量においても、興奮−抑制の平衡を保ち、既存の抗てんかん薬に比べて幅広い治療スペクトラムを有する医薬を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、既存の抗てんかん薬に比べて幅広い治療スペクトラムを有する新規ピリミジン化合物の合成に成功した。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1] 式[I]:
Figure 0006870064
[式中、
環Aは、フェニル、ナフチル又はピリジルであり;
は、C1−6アルキルであり;
は、−O−C1−6アルキルであり;
は、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル、重水素又はハロゲンで置換されていてもよい−O−C1−6アルキル、ハロゲンで置換されていてもよい−S−C1−6アルキル、C2−6アルキニル、フェニル、−O−ベンジル、ペンタフルオロチオ、−CN又は−Si−モノ、ジ又はトリ−C1−6アルキル(ジ又はトリのとき、各々異なるアルキルであってもよい)であり;
Lは、直接結合、C1−6アルキレン、−O−又は−S−であり;
m及びnは、それぞれ0又は1であり;
qは、0、1又は2であり、qが2の場合、Rは各々独立して、同一又は異なった置換基を示す;
Figure 0006870064
は、一重結合又は二重結合を示す]
で表される化合物又はその塩を含む医薬。
[2] 環Aが、フェニルであり;
Lが、−O−であり;
nが、0である、[1]に記載の化合物又はその塩を含む医薬。
[3] mが0である、[1]又は[2]に記載の化合物又はその塩を含む医薬。
[4] Rがハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルキニル又はハロゲンで置換されていてもよい−S−C1−6アルキルである、[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物又はその塩を含む医薬。
[5]
Figure 0006870064
が、フェニル、モノハロフェニル、ジハロフェニル、モノC1−6アルキルフェニル、モノC2−6アルキニルフェニル又は1個のハロゲンと1個のC1−6アルキル基とで置換されたフェニルである、[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物又はその塩を含む医薬。
[6] 以下の化合物からなる群から選ばれた化合物又はその塩を含む医薬。
Figure 0006870064

Figure 0006870064

Figure 0006870064
[7] 有効成分としての[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物又はその塩と、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、医薬組成物。
[8] [1]〜[6]のいずれかに記載の化合物又はその塩を含む、てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作(重積状態)を含む)を伴う疾患における、発作の治療、予防及び/又は診断用剤。
[9] てんかん発作が、焦点発作(部分発作と呼ばれることもある)における運動起始発作(自動症、脱力発作、間代発作、てんかん性スパズム発作、過動発作、ミオクロニー発作及び強直性発作を含む)及び非運動起始発作(自律神経発作、行動停止発作、認知発作、情動発作及び知覚性発作を含む)、焦点発作からの両側性強直間代発作へ移行する発作(部分発作の二次性全般化);全般発作における運動性発作(強直間代発作、間代発作、強直発作、ミオクロニー発作、ミオクロニー強直間代発作、ミオクロニー脱力発作、脱力発作及びてんかん性スパズム発作を含む)及び非運動性発作(定型欠神発作、非定型欠神発作、ミオクロニー欠神発作及び眼瞼ミオクロニー発作を含む);起始不明発作における運動性発作(強直間代発作及びてんかん性スパズム発作を含む)及び非運動性発作(行動停止発作を含む)から選ばれる[8]に記載の治療、予防及び/又は診断用剤。
[10] てんかん発作又はけいれん発作を伴う疾患が、例えば、Dravet(ドラベ)症候群、Lennox-Gastaut(レノックス−ガストー)症候群、West(ウェスト)症候群(点頭てんかん)、大田原症候群、Doose(ドゥーゼ)症候群、Landau-Kleffner(ランドウ−クレフナー)症候群、Rasmussen(ラスムッセン)症候群、Aicardi(アイカルディ)症候群、Panayiotopoulos(パナイオトポーロス)症候群、Kojewnikow症候群、Tassinari症候群、Geschwind(ゲシュヴィント)症候群、片側けいれん・片麻痺・てんかん症候群、内側側頭葉てんかん症候群、構造的又は代謝性の原因に帰するてんかん(脳卒中後てんかん、外傷性てんかん、感染性てんかん、脳血管障害に伴うてんかん、脳腫瘍に伴うてんかん、神経変性疾患に伴うてんかん、Sturge-Weber症候群など)、ならびに先天性奇形、先天性代謝異常(例えば、フェニルケトン尿症、ミトコンドリア病、ライソゾーム病など)及び先天性遺伝子異常(レット症候群、アンジェルマン症候群、5p-症候群、4p-症候群、ダウン症候群など)などから選ばれる[8]に記載の治療、予防及び/又は診断用剤。
[11] [1]〜[6]のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分とする、てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作の治療、予防及び/又は診断用医薬組成物。
[12] てんかん発作が、焦点発作(部分発作と呼ばれることもある)における運動起始発作(自動症、脱力発作、間代発作、てんかん性スパズム発作、過動発作、ミオクロニー発作及び強直性発作を含む)及び非運動起始発作(自律神経発作、行動停止発作、認知発作、情動発作及び知覚性発作を含む)、焦点発作からの両側性強直間代発作へ移行する発作(部分発作の二次性全般化);全般発作における運動性発作(強直間代発作、間代発作、強直発作、ミオクロニー発作、ミオクロニー強直間代発作、ミオクロニー脱力発作、脱力発作及びてんかん性スパズム発作を含む)及び非運動性発作(定型欠神発作、非定型欠神発作、ミオクロニー欠神発作及び眼瞼ミオクロニー発作を含む);起始不明発作における運動性発作(強直間代発作及びてんかん性スパズム発作を含む)及び非運動性発作(行動停止発作を含む)から選ばれる[11]に記載の医薬組成物。
[13] てんかん発作又はけいれん発作を伴う疾患が、例えば、Dravet(ドラベ)症候群、Lennox-Gastaut(レノックス−ガストー)症候群、West(ウェスト)症候群(点頭てんかん)、大田原症候群、Doose(ドゥーゼ)症候群、Landau-Kleffner(ランドウ−クレフナー)症候群、Rasmussen(ラスムッセン)症候群、Aicardi(アイカルディ)症候群、Panayiotopoulos(パナイオトポーロス)症候群、Kojewnikow症候群、Tassinari症候群、Geschwind(ゲシュヴィント)症候群、片側けいれん・片麻痺・てんかん症候群、内側側頭葉てんかん症候群、構造的又は代謝性の原因に帰するてんかん(脳卒中後てんかん、外傷性てんかん、感染性てんかん、脳血管障害に伴うてんかん、脳腫瘍に伴うてんかん、神経変性疾患に伴うてんかん、Sturge-Weber症候群など)、ならびに先天性奇形、先天性代謝異常(例えば、フェニルケトン尿症、ミトコンドリア病、ライソゾーム病など)及び先天性遺伝子異常(レット症候群、アンジェルマン症候群、5p-症候群、4p-症候群、ダウン症候群など)などから選ばれる[11]に記載の医薬組成物。
[14] 有効量の[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物又はその塩をヒトに投与することを特徴とする、てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作の治療、予防及び/又は診断方法。
[15] てんかん発作が、焦点発作(部分発作と呼ばれることもある)における運動起始発作(自動症、脱力発作、間代発作、てんかん性スパズム発作、過動発作、ミオクロニー発作及び強直性発作を含む)及び非運動起始発作(自律神経発作、行動停止発作、認知発作、情動発作及び知覚性発作を含む)、焦点発作からの両側性強直間代発作へ移行する発作(部分発作の二次性全般化);全般発作における運動性発作(強直間代発作、間代発作、強直発作、ミオクロニー発作、ミオクロニー強直間代発作、ミオクロニー脱力発作、脱力発作及びてんかん性スパズム発作を含む)及び非運動性発作(定型欠神発作、非定型欠神発作、ミオクロニー欠神発作及び眼瞼ミオクロニー発作を含む);起始不明発作における運動性発作(強直間代発作及びてんかん性スパズム発作を含む)及び非運動性発作(行動停止発作を含む)から選ばれる[14]に記載の方法。
[16] てんかん発作又はけいれん発作を伴う疾患が、例えば、Dravet(ドラベ)症候群、Lennox-Gastaut(レノックス−ガストー)症候群、West(ウェスト)症候群(点頭てんかん)、大田原症候群、Doose(ドゥーゼ)症候群、Landau-Kleffner(ランドウ−クレフナー)症候群、Rasmussen(ラスムッセン)症候群、Aicardi(アイカルディ)症候群、Panayiotopoulos(パナイオトポーロス)症候群、Kojewnikow症候群、Tassinari症候群、Geschwind(ゲシュヴィント)症候群、片側けいれん・片麻痺・てんかん症候群、内側側頭葉てんかん症候群、構造的又は代謝性の原因に帰するてんかん(脳卒中後てんかん、外傷性てんかん、感染性てんかん、脳血管障害に伴うてんかん、脳腫瘍に伴うてんかん、神経変性疾患に伴うてんかん、Sturge-Weber症候群など)、ならびに先天性奇形、先天性代謝異常(例えば、フェニルケトン尿症、ミトコンドリア病、ライソゾーム病など)及び先天性遺伝子異常(レット症候群、アンジェルマン症候群、5p-症候群、4p-症候群、ダウン症候群など)などから選ばれる[14]に記載の方法。
[17] てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作の治療、予防及び/又は診断に使用するための[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[18] てんかん発作が、焦点発作(部分発作と呼ばれることもある)における運動起始発作(自動症、脱力発作、間代発作、てんかん性スパズム発作、過動発作、ミオクロニー発作及び強直性発作を含む)及び非運動起始発作(自律神経発作、行動停止発作、認知発作、情動発作及び知覚性発作を含む)、焦点発作からの両側性強直間代発作へ移行する発作(部分発作の二次性全般化);全般発作における運動性発作(強直間代発作、間代発作、強直発作、ミオクロニー発作、ミオクロニー強直間代発作、ミオクロニー脱力発作、脱力発作及びてんかん性スパズム発作を含む)及び非運動性発作(定型欠神発作、非定型欠神発作、ミオクロニー欠神発作及び眼瞼ミオクロニー発作を含む);起始不明発作における運動性発作(強直間代発作及びてんかん性スパズム発作を含む)及び非運動性発作(行動停止発作を含む)から選ばれる[17]に記載の化合物又はその塩。
[19] てんかん発作又はけいれん発作を伴う疾患が、例えば、Dravet(ドラベ)症候群、Lennox-Gastaut(レノックス−ガストー)症候群、West(ウェスト)症候群(点頭てんかん)、大田原症候群、Doose(ドゥーゼ)症候群、Landau-Kleffner(ランドウ−クレフナー)症候群、Rasmussen(ラスムッセン)症候群、Aicardi(アイカルディ)症候群、Panayiotopoulos(パナイオトポーロス)症候群、Kojewnikow症候群、Tassinari症候群、Geschwind(ゲシュヴィント)症候群、片側けいれん・片麻痺・てんかん症候群、内側側頭葉てんかん症候群、構造的又は代謝性の原因に帰するてんかん(脳卒中後てんかん、外傷性てんかん、感染性てんかん、脳血管障害に伴うてんかん、脳腫瘍に伴うてんかん、神経変性疾患に伴うてんかん、Sturge-Weber症候群など)、ならびに先天性奇形、先天性代謝異常(例えば、フェニルケトン尿症、ミトコンドリア病、ライソゾーム病など)及び先天性遺伝子異常(レット症候群、アンジェルマン症候群、5p-症候群、4p-症候群、ダウン症候群など)から選ばれる[17]に記載の化合物又はその塩。
[20] てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作の治療、予防及び/又は診断するための医薬の製造における[1]〜[6]のいずれかに記載の化合物又はその塩の使用。
[21] てんかん発作が、焦点発作(部分発作と呼ばれることもある)における運動起始発作(自動症、脱力発作、間代発作、てんかん性スパズム発作、過動発作、ミオクロニー発作及び強直性発作を含む)及び非運動起始発作(自律神経発作、行動停止発作、認知発作、情動発作及び知覚性発作を含む)、焦点発作からの両側性強直間代発作へ移行する発作(部分発作の二次性全般化);全般発作における運動性発作(強直間代発作、間代発作、強直発作、ミオクロニー発作、ミオクロニー強直間代発作、ミオクロニー脱力発作、脱力発作及びてんかん性スパズム発作を含む)及び非運動性発作(定型欠神発作、非定型欠神発作、ミオクロニー欠神発作及び眼瞼ミオクロニー発作を含む);起始不明発作における運動性発作(強直間代発作及びてんかん性スパズム発作を含む)及び非運動性発作(行動停止発作を含む)から選ばれる[20]に記載の使用
[22] てんかん発作又はけいれん発作を伴う疾患が、例えば、Dravet(ドラベ)症候群、Lennox-Gastaut(レノックス−ガストー)症候群、West(ウェスト)症候群(点頭てんかん)、大田原症候群、Doose(ドゥーゼ)症候群、Landau-Kleffner(ランドウ−クレフナー)症候群、Rasmussen(ラスムッセン)症候群、Aicardi(アイカルディ)症候群、Panayiotopoulos(パナイオトポーロス)症候群、Kojewnikow症候群、Tassinari症候群、Geschwind(ゲシュヴィント)症候群、片側けいれん・片麻痺・てんかん症候群、内側側頭葉てんかん症候群、構造的又は代謝性の原因に帰するてんかん(脳卒中後てんかん、外傷性てんかん、感染性てんかん、脳血管障害に伴うてんかん、脳腫瘍に伴うてんかん、神経変性疾患に伴うてんかん、Sturge-Weber症候群など)、ならびに先天性奇形、先天性代謝異常(例えば、フェニルケトン尿症、ミトコンドリア病、ライソゾーム病など)及び先天性遺伝子異常(レット症候群、アンジェルマン症候群、5p-症候群、4p-症候群、ダウン症候群など)から選ばれる[20]に記載の使用。
本発明の化合物及びその塩は、てんかん発作又はけいれん発作等を伴う疾患等の治療、予防及び/又は診断において優れた効果を有する。また、本発明の化合物及びその塩は、医薬品の有効成分として使用するのに優れた特徴を有しており、例えば、副作用が少なく、忍容性、安定性(保存安定性、代謝安定性など)などの点において優れた特徴も有している。更に、本発明の化合物及びその塩は、既存の抗てんかん薬に比べて幅広い治療スペクトラムを有する。
本明細書中で用いる語句及び用語について、以下に詳述する。
本明細書中、「C1−6アルキル」は、炭素数1〜6(C1−6)の直鎖又は分枝鎖状アルキルであり、その具体例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル等である。
また、「C1−6アルキル」には、1〜3個の水素原子が重水素原子に置換されたC1−6アルキルも包含される。
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素又は臭素が挙げられる。より好ましくはフッ素又は塩素である。
「C2−6アルキニル」は、炭素数2〜6(C2−6)の直鎖又は分枝鎖状アルキニルであり、その具体例は、エチニル、(1-又は2-)プロピニル、1-メチル-(1-又は2-)プロピニル、1-エチル-(1-又は2-)プロピニル、(1-、2-又は3-)ブチニル、(1-、2-、3-又は4-)ペンチニル、(1-、2-、3-、4-又は5-)ヘキシニル等である。
「ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル」は、1〜4個のハロゲンで置換されていてもよい炭素数1〜6(C1−6)の直鎖又は分枝鎖状アルキルであり、その具体例は、メチル、エチル、n-プロピル,イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、フルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、ヨードメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル、3-クロロプロピル、2,3-ジクロロプロピル、4,4,4-トリクロロブチル、4-フルオロブチル、5-クロロペンチル、3-クロロ-2-メチルプロピル、5-ブロモヘキシル、5,6-ジブロモヘキシル等である。
「C1−6アルキレン」は、炭素数1〜6(C1−6)の直鎖又は分枝鎖状アルキレンであり、その具体例は、メチレン、エチレン、1-メチルエチレン、2-メチルエチレン、トリメチレン、2-メチルトリメチレン、2,2-ジメチルトリメチレン、1-メチルトリメチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、ジメチルメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等である。
本明細書において定義される各基は、例えば−O−、−CO−、−COO−、−S−、−SO−、−SO−、−Si−、−O−CO−等のリンカーを介して適宜別の基に結合してもよい。
本発明の一般式[I]で表される化合物(以下、「本発明の化合物[I]」と称する。)における各置換基について、以下に説明する。
本発明の化合物[I]における環Aは、フェニル、ナフチル又はピリジルであり、好ましくはフェニルである。
本発明の化合物[I]におけるRは、C1−6アルキルであり、好ましくはC1−6アルキルであり、さらに好ましくはメチル又はエチルである。
本発明の化合物[I]におけるRは、−O−C1−6アルキルであり、好ましくは−O−C1−6アルキルであり、さらに好ましくはメトキシである。
本発明の化合物[I]におけるRは、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル、重水素又はハロゲンで置換されていてもよい−O−C1−6アルキル、ハロゲンで置換されていてもよい−S−C1−6アルキル、C1−6アルキニル、フェニル、−O−ベンジル、ペンタフルオロチオ、−CN又は−Si−モノ、ジ又はトリ−C1−6アルキル(ジ又はトリのとき、各々異なるアルキルであってもよい)であり、好ましくはハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルキニル又はトリフルオロメチルチオであり、更に好ましくはフッ素、塩素、メチル、エチニル又はトリフルオロメチルチオであり、特に好ましくはフッ素、メチル又はエチニルである。
本発明の化合物[I]におけるLは、直接結合、C1−6アルキレン、−O−又は−S−であり、好ましくは直接結合又は−O−であり、さらに好ましくは−O−である。
本発明の化合物[I]におけるnは、0又は1であり、好ましくは0である。
本発明の化合物[I]におけるmは、0又は1であり、好ましくは0である。
本発明の化合物[I]におけるqは、0、1又は2であり、qが2の場合、Rは各々独立して、同一又は異なった置換基を示す。好ましくはqは1又は2であり、さらに好ましくはqは1である。
本発明の化合物[I]における
Figure 0006870064
は、一重結合又は二重結合であり、好ましくは一重結合である。
本発明の化合物[I]は、上記置換基に関する選択肢の提示及び好ましい態様は、これらが矛盾のない組合せである限り、これらの全ての組合せの態様を含む。
本発明の化合物[I]の好ましい態様を以下に示す。
(1)式[I]中、環Aが、フェニルであり、Lが、−O−であるもの。
(2)式[I]中、Rが−O−C1−6アルキルであるもの。
(3)式[I]中、Rがハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルキニル又はハロゲンで置換されていてもよい-S-C1−6アルキルであるもの。
本発明の化合物[I]のさらに好ましい態様を以下に示す。
(1)式[I]中、環Aが、フェニルであり、Lが、−O−であり、nが0であるもの。
(2)式[I]中、Rがメトキシであるもの。
(3)式[I]中、Rがハロゲン又C1−6アルキルであるもの。
本発明の化合物[I]のさらに好ましい別の態様を以下に示す。
(1)式[I]中、Lが、−O−であり、m及びnはそれぞれ0であり、
Figure 0006870064
が、フェニル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、メチルフェニル、トリフルオロメチルチオ、エチニルフェニル又はメチルとフッ素が置換したフェニルであるもの。
また、本発明において、以下の化合物を含む群から選ばれた化合物又はその塩が好ましい。
Figure 0006870064

Figure 0006870064

Figure 0006870064
本明細書において、本発明の化合物、方法及び組成物の異なる特徴に関する好ましい態様及び選択肢の提示は、これらが組合せ可能であって矛盾のない限り、当該異なる特徴についての好ましい態様及び選択肢の組合せの提示も含む。
以下、本発明の化合物[I]の製造法について説明する。本発明の化合物[I]は、例えば下記に示す製造方法に基づき製造することができる。下記に示す製造方法は例示であって、化合物[I]の製造方法はこれらに限定されない。
以下の反応式において、アルキル化反応、加水分解反応、アミノ化反応、エステル化反応、アミド化反応、エーテル化反応、求核置換反応、付加反応、酸化反応、還元反応等を行う場合、これらの反応は、自体公知の方法に従って行われる。このような方法としては、例えば、実験化学講座(第5版、日本化学会編、丸善株式会社)、オーガニック・ファンクショナル・グループ・プレパレーションズ(ORGANIC FUNCTIONAL GROUP PREPARATIONS)第2版、アカデミックプレス社(ACADEMIC PRESS, INC.)1989年刊;コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)VCH Publishers Inc.,1989年刊、ウッツ(P.G.M.Wuts)及びグリーン(T.W.Greene)著、「Greene's Protective Groups in Organic Synthesis」(第4版、2006年)等に記載の方法等が挙げられる。
反応式−1
Figure 0006870064
(式中、各記号は上記と同義である。)
上記反応式−1で示される反応により、本発明の化合物[I]に含まれる化合物[Ia]を製造することができる。具体的には、化合物[II]のアミノ基に化合物[III](アクリル酸)を1,4-付加し、次いで、生成物のアミノ基を、尿素を用いてウレア誘導体に変換し、環化(分子内アミド化)することによって化合物[Ia]を製造することができる。
上記反応に使用する「溶媒」としては、反応に不活性な溶媒であればよく、例えば、水、エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル)、ハロ炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、極性溶剤(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトニトリル)が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
上記反応に使用する「酸」としては、例えば、無機酸、有機酸等が挙げられる。「無機酸」の例としては、塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸等が挙げられる。「有機酸」の例としては、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、フタル酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、10-カンファースルホン酸等が挙げられる。
他の反応条件(反応温度、反応時間等)は、自体公知の1,4-付加反応、アミド化反応に基づいて適宜決定することができる。
反応式−2
Figure 0006870064
(式中、Xは脱離基であり、Lは−O−、−S−又はC1−6アルキレンであり、他の記号は上記と同義である。)
上記反応式−2で示される反応により、本発明の化合物[I]に含まれる化合物[Ib]を製造することができる。具体的には、化合物[V]の脱離基Xを脱離させ、化合物[IV]と置換することによって化合物[Ib]を製造することができる。
上記反応に使用する「脱離基」の具体例は、ハロゲン、C1−18アルカンスルホニル、C1−18アルカンスルホニルオキシ、アレンスルホニルオキシ、アラルカンスルホニルオキシ、トリハロメタンスルホニルオキシ、スルホニオ、トルエンスルホキシ等である。本反応における好ましい脱離基としては、ハロゲンが挙げられる。
上記「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素である。
「C1−18アルカンスルホニル」は、炭素数1〜18の直鎖又は分枝鎖状アルカンスルホニルであり、その具体例は、メタンスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロパンスルホニル、ブタンスルホニル、シクロヘキサンスルホニル、ドデカンスルホニル、オクタデカンスルホニル等である。
「C1−6アルカンスルホニルオキシ」は、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルカンスルホニルオキシであり、その具体例は、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、1-プロパンスルホニルオキシ、2-プロパンスルホニルオキシ、1-ブタンスルホニルオキシ、3-ブタンスルホニルオキシ、1-ペンタンスルホニルオキシ、1-ヘキサンスルホニルオキシ等である。
「アレンスルホニルオキシ」は、フェニル環上に置換基として炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ、ニトロ及びハロゲンなる群より選ばれた基を1〜3個有することのあるベンゼンスルホニルオキシ、ナフタレンスルホニルオキシ等である。上記「置換基を有することのあるベンゼンスルホニルオキシ」の具体例は、ベンゼンスルホニルオキシ、4-メチルベンゼンスルホニルオキシ、2-メチルベンゼンスルホニルオキシ、4-ニトロベンゼンスルホニルオキシ、4-メトキシベンゼンスルホニルオキシ、2-ニトロベンゼンスルホニルオキシ、3-クロロベンゼンスルホニルオキシ等である。上記「ナフタレンスルホニルオキシ」の具体例は、α-ナフタレンスルホニルオキシ、β-ナフタレンスルホニルオキシ等である。
「アラルカンスルホニルオキシ」は、例えば、フェニル環上に置換基として炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ、ニトロ及びハロゲンなる群より選ばれた基を1〜3個有することのあるフェニルで置換された炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルカンスルホニルオキシ、ナフチルで置換された炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルカンスルホニルオキシ等を含む。上記「フェニルで置換されたアルカンスルホニルオキシ」の具体例は、フェニルメタンスルホニルオキシ、2-フェニルエタンスルホニルオキシ、4-フェニルブタンスルホニルオキシ、4-トリルメタンスルホニルオキシ、2-トリルメタンスルホニルオキシ、(4-ニトロフェニル)メタンスルホニルオキシ、(4-メトキシフェニル)メタンスルホニルオキシ、(3-クロロフェニル)メタンスルホニルオキシ等である。上記「ナフチルで置換されたアルカンスルホニルオキシ」の具体例は、α-ナフチルメタンスルホニルオキシ、β-ナフチルメタンスルホニルオキシ等である。
「ペルハロアルカンスルホニルオキシ」の具体例は、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等である。
「スルホニオ」の具体例は、ジメチルスルホニオ、ジエチルスルホニオ、ジプロピルスルホニオ、ジ(2-シアノエチル)スルホニオ、ジ(2-ニトロエチル)スルホニオ、ジ-(アミノエチル)スルホニオ、ジ(2-メチルアミノエチル)スルホニオ、ジ-(2-ジメチルアミノエチル)スルホニオ、ジ-(2-ヒドロキシエチル)スルホニオ、ジ-(3-ヒドロキシプロピル)スルホニオ、ジ-(2-メトキシエチル)スルホニオ、ジ-(2-カルバモイルエチル)スルホニオ、ジ-(2-カルバモイルエチル)スルホニオ、ジ-(2-カルボキシエチル)スルホニオ、ジ-(2-メトキシカルボニルエチル)スルホニオ又はジフェニルスルホニオ等である。
上記反応に使用する「溶媒」としては、反応に不活性な溶媒であればよく、例えば、水、エーテル(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル)、ハロ炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、極性溶剤(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトニトリル)が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。
上記反応に使用する「塩基」としては、例えば、無機塩基、有機塩基等が挙げられる。「無機塩基」の例としては、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)等が挙げられる。「有機塩基」の例としては、トリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン)、ピコリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン等が挙げられる。
他の反応条件(反応温度、反応時間等)は、自体公知の求核反応に基づいて適宜決定することができる。
上記反応式における各反応において、生成物は反応液のまま、又は粗生成物として次反応に用いることもできるが、常法に従って反応混合物から単離することもでき、通常の分離手段により容易に精製することもできる。通常の分離手段としては、例えば、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーが挙げられる。
上記各工程における出発原料化合物、中間体化合物及び目的化合物並びに本発明の化合物[I]には、幾何異性体、立体異性体、光学異性体及び互変異性体が含まれる。各種異性体は一般的な光学分割法により分離できる。また、適当な光学活性な原料化合物より製造することもできる。
本発明の化合物[I]は、上記の各反応式にて示された合成方法又はそれに準ずる方法により製造することができる。
本発明の化合物[I]の製造における原料化合物は具体的製法を述べない場合、市販のものを用いてもよく、自体公知の方法又はそれに準ずる方法に従って製造したものを用いてもよい。
上記各工程における出発原料化合物及び目的化合物を適切な塩形態で使用することができる。このような塩としては、下記に本発明の化合物[I]の塩として例示されるものと同様のものが挙げられる。
各工程で得られた化合物又は市販品が遊離化合物である場合には、自体公知の方法により、目的とする塩に変換することができる。各工程で得られた化合物又は市販品が塩である場合には、自体公知の方法により、遊離体又は目的とする他の種類の塩に変換することができる。
また、本発明の化合物[I]には、その医薬的に許容される塩の形態が含まれ、酸付加塩又は置換基の種類によっては塩基との塩を形成する場合もある。かかる「酸」の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;及びメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、乳酸等の有機酸等が挙げられる。かかる「塩基」の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基;及びメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、グアニジン、ピリジン、ピコリン、コリン等の有機塩基;及びアンモニウム塩等が挙げられる。また、例えばリジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸と塩を形成してもよい。
本発明は、化合物[I]及びその塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形の物質をも包含する。
本発明の化合物[I]には、1つ又は複数の原子を1つ又は複数の同位体原子で置換された化合物が含まれる。同位体原子の例としては重水素(H)、三重水素(H)、13C、15N、18O等が挙げられる。
本発明の化合物[I]には、薬学的に許容されるプロドラッグも含まれる。プロドラッグを形成するために修飾される置換基としては、−OH、−COOH、アミノ等の反応性官能基が挙げられる。これらの官能基の修飾基は、本明細書における「置換基」から適宜選択してもよい。
本発明の化合物[I]又はその塩としては、薬学的に許容され得る共結晶又は共結晶塩であってもよい。ここで、共結晶又は共結晶塩とは、各々が異なる物理的特性(例えば、構造、融点、融解熱など)を持つ、室温で2種若しくはそれ以上の独特な固体から構成される結晶性物質を意味する。共結晶及び共結晶塩は、公知の共結晶化法を適用して製造することができる。
本発明の化合物[I]及びその塩は、てんかん発作又はけいれん発作を伴う疾患において、発作の治療、予防及び/又は診断に対して優れた効果を有する。てんかん発作は、以下に分類されるいかなる発作型に対しても適用される。焦点発作(部分発作と呼ばれることもある)における運動起始発作(自動症、脱力発作、間代発作、てんかん性スパズム発作、過動発作、ミオクロニー発作及び強直性発作を含む)及び非運動起始発作(自律神経発作、行動停止発作、認知発作、情動発作及び知覚性発作を含む)、焦点発作からの両側性強直間代発作へ移行する発作(部分発作の二次性全般化);全般発作における運動性発作(強直間代発作、間代発作、強直発作、ミオクロニー発作、ミオクロニー強直間代発作、ミオクロニー脱力発作、脱力発作及びてんかん性スパズム発作を含む)及び非運動性発作(定型欠神発作、非定型欠神発作、ミオクロニー欠神発作及び眼瞼ミオクロニー発作を含む);起始不明発作における運動性発作(強直間代発作及びてんかん性スパズム発作を含む)及び非運動性発作(行動停止発作を含む)。
てんかん発作又はけいれん発作を伴う疾患には、例えば、Dravet(ドラベ)症候群、Lennox-Gastaut(レノックス−ガストー)症候群、West(ウェスト)症候群(点頭てんかん)、大田原症候群、Doose(ドゥーゼ)症候群、Landau-Kleffner(ランドウ−クレフナー)症候群、Rasmussen(ラスムッセン)症候群、Aicardi(アイカルディ)症候群、Panayiotopoulos(パナイオトポーロス)症候群、Kojewnikow症候群、Tassinari症候群、Geschwind(ゲシュヴィント)症候群、片側けいれん・片麻痺・てんかん症候群、内側側頭葉てんかん症候群、構造的又は代謝性の原因に帰するてんかん(例えば、脳卒中後てんかん、外傷性てんかん、感染性てんかん、脳血管障害に伴うてんかん、脳腫瘍に伴うてんかん、神経変性疾患に伴うてんかん、Sturge-Weber症候群など)、ならびに先天性奇形、先天性代謝異常(例えば、フェニルケトン尿症、ミトコンドリア病、ライソゾーム病など)及び先天性遺伝子異常(レット症候群、アンジェルマン症候群、5p-症候群、4p-症候群、ダウン症候群など)を挙げることができる。
また、本発明の化合物[I]及びその塩は、多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作の治療、予防及び/又は診断においても効果を有する。本発明における多剤耐性発作ないし難治性発作とは、上記のてんかん発作型を問わずに、1又は2種以上の抗てんかん薬が無効又は効果不充分等によりコントロールできない発作をいう。
更に、本発明の化合物[I]及びその塩は、医薬品の有効成分として使用するのに優れた特徴を有しており、例えば、副作用が少なく、忍容性、安定性(保存安定性、代謝安定性など)などの点において優れた特徴も有している。これら本発明の一群の化合物は従来の薬物治療が奏功しない難治性てんかん発作に対する予防薬及び/又は治療薬としても効果を有する。
次に、本発明の化合物[I]又はその塩を有効成分として含有する医薬組成物について説明する。
上記医薬組成物は、本発明の化合物[I]又はその塩を通常の医薬組成物の形態に製剤化したものであって、本発明の化合物[I]又はその塩と、薬学的に許容される担体とを用いて調製される。当該担体としては、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤又は賦形剤が挙げられる。
このような医薬組成物としては、治療目的に応じて種々の形態の中から選択でき、例えば錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)等が挙げられる。
錠剤の形態に成形する際に用いられる担体としては、公知のものを広く使用でき、例えば、乳糖等の賦形剤;ポリビニルピロリドン等の結合剤;デンプン等の崩壊剤;ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、デンプン等の保湿剤;コロイド状ケイ酸等の吸着剤;ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等が挙げられる。
更に、錠剤は、必要に応じて通常の錠皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。
丸剤の形態に成形する際に用いられる担体としては、公知のものを広く使用でき、例えば、ブドウ糖等の賦形剤;アラビアゴム末等の結合剤;ラミナラン等の崩壊剤等が挙げられる。
液剤、乳剤及び懸濁剤の形態に成形する際に用いられる希釈剤としては、公知のものを広く用いられているものを使用することができ、例えば、水等が挙げられる。また通常の溶解補助剤、緩衝剤等を、更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等や他の医薬品を含有させてもよい。
坐剤の形態に成形する際に用いられる担体としては、公知のものを広く使用でき、例えば、カカオ脂等が挙げられる。
注射剤として調製される場合は、液剤、乳剤及び懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であるのが好ましい。等張性の注射剤を調整するのに十分な食塩等を注射剤に含有させてもよく、また無痛化剤等や他の医薬品を含有させてもよい。
医薬組成物中に含有される本発明の化合物[I]又はその塩の量は、特に限定されず広い範囲内から適宜選択することができるが、通常、医薬組成物中に本発明の化合物[I]又はその塩を1〜70重量%含有させるのが好ましい。
本発明に係る医薬組成物の投与方法としては特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別、疾患の状態、その他の条件に応じた方法で投与してもよい。例えば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には経口投与してもよい。また、注射剤の場合には、単独であるいはブドウ糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内に投与したり、更には必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内に投与したりすることができる。坐剤の場合には、直腸内に投与してもよい。
上記医薬組成物の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件に応じて適宜選択すればよく、通常、1日あたり体重1 kgに対して0.01〜100 mg、好ましくは0.1〜50 mgを1回〜数回に分けて投与してもよい。
上記投与量は、種々の条件で変動するので、上記範囲より少ない投与量で充分な場合もあるし、また上記範囲を超えた投与量が必要な場合もある。
本発明の化合物[I]又はその塩は、前述の化合物[I]が有効と考えられる疾患の種々の治療又は予防剤と併用することができる。当該併用は、同時投与、或いは別個に連続してもしくは所望の時間間隔をおいて投与してもよい。同時投与製剤は、配合剤であっても別個に製剤化されていてもよい。
本発明のある態様において、本発明の化合物[I]又はその塩及び薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む、医薬組成物が提供される。
別の態様において、本発明の化合物[I]又はその塩及び薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む、てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作等の治療、予防及び/又は診断用剤が提供される。
更に別の態様において、本発明の化合物[I]又はその塩及び薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む、てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作等の治療、予防及び/又は診断用医薬組成物が提供される。
更に別の態様において、有効量の本発明の化合物[I]又はその塩をヒトに投与することを特徴とする、てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作等を治療、予防及び/又は診断する方法が提供される。
更に別の態様において、てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作等を治療、予防及び/又は診断するための本発明の化合物[I]又はその塩が提供される。
更に別の態様において、てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作等の治療薬、予防薬及び/又は診断薬の製造における本発明の化合物[I]又はその塩の使用が提供される。
本発明は、更に以下の試験例、参考例及び実施例によって詳しく説明されるが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
本明細書において、以下の略語を用いることがある。
REX:参考例番号
EX:実施例番号
STR:構造式(式中、「Chiral」で示される構造は絶対配置を示す)
RProp:製造方法(数字は、その数字を参考例番号として有する参考例化合物と同様に、対応する原料を用いて製造したことを示す)
Prop:製造方法(数字は、その数字を実施例番号として有する実施例化合物と同様に、対応する原料を用いて製造したことを示す)
Data:物性データ(NMR1:ジメチルスルホキシド-d6中の1H-NMRにおけるδ(ppm);NMR2:CDCl3中の1H-NMRにおけるδ(ppm))
9-BBN:9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン
CDI:1,1’-カルボニルジイミダゾール
DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン
DIBOC:ジ-t-ブチル ジカルボナート
WSC:3-エチル-1-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
DEAD:ジエチルアゾジカルボキシラート
DPPA:ジフェニルリン酸アジド
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
NCS:N-クロロスクシンイミド
DCC:ジシクロヘキシルカルボジイミド
DHP:3,4-ジヒドロ-2H-ピラン
DMAP:4-(ジメチルアミノ)ピリジン
ZCl:クロロ蟻酸ベンジル
PPTS:ピリジニウム p-トルエンスルホナート
MCPBA:m-クロロ過安息香酸
BBr3:三臭化ホウ素
n-BuLi:n-ブチルリチウム
NaH:水素化ナトリウム
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
KOtBu:カリウムt-ブトキシド
LDA:リチウムジイソプロピルアミド
LHMDS:リチウムヘキサメチルジシラジド
NaOtBu:ナトリウムt-ブトキシド
DIBAL:水素化ジイソブチルアルミニウム
LAH:水素化アルミニウムリチウム
NaBH4:水素化ホウ素ナトリウム
Pd/C:パラジウム担持炭素
AcOEt:酢酸エチル
DCE:1,2-ジクロロエタン
DCM:ジクロロメタン
DMA:N,N-ジメチルアセトアミド
DME:ジメトキシエタン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
Et2O:ジエチルエーテル
IPE:ジイソプロピルエーテル
MeOH:メタノール
EtOH:エタノール
IPA:2-プロパノール
Hexane:n-ヘキサン
MeCN:アセトニトリル
MEK:2-ブタノン
NMP:N-メチルピロリドン
PEG:ポリエチレングリコール
TEA:トリエチルアミン
THF:テトラヒドロフラン
HCl:塩酸
AcOH:酢酸
TFA:トリフルオロ酢酸
NaOH:水酸化ナトリウム
KOH:水酸化カリウム
LiOH:水酸化リチウム
K3PO4:リン酸三カリウム
Cs2CO3:炭酸セシウム
K2CO3:炭酸カリウム
KHCO3:炭酸水素カリウム
NaHCO3:炭酸水素ナトリウム
AcONa:酢酸ナトリウム
以下の実施例中の「室温」は通常約10℃から約35℃を示す。混合溶媒において示した比は、特に断らない限り容量比を示す。%は、特に断らない限り重量%を示す。
1HNMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)はフーリエ変換型NMR(Bruker AVANCE 300(300MHz)、Bruker AVANCE 500(500MHz)、Bruker AVANCE III 400(400MHz)及びBruker AVANCE III 500(500MHz)の何れか)で測定した。
シリカゲルカラムクロマ卜グラフィ一において、塩基性と記載した場合は、アミノプロピルシラン結合シリカゲルを用いた。
化合物の絶対配置は、公知のX線結晶構造解析法(例えば大場茂及び矢野重信著、「化学者のための基礎講座12 X線結晶構造解析」(第1版、1999年))により決定、又は史不斉エポキシ化の経験則(Waldemar Adam, Rainer T. Fell, Chantu R. Saha-Moller and Cong-Gui Zhao : Tetrahedron: Asymmetry 1998, 9, 397-401. Yuanming Zhu, Yong Tu, Hongwu Yu, Yian Shi :Tetrahedron Lett. 1988, 29, 2437-2440)から推定した。
[参考例]
参考例1
5-ニトロ-2-フェノキシピリミジン
Figure 0006870064
フェノール(6.61 mL)、K2CO3(12.99 g)をDMF(80 mL)に懸濁させた後、2-クロロ-5-ニトロピリミジン(10 g)を加え室温で終夜撹拌した。反応溶液に水を加え生じた固体を水洗して目的化合物(6.55 g)を得た。
NMR2; 7.17-7.24(2H, m), 7.31-7.39(1H, m), 7.45-7.53(2H, m), 9.33(2H, s).
参考例2
2-フェノキシピリミジン-5-アミン
Figure 0006870064
5-ニトロ-2-フェノキシピリミジン(7.45 g)、50%含水10%Pd/C(3 g)をEtOH(100 mL)に懸濁させ水素雰囲気下、室温で16時間撹拌した。反応溶液をセライト濾過、ろ液を濃縮し、得られた固体をIPEで洗浄して目的化合物(4.73 g)を得た。
NMR2; 3.50(2H, brs), 7.13-7.24(3H, m), 7.35-7.45(2H, m), 8.07(2H, s).
参考例3
2-(2-フルオロフェノキシ)-5-ニトロピリミジン
Figure 0006870064
o-フルオロフェノール(6.71 mL)、K2CO3(12.99 g)をDMF(100 mL)に懸濁させた後、2-クロロ-5-ニトロピリミジン(10 g)を加え室温で8時間撹拌した。反応溶液に水を加え生じた固体を水洗して目的化合物(13.67g)を得た。
NMR2; 7.20-7.38(4H, m), 9.33(2H, s).
参考例4
2-(2-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-アミン
Figure 0006870064
2-(2-フルオロフェノキシ)-5-ニトロピリミジン(13.67 g)、50%含水10%Pd/C(3 g)をEtOH(130 mL)に懸濁させ水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応溶液をセライト濾過、ろ液を濃縮し、得られた固体をIPEで洗浄して目的化合物(8.25 g)を得た。
NMR2; 3.51(2H, brs), 7.13-7.30(4H, m), 8.05(2H, s).
参考例5
2-(3-フルオロフェノキシ)-5-ニトロピリミジン
Figure 0006870064
m-フルオロフェノール(5.45 mL)、K2CO3(10.40 g)をDMF(80 mL)に懸濁させた後、2-クロロ-5-ニトロピリミジン(8 g)を加え室温で終夜撹拌した。残渣に水を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水洗後、硫酸ナトリウムにて乾燥、濃縮して目的化合物(8.63 g)を得た。
NMR2; 6.93-7.12(3H, m), 7.38-7.48(1H, m), 9.34(2H, s).
参考例6
2-(3-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-アミン
Figure 0006870064
2-(3-フルオロフェノキシ)-5-ニトロピリミジン(8.65 g)、50%含水10%Pd/C(3 g)をEtOH(100 mL)に懸濁させ水素雰囲気下、室温で16時間撹拌した。反応溶液をセライト濾過、ろ液を濃縮し粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(DCM/AcOEt=10:1→1:1)にて精製後、得られた固体をHexaneで洗浄して目的化合物(3.77 g)を得た。
NMR2; 3.55(2H, brs), 6.86-7.00(3H, m), 7.30-7.39(1H, m), 8.08(2H, s).
参考例7
1-[2-(メチルチオ)ピリミジン-5-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
5-ブロモ-2-(メチルチオ)ピリミジン(2.77 g)、ウラシル(2.27 g)、ヨウ化銅(0.257 g)、ピコリン酸(0.33 g)、K3PO4(5.73 g)の混合物をDMSO(30 mL)に懸濁させ窒素雰囲気下150℃で終夜撹拌した。反応溶液にクエン酸水溶液を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=10:1→0:1)にて精製し、目的化合物 (577 mg)を得た。
NMR1; 2.56(3H, s), 5.77(1H, d, J=7.9Hz), 7.80(1H, d, J=7.9Hz), 8.76(2H, s), 11.62(1H, brs).
参考例8
2-(ドデシルチオ)-5-ニトロピリミジン
Figure 0006870064
ドデシルメルカプタン(24.77 mL)をDMF(150 mL)に溶解させ0℃に冷却後、60%NaH(4.14 g)を加えて10分間撹拌後、2-クロロ-5-ニトロピリミジン(15 g)を加えて0℃で1時間撹拌した。反応溶液に水を加え、生じた固体を水洗して目的化合物(26.01 g)を得た。
NMR2; 0.88(3H, t, J=7.0Hz), 1.18-1.38(16H, m), 1.38-1.50(2H, m), 1.64-1.76(2H, m), 3.23(2H, t, =7.5Hz), 9.23(2H, s).
参考例9
2-(ドデシルチオ)ピリミジン-5-アミン
Figure 0006870064
2-(ドデシルチオ)-5-ニトロピリミジン(26.01 g)をEtOH(250 mL)に溶解し、塩化アンモニウム(25.6 g)水溶液(100 mL)、亜鉛粉末(52.2 g)を加えて5時間還流撹拌した。反応溶液にAcOEtを加えて終夜撹拌後、反応溶液をセライト濾過、ろ液を濃縮した。残渣に水を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=4:1→1:1)にて精製後、Hexaneにて洗浄して目的化合物(20.17 g)を得た。
NMR2; 0.88(3H, t, J=7.0Hz), 1.15-1.40(16H, m), 1.40-1.51(2H, m), 1.62-1.81(2H, m), 3.10(2H, t, J=7.4Hz), 3.49(2H, brs), 8.08(2H, s).
参考例10
1-[2-(ドデシルチオ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
2-(ドデシルチオ)ピリミジン-5-アミン(11 g)をトルエン(100 mL)に溶解させ、アクリル酸(3.83 mL)を加え110℃で終夜撹拌した。反応溶液を濃縮し、残渣をAcOH(100 mL)に溶解させ、尿素(3.35 g) を加え110℃で2日間撹拌した。反応溶液を濃縮し、飽和重曹水で中和、生じた結晶をろ取した。得られた固体を10% MeOH/DCM混合溶液に溶解し硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、ろ液を濃縮した。得られた固体をEtOHで洗浄して目的化合物(5.67 g)を得た。
NMR2; 0.88(3H, t, J=7.0Hz), 1.17-1.38(16H, m), 1.38-1.50(2H, m), 1.68-1.79(2H, m), 2.89(2H, t, J=6.7Hz), 3.14(2H, t, J=7.4Hz), 3.88(2H, t, J=6.7Hz), 7.48(1H, brs), 8.52(2H, s).
参考例11
1-[2-(ドデシルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
1-[2-(ドデシルチオ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(7.17 g)をDCM (80 mL)に懸濁させ冷却後、含水77%MCPBA(10.23 g)を加えた後、室温で終夜撹拌した。反応溶液にジメチルスルフィドを加えて撹拌後、飽和重曹水を加えDCMを減圧留去した。得られた固体を水洗して目的化合物(7.15 g)を得た。
NMR1; 0.85(3H, t, J=7.1Hz), 1.15-1.45(18H, m), 1.60-1.73(2H, m), 2.78(2H, t, J=6.6Hz), 3.53-3.61(2H, m), 4.01(2H, t, J=6.6Hz), 9.08(2H, s), 10.83(1H, brs).
参考例12
1-[2-(メチルチオ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
2-(メチルチオ)ピリミジン-5-アミン(4.61 g)を水(25 mL)に懸濁させアクリル酸(4.48 mL)を加えて窒素置換し70℃で2日間攪拌した。反応溶液を濃縮し残渣をAcOH(25 mL)に溶解させ、尿素(2.94 g)を加えて90℃で3日間撹拌した。反応溶液を濃縮し、残渣に飽和重曹水を加えて中和、AcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=4:1→0:1)にて精製後、EtOHにて洗浄して目的化合物(478 mg)を得た。
NMR2; 2.58(3H, s), 2.90(2H, t, J=6.7Hz), 3.89(2H, t, J=6.7Hz), 7.61(1H, brs), 8.54(2H, s).
参考例13
1-[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
1-[2-(メチルチオ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(520 mg)をDCM(10 mL)に懸濁させ含水77%MCPBA(1174 mg)を加え窒素雰囲気下室温で終夜撹拌した。反応溶液にジメチルスルフィドを加えて撹拌後、固体をDCMで洗浄して目的化合物(449 mg)を得た。
NMR1; 2.78(2H, t, J=6.6Hz), 3.42(3H, s), 4.01(2H, t, J=6.6Hz), 9.08(2H, s), 10.82(1H, brs).
参考例14
ジエチル 2-(5-ニトロピリミジン-2-イル)-2-フェニルマロネート
Figure 0006870064
ジエチルフェニルマロネート(21.64 mL)をDMF(100 mL)溶液に懸濁させ氷冷後、60%NaH(4.01 g)を加えて30分間撹拌した後、2-クロロ-5-ニトロピリミジン(8.0 g)を加えて80℃で1時間撹拌した。反応溶液に水を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=95:5→75:25)にて精製し、目的化合物(10.04 g)を得た。
NMR2; 1.29(6H, t, J=7.1Hz), 4.37(4H, q, J=7.1Hz), 7.31-7.40(3H, m), 7.43-7.50(2H, m), 9.46(2H, s).
参考例15
2-ベンジルピリミジン-5-アミン
Figure 0006870064
ジエチル2-(5-アミノピリミジン-2-イル)-2-フェニルマロネート(1.13 g)をエチレングリコール(10 mL)に溶解させ5M NaOH水溶液(3.43 mL)を加えて120℃で2日間撹拌した。反応溶液にクエン酸水溶液を加え中和しAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=1:1→0:1)にて精製し、目的化合物(502 mg)を得た。
NMR2; 3.59(2H, brs), 4.18(2H, s), 7.16-7.24(1H, m), 7.26-7.35(4H, m), 8.14-8.19(2H, m).
参考例1及び2と同様にして、参考例16〜36の化合物を、それぞれ製造した。 参考例16〜36の化合物の構造式及び物理化学的データを表1−1及び1−2にそれぞれ示す。
Figure 0006870064


Figure 0006870064
[実施例]
実施例1
1-(2-フェノキシピリミジン-5-イル)-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
2-フェノキシピリミジン-5-アミン(1.00 g)、アクリル酸(1.10 mL)をトルエン(10 mL)に溶解させ、80℃で3日間攪拌した。反応溶液を濃縮し、残渣をAcOH(10 mL)に溶解させ、尿素(642 mg)を加えて2日間加熱還流した。反応溶液を濃縮し、粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(AcOEt/MeOH=1:0→9:1)にて精製後、得られた固体をEtOHにて洗浄して目的化合物(233 mg)を得た。
NMR2; 2.90(2H, t, J=6.7Hz), 3.88(2H, t, J=6.7Hz), 7.17-7.24(2H, m), 7.26-7.33(1H, m), 7.40-7.49(2H, m), 7.54(1H, brs), 8.55(2H, s).
実施例2
1-[2-(2-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
2-(2-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-アミン(1.00 g)、アクリル酸(0.67 mL)をプロピオニトリル(10 mL)に溶解させ、110℃で2日間攪拌した。反応溶液を濃縮し、残渣をAcOH(10 mL)に溶解させ、尿素(585 mg)を加えて終夜加熱還流した。反応溶液を濃縮し、粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane/AcOEt=1:1→0:1)にて精製後、得られた固体をEtOHにて洗浄して目的化合物(289 mg)を得た。
NMR2; 2.90(2H, t, J=6.7Hz), 3.89(2H, t, J=6.7Hz), 7.12-7.34(4H, m), 7.59(1H, brs), 8.55(2H, s).
実施例3
1-[2-(3-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
2-(3-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-アミン(500 mg)、アクリル酸(0.50 mL)をトルエン(2.5 mL)に溶解させ、80℃で終夜攪拌した。反応溶液を濃縮し、残渣をAcOH(2.5 mL)に溶解させ、尿素(293 mg)を加えて2日間加熱還流した。反応溶液を濃縮し、粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(DCM/AcOEt=4:1→1:1)にて精製後、得られた固体をIPEにて洗浄して目的化合物(63 mg)を得た。
NMR2; 2.91(2H, t, J=6.7 Hz), 3.90(2H, t, J=6.7 Hz), 6.92-7.08(3H, m), 7.34-7.48(1H, m), 7.58(1H, brs), 8.57(2H, s).
実施例4
1-(2-フェノキシピリミジン-5-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
1-[2-(メチルチオ)ピリミジン-5-イル]ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(440 mg)をDCM(10 mL)に懸濁させ、含水77%MCPBA(1002 mg)を加え窒素雰囲気下、室温で終夜撹拌した。反応溶液にジメチルスルフィドを加えて撹拌後、減圧濃縮、残渣をDMF(4 mL)に溶解しフェノール(0.33 mL)、K2CO3(772 mg)を加え、室温で終夜撹拌した。その後、70℃で3時間撹拌した。反応溶液に水を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=1:1→0:1)にて精製後、得られた固体をIPEにて洗浄、含水EtOHから再結晶を行い、目的化合物(270 mg)を得た。
NMR2; 5.93(1H, dd, J=2.2Hz, 8.0Hz), 7.19-7.27(3H, m), 7.27-7.35(1H, m), 7.42-7.51(2H, m), 8.46(1H, brs), 8.59(2H, s).
実施例5
1-[2-(3-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-3-メチル-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
1-[2-(3-フルオロフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(500 mg)、K2CO3(343 mg)をDMF(5 mlに)懸濁させヨウ化メチル(0.11 mL)を加えて70℃で1時間撹拌した。反応溶液に水を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して目的化合物(197 mg)を得た。
NMR2; 2.94(2H, t, J=6.7 Hz), 3.25(3H, s), 3.83(2H, t, J=6.7 Hz), 6.92-7.08(3H, m), 7.35-7.45(1H, m), 8.55(2H, s).
実施例6
1-[2-(3-フルオロ-2-メチルフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
1-[2-(ドデシルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(500 mg)、3-フルオロ-2-メチルフェノール(193 mg)、K2CO3(244 mg)をDMF(7 mL)に懸濁させ窒素雰囲気下、室温で撹拌した後、80℃で3時間撹拌した。反応溶液に水を加え生じた固体を水洗して目的化合物(143 mg)を得た。
NMR2; 2.12(3H, d, J=1.8Hz), 2.90(2H, t, J=6.7Hz), 3.89(2H, t, J=6.7Hz), 6.93(1H, d, J=8.2Hz), 6.95-7.03(1H, m), 7.18-7.27(1H, m), 7.61(1H, brs), 8.55(2H, s).
実施例7
1-[2-(3-エチルフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
1-[2-(3-エチニルフェノキシ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(312 mg)をEtOH/THF(5/5 mL)混合溶液に溶解させ、含水10%Pd/C(108 mg)を加え水素雰囲気下、3時間撹拌した。反応溶液をセライト濾過、AcOEt洗浄、ろ液を濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=1:1→0:1)にて精製後、得られた固体をEtOHで洗浄して目的化合物(99 mg)を得た。
NMR2; 1.26(3H, t, J=7.6Hz), 2.69(2H, q, J=7.6Hz), 2.90(2H, t, J=6.7Hz), 3.88(2H, t, J=6.7Hz),6.97-7.08(2H, m), 7.09-7.16(1H, m), 7.35(1H, t, J=7.8Hz), 7.60(1H, brs), 8.54(2H, s).
実施例8
1-[2-(フェニルチオ)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
Figure 0006870064
1-[2-(メチルスルホニル)ピリミジン-5-イル]-5,6-ジヒドロピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(224 mg)、K2CO3(172 mg)、チオフェノール(0.10 mL)をDMF(5 mL)に懸濁させ窒素雰囲気下室温で撹拌した後、70℃で10時間撹拌した。残渣に水を加えAcOEtにて抽出した。有機層を分取、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムにて乾燥し、濃縮して粗生成物を得た。粗生成物を中圧分取液体クロマトグラフィー(Hexane:AcOEt=1:1→0:1)にて精製後、EtOHにて洗浄して目的化合物(47 mg)を得た。
NMR2; 2.88(2H, t, J=6.6Hz), 3.85(2H, t, J=6.6Hz), 7.40-7.50(3H, m), 7.58(1H, brs). 7.60-7.68(2H, m), 8.50(2H, s).
実施例1〜8と同様にして、実施例9〜56の化合物を、それぞれ製造した。実施例9〜56の化合物の構造式及び物理化学的データを、表2−1〜2−6にそれぞれ示す。
Figure 0006870064

Figure 0006870064

Figure 0006870064

Figure 0006870064

Figure 0006870064

Figure 0006870064
[試験例]
以下に、本発明の代表的化合物の薬理試験結果を示し、該化合物についての薬理作用を説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
[試験例1]聴原性てんかん発作モデル
この試験で用いる動物モデルは臨床予測性が高く、部分発作(二次性全般化を含む)や全般性強直間代発作の表現系である。本試験はDe Sarroらの報告(Br J Pharmacol. 1988 Feb; 93(2): 247-56. Anticonvulsant effects of some calcium entry blockers in DBA/2 mice. De Sarro GB, Meldrum BS, Nistico G.)に準じて行った。
本試験例においては、試験化合物として、以下の表3に示す実施例化合物を使用した。また、比較例化合物としては、置換位置を勘案した場合に最も近似な次の化合物(国際公開第2004/009559号公報の実施例5の化合物)を使用した。
Figure 0006870064
試験化合物を5%アラビアゴム/蒸留水(w/v)に懸濁し、30 mg/kgの用量で雌雄DBA/2マウス(日本エスエルシー株式会社、3週齢、1群8例)に強制経口投与した。その1時間後にマウスを直径23 cm 高さ30 cmの透明アクリルシリンダー内に静置し、30秒の馴化後に12.6 kHz、100-110 dBの音刺激を 1分間又は強直発作が発現するまで与えた。
発作の程度を、0:発作なし、1:Wild running、2:間代性発作、3:強直性発作、4:呼吸停止とし、これらのポイントのうち最大のポイントを発作重篤度スコアとして記録した。
以下の数式により各化合物投与群の発作抑制率を算出した。
Figure 0006870064
結果を表3に示す。
Figure 0006870064
[試験例2]最大電撃けいれんモデル(MES)
本試験は、化合物の抗痙攣作用を評価する試験である。この試験で用いる動物モデルは、全般性強直間代発作や二次性全般化部分発作の表現系である。本試験はHill AJらの報告(Br J Pharmacol. 2012 Dec;167(8):1629-42. Cannabidivarin is anticonvulsant in mouse and rat. Hill AJ, et al.)に準じて行った。
本試験例においては、試験化合物として、実施例化合物1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 28, 30, 31, 37, 38, 40, 41, 42, 44, 45, 47, 48, 50, 52, 53, 54, 56を使用した。
試験化合物を5%アラビアゴム/蒸留水(w/v)に懸濁し、30 mg/kgの用量で雄性ICRマウス(日本エスエルシー株式会社、5-6週齢、1群8例)に強制経口投与した。その1時間後に両耳介に装着した電極より、電気刺激(100 Hz、30 mA、0.2秒間)を、小動物用電撃けいれん刺激装置(UgoBasile社製)を用いて与え、誘発される後肢の強直性伸展痙攣の発現の有無を観察した。
上記試験において、溶媒投与群では全例で後肢の強直性伸展痙攣が誘発されるのに対して、実施例化合物1, 2, 3, 5, 8, 10, 12, 13, 14, 16, 18, 22, 26, 28, 30, 31, 38, 42, 47, 48, 54では痙攣の発現が75%以上抑制され、実施例化合物4, 6, 9, 11, 23, 41, 45では痙攣の発現が50%以上抑制された。
[試験例3]皮下注射ペンチレンテトラゾールモデル(scPTZ)
本試験は、試験例2)と同様に化合物の抗痙攣作用を評価する試験である。この試験で用いる動物モデルは、試験例2)の表現系とは異なり、全般性の欠神発作やミオクロニー発作の表現系である。
本試験例においては、試験化合物として、実施例化合物1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 28, 30, 31, 37, 38, 40, 41, 42, 44, 45, 47, 48, 52, 53, 54, 56を使用した。
試験化合物を5%アラビアゴム/蒸留水(w/v)に懸濁し、30 mg/kgの用量で雄性ICRマウス(日本エスエルシー株式会社、5-6週齢、1群10例)に強制経口投与した。その1時間後に、生理食塩水に溶解したペンチレンテトラゾール85 mg/kgを皮下投与し、30分間における間代性痙攣の発現の有無を観察した。
上記試験において、溶媒投与群では全例で間代性痙攣が誘発されるのに対して、実施例化合物1, 2, 3, 4, 5, 11, 13, 14, 22, 23, 28では痙攣の発現が75%以上抑制され、実施例化合物12, 26, 41, 42, 44, 56では痙攣の発現が50%以上抑制された。
[試験例4]ロータロッド試験
本試験は、化合物の協調運動障害作用を評価する試験である。
本試験例においては、試験化合物として、実施例化合物1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 28, 30, 31, 37, 38, 40, 41, 42, 44, 45, 47, 48, 50, 52, 53, 54, 56を使用した。
雄性ICRマウス(日本エスエルシー株式会社、5-6週齢、1群8例)をロータロッド装置(室町機械株式会社)に乗せ、15回転/分の速度で回転する棒から2分間落下しないで歩行できるように訓練した。試験化合物を5%アラビアゴム/蒸留水(w/v)に懸濁し、30 mg/kgの用量で訓練済みのマウスに強制経口投与した。1時間後に上記と同様のロータロッド装置に乗せ、5分間で4回転/分から40回転/分に加速する棒の回転に合わせて歩行できるかを、200秒間観察し、落下潜時を計測した。溶媒投与群の落下潜時の平均値に対する、化合物投与群の落下潜時の相対値を算出した。
上記試験において、実施例化合物1, 2, 3, 4, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 18, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 28, 30, 31, 37, 38, 40, 41, 42, 44, 47, 48, 50, 52, 53, 54, 56では協調運動障害が25%以下であった。
以上のように、本発明の化合物は抗てんかん薬の評価に用いられる複数のモデル動物において、いずれにも抗痙攣作用を示すので、広範な治療スペクトルを示す抗てんかん薬(てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作の予防薬及び/又は治療薬)として有用である。更に、本発明の化合物は、てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患の診断薬としても有用である。

Claims (10)

  1. 式[I]:
    Figure 0006870064
    [式中、
    環Aは、フェニル、ナフチル又はピリジルであり;
    は、C1−6アルキルであり;
    は、−O−C1−6アルキルであり;
    は、ハロゲン、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル、重水素又はハロゲンで置換されていてもよい−O−C1−6アルキル、ハロゲンで置換されていてもよい−S−C1−6アルキル、C2−6アルキニル、フェニル、−O−ベンジル、ペンタフルオロチオ、−CN又は−Si−モノ、ジ又はトリ−C1−6アルキル(ジ又はトリのとき、各々異なるアルキルであってもよい)であり;
    Lは、直接結合、C1−6アルキレン、−O−又は−S−であり;
    m及びnは、それぞれ0又は1であり;
    qは、0、1又は2であり、qが2の場合、Rは各々独立して、同一又は異なった置換基を示す;
    Figure 0006870064
    は、一重結合又は二重結合を示す]
    で表される化合物又はその塩を含む医薬。
  2. 環Aが、フェニルであり;
    Lが、−O−であり;
    nが、0である、請求項1に記載の化合物又はその塩を含む医薬。
  3. mが0である、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩を含む医薬。
  4. がハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルキニル又はハロゲンで置換されていてもよい−S−C1−6アルキルである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物又はその塩を含む医薬。
  5. 式[I]の部分構造である下式:
    Figure 0006870064
    が、フェニル、モノハロフェニル、ジハロフェニル、モノC1−6アルキルフェニル、モノC −6アルキニルフェニル又は1個のハロゲンと1個のC1−6アルキル基とで置換されたフェニルである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物又はその塩を含む医薬。
  6. 以下の化合物からなる群から選ばれた化合物又はその塩を含む医薬。
    Figure 0006870064

    Figure 0006870064

    Figure 0006870064
  7. 有効成分としての請求項1〜6のいずれかに記載の化合物又はその塩と、薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、医薬組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分とする、てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作の治療、予防及び/又は診断用剤。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の化合物又はその塩を有効成分とする、てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作の治療、予防及び/又は診断用医薬組成物。
  10. てんかん発作又はけいれん発作(多剤耐性発作、難治性発作、急性症候性発作、熱性発作及びてんかん重積発作を含む)を伴う疾患における、発作の治療、予防及び/又は診断に使用するための医薬の製造における請求項1〜6のいずれかに記載の化合物又はその塩の使用。
JP2019217907A 2018-11-30 2019-12-02 ピリミジン化合物の医薬用途 Active JP6870064B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018224549 2018-11-30
JP2018224549 2018-11-30

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020094045A JP2020094045A (ja) 2020-06-18
JP6870064B2 true JP6870064B2 (ja) 2021-05-12

Family

ID=71083909

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019217907A Active JP6870064B2 (ja) 2018-11-30 2019-12-02 ピリミジン化合物の医薬用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6870064B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004009559A2 (en) * 2002-07-18 2004-01-29 Queen's University At Kingston Dihydrouracil compounds as anti-ictogenic or anti-epileptogenic agents
JP5788404B2 (ja) * 2009-12-11 2015-09-30 アウトイフオンイ トヘラペウトイクス リミテッド イミダゾリジンジオン誘導体
SG182534A1 (en) * 2010-01-25 2012-08-30 Chdi Foundation Inc Certain kynurenine-3-monooxygenase inhibitors, pharmaceutical compositions, and methods of use thereof
WO2013016488A1 (en) * 2011-07-28 2013-01-31 Celia Dominguez Certain kynurenine-3-monooxygenase inhibitors, pharmaceutical compositions, and methods of use thereof
WO2018220762A1 (ja) * 2017-05-31 2018-12-06 大塚製薬株式会社 ピリミジン化合物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020094045A (ja) 2020-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5916700B2 (ja) アミド化合物、組成物およびそれらの使用
JP5608655B2 (ja) P2x3受容体活性のモジュレーター
JP5244095B2 (ja) 新規なジベンジルアミン構造を有するピリミジン化合物及びこれを含有する医薬
KR102083041B1 (ko) 술폰아미드 화합물 및 tnap 억제제로서 용도
MX2009000925A (es) Compuestos novedosos, isomero de los mismos, o sales farceuticamente aceptables de los mismos como antagonistas receptor de vanilloide; y composiciones farmaceuticas que contienen el mismo.
EA012589B1 (ru) Производные фениламида 4-(бензил)пиперазин-1-карбоновой кислоты и родственные соединения в качестве модуляторов амида жирной кислоты гидролазы для лечения страхов, боли и других состояний
JP6804469B2 (ja) ベンゾイミダゾロン及びベンゾチアゾロン化合物並びにampa受容体調節因子としてのそれらの使用
WO2009107391A1 (ja) 6員芳香環含有化合物
JP2007520539A (ja) カンナビノイド受容体モジュレーターとしてのピリジン誘導体
US20230138411A1 (en) Pyrimidine compound
JP2007523206A (ja) Cb2受容体モジュレーターとしてのピリジン誘導体およびその使用
MXPA05005661A (es) Compuestos con actividad antagonista o antagonista parcial mixta inhibidora de fosfodiesterasa y beta-adrenergica para el tratamiento de insuficiencia cardiaca.
JP7170996B2 (ja) スルホンアミド誘導体またはその薬学的に許容される酸付加塩
JPWO2019044868A1 (ja) ピリミジン誘導体
JP6870064B2 (ja) ピリミジン化合物の医薬用途
JP6758374B2 (ja) Idh2突然変異を標的とする抗腫瘍化合物及びその使用方法
JP2023523545A (ja) Mas関連Gタンパク質受容体X4のモジュレーター、関連製品及びその使用方法
KR102614535B1 (ko) 중수소화 벤즈이미다졸 화합물 및 그의 의약 용도
JP2022509848A (ja) てんかん治療用複素環化合物
JP2021187859A (ja) 複素環化合物の医薬用途

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200702

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20210112

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210309

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210323

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210414

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6870064

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250