JP6868722B1 - 油脂組成物および該油脂組成物を用いた食品、並びに食品の製造方法および食品の油染みを抑制する方法 - Google Patents

油脂組成物および該油脂組成物を用いた食品、並びに食品の製造方法および食品の油染みを抑制する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】食品分野、化粧品分野、および工業用分野において使用し得る、低温環境下においても流動性を有するハンドリングの良好な油脂組成物を提供すること。【解決手段】本技術では、飽和脂肪酸の含有量が30質量%以下の液状油脂:90〜99.5質量%と、飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下の乳化剤:0.1〜3質量%と、を含有し、5℃のSFCが4%以下である、油脂組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、油脂組成物および該油脂組成物を用いた食品、並びに食品の製造方法および食品の油染みを抑制する方法に関する。
食品分野、化粧品分野、工業用分野で用いる油脂組成物として、様々な特徴が付与された油脂組成物が開発されている。例えば、食品分野においては、特許文献1では、0℃で液状の油脂を10〜90質量%、融点5〜30℃の油脂を9.9〜89.9質量%、炭素数20〜24の飽和脂肪酸が全構成脂肪酸の10〜75質量%である油脂を0.1〜5質量%含有し、25℃において流動性を有することにより、ハンドリング性に優れていて、フライに用いるとサクサクとしたクリスピーな食感と良好な風味のフライ食品を得ることができるフライ用油脂組成物が開示されている。
特許文献2では、液状油脂に極度硬化油及び融点が50〜70℃であるポリグリセリン脂肪酸エステルが合計量で5〜10重量%配合され、固体脂含量が10〜25℃の範囲において5〜11重量%であり、且つ油脂の固化速度が30℃において10〜30分であることにより、液状油脂の欠点である油染みが抑制できるよう適度な固化速度を有しており、かつ、固形状の油脂の欠点である口溶けが良好である、すべての揚げ物を調理するのに適したフライ用油脂が開示されている。
特許分文献3では、ヨウ素価49以上の分画しない精製パーム油、液体植物油、極度硬化油およびポリグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせて含有することにより、油脂を使用する際の作業性がよく、しかも品質安定で水添油の持つ特有の臭いもなく、ドーナツにおいては製品の外観を損ねる砂糖泣きが著しく少ない機能性を持ったフライ用油脂が開示されている。
特許文献4では、油脂全量に対して、極度硬化油を5.1〜35.0重量%の割合で配合することにより、フライ用油脂として使用した場合、フライ後の揚げ物の油乾きが速く、食べた時に油っぽくなく、さらに包装袋に油の付着がなく、商品価値の高いフライ製品が得られる優れたフライ用油脂組成物が開示されている。
特許文献5では、油脂の全量に対して、0.3〜5.0重量%の高エルカ酸ナタネ油の極度硬化油を含有することにより、ソフトで老化が遅く、砂糖の泣きの少ないドーナツが製造できるフライ用油脂が開示されている。
特開2005−160453号公報 特開2007−267603号公報 特開平9−322708号公報 特開2001−069913号公報 特開平4−173053号公報
前述の通り、食品分野においても、様々な技術が付与された油脂組成物が開発されつつあり、もちろん、他の分野においても様々なニーズに合わせて、新規の油脂組成物の開発が期待されている。
そこで、本技術では、食品分野、化粧品分野、および工業用分野において使用し得る、低温環境下においても流動性を有するハンドリングの良好な油脂組成物を提供することを主目的とする。
本願発明者らは、広い分野で使用し得るハンドリング性に優れた油脂組成物について鋭意研究を行った結果、特定の油脂と、特定の乳化剤を用いて、かつ、固体脂含量を制御することで、広い分野で使用し得る油脂組成物のハンドリングを向上させることに成功し、本技術を完成させるに至った。
即ち、本技術では、まず、飽和脂肪酸の含有量が30質量%以下の液状油脂:90〜99.5質量%と、
飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下の乳化剤:0.1〜3質量%と、を含有し、
5℃のSFCが4%以下である、油脂組成物を提供する。
本技術に係る油脂組成物には、極度硬化油:1〜3質量%を、さらに含有することができる。
本技術に係る油脂組成物は、食品用として用いることができる。
この場合、本技術に係る油脂組成物を、フライ用として用いることができる。
本技術では、次に、本技術に係る油脂組成物が用いられた、食品を提供する。
本技術では、また、本技術に係る油脂組成物を用いて、調理する工程を含む、食品の製造方法を提供する。
本技術では、更に、本技術に係る油脂組成物を用いて、調理することにより、食品の油染みを抑制する方法を提供する。
本技術によれば、食品分野、化粧品分野、および工業用分野において使用し得る、低温環境下においても流動性を有するハンドリングの良好な油脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<油脂組成物>
本技術に係る油脂組成物は、特定の(1)液状油脂と、特定の(2)乳化剤と、を有する。また、本技術に係る油脂組成物は、5℃におけるSFC(Solid fat content,固体脂含量)が、4%以下であることを特徴とする。さらに、本技術に係る油脂組成物は、(3)極度硬化油等の他の成分も含有させることができる。以下、各成分について、詳細に説明する。
なお、本技術において、油脂組成物のSFCは、基準油脂分析法2.2.9−2013 固体脂含量(NMR法)に準じて測定し、分析した値である。
(1)液状油脂
本技術に係る油脂組成物に用いる液状油脂は、常温において液状であり、飽和脂肪酸の含有量が30質量%以下であることを特徴とする。本技術に係る油脂組成物では、飽和脂肪酸の含有量が30質量%以下であれば、油脂組成物に使用可能な液状油脂を1種または2種以上自由に選択して用いることができる。例えば、菜種油、高オレイン酸菜種油、大豆油、高オレイン酸大豆油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、アーモンド油、カシューナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、あんず油、椿油、茶実油 、エゴマ油、オリーブ油、カラシ油、米油、小麦胚芽油、ボラージ油、アボカド油、カヤ油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、キリ油、カポック油、ヘンプ油、エキウム油、魚油、藻類油等を挙げることができる。
また、本技術に係る油脂組成物では、飽和脂肪酸の含有量が30質量%以下の液状油脂を90〜99.5質量%含有することを特徴とする。
なお、本技術において、液状油脂の飽和脂肪酸の含有量は、基準油脂分析試験法2.4.2.3−2013 脂肪酸組成に準じて、試料をキャピラリーガスクロマトグラフ法で測定し、分析した値である。
(2)乳化剤
本技術に係る油脂組成物に用いる乳化剤は、飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLB(Hydrophile- Lipophile Balance,親水性親油性バランス)が5以下であることを特徴とする。本技術に係る油脂組成物では、飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下であれば、油脂組成物に使用可能な乳化剤を1種または2種以上自由に選択して用いることができる。例えば、飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下のポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を挙げることができる。
また、本技術に係る油脂組成物では、飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下の乳化剤を、0.1〜3質量%含有することを特徴とする。油脂組成物中の、飽和脂肪酸の含有量が80%質量以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下の乳化剤の含有量が、0.1質量%未満の場合、油脂組成物を食品に用いた場合に、油の染み出しが生じやすい。一方、油脂組成物中の、飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下の乳化剤の含有量が、3質量%を超える場合、各分野において、ハンドリング性が低下する。
本技術において、飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下の乳化剤の量は、0.1〜3質量%の範囲であれば、本技術の効果を奏することができるが、好ましくは0.3〜3質量%、より好ましくは0.5〜2.5質量%、さらに好ましくは1〜2.5質量%である。
(3)極度硬化油
本技術に係る油脂組成物には、極度硬化油を含有させることができる。極度硬化油を含有させることで、食品に用いた場合に、食感(サクミ)を向上させることができる。極度硬化油は、米油、菜種油、ハイエルシン菜種油、大豆油、コーン油、サフラワー油、ヒマワリ油、綿実油、パーム油、牛脂、豚脂等の1種又は2種以上を組み合わせの油脂を水素添加して、固体脂含量が20℃において50%以上にした硬化油である。
本技術に係る油脂組成物に極度硬化油を含有させる場合、その含有量は、本技術の効果を損なわない限り限定されないが、本技術では、油脂組成物中に1〜3質量%含有させることが好ましく、1.5〜2質量%含有させることがより好ましい。油脂組成物中の極度硬化油の含有量を3質量%以下とすることで、各分野において、良好な流動性を維持することができる。また、油脂組成物中の極度硬化油の含有量を1質量%以上とすることで、食品に用いた場合に、食感(サクミ)を更に向上させることができる。
(4)その他
本技術に係る油脂組成物は、前述した(1)液状油脂、(2)乳化剤、および(3)極度硬化油脂の他に、一般的な油脂組成物に用いられている材料や各種添加剤を1種又は2種以上、自由に組み合わせて用いることができる。例えば、保存安定性向上、酸化安定性向上、熱安定性向上、低温化での結晶抑制などを目的とした添加剤を配合することもできる。具体的には、例えば、トコフェロール、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、茶抽出物、コエンザイムQ、オリザノール等の抗酸化剤、β−カロテン等の色素、香料、シリコーン等の添加剤が挙げられる。
(5)用途
本技術に係る油脂組成物は、食品分野、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア、フレグランスなどの化粧品分野、およびグリスなどの工業用分野等で用いることができる。本技術に係る油脂組成物は、低温環境下においても流動性を有しているため、全ての分野において、優れたハンドリング性を発揮することができる。
また、食品分野で本技術に係る油脂組成物を用いる場合、食品からの油の染み出しを防止することができる。さらに、食品分野で本技術に係る油脂組成物を用いる場合、練り込み用やフライ用の油脂組成物として好適に用いることができる。本技術に係る油脂組成物をフライ用の油脂組成物として用いる場合、油の染み出しの防止に加えて、フライの食感(サクミ)を向上させることができる。
(6)油脂組成物の製造方法
本発明に係る油脂組成物は、原料を撹拌して混合することによって製造することができる。混合および撹拌は、油脂を加温した状態で実施してもよい。また、混合および攪拌は、加圧、減圧、常圧下で実施することが可能であり、ある態様では、常圧下で混合を行うこともできる。
本発明に係る油脂組成物を製造する装置は、特に限定されないが、例えば、攪拌機、加熱用のジャケットなどを備えた加温可能な攪拌槽、邪魔板等を備えた通常の攪拌・混合装置を用いることができる。回転数、攪拌時間などの撹拌条件は、原材料が均一に混合されれば、特に制限されない。攪拌機における攪拌翼の形状は特に制限されないが、例えば、プロペラ型、かい十字型、ファンタービン型、ディスクタービン型またはいかり型などとすることができる。
<食品、食品の製造方法>
本技術に係る食品は、前述した本技術に係る油脂組成物を用いることを特徴とする。本技術に係る食品の製造方法は、前述した本技術に係る油脂組成物を用いて調理する工程を含む方法である。本技術に係る食品は、食品からの油染みが抑制されることを特徴とする。また、フライ食品の場合、良好な食感(サクミ)を備えることを特徴とする。
本技術に係る食品としては、本技術の効果を損なわない限り、あらゆる種類の食品に適用することができる。例えば、本技術に係る油脂組成物をそのまま用いた食品(ドレッシング、飲料など)、本技術に係る油脂組成物を炒め油として用いた食品(野菜類、きのこ類、獣肉類、魚介類、麺類、米飯類等を炒めたもの)、本技術に係る油脂組成物を練り込み用油として用いた食品(パン類、菓子類、麺類等)、本技術に係る油脂組成物をフライ用油として用いた食品(野菜類、きのこ類、獣肉類、魚介類、麺類、米飯類等に衣などをつけて油ちょうしたもの)等を挙げることができる。
<食品の油染みを抑制する方法>
本技術に係る方法は、前述した本技術に係る油脂組成物を用いて、調理することにより、食品の油染みを抑制する方法である。本技術において、調理の方法は特に限定されず、例えば、炒める、練り込む、揚げる、塗布する、練り込んだり塗布したりした状態で加熱する等、様々な調理方法を採用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<実験例1>
実験例1では、フライ用油脂としてコロッケを製造した場合に、フライ用油脂に用いる液状油脂や乳化剤の種類、およびSFCが、各種効果に影響するかについて検証した。
(1)コロッケの製造
下記表3および表4に示す油脂組成物をフライ用油脂として用いて、市販の冷凍コロッケ(「北海道の味男爵コロッケ野菜」サンマルコ株式会社)を180℃で5分間油ちょうし、コロッケを製造した。なお、各液状油脂の飽和脂肪酸の含有量を、下記の表1に示す。また、各乳化剤は、下記の表2に記載の市販品を使用した。
Figure 0006868722
Figure 0006868722
(2)評価
製造時における油脂組成物のハンドリング性、製造した各コロッケの油染み、および食感(サクミ)について、下記の評価基準に基づき、評価を行った。
[ハンドリング性]
チャック付ポリ袋に各油脂組成物50gを充填し、5℃にて2日間保管した後、常温下に1分間放置した後の流動性について、以下の基準に基づき、3名の専門パネルの合議で決定した点数を評価点とした。
5 液状油と同様
4 緩やかに動く
3 若干動く
2 ほぼ動かない
1 固化状態
[油染み]
油ちょう後30分経過したコロッケの重さを測定した後、ろ紙の上にコロッケを静置(25℃、24時間)し、24時間後のコロッケの重さを測定した。下記の数式に基づいて、油脂保持率を算出し、下記の評価基準に基づいた評価を行った。油脂保持率が高いほど、油染みが抑制されているとの評価となる。
油脂保持率=(24時間静置した調理サンプル質量/油ちょう後30分経過後の調理サンプル質量)×100
◎ 75%以上
○ 60%以上75%未満
△ 45%以上60%未満
× 45%未満
[食感]
油ちょう後、30分経過した各コロッケについて、以下の基準に基づき、10名の専門パネルが評価した点数の平均点を評価点とした。
5 サクミがつよく、非常に良好
4 サクミがあり、良好
3 サクミがやや感じられる
2 サクミがやや弱く、やや悪い
1 サクミがなく、悪い
(3)結果
結果を下記表3および表4に示す。
Figure 0006868722
Figure 0006868722
(4)考察
表3に示す通り、飽和脂肪酸の含有量が30質量%以下の液状油脂:90〜99.5質量%と、飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下の乳化剤:0.1〜3質量%と、を含有し、5℃のSFCが4%以下である、油脂組成物を用いた参考例1、2、8、9、実施例7、および10〜12は、ハンドリング性、油染み、および食感(サクミ)の全てにおいて、良好な結果であった。
一方、乳化剤を用いなかった比較例1は、油染みの結果が不良であった。飽和脂肪酸の含有量が30質量%を超える液状油脂を用いた比較例2は、ハンドリング性の結果が不良であった。また、比較例2に係る油脂組成物は、5℃で2日間保管すると、全体が固化してしまった。本技術で用いる乳化剤は配合するが、その含有量が0.1質量%未満の比較例3は、油染みの結果が不良であった。また、本技術で用いる乳化剤は配合するが、その含有量が3質量%を超える比較例4は、ハンドリング性の結果が不良であった。
上昇融点が50℃未満の乳化剤を配合した比較例5〜7は、油染みの結果が不良であった。5℃のSFCが4%を超える比較例8は、油染みの結果が不良であった。また、比較例8に係る油脂組成物は、白濁しており、しばらく静置すると分離してしまった。
参考例および実施例の中で比較すると、乳化剤の含有量が0.1質量%の参考例1に比べて、0.3質量%以上の参考例2、実施例〜6の方が、油染みの結果がより良好であった。この結果から、乳化剤の配合量の下限値は、0.3質量%以上とすることが好ましいことが分かった。
極度硬化油を用いた実施例10〜12は、極度硬化油を用いなかった実施例2〜5に比べて、食感(サクミ)の結果がより良好であった。この結果から、極度硬化油を配合することで、食感(サクミ)がより向上することが分かった。
<実験例2>
実験例2では、フライ用油脂としてカレーパンを製造した場合に、フライ用油脂に用いる液状油脂や乳化剤の種類、およびSFCが、各種効果に影響するかについて検証した。
(1)カレーパンの製造
下記表6に示す油脂組成物をフライ用油脂として用いて、市販の冷凍カレーパン(「本格カレードーナツ2」昭和冷凍食品株式会社)を−5℃にてオーバーナイトで解凍し、室温に30〜60分間静置した後、ホイロ(35℃、湿度60%、50分間)を経たものを180℃で片面2.5分ずつ油ちょうし、カレーパンを製造した。なお、各液状油脂の飽和脂肪酸の含有量を、下記の表5に示す。また、乳化剤Aは、前記実験例1と同一のものを使用した。
Figure 0006868722
(2)評価
製造時における油脂組成物のハンドリング性、製造した各カレーパンの油染み、および食感(サクミ)について、前記実験例1と同様の評価基準に基づいて、評価を行った。
(3)結果
結果を下記表6に示す。
Figure 0006868722
(4)考察
表6に示す通り、飽和脂肪酸の含有量が30質量%以下の液状油脂:90〜99.5質量%と、飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下の乳化剤:0.1〜3質量%と、を含有し、5℃のSFCが4%以下である、油脂組成物を用いた実施例13は、参考例2、実施例3〜12と同様に、ハンドリング性、油染み、および食感(サクミ)の全てにおいて、良好な結果であった。

一方、乳化剤を用いなかった比較例9は、油染みの結果が不良であった。飽和脂肪酸の含有量が30質量%を超える液状油脂を用いて、5℃のSFCが4%を超える比較例10は、ハンドリング性の結果が不良であった。
<実験例3>
実験例3では、練り込み用油脂としてマフィンを製造した場合に、練り込み用油脂に用いる液状油脂や乳化剤が、各種効果に影響するかについて検証した。
(1)マフィンの製造
レインボーケーキミックス(昭和産業株式会社製)100質量部、全卵30質量部、水10質量部、バニラオイル0.3質量部を混合し、水30質量部、下記表7に示す油脂組成物35質量部を混合し、生地を作製した。生地120gずつを180℃のオーブンで30分焼成し、マフィンを製造した。なお、各液状油脂および乳化剤Aは、前記実験例1と同一のものを使用した。
(2)評価
製造時における油脂組成物のハンドリング性について、前記実験例1と同様の評価基準に基づいて、評価を行った。また、製造した各マフィンの油染み、ボリューム、および口溶けについて、下記の評価基準に基づいて、評価を行った。
[油染み]
マフィンの紙容器を観察し、以下の基準に基づいて、3名の専門パネルの合議で決定した点数を評価結果とした。
◎ 油染みがなく、非常に良好
○ 油染みがほぼなく、良好
△ 油染みがあり、やや悪い
× 非常に油染みがあり、悪い
[ボリューム]
以下の基準に基づいて、3名の専門パネルの合議で評価した。
◎ 非常にボリュームがある
○ ボリュームがある
△ ややボリュームに欠ける
× ボリュームがない
[口溶け]
以下の基準に基づいて、10名の専門パネルが評価した点数の平均点を評価点とした。
5 口溶けが非常に良い
4 口溶けが良い
3 やや口溶けが良い
2 やや口溶けが悪い
1 口溶けが非常に悪い
(3)結果
結果を下記表7に示す。
Figure 0006868722
(4)考察
表7に示す通り、飽和脂肪酸の含有量が30質量%以下の液状油脂:90〜99.5質量%と、飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下の乳化剤:0.1〜3質量%と、を含有し、5℃のSFCが4%以下である、油脂組成物を用いた実施例14および15は、ハンドリング性、油染み、ボリューム、および口溶けの全てにおいて、良好な結果であった。
一方、乳化剤を用いなかった比較例11は、油染み、ボリューム、および口溶けの結果が不良であった。

Claims (7)

  1. 飽和脂肪酸の含有量が30質量%以下の液状油脂:90〜99.5質量%と、
    飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下のポリグリセリン脂肪酸エステル0.5〜3質量%と、を含有し、
    5℃のSFCが4%以下である、油脂組成物(レシチンを配合するものを除く)。
  2. 極度硬化油:1〜3質量%を、さらに含有する、請求項1に記載の油脂組成物。
  3. 食品用である、請求項1または2に記載の油脂組成物。
  4. フライ用である、請求項3に記載の油脂組成物。
  5. 請求項3または4に記載の油脂組成物が用いられた、食品。
  6. 飽和脂肪酸の含有量が30質量%以下の液状油脂:90〜99.5質量%と、
    飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下のポリグリセリン脂肪酸エステル0.5〜3質量%と、を含有し、
    5℃のSFCが4%以下である、油脂組成物(レシチンを配合するものを除く)を用いて、調理する工程を含む、食品の製造方法。
  7. 飽和脂肪酸の含有量が30質量%以下の液状油脂:90〜99.5質量%と、
    飽和脂肪酸の含有量が80質量%以上、上昇融点が50℃以上、かつ、HLBが5以下のポリグリセリン脂肪酸エステル0.5〜3質量%と、を含有し、
    5℃のSFCが4%以下である、油脂組成物(レシチンを配合するものを除く)を用いて、調理することにより、食品の油染みを抑制する方法。
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